(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】人工芝のインフィル混合物
(51)【国際特許分類】
E01C 13/08 20060101AFI20221108BHJP
【FI】
E01C13/08
(21)【出願番号】P 2019572001
(86)(22)【出願日】2018-07-05
(86)【国際出願番号】 NL2018050441
(87)【国際公開番号】W WO2019009718
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-06-25
(32)【優先日】2017-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】503238939
【氏名又は名称】テン・ケイト・ティオロン・ビイ・ヴイ
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ハルメリング、フランシスコ・アントニウス・ロデビック
(72)【発明者】
【氏名】ビイェルス、バルト
(72)【発明者】
【氏名】ファン・デル・ガーク、フレデリック・ヤン
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-036264(JP,A)
【文献】特開2015-108248(JP,A)
【文献】国際公開第2016/190744(WO,A1)
【文献】特表2002-544410(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0308056(US,A1)
【文献】国際公開第2006/092337(WO,A1)
【文献】特表2004-501298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工芝システムのためのコルクベースのインフィル混合物であって、支配的な量のコルク粒子と、
前記コルク粒子の締固めを防止するために前記粒子間に散在
させた多量の滑らかな硬質顆粒とを備え
、前記コルク粒子が、異形を有し、前記顆粒の材料が、少なくともショアD40の硬度を有し、前記顆粒は摩擦係数が0.5未満の表面を有し、前記顆粒は前記コルク粒子の平均粒子サイズよりも大きい平均サイズを有する、コルクベースのインフィル混合物。
【請求項2】
前記コルク粒子が、0.5から3mmの間の平均サイズを有する、請求項1に記載のインフィル混合物。
【請求項3】
70体積%から50体積%の間のコルク粒子と、30体積%から49体積%の間の前記顆粒とを備える、請求項
1または2に記載のインフィル混合物。
【請求項4】
約60体積%のコルク粒子と、約40体積%の前記顆粒とを備える、請求項1~
3のいずれか1項に記載のインフィル混合物。
【請求項5】
前記顆粒が、実質的に球状の形状を有する、請求項1~
4のいずれか1項に記載のインフィル混合物。
【請求項6】
前記顆粒が
、熱可塑性材料を備える、請求項1~
5のいずれか1項に記載のインフィル混合物。
【請求項7】
前記顆粒が、発泡材料から作られている、請求項1~
6のいずれか1項に記載のインフィル混合物。
【請求項8】
前記顆粒が、0.1kg/リットルから0.5kg/リットルの
間の嵩密度を有する、請求項1~
7のいずれか1項に記載のインフィル混合物。
【請求項9】
前記顆粒が、1から5mmの
間の平均サイズを有する、請求項1~
8のいずれか1項に記載のインフィル混合物。
【請求項10】
前記顆粒の比重が、前記コルクの比重よりも少なくとも20%大きい、請求項1~
9のいずれか1項に記載のインフィル混合物。
【請求項11】
人工芝システムであって、
基体と前記基体から直立したパイル繊維とを備える、人工草層と、
前記基体上に配置され前記パイル繊維間に散在した、請求項1~
10のいずれか1項に記載のインフィル混合物を備える、インフィル層と
を備える、人工芝システム。
【請求項12】
前記インフィル層が、少なくとも10m
mの深さを有する、請求項
11に記載の人工芝システム。
【請求項13】
ボールバウンドの高さが、LisportXL試験の9000サイクル後に100cm未満である、請求項
11または
12に記載の人工芝システム。
【請求項14】
人工芝システムの
コルクベースのインフィル層の締固めを回避する方法であって、
前記インフィル層はコルク粒子を備え、前記人工芝システムは、前記インフィル層の下にある基体と前記基体から直立したパイル繊維とを備
え、
前記方法は、多量の滑らかな硬質顆粒と前記インフィル層の材料を、前記基体の上に分配する前または分配に続いて混合することを備え
、ここにおいて、前記顆粒の材料は少なくともショアD40の硬度を有し、前記顆粒は摩擦係数が0.5未満の表面を有し、前記顆粒は前記コルク粒子の平均粒子サイズよりも大きい平均サイズを有する、方法。
【請求項15】
人工芝システムにおける請求項1~
10のいずれか1項に記載のインフィル混合物の使用。
【請求項16】
フィールドホッケー、フットボール、アメリカンフットボールまたはラグビー用のピッチの建造における請求項1~
10のいずれか1項に記載のインフィル混合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、人工芝システムのインフィル混合物(infill mixture)、詳細には、コルクベースのインフィル混合物に関する。本発明は、さらに、人工芝システム、ならびに人工芝システムへの顆粒およびインフィル混合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の説明
人工芝システムは、様々なスポーツおよび美的目的としてよく知られており、それらの現在の形態になるまで何世代か開発されてきた。一般に、そのようなシステムは、それらの天然の対応物と同じ特徴を達成しようとするが、ある領域、少なくとも挙動の予測可能性の観点においては、これらはすでに上回ったものになっている。
【0003】
典型的な第3世代の芝システムは、上面を含むバッキング層と、繊維間に配置された軟質粒子のインフィル層とを備える。バッキング層は、織物からなり得、そこでは人工の草繊維が上向き位置に向けられたパイル繊維をもたらすようにタフトされラテックスまたはポリウレタンのバッキング層によって織物に固定されている。あるいは、バッキングおよびパイル繊維は、カーペットを織ることによって同時に生産されてもよい。ここで、パイル繊維とバッキングの構造の位置には相当な自由度がある。
【0004】
芝システムの据え付けは、一般に、直立した芝繊維間にまき散らされる緩い砂の層を用意することを伴い、その重さでバッキングを定位置に保持し、パイルを上向き位置に保持する。この砂層の上および人工芝繊維間にも軟質エラストマー顆粒がまき散らされ、必要なスポーツ性能を提供する、緩い性能のインフィル層を形成する。これらの性能の特徴は、所期の使用に応じて決まるが、大半のスポーツでは、回転および直線的なグリップ、力の低減、鉛直方向のボールバウンド、ならびに回転摩擦を含むことになる。この性能は、バッキング層の直下に衝撃パッドまたはe-層を適用することによりさらに補助され得る。場合によっては、砂層は省かれ得る。このタイプの一システムは、英国特許出願GB2429171に記載されている。
【0005】
近頃、SBRまたは他のゴムなどの通常のインフィル材料の天然代替物への関心が高まってきている。これらの天然代替物は、コルク、ココナッツ繊維、殻などを含む。コルクは、その良好な柔軟性およびスポーツ性能の理由から好まれ、天然インフィル材料のなかでも最も調和性(consistency)があるものの1つである。人工芝システムは、さらに、湿り気が保たれることを必要とする。これは、冷却効果を有するだけでなく、プレイの特徴およびスライディングパフォーマンスも向上させる。これは、定期的に水を噴霧または放水することを必要とする。一旦湿らされると、コルクは、水分を保持することが特に得意である。しかし、エラストマーインフィル材料と比較すると、コルクは激しい締固めを受ける。長期間の使用の間、コルク粒子の層は、その粒様構造を維持せず、固形層へと変化することがある。結果的に、スポーツシューズのスタッドがその層に入ることを妨げられ、ボールバウンドの特性が変わり、それがプレイパフォーマンスを低下させる。同様の影響は、他の天然代替インフィル材料でも見られ得る。定期的にメンテナンスをしても、天然材料は、そのような締固めにより、時間がたつにつれて許容できないほど劣化することが分かっている。締固めをあまり受けないインフィル材料を提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、人工芝システムのためのコルクベースのインフィル混合物であって、支配的な量のコルク粒子と、粒子間に散在した多量の滑らかな硬質顆粒とを備える、インフィル混合物に関する。
【0007】
この文脈において、粒子への言及は、コルクを指しており、顆粒への言及は、以下に明記されるようにコルクではない材料を指している。さらに、コルクへの言及は、ココナッツ繊維、殻およびそれらの混合物など他の類似の天然インフィル材料を含むことが意図される。
【0008】
本発明のインフィル混合物は、良好な保水性、衝撃吸収性および粒子移動性を兼ね備えており、インフィル層に使用され得、それは通常の使用のもとでは締固まらない。
【0009】
加えられる滑らかな硬質顆粒は、非常によく動く。理論に束縛されることを望まないが、それらは、コルクの締固めを抑制し、その一方で、同時に、コルクが滑らかな硬質顆粒の移動性を制限すると考えられる。これらが合わさった結果、締固めをごくわずかしか受けず依然として十分なグリップを有するインフィル層となる。実際、顆粒は、コルク粒子の移動性を向上させ締固めを可能な限り回避するボールベアリングのように作用するとみられる。
【0010】
本発明によれば、顆粒は滑らかである。当業者は、滑らかさはいくつかのやり方で定義され得るが、本発明の目的のために比較的低い摩擦係数を必要とするとして定義されることに気が付くであろう。顆粒は、摩擦係数が0.5未満の表面を有することができる。この場合の摩擦係数は、ASTEM G115-10(2013)に従って、接触している同じ材料の2つの表面について測定された静摩擦係数である。
【0011】
コルクは、天然材料であるという利点を有し、顆粒は、水を非常によく保持し、したがって人工芝は散水後に長時間湿ったままになる。コルクは、典型的には、約0.15kg/リットルの嵩密度を有するが、これは、粒子サイズおよびコルクの種類によって変わることがある。
【0012】
一実施形態によれば、コルク粒子は、0.5mmから3mmの間、好ましくは1.0mmから2.0mmの間、より好ましくは1.2mmから1.5mmの間の典型的なサイズを有する。さらなる一実施形態によれば、コルク粒子は、異形、具体的には角張った形を有する。
【0013】
一実施形態によれば、インフィル混合物は、70体積%から50体積%の間のコルク粒子と、30体積%から49体積%の間の滑らかな硬質顆粒とを備える。より好ましくは、インフィル混合物は、約60体積%のコルク粒子と約40体積%の滑らかな硬質顆粒とを備える。この文脈において、体積百分率は、混合物を構成するのに使用される顆粒と滑らかな硬質粒子の百分率を示し、混合前に定められる。
【0014】
一実施形態によれば、顆粒は、実質的に球状の形状を有するべきである。好ましくは、それらは、0.5よりも大きい、または0.7よりも大きい、またはさらに0.9よりも大きい球形度を有し、ここで球形度は、顆粒と等しい体積の球体の直径と外接する球体の直径との比として定義される。
【0015】
顆粒は、0.5よりも大きい、または0.7よりも大きい、またはさらに0.9よりも大きい丸み度(roundness)の値を有することができ、ここで、丸み度は、顆粒の角および縁の平均曲率半径と、外接され得る最大球体の半径との比として定義される。
【0016】
当業者は、「実質的に球形」は、円柱が、約1、好ましくは0.6から2の間、または0.8から1.5の間の長さ対直径の比を有する限り、滑らかにされた縁を含む円柱形も含むことができることを理解するであろう。
【0017】
顆粒は、それらが中実であり中空ではないという意味では、実質的に均一な密度を有する。しかし、顆粒は、例えば発泡によって構築された複数の気泡を含んでもよい。
【0018】
フルサイズのスポーツフィールドを建設するのに使用される材料の量は、インフィルが製造するのに比較的安価であることを必要とすることが理解されるであろう。好ましくは、さらにそれはリサイクルされた材料から作られ得、それ自体がリサイクルされ得る。いくつかの熱可塑性材料は、この文脈において、例えば人工草繊維製造についてすでに広範に使用されており、顆粒としてのさらなる使用が好まれ得る。顆粒の材料は、ポリエチレン(PE、LDPE、LLDPE、MDPE、HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド系(PA)、ポリウレタン(PU)、ポリスチレン(PS)、発泡ポリスチレン(EPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソソルビドテレフタレート(PEIT)、ポリエチレンフラノエート(PEF)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ乳酸(PLA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリブチレンスクシネート(PBS)、ポリブチレンアジパートコ-テレフタレート(PBAT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカプロラクトン(PCL)、フェノールホルムアルデヒド(PF)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール(PVOH)、熱可塑性澱粉(TPS)ならびに上記の誘導体および組み合わせを備える群から選択され得る。これらのうち、PE、PP、PA、PU、PS、ABS、PC、PET、PEF、PHAおよびPLAは、特に有望な候補と考えられる。
【0019】
一実施形態によれば、顆粒は、0.1kg/リットルから0.5kg/リットルの間、好ましくは0.2kg/リットルから0.4kg/リットルの間、より具体的には0.25kg/リットルから0.35kg/リットルの間の嵩密度を有することができる。上述したポリマーは、一般的にこれらの値よりもさらに高い比重(specific density)を有するが、必須サイズの粒状体の嵩密度は、これらの範囲の上限に近づくことになると理解されるであろう。発泡顆粒は、材料の比重、したがってその嵩密度を減少させることに使用され得る。これは、材料の総コストの削減を助けることにもなる。発泡は、発熱と吸熱の両方のプロセスを含む製造プロセスの間に、化学的または物理的な発泡剤を導入することによって達成され得る。好ましい発泡は、二酸化炭素を用いて行われる。発泡顆粒は、連続気泡型または独立気泡型となり得るが、独立気泡型の顆粒が好ましいとされ得る。上述した密度の値は、経済と構造特性との間の妥協として選ばれ得る。加えて、上述した嵩密度は、顆粒とコルク粒子のより良い混合を促進することができる。
【0020】
顆粒は、構造的に同種であってよく、または材料の混合物を含むこともできる。熱可塑性材料は、コスト削減または顆粒の比重もしくは他の特性を調節することを目的とすることができる、チョークまたは同様のものなどの充填剤(filler)と混合され得る。他の実施形態では、顆粒は、非熱可塑性コア上に被覆された熱可塑性外面を有することができる。
【0021】
一実施形態によれば、顆粒は、軟質インフィルの平均粒子サイズよりも大きいサイズを有することができる。一般に、コルク粒子のサイズ分布は、実質的に正規分布となり得る。顆粒サイズは、コルク粒子の少なくとも50%が顆粒よりも小さいように選ばれ得る。これは、異なる材料の混合を向上させることができる。顆粒は、1mmから5mmの間、好ましくは1.5mmから2.5mmの間、最も好ましくは1.5mmから2.0mmの間の平均サイズを有することができる。当業者は、粒子および顆粒の平均サイズの言及がなされているが、いくつかの異なる手順がこれらのサイズの決定に使用され得ることを理解するであろう。本文脈において、この値は、ASTM C136/C136M-14「細骨材および粗骨材のふるい分析の標準試験方法(Standard Test Method for Sieve Analysis of Fine and Coarse Aggregates)」に従って与えられる。これらの試験方法は、範囲内にあるそれぞれの粒子数を定めるようにD10およびD90の値を用い、その場合、粒子の10%がD10値を下回り得、粒子の90%がD90値を下回ることになる。顆粒については、D10およびD90の値は、平均サイズの30%以内にあってよい。好ましくは、顆粒は、より厳しく分粒(sized)され、D10およびD90の値は、平均サイズの20%以内、またはさらに平均サイズの10%以内にあり得る。コルク粒子は、平均値から30%離れる、またはそれを超えて離れてもよいD10およびD90の値で表されるより広い分布を有することができる。
【0022】
一実施形態によれば、顆粒の比重は、軟質インフィルの比重よりも少なくとも20%大きい。別々の比重は、人工芝システムの寿命の終わりに2つの材料を分離させることを可能にし、リサイクルを促進する。比重に基づいた分離は、浮動、サイクロンまたは当業者に既知の他の方法を用いて行われ得る。
【0023】
本発明によれば、顆粒は、滑らかで硬質である。好ましくは、顆粒は、ショアD40よりも大きい表面硬度を有する材料から作られる。一般に、ショアA硬度スケールは、ゴムおよびエラストマーの硬度を定めるために用いられる。顆粒として選ばれる材料は、ショアAスケールを超えてもよく、または少なくともショアA90を上回ってもよい。ショアDスケールは、顆粒として使用される熱可塑性材料の硬度を決定するのにより適切であり、ショアDで40の値は、最低限として考えられ得る。より好ましくは、顆粒は、ショアD45よりも大きい、またはさらにショアD50よりも大きい表面硬度を有することができる。実際、より一般的にロックウェル硬度のRスケールで測定される、例えば20よりも大きいロックウェルR硬度を有し、セラミック、石、シリカおよび金属を含む、より硬い材料でさえも使用され得る。硬度に対する言及がなされているが、顆粒の圧壊強度も重要であり、顆粒は通常の使用の間に崩壊または破損を受けてはならないと理解されるであろう。
【0024】
本発明は、さらに、基体と基体から直立したパイル繊維とを備える人工草層と、基体上に配置されパイル繊維間に散在した本明細書に記載されるようなインフィル混合物を備えるインフィル層とを含む、人工芝システムに関する。記載のインフィル混合物に加えて、インフィル混合物の真下に配置される、砂などの安定化層の形態の追加のインフィルがあってもよい。さらに、人工芝システムは、基体の真下に衝撃パッドまたは他の形態の弾性層を備えることができる。
【0025】
インフィル層は、パイル繊維をそれらの長さの相当な部分にわたって適切に支持するのに十分な深さでありこれらの繊維および所望のフリーパイル(free pile)の長さに応じて決まることになる深さに存在することができる。好ましい一実施形態では、インフィル層は、少なくとも10mmの深さを有する。これは、少なくとも、所期のスポーツに使用される典型的なスタッドの深さに相当することができる。他の実施形態では、インフィル層は、少なくとも20mmの深さまで、またはさらに30mmを超える深さまで存在することができる。最終の深さは、やはりまた、インフィル層が基体の上にあるパイル繊維を支持する唯一の層であるかどうか、および衝撃パッドまたは他の形態の弾性層が適用されているかどうかによって決まることになると理解されるであろう。スポーツの性質に応じて、パイル繊維は、インフィルのレベルから上に少なくとも10mm、または少なくとも15mm、またはさらに20mmを超えて延在することができる。
【0026】
本発明は、さらに、インフィル層の下にある基体とその基体から直立したパイル繊維とを備える人工芝システムのインフィル層の締固めを回避するための滑らかな硬質顆粒であって、インフィル層が、支配的な量のコルク粒子を備え、顆粒が、発泡材料から作られている、滑らかな硬質顆粒に関する。
【0027】
インフィル層は、加えて、または別法として、スチレン-ブタジエン(SBR)、熱可塑性エラストマー系(TPE)、エチレンプロピレンジエンモノマー系(EPDM)、Holo(登録商標)、または同等な代替物を備えることもできる。
【0028】
本発明は、さらに、インフィル層の下にある基体とその基体から直立したパイル繊維とを備える人工芝システムのインフィル層の締固めを回避する方法であって、インフィルに滑らかな硬質顆粒を、基体の上にインフィルを分配する前または分配に続いて混ぜ入れることを備える、方法に関する。
【0029】
新たな設置の場合、顆粒をインフィルの粒子と混合することは、インフィルを分配する前に行われ得るが、すでにあるフィールドの修繕が必要とされる状況もあり得る。これは、すでにあるインフィル層を掻く、または別のやり方で乱し、必要量の滑らかな硬質顆粒を混ぜ入れることを含むことができる。
【0030】
本発明は、さらに、人工芝システムにおける本明細書に記載されるようなインフィル混合物の使用に関する。
【0031】
本発明は、さらに、フィールドホッケー、フットボール、アメリカンフットボールまたはラグビー用のピッチの建設での本明細書に記載されるようなインフィル混合物の使用に関する。
【0032】
本発明の特徴および利点は、本発明の一実施形態による人工芝システムの断面を示す以下の図面を参照すれば明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による人工芝システムの断面である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
例1
図面は、本発明の一実施形態による人工芝システム10の断面を示している。芝システム10は、安定化されたサブベース12と、弾性層13と、直立パイル繊維16を有する織られた人工芝基体14と、安定化させる砂層17と、インフィル層18、19とを備える。芝基体14は、50mmトリメンション(Trimension)繊維の、Greenfieldsからの織られたカーペットMX Elite50であった。安定化させる砂層17は、被覆量(coverage)22.4kg/m2の0.5~1.0mmの等級分けされた、厚さ10mmのFilcomの砂であった。弾性層は、Trocellen(登録商標)からのHP XC050010の10mmの層であった。インフィル層は、1mm~1.6mmのサイズ範囲、0.29kg/リットルの嵩密度、2.0kg/m2の被覆量の滑らかな硬質PE顆粒19と混ぜられた、0.5mm~2.5mmのサイズ範囲、0.12kg/リットルの嵩密度、1.3kg/m2の被覆量のコルク(Amorim)の微小粒18からなった。混合比は、60/40体積%のコルク/PE顆粒であった。
【0035】
LisportXLを用いた試験
例1のシステムは、Lisport(登録商標)XL機を用いて何度か試験にかけられた。LisportXLは、何年か使用した後のスポーツフィールドの摩耗シミュレーションを現実的に再現する、摩耗シミュレーション機である。摩耗パターンは、フットボール用のスタッド(クリート)の圧縮応力、および靴底が平らなスポーツシューズによって引き起こされるアブレシブ摩耗によって特徴付けられる。この試験において、フィールドは、その上を前後に転がるスタッド付きのローラにさらされる。この試験のさらなる情報は、FIFAハンドブックの試験方法(https://football-technology.fifa.com/en/media-tiles/football-turf-handbook-of-test-methods-2015/)で見られ得る。LisportXLは、付録I、70ページに記載されている。
【0036】
LisportXL機の何回かのサイクル後、5つの別々の場所でボールバウンドおよび回転摩擦が測定され、平均された結果が、FIFAクオリティプロ(Quality Pro)、FIFAクオリティおよびIRB(国際ラグビーボード)によって定められた国際標準と比較された。結果は以下で見られる。
【0037】
【0038】
加えて、衝撃吸収、鉛直方向変形およびボールロール(ball roll)が測定された。
【0039】
【0040】
測定されたパラメータのすべては、5サイクルより後の鉛直方向変形を除いて、上記で定められたような国際標準に適合した。
【0041】
上記の試験結果は、測定されたボールバウンド、衝撃吸収およびボールロールによって示されるように、例1のシステムがLisportXLの9000サイクルを超えた後でもほとんど締固めを受けないシステムを表していることを示している。重要なことには、これらの結果は、掻くまたは別のやり方で表面を撹拌する必要なくして達成可能であった。この文脈において、LisportXL試験は、試験前に表面を少し掻くことを許可し、必要とすることに留意され得る。従来のインフィルは、インフィルの締固めをオフセットするように、定期的にこのようにして掻くことを必要とする。本発明によるインフィル混合物の場合では、若干の締固めしか観察されず、掻くことも必要とされなかった。
【0042】
例1に関して記載の開示例に加えて、当業者は、多くの他の構成が考えられ、それらは本特許請求の範囲内に等しく入ることになると理解するであろう。
【0043】
上記のものに加えて多くのさらなる修正が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく本明細書に記載の構造および技法に加えられ得る。したがって、特定の実施形態が記載されてきたが、それらは例に過ぎず、本発明の範囲を限定していない。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 人工芝システムのためのコルクベースのインフィル混合物であって、支配的な量のコルク粒子と、前記粒子間に散在した多量の滑らかな硬質顆粒とを備える、コルクベースのインフィル混合物。
[2] 前記コルク粒子が、0.5から3mmの間の平均サイズを有する、[1]に記載のインフィル混合物。
[3] 前記コルク粒子が、異形を有する、[1]または[2]に記載のインフィル混合物。
[4] 70体積%から50体積%の間のコルク粒子と、30体積%から49体積%の間の前記顆粒とを備える、[1]~[3]のいずれか1項に記載のインフィル混合物。
[5] 約60体積%のコルク粒子と、約40体積%の前記顆粒とを備える、[1]~[4]のいずれか1項に記載のインフィル混合物。
[6] 前記顆粒が、実質的に球状の形状を有する、[1]~[5]のいずれか1項に記載のインフィル混合物。
[7] 前記顆粒が、好ましくはPE、PP、PA、PU、PS、ABS、PC、PET、PEF、PHAおよびPLAを備える群から選択された、熱可塑性材料を備える、[1]~[6]のいずれか1項に記載のインフィル混合物。
[8] 前記顆粒が、発泡材料から作られている、[1]~[7]のいずれか1項に記載のインフィル混合物。
[9] 前記顆粒が、0.1kg/リットルから0.5kg/リットルの間、好ましくは0.2kg/リットルから0.4kg/リットルの間、より好ましくは0.25kg/リットルから0.35kg/リットルの間の嵩密度を有する、[1]~[8]のいずれか1項に記載のインフィル混合物。
[10] 前記顆粒が、前記コルク粒子の平均粒子サイズよりも大きい平均サイズを有する、[1]~[9]のいずれか1項に記載のインフィル混合物。
[11] 前記顆粒が、1から5mmの間、好ましくは1.5mmから2.5mmの間、最も好ましくは1.5mmから2.0mmの間の平均サイズを有する、[1]~[10]のいずれか1項に記載のインフィル混合物。
[12] 前記顆粒の比重が、前記コルクの比重よりも少なくとも20%大きい、[1]~[11]のいずれか1項に記載のインフィル混合物。
[13] 前記顆粒の材料が、少なくともショアD40の硬度を有する、[1]~[12]のいずれか1項に記載のインフィル混合物。
[14] 人工芝システムであって、
基体と前記基体から直立したパイル繊維とを備える、人工草層と、
前記基体上に配置され前記パイル繊維間に散在した、[1]~[13]のいずれか1項に記載のインフィル混合物を備える、インフィル層と
を備える、人工芝システム。
[15] 前記インフィル層が、少なくとも10mm、より好ましくは少なくとも20mm、任意選択で30mm超えの深さを有する、[14]に記載の人工芝システム。
[16] ボールバウンドの高さが、LisportXL試験の9000サイクル後に100cm未満である、[14]または[15]に記載の人工芝システム。
[17] インフィル層の下にある基体と前記基体から直立したパイル繊維とを備える人工芝システムの前記インフィル層の締固めを回避するための滑らかな硬質顆粒であって、前記インフィル層が、支配的な量のコルク粒子を備え、前記顆粒が、発泡材料から作られている、滑らかな硬質顆粒。
[18] インフィル層の下にある基体と前記基体から直立したパイル繊維とを備える人工芝システムの前記インフィル層の締固めを回避する方法であって、滑らかな硬質顆粒と前記インフィル層の材料を、前記基体の上に分配する前または分配に続いて混合することを備える、方法。
[19] 人工芝システムにおける[1]~[13]のいずれか1項に記載のインフィル混合物の使用。
[20] フィールドホッケー、フットボール、アメリカンフットボールまたはラグビー用のピッチの建造における[1]~[13]のいずれか1項に記載のインフィル混合物の使用。