(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】脊椎ねじ挿入装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/92 20060101AFI20221108BHJP
A61B 17/70 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
A61B17/92
A61B17/70
(21)【出願番号】P 2019572010
(86)(22)【出願日】2018-06-04
(86)【国際出願番号】 IB2018053989
(87)【国際公開番号】W WO2019002992
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-04-21
(32)【優先日】2017-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514046806
【氏名又は名称】メドス・インターナショナル・エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】Medos International SARL
【住所又は居所原語表記】Chemin-Blanc 38, CH-2400 Le Locle, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ソリタリオ・ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ディ・ビンツェンツォ・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マレー・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】パベント・ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】スミス・カーナン
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0030100(US,A1)
【文献】特表2016-511064(JP,A)
【文献】国際公開第2014/158782(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0310842(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/92
A61B 17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨アンカー組立体を骨に打ち込むための器具であって、
第1のハンドルと、
前記骨アンカー組立体に連結するように構成されている遠位先端を有する細長いシャフトと、を備える、シャフト組立体と、
第2のハンドルと、キャリアー組立体と、を備えるスタイレット調整器組立体であって、前記キャリアー組立体は、スタイレットが
複数の予め画定された固定位置
の内の1つにおいて前記キャリアー組立体に解放可能に連結されて、前記細長いシャフトの前記遠位先端に対して所望の位置に前記スタイレットの遠位先端を位置決めできるようにするための、
複数の予め画定された固定位置決め機構を有し、
前記複数の予め画定された固定位置決め機構を有する前記キャリアー組立体は、前記細長いシャフトに対する前記第2のハンドルの回転に応じて前記シャフト組立体に対して軸方向に並進運動するように構成されており、前記キャリアー組立体は、前記第2のハンドルに対する前記第1のハンドルの回転に応じて前記シャフト組立体と共に回転するように構成されている、スタイレット調整器組立体と、を備える、器具。
【請求項2】
前記
複数の予め画定された固定位置決め機構は、前記キャリアー組立体に沿って長手方向に離間配置される、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
骨アンカー組立体を骨に打ち込むための器具であって、
第1のハンドルと、前記骨アンカー組立体に連結するように構成されている遠位先端を有する細長いシャフトと、を備える、シャフト組立体と、
第2のハンドルと、キャリアー組立体と、を備えるスタイレット調整器組立体であって、前記キャリアー組立体は、スタイレットが少なくとも1つの予め画定された固定位置において前記キャリアー組立体に解放可能に連結されて、前記細長いシャフトの前記遠位先端に対して所望の位置に前記スタイレットの遠位先端を位置決めできるようにするための、少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構を有し、前記キャリアー組立体は、前記細長いシャフトに対する前記第2のハンドルの回転に応じて前記シャフト組立体に対して軸方向に並進運動するように構成されており、前記キャリアー組立体は、前記第2のハンドルに対する前記第1のハンドルの回転に応じて前記シャフト組立体と共に回転するように構成されている、スタイレット調整器組立体と、を備え、
前記少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構は、前記キャリアー組立体内に形成された少なくとも1つのノッチを備え、前記少なくとも1つのノッチは、前記スタイレット上の連結機構を捕捉して、前記キャリアー組立体に対する前記スタイレットの長手方向移動を阻止するように構成されている、器具。
【請求項4】
前記
複数の予め画定された固定位置決め機構は、摩擦嵌合によって前記スタイレットに係合するように構成されている、請求項1に記載の器具。
【請求項5】
骨アンカー組立体を骨に打ち込むための器具であって、
第1のハンドルと、前記骨アンカー組立体に連結するように構成されている遠位先端を有する細長いシャフトと、を備える、シャフト組立体と、
第2のハンドルと、キャリアー組立体と、を備えるスタイレット調整器組立体であって、前記キャリアー組立体は、スタイレットが少なくとも1つの予め画定された固定位置において前記キャリアー組立体に解放可能に連結されて、前記細長いシャフトの前記遠位先端に対して所望の位置に前記スタイレットの遠位先端を位置決めできるようにするための、少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構を有し、前記キャリアー組立体は、前記細長いシャフトに対する前記第2のハンドルの回転に応じて前記シャフト組立体に対して軸方向に並進運動するように構成されており、前記キャリアー組立体は、前記第2のハンドルに対する前記第1のハンドルの回転に応じて前記シャフト組立体と共に回転するように構成されている、スタイレット調整器組立体と、を備え、
前記キャリアー組立体は、その内部に形成され、前記少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構と交差する細長い長手方向スロットを含み、前記
細長い長手方向スロットは、前記スタイレットの一部を固定するように構成されている、器具。
【請求項6】
前記キャリアー組立体は、その周りに配置され、前記スタイレットが中を通って前記スロット内に固定されることを可能にするための第1の位置と、前記スロット内に前記スタイレットを保持するための第2の位置と、を有する、回転可能な割スリーブを含む、請求項5に記載の器具。
【請求項7】
異なる長さを有する複数の骨締結具を更に備え、前記複数の予め画定された固定位置決め機構は、前記複数の骨締結具のそれぞれの前記
異なる長さ間の差に対応する距離だけ離間されている、請求項2に記載の器具。
【請求項8】
前記キャリアー組立体は、キャリアー部材と、前記キャリアー部材に解放可能に連結された深さ調整器と、を含み、前記深さ調整器は、前記
複数の予め画定された固定位置決め機構をその内部に有し、前記キャリアー部材は、前記
第2のハンドルに螺合連結されている、請求項1に記載の器具。
【請求項9】
骨アンカー組立体を骨に打ち込むための器具であって、
第1のハンドルと、前記骨アンカー組立体に連結するように構成されている遠位先端を有する細長いシャフトと、を備える、シャフト組立体と、
第2のハンドルと、キャリアー組立体と、を備えるスタイレット調整器組立体であって、前記キャリアー組立体は、スタイレットが少なくとも1つの予め画定された固定位置において前記キャリアー組立体に解放可能に連結されて、前記細長いシャフトの前記遠位先端に対して所望の位置に前記スタイレットの遠位先端を位置決めできるようにするための、少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構を有し、前記キャリアー組立体は、前記細長いシャフトに対する前記第2のハンドルの回転に応じて前記シャフト組立体に対して軸方向に並進運動するように構成されており、前記キャリアー組立体は、前記第2のハンドルに対する前記第1のハンドルの回転に応じて前記シャフト組立体と共に回転するように構成されている、スタイレット調整器組立体と、を備え、
前記キャリアー組立体は、キャリアー部材と、前記キャリアー部材に解放可能に連結された深さ調整器と、を含み、前記深さ調整器は、前記少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構をその内部に有し、前記キャリアー部材は、前記第2のハンドルに螺合連結されており、
前記深さ調整器は、前記深さ調整器を前記キャリアー部材に固定的に連結するために前記キャリアー部材の内壁に螺合係合する、細長い本体の外壁に沿ったねじ切り部分を含む、器具。
【請求項10】
骨アンカー組立体を骨に打ち込むための器具であって、
第1のハンドルと、前記骨アンカー組立体に連結するように構成されている遠位先端を有する細長いシャフトと、を備える、シャフト組立体と、
第2のハンドルと、キャリアー組立体と、を備えるスタイレット調整器組立体であって、前記キャリアー組立体は、スタイレットが少なくとも1つの予め画定された固定位置において前記キャリアー組立体に解放可能に連結されて、前記細長いシャフトの前記遠位先端に対して所望の位置に前記スタイレットの遠位先端を位置決めできるようにするための、少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構を有し、前記キャリアー組立体は、前記細長いシャフトに対する前記第2のハンドルの回転に応じて前記シャフト組立体に対して軸方向に並進運動するように構成されており、前記キャリアー組立体は、前記第2のハンドルに対する前記第1のハンドルの回転に応じて前記シャフト組立体と共に回転するように構成されている、スタイレット調整器組立体と、を備え、
前記キャリアー組立体は、折り畳まれた構成と、拡張構成と、を有するばねクランプ機構を含み、前記ばねクランプ機構は、前記折り畳まれた構成において前記スタイレットの一部にクランプ力を加えて、前記キャリアー組立体に対する前記スタイレットの移動を阻止するように構成されており、前記ばねクランプ機構は、前記拡張構成において前記スタイレットを解放して、前記キャリアー組立体からの前記スタイレットの取り出しを可能にするように構成されている、器具。
【請求項11】
骨アンカー組立体を骨に打ち込むための器具であって、
第1のハンドルと、前記骨アンカー組立体に連結するように構成されている遠位先端を有する細長いシャフトと、を備える、シャフト組立体と、
第2のハンドルと、キャリアー組立体と、を備えるスタイレット調整器組立体であって、前記キャリアー組立体は、スタイレットが少なくとも1つの予め画定された固定位置において前記キャリアー組立体に解放可能に連結されて、前記細長いシャフトの前記遠位先端に対して所望の位置に前記スタイレットの遠位先端を位置決めできるようにするための、少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構を有し、前記キャリアー組立体は、前記細長いシャフトに対する前記第2のハンドルの回転に応じて前記シャフト組立体に対して軸方向に並進運動するように構成されており、前記キャリアー組立体は、前記第2のハンドルに対する前記第1のハンドルの回転に応じて前記シャフト組立体と共に回転するように構成されている、スタイレット調整器組立体と、を備え、
前記キャリアー組立体は、前記
第2のハンドル内に螺合配置されるキャリアー部材に解放可能に結合された深さ調整器を含み、前記深さ調整器は、少なくとも1つの予め画定された固定位置において前記スタイレットに係合するための前記少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構を含み、前記少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構は、前記深さ調節器の遠位端から近位方向に延在する、少なくとも1つの止まり穴を含む、器具。
【請求項12】
骨締結具を骨に打ち込むための器具であって、
第1及び第2のハンドルを有するハンドル組立体と、
前記骨締結具を骨に打ち込むための遠位先端を有する細長いシャフトであって、前記細長いシャフトは、前記第1のハンドルの回転が前記細長いシャフトの対応する回転を引き起こし、それによって
前記骨締結具を骨に打ち込むように、前記第1のハンドルに連結されている、細長いシャフトと、
前記第1のハンドルと前記第2のハンドルとの間に連結され、複数の予め画定された固定位置においてスタイレットに係合するための複数の嵌合機構を有する、キャリアー組立体と、を備え、前記第2のハンドルの回転が、前記スタイレットを前進させて、また引き込んで、前記細長いシャフトの前記遠位先端に連結された
前記骨締結具に対する前記スタイレットの先端の位置を調節するのに有効であり、前記細長いシャフトの前記遠位先端に連結された
前記骨締結具を骨に打ち込むための前記第1のハンドルの回転が、
前記複数の嵌合機構を有する前記キャリアー組立体を近位方向に移動させて前記スタイレットを引き込む、器具。
【請求項13】
骨締結具を骨に打ち込むための器具であって、
第1及び第2のハンドルを有するハンドル組立体と、
前記骨締結具を骨に打ち込むための遠位先端を有する細長いシャフトであって、前記細長いシャフトは、前記第1のハンドルの回転が前記細長いシャフトの対応する回転を引き起こし、それによって前記骨締結具を骨に打ち込むように、前記第1のハンドルに連結されている、細長いシャフトと、
前記第1のハンドルと前記第2のハンドルとの間に連結され、複数の予め画定された固定位置においてスタイレットに係合するための複数の嵌合機構を有する、キャリアー組立体と、を備え、前記第2のハンドルの回転が、前記スタイレットを前進させて、また引き込んで、前記細長いシャフトの前記遠位先端に連結された前記骨締結具に対する前記スタイレットの先端の位置を調節するのに有効であり、前記細長いシャフトの前記遠位先端に連結された前記骨締結具を骨に打ち込むための前記第1のハンドルの回転が、前記キャリアー組立体を近位方向に移動させて前記スタイレットを引き込み、
前記複数の嵌合機構は、前記スタイレットの近位端に形成された嵌合機構に係合するための、前記キャリアー組立体に沿って長手方向に離間配置されたノッチを含む、器具。
【請求項14】
骨締結具を骨に打ち込むための器具であって、
第1及び第2のハンドルを有するハンドル組立体と、
前記骨締結具を骨に打ち込むための遠位先端を有する細長いシャフトであって、前記細長いシャフトは、前記第1のハンドルの回転が前記細長いシャフトの対応する回転を引き起こし、それによって前記骨締結具を骨に打ち込むように、前記第1のハンドルに連結されている、細長いシャフトと、
前記第1のハンドルと前記第2のハンドルとの間に連結され、複数の予め画定された固定位置においてスタイレットに係合するための複数の嵌合機構を有する、キャリアー組立体と、を備え、前記第2のハンドルの回転が、前記スタイレットを前進させて、また引き込んで、前記細長いシャフトの前記遠位先端に連結された前記骨締結具に対する前記スタイレットの先端の位置を調節するのに有効であり、前記細長いシャフトの前記遠位先端に連結された前記骨締結具を骨に打ち込むための前記第1のハンドルの回転が、前記キャリアー組立体を近位方向に移動させて前記スタイレットを引き込み、
前記複数の嵌合機構は、前記キャリアー組立体内に形成され、異なる長手方向位置に前記スタイレットを位置付けるために、互いに対して長さの異なる穴を備える、器具。
【請求項15】
異なる長さを有する複数の骨締結具を更に備え、前記複数の嵌合機構は、前記複数の骨締結具のそれぞれの前記
異なる長さ間の差に対応する距離だけ離間されている、請求項12に記載の器具。
【請求項16】
骨締結具を骨に打ち込むための器具であって、
第1及び第2のハンドルを有するハンドル組立体と、
前記骨締結具を骨に打ち込むための遠位先端を有する細長いシャフトであって、前記細長いシャフトは、前記第1のハンドルの回転が前記細長いシャフトの対応する回転を引き起こし、それによって前記骨締結具を骨に打ち込むように、前記第1のハンドルに連結されている、細長いシャフトと、
前記第1のハンドルと前記第2のハンドルとの間に連結され、複数の予め画定された固定位置においてスタイレットに係合するための複数の嵌合機構を有する、キャリアー組立体と、を備え、前記第2のハンドルの回転が、前記スタイレットを前進させて、また引き込んで、前記細長いシャフトの前記遠位先端に連結された前記骨締結具に対する前記スタイレットの先端の位置を調節するのに有効であり、前記細長いシャフトの前記遠位先端に連結された前記骨締結具を骨に打ち込むための前記第1のハンドルの回転が、前記キャリアー組立体を近位方向に移動させて前記スタイレットを引き込み、
駆動管が、前記細長いシャフトと前記第1のハンドルとの間に連結され、前記キャリアー組立体は前記駆動管内に配置され、前記第2のハンドル内に形成された雌ねじ山と嵌合するために、前記駆動管内に形成されたスロットを通って延在する雄ねじ山を有する、器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
骨アンカー挿入装置及び関連する器具類、並びに方法が本明細書で開示される。
【背景技術】
【0002】
骨アンカーは、治癒、癒合、又は他の手順中に骨を固定するために整形外科で用いることができる。脊椎手術において、例えば、骨アンカーは、脊椎を硬直的に又は動的に固定させるために、1つ又は2つ以上の脊椎骨に脊椎固定要素を取り付けるために用いることができる。
【0003】
骨アンカーを骨に結合するための従来の手技では、例えば、皮膚に切開部を形成し、骨に被さっている軟組織を切除することによって、又は最小侵襲性技法を用いて、骨にアクセスする。次に、骨の開口部の軌道を確立するために、スタイレットが配置された挿入針(Jamshidi針と呼ばれることがある)が骨に打ち込まれる。次に、スタイレットが取り出され、ガイドワイヤーが針を通って挿入される。次に、ガイドワイヤーを適所に残して、針がガイドワイヤー上で引き抜かれる。次に、カニューレ処置されたタップがガイドワイヤー上で前進させられ、骨の開口部を骨アンカー用にパイロット穴まで拡大させるために、骨に打ち込まれる。その後、再びガイドワイヤーを骨の開口部内の適所に残して、タップがガイドワイヤー上で引き抜かれる。次に、カニューレ処置された骨アンカーがガイドワイヤー上で前進させられ、骨の開口部の中に打ち込まれる。最後に、ガイドワイヤーが取り出され、1つ又は2つ以上の固定要素が骨アンカーに連結される。
【0004】
上述の従来の手技は、いくつかの欠点がある。例えば、手順は、特に、いくつかの骨アンカーが取り付けられる場合、時間がかかりかつ煩雑であり得るいくつかの工程を含む。更に、これらの工程(例えば、針を前進させる、ガイドワイヤーを前進させる、タップを前進させる、及び骨アンカーを前進させる)の多くは、正確な軌道と挿入の深さを確認するために、X線透視誘導下で行われる。針を取り出す工程、及びタップを取り出す工程はまた、ガイドワイヤーが骨の開口部から脱落する可能性があり、初めから手順をやり直すことが求められる。その上、アンカーを前進させること、又はタップを前進させることは、ガイドワイヤーが不注意に骨の開口部内で前進してしまう可能性があり、骨の近位に配置されたデリケートな解剖学的構造を潜在的に破損させる。アンカーを前進させること、又はタップを前進させることは更に、ガイドワイヤーがキンクしてしまう可能性があり、ガイドワイヤーの取り出しを非常に困難にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、改善された骨アンカー及び関連する器具類、並びに方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
骨アンカーを骨に移植するための様々な手術用器具及び方法が、本明細書で開示される。一実施形態では、骨アンカー組立体を骨に打ち込むための器具が提供され、第1のハンドルと、骨アンカー組立体に連結するように構成されている遠位先端を有する細長いシャフトと、を有するシャフト組立体を含む。この器具は、第2のハンドルと、キャリアー組立体と、を備えるスタイレット調整器組立体であって、キャリアー組立体は、スタイレットが少なくとも1つの予め画定された固定位置においてキャリアー組立体に解放可能に連結されて、細長いシャフトの遠位先端に対して、したがってそれに連結された骨ねじに対して、所望の位置にスタイレットの遠位先端を位置決めできるようにするための、少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構を含む、スタイレット調整器組立体を更に含み得る。キャリアー組立体は、細長いシャフトに対する第2のハンドルの回転に応じて、シャフト組立体を通って軸方向に並進運動するように構成され得る。キャリアー組立体はまた、第2のハンドルに対する第1のハンドルの回転に応じて、シャフト組立体と共に回転するように構成され得る。
【0007】
一実施形態では、少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構は、キャリアー組立体に沿って長手方向に離間配置された、複数の予め画定された固定位置決め機構を備え得る。少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構は、例えば、キャリアー組立体内に形成された少なくとも1つのノッチの形態であってよく、少なくとも1つのノッチは、スタイレット上の連結機構を捕捉して、キャリアー組立体に対するスタイレットの長手方向移動を阻止するように構成されている。一態様では、少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構は、摩擦嵌合によってスタイレットに係合するように構成され得る。キャリアー組立体は、その内部に形成され、少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構と交差する、細長い長手方向スロットを含み得る。スロットは、スタイレットの一部を固定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、キャリアー組立体は、その周りに配置され、スタイレットが中を通ってスロット内に固定されることを可能にする第1の位置と、スロット内にスタイレットを保持するための第2の位置と、を有する、回転可能な割スリーブを含み得る。
【0008】
深さ調整器はまた、様々な構成を有し得、一実施形態では、深さ調整器をキャリアーに固定的に連結するために、キャリアーの内壁に螺合係合するねじ切り部分を細長い本体の外壁に沿って含み得る。いくつかの実施形態では、キャリアー組立体は、折り畳まれた構成と、拡張構成と、を有するばねクランプ機構を含み得る。ばねクランプ機構は、折り畳まれた構成でスタイレットの一部にクランプ力を加えて、キャリアー組立体に対するスタイレットの移動を阻止するように構成され得、また、拡張構成でスタイレットを解放して、キャリアー組立体からスタイレットを取り出すことができるように構成され得る。いくつかの実施形態では、キャリアー組立体は、遠位ハンドル内に螺合配置されるキャリアーに解放可能に連結された深さ調整器を含み得る。深さ調節器は、少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構を含み得、少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構は、深さ調節器の遠位端から近位方向に延在する止まり穴を含み得る。
【0009】
別の実施形態では、骨締結具を骨に打ち込むための器具は、第1及び第2のハンドルを有するハンドル組立体を含み得る。器具は、骨締結具を骨に打ち込むための遠位先端を有する細長いシャフトを更に含み得る。細長いシャフトは、第1のハンドルの回転が細長いシャフトの対応する回転を引き起こし、それによって骨締結具を骨に打ち込むように、第1のハンドルに連結され得る。器具は、第1のハンドルと第2のハンドルとの間に連結され、複数の予め画定された固定位置でスタイレットに係合するための複数の嵌合機構を有する、キャリアー組立体を更に含み得る。キャリアー組立体は、骨締結具を骨に打ち込むための第1のハンドルの回転に応じて、それに連結されたスタイレットを引き込むように構成され得る。キャリアー組立体は、長手方向に並進運動して、第2のハンドルの回転に応じてスタイレットの先端の位置を調節するように構成され得る。
【0010】
特定の態様では、複数の嵌合機構は、スタイレットの近位端に形成された嵌合機構に係合するためにキャリアー組立体に沿って長手方向に離間配置されたノッチの形態であり得る。複数の嵌合機構は、キャリアー組立体内に形成され、異なる長手方向位置にスタイレットを位置決めするために、互いに対して長さの異なる、穴の形態であり得る。いくつかの実施形態では、器具は、異なる長さを有する、複数の骨締結具を更に含み得る。複数の嵌合機構は、複数の骨締結具のそれぞれの長さ間の差に対応する距離だけ離間され得る。いくつかの実施形態では、器具は、細長いシャフトと第1のハンドルとの間に連結された駆動管を更に含み得る。加えて、キャリアー組立体は、駆動管内に配置され得、第2のハンドル内に形成された雌ねじ山と嵌合するために、駆動管に形成されたスロットを通って延在する雄ねじ山を含み得る。
【0011】
別の実施形態では、骨締結具を植え込むための方法が提供され、この方法は、スタイレットの遠位先端が、挿入装置の細長いシャフトに連結された骨締結具を越えて所定の距離を延在するように、予め画定された固定位置において挿入装置のキャリアー組立体にスタイレットを連結することを含み得る。この方法は、骨上でスタイレットの遠位先端を位置決めすることと、挿入装置の第2のハンドルに対して挿入装置の第1のハンドルを回転させて、キャリアー組立体を遠位方向に並進運動させ、それによってスタイレットの遠位先端を骨内へと前進させることと、を含み得る。この方法は、挿入装置の第2のハンドルを回転させ、それによって骨締結具を回転させて、その結果、骨締結具をスタイレットに沿って骨内へと前進させることを更に含み得る。第2のハンドルが回転すると、キャリアー組立体はまた、骨締結具が骨内へと前進する際に、近位方向に並進運動してスタイレットを引き込み得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、スタイレットを予め画定された固定位置において連結することは、キャリアー組立体内に形成されたノッチ内で、スタイレットの近位端に形成された突出部を位置決めすることを含み得る。いくつかの実施形態では、スタイレットを連結することは、キャリアー組立体内に形成された異なる長さの複数の穴のうちの1つの中にスタイレットの近位部分を位置決めすることを含み得る。キャリアー組立体は、その内部に形成された、予め画定された固定位置決め機構を有する深さ調整器と、深さ調整器に解放可能に結合されたキャリアーと、を含み得る。キャリアーは、第1のハンドル内に形成された雌ねじ山と嵌合するための雄ねじ山を含み得る。
【0013】
本開示は更に、「特許請求の範囲」に記載されている器具及び方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて検討することで、より完全な理解がなされるであろう。
【
図1A】先行技術の骨アンカー組立体の分解斜視図である。
【
図1B】
図1Aの先行技術の骨アンカー組立体の断面図である。
【
図2A】キャリアーに連結され得るスタイレットを有する手術用器具の一実施形態の分解斜視図であり、キャリアーとスタイレットは、近位ハンドル及び遠位ハンドルを互いに対して回転させた結果、軸方向に並進運動し得る。
【
図2B】手術用器具の細長いシャフトの遠位端に骨アンカー組立体が連結された状態の、
図2Aの手術用器具の断面図である。
【
図3】キャリアーに一体形成されかつキャリアーから遠位側に延在するスタイレットを有する、手術用器具の別の一実施形態の断面図である。
【
図4】キャリアーに螺合係合されたスタイレットを有する、手術用器具の更に別の一実施形態の断面図である。
【
図5A】別の一実施形態による、近位ハンドル及び遠位ハンドルと、スタイレットを保持するためのスタイレットホルダーとを有する、手術用器具の分解斜視図である。
【
図5B】手術用器具の細長いシャフトの遠位端に骨アンカー組立体が連結された状態の、
図5Aの手術用器具の側面図である。
【
図5C】
図5Bの手術用器具及び骨アンカー組立体の断面図である。
【
図5D】位置決めハンドルを備えたスタイレットを有する、
図5A~5Cに示す手術用器具の分解斜視図である。
【
図5E】位置決めハンドルの外側本体のウィンドウにマークが現われた状態を示す、
図5Dの位置決めハンドルの側面図である。
【
図5G】位置決めハンドルの外側本体内の位置決め機構を示す、
図5Dの位置決めハンドルの断面図である。
【
図5H】スタイレットの位置を調節するための押しボタンを示す、
図5Dの位置決めハンドルの頂面図である。
【
図6A】近位ハンドルに連結されたスタイレットを有する、引込み位置にある手術用器具の別の一実施形態の断面図であり、これにより、手術用器具の遠位ハンドルに対して近位ハンドルを回転させた結果、スタイレットを軸方向に並進運動させることができる。
【
図7】
図6A及び6Bに示す手術用器具の細長いシャフトの一部分にわたって配置されている保護スリーブの断面図である。
【
図8】
図4に示す手術用器具の細長いシャフトの一部分にわたって配置されている保護スリーブの断面図である。
【
図9A】別の実施形態による、駆動管の遠位部分に摺動可能に連結された遠位ハンドルを有する、細長いシャフトの近位端に連結された駆動管を有する手術用器具の側面図である。
【
図9B】
図9Aの駆動管の近位部分に連結され得る近位ハンドルの実施形態を示す。
【
図9C】
図9Aの駆動管の近位部分に連結され得る近位ハンドルの別の実施形態を示す。
【
図9D】細長いシャフトの遠位端に対するスタイレットの遠位端の位置を制御するために駆動管内で並進運動するように構成されているキャリアー及び深さ調整器を示す、
図9Aに示す手術用器具の分解図を示す。
【
図9E】駆動管内に位置付けられたキャリアー及び深さ調整器を示す
図9Aの断面図を示す。
【
図9G】スタイレットが内部に装填されている、
図9Dの深さ調整器の側面図を示す。
【
図10】深さ調整器からのスタイレットの取り出しを阻止するように構成されている非線形経路を有する深さ調整器の別の実施形態の斜視図を示す。
【
図11】深さ調整器からのスタイレットの取り出しを阻止するように構成されている一対のばねフランジを有する深さ調整器の更に別の実施形態の斜視図を示す。
【
図12A】深さ調整器からのスタイレットの取り出しを阻止するように構成されている深さ調整器の両側にばね指部を有する深さ調整器の更に別の実施形態の斜視図を示す。
【
図12B】深さ調整器からのスタイレットの取り出しを阻止するように構成されている深さ調整器の同じ側にばね指部を有する深さ調整器の更に別の実施形態の斜視図を示す。
【
図13】スタイレットの近位端をその中で位置決めするために異なる長さをそれぞれ有する、複数の止まり穴を有する深さ調整器の更に別の実施形態の斜視図を示す。
【
図14A】
図2A及び
図2Bの手術用器具を用いて骨アンカー組立体を骨に打ち込む方法を概略的に示しており、スタイレットの遠位端が椎弓根にドッキングされていることを示すことを含む。
【
図14B】
図2A及び
図2Bの手術用器具を用いて骨アンカー組立体を骨に打ち込む方法を概略的に示しており、スタイレットの遠位端が椎弓根へと前進させられていることを示すことを含む。
【
図14C】
図2A及び
図2Bの手術用器具を用いて骨アンカー組立体を骨に打ち込む方法を概略的に示し、骨アンカー組立体が椎弓根へと前進させられていることを示すことを含む。
【
図15A】
図5A~5Gの位置決めハンドル及び手術用器具を用いて骨アンカー組立体を骨に打ち込む方法を概略的に示しており、スタイレットの近位端に取り外し可能に連結された位置決めハンドルを示すことを含む。
【
図15B】
図5A~5Gの位置決めハンドル及び手術用器具を用いて骨アンカー組立体を骨に打ち込む方法を概略的に示し、スタイレットの遠位端を椎弓根に挿入することを含み、手術用器具の残部は、スタイレットの近位端から滑らせて外すことができる。
【
図15C】
図5A~5Gの位置決めハンドル及び手術用器具を用いて骨アンカー組立体を骨に打ち込む方法を概略的に示し、骨アンカー組立体を椎弓根に打ち込むために、器具の遠位端に連結された骨アンカー組立体をスタイレット上で誘導することを含む。
【
図15D】
図5A~5Gの位置決めハンドル及び手術用器具を用いて骨アンカー組立体を骨に打ち込む方法を概略的に示し、骨アンカー組立体を椎弓根に打ち込むために、スタイレットに沿って骨アンカー組立体を誘導して、骨アンカー組立体の遠位端を椎弓根と接触させることを含む。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本明細書で開示する装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるように、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態のうちの1つ以上の実施例が、添付の図面に例示されている。当業者であれば、本明細書で具体的に説明され、かつ添付の図面に例示される装置及び方法が、非限定的な典型的な実施形態であること、並びに本発明の範囲が、特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。1つの例示的な実施形態に関連して図示又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0016】
骨アンカー組立体を骨に挿入するための方法及び装置が、本明細書に提供される。これらのアンカー又は器具の使用は、従来の骨アンカー取り付け手技の工程の1つ又は2つ以上を無くすことができ、手術の効率及び安全性を向上させる。一般に、手術用挿入装置は、近位ハンドル及び遠位ハンドルを含んで提供され、この近位ハンドルは装置の細長いシャフトの動きを制御するよう構成され、この遠位ハンドルは装置を貫通して延在するガイドワイヤー又はスタイレットの動きを制御するよう構成される。例えば、近位ハンドルを静止状態に保持しながらの遠位ハンドルの回転は、スタイレットを、細長いシャフトに対して近位方向又は遠位方向に軸方向に並進運動させることができる。加えて、遠位ハンドルを静止状態に保持しながらの近位ハンドルの回転は、細長いシャフトを回転させることができ、これは、細長いシャフトの遠位端に連結された骨アンカー組立体を骨に打ち込むことを支援できる。更に、手術用挿入装置のいくつかの実施形態は、複数の所定の固定位置のうちの選択された1つにおいてスタイレットを保持し、それによって、スタイレットの遠位先端を細長いシャフトの遠位先端に対して所望の位置に位置付けるように構成され得る。特定の例示的な実施形態では、細長いシャフトの遠位先端に対するスタイレットの遠位先端の所望の位置は、手術用挿入装置によって骨に挿入される骨アンカー組立体の長さに対応し得る。用語「ガイドワイヤー」及び「スタイレット」は本明細書において互換可能に使用され、また本明細書で開示される様々な器具及び方法と共に、任意の構成のガイドワイヤー又はスタイレットが使用できることを、ここに注記する。
【0017】
先行技術の骨アンカー組立体
図1A~1Bは、骨アンカー12、骨アンカー12に連結されるために、脊椎ロッド22などの脊椎固定要素を受け取る受け部材14、及び受け部材14内に脊椎固定要素を捕獲し、受け部材14に対して脊椎固定要素を固定させる閉止機構16を含む、先行技術の一実施形態の骨アンカー組立体10を示す。骨アンカー12は、近位頭部18と、骨に係合するように構成されている遠位シャフト20と、を含む。受け部材14は、離間して配置された一対のアーム28A、28Bでその間に凹部30が画定されるアーム28A、28Bを有する近位端26、及び開口部を画定する遠位端面34で骨アンカー12の少なくとも一部分がそこを貫通して延在する遠位端32を有する。閉止機構16は、アーム28A、28Bとの間に位置付け可能で、アーム28A、28Bと係合することができ、受け部材14内で、脊椎固定要素(例えば、脊椎ロッド22)を捕獲し、受け部材14に対して脊椎固定要素を固定させる。
【0018】
骨アンカー12の近位頭部18は、平面状の近位面36、及びほぼ球形状の遠位面38を有する一般に斜切頭の球体の形状である。図示された骨アンカー組立体は、脊椎の椎弓根又は外側塊に後方埋め込みするために設計された多軸の骨ねじである。骨アンカー12の近位頭部18は、近位頭部18及び遠位シャフト20は受け部材14に対して旋回することができる、ボールとソケットのような仕組みで受け部材14の遠位端32と係合する。骨アンカー12の近位頭部18の遠位面38及び受け部材14の遠位端32内の合わせ面は、この仕組みを容易にする任意の形状を有することができ、例えば、球状(図示されるように)、環状、円錐形、円錐台形、及びこれらの形状の任意の組み合わせが挙げられる。
【0019】
骨アンカー12の遠位シャフト20は、骨に係合するように構成されてよく、例示の実施形態では、骨に係合する雄ねじ山40を含む。ねじ山の数、ピッチ、外径及び内径、並びにねじ山の形状を含む遠位シャフト20のねじ山形態は、骨との接続を促進するように選択できる。例示的なねじ山形態は、2011年5月18日付け出願の米国特許出願公開第2011/0288599号、及び2012年8月22日付け出願の米国特許出願公開第2013/0053901号に開示され、双方の開示内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。ねじ山のある遠位シャフト20が図示されているが、遠位シャフトは、骨に係合するための他の構造(フックを含む)を有し得る。例えば、最小侵襲性の処置でガイドワイヤー上での骨アンカーの送達を容易にするために、骨アンカー12の遠位シャフト20は、骨アンカーの長さに延びる中央通路又は内腔72を有するカニューレを設けられてもよい。例えば、閉止機構16、受け部材14、及び圧迫部材60(以下で論ずる)を含む骨アンカー組立体10の他の構成要素は、ガイドワイヤー又はスタイレットに沿った送達を可能にするために、カニューレが設けられる、あるいは開口部を有することができる。骨の内殖を可能にする、又は骨セメント若しくは他の材料が骨アンカー12を通って分配されることを可能にするために、遠位シャフト20は更に、内腔72と連通する1つ又は2つ以上の側壁開口部又は開窓を含むことができる。側壁開口部は、内腔72から遠位シャフト20の側壁まで放射状に延在することができる。骨セメントを骨アンカー組立体10に送達するための例示的なシステム、及びセメントの送達を容易にするための骨アンカーの代替形態は、2009年10月29日出願の米国特許出願公開第2010/0114174号に説明されており、その開示内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。骨アンカー12の遠位シャフト20はまた、例えば、ハイドロキシアパタイト等の骨の成長を可能にする物質で被覆されることができ、骨アンカー組立体10は、例えば、トリクロサン等の抗感染物質で、部分的に又は完全に被覆されることができる。
【0020】
骨アンカー12に連結する受け部材14は、近位端26に離間して配置された一対のアーム28A、28Bを含み、これらは脊椎固定要素(例えば、脊椎ロッド22)を受け取るためにその間にU字型の凹部30が画定されている。アーム28A、28Bはそれぞれ、受け部材14の遠位端32から自由端まで延在することができる。アーム28A、28Bのそれぞれの外面は、受け部材14の器具への接続を容易にするために、例えば、凹部、くぼみ、ノッチ、突出部などの特徴を含むことができる。例えば、各アーム28A、28Bの外面は、アームのそれぞれの自由端でアーチ形の溝を含むことができる。そのような溝は、2007年2月20日付けで発行の米国特許第7,179,261号により詳細に説明され、その開示内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0021】
受け部材14の遠位端32は、骨アンカー12の少なくとも一部分が通って延在する円形の開口部を画定する一般に環状の形状の遠位端面34を含む。例えば、骨アンカー12の遠位シャフト20は、開口部を通って延在できる。
【0022】
骨アンカー12は、受け部材14に対して選択的に固定されることができる。固定前に、骨アンカー12は、受け部材の遠位端32と骨アンカー12の近位頭部18との幾何学形状によって一般に画定される角度の錐面内で、受け部材14に対して可動である。骨アンカー12は、例えば、2005年12月13日付けで発行の米国特許第6,974,460号、及び2004年5月18日付けで発行の同第6,736,820号に開示されるような、フェイバードアングルスクリューであることができ、双方の開示内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。あるいは、骨アンカー組立体は、骨アンカーがすべての方向に同じだけ旋回する、先行の(付勢されていない)多軸ねじであり得る。
【0023】
脊椎固定要素(例えば、脊椎ロッド22)は、骨アンカー12の近位頭部18と直接接触することができるか、又は中間要素(例えば、圧迫部材60)と接触することができる。圧迫部材60は、受け部材14内で、脊椎ロッド22と骨アンカー12の近位頭部18との間に介在して位置付けられ、近位頭部18の遠位外面38を、受け部材14の遠位内面と直接固定した係合に圧迫することができる。圧迫部材60は、脊椎ロッド22を受け取るためにU字型の座面64を画定する、離間して配置された一対のアーム62A、62B、及び骨アンカー12の近位頭部18と係合するための遠位面66を含むことができる。
【0024】
受け部材14の近位端26は、受け部材14のアーム28Aと28Bとの間に位置付け可能であり、かつアーム28A、28Bと係合する、閉止機構16を受け取るように構成されることができる。閉止機構16は、受け部材14内で脊椎固定要素(例えば、脊椎ロッド22)を捕獲し、受け部材14に対して脊椎ロッド22を固定し、かつ受け部材14に対して骨アンカー12を固定するように構成されることができる。閉止機構16は、受け部材14のアーム28A、28Bに設けられ内ねじ山42と係合するように外ねじ山を有する、単一の締め付けねじであり得る。しかしながら、他の実施形態において、閉止機構16は、圧迫部材60に作用するように動作可能な外締め付けねじ、及び脊椎ロッド22に作用するように動作可能な内締め付けねじを含むことができる。
【0025】
骨アンカー組立体10は、剛性脊椎ロッド22のような脊椎固定要素と共に用いることができる。あるいは、脊椎固定要素は、器具が植え込まれた脊椎骨の間の制御された運動性を可能にする動的安定化部材(例えば可撓性又は選択的可撓性部材)であり得る。
【0026】
使用時に、骨アンカー組立体10は、遠位シャフト20が受け部材14の遠位端32の開口部を通って延在し、骨アンカー12の近位頭部18が受け部材14の遠位端32に受け取られるように、組み立てられ得る。圧迫部材60のアーム62A、62Bが受け部材14のアーム28A、28Bと整合し、圧迫部材60の下面が骨アンカー12の近位頭部18と接触するように、圧迫部材60は、受け部材14内に位置付けられることができる。ドライバー工具は、圧迫部材60を貫通して延在してよく、骨アンカー12を骨に打ち込むために、骨アンカー12に備え付けられることができる。脊椎固定要素(例えば、脊椎ロッド22)は、受け部材14の凹部30に位置することができる。閉止機構16は、受け部材14のアーム28A、28Bに設けられた内ねじ山42と係合され得る。ねじり力が閉止機構16に加えられ、凹部30内で閉止機構16を動かすことができる。その結果、脊椎ロッド22が押されて圧迫部材60と係合し、次に、圧迫部材60が骨アンカー12の近位頭部18の上に押され、それによって、受け部材14に対して脊椎ロッド22が固定され、受け部材14に対して骨アンカー12の角度位置をロックさせる。
【0027】
本明細書で開示される手術用器具は、上述のタイプの骨アンカー組立体、又は当技術分野では公知である他のタイプの骨アンカー組立体と一緒に動作するように構成することができる。上述のように、骨アンカー組立体10は、単軸ねじ、多軸ねじ、ユニプレーナ型ねじ、骨フック、フェイバードアングルスクリュー、及び/又は、当技術分野では公知である任意の様々な他のタイプの骨アンカーであり得ることが理解されるであろう。フェイバードアングルスクリューの更なる情報は、2012年10月9日付け出願の米国特許出願第13/648,184号に見出すことができ、その開示内容は参照によって本明細書に組み込まれる。更なる例示的な骨ねじは、2017年6月27日付け出願の「Bone Screw」と題する米国特許出願第15/633,969号に開示されている。
【0028】
挿入器具
一般に、骨アンカー組立体を骨に打ち込むための様々な挿入器具が提供される。挿入器具は一般に、ハンドル組立体と、骨アンカー組立体に連結するためにそれ自体から遠位側に延出する細長いシャフトとを含む。この器具は、その中にスタイレットを受容するように構成され得、ハンドル組立体は、スタイレットの位置決めを制御するように構成されてよい。具体的には、ハンドル組立体は、細長いシャフトに連結された骨アンカー組立体に対するスタイレットの軸方向位置を調節することができるよう構成され得る。ハンドル組立体は、骨アンカー組立体を骨に挿入している間に、骨アンカー組立体に対してスタイレットを近位側に動かすよう構成することもできる。そのようなスタイレットの動きは、ハンドルの一部分の回転に応じて自動的に起こり、骨アンカー組立体を骨に打ち込むことができる。そのような構成は、骨アンカー組立体を前進させている間、スタイレットの骨内への更なる挿入を阻止できるため、特に有利である。
【0029】
更に、挿入器具のいくつかの実施形態は、複数の所定の固定位置のうちの1つにおいてスタイレットを解放可能に保持できるキャリアー組立体を含む。例えば、複数の予め画定された固定位置のうちの1つにおいてスタイレットをキャリアーに連結することによって、予め画定された長さのスタイレットは、挿入器具の細長いシャフトの遠位端から延在できる。予め画定された長さは、挿入器具によって骨に挿入される特定寸法の骨アンカー組立体に対応し、かつ最適であり得る。本明細書で開示される器具は、様々な構成を有し得ること、及び、様々な実施形態に開示されている様々な特徴が互換可能であることが、当業者には理解されよう。
【0030】
図2A及び2Bは、骨アンカー組立体を骨に打ち込むための手術用器具100の例示的な一実施形態を示す。この手術用器具は、それ自体から遠位側に延出する細長いシャフト102を有するハンドル組立体106と、ハンドル組立体106及び細長いシャフト102を貫通して延在するスタイレット104とを含み得る。細長いシャフト102は、骨アンカー組立体に嵌合するよう構成することができ、ハンドル組立体106は、骨アンカー組立体を骨に打ち込み、かつ、骨アンカー組立体を骨に打ち込む前及び最中の両方においてスタイレットを操作するよう構成することができる。
【0031】
細長いシャフト102は様々な構成を有し得るが、一般に、シャフト102は、ハンドル組立体に連結するための近位端108と、骨アンカー組立体に嵌合するための遠位端110とを含む。シャフト102の長さは変動し得るが、シャフトは好ましくは、遠位端110を患者の体内の骨近くに配置する際に、ハンドル組立体を患者の体内の外側に配置するのに十分な長さを有する。骨アンカー組立体との嵌合を促進するために、細長いシャフト102の遠位端110は、それ自体の表面に形成された嵌合機構112を含み得る。嵌合機構112は、細長い本体102に沿った任意の場所(例えば遠位端110)に形成することができ、骨アンカー組立体(例えば、
図1A~1Bに関して上述したタイプの骨アンカー組立体)と係合するように構成することができる。嵌合機構112は、骨アンカー組立体の受け部材内に形成された、対応するねじ山と係合するように構成されたねじ切り部分113を含むことができる。嵌合機構112は、ねじ切り面113の遠位に配置され、かつ駆動ソケット、又は、受け部材内に配置された骨アンカーの近位面と係合するように構成された、先端124を更に含むことができる。先端124は、ねじ切り部分113の直径より小さい直径を有することができる。嵌合機構112は更に、骨タップと係合するように構成することができ、あるいは、骨タップは細長いシャフト102と一体形成することができる。骨アンカー組立体に連結され得る延長スリーブ又は保護スリーブを係合及び安定させるために、1つ又は2つ以上の拡大した直径の隆起126又は領域が、細長いシャフト102の長さに沿って形成され得る。
図2Bに示すように、骨アンカー組立体はブレークオフ延長部125を含み、これは、締め付けねじの挿入の際に送達カニューレとして機能することができ、また手順の終了時に折って取り除くことができる。
【0032】
細長いシャフト102は、それ自体の中を少なくとも部分的に貫通して延在する穴を有するカニューレ状の近位部分と、相対するタブ136を画定してそれ自体の中に形成される1つ又は2つ以上のスロットとを含み得る。このスロットは、近位部分の一部分のみを貫通して延在してよく、これによって相対するタブ136はそれらの近位端で連結されるか、又は、このスロットは、図示の実施形態に示すように、近位部分の全長を貫通して延在し得る。このスロットは、後述のように、キャリアーの並進運動を可能にするのに必要となり得る任意の長さを有し得ることが、当業者には理解されよう。図示の実施形態において、タブ136は、概ね円筒形の形状を有し得、キャリアーを受容するための中空の概ね円筒形の内腔を画定し得る。各タブ136の遠位端は、細長いシャフト表面に形成された近位フランジ143により画定された取り付け表面上に取り付けることができ、かつこの取り付け表面から延出していてよく、相対するタブ136それぞれの近位端は、近位ハンドル120の遠位端と嵌合することができ、これにより近位ハンドル120の回転が、細長いシャフト102を効果的に回転させる。具体的には、各タブ136の近位端は、後述するように、近位ハンドル120の遠位端内に受容されるような寸法にすることができ、例えば接着剤、溶接、ねじ、他は任意の他の嵌合機構を用いて、そこに固定的に嵌合させることができる。例示的な一実施形態において、ねじ(図示なし)は、近位ハンドル120内に形成された対応するねじ山と係合するよう、相対するタブ136の近位端の外側表面に形成される。タブが接続されていない場合、支持カラー138を所望により、相対するタブ136の近位部分内に配置することができ、これにより相対するタブの内向きの半径方向の動きを阻止し、かつ、
図2Bに示すように、相対するタブ136と近位ハンドル120との間のねじ接続を維持することができる。しかしながら、1つ又は2つ以上の様々な機構を使用して、細長いシャフト102の任意の部分(例えば相対するタブ136)を近位ハンドル120に接続することができる。加えて、本明細書では相対するタブ136として記述されているが、細長いシャフト102の近位端は、様々な形状及び寸法を含む様々な構成を有し得る。好ましくは、近位端は、管腔と少なくとも1つのスロットとを有する本体の形態であり、本体の形状は、その回りに配置されるハンドルの形状に基づいて決定され得るよう可変である。任意の数の様々な特徴及び構成を、細長いシャフト102の近位端に含めることができ、これは相対するタブ136に限定されない。
【0033】
上述のように、ハンドル組立体106は細長いシャフト102の近位端108に隣接して配置することができ、近位ハンドル120及び遠位ハンドル122を含み得る。ハンドル組立体106は、ユーザー(例えば外科医)がハンドル組立体106の一部を掴み、手術用器具100を操作できるような配置及び寸法にすることができる。近位ハンドル及び遠位ハンドル120、122はそれぞれ様々な構成を有し得るが、図示の実施形態において、各ハンドル120、122は概ね細長い円筒形形状を有し、
図2Bに示すように、その中を貫通して延在する内腔を備えたカニューレ状になっている。各ハンドル120、122は、それ自体の表面に形成された把持機構(例えばこぶ又はその他の表面形状など)を含んでよく、これにより装置の把持を促進することができる。近位ハンドル120は、細長いシャフト102の近位端108に連結することができ、かつ、例えば嵌合機構112に連結された骨アンカー組立体を骨に打ち込むために、細長いシャフト102を回転させるよう構成することができる。具体的には、上述のように、相対するタブ136の近位端にあるねじ山又はその他の嵌合機構が、近位ハンドルの内腔の遠位部分内に形成されたねじ山147に嵌合し得る。
【0034】
図2Bに示すように、近位ハンドル120の内腔は、細長いシャフト102の近位端で、相対するタブ136の最も近位位置の端部分又は延長部分145を受容するための、遠位部分に沿った膨らんだ直径の領域を含む。遠位ハンドル122は、近位ハンドル120のすぐ遠位側に位置付けられ得、細長いシャフト102の近位部分の周囲に可動的に配置され得る。具体的には、
図2Bに示すように、遠位ハンドル122は細長いシャフト102の相対するタブ136の周囲に配置することができ、少なくとも細長いシャフト102に対して自由に回転するよう構成することができる。細長いシャフト102の近位フランジ143は、近位ハンドル120と細長いシャフト102とに対する、遠位ハンドル122の並進運動を阻止するのを支援し得る。相対するタブ136の周囲への遠位ハンドル122の取り付けを促進するために、遠位ハンドルを貫通して延在する内腔は、相対するタブ136の外径よりもわずかに大きい直径を有し得る。更に
図2Bに示すように、遠位ハンドル122は、その中に形成され、かつ遠位ハンドル122を貫通して延在する内腔の少なくとも一部分又は全長に沿って延在する、内側ねじ山134を含み得る。内側ねじ山134は、後述するように、キャリアー表面のねじ山と嵌合し得る。使用中、近位ハンドル及び遠位ハンドル120、122はそれぞれ、一方のハンドルを静止状態に保持したまま、互いに対して回転させることができる。近位ハンドル120の回転により、シャフト102が回転して、骨アンカー組立体を骨に打ち込み、また遠位ハンドル122の回転により、細長いシャフト102に対するスタイレット104の位置決めを支援することができ、例えばこれにより、下記で詳しく述べるように、スタイレット104の長さを、細長いシャフト102の遠位端110から延出させることができる。
【0035】
近位ハンドル120が細長いシャフト102を回転させるよう構成され、また遠位ハンドル122が細長いシャフト102に対してスタイレット104を軸方向に並進運動させるよう構成されているものとして記述されているが、他の実施形態では、近位ハンドル120が細長いシャフト102に対してスタイレット104を軸方向に並進運動させるよう構成することができ、また遠位ハンドル122が細長いシャフト102を回転させるよう構成することができる。
【0036】
引き続き
図2A及び2Bを参照して、手術用器具100は更に、ハンドル組立体106内に可動的に配置されたキャリアー130を含むことができる。キャリアー130は、後述するように、スタイレットに連結するよう構成することができ、使用中、キャリアーは、細長いシャフト102に連結された骨アンカー組立体に対するスタイレットの位置決めを促進することができる。
【0037】
キャリアー130は様々な構成を有し得るが、図示の実施形態において、キャリアー130は、概ね円筒形の形状を有し、その中を貫通して延在する内腔を備えたカニューレ状になっている。
図2Bに示すように、キャリアー130は相対するタブ136内にスライド可能に配置され得る。よってキャリアー130は、相対するタブ136により画定される管腔の内径よりも小さい外径を有し得、これによりキャリアーをその中に配置することが可能になる。キャリアー130は、キャリアー130の外面に形成された1つ以上のねじ機構132を含み得、ねじ機構132は遠位ハンドル122の内面に位置する内側ねじ山134に係合する。
図2Bに示すように、キャリアー130は、その相対する側面に形成された第1及び第2のねじ機構を含み、これらはキャリアーの周囲の円周にわたって完全には延在してはおらず、相対するねじ機構は、相対するタブ136の相対するスロット140内に受容される。よって、キャリアー130の外面の一部分はねじ切りされておらず、かつ、例えば、キャリアー130が近位方向又は遠位方向にスタイレット104を並進運動させて動かすとき、相対するタブ136の内壁に沿って又は隣接してスライドするよう構成されていてよい。1つ以上のスロット140によって、キャリアーの相対する側面に形成された1つ以上のねじ機構132が、その中を貫通して延在し、かつ遠位ハンドル122の内側ねじ山134に係合できるようになる。そのような構成によって、ねじ山134、そしてすなわちキャリアー130は、遠位ハンドル122の回転に応じて、相対するタブ136に沿って軸方向に並進運動でき、時に、相対するタブ136に対する、すなわち細長いシャフト102に対するキャリアーの回転を阻止する。その結果、近位ハンドル120がユーザーによって静止状態に保持され、遠位ハンドル122が回されたときに、遠位ハンドル122のねじ山134は、キャリアー130のねじ機構132と相互作用して、キャリアー130を、相対するタブ136に沿いかつ細長いシャフト102に対して、軸方向に並進運動させる。加えて、遠位ハンドル122が静止状態に保持され、近位ハンドル120が回されたときに、相対するタブ136は、近位ハンドル120と協調して回転し、キャリアー130を回転させる。これにより、遠位ハンドル122のねじ山とキャリアーのねじ機構132との間の相互作用によって、キャリアー130は、相対するタブ136に沿って、すなわち細長いシャフトに対して、軸方向に並進運動する。
【0038】
いくつかの実施例において、キャリアー130と遠位ハンドル122のねじ山ピッチは、骨ねじのねじ山ピッチと同じであり得る。しかしながら、キャリアー130及び遠位ハンドル122のねじの方向は、好ましくは、骨ねじのねじ山の方向に比べて反対である。そのような構成によって、骨ねじは、後述するように、スタイレットを引き込むのとほぼ同じ速度で、骨内へと前進することができる。ねじ山ピッチの反転によって更に、近位ハンドル120が第1方向(例えば時計回り)に回転して骨ねじを骨内へ打ち込むことができ、同時に、遠位ハンドルの第2方向(例えば反時計回り)の回転は、遠位ハンドル122を通ってキャリアー130とスタイレットを遠位方向へ効果的に前進させる。他の実施形態において、キャリアー130と遠位ハンドル122のねじ山ピッチは、骨ねじのねじ山ピッチとは異なっていてよく、これによって、骨ねじの挿入速度よりも大きいか又は小さい速度でのスタイレットの動きがもたらされ得る。加えて、スロット140は約30ミリメートル~約60ミリメートル延在し得る。よって、これによりキャリアー130とスタイレット104は、約30ミリメートル~約60ミリメートルの距離、並進運動することができる。しかしながら、スロット140は様々な長さで延在してよく、本明細書に記述される例に限定されるものではない。
【0039】
遠位ハンドル122内でのキャリアー130の動きは、上述のように、それ自体に連結されたスタイレットの対応する動きを引き起こし得る。
図2A及び2Bは、骨内への挿入を促進するための尖った遠位先端を備えた、概ね細長い構成を有するスタイレット104を図示している。上述のとおり、スタイレット104又はガイドワイヤーは、多様な構成を有し得る。
図2A及び2Bに示すように、キャリアー130は、キャリアー130の長さに沿って延在し、スタイレット104がその中を貫通して延在できるように構成されている内腔144を有する。スタイレット104は、キャリアー130上に一体形成されてよく、またキャリアー130から遠位側に延出してもよく、あるいは、例えば嵌合要素(例えば締め付けねじ)の支援を得てキャリアーに着脱自在に嵌合されてもよい。例えば、嵌合要素は、キャリアー130からある方向に延在するスタイレット104の長さを変えることを可能にする。図示の実施形態において、キャリアー130は、その側壁を径方向に貫通して延在するねじ切りされた貫通穴146を含み得、これが、キャリアー130内に前進し得る締め付けねじ142を受容することができ、これによって、スタイレット104がキャリアーの内腔144内に係合かつ固定される。加えて、ハンドル組立体106(例えば遠位ハンドル122)は貫通穴148を含んでよく、これによって、工具を貫通穴に挿入することができ、かつ、キャリアー130に対するスタイレット104の軸方向位置を調節するために締め付けねじにアクセスすることができる。例えば、キャリアー130に対するスタイレット104の位置を調節すると、細長いシャフト102に連結された骨アンカー組立体の遠位端110から延出し得るスタイレット104の長さに影響し得る。例えば、スタイレット104の遠位側への並進運動によって、細長いシャフト102の遠位端110から延出するスタイレットの長さを増加させることができ、また、スタイレット104の近位側への並進運動によって、細長いシャフト102の遠位端110から延出するスタイレット104の長さを減少させることができる。
【0040】
図3は、スタイレット204がキャリアー230と共に一体形成されていること以外、
図2A及び2Bの実施形態と同一である、骨アンカー組立体を骨に打ち込むための手術用器具200の一実施形態を示す。
図3に示すように、スタイレット204はキャリアー230と一体、つまりモノリシックであり、キャリアー230の遠位端から遠位方向に延出している。この実施形態において、スタイレット204は細長いシャフト202に対して並進運動し得るが、スタイレット204はキャリアー230に対しては並進運動できない。このように、キャリアー230が遠位ハンドル222に対して最も遠位位置にあるときの、細長いシャフト202の遠位端210から延出し得るスタイレット204の最大長さは、調節することができない(すなわち、長くしたり短くしたりすることができない)。
【0041】
図4は、骨アンカー組立体を骨に打ち込むための手術用器具300の別の例示的な一実施形態を示す。
図4の器具300は、スタイレット304がキャリアー330と螺合係合していること以外、
図2A及び2Bの実施形態と同一である。例えば、スタイレット304は、スタイレット304の近位部分に沿ってねじ山350を含み得る。加えて、キャリアー330は貫通穴352を含んでよく、この貫通穴の少なくとも一部分がねじ山を含み、これがスタイレット304に沿ったねじ山350と螺合係合している。更に、例えば、スタイレット304が、キャリアー330内を通って深く進みすぎるのを防ぐ、又は係合が外れるのを防ぐために、貫通穴352は複数の直径を有するか(例えば陥凹穴)、又は全体にわたってねじ切りされていなくてもよい。このように、スタイレット304の近位端はキャリアー330の貫通穴352を通って通過することができ、スタイレット304のねじ切り部分は、スタイレット304がキャリアー330に固定されるまで、キャリアー330に螺合係合され得る。スタイレット304がキャリアー330にいったん固定されると(例えば手術用器具の製造中など)、スタイレット304は、細長いシャフト302に対して並進運動し得るが、スタイレット304はキャリアー330に対しては並進運動できない。このように、キャリアー330が遠位ハンドル322に対して最も遠位位置にあるときの、細長いシャフト302の遠位端310から延出し得るスタイレット304の最大長さは、調節することができない(すなわち、長くしたり短くしたりすることができない)。
【0042】
図5A~5Gは、骨アンカーを骨に打ち込むための手術用器具400の更に別の例示的な一実施形態を示す。
図5A~5Gの器具400は、手術用器具400が、スタイレット404をキャリアー430に連結するのを支援し得るスタイレットホルダー460を含むこと以外、
図2A及び2Bの実施形態と同一である。スタイレットホルダー460は、スタイレットホルダー460の長さに沿った貫通穴462を含み得、スタイレット404は、貫通穴462の一部分にスライド可能に係合するよう、又はこれに固定されるよう、貫通穴462を貫通して延在し得る。スタイレットホルダー460は、スタイレットホルダーの遠位端又は近位端のいずれかに搭載するか及び/又はこれから除去することができる。下記でより詳しく述べるように、スタイレット404とスタイレットホルダー460との係合は、キャリアー430に対するスタイレットホルダー460の位置決めに依存し得る。
【0043】
スタイレットホルダー460は概ね円筒形の形状を有し得るが、外径はその外側部分に沿って変化し得る。図示のように、スタイレットホルダー460は、支持カラー438内に受容されるような寸法にされた近位側のねじ切りのない円筒形部分と、ねじ切りのある部材461及びクランプ機構464を有する遠位部分とを含む。この遠位部分は、キャリアー430内に受容されるように構成され、これにより、スタイレットホルダー460の外側表面に沿って形成されたねじ切りのある部材461が、キャリアー430のねじ切りのある穴432と螺合係合する。クランプ機構464は、相対するアームを画定する、スロットのある先細のノーズ形状であり、これはスタイレットと係合するよう径方向内向きに圧縮可能である。このアームは、最も遠位側の端に向かって径方向内向きに先細になっている。
【0044】
使用中、スタイレットホルダー460は、キャリアー430に対して第1位置(ロック解除)と第2位置(ロック状態)との間で可動であり得る。例えば、第1位置において、スタイレットホルダー460は、多くて、キャリアー430と部分的に螺合係合され得る。加えて、スタイレットホルダー460が第1位置にあるとき、スタイレットホルダー460のクランプ機構464はキャリアーと係合していない。スタイレットホルダー460のクランプ機構464が、キャリアー430と係合していないとき、クランプ機構464はスタイレット404の回りを圧迫せず、これによりスタイレット404は、スタイレットホルダー460内で軸方向にスライド可能に動くことができる。
【0045】
第2位置において、スタイレットホルダー460は、キャリアー430のねじ切りのある穴432内に完全にねじ込まれ、これによりスタイレットホルダー460のクランプ機構464は、キャリアー430内に形成された先細穴434内に受容される。スタイレットホルダー460のクランプ機構464が、キャリアー430の先細穴434と係合しているとき、先細穴434は、クランプ機構464のアーム同士を互いに向かいかつスタイレット404の周囲で圧縮させ、これによりスタイレットホルダー460はスタイレット404と堅固に係合し、これによって、スタイレットホルダー460とは独立にスタイレット404が軸方向に並進運動するのを阻止する。
【0046】
スタイレットホルダー460は、スタイレットホルダー460とキャリアー430との間の螺合係合により、キャリアー430内に前進し得る。加えて、スタイレットホルダー460は、工具係合機構466(例えば凹んだ六角形状)を含んでよく、これにより工具(例えば突出した六角形状)がスタイレットホルダー460に係合してこれを(例えばキャリアー430に対して)回転させることができる。例えば、スタイレットホルダー460は、キャリアー430に対して第1方向(例えば時計回り)に回転するように力がかけられ得、これによりスタイレットホルダー460を第2位置に動かす。加えて、スタイレットホルダー460は、キャリアー430に対して第2方向(例えば反時計回り)に回転するように力がかけられ得、これによりスタイレットホルダー460を第1位置に動かす。
【0047】
図5A~5Cは更に、近位ハンドル420と遠位ハンドル422との間に配置されたリング463を示す。このリングは、本明細書で開示される任意の実施形態と共に利用することができ、位置決め装置(例えば、手術手順中にナビゲーションを促進するのに利用する3次元センサーアレイなど)のためのホルダーとして機能する。図示のように、リング463は概ね環状の形状であり、位置決め装置との係合のためにその中に形成された穴465(例えばねじ切りのある穴)を含む。
【0048】
図5Dは、スタイレットの位置を調節し、第1位置と第2位置との間でスタイレットホルダーを動かすのに使用できる工具の一実施形態を示す。図示されている工具は、本明細書に記述される任意の装置と共に使用できることが、当業者には理解されよう。
図5Dに示すように、この工具は、スタイレット404の近位端と嵌合するよう構成されている位置決めハンドル480を含み得る。位置決めハンドル480によりユーザーは、例えば、スタイレットホルダー460が第1位置にあるとき、スタイレット404の遠位端を、スタイレットホルダー460を通して前進させることができる(すなわち、スタイレット404は、スタイレットホルダー460に対して並進運動できる)。加えて、位置決めハンドル480の遠位端は、スタイレットホルダー460の工具係合機構466に係合可能な工具機構482(例えば突出した六角形状)を有し得る。このように、スタイレット404を、少なくともスタイレットホルダー460を通して前進させた後、位置決めハンドル480がスタイレットホルダー460の工具係合機構466に係合して、スタイレットホルダー460をキャリアー430に対して回転させ、キャリアー430と共に第2位置を形成することができる(すなわち、スタイレットホルダー460はスタイレット404と堅固に係合する)。
【0049】
図5E~5Gに示すように、位置決めハンドル480は、位置決め機構486の少なくとも一部分を包囲する外側本体484を含み得る。スタイレット404は位置決め機構486の遠位端から延出し、外側本体484の遠位端を通って外に出ることができる。位置決め機構486は押しボタン488を含み得、これを押し込むと、外側本体484から位置決め機構486を係合解除することができ、これによって位置決め機構486とスタイレット404が、外側本体484に対して並進運動可能になる。このように、位置決め機構486は、スタイレット404が位置決めハンドル480から延出する長さを変えることができ、またこれは、細長いシャフト402から遠位側に延出し得るスタイレット404の長さを変えることもできる(例えば、位置決めハンドル480がスタイレット404をスタイレットホルダー460に連結した後)。本明細書では押しボタン488として記述されているが、外側本体484から位置決め機構486を係合解除するための様々な機構(例えば、スライド機構又はねじ機構など)を任意の数使用することができる。
【0050】
いくつかの実施形態において、押しボタン488は、たくさんの係合位置490で、位置決めハンドル480の外側本体484を係合させることができる。加えて、係合位置490又は位置決め機構486のいずれかが、マークを含んでよく、これはユーザーに対し、細長いシャフト402に取り付けられた(又は取り付けられる予定の)骨アンカーのタイプ(例えば長さ)に基づいて、細長いシャフト402から延出するスタイレット404のおよその長さについて知らせることができる。例えば、外側本体484はウィンドウ494を含んでよく、これは、位置決め機構486の表面に形成された複数のマーク(例えば数)のうち1つを表示する。各マークは、細長いシャフト402の最も遠位位置の端を超えて遠位側に延在するスタイレット404の長さに対応してよい。加えて、このマークは、器具と共に使用する様々な骨アンカーの長さに対応することができ、これによりユーザーは、適切な骨アンカーを選び、選択した骨アンカーに基づいて、細長いシャフト402に対してスタイレット404を調節することができる。例えば、ユーザーは、患者に移植するのに45ミリメートルの骨アンカーを選択することができる。ユーザーは次に、位置決めハンドル480を設定し(例えば、押しボタン488を押して、位置決め機構486を動かすことにより)、これによってマーク(例えばウィンドウ494に表示されるもの)は、スタイレット404が、細長いシャフト402に対して、又は、手術用器具400に取り付けられた45ミリメートル骨アンカーに対して、適切に配置されていることを示す。この位置において、スタイレット404先端の所定の長さ(例えば約1ミリメートル~約30ミリメートル)が、細長いシャフト402に取り付けられた骨アンカーの最も遠位位置の端を超えて、遠位側に延在し得る。
【0051】
加えて、スタイレット404を細長いシャフト402に対して最初に位置決めした後、ユーザーは引き続き、細長いシャフト402とそれに取り付けられた骨アンカーに対するスタイレット404の配置を観察することができる。例えば、図示されてはいないが、いくつかの実施形態において、スタイレットホルダー460は近位側延長を含んでよく、これは、細長いシャフト402又は骨アンカーを超えて遠位側に延在するスタイレット404の長さに対応するマークを含み得る。加えて、近位ハンドル420は1つ又は2つ以上の視認ウィンドウ423を含み得、これによりユーザーは、細長いシャフト402又は骨アンカーの遠位端から延出するスタイレット404の長さを決定するために、スタイレットホルダー460の近位側延長に沿ってマークを視認することができる。本明細書ではマーク(例えば数字)を使用してユーザーにスタイレットの長さを示すものとして記述されているが、色、絵などの任意の数のしるしを使用することができる。
【0052】
使用中、スタイレットホルダー460が第1位置(ロック解除)にあるとき、ユーザーは位置決め機構486を操作して、スタイレット404を、スタイレットホルダー460に対して細長いシャフト402に沿って並進運動させることができ、これによって、細長いシャフト402の遠位端に連結された骨アンカー組立体から延出するスタイレットの長さを調節することができる。位置決めハンドル480の回転により、スタイレットホルダー460をキャリアー430内にねじ込むことができ、これによりスタイレットホルダー460を第2位置(ロック状態)に動かすことができる。例えば位置決めハンドル480とスタイレット404との間の滑り嵌め又はスナップ嵌めにより、位置決めハンドル480を除去することができ、スタイレット404は位置決めハンドル480から解放することができる。
【0053】
図6A及び6Bは、骨アンカー組立体を骨に打ち込むための手術用器具500の別の例示的な一実施形態を示す。手術用器具500は、細長いシャフト502、スタイレット504、及びハンドル組立体506を含み得る。細長いシャフト502は、近位端508及び遠位端510を有し得、遠位端501上に形成されかつ骨アンカー組立体に嵌合するよう構成された嵌合機構512を備え得る。細長いシャフト502は内腔を備えた中空状であってよく、この内腔は、細長いシャフト502を貫通し、その長さにわたって延在し得る。スタイレット504は、例えば内腔など、細長いシャフト502の少なくとも一部分を貫通して延在し得る。
【0054】
ハンドル組立体506は細長いシャフト502の近位端508に連結することができ、近位ハンドル520及び遠位ハンドル522を含み得る。ハンドル組立体506は、ユーザー(例えば外科医)がハンドル組立体506の一部を掴み、手術用器具500を操作できるような配置及び寸法にすることができる。この実施形態において、ハンドルは、前の実施形態に比べて逆になっている。具体的には、近位ハンドル520がスタイレットの位置を制御し、一方、遠位ハンドル522は、骨アンカー組立体を骨に打ち込むのに使用される。
【0055】
図示のように、遠位ハンドル522は、近位ハンドル520と、細長いシャフト502の近位端508との間に配置される。遠位ハンドル522は、細くなった直径領域を備えた近位部分を有し、これによりこの近位部分が、近位ハンドル520内に形成された穴525内に受容される。この近位部分は、その外側表面に形成されたねじ山592を含んでよく、これが、近位ハンドル520の遠位端内へと近位方向に延在する穴525の中に形成された、対応するねじ山590と係合することができる。遠位ハンドル522の遠位部分は、把持を促進するよう太くなっており、細長いシャフト502の近位端508を受容するための、それ自体の最も遠位位置の端に形成された穴527を含む。その結果、近位ハンドル520に対して遠位ハンドル520を回転させると、細長いシャフト502が回転する。更に図示されているように、近位ハンドル520内に形成されている穴525は、スタイレット504との嵌合のために、それ自体の最も近位位置の端に、細くなった直径領域529を含む。スタイレット504は、細くなった直径領域529内に螺合係合することができ、又は他の方法で固定的に係合され得る。このように、遠位ハンドル522に対する近位ハンドル520の回転は、スタイレット504を、細長いシャフト502に対して近位方向又は遠位方向に並進運動させることができる。更に、遠位ハンドル522の回転は、細長いシャフト502を回転させることができる。
【0056】
嵌合機構512は、細長いシャフト502の遠位端510に形成されてよく、骨アンカー組立体(例えば、
図1A~1Bに関して上述したタイプの骨アンカー組立体)と係合するように構成され得る。嵌合機構512は、骨アンカー組立体の受け膜内に形成された、対応するねじ山と係合するように構成されたねじ切り面を含むことができる。嵌合機構512は、駆動ソケット、骨アンカーの近位面、又は受け部材内に配置された圧迫キャップ(図示せず)と係合するように構成されたねじ切り面の遠位に配置された先端524を更に含むことができる。先端524は、ねじ切り部分の直径より小さい直径を有し得る。嵌合機構512は更に、骨タップに係合するように構成することができ、あるいは、骨タップは細長いシャフト502と一体形成することができる。骨アンカー組立体に連結され得る延長スリーブ又は保護スリーブを係合及び安定させるために、1つ又は2つ以上の拡大した直径の隆起526又は領域が、細長い本体の長さに沿って形成され得る。
【0057】
使用中、スタイレット504は、細長いシャフト502の内腔の長さに沿って並進運動でき、細長いシャフト502の遠位端510から延出することができる。加えて、内腔に沿ったスタイレット504の並進運動により、細長いシャフト502の遠位端510から延出する(及び具体的には、細長いシャフトに連結された骨アンカー組立体の遠位端から延出する)スタイレット504の長さを、変えることができる。例えば、スタイレット504の遠位側への並進運動によって、骨アンカー組立体から延出するスタイレットの長さを増加させることができ、またスタイレット504の近位側への並進運動によって、骨アンカー組立体から延出するスタイレット504の長さを減少させることができる。近位ハンドル522が完全に螺合係合しているとき、
図6Bに示すように、スタイレットは骨アンカー組立体から完全に延出し、最大の長さとなる。
【0058】
図7は、手術用器具の細長いシャフト(例えば、上述した
図6A及び6Bに示されている手術用器具500の細長いシャフト502)の一部分にわたって配置された保護スリーブ600の一実施形態を示す。保護スリーブ600は、例えば神経モニタリングナビゲーション等の神経伝達手順で支援され得る。保護スリーブは、少なくともスタイレットを絶縁できる絶縁体として機能することができる。非限定的な例として、保護スリーブは、1つ又は2つ以上の放射線不透過性及び放射線透過性材料から形成され、かつ、放射線不透過性マーカーを含み得る。
【0059】
図8は、手術用器具の細長いシャフト(例えば、上述した
図4に示されている手術用器具300の細長いシャフト302)の一部分にわたって配置された保護スリーブ600の別の一実施形態を示す。保護スリーブ600は、
図7及び8に示されている手術用器具300及び500に連結されるものとして示され記述されているが、任意の数の手術用器具(本明細書で開示される任意のものを含む)が、保護スリーブ600と連結され得る。
【0060】
図9A~9Gは、骨アンカー組立体を骨に打ち込むための手術用器具700の別の例示的な一実施形態を示す。手術用器具700は、骨アンカー組立体に嵌合するように構成されている遠位端710を有する細長いシャフト702と、細長いシャフト702の近位端に連結された駆動管707と、駆動管707の遠位部分上に回転可能に位置付けられた遠位ハンドル722と、を含み得る。
図9B及び
図9Cに示すように、パームハンドル720a又はTハンドル720b等の近位ハンドル720を駆動管707の近位部分に嵌合させることができる。以下でより詳しく述べるように、遠位ハンドル722の回転は、手術用器具700を通って延在するスタイレットの位置決めを容易にすることができ、近位ハンドル720の回転は、駆動管707及び細長いシャフト702の回転を引き起こし、それによって骨アンカー組立体をスタイレットに沿って骨に打ち込む。
【0061】
図9Dに示すように、駆動管707は、近位部分750と、対向するスロット755によって分離される2つの脚部754を有する遠位ステム752と、を含み得る。フランジ756は、近位部分750と遠位ステム752との間で駆動管707から半径方向外側に突出し得る。細長いシャフト702の近位端708は、遠位ステム752の遠位端を受容し、これに固定的に嵌合するように構成されているシャフトハウジング758を含み得る。例えば、シャフトハウジング758は、細長いシャフト702の長手方向軸に対してほぼ垂直に延在するねじ貫通孔と螺合係合される止めねじ759を含み得る。遠位ステム752の遠位端がシャフトハウジング758と係合されるとき、止めねじ759は、遠位ステム752に向かって螺合前進させられて、駆動管707を細長いシャフト702に固定的に嵌合し得る。遠位ステム752は、止めねじ759の一部を受容し、遠位ステム752への止めねじ759の固定を支援するように構成されている止めねじ係合機構753を含み得る。駆動管707を細長いシャフト702に連結することで、例えば近位ハンドル720を使用して駆動管707を回転させて、細長いシャフト702の対応する回転を引き起こすことができる。
【0062】
遠位ハンドル722が駆動管707の遠位ステム752の周りに位置付けられている間、遠位ハンドル722は軸方向に並進運動できないが、駆動管707に対しては自由に回転できる。キャリアー730は、駆動管707の遠位ステム752内に受容され得る。キャリアー730は、その遠位部分の両側に形成された雄ねじ山732を含み得る。雄ねじ山732は、駆動管707の遠位ステム752に形成された対向するスロット755を通って延在し得、遠位ハンドル722内に形成された、対応する雌ねじ山733に係合し得る。結果として、キャリアー730は駆動管707の遠位ステム752に沿って並進運動でき、駆動管707から独立して回転することはない。キャリアー730と遠位ハンドル722との間の螺合係合により、遠位ハンドル722の回転は、キャリアー730を近位方向及び遠位方向に駆動できる。具体的には、駆動管707の遠位ステム752を中心とした遠位ハンドル722の時計回りの回転は、キャリアー730を遠位方向に並進運動させることができ、駆動管707の遠位ステム752を中心とした遠位ハンドル722の反時計回りの回転は、キャリアー730を近位方向に並進運動させることができる。逆に、遠位ハンドル722が静止状態に保持されている場合、例えば、近位ハンドル720のうちの1つを使用した、駆動管707の時計回りの回転は、遠位ハンドル722内でキャリアー730を回転させることができ、遠位ハンドル722との螺合係合は、キャリアー730を近位方向に並進運動させることができる。遠位ハンドル722が静止状態に保持されている間の駆動管707の反時計回りの回転は同様に、キャリアー730を回転させることができ、遠位ハンドル722との螺合係合は、キャリアー730を遠位方向に並進運動させることができる。
【0063】
図9D及び
図9Eに示すように、深さ調整器760は、駆動管707の近位部分内かつキャリアー730内に受容され得る。深さ調節器760は、スタイレット704(
図9Gに示す)に嵌合し、手術用器具700を使用して骨内に打ち込まれる骨アンカー組立体の選択された長さに基づいて、細長いシャフト702の遠位端710からの所定の距離においてスタイレット704の遠位先端を位置決めするように構成され得る。深さ調節器760がキャリアー730に嵌合されると、遠位ハンドル722内のキャリアー730の近位及び遠位方向の移動は、結果として、細長いシャフト702に対してスタイレット704を前進させ得る、及び引き込み得る。深さ調整器760は、深さ調整器760がキャリアー730に解放可能に連結されることを可能にする、雄ねじ山等の様々な連結機構を含み得る。更に、深さ調整器760のいくつかの実施例は、キャリアー730の近位端と嵌合する、深さ調整器760の連結機構の近位に位置付けられた肩部731を含み得、キャリアー730に対する深さ調整器760の位置を設定する。例えば、深さ調整器760は、深さ調整器760の肩部731がキャリアー730の近位端に当接するまでキャリアー730内へと螺合前進でき、それにより、キャリアー730内への深さ調整器760の更なる前進を阻止する。深さ調整器760はまた、キャリアー730からの深さ調整器760の係合解除を支援するために、工具が横穴741に係合できるようにする横穴741を、深さ調整器760の近位端に隣接して含み得る。例えば、横穴741は、スタイレット704が屈曲又は変形し、その結果として手術用器具700からスタイレット704を取り出すことがより困難になる等のとき、工具を引き抜いて、キャリアー730から深さ調節器760及びスタイレット704を取り出せるようにする。
【0064】
図9Fに示すように、深さ調節器760は、その長さに沿って延在し、スタイレット704の一部を中に固定できる、長手方向スロット762を含み得る。加えて、複数の予め画定された固定位置決め機構、つまりノッチ763は、深さ調整器760に沿って形成され得る。ノッチ763は、長手方向スロット762に沿って離間配置され得、ノッチ763のそれぞれは、手術用器具700を使用して骨内へと前進させられる、選択された骨アンカー組立体の長さに対応するマーク764と関連付けられ得る。いくつかの実施例では、ノッチ763は、様々な長さの骨アンカー組立体間の長さの差に対応する距離だけ離間され得る。各ノッチ763は、近位フランジ768等スタイレット704の連結機構と係合するように寸法決めされ得る。例えば、ノッチ763は、摩擦嵌合又は摺動嵌合によって近位フランジ768に係合する寸法及び形状であり得る。ノッチ763は、近位フランジがノッチ763と係合されるときに、深さ調整器760に対するスタイレット704の長手方向の移動を阻止する形状であり得る。
【0065】
深さ調整器760は、深さ調整器760の遠位端に摺動可能に配置される割スリーブ765を更に含み得る。割スリーブ765は、長手方向スロット762と位置合わせされ得る、又はずらされ得る間隙767を含み得、これは、深さ調節器760の遠位端の周りで割スリーブ765を回転させることによって制御され得る。リング766は、割スリーブ765を深さ調整器760上に維持するために割スリーブ765の遠位に配置され得る。
【0066】
図9Gに示すように、スタイレット704は、まず割スリーブ765の間隙767を深さ調整器760の長手方向スロット762と位置合わせすることによって、深さ調節器760内に装填され得る。次いで、スタイレット704の遠位端はリング766の中央開口部を通って前進させられ得、近位フランジ768は、深さ調節器760内のノッチ763のうちの1つに固定され得る。したがって、スタイレット704は、長手方向スロット762に沿って、かつリングを通って延在し得、近位フランジ768は、選択されたノッチ763内に固定される。深さ調節器760内のノッチ763のいずれか1つは、スタイレット704上のフランジ768を捕捉して、深さ調整器760に対するスタイレット704の長手方向の並進運動を阻止できる。ノッチ763のうちの1つに連結されるとき、スタイレット704は、細長いシャフト702の遠位端710から関連する所定の長さを延出し得、この長さは、埋め込まれる骨アンカー組立体のタイプに基づいて選択され得る。スタイレット704が深さ調節器760内に装填されると、割スリーブ765が回転されて、割スリーブ765の間隙767を深さ調節器760の長手方向スロット762からずらし、それによって深さ調整器760からのスタイレット704の取り出しを阻止できる。
【0067】
スタイレット704が深さ調節器760に嵌合された状態で、深さ調整器760は、駆動管707の近位端を通ってキャリアー730内へと前進させられ得、キャリアー730に連結(螺合連結等)され得る。スタイレット704の遠位端は、細長いシャフト702の遠位端710を越えてある距離を延在し得、この距離は、深さ調整器760が連結されているキャリアー730を並進運動させ得る遠位ハンドル722の回転によって増減できる。
【0068】
使用中、スタイレット704は、上述のように深さ調節器760に連結され、手術用器具700を通って挿入され得る。深さ調節器760は、キャリアー730に嵌合され得、それによってスタイレット704の遠位端を、細長いシャフト702の遠位端710から予め画定された距離に位置決めする。予め画定された距離は、細長いシャフト702の遠位端710に嵌合された、選択された骨アンカー組立体の長さに対応し得る。遠位ハンドル722は、反時計回りに回転されて、スタイレット704の遠位端を所望の位置に引き込み得る。次いで、細長いシャフト702は切開部を通って挿入されて、骨の解剖学的構造上でスタイレット704の遠位端をドッキングし得る。遠位ハンドル722は、近位ハンドル720が静止状態に保持されている間、時計回りに回転されて、スタイレット704を骨内へと前進させ得る。スタイレット704が骨内へと完全に前進させられると、遠位ハンドル722は静止状態に保持され得、その一方では、近位ハンドル720が回転されて駆動管707及び細長いシャフト702を回転させ、それにより、骨アンカー組立体を回転させ、スタイレット704に沿って骨内へと前進させる。近位ハンドル720の回転は、キャリアー730の対応する回転を引き起こし得、その結果、遠位ハンドル722内の雌ねじ山733は、骨アンカー組立体が骨内に打ち込まれる際に、キャリアー730を近位方向に駆動できる。いくつかの実施例では、キャリアー730上の雄ねじ山732及び遠位ハンドル722の雌ねじ山733は、骨ねじのねじ山ピッチよりも大きいねじ山ピッチを有し得、したがって、スタイレット704は、骨ねじの骨への前進速度よりも大きい速度で引き込まれ得る。手術用器具700は、骨アンカー組立体が骨内へと前進させられた後、骨アンカー組立体から分離され、患者の身体から取り出され得る。
【0069】
図10は、上述の深さ調整器760と同様に、長手方向スロット862と交差する複数の予め画定された固定位置決め機構、つまりノッチ863を含む深さ調整器860の別の実施形態を示す。ノッチ863のそれぞれは、近位フランジ768等のスタイレット704の連結機構を捕捉し、それによって深さ調整器860に対するスタイレット704の長手方向移動を阻止するように構成され得る。
図10に示すように、長手方向スロット862の遠位端は、スタイレット704の一部を捕捉し、それによって深さ調整器860からのスタイレット704の取り出しを阻止するように構成されている、非線形経路880を含み得る。例えば、スタイレット704が長手方向スロット862及び非直線経路880に沿って延在するときに、スタイレット704の一部を変形させ得るように、非直線経路880の少なくとも一部は、長手方向スロット862からオフセットされ得る。例えば、非線形経路880は、1つ以上の屈曲部又は角部を含み得、それによって、長手方向スロット862の遠位端から延在する正方形又はC字形の経路を形成する。したがって、スタイレット704は概ね直線状であるため、少なくとも非線形経路880の1つ以上の屈曲部又は角部に沿って延在するスタイレット704の一部は、スタイレット704が非線形経路880に挿入され、非直線経路880に沿って延在するときに変形する。スタイレット704と非線形経路880とのこのような係合は、例えばスタイレット704と深さ調節器860の非線形経路880との摩擦嵌合等のために、深さ調節器860からのスタイレットの取り出しを阻止できる。上述の深さ調整器760と同様に、
図10に示す深さ調整器860は、深さ調整器860が、キャリアー730に螺合係合して、その中に解放可能に固定されることを可能にする、ねじ連結機構881を含み得る。
【0070】
図11は、上述の深さ調整器760と同様であり、長手方向スロット962と交差する複数の予め画定された固定位置決め機構、つまりノッチ963を含む深さ調整器960の別の実施形態を示す。ノッチのそれぞれは、近位フランジ768等スタイレット704の連結機構を捕捉し、それによって深さ調整器960に対するスタイレット704の長手方向移動を阻止するように構成され得る。
図11に示すように、深さ調整器960は、スタイレット704の直径よりも小さい距離だけ離間されている一対のばねフランジ982を含む。一対のばねフランジ982は、長手方向スロット962とほぼ位置合わせされ得、スタイレット704がスロット962に沿って、かつばねフランジ982の間に延在できるようにする。ばねフランジ982は可撓性であってよく、スタイレット704が、ばねフランジ982の間に配置されている間に、ばねフランジ982を互いから離れるように屈曲できるようにする。したがって、ばねフランジ982は、摩擦力及び圧迫力によってスタイレット704を保持でき、これにより、深さ調節器960からのスタイレット704の取り出しを阻止する。
【0071】
図12Aは、上述の深さ調整器760と同様であり、長手方向スロット1062と交差する複数の予め画定された固定位置決め機構、つまりノッチ1063を含む深さ調整器1060の別の実施形態を示す。ノッチ1063のそれぞれは、近位フランジ768等のスタイレット704の連結機構を捕捉し、それによって深さ調整器1060に対するスタイレット704の長手方向移動を阻止するように構成され得る。
図12Aに示すように、深さ調整器1060は、深さ調整器1060の外壁に沿った一対の切欠部1090と、深さ調節部1060の外壁を貫通して延在し、ノッチ1063と交差する一対のスリット1092と、を含む。ばね指部1094は、深さ調整器1060の同じ側に位置付けられた各切欠部1090とスリット1092との間に形成され得、各ばね指部1094は、拡張状態及び折り畳まれた状態を形成できる。拡張状態では、ばね指部1094は、深さ調節器1060の長手方向軸から離れる方向に屈曲でき、それによって、スタイレット704の近位フランジ768は、関連するノッチ1063内に固定され、そこから取り出されることが可能になる。折り畳まれた状態では、ばね指部1094は、スタイレット704の一部にクランプ力を加えることができ、それによって深さ調節器1060に対するスタイレット704の長手方向移動を阻止し、また、深さ調節器1060からのスタイレット704の取り出しを阻止できる。
【0072】
図12Bは、
図12Aの深さ調整器1060と同様であるが、深さ調整器1160の同じ側に沿って位置付けられた一対の切欠部1190及び単一のスリット1192を含む、深さ調整器1160の別の実施形態を示す。したがって、各切欠部1190とスリット1192との間に形成されたばね指部1194もまた、深さ調整器1160の同じ側に位置付けられる。
【0073】
図13は、深さ調整器1260の遠位端から近位方向に延在する止まり穴1295をそれぞれ含む、複数の既定の固定位置決め機構を有する深さ調節器1260の別の実施形態を示す。各止まり穴1295は、互いに対して異なる長さを有し、スタイレットの近位端をその中に連結するように寸法決めされ得る。各止まり穴1295の長さは、手術用器具によって骨内へと前進させられる、骨ねじ組立体の長さに対応し得る。したがって、スタイレット704は、スタイレット704が連結される止まり穴1295に応じて、深さ調整器1260の遠位端から異なる長さで延在し得る。深さ調節器1260は、スタイレットの遠位端を深さ調節器1260の長手方向軸に向かって誘導し、それによって、手術用器具を通ってスタイレット704を誘導することを支援する、先細通路1297を含み得る。深さ調整器1260は、上述の深さ調整器760と同様に、キャリアー730に連結され得る。
【0074】
方法
本明細書で開示される様々な器具が、様々な手術手順を実施するのに使用することができる。骨ねじを椎骨に送達するための例示的な方法が下記に述べられているが、当業者には、様々な手術手順において様々なインプラントを送達するのにこの器具を使用できることが理解されよう。非限定的な例として、この器具は、最小侵襲性手順、関節鏡手順、内視鏡手順、開放手術、又は他の手術手順において、患者の体内全体の軟組織又は骨にねじを送達するのに使用することができる。
【0075】
図14A~14Cは、スタイレットを有する手術用器具を用いて骨アンカー組立体を骨824に打ち込む、1つの例示的な方法を概略的に示す。以下に詳述する方法は、上述の開示内容を読んだ当業者には明らかであろう任意の必要な修正を加えて、上述の任意の器具(例えば、器具100、200、300、400、700)で用いられ得る。例として、
図2A~2Bの器具100に関連して、方法が記述される。
【0076】
最初に、骨824(例えば椎骨)にアクセスするための切開を行うことができ、この骨に骨アンカー組立体900(例えば椎弓根スクリュー)が連結される。骨アンカー組立体900は、器具100に連結され、骨アンカー組立体を骨の表面に近接して位置付けるように、切開部を通って前進させられ得る。この切開部を通っての挿入の前、最中、又は後に、スタイレット104は、骨アンカー組立体の長さ等の様々なパラメーターに基づいて、初期位置に割り出されることができる。これは例えば、近位ハンドル120を固定して保持しながら遠位ハンドル122を回転させて、キャリアー130及び対応するスタイレット104を軸方向に並進運動させることによって、達成することができる。他の実施形態では、スタイレットは、例えば、
図9A~9Gの器具700を使用して、深さ調節器760の複数の予め画定された固定位置のうちの1つに固定され得、それによって、深さ調節器760がキャリアー730に連結されると器具700の遠位端から、スタイレットの所定の距離を延出させる。所定の距離は、器具によって骨に挿入され得る、選択された骨アンカー組立体900の長さに対応し得る。器具の遠位端から延出するスタイレットの長さは、キャリアーに対してスタイレットを所望されるように調整することによって更に調整され得る。スタイレット104が骨アンカー組立体900の遠位端から突き出ないように、スタイレット104を初期位置に位置付けられることができることが理解されるであろう。
【0077】
図14Aに示すように、器具を骨の表面に向かって遠位方向にタッピングする、又は押し付けることによって、突出しているスタイレット104は、椎弓根822にドッキングされ得る。遠位ハンドル122は近位ハンドル120に対して(例えば時計回り方向に)回転させられ得、これにより、
図14Bに示すようにスタイレット104を骨内へと機械的に前進させることができる。代替的に又は付加的に、スタイレット104を骨内に前進させるために、衝撃力がスタイレット104に遠位方向に加えられ得る。適切な軌道及び深さは、X線透視で確認することができる。挿入深さは、外科医によって指示されてもよい(例えば、遠位ハンドル122の回転数、聴覚的又は触覚的フィードバック、目盛り又はマークにより提供される視覚的フィードバック(例えば、近位ハンドル420の視認ウィンドウ423を通して示されるもの)、手術用器具内又はその表面に配置されるストッパーにキャリアーが当たることに基づく)。
【0078】
スタイレット104が望ましい深さまで前進したら、近位ハンドル120を遠位ハンドル122に対して(例えば時計回り方向に)回転させ(すなわち、遠位ハンドル122は固定的に保持されている)、これにより、
図14Cに示すように、スタイレット104により形成された経路に沿って骨アンカー組立体900を打ち込むことができる。
図2A及び2Bに戻って参照し、遠位ハンドル122を固定的に保持したまま、近位ハンドル120を回転させることで、細長いシャフト102の近位端の相対するタブ136の対応する回転が生じる。キャリアー130はタブ136にキー係合されているため、キャリアー130はタブ136と協調して回転される。その結果、キャリアー表面のねじ機構132は、遠位ハンドル122(これは静止状態に保持される)内に形成されたねじ山134に対して回転する。これによってキャリアー130を、相対するタブ136に沿って並進運動させる。このねじ山は、骨ねじのねじ山に比べて逆向きになっているため、キャリアー130は遠位ハンドル122内で近位側に動き、よってスタイレット104が骨アンカー組立体900に対して近位方向に動く。スタイレット104は骨に対して固定的に保持されているため、骨アンカー組立体900がスタイレット104に対して遠位方向に前進する際に、スタイレット104は骨内の一定の深さを維持することができる。ハンドル組立体は、骨アンカー組立体900の遠位方向の前進と協調して、スタイレット104に沿って遠位方向に動く。キャリアー130と遠位ハンドル122のねじ切り部分が、骨アンカー組立体のねじ切り部分と同じピッチを有する実施形態において、スタイレット104の骨アンカー組立体900への引込みは、骨アンカー組立体900の前進と同じ速度で行われ得、その結果、スタイレット104は骨内で実質的に固定した深さに留まる。キャリアー130と遠位ハンドル122のねじ機構が、骨アンカー組立体のねじ切り部分より小さいピッチを有する実施形態において、スタイレット104の骨アンカー組立体900内への引込みは、骨アンカー組立体900の前進よりもわずかに速い速度で起こり得、その結果、骨アンカーが骨に打ち込まれる際に、スタイレット104は骨に対して近位方向に少なくとも部分的に引き込まれる。
【0079】
骨アンカー組立体900が所望の深さに打ち込まれると、スタイレット104及び細長いシャフト102は、骨アンカー組立体から外され、切開部から抜去され得る。続いて、脊椎ロッド又は他の構成要素を骨アンカー組立体の受け部材に取り付ける等の、次の工程が行われ得る。
【0080】
骨アンカー組立体は、骨への挿入を容易にするために、及びアンカー挿入中に骨が破断するのを防ぐために、様々なセルフタッピング特徴を含むことができる。場合によっては、患者の解剖学的構造又は外科医の選好により、骨アンカー組立体が挿入される前に、骨がタッピングされる必要があり得る。そのような場合には、上述の方法は、一体化された骨タップを含む、又は係合部分を経て骨タップに連結される、手術用器具の実施形態を用いるように変更されることができる。
【0081】
上述のように、器具の細長いシャフトか、細長いシャフトに連結された骨アンカー組立体のいずれかに対して、器具のスタイレットの位置を調節するのに、工具を使用することができる。
図5D~5Gに示すように、この工具は位置決めハンドル480を含み得、これを使って、スタイレット404の細長いシャフトに対する位置を調節することができる(例えば、
図5A~5Dに示す器具400の実施例の細長いシャフト402)。位置決めハンドル480は、
図5A~5Dに示す器具400の実施例に関して本明細書で記述されているが、位置決めハンドル480は任意の器具実施形態で使用することができる。
【0082】
図15A~15Dは、骨アンカー組立体900を骨824に打ち込むための、スタイレット404を有する手術用器具400と共に、工具、つまり位置決めハンドル480を使用する、別の例示的な方法を概略的に示す。最初に、
図15Aに示すように、位置決めハンドル480の遠位端は、スタイレット404の近位端に取り外し可能に連結され得る。器具400の細長いシャフト402から延出するスタイレット404の長さは、押しボタン488を押し、位置決め機構486を遠位方向(例えば長さを増加させる)又は近位方向(例えば長さを減少させる)にスライドさせることによって、調節することができる。スタイレット404の長さが設定されたら(すなわち、押しボタンが解放され、ある係合位置490に係合したら)、ユーザーは、位置決めハンドル480の遠位端で、工具機構482をスタイレットホルダー460の工具係合機構466に係合させ、これによりスタイレットホルダー460を回転させることができる。スタイレットホルダー460は、スタイレットホルダー460がキャリアー430と共に第2位置を形成するまで、キャリアー430に対して回転され得、この第2位置で、スタイレットホルダー460はスタイレット404と堅固に係合し、少なくともスタイレットホルダー460に対するスタイレット404の位置をロックする。ユーザーは次に、位置決めハンドル480をスタイレット404から除去することができる(例えば、位置決めハンドル480をスタイレット404の近位端から引き抜く)。
【0083】
次に器具400の遠位端を切開に挿入し、スタイレット404の遠位端を骨に対してドッキングすることができる。ユーザーは次に、器具400の近位端に近位方向の力を印加し、これにより骨に向かう方向にスタイレット404に力をかける。代替的に又は付加的に、ユーザーは近位ハンドル420を保持し、遠位ハンドル422を回転させることができ、これにより遠位方向及び骨に向かう方向にスタイレット404に力をかける。スタイレット404の望ましい長さが骨に係合したら、ユーザーは次に近位ハンドル420を回転させ、これにより骨アンカー組立体900を骨に打ち込むことができる。
【0084】
あるいは、骨アンカー組立体900は、器具の遠位端を切開部内に挿入する前は、細長いシャフト402の遠位端に取り付けられていない場合がある。工具(例えば突出した六角形状)を、スタイレットホルダー460の工具係合機構466(例えば凹んだ六角形状)に挿入することができ、これにより、キャリアー430に対してスタイレットホルダー460を回転させ、スタイレットホルダー460を第1位置に位置付けることができる。上述のように、スタイレットホルダー460が第1位置にあるとき、スタイレット404はスタイレットホルダー460に対して動くことができる。よって、スタイレット404は定位置に留まることができ(例えば骨内に挿入された状態)、手術用器具400の残りの部分は、
図15Bに示すように、スタイレット404の近位端から滑らせて外すことができる。そのような構成により、器具400からの干渉なしに、同時にスタイレットの位置を維持したまま、手術部位で様々な他の処置を実施することができる。手術部位がアンカー移植の準備ができたら、ユーザーは骨アンカー組立体900を細長いシャフト402の遠位端410に取り付けることができる。骨アンカー組立体900が取り付けられたら、ユーザーはスタイレット404の近位端を骨アンカー組立体900の遠位端まで通すよう誘導し、
図15C及び
図15Dに示すように、骨アンカー組立体900の遠位端が骨に接触するまでスタイレット404に沿って手術用器具を引き続き前進させることができる。スタイレットホルダー460は次に、第2位置に再配置することができ(例えば工具を用いて)、これによりスタイレット404をスタイレットホルダー460に固定することができる。ユーザーは次に、上述のように、スタイレット404に沿って骨アンカー組立体900を骨に打ち込む処置に進むことができる(例えば近位ハンドル420を回転させる)。
【0085】
骨アンカー組立体が所望の深さに打ち込まれると、スタイレット404及び細長いシャフト402は、骨アンカー組立体900から外され、切開部から抜去され得る。続いて、脊椎ロッド又は他の構成要素を骨アンカー組立体900の受け部材に取り付ける等の、次の工程が行われ得る。
【0086】
本明細書の図面又は説明によって意味された方法工程の任意の順序は、開示方法をその順序で工程を行うことに限定するものと解釈すべきではないことに留意すべきである。むしろ、本明細書で開示される方法のそれぞれの種々の工程は、任意の種々の順序で行うことができる。更に、説明された方法は、単に例示的な実施形態であって、追加のステップを含む、又はより少ないステップを含む様々な他の方法も、本発明の範囲内である。
【0087】
本明細書で開示された様々な実施形態のスタイレットは、剛性又は可撓性であり得る。スタイレットは、X線透視下、及び他の映像技術下での視覚化を容易にするために、放射線不透過性の材料から形成されることができる。本明細書で開示された器具の他の構成要素(例えば、細長い本体部分、ハンドル部分等)は、誘導突出部の視覚化を妨害しないように、放射線透過性の材料から形成されることができる。例示的な放射線透過性の材料としては、炭素繊維及び高強度のポリマーが挙げられる。本明細書で開示された器具は更に、画像誘導外科用装置、及び刺激装置(例えば、椎弓根の突破をモニターし、ねじ又は器具の配置を確認するために典型的に用いられる神経モニター装置)と適合させることができる。
【0088】
本明細書で開示された方法及び器具は、いくつかの利点を提供することができる。例えば、いくつかの実施形態において、骨アンカー組立体の目標部位を絞り留置するために必要な時間を低減することができる、患者及び外科スタッフへの放射線被曝を低減することができる、並びに、針の留置、ガイドワイヤーの挿入と抜去、及びタッピングなどの手順工程を無くすことができる。更なる例として、いくつかの実施形態において、手技全体にわたって誘導突出部の深さを制御することによって、器具類の不注意な前進を無くすことができる、針又はタップを抜去中にガイドワイヤーが抜去されるリスクを無くすことができる、かつガイドワイヤーの曲げ又はねじれを防ぐことができる。
【0089】
本明細書で開示された装置及び方法は、低侵襲手術及び/又は切開手術で用いることができる。本明細書で開示された器具及び方法は一般に、骨アンカーを椎弓根の中に前進させる文脈で説明されるが、本明細書で開示された方法及び器具は、任意の人骨又は獣骨、インプラント、非生物的対象等に用いることができることが理解されるであろう。
【0090】
以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、記載された発明の概念の趣旨及び範囲内で多くの変更がなされ得る点を理解されたい。したがって、本発明は記載された実施形態に限定されるものではなく、むしろ、以下の「特許請求の範囲」の文言によって定義される完全な範囲を有するものとする。
【0091】
〔実施の態様〕
(1) 骨アンカー組立体を骨に打ち込むための器具であって、
第1のハンドルと、骨アンカー組立体に連結するように構成されている遠位先端を有する細長いシャフトと、を備える、シャフト組立体と、
第2のハンドルと、キャリアー組立体と、を備えるスタイレット調整器組立体であって、前記キャリアー組立体は、スタイレットが少なくとも1つの予め画定された固定位置において前記キャリアー組立体に解放可能に連結されて、前記細長いシャフトの前記遠位先端に対して所望の位置に前記スタイレットの遠位先端を位置決めできるようにするための、少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構を有し、前記キャリアー組立体は、前記細長いシャフトに対する前記第2のハンドルの回転に応じて前記シャフト組立体に対して軸方向に並進運動するように構成されており、前記キャリアー組立体は、前記第2のハンドルに対する前記第1のハンドルの回転に応じて前記シャフト組立体と共に回転するように構成されている、スタイレット調整器組立体と、を備える、器具。
(2) 前記少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構は、前記キャリアー組立体に沿って長手方向に離間配置された、複数の予め画定された固定位置決め機構を備える、実施態様1に記載の器具。
(3) 前記少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構は、前記キャリアー組立体内に形成された少なくとも1つのノッチを備え、前記少なくとも1つのノッチは、前記スタイレット上の連結機構を捕捉して、前記キャリアー組立体に対する前記スタイレットの長手方向移動を阻止するように構成されている、実施態様1に記載の器具。
(4) 前記少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構は、摩擦嵌合によって前記スタイレットに係合するように構成されている、実施態様1に記載の器具。
(5) 前記キャリアー組立体は、その内部に形成され、前記少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構と交差する細長い長手方向スロットを含み、前記スロットは、前記スタイレットの一部を固定するように構成されている、実施態様1に記載の器具。
【0092】
(6) 前記キャリアー組立体は、その周りに配置され、前記スタイレットが中を通って前記スロット内に固定されることを可能にするための第1の位置と、前記スロット内に前記スタイレットを保持するための第2の位置と、を有する、回転可能な割スリーブを含む、実施態様5に記載の器具。
(7) 異なる長さを有する複数の骨締結具を更に備え、前記複数の予め画定された固定位置決め機構は、前記複数の骨締結具のそれぞれの前記長さ間の差に対応する距離だけ離間されている、実施態様2に記載の器具。
(8) 前記キャリアー組立体は、キャリアー部材と、前記キャリアー部材に解放可能に連結された深さ調整器と、を含み、前記深さ調整器は、前記少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構をその内部に有し、前記キャリアー部材は、前記遠位ハンドルに螺合連結されている、実施態様1に記載の器具。
(9) 前記深さ調整器は、前記深さ調整器を前記キャリアー部材に固定的に連結するために前記キャリアー部材の内壁に螺合係合する、細長い本体の外壁に沿ったねじ切り部分を含む、実施態様8に記載の器具。
(10) 前記キャリアー組立体は、折り畳まれた構成と、拡張構成と、を有するばねクランプ機構を含み、前記ばねクランプ機構は、前記折り畳まれた構成において前記スタイレットの一部にクランプ力を加えて、前記キャリアー組立体に対する前記スタイレットの移動を阻止するように構成されており、前記ばねクランプ機構は、前記拡張構成において前記スタイレットを解放して、前記キャリアー組立体からの前記スタイレットの取り出しを可能にするように構成されている、実施態様1に記載の器具。
【0093】
(11) 前記キャリアー組立体は、前記遠位ハンドル内に螺合配置されるキャリアー部材に解放可能に結合された深さ調整器を含み、前記深さ調整器は、少なくとも1つの予め画定された固定位置において前記スタイレットに係合するための前記少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構を含み、前記少なくとも1つの予め画定された固定位置決め機構は、前記深さ調節器の遠位端から近位方向に延在する、少なくとも1つの止まり穴を含む、実施態様1に記載の器具。
(12) 骨締結具を骨に打ち込むための器具であって、
第1及び第2のハンドルを有するハンドル組立体と、
骨締結具を骨に打ち込むための遠位先端を有する細長いシャフトであって、前記細長いシャフトは、前記第1のハンドルの回転が前記細長いシャフトの対応する回転を引き起こし、それによって骨締結具を骨に打ち込むように、前記第1のハンドルに連結されている、細長いシャフトと、
前記第1のハンドルと前記第2のハンドルとの間に連結され、複数の予め画定された固定位置においてスタイレットに係合するための複数の嵌合機構を有する、キャリアー組立体と、を備え、前記第2のハンドルの回転が、前記スタイレットを前進させて、また引き込んで、前記細長いシャフトの前記遠位先端に連結された骨締結具に対する前記スタイレットの先端の位置を調節するのに有効であり、前記細長いシャフトの前記遠位先端に連結された骨締結具を骨に打ち込むための前記第1のハンドルの回転が、前記キャリアー組立体を近位方向に移動させて前記スタイレットを引き込む、器具。
(13) 前記複数の嵌合機構は、前記スタイレットの近位端に形成された嵌合機構に係合するための、前記キャリアー組立体に沿って長手方向に離間配置されたノッチを含む、実施態様12に記載の器具。
(14) 前記複数の嵌合機構は、前記キャリアー組立体内に形成され、異なる長手方向位置に前記スタイレットを位置付けるために、互いに対して長さの異なる穴を備える、実施態様12に記載の器具。
(15) 異なる長さを有する複数の骨締結具を更に備え、前記複数の嵌合機構は、前記複数の骨締結具のそれぞれの前記長さ間の差に対応する距離だけ離間されている、実施態様12に記載の器具。
【0094】
(16) 駆動管が、前記細長いシャフトと前記第1のハンドルとの間に連結され、前記キャリアー組立体は前記駆動管内に配置され、前記第2のハンドル内に形成された雌ねじ山と嵌合するために、前記駆動管内に形成されたスロットを通って延在する雄ねじ山を有する、実施態様12に記載の器具。
(17) 骨締結具を埋め込むための方法であって、
スタイレットの遠位先端が、挿入装置の細長いシャフトに連結された前記骨締結具を越えて所定の距離を延在するように、予め画定された固定位置において前記挿入装置のキャリアー組立体に前記スタイレットを連結することと、
前記スタイレットの前記遠位先端を骨上で位置決めすることと、
前記挿入装置の第1のハンドルを前記挿入装置の第2のハンドルに対して回転させて、前記キャリアー組立体を遠位方向に並進運動させ、それによって前記スタイレットの前記遠位先端を骨内へと前進させることと、
前記挿入装置の第2のハンドルを回転させ、それによって前記骨締結具を回転させ、その結果、前記骨締結具を前記スタイレットに沿って骨内へと前進させることであって、前記キャリアー組立体は、前記骨締結具が骨内へと前進する際に、近位方向に並進運動して前記スタイレットを引き込む、ことと、を含む、方法。
(18) 前記スタイレットを前記予め画定された固定位置において連結することは、前記スタイレットの近位端上に形成された突出部を、前記キャリアー組立体内に形成されたノッチ内に位置決めすることを含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記予め画定された固定位置において前記スタイレットtを連結することは、前記キャリアー組立体内に形成された穴内に前記スタイレットの近位部分を位置決めすることを含む、実施態様17に記載の方法。
(20) 前記キャリアー組立体は、前記予め画定された固定位置を定める、その内部に形成された位置決め機構を有する深さ調整器と、前記深さ調整器に解放可能に連結されたキャリアーと、を含み、前記キャリアーは、前記第1のハンドル内に形成された雌ねじ山と嵌合するための雄ねじ山を有する、実施態様17に記載の方法。