(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】導電フィルムおよびこれを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
H01B 5/14 20060101AFI20221108BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20221108BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20221108BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20221108BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20221108BHJP
H05B 33/26 20060101ALI20221108BHJP
H05B 33/28 20060101ALI20221108BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20221108BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
H01B5/14 A
G09F9/30 365
G09F9/00 366A
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/26 A
H05B33/26 Z
H05B33/28
G06F3/044 122
G06F3/041 495
G06F3/041 412
(21)【出願番号】P 2020109282
(22)【出願日】2020-06-25
【審査請求日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】10-2019-0144251
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】朴 鍾 賢
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/054273(WO,A1)
【文献】特開2015-176668(JP,A)
【文献】特開2006-234788(JP,A)
【文献】特開2011-014443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 5/14
G09F 9/30
G09F 9/00
H01L 51/50
H01L 27/32
H05B 33/26
H05B 33/28
G06F 3/044
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、
前記基材層上に位置し、導電性高分子を含む導電性高分子層と、
前記導電性高分子層内に挿入されたネットワーク構造体と、を含み、
前記ネットワーク構造体が複数の金属ナノワイヤを含み、
前記導電性高分子は、陽イオン性ポリマーと陰イオン性ポリマーの複合ポリマーであり、
前記陽イオン性ポリマーは、ポリ(3、4-エチレンデオキシチオフェン)であり、
前記陰イオン性ポリマーは、デキストラン硫酸であり、
前記ネットワーク構造体は、前記複数の金属ナノワイヤのうち、隣接する2つの金属ナノワイヤが接触するジャンクション部を含み、
前記ネットワーク構造体を形成する複数の金属ナノワイヤとの間の複数の孔隙の一部に前記導電性高分子が位置する、導電フィルム。
【請求項2】
前記導電性高分子は、伝導率が9000S/cm以上である、請求項1に記載の導電フィルム。
【請求項3】
前記導電性高分子は、光透過率が85%以上である、請求項1に記載の導電フィルム。
【請求項4】
前記金属ナノワイヤは、銀ナノワイヤである、請求項1に記載の導電フィルム。
【請求項5】
前記ネットワーク構造体は、面抵抗が20Ω/□以下である、請求項1に記載の導電フィルム。
【請求項6】
前記ネットワーク構造体は、光透過率が90%以上である、請求項1に記載の導電フィルム。
【請求項7】
請求項1に記載の導電フィルムを含む電極を含む、表示装置。
【請求項8】
前記表示装置は、有機発光素子を含み、
前記有機発光素子は、第1電極、発光層および第2電極を含み、
前記第1電極および前記第2電極のうち、1つ以上は、請求項1に記載の導電フィルムを含む、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示装置は、多数のタッチ電極を含むタッチパネルを含み、
前記多数のタッチ電極のうち、1つ以上は、請求項1に記載の導電フィルムを含む、請求項7に記載の表示装置。
【請求項10】
基材層上に複数の金属ナノワイヤを含むネットワーク構造体を形成することと、
気相重合によって、導電性高分子層を形成することと
を含
み、
前記導電性高分子層は、陽イオン性ポリマーとしてポリ(3、4-エチレンデオキシチオフェン)と、陰イオン性ポリマーとしてデキストラン硫酸とを含む複合ポリマーである、導電フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、導電フィルムおよびこれを含む表示装置に関し、より具体的には、透明かつ優れた電気伝導率を有する可撓性の導電フィルムおよびこれを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透明電極は、プラズマディスプレーパネル(PDP)、有機発光表示装置(OLED)、液晶表示装置(LCD)、太陽電池(Solar Cell)、タッチ素子(Touch Device)などに広範囲に適用され、主にITO(Indium Tin Oxide)を透明電極の材料として使用する。ITOは、透明かつ優れた電気伝導率を有するという長所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ITOは、埋蔵量が少ない希土類元素であるインジウムを含んでいるので、価格が高くなる問題がある。本明細書の発明者は、ITOを代替可能であり、導電性高分子層および導電性高分子層内に挿入されたネットワーク構造体を含む導電性に優れた導電フィルムおよびこれを含む表示装置を発明した。
【0005】
本明細書の一実施例による解決課題は、導電性にすぐれ、光透過率が高い導電フィルムおよびこれを含む表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書の一実施例による導電フィルムは、基材層と、導電性高分子層と、ネットワーク構造体を含む。
【0007】
前述した導電性高分子層は、前述した基材層上に位置し、導電性高分子を含む。
【0008】
前述したネットワーク構造体は、前述した導電性高分子層内に挿入され、複数の金属ナノワイヤを含む。
【0009】
本明細書の一実施例による表示装置は、前述した導電フィルムを含む電極を含む。
【発明の効果】
【0010】
本明細書の実施例によって導電性高分子層および導電性高分子層内に挿入されたネットワーク構造体を備えることにより、光透過率にすぐれ、導電性に優れた導電フィルムを提供し得る効果がある。
【0011】
また、前記導電フィルムを用いることにより、ITOを代替できる効果がある。
【0012】
また、本明細書の他の実施例によって前述した導電フィルムを含む電極を備えることにより、費用の高いITOが前述した導電フィルムに代替された表示装置を提供し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本明細書の一実施例による表示装置のシステム構成図。
【
図2】本明細書の一実施例による表示パネルのサブピクセル回路を示した図面。
【
図3】本明細書の一実施例による表示パネルのサブピクセル回路を示した図面。
【
図4】本明細書の一実施例による導電フィルムを説明するための図面。
【
図5】本明細書の一実施例による導電フィルムの導電性高分子層およびネットワーク構造体を説明するための図面。
【
図6】本明細書の一実施例による導電フィルムの製造方法を説明するための図面。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書の利点および特徴、そしてこれらを達成する方法は、添付される図面とともに詳細に後述されている実施例を参照すると明確になる。しかし、本明細書は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形で実装され、単に本実施例は、本明細書の開示が完全するようにし、本明細書が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本明細書は、請求項の範疇によって定義されるだけである。
【0015】
本明細書の実施例を説明するための図面に開示された形状、大きさ、比率、角度、数などは、例示的なものであるため、本明細書が示された事項に限定されるものではない。明細書全体にわたって同一の参照符号は、同一の構成要素を指称する。また、本明細書を説明するにおいて、係る公知技術についての具体的な説明が本明細書の要旨を不必要にぼかすことができると判断される場合、その詳細な説明は省略する。本明細書上で言及した「含む」、「有する」、「行われる」などが使用される場合、「~のみ」が使用されない以上、他の部分が追加され得る。構成要素を単数として表現した場合に特別に明示的な記載事項がない限り、複数が含まれる場合を含む。
【0016】
構成要素を解釈するにおいて、別の明示的な記載がなくても誤差の範囲を含むことと解釈する。
【0017】
位置関係についての説明の場合、例えば、「~上に」、「~上部に」、「~下部に」、「~横に」などで2つの部分の位置関係が説明される場合、「すぐに」または「直接」が使用されない以上、2つの部分の間に1つまたは複数の他の部分が位置し得る。
【0018】
時間関係についての説明の場合、例えば、「~後に」、「~に続いて」、「~次に」、「~前に」などで時間的先後関係が説明される場合、「すぐに」または「直接」が使用されない以上、連続的ではない場合も含み得る。
【0019】
第1、第2などが様々な構成要素を記述するために使用されるが、これらの構成要素は、これらの用語によって制限されない。これらの用語は、単に1つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。したがって、以下で記載されている第1構成要素は、本明細書の技術的思想内で第2構成要素であり得る。
【0020】
本明細書の色々の実施例のそれぞれの特徴が部分的に、または全体的に互いに結合または組み合わせが可能であり、技術的に様々な連動および駆動が可能であり、各実施例が互いについて独立的に実施し得、連関関係として一緒に実施し得る。
【0021】
以下では、本明細書の一実施例による導電フィルムの様々な構成について説明する。
【0022】
導電フィルムの構成によると、導電性高分子は、陽イオン性ポリマーと陰イオン性ポリマーの複合ポリマーであり得る。
【0023】
導電フィルムの構成によると、陽イオン性ポリマーは、ポリ(3、4-エチレンデオキシチオフェン)(PEDOT、poly(3、4-Ethylenedeoxythiophene))であり得る。
【0024】
導電フィルムの構成によると、陰イオン性ポリマーは、デキストラン硫酸(Dextran Sulfate)であり得る。
【0025】
導電フィルムの構成によると、導電性高分子層は、面抵抗が20Ω/□以下であり得る。
【0026】
導電フィルムの構成によると、導電性高分子層は、光透過率が85%以上であり得る。
【0027】
導電フィルムの構成によると、金属ナノワイヤは、銀ナノワイヤであり得る。
【0028】
導電フィルムの構成によると、ネットワーク構造体は、複数の金属ナノワイヤのうち、隣接する2つの金属ナノワイヤが接触するジャンクション部を含み得る。
【0029】
導電フィルムの構成によると、ネットワーク構造体は、面抵抗が20Ω/□以下であり得る。
【0030】
導電フィルムの構成によると、ネットワーク構造体は、光透過率が90%以上であり得る。
【0031】
導電フィルムの構成によると、ネットワーク構造体を形成する複数の金属ナノワイヤとの間の孔隙に導電性高分子が位置し得る。
【0032】
以下では、本明細書の一実施例による表示装置の様々な構成について説明する。
【0033】
表示装置の構成によると、表示装置は、有機発光素子を含み得る。
【0034】
表示装置の構成によると、有機発光素子は、第1電極、発光層および第2電極を含み得る。
【0035】
表示装置の構成によると、第1電極および第2電極のうち、1つまたは複数は、前述した本明細書の実施例による導電フィルムを含み得る。
【0036】
表示装置の構成によると、表示装置は、多数のタッチ電極を含むタッチパネルを含み得る。
【0037】
表示装置の構成によると、多数のタッチ電極のうち、1つまたは複数は、前記導電フィルムを含み得る。
【0038】
以下、添付された図面を参照して本明細書の様々な実施例を具体的に説明する。
【0039】
図1は、本明細書の実施例による表示装置100のシステム構成図である。
【0040】
図1を参照すると、本明細書の実施例による表示装置100は、多数のデータラインDLおよび多数のゲートラインGLが配置され、多数のデータラインDLおよび多数のゲートラインGLによって定義される多数のサブピクセルSPを配列する表示パネルDISPと、多数のデータラインDLを駆動するデータ駆動回路(DDC)と、多数のゲートラインGLを駆動するゲート駆動回路(GDC)と、データ駆動回路(DDC)およびゲート駆動回路(GDC)を制御するディスプレーコントローラー(D-CTR)などを含む。
【0041】
ディスプレーコントローラー(D-CTR)は、データ駆動回路(DDC)およびゲート駆動回路(GDC)に各種制御信号DCS、GCSを供給し、データ駆動回路(DDC)およびゲート駆動回路(GDC)を制御する。
【0042】
これらのディスプレーコントローラー(D-CTR)は、各フレームで実装するタイミングに応じてスキャンを開始し、外部から入力される入力映像データをデータ駆動回路(DDC)で使用するデータ信号形式に合わせて変換して変換された映像データを出力し、スキャンに合わせて適当な時間にデータ駆動を統制する。
【0043】
ディスプレーコントローラー(D-CTR)は、データ駆動回路(DDC)と別の部品として実装され得、データ駆動回路(DDC)とともに統合されて集積回路として実装され得る。
【0044】
データ駆動回路(DDC)は、ディスプレーコントローラー(D-CTR)から映像データの入力を受けて多数のデータラインDLにデータ電圧を供給することにより、多数のデータラインDLを駆動する。ここで、データ駆動回路(DDC)は、ソース駆動回路とも呼ばれる。
【0045】
これらのデータ駆動回路(DDC)は、少なくとも1つのソースドライバー集積回路(SDIC:Source Driver Integrated Circuit)を含んで実装され得る。
【0046】
各ソースドライバー集積回路(SDIC)は、シフトレジスター(Shift Register)、ラッチ回路(Latch Circuit)、デジタルアナログコンバーター(DAC:Digital to Analog Converter)、出力バッファー(Output Buffer)などを含み得る。
【0047】
各ソースドライバー集積回路(SDIC)は、場合によって、アナログデジタルコンバーター(ADC:Analog to Digital Converter)をさらに含み得る。
【0048】
ゲート駆動回路(GDC)は、多数のゲートラインGLにスキャン信号を順次に供給することにより、多数のゲートラインGLを順次に駆動する。ここで、ゲート駆動回路(GDC)は、スキャン駆動回路とも呼ばれる。
【0049】
これらのゲート駆動回路(GDC)は、少なくとも1つのゲートドライバー集積回路(GDIC:Gate Driver Integrated Circuit)を含んで実装され得る。
【0050】
各ゲートドライバー集積回路(GDIC)は、シフトレジスター(Shift Register)、レベルシフタ(Level Shifter)などを含み得る。
【0051】
各ゲートドライバー集積回路(GDIC)は、テープオートメテッドボンディング(TAB)方式またはチップオングラス(COG)方式として表示パネルDISPのボンディングパッド(Bonding Pad)に接続されるか、またはGIP(Gate In Panel)タイプとして実装されて表示パネルDISPに直接配置され得、場合によって、表示パネルDISPに集積化されて配置され得る。また、各ゲートドライバー集積回路(GDIC)は、表示パネルDISPと接続されたフィルム上に実装されるチップオンフィルム(COF)方式として実装され得る。
【0052】
ゲート駆動回路(GDC)は、ディスプレーコントローラー(D-CTR)の制御に応じて、オン(On)電圧またはオフ(Off)電圧のスキャン信号を多数のゲートラインGLに順次に供給する。
【0053】
データ駆動回路(DDC)は、ゲート駆動回路(GDC)によって特定ゲートラインが開くと、ディスプレーコントローラー(D-CTR)から受信した映像データをアナログ形式のデータ電圧に変換して多数のデータラインDLに供給する。
【0054】
データ駆動回路(DDC)は、表示パネルDISPの一側(例:上側または下側)にだけ位置し得、場合によって、駆動方式、パネル設計方式などによって表示パネルDISPの両側(例:上側と下側)の両方に位置し得る。
【0055】
ゲート駆動回路(GDC)は、表示パネルDISPの一側(例:左側または右側)にだけ位置し得、場合によって、駆動方式、パネル設計方式などによって表示パネルDISPの両側(例:左側と右側)の両方に位置し得る。
【0056】
本明細書の実施例による表示装置100は、有機発光表示装置、液晶表示装置、プラズマ表示装置などであり得る。
【0057】
本明細書の実施例による表示装置100が有機発光表示装置である場合、表示パネルDISPに配列された各サブピクセルSPは、自発光素子である有機発光ダイオード(OLED:Organin Light Emitting Diode)と、有機発光ダイオード(OLED)を駆動するための駆動トランジスタ(Driving Transistor)などの回路素子として構成され得る。
【0058】
各サブピクセルSPを構成する回路素子の種類および数は、提供機能および設計方式などによって様々に定められ得る。
【0059】
そこで、以下では、有機発光素子(OLED:Organin Light Emitting Diode)を用いて映像を表示するための表示パネルでのサブピクセル構造(サブピクセル回路)を説明する。
【0060】
図2および
図3は、本明細書の実施例による表示パネルのサブピクセル回路を示した図面である。
【0061】
図2および
図3を参照すると、各サブピクセルSPは、基本的に、有機発光素子OLEDと、有機発光素子OLED210を駆動する駆動トランジスタDRTを含み得る。
【0062】
図2を参照すると、各サブピクセルSPは、駆動トランジスタDRTのゲートノードにあたる第1ノードN1にデータ電圧VDATAを伝達するための第1トランジスタT1と、映像信号電圧にあたるデータ電圧VDATAまたはこれに対応する電圧を1フレーム時間の間維持するストレージキャパシターC1をさらに含むように構成できる。
【0063】
有機発光素子OLEDは、第1電極211( アノード電極またはカソード電極)、発光層212および第2電極213( カソード電極またはアノード電極)などを含み得る。
【0064】
一例として、有機発光素子OLEDの第2電極213には、基底電圧EVSSを印加できる。
【0065】
駆動トランジスタDRTは、有機発光素子OLEDに駆動電流を供給することにより、有機発光素子OLEDを駆動させる。
【0066】
駆動トランジスタDRTは、第1ノードN1、第2ノードN2および第3ノードN3を有する。
【0067】
駆動トランジスタDRTの第1ノードN1は、ゲートノードにあたるノードとして、第1トランジスタT1のソースノードまたはドレインノードと電気的に接続され得る。
【0068】
駆動トランジスタDRTの第2ノードN2を、有機発光素子OLEDの第1電極211と電気的に接続でき、ソースノードまたはドレインノードとできる。
【0069】
駆動トランジスタDRTの第3ノードN3を、駆動電圧EVDDが印加されるノードとして、駆動電圧EVDDを供給する駆動電圧ラインDVL(Driving Voltage Line)と電気的に接続でき、ドレインノードまたはソースノードとできる。
【0070】
駆動トランジスタDRTと第1トランジスタT1を、nタイプとpタイプとして実装できる。
【0071】
第1トランジスタT1は、データラインDLと駆動トランジスタDRTの第1ノードN1との間に電気的に接続され、ゲートラインを介してスキャン信号SCANをゲートノードに印加を受けて制御できる。
【0072】
これらの第1トランジスタT1は、スキャン信号SCANによってターンオンされ、データラインDLから供給されたデータ電圧VDATAを駆動トランジスタDRTの第1ノードN1に伝達し得る。
【0073】
ストレージキャパシターC1を、駆動トランジスタDRTの第1ノードN1と第2ノードN2との間に電気的に接続できる。
【0074】
これらのストレージキャパシターC1は、駆動トランジスタDRTの第1ノードN1と第2ノードN2との間に存在する内部キャパシター(Internal Capacitor)である寄生キャパシター(例:Cgs、Cgd)ではなく、駆動トランジスタDRTの外部に意図的に設計した外部キャパシター(External Capacitor)である。
【0075】
図3を参照すると、本実施例による表示パネルに配置された各サブピクセルSPは、有機発光素子OLED、駆動トランジスタDRT、第1トランジスタT1およびストレージキャパシターC1のほかに、第2トランジスタT2をさらに含み得る。
【0076】
第2トランジスタT2は、駆動トランジスタDRTの第2ノードN2と基準電圧VREF(Reference Votage)を供給する基準電圧ラインRVL(Reference Voltage Line)との間に電気的に接続され、ゲートノードにスキャン信号の一種であるセンシング信号SENSEの印加を受けて制御できる。
【0077】
前述した第2トランジスタT2をさらに含むことにより、サブピクセルSP内の駆動トランジスタDRTの第2ノードN2の電圧状態を効果的に制御できる。
【0078】
これらの第2トランジスタT2は、センシング信号SENSEによってターンオンされ、基準電圧ラインRVLを介して供給される基準電圧VREFを駆動トランジスタDRTの第2ノードN2に印加する。
【0079】
図3のサブピクセル構造は、駆動トランジスタDRTの第2ノードN2の電圧の初期化を正確にするのに有利であり、駆動トランジスタDRTの固有特性値(しきい値電圧と移動度)、有機発光素子OLEDの固有特性値(例:しきい値電圧)をセンシングするために有利な構造である。
【0080】
一方、スキャン信号SCANおよびセンシング信号SENSEは、別のゲート信号であり得る。この場合、スキャン信号SCANおよびセンシング信号SENSEは、互いに異なるゲートラインを介して、第1トランジスタT1のゲートノードおよび第2トランジスタT2のゲートノードにそれぞれ印加され得る。
【0081】
場合によって、スキャン信号SCANおよびセンシング信号SENSEは、同じゲート信号であり得る。この場合、スキャン信号SCANおよびセンシング信号SENSEは、同じゲートラインを介して第1トランジスタT1のゲートノードおよび第2トランジスタT2のゲートノードに共通に印加され得る。
【0082】
図4は、本明細書の一実施例による導電フィルムを説明するための図面である。
【0083】
図4を参照すると、導電フィルム400は、基材層420、導電性高分子層430およびネットワーク構造体440を含む。
【0084】
基材層420は、導電フィルム400を構成するベース層である。基材層420は、例えば、ポリイミド(Polyimide、PI)、ポリカーボネート(Polycarbonate、PC)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、PET)およびシリコンウエハーのうち、1つまたは複数を含み得る。
【0085】
1例として、ポリイミドは、軽く、耐熱性、耐衝撃性および耐摩耗性にすぐれ、可撓性であるため、基材層420は、ポリイミドを含み得る。
【0086】
導電性高分子層430は、基材層420上に位置する。また、導電性高分子層430は、導電性高分子を含む。
【0087】
導電性高分子は、伝導性に優れた高分子を意味し、面抵抗が60Ω/□であれば、その種類は、特別に制限されない。
【0088】
導電性高分子は、陽イオン性ポリマーと陰イオン性ポリマーの複合ポリマー(Conjugated Poymer)であり得る。導電性高分子が陽イオン性ポリマーと陰イオン性ポリマーの複合ポリマーである場合、導電性高分子を含む導電性高分子層が低い面抵抗を有し、優れた導電性を有し得る。
【0089】
陽イオン性ポリマーは、優れた伝導率を有する導電性高分子を使用できる。例えば、陽イオン性ポリマーは、ポリ(3、4-エチレンデオキシチオフェン)(PEDOT、poly(3、4-Ethylenedeoxythiophene))であり得る。
【0090】
陰イオン性ポリマーは、優れた伝導率を有する導電性高分子を使用できる。例えば、陰イオン性ポリマーは、デキストラン硫酸(Dextran Sulfate、DS)であり得る。
【0091】
陽イオン性ポリマーとしてPEDOTを使用し、陰イオン性ポリマーとしてDSを使用する場合、導電性高分子が優れた伝導率を有しつつ、高い光透過率を有し得る。
【0092】
導電性高分子は、例えば、伝導率が9000S/cm以上であり得る。導電性高分子の伝導率の上限は、伝導率が高いほど、導電フィルムが優れた伝導率を有するため、特別に制限されないが、例えば、20000S/cm以下であり得る。導電性高分子が前述した範囲を満足する伝導率を有する場合、導電フィルムが優れた伝導率を有し得、表示装置の輝度および電力効率が向上できる。
【0093】
導電性高分子は、波長が550nmである光についての光透過率が85%以上であり得る。前記光透過率の下限は、例えば、87%以上または90%以上であり得る。前記光透過率の上限は、導電性高分子の光透過率が高いほど、導電フィルムが高い透明度を有するため、特別に制限されないが、例えば、99%以下または95%以下であり得る。導電性高分子が前述した光透過率を満足する場合、導電フィルムが優れた透明度を有し得、表示装置の輝度および電力効率が向上できる。
【0094】
導電性高分子層430内には、ネットワーク構造体440が挿入される。ネットワーク構造体440は、導電性高分子層430に含まれる導電性高分子よりも高い伝導率を有するため、導電フィルムが高い伝導率を有する。
【0095】
図4に示したように、ネットワーク構造体440は、複数の金属ナノワイヤを含む。ネットワーク構造体440は、複数の金属ナノワイヤで構成され、隣接する2つの金属ナノワイヤが接触するジャンクション部441を含み得る。基材層420上に十分な数の金属ナノワイヤが配置される場合、隣接する金属ナノワイヤは、互いに重畳するおよび/または互いに接触するように配置され、ジャンクション部441を形成する。ジャンクション部441とは、隣接する複数の金属ナノワイヤが接触する部分の指称である。
【0096】
ネットワーク構造体440がジャンクション部441を含むことにより、金属ナノワイヤおよびジャンクション部441を介して電流が流れる通路が形成され得、複数の金属ナノワイヤおよびジャンクション部441を介してネットワーク構造体440の全体に電流を流すことができる。したがって、ネットワーク構造体440を含む導電フィルム400の電気伝導率を飛躍的に向上できる。
【0097】
金属ナノワイヤの種類は、例えば、銀ナノワイヤ、金ナノワイヤまたは白金ナノワイヤであり得る。前記金属のうち、銀は、伝導性にすぐれ、ワイヤ状に作りやすいため、本明細書の実施例による金属ナノワイヤは、銀ナノワイヤであり得る。
【0098】
銀ナノワイヤは、抵抗値が80Ωないし120Ωで抵抗値が200Ωないし400ΩのITOよりも低いため大型化しやすい。また、蒸着ではなく、印刷工法などを適用でき、曲面製作が可能であるためフレキシブル表示装置にも適用可能である。
【0099】
銀ナノワイヤは、10nmないし100nmの直径と1umないし100umの長さを有し得る。したがって、非常に大きい直径-長さの割合を有するようになるため、少量を使用しても隣接する銀ナノワイヤが互いに接触してジャンクション部441を形成しつつ、ネットワーク構造体440を形成し得る。銀ナノワイヤがネットワーク構造体440を形成する場合、銀ナノワイヤとの間に位置する孔隙および銀ナノワイヤのナノサイズによってネットワーク構造体440が高い光透過率を有し得る。
【0100】
図5は、本明細書の一実施例による導電フィルムの導電性高分子層430およびネットワーク構造体440の説明図である。
【0101】
金属ナノワイヤで構成されるネットワーク構造体440は、前述したように、金属ナノワイヤの間に位置する孔隙を含む多孔性部材の特性を有する。このような多孔性部材の特性は、優れた光透過率およびフレキシブル性などの長所があるが、伝導率が低下し抵抗が上昇するという問題点もある。ネットワーク構造体440の孔隙は、導電性高分子層430に含まれた導電性高分子によって充填される。したがって、ネットワーク構造体440を形成する複数の金属ナノワイヤとの間の孔隙には、導電性高分子が位置し得る。ネットワーク構造体440の孔隙を導電性高分子が充填する場合、ネットワーク構造体440の弱い機械的な物性を補完でき、導電フィルムが優れた硬度、耐スクラッチ性および耐久度を有し得る。
【0102】
本明細書の実施例によると、導電性高分子を陽イオン性ポリマーと陰イオン性ポリマーの複合ポリマー(Conjugated Poymer)とでき、その場合、陽イオン性ポリマーとしてPEDOTを含み、陰イオン性ポリマーとしてDSを含み得る。これらの導電性高分子は、気相重合(Vapor Polymerization)によって重合可能である。気相重合によって導電性高分子を重合する場合、ネットワーク構造体440の孔隙を効果的に充填でき、ネットワーク構造体440の孔隙を充填する過程で隣接する金属ナノワイヤが接触したジャンクション部441の接続が切れることを最大限に予防できるため、伝導率に優れたネットワーク構造体440を形成し得る。
【0103】
ネットワーク構造体440は、低い面抵抗を有し得る。例えば、ネットワーク構造体440は、面抵抗が20Ω/□以下であり得る。ネットワーク構造体440の面抵抗の下限は、面抵抗が低いほど、導電フィルムが優れた伝導率を有するものであるため、特別に制限されるものではないが、例えば、1Ω/□以上または5Ω/□以上であり得る。ネットワーク構造体440が低い面抵抗を有することにより、導電フィルムが優れた伝導率を有するため、ITOを効果的に代替し得る。
【0104】
ネットワーク構造体440は、高い光透過率を有し得る。例えば、ネットワーク構造体440は、波長が550nmである光についての光透過率が90%以上であり得る。ネットワーク構造体440の光透過率の上限は、光透過率が高いほど、導電フィルムが優れた透明度を有するものであるため、特別に制限されるものではないが、例えば、99%以下または95%以下であり得る。ネットワーク構造体440が高い透過率を有することにより、導電フィルムが優れた透明度を有するため、ITOを効果的に代替できる。
【0105】
本明細書の実施例による導電フィルムは、前述したように、優れた光透過率、電気伝導率および可撓性を有するため、各種電子装置に含まれるタッチパネルに適用でき、フレキシブル表示装置の透明電極としても使用できる。
【0106】
本明細書の実施例による表示装置は、タッチセンシングのためにタッチセンサー(Touch Sensor)として多数のタッチ電極が配置されたタッチパネルと、タッチパネルの駆動およびセンシング処理を行うタッチセンシング回路などを含み得る。タッチパネルが内蔵型の場合、タッチパネルは、多数のタッチ電極の集合体として見られる。ここで、多数のタッチ電極が置かれる板または層は、専用基板であってもよく、表示パネルに既に存在する層(例えば、封止層)であってもよい。タッチパネルを構成する多数のタッチ電極およびタッチセンシング回路は、前述した本明細書の実施例による導電フィルムを含み得る。
【0107】
図6は、本明細書の一実施例による導電フィルムの製造方法の説明図である。
【0108】
本実施例を説明するにおいて、以前の実施例と同一または対応する構成要素についての説明は省略する。以下、これを参照して本実施例による導電フィルムの製造方法について説明する。
【0109】
図6を参照すると、本明細書の実施例による導電フィルム製造方法は、基材層420上に金属ナノワイヤを含むネットワーク構造体440を形成する段階を含み得る。
【0110】
基材層420上にネットワーク構造体440を形成する方法は、例えば、銀ナノワイヤを大気中でポリオール(Polyol)溶液相工程で合成した後、プリンティング工程およびスプレー工程などを用いて基材層420上にコーティングする方法であり得るが、これに制限されるものではない。
【0111】
基材層420上にコーティングされる銀ナノワイヤの含量を調節してネットワーク構造体440の具体的な形状を調節できる。銀ナノワイヤの含量が高くなるほど、ネットワーク構造体440に含まれるジャンクション部441が多くなるため、ネットワーク構造体がより低い面抵抗を有し得る。
【0112】
本明細書の実施例による導電フィルムの製造方法は、導電性高分子層430を形成する段階を含み得る。導電性高分子層430を形成する段階は、ネットワーク構造体440を形成した後に、導電性高分子層430に含まれる導電性高分子を気相重合(Vapor Polymerization)して導電性高分子層430を形成し得る。
【0113】
気相重合(Vapor Polymerization)を通じて形成する導電性高分子は、例えば、陽イオン性ポリマーとしてPEDOT(Poly(3、4-Ethylenedeoxythiophene))を含み、陰イオン性ポリマーとしてDS(Dextran Sulfate)を含む複合ポリマー(Conjugated Poymer)であるPEDOT:DSであり得る。 PEDOT:DSを導電性高分子として使用する場合、気相重合(Vapor Polymerization)が容易かつ導電性高分子が優れた伝導率を有し得る。
【0114】
金属ナノワイヤを含むネットワーク構造体440が形成された基材層420上に気相重合を通じて導電性高分子層を形成する場合、溶液の重合などを通じて導電性高分子層を形成するよりもネットワーク構造体440が有するジャンクション部441の接続が解除されることを効果的に予防できる。また、ネットワーク構造体440を構成する金属ナノワイヤとの間に位置する孔隙を導電性高分子が効果的に充填できるという長所がある。ネットワーク構造体440が含む孔隙を導電性高分子が充填する場合、クロスジャンクション(Cross Junction)の抵抗が低くなることがあるため、導電フィルムが低い面抵抗および優れた伝導率を有し得る。
【0115】
本明細書の他の実施例は、表示装置に関するものである。
【0116】
本実施例を説明するにおいて、以前の実施例と同一または対応する構成要素についての説明は省略する。以下、これを参照して本実施例による導電フィルムの製造方法について説明する。
【0117】
本明細書の一実施例による表示装置は、導電フィルムを含む電極を含む。導電フィルムは、本明細書の実施例による導電フィルムである。表示装置が導電フィルムを含む電極を含むことにより、ITO電極を代替するか、またはITO電極の使用量を減少させ得る。
【0118】
前記電極は、例えば、表示装置の有機発光素子に含まれる電極であり得る。表示装置は、有機発光素子を含み得、有機発光素子は、第1電極、発光層および第2電極を含み得る。第1電極は、アノード電極またはカソード電極であり得、第2電極は、カソード電極またはアノード電極であり得る。有機発光素子の第1電極および第2電極のうち、高い透明度と優れた電気伝導率が要求される電極に前述した導電フィルムを含む電極が含まれ得る。
【0119】
以上の説明および添付した図は、本発明の技術的思想を例示的に説明したことに過ぎないものであって、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で様々な修正および変形が可能である。従って、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであって、このような実施例により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲により解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にある全ての技術的思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0120】
210:有機発光素子
211:第1電極
212:発光層
213:第2電極
420:基材層
430:導電性高分子層
440:ネットワーク構造体
441:ジャンクション部