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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】フリッカ様光学効果を供する光学装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/00 20060101AFI20221108BHJP
   G02B 3/06 20060101ALI20221108BHJP
   B42D 25/342 20140101ALI20221108BHJP
   B42D 25/328 20140101ALI20221108BHJP
   B42D 25/324 20140101ALI20221108BHJP
   B42D 25/346 20140101ALI20221108BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
G02B3/00 A
G02B3/06
B42D25/342
B42D25/328
B42D25/324
B42D25/346
B32B3/30
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019566682
(86)(22)【出願日】2018-05-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 US2018035183
(87)【国際公開番号】W WO2018226484
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】62/515,179
(32)【優先日】2017-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516166085
【氏名又は名称】クレイン アンド カンパニー、 インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ブレイマン、ベンジャミン、イー.
(72)【発明者】
【氏名】ケープ、サミュエル、エム.
(72)【発明者】
【氏名】コート、ポール、エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ゴズネル、ジョナサン、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン、グレゴリー、アール.
(72)【発明者】
【氏名】パーム、スコット、ケー.
【審査官】植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-521158(JP,A)
【文献】特表2013-521159(JP,A)
【文献】国際公開第2015/148878(WO,A2)
【文献】特表2008-529851(JP,A)
【文献】国際公開第2016/149760(WO,A1)
【文献】特表2009-543138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 3/00- 3/14
G02B 1/00- 1/08
B42D15/02
B42D25/00-25/485
B32B 1/00-43/00
G09F 9/00
G09F19/00-27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学セキュリティ装置を形成する方法であって、
画像アイコン素子の配列上に配置された集束素子の牲配列を提供すること、
少なくとも第1のコントラスト材料を、第1の硬化角度で、前記集束素子の犠牲配列を通して指向的に硬化することによって、前記第1のコントラスト材料のパターン及び第2のコントラスト材料のパターンを前記画像アイコン素子上又はその中に形成すること、
集束素子の固定配列を通して視認したときに、画像アイコン素子が少なくとも1つの合成画像を投影するように、前記画像アイコン素子の配列上に前記集束素子の固定配列を配置すること、を含み、
前記集束素子の固定配列は、第1の固定レンズパターンと前記第1のコントラスト材料及び第2のコントラスト材料のパターンとの間にレンズアイコンパターンが不一致となる前記第1の固定レンズパターンを有し、前記集束素子の犠牲配列は、前記第1の硬化角度において前記第1のコントラスト材料のパターンと整合される第1の犠牲レンズパターンを有し、
前記少なくとも1つの合成画像は、少なくとも1つの角度から視認したとき、前記第1のコントラスト材料のパターン及び第2のコントラスト材料のパターンの両方の投影であり、
前記少なくとも1つの合成画像は、視野角のシフトに対応する色遷移効果を生成する方法。
【請求項2】
前記第1のコントラスト材料のパターンを形成した後、前記集束素子の犠牲配列を除去することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の固定レンズパターンと前記第1の犠牲レンズパターンとの間にレンズレンズパターンの不整合が存在する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記レンズレンズパターンの不整合は、異なる集束素子サイズ、異なるピッチ、異なる位相シフト、異なるスキュー角、及び異なる材料のうちの少なくとも1つによるものである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記レンズアイコンパターンの不整合は、異なるピッチ、異なる位相シフト、又は異なるスキュー角によるものである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記集束素子の犠牲配列は、指向的硬化中にマスクされる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記画像アイコン素子の配列及び前記集束素子の犠牲配列は、第1のフィルムの対向する側に配列されるか、又は前記集束素子の犠牲配列が前記画像アイコン素子の配列と隣接するか、又は触するように配置される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記画像アイコン素子は、ポスト、凹部、空隙又はそれらの組み合わせである請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記集束素子の固定配列と前記集束素子の犠牲配列は、前記画像アイコン素子の配列の対向する側に配置される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
指向的硬化することは、前記第1の硬化角度で前記画像アイコン素子の配列に平行光を方向付けし、前記第1のコントラスト材料の未硬化部分を洗い流して空のアイコン素子セグメントを前記第2のコントラスト材料として生成することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のコントラスト材料が空気であるとき、前記第2のコントラスト材料は、前記集束素子の固定配列を通る第2の硬化角度で硬化されるか、又は前記集束素子の牲配列を介して指向的に硬化されるか、又は集束素子の別の犠牲配列を介して硬化され第3のコントラスト材料により置き換えられる請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記集束素子の犠牲配列が前記画像アイコン素子の配列に対して配置され、前記第1の硬化角度で前記集束素子の犠牲配列を通して視認したときに、前記コントラスト材料を指向的に硬化した後、前記画像アイコン素子によって犠牲合成画像が投影され、前記集束素子の固定配列は、前記画像アイコン素子の配列に対して配置され、その結果、前記合成画像は、前記第1の硬化角度で前記集束素子の固定配列を通して視認したときに前記画像アイコン素子によって投影されることが前記犠牲合成画像とは異なる請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のコントラスト材料及び第2のコントラスト材料は、それぞれ第1の有色素材料および第2の有色素材料であり、前記第2の有色素材料は、前記第1の有色素材料とは異なり、前記集束素子の牲配列を通して、又は集束素子の別の犠牲配列を通して、前記第1の有色素材料とは異なる硬化角度で指向的に硬化される請求項1に記載の方法。
【請求項14】
光学セキュリティ装置であって、
第1のコントラスト材料のパターン及び第2のコントラスト材料のパターンを有する画像アイコン素子の配列と、
集束素子を通して視認したときに、前記画像アイコン素子が少なくとも1つの合成画像を投影するように前記画像アイコン素子の配列に対して配置され、前記第1のコントラスト材料及び第2のコントラスト材料の少なくとも1つの前記パターンと不一致の第1の固定レンズパターンを有する集束素子の固定配列と、
光学スペーサとして前記光学セキュリティ装置に組み込まれた犠牲配列集束素子と、を備え、
前記少なくとも1つの合成画像は、少なくとも1つの角度から視認したとき、前記第1のコントラスト材料のパターン及び第2のコントラスト材料のパターンの両方の投影であり、
前記少なくとも1つの合成画像は、視野角のシフトに対応する色遷移効果を生成し、
前記集束素子の犠牲配列は、前記集束素子の固定配列との界面を形成する装置。
【請求項15】
前記第1のコントラスト材料は、第1の有色素材料であり、前記第2のコントラスト材料は、空気、前記第1の有色素材料とは異なる別の有色素材料又はそれらの組み合わせである請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1のコントラスト材料は、集束素子の犠牲配列を通して指向的に硬化される有色素材料であり、前記第2のコントラスト材料は、前記集束素子の犠牲配列を通して指向的に硬化される第2の異なる有色素材料である請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記画像アイコン素子の配列と前記集束素子の固定配列は、第1のフィルムの対向する側に配列されるか、又は前記集束素子の固定配列が前記画像アイコン素子の配列と隣接する又は触するように配置される請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記画像アイコン素子は、ポスト、凹部、空隙、又はそれらの組み合わせの形態であることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記画像アイコン素子は、指向的に硬化した第1の有色素材料及び指向的に硬化した第2の有色素材料で充填はコーティングされた空隙又は凹部である請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記画像アイコン素子は、指向的に硬化した第1の有色素材料及び第2の異なる有色素材料でコーティングされたポストである請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記画像アイコン素子は、
(a)1又は複数の有色素材料から形成されたポストと、1又は複数の非有色素材料から形成されたポストと、
(b)前記ポストを囲む領域が、1又は複数の有色素材料でコーティングされ、及び/又は部分的に又は完全に充填されているポストと、前記ポストを囲む領域が1又は複数の非有色素材料でコーティングされ、及び/又は部分的に又は完全に充填されているポストと、
(c)1又は複数の有色素材料でコーティングされ及び/又は部分的に又は完全に充填された空隙、及び1又は複数の非有色素材料でコーティングされ、及び/又は部分的に又は完全に充填された空隙又は凹部と、及び/又は、
(d)基部領域と、前記基部領域から延在する側部領域とによって定義され、前記側部領域は、前記基部領域と対照的な1又は複数の有色素材料でコーティングされる空隙の形態である請求項14に記載の装置。
【請求項22】
請求項14に記載の光学セキュリティ装置を含むシート材料。
【請求項23】
請求項22に記載のシート材料を含む文書。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2017年6月5日に提出の米国仮特許出願第62/515,179号の利益を主張するものであり、2015年3月27日に提出の国際出願番号PCT/US2015/022907号及び2014年3月27日提出の米国仮特許出願第61/971,240号の優先権を主張する、2016年9月27日提出の米国特許出願第15/129,438の一部継続出願であり、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、概ね、取り付けることにより、高度な安全対策が必要な、又は高価な製品を保護又は認証するのに適したセキュリティ装置に関する。本セキュリティ装置は、様々な視点から視認したとき、光学的に変化する効果を生み、それによって、複写などのある一般的な偽造技術を無効にする。より詳細には、本発明は、少なくとも1つの有色素材料を有する画像アイコン素子の配列によって形成されるマイクロ画像の配列を含む光学セキュリティ装置に関する。画像アイコン素子の配列は、画像アイコン素子の配列の少なくとも一部が、集束素子の配列の少なくとも一部を通して観察可能となるように、集束素子の配列に対して配置されるので、光学セキュリティ装置が見える視点が変化すると色遷移効果を示す少なくとも1つの合成画像が提供される。
【背景技術】
【0003】
光学セキュリティ装置は、概ね、少なくとも2つの構成要素、即ち、画像アイコン素子の配列と、集束素子の配列とを含む。これらの構成要素は、画像アイコン素子又はその一部の配列が集束素子又はその一部の配列を通して視認されるときに、それらが協働して合成画像を生成するように、互いに対して配置される。本明細書において、画像アイコン素子又は集束素子の配列に関して述べる全ての説明は、特に指定がない限り、その配列又はその一部における全ての要素に関する説明を含むものと理解すべきである。この装置は、画像アイコン素子の配列と集束素子の配列との間に配置された光学スペーサを含んでいてもよい。
【0004】
この光学セキュリティ装置は、主として視覚効果の多様性、この装置の構造の複雑さ、装置の費用、それらの製造に使用される機器工具及びプロセス、並びに、それらが生成する動的視覚効果の一部に依存して、偽造防止技術として高い効率を得ることができる。例えば、上述したような光学セキュリティ装置は、製造するために微細構造方法を採用することが多く、この場合、微細構造のアイコン素子を放射線硬化液体ポリマー材料中で形成することによって、画像アイコン素子の配列を生成する。これらのアイコン素子は、ポリマー材料中に形成された微視的な空隙又は凹部の形態をとることが多い。これに対応して、集束素子の配列は、放射線硬化ポリマー中に顕微レンズ(以下、「レンズ」又は「マイクロレンズ」と呼ぶ)を形成することによって製造される。これは、多くの場合、画像アイコン素子の配列と、光学スペーサの対向する側部に配置された集束素子の配列とを含む。その後、空隙は、画像アイコン素子の配列における周囲又は隣接する領域と比較して、空隙又はその一部に対し、色、反射性、屈折性、回折性又は空隙を作るために陰影によるコントラストを提供するコントラスト材料(即ち、色素又は金属及び/又は反射性の材料)で充填及び/又はコーティングされる。
【0005】
微細構造化手法で形成される光学セキュリティ装置の例として、米国特許出願に記載されている特許番号第7,333,268号及び7,468,842号が挙げられる。これらの特許は、アイコン素子を形成するための微細構造化手法について記載しており、アイコン素子は充填及び/又はコーティングされているが、充填/コーティング材料は、充填/コーティングされたアイコン素子を非指向的に硬化させることによって硬化又は固化される。これらの参考文献における硬化手段は、画像アイコン素子の配列に直接(即ち、光学セキュリティ装置の光学スペーサ、集束素子の配列、又は他の構造部品を介することなく)塗布されるか、又は平行光などの、任意の方向に集束された光を使用することなく塗布されるかのいずれかである。このような構造では、大きなカラーブロックを形成することができる。しかしながら、このような装置の合成画像は、広範囲の角度にわたって視認できるが、色変化は実現及び制御がより困難である。
【0006】
集束素子の配列とアイコン素子の配列を容易に協働させるためには、集束素子の配列を通して画像アイコン素子の配列を視認することにより合成画像を生成するように、これらの構成要素を正確に整合させる。画像アイコン素子の配列と、集束素子の互いに対する及び存在する任意の光学スペーサを横切る配列との正確な整合のためのこのような要件は、製造プロセスの複雑さを増すが、生成されることができる動的効果の多様性を制限する。例えば、このような厳密な整合制限により、多くの場合、複数のコントラスト材料を使用することができないため、色が変化する合成画像を微細構造アイコン素子の配列が生成できるようになる。
【0007】
これらの光学セキュリティ装置の効率を改善するための試みがなされてきたが、それは、特に、カラーシフト画像を生成するために微細構造の画像アイコン素子を使用することに関連するからである。例えば、国際特許出願PCT/US2015/022907号は、フリッカ様光学効果としてその中に記載されているものを提供する。ここで、微細構造の画像アイコン素子は、ポリマー材料中に空隙を形成すること、空隙にコントラスト材料を塗布すること、そしてこれら画像アイコン素子を指向的に硬化すること、より具体的には、画像アイコン素子の一部であるコントラスト材料を硬化させることによって形成される。これらの画像アイコン素子を硬化させるために、平行光は、アイコン素子の配列に向かって集束素子の配列を通過するように方向付けられるので、平行光がコントラスト材料に衝突することによって、硬化したコントラスト材料のパターンを生成する。このパターンは、集束素子の配列及び硬化角(例えば、平行光がレンズに衝突する角度)の配列パターンによって決定される。ここで、集束素子の配列は、平行光が個々の集束素子を所望の角度で通過するときに、硬化コントラスト材料のパターンが画像アイコン素子の配列において生成されるように、画像アイコン素子の配列に対して配置される。この硬化したコントラスト材料のパターンは、集束素子の配列における集束素子の配列パターンと相関するので、硬化したコントラスト材料のパターンによって生成される合成画像が、集束素子を通る硬化角度において視認したときのみ観察可能である。硬化したコントラスト材料の別のパターンは、未硬化のコントラスト材料を洗い流して空隙内に未硬化領域を残すことによっても生成され、この未硬化領域は、別のコントラスト材料(即ち、異なる色、異なる材料、又は異なる触感)で充填される。この他のコントラスト材料は、平行光を第2の異なる硬化角で、同じ配列の集束素子を通して方向付けることによって、指向的に硬化されて、集束素子の配列パターンと相関する別の硬化したコントラスト材料のパターンを形成することができる。この場合も、硬化したコントラスト材料の他のパターンで生成された合成画像は、第2の硬化角度において、集束素子を通してアイコン素子の配列が視認されたときにのみ観察可能である。これにより、集束素子の配列と硬化した画像アイコン素子の配列とを整合され、視点が変化するにつれて合成画像の色が変化できるようになるが、いくつかの重大な欠陥を残す。
【0008】
例えば、このような光学セキュリティ装置は、生成される合成画像を特定の硬化角度でのみ観察できるという制限がある。従って、例えば合成画像が1つの色から別の色へ変化するとき、1つのコントラスト材料から他の材料への遷移(例えば、色の移り代わり)は、観察者が「スナップ」効果に気付くほど滑らかな遷移ではない。このスナップ効果では、セキュリティ装置を偽造者に狙われやすいことに変わりはない。さらに、この単一の色制限により、この装置は、偽造者にさらに狙われやすくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これまで、改善されたセキュリティ機能及び光学効果を有する光学セキュリティ装置に対する必要性が依然として残っていた。特に、1つの色から別の色への滑らかな遷移を有する合成画像を提供する光学セキュリティ装置に対する必要性が依然として残っている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様では、本発明は、光学セキュリティ装置を形成する方法である。特定の一実施形態では、光学セキュリティ装置を形成する方法は、(i)画像アイコン素子の配列上に配置された集束素子の第1の犠牲配列を提供すること、(ii)少なくとも第1のコントラスト材料を画像アイコン素子上又はその中に、第1の硬化角度で、集束素子の犠牲配列を通して指向的に硬化することによって、第1のコントラスト材料パターン及び第2のコントラスト材料パターンを画像アイコン素子上又はその中に形成すること、(iii)集束素子の固定配列を通して視認したときに、画像アイコン素子が合成画像を投影するように、画像アイコン素子の配列上に集束素子の固定配列を配置すること、とを含み、集束素子の固定配列は、第1の固定パターンと第1及び第2のコントラスト材料のパターンとの間にレンズアイコンパターン不整合を形成する第1の固定組織パターンを有し、集束素子の犠牲配列は、第1の硬化角度において第1のコントラスト材料パターンと整合される第1の犠牲組織パターンを有し、合成画像は、少なくとも1つの角度から視認したとき、第1及び第2のコントラスト材料の両方の投影であり、合成画像は、視野角のシフトに対応する色遷移効果を生成する。本明細書で使用する用語「組織パターン」は、特定のスキュー、レンズピッチ、レンズサイズ、レンズ形状、レンズ位相シフト、レンズ材料、レンズ不透明度、レンズマスキング、又は犠牲又は固定集束素子配列の任意の組み合わせを指す。さらなる実施形態では、合成画像は、視野角のシフトに対応する色遷移効果を生成する。本明細書の他の箇所に記載されたものを含む様々な他の実施形態も、本発明の範囲内に含むことを意図している。
【0011】
第2の態様では、本発明は、光学セキュリティ装置である。特定の一実施形態では、光学セキュリティ装置は、(i)第1のコントラスト材料パターン及び第2のコントラスト材料パターンを有する画像アイコン素子の配列と、(ii)集束素子を通して視認したときに、画像アイコン素子が合成画像を投影するように画像アイコン素子の配列に対して配置され、第1の及び第2のコントラスト材料の少なくとも1つのパターンと不整合の第1の固定組織パターンを有する集束素子の固定配列と、を備え、合成画像は、少なくとも1つの角度から視認したとき、第1及び第2のコントラスト材料の両方の投影である。さらなる実施形態では、合成画像は、視野角におけるシフトに対応して色遷移効果を生む。本明細書の他の箇所に記載されたものを含む様々な他の実施形態も、本発明の範囲内に含むことを意図している。
【0012】
本発明のさらなる態様は、本明細書に記載されるような、光学セキュリティ装置を有するシート材料、文書、衣料品、及び様々な他の製品を含み、これらは、記載により本明細書に援用される。
【0013】
本発明は、ここで、当業者(PHOSITA)が過度の実験に頼ることなく本発明を作成し使用することができるように、本明細書においてさらに詳しく説明する。
【0014】
開示された発明の特定の特徴は、添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】集束素子(球又は非球面レンズ配列)の最終又は永久配列から1度以下の僅かな角度(α)だけ回転させた集束素子(球面又は非球面レンズ配列)の犠牲配列の上面側の図である。
図2】集束素子(円柱レンズ配列)の最終又は永久配列から1度以下の僅かな角度(α)だけ回転させた集束素子(円柱レンズ配列)の犠牲配列の上面側の図である。
図3図3-9は、本発明の中間光学装置の1つの例示的な実施形態の画像アイコン素子の配列又は微細構造層の配列を形成する方法を示し、図3は集束素子の固定配列は追加される前、およびいずれかの有色素材料が画像アイコン素子に追加される前の、集束素子の犠牲配列、第1のフィルム及び画像アイコン素子の配列を有する光学セキュリティ装置の側断面図である。
図4図3に示された光学セキュリティ装置であり、画像アイコン配列内の空隙は、第1の有色素材料で充填されて示されており、平行光線の形態である入射光は、その基底面に垂直な硬化角度で、集束素子の犠牲配列に衝突するように示している。
図5図4に示す光学セキュリティ装置であり、未硬化の第1の有色素材料が画像アイコン素子から除去され、第1の有色素材料の硬化部分及び空領域(即ち、再生された空隙)のみを残している。
図6図5に示す光学セキュリティ装置であり、再生された空隙は第2の有色素材料で充填されて示されており、平行光は、異なる硬化角度で集束素子配列に衝突することを示す。
図7図6に示す光学装置であり、コントラスト材料の第1の硬化パターン及び第2の硬化パターン及び空領域を残して、未硬化の第2の有色素材料が画像アイコン層から除去されている。
図8図7に示す光学セキュリティ装置であり、再生された空隙は第3の有色素材料で充填されて示されており、非平行(散乱)光は、集束素子配列に衝突することを示す。
図9】永久又は固定集束素子配列が追加される前の本発明の光学セキュリティ装置の例示的な実施形態の断面側面図であり、装置は、図3~8に示される方法に従って準備される、この装置は、3つの異なるコントラスト材料を有し、そのうち2つが指向的に硬化した。
図10A図9に示す中間光学セキュリティ装置であり、画像アイコン素子の配列は、第1のフィルムから部分的に分離され、その一方の表面に固定配列集束素子を有するその第2のフィルムに転写される。
図10B】その一面上に集束素子を固定配列した第2のフィルムの断面側面図であり、画像アイコン層がその対向面に転写されていることを示す。
図11A図9に示す中間セキュリティ光学装置であり、液体ポリマーは、犠牲配列集束素子の外側表面に塗布される。
図11B】液体ポリマーが塗布された後であって、モールドを使用して、画像アイコン素子の硬化パターン(複数可)に対して所望の不整合を有する集束素子の固定配列を形成する前の、図11Aに示される中間光学装置である。
図11C】永久又は固定集束素子配列が形成された後の図11Bに示される光学セキュリティ装置であり、第1のフィルム又は光学スペーサの一部に、犠牲集束素子配列を変化させて形成している。
図12図10B及び図11Cに示される光学セキュリティ装置であり、第1の硬化角度から装置を見た観察者を示す。
図13図10B及び図11Cに示す光学セキュリティ装置であり、第2の硬化角度から装置を見た観察者を示す。
図14図10B及び図11Cに示す光学セキュリティ装置であり、第3の硬化角度から装置を見た観察者を示す。
図15】2つの異なる視点から視認したとき、集束素子の固定配列を通して視認できる画像アイコン素子の固定パターンを示す光学セキュリティ装置である。
図16】集束素子の犠牲配列の変化パターンを示す中間光学セキュリティ装置である。
図17】集束素子の遠見的な犠牲配列を示す中間光学セキュリティ装置である。
図18】硬化角度が変化することを示す中間光学セキュリティ装置である。
図19A】集束素子の犠牲配列が、集束素子の固定配列の周期の2倍の周期を有する中間光学セキュリティ装置である。
図19B】集束素子の犠牲配列と、集束素子の固定配列とが二重の配列を表す図である。
図20A】集束素子の犠牲配列を分離する前に示された光学セキュリティ装置である。
図20B】集束素子の犠牲配列の分離を示す同一の光学セキュリティ装置である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で使用する用語「コーティングする」、「コーティングした」又は「コーティング」は、材料が空隙の全深さの50%未満を占めるような全深さを有する空隙又は凹部の陥凹表面にコントラスト材料を塗布することを指す。コーティングは、空隙及び/又はポストに塗布することができる薄い層であり、陥凹表面全体にわたって、又はポスト全体にわたって塗布することができる。或いは、コーティングがパターンで塗布される実施形態もまた、本発明の範囲内とする。
【0017】
本明細書で使用する用語「硬化角度」又は「硬化角度」は、画像アイコン素子の配列に向かって移動して、画像アイコン素子の配列の少なくとも一部を硬化する前に、コントラスト材料の硬化源が、集束素子の配列に衝突する、法線に対する角度を指す。
【0018】
本明細書で使用する用語「硬化パターン」は、画像アイコン素子の配列のコントラスト材料部分を硬化させた結果として形成される、硬化したコントラスト材料のパターンを指す。コントラスト材料のこれらの硬化した部分は、画像アイコン素子の配列の一部として、微細構造層の中/上に分布される。
【0019】
本明細書で使用する用語「指向的硬化」又は「指向的に硬化する」は、集束素子の配列を通して特定の硬化角度で画像アイコン素子の配列の一部を硬化させる工程を指し、それによって、視野角及び硬化角度が等しいとき、集束素子の配列を通して視認したとき、画像アイコン素子の配列の硬化部分が、合成画像を確実に投影する。
【0020】
本明細書で使用する用語「空領域」は、指向的に硬化した有色素材料が存在しない微細構造層の部分を指し、ポスト上又はその近傍の領域を指すことができる空隙内又はその間の領域を指すことができる。これらの領域は、画像アイコン素子の固定パターンの一部を形成することができ、その後、着色された金属、反射性又は他の材料でコーティングされてもよいし、されなくてもよい。
【0021】
本明細書で使用する用語「充填する」、「充填された」、又は「充填すること」は、コントラスト材料が空隙の全深さの50%以上を占めるような全深さを有する空隙又は凹部へのコントラスト材料の塗布を指す。
【0022】
本明細書で使用する用語「固定アイコンパターン」は、硬化角度で集束素子の固定配列を通して観察可能な画像アイコン素子のパターンを指す。この固定パターンは、犠牲パターンとは異なり、この不整合は、画像アイコン素子の配列に対する(指向的硬化時の)集束素子の固定配列と犠牲配列との不整合によるものである。
【0023】
本明細書で使用する用語「固定レンズパターン」は、集束素子の固定配列の配列パターンを指し、ピッチ、スキュー角、又は位相シフトに関連する場合がある。
【0024】
本明細書で使用する用語「固定合成画像」は、集束素子の固定配列を通して視認したとき、画像アイコン素子の配列によって投影される合成画像を指す。
【0025】
本明細書で使用する用語「固定視野角」は、画像アイコン素子の配列が、集束素子の固定配列を通して視認される、法線に対する視野角を指す。
【0026】
本明細書で使用する用語「フラッド硬化」は、特定の硬化角度が標的物質を硬化させる際に標的化されないように、非識別的な方法で硬化する行為を指す。
【0027】
本明細書で使用する用語「レンズアイコン不整合」は、少なくとも1つの固定組織パターン及び犠牲組織パターンの1つは異なることを意味し、その結果、集束素子の犠牲配列を通して指向的硬化によって形成されるコントラスト材料パターンの少なくとも1つは、集束素子の固定配列とは相関しない。
【0028】
本明細書で使用する用語「パターン」は、集束素子又は画像アイコンの配列上の、ピッチ、サイズ、色、材料、形状等の1又は複数の特徴部の反復されたシーケンスを指す。
【0029】
本明細書で使用する用語「位相シフト」は、画像アイコン又は集束素子の配列にわたってパターンが変化することを指し、それによって、配列の第1のセクションは、他のパターンとは異なるパターンを有する。
【0030】
本明細書で使用する用語「凹部」は、微細構造の証印を形成し、微細構造層の全深さにわたって延在しない決定された深さを有する微細構造層の間隙を指す。これらの間隙は、ナノサイズ、マイクロサイズ、マクロサイズ、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0031】
本明細書で使用する用語「犠牲パターン」は、集束素子の犠牲配列の配列パターンを指し、ピッチ、スキュー角、又は位相シフトに関連する場合がある。
【0032】
本明細書で使用する用語「犠牲合成画像」は、集束素子の犠牲配列を通して視認したとき、画像アイコン素子の配列によって投影される合成画像を指す。
【0033】
本明細書で使用する用語「犠牲視野角」は、画像アイコン素子の配列が、集束素子の犠牲配列を通して視認される、法線に対する視野角を指す。
【0034】
本明細書で使用する用語「空隙」は、微細構造の証印(即ち、画像、番号、記号、テキスト)を形成し、微細構造層の全深さ(即ち、貫通孔)にわたって延在する決定された深さを有する微細構造層の間隙を指す。これらの間隙は、ナノサイズ、マイクロサイズ、マクロサイズ、又はそれらの組み合わせであってもよく、本明細書では、「空隙」と記載の実施形態を、「凹部」に入れ替えてもよい。
【0035】
この詳細な説明は、PHOSITAが本発明を実施することができるように、本発明を説明する目的で提供される。したがって、本明細書で提供される実施形態は、例示的であり、特許請求の範囲をこれらの具体的に記載された実施形態に限定する本出願人の意図として解釈されるべきでない。
【0036】
先行技術としてのいくつかの刊行物の参照は、このような刊行物が、新規性、明白性又は本発明の工程の目的で実際に先行技術であるということを本出願人が黙諾しているものとして解釈されるべきではない。このような参考文献及びそこに提示された実施形態は、本発明に対する代替例としてのみ理解されるべきである。
【0037】
本発明者は、従来使用されていない、考えられていない、又は開示されていない光学セキュリティ装置、この装置の製造方法及びこのような光学セキュリティ装置の様々な用途を発見した。光学セキュリティ装置は、画像アイコン素子の配列と、互いに対して配置される集束素子の配列とを含んでいるので、画像アイコン素子の配列の少なくとも一部が、集束素子の配列の少なくとも一部を通して視認したときに合成画像を投影するようになる。従来の光学セキュリティ装置の上述した制限の少なくともいくつかを回避するために、画像アイコン素子の配列の部分は、集束素子の犠牲配列を通して指向的に硬化した。さらに議論される理由から、これは、大きなカラーブロックの必要性を調節する光学セキュリティ装置を提供することに驚くほど有効であり、このような装置の色遷移効果を、従来の装置と関連する「スナップ」効果を表示することなく、より滑らかに、より迅速に、より小さくすることができることが確認された。
【0038】
犠牲組織パターンを有する集束素子の犠牲配列を通して、画像アイコン素子の配列の一部を形成するコントラスト材料を指向的硬化することによって、第1の硬化コントラスト材料パターン及び第2のコントラスト材料パターンが、画像アイコン素子の配列に生成される。画像アイコン素子の配列は、第1の及び/又は第2のコントラスト材料パターンが、集束素子の犠牲配列を通して視認できるときに犠牲合成画像を投影する。少なくとも第1の硬化したコントラスト材料パターンは、集束素子の犠牲配列の犠牲組織パターンと、硬化角とに対応する。犠牲組織パターンとは異なる固定組織パターンを有する集束素子の固定配列を提供することにより、この集束素子の固定配列を画像アイコン素子の配列上に配置することにより、固定組織パターンと、集束素子の犠牲配列を介して生成されるコントラスト材料パターンとの間にレンズアイコンの不整合が生じる。集束素子の犠牲配列が、システム内に留まるか、又はシステム内に組み込まれる場合、集束素子の固定配列は、レンズアイコン不整合に加えて、固定パターンと犠牲パターンとの間にレンズ間不整合も生じる。このように、画像アイコンの配列が、硬化角度と等価な角度からも、集束素子の固定配列を通して視認できるとき、第1の及び第2のコントラスト材料パターンは両方とも、集束素子の固定配列を通して投影される合成画像に寄与する。第1の及び第2のコントラスト材料パターンの両方が投影合成画像に寄与する少なくとも1つの固定視野角が存在するので、第1のコントラスト材料パターンから投影される合成画像と、任意の付加的なコントラスト材料パターン(例えば、第2のコントラスト材料パターン)から投影される合成画像との間の色遷移効果がより滑らかになる。集束素子の固定配列は、画像アイコン素子の配列の指向的な硬化に使用する集束素子の犠牲配列の犠牲パターンとは不整合である固定組織パターンを有するので、集束素子の固定配列を通して画像アイコン素子の硬化パターンを視認すると、その結果得られた固定合成画像は、集束素子の犠牲配列を通して観察可能な犠牲合成画像とは異なる。
【0039】
一態様では、本発明は、光学セキュリティ装置を形成する方法であって、(i)画像アイコン素子の配列上に配置された集束素子の第1の犠牲配列を提供すること、(ii)少なくとも第1のコントラスト材料を画像アイコン素子上又はその中に、第1の硬化角度で、集束素子の犠牲配列を通して指向的に硬化することによって、第1のコントラスト材料パターン及び第2のコントラスト材料パターンを画像アイコン素子上又はその中に形成すること、(iii)集束素子の固定配列を通して視認したときに、画像アイコン素子が固定合成画像を投影するように画像アイコン素子の配列上に集束素子の固定配列を配置すること、を含み、集束素子の固定配列は、第1の固定パターンと第1及び第2のコントラスト材料のパターンとの間にレンズアイコンパターン不整合を形成する第1の固定パターンを有し、集束素子の犠牲配列は、第1の硬化角度において第1のコントラスト材料パターンと整合される第1の犠牲パターンを有し、合成画像は、集束素子の固定配列を通して少なくとも1つの角度から視認したとき、第1及び第2のコントラスト材料の両方の投影である。さらなる実施形態では、固定合成画像は、固定視野角におけるシフトに対応して色遷移効果を生む。
【0040】
得られた光学セキュリティ装置は、少なくとも1つの指向的に硬化したコントラスト材料パターンの画像アイコン素子の配列を有する。この光学セキュリティ装置は、1又は複数の視野角で複数のコントラスト材料パターンによって投影される合成画像を生成する。これにより、一方のコントラスト材料パターンから他方のコントラスト材料パターンへの色遷移効果を滑らかにすることができる。好ましくは、この複数のコントラスト材料パターン効果は、2つ以上の視野角において観察可能であり、第1の角度におけるコントラスト素子の組み合わせは、第1の色を生成するが、他の視野角においては、それらは、互いに結合して、異なる色を生成する。
【0041】
(画像アイコン素子)
本明細書に記載される方法及び光学セキュリティ装置の特定の実施形態では、画像アイコン素子の配列上に配置される集束素子の犠牲配列を提供することを考えている。
【0042】
上述したように、本発明の光学セキュリティ装置は、微細構造層内に微細構造アレイとして集積された画像アイコン素子の配列を部分的に含んでいる。好適な微細構造層は、概ね、米国特許第7,333,268号及び第7,468,842号に記載されている。例えば、一実施形態では、微細構造層は、サイズ、形状、深さ、高さ、幅によって所望されるように調整できる画像アイコン素子のアレイを含む。この微細構造層は、マイクロサイズ画像アイコン素子をその中に形成するのに適した任意の材料を含んでいてもよい。このように、本発明の範囲内で意図される画像アイコン素子は、画像アイコン素子が微細構造層上に形成されるか、又は微細構造層内に形成される実施形態を含む。上述したように、これらの画像アイコン素子は、様々なサイズ又は形状の形態をとることができる。例えば、画像アイコン素子上又は内に形成された微細構造層上又はポスト(例えば、メサ又は突起)に形成された間隙の形態であってもよく、画像アイコン素子のアレイは、間隙とポストの組み合わせであってもよい。これらの間隙は、微細構造化された固体領域によって囲まれている。これらの間隙、ポスト、固体領域が合体してテキスト、数字、記号又は描写を含むがこれらに限定されない微細構造の証印を形成する。
【0043】
微細構造層を形成するのに適した材料は、間隙又ポスト上に組み込む、又はその中に組み込むことができる任意の可鍛性材料であってもよい。この材料は、好ましくはポリマー材料であり、より好ましくは硬化性ポリマー材料であり、さらにより好ましくは、放射線硬化性の材料である。
【0044】
本明細書に記載される特定の実施形態では、微細構造層は、75ゲージの接着促進ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのベースフィルムに対して液体ポリマーをキャストすることによって形成され、次に、ポリマー中にパターン化された模様を付けることによって層中に空隙を生じさせ、その後、マイクロ構造層中に空隙及び/又はポストのパターンが存在するように材料を硬化させる。或いは、本発明の範囲内で、ポリマーを硬化させ、次いで硬化したポリマーの切片を除去して、その中に空隙のパターンを形成することも可能であり、考えられることである。
【0045】
本明細書中に記載される空隙は、他の実質的に平面であるか、又は実質的に平面でない場合には実質的にその表面トポグラフィが均一な層内の間隙であるため、間隙が層内に自身のパターンを形成する。別の実施形態では、微細構造層が高分子であるか別のタイプであるかにかかわらず、空隙は、微細構造層の深さを通って部分的にのみ延在するか、空隙は、微細構造層の深さ全体を通って延在するか、少なくとも1つの空隙が深さの一部を通る空隙のタイプと、少なくとも1つの空隙は、微細構造層の深さ全体を貫通する空隙の組み合わせが存在する。本明細書に記載される空隙は、限定されるものではないが、U字形、V字形、又は矩形の空隙を含む、任意の形状をとり得る。これらの空隙の深さは変化してPHOSITAの目的に合わせることもできるが、本発明では、驚くべきことに全深さで約0.5~約8μmの深さが好ましいことがわかった。例えば、本発明に必要とされる指向的硬化は、この範囲外の場合には、部分的に無効とされる。例えば、8ミクロンを超える深さを有する空隙は、指向的に硬化する材料は、テーパ状に硬化する傾向があるため、集束素子に対するオプションと、画像アイコン素子に集束させるために使用できる屈折性の指標を制限する。空隙又はポストが短すぎると、0.5μm未満である場合、指向的硬化は、画像アイコン素子のより広い断面を通って散乱する傾向があるので、コントラスト材料の硬化したセグメントを変形させることによって分解能を低下させる。
【0046】
一実施形態では、画像アイコン素子は、ポストが微細構造層に固定されるような微細構造層と一体化されたポストとして形成されるか、又はマイクロ構造化層材料としてマイクロ構造化層に形成され、マイクロ構造化層材料は、空隙領域間に存在するマイクロ構造化層材料として形成されるか、又はこの2つの組み合わせである。これらのポストは、印刷によって層上に固定されてもよく、又は上述のように空隙を形成するために使用されるのと同一のプロセスによって形成してもよい。さらに、1又は複数のポストは、1又は複数の有色素又は非有色素材料から形成され、好ましくは、約0.5~約8μmの範囲の全高さを有することも考えられる。空隙と同様に、ポストの高さ範囲は重要である。例えば、画像アイコン素子が着色されたポストである例示的な実施形態では、ポストが高いほど、着色された合成画像と鮮明な背景との間のコントラストはより高くなる。ポストが0.5ミクロン未満の高さである場合、コントラストは、非常に高い色素充填量であっても、合成画像を非常に見やすくするには低すぎる。8ミクロンを超えると、アイコン層内のポストは製造中に損傷を受けやすいので、アイコン素子を製造するのが非常に困難になる。また、コントラストは、アイコン深さ又は高さが大きくなればなるほど増加するが、これが成り立つのは、ある一点までである。コントラストゲインは、戻りを減少させる状況であり、ある点においては、アイコンの深さや高さが大きくなることでコントラストがよくなるわけではなく、製品の仕上がりが厚くなるだけである。画像アイコン素子が空隙である場合、一実施形態では、1又は複数の有色素材料でこれらの空隙が部分的又は完全に充填されるか、又は1又は複数の非有色素材料でコーティング又は充填される。本明細書で使用する用語「充填」とは、コーティングが、空隙の深さの50%を超えることであり、コーティングが50%以下であることからコーティングとは区別される。本明細書で使用する用語「完全な充填又はコーティング」は、完全な充填又はコーティングでは、空隙の側面及び基部の完全な表面領域が充填又はコーティング材料によって占められる点で、部分的な充填又はコーティングと区別される。この充填又はコーティング材料は、空隙と背景又は周囲の固体領域との間にコントラストを与える。或いは、コントラストは、背景又は周囲の固体領域をコーティングによって提供されると考えられる。好ましい実施形態では、空隙をコーティング又は充填すると、空隙の深さによりコントラストが向上することがわかった。しかしながら、製造の容易性が懸念される場合、周囲領域をコーティングすることにより、システムの製造性が向上することがわかった。空隙及び周囲の固体領域、又はポスト及びバックグラウンド、又は周囲の平面若しくは空隙領域を異なる材料でコーティング/充填し、空隙及び周囲領域間、又はポストと周囲領域との間でコントラストが明白になるようにすることも考えられる。充填物/コーティングは、有色素材料であっても、非有色素材料であってもよい。固体領域をコーティングするために使用される材料は、色素/色、反射、屈折又は回折に関して、空隙に多少のコントラストを与えるコントラスト材料であるのが好ましい。周囲領域は、1又は複数のコントラスト(即ち、各有色素材料に対して)有色素材料、又は1又は複数の同一の(即ち、各有色素材料に対して)有色素材料をコーティングするのが好ましい。
【0047】
空隙及び周囲空隙領域は、微細構造層の厚さを部分的に通して延在する、若しくは微細構造層の全厚を通って延在して貫通孔を形成することができる間隙である。空隙又は周囲の空隙領域が貫通孔である場合、基部領域は、微細構造層以外の層によって形成されてもよい。一実施形態では、側部領域は、基部領域と対比するようにコーティングされる。
【0048】
画像アイコン素子がポストを含む場合、一実施形態では、ポストを囲む領域は、1又は複数の有色素材料又は非有色素材料でコーティング及び/又は部分的に又は完全に充填される。
【0049】
(画像アイコン素子-コントラスト材料)
本発明では、画像アイコン素子(即ち、空隙、ポスト、又はそれらの組み合わせ)は、画像アイコン素子の配列を形成するように、コントラスト材料及び微細構造層上又は内に一体化された又は微細構造層上に協働する。本明細書で説明する実施形態では、画像アイコン素子の配列は、集束素子の固定配列に対する視野角を変化させることによって色シフト効果を達成することができるように、少なくとも2つのコントラスト材料を含む。少なくとも2つのコントラスト材料が存在する場合、少なくとも2つの材料は、少なくとも1つの、他からは際立った特徴を有するのが好ましく、際立った特徴は、色、テクスチャ、屈折率又は材料の少なくとも1つから選択される。
【0050】
本明細書で説明される実施形態では、コントラスト材料は、上述のように、コントラスト材料を用いて、空隙、ポスト又は周囲の背景領域を充填又はコーティングすることによって、画像アイコン素子のアレイに組み込まれる。次に、コントラスト材料を、以下にさらに詳細に記載されるように、指向的に硬化させる。指向的硬化は、画像アイコン素子内のコントラスト材料の硬化セグメントを生成する。これらのセグメントは、それらコントラスト材料を指向的に硬化させる集束素子の犠牲配列の組織パターンに対応するパターンで組織化される。第1のコントラスト材料の未硬化セグメントを指向的硬化及び洗浄することにより、少なくとも第1のコントラスト材料パターン及び第2のコントラスト材料パターンが、画像アイコン素子のアレイを横切って設けられる。
【0051】
本明細書に記載の実施形態では、画像アイコン素子のアレイは、少なくとも1つのコントラスト材料で充填又はコーティングされ、少なくとも第1のコントラスト材料パターン及び第2のコントラスト材料パターンが画像アイコン素子のアレイを横切って形成されるように指向的に硬化させることを考えている。別の実施形態では、画像アイコン素子のアレイは、2以上のコントラスト材料で充填/コーティングされ、集束素子の犠牲配列を通して指向的に硬化され、少なくとも第1の及び第2のコントラスト材料パターンを形成する。
【0052】
例えば、このような一実施形態では、空隙は、第1のコントラスト材料で充填され、第1の硬化角度で指向的に硬化され、洗浄されて、第1のコントラスト材料パターン及び空領域(空気セグメント)コントラスト材料パターンを形成する。さらなる実施形態では、画像アイコン素子内の空気セグメントは次に第2のコントラスト材料で充填され、第2のコントラスト材料は第2の硬化角度で指向的に硬化され、洗浄されて第2のコントラスト材料パターンと別の空領域コントラストパターンとを提供する。さらなる実施形態では、追加の連続するコントラスト材料を、画像アイコン素子内の空領域に添加し、次いで、指向的硬化させ、洗浄して、さらなるコントラスト材料パターンを形成することができる。
【0053】
本明細書で提供される実施形態では、1又は複数のコントラスト材料パターンは、集束素子の第1の犠牲配列を介してこれらのコントラスト材料を指向的に硬化させることによって形成され、他方のコントラスト材料は、(i)集束素子の別の犠牲配列を通して、又は1又は複数の固定配列された集束素子を通して指向的にフラッド硬化させるか、又は(ii)集束素子の1又は複数の犠牲配列を通して、又は集束素子の1又は複数の固定配列を通してフラッド硬化させる、かのいずれかであると考えられる。
【0054】
例えば、この一実施形態では、画像アイコン素子のアレイは、第1のコントラスト材料で充填され、第1のコントラスト材料は、集束素子の第1の犠牲配列を通して指向的に硬化させる。画像アイコン素子内の空領域は、次に、第2のコントラスト材料で充填され、第2のコントラスト材料は、集束素子の第2の犠牲配列を通して指向的に硬化させる。別の実施形態では、第2のコントラスト材料は、次に、集束素子の第1の固定配列を通して指向的に硬化させる。さらに別の実施形態では、第2のコントラスト材料は、集束素子の犠牲配列を通して、又は集束素子の固定配列を通して、又はその両方を通して、フラッド硬化させる。なお、硬化のシーケンスは決定的なものではなく、集束素子の犠牲配列を通した硬化は、集束素子の固定配列を通して硬化する前でも後でもよい。集束素子の犠牲配列と集束素子の固定配列とが微細構造画像アイコン層の対向する側にある実施形態では、集束素子の固定配列を通した硬化は、集束素子の犠牲配列による硬化の前に行うのが好ましい。
【0055】
好適な第2の、第3、又は追加のコントラスト材料は、使用される第1のコントラスト材料と同じであっても異なっていてもよい。第1の、第2の、第3の及び追加のコントラスト材料が同じである場合、それらは、色、トポグラフィ、又は厚さなどの際立った特徴をつけるためにそのままで改質されてもよく、又は異なる硬化プロセス又は硬化速度によって修正してもよい。第1の及び追加のコントラスト材料が異なる場合、それらの差は、例えば、屈折率、材料、色、トポグラフィ、又は厚さに反映させてもよい。
【0056】
特定の一実施形態では、異なるタイプのコントラスト材料を、第1の及び第2のコントラスト材料として使用する。例えば、一実施形態では、第1のコントラスト材料は、空隙が反射性材料のセグメント及び実質的に空の空間のセグメントを有するように固化される反射性材料である。その後、有色素材料を略空の空間に添加し、次いで、硬化角度で集束素子の犠牲配列を通して指向的に硬化させ、指向的硬化及び洗浄配列された画像アイコン素子の配列を生成する。この実施形態では、反射性コントラスト材料を最初に空隙に添加したが、本発明の範囲内で、有色素材料が最初に添加され、反射性コントラスト材料が空隙に添加される前又は後に指向的に硬化させることも考えられる。
【0057】
限定的であることを意図するものではないが、コントラスト材料の少なくとも1つは、有色素材料であることが好ましい。他の対照的な材料としては、別の充填/コーティング材料でもよいし、又は指向的に硬化したコントラスト材料セグメントの隣の空領域でもよい。例えば、一実施形態では、第1のコントラスト材料は有色素粒子を含み、第2のコントラスト材料は、空隙領域内の空気であり、指向的に硬化した有色素材料と隣接する。本出願人は、驚くべきことに、0.1μm~約1.2μmの範囲の寸法を有する有色素粒子が好ましく、より好ましくは約0.5μm~約1.0μmの範囲であることを見出した。本発明者は、驚くべきことに、この好ましい範囲を超えるサイズの粒子が、平行光を散乱させることにより、画像アイコン素子の指向的硬化アレイの解像度を低下させる傾向があることを見出した。対照的に、好ましい範囲よりも低い粒子を有する有色素材料は、平行光を過度に吸収することによって解像度を低下させて、画像アイコン素子において、コントラスト材料のセグメントが所望のものよりもり大きくなる傾向がある。
【0058】
コントラスト材料は、好ましくは、有色素材料であるが、例えば、反射性材料であってもよい。適切な反射性材料としては、スズ、チタン、アルミニウム、金、銀、クロム、ビスマス、又はそれらの組み合わせなどの金属材料が挙げられる。
【0059】
本発明で使用することを考えて有色素材料には、限定されるものではないが、有色素樹脂及びインクが含まれる。例示的な実施形態では、「SpectraPac」という製品名でサン・ケミカル・コーポレーション(SunChemicalCorporation)から入手可能な色素分散体の形態のサブミクロン色素が使用される。この色素分散液に他の硬化性(例えば、紫外線(UV)硬化性)材料及び光開始剤を添加して、本発明で使用するのに適した硬化性有色素材料を得る。得られた硬化性有色素材料を使用して、ポストを調製する、或いは空隙(又は凹部)及び/又はポストを囲む領域を充填する。
【0060】
コントラスト材料パターンは、集束素子の犠牲配列を通して視認したとき、第1の犠牲合成画像を生成する。この第1の犠牲合成画像は、犠牲集束素子とコントラスト材料パターンとの協働によって、硬化角度で集束素子の犠牲配列を通して視認したときに形成される。第1の犠牲合成画像の色は、指向的に硬化したコントラスト材料の色に対応する。しかしながら、色は、視野角が硬化角から変化するときにシフトして別の色又は異なる画像又はその両方の別の犠牲合成画像を生成する。第1の犠牲合成画像から他の犠牲合成画像への遷移は、犠牲合成画像遷移がある色から他の色へ移行するときに、(観察可能な色の大きいブロックによる)スナップを含むことが多い。
【0061】
特定の一実施形態では、第1の有色素材料を塗布して、空隙を充填し、次いで、平行光を画像アイコン素子に照射することによって硬化角度で、集束素子の犠牲配列を通して指向的に硬化することによって、有色素材料を硬化させて、画像アイコン素子の配列に画像アイコン素子の硬化したパターンを生成する。硬化されていない有色素材料の領域は洗浄され、空隙を有する画像アイコン素子、空隙内の硬化したコントラスト材料素子、及びコントラスト材料が除去された空隙洗浄領域を設ける。画像アイコン素子の配列が、硬化角度で集束素子の犠牲配列を通して視認したとき、集束素子の犠牲配列と画像アイコン素子の配列との協働によって第1の犠牲合成画像(有色素の)が得られる。視点は、硬化角度から変更されるので、犠牲合成画像の色は、有色素材料の色から、別の色に、或いは、第1の犠牲合成画像とは異なる画像に変化する。
【0062】
上述したような、また、画像アイコン素子の硬化パターンを含む、画像アイコン素子の指向的硬化及び洗浄された配列は、集束素子の固定配列との結合に適しており、硬化角度で集束素子の犠牲配列を通して視認できるパターンとは異なる画像アイコン素子の固定パターンが、集束素子の固定配列を通して視認できる。
【0063】
一実施形態では、画像アイコン素子はポストを含む。これらのポストは、空隙を形成するために使用されるのと同じ工程によって形成することができ、又は、これらポストは微細構造層上に印刷することによって形成することができる。或いは、ポストは、樹脂などの硬化性材料で微細構造層をフラッドコーティングし、次に、集束素子の犠牲配列を通して材料を指向的に硬化させることによって第1のポストを形成することができる。同じ又は異なるコントラスト材料を有する追加のポストは、第1のポストを取り囲む空隙領域を追加のコントラスト材料で充填し、追加のコントラスト材料をさらに指向的に硬化させて追加のポストを形成することができる。これらの各場合において、形成されたポストは、コントラスト材料でコーティングすることができ、及び/又は周囲の空隙領域は、コントラスト材料で充填又はコーティングするか、又はポスト及び周囲の空隙領域の両方を、異なるコントラスト材料又はその場で改変された材料で充填/コーティングして光学的に差をつける。
【0064】
画像アイコンのサイズ、形態及び形状は限定されないが、これらのポスト又は空隙アイコンは、例えば、視覚的に検出され、機械検出又は機械読取りが可能な正又は負の記号、文字、肖像、画像及び/又は数字の形態又は形状を想定することができる。それらはまた、複数の離間した、隆起した、又は陥凹したアイコンによって形成された三次元効果、又は複合又はモザイク様画像を与える浅浮き彫り構造体を構成することができ、これらのアイコンは、線、ドット、渦巻き、又はそれらの組み合わせの形態をとり得る。考えられる一実施形態では、画像アイコンは、約0.5~約8ミクロンの範囲の高さ又は陥凹深さを有する、隆起した又は陥凹したアイコンである。
【0065】
2種類以上の画像アイコン素子(例えば、マイクロ及びナノサイズ画像アイコン)が、本発明の装置内の画像アイコンの1つの配列又は層内で互いに位置合わせされる実施形態が考えられる。これらの実施形態には、好ましい硬化の形態が必要となる。本発明により意図される好ましい硬化の1つの形態は、異なるサイズの構造及び異なる溶解性の充填を使用して実現可能な充填物の示差的な溶解である。これは、平行光による硬化と組み合わせて単一層上の異なる組成を有する異なる構造を生成してもよい。平行光硬化はまた、このような単一層の多機能マイクロ及び/又はナノサイズ画像アイコンを製造するための手段として単独で使用することもできる。
【0066】
上記実施形態から得られる指向的に硬化した微細構造層は、個別的に又は集合的に、集束素子の固定配列への結合に適している。
【0067】
(集束素子)
本明細書で使用する用語「集束素子」は、微細構造層内に配置された微細画像又は微細画像の一部を、1又は複数の合成画像に拡大し、光学的に結合するように機能する、光学セキュリティ装置の構成要素を指す。好適な集束素子は、限定されるものではないが、様々なサイズ及び形状のレンズを含む。より詳細には、本明細書で提供される特定の実施形態では、レンズは、球形レンズ、非球面レンズ、又はレンチキュラーレンズから選択される。平行に整列されたレンチキュールはレンチキュラーレンズの好ましい形態であるが、本明細書では、レンチキュールをクロスハッチして、交点において擬似非球面レンズを形成することも考えている。球形又は非球形のレンズについては、円形基部を有する基部及び3~10個の側部を有する基部を含む異なる基部幾何学形状も考えられる。これらは、正方形の基部、長方形の基部、又は八角形の基部を含む。レンズのアレイは、複数のセットに編成することができ、各セットの部材は、所望の幾何学的形状を形成するように配置される。驚くべきことに、六角形の配向で編成されたレンズセットは、間隔及び解像度が改善され、より多くの情報をシステムに詰め込むことが可能となることが見出された。さらに、集束素子を埋め込むか、集束素子(犠牲又は固定)の配列における集束素子を、レンズピッチ、レンズサイズ、又はレンズ形状に基づいて位相シフトさせることも考えられる。集束素子は、微細構造層内の画像アイコン素子と協働して、集束素子を通して画像アイコン素子又はその一部を視認したときに合成画像を生成する。
【0068】
集束素子は、犠牲又は固定配列の一部であるかどうかにかかわらず、屈折集束素子、反射集束素子、ハイブリッド屈折/反射集束素子、穿孔及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。考えられる一実施形態では、集束素子は、屈折マイクロレンズである。好適な集束素子として、Steenblik他に付与された米国特許第7,333,268号明細書、Steenblik他に付与された米国特許第7,468,842号明細書、及びSteenblik他に付与された米国特許第7,738,175号明細書に開示されたものが例示されるが、その全体がすべて参照により本明細書に援用される。
【0069】
集束素子を埋め込むことも、本発明の範囲内であると考えられる。犠牲又は固定配列のいずれかの集束素子を埋め込むことは、光学的に劣化する外部効果に対するその抵抗性を向上させる働きをする。ここで、集束素子は、好ましくは集束素子の屈折率に影響を及ぼさない界面材料層の下に少なくとも部分的に埋められている。しかしながら、一実施形態では、本発明のデバイスの外面から屈折界面までの屈折率は、第1の屈折率と第2の屈折率との間で変化し、第1の屈折率は、第2の屈折率とで実質的に又は測定可能に異なる。本明細書で使用する用語「実質的に又は測定可能に異なる」という語句は、集束素子の焦点距離(複数可)を少なくとも約0.1ミクロンに変化させる屈折率の差を意味する。驚くべきことに、レンズ材料と界面材料との間の屈折率の差が増加すると、それに相関して、より短い焦点距離範囲でのロッキングが改善することがわかった。
【0070】
埋め込み材料は、透明であっても、半透明であっても、薄い色が付いていても、着色されていてもよく、光学的効果、電気伝導率又は電気容量、磁界検出に依存する自動通貨認証、検証、追跡、計数及び検出システムのサポートを含む、セキュリティ及び認証目的のための付加的機能性を提供することができる。適切な材料としては、接着剤、ゲル、糊、ラッカー、液体、成形ポリマー、及び有機又は金属分散液を含有するポリマー又は他の材料が挙げられる。一実施形態では、界面材料は、レンズの格子間隙を埋め込み、レンズの頂点を覆うことなくレンズの頂点まで延在する。別の実施形態では、界面材料は、間隙空間及びレンズ頂点を含むレンズシステム全体を埋め込む。
【0071】
本発明では、犠牲集束素子及び固定集束素子が存在する。集束素子の犠牲配列は、画像アイコン素子の配列の指向的な硬化において使用する。集束素子の犠牲配列のこのような使用により、画像アイコン素子の配列で、少なくとも第1の及び第2のコントラスト材料のパターンが形成される。第1のコントラスト材料パターンは、少なくとも部分的に、集束素子及び硬化角度の犠牲配列の特定の組織パターンに対応する。例えば、一実施形態では、集束素子の犠牲配列のパターンは、(1)画像アイコン素子のアレイに対する集束素子のアレイのスキュー、又は(2)集束素子の犠牲配列のピッチ、又は(3)集束素子の犠牲配列における集束素子のサイズ、又はそれらの任意の組み合わせに基づいて選択する。さらに、集束素子の犠牲配列のパターンは、追加的に又は代替的に、(4)構造、(5)屈折率、又は(6)集束素子の犠牲配列の反射に基づいていてもよい。集束素子の犠牲配列のパターンは、(7)これらの集束素子の部分をマスキングすることによって調節することもでるので、指向的硬化により、マスクによって隠されない画像アイコンの配列の領域が硬化されるだけである。集束素子の犠牲配列におけるこれらの組織パターンの1又は複数の選択し、このパターンを通して画像アイコン素子の配列を指向的に硬化することによって、第1のコントラスト材料パターンは、集束素子の犠牲配列における組織パターンと相関する微細構造層の中/上に形成される。
【0072】
集束素子の固定配列は、スキュー、ピッチ、サイズ、構造、屈折率、反射又はそれらの任意の組み合わせ、又は集束素子の犠牲配列に関して上述されたものに基づいて、組織パターンを有する。集束素子の固定配列のこのパターンは、少なくとも1つのスキュー、ピッチ、サイズ、形状、位相シフト、構造、屈折率、又は反射の少なくとも1つが、集束素子の犠牲配列に見られるパターンと異なるように、集束素子の犠牲配列で使用されるパターンから不整合になるように選択される。このように、集束素子の固定配列のパターンは、集束素子の犠牲配列を通して画像アイコン素子の配列を指向的に硬化することによって生成されるコントラスト材料パターンとは不整合となる。また、本明細書では、結果として、集束素子の1つの配列のうち、他とは異なる配列の集束素子のいずれか一方の領域をマスキングすることによる、集束素子の犠牲配列と固定配列との間のレンズレンズ不整合を提供する。硬化した第1のコントラスト材料パターンを有する画像アイコン素子の配列は、集束素子の固定配列と協働して固定合成画像を生成する。集束素子の固定配列を通して画像アイコンの配列を見る観察者は、集束素子の犠牲配列を通して画像アイコンの配列を視認するとき、同じ観察者によって同じ視点から観察される画像アイコンの犠牲パターンとは異なる画像アイコン素子の固定パターンを観察するであろう。
【0073】
一実施形態では、光学セキュリティ装置は、画像アイコン素子の配列を提供し、画像アイコン素子を有色素材料(即ち、第1のコントラスト材料)で充填し、集束素子の犠牲配列とコントラスト材料の指向的硬化領域(硬化した領域)を設け、第1のコントラスト材料の未硬化領域を除去して、画像アイコン素子の空領域を生成し、集束素子の犠牲配列を取り除き、画像アイコン素子が集束素子の固定配列と共同して固定合成画像を生成するように、画像アイコン素子の配列に関して集束素子の固定配列を提供することにより、製造される。集束素子の犠牲配列のパターンと、集束素子の固定配列のパターンとの間のパターン不整合は、第1のコントラスト材料及び空領域の両方の硬化した領域からなる合成画像を生成する。このように、視点を変化させる観察者は、一方又は両方のコントラスト色を有する、又はまったく有さない合成画像を観察することができる。例えば、いくつかの実施形態では、異なる色のローリングバーからなる合成画像が提供される。
【0074】
さらなる実施形態では、空領域を、第1のコントラスト材料とは異なる1又は複数の他のコントラスト材料で充填し、その後、少なくとも部分的に硬化させる。他のコントラスト材料の硬化は、フラッド硬化、マスキング又は指向的硬化によるものであってもよい。次いで、残った未硬化領域は除去する。未硬化領域の除去は、洗浄によるのが好ましい。集束素子の犠牲配列は除去され、集束素子の固定配列は集束素子の配列に対して配置され、合成画像を生成する。集束素子の犠牲配列の犠牲パターンと、集束素子の固定配列の固定パターンとの間のパターン不整合は、第1のコントラスト材料及び他のコントラスト材料の両方からなる合成画像を生成する。このような観察者は、少なくとも1つの視点から、第1のコントラスト材料パターン(複合パターン)と他のコントラスト材料との両方からなる合成画像を視認できる。より好ましくは、合成画像は、全ての角度から視認したときに、複合パターンに基づく投影となる。これは、第1のコントラスト材料からなる合成画像から、他のコントラスト材料からなる合成画像へ滑らかに遷移することができるようになる。例えば、第1のコントラスト材料が赤色有色素材料であり、第2のコントラスト材料が青色有色素材料である一実施形態では、第1の視野角で、ローリングバー又はフリッカ画像などの赤色合成画像が観察され、第2の視野角では、青色合成画像が赤色部分で観察され、第3の視野角で赤色及び青色合成画像が観察される。赤色合成画像と青色合成画像との間の遷移は、より滑らかであり、スナップの影響はない。
【0075】
犠牲的であるか固定的であるかにかかわらず、集束素子の配列がスキュー角を有し、それに沿って、パターンへの依存がスキューに基づくとき、集束素子のパターンが反復する。同様に、画像アイコン素子の配列も、画像アイコン素子のパターンが繰り返しパターンを有するスキュー角を有する。これらのスキュー角が配向されるか、又はずれている場合、画像アイコンと集束素子との協働を通じて生成される合成画像において、様々な光学効果が観察される。例えば、集束素子配列が、画像アイコン配列(即ち、約1度以下(≦1))に関連する場所からわずかに回転すると、米国特許第7,333,268号に記載されているように、一般的に合成画像を変化させて、より小さく、より接近させ、フロート、スーパーフロート、ディープ、スーパーディープ、浮揚、モーフ、3次元効果等の合成画像効果を生成する。対称軸は、本明細書では、配列の幾何学的形状を変更することなく、配列がそれを中心にして反映できる、回転できる、又はその両方ができる線として定義される。必須ではないが、特定の実施形態では、対称軸は、スキュー角と一致する。
【0076】
コントラスト材料を指向的に硬化させることにより、集束素子の固定配列を通して観察されるカラーブロックは、集束素子の犠牲配列のスキューから集束素子の固定配列のスキュー(即ち、回転角)に依存するサイズを有する、集束素子の犠牲配列を通して観察されるものよりも小さい。サイズは、角度が硬化角度から離れるにつれて急激に変化する。
【0077】
(指向的硬化)
本発明の発明者は、驚くべきことに、指向的に硬化した微細構造層(即ち、画像アイコン素子の指向的に硬化した配列)を形成するために画像アイコン素子の配列を指向的に硬化することにより、複数のコントラスト材料を画像アイコン素子の配列に組み込むことができ、それによって複数のコントラスト材料からなる合成画像が得られることを見出した。画像アイコン素子の配列が、硬化角度で集束素子の犠牲配列を通して視認できるとき、画像アイコン素子の配列において、画像アイコン(2つのコントラスト材料パターンを含む)の犠牲パターンは、集束素子の犠牲配列と協働して色を変化させる犠牲合成画像を生成する。しかしながら、画像アイコン素子の配列が、集束素子の固定配列を通して視認できるときは、画像アイコン素子の固定パターンが観察でき、集束素子の固定配列と協働して、集束素子の固定配列を通して画像アイコン素子を指向的に硬化させることに伴う「スナップ」の影響なしに、色をより滑らかに変化させる固定合成画像が生成できる。
【0078】
本明細書で使用する用語「指向的硬化」は、硬化角度で集束素子の犠牲配列を通して硬化源を向けることによって、硬化力を画像アイコン素子の配列に組み込まれたコントラスト材料に向ける工程を指す。硬化力を所望の硬化角に向けることにより、画像アイコン素子の各々におけるコントラスト材料のセグメントは未硬化のままであり、次いで、洗い流して第2のコントラスト材料として空気を充填された空の領域を残すことができる。即ち、光は、画像アイコン素子の配列の対象領域に衝突するように、集束素子の犠牲配列を通る角度に向けられる。集束素子の犠牲配列を通して画像アイコン素子を見ると、硬化角に沿った視点から、観察者は指向的に硬化した画像アイコン素子のパターンを見ることができる。硬化角から離れるように移動すると、集束素子の犠牲配列を通して視認可能な画像アイコン素子のパターンが変化する。実際、空領域内のコントラスト材料は、集束素子を通る適切な角度で視認したときに、合成画像を投影することができる。本明細書で述べたように、別のコントラスト材料を、硬化させるべき画像アイコンの空の空間内に統合して、別個のパターンコントラスト材料パターンを形成することができる。例えば、一実施形態では、第1の有色素材料を、空隙に塗布し、指向的に硬化させ、洗浄した後、追加の有色素材料を空隙の空領域に添加して、集束素子の犠牲配列を通して異なる硬化角度で指向的に硬化させ、任意選択で洗浄して、任意の未硬化有色素材料を除去する。
【0079】
好ましい実施形態では、指向的硬化は、光が画像アイコン素子中に存在する第1のコントラスト材料のセグメントに衝突し、それによって第1のコントラスト材料のセグメントを固化するように第1の硬化角度で集束素子の犠牲配列を通して平行光などの放射線を照射することを含む。固化されていない第1のコントラスト材料の領域は洗い流してから、コントラスト材料の硬化したセグメントと、第2のコントラスト材料として機能する空気で満たされた略空の空間のセグメントを残す。硬化した第1のコントラスト材料及び空の空間は、色遷移効果のためにそれぞれ第1の及び第2の色を提供するように機能することができる。さらに、空の空間は、第1のコントラスト材料とは区別可能な材料で充填又はコーティングされてもよい。複数の付加的なコントラスト材料が同様に添加され、指向的に硬化されることも、本発明の範囲内で考えられる。
【0080】
一実施形態では、画像アイコン素子の配列の指向的硬化は、平行光源からの平行光を、集束素子の犠牲配列を通してアイコンアレイに向けることを含み、その結果、得られる光は、微細構造層内/上に組み込まれた有色素材料に衝突し、それによって、有色素材料(複数可)の少なくとも一部が硬化する。適切な平行光源は、1又は複数のコリメートレンズを通して、より指向性のある光源、例えば、LEDのアレイ、又はそれらの組み合わせなどから狭いスリットを通して放物線状反射器に向かって導かれるレーザ光、光(例えば、太陽光、UV光、赤外線(IR)光)を含む。考えられる一実施形態では、平行光源は、UVリソグラフィ露光ユニットである。
【0081】
前述したように、画像アイコン素子は、2以上のコントラスト材料から形成することができる。空気に対してコントラストを有することができるインクなどの有色素材料は最も適している。これらは、各材料を平行光で硬化させることにより、又は平行光で1つの材料を硬化させ、別の材料を別の硬化手段(例えば、放射線硬化、化学反応)と共に硬化させることによって調製することができる。このような指向的に硬化する有色素材料(複数可)から形成された画像アイコンの合成画像は、硬化角度(複数可)で視認でき、一方、非指向的硬化有色素材料から形成される画像アイコンの合成画像は、広範囲の角度にわたって視認できる。本発明の実施において使用される画像アイコン素子の配列(複数可)は、非指向的に硬化した有色素材料から全体として形成される従来技術の画像アイコン素子を含んでもよいことに留意されたい。
【0082】
本発明での使用に適した種々の有色素材料は、PHOSITAにとって明らかであろう。一実施形態では、画像アイコンの配列(複数可)内の各画像アイコンは、1つの硬化蛍光有色素材料と、1つの硬化された非蛍光有色素材料とから形成される。ここで、所定の角度でのみ検出可能であるが、他の所与の角度では検出可能でない蛍光特徴は、有効な機械読み取り可能な認証特徴としての役割を果たすことができる。
【0083】
本明細書で述べたように、指向的硬化は、標的材料を硬化させることができる放射線源を、集束素子の犠牲配列を通して方向付けることを含む。集束素子の犠牲配列は、それを光学セキュリティシステムから分離するか、又はそれを光学セキュリティシステムに組み込むことによって除去される。一実施形態では、指向的硬化は、集束素子の犠牲配列が画像アイコン素子の配列に対して静的な関係で保持されるのではなく、むしろ画像アイコン素子の配列と動的に接触する動的システムを含む。集束素子の犠牲配列は、画像アイコン素子の配列と接触させられるので、放射線源は、硬化放射線を画像アイコン素子(例えば、コントラスト材料(複数可)で充填した空隙か、又は、コントラスト材料を含むポスト)に向ける。
【0084】
特定の一実施形態では、集束素子の犠牲配列は、画像アイコン素子の配列に動的に適用され、これらの配列が互いに交差する間に硬化する。集束素子の犠牲配列は、光学セキュリティ装置内に存在する集束素子の固定配列の組織パターンとは不一致の組織パターンを有する。この犠牲配列は、第1のコンベヤに固定される一方、画像アイコン素子の配列は第2のコンベヤに固定される。第1の及び第2のコンベヤは、互いに実質的に接触するようにされ、集束素子の少なくとも一部の焦点が画像アイコン素子に位置する。コンベヤが移動する間、安定に保持されることができる硬化放射線源(例えば、平行光)は、所望の硬化角度で、集束素子の犠牲配列を横切って硬化放射を照射する。コンベヤが互いに交差する間、画像アイコン素子は指向的に硬化する。本発明者らは、この工程により、放射線源が移動しないことから、指向的硬化工程をより正確に制御することができることを見出した。さらに、同じ集束素子を繰り返し使用して、画像アイコン素子の1又は複数の硬化パターンを形成することができる。
【0085】
本明細書に記載される実施形態から、さらなる実施形態は、指向的硬化を介して硬化される複数のコントラスト材料パターンを有する微細構造層を含む。複数のコントラスト材料パターンの少なくとも1つは、集束素子の犠牲配列を通して指向的に硬化される第1の硬化パターンを含む。別の実施形態では、コントラスト材料パターンの少なくとも1つは、集束素子の第1の犠牲配列を通して指向的に硬化される第1の硬化パターンと、集束素子の第2の犠牲配列を通して指向的に硬化される第2の硬化パターンとを含む。驚くべきことに、集束素子の別個の犠牲配列を使用することにより、各コントラスト材料を硬化するために、複数色遷移効果は、オルソパララクション方向に1回のカラーローリングを有するように達成することができる一方、セキュリティ装置を傾けると、他のロールは傾斜方向に回転する。別の実施形態では、コントラスト材料パターンの少なくとも1つは、集束素子の第1の犠牲配列を通して指向的に硬化される第1の硬化パターンと、集束素子の少なくとも1つの固定配列を通して指向的に硬化される第2のコントラスト材料パターンとを含む。別の実施形態では、硬化パターンの少なくとも1つは、集束素子の第1の犠牲配列を通して指向的に硬化される第1の硬化パターンと、金属又は反射性材料でコーティングされるか又は部分的に充填される空隙の一部によって提供される第2のパターンとを含む。
【0086】
(集束素子の犠牲配列の除去)
本明細書で言及される集束素子の犠牲配列の除去は、(i)集束素子の犠牲配列を中間光学セキュリティ装置構造体の残りから又は画像アイコン素子の配列から分離するか、又は取り外すこと、又は(ii)画像アイコン素子及び(ii)これらの集束素子がもはや集束素子として機能しなくなるように犠牲素子をセキュリティ装置へ組み込むことの両方を含む。集束素子の犠牲配列を分離することは、画像アイコン素子の配列から集束素子を層間剥離すること、切除すること、又は他の剥離によって行うことができる。集束素子の犠牲配列を組み込むことは、集束素子の構造的なレリーフを除去するいくらかの放射(例えば、熱)を加えることにより、集束素子の元々存在する犠牲配列と比較して比較的平坦な表面を形成することによって達成できる。別の方法として、集束素子の犠牲配列は、集束素子の別の犠牲配列、又は集束素子の1又は複数の固定配列でそれを覆うことによって、システムに統合することができる。
【0087】
上述したように、集束素子の犠牲配列の除去は、集束素子の犠牲配列と、これらの配列の少なくとも1つが他方に対して動的に配置される画像アイコン素子の配列とを使用することによっても可能である。
【0088】
一実施形態では、光学セキュリティ装置は、画像アイコン素子の配列、集束素子の犠牲配列、及び画像アイコン素子を指向的に硬化するということに関して本明細書中の様々な実施形態を通して記載している。さらに、この実施形態では、集束素子の犠牲配列は、画像アイコン素子の配列上に配置されたままである。集束素子の固定配列は、集束素子の犠牲配列が組み込まれ、集束素子の固定配列と画像アイコン素子の配列との間の光学スペーサとして機能するように、集束素子の犠牲配列の上に、直接的に又は間接的に配置される。これにより、好ましくは直接的に、集束素子の2つの配列の間に界面が設けられる。
【0089】
本発明は、さらに、上述した光学スペーサを有する光学装置の例示的な一実施形態を製造する方法であって、集束素子の1つ又は複数の永久的又は固定配列(複数可)が、スキュー角、或いは、対称軸を有して画像アイコンの少なくとも一部の1つ又は複数の合成画像を形成するように配置され、集束素子の1又は複数の固定配列(複数可)の位置は、光学装置におけるこの配列の意図された位置を構成する、
(a)第1のフィルムの側面に(i)集束素子の1又は複数の永久又は固定配列(複数可)のスキュー角の意図する位置から1度以下(≦1°)の僅かな角度(α)で回転したスキュー角を有し、(ii)サイズ、ピッチ、又は構造の点で、永久又は1又は複数の固定集束素子配列(複数可)とは異なる組織パターンを有し、及び/又は、(iii)1又は複数のマスクされた領域を有する集束素子の犠牲配列を形成すること、
(b)第1のフィルムの対向する表面上に又はその中に画像アイコンの配列(複数可)を形成すること、(i)1又は複数の有色素材料から形成されたポストの形態、(ii)ポストを囲む領域が、1つ又は複数の有色素材料でコーティングされるか、及び/又は部分的に又は完全に充填されるポストの形態で、又は(iii)1又は複数の有色素材料でコーティングされ、及び/又は部分的に又は完全に充填される空隙又は凹部の形態のいずれかの画像アイコンの1つ又は複数の配列を形成すること、
(c)平行化された光源から平行光を、集束素子の犠牲配列を通して、画像アイコンの1つ又は複数の配列(複数可)に向けて所定の硬化角度で指向させて配列(複数可)に入射する光が、有色素材料を硬化させるようにすること、
(d)任意選択で1又は複数の異なる有色素材料を画像アイコンの配列(複数可)に添加し、異なる硬化角度の平行光を又は非平行光を使用して各異なる有色素材料に対して工程(c)を繰り返して有色素材料を硬化すること、
(e)(i)光学スペーサを構成し、硬化した画像アイコンのすくなくとも1つの配列を第1のフィルムから第2のフィルムの下面に転写する第2のフィルムの上面、又は(ii)集束素子の犠牲配列の上面のいずれかに集束素子の永久的又は固定配列(複数可)を形成すること、を含み、集束素子の犠牲配列が、第1のフィルムの一部となり、第1のフィルムが光学スペーサを構成する方法を提供する。
【0090】
光学セキュリティ装置内へ集束素子の犠牲配列を組み込むことにより、犠牲配列をスペーサ層(例えば、光学スペーサ)として機能できるようになる。或いは、集束素子の犠牲配列がシステムの残りの部分から分離/取り外しされる場合、別個のスペーサ層を、画像アイコン素子の配列と集束素子の固定配列との間に配置してもよいと考えられる。したがって、本明細書で言及されるスペーサは、別個のスペーサ又は集束素子の犠牲配列であってもよい。例えば、集束素子の固定配列は、第2のフィルム層の第1の側に形成してもよい。そして、画像アイコン素子の配列は、集束素子の犠牲配列の二層システムと第1のフィルムから分離され、第2のフィルムの第2の側面上に配列され、第2のフィルムはスペーサ層として機能する。
【0091】
スペーサ層は、限定はされないが、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等を含む1又は複数の本質的に透明又は半透明なポリマーを使用して形成することができる。例示的な実施形態では、光学スペーサ又はスペーサ層は、ポリエステル又はポリエチレンテレフタレートを使用して形成される。
【0092】
本明細書における特定の例示的な実施形態では、光学スペーサ又はスペーサ層の使用を述べているが、本発明の光学セキュリティ装置及び中間生成物は、また、光学スペーサ又はスペーサ層なしで調製できることに留意されたい。例えば、一実施形態では、集束素子の犠牲配列は、画像アイコン素子の配列と隣接するか、又は略接触する。このような実施形態では、画像アイコン素子は、集束素子の犠牲配列と接触する一方、集束素子の焦点に依然として残る。特定の一実施形態では、画像アイコン素子は、完全にではないが、部分的に、集束素子の犠牲配列内に埋め込まれる。同様に、別の実施形態では、集束素子の固定配列は、スペーサなしの画像アイコン素子の配列に対して配置される。
【0093】
微細構造層及び集束素子の固定配列、並びに集束素子の犠牲配列は、同じ材料であっても異なっていてもよい。いずれの場合も、放射線硬化性樹脂は、光学セキュリティ装置及びその中間体のこれらの構成要素を形成する際に使用することが考えられる。例えば、適切な放射線硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル化ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル化ウレタン樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、アレイは、ロードケミカル(LordChemicals)から入手可能なアクリル化ウレタンを使用して形成される。
【0094】
本発明の一態様は、プロダクト・バイ・プロセスであり、本発明は、前のパラグラフの方法ステップを含む、本明細書の様々な実施形態に記載される方法ステップから製造される光学セキュリティ装置を含む。
【0095】
一実施形態では、光学セキュリティ装置は、画像アイコン素子の配列、集束素子の犠牲配列、及び画像アイコン素子を指向的に硬化するということに関して本明細書中の様々な実施形態を通して記載している。さらに、この実施形態では、集束素子の犠牲配列は、画像アイコン素子の配列から剥離される。次に、集束素子の固定配列は、画像アイコン素子の配列上に配置されて本明細書中に記載されるような合成画像を生成する。本明細書では、スペーサレス光学セキュリティ装置は、画像アイコン素子の配列から集束素子の犠牲配列を取り外し、次に、集束素子の固定配列の下に画像アイコン素子の配列を配置することによって生成することが考えられる。しかしながら、本発明は、集束素子がフィルム層上に形成され、フィルム層が集束素子の固定配列と共に画像アイコン素子の配列上に配列されるような、集束素子の固定配列の下に更なる層が配置される実施形態も提供する。このような状況下では、フィルム層はスペーサ層、より具体的には光学スペーサ層として機能する。
【0096】
コントラスト材料又は画像アイコン素子の任意の部分を硬化することは、好ましくは、集束素子の犠牲配列を介して行われる。しかしながら、本発明者らは、驚くべきことに、集束素子の固定配列を通して、画像アイコン素子の一部を直接又は集束素子及び他の部分の犠牲配列を通して硬化させることも可能であることを見出した。例えば、1つのコントラスト材料が集束素子の犠牲配列を通して硬化される場合、第2のコントラスト材料は、集束素子の固定配列を通して硬化することができ、又は直接的に硬化することができる(即ち、集束素子の固定又は犠牲配列を通過することなく、コントラスト材料に直接硬化力を向ける)。固定配列を通して硬化することにより、合成画像が、少なくとも硬化角度から集束素子を通して視認したときには、必ず単一のコントラスト材料から構成されることになる。したがって、合成画像は、選択された視点角において、合成画像が赤の色素を有し、他の全てにおいて、青色(第1のコントラスト材料)及び赤色(第2のコントラスト材料)の両方の色素を有するようにしてもよい。
【0097】
本明細書では、集束素子は、様々なタイプ、サイズ及び形状とすることも考えられる。例えば、固定するか犠牲にするかに関わらず、集束素子の配列は、球形、非球形が可能である。
【0098】
(合成画像)
上述したように、本発明の光学装置は、1又は複数の硬化した有色素材料から形成された画像アイコンの少なくとも1つの配列と、画像アイコンの少なくとも一部の1又は複数の合成画像を形成するように配置された、任意に埋め込まれた集束素子の少なくとも1つの配列とを含む。有色素材料(複数可)の一部又はすべては、デバイスの表面に対して1つ又は複数の角度で犠牲集束素子配列を通して導かれる平行光を使用して硬化され(即ち、画像アイコンを指向的に硬化された硬化角度(複数可))、指向的に硬化された画像アイコンを形成して中間光学セキュリティ装置を製造する。合成画像(複数可)は中間光学セキュリティ装置によって投影されるが、一旦集束素子の固定配列が中間光学セキュリティ装置に追加されると、合成画像(複数可)は、硬化角度(複数可)で集束素子の固定配列を通して指向的に硬化された画像アイコン素子を視認することによって観察可能である。この合成画像は、従来のシステムと比較して、装置の視野角が、それぞれの硬化角(複数可)を通って、また、硬化角(複数可)から離れて移動するにつれて、より急激に視覚的に出現消滅、又はオンオフする。
【0099】
合成画像(複数可)は、反射光であるか透過光であるかにかかわらず、硬化角度(複数可)から視認したときに、
i.視差直交移動を示す、
ii.光学装置の厚さよりも深い空間平面上に静止するように見える、
iii.光学装置の表面より上方の空間平面上に静止するように見える、
iv.装置が方位角回転すると、光学装置の厚さより深い空間平面と、光学装置の表面より上方の空間平面との間で振動する、
v.複合3次元構造、パターン、運動又はアニメーションを示す、及び/又は
vi.出現消滅する、静的状態に留まるが、色の動的帯域が全体を移動する、若しくは色の動的帯域が全体を移動しながら動画化される面内画像を有する、等の光学効果の1つ以上を示すことができる。
【0100】
スティーンブリック(Steenblik)らに対するPCT/US2004/039315号に記載されているように、画像の拡大又は合成倍率、並びに上述した視覚効果の大きさは、集束素子(例えばレンズ)の配列と画像アイコン素子の配列との間の「スキュー」の程度、これら2つのアレイの相対的なスケール、及びレンズ(f)の焦点距離をレンズ(D)の有効最大径で割った商として定義される集束素子のfナンバーに依存する。
【0101】
スティーンブリックらに対するPCT/US2004/039315号にも記載されているように、直交視差効果は、集束素子及び画像アイコン素子の配列のスキュー角がずれているとき(即ち、スキュー角が同じではないとき)、実質的に1.0000に等しい「縮尺比率」(即ち、画像アイコンの繰り返し周期と集束素子の繰り返し周期との比)から生じる。本発明の光学装置の厚さよりも深い空間平面上に静止した状況は、集束素子の配列及び画像アイコン素子の配列のスキュー角が実質的に整列しているとき、「縮尺比率」が1.0000未満の場合に生じるものであり、一方、本発明の装置の表面より上方の空間平面上に静止している状況は、集束素子の配列及び画像アイコン素子の配列のスキュー角が略揃っているとき、「縮尺比率」が1.0000以上の場合に生じる。装置が方位角回転されるとき、光学装置の厚さより深い空間平面と光学装置の表面より上方の空間平面との間で振動する状況は、縮尺比率が軸方向非対称値(例えば、X方向で0.995、Y方向で1.005)であるときに生じる。
【0102】
本発明の光学装置は、集束素子がマイクロレンズであり、画像アイコン素子の配列(複数可)における各画像アイコンが、1つの硬化された有色素材料から形成される例示的な実施形態において、(a)略透明又は透明な放射線硬化性樹脂を、第1の光学スペーサ又はスペーサ層の上面及び下面に塗布すること、(b)上面に犠牲マイクロレンズアレイを、また、光学スペーサの下面に空隙(又は凹部)及び/又はポストの形態をしたアイコンアレイを形成すること、(c)放射線源を使用して略透明又は透明な樹脂を硬化させること(d)アイコンアレイ凹部及び/又はポストを取り囲む領域を1又は複数の有色素材料で充填すること、(e)光学スペーサの下面から過剰の有色素材料(複数可)を除去すること、(f)光学デバイスの表面に対して1又は複数の角度で、犠牲集束素子アレイを通してアイコン層に向けられた平行光(平行にした光)を使用して、有色素材料(複数可)の一部又はすべてを硬化させること、(g)略透明又は透明な放射線硬化性樹脂を、(1)所望の光学効果を達成するために必要な、硬化した画像アイコンアレイの意図した位置に対して相対的な位置で上面に永久又は固定マイクロレンズアレイを形成する、そして、硬化した画像アイコン層を第1の光学スペーサ又はスペーサ層から第2の光学スペーサ又はスペーサ層の下面へ転写する第2の光学スペーサ又はスペーサ層の上面、又は(2)所望の光学効果を達成するために必要な硬化した画像アイコンアレイの位置に対して相対的に、上面に永久的な又は固定したマイクロレンズアレイを形成し、これにより、犠牲マイクロレンズアレイは、第1の光学スペーサ又はスペーサ層の一部となる犠牲マイクロレンズアレイの上面のいずれかに塗布すること、とによって調製することができる。
【0103】
本出願の特定の特許請求の範囲は、光学セキュリティ装置を形成する方法を規定する。この方法は、少なくとも以下の工程を含む。これらの工程は、任意の特定の順序で提供又は実行することができる。しかしながら、好ましい実施形態では、驚くべきことに以下の順序により、改良された光学セキュリティ装置が製造できることが分かったため、これらの工程を以下の順序で実行する。この実施形態では、方法は、以下を含む。
【0104】
画像アイコン素子の配列上に配置される集束素子の第1の犠牲配列を提供すること。本開示を考慮すると、集束素子の付加的な犠牲配列又は画像アイコン素子の付加的な配列を設けることは、本発明の範囲内であることが理解されるべきである。犠牲組織パターンを有する集束素子の第1の犠牲配列を使用して、第1の及び第2のコントラスト材料パターンを形成する。したがって、本方法は、第1のコントラスト材料パターン及び第2のコントラスト材料パターンを形成することも含む。これらの2つのパターンは、画像アイコン素子の配列上又は内に形成される。第1の及び第2のコントラスト材料パターンを形成するために、この実施形態では、画像アイコン素子は、微細構造層内に形成された空隙である。これらの空隙は、第1のコントラスト材料なしでは空(空気で満たされている)である。第1の及び第2のコントラスト材料パターンを形成するために、画像アイコン素子を、第1のコントラスト材料で充填する。そして、この第1のコントラスト材料は、平行光が画像アイコン素子内の第1のコントラスト材料に当たるように、平行光を、選択された硬化角度で、集束素子の第1の犠牲配列を通して指向的に硬化させる。集束素子の犠牲配列の組織パターン及び平行光が第1のコントラスト材料へ向けられる角度により、画像アイコン素子内の第1のコントラスト材料の部分のみが硬化され、それにより、集束素子の犠牲配列の組織パターンと相関する、コントラスト材料の硬化パターンを生成する。この段階では、硬化した及び未硬化のコントラスト材料を有する中間セキュリティ装置が形成され、光学セキュリティ装置を形成する際に利用可能である。
【0105】
この硬化/未硬化の中間セキュリティ装置は、その後洗浄工程において、画像アイコン素子の配列を平行光が当たらなかった第1のコントラスト材料(即ち、未硬化の第1のコントラスト材料)の部分を除去する洗浄剤に接触させる。この洗浄工程の結果、画像アイコン素子の部分は、硬化した第1のコントラスト材料のセグメント及び空気のセグメントで充填される。硬化した第1のコントラスト材料のセグメントは、画像アイコン素子の配列上に、コントラスト材料の第1のパターンを形成する。空気のセグメントは、画像アイコン素子の配列上に、コントラスト材料の第2のパターンを形成する。この段階では、コントラスト材料の2つのパターン(即ち、2パターン中間セキュリティ装置)を有する中間セキュリティ装置が形成され、光学セキュリティ装置を形成する際に利用可能である。集束素子の犠牲配列及び硬化角度を通して、この2つのパターン中間セキュリティ装置の画像アイコン素子を視認すると、硬化した第1のコントラスト材料のセグメント又は硬化した第1のコントラスト材料のセグメントから投影された合成画像が観察される。他の視野角では、第2のコントラスト材料のセグメント又は第2のコントラスト材料のセグメントから投影される合成画像を観察することができる。この合成画像は、本明細書では、犠牲合成画像を指す。
【0106】
この方法のさらなる工程は、2つのパターン中間セキュリティ装置における画像アイコン素子の配列上に、集束素子の固定配列を配列することを含み、それにより、画像アイコン素子は、集束素子の固定配列を通して視認したときに合成画像を投影する。この合成画像は、本明細書では、固定合成画像と呼ばれ、集束素子の固定配列と、2つのパターン中間セキュリティ装置において見出される画像アイコン素子の配列との協働によって形成される画像として識別される。このように、固定合成画像は、移動することができない、又は移動するように見えることのない画像を反映すると限定して解釈されるべきではない。実際、好ましい実施形態では、この固定合成画像は、様々な視点から見て、動的に見える。
【0107】
犠牲組織パターンとは異なる固定組織パターンを有する集束素子の固定配列は、集束素子の固定配列と画像アイコン素子の配列との間のレンズアイコンが不整合となる。換言すれば、集束素子の固定配列は、画像アイコンの配列に対して、集束素子の固定配列が第1の固定レンズパターンと第1の及び第2のコントラスト材料のパターンとの間でレンズアイコンパターン不整合を発生させる第1の固定組織パターンとなるように配置される。他方、集束素子の第1の犠牲配列は、少なくとも硬化角度で第1のコントラスト材料パターンと整合される犠牲組織パターンを有する。このように、集束素子の固定配列を通じて画像アイコン素子を視認すれば、任意の角度で、コントラスト材料の少なくとも2つのパターンの部分、ここでは第1の及び第2のパターンを観察することになる。さらに、この不整合のため、集束素子の固定配列と画像アイコン素子の配列との協働を通じて投影される結果として得られる固定合成画像には、コントラスト材料の少なくとも2つのパターンからの投影、ここでは第1の及び第2の投影が含まれることになる。コントラスト材料の2以上のパターンからの投影を、本明細書では、コントラスト材料の複合パターンを指す。好ましい実施形態では、コントラスト材料の複合パターンの投影は、硬化角度を含むすべての角度で観察可能である。しかし、本開示を考慮すると、投影された合成画像は、少なくとも1つの角度から集束素子の固定配列を通して視認したときに、コントラスト材料の複合パターンから形成されることを理解すべきである。
【0108】
1又は複数の又は全ての角度から視認したとき、コントラスト材料の複合パターンから投影される固定合成画像は、視野角のシフトに対応する色遷移効果を生じる。視野角が変化すると、固定された合成画像色は、複合パターンが変化するか又は前後に移動するにつれて変化する。
【0109】
一実施形態では、第1のコントラスト材料は着色され、第2のコントラスト材料は空気である。有色素コントラスト材料と空気の複合パターンは、色素及び領域又は空気の領域を有する固定合成画像を生成する。別の実施形態では、第2のコントラスト材料はまた、第1のコントラスト材料の後に、洗浄された第1のコントラスト材料の空の空間内に充填され、次いで硬化され、第1のコントラスト材料と同様に洗浄される有色素材料である。ここで、第1のコントラスト材料パターン及び第2のコントラスト材料パターンはともに着色されており、異なる色素を有するのが好ましい。得られた固定合成画像は、複数の有色素コントラスト材料パターンの複合パターンから形成される。視野角が変化するにつれて、合成画像の色パターンも変化するか、又は前後に切り替わる。一実施形態では、合成画像は、すべての角度で両方の色素を表示するパターンで第1の色素から第2の色素へと変化する異なる色のバーを含む。
【0110】
ここで、本発明を、特定の、但し非限定的な実施形態を参照することによってさらに説明する。
【0111】
(実施例)
ここでは、図1~2に詳細に示されている図面を参照すると、集束素子12の犠牲配列が集束素子10の固定配列の下に配置されている、光学セキュリティ装置の拡大部分が示されている。図1の集束素子は球形レンズ又は非球面レンズとして示しており、図2の集束素子はレンチキュラーレンズとして表示している。図1及び図2のそれぞれの場合において、集束素子12の犠牲配列及び集束素子10の固定配列は、それぞれのスキュー角の位置ずれ分だけ不整合である。特に、この特定の実施形態では、固定配列のスキュー角を犠牲配列のスキュー角から1度以下の角度(α)だけ回転させることによってずらしている。本明細書に記載され、この実施形態を含む特許請求の範囲によって網羅される全ての実施形態を通して、犠牲配列は、画像アイコン素子の少なくとも1つの硬化パターン(例えば、画像アイコン素子の犠牲パターン)を生成する際に使用する。本実施形態では、犠牲配列を使用して、指向的硬化によって画像アイコン素子の少なくとも1つの犠牲パターンを生成する。前述したように、集束素子配列が、画像アイコン配列に関連する場所からわずかに回転すると、一般的には(常にではないが)合成画像を変化させて、合成画像をより小さく、より近づける。ここで、(α)で表される不整合は、犠牲配列及び画像アイコン素子の任意の犠牲パターンに対してあるべき場所からのわずかな回転ずれと定義する。画像アイコン素子の犠牲パターン内の画像アイコン素子が、コントラスト材料(即ち、有色素材料セグメント及び空気セグメント、複数の有色素材料等)を含む場合、画像アイコン素子の犠牲パターンと固定配列との相互作用は、カラー「ブロック」を、犠牲配列を通して観察可能であろうカラーブロックよりも小さくする役割を果たす。カラーブロックの大きさは、犠牲及び固定配列の互いからの回転角度(α)の大きさに依存する。色の切り替えがより早く又はより滑らかな方がより刺激的で魅力的である。
【0112】
図3~9は、光学セキュリティ装置を形成するために使用される第1の中間セキュリティ装置を形成する方法の実施形態を示す。図3は、永久又は固定集束素子配列が追加される前及び任意の有色素材料が画像アイコン素子に組み込まれる前の第1の中間セキュリティ装置の断面側面図であり、概して符号14で示している。第1の中間セキュリティ装置14は、基本的に、
(a)集束素子12の犠牲配列と、
(b)(周囲の固体領域20によって境界が付けられた空隙18を有する)画像アイコン素子を有する微細構造層16(別の実施形態では、固体領域20は、周囲の空隙領域18によって境界が付けられるポスト又はメサを構成する)と、
(c)一方の側に、集束素子12の犠牲配列が配置され、他方の側には、微細構造層16が配置される第1のフィルム又は光学スペーサ22を備える。
【0113】
画像アイコン素子(18,20)の層16は、実質的に透明、半透明又はクリアな放射線硬化性樹脂からなる透明、半透明又はクリアな層を含む。1つの意図される実施形態において、この微細構造層を、後続の工程段階において第1のフィルム22からの除去を容易にする製剤を使用して調製するか、又は第1のフィルム22上に配列されたプライマ層上に塗布する。
【0114】
さらなる実施形態では、本明細書に記載の実施形態は、さらに第1のフィルム22等のスペーサ層を設けること、及び放射線硬化性材料層を対向する側に配置することが必要であると考えられる。レンズ型の一方の側を材料に当てて、レンズを形成し、次いで、このレンズを硬化させて、集束素子の配列を形成し、他方の側にはアイコン型を当てて、他方の側に微細構造(即ち、空隙、ポスト又はそれらの組み合わせ)を形成する。次いで、成形材料層を硬化させて、微細構造層を形成する。
【0115】
図4は、中間光学セキュリティ装置及び最終的には光学セキュリティ装置を製造する方法にさらなる工程で得られる第2の中間セキュリティ装置の断面側面図を示す。したがって、図4の実施形態は、図3の空隙18をコントラスト材料24(例えば、第1の有色素材料)で充填することから得られる。コントラスト材料24は、次に、集束素子12の犠牲配列を通る法線角度(第1の硬化角度)で指向的に硬化される。指向的硬化は、入射光線28が、空隙18内に配置されたコントラスト材料24の標的セグメントに当たるように、集束素子12の犠牲配列を通る法線の角度で入射光28を照射することによって表される。各集束素子は、そのそれぞれの入射光を、集束素子焦点の近くにある空隙18内のコントラスト材料24の部分が硬化するように、画像アイコン素子上に集束させる。
【0116】
次いで、未硬化(即ち、空の領域)のままであるコントラスト材料24の領域を除去し(例えば、洗い流す)、別の中間光学セキュリティ装置を残す。この他の中間光学セキュリティ装置は、図5に最もわかりやすく示されており、ここでは、この中間光学セキュリティ装置は、一方側に配置された集束素子12の犠牲配列を有する第1のフィルム22と、反対側に配列された微細構造層16とを有する。画像アイコン素子18の層16は、画像アイコン素子におけるコントラスト材料セグメント30の第1の硬化パターンを生成するように、指向的に硬化され、それによって、集束素子12の犠牲配列を通して視認する場合、少なくとも第1の硬化角度から視認すると、画像アイコン素子の犠牲パターンを観察することになる。画像アイコン素子は、空隙18を含み、空隙18内の画像アイコン素子30の第1の硬化パターン及び空隙18内の空の空間(即ち、再生された空隙)18’は、未硬化のコントラスト材料が除去される。
【0117】
さらなる方法ステップは、図6に示すように、さらなる中間生成物を生成する。この中間生成物は、空隙内の空の空間の少なくとも一部を、好ましくは第1の有色素材料とは別個の有色素材料である別のコントラスト材料32で充填する工程から得られる。別のコントラスト材料32の全て又は一部は、第1の硬化角度28とは異なる第2の硬化角度34で指向的に硬化される。ここで、コントラスト材料32は、平行光を第2の硬化角度34で集束素子12の犠牲配列を通して配向することによって指向的に硬化され、第2の硬化角度34で集束素子12の犠牲配列を通して微細構造層16を視認する者が第2の有色素材料32(第2の硬化パターン)を観察できるように第2の硬化パターンを形成する。図4及び図6の両方の指向的硬化工程は、平行光によるものであることができることを理解されたい。集束素子12の犠牲配列を通して微細構造層16を視認すると、第1の硬化角度(法線)28から視認したときに第1の有色素材料30(第1の硬化パターン)から形成され、第2の硬化角度34から視認して第2の有色素材料32(第2の硬化パターン)から形成される犠牲合成画像(複数可)(図示せず)が生成される。
【0118】
さらなる実施形態では、第2の指向的硬化工程の後に残る未硬化の有色素材料は、いずれも除去される。これは、さらなる中間生成物が断面側面図で示されている図7に最もよく示されている。この中間生成物は、第1のフィルム22と、第1のフィルム22の片側に配置された集束素子12の犠牲配列と、反対側に配置された微細構造層16とを含む。画像アイコン素子は、空隙18と、空隙18内に配置された画像アイコン素子30の第1の硬化パターンと、空隙18内に配置された画像アイコン素子32の第2の硬化パターンと、空隙18内の空領域(即ち、再形成された空隙)18’を含む。
【0119】
別の実施形態では、さらなる中間生成物は、微細構造層16内への第3のコントラスト材料38の組み込みをもたらすさらなる方法工程の後に生成される。これは、図8の断面側面図を用いて最もわかりやすく示されている。第3のコントラスト材料は、コリメートされていない(散乱された)光40を使用して硬化する。その結果、集束素子による効果的な集束はなく、アイコン層全体が露出する。事実上、これにより、第3の有色素材料38の全てが確実に硬化される。これにより、図9の断面側面図に示すように、画像アイコン素子30、32、38の3つの硬化パターンを含むさらなる中間生成物が生成される。犠牲合成画像は、犠牲集束素子を通る法線角度から視認したときの第1の有色素材料30(第1の硬化パターン)と、第2の硬化角度から視認したときの第2の有色素材料32(第2の硬化パターン)と、第1の硬化角度ではない第2の硬化角度から視認したときの第3の有色素材料38(第3の硬化パターン)とから構成される。
【0120】
一実施形態では、本明細書で説明される実施形態は、1又は複数の空アイコン空間を有する中間生成物を形成することをさらに含む。これを達成するために、非有色素コントラスト材料は、空隙又は再形成された空隙内に配置される。これらの非有色素材料は、レーザ光を吸収しないように設計され、有色素材料を硬化させるために使用される角度以外の角度で硬化される。このような空のアイコン空間の利点は、以下の通りである。1又は複数のレーザマーキング可能層が光学装置の下に配列され、非有色素材料(複数可)が、レーザ彫刻装置が静的2D画像を書き込むのに使用するのと同じ角度で指向的に硬化されるとき、レーザエネルギーは、少量のレーザエネルギーが吸収されることにより光学装置を通過することができ、光学装置を通して優れたレーザ彫刻が提供される。
【0121】
上記の実施形態に従って調製された微細構造層は、図9に示され、参照番号42が記されている。この場合には、画像アイコン素子30、32、38の3つの異なる硬化パターンが存在し、そのうちの2つ(30,32)が指向的に硬化した。
【0122】
微細構造層42が調製されると、集束素子46の固定配列は、本明細書に記載される例示的な技法のいずれかによって追加される。第1の技法では、図10A、10B、又は20A、20Bに最もよく示されるように、微細構造層42は、第1のフィルム又は光学スペーサ22から分離される(図10A)。第2のフィルム又は光学スペーサ48の上面に形成された集束素子46の固定配列は、微細構造層42と、好ましくはその上に積層されている(図10B)。集束素子12の犠牲配列及び第1のフィルム22は、廃棄されてもよい。第2の技術(図示せず)では、微細構造層は、後続の工程で第1のフィルムから容易に除去することができる配合物を使用して調製されるか、又は第1のフィルム上に配列されたプライマ層上に塗布される。第2のフィルムの上面に集束素子を永久的に又は固定的に配列した後、第2のフィルムの下面に放射線(例えばUV)硬化性層を添加する(硬化させない)。微細構造層42(第1のフィルム22及び集束素子12の犠牲配列と共に)は、この放射線硬化性層に対して配列され、層は硬化され、微細構造層42は第2のフィルム48に接着され、その後、第1のフィルム22及び集束素子12の犠牲配列は除去され、廃棄される。放射線硬化性層は、感圧接着剤、又は熱硬化層であってもよい。
【0123】
第3の技術では、図11A~Cに最もわかりやすく示されるように、液体ポリマー50は、犠牲集束素子配列12(図11A)の上部に塗布され、型52は、永久又は固定集束素子配列46(図11B図11C)を形成するために使用される。図11Cに最もよく示されているように、集束素子12の犠牲配列は、第1のフィルム22の一部として一体化され、第1のフィルムは光学スペーサを構成する。集束素子の固定配列46及び集束素子12の犠牲配列は、同じ又は非常に類似した屈折率を有する材料から形成されてもよい。もしそれらが同じ屈折率であれば、屈折率は変化しないので、光は屈折に対する界面としてもはや見えないので、犠牲集束素子配列の上面から生じる屈折は存在しない。屈折率があまり近くない場合には、永久又は固定集束素子配列の表面からだけではなく、両方の表面からモアレパターンを得ることになる。
【0124】
集束素子の犠牲配列が集積によって除去される場合、本発明者らは、この追加された厚さは、通常使用されるものよりも光学スペーサとして薄い(例えば20μm)フィルムから開始することによって、軽減できることがわかった。例えば、一実施形態では、光学スペーサは、5μm~約20μm、より好ましくは、約10μm~約15μmの範囲の厚さまで薄くする。もちろん、集束素子の曲率、集束素子の屈折率及び任意の封止層(複数可)の影響を考えに入れることも考慮するべきである。
【0125】
集束素子12の犠牲配列を用いて指向的硬化を行う場合、仮封止材料(溶剤)は、最終集束素子配列及び封止層(複数可)と比較して屈折率の差が大きいので、犠牲集束素子配列/封止層(複数可)の焦点距離は短く、従って指向的硬化中は焦点が合っている。次いで、加熱又は他の手段を適用して、溶剤を除去する。そして、永久又は固定集束素子配列46は、犠牲集束素子配列の頂面で屈折するための界面が存在しないように(任意選択で埋め込み層とともに)追加する。
【0126】
一実施形態では、集束素子の犠牲配列を組み込みによって除去する場合、集束素子の犠牲配列を形成するために使用する材料と、集束素子の固定配列を形成するために使用する材料との間に界面が形成される。本発明者らは、驚くべきことに認識可能な界面を有することにより、セキュリティ装置のさらなる認証を可能にする法医学的特徴を提供することを見出した。
【0127】
次に図12を参照すると、第1の硬化角度から本発明の光学装置を視認している観察者(上記方法の1つに従って形成され、参照番号100で印されている)には、硬化した第1の有色素材料30に関連する合成画像(複数可)が見える。図12図13において、観察者は、装置から「非常に遠く離れている」ので、図12における集束素子の各々に対する観察者の有効角度が、例えば、第1の硬化角度と等価となる。硬化した第1の有色素材料30に関連付けられた合成画像(複数可)は、第1の硬化角度からのみ視認できる。
【0128】
図12に示される光学セキュリティ装置の一実施形態では、装置は、光学スペーサの上に配置された集束素子の固定配列を含む。光学スペーサの一側には、固定配列とは反対側に、画像アイコン素子の配列が配置されている。法線の角度から装置を視認している観察者は、集束素子の倍率と協働して、その法線角度で硬化したコントラスト材料からなる合成画像を生成することを視認したとき、画像アイコン素子の硬化パターンを観察できるであろう。観察者の視点が他の硬化角度に変化すると、画像アイコン素子のさらなる硬化パターンが観察可能となり、集束素子の固定配列と協働して観察者の視点に対応する硬化角度で硬化したコントラスト材料からなる合成画像を生成する。図13は、少なくとも3つの硬化角度を使用して3つの別個のコントラスト材料を硬化させる実施形態を提供する。観察者の視点が1つの硬化角度から別の硬化角度へ変化するとき、彼は、その硬化/視野角で硬化したコントラスト材料に対応する画像アイコンの硬化パターンを観察する。これは、図13及び図14の両図によってさらに説明している。観察者の視点は図13の第2のコントラスト材料32に対応する硬化角度に変更され、次に、図14の第3のコントラスト材料38に対応する硬化/観察角度に再び変化することが示されている。硬化角度に対応する各視野角において、観察者は、硬化角度で硬化したコントラスト材料からなる画像アイコン素子の硬化パターンが見える。
【0129】
種々のコントラスト材料を指向的硬化することによって、本発明者らは、驚くべきことに、1つのコントラスト材料から別の材料へのより滑らかな又はより速い色遷移を示す光学セキュリティ装置を製造することができた。観察者の視点は、様々な硬化角度にわたって変化するので、観察者は、少なくとも硬化角度に対応しない角度で、複数のコントラスト材料の組み合わせを観察することになる。複数のコントラスト材料のこの組み合わせは、コントラスト材料の非常に大きなブロックである間の移行がより滑らかになる。これは、図15で最もわかりやすく示しており、観察者は様々な角度で複数のコントラスト材料を見ている。複数のコントラスト材料を含むこれらの合成画像は、(1)コントラスト材料を硬化させるために使用される集束素子の犠牲配列と、(2)画像アイコン素子の配列を視認するために使用される固定配列と、の間の不整合によるものである。
【0130】
例えば、図12~13において、観察者は、装置から「非常に遠く離れている」ので、図12における集束素子の各々に対する観察者の有効角度が、例えば、第1の硬化角度と等価となっている。硬化した第1の有色素材料30に関連付けられた合成画像(複数可)は、第1の硬化角度からのみ視認できる。
【0131】
図15は、光学セキュリティ装置の例示的な実施形態54の上部平面図である。本明細書で述べたように、画像アイコン素子の配列を指向的に硬化することにより、光学セキュリティ装置によって生成される合成画像の色は、観察者が視点を1つの硬化角度から別の硬化角度へ変化させるときに変化する。興味深いことに、集束素子の固定配列は、画像アイコンの硬化パターンと位置合わせされないので、合成画像の色は、複数のコントラスト材料で構成される。図15は、観察者1が複数のコントラスト材料のブレンドを有する合成画像を観察し、観察者2が複数のコントラスト材料の異なるブレンドを有する合成画像を観察するというこの概念を示す。
【0132】
図16は、本発明の光学セキュリティ装置の別の例示的な実施形態56の断面図である。本明細書で述べたように、本発明は、集束素子の犠牲配列における集束素子58のサイズが、アレイ全体にわたって変化する実施形態を考える。好ましくは制御されたパターンで、これらの集束素子のサイズを変化させることにより、指向的硬化から生成される画像アイコン素子の硬化パターンも変化させることができる。図16に示すように、画像アイコン素子は、集束素子の犠牲配列におけるこの変動性を通して、このように修正し、パターン化することができる。
【0133】
また、画像アイコン素子は、集束素子の犠牲配列の焦点距離を調整することによってパターン化することができるようにすることも考えられる。例えば、図17では、「遠見」の実施形態60が示されており、例えばローリングバー合成画像を形成するために使用される画像アイコン素子をより広い硬化角度範囲を使用することにより広くする。
【0134】
指向的硬化が適用される複数の角度が存在し得ることも本発明の範囲内であることが意図される。図18は、指向的硬化が約45度及び約135度で起こる実施形態62を示す。その結果、画像アイコン素子の配列において生成されるパターンは、2つの別個の硬化角度に起因する(及び、視認可能である)。
【0135】
図19A及び図19Bに示す一実施形態64では、集束素子の犠牲配列は、集束素子の固定配列の周期の2倍の周期を有する。この「ダブルアップ」の実施形態は、合成画像(例えば、ローリングバー)をより速く移動させるためのパターンを2倍にするか、又は集束素子の固定配列を用いてより速い色制御パターンを生成する。
【0136】
図20A及び図20Bにおいて、集束素子12の犠牲配列(及び第1のフィルム22)と集束素子46の固定配列(及び第2のフィルム48)は、微細構造層42の対向する側に位置している。プライマ又は放出層64は、第1のフィルム22と微細構造層42との間に位置し、一方で、接着層66は、微細構造層42と第2のフィルム48との間に位置する。硬化は、(i)集束素子の犠牲配列、(ii)集束素子の犠牲配列、次に、(iii)集束素子の固定配列、及び次に、集束素子の犠牲配列を介して行われ得る。そして、集束素子12の犠牲配列及び第1のフィルム22の犠牲配列は、残りの組立体から分離され、本発明のセキュリティ装置を形成する。
【0137】
さらなる態様では、本発明では、認証手段として、光学セキュリティ装置又はその中間生成物を使用する。本発明の光学セキュリティ装置は、認証目的で、任意の紙幣、安全文書、又は製品とともに様々な異なる形態(例えば、ストリップ、パッチ、セキュリティスレッド、プランシェット)で利用することができる。紙幣及び安全文書の場合、これらの材料は典型的にはストリップ、パッチ又はスレッドの形態で使用され、紙幣又は文書内に部分的に埋め込むことができ、或いはその表面に塗布することができる。パスポート又は他のID文書の場合、これらの材料は、その表面に完全な積層体として又は嵌め込んで使用することができる。製品包装では、これらの材料は典型的にはラベル、シール又はテープの形態で使用され、その表面に塗布する。上述したように、1つの例示的な実施形態では、光学デバイスは、ポリマーIDカード内に埋め込まれたパッチの形態である。
【0138】
本発明の様々な実施形態を上記で説明したが、それらは単なる例として提示されたものであり、限定するものではないことを理解されたい。したがって、本発明の幅及び範囲は、特許請求の範囲で指定されない限り、例示的な実施形態のいずれかによって限定されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20A
図20B