(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】X線可視化を高めた化学修飾形状記憶ポリマー塞栓フォーム
(51)【国際特許分類】
A61L 31/06 20060101AFI20221108BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20221108BHJP
C08G 18/38 20060101ALI20221108BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20221108BHJP
C08K 3/08 20060101ALI20221108BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20221108BHJP
A61L 31/16 20060101ALI20221108BHJP
A61L 31/14 20060101ALI20221108BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20221108BHJP
A61L 31/18 20060101ALI20221108BHJP
A61K 31/785 20060101ALI20221108BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20221108BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20221108BHJP
【FI】
A61L31/06
C08G18/00 F
C08G18/38 002
C08L75/04
C08K3/08
A61B17/00 500
A61L31/16
A61L31/14
A61P7/04
A61L31/18
A61L31/14 400
A61K31/785
A61K47/34
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2019529556
(86)(22)【出願日】2017-12-01
(86)【国際出願番号】 US2017064355
(87)【国際公開番号】W WO2018102779
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-11-30
(32)【優先日】2016-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510162539
【氏名又は名称】ザ テキサス エーアンドエム ユニバーシティ システム
【氏名又は名称原語表記】THE TEXAS A&M UNIVERSITY SYSTEM
【住所又は居所原語表記】3369 TAMU College Station, Texas 77843-3369, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ナッシュ,ランドン,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】エゼル,ケンダル,ピー.
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0142207(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0119706(US,A1)
【文献】特表平06-506494(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0253086(US,A1)
【文献】特表2013-538262(JP,A)
【文献】特表2005-537091(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0158034(US,A1)
【文献】Biomaterials,2007年,Vol.28,pp.3182-3187
【文献】心臓,2009年,Vol.41, No.3,pp.277-284
【文献】IEEE Transactions on Biomedical Engineering,2007年,Vol. 54, No. 6,1157-1160
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 15/00-33/18
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 39/00-39/44
A61K 49/00-51/12
C08J 18/00-18/87
C08J 71/00-71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヨウ素に共有結合している熱硬化性形状記憶ポリマー(SMP)フォーム、
を含むシステムであって、ここで、
(a)前記SMPフォームは熱刺激に応答して圧縮二次状態から膨張一次状態へ膨張するように構成され、
(b)前記SMPフォームはポリ(ウレタン-尿素-アミド)であり、かつ、
前記ヨウ素は、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA)中に含まれる、
システム。
【請求項2】
前記SMPフォームが放射線不透過性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ATIPAが前記SMPフォームのポリマー鎖を架橋する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記SMPフォームは、白金、タングステン、及びタンタルのうちの少なくとも1つを包含し、前記白金、タングステン、及びタンタルのうちの少なくとも1つは、前記SMPフォーム内で物理的に結合されている、及び/又は
ここで、当該システムは、前記SMPフォームを横断するバックボーンを含み、ここで、前記バックボーンは、ポリマーフィラメント及び金属のうちの少なくとも一方を包含する、請求項1~3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記白金、タングステン、及びタンタルのうちの少なくとも1つが、前記SMPフォームに化学的に結合していない、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記バックボーンがポリマーフィラメントを包含し、金属を含まない、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
X線可視であるヨウ素含有熱硬化性連続気泡形状記憶ポリマー(SMP)フォーム、を含むシステムであって、ここで、
(a)前記SMPフォームは、熱刺激に応答して圧縮二次状態から膨張一次状態へと膨張するように構成され、
(b)前記SMPフォームは、ポリ(ウレタン-尿素-アミド)であり、かつ、
前記ヨウ素は、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA)中に含まれる、
システム。
【請求項8】
前記ヨウ素が前記SMPフォームのポリマーネットワーク内に共有結合している、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記二次状態における前記SMPフォームは、ヨウ素の50~500mg/mlを含有する、請求項1~8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載のシステムであって、
その一次状態の前記SMPフォームは、0.1g/cc未満の密度を有し、
前記SMPフォームは、30~100℃の乾燥したガラス転移温度(Tg)を有し、
前記SMPフォームは、1650cm-1におけるフーリエ変換赤外分光法(FTIR)尿素ピークを欠く、システム。
【請求項11】
前記SMPフォームがポリカプロラクトン(PCL)を含む、請求項1~10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
トリヨードベンゼンモノマーを提供するステップと、
(a)(i)複数のアミン官能基、(a)(ii)複数のアルコール官能基、及び(a)(iii)複数のカルボン酸官能基のうちの少なくとも1つを含む脂肪族モノマーを提供するステップと、
ジイソシアネートを提供するステップと、
前記トリヨードベンゼンモノマー、前記脂肪族モノマー、及び前記ジイソシアネートを溶液に混合するステップと、
前記溶液から熱硬化性形状記憶ポリマー(SMP)フォームを形成するステップと、
を含む、方法であって、ここで、
前記トリヨードベンゼンモノマーは、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA)である第1のメンバーを包含し、
前記脂肪族モノマーは、1,2,6-ヘキサントリオール(HT)、2-ブチル-2-エチル-プロパンジオール(BEP)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPD)、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、トリエタノールアミン(TEA)、テトラキス-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン(HPED)、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、1,2,4-ブタントリオール、1,2-ジアミノプロパン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,8-ジアミノオクタン、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、2-アミノ-2
-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、及びアスパラギン酸からなる群から選択される第2のメンバーを包含し、
前記ジイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、イソホロンジイソシアネート、1,3,5-トリイソシアナト-2,4,6-トリメチルベンゼン、トルエンジイソシアネート、及びメチレンジフェニルジイソシアネートからなる群から選択される第3のメンバーを包含し、かつ、
前記SMPフォームは、はポリ(ウレタン-尿素-アミド)である、
方法。
【請求項13】
第2及び第3のメンバーをATIPAで架橋することを含む、請求項1
2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、その内容が参照により本明細書に組み入れられる、2016年12月2日に出願され、「X線可視化を高めた化学修飾形状記憶ポリマー塞栓フォーム」と題する米国仮特許出願第62/429,148号の優先権を主張する。
【0002】
連邦資金による研究の声明
米国政府は、NIHによって授与された契約番号NINDS U01-NS089692に従って、本発明において一定の権利を有し得る 。
【0003】
米国政府は、NSFによって授与された契約番号GRFP 1252521に従って、本発明において一定の権利を有し得る。
【技術分野】
【0004】
技術分野
本発明の実施形態は、形状記憶ポリマー医療機器の分野にある。
【0005】
バックグラウンド
健康で無症状の個体の約3~4%が未破裂の脳動脈瘤を有する。動脈瘤の破裂時には、くも膜下出血が起こり、脳卒中及びそれに続く脳の損傷及び死の可能性をもたらす。脳卒中のランク付けが世界で2番目に高い死因となっているので、脳動脈瘤の効率的な塞栓術はそれらの破裂を予防し、出血性脳卒中の罹患率と死亡率を減らすために必要とされている。現在の治療法は、動脈瘤を充填し血流を遮断するために最小侵襲性の塞栓コイルを利用しているが、これらのデバイスはそれらの低容積閉塞及び動脈瘤の再開通によって制限されている。熱作動形状記憶ポリマー(shape memory polymer)(SMP)塞栓フォームは、それらの高い体積膨張能力及び優れた生体適合性のために、脳動脈瘤を治療するための優れた選択肢として有望であることが示されている。
【0006】
図面の簡単な説明
本発明の実施形態の特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲、以下の1つ以上の例示的実施形態についての詳細な説明、及び対応する図面から明らかになるであろう。適切であると考えられる場合、対応する要素又は類似の要素を示すために参照符号が図の間で繰り返されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1: 左 - 未治療のブタ側壁動脈瘤モデル。中 - 裸白金コイルで治療した動脈瘤モデルのデジタルサブトラクション減算血管造影。造影剤注入の進入は、2Dコイル投影によって隠される。右 - SMPフォーム被覆塞栓コイルで治療した動脈瘤の血管造影画像。動脈瘤内への造影剤注入の進入は、塞栓フォーム及び血栓の塊によって防止される。
【
図2】
図2(a)及び
図2(b): 材料システムモノマー。
図2(a)及び
図2(b)は、代替実施形態のためのシステム材料の異なる組み合わせを包含する。
【
図3】
図3: HDI、ATIPA/BEP/DEGについてそれぞれ15/35/50モル当量、ならびにポリウレタン発泡界面活性剤及び触媒を用いて製造された中密度発泡体。X線画像は、人間の頭蓋骨を貫通したイメージングをシミュレートするための組織類似物を有しない。
【
図4】
図4: ATIPAモル百分率20~30%、及びTEG/DEG百分率40~50%を変えることによって調整したガラス転移温度。全ての組成物は100%HDIを使用し、そして残りのポリオール当量はBEPであった。
【
図6】
図6: ブタの頭蓋骨を貫通して撮像された2.5mmのフォームデバイス及びGDC白金コイル。イオヘキソールを、10~40重量%においてエタノール溶液を用いてフォームに溶媒膨潤させた。イオヘキソールの物理的組み込みは、非理想的な機械的特性をもたらした(がしかし、いくつかの実施形態では、化学的包含の代わりに又は化学的包含に加えて含まれる)。
【
図7】
図7: 潜在的なモノマー混和性の懸念を軽減するための代替の溶媒ベースの合成戦略。
【
図8】
図8(A) - 第三アミン発泡触媒を用いて合成された20当量%のATIPAを含む相分離した曇ったフォーム。
図8(B) - 従来の発泡触媒なしで合成された30当量%のATIPAを有する光学的に透明なフォーム。
【
図9】
図9: ATIPAフォーム組成物の実施形態。モルパーセントで列挙されたモノマー。
【
図10】
図10: 一実施形態におけるATIPA発泡プロセスの概要。
【
図11】
図11: 様々な実施形態の物理的及び熱機械的ATIPAフォーム特性。
【
図12】
図12: 物理的発泡剤(Enovate(登録商標))の体積を変えたATIPAフォームシリーズの倍率50倍及び100倍の顕微鏡画像。
【
図13】
図13: 20当量%のATIPA及び様々なヘキサントリオール組成を有するフォームについての50倍及び100倍の倍率における顕微鏡画像。
【
図14】
図14: 様々なATIPA含有量を有するフォームについての50倍及び100倍の倍率での顕微鏡画像。
【
図15】
図15: イソシアネート組成を変えたATIPAフォームシリーズの倍率50倍での顕微鏡画像。
【
図16】
図16(a)及び16(b):
図16(a) - X線可視フォーム(ATIPA及びタングステン充填)及び非可視コントロールフォームの代表的な応力-ひずみ曲線。
図16(b) - 各曲線からの機械的性質の計算。
【
図17】
図17: 様々な厚さで様々なATIPA含有量を有する発泡体サンプルを包含する画像形成フレーム;放射線密度基準用の白金塞栓コイル(GDC10)及びカテーテルセグメント;及び膨張及び圧縮状態の直径8mmのフォームシリンダデバイスのプロトタイプ。サンプルは、カメラ、妨げられていない血管造影法、及び1/2”のアルミニウム製ヒト頭蓋骨類似体を貫通した血管造影法で撮像された。
【
図18】
図18: 様々な密度及び厚さを有する20当量%のATIPAフォームサンプルを包含する画像形成フレーム;放射線密度基準用の白金塞栓コイル(GDC10);及び膨張及びひだを付けられた(crimped)状態の直径2mmのフォームシリンダーデバイスのプロトタイプ。サンプルは、カメラ、妨げられていない血管造影法、及び1/2”のアルミニウム製ヒト頭蓋骨類似体を貫通した血管造影法で撮像された。
【
図19】
図19: 物理的発泡剤(Enovate(登録商標))体積の変化に起因する様々な密度を有するフォームについての乾燥Tgの最小変化を示す乾燥DSCサーモグラム。
【
図20】
図20: 様々なHT含有量を有する乾燥及び湿気可塑化された20当量%ATIPAフォームについてのDSCサーモグラム。
【
図21】
図21:様々なイソシアネート含有量を有する乾燥及び湿気可塑化された20当量%ATIPAフォームのサーモグラム。
【
図22】
図22: 様々な当量%のATIPAを有する乾燥フォームのサーモグラム。
【
図23】
図23: 様々なHT組成を有する乾燥20当量%ATIPAフォームの圧縮DMAからのタンジェントデルタプロット。
【
図24】
図24: 様々なATIPA組成を有する乾燥フォームの圧縮DMAについてのタンジェントデルタプロット。
【
図25】
図25: 左 - 0.006インチのワイヤー上で圧縮されそして37℃の水中に沈められた直径2mmのフォームの拘束されていない(unconstrained)膨張プロファイル。右 - 25分の浸漬後のフォームのスナップショット。
【
図26】
図26: HT含有量の増加に伴う20ATフォームについのATR FTIRスペクトル。
【
図27】
図27: TMHDI含有量の増加に伴う20ATフォームについてのATR FTIRスペクトル。比較のために含まれている、不可視の(non-visible)100TM H60コントロールフォームスペクトル。
【
図28】
図28: 一定の(fixed)理論架橋密度でATIPA含有量が増加するフォームのATR FTIRスペクトル。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
「一実施形態」、「様々な実施形態」などは、そのように説明された実施形態(複数可)が特定の特徴、構造、又は特性を包含し得ることを示しているが、必ずしもすべての実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を包含するとは限らない。いくつかの実施形態は、他の実施形態について記載された特徴のいくつか、全部、又は全く無しを有し得る。「第1」、「第2」、「第3」などは、共通のオブジェクトを説明し、且つ、類似のオブジェクトの異なるインスタンスが参照されていることを示す。そのような形容詞は、そのように記述されたオブジェクトが、時間的に、空間的に、ランキングで、又は他の方法のいずれかで、与えられた順序でなければならないことを意味しない。
【0009】
適切なSMPベースのデバイス配置を可能にするために、出願人は、材料は伝統的な蛍光透視法技術を使用して可視でなければならないと判断した。デバイスの視覚化なしでは、脳動脈瘤治療におけるこの非常に貴重な材料システムの使用は制限されるであろう。
【0010】
以下に様々な実施形態が対処される。実施形態は、「実施形態の概要」と題されたセクションにおいて最初に対処される。実施形態は、次いで、「実施形態の高レベルの説明」及び「実施形態のより詳細な説明」と題されたセクションにおいてさらに対処される。
【0011】
一実施形態の概要
実施形態は、血管内塞栓デバイス及び他の移植可能な組織スキャフォールド用のX線可視SMPフォームシステムを包含する。一実施形態は、造影剤をモノマーとして組み込む熱硬化性生物医学的形状記憶ポリウレタンフォームシステムを包含する。蛍光透視法技術を用いて所望の解剖学的構造内に移植されると、これらのフォームは膨張し、且つ、塞栓形成及びそれに続く細胞浸潤及び治癒を促進するため、解剖学的体積を充填する。SMPのX線可視化を可能にすることは、フォームが膨張するにつれて、医師がそのフォームの真の体積充填を見ることを可能にする。これは、適切なデバイス配置を可能にすること、及び解剖学的構造を過剰に詰める危険性を減らすことによって、処置上の安全性を高める。
【0012】
実施形態は、X線透視法による可視化のために白金バックボーンコイルのような金属成分を必要としないフォームのみの血管内塞栓デバイスを包含する。これにより、同様のサイズのカテーテルを貫通して送達された場合、より多くのフォームを装置の断面に組み込むことができ、より良好な容積充填が可能になる。実施形態はまた、臨床医に実際のデバイスの拡張及び解剖学的充填を直接視覚化する能力を与えることによって現在の塞栓フォームデバイスの制限を克服する。材料の多孔質性(porous nature)は、好ましい治癒結果及び耐久性のある閉塞を生み出す。
【0013】
X線可視化は、放射線不透過性(radio-dense)トリヨードベンゼンモチーフをポリマーネットワークに化学的に組み込むために、ポリマー合成にモノマーとして血管造影(あangiographic)造影剤を含めることによって促進される。これらの基は、3個の共有結合したヨウ素原子のために蛍光透視法で見ることができる。
【0014】
そのような実施形態は、より良い臨床結果を伴う頭蓋内動脈瘤のより安全な治療を可能にする。しかしながら、実施形態は、他の血管内閉塞用途にも適している(例えば、左心耳、腹部大動脈瘤閉塞、末梢血管閉塞の充填、及びより一般的には解剖学的構造内及び/又は医療機器の周囲の空隙の充填)。
【0015】
粒状添加剤と比較した場合、合成中にトリヨードベンゼンモノマーを材料に取り込むという化学的アプローチにより、バルク材料の機械的完全性に影響を与えることなく、より高いコントラスト負荷百分率が可能になる。この放射線不透過性(radiodense)SMP材料システムは、白金バックボーン又はマーカーバンドのような金属成分を必要とせずに塞栓用途のための低密度フォームを製造するために利用することができる。この材料システムは、脳血管塞栓術又は末梢塞栓術を包含する様々な用途に使用される、完全に高分子の、生物耐久性のある塞栓デバイスを可能にする。芳香族ジイソシアネートを配合することはまた、X線可視性を必要とする骨組織用途に適した非常に硬い(rigid)ポリマー系を作り出す。エーテル、エステル、又は三級アミンなどの分解性結合が、生分解性材料配合物を作り出すためにいくつかの実施形態に組み込まれる。
【0016】
これらの材料は、例えば(a)5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA)、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、2-ブチル-2-エチル-プロパンジオール(BEP)、3-メチル-ペンタンジオール、ブタントリオール及びヘキサントリオールの組み合わせと、(b)ジイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)又はトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI))とを組み合わせることによって製造することができる。代替組成物は、(ATIPAの代わりに)他のヨウ素含有モノマー、例えば、イオヘキソール(Iohexol)、トリヨードフェノール、又はジアトリゾ酸を組み込んでいる。代替組成物はまた、他のポリオール、例えばグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ペンタンジオール、3-メチル-1,3,5-ペンタントリオール、及びシアヌル酸などを組み込んでいる。代替組成物はまた、末端ヒドロキシル、アミン、又はカルボン酸末端基を有する多官能性架橋剤、例えば1,3-ジアミノ-2-プロパノール、アスパラギン酸、1,2-ジアミノプロパン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,8-ジアミノオクタン、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、又は2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、を包含し得る。
【0017】
ATIPAは、いくつかの実施形態では、発泡反応において造影剤及び発泡剤として機能する。フォームは、界面活性剤、錫ゲル化触媒、三級アミン発泡触媒、及び物理発泡剤、例えばEnovate(登録商標)、を添加することによって合成される。白金、タングステン、又はタンタルを包含するナノ又はマイクロ微粒子添加剤を、追加のX線減衰を持つコンポジット(composite)を作り出すため、合成中に材料に添加することができる。
【0018】
合成後、材料は切断され、洗浄され、処理され、そして医療機器に組み込まれる。
【0019】
実施形態の高レベルの説明
A - 具体的な目的:
実施形態は、脳動脈瘤の治療のためのX線可視SMP塞栓フォーム材料システムを包含する。一実施形態は、放射線不透過性(radiodense)ヨウ素原子をポリマーネットワークに組み込むことによってX線コントラストを可能にする。混濁化へのこの化学的アプローチは、不可視の(non-visible)配合物の限界に取り組むことによってSMP塞栓フォームの有用性を拡大する。トリヨードベンゼン含有造影剤がモノマーとして形状記憶ポリウレタン主鎖に組み込まれ、その結果、放射線不透過性ポリウレタン-尿素-アミドが得られる。X線視認性を提供することに加えて、この造影剤モノマーは、発泡中の発泡剤及び形状記憶を提供するための化学架橋剤としての役割を果たす。
【0020】
一実施形態は、X線コントラストの量、熱機械的特性、及びフォーム形態を制御することを可能にする。X線コントラストの程度は、合成中に存在する造影剤モノマーの量によって制御される。熱機械特性は、ポリウレタン合成中にジイソシアネートとポリオールとの比率を変えることによって変化する。孔径及び密度などのフォーム形態は、フォームプレミックス粘度の変化によって、及び合成中の物理的発泡剤、界面活性剤、及び触媒の量を変えることによって調整される。これらの材料特性を独立して制御する能力は、特定の用途のニーズを満たすためのデバイス最適化のための道を開くことによって、X線可視塞栓フォームの有用性を高める。
【0021】
以下のトピックでは、材料システムの有用性について説明する。
トピック1: さまざまな造影剤、ポリオール、及びジイソシアネートモノマー配合物を使用して、X線可視SMP配合物を化学的及び熱機械的に特徴付ける。
トピック2: 神経血管塞栓術に適したフォームの密度、機械的性質、及び体積回収率を達成するために、発泡パラメータを調整する。
トピック3: 解剖学的動脈瘤モデルに送達された塞栓フォームデバイスのプロトタイプの透視視認性を検証する。
【0022】
B - 意義:
出血性脳卒中を予防するための現在のゴールドスタンダードは、ベア白金コイル(BPC)で頭蓋動脈瘤を治療することを伴う。BPCは、米国における年間の出血性脳卒中の数をおよそ103,000に減らすのを助けたが、しかし、この治療はまだ臨床上の限界がある。例えば、臨床基準(30~35%)により非常に高いと考えられる充填密度は依然として完全な塞栓形成を引き起こさない。より多くのコイルを用いて充填密度を増加させようとする試みは、過剰充填及び動脈瘤破裂を引き起こす可能性がある。さらに、当初有効であった塞栓形成術は、大動脈瘤及び巨大動脈瘤においてそれぞれ35%及び50%の高い再開通率を有する。BPCは、必要とされるコイルの数、処置時間、及び複雑さのために、大きな動脈瘤を埋めるために利用される場合、法外な費用がかかる。したがって、BPCの有効性及びコスト制限は、より効率的な容積充填のための解決策を要求する。
【0023】
同程度の長さのコイルに対して容積式動脈瘤充填量を増加させるために、ハイドロコイルが開発されてきた。移植後、これらのコイル上の親水性コーティングは水で膨潤してコイル直径を効果的に増大させる。ハイドロコイルは、一貫して50%を超える充填密度を達成することができ、且つしばしばそれ自体でBPCより3倍大きい密度を達成することができる。それらの充填密度の増加にもかかわらず、動脈瘤の再発を防止することに関してハイドロコイルの明らかな利点が明らかにされていないため、これらの親水性コーティングに関連する追加の費用を保証するものではない。
【0024】
現在の塞栓療法に関連する多数の欠点を軽減するための解決策として低密度SMP塞栓フォームが提案されている。低密度SMPフォームは、それらの膨張した体積の一部に捲縮する(crimped)ことができ、マイクロカテーテルを介した送達を可能にする。移植後、熱などの刺激は、捲縮フォームをその元の拡張形状に復元することができる。SMPフォームの容積拡張能力及び実証された生体適合性は、それらを動脈瘤病変のより良好な充填及び改善された治癒を提供するための有望な解決策にする。結果は、ブタ頸動脈瘤モデルに移植されたSMPフォームの生体適合性を実証する。病理学的結果は、移植されたBPCのものと比較してポリウレタンSMPフォームの優れた治癒能力を示す。しかしながら、現在のSMP製剤のX線可視性の欠如は、臨床現場(setting)におけるその有効な送達を制限する可能性がある。
【0025】
SMPの多くの医療用途は、蛍光透視法で撮像しながら血管内送達を伴う。蛍光透視デバイスの視覚化は、デバイスを動脈瘤の解剖学的構造内に適切かつ安全に配置するために不可欠である。脳動脈瘤塞栓術の場合、SMPを放射線不透過性(radiodense)BPC上のコーティングとして利用することにより、SMP X線コントラストの欠如を部分的に解決することができる。
図1はこのアプローチの限界を強調している。左側のフレームは、ブタ側壁動脈瘤モデルの典型的な解剖学的構造を描いている。真ん中のフレームは、伝統的なBPCで治療された動脈瘤のデジタルサブトラクション血管造影を示し、これは、臨床医が十分なコイル巻きの主要な指標として使用するコイル質量の密集した2D投影図である。動脈瘤はコイルで密に充填されているように見えるが、塞栓コイルの平均充填密度は30~35%の範囲である。右側のフレームは、SMPフォーム被覆塞栓コイルで治療した動脈瘤を示す。動脈瘤はX線投影図によればゆるく充填されているように見えるが、注入された造影剤の限られた侵入はコイル間の間隙空間が非X線可視塞栓フォーム及び血栓で充填されていることを証明する。動脈瘤塞栓形成の主要な指標として注入された造影剤を使用することは、それが標準的な2D放射線投影法から逸脱するので、デバイスの臨床的採用のためのハードルである。この手順上の変更は、動脈瘤をフォーム被覆コイルで過剰充填する可能性がある。しかしながら、実施形態は、臨床医に真の体積閉塞のためのより良い視覚を与えることによってこれらの合併症の危険性を減らす。
【0026】
C - イノベーション:
実施形態は、0.015g/cm3という低い質量密度及び97%の形状回復を容易にする高い架橋密度を有する超低密度SMPフォームを包含する。これらの特性は集合的に70倍のフォーム体積膨張を可能にする。現在のコイリング技術と組み合わせてこれらの低密度SMPフォームを利用すると、処置時間及び費用を減らすため、動脈瘤を満たすのに必要なコイルの数を大幅に減らすことができる。さらに、SMPフォームの膨張力はBPCによって加えられるものよりも著しく低く、移植中の動脈瘤解離の危険性を低下させる。他のコイルベースの塞栓形成デバイスと同様に、塞栓フォームは血流を乱すこと、及びフォーム内の血餅形成を誘発することによって動脈瘤を閉塞する。
【0027】
以前は、SMPフォームX線可視性は、フォームマトリックスにタングステン微粒子を配合することで向上していた。しかしながら、このアプローチは、靭性が低下したコンポジットをもたらし、それはin vivoでの粒子生成及びそれに続く血流中の塞栓に対する懸念を提起する。さらに、微粒子の組み込みで達成される不透明度は、神経血管塞栓術に使用されるもののような小径、低密度のデバイスには十分ではない。放射線不透過性(radiopaque)ナノ粒子添加剤は、マトリックス内部の分散を増大させることによって材料の靭性の低下に対処するために調査された。低濃度のナノ粒子は、機械的強度及び靭性を改善したが、十分なX線可視化に必要とされる濃度まで充填剤濃度を増加させることもまた、機械的性質の低下をもたらした。従って、機械的完全性を犠牲にすることなく改善されたSMP X線コントラストが必要とされている。
【0028】
不透明なSMPマイクロ又はナノ複合材料の代替として、実施形態は、バルクフォーム特性に影響を与えることなくX線の可視性を高めるためにポリマーマトリックスにヨウ素モチーフを組み込む。粒状添加剤と比較した場合、合成中にトリヨードベンゼンモノマーを材料に組み込むというこの化学的アプローチは、バルク材料の機械的完全性に影響を与えることなく、より高いコントラスト負荷パーセントを可能にする。この放射線不透過性(radiodense)SMP材料システムは、白金バックボーン又はマーカーバンドなどの金属成分を必要とせずに塞栓用途のための低密度フォームを包含する実施形態を提供する。この材料システムは、脳血管塞栓術又は末梢塞栓術を包含する様々な用途に使用される完全に(又はほぼ完全に)高分子の分解性塞栓デバイスを可能にする。この研究は、特定のSMPフォームシステムへのヨウ素の組み込みに焦点を合わせているが、実施形態は、移植中のそれらの画像化を可能にするために一連のポリマー生体材料に適用可能である。
【0029】
D - アプローチ:
一実施形態ではSMP重合における使用のために同定された造影剤は、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸酸(ATIPA)である。
図2(a)及び2(b)に見られるように、ATIPA分子のX線コントラストは、3つの高zヨウ素原子を組み込んでいるトリヨードベンゼンモチーフに由来する。それは一級芳香族アミン及び2つのカルボン酸で終結し、イソシアネートとの架橋反応のためにそれに3の官能価を与える。さらに、イソシアネートとカルボン酸との間の反応は、アミド結合及び二酸化炭素を生じ、ATIPAをフォーム重合中の化学発泡剤にする。
【0030】
図2(a)にはまた、それらの好ましい溶解性ならびに得られるSMPフォームのTg及び架橋密度の両方を制御する能力に関して選択された種々のジイソシアネート及びポリオールが示されている。ジイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及びトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)を包含する。ポリオールは、N,N,N’,N’テトラキスヒドロキシプロピルエチレンジアミン(HPED)、トリエチレングリコール(TEG)、ジエチレングリコール(DEG)、及び2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール(BEP)を包含する。ポリマーフォームは、モルフォロジー及び熱機械的性質に対するそれらの効果を定量化するために、これらの成分の様々なモル当量比で合成される。
【0031】
D.0 - データ
ATIPAを重合するためのハードルは他のモノマー、特にジイソシアネートとのその限られた溶解度である。ある範囲の組成物が、ATIPA、DEG、BEP、及びHDIを用いて首尾よく重合されて、
図3に示されるポリマーフォームを生じた。これらのフォームは、ジイソシアネートとのATPA(15%モル当量)ジカルボン酸反応によって吹き込まれ、133mg I/mlでX線コントラストを示した。フォーム密度及び孔径は、異なる百分率のプレポリマーヒドロキシル当量比でプレミックス粘度を変えることによって制御した。
【0032】
D.1 - トピック1: 造影剤、ポリオール、及びジイソシアネートモノマー配合物を変えることにより、X線可視SMP配合物を化学的及び熱機械的に特徴付ける。
実施形態は、前記非イソシアネート成分の20~30モル%から変化するATIPAを有するポリマーサンプルを包含する。この目的はバルク材料の特性に焦点を当てているため、密度に関係なくサンプルはその自然な状態で検査される。ATIPAをモノマーとして使用する場合、20~30モル%が約175~275mg I/mlを提供する。このヨウ素負荷密度は、伝統的な血管造影造影剤注入濃度の密度に匹敵し、且つ、最小の経路長で十分な材料の視覚化を提供する。
【0033】
図4は、異なる濃度で組み込まれたATIPAと共に30~55℃の間でTgを調整するために異なるヒドロキシルモノマー組成物(40~50モル%TEG又はDEG)を利用する2つの高密度SMPフォームシステムの示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。このデータセットは、体温作動に関連する遷移を有する材料を合成するためにモノマーの組み合わせの実施形態を使用できることを示している。さらなるモノマーの組み合わせは、DSCによって決定されるように、バルク熱機械的性質のよりタイトな制御を可能にする。実施形態は、混和性であるモル当量比の範囲を囲むように合成される。他の組成物は、ゲル分率及び形状記憶歪み回復を包含する材料特性に対するより優れた制御のためにATIPAに加えて架橋剤を包含する。
【0034】
FTIRスペクトルは、各組成物について化学的特徴を与え、そしてポリマーネットワークへのヨウ素の共有結合の組み込みを実証する。テトラヒドロフラン中のゲル分率分析は十分な架橋を確認する。
【0035】
D.2 - トピック2: 神経血管塞栓術に適したフォーム密度、機械的性質、及び体積回収率を達成するために泡立ちパラメータを調整する。
フォームの形態は、界面活性剤濃度、触媒濃度(アミン及び錫)、プレポリマーのヒドロキシル比(粘度)、及び物理的発泡剤濃度(Enovate(登録商標) 245fa)を変化させることによって制御される。全ての触媒及び界面活性剤は、Air Products(登録商標)を通じて取得することができる。温度依存プレミックス粘度プロファイルは、コーンプレート粘度計を使用して得ることができる。走査型電子顕微鏡は、完成したフォームの孔径及び形態を定量化することができる。密度は、均一な(1cm3)材料ブロックの重量分析によって測定することができる。密度及び孔径の成功基準は、プロトタイプの神経血管塞栓デバイスの仕様に基づいてもよい。
【0036】
フォームサンプルは、一軸引張試験のためにドッグボーン(dog bones)にCO2レーザー切断することができる。フォームの形態、組成、及び機械的完全性の間の機能的関係を決定するため、極限引張強さ、破壊ひずみ、及び靭性を使用することができる。80kPaの最小引張強度閾値(いくつかの実施形態において)は、7体積パーセントのナノ粒子状タングステンで不透明化されたSMPコンポジットの強度に基づく。
【0037】
各配合物の形状記憶容量を決定するために、TA Instruments Q800 Dynamic Mechanical Analyzer(登録商標)を用いて、周期自由ひずみ回復及び周期拘束回復実験を圧縮して実施することができる。これらの実験は、ガラス弾性率、ゴム弾性率、及びガラス転移温度を含むバルク熱機械的性質を定量化することができる。それらはまた、各SMPフォーム組成物についての形状固定性、回復力、及び歪み回復を定量化し得る。より高いATIPA及びHPED濃度を有する組成物は、より高い架橋密度のために、より高い形状記憶歪み回復を示す。
図5は、デバイスのプロトタイピングのための製剤を選択するために使用される目的1~2及び合格基準に関するすべての材料特性評価手法をまとめたものである。
【0038】
目的1~2に対応するすべての材料特性評価手法と、デバイスのプロトタイピングに使用する配合を選択するための合格基準をまとめたものです。
D.3 - トピック3: 解剖学的動脈瘤モデルに送達された塞栓フォームデバイスのプロトタイプの透視視認性を検証する。
実施形態は、0.021インチIDのマイクロカテーテルを介して送達されてもよい(したがって、実施形態は、マイクロカテーテルのIDよりも小さいクリンプ外径を有する)。デバイスは、蛍光透視法による視覚化の下で、体温での模擬生理学的流れを用いて動脈瘤ファントムに送達されてもよい。比較のために、競合の360° GDC-10(登録商標)ベア白金塞栓コイルもファントムに送達することができる。すべての送達手順は、ヒトの頭蓋骨の不透明度をシミュレートするために、1/2インチのアルミニウムプレートを貫通してイメージ化され得る。デバイスはまた、平面固定具に配置され、そして硬及び軟ブタ組織を貫通して撮像され得る。
図6は、溶媒膨潤によって材料に物理的に組み込まれたイオヘキソールを有する2.5mmフォームの固定具の一例を示す。
【0039】
D.4 - 代替実施形態
いくつかの実施形態は、(上述の共有結合ヨウ素ベースのモノマーの代わりに、又はそれに加えて)バルク硬化アプローチを改善するための溶媒ベースの合成アプローチを包含する。造影剤は、ポリウレタン合成での使用には適していない、水やアルコールなどの極性の高い溶媒に溶解するように設計されている。ただし、ATIPAはテトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、及びジメチルスルホキシド(DMSO)に可溶である。
図7は、固体ATIPAモノマーをポリウレタンSMPフォームに組み込むための代替合成戦略を要約する。第一に、造影剤を無水THF溶液中で過剰のHDIと予備重合させる。この最初の予備重合は溶解度の問題を排除し、そして最終材料中のTg及び架橋密度を操作するための多数のポリオールの使用を容易にする。さらに、ATIPA含有量とは無関係に発泡制御を可能にするため、このステップは発泡ステップからCO2発生を効果的に除去する。予備重合後、回転式蒸発を用いてTHFをオリゴマー溶液から除去する。いくつかの実施形態では、プレポリマー溶液は化学量論的当量のポリオールと混合され、ニート(neat)フィルムに硬化される。実施形態において、ポリマーフォームは、プレポリマー溶液をポリオール架橋剤、界面活性剤、ポリウレタン触媒、及び物理的発泡剤と組み合わせることによって合成することができる。カルボン酸反応のためのアミド触媒は、さらなるフォーム最適化のためにいくつかの実施形態において使用され得る。
【0040】
ATIPAに代わるものとして、イオヘキソールはFDA承認の血管造影造影剤である。この分子は水溶性であり、一般に生体適合性であり、そして腎臓によって取り除かれる。イオヘキソールは、水溶性を促進し且つ重合のための反応性部位として働くことができる6個のヒドロキシル官能基により終結される。イオヘキソールは、ジメチルホルムアミド(DMF)及びジメチルスルホキシド(DMSO)に可溶である。
【0041】
これらは、追加の製造上の複雑さ及び残留溶媒への懸念から、代替合成戦略として選択された。ニートポリマーフィルムは、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)及びゲル分率分析を用いて化学的に特徴付けることができる。各材料組成物はまた、引張試験、動的機械分析(DMA)、及び示差走査熱量測定(DSC)を用いて熱機械的に試験されてもよい。提案された特定の目的と同様に、生理学的ガラス転移温度(DSC)、最大靭性(引張試験)、及びゴム弾性率(DMA)に基づいて、発泡のために組成物を下位選択されてもよい(down-selected)。
【0042】
したがって、実施形態は、神経血管塞栓デバイスの特徴付けのために調整することができるフレキシブルな構造-特性関係を有するX線可視SMP材料システムを提供する。重要な材料パラメータを制御することで実施形態が可能になる。
【0043】
実施形態のより詳細な説明
出願人は、0.015g/cm3という低い質量密度及び97%の形状回復を容易にする高い架橋密度を有する超低密度SMPフォームを製造した。これらの特性は集合的に70倍のフォーム体積膨張を可能にする。現在のコイリング技術と組み合わせてこれらの低密度SMPフォームを利用すると、処置時間及び費用を減らすため、動脈瘤を満たすのに必要なコイルの数を大幅に減らすことができる。さらに、SMPフォームの膨張力はBPCによって加えられるものよりも著しく低く、移植中の動脈瘤解離の危険性を低下させる。他のコイルベースの塞栓形成デバイスと同様に、塞栓フォームは血流を乱すこと、及びフォーム内の血餅形成を誘発することによって動脈瘤を閉塞する。
【0044】
SMPの多くの医療用途は、蛍光透視法で撮像しながら血管内送達を伴う。蛍光透視デバイスの視覚化は、デバイスを動脈瘤の解剖学的構造内に適切かつ安全に配置するために不可欠である。脳動脈瘤塞栓術の場合、SMP X線コントラストの欠如は、放射線不透過性(radiodense)BPC上のコーティングとしてSMPを利用することによって部分的に対処することができる。
図1はこのアプローチの限界を強調している。左側のフレームは、ブタ側壁動脈瘤モデルの典型的な解剖学的構造を描いている。真ん中のフレームは、伝統的なBPCで治療された動脈瘤のデジタルサブトラクション血管造影を示しており、これは、臨床医が十分なコイル巻きの主要な指標として使用するコイル質量の密な2D投影を表している。動脈瘤はコイルで密に充填されているように見えるが、塞栓コイルの平均充填密度は30~35%の範囲である。右側のフレームは、SMPフォーム被覆塞栓コイルで治療した動脈瘤を示している。動脈瘤は、放射線投影法によればゆるく充填されているように見えるが、しかし、注入された造影剤の限られた侵入は、コイル間の間隙が非X線可視塞栓フォーム及び血栓で充填されることを証明する。動脈瘤塞栓形成の主要な指標として注入された造影剤を使用することは、それが標準的な2D放射線投影法から逸脱するので、デバイスの臨床的採用のためのハードルである。この手順上の変更は、動脈瘤をフォーム被覆コイルで過剰充填する可能性がある。提案されているX線可視SMP製剤は、臨床医に真の容積閉塞のためのより良い視覚を与えることによってこれらの合併症のリスクを減らすことを意図している。
【0045】
以前は、SMPフォームX線可視性は、フォームマトリックスにタングステン微粒子を配合することによって向上していた。しかしながら、このアプローチは、靭性が低下したコンポジットをもたらし、それはin vivoでの粒子生成及びそれに続く血流中の塞栓に対する懸念を提起する。さらに、微粒子の組み込みで達成される不透明度は、神経血管塞栓術に使用されるもののような小径、低密度のデバイスには十分ではない。マトリックス内の分散を増加させることによって材料の靭性の低下に対処するために、放射線不透過性ナノ粒子添加剤を調べた。低濃度のナノ粒子は、機械的強度及び靭性を改善したが、十分なX線可視化に必要とされる濃度まで充填剤濃度を増加させることもまた、機械的性質の低下をもたらした。従って、機械的完全性を犠牲にすることなく改善されたSMP X線コントラストが必要とされている。
【0046】
特に、SMP塞栓フォームへのタングステン微粒子のバルク材料添加は、神経血管用途に十分なX線コントラストを誘導するのに成功していない。さらに、改善された材料コントラストのために粒子充填率を増加させることは、破壊靭性の減少及び粒子生成の増加を包含する、望ましくない機械的性能をもたらす。
【0047】
不透明SMPマイクロ又はナノコンポジットの代替として、一実施形態は、バルクフォーム特性に影響を与えることなくX線の可視性を高めるためにポリマーマトリックスにヨウ素モチーフを組み込む。
【0048】
粒状添加剤と比較した場合、合成中にトリヨードベンゼンモノマーを材料に組み込むという化学的手法は、バルク材料の機械的完全性に影響を与えることなく、より高いコントラスト装填百分率を可能にする。この放射線不透過性(radiodense)SMP材料システムは、白金バックボーン又はマーカーバンドなどの金属成分を必要とせずに塞栓用途のための低密度フォームを包含する実施形態を提供する。この材料システムは、実施形態に、脳血管塞栓術又は末梢塞栓術を包含する様々な用途に使用される完全に(又はほぼ完全に)高分子の分解性塞栓デバイスを提供する。この研究は、特定のSMPフォームシステムへのヨウ素の組み込みに焦点を合わせているが、実施形態は、移植中のそれらの画像化を可能にするために一連のポリマー生体材料に適用可能である。
【0049】
図6は、X線可視化のために放射線造影剤と形状記憶ポリマーフォームとを組み合わせた結果を示す。これらの直径2.5mmのフォームシリンダーを、エタノールに溶解したイオヘキソールの溶液で溶媒膨潤させ、そして真空乾燥した。膨張したフォームは、伝統的な蛍光透視法を用いてブタの頭蓋骨を貫通して撮像された。これらのコンポジットは、市販のGDC10塞栓コイルと同等の可視化を示した。目に見えるが、イオヘキソールの物理的組み込みはセラミック材料に匹敵する望ましくない機械的性質を生じた。化学的取り込みをさらに動機付ける(しかし、いくつかの実施形態では、化学的組み込みシステムの代わりに、又はそれに加えて依然として含まれる)。
【0050】
図2(a)は、X線可視SMPシステムを調査するために選択されたモノマーを描く。脂肪族イソシアネートは、塞栓用途における生体適合性に基づくポリウレタン組成物のために選択された。材料の膨張率を調整するために、Tg及びバルク材料の疎水性を制御するため、HDIとTMHDIのモル比を変えることを用いた。
【0051】
一実施形態では、造影剤モノマーは5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA)である。ATIPA分子のX線コントラストは、3つの高zヨウ素原子を組み込んでいるトリヨードベンゼンモチーフに由来する。それは一級芳香族アミン及び2つのカルボン酸で終結し、イソシアネートとの架橋反応のためにそれに3の官能価を与える。さらに、イソシアネートとカルボン酸との間の反応は、アミド結合及び二酸化炭素を生じ、ATIPAをフォーム重合中の化学発泡剤にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0052】
溶解度はこのシステムの開発にとって重大な障壁だった。ATIPAは、イソシアネートにおいてゼロの溶解度を有する親水性固体モノマーである。ATIPAはテトラヒドロフラン及びジメチルスルホキシドに可溶であるが、最終用途の医療製品において(少なくともいくつかの実施形態において)有機汚染物質を軽減するために、無溶媒合成手順が好ましい。提案されたポリオール、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール(BEP)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPD)、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、1,2,4-ブタントリオール(BT)及び1,2,6-ヘキサントリオール(HT)は、最終材料における好ましいATIPA溶解度及びTg制御に基づいて選択された。
【0053】
図8は、これらの材料と追加の溶解性障害を描いている。プレミックス樹脂は良好な溶解性を実証したが、最終材料はかなりの相分離を示した。ATIPA沈殿は、第三アミン発泡触媒の添加中に主に見られた。この種の沈殿は、ポリオール架橋モノマーHPED及びTEAを用いた初期の材料開発でも見られた。第三アミンは、溶液からのATIPA沈殿を引き起こし、そしていくつかの実施形態では回避されるべきであるが他では回避されるべきではないと結論付けられた。触媒がなくても、ATIPAの反応性は材料の発泡時に重大な悪影響をもたらすことはない。
【0054】
以下の考察は、HDI、TMHDI、ATIPA、BEP、MPD、及びHTを利用するシステムの最適化に焦点を当てています。酸化的分解を受けやすいエーテル結合を組み込んでいない理論的により生物耐久性のある脂肪族系を創製することによって分解生成物の生体適合性の危険性を軽減するために、TEG及びDEGを置き換えるために、MPDが提案された。
【課題を解決するための手段】
【0055】
材料及び方法
フォーム合成
図9は、合成されたフォーム組成物の実施形態を要約する。ポリウレタン合成のA側については、反応性ヒドロキシル、アミン、及びカルボン酸官能基が当量%計算のために考慮される。フォーム混合中の周囲湿気汚染を考慮するため、2%モル過剰のイソシアネートを各フォーム合成に添加した。HDI、TMHDI、BEP、MPD、ATIPA、及びHTは、VWR Scientific及びSigma Aldrichから入手したとおりに使用した。
【0056】
図10は、ATIPA発泡プロトコルの概要を提供する。要約すると、ヒドロキシル(OH)プレミックスは、発泡の1日前に、0.6当量比の非イソシアネートモノマー(ATIPA、BEP、MPD、HT)を15mlのポリプロピレン製flactek混合カップに合わせることによって調製した。内容物をFlacTek(登録商標)高速剪断ミキサー中で3400rpmで30秒間混合し、50℃で1時間加熱し、3400rpmで30秒間再度混合し、そして50℃で一晩加熱した。完全な溶解性を達成するため、30及び40当量%のATIPA組成物については、5重量%及び8重量%の無水THFをOHプレミックスに添加した。
【0057】
150mlのポリプロピレンFlacTek(登録商標)混合カップ中で、0.4モル比の反応性ポリオール当量をジイソシアネート当量の全体に加えることによって、粘性イソシアネート(NCO)プレミックスを乾燥グローブボックス中で調製した。単相が達成されるまで、内容物を3400rpmで10分間混合した。このプレミックスを、混合物が蜂蜜に匹敵する室温粘度に達するまで、室温で2~5時間、1rpmで振盪した。0AT組成物については、発泡中の硬化時間を長くするため、0.04gのAir Products(登録商標)T131ゲル化触媒及び0.08gのAir Products(登録商標)BL22発泡触媒を添加した。
【0058】
発泡中にフォームを安定化するため、4重量%DCI990界面活性剤をNCOプレミックスに添加し、30秒間混合した。1-2mlのEnovate(登録商標)を直ちに反応性樹脂に添加し、30秒間混合した。20分間の硬化のために、反応物を直ちに90℃のオーブンに移した。硬化後、フォームの表皮をかみそりで取り除き、フォームを50℃で12時間、後硬化させた。後硬化したフォームを立方体にし、そして乾燥ポリプロピレンバッグ中に貯蔵した。
【0059】
物理的特徴付け
細孔サイズは、可変照明アダプターを備えたKeyence(登録商標)VHX-5000計測システムを使用して50倍及び100倍の倍率で取得された光学顕微鏡画像から決定された。フォームサンプルを軸方向及び横断方向の面において2~4mmのスライスに切断した。各フォーム画像について10個の孔径測定を行った。
【0060】
密度測定のために各組成物から約1cm3の大きさの6個の立方体を取り出した。密度は、サンプルの質量をサンプルの長さ、幅、及び高さの積で割った値で計算した。
【0061】
蛍光透視法
1cm×1cmのサンプルを8、4、2、及び1mmの厚さのスライスに切断すること、及びそれらをポリプロピレンシートに接着させることによって、フォームサンプルをX線イメージング用に調製した。各フォームアレイは放射線写真標準として白金塞栓コイルを包含した。末梢閉塞プロトタイプは、フォームを直径8mmのシリンダーに切断すること、及びそれらを0.006インチのステンレス鋼線に軸方向に通すこと(threading)によって調製した。1つのプロトタイプは拡張状態で画像化され、他方のプロトタイプは機械式溶液SC250加熱ステント捲縮機を用いて軸方向に捲縮された。サンプルを圧着孔(crimping bore)内で100℃で15分間平衡化し、半径方向に圧縮し、そして周囲温度に冷却しながら拘束した。直径2mmの且つバックボーンワイヤなしで神経血管プロトタイプもまた調製し、そして軸方向にクリンプした。血管造影画像及び蛍光透視画像は、Philips(登録商標)Allura Xper FD20 X線システムを用いて取得された。
【0062】
DSC
乾燥Tgは、通気口付きアルミニウム製パン中の5~10mgのフォームサンプルについてTA Q200(登録商標)示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter)を使用して決定した。サンプルを-40℃で5分間平衡化し、次いで120℃に加熱し、-40℃に冷却し、そして10℃/分の温度勾配で120℃に再加熱した。Tgは第2の加熱曲線の変曲点で計算した。
【0063】
実施例24aは、直前の段落に記載されたこのプロセスを使用して計算されるTgを列挙する(すなわち、特許請求の範囲に記載のTgは、時間(time)、温度、プロセス、及び第2の加熱曲線の変曲点に関する上記試験を使用して計算される)。
【0064】
湿気可塑化を達成するため、湿潤Tgフォームサンプルを50℃の水中に30分間浸漬した。Carver(登録商標)実験室用プレスを用いて2トンで30秒間、ティッシュペーパーの間でフォームを圧縮することによって水分を除去した。5~10mgのフォームサンプルをアルミニウムパンに添加し、そして気密封止した。サンプルを-40℃に冷却し、5分間平衡化し、そして10℃/分で100℃に加熱した。加熱曲線変曲点から湿潤Tgを計算した。
【0065】
DMA
動的機械分析(dynamic mechanical analysis)は、TA Q800(登録商標)を用いて行った。フォームシリンダーを8mm生検パンチを用いて調製し、カミソリを用いて長さ約5mmに切断した。サンプルを0℃に5分間平衡化し、1Hzで40μmの変形を受けながら3℃/分で120℃に加熱した。
【0066】
制約のない膨張
様々なHT含有量を有するフォームを直径2mmの円筒に切断し、0.006インチのステンレス鋼線に軸方向に通した(threaded)。サンプルはMachine Solutions(登録商標)SC250加熱ステントクリンパーを用いて半径方向に圧縮した。クリンプしたサンプルを37℃の水浴中で膨張させる前に24時間緩和させた。サンプルを5分間隔で合計45分間撮像した。ImageJ(登録商標)ソフトウェアを使用して、膨張フォームの長さに沿って5つの直径測定を行った。
【0067】
ATR FTIR
ATR FTIRスペクトルは、ダイヤモンドATR(登録商標)結晶を有するBruker ALPHA Infrared Spectrometer(登録商標)を用いて得られた。データ分析は、Bruker OPUS Spectroscopy software(登録商標)を用いて行った。
【0068】
引張試験
乾燥フォームサンプルは、ASTMタイプIVのドッグボーンパンチを用いて調製した。一軸引張試験は、Instress 30 Material Tester(登録商標)(MTS Systems Corporation、Eden Prairie, ミネソタ州)を用いて、50mm/分の一定のひずみ速度で室温で行った。極限引張強度(kPa)、破断点歪み(%)、及び弾性率(kPa)は、各サンプルの応力-歪み曲線から計算した。
【0069】
ゲル分率(Gel Fracttion)
20:1の希釈比で、イソプロピルアルコール中で30分間の超音波処理を3回行って残留界面活性剤を除去するため、約1立方センチメートルの大きさのフォームサンプルを洗浄した。サンプルを100℃で12時間真空乾燥した。乾燥したフォームサンプルを秤量し、そしてTHFで肩まで満たした20mlのバイアルに添加し、そして1Hzの振動で50℃に48時間加熱した。THFを除去し、サンプルを60℃で24時間真空乾燥した。ゲル分率は、最終サンプル質量を元のサンプル質量で割ったものとして報告されている。
【0070】
結果と考察
様々な体積のEnovate(登録商標)を有する
図11の組成物1~5については、物理的発泡剤の体積が増加するにつれて材料密度が減少するという明らかな傾向がある。乾燥Tg値(一元配置分散分析(one way ANOVA)、α=0.05)には統計的に有意な差があるが、この変動がデバイス設計基準に有意に影響を与えるとは予想されない。材料密度と細孔形態との間の関係は、次のセクションで提示される光学顕微鏡画像においてよりよく説明されている。
【0071】
HT含有量が異なる組成物6~9は、300~400μmの範囲で同等の密度及び一定の平均孔径を有する。各組成物について乾燥Tg間には統計的に有意な差がある(一元配置分散分析、α=0.01)。HT含有量を増やすと材料の架橋密度が上がる。架橋間の分子量を減少させると、より高いネットワーク剛性及びより高いガラス転移温度がもたらされる。これらの組成物は、HT組成が一定の造影剤装填量(20%ATIPA)及びフォーム密度でTgを制御するための有効な方法であることを実証した。
【0072】
ATIPA含有量は、組成物10~13について様々であった。HT含有量もまた、一貫した理論的架橋密度を維持するために変えた。これらのフォームは、ATIPA含有量の増加と共に嵩密度の減少を実証した。この結果は、ATIPAモノマー上に存在する2つのカルボン酸基によって生じる発泡反応のために期待される。乾燥Tgは、ATIPA含有量の増加と共に増加する。これらの組成物の理論的架橋密度は一定であるが、ATIPAの芳香族構造は脂肪族HTモノマーよりも硬いため、ネットワーク剛性とガラス転移温度が上昇する。
【0073】
組成物15~17は全て、イソシアネート含有量を変えることにより20当量%のATIPAを有する。イソシアネート組成を変えることは、変化したHT含有量よりもTgに対する有意な影響が少ないことを実証した。TMHDI含有量が増加したフォームは成功裡に製造されたが、それらはHDIフォームと比較して定性的にもろく、さらなるデバイス最適化のために選択されなかったが、いくつかの実施形態においては適切である。
【0074】
選択された組成物についての平均ゲル分率は、94.5~99.0%の間の範囲であった。これらの値は、以前の非可視SMPフォーム配合物において報告されたものに匹敵する。ゲル分率が高いと、浸出性化学物質に関連した合併症が永続的に埋め込まれた生体材料から出るリスクが減少する。必要ならば、このリスクは、デバイス移植の前にいずれの潜在的な未反応浸出物を除去するためのより厳密なフォーム洗浄プロトコルによってさらに軽減され得る。
【0075】
フォーム1-17を特徴付けた後、引張試験及び神経血管プロトタイプ製作のために、組成物18及び19を4倍スケールで製作した。これらの組成物は、望ましい形態及び熱機械的性質を達成するため、化学的変化を取り入れた。
【0076】
光学顕微鏡法
図12は、発泡剤を増加させるとフォームの形態に与える影響を示す図である。物理的発泡剤を使用しない「0ml」組成物は、依然としてATIPA発泡反応に起因する多孔性(porosity)を有する。これらの孔は0.5ml及び1.0mlのフォームにサイズが匹敵するが、支柱(strut)の形態はバルク材料密度における有意差を説明する。同様に、1.5ml及び2.0mlのフォーム中のより小さい孔は、細い支柱(strut)構造に起因する最も密度の低い材料をもたらす。
【0077】
図13は、比較可能な孔径、密度、及び支柱形態を有する、様々なHT組成を有するフォームを示す。標的の医療機器用途に向けた材料の最適化を可能にするために、組成、及びその後の熱機械的特性をフォーム形態とは無関係に変更することができることに留意することが重要である。化学的ATIPA発泡(blowing)と物理的発泡の両方を使用することは、組成とは無関係に形態制御を可能にする。
【0078】
ATIPA含有量の変化によるプレミックス粘度の変化を補償するために発泡(foaming)パラメータを変えなかったので、
図14におけるフォームは細孔形態に有意な差がある。しかしながら、このシリーズは最大30当量%ATIPAまでの混和性を示した。ATIPA沈殿を防止するために、30当量%ATIPA組成物が合成中に5重量%の無水THFを必要としたことに留意することが重要である。
【0079】
図15は、イソシアネート含有量が異なる発泡体の詳細を示す。すべてのフォームは定性的な光学的透明度を示します。この見込みのあるモノマー混和性は、イソシアネート組成物を、調整された材料性能のためのバルク熱機械的性質及び疎水性を制御するための可変なものにする。
【0080】
引張試験
図16は、従来のSMPフォーム、タングステン充填SMPコンポジット、25当量%ATIPAフォーム、及び30当量%ATIPAフォーム(組成物18及び19)についての代表的な応力対ひずみ曲線及び関連計算を示す。
【0081】
これらの新しいATIPAフォーム組成物は、低密度SMPフォーム用としてこれまでにない材料特性を達成する。材料強度(ピーク応力)の増加は、ATIPAモノマーの芳香族構造によるものである。本出願人は、分解生成物中の芳香族ジアミンの生体適合性に関する懸念のために、トルエンジイソシアネートのような芳香族ポリウレタンモノマーを伝統的に避けた。しかしながら、芳香族化合物は伝統的にそれらの脂肪族対応物と比較した場合に高い強度を示す。このポリマー系は、酸化的又は加水分解的分解のための最小限の部位で生体耐久性があるように設計されているが、芳香族分解生成物の生体適合性はいくつかの実施形態において満足のいくものである。
【0082】
延性(破断ひずみ)の増加は、不可視の(non-visible)コントロールSMPフォームと比較した架橋密度の減少に起因する。本出願人によって伝統的に使用されているフォームは、3(TEA)又は4(HPED)の官能価を有するポリオールを使用した。これらの架橋部位は、高度に架橋された材料を作り出すため、短いジイソシアネートセグメント(TMHDI又はHDI)によって架橋されている。この架橋密度は優れた形状記憶を与えるが、全体的な靭性を比較的犠牲にする。出願人は、これはきれいな(neat)フォームにおいては問題ではないと判断したが、支柱(strut)の断面に応力集中を引き起こすタングステン負荷コンポジットでは問題となる。あるいは、提案されたATIPA組成物は、延性を増大させるために架橋間の分子量を増大させるために脂肪族ジオールMPD及びBEPを使用する。ATIPAの剛性は、全体的な材料の転移温度を機能的な生物医学的範囲(40~60℃)内に保ちながら、この鎖延長を可能にする。
【0083】
延性及び強度の増加の組み合わせは、引張靭性の有意な増加に寄与する。不可視の(non-visible)フォームと比較して、25AT及び30AT組成物は、それぞれ11倍及び14倍以上(over)強靭である。6vol%のタングステンナノ粒子フォームと比較して、25ATフォーム及び30ATフォームはそれぞれ46倍及び57倍強靭である。この劇的な靭性の増加は、望ましくない塞栓粒子がフォームから剥離して標的治療領域から下流に流れるリスクを著しく低下させる。あるいは、ネイティブな(native)フォームに開放気孔を作り出すために気泡開放剤(cell openers)を導入すること。発泡パラメータを最適化することができる。
【0084】
X線イメージング
図17は、様々なATIPA含有量を有する低密度フォームのX線可視性を要約する。10~30当量%のATIPAを有するフォームは、発泡ATIPA反応がより高い造影剤負荷でより低い材料密度をもたらすので、同程度の(comparable)X線可視性を示す。これらの相反する傾向は、同じ拡大されたサンプル経路長内で同等の(comparable)ヨウ素含有量をもたらした。
【0085】
8mmの円柱状の末梢塞栓形成プロトタイプは、頭蓋骨の類似体を貫通して撮像した場合でも、それらの拡張状態で可視性を示した。放射状にクリンプされた(crimped)場合、これらの材料は市販の塞栓白金コイルに匹敵する視認性を示した。ラジアル圧縮はバルク材料密度の違いも補正し、さまざまなATIPA含有量を有するサンプルのX線可視化の違いを明らかにする。たとえば、1/2インチのアルミ製頭蓋骨類似体を貫通して撮像した場合、半径方向に圧縮された30ATサンプルは20ATサンプルよりも目立って目に見えやすい。
【0086】
図18は、様々な密度において固定された20当量%ATIPA組成物を有するフォームを詳述する。材料密度を上げると、材料の視覚化が高まり、頭蓋骨の類似体を貫通した場合でも、最も密度の高いフォームが、わずか1mmの厚さで視認性を示す。2mm神経血管プロトタイプは、軸方向にクリンプしたときでさえ、限られた可視性を示した。
【0087】
神経血管デバイス規模での限られた材料の視認性に対処するために、実施形態は、より高いATIPAパーセンテージを有するフォームを組み込む。あるいは、いくつかの実施形態は、神経血管デバイススケールで前例のないレベルのSMPフォーム可視化を達成するために化学的不透明化及びタングステンナノ粒子充填の組み合わせアプローチを採用する。前のセクションの引張試験データに基づいて、タングステンナノ粒子応力集中剤を含むATIPAコンポジットは、従来の不可視のSMPフォームよりも高い破壊靭性を持つ。これは、デバイス移植中の優れたX線視覚化を可能にしながら、望ましくない塞栓性微粒子についての既存の許容可能なリスクレベルを維持する。
【0088】
DSC
Tgに対する組成の影響及び熱転移の幅を決定するため、示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry)を使用した。このデータは、フォームの膨張率などを包含する、特定のデバイス設計基準に合わせて調整された材料を開発するための重要なインプットである。
図19は、物理的発泡剤に起因して密度が変化するフォームについての一貫した熱的性質を説明し、転移温度と無関係にフォームの形態を制御する能力をさらに裏付ける。フォーム密度を下げることは、カテーテルを通して送達可能である断面により多くの材料をクリンプすることを可能にする。これにより、in vivoでのより大きな体積膨張及び閉塞を促進するためのより効果的な充填が可能になる。
【0089】
図20は、HT組成に基づく乾燥及び湿潤可塑化Tgの両方に対する増分制御を示す。三官能性HTモノマーのモル比を増加させると、ポリマー構造をより硬くするため、そしてガラス転移を高めるため、架橋密度を増加させる。各組成物について、湿った遷移と乾いた遷移は体温(37℃)の両側に配置され、いったん体内に移植されると受動的な材料の膨張を可能にする。これらのサーモグラムに基づいて、20HT、30HT、及び40HT組成物は、デバイス開発に向けたさらなる分析のために選択された。10HT組成物は、神経血管デバイスのプロトタイプスケールでは十分な作業時間(times)に対して乾燥遷移が低すぎると決定されたが、いくつかの実施形態において適用可能である。
【0090】
転移温度値及び転移幅は、HT含有量が増加するにつれて増加する。図の左下隅に見られるように、完全に可塑化された10HT組成物は、サーモグラムにおいて水の凍結を記録するのに十分な含水量を依然として含有していた。
【0091】
それほど重要ではないが、イソシアネート含有量を変えることによってもTgを制御することができた(
図21)。架橋密度を変える代わりに、TMHDIのモル比を増加させると、架橋間のポリマー鎖の剛性が増加した。Tgを上昇させることに加えて、材料の湿潤可塑化速度と全体的なフォームの膨張時間を減らすため、より高いTMHDI含有量はまた、材料のバルク疎水性を増大させると予想される。
【0092】
増加したATIPA組成を示すサーモグラムを
図22に示す。増加したTgに加えて、転移幅の有意な増加もある。遷移もまたあまり定義されなくなる。サーモグラムプロファイルのこれらの変化は、十分な分析又はプロトタイピングには脆すぎる40AT組成物を除いて、これらの選択された組成物についてのさらなるDMA分析の動機となった。
【0093】
DMA
図23と
図19とを比較すると、ピークTanδ値はDSC乾燥Tg値より約20℃高い。ただし、各組成の増分の違いは同程度である。このDMAデータはさらに、HT含有量の増加と共にTgの増加を支持する。
【0094】
図24のタンジェントδプロットは、
図21の乾燥DSC値よりも20~30℃高いTg値を示している。DMA曲線もまた、増加したATPA含量と共に増加したTg及び転移幅と共に同様の傾向を示す。最も興味深いのは、30AT組成物曲線の形状である。シグナルピークは明白であるが、Tanδシグナルは熱転移後にベースラインに戻らない。これは、いくつかの実施形態には適しているが他の実施形態には適していない貧弱な形状記憶特性である、低いゴム弾性率を有する減衰材料を示している。これらの結果に基づいて、デバイスプロトタイピング用のフォーム組成物は、溶媒なしで他のポリオール成分中のATIPAの最大固有溶解度に基づいて選択された。この最大値は、組成によって異なるが、20~25 ATIPA当量%の範囲である。
【0095】
制約のない膨張
様々なHT含有量を有するフォームは、Tgの傾向と一致する体温水中での体積回復挙動を示した。
図25に見られるように、より高いHT含有量及びより高いTgを有する組成物は膨張するのにより長い時間(longer)を要した。30及び40当量%HT組成物はまた、より低い架橋密度(91%)を有する20当量%HTフォームと比較したとき、より高い平均体積回収率(99%)を示した。
【0096】
このデータは、実施形態が神経血管塞栓デバイスの設計に適していることを示している。0.0196インチ±0.001インチの平均捲縮(crimped)径で、これらプロトタイプは目標最小公差0.002インチで0.021インチのマイクロカテーテルルーメン内にぴったり収まる(close to fitting)。発泡剤及び界面活性剤組成物を変更すると、より小さい直径のデバイスバックボーンフィラメントを使用することに加えて、より小さい捲縮寸法でバルクフォーム密度を減少させることができる。
【0097】
これらの膨張プロファイルは、30HT組成物については10分、40HT組成物については15分の推定最小作業タイムを示す。これらのデフォルト膨張タイムは、湿潤可塑化を調整するために表面コーティングを使用することなく、すでに臨床的に許容可能な範囲内にある。
【0098】
FTIR-ATR
図26の赤外スペクトルは、HT含有量が増加しても有意な変化を示さない。しかしながら、これらのスペクトルはポリウレタンフォームに特徴的なピークを示す。3310cm-1を中心とする広いピークは、N-H振動を強調している。2852cm-1及び2923cm-1におけるピークは、MPDメチル基からの対称及び非対称C-H伸縮からのものである。2260cm-1に未反応のNCOピークがないことに注目する価値がある。1685cm-1において、C=Oウレタンピークは水素結合のために著しく右にシフトしている。これは、セグメント化ポリウレタンと比較した場合、架橋間で比較的低い分子量を有する他のポリウレタンSMPフォームにおける水素結合ウレタンピークと一致する。強い水素結合アミドIIピークが1515cm-1に見られる。
【0099】
TMHDI含有量の増加に伴う20当量%のATIPAフォームスペクトルを
図27に示す。不可視の100TM H60フォームも比較のために含まれている。TMHDI含有量の増加に伴うメチル化の増加は、2800~3000cm-1の間のピークの広がりにより明らかである。不可視のフォームと比較して、ATIPAフォームは、伝統的なポリウレタン発泡(foaming)で使用されているH2O化学発泡がないために、1650cm-1で目立った尿素のショルダーを持っていない。
【0100】
図28の増加するATIPA含有量を有する組成物は、合成中のより高いNH2反応性基に起因して広い尿素のショルダーを示す。これは、化学発泡剤として水を使用する従来のポリウレタン尿素フォームに存在する尿素含有量とは異なる。ATIPA含有量の増加は、1360cm-1のピーク及び770cm-1のショルダーによっても明らかである。
【0101】
この作業において、固有のX線可視化を有する化学的に修飾された形状記憶ポリマーフォームは、トリヨードベンゼン含有モノマーの組み込みを介して首尾よく製造された。他の構成モノマーのモル比を変更することによっても、これらのポリマースキャフォールドおける機能的変化が実証され、これは、実施形態を塞栓医療用デバイスとして機能するのに適したものにする。
【実施例】
【0102】
例示的な実施形態を今から説明する。
【0103】
実施例1は、準安定二次形状にプログラムすることができ、且つ、直接X線可視化のために形状記憶ポリマーフォームがトリヨードベンゼンモノマーを含有するその一次形状に回復するように刺激することができる、熱硬化性形状記憶ポリマーフォームを含有する医療機器を包含する。
【0104】
実施例2は、トリヨードベンゼンモノマーが5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸、ジアトリゾ酸、イオヘキソール、トリヨードフェノールから選択される実施例1のデバイスを包含する。
【0105】
実施例3は、前記モノマー5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸が、前記形状記憶ポリマーのための架橋剤、発泡剤、及びX線造影剤として使用される実施例1のデバイスを包含する。
【0106】
実施例4は、前記形状記憶ポリマーフォーム組成物が、以下の脂肪族ポリオール:
1,2,6-ヘキサントリオール、2-ブチル-2-エチル-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリエタノールアミン、テトラキス-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、及び1,2,4-ブタントリオール、
のうち少なくとも1つを含有する、実施例1に記載のデバイスを包含する。
【0107】
実施例5は、前記形状記憶ポリマーフォーム組成物が以下の脂肪族ジイソシアネート:
ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、
のうちの少なくとも1つを含有する、実施例1のデバイスを包含する。
【0108】
実施例6は、前記形状記憶ポリマーが、1,2-ジアミノプロパン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,8-ジアミノオクタン、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、又は複数のアミンもしくはアルコール官能基を含有する他の脂肪族モノマー、を含有する実施例1のデバイスを包含する。
【0109】
実施例7は、前記形状記憶ポリマーフォーム組成物が以下の芳香族ジイソシアネート:
1,3,5-トリイソシアネート-2,4,6-トリメチルベンゼン、トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、のうち少なくとも1つを含有する実施例1のデバイスを包含する。
【0110】
実施例8は、前記形状記憶ポリマーフォームがポリ(ウレタン-尿素-アミド)である実施例1のデバイスを包含する。
【0111】
実施例9は、前記圧縮形状記憶ポリマーフォームが50~500mg/mlのヨウ素を含有する実施例1のデバイスを包含する。
【0112】
しかしながら、他の実施形態は、ヨウ素を100、200、300、400mg/ml又はそれ以上包含し得る。
【0113】
実施例10は、前記形状記憶ポリマーフォームが40~80℃の乾燥ガラス転移温度を有する、実施例1のデバイスを包含する。
【0114】
しかしながら、他の実施形態は、40~100、又は40~90、又は40~70、又は40~60℃である。
【0115】
実施例11は、前記形状記憶ポリマーフォームが湿気可塑化ガラス転移温度開始点(onset)37℃未満を有する、実施例1のデバイスを包含する。
【0116】
他の実施形態では、湿気可塑化ガラス転移温度開始点は、40、39、38、37、36、35、34℃未満である。
【0117】
実施例12は、実施例1のデバイスを包含し、当該デバイスの二次形状は、カテーテルを貫通した侵襲性の少ない送達を可能にする半径方向に圧縮された形状である。
【0118】
実施例13は、準安定二次形状にプログラムすることができ、且つ、直接X線可視化のために前記形状記憶ポリマーフォームがトリヨードベンゼンモノマーを含有するその一次形状に回復するように刺激することができる、熱硬化性形状記憶ポリマーフォームの製造方法を包含する。
【0119】
実施例14は、前記熱硬化性形状記憶ポリマーフォームが、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸、1,2,6-ヘキサントリオール、2-ブチル-2-エチル-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、脂肪族ジイソシアネート、物理的発泡剤、及び界面活性剤の組み合わせにより製造される、実施例13の方法を包含する。
【0120】
実施例15は、前記形状記憶ポリマーフォーム組成物がポリカプロラクトン(PCL)を含有する実施例1のデバイスを包含する。
【0121】
実施例1aは、ヨウ素に共有結合している熱硬化性形状記憶ポリマー(SMP)フォームを含むシステムを包含し、ここでは、
(a)前記SMPフォームは熱刺激に応答して圧縮二次状態から膨張一次状態へ膨張するように構成され、且つ、
(b)前記SMPフォームはポリ(ウレタン-尿素-アミド)である。
【0122】
実施例2aは、前記SMPフォームが放射線不透過性である実施例1aのシステムを包含する。
【0123】
実施例3aは、ヨウ素がトリヨードベンゼンモノマーに含まれる実施例2aのシステムを包含する。
【0124】
実施例4aは、実施例3aのシステムを包含し、ここでは、前記トリヨードベンゼンモノマーが、(a)5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA)、(b)ジアトリゾ酸、(c)イオヘキソール、及び(d)トリヨードフェノールのうち少なくとも1つを包含する。
【0125】
実施例5aは、前記トリヨードベンゼンモノマーがATIPAを包含する実施例4aのシステムを包含する。
【0126】
実施例6aは、前記ATIPAが前記SMPフォームのポリマー鎖を架橋する実施例5aのシステムを包含する。
【0127】
実施例6aの別のバージョンは、実施例5aのシステムを包含し、ここでは、(a)前記ATIPフォームが前記SMPフォームのポリマー鎖を架橋し、及び(b)別の架橋剤が前記SMPフォームのポリマー鎖を架橋する。
【0128】
実施例7aは、前記SMPフォームが白金、タングステン、及びタンタルのうちの少なくとも1つを包含し、白金、タングステン、及びタンタルのうちの前記少なくとも1つが前記SMPフォーム内で物理的に結合している、実施例3aのシステムを包含する。
【0129】
実施例8aは、白金、タングステン、及びタンタルのうちの前記少なくとも1つが前記SMPフォームに化学的に結合していない実施例7aのシステムを包含する。
【0130】
実施例9aは、前記SMPフォームを横断するバックボーンを含む、実施例3aのシステムを包含し、ここでは、前記バックボーンは、ポリマーフィラメント及び金属のうちの少なくとも一方を包含する。
【0131】
実施例10aは、前記バックボーンがポリマーフィラメントを包含し、金属を包含しない、実施例9aのシステムを包含する。
【0132】
実施例10aの他のバージョンにおいて、前記バックボーンはポリマーを包含するが金属を包含しない。実施例10aの他のバージョンでは、前記バックボーンは、ポリマーを多数%及び金属を少数%包含する。
【0133】
実施例11aは、
トリヨードベンゼンモノマーを提供するステップと、
(a)(i)複数のアミン官能基、(a)(ii)複数のアルコール官能基、及び(a)(iii)複数のカルボン酸官能基のうちの少なくとも1つを含む脂肪族モノマーを提供するステップと、
ジイソシアネートを提供するステップと、
前記トリヨードベンゼンモノマー、前記脂肪族モノマー、及び前記ジイソシアネートを溶液に混合するステップと、
前記溶液から熱硬化性形状記憶ポリマー(SMP)フォームを形成するステップと、
を含む方法を包含する。
【0134】
実施例12aは、実施例11aの方法を包含し、ここでは、
トリヨードベンゼンモノマーは、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA)、ジアトリゾ酸、イオヘキソール、及びトリヨードフェノールからなる群から選択される第1のメンバーを包含し、
前記脂肪族モノマーは、1,2,6-ヘキサントリオール(HT)、2-ブチル-2-エチル-プロパンジオール(BEP)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPD)、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、トリエタノールアミン(TEA)、テトラキス-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン(HPED)、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、1,2,4-ブタントリオール、1,2-ジアミノプロパン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,8-ジアミノオクタン、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、及びアスパラギン酸からなる群から選択される第2のメンバーを包含し、
前記ジイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、イソホロンジイソシアネート、1,3,4-トリイソシアナト-2,4,6-トリメチルベンゼン、トルエンジイソシアネート、及びメチレンジフェニルジイソシアネートからなる群から選択される第3のメンバーを包含する。
【0135】
実施例13aは、実施例12aの方法を包含し、ここでは、前記第2のメンバーが、HT、BEP、MPD、DEG、TEG、TEA、HPED、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、及び1,2,4-ブタントリオールからなる群から選択される。
【0136】
実施例14aは、実施例12aの方法を包含し、ここでは、
前記第2のメンバーが、1,2-ジアミノプロパン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,8-ジアミノオクタン、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、及び2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールからなる群から選択される。
【0137】
実施例15aは、実施例12aの方法を包含し、ここでは、前記第3のメンバーが、HDI、TMHDI、及びイソホロンジイソシアネートからなる群から選択される。
【0138】
実施例16aは、実施例12aの方法を包含し、ここでは、前記第3のメンバーが、1,3,5-トリイソシアナト-2,4,6-トリメチルベンゼン、トルエンジイソシアネート、及びメチレンジフェニルジイソシアネートからなる群から選択される。
【0139】
実施例17aは、実施例12aの方法を包含し、ここでは、前記第1のメンバーがATIPAである。
【0140】
実施例17aの別のバージョンは、実施例12aの方法を包含し、ここでは、前記第1のメンバーがATIPAであり、前記ATIPAは、前記第1のメンバー及び第2のメンバーの20~30%MWを構成する。
【0141】
実施例18aは、前記第2及び第3のメンバーを前記第1のメンバーで架橋することを含む実施例12aの方法を包含する。
【0142】
実施例19aは、実施例18aの方法を包含し、ここでは、前記溶液から前記SMPフォームを形成することが、前記第1のメンバーを化学発泡剤として利用することを含む。
【0143】
実施例20aは、実施例18aの方法を包含し、ここでは、前記脂肪族モノマーが、HT、BEP、MPD、DEG、TEG、TEA、HPED、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、1,2,4-ブタントリオール、1,2-ジアミノプロパン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,8-ジアミノオクタン、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、及びアスパラギン酸からなる群から選択される第4のモノマーを包含する。
【0144】
実施例21aは、X線可視であるヨウ素含有熱硬化性連続気泡形状記憶ポリマー(SMP)フォーム、を含むシステムであって、ここで、
(a)前記SMPフォームは、熱刺激に応答して圧縮二次状態から膨張一次状態へと膨張するように構成され、
(b)前記SMPフォームは、ポリ(ウレタン-尿素-アミド)である、システムを包含する。
【0145】
何かが「X線可視」又は「放射線不透過性(radiopaque)」であるかどうかは、当業者、例えば、蛍光透視法又は血管造影法のような画像化を用いて動脈瘤を日常的に治療する神経外科医又は介入神経放射線医、によって判断される。X線出力(power)は、使用される撮像装置等に応じて変化し得るが、当業者は、フォームが周囲の解剖学的構造から識別できるように通常の臨床条件下でフォームが見えるかどうかを依然として理解するであろう。
【0146】
実施例22aは、実施例21aのシステムを包含し、ここでは、前記ヨウ素がトリヨードベンゼンモノマーに含まれ、且つ、前記ヨウ素が前記SMPフォームのポリマーネットワーク内に共有結合している。
【0147】
実施例22aの別のバージョンは、実施例21aのシステムを包含し、ここでは、前記ヨウ素がトリヨードベンゼンモノマー中に含まれ、且つ、前記ヨウ素が前記SMPフォーム中に物理的に組み込まれている。
【0148】
実施例22aの別のバージョンは、実施例21aのシステムを包含し、ここでは、前記ヨウ素が少なくとも1つのトリヨードベンゼンモノマーに含まれ、且つ、前記ヨウ素が、(a)及び(b)の両方である:
(a)前記SMPフォームのポリマーネットワーク内に共有結合され、
(b)前記SMPフォーム内に物理的に組み込まれるが、化学結合していない。
【0149】
実施例23aは、実施例22aのシステムを包含し、ここでは、前記二次状態における前記SMPフォームは、ヨウ素の50~500mg/mlを含有する。
【0150】
しかしながら、他の実施形態では、前記二次状態における前記SMTフォームは、ヨウ素を50~100、100~200、200~300、300~400mg/ml又はそれ以上包含してもよい。
【0151】
実施例24aは、実施例23aのシステムを包含しみ、ここでは、
その一次状態の前記SMPフォームは、0.1g/cc未満の密度を有し、
前記SMPフォームは、30~100℃の乾燥したガラス転移温度(Tg)を有する。
【0152】
Tg計算は、実施例24aに関する考察において上記に記載されている。
【0153】
実施例24aの別のバージョンは、実施例23aのシステムを包含し、ここでは、
その一次状態の前記SMPフォームは、0.1g/cc未満の密度を有し、
前記SMPフォームは、30~100℃の乾燥したガラス転移温度(Tg)を有し、
前記SMPフォームは、1650cm-1におけるフーリエ変換赤外分光法(FTIR)尿素ピークを欠く。
【0154】
実施例24aの他のバージョンは、0.09、0.08、0.07、0.06、又は0.05g/cc未満の密度を有する。
【0155】
実施例25aは、実施例22aのシステムを包含し、ここでは、前記SMPフォームがポリカプロラクトン(PCL)を含む。
【0156】
実施例26aは、ステント及び分流器の少なくとも一方を含む実施例3aのシステムを包含し、前記SMPフォームはステント及び分流器の少なくとも一方に結合される。
【0157】
実施例27aは、完全にカプセル化されたキット、可撓性の導管、及びプッシャロッドを含む実施例22aのシステムを包含し、ここでは、前記可撓性導管が前記可撓性導管内に前記SMPフォームを包含し、前記SMPフォームが前記プッシャロッドに結合され、前記プッシャロッドの少なくとも一部が前記可撓性導管内に含まれる。
【0158】
例えば、前記キットは、医療施設に出荷される密封された滅菌キットであり得る。前記導管は何らかの形態のカテーテルを包含し得る。
【0159】
関連技術の当業者は多くの修正及び変形が上記の教示に照らして可能であることを理解することができる。当業者であれば、図に示されている様々な構成要素に対する様々な同等の組み合わせ及び置換えを認識するであろう。したがって、本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、むしろ添付の特許請求の範囲によって限定されることが意図されている。