(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】ヘッドマウント式表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20221108BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
(21)【出願番号】P 2019059604
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】201810571161.4
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】500093133
【氏名又は名称】中強光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】鄭 權得
(72)【発明者】
【氏名】施 智維
(72)【発明者】
【氏名】林 孟萱
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0120563(US,A1)
【文献】特開2016-033867(JP,A)
【文献】特開2018-040818(JP,A)
【文献】特表2018-502328(JP,A)
【文献】特開2004-029544(JP,A)
【文献】特開2016-180936(JP,A)
【文献】特開2016-085430(JP,A)
【文献】特開平04-159503(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104597602(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/00-30/60
G02F 1/13,1/137-1/141
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドマウント式表示装置であって、
映像光束を提供するための投影装置と、
光入口端および光出口端を有する少なくとも一つの導波路素子と、
前記投影装置と前記少なくとも一つの導波路素子の前記光入口端との間に配置された遮光素子とを含み、
前記光入口端が前記映像光束を受け、前記映像光束が前記少なくとも一つの導波路素子によって伝達されて前記光出口端から放出され、
前記映像光束
は光束が集束して最小断面積になる集束位置を有し、
前記
集束位置は前記投影装置の外部に位置し、かつ、
前記遮光素子と前記少なくとも一つの導波路素子の前記光入口端との間に位置することを特徴とする、ヘッドマウント式表示装置。
【請求項2】
前記ヘッドマウント式表示装置は光伝達装置をさらに含み、
前記光伝達装置が、前記映像光束の伝達経路上に配置され、かつ前記投影装置と前記少なくとも一つの導波路素子の前記光入口端との間に位置することを特徴とする、請求項1に記載のヘッドマウント式表示装置。
【請求項3】
前記遮光素子が前記光伝達装置と前記投影装置との間に位置することを特徴とする、請求項
2に記載のヘッドマウント式表示装置。
【請求項4】
前記遮光素子が前記光伝達装置と前記少なくとも一つの導波路素子との間に位置することを特徴とする、請求項
2に記載のヘッドマウント式表示装置。
【請求項5】
前記光伝達装置が反射素子であり、前記映像光束が前記反射素子によって反射されて、前記少なくとも一つの導波路素子まで伝達されることを特徴とする、請求項
2に記載のヘッドマウント式表示装置。
【請求項6】
前記光伝達装置がプリズムであり、かつ前記遮光素子が前記プリズムの反射面上に配置されることを特徴とする、請求項
2に記載のヘッドマウント式表示装置。
【請求項7】
前記光伝達装置が支持構造であり、前記遮光素子が前記支持構造中に配置され、かつ、前記支持構造が前記遮光素子を支持するとともに固定することを特徴とする、請求項
2に記載のヘッドマウント式表示装置。
【請求項8】
前記遮光素子が入光口を有し、かつ前記入光口のサイズが前記
集束位置のサイズより大きいかまたは等しいことを特徴とする、請求項1に記載のヘッドマウント式表示装置。
【請求項9】
前記光入口端のサイズが前記
集束位置のサイズより大きいかまたは等しいことを特徴とする、請求項1に記載のヘッドマウント式表示装置。
【請求項10】
前記少なくとも一つの導波路素子が第一回折構造および第二回折構造を含み、前記第一回折構造が前記光入口端に位置し、かつ前記第二回折構造が前記光出口端に位置することを特徴とする、請求項1に記載のヘッドマウント式表示装置。
【請求項11】
前記少なくとも一つの導波路素子が2つの導波路素子であり、第一導波路素子が第一回折構造を含み、第二導波路素子が第二回折構造を含み、前記第一回折構造が前記第一導波路素子の前記光入口端に位置し、かつ前記第二回折構造が前記第二導波路素子の前記光出口端に位置することを特徴とする、請求項1に記載のヘッドマウント式表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、特にヘッドマウント式表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ニアアイディスプレイ(Near Eye Display、NED)およびヘッドマウント式ディスプレイ(Head-mounted Display、HMD)は、今非常に発展潜在力のある次世帯キラー級製品である。ニアアイ表示技術に関する応用において、今は拡張現実(Augmented Reality、AR)技術および仮想現実(Virtual Reality、VR)技術に分けることができる。拡張現実技術について言うと、現在、開発者たちは如何にして軽量薄型を前提に、ベストな映像品質を提供できるかに尽力している。しかし、拡張現実の光学構造において、如何に限られた空間を利用して迷光またはゴーストを低減させ、ユーザにより良い視角品質を提供し、優れたユーザ体験を実現するかは現段階の重要課題の一つである。
【0003】
この「背景技術」部分は、本発明の内容に対する理解を促すためにあり、「背景技術」部分で開示された内容には、当業者が既知の従来技術を構成しないものも含まれている可能性がある。「背景技術」部分で開示された内容は、当該内容または本発明の一つ若しくは複数の実施例で解決しようとする課題を示すものではなく、また本発明が出願前に既に当業者に把握され、または認識されていたことを意味するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はヘッドマウント式表示装置を提供し、予測不能な光線または光点の発生を有効に低減させて、表示画面中にノイズまたはゴーストが表示されることを防止できる。
【0005】
本発明のその他の目的と利点について、本発明が開示する技術特徴からより一層理解を深めることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の一つ、一部またはすべての目的またはその他の目的を達成すべく、本発明の一実施例が提供するヘッドマウント式表示装置は、投影装置、少なくとも一つの導波路素子および遮光素子を含む。投影装置は映像光束を提供する。少なくとも一つの導波路素子は、光入口端および光出口端を有し、光入口端が映像光束を受けるために用いられ、かつ映像光束が少なくとも一つの導波路素子によって伝達されて光出口端から放出される。遮光素子は、投影装置と少なくとも一つの導波路素子の光入口端との間に配置され、映像光束が集束位置を有し、かつ集束位置が投影装置の外部に位置する。
【0007】
以上により、本発明の実施例は少なくとも以下の一つの利点または効果を有する。本発明の一実施例のヘッドマウント式表示装置において、遮光素子が投影装置と導波路素子の光入口端との間に配置されているため、投影装置が提供する映像光束が遮光素子を経由する時に、余分な、かつ発散した一部の映像光束が遮光素子に阻まれる。これによって、予測不能な光線または光点を有効に低減させ、仮想映像中にノイズまたはゴーストが表示されることを防止し、さらにヘッドマウント式表示装置の光学表示品質を向上させることができる。
【0008】
本発明の上記特徴と利点をより明確に、わかり易く示すために、以下は実施例を挙げて、さらに図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施例のヘッドマウント式表示装置の立体概略図である。
【
図2】
図1の導波路素子および遮光素子の概略図である。
【
図3】
図1のヘッドマウント式表示装置の別の視角からの概略図である。
【
図4】
図1のヘッドマウント式表示装置の光学特性グラフである。
【
図5】本発明の別の実施例のヘッドマウント式表示装置の概略図である。
【
図6】本発明の別の実施例のヘッドマウント式表示装置の概略図である。
【
図7】本発明の別の実施例のヘッドマウント式表示装置の概略図である。
【
図8B】
図7のA領域の異なる視角からの拡大側面図である。
【
図9】本発明の別の実施例のヘッドマウント式表示装置の概略図である。
【
図10】本発明の別の実施例のヘッドマウント式表示装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の前記およびその他の技術内容、特徴および効果は、以下の図面を参照しながら行う好ましい実施例の詳細な説明において明確に示されている。以下の実施例において言及される方向用語、例えば、上、下、左、右、前または後などは図面を参照する方向のみである。従って、これらの方向用語は説明を目的とするものであり、本発明を制限するものではない。
【0011】
図1は本発明の一実施例のヘッドマウント式表示装置の立体概略図である。
図2は
図1の導波路素子および遮光素子の概略図である。
図3は
図1のヘッドマウント式表示装置の別の視角からの概略図である。
図1から
図3を参照すると、本実施例において、ヘッドマウント式表示装置100は投影装置110、少なくとも一つの導波路素子120および遮光素子130を含む。ヘッドマウント式表示装置100は、例えば、ニアアイディスプレイ(Near Eye Display、NED)またはヘッドマウント式ディスプレイ(Head-mounted Display、HMD)であり、表示技術として拡張現実(Augmented Reality、AR)技術または仮想現実(Virtual Reality、VR)技術を用いることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0012】
本実施例において、投影装置110は映像光束Lを提供するものであり、かつ映像光束Lが集束位置STを有する。具体的に言うと、投影装置110は、例えば、照明光束を提供する照明システム、照明光束を映像光束Lに変換する映像装置、および映像光束Lを導波路素子120まで伝達するレンズモジュール(図示せず)を含む。本実施例において、投影装置110は各種のヘッドマウント式ディスプレイに応用することができる。なお、映像装置は例えばデジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device、DMD)、反射型液晶シリコン(Liquid Crystal on Silicon、LCOS)または、透過型の空間光変調器、例えば、透光液晶パネル(Transparent Liquid Crystal Panel)などであり、照明システムから提供された照明光束を映像光束Lに変換するために用いられる。その他、別の実施例において、投影装置110は例えばマイクロ発光ダイオード(Micro Light Emitting Didoes)を含み、マイクロ発光ダイオード(Micro Light Emitting Didoes)は映像装置として、映像光束Lを生成するために用いられる。
【0013】
本実施例において、映像光束Lはレンズモジュールおよび導波路素子120を経由して投射目標P、例えば人の目まで伝達される。
図1および
図2が示す投影装置110および導波路素子120は、例示説明のみに用いられ、本発明はこれに限定されない。詳しく言うと、本実施例において、映像光束Lが投影装置110を離れて、かつ
集束位置STで集約される。
集束位置STは映像光束Lの光束収縮の最小面積を有する。言い換えれば、映像光束Lは投影装置110に投射された後、
集束位置STに集まり、かつ
集束位置STを通過した後に分散(発散)する。本実施例において、
集束位置STは投影装置110の外部に位置し、例えば、遮光素子130と導波路素子120との間に位置する。詳しく言うと、
集束位置STは光入口端122に位置し、ヘッドマウント式表示装置100により優れた光学表示品質をもたらすことができる。別の実施例において、
集束位置STは導波路素子120の内部に位置し、光入口端122が投影装置110と
集束位置STとの間に位置するようにしてもよいが、これに限定されない。
【0014】
本実施例において、導波路素子120は光入口端122および光出口端124を有する。具体的に言うと、光入口端122は映像光束Lを受けるためのものであり、映像光束Lが導波路素子120内部での光学伝達によって光出口端124から放出されて、投射目標P(本実施例では人の目である)まで伝達され、これで人の目に仮想映像IMが届けられる。本実施例において、導波路素子120の光入口端122および光出口端124がそれぞれ回折構造(Grating/Diffraction structure)を有する。例を挙げると、回折構造を粘着方式で導波路素子120の光入口端122および光出口端124に貼り付け、または、一体成型の方式(例えば、エッチング方式)で導波路素子120の光入口端122および光出口端124に回折構造を形成してもよいが、本発明はこれに限定されない。例を挙げると、導波路素子120は第一回折構造および第二回折構造を含み、なお、第一回折構造が光入口端122に位置し、かつ第二回折構造が光出口端124に位置する。別の実施例において、導波路素子120はさらに複数の回折構造を含んでもよいが、本発明はこれに限定されない。また、本発明では導波路素子120の形態、数量およびその種類について制限せず、別の実施例において、ヘッドマウント式表示装置100が複数の導波路素子120を含み、デザインに合わせて設置することも可能である。例を挙げると、ヘッドマウント式表示装置100は、第一導波路素子と第二導波路素子の2つの導波路素子120を含み、第一導波路素子が光入口端を有し、光入口端が第一回折構造を含み、第二導波路素子が光出口端を有し、光出口端が第二回折構造を含む。
【0015】
本実施例において、遮光素子130は投影装置110と導波路素子120の光入口端122との間に配置され、かつ、映像光束Lの集束位置STが遮光素子130と導波路素子120との間に位置する。具体的に言うと、遮光素子130は例えば実体的な遮光物体、例えば遮光シートであり、入光口132を有し、入光口132のサイズ(断面積)に適合した映像光束Lを通過させ、さらに映像光束Lが投影装置110から導波路素子120まで伝達される光束密度を制限し、余分なかつ発散した一部映像光束Lが遮光素子130によって遮られる。これによって、予測不能な光線または光点を有効に低減させ、仮想映像IM(表示画面)中にノイズまたはゴーストが表示されることを防ぎ、さらにヘッドマウント式表示装置100の光学表示品質を高めることができる。
【0016】
詳しく言うと、本実施例において、遮光素子130は別個の実体素子であって、コーティングまたは粘着方式で導波路素子120、または導波路素子120と投影装置110との間の部材上に貼り付けてもよいが、本発明はこれに限定されない。本実施例において、遮光素子130は導波路素子120の光入口端122上に直接配置されている。しかし、別の実施例において、遮光素子130を投影装置110の出光面上に配置することも可能であり、本発明はこれに限定されない。本実施例において、遮光素子130の入光口132の形状が例えば光入口端122の形状に合わせたものであるが、これに限定されず、例を挙げると、遮光素子130の入光口132の形状が円形であるに対し、光入口端122の形状が矩形であってもよい。その他に、遮光素子130は投影装置110と導波路素子120との間に位置する。入光口132のサイズが集束位置STのサイズより大きいかまたは等しい。光入口端122のサイズが集束位置STのサイズより大きいかまたは等しい。さらに、本実施例において、遮光素子130の入光口132のサイズが光入口端122のサイズより大きい、つまり、遮光素子130の入光口132のサイズが光入口端122の第一回折構造のサイズより大きくなっているが、これに限定されず、言い換えれば、遮光素子130の入光口132のサイズが光入口端122の第一回折構造のサイズと同じであってもよく、別の実施例において、例えば遮光素子130の入光口132のサイズが光入口端122のサイズより小さくもよく、本発明では制限しない。これにより、予測不能な光線または光点を低減させて、仮想映像中にノイズまたはゴーストが表示されることを防止する効果を強化できる。所謂サイズとは素子の断面の面積を意味する。
【0017】
図4は
図1のヘッドマウント式表示装置の光学特性グラフである。
図2および
図4を参照すると、
図4の曲線200は、異なる遮光素子130の入光口132のサイズにおいて、投影目標Pで見える仮想映像IMのコントラストを示すことができる。例を挙げると、本実施例において、光入口端122が7×6平方ミリメートル(mm
2)、遮光素子130の入光口132が半径方向距離7ミリメートル(mm)、映像光束Lの
集束位置STが半径方向距離3.84ミリメートル(mm)であるため、ヘッドマウント式表示装置で得られるコントラストが100%であり、入光口132のサイズが半径方向距離6ミリメートル(mm)の場合、ヘッドマウント式表示装置で得られるコントラストが132%となり、さらに、入光口132のサイズが半径方向距離3.84ミリメートル(mm)の場合、ヘッドマウント式表示装置で得られるコントラストが261%となる。
図4の曲線200からわかるように、遮光素子130の入光口132のサイズが次第に光入口端122のサイズより小さくなっていくと、ヘッドマウント式表示装置で得られるコントラストが次第に増える。従って、遮光素子130を配置することで、ヘッドマウント式表示装置のコントラストを高め、さらに光学解析度を高めることができる。
【0018】
図5は本発明の別の実施例のヘッドマウント式表示装置の概略図である。
図5を参照すると、本実施例のヘッドマウント式表示装置100Aは
図3のヘッドマウント式表示装置100に類似するが、両者の異なる点は、本実施例におけるヘッドマウント式表示装置100Aがさらに光伝達装置140を含み、それが映像光束Lの伝達経路上に配置され、かつ投影装置110と導波路素子120の光入口端122との間に位置する。遮光素子130は導波路素子120の光入口端122上に配置されている。光伝達装置140は投影装置110と導波路素子120との間に位置する任意の光学素子または非光学素子であって、映像光束Lを光入口端122まで伝達するものである。本実施例において、光伝達装置140は光学素子であり、かつ映像光束Lが光学素子に反射されて導波路素子120まで伝達される。例を挙げると、光伝達装置140は例えば反射ミラーである。また、遮光素子130は光伝達装置140と光入口端122との間に位置する。従って、投影装置110を導波路素子120と平行に配置してもよい。
【0019】
図6は本発明の別の実施例のヘッドマウント式表示装置の概略図である。
図6を参照すると、本実施例のヘッドマウント式表示装置100Bは
図5のヘッドマウント式表示装置100Aに類似するが、両者の異なる点は、本実施例における投影装置110Bが導波路素子120に対し傾斜して配置され、また、遮光素子130が光伝達装置140と投影装置110との間に位置し、かつ、遮光素子130が投影装置110の出光面に設置されている。
【0020】
図7は本発明の別の実施例のヘッドマウント式表示装置の概略図である。
図8Aおよび
図8Bはそれぞれ
図7のA領域の異なる2つの視角からの拡大側面図である。
図7から
図8Bを参照すると、本実施例のヘッドマウント式表示装置100Cは
図5のヘッドマウント式表示装置100Aに類似するが、両者の異なる点は、本実施例における光伝達装置140Aがプリズム(Prism)であり、かつ遮光素子130Aがプリズムの反射面S上に配置され、この反射面Sがコーティング方式を利用して形成され、またはプリズムの全反射面であり、さらに、プリズムの反射面Sがさらに反射防止層(Anti-Reflecting Layer)を含んでもよい。具体的に言うと、遮光素子130Aはコーティングまたは粘着方式によってプリズムの反射面S上に形成され、映像光束Lがプリズム140Aに入った後、映像光束Lが反射面S上において、一部の映像光束Lが遮光素子130Aの入光口132によって反射され、かつ別の一部映像光束Lが遮光素子130Aに吸収されることで、余分なかつ発散した一部の映像光束Lが導波路素子120に進入することを防ぐ効果が得られる。
【0021】
別の実施例において、光伝達装置がさらに光学粘着剤(Optically Clear Adhesive)であり、かつ投影装置が光学粘着剤によって導波路素子に固定されてもよい。また、光伝達装置は例えばプリズムであるとともに光学粘着剤を含み、光伝達装置が光学粘着剤によって投影装置と導波路素子との間に固定されてもよい。別の実施例において、光伝達装置が例えば透光性の材質であり、かつ折射率が1ではなく、映像光束Lを導波路素子120まで伝達する。しかし、本発明はこれに限定されない。
【0022】
図9は本発明の別の実施例のヘッドマウント式表示装置の概略図である。
図9を参照すると、本実施例のヘッドマウント式表示装置100Dは
図3のヘッドマウント式表示装置100に類似するが、両者の異なる点は、本実施例におけるヘッドマウント式表示装置100Dはさらに光伝達装置140Bを含み、かつ光伝達装置140Bが支持構造である。遮光素子130が支持構造中に配置され、かつ光伝達装置140Bが遮光素子130を支持して固定する。言い換えれば、光伝達装置140Bが非光学素子の支持構造であってもよく、遮光素子130が支持構造中に位置調整することができるようになり、さらに遮光素子130がより良い遮光効果を提供できる。
【0023】
図10は本発明の別の実施例のヘッドマウント式表示装置の概略図である。
図10を参照すると、本実施例のヘッドマウント式表示装置は
図3のヘッドマウント式表示装置100に類似するが、両者の異なる点は、本実施例における
集束位置STが投影装置110の外に位置し、例えば、導波路素子120の内部に位置し、さらに説明すると、光入口端122が遮光素子130と
集束位置STとの間に位置する。光入口端122が映像光束Lを受けて、映像光束Lが導波路素子120内部での光学伝達によって光出口端124から射出され、投射目標Pまで伝達されると、投射目標Pが仮想映像IMを受けることができる。また、本実施例において、導波路素子120の光入口端122が遮光素子130と
集束位置STとの間に位置する。遮光素子130の入光口132のサイズが
集束位置STのサイズより大きい。導波路素子120の光入口端122のサイズが
集束位置STのサイズより大きい。これにより、予測不能な光線または光点を低減させる効果を強化できる。
【0024】
以上をまとめると、本発明の実施例は少なくとも以下の一つの利点または効果を有する。本発明の一実施例のヘッドマウント式表示装置において、遮光素子が投影装置と導波路素子の光入口端との間に配置されているため、投影装置により提供された映像光束が遮光素子を経由する時に、余分な、かつ発散した一部映像光束が遮光素子によって遮られる。これによって、予測不能な光線または光点を有効に低減させ、仮想映像中にノイズまたはゴーストが表示されることを防ぎ、ヘッドマウント式表示装置の光学表示品質をさらに高めることができる。
【0025】
以上に記載したのは本発明の好ましい実施例であり、本発明の実施範囲がこれに限定されるべきではない。即ち、本発明の請求の範囲および発明の詳細な説明を基に行った簡単で等価な変更および修正も本発明の請求範囲内に属する。また、本発明の実施例または請求項のいずれかが必ずしも本発明の開示した目的または利点または特徴を全て満たすとは限らない。その他、要約書と発明の名称は特許文献の検索のために用いられるものであり、本発明の権利範囲を制限するものではない。また、明細書または請求の範囲に言及された「第一」、「第二」などの用語は、素子(element)を命名するめの名称または異なる実施例若しくは範囲を区別するめのものであり、素子の数量の上限または下限を制限するものではない。
【符号の説明】
【0026】
100、100A、100B、100C、100d ヘッドマウント式表示装置
110 投影装置
120 導波路素子
122 光入口端
124 光出口端
130、130A 遮光素子
132 入光口
140、140A、140B 光伝達装置
200 曲線
IM 仮想映像
L 映像光束
P 投影目標
S 反射面
ST 集束位置