IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立オートモティブシステムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-緩衝器 図1
  • 特許-緩衝器 図2
  • 特許-緩衝器 図3
  • 特許-緩衝器 図4
  • 特許-緩衝器 図5
  • 特許-緩衝器 図6
  • 特許-緩衝器 図7
  • 特許-緩衝器 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】緩衝器
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/348 20060101AFI20221108BHJP
   F16F 9/46 20060101ALI20221108BHJP
   F16F 9/32 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
F16F9/348
F16F9/46
F16F9/32 N
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019071857
(22)【出願日】2019-04-04
(65)【公開番号】P2020169700
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 信治
(72)【発明者】
【氏名】中里 典生
(72)【発明者】
【氏名】山中 照章
(72)【発明者】
【氏名】片山 洋平
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/022075(WO,A1)
【文献】特開2001-241484(JP,A)
【文献】特開2007-321864(JP,A)
【文献】特開2009-262203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/00- 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体が封入されるシリンダと、
前記シリンダ内に挿入されて前記シリンダ内をシリンダ上室とシリンダ下室とに区画するピストンと、
前記ピストンを備えるピストンボルトと、
前記ピストンボルトに連結されて前記シリンダの外部へ延びるピストンロッドと、
前記ピストンロッドの移動によって前記作動流体の流れが生じる流路と、前記流路を開閉するバルブと、を有するバルブ機構とを備え、
前記バルブ機構は、
前記ピストンボルトに備えられ、径方向外側に延びた環状基部と、
前記ピストンボルトに備えられ、前記環状基部の開口を閉じ、前記環状基部内に環状空間を形成する環状のプレート部材と、を有し、
前記プレート部材はその内周側が軸方向の力を受けて前記ピストンボルトに固定され、
前記環状基部と前記プレート部材の軸方向間に挟持され、前記環状基部と前記プレート部材を密封して前記環状空間の外周側を閉塞するシール部材と、
が設けられ
前記環状基部には軸方向に凹んだ円周溝が形成され、
前記プレート部材には前記円周溝に挿入される円周凸部が設けられ、
前記シール部材は前記円周凸部と前記円周溝との間で挟持されることを特徴とする緩衝器。
【請求項2】
請求項において、
前記シール部材は前記円周溝に配置されたことを特徴とする緩衝器。
【請求項3】
請求項において、
前記シール部材は前記円周凸部に配置されたことを特徴とする緩衝器。
【請求項4】
作動流体が封入されるシリンダと、
前記シリンダ内に挿入されて前記シリンダ内をシリンダ上室とシリンダ下室とに区画するピストンと、
前記ピストンを備えるピストンボルトと、
前記ピストンボルトに連結されて前記シリンダの外部へ延びるピストンロッドと、
前記ピストンロッドの移動によって前記作動流体の流れが生じる流路と、前記流路を開閉するバルブと、を有するバルブ機構とを備え、
前記バルブ機構は、
前記ピストンボルトに備えられ、径方向外側に延びた環状基部と、
前記ピストンボルトに備えられ、前記環状基部の開口を閉じ、前記環状基部内に環状空間を形成する環状のプレート部材と、を有し、
前記プレート部材はその内周側が軸方向の力を受けて前記ピストンボルトに固定され、
前記環状基部と前記プレート部材の軸方向間に挟持され、前記環状基部と前記プレート部材を密封して前記環状空間の外周側を閉塞するシール部材と、
が設けられ、
前記環状基部の外周部には前記環状基部の外周部から径方向内側に向かって凹ませた段部が形成され、
前記プレート部材の外周側端部には、前記段部に向かって突出した円環部が形成され、
前記段部と前記円環部の内側に形成される空間に前記シール部材を配置したことを特徴とする緩衝器。
【請求項5】
作動流体が封入されるシリンダと、
前記シリンダ内に挿入されて前記シリンダ内をシリンダ上室とシリンダ下室とに区画するピストンと、
前記ピストンを備えるピストンボルトと、
前記ピストンボルトに連結されて前記シリンダの外部へ延びるピストンロッドと、
前記ピストンロッドの移動によって前記作動流体の流れが生じる流路と、前記流路を開閉するバルブと、を有するバルブ機構とを備え、
前記バルブ機構は、
前記ピストンボルトに備えられ、径方向外側に延びた環状基部と、
前記ピストンボルトに備えられ、前記環状基部の開口を閉じ、前記環状基部内に環状空間を形成する環状のプレート部材と、を有し、
前記プレート部材はその内周側が軸方向の力を受けて前記ピストンボルトに固定され、
前記環状基部と前記プレート部材の軸方向間に挟持され、前記環状基部と前記プレート部材を密封して前記環状空間の外周側を閉塞するシール部材と、
が設けられ、
前記環状基部の外周部には、前記プレート部材に向かって延び、前記プレート部材のうち前記シール部材を挟持する側の面と反対側の面に係合する係合部を備えたことを特徴とする緩衝器。
【請求項6】
作動流体が封入されるシリンダと、
前記シリンダ内に挿入されて前記シリンダ内をシリンダ上室とシリンダ下室とに区画するピストンと、
前記ピストンを備えるピストンボルトと、
前記ピストンボルトに連結されて前記シリンダの外部へ延びるピストンロッドと、
前記ピストンロッドの移動によって前記作動流体の流れが生じる流路と、前記流路を開閉するバルブと、を有するバルブ機構とを備え、
前記バルブ機構は、
前記ピストンボルトに備えられ、径方向外側に延びた環状基部と、
前記ピストンボルトに備えられ、前記環状基部の開口を閉じ、前記環状基部内に環状空間を形成する環状のプレート部材と、を有し、
前記プレート部材はその内周側が軸方向の力を受けて前記ピストンボルトに固定され、
前記環状基部と前記プレート部材の軸方向間に挟持され、前記環状基部と前記プレート部材を密封して前記環状空間の外周側を閉塞するシール部材と、
が設けられ、
前記プレート部材に貫通穴を設け、
前記環状基部には、前記プレート部材に向かって延びて前記貫通穴を貫通し、前記プレート部材のうち前記シール部材を挟持する側の面と反対側の面に係合する係合部を備えたことを特徴とする緩衝器。
【請求項7】
作動流体が封入されるシリンダと、
前記シリンダ内に挿入されて前記シリンダ内をシリンダ上室とシリンダ下室とに区画するピストンと、
前記ピストンを備えるピストンボルトと、
前記ピストンボルトに連結されて前記シリンダの外部へ延びるピストンロッドと、
前記ピストンロッドの移動によって前記作動流体の流れが生じる流路と、前記流路を開閉するバルブと、を有するバルブ機構とを備え、
前記バルブ機構は、
前記ピストンボルトに備えられ、径方向外側に延びた環状基部と、
前記ピストンボルトに備えられ、前記環状基部の開口を閉じ、前記環状基部内に環状空間を形成する環状のプレート部材と、を有し、
前記プレート部材はその内周側が軸方向の力を受けて前記ピストンボルトに固定され、
前記環状基部と前記プレート部材の軸方向間に挟持され、前記環状基部と前記プレート部材を密封して前記環状空間の外周側を閉塞するシール部材と、
が設けられ、
前記環状基部の外周部には径方向内側に向かって凹んだ溝部が形成され、
前記プレート部材の外周部には前記環状基部に向かって延び、前記溝部と係合する係合部を備えたことを特徴とする緩衝器。
【請求項8】
請求項1において、
前記バルブはソレノイドによって開閉動作が調整される減衰力調整バルブであることを特徴とする緩衝器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストンロッドのストロークに対する作動流体の流れを制御して減衰力を発生する緩衝器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の緩衝器は、ピストンによりシリンダ内に画成される2つの油室を連通する油路を設け、この油路の開度を調節するためのポペットバルブを設けている。ポペットバルブはソレノイドによって作動する。ポペットバルブとソレノイドとの間には小油室が形成され、小油室にはチェックバルブが設けられている。
チェックバルブはシリンダ内に形成された2つの油室のそれぞれに対して、常に高圧側の油室と遮断され、低圧側の油室と連通されるように動作している。このような技術として、例えば特許文献1が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-177862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の緩衝器において、前述のチェックバルブの構成が一般的なボール弁とばねを用いた場合には、ポペットバルブ動作に伴う流体の排出をチェックバルブを介して行われることで応答性を向上できるが、ボール弁のばねを動作させるためのストロークを確保する必要がある。このため、緩衝器の軸方向長さが長くなる可能性がある。また、高圧側と小油室間においては、シール性を確保する必要がある。
【0005】
本発明の目的は、上記課題を解決し、軸長の拡大を抑制しシール性を確保することができる緩衝器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、作動流体が封入されるシリンダと、前記シリンダ内に挿入されて前記シリンダ内をシリンダ上室とシリンダ下室とに区画するピストンと、前記ピストンを備えるピストンボルトと、前記ピストンボルトに連結されて前記シリンダの外部へ延びるピストンロッドと、前記ピストンロッドの移動によって前記作動流体の流れが生じる流路と、前記流路を開閉するバルブと、を有するバルブ機構とを備え、前記バルブ機構は、前記ピストンボルトに備えられ、径方向外側に延びた環状基部と、前記ピストンボルトに備えられ、前記環状基部の開口を閉じ、前記環状基部内に環状空間を形成する環状のプレート部材と、を有し、前記プレート部材はその内周側が軸方向の力を受けて前記ピストンボルトに固定され、前記環状基部と前記プレート部材の軸方向間に挟持され、前記環状基部と前記プレート部材を密封して前記環状空間の外周側を閉塞するシール部材と、が設けられ、前記環状基部には軸方向に凹んだ円周溝が形成され、前記プレート部材には前記円周溝に挿入される円周凸部が設けられ、前記シール部材は前記円周凸部と前記円周溝との間で挟持されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、軸長の拡大を抑制しシール性を確保することができる緩衝器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施例に係る緩衝器の主要部の断面図である。
図2図1の一部拡大図である。
図3図2の一部拡大図である。
図4図3の変形例を示す図である。
図5】本発明の第2実施例に係る緩衝器の一部拡大図である。
図6】本発明の第3実施例に係る緩衝器の一部拡大して示す図である。
図7図6の変形例を示す図である。
図8図6の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る緩衝器の実施例を図面に基づいて説明する。本発明は以下の実施例に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例もその範囲に含むものである。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の第1実施例に係る緩衝器1の主要部の断面図である。以下の説明において、図1における上方向(上側)および下方向(下側)を、緩衝器1における上方向(上側)および下方向(下側)とする。なお、第1実施例は、単筒型の減衰力調整式油圧緩衝器であるが、リザーバを備える複筒型の減衰力調整式油圧緩衝器にも適用できる。また、図1ではシリンダ内にソレノイドを配置した内蔵型を示しているが、ソレノイドをシリンダの外に配置した横付け型にも適用できる。
【0011】
図1に示されるように、シリンダ2内には、ピストン3が摺動可能に挿入される。ピストン3は、シリンダ2内をシリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bとの2室に区画する。シリンダ2内には作動流体が封入されている。ピストン3の軸孔4には、ピストンボルト5の軸部6が挿通され、ピストンボルト5にピストン3が備えられる。ピストンボルト5には径方向外側に延びた略円筒形の環状基部7が備えられ、この環状基部7の上側部分に位置する環状壁部7Aには、略円筒形のケース部材8の下端部がねじ結合部10で接続される。ピストン3を備えるピストンボルト5は、ケース部材8を介してピストンロッド9と連結されている。ピストンボルト5には、軸方向(上下方向)に沿って先端側(下側)へ延びて上端が環状基部7の底面中央に開口する軸孔50(共通通路)が形成される。図2に示されるように、軸孔50は、軸孔50の上部に形成されて上端が開口する軸方向通路48と、軸孔50の下部に形成される軸方向通路30と、軸方向通路30、48間を連通させる軸方向通路49とにより構成される。軸孔50の径(内径)は、軸方向通路30の径が最も大きく、軸方向通路48、軸方向通路49の順に小さくなる。
【0012】
図1に示されるように、ケース部材8の上端部には、ピストンロッド9の下端部がねじ結合部11で接続される。ピストンロッド9の下端部には、ナット12が螺合され、ナット12をケース部材8の上端に当接させて締め付けることにより、ねじ結合部11の緩みが抑止される。ピストンロッド9の下端には、小径部13が形成される。小径部13の外周面に形成された環状溝には、ケース部材8とピストンロッド9との間をシールするOリング14が装着される。ピストンロッド9の上部はシリンダ2の外部へ延びている。ピストン3には、一端(上端)がシリンダ上室2A側に開口する伸び側通路15と、一端(下端)がシリンダ下室2B側に開口する縮み側通路16とが設けられる。ピストン3の下端には、伸び側通路15の作動流体の流れを制御する伸び側減衰弁17が設けられる。ピストン3の上端には、縮み側通路16の作動流体の流れを制御する縮み側減衰弁18が設けられる。
【0013】
図2図1の一部拡大図である。図2に示されるように、伸び側減衰弁17は、ピストン3の下端面の外周側に形成された環状のシート部19に着座する伸び側メインバルブ20と、ナット21によってピストンボルト5に固定されるパイロットケース22と、伸び側メインバルブ20の背面とパイロットケース22との間に形成される伸び側背圧室23とを備える。伸び側背圧室23内の圧力は、伸び側メインバルブ20に対して閉弁方向へ作用する。ナット21とパイロットケース22との間には、下側から順に、ワッシャ24、リテーナ25、およびディスクバルブ26が設けられる。ディスクバルブ26の内周縁部は、パイロットケース22の内周縁部とリテーナ25との間で挟持される。なお、伸び側メインバルブ20は、弾性体からなる環状のシール部20Aがパイロットケース22の内周面に全周にわたって接触するパッキンバルブである。
【0014】
伸び側背圧室23は、パイロットケース22に形成された通路27およびディスクバルブ26を介してシリンダ下室2Bに連通される。伸び側背圧室23は、ディスクバルブ26に形成されたオリフィス26Aを介してシリンダ下室2Bに常時連通される。ディスクバルブ26は、伸び側背圧室23の圧力が所定圧力に達したときに開弁して伸び側背圧室23内の圧力をシリンダ下室2Bへリリーフする。また、伸び側背圧室23は、ディスク型の伸び側背圧導入弁28を介して、ピストンボルト5に形成された径方向通路29に連通される。径方向通路29は、ピストンボルト5に形成された軸方向通路30(共通通路)に連通される。
【0015】
伸び側背圧導入弁28は、径方向通路29から伸び側背圧室23への作動流体の流れのみを許容する逆止弁である。伸び側背圧導入弁28は、パイロットケース22の上面の、通路27の内周側に形成された環状のシート部31に着座される。伸び側背圧導入弁28は、内周縁部がパイロットケース22の内周縁部とスペーサ32との間で挟持される。伸び側背圧室23は、伸び側背圧導入弁28が開弁することで、伸び側背圧導入弁28に形成されたオリフィス28Aを介して径方向通路29に連通される。
【0016】
軸方向通路30は、ピストンボルト5に形成された径方向通路33(縮み側排出通路)に連通される。径方向通路33は、ピストン3に設けられた縮み側逆止弁34を介して伸び側通路15に連通される。径方向通路33は、縮み側逆止弁34に形成されたオリフィス34Aを介して伸び側通路15に常時連通される。縮み側逆止弁34は、径方向通路33から伸び側通路15への作動流体の流れのみを許容する。
【0017】
縮み側減衰弁18は、ピストン3の上端面の外周側に形成された環状のシート部35に着座する縮み側メインバルブ36と、ピストンボルト5の環状基部7とピストン3との間で固定されるパイロットケース37と、縮み側メインバルブ36の背面とパイロットケース37との間に形成される縮み側背圧室38とを備える。縮み側背圧室38内の圧力は、縮み側メインバルブ36に対して閉弁方向へ作用する。なお、縮み側メインバルブ36は、弾性体からなる環状のシール部36Aがパイロットケース37の内周面に全周にわたって接触するパッキンバルブである。
【0018】
縮み側背圧室38は、パイロットケース37に形成された通路42およびディスクバルブ41を介してシリンダ上室2Aに連通される。縮み側背圧室38は、ディスクバルブ41に形成されたオリフィス41Aを介してシリンダ上室2Aに常時連通される。ディスクバルブ41は、縮み側背圧室38の圧力が所定圧力に達したときに開弁し、縮み側背圧室38内の圧力をシリンダ上室2Aへリリーフする。また、縮み側背圧室38は、ディスク型の縮み側背圧導入弁43およびパイロットケース37の内周面に形成された円周溝39を介してピストンボルト5に形成された径方向通路44に連通される。径方向通路44は、ピストンボルト5の軸方向通路48(共通通路)に連通される。
【0019】
縮み側背圧導入弁43は、径方向通路44から縮み側背圧室38への作動流体の流れのみを許容する逆止弁である。縮み側背圧導入弁43は、パイロットケース37の下面の、通路42の内周側に形成された環状のシート部45に着座される。縮み側背圧導入弁43の内周縁部は、パイロットケース37の内周縁部とスペーサ40との間で挟持される。縮み側背圧室38は、縮み側背圧導入弁43が開弁することで、縮み側背圧導入弁43に形成されたオリフィス43Aを介して径方向通路44に連通される。
【0020】
軸方向通路48は、ピストンボルト5に形成された径方向通路46(伸び側排出通路)に連通される。径方向通路46は、ピストン3に設けられた伸び側逆止弁47を介して縮み側通路16に連通される。径方向通路46は、伸び側逆止弁47に形成されたオリフィス47Aを介して縮み側通路16に常時連通される。伸び側逆止弁47は、径方向通路46から縮み側通路16への作動流体の流れのみを許容する。
【0021】
ピストンボルト5の軸孔50(共通通路)内の作動流体の流れは、パイロット弁によって制御される。パイロット弁は、軸孔50に摺動可能に嵌装されたバルブスプール51(弁体)を有する。バルブスプール51は、中実軸からなり、ピストンボルト5とともにパイロット弁を構成する。バルブスプール51は、軸方向通路48の上部、換言すると、径方向通路44よりも上側部分に摺動可能に嵌合される基部52と、軸方向通路48内に位置してテーパ部53を介して基部52に連続する弁部54と、パイロット弁の閉弁状態(図2参照)で軸方向通路30内に位置する先端部55(嵌合部)と、先端部55と弁部54とを接続する接続部56とを有する。なお、バルブスプール51の径(外径)は、基部52が最も大きく、弁部54、先端部55、接続部56の順に小さくなる。また、弁部54の外径は、軸方向通路49の内径よりも大きい。
【0022】
バルブスプール51は、先端部55のばね受部57とピストンボルト5のばね受部58との間に介装された弁ばね59によってピストンボルト5に対して上方向へ付勢されることにより、基部52の端面が、後述するソレノイド71のロッド72に当接される(押し付けられる)。先端部55は、バルブスプール51の移動を制御するアクチュエータとして用いられるソレノイド71への制御電流が0Aのとき(フェイル時)、バルブスプール51が開弁方向(図3における上方向)へストロークされて軸方向通路49に嵌合される。これにより、先端部55と軸方向通路49との間には、軸方向通路30、48間を連通する一対のオリフィスが形成される。
【0023】
軸方向通路49の上端(軸方向通路48側)の開口周縁部には、バルブスプール51の弁部54が着座する環状のシート部63が形成される。弁部54の下端(接続部56側)の外周縁部には、テーパ状に形成された着座面54Aが形成される。バルブスプール51の着座面54Aが、ピストンボルト5の軸孔50に形成されたシート部63に着座された状態、すなわち、パイロット弁の閉弁状態では、バルブスプール51は、先端部55が略円形でシート部63の内側の受圧面で軸方向通路30側の圧力を受け、テーパ部53は基部52の外径とシート部63の間にできる環状の受圧面で軸方向通路48側の圧力を受ける。
【0024】
図1に示されるように、ソレノイド71は、ケース部材8、ロッド72、アンカ68、ステータコア76およびコイル74を有し、ロッド72の外周面には、プランジャ69が結合される。可動鉄心とも称されるプランジャ69は、鉄系の磁性体により略円筒形に形成される。プランジャ69は、コイル74に通電されて磁力が発生することで、アンカ68との間で吸引する方向の推力を発生する。ロッド72は、円筒形に形成され、ロッド72を軸方向(上下方向)に貫通する(延びる)ロッド内通路73を有する。ロッド72は、ケース部材8の内部でコイル74の上側に配置され凸形状を有し内部に貫通穴を有するステータコア76に組み込まれたブッシュ78によって、上下方向(軸方向)へ移動可能に支持される。
【0025】
ソレノイド71でコイルの下側に配置され凸形状を有するアンカ68には、アンカ68を軸方向に貫通する軸孔68Aが形成される。軸孔68Aの内側には、スプール背圧室70(室)が形成される。バルブスプール51の上端とロッド72の下端とは、パイロット弁の上端(一側端)のスプール背圧室70内で当接される。スプール背圧室70は、パイロット弁の閉弁時に、上室側連通路を介してシリンダ上室2Aに連通される。上室側連通路は、ロッド72の先端部(下端部)に形成された切欠き75、ロッド内通路73、ステータコア76に形成されたロッド背圧室101、ステータコア76内を径方向に延びてロッド背圧室101とステータコア76の外周面とを連通させる通路102、およびケース部材8の側壁に形成されたエア抜きオリフィス103によって構成される。
【0026】
図3図2の一部拡大図である。図3に示すように、ピストンボルト5の環状基部7とパイロットケース37との間には、上側から順に、スプール背圧リリーフ弁81(逆止弁)、リテーナ82、プレート83、ディスク84、リテーナ85、ディスクバルブ41が設けられる。図2に示されるように、ディスクバルブ41の内周縁部は、パイロットケース37の内周縁部とリテーナ85との間で挟持される。
【0027】
プレート83(プレート部材)は、中心に貫通穴を設けた円環形状であり、上面には円周状に凸部形状の連続した円周凸部111が設けられる。第1実施例において、円周凸部111はプレート83の外周側端部よりも内周側に形成されている。円周凸部111は円周溝110に挿入され、環状基部7の下面と接触する。
【0028】
環状のプレート83は、その内周側が軸方向に力を受けてピストンボルト5に固定される。換言すると、プレート83は、環状基部7とディスク84によって挟持されてピストンボルト5に固定されている。
【0029】
また、ピストンボルト5の環状基部7の下面86は、内周側に円周溝94と外周側に円周溝110が形成され、円周溝110がより深い溝として形成される。円周溝94及び円周溝110は軸方向に凹んで環状基部7に形成されている。そして円周溝110には、薄板円環形状のガスケット112(シール部材)が配置される。
【0030】
ガスケット112は、前記環状基部7と前記プレート部材の軸方向間に挟持され、環状基部7とプレート83を密封して環状空間の外周側を閉塞する。また、ガスケット112は、例えば鋼板に周方向の断面においてU字状のリブ形状を付けたものの上下にゴム層を設けたものとし構成される。ガスケット112は、プレート83の円周凸部111によって円周溝110に押し込まれ、ゴム層が軸方向と垂直な面で円周凸部111と円周溝110に接触する。換言すると、ガスケット112は、円周凸部111と円周溝110との間で挟持される。円周凸部111と円周溝110の接触により、円周凸部111の内側とリテーナ82の外側との間に形成される空間において、スプール背圧リリーフ弁81下部で形成されるチェック弁下室89とシリンダ上室2Aとの間が密封される。チェック弁下室89は、ピストンボルト5を軸として、その軸廻りに形成される環状空間となっている。チェック弁下室89(環状空間)は、環状基部7の開口、すなわち環状基部7の下側の空間をプレート83によって閉じることにより形成されるものである。
【0031】
スプール背圧リリーフ弁81は、内周縁部がリテーナ82とピストンボルト5の環状基部7の内周縁部とによって挟持され、外周縁部がピストンボルト5の環状基部7の下面に形成された環状のシート部88に着座される。また、チェック弁下室89(環状空間)は、スプール背圧リリーフ弁81を開弁させるためのスペースとして利用される。スプール背圧リリーフ弁81は、スプール背圧室70からチェック弁下室89への作動流体の流れのみを許容する逆止弁である。
【0032】
スプール背圧室70は、下室側連通路(連通路)を介してシリンダ下室2Bに連通される。この下室側連通路は、アンカ68の下面の凹部66とピストンボルト5の環状基部7との間の、バルブスプール51(基部52)の周囲に形成された円周溝104、ピストンボルト5の環状基部7の上面に形成された円周溝95、ピストンボルト5の環状基部7の下面のシート部88の内側に形成された円周溝94、およびピストンボルト5の環状基部7を上下方向へ延びて円周溝95、94間を連通させる通路96を有する。これにより、スプール背圧室70は、円周溝104、円周溝95、通路96、円周溝94、およびスプール背圧リリーフ弁81を介してチェック弁下室89に連通される。スプール背圧室70は、円周溝104、円周溝95、通路96、円周溝94は、ピストンロッド9の移動によって作動流体の流れが生じる流路を形成する。流路に設けられるスプール背圧リリーフ弁81は、流路を開閉するバルブとなる。そして、上記した流路、スプール背圧リリーフ弁81、環状基部7、プレート83、ガスケット112によってバルブ機構を構成している。
【0033】
下室側連通路は、さらにプレート83の上面に形成されてプレート83の内周面から径方向外側へ向かって延びる溝90、プレート83の下面に形成されてプレート83の内周面から径方向外側へ向かって延びる溝92、プレート83を上下方向へ延びて溝90、92間を連通させる通路91、およびピストンボルト5の軸部6の外周面に形成されてピストンボルト5に形成された径方向通路44と溝92とを連通させる溝93を有する。これにより、チェック弁下室89は、溝90、通路91、溝92、溝93、および径方向通路44を介して軸方向通路48に連通される。なお、溝93は、ピストンボルト5の軸部6に二面幅を加工することで形成される。
【0034】
次に、図2を参照して作動流体の流れを説明する。ピストンロッド9の縮み行程時(以下「縮み行程時」と称する)には、シリンダ下室2Bの作動流体は、縮み側メインバルブ36の開弁前、縮み側通路16、伸び側逆止弁47のオリフィス47A、径方向通路46、軸方向通路48、径方向通路44、縮み側背圧導入弁43、縮み側背圧室38、パイロットケース37の通路42、およびディスクバルブ41のオリフィス41Aを通ってシリンダ上室2Aへ流れる。
【0035】
そして、バルブスプール51(弁体)が移動して弁部54がシート部63から離座される。すなわち、パイロット弁が開弁されると、シリンダ下室2Bの作動流体は、縮み側通路16、伸び側逆止弁47のオリフィス47A、径方向通路46、軸方向通路48、軸方向通路49、軸方向通路30、径方向通路33、縮み側逆止弁34、および伸び側通路15を通ってシリンダ上室2Aへ流れる。ここで、ソレノイド71のコイル74への通電電流を制御することにより、パイロット弁の開弁圧力を調整することができる。同時に、縮み側背圧導入弁43から縮み側背圧室38へ導入される作動流体の圧力も調整されるので、縮み側メインバルブ36の開弁圧力を制御することができる。縮み側メインバルブ36が開弁すると、縮み側メインバルブ36を通る流路でも作動流体がシリンダ下室2Bからシリンダ上室2Aへ流れる。
【0036】
ピストンロッド9の伸び行程時(以下「伸び行程時」と称する)には、シリンダ上室2Aの作動流体は、伸び側メインバルブ20の開弁前、伸び側通路15、縮み側逆止弁34のオリフィス34A、径方向通路33、軸方向通路30、径方向通路29、伸び側背圧導入弁28、伸び側背圧室23、パイロットケース22の通路27、およびディスクバルブ26のオリフィス26Aを通ってシリンダ下室2Bへ流れる。
【0037】
そして、バルブスプール51(弁体)が移動して弁部54がシート部63から離座される。すなわち、パイロット弁が開弁されると、シリンダ上室2Aの作動流体は、伸び側通路15、縮み側逆止弁34のオリフィス34A、径方向通路33、軸方向通路30、軸方向通路49、軸方向通路48、径方向通路46、伸び側逆止弁47、および縮み側通路16を通ってシリンダ下室2Bへ流れる。ここで、ソレノイド71のコイル74への通電電流を制御することにより、パイロット弁の開弁圧力を調整することができる。同時に、伸び側背圧導入弁28から伸び側背圧室23へ導入される作動流体の圧力も調整されるので、伸び側メインバルブ20の開弁圧力を制御することができる。伸び側メインバルブ20が開弁すると、伸び側メインバルブ20を通る流路でもシリンダ上室2Aの作動流体がシリンダ下室2Bへ流れる。
【0038】
次に、スプール背圧室70の作動流体の流出入について説明する。伸び行程時には、シリンダ上室2Aの作動流体は、上室側連通路を通ってスプール背圧室70(室)へ流入する。すなわち、シリンダ上室2Aの作動流体は、エア抜きオリフィス103によって絞られ、通路102、ロッド背圧室101、ロッド内通路73、ロッド72の切欠き75を通ってスプール背圧室70へ流入する。スプール背圧室70へ流入した作動流体は、下室側連通路(連通路)を通ってシリンダ下室2Bへ流れる。すなわち、スプール背圧室70へ流入した作動流体は、円周溝104、円周溝95、通路96、円周溝94、スプール背圧リリーフ弁81(逆止弁)、チェック弁下室89、溝90、通路91、溝92、溝93、径方向通路44、軸方向通路48、径方向通路46、伸び側逆止弁47のオリフィス47A、および縮み側通路16を通ってシリンダ下室2Bへ流れる。またバルブスプール51が上方に移動した際には、その移動に伴って発生する作動流体は、下室側連通路を通ってシリンダ下室2Bへ流れる。
【0039】
流路に設けられるスプール背圧リリーフ弁81は、ソレノイドによって開閉動作が調整される減衰力調整バルブとして機能する。
【0040】
縮み工程時にはスプール背圧リリーフ弁81が閉弁した状態を保つことから、スプール背圧室70は、上室側連通路を通って低圧のシリンダ上室2Aと連通していることから、バルブスプールが上方に移動した際には、その移動に伴って発生する作動流体は、上室側連通路を通って、シリンダ下室2Bに排出される。
【0041】
伸び工程時には、ディスク型の逆止弁(スプール背圧リリーフ弁81)によって小さなリフト量で大きな開口面積(流路面積)を得るようにしたので、リリーフ弁の開弁時の圧力損失を低減させることが可能であり、緩衝器の軸長が長くなることを抑制しつつ、スプール背圧室70の圧力上昇を防ぐことができ早い応答が可能である。また、その際、チェック弁下室89はピストン上室2Aと液密が保たれていることから、ピストン上室2Aの圧力がスプール背圧リリーフ弁81を閉弁方向に作用することがなく、リリーフ弁の開弁動作を妨げない。またその液密を保つためのシールが面方向に配置される形状のガスケット112によることから、緩衝器の軸方向の長さを長くする必要がない。
【0042】
なお、前述のガスケット112はプレート83とは別部材で構成された例を示したが、例えば図4に示すように構成しても良い。図4図3の変形例を示す図である。図3では円周溝110にガスケット112を配置したが、これに代えて図4ではプレート83の円周凸部111の上面にゴム層を一体で形成している。円周凸部111の上面に設けたゴム層は、ピストンボルト5の環状基部7の下面86(円周溝110の上面)と接することにより、ピストン上室2Aとチェック弁下室89の液密が保持される。この場合は部品点数が少なくなることで組み立て作業が容易にできる。
【0043】
以上説明したように第1実施例では、下室側連通路にディスク型のリリーフ弁を用い、かつシールは円板状のガスケットをその外側に配置することにより、応答性を維持し、シール性も確保しながら、軸方向長さが長くなるのを抑制することができる。
【実施例2】
【0044】
次に、図5を参照して、本発明の第2実施例について説明する。図5は本発明の第2実施例に係る緩衝器の一部拡大図である。第2実施例では、主に第1実施例との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施例と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0045】
第2実施例を示す図5において、ピストンボルト5の環状基部7の下面及びプレート83の形状、並びにその間の部品配置が第1実施例と異なっている。
【0046】
図5に示すようにピストンボルト5の環状基部7の下面は第1実施例で示したような円周溝110は設けていない。環状基部7の外周部には、半径が小さくなるように、環状基部7の外周部から径方向内側に向かって凹ませた部分を段状に設けて段部115を形成し、その内周側はテーパ面とする段部115を設ける。内周側の円周溝94とシート部88は第1実施例と同様に設ける。
【0047】
また、プレート83の上面の外周側は、第1実施例に示した円周凸部111は設けず、プレート83の外周側端部の上面から段部115に向かって突出した円管部83Bを設ける。円環部83は段部115に挿入され、段部115の外周を覆う。プレート83のそれ以外の部分である内周側の構造は第1実施例と同様である。そして、ピストンボルト5の環状基部7の下面に設けた段部115とプレート83の円管部83Bの内周側に形成される空間にはOリング201(シール部材)を配置する。Oリング201はプレート83によってピストンボルト5の環状基部7の下面とテーパ面に押し付けられ、チェック弁下室89とシリンダ上室2Aとの間の液密を保つ。
【0048】
第2実施例によれば、第1実施例と同様の効果が得られると同時にOリングを挟む対向面の精度を緩めることが可能となり、コスト低減が可能となる。
【実施例3】
【0049】
次に、図6から図8を参照して、本発明の第3実施例について説明する。図6は本発明の第3実施例に係る緩衝器の一部拡大図である。第3実施例では、主に第1実施例との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施例と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0050】
第3実施例を示す図6において、ピストンボルト5の環状基部7の下面及びプレート83の形状が第1実施例と異なっている。
【0051】
図6に示すように、ピストンボルト5の環状基部7の下面の外周側には、下方向に向かって突出する突出部7Dが形成されている。突出部7Dの下部の先端には、プレート83の外周部の下側に位置し、内径側に向かって突出するラッチ部7C(係合部)が設けてある。突出部7Dは図6を上方から見た断面形状が、円周状となる形状、円弧状のものを複数設ける形状、長方形を複数設ける形状などとしても良い。
【0052】
そして、プレート83の外周側は突出部7Dの内側よりも小さく形成される。またラッチ部7Cは、下側がプレート83の外周部よりも径が大きく、上側はプレート83の外周よりも径が小さいテーパ状に形成される。プレート83は外周側下面がピストンボルト5の環状基部7の下面に位置するラッチ部7Cに係合するように配置される。換言すると、ラッチ部7C(係合部)は、環状基部7の外周部にあって、プレート83に向かって延び、プレート83のうちガスケット112を挟持する側の面と反対側の面に係合するものである。
【0053】
これにより、プレート83の上面側がチェック弁下室89の圧力が上昇した際、プレート83には、図6の下方向に力が作用する。このときプレート83の内側は上下方向の軸力により、固定されており、かつ外周側はラッチ部7Cにより動きが規制される。したがって、ガスケット112には常に荷重を掛けることができることから、シール性を保つことが可能となる。特に、ガスケット112を第1実施例1と同様U字状のリブ形状付きの鋼板の上下にゴム層を設けたものとして構成されると、リブがもつ高い剛性で薄い形状でもシール性を確保することができる。その際、その弾性力を得るためにはプレート83の変形を最小限にすることが求められるが、本構成によりプレート83の変形が抑えられることから、薄い形状のガスケット112を採用でき、緩衝器の全長をより短くすることが可能である。
【0054】
なお、図6では突出部7Dを最外周部に設けた例を示したが、例えば図7に示すように構成しても良い。図7図6の変形例を示す図である。
【0055】
図7に示すように、突出部7Dを最外径部ではなく、内周側に設ける構成としてもよい。その際、突出部7Dはたとえば複数の円弧に分割して構成する。また、プレート83には突出部7Dに対応して、突出部7Dを通すことができる円弧上の貫通穴83Dを複数設けるように構成する。すなわち、プレート83に貫通穴83Dを設け、環状基部7には、プレート83に向かって延びて貫通穴83Dを貫通し、プレート83のうちガスケット112を挟持する側の面と反対側の面に係合するラッチ部7Cを備えている。
【0056】
これにより、内周側にラッチ部7Cで構成することで、ラッチ部7Cにかかる荷重を減らすことができ、より小型にすることが可能となる。
【0057】
また、図8に示すように、ラッチ部をプレート83側に設けてもよい。図8図6の変形例を示す図である。すなわち、プレート83の上面の外周側に上方向に突出する突出部83Eを設ける。突出部83Eは円周状や、複数の円弧状等で構成する。さらに突出部83Eの上面は内側に突出するラッチ部83Cを設ける。また、ピストンボルト5の環状基部7の下面外周側はラッチ部83Cに対応し係合可能な溝部7Eを設ける。溝部7Eは環状基部7の外周部に設けられ、環状基部7の外周部から径方向内側に向かって凹んでいる。換言すると、図8では、環状基部7の外周部には径方向内側に向かって凹んだ溝部7Eが形成され、プレート83の外周部には環状基部7に向かって延び、溝部7Eと係合するラッチ部83C(係合部)を備えている。
【0058】
そしてプレート83のラッチ部83Cを溝部7Eに係合し、その後内周側を固定することでプレート83にチェック弁下室89の圧力が上昇しても、プレート83の変形を抑えられ、ガスケット112への荷重を掛けることが可能となる。このような構成にすることで、ガスケット112と干渉せずにラッチ部の設置スペースを確保がしやすくなる。
【0059】
なお、第1実施例から第3実施例に記載の方法は、ピストンボルト5に固定されたプレート83(プレート部材)と環状基部7とで形成されるチェック弁下室89とシリンダ上室2Aとの間の液密を保つためのガスケット112(シール部材)の配置について述べたが、例えば内周側が軸力を受けてケース部材8にプレート83(プレート部材)を固定し、そのケース部材8とプレート83(プレート部材)の間に密封してできる環状空間の外周側を閉塞するようにガスケット112(シール部材)を配置する場合には同様の方法が適用可能であり、環状空間と外周側とのシール性を確保しながら軸長が短くできる。
【0060】
なお、本発明は、上述した実施例に限定するものではなく、様々な変形例が含まれる。上述した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。
【符号の説明】
【0061】
1…緩衝器、2…シリンダ、2A…シリンダ上室、2B…シリンダ下室、3… ピストン、5…ピストンボルト、9…ピストンロッド、70…スプール背圧室、71…ソレノイド(アクチュエータ)、81…スプール背圧リリーフ弁(逆止弁)、83…プレート(プレート部材)、89…チェック弁下室、94,95,104…円周溝、96…通路、112…ガスケット(シール部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8