(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】閉止装置、バルブユニットおよび容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/20 20060101AFI20221108BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20221108BHJP
B67D 3/04 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
B65D47/20 110
B65D77/04 B
B67D3/04 Z
(21)【出願番号】P 2019568251
(86)(22)【出願日】2018-06-05
(86)【国際出願番号】 IT2018050103
(87)【国際公開番号】W WO2018225110
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-03-24
(31)【優先権主張番号】102017000061470
(32)【優先日】2017-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519433986
【氏名又は名称】コビ、エマヌエラ
【氏名又は名称原語表記】COVI,Emanuela
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】コビ、エマヌエラ
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0116356(US,A1)
【文献】国際公開第92/000231(WO,A1)
【文献】特開平09-165096(JP,A)
【文献】特表2013-529762(JP,A)
【文献】特表2014-520042(JP,A)
【文献】特許第4804627(JP,B2)
【文献】中国特許出願公開第108178118(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/20
B65D 47/24
B65D 77/04
B67D 1/04
B67D 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体のための容器(10)のための閉止装置
(16)であって、
前記流体
を前記容器(10)に出入りさせるための通過孔(54)
を有するサポート要素(52)とボディー(56)とを備えるバルブユニット(50)であって、前記ボディー(56)は、
前記通過孔(54)に係合するように配置されているシャッター手段(58)を備え、前記バルブユニット(50)の少なくとも閉じた形態(C)と開いた形態(A)とを択一的に形成するように前記通過孔(54)に対して移動可能であり、
前記シャッター手段(58)と前記通過孔(54)とは少なくとも部分的に相補的な形状を有し、前記ボディー(56)は、前記ボディー(56)を伸長位置(E)と圧縮位置(D)との間で弾性的に変形させるよう前記シャッター手段と一体に一体化されている弾性手段(60)をさらに備え、前記伸長位置(E)では、前記シャッター手段(58)が前記通過孔(54)を
少なくとも部分的に相補的であるように閉じ、前記圧縮位置では、前記シャッター手段(58)が前記通過孔(54)から離間している、バルブユニットと、
前記容器(10)の開口部を閉じるように配置されている蓋(82)であって、前記バルブユニット(50)と前記蓋(82)との間の接続を可能にするよう前記
サポート要素(52)の取付手段(78)に係合するように配置されている保持手段(84)を備える蓋(82)と、を備
え、
前記ボディー(56)は、前記ボディー(56)と前記サポート要素(52)とが互いに繋ぎ合わされるように、かつ、前記弾性手段(60)が前記圧縮位置(D)にあるときに前記サポート要素(52)が前記蓋(82)から離れるよう移動するように、前記ボディー(56)を前記サポート要素(52)に接続する接続手段(66)を備える、閉止装置。
【請求項2】
前記蓋(82)は、前記開口部に対して反対の部分から離れる方を向いており流体送出装置(90)の一部(94)を受けるように構成されているキャビティ(86)を形成しており、前記蓋(82)は、前記キャビティ(86)を塵埃および不純物から保護するように前記キャビティ(86)を閉じるキャップ(88)を備える、請求項1に記載の閉止装置。
【請求項3】
前記蓋(82)が前記容器(10)に螺合されることが可能であるように、前記蓋(82)は、前記容器(10)の外側に設けられたそれぞれのねじ部(23)に係合するねじ部(33)を備える、請求項1または2に記載の閉止装置。
【請求項4】
前記保持手段は、環状の窪み部(84)として構成されており、前記取付手段は、圧力下において前記環状の窪み部(84)の内部に挿入されることが可能である環状凸部(80)として構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の閉止装置。
【請求項5】
流体のための容器(10)の閉止装置(16)に係合可能なバルブユニット
(50)であって、
流体のための容器(10)の閉止装置(16)に取り付けられるように配置されており、少なくとも、流体がそれを通じて前記容器(10)に出入りすることが可能である通過孔(54)を備える、サポート要素(52)と、
前記通過孔(54)を選択的に閉じるべく前記通過孔(54)に係合するように配置されているシャッター手段(58)を備えるボディー(56)であって、
前記シャッター手段(58)と前記通過孔(54)とが少なくとも部分的に相補的な形状を有し、前記ボディー(56)は、少なくとも前記バルブユニット(50)の閉じた形態(C)と前記バルブユニット(50)の開いた形態(A)とを形成するように前記通過孔(54)に対して移動可能であり、前記閉じた形態(C)では、前記シャッター手段(58)が前記通過孔(54)を通じる前記流体の通過を防ぐように前記通過孔(54)に
少なくとも部分的に相補的であるように係合し、前記開いた形態(A)では、前記シャッター手段(58)が前記通過孔(54)を通じる前記流体の通過を可能とするように前記通過孔(54)から離間する、ボディー(56)と、を備え、
前記ボディー(56)は、前記ボディー(56)を伸長位置(E)と圧縮位置(D)との間で弾性的に変形させるよう前記シャッター手段(58)と一体に一体化されている弾性手段(60)を備え、前記伸長位置(E)では、前記バルブユニット(50)は前記閉じた形態(C)であり、前記圧縮位置(D)では、前記バルブユニット(50)は開いた形態(A)であ
り、
前記サポート要素(52)は、前記サポート要素(52)を前記閉止装置(16)に取り付けることを可能にする取付手段(78)を備え、
前記ボディー(56)は、前記ボディー(56)と前記サポート要素(52)とが互いに繋ぎ合わされて固まって移動することが可能であるように、かつ、前記弾性手段(60)が前記圧縮位置(D)にあるときに前記サポート要素(52)が前記閉止装置(16)から離れるよう移動するように、前記ボディー(56)を前記サポート要素(52)に接続する接続手段(66)を備える、バルブユニット。
【請求項6】
前記接続手段(66)は、前記シャッター手段(58)および前記弾性手段(60)とともに一体に一体化されている、請求項
5のバルブユニット。
【請求項7】
前記サポート要素(52)は、シールされるように前記容器(10)の上縁部(29)と係合するべく配置されているシール部(72)を備える、請求項5
または6に記載のバルブユニット。
【請求項8】
前記サポート要素(52)および前記ボディー(56)は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)など、プラスチック材料製である、請求項5~
7のいずれか一項に記載のバルブユニット。
【請求項9】
外部ケグ(12)と、前記外部ケグ(12)の内部に配置されており、流体を収容することに適した内部バッグ(14)とを備える、流体のための容器(10)であって、請求項1~4のいずれか一項に記載の閉止装置(16)を備える容器。
【請求項10】
前記容器(10)および前記閉止装置(16)は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)など、プラスチック材料製である、請求項
9に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体(例えば飲料など)のための容器に出入りする流体の流れを制御および管理するためのバルブユニットに関する。また、本発明は、本発明によるバルブユニットを備える閉止装置および容器に関する。
【背景技術】
【0002】
流体の流れを制御および調節するためのバルブユニットは、従来技術においてよく知られている。そうしたバルブユニットの使用は、定められた使用条件下での流体の通過を選択的に可能にしたり防いだりすることが必要な多くの方面および多くの用途に広がっている。
送出工程中に飲料が出ることを可能にするとともに、飲料の送出が必要とされていないときにはシールされるように容器を閉じることを可能にする、バルブと閉止装置とを備える流体のための(特に飲料のための)容器も知られている。
【0003】
バルブは、典型的には、流体の通過のための孔を閉じるために、その孔に対して蔓巻ばねによって押されたままとなるシャッターを備える。流体の通過を可能にすることが必要である場合、シャッターは孔から離間する。このシャッターの動きは、例えば、スラスト要素の作動によって得ることが可能である。バルブの正確な制御および機能に必要な他の既知の構成要素(例えば、シール要素、蔓巻ばねが共振することを防ぐ制動要素など)は、シャッターおよびばねに係合可能である。
【0004】
また、既知のバルブは、典型的には、時には到達するのに不便なことがある非常に小さいサイズの専用の台座に配置されることも考慮される。
その上、多くの飲料容器は、(例えば、液体を出すために)圧搾空気を使用するように用意されているので、既知のタイプのバルブおよび閉止装置では、別個の回路、すなわち、圧搾空気の循環のための1つの回路と飲料の流出のための別の回路とを提供する必要がある。
【0005】
このタイプのバルブユニット(および対応する閉止装置)が様々な回路を形成するために必要な多数の要素を備え得ることは明らかである。
既知の解決策の1つの欠点は、したがって、バルブユニットが構造的に非常に複雑だということである。
【0006】
別の欠点は、容器にバルブユニットを組み付けたり、容器からバルブユニットを取り外したりするために必要な操作は、シールを保証するには時間が掛かり困難なことである。
飲料容器のための閉止装置に係合するバルブに関する従来技術において知られている解決策の例は、様々な先行技術の特許文献に述べられている。それらの特許文献のうちのいくつかについて以下において簡潔に言及する。
【0007】
特許文献1には、既知のタイプの飲料容器のためのバルブユニットについて記載されている。この解決策は、スペーサーに接続されている円筒形の要素の内部にシャッターと該シャッターに作用するばねとが収容される、非常に複雑な構成を提供する。この円筒形の要素は、次いで、ガイドネックの内部を滑動可能であり、ガイドネックから中空空間によって離間している。つまり、ガイドネックは、容器の蓋に接続されている。このような解決策は、使用中に互いに協働する必要がある多くの異なる要素を備え、それによって故障のリスクを増加させるので、上述した欠点の全てを伴いがちである。さらに、1つの要素(例えば、ばね)が壊れる場合、長いメンテナンスの手間が必要である。その上、バルブユニットは、収容されている液体の中へ構成要素を開放することに関連する問題を伴う金属構成要素を収容する。本明細書に記載されるバルブユニットは、互いに対して移動可能である数多くの部品を備えるので、製造するには確実に高い費用がかかる。それらの部品は、良好な表面仕上げを維持するために、適切な処理によって作られる必要がある。その上、それらが正確に機能するために、前記構成要素はメンテナンスを受ける必要がある。
【0008】
従来技術において知られている炭酸飲料のための容器の別の例は、特許文献2に記載されている。この技術的な解決策では、シャッター-ばね組立体は、容器の開口部に接続されている円筒形のボディーに収容されている。一方の側において、ドラフトパイプが円筒形のボディーに対し接続され、液体のためのタンクの底に到達している。他方の側において、そのボディーの内部では、ばねの作用とは対照的にシャッターを押すピンの端が受けられる。このピンは、レバーを駆動することによって使用者によって動かされることが可能である、エルボ状要素に対し接続されている。エルボ状要素の動きは、シャッターを動かし、バルブの開閉を引き起こす。
【0009】
この場合もまた、バルブを構成する多数の構成要素を認めることが可能であり、それによって費用の問題が引き起こされる。この解決策の1つの欠点は、使用中、炭酸飲料の流出が1つ以上の要素(例えば、取り外し可能なドラフトパイプ)の故障を引き起こすので、容易に故障し得ることである。
【0010】
その上、この容器は全体として、扱いにくく、複雑で、また高価である。
液体のための容器に関する、従来技術において知られている別の解決策は、特許文献3に記載されている。特許文献3では、2つの異なるバルブ(液体を出すのに必要な圧搾空気が入るための一方のバルブと、送出を制御するための他方のバルブと)を備える、バルブユニットについて記載されている。それらのバルブは、互いに異なる構造を有するが、両方とも非常に複雑であり、したがって、製造には高い費用が掛かり、組み立てることが困難であり、メンテナンスを必要とし、また全ての対応する費用を伴うという事実を共通に有する。
【0011】
また、2つの異なるバルブ(圧搾空気の通過を調節するための一方のバルブと、飲料の流れを調節するための他方のバルブと)を提供する別の解決策が、特許文献4に記載されている。この2つのバルブは互いに対して隣接しておらず、飲料容器の両端に配置される。
【0012】
飲料容器のためのバルブの他の例が、特許文献5-7に記載されている。3つ場合全てにおいて、それらのバルブは多数の要素を備える非常に複雑なバルブである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】国際公開第00/03944号
【文献】国際公開第2004/101424号
【文献】欧州特許出願公開第0389191号明細書
【文献】国際公開第2014/081294号
【文献】国際公開第94/06703号
【文献】英国特許出願公告第914091号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0061085号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の1つの目的は、従来技術において知られているものに対して改良されたバルブユニットを利用可能にすることである。
本発明の別の目的は、従来技術において現在構成されているものに対して、改善された流体のための閉止装置および容器を利用可能にすることである。
【0015】
本発明の別の目的は、製造が単純であり、その製造と管理との両方において経済的であるバルブユニットを提供することである。
別の目的は、極めて限られた数の構成要素しか有さず、したがって、洗浄および殺菌の手間を単純化するバルブユニットと閉止装置を提供することである。
【0016】
別の目的は、容器に対して簡単かつ速やかに着脱可能な閉止装置を提供することである。
別の目的は、食品用途に適切であるとともに金属部品を有しないバルブユニットと閉止装置とを提供することである。
【0017】
別の目的は、単純な構造と構成要素の数の低減とを維持しながらも、加圧ガス(圧搾空気)と液体(飲料)との通過のための2つの別個の回路を形成することを可能にする、バルブユニットと閉止装置とを提供することである。
【0018】
別の目的は、既に市場において入手可能な解決策を変更するまたは適合させる必要なく、既知の飲料送出手段とともに動作することが可能な閉止装置を有する飲料容器を利用可能にすることである。
【0019】
別の目的は、容器を再び飲料で満たす必要がある場合、使用前後の容器の内部洗浄を簡単にすることを可能にする開口部を有する容器を利用可能にすることである。
出願人は、従来技術の欠点を克服するため、また、これらおよび他の目的と利点とを得るために本発明を着想し、検証し、具体化した。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は独立請求項に記載され特徴付けられる一方、従属項では、本発明の他の特徴またはその主要な発明思想に対する変形について記載されている。
本発明によって、流体(特に、飲料)のための容器のための閉止装置が提供される。該閉止装置は、流体のための通過孔とボディーとを備えるバルブユニットを備える。ボディーはシャッター手段を備え、少なくとも、シャッター手段が通過孔を閉じる閉じた形態と、シャッター手段が通過孔から離間されている開いた形態とを択一的に形成するように、通過孔に対して移動可能である。本発明による閉止装置はまた、容器の開口部を閉じるように配置されており保持手段を備える蓋を備える。保持手段は、バルブユニットと蓋との間の接続を可能にするようにバルブユニットの取付手段に係合するように配置されている。
【0021】
本発明による閉止装置に係合可能なバルブユニットの1つの特色は、ボディーを伸長位置(シャッター手段が通過孔を閉じる)と圧縮位置(シャッター手段が通過孔から離間されている)との間で弾性的に変形させるようにシャッター手段と一体に一体化されている弾性手段を、ボディーが備えることである。
【0022】
本発明による閉止装置の1つの利点は、従来技術において知られているものに対して、相当単純化された構造を有することであり、それによって、バルブユニットと蓋との間の係合および切断を迅速にかつ簡単に行うことを可能とする。
【0023】
本発明によると、流体のための容器の閉止装置に接続可能なサポート要素を備えるバルブユニットもまた提供される。サポート要素は、流体がそれを通じて前記容器の中に入ったり前記容器から出たりする通過孔を備える。
【0024】
本発明によるバルブユニットは、通過孔を選択的に閉じるように該通過孔に係合するシャッター手段を備えるボディーをまた備える。ボディーは、少なくとも、バルブユニットの閉じた形態と開いた形態とを形成するように通過孔に対して移動可能である。閉じた形態においては、シャッター手段は、通過孔を通る流体の流れを防ぐように通過孔に係合する。開いた形態においては、シャッター手段は、通過孔から離間されており、流体が通過孔を通って流れることを可能にする。
【0025】
本発明によると、バルブユニットは、シャッター手段と一体に一体化されている弾性手段を備える。弾性手段は、ボディー56を、伸長位置すなわち変形していない位置(バルブユニットが閉じた形態である)と圧縮位置すなわち変形した位置(バルブユニットが開いた位置である)との間において、弾性的に変形させることを可能にする。
【0026】
この形態によって、バルブユニットは、通過孔のシャッター機能と弾性変形の可能性との両方を一体とする単一の移動可能な要素を備える。
このことは、従来技術における既知の解決策と比べて、シャッターに作用する蔓巻ばねを除去することが可能であるという利点を有する。当業者には、この技術的解決策は、バルブユニットを構造的に大いに単純化し、したがって、組立および取外しを大いに容易にかつ迅速にすることを可能にするので非常に有利であると、直ちに理解されるであろう。さらに、本発明の別の利点は、バルブユニットが製作するのにより経済的であることである。
【0027】
さらに、蔓巻ばねの除去は、蔓巻ばねは破損および故障(例えば、損耗による亀裂のため)を容易に生じやすい精密な要素であるので、バルブユニットをより安全であり、より信頼性の高いものにする。
【0028】
本発明によるボディーは、また、ボディーとサポート要素との間の(特に、機械的なタイプの接続を作るための)接続手段を備える。このようにして、ボディーとサポート要素とが繋ぎ合わされるとともに固まって移動することが可能である。
【0029】
一実施形態においては、接続手段は、シャッター手段および弾性手段とともに一体に一体化されることが可能である。
この形態は、可能な限りにおいて最少の数のバルブユニットの構成要素しか有しないので、有利である。
【0030】
一実施形態においては、サポート要素およびボディーは、同じ材料、特にプラスチック材料(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)など)から作られる。
一実施形態においては、サポート要素およびボディーは、閉止装置および容器が作られているのと同じ材料から作られる。例えば、それらは全てポリエチレンテレフタレート(PET)から(またはより一般的には他のタイプのプラスチック材料からも)作られることが可能である。
【0031】
この特徴の1つの利点は、バルブユニット、閉止装置、および容器を完全に再生利用可能にすることである。
別の利点は、このようにして、金属材料から作られている任意の構成要素が、バルブユニット、閉止装置、および容器から完全に除去されるという事実にある。これによって、人間が飲み込んだ場合に健康に有害になり得るイオンまたは粒子による飲料の任意の汚染の可能性が避けられる。
【0032】
この特徴の別の利点は、バルブユニット、閉止装置、および容器の構成要素を、金属材料から作られた同じ構成要素を加工するために必要な従来のチップ除去処理よりも経済的かつ便利である、加工プラスチック材料の分野における既知の技術(射出成型および延伸ブロー成型など)によって作ることが可能であることである。
【0033】
本発明による容器の別の利点は、容易に再使用されることが可能であることである。これは、容器および閉止装置が、容器の内部において洗浄操作を容易にかつ迅速に行うことを可能にする単純な構造を有するという事実による。この目的のために、洗浄操作中、容器を上下逆さまにし、その開口部を既知のタイプの洗浄装置(例えば、容器の内部向かって伸長し、洗浄液(例えば、水、または石鹸と水との混合物)が容器の内壁に対して噴霧されることが可能である複数のノズルを備える長尺状の要素を備える洗浄装置)に置けば十分であることが留意される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明によるバルブユニットを備える閉止装置を備える、流体のための容器の部分断面図。
【
図2】閉じた形態のバルブユニットを示す、
図1の拡大詳細図。
【
図3】閉じた形態により示す本発明によるバルブユニットとバルブユニットを備える閉止装置との断面図。
【
図4】開いた形態により示す本発明によるバルブユニットとバルブユニットを備える閉止装置との断面図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明のこれらのおよび他の特徴は、添付の図面を参照する非限定的な例として与えられる、いくつかの実施形態に関する以下の記述から明らかになるであろう。
理解を容易にするために、図面における同一の共通要素を識別するべく、可能な場合には、同じ参照符号が使用されている。一実施形態の要素および特徴は、さらなる説明なしに他の実施形態に簡便に組み込まれてよいことが理解される。
【0036】
ここで、その1つ以上の例を添付の図面に示している本発明の様々な実施形態について、詳細に説明する。各例は本発明の例示として供給されるものであり、本発明の限定として理解されるものではない。例えば、図示または記載されている特徴は、一実施形態の一部分である限り、別の実施形態を生じるように他の実施形態に対し、すなわち、他の実施形態に関連付けて、採用されることが可能である。本発明は、そのような変更または変形すべてを含むと理解される。
【0037】
図1を参照して、ここで、流体のための(特に、飲料のための)容器(参照符号10によって示されている)について述べる。容器10は、任意のタイプの飲料を収容可能であることが留意される。例えば、容器10は、炭酸飲料(例えば、ビールなど)を収容可能である。
【0038】
容器10は、外部ケグ12と内部バッグ14とを備える。内部バッグ14は、外部ケグ12の内部に配置されており、流体、すなわち、飲料を収容するのに適している。内部バッグ14は、飲料を内部に貯蔵するタンクを形成する可撓性容器である。内部バッグ14と外部ケグ12とは、中空空間13(
図3および
図4においてより理解される)によって分離されている。中空空間13は、例えば圧搾空気など、加圧ガスによって満たされるように配置されている。加圧ガスによって内部バッグ14は押し潰され、その結果、飲料が出る。圧搾空気が中空空間13に入ることを可能にするために、内部バッグ14は、1つ以上の貫通孔15(やはり
図3および
図4においてより理解される)を備える。外部ケグ12と内部バッグ14とによって形成される組立体は、閉止装置16(以下においてより詳細に述べられる)によって閉じられている。
【0039】
本発明によって、閉止装置16は、バルブユニット50(
図2-
図4においてより詳細に示す)を備える。
バルブユニット50は、少なくとも、1つの閉じた形態C(
図1-
図3に示す)と、開いた形態A(
図4に示す)とを択一的に取ることが可能である。閉じた形態Cにおいて、バルブユニット50は、内部バッグ14から飲料が漏れることがないように、シールされるよう容器10を閉じるように配置される。これに対して、開いた形態Aにおいて、バルブユニット50は、容器10の内部(特に、内部バッグ14)と外部との間の流体接続を可能にするように配置される。言い換えれば、容器10は開いており、飲料が送出されることが可能である。
【0040】
バルブユニット50は、閉止装置16に対し取り付けられるよう配置されているサポート要素52を備える。サポート要素52は、流体(すなわち、飲料)がそれを通じて容器10の中へ入ったり容器10から(より詳細には、その内部バッグ14から)出たりするために容器10を流れることが可能である、1つ以上の通過孔54(
図4においてよりよく見える)を備える。
【0041】
バルブユニット50は、ボディー56を備える。
ボディー56は、通過孔54を選択的に閉じるべく通過孔54に係合するように配置されているシャッター手段58を備える。
【0042】
ボディー56は、閉じた形態および開いた形態を択一的に形成するように通過孔54に対して移動可能である。閉じた形態Cにおいては、シャッター手段58は、飲料の通過を防ぐように通過孔54に係合する。開いた形態Aにおいては、シャッター手段58は通過孔54から離間しており、飲料の通過を可能にする。
【0043】
示されている実施形態において、シャッター手段58は、円筒形の形状のシャッター要素として構成されている。シャッター要素は、キャップの形状を有し、通過孔54に対して面するボディー56の第1端56Aに配置されている。
【0044】
他の実施形態においては、示していないが、シャッター手段58は、閉じた形態Cにおいて通過孔54を塞ぐことに適切である限り、添付の図面に示されているものとは異なる形状を有することが可能である。言い換えれば、シャッター手段58および通過孔54が少なくとも部分的に相補的な形状を有することで十分である。
【0045】
シール要素59はシャッター手段58に係合可能であること、例えば、エラストマー材料製のパッキンであることが留意される。
また、ボディー56は、シャッター手段58と一体に一体化される弾性手段60を備える。弾性手段60は、ボディー56を、変形していない位置すなわち伸長位置E(バルブユニット50が閉じた形態Cである)と、変形した位置すなわち圧縮位置D(バルブユニット50が開いた位置Aである)との間において、弾性的に変形させることを可能にする。
【0046】
示されている実施形態において、弾性手段60は、蔓巻ばねとして構成されている。蔓巻ばねは、ボディー56の壁64(例えば、概ね円筒形の)にらせん状の溝62を作ることによって得られる。
【0047】
一実施形態においては、サポート部52およびボディー56は同じ材料から作られる。特に、それらはプラスチック材料(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))から作られることが可能である。
【0048】
一実施形態においては、サポート要素52およびボディー56は、閉止装置16および/または容器10が作られているのと同じ材料から作られることが留意される。例えば、それらは全てプラスチック材料、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)から作られることが可能である。
【0049】
また、ボディー56は、ボディー56をサポート要素52に接続する接続手段66を備える。これによって、ボディー56とサポート要素52とが繋ぎ合わされるとともに、固まって移動することが可能である。
【0050】
一実施形態においては、接続手段66は、第1端56Aの反対であるボディー56の第2端56Bに対応して配置される。
一実施形態においては、接続手段66は、シャッター手段58および弾性手段60とともに一体に一体化されることが可能である。
【0051】
一実施形態においては、接続手段66は、機械的接続の手段によってボディー56をサポート要素52に接続するように配置される。この実施形態においては、接続手段66は、フィンとして構成可能である1つ以上の係合要素68を備える。この係合要素は、ボディー56と一体に作られる。各係合要素68は、サポート要素52上に作られた対応する台座70に受けられる。
【0052】
他の実施形態では、示していないが、接続手段66は、上述されたものとは異なるが技術的には全く同等である、機械的なタイプの他の接続を作ることが可能である。非限定的な例として、接続手段66は、ねじ接続、スナップイン接続、または干渉接続を作ることが可能である。
【0053】
他の実施形態においては、示されていないが、ボディー56とサポート要素52とは、他のタイプの接続(機械的なもの以外の)によって、例えば、溶接や接着などの不可逆的な接続手段によって、接続されることが可能である。
【0054】
また、サポート要素52は、シールするように容器10の内部上縁部29と係合する、例えば、環状リップのような形状を有する、シール部分72を備える。特に、内部上縁部29は、内部バッグ14の縁である。一実施形態においては、シール部分72は、内部バッグ14からの所望されない流体の漏れを防ぐように、上縁部29と接触するとともに上縁部29に対して押されるブロック74を備える。
【0055】
また、サポート要素52は、内部バッグ14の内部に突出する管状要素76を備える。係合要素68を受ける台座70は、管状要素76上に作られる。管状要素76によって、ボディー56が内部に受け入れられるチャンバーの側壁が実質的に形成される。
【0056】
さらに、サポート要素52は、サポート要素52を簡単にかつ迅速に閉止装置16に取り付けることを可能にする、取付手段78を備える。
一実施形態においては、取付手段78は、環状凸部80を備える。
【0057】
閉止装置16は、容器10の開口部を閉じる蓋82を備える。
一実施形態においては、蓋82は、容器10に螺合される。この目的のために、蓋82は、容器10の外側に(特に、外部ケグ12に)作られたそれぞれのねじ部23に係合するねじ部33を備える。
【0058】
さらに、蓋82は、バルブユニット50を蓋82に取り付けるために、取付手段78(すなわち、環状凸部80)を受けるように配置される環状凹部84を備える。環状凹部84の直径とそのサイズは、環状凸部80との相互の結合を可能にするようなものである。使用の際、バルブユニット50を閉止装置16に組み付けるには、圧力下において環状凹部84の内部に環状凸部80を挿入することで十分である。
【0059】
また、蓋82は、容器の開口部に対して反対の側から離れる方向を向いており
図4に示すように送出工程中に送出装置の一部を受ける、キャビティ86を形成する。
閉止装置16は、キャビティ86を閉じるストッパー88(
図1および
図3)を備える。ストッパー88は、衛生および清潔を保つために、キャビティ86を塵埃および不純物から保護する。
【0060】
本発明によるバルブユニット50の機能について、以下に簡潔に述べる。
容器10が流体(例えば、ビールなどの炭酸飲料)によって満たされると、容器10は、閉止装置16によって閉じられる。バルブユニット50は、
図1-
図3に示すように、閉じた形態Cにより配置される。
【0061】
飲料を送出することが所望される場合、ストッパー88は閉止装置16から除去され、送出装置90がキャビティ86の中へ挿入される。送出装置90は、従来技術において知られており市場において入手可能である従来の送出装置であってよいことが留意される。
【0062】
送出装置90は、それを通って容器10から出てくるビールが使用者による消費のための容器に届くことが可能である流出チャネル92を備える。送出装置90は、容器10から出るビールが使用者による消費のための容器にそれを通じて達することが可能である、流出チャネル92を備える。流出チャネル92は、通過孔54に面する。
【0063】
送出装置90は、通過孔54の内部に突入する端部94を備える。そのようにして、端部94は、シャッター手段58に接触し、シャッター手段58に圧力を加える。端部94の突き押す力によって、ボディー56は、バルブユニット50が
図4に示す開いた形態Aを取るように、圧縮位置すなわち変形した位置Dを取る。この形態において、飲料は容器10から出て、ボディー56を通じて(特に、らせん状の溝62を通じて)、また通過孔54を通じて、流出チャネル92に向かって連続して流れ、
図4において矢印Fによって示されている経路を辿る。
【0064】
送出装置90が突き押すことによってサポート要素52が変位することが留意される。サポート要素52の変位は、肩部(内部バッグ14の上縁部29によって形成されている)に当接すると終了する。次いで、送出装置90は、
図4に示されている移動終了位置へとサポート要素52を動かす。
【0065】
また、送出装置90は、2つの機能を有するシール手段96を備えることが可能である。第1に、シール手段96は、通過孔54と流出チャネル92との間を通過する時に飲料が容器10の外部に飛び散ることを防ぐ。第2に、シール手段96は、容器の内部から、また外部の環境からの両方から、圧搾空気の通過経路を隔離する。
【0066】
シール手段96は、したがって、端部94を外部から囲む第1のシール要素97(例えば、Oリング)を備える。第1のシール要素97は、したがって、容器10から出る飲料が流出チャネル92の外部へ飛び散ることを防ぐ。
【0067】
シール手段96は、また、圧力下の空気が外部環境に出ることを防ぐように配置されている第2のシール要素96を備える。
送出装置90は、加圧ガス(例えば、圧搾空気)を容器10に運ぶ、複数の供給パイプ100を備える。供給パイプ100は、キャビティ86に通じている。キャビティ86から、加圧ガスは、次いで、中空空間13に到達することが可能である。この目的のために、環状凸部80は、キャビティ86と中空空間13との間の経路にそれを通じて圧搾空気が流れる1つ以上の通過間隙(図示されていない)を備える必要がある。使用中、圧搾空気は、供給パイプ100を通過し、キャビティ86、環状凸部80を通過し、貫通孔15を通じて中空空間13に入る。この経路は、シールされるように第1および第2のシール要素97,98によって画定されることが留意される。
【0068】
本発明の領域および範囲から逸脱することなく、これまでに述べたバルブユニットおよび/または閉止装置および/または容器に対し、部品の変更および/または追加が行われる得ることは明らかである。
【0069】
また、本発明について、いくつかの特定の例に関して記載したが、しかしながら、特許請求の範囲に記載されており、したがって全て特許請求の範囲によって定義される保護の領域に含まれる特徴を有する、バルブユニットおよび/または閉止装置および/または容器の多数の他の均等形態が当業者によって確実に得られることも明らかである。