IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ワコムの特許一覧

特許7171597位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法
<>
  • 特許-位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法 図1
  • 特許-位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法 図2
  • 特許-位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法 図3
  • 特許-位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法 図4
  • 特許-位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法 図5
  • 特許-位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法 図6
  • 特許-位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法 図7
  • 特許-位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法 図8
  • 特許-位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法 図9
  • 特許-位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法 図10
  • 特許-位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法 図11
  • 特許-位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法 図12
  • 特許-位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法 図13
  • 特許-位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法 図14
  • 特許-位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法 図15
  • 特許-位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法 図16
  • 特許-位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法 図17
  • 特許-位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法 図18
  • 特許-位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法 図19
  • 特許-位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20221108BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
G06F3/03 400A
G06F3/03 400Z
G06F3/044 120
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019549877
(86)(22)【出願日】2018-08-16
(86)【国際出願番号】 JP2018030382
(87)【国際公開番号】W WO2019082478
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-08-11
(31)【優先権主張番号】P 2017206107
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】桂平 勇次
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-222518(JP,A)
【文献】特開2011-164801(JP,A)
【文献】特開2016-126503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペン形状の筐体と、前記筐体の一端の側に配置された第1の電極と第2の電極と、少なくとも前記第1の電極に供給する信号を発生する信号発生回路を備えており、位置検出装置のセンサとの間で静電的にインタラクションする位置指示器であって、
前記第2の電極は前記第1の電極が前記筐体の軸心方向に部分的に露出するように前記第1の電極を囲んで配置されているとともに、前記第2の電極は少なくとも1つの電極で構成されており、
前記信号発生回路からの信号が前記第1の電極に供給されて形成される前記第1の電極と前記センサとの間の静電的インタラクションに対して変化を与えるように、前記第2の電極に結合されて前記第2の電極を制御する信号送出制御回路を備えており、
前記信号送出制御回路は、前記第2の電極に結合されたインダクタンス回路を備えており、前記インダクタンス回路が結合された前記第2の電極の基準電位との結合を制御するように構成されていることを特徴とする位置指示器。
【請求項2】
スイッチ回路によって、前記第2の電極の基準電位との結合が制御されることを特徴とする請求項2に記載の位置指示器。
【請求項3】
前記インダクタンス回路と前記スイッチ回路は直列接続されていることを特徴とする請求項2に記載の位置指示器。
【請求項4】
ペン形状の筐体と、前記筐体の一端の側に配置された第1の電極と第2の電極と、少なくとも前記第1の電極に供給する信号を発生する信号発生回路を備えており、位置検出装置のセンサとの間で静電的にインタラクションする位置指示器であって、
前記第2の電極は前記第1の電極が前記筐体の軸心方向に部分的に露出するように前記第1の電極を囲んで配置されているとともに、前記第2の電極は少なくとも1つの電極で構成されており、
前記信号発生回路からの信号が前記第1の電極に供給されて形成される前記第1の電極と前記センサとの間の静電的インタラクションに対して変化を与えるように、前記第2の電極に結合されて前記第2の電極を制御する信号送出制御回路を備えており、
前記信号送出制御回路は、前記第2の電極に結合されたインダクタンス回路とキャパシタンス回路を備えており、前記インダクタンス回路と前記キャパシタンス回路が結合された前記第2の電極の基準電位との結合を制御するように構成されていることを特徴とする位置指示器。
【請求項5】
前記インダクタンス回路と前記キャパシタンス回路は共振回路を構成しており、前記共振回路が結合された前記第2の電極の基準電位との結合を制御するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の位置指示器。
【請求項6】
前記共振回路の共振周波数は、前記信号発生回路から出力される信号の周波数に対応した周波数であることを特徴とする請求項に記載の位置指示器。
【請求項7】
前記第2の電極は、前記第1の電極を囲むように配置された複数の電極から構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の位置指示器。
【請求項8】
前記信号送出制御回路は、前記第2の電極を構成する前記複数の電極を選択的に制御するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の位置指示器。
【請求項9】
前記位置検出装置と無線通信するための無線回路を備え、前記信号送出制御回路の電極選択状態を示す情報が前記無線回路を通じて前記位置検出装置に送信されることを特徴とする請求項に記載の位置指示器。
【請求項10】
前記位置検出装置からの指示信号を受信する受信回路を備え、前記受信回路で受信された前記指示信号に基づいて、前記信号送出制御回路が制御されることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の位置指示器。
【請求項11】
前記信号送出制御回路は、前記第2の電極をオン・オフ制御するように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の位置指示器。
【請求項12】
ペン形状の筐体を有し、前記筐体の一端の側に配置された第1の電極と第2の電極と、少なくとも前記第1の電極に供給する信号を発生する信号発生回路を備え、前記第2の電極には少なくともインダクタンス回路が結合されており、前記インダクタンス回路の基準電位との結合がオン・オフ制御される位置指示器と位置検出装置のセンサとが静電的にインタラクションすることで前記センサのセンサ面に対する前記位置指示器の傾きを検出可能とする位置指示器の傾きを検出する方法であって、
前記第2の電極は前記第1の電極が前記筐体の軸心方向に部分的に露出するように前記第1の電極を囲んで配置されているとともに、前記第2の電極は少なくとも1つの電極で構成されており、
前記信号発生回路からの信号が前記第1の電極に供給されて形成される前記第1の電極と前記センサとの間の静電的インタラクションに対して変化を与えるように、前記第2の電極に結合されて前記第2の電極の基準電位との結合を制御することを特徴とする位置指示器の傾き検出方法。
【請求項13】
ペン形状の筐体を有し、前記筐体の一端の側に配置された第1の電極と第2の電極と、少なくとも前記第1の電極に供給する信号を発生する信号発生回路を備え、前記第2の電極には前記インダクタンス回路とキャパシタンス回路から構成される共振回路が結合されており、前記共振回路の基準電位との結合がオン・オフ制御される位置指示器と位置検出装置のセンサとが静電的にインタラクションすることで前記センサのセンサ面に対する前記位置指示器の傾きを検出可能とする位置指示器の傾きを検出する方法であって、
前記第2の電極は前記第1の電極が前記筐体の軸心方向に部分的に露出するように前記第1の電極を囲んで配置されているとともに、前記第2の電極は少なくとも1つの電極で構成されており、
前記信号発生回路からの信号が前記第1の電極に供給されて形成される前記第1の電極と前記センサとの間の静電的インタラクションに対して変化を与えるように、前記第2の電極に結合されて前記第2の電極の基準電位との結合を制御することを特徴とする位置指示器の傾き検出方法。
【請求項14】
前記共振回路の共振周波数は、前記信号発生回路から出力される信号の周波数に対応した周波数であることを特徴とする請求項13に記載の位置指示器の傾きの検出方法。
【請求項15】
請求項1~請求項11のいずれかに記載の位置指示器との間で静電的にインタラクションする位置検出装置であって、
前記静電的なインタラクションにより前記位置指示器により指示された座標位置を求めると共に、前記位置指示器から送信される信号に含まれる識別情報に検出し、検出した前記識別情報に基づいて、前記求められた座標位置における前記位置指示器の前記第2の電極の制御状態がどのようであったかを判定して、前記位置指示器の傾き及び回転角のうちの少なくとも1つを求めることを特徴とする位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置検出装置のセンサとの間で静電的にインタラクションする静電容量方式の位置指示器及び位置指示装置並びに位置指示器の傾きの検出方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の静電容量方式の位置指示器として、位置指示器が信号発生回路を備え、この信号発生回路からの信号を導電性の芯体を通じて、静電結合により、位置検出装置のセンサに対して送信するアクティブ静電ペンが知られている。この場合、位置検出装置では、複数のセンサ導体が配設されているセンサで、アクティブ静電ペンからの信号を受信する。そして、位置検出装置では、アクティブ静電ペンの芯体のペン先により指示されたセンサ上における位置を、信号を受信したセンサ導体からの信号レベルに応じて検出する。
【0003】
ところで、位置検出装置では、位置指示器の芯体の軸心方向がセンサの入力面に対して垂直の状態(傾いていない状態)のときには、ほぼ正しく芯体のペン先で指示された位置を検出することができる。しかし、位置指示器の芯体の軸心方向がセンサの入力面に対して傾いた状態のときには、芯体のペン先で指示された位置を、正しく検出することができないという問題がある。
【0004】
そこで、近年、位置検出装置において、位置指示器の芯体の軸心方向のセンサの入力面に対する傾き(以下、位置指示器の傾きと略称する)を検出して、その検出した傾きの方向や大きさ(傾き角度)により、位置指示器の芯体のペン先で指示された位置を補正することが提案されている。また、検出した位置指示器の傾きの情報を用いて、種々の処理をことも提案されている。例えば、鉛筆などの筆記の場合、紙面に対する位置指示器の傾きに応じて、筆記跡の線の太さが変わるが、位置指示器による指示入力による線状の軌跡の場合においても、その線状の軌跡の太さを、位置指示器の傾き角度に応じて変更させるようにすることも提案されている。
【0005】
以上のような背景から、位置検出装置において、芯体の軸心方向のセンサの入力面に対する傾き角度を検出することができるように構成した位置指示器が従来から提供されている(例えば特許文献1(特開2014‐35631号公報)や特許文献2(特開2015‐222518号公報)参照)
図20は、特許文献1に開示されている位置指示器の傾きの検出回路の例である。この例では、位置指示器の芯体(図示は省略)の周囲を囲むように、3個の電極1001,1002,1003を配設する。そして、制御回路1010の制御に基づいて、信号発生回路1000からの信号を、これら3個の電極1001,1002,1003に、切り替え回路1004により切り替えて供給するようにする。この場合に、位置指示器と位置検出装置との間で信号のやり取りをすることで、位置検出装置では、位置指示器の3個の電極1001,1002,1003のいずれから信号を受信したかを識別することができるように構成されている。
【0006】
位置検出装置では、位置指示器からの3個の電極1001,1002,1003からの信号を受信して、その受信出力を検出することで、位置指示器の傾き角度や回転角度を検出するようにする。なお、図20において、1011は、制御回路1010や、信号発生回路1000の電源電圧の供給源としてのバッテリーであり、位置指示器のその他の各部には、DC/DCコンバータ1012を通じて、電源電圧VPが供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014‐35631号公報
【文献】特開2015‐222518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図20の位置指示器の傾きの検出回路においては、信号を直接にスイッチ回路1004で切り替えて3個の電極1001,1002,1003に供給して送信する構成であるために、信号出力の容量(スイッチ回路1004での切り替えにおける容量)が大きくなり、消費電流が大きくなるという問題がある。
【0009】
この発明は、以上の問題点を解決することができるようにした位置指示器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、
ペン形状の筐体と、前記筐体の一端の側に配置された第1の電極と第2の電極と、少なくとも前記第1の電極に供給する信号を発生する信号発生回路を備えており、位置検出装置のセンサとの間で静電的にインタラクションする位置指示器であって、
前記第2の電極は前記第1の電極が前記筐体の軸心方向に部分的に露出するように前記第1の電極を囲んで配置されているとともに、前記第2の電極は少なくとも1つの電極で構成されており、
前記信号発生回路からの信号が前記第1の電極に供給されて形成される前記第1の電極と前記センサとの間の静電的インタラクションに対して変化を与えるように、前記第2の電極に結合されて前記第2の電極を制御する信号送出制御回路を備えており、
前記信号送出制御回路は、前記第2の電極に結合されたインダクタンス回路を備えており、前記インダクタンス回路が結合された前記第2の電極の基準電位との結合を制御するように構成されていることを特徴とする位置指示器を提供する。

【0011】
上述の構成の位置指示器によれば、信号送出制御回路によって、芯体からセンサに対して送出される交流信号がセンサで検出されるセンサ上の領域範囲を変化させることができる。そして、例えば、位置検出装置で位置指示器により指示された位置を検出する期間を第1の期間とし、また、位置指示器の傾きを検出する期間を第2の期間として、信号送出制御回路によって、芯体からセンサに対して送出される交流信号がセンサで検出されるセンサ上の領域範囲を、第1の期間における領域範囲よりも第2の期間における領域範囲の方が大きくなるように制御することで、位置指示器の傾き角度を検出することができる。
【0012】
そして、この構成の位置指示器においては、信号送出制御回路によって、芯体からセンサに対して送出される交流信号がセンサで検出されるセンサ上の領域を変えるようにするものであり、芯体を取り囲むように配設された1又は複数個の周囲導体に、信号発生回路からの信号を切り替えて供給するようにするものではない。したがって、位置指示器における消費電流は少なくて済み、特許文献1や特許文献2のような消費電流が大きくなるという問題を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明による位置指示器の第1の実施形態を用いる電子機器の例としてのタブレット型情報端末の一例を示す図である。
図2】この発明による位置指示器の第1の実施形態の構成例を説明するための図である。
図3】この発明による位置指示器と共に使用される位置検出装置の構成例を説明するための図である。
図4】この発明による位置指示器の第1の実施形態における、信号送信制御回路を含む送信信号生成回路の構成例を示すブロック図である。
図5図4の例の送信信号生成回路の等価回路を示す図である。
図6】この発明による位置指示器の第1の実施形態からの送出される信号を説明するための図である。
図7】この発明による位置指示器の第1の実施形態からの信号の送出状況と、位置検出装置のセンサでの受信信号分布との関係を説明するための図である。
図8】この発明による位置指示器の第1の実施形態からの信号の送出状況と、位置検出装置のセンサでの受信信号分布との関係を説明するための図である。
図9】位置指示器の第1の実施形態からの受信信号に基づいて、位置検出装置で位置指示器の傾きの方向と大きさを検出する方法を説明するための図である。
図10】この発明による位置指示器の第2の実施形態における、信号送出制御回路を含む送信信号生成回路の構成例を示すブロック図である。
図11図10の例における信号送出制御回路のスイッチ回路の切り替えを説明するための図である。
図12図10の例の送信信号生成回路の等価回路を示す図である。
図13】この発明による位置指示器の第3の実施形態における、信号送出制御回路を含む送信信号生成回路の構成例を示すブロック図である。
図14】この発明による位置指示器の第3の実施形態から送出される信号を説明するための図である。
図15】この発明による位置指示器の第3の実施形態における、位置指示器の回転角度を検出する方法を説明するための図である。
図16】この発明による位置指示器の第3の実施形態における処理動作を説明するための図である。
図17】この発明による位置指示器の第3の実施形態における、信号送出制御回路を含む送信信号生成回路の他の構成例を示すブロック図である。
図18】この発明による位置指示器の送信信号生成回路の他の変形例を説明するための図である。
図19】この発明による位置指示器の送信信号生成回路の他の変形例を説明するための図である。
図20】従来の位置指示器の送信信号生成回路の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明による位置指示器の実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、この発明の実施形態の位置指示器1を用いる電子機器の例としてのタブレット型情報端末200の一例を示すものである。この例では、タブレット型情報端末200は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置の表示画面200Dを備え、表示画面200Dの上部(表面側)に、静電容量方式の位置検出装置201のセンサを備えている。
【0016】
操作者は、位置指示器1によりタブレット型情報端末200の位置検出装置201のセンサ上の入力面202Sにおいて、位置を指示する。位置検出装置201は、位置指示器1による位置検出装置201のセンサ上での指示位置を検出する。
【0017】
[実施形態の位置指示器1の機構的構成例の説明]
図2は、この発明の第1の実施形態の位置指示器1の構成例を説明するための図であり、主としてペン先側の一部縦断面図である。この実施形態では、位置指示器1は外観がペン形状を有するものとして形成されている。
【0018】
[第1の実施形態の位置指示器の構造的構成例の説明]
この実施形態の位置指示器1は、ペン形状の筐体2を備える。この筐体2は、絶縁材料例えば合成樹脂からなる中空の円筒状形状の絶縁体部21により構成されている。そして、この実施形態では、筐体2の絶縁体部21の外表周面のペン先側を除く部分は、例えば金属からなる導電体部22で覆われている。この導電体部22は、必須のものではなく、なくてもよい。
【0019】
筐体2内には、プリント配線基板3と、電源回路としてのバッテリー4と、筆圧検出ユニット5とが配設されている。筐体2の外表周面を覆う導電体部22は、図示は省略するが、このプリント配線基板3のアース導体に電気的に接続されている。なお、バッテリー4は、乾電池、充電可能な蓄電池、あるいは後述する電気二重層キャパシタなどのキャパシタを含む電源回路であっても良い。
【0020】
プリント配線基板3上には、図2に示すように、送信信号生成回路30と、図示を省略したその他の電子部品及び配線パターンなどが配置されている。送信信号生成回路30は、位置検出用信号及び付加情報を生成し、生成した位置検出用信号及び付加情報を、位置指示器1から送出するようにする。送信信号生成回路30は、この実施形態では、後述の図4に示すように、位置指示器1から送出される信号の送出範囲を切替制御して、位置検出装置201のセンサ202で検出される、位置指示器1からの受信領域範囲が変更されるようにする信号送出制御回路31を備える。
【0021】
バッテリー4は、プリント配線基板3上に構成されている電子回路及び電子部品への電源の供給源である。バッテリー4の正極側電極41は、プリント配線基板3上の電源回路部に電気的に接続されている端子42に接触して電気的に接続され、バッテリー4の負極側電極は、図示は省略するが、プリント配線基板3のアース導体に接続されている。図示は省略するが、この例では筐体2の導電体部22は、プリント配線基板3のアース導体に接続されている。
【0022】
筆圧検出ユニット5は、この実施形態では、芯体6に印加される筆圧に応じた静電容量を呈する可変容量キャパシタの構成とされている。この筆圧検出ユニット5で構成される可変容量キャパシタの両端の電極は、図2では、導電パターン31cにより、送信信号生成回路30に接続されている。
【0023】
芯体6は、筐体2の外部に突出するペン先側とは反対側の端部が、筐体2の中空部内に配設されている筆圧検出ユニット5に嵌合されることで、位置指示器1の筐体2の中空部内に係止される。
【0024】
芯体6は、導体、例えば金属や導体粉が混合された硬質の樹脂で構成されて中心導体(第1の電極)を構成しており、導電パターン31aを通じて送信信号生成回路30と電気的に接続されている。そして、送信信号生成回路30で生成された位置検出用信号及び付加情報が、この導体からなる芯体6を通じて、位置検出装置201のセンサ202に対して送出されるように構成されている。
【0025】
筐体2を構成する中空の円筒状形状の絶縁体部21の中心線方向の一方の端部側は、図2に示すように、徐々に先細となる筒状のテーパー部21aとされている。この筒状のテーパー部21aの内壁面には、テーパー部21aの内壁面に沿って徐々に先細となる筒状の円錐状形状のリング電極7が、芯体6がリング電極7から部分的に突出してペン先端部を構成するように、芯体6の周囲を取り囲むような状態で、取り付けられている。
【0026】
このリング電極7は、芯体6の周囲を取り囲むように設けられる周囲導体の例であり、例えば導電金属で構成されている。すなわち、この第1の実施形態では、周囲導体は1個のリング電極で構成されている。この場合、リング電極7は、筐体2の絶縁体部21のテーパー部21aにより覆われることにより、位置指示器1の操作者が直接的には触れることができないようにされている。
【0027】
そして、リング電極7は、絶縁体部21を貫通するリード導体部材71により、プリント配線基板3の導体パターン31bに電気的に接続されている。この導体パターン31bは、この例では、送信信号生成回路30の信号送出制御回路31に接続されている。
【0028】
この実施形態では、芯体6は、筐体2の絶縁体部21のテーパー部21aの開口部21bから先端部6aが外部に突出すると共に、先端部6aとは反対側が筆圧検出ユニット5に嵌合されるように、絶縁体部21の中空部内に配される。
【0029】
リング電極7は、図2の例では、絶縁体部21のテーパー部21aの内壁面に配置されてので、芯体6の先端部6aは、リング電極7にも取り囲まれることなく、外部に突出するようになっている。
【0030】
つまり、リング電極7は、芯体6の周囲を取り囲むように設けられるが、この実施形態では、芯体6の軸心方向において、先端部6aと、筆圧検出ユニット5との結合側を除く周囲を取り囲むようにされている。
【0031】
[位置検出装置201の構成例の説明]
この実施形態において位置指示器1と共に用いられる位置検出装置201は、図3に示すように、当該位置検出装置201を構成するセンサ202と、このセンサ202に接続されるペン指示検出回路203とで構成されている。
【0032】
センサ202は、この例では、断面図は省略するが、下層側から順に、第1の導体群211Y、絶縁層(図示は省略)、第2の導体群212Xを積層して形成されたものである。第1の導体群211Yは、例えば、横方向(X軸方向)に延在した複数の第1の導体Y、Y、…、Y(mは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列に、Y軸方向に配置したものである。
【0033】
また、第2の導体群212Xは、第1の導体Y、Y、…、Yの延在方向に対して交差する方向、この例では直交する縦方向(Y軸方向)に延在した複数の第2の導体X、X、…、X(nは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列に、X軸方向に配置したものである。
【0034】
このように、位置検出装置201のセンサ202では、第1の導体群211Yと第2の導体群212Xを交差させて形成したセンサパターンを用いて、位置指示器1が指示する位置を検出する構成を備えている。
【0035】
なお、以下の説明において、第1の導体Y、Y、…、Yについて、それぞれの導体を区別する必要がないときには、その導体を、第1の導体Yと称する。同様に、第2の導体X、X、…、Xについて、それぞれの導体を区別する必要がないときには、その導体を、第2の導体Xと称することとする。
【0036】
この実施形態の位置検出装置201においては、センサ202は、図1に示したように、タブレット型情報端末200の表示画面200Dの大きさに対応した大きさのセンサ面(指示入力面)201Sを備えており、光透過性を有する、第1の導体群211Yと第2の導体群212Xとによって形成されている。
【0037】
ペン指示検出回路203は、センサ202との間に設けられる選択回路221と、増幅回路222と、バンドパスフィルタ223と、検波回路224と、サンプルホールド回路225と、AD(Analog to Digital)変換回路226と、制御回路220とからなる。
【0038】
選択回路221は、制御回路220からの制御信号に基づいて、第1の導体群211Y及び第2の導体群212Xの中からそれぞれ1本の導体を選択する。選択回路221により選択された導体は増幅回路222に接続され、位置指示器1からの信号が、選択された導体により検出されて増幅回路222により増幅される。この増幅回路222の出力はバンドパスフィルタ223に供給されて、位置指示器1から送信される信号の周波数の成分のみが抽出される。
【0039】
バンドパスフィルタ223の出力信号は検波回路224によって検波される。この検波回路224の出力信号はサンプルホールド回路225に供給されて、制御回路220からのサンプリング信号により、所定のタイミングでサンプルホールドされた後、AD変換回路226によってデジタル値に変換される。AD変換回路226からのデジタルデータは制御回路220によって読み取られ、処理される。
【0040】
制御回路220は、サンプルホールド回路225、AD変換回路226、及び選択回路221に、それぞれ制御信号を送出するように動作する。また、制御回路220は、AD変換回路226からのデジタルデータから、位置指示器1の芯体6の先端部6aによって指示されたセンサ202上の位置座標を算出し、また、筆圧情報を復調して得ると共に、位置指示器1の芯体6の軸心方向の、センサ202の入力面202Sに対する傾き(以下、位置指示器1の傾きと略称する)の方向や大きさ(傾き角度)を検出する。そして、制御回路220は、取得した位置指示器1による指示位置の座標データ、筆圧情報及び位置指示器1の傾きの方向や傾き角度の情報を、例えばタブレット型情報端末などの電子機器内の他の処理プロセッサ等に出力する。なお、位置検出装置201における、位置指示器1による指示位置の座標データ、筆圧情報及び位置指示器の傾きの方向や傾き角度の情報の算出及び検出方法の詳細については後述する。
【0041】
[第1の実施形態の位置指示器1の送信信号生成回路30の構成例の説明]
以上のように、位置指示器1の送信信号生成回路30は、芯体6を通じて位置検出装置201のセンサ202に送信する信号を生成する回路と、信号送出制御回路31とを備える。
【0042】
図4は、この実施形態の位置指示器1の送信信号生成回路30の回路構成図である。すなわち、送信信号生成回路30は、この例では、コントローラ301と、芯体6に供給する信号を生成するための信号発生回路302と、信号送出制御回路31とを備える。
【0043】
バッテリー4からの電源電圧VDDは、電源スイッチPswを介して、送信信号生成回路30、及びその他の回路の電源電圧とされる。電源スイッチPswは、図1及び図2では図示を省略するが、筐体2の側面に設けられる操作子が押下操作されることでオン、オフされる。
【0044】
信号発生回路302は、交流信号を発生する発振回路で構成されている。信号発生回路302は、例えば周波数f0=1.8MHzの交流信号を発生するもので、バッテリー4からの電源電圧VDDが、電源スイッチPswを介して供給されている。この信号発生回路302からの交流信号の所定時間の連続波、すなわち、バースト信号は、芯体6を通じてセンサ202に対して送出される位置検出用信号となる。
【0045】
コントローラ301は、例えばマイクロプロセッサで構成されており、位置指示器1の送信信号生成回路30の処理動作を制御する制御回路を構成するもので、駆動電源の例としてのバッテリー4からの電源電圧VDDが供給されている。コントローラ301は、信号発生回路302から信号を送出するか否かを制御する。
【0046】
すなわち、コントローラ301は、信号発生回路302(の発振回路)のイネーブル端子ENに制御信号(イネーブル信号CT)を供給して当該信号発生回路302(の発振回路)をオン、オフ制御する。これにより、信号発生回路302は、前記バースト信号及びASK(Amplitude Shift Keying)変調信号を発生する。信号発生回路302は、コントローラ301からのイネーブル信号CTに応じて、発生する交流信号を断続させ、これにより、信号発生回路302は、バースト信号及びASK変調信号を発生する。
【0047】
コントローラ301には、また、筆圧検出ユニット5で構成される可変容量キャパシタ5Cが接続されており、この可変容量キャパシタ5Cの容量を監視することで、位置指示器1の芯体6に印加される筆圧を検出する。すなわち、この実施形態では、可変容量キャパシタ5Cに対して放電用抵抗器Rdが接続されており、コントローラ301は、可変容量キャパシタ5Cが満充電の状態から、所定の両端電圧になるまでの放電時間を計測することで、可変容量キャパシタ5Cの静電容量を検出し、その検出した静電容量から筆圧を検出する。
【0048】
この実施形態では、コントローラ301は、上述のようにして検出した筆圧の値の情報をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号に応じて信号発生回路302を制御することで、筆圧値の情報をASK変調信号として、信号発生回路302から出力させるようにする。
【0049】
信号発生回路302の出力端は、この実施形態では、導電性の芯体6に接続されており、信号発生回路302からの交流信号は、芯体6を通じて位置検出装置201のセンサ202に対して送出される。
【0050】
信号送出制御回路31では、この実施形態では、リング電極7(第2電極)が、インダクタンス回路の例であるコイル311とスイッチ回路312との直列回路を介してプリント配線基板3の基準電位が得られる部位、この例ではアース導体に接続されている。スイッチ回路312は、コントローラ301からの切替制御信号SWによりオン・オフ制御される。
【0051】
この場合に、リング電極7は、第1電極としての芯体6の周囲に設けられているので、芯体6とリング電極7との間は、浮遊容量313により容量結合されている。このため、送信信号生成回路30の等価回路は、図5に示すようなものとなる。
【0052】
この図5の等価回路に示すように、位置指示器1においては、信号発生回路302からの信号が芯体6を通じて交流信号Saとして送出される。
【0053】
そして、コントローラ301からの切替制御信号SWにより、スイッチ回路312がオンとされるときには、リング電極7は、コイル311を介して接地される状態となる。すると、このときには、図5の等価回路に示すように、浮遊容量313の存在により、芯体6から送出される交流信号Saが、コイル311により逆相の交流信号Sbとして、リング電極7から送信される状態となる。換言すれば、この例ではリング電極7は芯体6から送出される信号を打ち消すように機能しており、スイッチ回路312のオン・オフ動作に対応して第1電極と第2電極が配置された位置指示器1の先端部と位置検出装置201のセンサ202との間の静電的インタラクションの状況が変化する。このため、スイッチ回路312がオンである場合には、位置指示器1の芯体6からはほぼ先端部6aのみからの交流信号が位置検出装置201のセンサ202に送出される状態となり、位置指示器1の芯体6から送出される交流信号の送出範囲は比較的狭いものとなる。
【0054】
一方、コントローラ301からの切替制御信号SWによりスイッチ回路312がオフとされたときには、リング電極7は電位的に遊端となる。このため、このリング電極7からは、芯体6から送出される信号とは逆相の信号の送出は無い。そして、芯体6から送出される信号と同相の信号が浮遊容量313を介して漏洩して送出される状態となる。したがって、スイッチ回路312がオフである場合に位置指示器1の芯体6から送出される交流信号の送出範囲は、スイッチ回路312がオンである場合よりも広い範囲となる。
【0055】
この実施形態の位置指示器1は、電源スイッチPswがオンであるときには、位置検出用信号と検出した筆圧情報とを、予め定められた時間長分の信号送出単位期間Ps毎に、繰り返し送出する。すなわち、位置指示器1は、この実施形態では、電源スイッチPswがオンであるときには、信号送出単位期間Psの時間長を1周期として、当該信号送出単位期間Psを繰り返すように構成されている。
【0056】
そして、この実施形態の位置指示器1においては、図6(A)に示すように、信号送出単位期間Psを2分割して、その前半を第1の期間Pa、その後半を第2の期間Pbとし、コントローラ301からの切替制御信号SWにより、第1の期間Paでは、スイッチ回路312をオンに制御し、また、第2の期間Pbでは、スイッチ回路312をオフに制御するようにする。
【0057】
そして、位置指示器1のコントローラ301は、スイッチ回路312の切替制御信号SWに同期して、信号発生回路302をイネーブル制御するイネーブル信号CTを生成して、位置指示器1から送出する信号を生成するようにする。このときのコントローラ301における処理動作を、図6のタイミングチャートを参照しながら説明する。
【0058】
すなわち、図6(A)に示すように、コントローラ301は、信号送出単位期間Psの第1の期間Paにおいては、スイッチ回路312をオンにしてリング電極7を、コイル311を介して接地する状態にする。また、コントローラ301は、信号送出単位期間Psの第2の期間Pbにおいては、スイッチ回路312をオフにしてリング電極7を、電位的に浮いた状態とする。
【0059】
そして、この状態において、コントローラ301は、図6(B)に示すように、第1の期間Pa、第2の期間Pbの先頭の時点から、信号発生回路302に供給するイネーブル信号CTを、一定期間ハイレベルを維持するように制御し、信号発生回路302から交流信号を一定期間連続して出力するようにする。これにより、芯体6は、第1の期間Pa、第2の期間Pbの先頭の時点から一定期間連続して交流信号を放射する状態になる(図6(C)の連続送信期間(a)及び連続送信期間(b)参照)。
【0060】
この連続送信期間(a)中、また、連続送信期間(b)中に、コントローラ301は、芯体6の先端部6aに加えられた筆圧を求める。すなわち、コントローラ301は、前述したようにして、筆圧検出ユニット5可変容量キャパシタ5Cの静電容量を検出し、その検出した静電容量から筆圧を検出する。そして、コントローラ301は、検出した筆圧を例えば複数ビットのデジタルデータに変換して保持するようにする。
【0061】
コントローラ10は、連続送信期間(a)又は連続送信期間(b)を終了すると、イネーブル信号CT(図6(B)参照)を、求めた筆圧の複数ビットのデジタルデータに対応したものとして、このイネーブル信号CTにより、所定の周期Td(周期Tdは1ビットに対応)で信号発生回路12を制御することによりASK変調を行って、送出する筆圧データを生成する。
【0062】
このとき、コントローラ301は、初回はイネーブル信号CTをハイレベルとして所定の時間、スタート信号を送出する(図6(C)参照)。このスタート信号は、以降のデータ送出タイミングを位置検出装置側で正確に判定することができるようにするためのものであり、位置検出装置では、位置指示器1からの信号の送出タイミングにASK復調などの信号処理を同期させるために用いられる。なお、スタート信号を設けなくても、連続送信期間(a)における連続送信信号の終端を位置指示器1から放出されるASK信号の送出タイミングとして利用して位置検出装置での信号処理を同期させることができる。
【0063】
このスタート信号に続くTdの期間は、上述した第1の期間Pa又は第2の期間Pbの識別情報の送出区間であり、コントローラ301は、この例では、図6(C)に示すように、1ビットの識別情報として、第1の期間Paでは符号“0”を、第2の期間Pbでは符号“1”を、それぞれ付与するようにイネーブル信号CTを制御する。
【0064】
この識別情報に続いて、コントローラ301は、前述した動作により求めた複数ビット、図6の例では、10ビットの筆圧データを順次送信する。この場合、コントローラ301は、イネーブル信号CT(図6(B)参照)を、送信データが“0”のときはロウレベルとして信号発生回路302からの交流信号の発生を停止し、送信データが“1”のときはハイレベルとして信号発生回路302から交流信号を発生させるように制御することでASK変調を行う(図8(C)の筆圧データ送信期間参照)。
【0065】
筆圧データの送信を終了すると、コントローラ301は、切替制御信号SWによりスイッチ回路312を切り替えて、第1の期間Paから、第2の期間Pbに、あるいは、第2の期間Paから、次の信号送出単位期間Psの第1の期間Paに切り替えるように制御する。
【0066】
コントローラ301は、以上の動作を信号送出単位期間Psを1周期として繰り返す。位置検出装置201では、後述するようにして、この位置指示器1から送出された交流信号を受信して、位置指示器1の芯体6の先端部6aにより指示されたセンサ202上の位置を検出すると共に、位置指示器1に印加されている筆圧、また、位置指示器1の傾き角度を算出する。
【0067】
[位置検出装置201での位置指示器1の芯体6からの信号検出]
次に、位置検出装置201での位置指示器1の芯体6からの信号の検出を、位置指示器の傾き角度との関係をも考慮して説明する。
【0068】
図7は、位置指示器1の芯体6の軸心方向が、センサ202の入力面202Sに対して垂直(傾き角度は0度)の状態であって、芯体6の先端部6aが第2の導体Xiの真上に存在しているときの、その近傍の第2の導体Xi-3,Xi―2,Xi-1,Xi,Xi+1,Xi+2,Xi+3における受信信号の信号レベルを示している。なお、Y軸方向に配列された第1の導体211Yについても同様に説明することができるので、ここでは、その説明は省略する。
【0069】
この場合において、位置指示器1の送信信号生成回路30において、図7(A)に示すように、スイッチ回路312がオンであるときには、信号発生回路302からの出力信号は、芯体6の先端部6aからは、ほぼそのままの強度で位置検出装置201のセンサ202の入力面202Sに対しては信号送信されるが、芯体6のリング電極7で取り囲まれている部分及び先端部6aのリング電極7との近傍部分では、リング電極7からの逆相の信号により打ち消されてしまい、センサ202に受信されなくなる。
【0070】
この結果、位置指示器1の芯体6から送出される交流信号の、位置検出装置201のセンサ202上での受信信号分布は、リング電極7が存在せずに芯体6のみの場合の分布(図7(B)において破線401で示す)よりも、狭い範囲の分布(図7(B)において実線402で示す)となる。そして、位置検出装置201のセンサ202の複数の導体Xi―2,Xi-1,Xi,Xi+1,Xi+2における、芯体6からの信号の受信信号の信号レベルは、図7(B)の実線で示すように、芯体6の先端部6aにより指示された位置(この例ではXiの位置)を中心として左右対称なものとなる。したがって、位置検出装置201では、位置指示器1の芯体6の先端部6aによる指示位置を、位置P0(=Xi)として検出する。
【0071】
また、位置指示器1の送信信号生成回路30において、スイッチ回路312がオフであるときには、リング電極7は電位的に浮いている状態となるので、逆相の信号は発生せず、図7(C)に示すように、リング電極7が存在せずに芯体6のみの場合とほぼ等価となる。したがって、このときには、位置指示器1の芯体6から送出される交流信号の、位置検出装置201のセンサ202上での受信信号分布は、リング電極7が存在せずに芯体6のみの場合の分布(図7(D)において実線403で示す)となり、スイッチ回路312がオンとなっている場合の分布(図7(D)において破線404で示す)よりも広くなる。
【0072】
そして、位置検出装置201のセンサ202では、図7(D)で実線403で示すように、スイッチ回路312がオンである場合よりも広い範囲の複数の導体Xi-3,Xi―2,Xi-1,Xi,Xi+1,Xi+2,Xi+3において、芯体6からの信号の受信信号が得られる。そして、その複数の導体Xi-3,Xi―2,Xi-1,Xi,Xi+1,Xi+2,Xi+3のそれぞれの信号レベルは、図7(D)の実線で示すように、芯体6の先端部6aにより指示された位置(この例ではXiの位置)を中心として左右対称なものとなる。したがって、位置検出装置201では、当該スイッチ回路312がオフである場合の位置指示器1の芯体6の先端部6aによる指示位置を、スイッチ回路312がオンである場合と同じく、位置P0(=Xi)として検出する。
【0073】
すなわち、位置指示器1の芯体6の軸心方向がセンサ202の入力面202Sに対して垂直であって、傾き角度が0度である場合においては、位置検出装置201では、第1の期間Pa及び第2の期間Pbの両方の期間で、位置指示器1の芯体6の先端部6aによる指示位置を同一位置として検出する。
【0074】
次に、図8を参照して、位置指示器1が、所定の角度θ(θ<90度)だけ傾斜している場合(芯体6の軸心方向がセンサ202の入力面202Sに対して、所定の角度θ(θ<90度)だけ傾斜している場合)について説明する。
【0075】
図8(A)は、位置指示器1が所定角度θ(θ<90度)で傾斜していると共に、スイッチ回路312がオンである状態を示している。この場合に、芯体6からの信号は、その先端部6aからのみではなく、位置指示器1の傾きに応じてセンサに近い部分からの信号成分も有効となってセンサ202に送信されるようになるため、図8(B)で点線406で示すような信号送出分布状態となる。しかし、スイッチ回路312がオンであるときには、リング電極7からは、芯体6から送出される交流信号とは逆相の交流信号が送出されるために、芯体6の先端部6a以外からの信号成分は、当該リング電極7からの逆相の信号により打ち消される。このため、位置指示器1が、図8(A)に示すように傾斜していても、芯体6からはほぼ先端部6aのみから、センサ202に対して信号が送出される状態になる。
【0076】
この結果、位置指示器1が、例えば図8(A)に示すように傾斜していても、芯体6から送出される交流信号の、位置検出装置201のセンサ202上での受信信号分布は、図8(B)の実線405で示すように、芯体6の先端部6aにより指示された位置を中心としてほぼ左右対称なものとなる。そして、位置検出装置201のセンサ202の複数の導体Xi―2,Xi-1,Xi,Xi+1,Xi+2における、芯体6からの信号の受信信号の信号レベルは、図8(B)の実線で示すように、芯体6の先端部6aにより指示された位置を中心として左右対称なものとなる。
【0077】
したがって、位置検出装置201では、位置指示器1が傾斜していても、芯体6の先端部6aによる指示位置を、正しく検出することができる。すなわち、図8(B)の例では、位置検出装置201においては、センサ202の第2の導体Xi上に位置している芯体6の先端部6aによる指示位置は、位置P0として正しく検出される。
【0078】
この場合に、この実施形態の位置指示器1においては、リング電極7に接続されるコイル311のインダクタンス値は、位置指示器1が傾斜していても、位置検出装置201で、正しく芯体6の先端部6aでの指示位置を検出することができるような値に調整されている。
【0079】
換言すれば、コイル311のインダクタンス値を調整することにより、リング電極7か送出される、芯体6から送出される信号とは逆相の信号の強度を調整することができる。このため、リング電極7を芯体6の先端部6a近傍まで延長するように配設する必要がなく、リング電極7の配置位置を任意に選定することができるため、位置指示器の外観デザイン的な制約が少なくなる。なお、リング電極7から送出される、芯体6から送出される信号とは逆相の信号の強度を調整するために、リング電極7よりも芯体6の先端部6aを、どれだけ突出させるかをも調整するようにしても勿論よい。
【0080】
次に、図8(C)に示すように、位置指示器1において、コントローラ301からの切替制御信号SWによりスイッチ回路312がオフとされたときには、リング電極7は電位的に遊端となる。このため、このリング電極7からは、芯体6から送出される信号とは逆相の信号の送出はなく、図8(C)に示すように、位置指示器1の芯体6の先端部6aのみからでなく、位置指示器1の傾きに応じて、センサ202の入力面202Sに近づく芯体6の全体から送出される信号が有効となる。なお、このとき、リング電極7からは、芯体6から送出される信号と同相の信号が、浮遊容量313を介して漏洩して、僅かに送出する状態となる。
【0081】
この結果、位置指示器1の芯体6から送出される交流信号の、位置検出装置201のセンサ202上での受信信号分布は、図8(D)の実線407(図8(B)の点線406に等しい)で示すように、芯体6の、センサ202の入力面202Sからの離間距離に応じた強度で分布するものとなる。すなわち、位置検出装置201のセンサ202では、位置指示器1でスイッチ回路312がオンであった場合(図8(D)では点線408で示す)よりも、位置指示器1が傾斜している方に、より広い領域で位置指示器1からの信号を受信する状態となる。
【0082】
したがって、位置指示器1が、図8(C)に示すように傾斜していた場合には、位置検出装置201のセンサ202の複数の導体Xi―2,Xi-1,Xi,Xi+1,Xi+2,Xi+3において、芯体6からの信号の受信信号を受け、その信号レベルは、図8(D)の実線407で示すようなものとなる。
【0083】
この結果、位置検出装置201のセンサ202では、位置指示器1が傾いている方の領域において、より広い範囲の導体で信号を受信する状態となり、位置指示器1の芯体6による指示位置を算出する際に、芯体6の軸心方向の傾きに応じた指示位置を確実に算出することができるようになる。図8(D)の例では、位置検出装置201においては、芯体6による指示位置は、芯体6の先端部6aによる指示位置P0に対して、ΔPだけずれた位置P1として検出される。
【0084】
位置検出装置201の制御回路220では、上述したようにして受信した位置指示器1からの信号に基づいて、スイッチ回路312がオンである第1の期間Paにおける位置指示器1の芯体6による指示位置と、スイッチ回路312がオフである第2の期間Pbにおける位置指示器1の芯体6による指示位置とを、信号送出単位期間Psごとに検出する。この場合に、位置検出装置201の制御回路220では、位置指示器1からの識別情報を検出することで、第1の期間Paにおける受信信号か、第2の期間Pbにおける受信信号かを検出する。
【0085】
そして、位置検出装置201の制御回路220では、スイッチ回路312がオンである第1の期間Paにおける位置指示器1の芯体6による指示位置と、スイッチ回路312がオフである第2の期間Pbにおける位置指示器1の芯体6による指示位置とから、位置指示器1の芯体6による指示位置の検出出力と、位置指示器1の傾き角度とを検出する。
【0086】
すなわち、位置検出装置201の制御回路220では、第1の期間Paにおける位置指示器1の芯体6による指示位置と、スイッチ回路312がオフである第2の期間Pbにおける位置指示器1の芯体6による指示位置とが、図7(B)及び(C)に示したように、共に、位置P0であった時には、位置指示器1の芯体6による指示位置の検出出力は位置P0である判定すると共に、位置指示器1は傾斜しておらず、傾き角度は0度(垂直)であると検出する。
【0087】
また、位置検出装置201の制御回路220では、第1の期間Paにおける位置指示器1の芯体6による指示位置が、図8(B)に示すように、位置P0であり、スイッチ回路312がオフである第2の期間Pbにおける位置指示器1の芯体6による指示位置が、図8(D)に示すように、位置P1であって、それら位置P0及びP1のセンサ202の入力面202S上の位置が、図9に示すようなものであった時には、位置指示器1の芯体6による指示位置の検出出力は、位置P0であるとすると共に、位置P0から位置P1に向かう矢印ARの方向を位置指示器1の傾き方向として検出し、また、位置P0から位置P1までの距離ΔPから、位置指示器1の傾き方向及び傾き角の大きさを検出する。
【0088】
なお、位置P0から位置P1に向かう矢印ARの方向と、位置P0から位置P1までの距離ΔPとは、位置P0及び位置P1のX座標値及びY座標値を用いて算出することができることは言うまでもない。また、距離ΔPから対応する位置指示器1の傾き角は、例えば演算により求めてもよいが、予め距離ΔPと傾き角との変換テーブルを予め用意しておいて、その変換テーブルから求めることができる。
【0089】
以上のようにして、第1の実施形態の位置指示器1によれば、信号送出制御回路31において、信号送出単位期間Psにおいて、スイッチ回路312のオン、オフを切り替えて、第1の期間Paを位置指示検出用期間とし、第2の期間Pbを傾き検出用期間とすることで、位置検出装置201では、位置指示器1の芯体6による指示位置と、芯体6の傾きの方向及び傾きの大きさを検出することができる。そして、この場合に、スイッチ回路312は、送出する信号の信号路に設けられているのではなく、逆相の信号は浮遊容量313を介して送出するインダクタンス回路を、リング電極7と基準電圧の供給端との間に接続するか否かを切り替えるので回路構成が簡単となり、位置指示器1の電力消費は少なくなるという効果を奏する。
【0090】
また、この第1の実施形態の位置指示器1においては、信号送出制御回路31は、インダクタンス回路としてのコイル311と、スイッチ回路312とから構成し、芯体6からの信号とは逆相の信号をリング電極7から送出するように構成しているので、位置検出用期間としての第1の期間Paで検出された位置指示器1の芯体6の指示位置は、位置指示器1の傾きに関係なく、正しく検出することができる。このため、この第1の実施形態の位置指示器1を用いた場合には、位置検出装置201では、位置指示器1の芯体6の指示位置を、検出した位置指示器1の傾き角度により補正する必要はないという効果もある。
【0091】
なお、図5の等価回路では、浮遊容量313が芯体6とリング電極7との間に仮想的に接続されているものとしたが、芯体6とリング電極7との間にコンデンサを実際的に接続し、そのコンデンサの静電容量を、位置検出装置201で、正しく芯体6の先端部6aでの指示位置を検出することができるような値に調整するようにしてもよい。この場合に、芯体6とリング電極7との間にコンデンサを実際的に接続するコンデンサの静電容量は、コイル303のインダクタンス値を調整する代わりに、あるいはコイル303のインダクタンス値の調整と共に、調整するようにしてもよい。
【0092】
なお、上述の第1の実施形態の説明では、リング電極7はコイル311を通じてアース導体に接続するようにしたが、電源電圧VDDが得られる端子に接続するようにしてもよい。つまり、リング電極7はコイル311を通じて基準電位に接続するようにすればよい。
【0093】
なお、上述の第1の実施形態の位置指示器1では、第1の期間Paと第2の期間Pbとの両方の期間において、筆圧データを送出するようにしたが、傾き検出用期間である第2の期間Pbでは、筆圧データを送出しないようにしてもよい。
【0094】
[第2の実施形態]
図10は、第2の実施形態の位置指示器1Aの送信信号生成回路30Aの構成例を示す図である。この送信信号生成回路30Aの構成を除くと、第2の実施形態の位置指示器1Aのハードウエア構成は、図2に示した第1の実施形態と同様の構成とされる。
【0095】
そして、この第2の実施形態の位置指示器1Aの送信信号生成回路30Aにおいては、第1の実施形態の位置指示器1の送信信号生成回路30における信号送出制御回路31とは異なる信号送出制御回路31Aが、リング電極7と、基準電位の例としての接地端との間に接続される。この第2の実施形態の位置指示器1Aのその他の構成要素は、第1の実施形態の位置指示器1と同様とされている。図10において、第1の実施形態の位置指示器1と同一の構成要素部分については、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略することとする。
【0096】
この第2の実施形態の位置指示器1Aの送信信号生成回路30Aにおいては、図10に示すように、リング電極7と接地端との間に、インダクタンス回路の例としてのコイル311を接続すると共に、このコイル311と並列に、キャパシタンス回路314と、スイッチ回路315との直列回路を接続する。そして、コントローラ301Aは、スイッチ回路315のオン、オフを切り替え制御する切替制御信号SWAを生成し、スイッチ回路315に供給するようにする。
【0097】
この場合に、この第2の実施形態の位置指示器1Aにおいては、コントローラ301Aは、図11に示すように、切替制御信号SWAにより、第1の期間Paでは、スイッチ回路315をオフに、第2の期間Pbでは、スイッチ回路315をオンに、それぞれ切替制御する。この第2の実施形態の位置指示器1Aにおいて、その他は、第1の実施形態の送信信号生成回路30と同様に構成する。
【0098】
この第2の実施形態の位置指示器1Aの送信信号生成回路30Aの等価回路は、図12に示すようなものとなる。
【0099】
以上のように構成されている第2の実施形態の位置指示器1Aの第1の期間Paでは、スイッチ回路315がオフとされるので、第1の実施形態における第1の期間Paと同様に、リング電極7は、コイル311を通じて基準電位に接続される。したがって、第1の期間Paでは、図12に示すように、この第2の実施形態の位置指示器1Aにおいても、リング電極7からは、芯体6からの送出される信号Saとは逆相の信号Sbが送出されるものとなり、第1の実施形態の位置指示器1と同様の動作をする。したがって、位置指示器1Aが傾斜していても、位置検出装置201では、その傾斜に関係なく、位置指示器1Aの芯体6の先端部62による指示位置を正しく検出することができる。
【0100】
一方、この第2の実施形態の位置指示器1Aの第2の期間Pbでは、スイッチ回路315がオンとされるので、コイル311に対してキャパシタンス回路314が並列に接続されて、これらコイル311とキャパシタンス回路314とからなる共振回路316が、リング電極7と接地端との間に接続される。この場合に、この共振回路316の共振周波数は、この第2の実施形態においては、信号発生回路302が備える発振回路の発振周波数と等しく選定されている。
【0101】
したがって、スイッチ回路315がオンとされる第2の期間Pbでは、リング電極7と接地端との間に共振回路316が接続されるので、図12に示すように、リング電極7からは芯体6から送出される信号Saと同相の信号Sa´が送出される状態となる。このため、位置指示器1Aの芯体6から送出される交流信号の、位置検出装置201のセンサ202上での受信信号分布は、スイッチ回路315がオフであるときのそれよりも、より広い範囲の分布を呈する。すなわち、例えば図7(C)のように位置指示器1Aの芯体6の軸心方向がセンサ202の入力面202Sに対して垂直である場合には、図7(A)に示した実線403よりも、さらに広範囲の受信信号分布を呈する。また、例えば図8(C)のように位置指示器1Aが傾斜している場合には、図8(D)に示した実線407よりも、さらに傾斜している方に広範囲の受信信号分布を呈する。
【0102】
したがって、この第2の実施形態の位置指示器1Aによれば、センサ202では、第2の期間Pbでは、より広い範囲の導体で位置指示器1Aからの信号を受けることができるようになるため、位置指示器1Aの傾き角度の算出が容易になる。
【0103】
なお、上述の第2の実施形態の位置指示器1Aにおいては、共振回路316の共振周波数を、信号発生回路302の発振回路の発振周波数と等しく選定するようにしたが、共振回路316の共振周波数は、信号発生回路302の発振回路の発振周波数と必ずしも同一に選定する必要はなく、異なっていてもよい。ただし、共振回路316の共振周波数を、信号発生回路302の発振回路の発振周波数と等しく選定した場合には、第2の期間Pbにおいて、位置指示器1Aの芯体6から送出される交流信号の、位置検出装置201のセンサ202上での受信信号分布として、より広い範囲の分布を呈するものとなるものである。
【0104】
[第3の実施形態]
以下に説明する第3の実施形態は、位置指示器の傾き角度だけではなく、位置指示器の回転角度を検出をすることができるようにした例である。
【0105】
図13は、この第3の実施形態の位置指示器1Bの送信信号生成回路30Bの構成例を示す図である。この第3の実施形態の位置指示器1Bは、ハードウエア構成としては、上述の第1の実施形態の位置指示器1とは、周囲導体の構成が異なる。
【0106】
すなわち、この第3の実施形態の位置指示器1Bにおいては、図13に示すように、周囲導体は、芯体6の周囲を取り囲むように配設された複数個、この例では、2個の周囲電極7Ba及び7Bbで構成される。2個の周囲電極7Ba及び7Bbは、筒状の導体を、その中心線を含む面で2分割したようなものであり、それぞれ、芯体6の周囲を、180度よりも若干小さい角範囲分ずつ取り囲むように配設されている。この場合に、2個の周囲電極7Ba及び7Bbは、互いに電気的に絶縁されるように、円周方向において隙間を空けて離間されて配設されている。
【0107】
そして、2個の周囲電極7Ba及び7Bbのそれぞれと、基準電位、この例では接地端との間には、それぞれ信号送出制御回路31Ba及び信号送出制御回路31Bbが接続されている。
【0108】
信号送出制御回路31Ba及び信号送出制御回路31Bbは、この例では、上述の第2の実施形態の位置指示器1Aの信号送出制御回路31Aと同様に構成される。
【0109】
すなわち、信号送出制御回路31Baにおいては、周囲電極7Baと、接地端との間に、インダクタンス回路の例としてのコイル311Baを接続すると共に、このコイル311Baと並列に、キャパシタンス回路314Baと、スイッチ回路315Baとの直列回路を接続する。そして、コントローラ301Bは、スイッチ回路315Baのオン、オフを切り替え制御する切替制御信号SWBaを生成し、スイッチ回路315Baに供給するようにする。
【0110】
そして、スイッチ回路315Baがオンとされるときには、周囲電極7Baは、コイル311Baとキャパシタンス回路314Baとからなる並列共振回路316Baを通じて接地され、また、スイッチ回路315Baがオフとされるときには、周囲電極7Baは、コイル311Baを通じて接地される状態となる。この場合に、この例においても、並列共振回路316Baの共振周波数は、信号発生回路302の発振回路の発振周波数に等しく選定されている。
【0111】
また、信号送出制御回路31Bbにおいては、周囲電極7Bbと、接地端との間に、インダクタンス回路の例としてのコイル311Bbを接続すると共に、このコイル311Bbと並列に、キャパシタンス回路314Bbと、スイッチ回路315Bbとの直列回路を接続する。そして、コントローラ301Bは、スイッチ回路315Bbのオン、オフを切り替え制御する切替制御信号SWBbを生成し、スイッチ回路315Bbに供給するようにする。
【0112】
そして、スイッチ回路315Bbがオンとされるときには、周囲電極7Bbは、コイル311Bbとキャパシタンス回路314Bbとからなる並列共振回路316Bbを通じて接地され、また、スイッチ回路315Bbがオフとされるときには、周囲電極7Bbは、コイル311Bbを通じて接地される状態となる。この場合に、この例においても、並列共振回路316Bbの共振周波数は、信号発生回路302の発振回路の発振周波数に等しく選定されている。
【0113】
この第3の実施形態の位置指示器1Bのその他の構成は、上述した第1の実施形態の位置指示器1あるいは第2の実施形態の位置指示器1Aと同様に構成する。そこで、図13において、上述の実施形態の位置指示器1,1Aと同一部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0114】
図14に、この第3の実施形態の位置指示器1Bにおける送出信号制御を説明するためのタイミングチャートを示す。すなわち、この第3の実施形態の位置指示器1Bにおいては、信号送出単位期間Psは、図14(D)に示すように、連続送信期間、スタート信号期間、識別情報期間及び筆圧データ送信期間とからなる位置検出用期間Paと、傾き及び回転検出用期間Pcとからなるように構成する。
【0115】
傾き及び回転検出用期間Pcは、回転検出用期間Pc1及びPc2と、傾き検出用期間Pc3とからなる。この例では、回転検出用期間Pc1、Pc2、傾き検出用期間Pc3のそれぞれも、連続送信期間、スタート信号期間、識別情報期間及び筆圧データ送信期間を有する。なお、回転検出用期間Pc1、Pc2、傾き検出用期間Pc3のそれぞれでは、筆圧データ送信期間を設けないようにしてもよい。
【0116】
そして、位置検出用期間Paと、傾き及び回転検出用期間Pcの3つの期間、すなわち、回転検出用期間Pc1及びPc2と、傾き検出用期間Pc3とのそれぞれにおける識別情報期間には、図14(C)に示すように、それぞれの期間を識別するための識別情報が送出される。この場合、4つの期間を識別するので、識別情報は、2ビットの符号とされ、この例では、位置検出用期間Paの識別情報は“00”、回転検出用期間Pc1の識別情報は“01”、回転検出用期間Pc2の識別情報は“10”、傾き検出用期間Pc3の識別情報は“11”、とされている。なお、図14(C)は、信号発生回路302Bの出力信号Ssであり、コントローラ301Bは、この出力信号Ssを送出するように、信号発生回路302Bに対して、イネーブル信号CTBを供給する。
【0117】
そして、コントローラ301Bは、イネーブル信号CTBに同期するタイミングで、信号送出制御回路31Baのスイッチ回路315Baを制御する切替制御信号SWBa(図14(A)参照)及び信号送出制御回路31Bbのスイッチ回路315Bbを制御する切替制御信号SWBb(図14(B)参照)を生成して、それぞれのスイッチ回路315Ba及びスイッチ回路315Bbに供給する。
【0118】
すなわち、図14(A)及び(B)に示すように、第1の期間Pa(位置検出用期間)においては、スイッチ回路315Ba及びスイッチ回路315Bbは、共にオフとされ、周囲電極7Ba及び7Bbは、それぞれコイル311Ba及びコイル311Bbを通じて接地される状態となる。したがって、上述したように、位置指示器1Bは、第1の期間Paにおいては、芯体6から送出される信号とは逆相の信号が周囲電極7Ba及び7Bbから送出される状態となる。
【0119】
したがって、位置指示器1Bから、この第1の期間Paでの信号送出を受けた位置検出装置201では、位置指示器1Bの芯体6の先端部6aによる指示位置が、前述したようにして、位置指示器1Bが傾斜していても、正しく検出される。このとき、位置検出装置201は、位置指示器1Bからの信号に含まれる識別情報“00”を検出して、位置指示器1Bは、第1の期間Paであることを認識し、検出した座標位置を、位置指示器1Bの芯体6の先端部6aによる指示位置として取得する。
【0120】
次に、傾き及び回転検出用期間Pcの最初の回転検出用期間Pc1においては、図14(A)及び(B)に示すように、位置指示器1Bのスイッチ回路315Baはオンとされ、スイッチ回路315Bbはオフとされる。これにより、周囲電極7Baは、共振回路316Baを通じて接地され、また、周囲電極7Bbは、コイル311Bbを通じて接地される状態になる。このため、位置検出装置201では、位置指示器1Bの芯体6による指示位置は、周囲電極7Baの方向にずれると共に、位置指示器1Bの傾斜の方向と大きさに応じた座標位置として検出される。
【0121】
次に、回転検出用期間Pc2になると、図14(A)及び(B)に示すように、位置指示器1Bのスイッチ回路315Baはオフとされ、スイッチ回路315Bbはオンとされる。これにより、周囲電極7Baは、コイル311Baを通じて接地され、また、周囲電極7Bbは、共振回路316Bbを通じて接地される状態になる。このため、位置検出装置201では、位置指示器1Bの芯体6による指示位置は、周囲電極7Bbの方向にずれると共に、位置指示器1Bの傾斜の方向と大きさに応じた座標位置として検出される。
【0122】
位置検出装置201では、この2つの回転検出用期間Pc1及びPc2で求めた位置指示器1Bによる指示位置の座標位置から、位置指示器1Bの回転角度を算出する。この回転角度の算出について、図15を参照して説明する。図15は、位置検出装置201のセンサ202上における位置指示器1Bによる指示位置の座標位置と、位置指示器1Bの周囲電極7Ba及び7Bbの回転方向の位置関係を説明するための図である。なお、この図15では、説明を簡単にするために、位置指示器1Bは、センサ202の入力面に対して垂直となっていて傾いていない状態としている。
【0123】
この例では、例えば図15(A)に示すように、位置指示器1Bの周囲電極7Baの円周方向の中央位置と周囲電極7Bbの円周方向の中央位置が、センサ202のY座標軸に平行になっている状態を位置指示器1Bの回転角度の基準位置(回転角度θr=0度)とする。位置指示器1Bの回転角度は、この基準の回転方向位置からのずれとして検出される。そして、位置指示器1Bの回転角度は、回転検出用期間Pc1において位置指示器1Bによる指示位置として検出される座標位置と、回転検出用期間Pc2において位置指示器1Bによる指示位置として検出される座標位置とを結ぶ線分と、回転方向基準位置との成す角、この例では、Y座標軸との成す角として算出される。
【0124】
位置指示器1Bの周囲電極7Ba及び7Bbの回転方向位置が、図15(A)と同一位置ときには、回転検出用期間Pc1における位置指示器1Bによる指示位置は、例えば図15(A)において、座標位置P2として検出される。また、回転検出用期間Pc2における位置指示器1Bによる指示位置は、例えば図15(A)において、座標位置P3として検出される。図15(A)の状態では、座標位置P2と座標位置P3とを結ぶ線分とY座標軸との成す角は、0度となり、位置指示器1Bの回転角度は0度として算出される。
【0125】
そして、位置指示器1Bの周囲電極7Ba及び7Bbの回転方向位置が、図15(B)に示すような位置に回転したときには、回転検出用期間Pc1における位置指示器1Bによる指示位置は、図15(B)において、座標位置P2´として検出され、また、回転検出用期間Pc2における位置指示器1Bによる指示位置は、図15(B)において、座標位置P3´として検出される。したがって、位置指示器1Bの回転角度θrは、図15(B)に示すように、座標位置P2と座標位置P3とを結ぶ線分とY座標軸との成す角θc(θr=θc)として算出される。
【0126】
なお、図15の例は、上述したように、位置指示器1Bの芯体6の軸心方向が、センサ202の入力面202Sに対して垂直の状態であって、位置指示器1Bが傾斜していないときの例であるので、座標位置P2,P2´と、座標位置P3,P3´とは、図示のような位置となるが、実際的には、上述したように、位置指示器1Bの傾斜の方向と大きさに応じた座標位置となる。しかし、位置指示器1Bの回転角度は、上述の説明とほぼ同様にして算出することができる。
【0127】
次に、この実施形態の位置指示器1Bでは、傾き及び回転検出用期間Pcの最後の期間、すなわち、傾き検出用期間Pc3になると、図14(A)及び(B)に示すように、位置指示器1Bのスイッチ回路315Baはオンとされ、また、スイッチ回路315Bbもオンとされる。これにより、周囲電極7Baは、共振回路316Bbを通じて接地される状態になると共に、周囲電極7Bbも、共振回路316Bbを通じて接地される状態になる。
【0128】
すなわち、傾き検出用期間Pc3では、芯体6の周囲を取り囲む周囲電極7Ba及び7Bbが、それぞれ共振回路316Ba及び316Bbを通じて接地される状態となる。この状態は、周囲電極7Ba及び7Bbに分割されてはいるが、芯体6の周囲を取り囲むように配設されているリング電極7Aが共振回路316を通じて接地されている第2の実施形態における第2の期間Pbと同様の状態となる。したがって、位置検出装置201では、上述したように、位置指示器1Bの芯体6による指示位置として、位置指示器1Bの傾斜に応じた座標位置を検出する。
【0129】
そして、位置検出装置201では、位置検出用期間である第1の期間Paで検出した位置指示器1Bの芯体6の先端部6aによる指示位置の検出座標と、当該傾き検出用期間Pc3で検出した位置指示器1Bの芯体6による指示位置の検出座標とから、第2の実施形態で前述したようにして、位置指示器1Bの傾きの方向と、傾きの大きさを算出する。
【0130】
以上説明した期間Pa,Pc1,Pc2,Pc3のそれぞれにおけるスイッチ回路315Ba及びスイッチ回路315Bbの状態と、位置検出装置201で求めることができる座標位置の関係を、図16の表にまとめて示す。
【0131】
以上のようにして、第3の実施形態の位置指示器1Bにおいては、位置指示器1Bの芯体6の先端部6aによる指示位置を、位置検出用期間である第1の期間Paで、位置指示器1Bが傾斜していてもほぼ正しく検出することができると共に、傾き検出用期間Pc3において検出した位置指示器1Bの芯体6の先端部6aによる指示位置の座標位置と、第1の期間Paで検出した位置指示器1Bの芯体6の先端部6aによる指示位置の座標位置とから、位置指示器1Bの傾きの方向及び大きさを検出することができる。さらに、第3の実施形態の位置指示器1Bにおいては、回転検出用期間Pc1及びPc2で検出した位置指示器1Bの芯体6の先端部6aによる指示位置の座標位置とから、位置指示器1Bの回転角度を検出することができる。
【0132】
[第3の実施形態の変形例]
上述した第3の実施形態の位置指示器1Bでは、信号送出制御回路31Ba及び31Bbとしては、第2の実施形態の位置指示器1Aの信号送出制御回路31Aと同様に、スイッチ回路がオンのときには、周囲電極7Ba及び7Bbのそれぞれを、共振回路を介して接地する構成を用いたが、第1の実施形態の位置指示器1における信号送出制御回路31と同様に、インダクタンス回路の例としてのコイルと、スイッチ回路との直列回路の構成とすることもできる。
【0133】
また、上述した第3の実施形態の位置指示器1Bでは、芯体6の周囲電極は、2個としたが、2個以上であってもよい。例えば図17の例の位置指示器1Cでは、芯体6の周囲を取り囲むように、この例では120弱の角間隔分の3個の周囲電極7Ca,7Cb,7Ccを配設し、それら3個の周囲電極7Ca,7Cb,7Ccのそれぞれと基準電位、この例では接地端との間に、信号送出制御回路31Ca,31Cb,31Ccを接続するように構成する。芯体6には、信号発生回路302からの信号を供給するのは、上述の実施形態と同様である。
【0134】
送信信号生成回路30Cが備える信号送出制御回路31Ca,31Cb,31Ccの構成としては、第1の実施形態の信号送出制御回路31と同様であってもよいし、第2の実施形態の信号送出制御回路31Aと同様であってもよい。
【0135】
この図17の例の場合には、位置指示器1Cは、傾き及び回転検出用期間である第2の期間Pcを3個の期間に分け、それぞれの期間において、信号送出制御回路31Ca,31Cb,31Ccに供給する切替制御信号SWCa,SWCb,SWCcを制御して、3個の周囲電極7Ca,7Cb,7Ccのそれぞれの方向にずれると共に、位置指示器1Cの傾斜の方向及び大きさに応じた位置指示器1Cの芯体6による指示位置を、位置検出装置201で検出させるように構成する。傾き及び回転検出用期間である第2の期間Pcを分割した3個の期間のそれぞれにおいては、芯体6から送出する信号には、それぞれの期間の識別情報を含めるのは、上述の実施形態と同様である。
【0136】
位置検出装置201では、第1の期間Paで、位置指示器1Cの芯体6の先端部6aによる指示位置を、位置指示器1Cが傾いていてもほぼ正しく検出することができる。そして、位置検出装置201では、第2の期間Pcの3個の期間で、3個の周囲電極7Ca,7Cb,7Ccのそれぞれの方向にずれると共に、位置指示器1Cの傾斜の方向及び大きさに応じた位置指示器1Cの芯体6による指示位置の座標位置を検出する。
【0137】
この場合には、それら検出した3個の座標位置は、位置指示器1Cの傾斜の方向及び大きさに対応したものとなっている。そこで、位置検出装置201では、それら検出した3個の座標位置を用いて、位置指示器1Cの回転角度と、位置指示器1Cの傾斜の方向及び大きさを検出する。この例の場合には、上述した位置指示器1Bの場合における傾き検出用期間Pc3は、特に設ける必要はない。ただし、傾き検出用期間Pc3と同様の期間を設けても、もちろん良い。
【0138】
なお、第2の実施形態と同様に、共振回路316Ca,316Cb,316Ccのそれぞれの共振周波数は、信号発生回路302の発振回路の発振周波数と必ずしも同一に選定する必要はなく、異なっていてもよい。
【0139】
[その他の実施形態及び変形例]
上述の実施形態の位置指示器では、信号送出制御回路は、インダクタンス回路の例としてのコイルを備えていて、スイッチ回路のオン・オフ制御により、位置検出用期間である第1の期間Paにおいては、周囲電極は、コイルを介して基準電位に接続することで、位置指示器が傾いていても、位置指示器の芯体の先端部による指示位置を、正しく検出することができるように構成した。
【0140】
しかし、位置指示器の傾きを検出する用途に限るのであれば、要は、位置指示器からの信号の送出領域範囲分布を、位置検出用期間よりも広くすればよい。このことを考慮した場合には、信号送出制御回路としては、上述したインダクタンス回路の例としてのコイルを含むものに限られるものではない。
【0141】
図18は、信号送出制御回路の他の構成例を示すものであり、第1の実施形態の位置指示器の信号送出制御回路の場合である。
【0142】
図18の例の送信信号生成回路30Eが備える信号送出制御回路31Eにおいては、周囲電極の例としてのリング電極7は、コイル311Eとキャパシタンス回路314Eとからなる並列共振回路316Eと、スイッチ回路319との直列回路を介して、基準電位の例としての接地端に接続される。共振回路316Eの共振周波数は、信号発生回路302の発振回路の発振周波数と等しく選定される。なお、前述もしたように、共振回路316Eの共振周波数は、信号発生回路302の発振回路の発振周波数と異なっていてもよい。
【0143】
この図18の例においても、スイッチ回路319は、コントローラ301(図18では、図示を省略)からの切替制御信号SWEにより、位置検出用期間としての第1の期間Paにおいては、オフとされ、傾き検出用期間としての第2の期間Pbでは、オンとされる。
【0144】
この図18の例の場合には、第1の期間Paでは、スイッチ回路319がオフであるので、ほぼ芯体6のみから信号が送出される。一方、第2の期間Pbでは、スイッチ回路319がオンであるため、リング電極7は、共振回路316Eを通じて接地される。このため、信号は、芯体6から送出されると共に、リング電極7から、芯体6から送出される信号と同相の信号が送出されることになり、位置指示器から送出される信号は、第1の期間Paにおける信号よりも、送出領域範囲が広範囲となる。したがって、第2の期間Pbでは、位置指示器の傾きを検出し易くなる。
【0145】
なお、上述の実施形態では、信号送出単位期間の第1の期間と第2の期間、さらに、第3の実施形態の場合には、第2の期間の回転検出用期間Pc1,Pc2、傾き検出期間Pc3を検出するための識別情報を、位置指示器1,1A,1Bの送信信号生成回路30から、センサ202を通じて位置検出装置201に送信するようにした。
【0146】
しかし、図19に示すように、位置指示器1,1A,1Bと、位置検出装置201にそれぞれに、例えばBluetooth(登録商標)などで構成される無線通信回路320と無線通信回路230とを設けて、前記の識別情報をRF(Radio Frequency)信号として位置指示器1,1A,1Bから、無線通信回路を通じた無線通信により位置検出装置201に送信するようにしてもよい。なお、図19は、位置指示器1または1Aと位置検出装置201との場合として示しているが、位置指示器1Bと位置検出装置201との場合にも、同様に構成することができる。
【0147】
また、図19のように構成する場合には、位置指示器1,1A,1Bから識別情報を位置検出装置201に送信する代わりに、位置検出装置201から、位置指示器1,1A,1Bに、無線通信回路230及び320を通じて、傾きや回転を求めるための指示信号を送信し、位置指示器1,1A,1Bのコントローラ301,301A,301Bは、受信した指示信号に応じて、上述したような位置検出装置201で傾き検出や回転検出を可能にするための状態に切り替えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0148】
1,1A,1B,1C…位置指示器、6…芯体、7…リング電極(周囲電極)、7A,7Ba,7Bb,7Ca,7Cb,7Cc…周囲電極、30…送信信号生成回路、31,31A,31Ba,31Bb,31C,31E…信号送出制御回路、201…位置検出装置、202…センサ、202S…センサの入力面、301…コントローラ、302…信号発生回路、311…コイル、312,315,319…信号送出制御回路のスイッチ回路、313…浮遊容量、314,314Ba,314Bb…キャパシタンス回路、316,316Ba,316Bb…共振回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20