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特許7171603緩衝液交換用の試料プレート及び製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】緩衝液交換用の試料プレート及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20221108BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
C12M1/00 A
G01N1/28 J
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019552491
(86)(22)【出願日】2018-03-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 US2018023568
(87)【国際公開番号】W WO2018175584
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/474,757
(32)【優先日】2017-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516348337
【氏名又は名称】アンチェインド ラブス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182730
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 浩明
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ウェズリー ウィリック
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート カズミ モリタ
(72)【発明者】
【氏名】リン コミスキー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ユージーン エバーハート
【審査官】幸田 俊希
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/179598(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2014/0298924(US,A1)
【文献】特開2006-181567(JP,A)
【文献】特開2010-036081(JP,A)
【文献】特表2003-506456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00
B01D 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料から緩衝液を自動交換する試料プレートであって、
複数の貯留部を含み、
前記複数の貯留部のうちの各貯留部は、側壁、内側隆起部、熱封止および接着剤封止を含むフィルター取付け領域、ならびに前記熱封止および前記接着剤封止に対応するように前記貯留部の前記側壁および内側隆起部によって規定されたリング形の溝部を備え、
前記フィルター取付け領域に各貯留部に固定された周縁部を有するフィルターを含み、
前記フィルター取付け領域は、前記フィルターを挟んで30psig以上の圧力差では各貯留部への前記フィルター周縁部の固着を維持している、試料プレート。
【請求項2】
前記フィルターを挟む前記圧力差は、45psig以上である、請求項1に記載の試料プレート。
【請求項3】
前記フィルターを挟む前記圧力差は、60psig以上である、請求項1に記載の試料プレート。
【請求項4】
前記フィルター周縁部は折畳み形状を有し、前記熱封止および前記接着剤封止は、前記フィルター周縁部をその折畳み形状で各貯留部に固定する、請求項1に記載の試料プレート。
【請求項5】
前記接着剤封止は、前記貯留部の前記側壁および内側隆起部によって規定された溝部内に配置された接着剤を含む、請求項4に記載の試料プレート。
【請求項6】
前記貯留部の前記内側隆起部の高さは0.38mmである、請求項5に記載の試料プレート。
【請求項7】
生体試料から緩衝液を自動交換する方法であって、
複数の貯留部を含む試料プレートを圧力室内に配置することを含み、
前記複数の貯留部のうちの各貯留部は、フィルター、ならびに熱封止および接着剤封止を含むフィルター取付け領域、ならびに各貯留部の側壁および内側隆起部によって規定されたリング形の溝部を備え、
前記試料プレート上部の前記圧力室内の空間を加圧し、前記フィルターを挟んで30psig以上の圧力差を発生させて、前記生体試料を第1の緩衝液から分離することを含む、方法。
【請求項8】
前記フィルターを挟む圧力差は、45psig以上である、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記フィルターを挟む圧力差は、60psig以上である、請求項に記載の方法。
【請求項10】
さらに第2の緩衝液を前記複数の貯留部に加えることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
緩衝液を自動交換する試料プレートを製造する方法であって、
周縁部を有するフィルターを複数の貯留部内に装填することを含み、
前記複数の貯留部のうちの各貯留部は、側壁内側隆起部、ならびに熱封止および接着剤封止に対応するように前記側壁および前記内側隆起部により規定されたリング形の溝部を含むフィルター取付け領域を含み、
前記フィルター周縁部を前記フィルター取付け領域に熱的に封止すること、および
前記フィルター周縁部を前記フィルター取付け領域に接着剤により封止することを含む、方法。
【請求項12】
熱封止は、前記フィルター周縁部が各貯留部の前記内側隆起部に固定されるように、前記フィルター周縁部に熱および圧力を加えることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記フィルター周縁部は、前記内側隆起部に対して折畳まれる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記接着剤による封止は、前記溝部を接着剤で充填し前記接着剤を硬化させて、フィルター周縁部を各貯留部の前記側壁にさらに固定することを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2017年3月22日に出願の米国仮特許出願第62/474,757号の優先権を主張し、その開示の全体が参照により本明細書内に組み込まれている。
【0002】
技術分野
本明細書には、生体試料の調製のために緩衝液を交換する試料プレートおよびその方法が開示されている。この方法は、高い圧力を使用してプレート中の貯留部のフィルターを通して緩衝液を押込む緩衝液の自動交換を含むことができる。フィルターのこの高圧下での脱離を回避するように、フィルターの貯留部への封止性を補強するフィルター取付け領域が配置されてもよい。さらにこの試料プレートの製造方法についても開示する。
【背景技術】
【0003】
タンパク質などの生体成分は、その後の処理および分析のために頻繁に処方される。その生体成分は、その成分が生物学的に活性かつ生存可能である比較的狭いpH範囲を維持する緩衝液内に、生体成分を含む試料として調製される場合がある。一般的に、緩衝液は、生体成分の後処理プロセス中に交換される。この緩衝液の交換は、生体成分の活性および生存能力を変化させることなく、生体成分を希釈かつ濃縮サイクルを通して新規の緩衝液に緩慢に交換する必要があるので、労働集約的で時間を浪費し非効率な場合がある。
【0004】
緩衝液交換プロセスに費やす時間を削減するために、試料調製での自動化システムが開発されてきた。しかしながら、これらのシステムは通常、貯留部のフィルターを挟んで高い圧力差を使用しており、この圧力差は、現状で入手可能な試料プレートではフィルターの脱離を引き起こす可能性がある。従って、完全に自動化された緩衝液交換システムに使用するのに適した試料プレートを実現することは有益なことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書では、生体試料から緩衝液を自動交換する試料プレート、この試料プレートを使用する自動化された緩衝液交換の方法、およびそれに関連する製造方法について開示する。一般に、試料プレートは複数の貯留部を含み、これら複数の貯留部のうちの各貯留部は、側壁、周縁部を有するフィルター、およびフィルター取付け領域を備える。高い圧力差、例えば約30psig以上の圧力差がフィルターを挟んで掛けられる場合に、貯留部の壁面へのフィルターの固着を強化するようにフィルター取付け領域を補強して、その領域からのフィルターの脱離を防止できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの例において、緩衝液を自動交換する試料プレートは、複数の貯留部を含み、これら複数の貯留部のうちの各貯留部は、側壁、ならびに熱封止および接着剤封止などの二重封止を含むフィルター取付け領域を備え、この試料プレートはさらに、フィルター取付け領域に各貯留部に固定された周縁部を有するフィルターを含み、このフィルター取付け領域は、フィルターを挟んで30psig以上の圧力差では各貯留部へのフィルター周縁部の固着を維持している。
【0007】
他の例において、緩衝液を自動交換する試料プレートは、複数の貯留部を含み、これら複数の貯留部のうちの各貯留部は、側壁、および熱封止を含むフィルター取付け領域を備え、この試料プレートはさらに、フィルター取付け領域に各貯留部に固定された周縁部を有するフィルターを含み、この熱封止には、試料プレートの一部分と貯留部の蓋の間に固定されたフィルター周縁部を含み、このフィルター取付け領域は、フィルターを挟んで30psig以上の圧力差では各貯留部へのフィルター周縁部の固着を維持している。
【0008】
あるいは、緩衝液を自動交換する試料プレートは、複数の貯留部を含んでもよく、これら複数の貯留部のうちの各貯留部は、側壁、および熱封止を含むフィルター取付け領域を備え、この試料プレートはさらに、フィルター取付け領域に各貯留部に固定された周縁部を有するフィルターを含み、この熱封止には、圧縮されたOリングと試料プレートの一部分の間に固定されたフィルター周縁部を含み、このフィルター取付け領域は、フィルターを挟んで30psig以上の圧力差では各貯留部へのフィルター周縁部の固着を維持している。
【0009】
生体試料から緩衝液を自動交換する方法も本明細書に開示されている。これら方法は、一般に、複数の貯留部を含む試料プレートを圧力室内に配置することを含んでもよく、これら複数の貯留部のうちの各貯留部は、フィルター、ならびに熱封止および接着剤封止を含むフィルター取付け領域を備え、これら方法はさらに、圧力室内の試料プレート上部の空間を加圧し、約30psig以上の圧力差をフィルターを挟んで生成させて、生体試料を第1の緩衝液から分離することを含んでもよい。その後に、第2の緩衝液を複数の貯留部に添加してもよい。上述の熱封止および接着剤封止などの二重封止を含むフィルター取付け領域の代わりに、フィルター取付け領域は、試料プレートの一部分と貯留部の蓋の間に固定されたフィルター周縁部、または圧縮されたOリングと試料プレートの一部分の間に固定されたフィルター周縁部を備えてもよい。
【0010】
本明細書ではさらに、緩衝液を自動交換する試料プレートを製造する方法が開示される。この製造方法は、一般に、周縁部を有するフィルターを複数の貯留部に装填することを含んでもよく、これら複数の貯留部のうちの各貯留部は、側壁、フィルター取付け領域、および内側隆起部を含み、このフィルター取付け領域は、側壁と内側隆起部によって規定される溝部を含み、この製造方法はさらに、フィルター周縁部をフィルター取付け領域に熱的に封止し、かつフィルター周縁部をフィルター取付け領域に接着剤により封止することを含んでもよい。他の製造方法では、熱封止を形成することのみを含んでもよく、フィルター周縁部は、試料プレートの一部分と貯留部の蓋の間に固定されるか、またはフィルター周縁部は、圧縮されたOリングと試料プレートの一部分の間に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一例による試料プレートの透視図である。
【0012】
図2A図2Aおよび図2Bは、一例による二重封止(熱封止および接着剤封止)を含むフィルター取付け領域およびフィルター取付け方法を示す断面図である。
図2B図2Aおよび図2Bは、一例による二重封止(熱封止および接着剤封止)を含むフィルター取付け領域およびフィルター取付け方法を示す断面図である。
【0013】
図3A図3Aおよび3Bは、別の例によるフィルター取付け領域を示す。図3Aは、フィルター取付け領域の個々の構成部品を示す。図3Bは、個々の構成部品が共に封止された後のフィルター取付け領域の断面図を示す。
図3B図3Aおよび3Bは、別の例によるフィルター取付け領域を示す。図3Bは、個々の構成部品が共に封止された後のフィルター取付け領域の断面図を示す。
【0014】
図4A図4Aおよび4Bは、さらに別の例によるフィルター取付け領域を示す。図4Aは、フィルター取付け領域の個々の構成部品を示す。図4Bは、個々の構成部品が共に封止された後のフィルター取付け領域の断面拡大図を示す。
図4B図4Aおよび4Bは、さらに別の例によるフィルター取付け領域を示す。図4Bは、個々の構成部品が共に封止された後のフィルター取付け領域の断面拡大図を示す。
【0015】
図5図5は、60psigの圧力での二重封止した試料プレートの試験から得られたデータを示す。
【0016】
図6図6は、30psigの圧力でのSeahorseTMの30kDaミクロプレートの試験から得られたデータである。
【0017】
図7図7は、30psigの圧力でのAcroprepTM Advanceの10kDa分画分子量プレートの試験から得られたデータを示す。
【0018】
図8図8は、30psigの圧力でのAcroprepTM Advanceの30kDa分画分子量プレートの試験から得られたデータを示す。
【0019】
図9図9は、60、30、および15psigの圧力でのAnalytical Sciencesの10kDa分画分子量フィルタープレートの試験から得られたデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に、生体試料の調製中に緩衝液を自動交換する試料プレートおよび方法が開示される。緩衝液の自動交換でプレートの貯留部のフィルターを挟んで高い圧力差を用いる場合に、例えばタンパク質試料を高濃縮する場合などに、この試料プレートは有益なことがある。この試料プレートは、この高い圧力下でフィルターの貯留部への固着を維持できるように、フィルターの貯留部への取り付けを補強するためのフィルター取付け領域を備えてもよい。試料プレートの製造方法についてさらに説明する。
試料プレート
【0021】
一般に、試料プレートは複数の貯留部を含み、これら複数の貯留部のうちの各貯留部は、側壁、周縁部を有するフィルター、およびフィルター取付け領域を含む。この試料プレートを使用して、その後の分析のために、タンパク質、ペプチド、抗原、抗体、酵素、微生物、DNA、RNAなどの生体成分試料を調製できる。試料プレートは、生体成分の処理に望ましい任意の適切な数の貯留部を含んでもよい。例えば、試料プレートは、1個の貯留部、あるいは2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、10個以上、12個以上、16個以上、24個以上、48個以上、または96個以上の貯留部などの複数の貯留部を含んでもよい。貯留部の容積は、約75mL以下、あるいは他の例では、約25mL以下、約16mL以下、約8mL以下、約4mL以下、約1mL以下、約750μL以下、約500μL以下、または約250μL以下であってもよい。図1には、96個の貯留部(102)を含む試料プレート(100)の一例が示されている。試料プレートは、限定はされないが、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、およびガラス強化ナイロン(GFN)を含むプラスチック材料からなってもよい。
【0022】
一般に、各貯留部は、貯留部の底部の一部を形成し、かつ使用中に緩衝液から生体成分の分離を可能にするフィルターを含む。このフィルターは、意図する貯留部での使用に適した寸法と形状に打ち抜いてもよい。フィルターは、典型的には、貯留部内に保持されることが望ましい生体成分の寸法よりも小さい孔寸法を有する。生体成分に合わせて、フィルターは、限外濾過径フィルターまたはナノ濾過径フィルターであってもよい。いくつかの例において、フィルターは、約3kDa、約10kDa、約30kDa、または約100kDaの分子量分画を有してもよい。
【0023】
貯留部を加圧すると、フィルターを挟んで圧力差が形成され、緩衝液を強制的にフィルターに貫通させて貯留部内にタンパク質の濃縮液を生成する。前述のように、緩衝液交換プロセスが自動化される場合には高い圧力を使用でき、および/または高濃縮試料からの緩衝液を、フィルター上部への加圧によりフィルターに強制的に貫通させる。これらの圧力差は、通常は、遠心分離での濾過中に発生する約15psigの圧力差よりも大きい。従って、本明細書に開示する貯留部は、約30psig以上、約35psig以上、約40psig以上、約45psig以上、約50psig以上、約55psig以上、約60psig以上、約65psig以上、約75psig以上、約80psig以上、約85psig以上、約90psig以上、約95psig以上、または約100psig以上の圧力差がフィルターを挟んで形成されて濾液の除去に使用されるように、加圧されてもよい。いくつかの例において、圧力差は約30psig~約60psigの範囲である。他の例において、使用される圧力差は約60psigである。これらの高い圧力差の下で貯留部からのフィルターの全体的または部分的な脱離を防止するために、本明細書に開示の試料プレートは、貯留部へのフィルターの取り付けを補強する様々なフィルター取付け領域を備えていてもよい。
【0024】
いくつかの例において、生体試料から緩衝液を自動交換する試料プレートは、複数の貯留部を含み、これら複数の貯留部のうちの各貯留部は、側壁、ならびに熱封止および接着剤封止などの二重封止を含むフィルター取付け領域を備え、この試料プレートはさらに、フィルター取付け領域に各貯留部に固定された周縁部を有するフィルターを含み、このフィルター取付け領域は、フィルターを挟んで約30psig以上の圧力差では各貯留部へのフィルター周縁部の固着を維持している。
【0025】
熱封止が使用される場合に、熱加締めとしても知られる熱可塑性加締めを使用して、熱と力を加えてフィルターを貯留部に固定できる。まず力を加えて、フィルターのフィルター取付け領域への接触を最適にしてもよい。次に熱を使用して、フィルター取付け領域中の材料を軟化させて、フィルターを貯留部に固定できる。材料を熱的に接合する他の技術もまた使用してもよい。
【0026】
図2A~2Bに、貯留部のフィルター取付け領域およびこのフィルター取付け領域を形成する方法の一例が示されている。図2Aで、貯留部(200)は、側壁(202)、フィルター(203)、およびフィルター取付け領域(204)を含む。フィルター取付け領域(204)は、貯留部(200)の側壁(202)と内側隆起部(208)によって規定される溝部(206)を含む。内側隆起部(208)へのフィルター(203)の取り付けは、加熱突起部または加熱棒(212)を用いて、最初に矢印Dの方向に貯留部の床部(214)に向かって力をフィルター(203)の周縁部(210)に加えて、二重封止(熱封止および接着剤封止)を使用して実現される。この下向きの力により、周縁部(210)は内側隆起部(208)に対して折り畳まれる。次に加熱棒(212)を介して内側隆起部(208)に熱を加え、内側隆起部(208)の材料を軟化させて、その部分にフィルター周縁部(210)を固定する。取り付けに際して、折畳み構造のフィルター周縁部(210)は、内側隆起部(208)の側面(218)および内側隆起部(208)の頂部(220)の両方に取り付けられる。このように形成された熱封止が図2Bに示されている。加熱棒の先端部は、材料が接合される領域の輪郭に近似するかまたは一致するように形成されてもよい。図2Aでは、加熱棒(212)の先端部(211)は、内側隆起部(208)の輪郭に近似するように形成されている。内側隆起部(208)は、側壁(202)の内面の周りを連続的に延びるリングまたはリムであってもよい。
【0027】
続いて溝部(206)を接着剤により充填し、次に接着剤を紫外光で硬化させて、接着剤封止を形成する。適切な接着剤として、硬化後にその成分が液体試料中に浸出しない接着剤、または蛍光を発しない接着剤が挙げられる。上部から加圧する際に、フィルターは貯留部の底部に向かって屈曲してもよい。従って貯留部は、加圧中にフィルター取付け領域への力を低減するように、1個以上のフィルター支持体(216)をさらに含んでもよい。
【0028】
内側隆起部の高さは、フィルターを挟んで生成される圧力差に応じて変えてもよい。一般に、内側隆起部の高さは、約0.25mm~約0.4mmの範囲であってもよい。例えば、内側隆起部の高さは、約0.25mm、約0.30mm、約0.35mm、約0.36mm、約0.37mm、約0.38mm、約0.39mm、または約0.40mmであってもよい。いくつかの例では、内側隆起部の高さは約0.38mm(0.015インチ)である。
【0029】
フィルターの孔径はまた、フィルターを挟んで生成される圧力差および使用されるフィルター取付け領域の形態に応じて変えてもよい。例えば、フィルターの孔径は約0.77mm(約0.03インチ)であってもよい。いくつかの例では、フィルターの孔径と内側隆起部の高さおよび幅とは一致していて、フィルター周縁部が内側隆起部の頂部および側面に取り付けられると、フィルター周縁部は平坦になりフィルター端部は元に跳ね戻らない。これにより、接着剤封止を形成する際に、接着剤が貯留部の側壁とフィルター周縁部に結合するように、最大の表面積が提供できる。
【0030】
実施例を参照すると、実施例1に説明した比較検討では、二重封止した試料プレートは、例えば約30psig以上または約60psig以上などの高い加圧を使用する自動緩衝液交換システムでの使用に適合しており、市販のプレート、例えばSeahorseTMの30kDaミクロプレート(Agilent Technologies, Chicopee, MA)、AcroprepTM Advanceの10kDa分画分子量プレート(Pall Corporation, Port Washington, NY)、AcroprepTM Advanceの30kDa分画分子量プレート(Pall Corporation, Port Washington, NY)、およびAnalytical Sciencesからの10kDa分画分子量フィルタープレート(Flanders, NJ)よりも優れることが実証された。実施例2に説明した検討では、二重封止した試料プレートを使用して、高濃度のタンパク質試料の緩衝液を交換し、ならびに試料タンパク質の損失を最小限に抑えてこれら試料の緩衝液を交換することが可能であり、かつこのプレートはバイオ医薬品の調製プロセスに有用であることがさらに実証された。
【0031】
他の例では、生体試料から緩衝液を自動交換する試料プレートは、複数の貯留部を含み、これら複数の貯留部のうちの各貯留部は、側壁、および熱封止を含むフィルター取付け領域を備え、この試料プレートはさらに、フィルター取付け領域に各貯留部に固定された周縁部を有するフィルターを含み、この熱封止は、試料プレートの一部分と貯留部の蓋の間に固定されたフィルター周縁部を含み、このフィルター取付け領域は、フィルターを挟んで約30psig以上の圧力差ではフィルター周縁部の各貯留部への固着を維持する。これらの例では、熱封止はまた熱加締めによって形成される。一方で、フィルターの上面(フィルターの残渣物側)に力と熱を加える代わりに、力と熱は、フィルターの下部から、すなわち試料プレートの底部から加えられる。例えば、図3Aおよび3Bに示すように、熱封止(300)(図3B)は、試料プレート(304)の一部分と貯留部の蓋(306)の間にフィルター(302)の周縁部を固定し、適切に成型された加熱棒(図示せず)を使用し貯留部の蓋(306)に対して圧力と熱を加えて、それらを共に融合して形成される。
【0032】
あるいは、生体試料から緩衝液を自動交換する試料プレートは、複数の貯留部を含み、これら複数の貯留部のうちの各貯留部は、側壁、および熱封止を含むフィルター取付け領域を備え、この試料プレートはさらに、フィルター取付け領域に各貯留部に固定された周縁部を有するフィルターを含み、この熱封止は、圧縮されたOリングと試料プレートの一部分の間に固定されたフィルター周縁部を備え、このフィルター取付け領域は、フィルターを挟んで約30psig以上の圧力差ではフィルター周縁部の各貯留部への固着を維持する。
【0033】
Oリングが使用される例では、このリングをまず機械的に圧縮し、次に試料プレートの複数の部分を熱で封止して、この封止によりOリングをフィルターの上部でその圧縮形状のままで保持するように、このリングをそれらの部分の間で挟み込む。この例では、試料プレートは、上部封止プレートおよび下部支持プレートを含んでもよい。例えば、図4Aおよび4Bに示すように、試料プレート(400)は、上部封止プレート(402)、および連結柱(406)を含む下部支持プレート(404)を備える。連結柱(406)は、上部封止プレート(402)内の対応する開口部(408)を貫通してもよい。連結柱の個数は、必要に応じて変更してもよい。Oリング(410)は、上部封止プレート(402)と下部支持プレート(404)の間の各貯留部(412)に配置される。試料プレートを作製するには、上部封止プレート(402)および下部支持プレート(404)を加熱棒の列(図示せず)によって共に押圧し、Oリング(410)を機械的に圧縮して、Oリング(410)およびフィルター(414)をそれらプレート間に挟み込む。次に加熱棒を熱して、結合された上部封止プレート(402)と下部支持プレート(404)の間に、圧縮したOリング(410)およびフィルター(414)を含む熱封止(図4B参照)を形成する。このフィルター取付け領域の例は、異なる分子量の分画を容易にするように、フィルターを(熱加締めの前に)交換することが望ましい際に、有用となる場合がある。
【0034】
本明細書に開示の試料プレートは、Freeslate(登録商標)システム(Unchained Labs, Pleasanton, CA)の自動緩衝液交換モジュールとともに、また2015年5月21日に出願の「緩衝液の交換のためのシステムおよび方法(SYSTEMS AND METHODS FOR EXCHANGE OF BUFFER SOLUTIONS)」と題されたPCT/US出願第2015/031900号(WO2015/179598号)に開示され、かつそれら内容全体が参照により本明細書内に組み込まれている自動緩衝液交換方法およびシステムとともに、使用されてもよい。より具体的には、これら試料プレートは、システムの濾過ユニットまたは緩衝液交換モジュールの加圧室内に配置されてもよく、この加圧室は貯留部と気密封止を形成している。この緩衝液交換モジュールを加圧して、フィルターを挟んで約30psig以上または約60psig以上の圧力差を発生させてもよく、この圧力差は第1の緩衝液をフィルターに通して貯留部から押し出すことができる。この加圧は、空気または窒素などの不活性ガスを貯留部内に注入して(例えば貯留部上部の空間を加圧して)達成され、フィルターを通して第1の緩衝液を押し出して、貯留部内に生体成分を残留させることができる。次に第2の緩衝液を貯留部内に導入してもよい。交換されるそれら緩衝液は、同一であっても異なっていてもよい。緩衝液交換のこのサイクルは、任意の適切な回数で繰り返すことができ、任意の適切な緩衝液種を使用してもよい。
【0035】
これら試料プレートは、例えば、限定はされないが、タンパク質、ペプチド、抗原、抗体、酵素、微生物、DNA、およびRNAを含む生体成分が、さらなる処理および分析のために処方される場合に、自動緩衝液交換が望ましい様々なプロセスに使用してもよい。
緩衝液交換方法
【0036】
生体試料から緩衝液を自動交換する方法もまた、本明細書に開示されている。これら方法は、一般に、複数の貯留部を含む試料プレートを圧力室内に配置することを含み、これら複数の貯留部のうちの各貯留部は、フィルター、ならびに熱封止および接着剤封止を含むフィルター取付け領域を備え、これら方法はさらに、試料プレート上部の圧力室内の空間を加圧しフィルターを挟んで約30psig以上の圧力差を発生させて、生体試料を第1の緩衝液から分離することを含んでもよい。その後に、第2の緩衝液を複数の貯留部に加えてもよい。上述の熱封止や接着剤封止などの二重封止を含むフィルター取付け領域に代えて、このフィルター取付け領域は、試料プレートの一部分と貯留部の蓋の間に固定されたフィルター周縁部を含んでもよく、または圧縮されたOリングと試料プレートの一部分の間に固定されたフィルター周縁部を含んでもよい。
【0037】
貯留部を加圧すると、フィルターを挟んで圧力差が生じて、緩衝液がフィルターを通して押し出され、それにより貯留部内に緩衝液を除去した残留物が生成する。前述のように、緩衝液交換プロセスが自動化され、フィルター上部への加圧により緩衝液がフィルターを通して押し出される際に、高い圧力を使用できる。これらの圧力差は、通常、遠心分離での濾過中に発生する約15psigである圧力差よりも大きい。従って、本明細書に記載の貯留部を、フィルターを挟んで約30psig以上、約35psig以上、約40psig以上、約45psig以上、約50psig以上、約55psig以上、約60psig以上、約65psig以上、約75psig以上、約80psig以上、約85psig以上、約90psig以上、約95psig以上、少なくとも約100psig以上の圧力差を生成して、それを使用して濾液を除去するように、加圧してもよい。いくつかの例では、この圧力差は約30psig~約60psigの範囲である。他の例では、使用する圧力差は約60psigである。この加圧は、空気または窒素などの不活性ガスを貯留部内に注入して(例えば貯留部の上部の空間を加圧して)実現され、フィルターを通して第1の緩衝液を押し出し、貯留部内に生体成分を残留させることができる。
【0038】
前述のように、貯留部内に残留させることが望ましい生体成分の寸法よりも小さい孔寸法を持つフィルターを使用して、濾過を実施してもよい。例えば、タンパク質の寸法が20kDa以上の場合には、20kDa未満の孔寸法を使用してタンパク質を残留させるのがよい。生体成分に応じて、フィルターは限外濾過径またはナノ濾過径のフィルターであってもよい。いくつかの例では、フィルターの孔寸法は、約1000kDa以下、約100kDa以下、または約10kDa以下であってもよい。
【0039】
濾過後に、第2の緩衝液を貯留部に導入してもよい。交換される緩衝液は、同一であっても異なっていてもよい。この緩衝液交換のサイクルは、任意の適切な回数で繰り返すことができ、任意の適切な緩衝液種を使用してもよい。緩衝液交換の方法は、例えば、タンパク質、ペプチド、抗原、抗体、酵素、微生物、DNA、RNAなどを含むバイオ医薬品製剤を調製する際に有用な場合がある。
製造
【0040】
本明細書に、緩衝液を自動交換する試料プレートを製造する方法をさらに開示する。製造方法は、一般に、周縁部を有するフィルターを複数の貯留部内に装填することを含み、これら複数の貯留部のうちの各貯留部は、側壁、フィルター取付け領域、および内側隆起部を含み、このフィルター取付け領域は、側壁と内側隆起部によって規定された溝部を含み、この製造方法はさらに、フィルター周縁部をフィルター取付け領域に熱的に封止し、かつフィルター周縁部をフィルター取付け領域に接着剤により封止することを含んでもよい。他の製造方法として、フィルター周縁部が試料プレートの一部分と貯留部の蓋の間に固定されるか、またはフィルター周縁部が圧縮されたOリングと試料プレートの一部分の間に固定される熱封止を形成することのみを含んでもよい。このOリングを使用する例では、まずOリングを機械的に圧縮し、次に試料プレートの複数の部分を熱で封止して、この封止によりOリングをフィルターの上部にその圧縮形状のままで保持するように、このリングをそれら部分の間で挟み込んでもよい。
【0041】
試料プレート内の複数の貯留部のうちの各貯留部には、打ち抜いたフィルターが装填されている。次に、フィルターの端部または周縁部を各貯留部に熱で結合して、熱封止を形成する。このフィルター周縁部は、折畳み形状に折畳まれ続いて各貯留部に熱で結合されてもよく、またはフィルター周縁部は、折畳のない形状で貯留部に熱で結合されてもよい。いくつかの例では、このフィルターは、本明細書に前述のように、熱加締めによって各貯留部に熱で結合されている。加熱棒は、図2Aに示すように、適切な領域に熱を導通するように、および/またはフィルターが接合される領域の輪郭に近似または一致するように成型された先端部を有してもよい。しかしながら、加熱棒の先端部の形状は、図2Aでの形状には限定されずに、目標の使用領域に適した任意の形状であってもよい。
【0042】
二重封止を使用する場合に、図2Bに示すように、フィルターの端部が貯留部に熱接合された後に、貯留部の溝部に適切な接着剤を注入するかまたは別の方法で充填して、接着剤を含む溝部がさらに形成される。次に紫外光を使用して接着剤を硬化して、接着剤封止を形成する。二重封止を使用するフィルター取付け領域は、フィルターを挟んで圧力差が約30psig以上または約60psig以上の際に、有用な場合がある。
【0043】
他の例では、フィルタ取付け領域は、熱封止のみの形成によっても構成される。フィルター周縁部は、折畳み形状に折畳まれ、次に各貯留部に熱で結合されてもよく、またはフィルター周縁部は、折畳みのない形状で貯留部に熱で結合されてもよい。上述のように、加熱棒を使用して熱封止を形成してもよい。いくつかの例では、図3A~3Bに示すように、熱封止は、試料プレートの一部分と貯留部の蓋の間にフィルター周縁部を固定し、次いで熱加締めによって試料プレートの一部分および貯留部の蓋を熱接合して形成される。別の例では図4A~4Bに示すように、熱封止は、封止プレートと支持プレートを共に押圧し、これにより圧縮されたOリングとこれらプレートの間にフィルター周縁部を固定し、続いて封止プレートと支持プレートを熱接合して形成される。
【実施例
【0044】
以下の実施例は、本明細書に開示される試料プレートおよび方法をさらに説明するものであるが、それらの請求範囲を限定するものとは全く解釈されるべきではない。
例1:二重封止の試料プレートと市販のプレートとの比較試験
【0045】
例えば約30psig以上、または約60psig以上の高い加圧に耐えることができる試料プレートは、より高いタンパク質濃度の生体試料は一般的により高粘度であるので、これら試料での緩衝液の交換を容易にするために活用できる。
【0046】
本明細書に記載するように、10kDaのフィルターおよび二重封止(熱封止および接着剤封止)を含むフィルター取付け領域を有する試料プレートを、以下の4つの市販のプレート:SeahorseTMの30kDaミクロプレート(Agilent Technologies, Chicopee, MA)、AcroprepTM Advanceの10kDa分画分子量プレート(Pall Corporation, Port Washington, NY)、AcroprepTM Advanceの30kDa分画分子量プレート(Pall Corporation, Port Washington, NY)、およびAnalytical Sciencesからの10kDa分画分子量フィルタープレート(Flanders, NJ)と比較して試験した。
【0047】
10mg/mLのIgGをプレートの各貯留部にピペットで注入した。各プレートを自動化Freeslate(登録商標)システム(Unchained Labs, Pleasanton, CA)の緩衝液交換モジュールに配置して、続いて貯留部の破損につき試験し、この破損の意味は、加圧中に全てのタンパク質溶液が消失することとした。貯留部からのフィルターの剥離もまた容易に観察できた。自動化された緩衝液交換システムでは、フィルターを挟んで60psigの圧力差(加圧)が有用であり得るので、最初にこれらプレートをこの加圧水準で試験した。全ての貯留部がその圧力で破損(完全な破損)した場合に、次に30psigの加圧で新しいプレートを試験した。30psigで完全な破損に至った場合に、次に遠心型の緩衝液交換システムで発生する圧力差である15psigの加圧で新しいプレートを試験した。試験するプレートに応じて、加圧時間は約5~約30分間とした。各貯留部を観察して、加圧後に完全に破損があった場合には「×」の印を付けた。
【0048】
図5に示すように、二重封止試料プレートには、60psigで貯留部の破損は無かった。対照的に、市販のプレートは、60psigで全ての貯留部が完全に破損した。30psigでは、SeahorseTMの30kDaミクロプレートの26個の貯留部が完全に破損し(図6)、Pall AcroprepTM Advanceの10kDa分画分子量プレートの7個の貯留部が完全に破損し(図7)、またPall AcroprepTM Advanceの30kDa分画分子量プレートの25個のウェルが完全に破損した(図8)。図9は、Analytical Sciencesによる10kDa分画分子量プレートの結果を示しており、このプレートでは、30psigおよび15psigでも完全な破損が発生した。比較試験から得られた結果では、二重封止試料プレートは、例えば、約30psig以上、または約60psig以上の高水準の加圧を使用する自動化された緩衝液交換システムでの使用に適合しており、かつ市販のプレートよりも優れていることを示していた。
例2:緩衝液交換された高濃度試料中のタンパク質の回収
【0049】
貯留部の破損に加えて、高濃度タンパク質試料中のタンパク質の回収を、10kDaフィルターを有する本明細書に開示の二重封止試料プレートについて評価した。この評価では、96個の貯留部を備える二重封止試料プレートの各貯留部に100mg/mLのIgG試料を入れ込んだ。次に、試料プレートを自動化Freeslate(登録商標)システム(Unchained Labs, Pleasanton, CA)の緩衝液交換モジュール内に配置した。15psigでは、このシステムは停止して緩衝液を交換できなかった。しかしながら、緩衝液交換に60psigの加圧を使用した24時間の運転後には、貯留部の破損はなく、投入したタンパク質の92%以上を回収できた(個々の貯留部でのデータは示さず)。
【0050】
この検討から得られた結果では、二重封止試料プレートを使用して、高濃度タンパク質試料での緩衝液を交換でき、ならびに試料タンパク質の損失を最小にして、この試料での緩衝液を交換できることを示している。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9