(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】電源装置と電源装置用のセパレータ
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20221108BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20221108BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20221108BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20221108BHJP
H01M 50/264 20210101ALI20221108BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20221108BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20221108BHJP
H01M 10/6555 20140101ALI20221108BHJP
H01M 10/6557 20140101ALI20221108BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20221108BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20221108BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20221108BHJP
H01M 50/249 20210101ALN20221108BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/204 401H
H01M50/209
H01M50/262 P
H01M50/264
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/6555
H01M10/6557
H01M10/6563
H01M10/6567
H01M50/293
H01M50/249
(21)【出願番号】P 2019560871
(86)(22)【出願日】2018-11-15
(86)【国際出願番号】 JP2018042198
(87)【国際公開番号】W WO2019123903
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-07-02
(31)【優先権主張番号】P 2017243247
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【氏名又は名称】豊栖 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直剛
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03182482(EP,A1)
【文献】特表2017-539070(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0054755(KR,A)
【文献】特開2010-010460(JP,A)
【文献】特開2006-128122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 10/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に積層される複数の角型の電池セルと、
隣接する前記電池セル同士の間にそれぞれ介在される複数のセパレータと、を備える電源装置であって、
前記セパレータは、
枠状に囲まれた画定空間を形成する絶縁性のセパレータ枠と、
前記セパレータ枠で囲まれた前記画定空間に挿入されて、隣接する前記電池セル同士の間に配置されるセパレータ芯とを備
え、
前記セパレータ枠は、角型の前記電池セルの外形に沿う形状であって、該電池セルの外
周面を被覆する周壁部を有しており、
前記セパレータ枠は、前記周壁部に前記セパレータ芯の挿入開口を有すると共に、前記
挿入開口から前記画定空間に挿入される該セパレータ芯を案内するガイド部を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載される電源装置であっ
て、
前記セパレータ芯は板状であって、前記電池セルの積層方向における前記セパレータ枠の中間部に位置して、前記周壁部に対して垂直姿勢で配置されており、
前記セパレータ芯が前記画定空間を二分割して、前記電池セルを部分的に収納する電池収納部を前記セパレータ芯の両面側に形成してなる電源装置。
【請求項11】
厚さ方向に積層される複数の角型の電池セルと、
隣接する前記電池セル同士の間にそれぞれ介在される複数のセパレータと、を備える電
源装置であって、
前記セパレータは、
枠状に囲まれた画定空間を形成する絶縁性のセパレータ枠と、
前記セパレータ枠で囲まれた前記画定空間に挿入されて、隣接する前記電池セル同士
の間に配置されるセパレータ芯とを備え、
前記セパレータ枠は、角型の前記電池セルの外形に沿う形状であって、該電池セルの外
周面を被覆する周壁部を有しており、
前記セパレータ芯は板状であって、前記電池セルの積層方向における前記セパレータ枠
の中間部に位置して、前記周壁部に対して垂直姿勢で配置されており、
前記セパレータ芯は前記セパレータ枠の内形に沿う外形を有し、該セパレータ芯を該セパレータ枠に対して前記画定空間の開口部から圧入して前記画定空間に配置可能としており、
前記セパレータ芯は、外周面から外側に突出する係止凸部を備えると共に、前
記セパレータ枠は、前記係止凸部を案内する係止部を前記周壁部に設けており、
前記係止凸部を前記係止部に案内して前記セパレータ芯を前記セパレータ枠の中間部に配置してなる電源装置。
【請求項13】
厚さ方向に積層される複数の角型の電池セルと、
隣接する前記電池セル同士の間にそれぞれ介在される複数のセパレータと、を備える電
源装置であって、
前記セパレータは、
枠状に囲まれた画定空間を形成する絶縁性のセパレータ枠と、
前記セパレータ枠で囲まれた前記画定空間に挿入されて、隣接する前記電池セル同士
の間に配置されるセパレータ芯とを備え、
前記セパレータ枠は、角型の前記電池セルの外形に沿う形状であって、該電池セルの外
周面を被覆する周壁部を有しており、
前記セパレータ芯は板状であって、前記電池セルの積層方向における前記セパレータ枠
の中間部に位置して、前記周壁部に対して垂直姿勢で配置されており、
前記セパレータ芯は前記セパレータ枠の内形に沿う外形を有し、該セパレータ芯を該セパレータ枠に対して前記電池セルの積層方向に挿入して前記画定空間に配置可能としており、
前記セパレータ芯は、外周面から外側に突出する挿入凸部を備えると共に、前
記セパレータ枠は、前記挿入凸部を案内する切欠部を前記周壁部に設けており、
前記挿入凸部を前記切欠部に案内して前記セパレータ芯を前記セパレータ枠の中間部に配置してなる電源装置。
【請求項14】
請求項11または13に記載される電源装置であって、
前記セパレータ芯が前記画定空間を二分割して、前記電池セルを部分的に収納する電池
収納部を前記セパレータ芯の両面側に形成してなる電源装置。
【請求項22】
請求項
21に記載の電源装置であっ
て、
隣接する前記電池セル同士の間に前記セパレータを介在させて複数の該電池セルを積層
して電池積層体を形成しており、さらに、
前記電池積層体の表面に熱結合状態で配置される冷却プレートを備えており、
前記熱伝導プレートの放熱部を前記冷却プレートに熱結合させてなることを特徴とする電源装置。
【請求項25】
厚さ方向に積層される角型の電池セル同士の間に介在されるセパレータであって、
枠状に囲まれた画定空間を形成する絶縁性のセパレータ枠と、
前記セパレータ枠で囲まれた前記画定空間に挿入されて、隣接する前記電池セル同士の間に配置されるセパレータ芯と、を備え
、
前記セパレータ枠は、角型の前記電池セルの外形に沿う形状であって、該電池セルの外周
面を被覆する周壁部を有しており、
前記セパレータ枠は、前記周壁部に前記セパレータ芯の挿入開口を有すると共に、前記
挿入開口から前記画定空間に挿入される該セパレータ芯を案内するガイド部を備えるセパレータ。
【請求項27】
請求項
25または
26に記載されるセパレータであって、
前記セパレータ枠の横幅(H)を、前記セパレータ芯の厚さ(t)と、使用される電池セルの厚さ(d)との和となるように特定してなるセパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の角型の電池セルをセパレータを介して積層してなる電源装置とこの電源装置に使用されるセパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の角型の電池セルを備える電源装置は、一般に複数の角型電池セルを絶縁性のセパレータを介して積層して電池積層体を構成し、この電池積層体の両端面に配置される一対のエンドプレートをバインドバーで締結している(特許文献1参照)。この電源装置は、金属製の電池ケースに電極体を収納してなる電池セルを絶縁性のセパレータを介して積層することで隣接する電池セル間のショートを防止しながら複数の電池セルを積層している。
【0003】
この種の電源装置は、体積あたりのエネルギー密度や重量あたりのエネルギー密度の高いものが求められており、電源装置を構成する角型電池セルにおいても、体積あたりのエネルギー密度や重量あたりのエネルギー密度の高い電池を採用することが望まれている。
高容量の電池セルや電源装置が開発されていく中で、電源装置での安全性の確保が重要な課題となっている。特に、耐類焼試験では、セパレータの断熱特性が重要になる。セパレータの断熱特性は、セパレータの熱伝導率と厚みによって決まるが、セパレータの厚みは、電源装置の外形寸法にも影響が及ぶため、電源装置の外形・特性を決定付ける重要なパラメータとなる。
【0004】
一方で、電源装置の用途に応じて、例えば、車両に搭載される電源装置においては、各車種の仕様に合わせて電源装置を構成し、外形を合わせこむのは非常に開発効率が悪くなる。このため、標準的なプラットフォームの開発、つまり、電池セル容量に依存しない電源装置の外形寸法を規格化・標準化していく動きが活発化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一は、様々な仕様の電池セルに柔軟に対応可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様の電源装置によれば、厚さ方向に積層される複数の角型の電池セルと、隣接する前記電池セル同士の間にそれぞれ介在される複数のセパレータとを備える電源装置であって、前記セパレータは、枠状に囲まれた画定空間を形成する絶縁性のセパレータ枠と、前記セパレータ枠で囲まれた前記画定空間に挿入されて、隣接する前記電池セル同士の間に配置されるセパレータ芯とを備えている。セパレータ枠は、角型の電池セルの
外形に沿う形状であって、電池セルの外周面を被覆する周壁部を有しており、セパレータ
枠は、周壁部にセパレータ芯の挿入開口を有すると共に、挿入開口から画定空間に挿入さ
れるセパレータ芯を案内するガイド部を備えている。
【0008】
本発明のある態様のセパレータによれば、厚さ方向に積層される角型の電池セル同士の間に介在されるセパレータであって、枠状に囲まれた画定空間を形成する絶縁性のセパレータ枠と、前記セパレータ枠で囲まれた前記画定空間に挿入されて、隣接する前記電池セル同士の間に配置されるセパレータ芯とを備えている。セパレータ枠は、角型の電池セル
の外形に沿う形状であって、電池セルの外周面を被覆する周壁部を有しており、セパレー
タ枠は、周壁部にセパレータ芯の挿入開口を有すると共に、挿入開口から画定空間に挿入
されるセパレータ芯を案内するガイド部を備えている。
【発明の効果】
【0009】
上記の電源装置によれば、積層される電池セル同士の間に介在させるセパレータを、枠形状のセパレータ枠にセパレータ芯を挿入して連結する構造とすることで、使用する電池セルの仕様に応じて、材質や厚さの異なるセパレータ芯を選択して採用でき、電池セルの仕様に適した理想的な電源装置を実現できる。また、異なる電源装置間で部材の共通化を図ることが可能となるため、製造コストを低減できる。さらに、従来の電源装置では、複雑な形状のセパレータを樹脂で一体成形して製造していたが、これをセパレータ枠とセパレータ芯に分解することで、成形用金型を簡素化でき製造コストの削減にも寄与できる。
【0010】
上記のセパレータによれば、積層される電池セル同士の間に介在させるセパレータとして、枠形状のセパレータ枠にセパレータ芯を挿入して連結することで、使用する電池セルの仕様に応じて、材質や厚さの異なるセパレータ枠やセパレータ芯を選択して採用でき、電池セルのサイズや特性に応じたセパレータを実現できる。また、従来のセパレータは、複雑な形状で一体成形されていたところ、これをセパレータ枠とセパレータ芯に分解することで、成形用金型を簡素化でき製造コストの削減にも寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態1にかかる電源装置の斜視図である。
【
図3】
図2に示す電源装置のセパレータと電池セルの斜視図である。
【
図5】セパレータの他の一例を示す分解斜視図である。
【
図6】セパレータの他の一例を示す分解斜視図である。
【
図7】セパレータ枠の他の一例を示す斜視図である。
【
図8】
図3及び
図4に示すセパレータを介して電池セルを積層する状態を示す水平断面図である。
【
図9】
図5に示すセパレータを介して電池セルを積層する状態を示す水平断面図である。
【
図10】
図6に示すセパレータを介して電池セルを積層する状態を示す水平断面図である。
【
図11】セパレータの他の一例を示す斜視図である。
【
図13】セパレータの他の一例を示す分解斜視図である。
【
図14】セパレータの他の一例を示す分解斜視図である。
【
図15】
図14に示すセパレータの連結構造を示す断面図である。
【
図16】本発明の実施形態2にかかる電源装置の斜視図である。
【
図17】
図16に示す電源装置のセパレータと電池セルの斜視図である。
【
図19】セパレータの他の一例を示す分解斜視図である。
【
図20】本発明の実施形態3にかかる電源装置の斜視図である。
【
図22】
図21に示す電源装置のセパレータと電池セルの斜視図である。
【
図24】本発明の実施形態4にかかる電源装置の斜視図である。
【
図25】
図42に示す電源装置のセパレータの分解斜視図である。
【
図26】本発明の実施形態5にかかる電源装置に使用するセパレータの分解斜視図である。
【
図27】本発明の実施形態5にかかる電源装置に使用するセパレータの他の一例を示す分解斜視図である。
【
図28】本発明の実施形態5にかかる電源装置の拡大垂直縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のある態様の電源装置は、以下の構成により特定されてもよい。電源装置は、厚さ方向に積層される複数の角型の電池セル1と、隣接する電池セル1同士の間にそれぞれ介在される複数のセパレータ2とを備えている。セパレータ2は、枠状に囲まれた画定空間5を形成する絶縁性のセパレータ枠3と、セパレータ枠3で囲まれた画定空間5に挿入されて、隣接する電池セル1同士の間に配置されるセパレータ芯4とを備えている。
【0013】
セパレータ2は、セパレータ枠3が角型の電池セル1の外形に沿う形状であって、電池セル1の外周面を被覆する周壁部30を有し、セパレータ芯4は板状であって、電池セル1の積層方向におけるセパレータ枠3の中間部に位置して、周壁部30に対して垂直姿勢で配置され、セパレータ芯4が画定空間5を二分割して、電池セル1を部分的に収納する電池収納部50をセパレータ芯4の両面側に形成するように構成してもよい。
【0014】
上記構成によれば、プレート状のセパレータ芯を、電池セルの外周面を被覆するセパレータ枠の中間部に配置すると共に、セパレータ芯で画定空間を二分割してセパレータ芯の両面に電池収納部を形成することで、両面に形成される電池収納部に電池セルを部分的に収納して、複数の電池セルをセパレータで位置決めしながら積層できる。
【0015】
セパレータ2は、電池収納部50の深さ(h)を、電池セル1の厚さ(d)の1/2としてもよい。この構成により、電池セルを挟着する状態でセパレータの対向する電池収納部に電池セルを収納することで、電池セルの両面に積層されるセパレータで電池セルの外周面を効果的に被覆して電池セルを確実に絶縁できる。
【0016】
セパレータ枠3の周壁部30は、隣接する電池セル1の天面1Cをそれぞれ部分的に被覆する上面壁30Cと、隣接する電池セル1の外側面1Bをそれぞれ部分的に被覆する一対の側面壁30Bとを備えるように構成してもよい。この構成により、隣接する電池セル同士の天面を上面壁で被覆し、外側面を一対の側面壁で被覆することで、電池セルの外周面を効果的に被覆して絶縁できる。
【0017】
セパレータ枠3の周壁部30は、さらに、隣接する電池セル1の底面1Dをそれぞれ部分的に被覆する下面壁30Dを備えるように構成してもよい。この構成により、隣接する電池セル同士の天面と外側面に加えて底面を下面壁で被覆することで、電池セルの外周面の四方を効果的に被覆して絶縁できる。
【0018】
セパレータ枠3は、上面壁30Cにセパレータ芯4の挿入開口31を有すると共に、一対の側面壁30Bに挿入開口31から画定空間5に挿入されるセパレータ芯4の両側縁部を案内するガイド部32を備えるように構成してもよい。この構成により、セパレータ枠の上面壁に設けた挿入開口から挿入されるセパレータ芯を、側面壁に設けたガイド部によって画定空間の定位置に配置できる。
【0019】
また、セパレータ枠3は、下面壁30Dにセパレータ芯4の挿入開口31を有すると共に、一対の側面壁30Bに挿入開口31から画定空間5に挿入されるセパレータ芯4の両側縁部を案内するガイド部32を備えるように構成してもよい。この構成により、セパレータ枠の下面壁に設けた挿入開口から挿入されるセパレータ芯を、側面壁に設けたガイド部によって画定空間の定位置に配置できる。
【0020】
セパレータ枠3のガイド部32は、側面壁30Bに開口されたガイドスリット32Aまたは側面壁30Bの内面に形成されたガイド溝32Bとしてもよい。この構成により、セパレータ枠の上面壁または下面壁に設けた挿入開口から挿入されるセパレータ芯を、側面壁に設けたガイドスリットまたはガイド溝に沿ってスライドさせながら画定空間の定位置に挿入できる。
【0021】
また、セパレータ枠3は、側面壁30Bにセパレータ芯4の挿入開口31を有すると共に、上面壁30C及び下面壁30Dに、挿入開口31から画定空間5に挿入されるセパレータ芯4の上端部及び下端部を案内するガイド部32を備えてもよい。この構成により、セパレータ枠の側面壁に設けた挿入開口から挿入されるセパレータ芯を、上面壁及び下面壁に設けたガイド部によって画定空間の定位置に配置できる。
【0022】
セパレータ枠3のガイド部32は、上面壁30C及び下面壁30Dに開口されたガイドスリット32Aまたは上面壁30C及び下面壁30Dの内面に形成されたガイド溝32Bとしてもよい。この構成により、セパレータ枠の側面壁に設けた挿入開口から挿入されるセパレータ芯を、上面壁及び下面壁に設けたガイド溝またはガイドスリットに沿ってスライドさせながら画定空間の定位置に挿入できる。
【0023】
セパレータ2は、セパレータ芯4がセパレータ枠3の内形に沿う外形を有し、セパレータ芯4をセパレータ枠3に対して画定空間5の開口部から圧入して画定空間5に配置可能に構成してもよい。さらに、このセパレータ2は、セパレータ芯4が外周面から外側に突出する係止凸部を備えると共に、前記セパレータ枠が係止凸部を案内する係止部を周壁部に設け備えて、係止凸部を係止部に案内してセパレータ芯をセパレータ枠の中間部に配置することが好ましい。
【0024】
上記構成によると、セパレータ芯をセパレータ枠の画定空間の開口部から圧入して、セパレータ芯をセパレータ枠の内側に配置しながら、セパレータ芯に設けた係止凸部をセパレータ枠に設けた係止部に案内することで、セパレータ芯を画定空間の定位置に固定することができる。
【0025】
セパレータ2は、セパレータ芯4が外周面から外側に突出する挿入凸部43を備えると共に、セパレータ枠3がこの挿入凸部43を挿入する挿入部33を周壁部30の中間部に備え、挿入凸部43を挿入部33に案内してセパレータ芯4をセパレータ枠3の定位置に連結するように構成してもよい。
【0026】
上記構成によると、セパレータ芯の外周面に設けた挿入凸部を周壁部の中間部に設けた挿入部に案内することで、セパレータ芯を画定空間の定位置で確実にセパレータ枠に連結することができる。
【0027】
セパレータ2は、セパレータ芯4がセパレータ枠3の内形に沿う外形を有し、セパレータ芯4をセパレータ枠3に対して電池セル1の積層方向に挿入して画定空間5に配置するように構成してもよい。セパレータ芯4は、外周面から外側に突出する挿入凸部43を備え、セパレータ枠3は、挿入凸部43を案内する挿入凹部36を周壁部30に備えて、挿入凸部43を挿入凹部36に案内してセパレータ芯4をセパレータ枠3の中間部に配置するように構成することが好ましい。
【0028】
上記構成によると、セパレータ芯をセパレータ枠に対して電池セルの積層方向に挿入しながら、セパレータ芯に設けた挿入凸部をセパレータ枠に設けた挿入凹部に案内することで、セパレータ芯を画定空間の定位置に容易に配置することができる。
【0029】
セパレータ2は、セパレータ芯4が電池セル1との間に冷却隙間8を形成する溝49を備えて、セパレータ枠3が冷却隙間8に連通される送風開口39を周壁部30に開口するように構成してもよい。この構成によると、セパレータ芯と電池セルとの間に形成される冷却隙間に、セパレータ枠の周壁部に開口された送風開口を通過させて冷却気体を送風して電池セルを空冷できる。
【0030】
セパレータ2は、セパレータ芯4が電池セル1と対向する対向面の外周部を接触部44として電池セル1の主面1Aの外周部に密接させると共に、対向面の中央部に凹状に窪ませた中央凹部45を設けるように構成してもよい。この構成によると、セパレータ芯の外周部に設けた接触部で電池セルの外周部を押圧しながら、セパレータ芯の中央部に設けた中央凹部で電池セルの中央部分の膨れを吸収できる。
【0031】
セパレータ2は、セパレータ芯4が、平板状のプレート本体4aの表面にリング形状のスペーサ4bを固定して、電池セル1と対向する対向面に接触部44と中央凹部45とを設ける構成としてもよい。この構成により、セパレータ芯の対向面に、簡単かつ容易に接触部や中央凹部を形成することができる。また、スペーサの厚さを変更することで、セパレータ芯の厚さを簡単に調整できる。
【0032】
以上の電源装置は、セパレータ芯4が絶縁性をする構成としてもよい。この構成によると、隣接する電池セルの間に絶縁性を有するセパレータ芯を配置することで、隣接する電池セル同士を確実に絶縁して電池セル間におけるショートを防止できる。
【0033】
さらにまた、以上のセパレータ2では、セパレータ芯4を難燃材で成形するように構成してもよい。この構成によると、セパレータ芯自体の温度上昇に起因するセパレータ芯の損傷を防止することができるので、何れかの電池セルが熱暴走した際における類焼を効果的に防止できる。
【0034】
セパレータ芯4は、電池セル1の主面1Aに熱結合される熱交換プレートとし、この熱交換プレートが、熱交換液を循環させる循環路を内部に備えるように構成してもよい。この構成によると、隣接する電池セル間に配置される熱交換プレートに熱交換液を循環させることで、この熱交換プレートに熱結合された電池セルを効率よく温度調整できる。この電源装置は、電池セルの温度が高い場合には、熱交換液で電池セルを冷却でき、寒冷地や冬期において電池セルの温度が低い場合には、熱交換液で電池セルを加温することもできる。
【0035】
セパレータ芯4は、電池セル1の主面1Aに熱結合される熱伝導プレートとし、この熱伝導プレートが、周壁部の外側に配置された放熱部を備えるように構成してもよい。この構成によると、隣接する電池セル間に配置される熱伝導プレートが周壁部の外側に配置される放熱部を備えることで、熱伝導プレートに熱結合された電池セルの発熱を放熱部から外部に放熱させて効率よく冷却できる。
【0036】
電源装置は、さらに電池積層体9の表面に熱結合状態で配置される冷却プレート21を備えて、熱伝導プレートの放熱部を冷却プレートに熱結合させる構成としてもよい。この構成によると、熱伝導プレートに熱結合された電池セルの発熱を放熱部から冷却プレートに熱伝導させてさらに効率よく冷却できる。
【0037】
セパレータ2は、セパレータ芯4が、電池セル1の天面1C及び/又は底面1Dと対向する端部に沿って、対向する電池セル1の主面1Aに接触しない非接触部46を設けるように構成してもよい。この構成によると、電池積層体を積層方向に締結して、その両端面から強く挟着する状態においても、セパレータ芯の上端部及び/又は下端部に形成された非接触部によって、隣接する電池セルの端部同士が強く押圧されるのを防止できる。このため、電池セルの上端部及び/又は下端部が強く押圧されて応力が集中するのを回避して、電池セルの端部が破損したり、電池セルの端部が変形したりするのを効果的に防止できる。
【0038】
さらにまた、電源装置は、隣接する電池セル1同士の間にセパレータ2を介在させて複数の電池セル1を積層して電池積層体9を形成し、さらに、電池積層体9の積層方向の両端面に配置してなる一対のエンドプレート6と、電池積層体9の両側面に配置され、一対のエンドプレート6を締結するバインドバー7とを備えるように構成してもよい。
【0039】
さらに、本発明のある態様のセパレータは、以下の構成により特定されてもよい。セパレータは、厚さ方向に積層される角型の電池セル1同士の間に介在されるセパレータであって、枠状に囲まれた画定空間5を形成する絶縁性のセパレータ枠3と、セパレータ枠3で囲まれた画定空間5に挿入されて、隣接する電池セル1同士の間に配置されるセパレータ芯4とを備えている。
【0040】
セパレータ2は、セパレータ芯4の厚さ(t)を、使用される電池セル1の厚さ(d)と、互いに積層される電池セル1の所望のセル間距離(D)との差となるように特定されるように構成してもよい。以上のセパレータは、使用する電池セルの厚さ(d)に応じて、セパレータ枠に挿入するセパレータ芯の厚さを変更することで、積層される電池セルを所定の間隔(D)で配置することができる。これにより、電池積層体に外装部材として固定される部材を同じ寸法とすることができ、その管理等の繁雑さを解消して電源装置の製造にかかる能率を向上でき、製造コストも低減できる。
【0041】
さらに、セパレータ2は、セパレータ枠3の横幅(H)を、セパレータ芯4の厚さ(t)と、使用される電池セル1の厚さ(d)との和となるように特定されるように構成してもよい。以上のセパレータは、セパレータ枠の横幅(H)を、使用される電池セルの厚さ
(d)とセパレータ芯の厚さ(t)の和となるようにすることで、互いに積層されて電池積層体を形成する複数の電池セルの外周面全体をセパレータ枠で被覆して確実に絶縁できる。
【0042】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに特定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一若しくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0043】
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係る電源装置100の斜視図を
図1に、その分解斜視図を
図2にそれぞれ示す。これらの図に示す電源装置100は、厚さ方向に積層される複数の角型の電池セル1と、互いに隣接する電池セル1同士の間に介在される複数のセパレータ2とを備えている。図に示す電源装置100は、複数の電池セル1及びセパレータ2を交互に積層して電池積層体9を構成しており、この電池積層体9の両端に一対のエンドプレート6を配置し、一対のエンドプレート6を電池積層体9の両側に配置されるバインドバー7で締結している。
【0044】
(電池セル1)
電池セル1は、厚さに比べて幅が広い角型の二次電池で、厚さ方向に積層されて電池積層体9を構成している。電池セル1は、図示しないが、電池ケースを金属製とする非水系電解液電池である。非水系電解液電池である電池セル1は、リチウムイオン二次電池である。電池セル1にリチウムイオン二次電池を使用する電源装置は、電池セル全体の体積や質量に対する充電容量を大きくできる特長がある。ただし、電池セルは、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池等の他の全ての二次電池とすることもできる。
【0045】
電池セル1は、外形を角型とする金属製の電池ケースに、電極体を収納して電解液を充填している。金属製の電池ケースは、アルミニウムやアルミニウム合金で製造することができる。電池ケースは、底を閉塞する筒状に金属板をプレス加工している外装缶と、この外装缶の開口部を気密に閉塞している封口板とを備えている。外形を角型とする電池セル1は、互いに積層される電池セル1同士の対向面となる、幅方向に広がる主面1Aと、電池セル1の両側に位置して厚さ方向に広がる外側面1Bと、有底の外装缶の底側の面となる底面1Dと、外装缶の開口部を閉塞する封口板で構成される天面1Cとを備えている。
なお、本明細書において、上下方向は、図で示す電池セル1の上下方向、すなわち、外装缶の底側を下方向、封口板側を上方向とする。また、本明細書において、左右方向は電池セルの主面の幅方向とし、前後方向は電池セルの積層方向とする。
【0046】
さらに、電池セル1は、封口板の両端部に正負の電極端子11を設けており、正負の電極端子11の間にガス排出部12を設けている。ガス排出部12は、電池ケースの内圧が所定値以上に上昇した際に開弁して、内部のガスを放出できるように構成される。この電池セル1は、ガス排出部12の開弁により、電池ケースの内圧上昇を停止することができる。また、電源装置100は、
図1の鎖線で示すように、電池セル1のガス排出部12から排出されるガスを外部に排気するガス排出ダクト15を電池積層体9の上面に配置することができる。
【0047】
以上の電池セル1は電池ケースを金属製とするので、積層される電池セル1の電池ケース同士が接触してショートするのを防止するために、隣接する電池セル1の間に配置されるセパレータ2が絶縁性を有する構成とすることで、隣接する電池セル1同士のショートを有効に防止できる。とくに、セパレータ2は、電池セル1の外周面を被覆する部分に絶縁性を持たせることで、端子面における電極端子11間のショートや外部とのショートを有効に防止できる。さらに、電池セルは、電池ケースの表面を絶縁フィルムで被覆し、あるいは電池ケースを絶縁コーティングする構成としても良い。例えば、PET樹脂等のシュリンクチューブで電池セルの端子面を除く電池ケースの表面に熱溶着させて被覆しても良い。これにより、電池セルの絶縁性をより高めて、結露等による短絡を確実に防止でき、高い信頼性を実現できる。
【0048】
(セパレータ2)
セパレータ2は、積層される電池セル1の間に配置されるスペーサで、互いに隣接する電池セル1同士の間に介在される。セパレータ2の斜視図と分解斜視図を
図3と
図4に示す。これらの図に示すセパレータ2は、枠状に囲まれた画定空間5を形成する絶縁性のセパレータ枠3と、セパレータ枠3で囲まれた画定空間5に挿入されて隣接する電池セル1同士の間に配置されるセパレータ芯4とを備えている。セパレータ2は、
図4に示すように、セパレータ枠3とセパレータ芯4とを別部材で構成しており、セパレータ枠3の画定空間5にセパレータ芯4を挿入する状態で互いに連結している。
【0049】
セパレータ枠3は、絶縁性を有する部材、例えばプラスチックを所定の形状に成形して製作される。絶縁性を有するセパレータ枠3は、前述のように、端子面における電極端子11間のショートや外部とのショートを有効に防止できる。また、セパレータ芯4も、絶縁性を有するように、好ましくはプラスチック等で所定の形状に成形される。このように絶縁性を有するセパレータ芯4は、隣接する電池セル1間のショートを有効に防止できる。ただ、前述のように、電池セル1は、電池ケースの表面を絶縁フィルム等で被覆して絶縁することができるので、セパレータ芯には必ずしも絶縁性は要求されない。とくに、本実施形態では、セパレータ枠3とセパレータ芯4とを別部材として別々に製造できるので、セパレータ枠3とセパレータ芯4とを異なる材料で製造することもできる。例えば、セパレータ枠3をプラスチック製として、セパレータ芯4を金属製とすることもできる。したがって、本実施形態では、セパレータ枠3及びセパレータ芯4を電池セル1の容量や種類に応じて、耐熱性や剛性、熱伝導率等が最適な材料で成形することで理想的なセパレータ2を実現できる。
【0050】
(セパレータ枠3)
セパレータ枠3は、角型の電池セル1の外形に沿う枠形状に成形されており、電池セル1の外周面を被覆する周壁部30を有している。
図3と
図4に示すセパレータ枠3は、周壁部30を電池セル1の主面1Aの外周に沿う形状としており、この周壁部30によって主面1Aを除く外周面を被覆するようにしている。図に示すセパレータ枠3の周壁部30は、電池セル1の両側の外側面1Bを部分的に被覆する側面壁30Bと、上面である天面1Cを部分的に被覆する上面壁30Cと、底面1Dを部分的に被覆する下面壁30Dとを備えている。周壁部30は、上面壁30C及び下面壁30Dの両端を側面壁30Bで連結して全体の形状を方形状の枠形状としている。
【0051】
セパレータ枠3は、電池セル1を主面側から挿入できる内形としており、内側に挿入される電池セル1の外周面を周壁部30で保持して隣接する電池セル1同士の位置ずれを阻止するようにしている。図のセパレータ枠3は、内側に挿入される電池セル1の外側面1B及び底面1Dの略半面を側面壁30B及び下面壁30Dで被覆する。また、セパレータ枠3は、上面壁30Cで電池セル1の天面1Cを部分的に覆いつつ、電極端子11やガス排出部12を露出させる開口部30x、30yを設けて、隣接する電池セル1同士の天面1Cを被覆している。
【0052】
このセパレータ枠3は、例えば、積層される電池セル1の外周面を保持する剛性を実現するために、好ましくは、硬質のプラスチックで成形される。このようなプラスチックとして、例えば、ポリカーボネートが使用できる。また、ポリカーボネート等のプラスチック素材にガラス繊維を混ぜて成形することで、セパレータ枠3の剛性を向上させることもできる。
【0053】
(セパレータ芯4)
セパレータ芯4は、対向する電池セル1の主面1Aとほぼ等しい大きさの板状である。セパレータ芯4は、電池セル1の積層方向におけるセパレータ枠3の中間部に挿入されて、セパレータ枠3で囲まれた画定空間5を二分割している。板状のセパレータ芯4は、好ましくは、枠形状のセパレータ枠3の内面に隙間なく配置される。これにより隣接する電池セル1間の類焼や延焼を抑制できる。
【0054】
セパレータ芯4は、隣接する電池セル1間における熱伝導を抑制して熱暴走を防止するために、好ましくは、難燃材、例えば、難燃性のプラスチックで成形される。このようなプラスチックとして、例えば、ポリカーボネートやポリプロピレンが使用できる。このように、セパレータ芯4を電池セル1に最適な構造とすることで、セパレータ2の断熱性を高め、隣接する電池セル1間を断熱して類焼や延焼を効果的に阻止できる。
【0055】
さらに、セパレータ芯4は、表面に断熱シートを貼付し、あるいは、難燃性の塗料を塗布する等して、その耐熱特性を向上でき、類焼防止を実現できる。すなわち、セパレータ芯4は、表面に積層されるシート材や表面に塗布される塗料等により、耐熱性や絶縁性等の機能を付加することもできる。なお、セパレータ芯4は、必ずしもプラスチックで形成する必要はないので、セパレータ芯4を断熱シートで構成してもよい。
【0056】
(電池収納部50)
図3のセパレータ2は、セパレータ枠3の前後の中間に位置して、板状のセパレータ芯4を周壁部30に対して垂直姿勢で配置している。これにより、セパレータ枠3で囲まれた画定空間5をセパレータ芯4で二分割して、電池セル1を部分的に収納する電池収納部50をセパレータ芯4の両面側に設けている。図のセパレータ2は、電池収納部50の深さ(h)を、電池セル1の厚さ(d)のほぼ1/2としており、電池収納部50に収納される電池セル1の外周面の略半面を周壁部30で被覆するようにしている。このセパレータ2は、隣接する2つの電池セル1の間に配置されて、言い換えると2つのセパレータ2で1つの電池セル1を両側から挟み込んで、電池セル1の外周面全体を被覆する。
【0057】
別部材で構成されるセパレータ枠3とセパレータ芯4は、以下のようにして互いに連結されて両面側に電池収納部50を有するセパレータ2が形成される。すなわち、セパレータ芯4は、以下に示す連結構造によりセパレータ枠3の中間部における定位置に配置されて互いに連結される。なお、セパレータ枠3の画定空間5に挿入されるセパレータ芯4は、セパレータ枠3に対して係止構造で連結され、あるいは接着または超音波溶着等により固定されて定位置に配置される。
【0058】
[連結例1]
(セパレータ2A、2B、2C)
図3~
図6に示すセパレータ2A、2B、2Cは、セパレータ枠3Aに対してセパレータ芯4A、4B、4Cを上下方向に挿入して、セパレータ芯4A、4B、4Cをセパレータ枠3Aの中間部に配置する構造としている。これらの図に示すセパレータ2A、2B、2Cは、セパレータ枠3Aの上面壁30Cにセパレータ芯4を挿入するための挿入開口31を開口しており、板状のセパレータ芯4A、4B、4Cを、挿入開口31に通過させて上方から下方に向かって挿入するようにしている。ただ、セパレータ2は、詳細には後述するが、セパレータ枠3の下面壁30Dに挿入開口31を開口して、板状のセパレータ芯4を、挿入開口31に通過させて下方から上方に向かって挿入する構造とすることもできる。ここで、
図4~
図6に示すセパレータ芯4A、4B、4Cは、それぞれの厚さが異なっている。具体的には、
図5に示すセパレータ芯4Bを
図4に示すセパレータ芯4Aよりも薄く成形し、
図6に示すセパレータ芯4Cの最厚部を
図4に示すセパレータ芯4Aよりも厚く成形している。これらの図に示すセパレータ2A、2B、2Cは、セパレータ枠3Aの構造を等しくしており、同じ構造のセパレータ枠3Aに対して厚さの異なるセパレータ芯4A、4B、4Cを挿入することで、電池積層部50の深さ(h)を調整して、厚さ(d)の異なる電池セル1を理想的に積層できるようにしている。
【0059】
セパレータ芯4は、
図4及び
図5に示すように、所定の厚さに成形された板材として厚さを変更するほか、
図6に示すように、一定の厚さに成形されたプレート本体4aの表面に、スペーサ4bを積層して厚さを変更することもできる。
図6に示すセパレータ芯4Cは、
図4に示すセパレータ芯4Aの表面に、薄く成形されたスペーサ4bを貼着することでセパレータ芯4Aよりも厚くしている。この構造は、セパレータ芯4の厚さを容易に調整できる。このようなスペーサ4bとして、耐熱性や断熱性に優れたプレート材やシート材、例えば、樹脂製のプレート材や不燃紙、シリカエアロゲル等の高い断熱性を有する粉体を担持する繊維シート等が使用できる。したがって、セパレータ芯4の厚さを、表面に積層されるプレート材やシート材で調整する構造は、電池セル1の特性に応じて最適な特性のシート材やプレート材を積層することでその特性を付加できる。
【0060】
さらに、
図6に示すセパレータ芯4Cは、電池セル1と対向する対向面の外周部を接触部44として電池セル1の主面1Aの外周部に密接させると共に、対向面の中央部に凹状に窪ませた中央凹部45を設けている。このセパレータ芯4Cは、充電により膨張する電池セル1の膨れを中央凹部45で吸収できるようにしている。
【0061】
さらに、
図6のセパレータ芯4Cは、電池セル1との対向面の外周縁に沿って対向する電池セル1の主面1Aに接触しない非接触部46を設けている。図に示すセパレータ芯4Cは、電池セル1の主面1Aの4辺と対向する上端部、下端部、及び両側縁部に沿って非接触部46を設けている。この非接触部46は、セパレータ芯4Cの外周縁部において、接触部44の外側に一段低く成形された段差部を形成することで形成される。このセパレータ2Cは、電池積層体9を積層方向に締結してその両端面から強く挟着する状態で、隣接する電池セル1の外周縁部が強く押圧されて、電池セル1の端部が破損したり、電池セル1の端部が変形したりするのを防止できる。ただ、セパレータ芯は、電池セルの上端部及び/又は下端部と対向する領域にのみ非接触部を設けることもできる。
【0062】
図6に示すセパレータ芯4Cは、電池セル1の主面1Aに沿う四角形状のプレート本体4aの表面に薄いリング状に成形されたスペーサ4bを貼着することでセパレータ芯4Cの最厚部の厚さを厚くすると共に、電池セル1との対向面に、電池セル1の主面1Aに接触する接触部44と、中央部に形成された中央凹部45と、外周縁に沿って形成された非接触部46とを設けている。この構造は、スペーサ4bの形状を種々に変更することで、電池セル1に応じた所望の形状の接触部44や中央凹部45、あるいは非接触部46を簡単に形成できる。ただ、セパレータ芯は、電池セルとの対向面に接触部や中央凹部、あるいは非接触部を有する形状に樹脂で一体成形することもできる。
【0063】
図6のセパレータ芯4Cは、中央部に凹状に窪んだ一つの中央凹部45を設けているが、セパレータ芯は、表面に複数の穴部を備えることもできる。この複数の穴部は、所定の配列で設けることができる。穴部は、セパレータの全面に均一に形成する他、部分的に形成することもできる。複数の穴部は、設ける密度を均一にする他、セパレータの中央部分で穴部の密度を高めるように設けてもよい。これは、電池セルが熱暴走した場合に、より断熱性を発揮させるためである。一般に電池セルは、熱暴走すると電池セルの外装缶の中央部分が膨張するため、この部分が特にセパレータ芯を押圧して熱が伝わりやすくなる。
そこで、セパレータ芯の中央部分に多くの穴部を形成することで、空気断熱により、セパレータの中央部分の断熱性能を高めることができる。また穴部を多く形成すると、その分だけセパレータの可撓性も部分的に向上し、変形を吸収する作用も奏されることが期待される。
【0064】
図3~
図6のセパレータ枠3Aは、厚さの異なるセパレータ芯4A、4B、4Cを挿入開口31に通過させて挿入するために、セパレータ枠3Aの上面壁30Cに開口される挿入開口31の大きさを、最も厚いセパレータ芯4Cを挿入できる大きさとしている。また、
図4~
図6に示すセパレータ芯4A、4B、4Cは、その上端部に、挿入開口31を隙間なく閉塞するための閉塞部41を両面側に突出して設けている。図に示す閉塞部41は、セパレータ芯4A、4B、4C上端縁に沿って鍔状に伸びる凸条としている。
【0065】
さらに、セパレータ枠3Aは、挿入開口31から挿入されるセパレータ芯4A、4B、4Cを画定空間5の定位置に配置できるように、挿入開口31の両端から側面壁30Bの内面に沿って上下方向に伸びるガイド部32を設けている。板状のセパレータ芯4A、4B、4Cは、両側部をガイド凸条42として、側面壁30Bに設けたガイド部32に沿ってスライドさせてセパレータ枠3Aの中間部に配置するようにしている。
図3~
図6のガイド部32は、側面壁30Bの中心線に沿って上下に開口されたガイドスリット32Aとしている。
【0066】
図3~
図6に示すセパレータ枠3Aは、上面壁30Cの両端部を側面壁30Bから外側に突出させて突出片30Eを設けており、この突出片30Eによりガイドスリット32Aの上端と挿入開口31の両端の連結部分を補強している。正確には、挿入開口31の両端にはガイドスリット32Aの上端が開口されて連結されており、この上端開口部にセパレータ芯4A、4B、4Cのガイド凸条42を案内しながら、セパレータ芯4を挿入開口31に挿入することで、セパレータ芯4をセパレータ枠3の中間部の定位置に配置できるようにしている。
【0067】
さらに、
図3~
図6に示すガイド凸条42は、上端部に係止フック47を設けており、セパレータ枠3Aに対して係止構造で連結できるようにしている。
図3~
図6に示すセパレータ枠3Aは、ガイドスリット32Aの上端部であって、突出片30Fの下面に係止フック47を係止させて、挿入されるセパレータ芯4A、4B、4Cを係止構造で連結できるようにしている。
【0068】
ただ、ガイド部32は、
図7に示すように、セパレータ枠3Bの側面壁30Bの中心線に沿って内側面に形成されたガイド溝32Bとすることもできる。このセパレータ枠3Bは、ガイド溝32Bに沿ってガイド凸条42をスライドさせてセパレータ芯4A、4B、4Cが挿入される。
図7に示すセパレータ枠3Bは、ガイド溝32Bの上端部であって、挿入開口31の両端の開口縁の近傍に係止フック47を係止させる係止部37を設けている。図に示す係止部37は側面壁30Bを貫通する貫通孔としている。このセパレータ枠3Bは、ガイド凸条42に設けた係止フック47を係止部37に係止させて、セパレータ芯4A、4B、4Cを係止構造で連結する。
【0069】
さらに、
図3~
図6に示すセパレータ芯4A、4B、4Cは、下面から下方に突出する挿入凸部43を設けている。これらのセパレータ芯4A、4B、4Cは、この挿入凸部43をセパレータ枠3A、3Bの下面壁30Dに設けた挿入部33に挿入することで、セパレータ枠3A、3Bに対して定位置に位置決めしながら連結できるようにしている。
【0070】
さらに、
図3~
図6に示すセパレータ枠3A、3Bは、互いに隣接して配置されるセパレータ2同士を定位置で連結できるように、セパレータ枠3A、3Bの側面壁30Bの片側(図においては前方側)に連結凹部34を設けて、側面壁30Bの反対側(図においては後方側)には、連結凹部34に案内される連結凸部35を形成している。このセパレータ2は、互いに隣接するセパレータ2同士で電池セル1を挟着する状態で、一方のセパレータ2の連結凸部35を他方のセパレータ2の連結凹部34に案内して定位置で連結される。
【0071】
以上のように、セパレータ枠3Aで枠状に囲まれた画定空間5にセパレータ芯4A、4B、4Cを挿入して構成されるセパレータ2A、2B、2Cは、
図8~
図10に示すように、電池セル1の厚さ(d1、d2、d3)が異なる場合において、使用するセパレータ芯4A、4B、4Cの厚さ(t1、t2、t3)を調整することで、積層される電池セル1の中心間距離(D)を一定にすることができ、かつ、セパレータ枠3の横幅(H)を均一にすることができる。一方、セパレータ芯4A、4B、4Cの閉塞部41や挿入凸部43の寸法は、それぞれ同じ寸法となっているので、同じセパレータ枠3Aによって、厚さの異なるセパレータ芯4A、4B、4Cを保持することができるようになっている。
【0072】
図8~
図10に示す電池積層体9A、9B、9Cは、
図8に示す電池セル1Xの厚さ(d1)を基準として、
図9では電池セル1Yの厚さ(d2)が
図8の電池セル1よりも厚い場合を、
図10では電池セル1Zの厚さ(d3)が
図8の電池セル1よりも薄い場合をそれぞれ示している。これらの図に示すセパレータ2は、セパレータ芯4の厚さ(t)を、使用される電池セル1の厚さ(d)と、互いに積層される電池セル1の所望のセル間距離(D)との差となるように、すなわち、t=D-dとなるように特定することで、積層される複数の電池セル1を所定の間隔(D)で配置できるようにしている。このように、電源装置100の仕様により、使用する電池セル1の厚さ(d)が電源装置100ごとに異なる場合においても、電池セル1の厚さ(d)に応じてセパレータ芯4の厚さ(t)を選択することで、電池セル1の中心間距離(D)を一定にできる。
【0073】
このため、隣接する電池セル1の電極端子11同士を接続するバスバー13に同じ規格のものを使用でき、バスバー13を電源装置ごとに個別に設計することなく統一化して製造コストを低減できる。また、電池セル1の中心間距離を一定にできるので、積層する電池セル1の本数を等しくする電源装置100同士において、電源装置全体の全長を一定とすることができる。このため、電源装置100の外付け用の部材として電池積層体9の側面に連結されるバインドバー7や電池積層体9の上面側に配置されるガス排出ダクト15等の外付けの部材を個別に設計することなく統一化して製造コストを低減できる。
【0074】
さらに、
図8~
図10に示すセパレータ2は、セパレータ枠3の横幅(H)を、セパレータ芯4の厚さ(t)と、使用される電池セル1の厚さ(d)との和となるように、すなわち、H=d+tとなるように特定している。これにより、互いに積層される複数の電池セル1の外周面全体をセパレータ枠3の周壁部30で被覆できるようにしている。
【0075】
さらに、本実施形態にかかるセパレータ2では、セパレータ枠3に対してセパレータ芯4を交換できるので、使用する電池セル1の厚さ(d)だけでなく、電池セル1のタイプや容量に応じて、その材質や機能を考慮してセパレータ芯4を種々に変更できる。また、図に示すように複数の電池セル1が積層される電池積層体9は、積層される部位によって、すなわち、多数の電池セル1が積層される電池積層体9の領域に応じて、電池セル1に挟着されるセパレータ芯4を変更することもできる。
【0076】
[連結例2]
さらに、セパレータは、詳細には後述するが、セパレータ芯をセパレータ枠に対して左右方向に挿入する構造とすることもできる。この場合、セパレータ枠は、側面壁にセパレータ芯の挿入開口を開口すると共に、上面壁及び下面壁の内面には、ガイド凸条となるセパレータ芯の上端部及び下端部を案内するガイド部を設けることができる。このセパレータも、電源装置の仕様により、使用する電池セルの厚さに応じてセパレータ芯の厚さを選択することで、積層される電池セルの中心間距離(D)を一定にすることができる。
【0077】
[連結例3]
(セパレータ2D、2E)
さらに、
図11~
図13に示すセパレータ2D、2Eは、セパレータ枠3Dに対して前後方向にセパレータ芯4D、4Eを挿入して連結する構造としている。
図12と
図13に示すセパレータ2D、2Eは、セパレータ枠3Dに対して前方からセパレータ芯4D、4Eを挿入して、セパレータ枠3Dの内側にセパレータ芯4D、4Eを配置する状態を示している。このセパレータ2D、2Eは、電池セル1の主面1Aと対向するセパレータ芯4D、4Eの外形をセパレータ枠3Dの周壁部30の内形と略等しくしており、セパレータ枠3Dに対してセパレータ芯4D、4Eを隙間なく配置できるようにしている。さらに、
図12と
図13に示すセパレータ2D、2Eは、セパレータ枠3Dの内側に挿入されるセパレータ芯4D、4Eを定位置に配置するために、セパレータ芯4D、4Eの4辺に外側方向に突出する挿入凸部43を設けると共に、この挿入凸部43を案内するための挿入凹部36をセパレータ枠3Dの4辺に設けている。このセパレータ2D、2Eは、セパレータ芯4D、4Eの外周面から突出する挿入凸部43をセパレータ枠3Dの周壁部30に設けた挿入凹部36に案内することで、セパレータ芯4D、4Eをセパレータ枠3Dの定位置に連結できる構造としている。
【0078】
ここで、
図12と
図13に示すセパレータ2D、2Eは、前述のように、互いに隣接するセパレータ2同士を定位置で連結するために、セパレータ枠3Dの周壁部30の片側(図においては前方側)に連結凹部34を設けて、反対側(図においては後方側)には、連結凹部34に案内される連結凸部35を形成している。図のセパレータ2D、2Eは、一対の側面壁30B、下面壁30D、及び上面壁30Cの前方側の中央部に連結凹部34を設けて、後方側の中央部に、連結凹部34に挿入される連結凸部35を設けている。図に示すセパレータ枠3Dは、一対の側面壁30Bと下面壁30Dに設けた連結凹部34を深く形成することにより、セパレータ芯4D、4Eの両側面及び下面に設けた挿入凸部43を挿入する挿入凹部36を形成している。この構造は、セパレータ枠3の両側面壁30Bと下面壁30Dに連結される挿入凸部43の全長を長くできる特徴がある。また、図に示すセパレータ枠3Dは、上面壁30Cに設けた連結凹部34の底部に連結凹部34よりも短く形成される挿入凹部36を形成している。このように、セパレータ枠3Dの連結凹部34の底部に形成される挿入凹部36は、連結凹部34よりも全長を短くすることもできる。連結凹部34よりも短く形成される挿入凹部は、複数個を設けてもよい。これにより、安定してセパレータ芯を定位置に連結できる。なお、図に示すセパレータ枠3Dは、上面壁30Cから後方に突出する連結凸部35、及び上面壁30Cの中央部の領域において、電池セル1のガス排出部12を表出させる開口部30yを開口して設けている。
【0079】
図11~
図13に示すセパレータ芯4D、4Eは、それぞれ厚さが異なっている。具体的には、
図12に示すセパレータ芯4Dに対して、
図13に示すセパレータ芯4Eを厚く成形している。これらのセパレータ2D、2Eは、セパレータ枠3Dの構造を等しくしており、同じ構造のセパレータ枠3Dに対して厚さの異なるセパレータ芯4D、4Eを挿入することで、電池積層部50の深さ(h)を調整して、厚さ(d)の異なる電池セル1を理想的に積層できるようにしている。したがって、これらのセパレータ2D、2Eも、電源装置100の仕様により、使用する電池セル1の厚さ(d)に応じてセパレータ芯4の厚さ(t)を変更することで、積層される電池セル1の中心間距離(D)を一定にすることができる。一方、セパレータ芯4D、4Eの挿入凸部43の寸法は、設けられる位置に応じて、それぞれ同じ寸法となっているので、厚さが異なるにもかかわらず、同じセパレータ枠3Dによって、厚さの異なるセパレータ芯4D、4Eを保持することができるようになっている。
【0080】
[連結例4]
(セパレータ2F)
さらに、
図14と
図15に示すセパレータ2Fは、枠形状のセパレータ枠3Fに対して方形状のセパレータ芯4Fを圧入する構造としている。
図15は、セパレータ枠3Fに対して斜め上方からセパレータ芯4Fを挿入して、セパレータ枠3Fの内側にセパレータ芯4Fを圧入する状態を示している。このセパレータ2Fは、電池セル1の主面1Aと対向するセパレータ芯4Fの外形をセパレータ枠3Fの周壁部30の内形と略等しくし、セパレータ枠3Fに対してセパレータ芯4Fを隙間なく配置できるようにしている。
【0081】
さらに、
図14と
図15に示すセパレータ2Fは、セパレータ芯4Fの下面に下方に突出する挿入凸部43を設けると共に、この挿入凸部43を案内するための挿入凹部33をセパレータ枠3の下面壁30Dに設けている。また、図に示すセパレータ2Fは、セパレータ芯4Fの両側面に、外側に突出する係止凸部48を設けると共に、この係止凸部48を案内するための係止部38をセパレータ枠3Fの側面壁30Bの内面に設けている。図に示す係止凸部48は、セパレータ芯4Fの圧入方向に向かって傾斜する傾斜面を有する傾斜凸部としている。また、図に示す係止部38は、側面壁30Bを貫通する係止穴としている。ただ、係止凸部は、表面を湾曲面、例えば球面状とする湾曲凸部とすることができ、係止部は、係止凸部を案内できる係止凹部とすることができる。
【0082】
以上のセパレータ2Fは、
図15に示すように、セパレータ枠3Fの側面壁30Bの内面に沿ってセパレータ芯4Fを挿入し、セパレータ芯4Fの下面から突出する挿入凸部43を、図の矢印Aで示すようにセパレータ枠3Fの下面壁30Dに設けた挿入部33に挿入すると共に、図の矢印Bで示すようにセパレータ芯4Fを傾けながら側面壁30Bの内面に沿って圧入し、両側面から突出する係止凸部48をセパレータ枠3Fの側面壁30Bに設けた係止部38に案内して、セパレータ芯4Fをセパレータ枠3Fの定位置に連結する。
【0083】
さらに、
図14のセパレータ2Fは、セパレータ芯4Fの上面から突出する挿入凸部43をセパレータ枠3Fの上面壁30Cに設けた挿入凹部36に案内することで、セパレータ芯4Fの上面側の位置決めをするようにしている。さらに、図のセパレータ芯4Fは、上面から突出する挿入凸部43を図の前方側に突出させて閉塞部41を設けている。このセパレータ2Fは、上面壁30Cの前方側に設けた挿入凹部36に挿入凸部43を案内する状態で、挿入凹部36の底部を閉塞部41で閉塞して、挿入凹部36の開口部側にガス排出部12を露出させる開口部30yが形成される。図示しないが、セパレータは、セパレータ芯の上面に係止凸部を設けると共に、この係止凸部を案内する係止部を上面壁の内面に設けて、セパレータ芯の上面側の位置決めをすることもできる。
【0084】
以上のセパレータ2Fも、電源装置100の仕様により、使用する電池セル1の厚さ(d)に応じてセパレータ芯4Fの厚さ(t)を変更することで、積層される電池セル1の中心間距離(D)を一定にすることができる。
【0085】
(電池積層体9)
以上のようにしてセパレータ枠3の中間部の定位置にセパレータ芯4が配置されるセパレータ2は、両面に形成される電池収納部50に電池セル1を案内する状態で互いに積層される。複数の角型の電池セル1と複数のセパレータ2は、
図2に示すように、電池セル1の厚さ方向に交互に積層されて電池積層体9が形成される。複数の電池セル1は、電極端子11を設けている天面1Cが同一平面に位置すると共に、両側の外側面1Bがそれぞれ同一平面に位置する姿勢となるように積層される。
【0086】
電池積層体9は、
図2に示すように、隣接する電池セル1の正負の電極端子11に金属板のバスバー13が接続されて、複数の電池セル1が所定の配列で接続される。電源装置100は、隣接する電池セル1を互いに直列に接続して出力電圧を高くして出力を大きくでき、隣接する電池セル1を並列に接続して充放電の電流を大きくできる。
図2に示す電池積層体9は、12個の電池セル1を積層して、これらの電池セル1を2直2並に接続している。ただ、本発明は、電池積層体を構成する電池セル1の個数とその接続状態を特定しない。
【0087】
(エンドセパレータ14)
図2の電源装置100は、電池積層体9の両端に配置される電池セル1の外側に、エンドセパレータ14を介してエンドプレート6を配置している。エンドセパレータ14は、
図8~
図10に示すように、電池積層体9の両端に配置される電池セル1とエンドプレート6との間に積層されて、電池セル1とエンドプレート6とを絶縁している。すなわち、電池積層体9の両端において、金属製のエンドプレート6と電池セル1とを絶縁するために、電池セル1とエンドプレート6との間に絶縁性のエンドセパレータ14を介在させている。このエンドセパレータ14は、セパレータ2と同様にプラスチック等の絶縁材で製作されている。この構造は、エンドプレート6を金属製としながら、電池ケースを金属製とする電池セル1を、絶縁性を有するエンドセパレータ14で絶縁して積層できる。
【0088】
このエンドセパレータ14は、前述のセパレータ2と同様の構造、すなわち枠状に囲まれた画定空間5を形成するセパレータ枠3Xと、セパレータ枠3Xで囲まれた画定空間5に挿入されるセパレータ芯4Xとを備える構造としている。このエンドセパレータ14は、セパレータ芯4Xで分割される画定空間5の一方の電池収納部50に電池積層体9の最端に積層される電池セル1を挿入し、他方の収納部51にはエンドプレート6を収納する。このエンドセパレータ14も、電池積層体9として積層される電池セル1のサイズや特性に応じてセパレータ枠3Xに連結されるセパレータ芯4Xを適宜選択できるようにしている。エンドセパレータ14は、
図8~
図10に示すように、電池セル1の主面1A及びエンドプレート6とほぼ等しい大きさのセパレータ芯4Xを備えており、このセパレータ芯4Xを電池セル1とエンドプレート6との間に積層してこれらを絶縁している。このエンドセパレータ14も、前述のセパレータ2と同様に、積層する電池セル1の厚さに応じてセパレータ芯4Xの厚さを調整することで、電池積層体9の両端に配置される電池セル1とエンドプレート6との間隔を所定の間隔に調整することができる。
【0089】
(エンドプレート6)
エンドプレート6は、電池積層体9の両端に配置されている。エンドプレート6は、バインドバー7に連結されて、電池積層体9を両端面から加圧し、電池積層体9の各電池セル1を所定の締め付け圧で加圧状態に固定する。エンドプレート6の外形は、電池セル1の外形にほぼ等しく、両側部にバインドバー7を連結して、電池積層体9を加圧状態に固定して変形しない四角形の板状である。このエンドプレート6は、両側部にバインドバー7を連結して、電池セル1の表面に面接触状態に密着し、電池セル1を均一な圧力で加圧状態に固定する。
【0090】
(バインドバー7)
バインドバー7は、
図1と
図2に示すように、電池積層体9の両側面に配置されて、電池積層体9の両端のエンドプレート6を連結して、複数の電池セル1を積層方向に加圧状態で固定する。バインドバー7は、金属板をプレス加工して製作される。このバインドバー7は、電池積層体9の側面に配置される側面プレート部71と、この側面プレート部71の両端部にあってエンドプレート6の外側端面に配置される固定部72とを備えており、固定部72が止ネジ16を介してエンドプレート6の両側部に固定されている。
【0091】
さらに、バインドバー7は、側面プレート部71の外周縁部を除く内側に開口部70を設けている。これによりバインドバー7の軽量化を図ると共に、使用する金属の量を少なくして製造コストを低減している。図のバインドバー7は、側面プレート部71の外周縁部に四角形の周縁プレート部71Aを設けて、周縁プレート部71Aの内側を開口部70としている。
図1と
図2に示す側面プレート部71は、四角形の周縁プレート部71Aの中間部を連結バー71Bで上下に連結しており、周縁プレート部71Aを連結バー71Bで補強しながら、周縁プレート部71Aの内側に複数に区画された開口部70を設けている。
【0092】
(実施形態2)
さらに、本発明の実施形態2に係る電源装置200を
図16の斜視図に示す。この図に示す電源装置200は、厚さ方向に積層される複数の角型の電池セル1と、互いに隣接する電池セル1同士の間に介在されて、電池セル1との間に冷却隙間8を形成するセパレータ2G、2Hとを備えている。この電源装置200は、複数の電池セル1及びセパレータ2を交互に積層して電池積層体9を構成しており、この電池積層体9の両端に一対のエンドプレート6を配置し、一対のエンドプレート6を電池積層体9の両側に配置されるバインドバー7で締結している。さらに、電源装置200は、電池積層体9の両側に送風ダクト17を備えており、この送風ダクト17を介して冷却気体を冷却隙間8に強制送風して、電池積層体9を構成する電池セル1を冷却する構造としている。なお、この電源装置200において、セパレータ2と送風ダクト17以外の部材については、前述の実施形態1と同じ構成要素を採用でき、
図16においては同符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0093】
(セパレータ2G、2H)
図17~
図19に示すセパレータ2G、2Hは、電池セル1を効果的に冷却するために、電池セル1との間に挟着されるセパレータ芯4G、4Hに、空気などの冷却気体を通過させる冷却隙間8を設けている。
図18と
図19に示すセパレータ2G、2Hのセパレータ芯4G、4Hは、断面視がジグザグ状に成形されて、対向する電池セル1の表面である主面1Aとの間に、左右方向に伸びる複数列の冷却隙間8を互いに平行に設けている。冷却隙間8の両端は、電池積層体9の両側面に開口されて、片側から供給される冷却気体を反対側に排出して電池セル1を冷却する。
【0094】
このセパレータ2G、2Hは、セパレータ芯4G、4Hに複数列の溝49を設けて、電池セル1との間に冷却隙間8を設けている。図のセパレータ芯4G、4Hは、複数の溝49を、互いに平行に所定の間隔で設けている。図のセパレータ芯4G、4Hは、両面に溝49を設けており、互いに隣接する電池セル1とセパレータ芯4G、4Hとの間に複数列の冷却隙間8を設けている。この構造は、セパレータ芯4G、4Hの両面に形成される冷却隙間8に送風される冷却気体で、両面に積層される電池セル1を効果的に冷却できる。ただ、セパレータ芯は、片面にのみ溝を設けて、電池セルとセパレータ芯との間に冷却隙間を設けることもできる。さらに、このセパレータ2G、2Hは、セパレータ枠3Gの両側の側面壁30Bに、冷却隙間8に冷却気体を送風するための送風開口39を開口して設けている。
【0095】
図17~
図19に示すセパレータ2G、2Hは、セパレータ芯4G、4Hをセパレータ枠3Gに対して左右方向に挿入する構造としている。図のセパレータ枠3Gは、一方の側面壁30B(図において左側の側面壁30B)にセパレータ芯4G、4Hの挿入開口31を開口している。図のセパレータ枠3Gは、側面壁30Bに上下に延びるスリットを開口し、このスリットをセパレータ芯4G、4Hを通過できる形状と大きさとして挿入開口31としている。また、セパレータ枠3Gは、対向する側面壁30B(図において右側の側面壁30B)にも上下に延びるスリットを開口するが、このスリットは、セパレータ芯4G、4Hの先端部を挿入できるが、全体を通過できない形状と大きさとしている。これにより、セパレータ枠3Gの両側面壁30Bに開口された一対のスリットを、冷却隙間8に冷却気体を送風させるための送風開口39に兼用している。
【0096】
図18と
図19のセパレータ枠3Gは、厚さの異なるセパレータ芯4G、4Hを挿入開口31に通過させて挿入するために、側面壁30Bに開口される挿入開口31の大きさを、最も厚いセパレータ芯4Hを挿入できる大きさとしている。また、
図18に示すセパレータ芯4Gは、その両端部に、挿入開口31を隙間なく閉塞するための閉塞部41を両面側に突出して設けている。図に示す閉塞部41は、セパレータ芯4Gの両端縁であって、溝49を除く部分に鍔状に伸びる凸条として設けている。
【0097】
図18と
図19に示すセパレータ芯4G、4Hは、上下の端部をガイド凸条42としてセパレータ枠3Gの上面壁30Cと下面壁30Dに設けたガイド部32に沿って挿入できるようにしている。図のガイド部32は、上面壁30Cにはガイドスリット32Aを設けて、下面壁30Dにはガイド溝32Bを設けている。図に示すガイド凸条42は、挿入方向における先端側の上下に位置決め用の段差部42aを形成しており、セパレータ枠3Gの対向部に設けた位置決め部30aに、この段差部42aを当接させてセパレータ芯4G、4Hの挿入位置を特定している。また、図に示すガイド凸条42は、挿入方向における後端側の上下に、上下に突出する係止フック47を設けており、セパレータ枠3Gに挿入されたセパレータ芯4G、4Hの抜けを防止している。
【0098】
以上のセパレータは、電池セルとの間に冷却隙間を形成するセパレータ芯をセパレータ枠に対して左右方向に挿入するが、前述のように、セパレータ芯をセパレータ枠に対して上下方向に挿入する構造とすることもできる。この場合、セパレータ芯に形成される溝の両端をセパレータ枠から露出させる必要がある。したがって、このセパレータは、上面壁に挿入開口を開口し、この挿入開口からセパレータ芯を挿入する構造としつつ、両側の側面壁には送風開口を開口し、この送風開口から冷却隙間の両端を外部に露出させる。このセパレータ枠は、両側の側面壁に開口される送風開口を上下に伸びるスリット状とすることで、セパレータ芯を定位置に案内するガイド部に兼用することができる。
【0099】
さらに、図に示すセパレータ芯4G、4Hは、電池セル1の天面1C及び底面1Dと対向する端部に沿って、対向する電池セル1の主面1Aに接触しない非接触部46を設けている。この非接触部46は、セパレータ芯4G、4Hの上下端部を薄く成形することで形成されている。このようにセパレータ芯4G、4Hの上下端部に非接触部を設けることで、電池積層体9を積層方向に締結して両端面から強く挟着する状態においても、隣接する電池セル1の上下の端部が強く押圧されるのを防止できる。ただ、セパレータ芯は、上下のいずれか一方にのみ非接触部を設けることもできる。さらに、セパレータ芯は、図示しないが、左右の端部に電池セルの外側面に沿って上下方向に伸びる非接触部を設けることもできる。
【0100】
セパレータ芯4G、4Hは、それぞれの厚さが異なっている。具体的には、
図19に示すセパレータ芯4Hを
図18に示すセパレータ芯4Gよりも厚く成形している。
図19に示すセパレータ芯4Hは、
図18に示すセパレータ芯4Gよりも厚く成形することで、溝49を深く成形して冷却隙間8を広くしている。ただ、セパレータ芯は、厚さに関係なく溝の深さを一定とすることもできる。これらの図に示すセパレータ2G、2Hは、セパレータ枠3Gの構造を等しくしており、同じ構造のセパレータ枠3Gに対して厚さの異なるセパレータ芯4G、4Hを挿入することで、電池積層部50の深さ(h)を調整して、厚さ(d)の異なる電池セル1を理想的に積層できるようにしている。このため、使用する電池セル1の厚さ(d)が電源装置200ごとに異なる場合においても、電池セル1の厚さ(d)に応じてセパレータ芯4の厚さ(t)を選択することで、電池セル1の中心間距離(D)を一定にでき、積層する電池セル1の本数を等しくする電源装置200同士においては、電源装置全体の全長を一定とすることができる。したがって、電源装置200の外付け用の部材として電池積層体9の側面に連結されるバインドバー7や電池積層体9の上面側に配置されるガス排出ダクト15、電池積層体9の側面に配置される送風ダクト17等の外付けの部材を個別に設計することなく統一化して製造コストを低減できる。
【0101】
(バインドバー7)
バインドバー7は、
図16に示すように、側面プレート部71の外周縁部を除く内側に開口部70を設けて、電池積層体9の内部に冷却気体を送風できる構造としている。図に示すバインドバー7の開口部70は、電池積層体9の両側に開口された送風開口39に対向して開口されている。
【0102】
(送風ダクト17)
以上のように、電池セル1の間に形成される冷却隙間8に送風される冷却気体を介して電池セル1を冷却する電源装置200は、電池積層体9の側面に開口される送風開口39に通過させるように、冷却気体を通過させる送風ダクト17を電池積層体9の両側に設けている。送風ダクト17は、電池積層体9の両側に配置されて、内部に強制送風される冷却気体を電池積層体9の送風開口39から冷却隙間8に送風させる。送風ダクト17は、バインドバー7の開口部70を覆う形状であって中空状に形成されている。
【0103】
図16に示す送風ダクト17は、電池積層体9の両側に配置されており、一方の送風ダクト17を供給側ダクト17Aとすると共に、他方の送風ダクト17を排気側ダクト17Bとして供給側ダクト17Aから供給される冷却気体を冷却隙間8に通過させた後、排気側ダクト17Bから排気するようにしている。送風ダクト17には、冷却気体を強制送風する送風機(図示せず)が連結されており、この送風機を介して冷却気体が強制送風される。
【0104】
(実施形態3)
さらに、本発明の実施形態3に係る電源装置300の斜視図を
図20に、分解斜視図を
図21にそれぞれ示す。これらの図に示す電源装置300は、前述の実施形態1にかかる電源装置100と同様に、厚さ方向に積層される複数の角型の電池セル1と、互いに隣接する電池セル1同士の間に介在される複数のセパレータ2とを交互に積層して電池積層体9を構成するが、この電源装置300は、電池積層体9の下面を開放しており、この部分に冷却プレート21を熱伝導状態で連結して電池積層体9を構成する電池セル1を冷却する構造としている。この電源装置300も、電池積層体9の両端に一対のエンドプレート6を配置し、一対のエンドプレート6を電池積層体9の両側に配置されるバインドバー7で締結している。さらに、電源装置300は、電池積層体9の下方に配置される冷却プレート21を備えている。なお、この電源装置300において、電池セル1の底面1Dを露出させる構造のセパレータ2Iと、冷却プレート21を電池積層体9に熱結合状態に連結する部材以外の部材については、前述の実施形態1と同じ構成要素を採用でき、
図20及び
図21においては同符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0105】
図22と
図23に示すセパレータ2Iは、電池セル1の底面側を開口しており、この開口部分から電池セル1の底面1Dを露出させて、電池積層体9の下方に配置される冷却プレート21に熱伝導できるようにしている。図に示す電源装置300は、電池セル1と冷却プレート21との熱伝導を向上させるために、電池積層体9と冷却プレート21との間に熱伝導部材22を挟着している。熱伝導部材22は、例えば、可撓性とクッション性を有し、熱伝導特性に優れたシート材または板材である。熱伝導部材22は、電池積層体9と冷却プレート21との間に挟着されて、片面を電池積層体9の表面に、他の面を冷却プレート21の表面に広い面積で密着して、電池積層体9と冷却プレート21とを理想的な熱結合状態に配置する。この電源装置300は、冷媒や冷却液等で冷却される冷却プレート21を介して複数の電池セル1を底面側から冷却する。したがって、図に示すセパレータ2Iは、底面に設けた開口部に熱伝導部材22を配置できるようにしている。
【0106】
(セパレータ2I)
図22と
図23に示すセパレータ2Iは、電池セル1の底面1Dを露出させるために、電池セル1の底面側を解放している。図に示すセパレータ2Iのセパレータ枠3Iは、電池セル1の外周に沿う周壁部30の下面側を部分的に開口して開口部30Hを設けており、この開口部30Hから電池セル1の底面1Dを露出させる構造としている。
図22と
図23のセパレータ枠3Iは、電池セル1を嵌入できる内形としており、隣接する電池セル1同士の位置ずれを阻止して、複数の電池セル1を直線状の定位置に積層できるようにしている。図のセパレータ枠3Iは、電池セル1の外周に沿う周壁部30として、電池セル1の外側面1Bを被覆する側面壁30Bと、電池セル1の天面1Cの一部を被覆する上面壁30Cと、電池セル1の底面1Dの両端部を被覆する突出片30Fとを一体成形して設けている。このセパレータ枠3Iは、全体の形状を下方が開口されたコ字状として、下方の開口部30Hから電池セルの底面1Dを露出させる構造としている。さらに、図に示すセパレータ枠3Iは、左右の突出片30Fの中央部を連結バー30Gで連結して全体の形状を枠状に保持している。このように、四方が連結されたセパレータ枠3Iは、全体を強固にできる。
【0107】
セパレータ枠3Iは、上面壁30Cで電池セル1の天面1Cを部分的に覆いつつ、電極端子11やガス排出部12を露出させるように、隣接する電池セル1同士の天面1Cを被覆している。一方で、セパレータ枠3Iの底面1D側においては、電池セル1の底面1Dを露出させる開口部30Hを設けている。
図23のセパレータ2Iは、電池セル1の底面1Dの両端部を被覆する突出片30Fを、側面壁30Bの下端に連結して設けており、一対の突出片30Fの間の部分であって、連結バー30Gの前後を開口部30Hとして電池セル1の底面1Dを露出させている。セパレータ2Iの下端に設けられる突出片30Fは、セパレータ枠3Iに嵌入される電池セル1の下端のコーナー部を定位置に保持すると共に、冷却プレート21と電池セル1との間に介在されて、電池セル1を冷却プレート2131から絶縁している。
【0108】
図23に示すセパレータ2Iも、前述の
図4~
図6に示すセパレータ2A、2B、2Cと同様に、セパレータ枠3Iの上面壁30Cに開口された挿入開口31からセパレータ芯4Iが挿入されて、画定空間5が前後の電池収納部50に区画される。このセパレータ2Iも、前述のセパレータ2と同様に、セパレータ枠3Iに挿入されるセパレータ芯4Iの厚さや材質を種々に変更して、電池セルに最適なセパレータとすることができる。すなわち、このセパレータ2Iも、同じ構造のセパレータ枠3Iに対して厚さの異なるセパレータ芯4を挿入することで、電池積層部50の深さ(h)を調整して、厚さ(d)の異なる電池セル1を理想的に積層できる。このため、積層される電池セル1の中心間距離(D)を一定にして電源装置全体の全長を一定とすることができ、電源装置300の外付け用の部材として電池積層体9の側面に連結されるバインドバー7や電池積層体9の上面側に配置されるガス排出ダクト15、電池積層体9の下方に配置される冷却プレート21や熱伝導部材22等の外付けの部材を個別に設計することなく統一化して製造コストを低減できる。
【0109】
(冷却プレート21)
冷却プレート21は、内部を循環する冷却液で電池セル1を冷却する。電池セル1の熱エネルギーを効率よく冷却液に伝導するために、冷却プレート21は熱伝導特性に優れたアルミニウムやアルミニウム合金などの金属板で製作される。冷却プレート21は、内部に冷却液の循環路24を設けている。循環路24は冷却機構25に連結されて冷却プレート21を冷却する。
図20と
図21の電源装置300は、電池積層体9の底面に熱結合状態に冷却プレート21を配置している。ただ、冷却プレート21は、電池積層体2の側面に配置することもできる。図の電源装置300は、冷却プレート21の外形を、電池積層体9の底面形状に等しく、あるいはこれよりも僅かに大きい長方形の金属板として、全ての電池セル1を冷却する構造としている。冷却プレート21は、金属板の内部に金属パイプを挿入して空洞を設け、あるいは内部に空洞を設けて内部に冷却液の循環路24を設けている。
【0110】
以上のように、底面に開口部を有する電池積層体9は、開口部に配置される熱伝導部材22を介して冷却プレート21の上面に連結される。この電池積層体9は、エンドプレート6を上下に貫通する固定ボルト23を介して冷却プレート21に固定される。エンドプレート6は、上面の中央部にエンドプレート6を上下に貫通する挿通孔6aを開口して設けており、この挿通孔6aに挿通される固定ボルト23を冷却プレート21に連結する構造としている。図に示すエンドプレート6は、中央部に2つの挿通孔6aを離間して設けている。したがって、冷却プレート21には、エンドプレート6の挿通孔6aと対向する位置に、固定ボルト23をねじ込むための連結孔21aを離間して設けている。
【0111】
(実施形態4)
さらに、本発明の実施形態4に係る電源装置400の斜視図を
図24に、この電源装置400に使用されるセパレータ2の分解斜視図を
図25にそれぞれ示す。
図24に示す電源装置400は、電池セル1間に配置されるセパレータ2として、セパレータ芯4Jを熱交換プレート60とするセパレータ2Jを使用している。さらに、
図24の電源装置400は、電池セル1を冷却するための冷却液を各熱交換プレート60に循環させるために、熱交換プレート60の連結部62に連結される供給管63A及び排出管63Bからなる配管63と、この配管63を介して各熱交換プレート60に連結されて、各熱交換プレート60に冷却液を循環させる冷却機構25とを備えている。なお、この電源装置400において、セパレータ2以外の部材については、前述の実施形態1と同じ構成要素を採用でき、
図24においては同符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0112】
(セパレータ2J)
図25に示すセパレータ2Jは、電池セル1を効果的に冷却するために、電池セル1同士の間に挟着されるセパレータ芯4Jを熱交換プレート60としている。
図25に示すセパレータ2Jは、セパレータ芯4Jである熱交換プレート60をセパレータ枠3Jに対して左右方向に挿入する構造としている。
図25のセパレータ枠3Jは、前述の
図18及び
図19に示すセパレータ枠3Gと同様に、一方の側面壁30B(図において左側の側面壁30B)にセパレータ芯4Jの挿入開口31を開口している。図のセパレータ枠3Jは、側面壁30Bに上下に延びるスリット64を開口し、このスリット64をセパレータ芯4Jを通過できる形状と大きさとして挿入開口31としている。図に示すセパレータ枠3Jは、対向する側面壁30B(図において右側の側面壁30B)にも上下に延びるスリット64を開口するが、このスリット64は、セパレータ芯4Jの先端部を挿入できるが、全体を通過できない形状と大きさとしている。この構造によると、セパレータ芯4Jである熱交換プレート60の両端部を、両側面壁30Bに開口された一対のスリット64に嵌合させることで、熱交換プレート60をセパレータ枠3Jの中間の定位置に位置決めしながら固定できる。ただ、セパレータ枠は、いずれか一方の側面壁にのみスリットを設けて挿入開口とすることも、下面壁にスリットを設けて挿入開口とすることもできる。
【0113】
(熱交換プレート60)
熱交換プレート60は、電池セル1の主面1Aに熱結合状態で配置されて、内部に冷却液を循環させて電池セル1を冷却する。熱交換プレート60は、
図25に示すように、内部に冷却液を循環させるための循環路61を設けている。熱交換プレート60は、金属板の内部に金属パイプを挿入して空洞を設け、あるいは内部に空洞を設けて内部に冷却液の循環路61を設けている。図の熱交換プレート60は、循環路61の両端に連結されたパイプを連結部62として熱交換プレート60の側面から外側に向かって突出させている。一対の連結部62は、
図24に示すように、電池積層体9の側面おいて、一方が冷却液の供給管63Aに連結され、他方が冷却液の排出管63Bに連結されている。各熱交換プレート60は、一対の配管63を介して冷却機構25に連結されている。
【0114】
熱交換プレート60は、電池セル1の熱エネルギーを効率よく冷却液に伝導するために、熱伝導特性に優れたアルミニウムやアルミニウム合金などの金属板を使用する。このように、熱交換プレート60であるセパレータ芯4Jの熱伝導率を向上させるために表面を金属板とする場合、好ましくは、電池セル1の表面を絶縁フィルム等で被覆して絶縁する。ただ、熱交換プレートの表面を樹脂コーティングし、あるいは絶縁性の塗料を塗布する等して熱交換プレートの表面を絶縁処理してもよい。
【0115】
図25の熱交換プレート60は、上下の端縁部をガイド凸条42としてセパレータ枠3Jの上面壁30Cと下面壁30Dに設けたガイド部32に沿って挿入できるようにしている。図のガイド部32は、上面壁30Cと下面壁30Dの内面にガイド溝32Bを設けている。さらに、
図25に示す熱交換プレート60は、電池セル1の天面1C及び底面1Dと対向する端部に沿って、対向する電池セル1の主面1Aに接触しない非接触部46を設けている。この非接触部46は、熱交換プレート60の上下端部を薄く成形することで形成されている。なお、
図25に示すように、上下端部を中央部よりも薄くしてガイド凸条42及び非接触部46を設ける熱交換プレート60は、例えば、循環路62となる金属パイプを内部に配置可能な中空状の芯材61Bの両面に金属板61Aを積層して固定する3層構造とし、中間の芯材61Bの上下の端部を金属板61Aよりも突出させる構造とすることで、上下端部に中央部分よりも薄く形成された領域を形成してガイド凸条42や非接触部46を形成することができる。ただ、熱交換プレートは、金属板をプレス加工して形成することも、鋳造して成形することもできる。
【0116】
以上のように、セパレータ芯4Jを熱交換プレート60とするセパレータ2Jを電池セル1同士の間に配置する電源装置は、積層される全ての電池セル1の間に熱交換プレート60を備えるセパレータ2Jを配置することで最も効果的に電池セル1を冷却できる。ただ、電源装置は、必ずしも全ての電池セル1の間に熱交換プレート60を備えるセパレータ2Jを配置する必要はなく、電池積層体9の特定の位置にのみ熱交換プレート60を備えるセパレータ2Jを配置することもできる。すなわち、熱交換プレート60を備えるセパレータ2Jと、他の材質や構造のセパレータ芯、例えば絶縁材からなるセパレータ芯4Kを備えるセパレータ2Kとを組み合わせて使用することもできる。例えば、
図24に示す電源装置400は、12個の電池セル1を2並列6直列に接続している。この電源装置400は、互いに並列に接続される電池セル1同士の間に、熱交換プレート60を備えるセパレータ2Jを配置することで、すべての電池セル1に熱交換プレート60を接触させて効果的に冷却する構造としながら、互いに直列に接続される電池セル1同士の間には、絶縁材からなるセパレータ芯4Kを備えるセパレータ2Kを配置して、電圧差のある電池セル1間でのショートを確実に防止する構造としている。このように、電源装置は、積層する電池セル1の個数や接続状態に応じてセパレータ芯4を種々に変更することで、用途に応じた最適なセパレータ2を使用する理想的な構造が実現できる。
【0117】
以上の実施例3及び4の電源装置300、400は、熱交換プレート60や冷却プレート21に冷却液を循環させて電池セル1を冷却する例を示したが、熱交換プレート60や冷却プレート21には、冷却液に変わって加温液を循環させて電池セル1を加温することもできる。この構成によると、寒冷地や冬期の寒い朝等において、低温状態にある電池セル1を加温することで、電池セル1の低温時における性能の低下を改善できる。この場合、前述の冷却機構25に代わって加温機構を備えることで熱交換プレート60や冷却プレート21の循環路61、24に加温液を循環させることができる。なお、冷却機構25は、冷却だけでなく加温も可能な温度調整機構を備える構成とすることで加温機構を兼用することができる。
【0118】
(実施形態5)
さらに、セパレータ芯4に熱伝導に優れた金属製の部材を使用するセパレータ2は、
図26~
図28に示すように、セパレータ芯4を熱伝導プレート65として、この熱伝導プレート65を電池セル1の主面1Aに熱結合状態で配置することができ、この熱伝導プレート65は、セパレータ枠3の周壁部30の外側に配置される放熱部66を備える構成とすることができる。
【0119】
(セパレータ2L、2M、2N)
図26~
図28に示すセパレータ2L、2M、2Nは、電池セル1を効果的に冷却するために、電池セル1同士の間に挟着されるセパレータ芯4L、4M、4Nを熱伝導プレート65としている。図に示すセパレータ2L、2M、2Nは、セパレータ芯4L、4M、4Nである熱伝導プレート65をセパレータ枠3Lに対して上下方向に挿入する構造としている。図のセパレータ枠3Lは、下面壁30Dにセパレータ芯4L、4M、4Nの挿入開口31を開口している。図のセパレータ枠3Lは、下面壁30Dの中間部にセパレータ芯4L、4M、4Nを通過できる形状と大きさの挿入開口31を開口しており、熱伝導プレート65であるセパレータ芯4L、4M、4Nを、挿入開口31に通過させて下方から上方に向かって挿入するようにしている。ただ、セパレータは、セパレータ枠の側面壁に挿入開口を開口して、熱伝導プレートであるセパレータ芯を左右方向に挿入する構造とすることもできる。
【0120】
(熱伝導プレート65)
熱伝導プレート65は、電池セル1の主面1Aに熱結合状態で配置されて、電池セル1の発熱を放熱部66に熱伝導して外部に放熱する。
図26~
図28に示す熱伝導プレート65は、セパレータ枠3Lの画定空間5に挿入されて、周壁部30の中間部に配置される本体部65Xと、セパレータ枠3Lの周壁部30の外側に配置される放熱部66とを備えている。図に示す熱伝導プレート65は、横断面視を逆T字状として、下面壁30Dの下面に配置される板状部分を放熱部66としている。
【0121】
熱伝導プレート65は、電池セル1の熱エネルギーを効率よく熱伝導するために、熱伝導特性に優れたアルミニウムやアルミニウム合金などの金属板67を使用する。図に示す熱伝導プレート65は、電池セル1の主面1Aと対向する領域を金属板67で構成される本体プレート部67Aとして、電池セル1の主面1Aに熱結合状態で配置できるようにしている。さらに、金属板67は、周壁部30の外側に突出する端部をL字状に折曲して、この折曲片67Bを放熱部66としている。さらに、
図26~
図28の熱伝導プレート65は、左右の側縁部にガイド凸条42を設けて、セパレータ枠3Lの両側面壁30Bに設けたガイド部32に沿って挿入できるようにしている。図のガイド部32は、側面壁30Bの内面にガイド溝32Bを設けている。
【0122】
(熱伝導プレート65A)
図26に示す熱伝導プレート65Aは、1枚の金属板67を折曲加工して全体の形状を逆T字状に形成している。この熱伝導プレート65Aは、長方形状の金属板67を中央部で折り返して、互いに積層された本体プレート部67Aを形成すると共に、金属板67の両端部を外側に折曲して、この折曲片67Bで放熱部66を形成している。本体プレート部67Aの下端と折曲片67Bとの境界部分には、段差部67Cを設けて、セパレータ枠3Lの挿入開口31に嵌合する閉塞部41を形成している。この熱伝導プレート65Aは、放熱部66である折曲片67B及び閉塞部41となる段差部67Cの全長に対して、本体プレート部67Aの全長を長く形成しており、本体プレート部67Aの左右の側縁部を左右方向に突出するガイド凸条42として、セパレータ枠3Lのガイド部32に案内できるようにしている。ただ、金属板を折曲加工してなる熱伝導プレートは、段差部を省略して本体プレート部と放熱部の横幅を等しくすることもできる。以上の熱伝導プレート65Aは、金属板67を折曲加工する簡単な構造としながら、セパレータ芯4Lの厚さを薄くして、電池収納部を深く形成することができる。また、この熱伝導プレート65Aは、図示しないが、互いに積層される本体プレート部67Aの間に耐熱シートを挟着することで、隣接する電池セル間における熱伝導を抑制することもできる。
【0123】
(熱伝導プレート65B)
図27に示す熱伝導プレート65Bは、前述の熱伝導プレート65Aよりも厚く形成するために、横断面視を略逆T字状となるように矩形波状に折曲加工してなる1枚の金属板67と、この金属板67の中間に挿入される中間プレート68とで構成している。図に示す金属板67は、セパレータ芯4Mの両側に配置される電池セル1の主面1Aと対向する2つの本体プレート部67Aの上端を連結部67Dでコ字状に連結する形状として、2つの本体プレート部67Aの間に中間プレート部68を挿入する隙間を形成している。対向する本体プレート部67Aの間に挿入される中間プレート68は、外側に突出するガイド凸条42を両側面に設けており、このガイド凸条42を金属板67の両側縁よりも外側に突出させて、セパレータ枠3Lの側面壁30Bに受けたガイド部32に案内するようにしている。中間プレート68は、例えば、難燃材で成形されるプレートとし、あるいは耐熱性に優れたプレートとすることで、隣接する電池セル1間の熱伝導を有効に防止しながら、各電池セル1の発熱を効果的に本体プレート部67から放熱部66に熱伝導させて放熱できる特徴がある。
【0124】
(熱伝導プレート65C)
さらに、
図28に示す熱伝導プレート65Cは、絶縁性を有する中間プレート68の両面に2枚の金属板67を積層して固定する構造としている。図に示す熱伝導プレート65Cは、中間プレート68の両面に断面視L字状に折曲された金属板67を積層しており、本体部65Xの下端に、外側に折曲された放熱部66を設けて、全体の形状を逆T字状としている。この構造の熱伝導プレート65Cは、中間プレート68の両面に配置される金属板67同士を中間プレート68で絶縁できるので、隣接する電池セル1間のショートを効果的に防止できる。また、中間プレート68は断熱材とすることもできる。この中間プレート68は、2枚の金属板67を断熱することで、電池セル1間における熱の移動を抑制しながら各電池セル1を効果的に冷却できる。
【0125】
さらに、
図28に示す熱伝導プレート65Cは、電池セル1の天面1Cと対向する端部に沿って、対向する電池セル1の主面1Aに接触しない非接触部46を設けている。この非接触部46は、熱伝導プレート65Cの上端部を薄く成形することで形成される。例えば、
図28に示す熱伝導プレート65Cにおいては、中間プレート68の両面に積層される金属板67の大きさを調整することで、電池セル1の主面1Aに接触しない非接触部46を設けることができる。
【0126】
以上の熱伝導プレート65は、全体の形状を逆T字状としている。この形状の熱伝導プレート65は、放熱部66の面積を広くできる特徴がある。ただ、熱伝導プレートは、横断面形状をL字状とすることもできる。この形状の熱伝導プレートは、1枚の金属板を折曲加工して簡単に製造できる。
【0127】
また、以上の熱伝導プレート65は、セパレータ芯4L、4M、4Nの両面に金属板67を配置して、両面を電池セル1の主面1Aに熱結合状態で配置できるようにしている。この構造により、セパレータ芯4L、4M、4Nの両面に配置される電池セル1を効率よく冷却できる。ただ、熱伝導プレートは、セパレータ芯の片面にのみ金属板を配置することもできる。この熱伝導プレートは、例えば、絶縁性を有する中間プレートの片側面に金属板を積層する構造とすることで、隣接する電池セル同士を確実に絶縁できる。
【0128】
以上のセパレータ2L、2M、2Nは、熱伝導プレート65を構成する金属板67及び中間プレート68の厚さや形状を種々に変更することで、セパレータ芯4L、4M、4Nの厚さを調整することができる。すなわち、これらのセパレータ2L、2M、2Nも、同じ構造のセパレータ枠3Lに対して厚さの異なるセパレータ芯4L、4M、4Nを挿入することで、電池積層部50の深さ(h)を調整して、厚さ(d)の異なる電池セル1を理想的に積層できる。
【0129】
以上のようにセパレータ芯4L、4M、4Nを熱伝導プレート65として、セパレータ枠3Lの外部に放熱部66を備えるセパレータ2L、2M、2Nは、外部に配置される放熱部66から放熱することで電池セル1を効率よく冷却することができる。とくに、この構造のセパレータ2L、2M、2Nは、
図28に示すように、電池積層体9の表面に配置される冷却プレート21に熱伝導プレート65の放熱部66を熱結合させることで、さらに、効果的に電池セル1を冷却できる。
図28に示す電源装置500は、図の矢印で示すように、電池セル1の主面1Aに熱結合された熱伝導プレート65の本体プレート部67Aから放熱部66に向かって熱伝導すると共に、セパレータ枠3Lの外部において放熱部66に熱結合された冷却プレート21に放熱することで効果的に冷却できる。なお、冷却プレート21は、必ずしも電池積層体9の底面に配置する必要はなく、電池積層体9の側面に配置することもできる。この場合、セパレータは、セパレータ枠の側面に開口された挿入開口からセパレータ芯である熱伝導プレートを挿入すると共に、セパレータ枠の側面壁の外側面に配置される放熱部を冷却プレートに熱結合させて放熱することができる。
【0130】
また、熱伝導プレート65の放熱部66は、必ずしも冷却プレート21に熱結合させて放熱する構造とする必要はなく、セパレータ枠の外側面に配置される放熱部から大気中に放熱し、あるいは、放熱部にバインドバーを熱結合させて、このバインドバーを介して放熱することもできる。
【0131】
以上のように、セパレータ芯4L、4M、4Nの両面を電池セル1の主面1Aに熱結合状態で配置して電池セル1を冷却する構造の電源装置は、積層される全ての電池セル1の間に熱伝導プレート65を備えるセパレータ2L、2M、2Nを配置することで、最も効果的に電池セルを冷却できる。ただ、電源装置は、必ずしも全ての電池セル1の間に熱伝導プレート65を備えるセパレータ2L、2M、2Nを配置する必要はなく、前述の実施形態4の電源装置400と同様に、電池積層体9の特定の位置にのみ熱伝導プレート65を備えるセパレータ2L、2M、2Nを配置することもできる。すなわち、熱伝導プレート65を備えるセパレータ2L、2M、2Nと、他の材質や構造のセパレータ芯を備えるセパレータとを組み合わせて使用することもできる。例えば、電源装置は、熱伝導プレートを備えるセパレータと、絶縁材からなるセパレータ芯を備えるセパレータとを交互に配置する構造とすることもできる。この構造によると、全体のコストを低減しながら、全ての電池セルを熱伝導プレートからなるセパレータ芯に熱結合させて効果的に冷却できる。
【0132】
また、複数の電池セルを並列と直列に接続する構造の電源装置においては、互いに並列に接続される電池セル同士の間には、熱伝導プレートを備えるセパレータを配置して、これらの電池セルを効果的に冷却する構造としながら、互いに直列に接続される電池セル同士の間には、絶縁材からなるセパレータ芯を備えるセパレータを配置して電圧差のある電池セル間でのショートを確実に防止する構造としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明に係る電源装置は、EV走行モードとHEV走行モードとを切り替え可能なプラグイン式ハイブリッド電気自動車やハイブリッド式電気自動車、電気自動車等の電源装置として好適に利用できる。またコンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電源、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電源、家庭内用、工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機等のバックアップ電源用等の用途にも適宜利用できる。
【符号の説明】
【0134】
100、200、300、400、500…電源装置、1、1X、1Y、1Z…電池セル、1A…主面、1B…外側面、1C…天面、1D…底面、2、2A、2B、2C、2D、2E、2F、2G、2H、2I、2J、2K、2L、2M、2N…セパレータ、3、3A、3B、3D、3F、3G、3I、3J、3L、3X…セパレータ枠、4、4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、4H、4I、4J、4K、4L、4M、4N、4X…セパレータ芯、4a…プレート本体、4b…スペーサ、5…画定空間、6…エンドプレート、6a…挿通孔、7…バインドバー、8…冷却隙間、9…電池積層体、11…電極端子、12…ガス排出部、13…バスバー、14…エンドセパレータ、15…ガス排出ダクト、16…止ネジ、17…送風ダクト、17A…供給側ダクト、17B…排気側ダクト、21…冷却プレート、21a…連結孔、22…熱伝導部材、23…固定ボルト、24…循環路、25…冷却機構、30…周壁部、30B…側面壁、30C…上面壁、30D…下面壁、30E…突出片、30F…突出片、30G…連結バー、30H…開口部、30a…位置決め部、30x…開口部、30y…開口部、31…挿入開口、32…ガイド部、32A…ガイドスリット、32B…ガイド溝、33…挿入部、34…連結凹部、35…連結凸部、36…挿入凹部、37…係止部、38…係止部、39…送風開口、41…閉塞部、42…ガイド凸条、42a…段差部、43…挿入凸部、44…接触部、45…中央凹部、46…非接触部、47…係止フック、48…係止凸部、49…溝、50…電池収納部、51…収納部、60…熱交換プレート、60A…金属板、60B…芯材、61…循環路、62…連結部、63…配管、63A…供給管、63B…排出管、64…スリット、65、65A、65B、65C…熱伝導プレート、65X…本体部、66…放熱部、67…金属板、67A…本体プレート部、67B…折曲片、67C…段差部、67D…連結部、68…中間プレート、70…開口部、71…側面プレート部、71A…周縁プレート部、71B…連結バー、72…固定部