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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】循環式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20221108BHJP
【FI】
E04H6/18 604A
E04H6/18 601F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019058050
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020159016
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】盛田 航
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-214549(JP,A)
【文献】特開2017-008526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動扉を有した入出庫口が1箇所形成された建屋内に、駐車車両を搭載可能な複数のトレーによって循環系を形成した循環部を有し、前記電動扉を開状態にした後に、前記入出庫口に対応した位置の前記トレー上に前記駐車車両を乗り込ませて駐車する循環式駐車装置において、
記入出庫口より内側の前記循環部の前記トレーの循環移動を妨げない位置であって、前記駐車車両を搭載させた前記トレーよりも前記各トレーの循環方向または反循環方向にずれた位置に設けられ、前記循環部で前記入出庫口とは異なる方向に移動して侵入する人を検知する人侵入検知装置と、
前記人侵入検知装置による検知があったときに注意を喚起する注意喚起ランプと、前記侵入した人によって操作されたときに前記注意喚起ランプを消灯させる確認ボタン部とを備えた注意案内装置と、を設けたことを特徴とする循環式駐車装置。
【請求項2】
前記注意案内装置は、前記入出庫口から見て前記駐車車両の乗り込み方向の奥側および手前側の前記入出庫口側近傍にそれぞれ分散して配置され、前記人侵入検知装置による検知があったときに奥側に配置した前記注意案内装置を作動させて、その前記確認ボタン部が操作されたときに、前記注意喚起ランプによる注意喚起を停止させると共に、手前側の前記入出庫口側近傍に配置された前記注意案内装置を作動させ、その前記確認ボタン部が操作されたときに前記注意案内装置を停止させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の循環式駐車装置。
【請求項3】
前記入出庫口に対応した位置の前記トレー上に前記入出庫口から前記駐車車両を乗り込ませるときの乗り込み方向で、かつ、前記トレーよりも前記入出庫口側に位置する前記建屋の手前内面側と、同じ前記乗り込み方向で、かつ、前記トレーよりも反入出庫口側に位置する前記建屋の奥内面側にそれぞれ運転手が歩いて移動するための固定床をそれぞれ構成し、前記両固定床における前記各トレーの循環方向と平行な両端部にそれぞれ運転手の移動を制限する衝立を設け、前記両固定床における両端部付近間の対向部に前記人侵入検知装置をそれぞれ設け、前記両固定床にそれぞれ前記注意案内装置を分散して配置し、前記人侵入検知装置による検知があったときに前記奥内面側に配置した前記注意案内装置を作動させて、その前記確認ボタン部が操作されたときに前記注意喚起ランプによる注意喚起を停止させると共に、前記手前内面側に配置された前記注意案内装置を作動させ、その前記確認ボタン部が操作されたときにその前記注意案内装置を停止させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の循環式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車車両から降りた運転手が前記入出庫口から見て奥側に移動するのを阻止する構成を備えた循環式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の循環式駐車装置として、特開2016-125280号公報(特許文献1)が知られている。この特許文献1には、電動扉を有した入出庫口が形成された建屋内に、駐車車両を搭載可能な複数のトレーによって循環系を形成すると共に、循環方向における前記各トレー間には前記駐車車両から降りた運転手が前記入出庫口へと移動するときに使用する移動スペースをそれぞれ形成し、前記電動扉を開状態にした後に、前記入出庫口から対応した位置の前記トレー上に駐車車両を乗り込ませて駐車する循環式駐車装置において、前記入出庫口から乗り込んだ前記駐車車両の両側に位置した前記移動スペースに隣接した他の移動スペースの少なくとも一方に、前記駐車車両から降りた運転手が前記入出庫口から見て奥側に移動するのを阻止する間仕切り遮蔽装置を設け、かつ、前記間仕切り遮蔽装置は、前記駐車車両から降りた運転手が前記入出庫口から見て奥側に移動するのを阻止する前記移動スペースを上下動する遮蔽体と、前記遮蔽体を上下方向に移動させる駆動装置とを備え、前記駆動装置は前記電動扉に連動して前記遮蔽体を上下動するように構成したことを特徴とする循環式駐車装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-125280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の循環式駐車装置は、遮蔽体を上下動する構成を有しているが、運転手が正常な処理を行って入出庫口からでる場合にも動作したり、構成が複雑化したりしてしまう問題があった。
【0005】
本発明の目的は、運転手が正常な処理を行って入出庫口からでる場合には不必要な動作を行うことなく、一方で、駐車車両から降りた運転手が入出庫口から見て奥側の間違った方向に移動してしまうのを確実に防止することができるようにした循環式駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る循環式駐車装置は、電動扉を有した入出庫口が形成された建屋内に、駐車車両を搭載可能な複数のトレーによって循環系を形成し、前記電動扉を開状態にした後に、前記入出庫口に対応した位置の前記トレー上に前記駐車車両を乗り込ませて駐車する循環式駐車装置において、前記駐車車両を搭載させた前記トレーよりも前記各トレーの循環方向または反循環方向にずれた位置に、入出庫口とは異なる方向に移動して行く人を検知する人侵入検知装置を設け、前記人侵入検知装置による検知があったときに注意を喚起する注意喚起ランプと、侵入した人によって操作されたときに前記注意喚起ランプを消灯させる確認ボタン部を備えた注意案内装置を設けたことを特徴とする。
【0007】
第1態様に係る循環式駐車装置によれば、運転手が正常な処理を行って入出庫口からでる場合には不必要な動作を行うことなく、一方で、駐車車両から降りた運転手が入出庫口から見て奥側の間違った方向に移動してしまうのを確実に防止することができる。つまり、トレー上に駐車車両を乗り込ませた運転手が入出庫口とは異なる方に移動した場合、人侵入検知装置によって検知された後、注意案内装置が作動されて侵入者に対して出庫口側に注意を換気させることができるので、駐車車両から乗り降りすることになる運転手の安全性を一層向上させることができる。
【0008】
第2態様に係る循環式駐車装置は、第1態様に係る循環式駐車装置において、前記入出庫口から見て前記駐車車両の乗り込み方向の奥側および手前側の前記入出庫口側近傍にそれぞれ前記注意案内装置を分散して配置し、前記人侵入検知装置による検知があったときに奥側に配置した前記注意案内装置を作動させて、その前記確認ボタン部が操作されたときに、前記注意喚起ランプによる注意喚起を停止させると共に、手前側の前記入出庫口側近傍に配置された前記注意案内装置を作動させ、その前記確認ボタン部が操作されたときに前記注意案内装置を停止させるように構成したことを特徴とする。
【0009】
第2態様に係る循環式駐車装置によれば、トレー上に駐車車両を乗り込ませた運転手が入出庫口とは異なる方向に移動しようとした場合、人侵入検知装置によって検知した後、注意案内装置を作動させ、その後に注意案内装置を作動させるので、意図的に侵入者を出庫口側に誘導することができる。
【0010】
第3態様に係る循環式駐車装置は、第1態様に係る循環式駐車装置において、前記入出庫口に対応した位置の前記トレー上に前記入出庫口から前記駐車車両を乗り込ませるときの乗り込み方向で、かつ、前記トレーよりも前記入出庫口側に位置する前記建屋の手前内面側と、同じ前記乗り込み方向で、かつ、前記トレーよりも反入出庫口側に位置する前記建屋の奥内面側にそれぞれ運転手が歩いて移動するための固定床をそれぞれ構成し、前記両固定床における前記各トレーの循環方向と平行な両端部にそれぞれ運転手の移動を制限する衝立を設け、前記両固定床における両端部付近間の対向部に前記人侵入検知装置をそれぞれ設け、前記両固定床にそれぞれ前記注意案内装置を分散して配置し、前記人侵入検知装置による検知があったときに前記奥内面側に配置した前記注意案内装置を作動させて、その前記確認ボタン部が操作されたときに前記注意喚起ランプによる注意喚起を停止させると共に、前記手前内面側に配置された前記注意案内装置を作動させ、その前記確認ボタン部が操作されたときにその前記注意案内装置を停止させるように構成したことを特徴とする。
【0011】
第3態様に係る循環式駐車装置によれば、トレー上に駐車車両を乗り込ませた運転手が入出庫口とは異なる方向に移動した場合、人侵入検知装置によって検知した後、注意案内装置を作動させ、その後に注意案内装置を作動させることになるため、侵入した運転手を意図的に固定床側に導くことができ、しかも、最終的には入出庫口側の固定床に導くことができるので、端部が衝立によって移動制限されている入出庫口側の固定床によって確実に出庫口へと誘導することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明による循環式駐車装置によれば、運転手が正常な処理を行って入出庫口からでる場合には不必要な動作を行うことなく、一方で、駐車車両から降りた運転手が入出庫口から見て奥側の間違った方向に移動してしまうのを確実に防止することができる。つまり、トレー上に駐車車両を乗り込ませた運転手が入出庫口とは異なる方に移動した場合、人侵入検知装置によって検知された後、注意案内装置が作動されて侵入者に対して出庫口側に注意を換気させることができるので、駐車車両から乗り降りすることになる運転手の安全性を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例による循環式駐車装置を示す平面図である。
図2図1に示した循環式駐車装置を示す正面図である。
図3図1に示した注意案内装置を示す正面図である。
図4図1に示した循環式駐車装置の要部を制御している制御系の動作処理を示すフローチャートである。
図5】本発明の他の実施例による循環式駐車装置の概略構成を示す平面図である。
図6図5に示した循環式駐車装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1および図2は、本発明の一実施の形態による循環式駐車装置の概略構成を示す平面図および正面図である。
【0016】
本循環式駐車装置は多層循環方式箱形循環式と称される構成であり、建屋1の内部には縦柱2や横梁3などを組み合わせて上下方向に二層の駐車スペースを有する駐車設備が構成されている。二層の駐車スペースに沿って駐車車両4A~4Nをそれぞれ搭載可能な複数枚のトレー5A~5Nが配置されており、モータ6や伝達機構を有したトレー駆動装置やその制御装置によって各トレー5A~5Nを所定の方向に環状に循環移動するように構成されている。上部層と下部層における両端部には、端部に位置したトレーを層間で渡して移動する層間渡し装置7A,7Bがそれぞれ構成されている。
【0017】
建屋1の上部層で、かつ図面の左側から四台目に位置したトレー5Dに対応する位置には入出庫口8が形成されており、この入出庫口8を通して各トレー5A~5Nの循環移動方向に対してほぼ直交するように駐車車両4Aが乗り込む構成となっている。
【0018】
入出庫口8には開閉可能な電動扉9が配置され、建屋1の外側における入出庫口8の近傍には操作盤10が配置されている。運転手によって操作盤10から入庫のために電動扉9の開操作が行われると電動扉9が図示しない駆動装置や制御装置を通して自動で開状態にされる。この状態で運転手は、駐車車両4Aに乗り込んで運転して入出庫口8からトレー5D上に乗り込み、停止させてから駐車車両4Aを降りて操作盤10の前へと移動する。その後、運転手によって操作盤10から入庫完了の操作が行われると、電動扉9が自動で閉状態にされる。
【0019】
出庫の場合も同様であり、運転手によって操作盤10から出庫のために電動扉9の開操作が行われると対応する駐車車両が搭載された状態のトレーが入出庫口8に対応して準備された後、電動扉9が自動で開状態にされる。この状態で運転手は、駐車車両に乗り込んで運転して入出庫口8から出てから一旦、駐車車両を停止させてから操作盤10の前へと移動する。その後、運転手によって操作盤10から出庫完了の操作が行われると、電動扉9が自動で閉状態にされる。
【0020】
上述した入出庫に関連して運転手が移動することになる入出庫口8に対応する床側近傍とトレー5C~5Eとの間には、駐車車両の出入り移動時に案内したり、上述した運転手が歩いて移動したりするための固定床11A,11Bが構成されている。ここでは、入出庫口8に対応する各トレー5C~5Eの長手方向の両側に、固定床11Aと固定床11Bが分散して構成されている。
【0021】
入出庫口8から進入した駐車車両4Aが上部層のトレー5D上に搭載された後、運転手が入出庫口8ではなく間違った方向に移動してしまう危険がある。
【0022】
そこで、固定床11Aおよび固定床11Bの両端部にはそれぞれ衝立12が設けられ、各衝立12によって層間渡し装置7A,7B側の間違った方向に運転手が移動できないように制限されている。また、入出庫口8に対応しているトレー5Dの図示の左側である反循環移動側にはトレー5Cが配置され、トレー5Dの図示の右側である循環方向にはトレー5Eが配置されているのを利用して、トレー5Cおよびトレー5Eの反対向側に、運転手が間違って移動して行くのを検出する人侵入検知装置13,14がそれぞれ構成されている。
【0023】
人侵入検知装置13は、各トレー5A~5Nの循環移動を妨げない位置に固定された一対の支持柱15A,15Bを有し、両支持柱15A,15Bの対向部間で送受光を行う光電管センサー16A,16Bがそれぞれ取り付けられて構成されている。人侵入検知装置14も同様であり、各トレー5A~5Nの循環移動を妨げない位置に固定された一対の支持柱17A,17Bを有し、両支持柱17A,17Bの対向部間で送受光を行う光電管センサー18A,18Bがそれぞれ取り付けられて構成されている。
【0024】
このため、運転手が衝立12以外の部分から層間渡し装置7A,7B側の間違った方向に進入しようとすると、光電管センサー16A,16B間または光電管センサー18A,18B間での送受光が遮られて人検出が行われる。
【0025】
さらに、通路11A側には、各トレー5A~5Nの循環移動および人の通路11A上の移動を妨げない位置で、かつ入出庫口8の近傍に注意案内装置19Aが設置されている。同様に、通路11B側には、各トレー5A~5Nの循環移動および人の通路11B上の移動を妨げない位置で、かつ入出庫口8に対応するトレー5Dを挟んだ奥側に注意案内装置19Aと対向した注意案内装置19Bが設置されている。これらの注意案内装置19A,19Bは、その詳細を後述するが、人侵入検知装置13,14のいずれか一方で人検出が行われたときに、先ず、注意案内装置19Bが作動し、注意案内装置19Bの解除操作が行われた後に注意案内装置19Aが作動するように構成されている。注意案内装置19A,19Bの近傍には、注意案内装置19A,19Bと連動する音声注意案内装置20が設置されている。
【0026】
図3は、図1に示した注意案内装置19Bを示す正面図である。
【0027】
注意案内装置19Bは、人侵入検知装置13,14のいずれか一方で人検知が行われたときに点灯する注意喚起ランプ21と、人侵入検知装置13,14のいずれか一方で人検知が行われた後に操作されると注意喚起ランプ21を消灯する確認ボタン部22を有して一体的に構成されている。この注意案内装置19Bは、縦置き型でも横置き型でも良く、人侵入検知装置13,14によって検知された人から見やすい位置や高さに設置されるのが望ましい。
【0028】
注意案内装置19Aも同様の構成であるが、注意案内装置19Bの確認ボタン部22が操作された後に、動作する。図面を兼用して動作順を説明すると、注意案内装置19Bの確認ボタン部22が操作されると、今度は注意案内装置19Aにおける注意喚起ランプ21が点灯し、その後、注意案内装置19Aにおける確認ボタン部22が操作されると、注意案内装置19Aにおける注意喚起ランプ21が消灯される。
【0029】
注意案内装置19A,19Bと連動する音声注意案内装置20は、注意喚起ランプ21の点灯時にブザー音を生じさせたり、作動した注意案内装置19A,19Bに対して侵入を検出された運転手がどのように対処したら良いのかを音声案内したりするものである。これら各部の連携した動作処理については、次に説明する。
【0030】
図4は、循環式駐車装置に追加された人侵入検知装置13,14と、注意案内装置19A,19Bと、音声注意案内装置20を制御している制御系の動作処理を示すフローチャートである。
【0031】
人の侵入の有無を監視している人侵入検知装置13,14のうちいずれか一方、例えば、人侵入検知装置14がステップS1で、光電管センサー18A,18B間での送受光が遮蔽されたことを検出したとする。このような状況は、図1において入出庫口8から入庫のために駐車車両4Aが進入されてトレー5D上で停止された後、運転手が駐車車両4Aから降りた後に、勘違いして層間渡し装置7B側に移動したときに発生する。
【0032】
すると、奥側の注意案内装置19BがステップS2で、注意喚起ランプ21を点灯させ、同時に音声注意案内装置20が音声による注意案内が開始される。例えば音声注意案内装置20の注意案内は、奥側への移動を中止すると共に、注意喚起ランプ21が点灯している付近の確認ボタン部22を操作するように促すものである。
【0033】
この注意案内によって気付いた運転手は、当たりを見渡して点灯している注意喚起ランプ21を見つけ、注意案内装置19Bに近づき、ステップS3で音声注意案内装置20の注意案内に従って注意案内装置19Bの確認ボタン部22を操作する。すると、ステップS4で確認ボタン部22が操作されたために注意案内装置19Bの注意喚起ランプ21が消灯される。
【0034】
次いで、入出庫口8側の注意案内装置19AがステップS5で、その注意喚起ランプ21を点灯させ、同時に音声注意案内装置20が音声によって今度は注意案内装置19A側に運転手の注意を向けるための注意案内が開始される。例えば音声注意案内装置20の注意案内は、入出庫口8の近傍に配置されている注意案内装置19Aの注意喚起ランプ21が点灯している付近の確認ボタン部22を操作するように促すものである。
【0035】
この注意案内に従って運転手は、当たりを見渡して点灯している別の注意案内装置19Aの注意喚起ランプ21を見つけ、注意案内装置19Aに近づき、ステップS6で音声注意案内装置20の注意案内に従って注意案内装置19Aの確認ボタン部22を操作する。すると、ステップS7で確認ボタン部22が操作されたために注意案内装置19Aの注意喚起ランプ21が消灯される。
【0036】
この一連の操作を行った運転手は、奥側の通路11Bからトレー5D上を通って入出庫口8側の通路11Aに移動しているので、現在、自分が入出庫口8のすぐ近傍にいることを知る。つまり、注意案内装置19Bの操作から注意案内装置19Aの操作に変わることによって、入出庫口8の近傍へと誘導されたことになる。その後、音声注意案内装置20はステップS8で音声による注意案内を終了する。
【0037】
この後、制御装置はステップS9で一定時間、人侵入検知装置13,14によって監視を継続し、所定時限を満了したり、図1に示した操作盤10が操作されて電動扉9の閉操作が行われたりしたとき、ステップS10で復旧完了と判定して、循環式駐車装置に追加された人侵入検知装置13,14と、注意案内装置19A,19Bと、音声注意案内装置20を制御している制御系による今回の動作処理を終了させる。
【0038】
一方、ステップS9の一定時限内に、人侵入検知装置13による光電管センサー16A,16B間での送受光が遮蔽されたことを検出したとする。このような状況は、ステップS6で注意案内装置19Aの確認ボタン部22を操作したものの、現在、自分が入出庫口8の近傍にいることに気付かないで通路11Aまたはトレー5C上を通って移動してしまい、人侵入検知装置13により検出された場合が考えられる。この場合は、ステップS2に戻って同じ処理を繰り返す。
【0039】
またステップS1の監視で、人侵入検知装置13,14の検知がなかった場合、ステップS11で操作盤10が操作されて電動扉9の閉操作が行われたことを検出したとする。このような状況は、入庫処理中の運転手が迷うことなく、駐車車両4Aから降りて入出庫口8の近傍に配置されている操作盤10を操作した場合であり、今回の入庫処理が正常に行われたことを意味している。このため、人侵入検知装置13,14と、注意案内装置19A,19Bと、音声注意案内装置20を制御している制御系による今回の動作処理が終了となる。
【0040】
このようにして、運転手が正常な処理を行って入出庫口8からでる場合には不必要な動作を行うことなく、一方で、駐車車両から降りた運転手が入出庫口8から見て奥側の間違った方向に移動してしまうのを確実に防止することができる。
【0041】
詳細な説明を省略するが、駐車車両を出庫させる場合も同様に処理される。
【0042】
上述したように本実施例では、入出庫口8に対応した位置のトレー5D上に入出庫口8から駐車車両4Aを乗り込ませるときの乗り込み方向で、かつ、トレー5Dよりも入出庫口8側に位置する建屋1の手前内面側と、同じ乗り込み方向で、かつ、トレー5Dよりも反入出庫口側に位置する建屋1の奥内面側にそれぞれ運転手が歩いて移動するための固定床11A,11Bを構成し、両固定床11A,11Bにおける各トレー5A~5Nの循環方向と平行な両端部にそれぞれ運転手の移動を制限する衝立12を設け、両固定床11A,11Bにおける両端部付近間の対向部に人侵入検知装置13,14をそれぞれ設け、固定床11Aおよび固定床11Bにそれぞれ注意案内装置19A,19Bを分散して配置し、人侵入検知装置13,14による検知があったときに奥内面側に配置した注意案内装置19Bを作動させて、その確認ボタン部22が操作されたときに注意喚起ランプ21による注意喚起を停止させると共に、入出庫口8側に配置された注意案内装置19Aを作動させ、その確認ボタン部22が操作されたときに注意案内装置19Aを停止させるように構成している。
【0043】
このような構成によれば、運転手が正常な処理を行って入出庫口8からでる場合には不必要な動作を行うことなく、一方で、駐車車両から降りた運転手が入出庫口8から見て奥側に移動してしまうのを確実に防止することができる。つまり、トレー5D上に駐車車両4Aを乗り込ませた運転手が入出庫口8とは異なる方向に移動した場合、人侵入検知装置13,14によって検知した後、注意案内装置19Bを作動させ、その後に注意案内装置19Aを作動させることになる。このため、望ましくない領域に侵入した運転手を意図的に固定床11Aおよび固定床11B側に導くことができる。しかも、最終的には固定床11A側に導くことができるので、端部が衝立12によって移動制限されている固定床11Aによって侵入した運転手を確実に出庫口8に誘導することができる。
【実施例2】
【0044】
図5および図6は、本発明の他の実施の形態による循環式駐車装置の概略構成を示す平面図および正面図である。
【0045】
先の実施例では、入出庫口8に対応させて図示の左から四台目のトレー5Dを配置した構成について説明したが、本実施例では入出庫口8に対応させて図示の左から二台目のトレー5Bを配置した構成としている。先の実施例との同等物には同一符号を付けて説明を省略し、特に相違部分についてのみ説明する。
【0046】
建屋1の上部層で、かつ図面の左側から二台目に位置したトレー5Bに対応する位置には、入出庫口8が形成されており、この入出庫口8を通して各トレー5A~5Nの循環移動方向に対してほぼ直交するように駐車車両4Aが乗り込む構成となっている。各トレー5A~5Nの循環方向は、図6における時計方向であり、通路11A,11Bが建屋1における図面の左側内面近くまで延ばされて形成されている。
【0047】
このため、現在のトレー5Aの位置が空状態となることはなく、また現在のトレー5Aの外周部に侵入して行くだけの空部がないので、入出庫口8に対応して配置されたトレー5Bよりも各トレー5A~5Nの循環方向にずれた位置に、人侵入検知装置14が配置されている。具体的には、図示の左から三台目のトレーCと四台目のトレー5Dの間にのみ人侵入検知装置14が配置されている。
【0048】
二台の注意案内装置19A,18Bは、先の実施例と同様であり、人侵入検知装置14が人侵入を検知したとき最初に作動するのは入出庫口8から見て奥側に配置された注意案内装置19Bである。この注意案内装置19Bの確認ボタン部22が操作されたときに注意案内装置19Bの注意喚起ランプ21による注意喚起が停止され、その後、入出庫口8側に配置された注意案内装置19Aが作動される。注意案内装置19Aにおいても、その確認ボタン部22が操作されたときに注意案内装置19Aの注意喚起ランプ21による注意喚起が停止される。
【0049】
先の実施例の場合と同様に、二台の注意案内装置19A,19Bにおける作動開始時点に時間差を付けることによって、誤って入出庫口8とは異なる方向に移動してしまった運転手は、入出庫口8から見て奥側に配置された注意案内装置19Bによって注意喚起され、その後、入出庫口8側に配置された注意案内装置19Aによって注意喚起されるので、容易に誘導されて入出庫口8に至る。
【0050】
このような構成の循環式駐車装置においても、先の実施例の場合とほぼ同様の効果を得ることができる。また、一台の人侵入検知装置14のみを使用しているので、先の実施例よりも構成を簡略化することができる。さらに、全体構成としても先の実施例に比べてより簡略化されているため、注意案内装置19Aも一台にすることも可能である。
【0051】
つまり、上述の各実施例において、二台の注意案内装置19A,19Bと、一台の音声注意案内装置20を使用しているが、これに限定するものではない。入出庫口8の電動扉9が開放されているとき、運転免許証を所持する資格を有した健全な運転手であれば、容易に入出庫口8を識別できることを考慮すると、注意案内装置は一台、望ましくは運転手の関心を入出庫口8に向けるために注意案内装置19Aのみを有する構成とすることもできる。また、音声注意案内装置20を注意案内装置19Aまたは注意案内装置19Bに組み込んで構成することもできる。また注意喚起ランプ21は、消灯状態から点灯状態に切り替えているが、点滅や回転灯としても良い。
【0052】
以上説明したように本発明は、電動扉9を有した入出庫口8が形成された建屋1内に、駐車車両を搭載可能な複数のトレー5A~5Nによって循環系を形成し、電動扉9を開状態にした後に、入出庫口8に対応した位置のトレー5Dまたは5B上に駐車車両4Aを乗り込ませて駐車する循環式駐車装置において、駐車車両4Aを搭載させたトレー5Dまたは5Bよりも各トレー5A~5Nの循環方向または反循環方向にずれた位置に、入出庫口8とは異なる方向に移動して行く人を検知する人侵入検知装置14を設け、この人侵入検知装置14による検知があったときに注意を喚起する注意喚起ランプ21と、侵入した人によって操作されたときに注意喚起ランプ21を消灯させる確認ボタン部22を備えた注意案内装置19Aを設けたことを特徴とする。
【0053】
このような構成によれば、運転手が正常な処理を行って入出庫口からでる場合には不必要な動作を行うことなく、一方で、駐車車両から降りた運転手が入出庫口から見て奥側の間違った方向に移動してしまうのを確実に防止することができる。つまり、トレー5Dまたは5B上に駐車車両4Aを乗り込ませた運転手が入出庫口8とは異なる方に侵入した場合、人侵入検知装置14によって検知された後、注意案内装置19Aが作動されて侵入者に対して出庫口8側に注意を換気させることができるので、間違った方向への移動を防いで、駐車車両から乗り降りすることになる運転手の安全性を一層向上させることができる。
【0054】
また本発明は、上述の構成に加えて、入出庫口8から見て駐車車両の乗り込み方向の奥側および手前側の入出庫口8側近傍にそれぞれ注意案内装置19A,19Bを分散して配置し、人侵入検知装置14による検知があったときに奥側に配置した注意案内装置19Bを作動させて、その確認ボタン部22が操作されたときに、注意喚起ランプ21による注意喚起を停止させると共に、手前側の入出庫口8側の近傍に配置された注意案内装置19Aを作動させ、その確認ボタン部22が操作されたときに注意案内装置19Aを停止させるように構成したことを特徴とする。
【0055】
このような構成によれば、トレー5D上に駐車車両4Aを乗り込ませた運転手が入出庫口8とは異なる方向に移動しようとした場合、人侵入検知装置14によって検知した後、注意案内装置19Bを作動させ、その後に注意案内装置19Aを作動させるので、意図的に侵入者を出庫口8側に誘導することができる。
【0056】
また本発明は、上述の構成に加えて、入出庫口8に対応した位置のトレー5D上に入出庫口8から駐車車両4Aを乗り込ませるときの乗り込み方向で、かつ、トレー5Dよりも入出庫口8側に位置する建屋1の手前内面側と、同じ乗り込み方向で、かつ、トレー5Dよりも反入出庫口側に位置する建屋1の奥内面側にそれぞれ運転手が歩いて移動するための固定床11A,11Bを構成し、両固定床11A,11Bにおける各トレー5A~5Nの循環方向と平行な両端部にそれぞれ運転手の移動を制限する衝立12を設け、両固定床11A,11Bにおける両端部付近間の対向部に人侵入検知装置13,14をそれぞれ設け、固定床11Aおよび固定床11Bにそれぞれ注意案内装置19A,19Bを分散して配置し、人侵入検知装置13,14による検知があったときに奥内面側に配置した注意案内装置19Bを作動させて、その確認ボタン部22が操作されたときに注意喚起ランプ21による注意喚起を停止させると共に、手前内面側に配置された注意案内装置19Aを作動させ、その確認ボタン部22が操作されたときに注意案内装置19Aを停止させるように構成したことを特徴とする。
【0057】
このような構成によれば、トレー5D上に駐車車両4Aを乗り込ませた運転手が入出庫口8とは異なる方向に移動しようとした場合、人侵入検知装置13,14によって検知した後、注意案内装置19Bを作動させ、その後に注意案内装置19Aを作動させることになるため、運転手を意図的に固定床11Aおよび固定床11Bに導くことができ、しかも、最終的には固定床11Aに導くことができるので、端部が衝立12によって移動制限されている固定床11Aによって確実に出庫口8に誘導することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 建屋
4A 駐車車両
5A~5N トレー
8 入出庫口
9 電動扉
11A,11B 固定床
12 衝立
13,14 人侵入検知装置
19A,19B 注意案内装置
21 注意喚起ランプ
22 確認ボタン部
図1
図2
図3
図4
図5
図6