(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】光酸発生剤を含む反射防止コーティング組成物を使用するパターンの形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/038 20060101AFI20221108BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20221108BHJP
G03F 7/26 20060101ALI20221108BHJP
G03F 7/095 20060101ALI20221108BHJP
G03F 7/32 20060101ALI20221108BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20221108BHJP
C08G 63/12 20060101ALI20221108BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20221108BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
G03F7/038 601
G03F7/004 503A
G03F7/26 511
G03F7/095
G03F7/32
C09K3/00 K
C08G63/12
H01L21/30 563
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2020110363
(22)【出願日】2020-06-26
【審査請求日】2020-06-26
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュンチュン・イ
(72)【発明者】
【氏名】チェユン・アン
(72)【発明者】
【氏名】チェワン・シム
(72)【発明者】
【氏名】チェボン・イム
(72)【発明者】
【氏名】エマド・アカド
(72)【発明者】
【氏名】ミョンヨル・キム
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-129938(JP,A)
【文献】特開2014-211644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004 - 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シアヌレート構造単位を含むポリマー、
架橋性基を含む光酸発生剤、
前記ポリマーと前記光酸発生剤とを架橋可能な化合物、
熱酸発生剤、及び
有機溶剤、
を含有し、
前記光酸発生剤が式G
+A
-を有するオニウム塩であり、式中、G
+は式1:
【化1】
を有しており、A
-は非重合性有機アニオンであり、
式1において、
YはSであり、
各R
1は、独立して、置換又は無置換のC
1~30アルキル基、置換又は無置換の多環式又は単環式のC
3~30シクロアルキル基、置換又は無置換の多環式又は単環式のC
6~30アリール基であり
、R
1のうちの1つは単結合又は連結基によって1つの隣接するR
1に任意選択的に連結されていてよ
く、
ただし、少なくとも1つのR
1は、単結合を介して、又はO、S、N、及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を任意選択的に含んでいる置換若しくは無置換のC
1~C
30連結基を介して、これに連結しているヒドロキシル基を有する多環式又は単環式のC
6~30アリール基であ
り、
zは3である、反射防止コーティング組成物。
【請求項2】
G
+が、式2:
【化2】
により表され、式2において、
各R
aは、独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、置換又は無置換のC
1~30アルキル基、置換又は無置換のC
2~30アルケニル基、置換又は無置換のC
2~30アルキニル基、置換又は無置換のC
1~C
30アルコキシ基、置換又は無置換のC
3~C
30シクロアルキル基、置換又は無置換のC
3~C
30シクロアルケニル基、置換又は無置換のC
6~C
30アリール基、置換又は無置換のC
6~C
30アリールオキシ基、置換又は無置換のC
6~C
30アリールチオ基、置換又は無置換のC
7~C
30アリールアルキル基であり、
各R
bは、置換又は無置換のC
1~30アルキル基、置換又は無置換の多環式又は単環式のC
3~30シクロアルキル基、置換又は無置換の多環式又は単環式のC
6~30アリール基であり、基R
bは、任意選択的に単結合又は連結基によって互いに連結され、
各Lは、単結合であるか、置換若しくは無置換のC
1~C
30アルキレン基、置換若しくは無置換のC
2~C
30アルケニレン基、置換若しくは無置換のC
2~C
30アルキニレン基、置換若しくは無置換のC
3~C
30シクロアルケニレン基、置換若しくは無置換のC
3~C
30シクロアルキニレン基、置換若しくは無置換のC
6~C
30アリーレン基、又は置換若しくは無置換のC
6~C
30ヘテロアリーレン基であり、これらのそれぞれの基において、隣接していない少なくとも1つの-CH
2-基は、-SO
2-、-C(=O)-、-O-、-S-、-SO-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=O)NR-、又は-NRC(=O)-(Rは水素又はC
1~C
10アルキル基である)、又はこれらの組み合わせにより任意選択的に置換され;
n1は1~5の整数であり、
n2は0~4の整数であるが、
n1とn2の合計は5を超えないことを条件とする、請求項1に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項3】
G
+が、式3:
【化3】
により表され、式3において、
各R
aは、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、置換又は無置換のC
1~30アルキル基、置換又は無置換のC
2~30アルケニル基、置換又は無置換のC
2~30アルキニル基、置換又は無置換のC
1~C
30アルコキシ基、置換又は無置換のC
3~C
30シクロアルキル基、置換又は無置換のC
3~C
30シクロアルケニル基、置換又は無置換のC
6~C
30アリール基、置換又は無置換のC
6~C
30アリールオキシ基、置換又は無置換のC
6~C
30アリールチオ基、置換又は無置換のC
7~C
30アリールアルキル基であり、基R
aは、任意選択的に単結合又は連結基によって互いに連結され、
R
bは、独立に、置換又は無置換のC
1~30アルキル基、置換又は無置換の多環式又は単環式のC
3~30シクロアルキル基、置換又は無置換の多環式又は単環式のC
6~30アリール基であり、
各Lは、単結合であるか、置換若しくは無置換のC
1~C
30アルキレン基、置換若しくは無置換のC
2~C
30アルケニレン基、置換若しくは無置換のC
2~C
30アルキニレン基、置換若しくは無置換のC
3~C
30シクロアルケニレン基、置換若しくは無置換のC
3~C
30シクロアルキニレン基、置換若しくは無置換のC
6~C
30アリーレン基、又は置換若しくは無置換のC
6~C
30ヘテロアリーレン基であり、これらのそれぞれの基において、隣接していない少なくとも1つの-CH
2-基は、-SO
2-、-C(=O)-、-O-、-S-、-SO-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=O)NR-、又は-NRC(=O)-(Rは水素又はC
1~C
10アルキル基である)、又はこれらの組み合わせにより任意選択的に置換され;
各n1は1~5の整数であり、
各n2は0~4の整数であるが、
n1とn2のそれぞれの合計は5を超えないことを条件とする、請求項1に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項4】
G
+が、式4:
【化4】
により表され、式4において、
各R
aは、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、置換又は無置換のC
1~30アルキル基、置換又は無置換のC
2~30アルケニル基、置換又は無置換のC
2~30アルキニル基、置換又は無置換のC
1~C
30アルコキシ基、置換又は無置換のC
3~C
30シクロアルキル基、置換又は無置換のC
3~C
30シクロアルケニル基、置換又は無置換のC
6~C
30アリール基、置換又は無置換のC
6~C
30アリールオキシ基、置換又は無置換のC
6~C
30アリールチオ基、置換又は無置換のC
7~C
30アリールアルキル基であり、
各Lは、単結合であるか、置換又は無置換のC
1~C
30アルキレン基、置換若しくは無置換のC
2~C
30アルケニレン基、置換若しくは無置換のC
2~C
30アルキニレン基、置換若しくは無置換のC
3~C
30シクロアルケニレン基、置換若しくは無置換のC
3~C
30シクロアルキニレン基、置換若しくは無置換のC
6~C
30アリーレン基、又は置換若しくは無置換のC
6~C
30ヘテロアリーレン基であり、これらのそれぞれの基において、隣接していない少なくとも1つの-CH
2-基は、-SO
2-、-C(=O)-、-O-、-S-、-SO-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=O)NR-、又は-NRC(=O)-(Rは水素又はC
1~C
10アルキル基である)、又はこれらの組み合わせにより任意選択的に置換され;
各n1は1~5の整数であり、
各n2は0~4の整数であるが、
n1とn2のそれぞれの合計は5を超えないことを条件とする、請求項1に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項5】
前記シアヌレート構造単位が、式5:
【化5】
により表される化合物から誘導され、
式5において、
R
2、R
3、R
4、及び各Xは、独立に、水素、置換若しくは無置換のC
1~30アルキル基、置換若しくは無置換のC
2~30アルケニル基、置換若しくは無置換のC
2~30アルキニル基、置換若しくは無置換のC
2~30アルカノイル基、置換若しくは無置換のC
1~C
30アルコキシ基、置換若しくは無置換のC
1~C
30アルキルチオ基、置換若しくは無置換のC
1~C
30アルキルスルフィニル基、置換若しくは無置換のC
1~C
30アルキルスルホニル基、-COOH、置換若しくは無置換のC
2~C
30アルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のC
7~C
30アルキルアリール基、置換若しくは無置換のC
6~C
30アリール、置換若しくは無置換のC
3~C
30ヘテロ脂環式、又は置換若しくは無置換のC
3~C
30ヘテロ芳香族基であり、
各m1は独立に1~10の整数である、請求項1~4のいずれか1項に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項6】
前記シアヌレート構造単位が、式6:
【化6】
により表される化合物から誘導され、
式6において、
各X’は、独立に、水素、置換若しくは無置換のC
1~30アルキル基、置換若しくは無置換のC
2~30アルケニル基、置換若しくは無置換のC
2~30アルキニル基、置換若しくは無置換のC
2~30アルカノイル基、置換若しくは無置換のC
1~C
30アルコキシ基、置換若しくは無置換のC
1~C
30アルキルチオ基、置換若しくは無置換のC
1~C
30アルキルスルフィニル基、置換若しくは無置換のC
1~C
30アルキルスルホニル基、-COOH、置換若しくは無置換のC
2~C
30アルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のC
7~C
30アルキルアリール基、置換若しくは無置換のC
6~C
30アリール、置換若しくは無置換のC
3~C
30ヘテロ脂環式、又は置換若しくは無置換のC
3~C
30ヘテロ芳香族基であり、
各m2は独立に1~10の整数である、請求項1~5のいずれか1項に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項7】
前記光酸発生剤と前記ポリマーとを架橋可能な前記化合物が、式7:
【化7】
(式7において、
各X’、各X’’、各R
5、R
6、及びR
7は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、置換又は無置換のC
1~30アルキル基、置換又は無置換のC
1~C
30アルコキシ基、置換又は無置換のC
3~C
30シクロアルキル基、置換又は無置換のC
7~C
30アリールアルキル基であり、
各m2及び各m3は、独立して2~10の整数である)により表される
請求項1~6のいずれか1項に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項8】
(a)基板;及び(b)前記基板上に配置された請求項1~7のいずれか1項に記載の反射防止コーティング組成物の層;を含む、コーティングされた基板。
【請求項9】
(a)請求項1~7のいずれか1項に記載の反射防止コーティング組成物の層を基板上に塗布すること;(b)前記塗布された反射防止コーティング組成物を硬化させて反射防止層を形成すること;(c)前記反射防止層の上にフォトレジスト層を形成すること;及び(d)前記フォトレジスト層をパターニングし、前記パターニングされたフォトレジスト層から前記反射防止層にパターンを転写すること;を含む、パターン形成方法。
【請求項10】
前記フォトレジスト層の前記パターニング及び前記パターンニングされたフォトレジスト層から前記反射防止層への前記パターンの転写が:(d)(1)前記フォトレジスト層及び前記反射防止層を活性化放射に露光すること、及び(d)(2)前記露光されたフォトレジスト層及び反射防止層を有機溶剤現像液で現像すること、を含む請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、フォトレジスト用途で使用するための反射防止コーティング組成物に関する。具体的には、本開示は、ネガ型現像におけるパターン倒れマージンを改善するための反射防止組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは、画像を基板に転写するために使用される感光性組成物である。フォトレジストのコーティング層は基板上に形成され、次いでフォトマスクを通して化学線照射される。フォトマスクは、化学線に対して不透明な領域と透明な領域を有する。フォトレジストコーティング層が化学線照射されると、フォトレジストコーティング層で光誘導性の化学修飾が生じる。その結果、フォトマスクのパターンがフォトレジストコーティング層に転写される。その後、フォトレジストコーティング層は、基板上で選択的に処理できるようにパターニングされた画像を形成するために現像される。
【0003】
典型的には、化学増幅されたネガ型フォトレジストは、酸に不安定な脱離基を有する樹脂と光酸発生剤(PAG)とを含む。そのようなフォトレジストが化学線照射されると、光酸発生剤は酸を形成し、このようにして形成された酸により、酸に不安定な基が露光後のベーク工程中に樹脂から脱離する。酸に不安定な基を除去すると、露光領域と非露光領域の間で、水性アルカリ性現像液又は疎水性の有機溶剤系現像液に対する溶解特性に違いが生じる。レジストの露光領域は、水性アルカリ現像液に可溶性にし、疎水性の有機溶剤系現像液に不溶性にする。半導体デバイスの製造プロセスでは、ポジ型プロセスは水性アルカリ性現像液を採用し、基板上のフォトレジストの非露光領域のみを残す一方で、ネガ型プロセスは疎水性の有機溶剤系現像液を使用し、フォトレジストの露光領域のみを基板に残す。
【0004】
一般的に、フォトレジストは、回路関数を実行するための導電路(好ましくはミクロン又はサブミクロンの形状)の複合マトリックスに変換される、SiやGaAsなどの半導体基板上のマイクロ又はナノスケールのパターンを印刷するために使用される。このような目的を達成するには、フォトレジストの処理と処理条件の詳細が非常に重要である。フォトレジストを処理するために使用されるいくつかの操作は相互依存的に作用するものの、高解像度のフォトレジスト画像を得るための最も重要な操作の1つは、放射露光工程である。
【0005】
そのような露光操作では、フォトレジストコーティング層から反射された放射は、パターニングされたフィーチャの解像度を低下させる。例えば、露光された放射が基板とフォトレジストとの間の界面で反射すると、フォトレジストコーティング層に放射される放射の強度に空間的なばらつきが生じ、放射は意図的に露光されていないフォトレジスト領域に向かって散乱する。そのため、フォトレジスト露光時の放射の反射により、印刷された行間フィーチャの線幅が不均一になるなど、現像時にパターンの均一性が損なわれる。加えて、領域間で散乱又は反射された放射の量に違いが存在するため、解像度は基板のトポグラフィの影響を受けやすくなる可能性がある。
【0006】
上述した反射に関連する問題を解決するために、追加の光吸収層、すなわち反射防止コーティング層が、基板表面とフォトレジストコーティング層との間にコーティングされる((特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)、(特許文献4)などを参照のこと)。
【0007】
しかしながら、そのような従来の反射防止コーティング層の場合、フォトリソグラフィープロセスにおけるネガ型現像(NTD)は、パターンが小さい臨界寸法(40nm以下)を有する場合、高頻度でパターン倒れの問題を抱えている。この現象は、製品の品質を低下させるだけでなく、プロセスマージンの確保が非常に困難なことから低い歩留まりも引き起こしてきた。
【0008】
最近、NTDプロセスにおけるパターン倒れマージン(PCM)は、縮小されたパターンスケールのArF液浸リソグラフィーにおけるより高い歩留まりにとって最も重要な問題となっている。NTDにおけるPCMは、下層反射防止コーティング(BARC)膜の特性に大きく依存する。特に、酸性のBARC表面は、フォトレジストの脱保護反応を更に増加させることにより、パターン倒れを大幅に高め得る。BARCの酸性触媒として、光酸発生剤は、露光された領域でのみ生成された酸によってパターン倒れを改善できるため、BARC配合物における優れた酸性制御ユニットの1つになり得る。しかしながら、この方法の主な欠点は、フォトレジストスピンコーティング中のBARC表面のPAG濃度の低下、又はプロセス溶剤による溶解に起因するレジスト消費(RRC)プロセスの低下である。ネガ型現像におけるパターン倒れマージンを改善できる新規な反射防止コーティング組成物が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第5,939,236号明細書
【文献】米国特許第5,886,102号明細書
【文献】米国特許第5,851,738号明細書
【文献】米国特許第5,851,730号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0033801A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2019/0129305A1号明細書
【非特許文献】
【0010】
【文献】McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,North American Edition for the Year 2000
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態は、ポリマー、架橋性基を有する光酸発生剤、ポリマーと光酸発生剤とを架橋可能な化合物、熱酸発生剤、及び有機溶剤、を含有する反射防止コーティング組成物を提供する。
【0012】
別の実施形態は、(a)基板;及び(b)基板上に配置された反射防止コーティング組成物の層;を含むコーティングされた基板を提供する。
【0013】
更に別の実施形態は、
(a)反射防止コーティング組成物の層を基板上に塗布すること;
(b)塗布された反射防止コーティング組成物を硬化させて反射防止層を形成すること;
(c)反射防止層の上にフォトレジスト層を形成すること;及び
(d)フォトレジスト層をパターニングし、パターニングされたフォトレジスト層から反射防止層にパターンを転写すること;
を含む、パターンの形成方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、その例が本記載において例示される例示的な実施形態が詳細に言及される。これに関連して、本例示的な実施形態は、異なる形態を有し得、本明細書に明記される記載に限定されると解釈されるべきではない。したがって、例示的な実施形態は、本記載の態様を説明するために、図に言及することによって以下に記載されるにすぎない。本明細書で用いられる用語「及び/又は」は、列挙されている項目のうちの1つ以上の任意の及び全ての組み合わせを包含する。「の少なくとも1つ」などの表現は、要素のリストに先立つ場合、要素の全体リストを修正し、リストの個々の要素を修正しない。
【0015】
要素が別の要素「上」にあると言われる場合、それが他の要素と直接に接触することができるか又は介在要素がそれらの間に存在し得ることが理解されるであろう。対照的に、要素が別の要素の「上に直接に」にあると言われる場合、介在要素は、存在しない。
【0016】
用語第1、第2、第3等は、様々な要素、成分、領域、層及び/又は区域を記載するために本明細書で用いられ得るが、これらの要素、成分、領域、層及び/又は区域は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素、成分、領域、層又は区域を別の要素、成分、領域、層又は区域から区別するために用いられるにすぎない。したがって、以下で論じられる第1の要素、成分、領域、層又は区域は、本実施形態の教示から逸脱することなく第2の要素、成分、領域、層又は区域と称されることができる。
【0017】
本明細書で用いられる専門用語は、特定の実施形態を記載するという目的のためのものであるにすぎず、限定的であることを意図しない。本明細書で用いる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈が特に明らかに示さない限り、複数形を同様に含むことを意図する。
【0018】
用語「含む」及び/若しくは「含んでいる」又は「包含する」及び/若しくは「包含している」は、本明細書で用いられる場合、述べられた特徴、領域、整数、工程、操作、要素及び/又は成分の存在を明記するが、1つ以上の他の特徴、領域、整数、工程、操作、要素、成分及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しないことが更に理解されるであろう。
【0019】
「約」は、本明細書で用いる場合、述べられた値を含み、対象の測定及び特定量の測定に関連した誤差(すなわち測定システムの制約)を考慮して、当業者によって測定されるような特定の値についての偏差の許容できる範囲内を意味する。例えば、「約」は、述べられた値の1つ以上の標準偏差内又は±30%、20%、10%、5%内を意味することができる。
【0020】
別に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される辞典において定義されるものなどの用語は、関連技術及び本開示との関連でのそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義しない限り、理想的な意味又は過度に形式的な意味で解釈されないことが更に理解されるであろう。
【0021】
本明細書で用いる場合、定義が別に提供されないとき、用語「炭化水素基」は、示される1つ以上の置換基で任意選択的に置換された、少なくとも1つの炭素原子及び少なくとも1つの水素原子を有する有機化合物を意味する。
【0022】
本明細書で用いる場合、定義が別に提供されないとき、用語「アルキル基」は、明記された数の炭素原子を有し、少なくとも1つの原子価を有する直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素に由来する基を意味する。
【0023】
本明細書で用いる場合、定義が別に提供されないとき、用語「ヒドロキシアルキル基」は、少なくとも1つのヒドロキシル基(-OH)で置換されたアルキル基を意味する。
【0024】
本明細書で用いる場合、定義が別に提供されないとき、用語「アルコキシ基」は、「アルキル-O-」を意味し、ここで、「アルキル」は、上に記載された用語「アルキル基」と同じ意味を有する。
【0025】
本明細書で用いる場合、定義が別に提供されないとき、用語「カルボン酸基」は、式「-C(=O)-OH」を有する基を意味する。
【0026】
本明細書で用いる場合、定義が別に提供されないとき、用語「シクロアルキル基」は、全環員が炭素である1つ以上の飽和環を有する一価の基を意味する。
【0027】
本明細書で用いる場合、定義が別に提供されないとき、用語「アルケニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖の一価の炭化水素基を意味する。
【0028】
本明細書で用いる場合、定義が別に提供されないとき、単独で又は組み合わせで用いられる用語「アリール基」は、少なくとも1つの環を含有し、明記される数の炭素原子を有する芳香族又はヘテロ芳香族炭化水素を意味する。
【0029】
用語「アリール基」は、少なくとも1つのシクロアルキル環又はヘテロシクロアルキル環に縮合した芳香環又はヘテロ芳香環を有する基を含むと解釈され得る。「アリール」基は、窒素(N)、酸素(O)、P(リン)及び硫黄(S)から独立して選択される1つ以上のヘテロ原子を含み得る。
【0030】
本明細書で用いる場合、定義が別に提供されないとき、用語「アリールオキシ基」は、「アリール-O-」を意味し、ここで、用語「アリール」は、上に記載された「アリール基」と同じ意味を有する。
【0031】
上述したように、ネガ型現像(NTD)におけるパターン倒れマージン(PCM)は、下層反射防止コーティング(BARC)膜の特性に大きく依存する。特に、酸性のBARC表面は、フォトレジストの脱保護反応により、パターン倒れを大幅に高め得る。酸触媒の前駆体としての光酸発生剤は、露光領域で発生した酸によるパターン倒れを改善できるため、BARC配合物における優れた酸性度制御ユニットの1つとなり得る。しかしながら、フォトレジストスピンコーティング中のBARC表面のPAG濃度は、PAGの一部がプロセス溶剤によって洗い流されるため低下する。
【0032】
本発明者らは、反射防止組成物に架橋性PAGを導入すると、ポリマーベーク工程中にBARCポリマーとの架橋反応によるBARC表面上のPAGの損失を低減することができ、露光されたBARC領域で架橋したPAGから強酸が効果的に生成されることにより、提供された反射防止層がはるかに改善されたパターン倒れを示すことを見出した。
【0033】
したがって、本発明の一実施形態は、ポリマー、架橋性基を有する光酸発生剤、ポリマーと光酸発生剤とを架橋可能な化合物、熱酸発生剤、及び有機溶剤、を含有する反射防止コーティング組成物を提供する。
【0034】
反射防止組成物は、架橋性基を有する光酸発生剤を含有する。本明細書において使用される「架橋性基」という用語は、光酸発生剤をポリマーに架橋することができる任意の反応性基を指す。架橋性基は、ラジカル機構により反応することができる炭素-炭素二重結合又は炭素-炭素三重結合などの不飽和官能基であってもよい。架橋性基は、窒素、酸素、リン、硫黄、又はハロゲンなどのヘテロ原子を含む官能基であってもよい。例えば、架橋性基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基(無置換であってもよく、或いは少なくとも1つのアルキル基又は少なくとも1つのアリール基で置換されていてもよい)、チオール基、チオエーテル基、アルデヒド中及びケトン中に存在するカルボニル基、カルボン酸基若しくはその塩、リン酸基若しくはその塩、スルホン酸基若しくはその塩、カルボン酸エステル基、無置換であってもよく少なくとも1つのアルキル基若しくは少なくとも1つのアリール基で置換されていてもよいアミド基、スルホン酸エステル基、又はリン酸エステル基であってもよいが、これらに限定されない。一実施形態では、架橋性基はヒドロキシル基であってもよい。
【0035】
架橋性光酸発生剤は、それぞれがカチオン部分とアニオン部分とを含むスルホニウム塩又はヨードニウム塩などのオニウム光酸発生剤であってもよい。架橋性基は、オニウム塩のカチオン部分又はアニオン部分のいずれに含まれていてもよい。オニウム塩が芳香族基を含む場合、架橋性基は、芳香族基に直接又は間接的に結合することができる。
【0036】
一実施形態では、光酸発生剤は、式G
+A
-を有するオニウム塩であってもよく、式中、G
+は式1:
【化1】
を有していてもよく、A-は非重合性有機アニオンであってもよい。
【0037】
式1において、zは2又は3であってもよく、YがIである場合はzは2であり、又はYがSである場合はzは3である。
【0038】
式1中の各R1は、独立して、置換又は無置換のC1~30アルキル基、置換又は無置換の多環式又は単環式のC3~30シクロアルキル基、置換又は無置換の多環式又は単環式のC6~30アリール基であってもよく、XはSである場合、R1のうちの1つは単結合又は連結基によって1つの隣接するR1に任意選択的に連結されていてもよい。式1中の少なくとも1つのR1は、直接的に(単結合を介して)又は間接的に(O、S、N、及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を任意選択的に含んでいる置換又は無置換のC1~C30連結基を介して)これに連結しているヒドロキシル基を有する多環式又は単環式のC6~30アリール基である。
【0039】
一例では、G
+は、式2:
【化2】
により表すことができる。
【0040】
式2において、
各Raは、独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、置換又は無置換のC1~30アルキル基、置換又は無置換のC2~30アルケニル基、置換又は無置換のC2~30アルキニル基、置換又は無置換のC1~C30アルコキシ基、置換又は無置換のC3~C30シクロアルキル基、置換又は無置換のC3~C30シクロアルケニル基、置換又は無置換のC6~C30アリール基、置換又は無置換のC6~C30アリールオキシ基、置換又は無置換のC6~C30アリールチオ基、置換又は無置換のC7~C30アリールアルキル基であってもよく、
各Rbは、独立して、置換又は無置換のC1~30アルキル基、置換又は無置換の多環式又は単環式のC3~30シクロアルキル基、置換又は無置換の多環式又は単環式のC6~30アリール基であってもよく、基Rbは、任意選択的に単結合又は連結基によって互いに連結され、
各Lは、単結合であるか、置換若しくは無置換のC1~C30アルキレン基、置換若しくは無置換のC2~C30アルケニレン基、置換若しくは無置換のC2~C30アルキニレン基、置換若しくは無置換のC3~C30シクロアルケニレン基、置換若しくは無置換のC3~C30シクロアルキニレン基、置換若しくは無置換のC6~C30アリーレン基、又は置換若しくは無置換のC6~C30ヘテロアリーレン基であってもよく、これらのそれぞれの基において、隣接していない少なくとも1つの-CH2-基は、-SO2-、-C(=O)-、-O-、-S-、-SO-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=O)NR-、又は-NRC(=O)-(Rは水素又はC1~C10アルキル基である)、又はこれらの組み合わせにより任意選択的に置換され;
n1は1~5の整数であり、
n2は0~4の整数であるが、
n1とn2の合計は5を超えないことを条件とする。
【0041】
別の例では、G
+は、式3:
【化3】
により表すことができる。
【0042】
式3において、
各Raは、独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、置換又は無置換のC1~30アルキル基、置換又は無置換のC2~30アルケニル基、置換又は無置換のC2~30アルキニル基、置換又は無置換のC1~C30アルコキシ基、置換又は無置換のC3~C30シクロアルキル基、置換又は無置換のC3~C30シクロアルケニル基、置換又は無置換のC6~C30アリール基、置換又は無置換のC6~C30アリールオキシ基、置換又は無置換のC6~C30アリールチオ基、置換又は無置換のC7~C30アリールアルキル基であってもよく、基Raは、任意選択的に単結合又は連結基によって互いに連結され、
Rbは、置換又は無置換のC1~30アルキル基、置換又は無置換の多環式又は単環式のC3~30シクロアルキル基、置換又は無置換の多環式又は単環式のC6~30アリール基であってもよく、
各Lは、単結合であるか、置換若しくは無置換のC1~C30アルキレン基、置換若しくは無置換のC2~C30アルケニレン基、置換若しくは無置換のC2~C30アルキニレン基、置換若しくは無置換のC3~C30シクロアルケニレン基、置換若しくは無置換のC3~C30シクロアルキニレン基、置換若しくは無置換のC6~C30アリーレン基、又は置換若しくは無置換のC6~C30ヘテロアリーレン基であってもよく、これらのそれぞれの基において、隣接していない少なくとも1つの-CH2-基は、-SO2-、-C(=O)-、-O-、-S-、-SO-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=O)NR-、又は-NRC(=O)-(Rは水素又はC1~C10アルキル基である)、又はこれらの組み合わせにより任意選択的に置換され;
各n1は1~5の整数であり、
各n2は0~4の整数であるが、
n1とn2のそれぞれの合計は5を超えないことを条件とする。
【0043】
また別の例では、G
+は、式4:
【化4】
により表すことができる。
【0044】
式4において、
各Raは、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、置換又は無置換のC1~30アルキル基、置換又は無置換のC2~30アルケニル基、置換又は無置換のC2~30アルキニル基、置換又は無置換のC1~C30アルコキシ基、置換又は無置換のC3~C30シクロアルキル基、置換又は無置換のC3~C30シクロアルケニル基、置換又は無置換のC6~C30アリール基、置換又は無置換のC6~C30アリールオキシ基、置換又は無置換のC6~C30アリールチオ基、置換又は無置換のC7~C30アリールアルキル基であってもよく、
各Lは、単結合であるか、置換若しくは無置換のC1~C30アルキレン基、置換若しくは無置換のC2~C30アルケニレン基、置換若しくは無置換のC2~C30アルキニレン基、置換若しくは無置換のC3~C30シクロアルケニレン基、置換若しくは無置換のC3~C30シクロアルキニレン基、置換若しくは無置換のC6~C30アリーレン基、又は置換若しくは無置換のC6~C30ヘテロアリーレン基であってもよく、これらのそれぞれの基において、隣接していない少なくとも1つの-CH2-基は、-SO2-、-C(=O)-、-O-、-S-、-SO-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=O)NR-、又は-NRC(=O)-(Rは水素又はC1~C10アルキル基である)、又はこれらの組み合わせにより任意選択的に置換され;
各n1は1~5の整数であり、
各n2は0~4の整数であるが、
n1とn2のそれぞれの合計は5を超えないことを条件とする。
【0045】
非重合性有機アニオンA-は、スルホネートアニオンであってもよい。例えば、A-は、非フッ素化スルホネートアニオン、部分的にフッ素化されたスルホネートアニオン、又は完全にフッ素化されたスルホネートアニオンであってもよい。一実施形態では、A-は、式R-SO3
-で表すことができ、式中のRは、直鎖若しくは分岐のC1~C30アルキル基、又は直鎖若しくは分岐のC1~C30ヘテロアルキル基であり、これらのそれぞれは任意選択的に少なくとも1つのフッ素原子を含んでいてもよい。
【0046】
別の実施形態では、A-は、式8:
式8
[A-(CHR1)p]k-(L)-(CH2)m-(C(R2)2)n-SO3
-
により表すことができ、式8において、
Aは、O、S、N、F、又は前述のうちの少なくとも1つを含む組み合わせを任意選択的に含んでいる、置換又は無置換の、単環式、多環式、又は縮合多環式のC5以上の脂環式基であり、
R1は、H、単結合、又は置換若しくは無置換のC1~30アルキル基であり、R1が単結合である場合、R1はAの炭素原子への共有結合であり、
各R2は、独立に、H、F、又はC1~4フルオロアルキルであり、少なくとも1つのR2は水素原子ではなく、
Lは、スルホネート基、スルホンアミド基、又はC1~30スルホネート若しくはスルホンアミドを含有する基を含む連結基であり、
pは0~10の整数であり、kは1又は2であり、mは0以上の整数であり、nは1以上の整数である。
【0047】
いくつかの実施形態では、架橋性光酸発生剤は、以下の式(PA-1)~(PA-32)のうちの1つによって表すことができる:
【化5】
【化6】
【0048】
反射防止組成物中の架橋性光酸発生剤の量は、反射防止組成物の総固形分を基準として1重量%~15重量%であってもよい。例えば、反射防止組成物中の架橋性光酸発生剤の量は、反射防止組成物の総固形分を基準として1重量%~10重量%、又は反射防止組成物の総固形分を基準として1重量%~5重量%であってもよいが、これらに限定されない。
【0049】
反射防止組成物は、光酸発生剤と架橋することができるポリマーを更に含有する。ポリマーは、区別可能な(異なる)カルボキシ(例えば-COOH)及び/又はカルボキシエステル(例えば-COOR、RはC
1~C
12アルキルなどの水素以外)置換による複数のシアヌレート窒素環原子の置換を含むシアヌレート構造単位を含んでいてもよい。シアヌレート構造単位は、式5:
【化7】
により表される化合物から誘導されていてもよい。
【0050】
式5において、R3OOC(CX2)m1-、R2-、及びR4OOC(CX2)m1-のうちの少なくとも2つは、異なる酸又はエステル基を表していてもよい。本明細書において、ラジカルR3OOC(CX2)m1-、R2-、及びR3OOC(CX2)m1-のうちの少なくとも2つが異なる酸又はエステル基であるとは、少なくとも2つのラジカルが少なくとも1つの原子の相違を有することを意味する。例えば、m1の値が同じではない場合、基は異なる酸又はエステル基である。基R3及びR4が同じではない(例えばR3が-CH3でありR4が-Hである)場合、基は異なる酸又はエステル基である。R2が酸でありR3が水素以外である場合、基は異なる。多くの場合、ラジカルは2つ以上の原子が異なる。
【0051】
式5において、
R2、R3、R4、及び各Xは、独立して、水素であるか、置換若しくは無置換のC1~30アルキル基、置換若しくは無置換のC2~30アルケニル基(任意選択的に置換されているアリルなど)、置換若しくは無置換のC2~30アルキニル基(任意選択的に置換されているプロパルギルなど)、置換若しくは無置換のC2~30アルカノイル基(任意選択的に置換されているアセチルなど)、置換若しくは無置換のC1~C30アルコキシ基(任意選択的に置換されているメトキシ、プロポキシ、ブトキシなど)、置換若しくは無置換のC1~C30アルキルチオ基、置換若しくは無置換のC1~C30アルキルスルフィニル基、置換若しくは無置換のC1~C30アルキルスルホニル基、-COOH、置換若しくは無置換のC2~C30アルコキシカルボニル基(光酸に対して実質的に非反応性のエステルを含む);置換若しくは無置換のC7~C30アルキルアリール基(任意選択的に置換されているベンジルなど)、置換若しくは無置換のC6~C30アリール(任意選択的に置換されているフェニル、ナフチル、アセナフチルなど)、又は置換若しくは無置換のC3~C30ヘテロ脂環式又は置換若しくは無置換のC3~C30ヘテロ芳香族基(任意選択的に置換されているメチルフタルイミド、N-メチル-1,8-フタルイミドなど)などの非水素置換基であり、
各m1は、同じであっても異なっていてもよく、独立して1~10の整数であってもよい。
【0052】
一実施形態では、シアヌレート構造単位は、式5aによって表される化合物から誘導することができる:
【化8】
【0053】
式5aにおいて、R2、R3、及びR4は、上の式5との関連で記載した基と同じである。
【0054】
式5及び5aにおいて、R2は、光学特性、エッチング速度、熱特性、コーティング溶剤への溶解性、及び様々な基板表面上のコーティング特性などの望まれるリソグラフィー特性を付与するものなどの、ポリマーに様々な官能基を導入するのに有用なものであってもよい。上の式5及び5aにおいて、R2は、より直鎖でより高分子量のコーティングポリマー組成物を得るための重合プロセスにも影響を及ぼし得る。
【0055】
ポリマーは、式6:
【化9】
により表される化合物に由来するシアヌレート構造単位を更に含んでいてもよい。
【0056】
式6において、
各X’、各X’’、及び各R5は、独立して、水素であるか、置換若しくは無置換のC1~30アルキル基、置換若しくは無置換のC2~30アルケニル基(任意選択的に置換されているアリルなど)、置換若しくは無置換のC2~30アルキニル基(任意選択的に置換されているプロパルギルなど)、置換若しくは無置換のC2~30アルカノイル基(任意選択的に置換されているアセチルなど)、置換若しくは無置換のC1~C30アルコキシ基(任意選択的に置換されているメトキシ、プロポキシ、ブトキシなど)、置換若しくは無置換のC1~C30アルキルチオ基、置換若しくは無置換のC1~C30アルキルスルフィニル基、置換若しくは無置換のC1~C30アルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のC1~C30(アルキル)カルボキシ基(光酸に対して実質的に非反応性のエステルなど、R’がH又はC1~C30アルキルである-COOR’のような基を含む);置換又は無置換のC7~C30アルキルアリール基(任意選択的に置換されているベンジルなど)、置換若しくは無置換のC6~C30アリール(任意選択的に置換されているフェニル、ナフチル、アセナフチルなど)、又は置換若しくは無置換のC3~C30ヘテロ脂環式又は置換若しくは無置換のC3~C30ヘテロ芳香族基(任意選択的に置換されているメチルフタルイミド、N-メチル-1,8-フタルイミドなど)などの非水素置換基であり、
各m2は同じであっても異なっていてもよく、それぞれが整数、例えば0、1、2、3、又は4であってもよく、m2は1又は2などの正の整数であることがしばしば好ましい。
【0057】
反射防止組成物中のポリマーの量は、反射防止組成物の総固形分を基準として75重量%~99重量%であってもよい。例えば、反射防止組成物中のポリマーの量は、反射防止組成物の総固形分を基準として85重量%~95重量%であってもよいが、これに限定されない。
【0058】
組成物は、架橋性化合物を更に含み、これは特に限定されず、光及び/又は熱によって架橋反応を開始できる任意の架橋性物質であってもよい。例えば、架橋性化合物は、熱によって架橋反応を開始できる分子であってもよい。架橋性化合物は、活性放射光への露光時に光酸発生剤が酸を放出する際に硬化、架橋、又は固化される。
【0059】
一実施形態では、架橋性化合物は式7
【化10】
によって表すことができる。
【0060】
式7において、
各X’、各X’’、各R5、R6、及びR7は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、置換又は無置換のC1~30アルキル基、置換又は無置換のC1~C30アルコキシ基、置換又は無置換のC3~C30シクロアルキル基、置換又は無置換のC7~C30アリールアルキル基であってもよく、
各m2及び各m3は、独立して1~10の整数であってもよい。
【0061】
反射防止組成物中の架橋性化合物の量は、反射防止組成物の総固形分を基準として、0重量%~15重量%であってもよい。例えば、反射防止組成物中の架橋性化合物の量は、反射防止組成物の総固形分を基準として0重量%~10重量%、又は反射防止組成物の総固形分を基準として0重量%~5重量%であってもよいが、これらに限定されない。
【0062】
ポリマーが架橋性化合物と反応すると、架橋ポリマーが形成される。一実施形態では、架橋ポリマーは、式5により表される化合物に由来する構造単位と式6により表される化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。別の実施形態では、架橋ポリマーは、式5により表される化合物に由来する構造単位と式7により表される化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。更に別の実施形態では、架橋ポリマーは、式5により表される化合物に由来する構造単位と、式6により表される化合物に由来する構造単位と、式7により表される化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。
【0063】
架橋ポリマーは、以下の式(P-A)~(P-R)のうちの1つによって表すことができる:
【化11】
【化12】
【0064】
架橋したシアヌレート構造単位を含むポリマーの例は、(特許文献5)及び(特許文献6)においても提供されており、これらの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0065】
反射防止組成物は、熱酸発生剤を更に含有する。熱酸発生剤は、反射防止コーティング組成物層の硬化プロセス中の架橋反応を促進又は改善する。熱酸発生剤は、イオン性又は実質的に中性の熱酸発生剤であってもよい。
【0066】
一実施形態では、熱酸発生剤は、アレーンスルホン酸発生剤、例えば式9:
【化13】
により表されるベンゼンスルホン酸発生剤であってもよい。
【0067】
式9において、
各R2は、独立して、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン(F、Cl、Br、又はI)、アミノ、任意選択的に置換されているアルキル、任意選択的に置換されているヘテロアルキル、任意選択的に置換されている炭素環、又は任意選択的に置換されているヘテロアリールなどの非水素置換基であり;
M+はカチオンである。
【0068】
別の実施形態では、熱酸発生剤は、式10:
【化14】
により表されるピリジニウム酸発生剤であってもよい。
【0069】
式10において、
R1は、任意選択的に置換されているアルキル、任意選択的に置換されているヘテロアルキル、任意選択的に置換されている炭素環、又は任意選択的に置換されているヘテロアリールなどの非水素置換基であり;
各R2は、独立して、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン(F、Cl、Br、又はI)、アミノ、任意選択的に置換されているアルキル、任意選択的に置換されているヘテロアルキル、任意選択的に置換されている炭素環、又は任意選択的に置換されているヘテロアリールなどの非水素置換基であり;
nは、0(R2基が存在せず、ピリジル環置換)、1、2、3、4、又は5であり、より典型的にはnは0、1、2、又は3である。
【0070】
反射防止組成物中の1種以上の熱酸発生剤の量は、反射防止組成物の総固形分を基準として0.1~10重量パーセントであってもよい。例えば、反射防止組成物中の1種以上の熱酸発生剤の量は、反射防止組成物の総固形分を基準として約0.5重量%~2重量%であってもよい。
【0071】
反射防止組成物は、溶剤を更に含んでいてもよい。溶剤は、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、2-ヒドロキシイソ酪酸メチルエステル(HBM)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチル3-メトキシプロピオネート(MMP)、乳酸エチル、酢酸n-ブチル、アニソール、N-メチルピロリドン、γ-ブチロラクトン、エトキシベンゼン、プロピオン酸ベンジル、安息香酸ベンジル、炭酸プロピレン、キシレン、メシチレン、クメン、リモネン、及びこれらの混合物などの、エレクトロニクス産業で典型的に使用されている有機溶剤であってもよい。アニソール、エトキシベンゼン、PGME、HBM、PGMEA、GBL、MMP、酢酸n-ブチル、プロピオン酸ベンジル、及び安息香酸ベンジルのうちの1種以上を1種以上の追加の有機溶剤と組み合わせて含む混合物などの有機溶剤の混合物、例えばアニソール、エトキシベンゼン、PGME、HBM、PGMEA、GBL、MMP、酢酸n-ブチル、プロピオン酸ベンジル、キシレン、メシチレン、クメン、リモネン、及び安息香酸ベンジルのうちの2種以上を含む混合物が使用されてもよい。溶剤の混合物が使用される場合、溶剤の比率は通常重要ではなく、溶剤混合物が組成物の成分を溶解できる限り、99:1~1:99の重量対重量(w/w)で様々であってもよい。有機溶剤中の成分の濃度は、必要に応じて、有機溶剤の一部を除去することにより、或いは有機溶剤を更に添加することにより、調整できることを当業者は理解するであろう。
【0072】
組成物の溶剤成分は、典型的には、反射防止組成物の総固形分を基準として、50~99.9重量%、例えば、55~99.9重量%、60~99.9重量%、65~99.9重量%、70~99.9重量%、75~99.9重量%、80~99.9重量%、85~99.9重量%、90~99.9重量%、又は95~99重量%の量で存在する。
【0073】
反射防止組成物は、例えば界面活性剤や酸化防止剤などの1種以上の任意選択的な添加剤を含んでいてもよい。典型的な界面活性剤には、両親媒性の性質を示すもの、すなわち同時に親水性と疎水性の両方であってもよいものが含まれる。両親媒性界面活性剤は、水に対して強い親和性を有する親水性の頭部基と、親有機性で水をはじく長い疎水性の尾部を有する。適切な界面活性剤は、イオン性(すなわち、アニオン性、カチオン性)又は非イオン性であってもよい。界面活性剤の更なる例としては、シリコン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤、及びフルオロケミカル界面活性剤が挙げられる。適切な非イオン性界面活性剤としては、限定するものではないが、TRITON(登録商標)X-114、X-100、X-45、X-15などのオクチル及びノニルフェノールエトキシレート、並びにTERGITOLTMTMN-6(The Dow Chemical Company,Midland,Michigan USA)及びPF-656(Omnova Solutions,Beachwood,Ohio,USA)などの分岐二級アルコールエトキシレートが挙げられる。更に別の例示的な界面活性剤としては、アルコール(一級及び二級)エトキシレート、アミンエトキシレート、グルコシド、グルカミン、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール-co-プロピレングリコール)、又はManufacturers Confectioners Publishing Co.of Glen Rock,N.J.により出版された(非特許文献1)に開示されている他の界面活性剤などが挙げられる。アセチレンジオール誘導体である非イオン性界面活性剤も適している場合がある。そのような界面活性剤は、Air Products and Chemicals,Inc.of Allentown,PAから市販されており、SURFYNOL(登録商標)及びDYNOL(登録商標)の商品名で販売されている。追加の適切な界面活性剤としては、トリブロックEO-PO-EOコポリマーであるPLURONIC(登録商標)25R2、L121、L123、L31、L81、L101、及びP123(BASF,Inc.)などの他のポリマー化合物が挙げられる。そのような界面活性剤及び他の任意選択的な添加剤(使用される場合)は、典型的には、反射防止組成物中に、反射防止組成物の総固形分を基準として0.01重量%~10重量%などの少量で存在する。
【0074】
反射防止組成物中の有機材料の酸化を防止又は最小化するために、酸化防止剤が反射防止組成物に添加されてもよい。適切な酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、有機酸誘導体からなる酸化防止剤、硫黄含有酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、アミン-アルデヒド縮合物からなる酸化防止剤、及びアミン-ケトン縮合物からなる酸化防止剤が挙げられる。フェノール系酸化防止剤としては、1-オキシ-3-メチル-4-イソプロピルベンゼン、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、4-ヒドロキシメチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2-(1-メチルシクロヘキシル)-4,6-ジメチルフェノール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、2-メチル-4,6-ジノニルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-α-ジメチルアミノ-p-クレゾール、6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)2,4-ビスオクチル-チオ-1,3,5-トリアジン、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’、5’-ジ-tert-ブチルフェニル)プロピオネート、オクチル化フェノール、アラルキル置換フェノール、アルキル化p-クレゾール、及びヒンダードフェノールなどの置換フェノール;4,4’-ジヒドロキシジフェニル、メチレンビス(ジメチル-4,6-フェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-メチレン-ビス-(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(6-α-メチル-ベンジル-p-クレゾール)、メチレン架橋多価アルキルフェノール、4,4’-ブチリデンビス-(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-シクロヘキサン、2,2’-ジヒドロキシ-3,3’-ジ-(α-メチルシクロヘキシル)-5,5’-ジメチルジフェニルメタン、アルキル化ビスフェノール、ヒンダードビスフェノール、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、及びテトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどのビス-、トリス-、及びポリ-フェノールが挙げられる。適切な酸化防止剤は市販されており、例えばIrganoxTM酸化防止剤(Ciba Speciality Chemicals Corp.)である。使用される場合、酸化防止剤は、典型的には、反射防止組成物の総固形分を基準として、0.01重量%~10重量%の量で反射防止組成物中に存在する。
【0075】
本明細書に開示の反射防止コーティング組成物は、反射防止コーティング組成物を含む膜を形成するために使用することができ、基板上のこの膜は、コーティングされた基板を構成する。そのようなコーティングされた基板は、(a)その表面上にパターニングされる1つ以上の層を有する基板;(b)基板上に配置された反射防止コーティング組成物の層;を含み得る。コーティングされた基板は、更に、(c)反射防止コーティング組成物の層上に配置された、又はパターニングされる1つ以上の層上に配置された、フォトレジスト組成物の層;を含み得る。例えば、パターニングは、248nm未満の波長、特に193nmでの紫外線を使用して又はEUVを使用することによって実施され得る。パターニング可能な薄膜は、したがって、光酸発生剤を含み得る。
【0076】
ネガ型現像によってパターンを形成するための方法は、(a)反射防止コーティング組成物の層を基板上に塗布すること;(b)塗布された反射防止コーティング組成物を硬化させて反射防止層を形成すること;(c)反射防止層の上にフォトレジスト層を形成すること;及び(d)フォトレジスト層をパターニングし、パターニングされたフォトレジスト層から反射防止層にパターンを転写すること;を含み得る。フォトレジスト層のパターニング及びパターニングされたフォトレジスト層から反射防止層へのパターンの転写は、(d)(1)フォトレジスト層及び反射防止層を活性化放射に露光すること、及び(d)(2)露光されたフォトレジスト層及び反射防止層を有機溶剤現像液で現像すること、を含み得る。
【0077】
この方法によれば、反射防止コーティング組成物の層が最初に基板上に形成される。反射防止コーティング組成物の成分は上述したものと同じであり、反射防止コーティング組成物は、有機ポリマー、光酸発生剤、架橋剤などを含む適切な量の原料を混合することによって調製することができる。
【0078】
反射防止コーティング組成物は、スピンコーティングなどの任意の従来の手段によって塗布することができる。反射防止コーティング組成物は、2.0nm~300.0nm、例えば5.0nm~30.0nmの乾燥層厚さで基板上に塗布されてもよい。
【0079】
塗布された反射防止コーティング組成物層は硬化されてもよい。硬化条件は、反射防止コーティング組成物の成分によって異なる。硬化条件は、例えば、80℃~250℃で0.1~40分間であってもよい。硬化条件は、反射防止コーティング組成物コーティング層を、フォトレジスト溶剤及びアルカリ性水性現像液に対して実質的に不溶性することができる。
【0080】
反射防止コーティング組成物層は、単層として形成されても多層として形成されてもよい。例えば、反射防止コーティング組成物層が形成される前に、反射防止コーティング組成物層とは異なる第2の反射防止コーティング組成物層が基板上に形成され、反射防止コーティング組成物層が第2の反射防止コーティング組成物層上に形成される。
【0081】
反射防止コーティング組成物層を形成すると、フォトレジスト組成物層が放射に露光される際に入射光線を反射することに起因して基板によって引き起こされるそのパターンの品質の劣化を防ぐことができ、この形成は、特にパターンの線幅(CD)を改善し、露光プロセス中のフォトレジスト組成物層のデブロッキングの完全な活性化によるパターン倒れを防止する。更に、そのようなコーティングは、焦点深度、露光裕度、及び線幅の均一性も向上させることができる。
【0082】
基板は、1つ以上の層を含み得る。基板に含まれる層は、アルミニウム、銅、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、又はそれらの合金;窒化物又はケイ化物の層;ドープされたアモルファスシリコン又はドープされたポリシリコン;酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、又は金属酸化物の層などの誘電体層;単結晶シリコンなどの半導体層;ガラス層;石英層;及びこれらの組み合わせ又は混合物のうちの1つ以上の導電層であってもよいが、これらに限定されない。
【0083】
また、基板に含まれる層は、様々な技術、例えば、プラズマ強化CVD、低圧CVD、若しくはエピタキシャル成長などの化学蒸着(CVD)、又はスパッタリング若しくは蒸着などの物理蒸着(PVD);電気めっきなどによってエッチングされてパターンを形成することができる。
【0084】
基板は、ハードマスク層を含み得る。ハードマスク層の使用は、例えば、エッチングされる層がかなりのエッチング深さを必要とするか、特定のエッチャントのレジスト選択性が不十分である場合の非常に薄いレジスト層で望ましい場合がある。ハードマスク層が使用される場合、形成されるレジストパターンは、ハードマスク層に転写することができ、下にある層をエッチングするためのマスクとして使用することができる。
【0085】
ハードマスクの典型的な材料としては、例えば、タングステン、チタン、窒化チタン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、アモルファスカーボン、有機ポリマー、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素、及びケイ素-有機ハイブリッド材料が挙げられるが、これらに限定されない。ハードマスク層は、例えば、CVD、PVD、又はスピンコーティング技術によって形成することができる。ハードマスク層は、単一の層を含んでいても、異なる材料の複数の層を含んでいてもよい。
【0086】
その後、フォトレジスト組成物の層が、反射防止コーティング組成物層上に形成される。フォトレジスト組成物は、マトリックスポリマー、光酸発生剤、及び溶剤を含み得る。
【0087】
マトリックスポリマーは、酸で開裂可能な保護基を有する少なくとも1つの単位を含み得る。酸で開裂可能な保護基は、例えば、マトリックスポリマーのエステルのカルボキシ酸素に共有結合している三級非環状アルキル炭素(例えばt-ブチル)又は三級脂環式炭素(例えばメチルアダマンチル)を含むアセタール又はエステル基であってもよい。
【0088】
マトリックスポリマーに含まれ得る適切な単位は、例えば、(アルキル)アクリレート由来の単位、例えば酸で開裂可能な(アルキル)アクリレート由来の単位であってもよい。その具体的な例としては、t-ブチルアクリレート、t-ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、エチルフェンチルアクリレート、エチルフェンチルメタクリレートなどに由来する単位が挙げられる。
【0089】
マトリックスポリマーに含まれ得る適切な単位の別の例は、任意選択的に置換されているノルボルネンなどの非芳香族環状オレフィン(環内二重結合)由来の単位であってもよい。マトリックスポリマーに含まれ得る適切な単位の更に別の例は、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸などの無水物由来の単位であってもよい。
【0090】
また、マトリックスポリマーは、酸素や硫黄などのヘテロ原子を含む単位も含んでいてもよく、例えば、マトリックスポリマーの主鎖にヘテロ環単位が縮合していてもよい。マトリックスポリマーは2種以上のブレンドとして使用されてもよい。マトリックスポリマーは、市販されている場合があり、或いは当業者が調製することができる。
【0091】
フォトレジスト組成物のマトリックスポリマーは、フォトレジストの露光されたコーティング層を適切な溶液で現像可能にするのに十分な量で、例えば反射防止組成物の総固形分を基準として50重量%~95重量%の量で使用される。マトリックスポリマーの重量平均分子量(Mw)は、100,000ダルトン未満、例えば5,000~100,000ダルトン、例えば5,000~15,000ダルトンであってもよい。
【0092】
フォトレジスト組成物は、活性化放射への曝露時に組成物のコーティング層に潜像を生成するのに十分な量で使用される光活性材料を更に含んでいてもよく、また光酸発生剤を含んでいてもよい。適切な光酸発生剤は、反射防止コーティング組成物で説明したものと同じ種類の光酸発生剤であってもよい。
【0093】
フォトレジスト組成物は、例えば2-メトキシエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;乳酸エチルや乳酸メチルなどの乳酸エステル;プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸エチル、及び2-ヒドロキシイソ酪酸メチルなどのプロピオン酸エステル;酢酸メチルセロソルブ;トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、及び2-ヘプタノンなどのケトン;のような溶剤を含んでいてもよい。そのような溶剤は、単独又は2つ以上の組合せで使用され得る。
【0094】
フォトレジスト組成物は、スピンコーティング、ディッピング、ローラーコーティング、又は他の従来のコーティング技術によって反射防止コーティング組成物層上に塗布されてもよい。例えば、スピンコーティングを使用することができる。スピンコーティングの場合、コーティング溶液の固形分は、利用される具体的なコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度、及び回転に許容される時間に基づいて、望みの膜厚が得られるように調整することができる。
【0095】
フォトレジスト組成物層の厚さは、例えば、50nm~300nmであってもよい。
【0096】
次に、フォトレジスト組成物層は、層の中の溶剤含有量を最小化するためにソフトベークされてもよく、それによりタックフリーコーティングが形成され、基板への層の接着性が改善される。ソフトベークは、ホットプレート上又はオーブン中で行うことができる。ソフトベークの温度及び時間は、フォトレジストの具体的な材料と厚さに依存する。例えば、典型的なソフトベークは、90℃~150℃の温度で約30秒~90秒間行われる。
【0097】
更に、フォトレジスト組成物層の上にオーバーコーティング層が形成されてもよい。オーバーコーティング層は、均一なレジストパターン、レジストの露光プロセス中の反射の低減、焦点深度及び露光裕度の改善、並びに欠陥の低減のために形成することができる。オーバーコーティング層は、オーバーコーティング組成物を使用してスピンコーティング手法によって形成することができる。コーティング溶液の固形分は、利用される具体的なコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度、及び回転に許容される時間に基づいて、望みの膜厚が得られるように調整することができる。オーバーコーティング層の厚さは、例えば、200オングストローム(Å)~1,000Åであってもよい。
【0098】
オーバーコーティング層は、層の中の溶剤含有量を最小化するためにソフトベークされてもよい。ソフトベークは、ホットプレート上又はオーブン中で行うことができる。典型的なソフトベークは、80℃~120℃の温度で約30秒~90秒間行われる。
【0099】
その後、フォトレジスト組成物層は、フォトマスクを介して活性化放射に露光されることで、露光領域と非露光領域との間の溶解度に差を生じさせる。フォトマスクは、光学的に透明な領域と光学的に不透明な領域を有する。
【0100】
露光波長は、例えば400nm以下、300nm以下、又は200nm以下、例えば248nm(例えばKrFエキシマレーザー光)、又は193nm(例えばArFエキシマレーザー光)であってもよい。露光エネルギーは、典型的には、露光装置と感光性組成物の成分に応じて、約10~80ミリジュール毎平方センチメートル(mJ/cm2)である。
【0101】
フォトレジスト組成物層の露光工程の後、露光後ベーク(PEB)が行われる。PEBは、ホットプレート上又はオーブン中で行うことができる。PEB条件は、フォトレジスト組成物層の成分及び厚さによって様々であってもよい。例えば、典型的なPEBは、80℃~150℃の温度で約30秒~90秒間行われる。その結果、露光領域と非露光領域との間の溶解度の違いにより、フォトレジスト組成物層に潜像が生成される。
【0102】
オーバーコーティング層及び露光されたフォトレジスト組成物層は、その後、非露光領域を除去してレジストパターンを形成するために現像される。現像液は、典型的には、例えばケトン、エステル、エーテル、アミド、炭化水素、及びこれらの混合物から選択される溶剤などの有機現像液である。適切なケトンの例としては、アセトン、2-ヘキサノン、5-メチル-2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンが挙げられる。適切なエステルの例としては、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、ギ酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、及び乳酸プロピルが挙げられる。適切なエーテルの例としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、及びグリコールエーテル(例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、及びメトキシメチルブタノール)が挙げられる。適切なアミドの例としては、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、及びN,N-ジメチルホルムアミドが挙げられる。適切な炭化水素の例としては、芳香族炭化水素溶剤(例えばトルエン及びキシレン)が挙げられる。
【0103】
現像液は、例えば2-ヘプタノン、酢酸ブチル(例えば酢酸n-ブチル)などの、フォトレジスト組成物において使用できる溶剤を含有していてもよい。現像液は、これらの溶剤の混合物、又は上述したもの以外の溶剤と混合されているか若しくは水と混合されている列挙した溶剤のうちの1つ以上を含んでいてもよい。例えば、現像液は、第1の有機溶剤と第2の有機溶剤との混合物を含んでいてもよい。第1の有機溶剤の具体的な例は、C4~C9ケトン;2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、乳酸エチルなどのヒドロキシアルキルエステル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの直鎖又は分岐C5~C6アルコキシアルキルアセテート;例えば2-ヘプタノン又は5-メチル-2-ヘキサノンである。第2の有機溶剤の例は、酢酸n-ブチル、酢酸n-ペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酢酸n-ヘキシル、酪酸n-ブチル、及び酪酸イソブチルなどの直鎖又は分岐C6~C8アルキルエステル;並びに4-オクタノン、2,5-ジメチル-4-ヘキサノン、2,6-ジメチル-4-ヘプタノンなどの直鎖又は分岐C8~C9ケトン;例えば酢酸n-ブチル、プロピオン酸n-ブチル、又は2,6-ジメチル-4-ヘプタノンである。第1と第2の有機溶剤の組み合わせの例としては、2-ヘプタノン/プロピオン酸n-ブチル、シクロヘキサノン/プロピオン酸n-ブチル、PGMEA/プロピオン酸n-ブチル、5-メチル-2-ヘキサノン/プロピオン酸n-ブチル、2-ヘプタノン/2,6-ジメチル-4-ヘプタノン、2-ヘプタノン/酢酸n-ブチルが挙げられる。これらの組み合わせの中でも、2-ヘプタノン/酢酸n-ブチル又は2-ヘプタノン/プロピオン酸n-ブチルが好ましい場合がある。
【0104】
溶剤は、90~100重量%、例えば95重量%超、98重量%超、99重量%超、又は100重量%の量で現像液中に存在することができる。
【0105】
現像液は、例えば、界面活性剤などの任意選択的な添加剤も含んでいてもよい。そのような任意選択的な添加剤は、典型的には、例えば約0.01~5重量%の低濃度で存在する。
【0106】
現像液は、例えばスピンコーティングやパドルコーティングなどの公知の技術によって、フォトレジスト組成物層の上に塗布することができる。現像時間は、フォトレジストの未露光領域を除去するのに有効な時間である。例えば、現像は室温で5~30秒間行われる。
【0107】
現像されたフォトレジスト組成物層は、100℃~150℃の温度で数分間追加のベークが行われることによって更に硬化されてもよい。
【0108】
現像された基板は、フォトレジストが除去される基板領域を有することができ、基板領域を選択的な形で処理することができる。例えば、フォトレジストが除去される基板領域は、関連技術分野で周知の方法を使用して、化学的にエッチング又はめっきすることができる。エッチング剤としては、フッ化水素酸エッチング溶液、及び酸素プラズマエッチング剤などのプラズマガスエッチング剤を使用することができる。例えば、反射防止コーティング組成物層を除去し、プラズマガスエッチング剤を使用して基板をエッチングすることができる。
【0109】
以下では、本開示が実施例に関してより詳細に例示される。しかしながら、これらの実施例は、例示的なものであり、本開示は、それらに限定されない。
【実施例】
【0110】
ポリマーの合成
実施例1
100mLの三口丸底フラスコに、熱電対、ディーン-スタークトラップ、冷却器、及び加熱油浴を備え付けた。トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(30.4g、116.5mmol)、トリス(2-カルボキシエチル)イソシアヌレート(20.1g、58.2mmol)、n-ブタノール(20.0g、270.0mmol)、p-トルエンスルホン酸(0.5g、2.8mmol)及びアニソール(34g)をフラスコに量り入れた。反応混合物を撹拌しながら3時間150℃まで加熱し、室温に冷却し、HBM(160g)で希釈した。混合溶液(40g)、p-トルエンスルホン酸(0.07g、0.35mmol)、及び1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)テトラヒドロイミダゾ[4,5-d]イミダゾール-2,5(1H、3H)-ジオン(3.6g、7.4mmol)を秤量し、撹拌しながら4時間50℃まで加熱した。溶液をトリエチルアミン(0.4mL)でクエンチし、室温に冷却した。混合溶液をIPA/ヘプタンで析出させ、濾過し、40℃で24時間真空乾燥した。
【0111】
架橋性光酸発生剤の合成
実施例2.(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート。
トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム(25.0g、1.0当量)及び(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムヨージド(47.2g、0.8当量)を塩化メチレン(360g)及び脱イオン水(360g)に溶解し、室温で一晩撹拌した。有機層を脱イオン水で洗浄(360g×5)し、溶媒を留去した。粗生成物をイソプロパノール/ヘプタンから析出させ、真空下で乾燥した。
【0112】
実施例3.(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウム1,1,2,2,3,3,4,4,4-ノナフルオロブタン-1-スルホネート。
1,1,2,2,3,3,4,4,4-ノナフルオロブタン-1-スルホン酸リチウム(10.0g、1.0当量)及び(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムヨージド(10.6g、0.8当量)を、塩化メチレン(85g)及び脱イオン水(85g)に溶解し、室温で一晩撹拌した。有機層を脱イオン水で洗浄(85g×5)し、溶媒を留去した。粗生成物をイソプロパノール/ヘプタンから析出させ、真空下で乾燥した。
【0113】
実施例4.(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート。
(1)(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムヨージド(4.0g、1.0当量)、炭酸カリウム(1.6g、1.1当量)、及びヨウ化カリウム(0.4g、0.25当量)をDMF(103g)に溶解し、2-(2-クロロエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(1.8g、1.1当量)を添加した。混合物を100℃で16時間撹拌した。有機層を脱イオン水で洗浄した。混合物をヘプタン/塩化メチレンから析出させ、真空下で乾燥することで、4.8g(91%)の固体を得た。
【0114】
(2)トリフルオロメタンスルホン酸カリウム(2.00g、1.8当量)及びジフェニル(4-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)フェニル)スルホニウムヨージド(3.06g、1当量)をクロロホルム(100g)及び脱イオン水(30g)に溶解し、室温で一晩撹拌した。有機層を脱イオン水(30g×2)で洗浄し、減圧下で溶媒を留去した。生成物を、3.0g(94%)の粘り気のある液体として得た。
【0115】
(3)ジフェニル(4-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)フェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート(3.1g、1.0当量)をメタノール(65g)に溶解し、4Nの塩化水素溶液(3mL)を添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧下で留去した。生成物を、2.3g(88%)の粘り気のある液体として得た。
【0116】
実施例5.(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)ジフェニルスルホニウム1,1,2,2,3,3,4,4,4-ノナフルオロブタン-1-スルホネート。
(1)100℃に加熱したDMF114g中の(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムヨージド(10.0g、1.0当量)の溶液に、2-(3-クロロエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(4.5g、1.0当量)、炭酸カリウム(4.4g、1.3当量)、及びヨウ化カリウム(1.0g、0.3当量)を添加した。溶液を室温まで冷却し、濾過することで溶液を得た。粗生成物を塩化メチレン/ヘプタンから再結晶し、真空下で乾燥することで、13gの粘り気のある淡褐色粉末(99%)を得た。
【0117】
(2)ノナフルオロ1-ブタンスルホント酸リチウム(4.0g、1.4当量)及びジフェニル(4-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)フェニル)スルホニウムヨージド(5.0g、1.0当量)を塩化メチレン(133g)及び脱イオン水(50g)に溶解し、混合物を室温で一晩撹拌した。有機層を脱イオン水で洗浄(40g×4)し、溶媒を留去することで、褐色がかった固体6.4g(97%)を得た。
【0118】
(3)ジフェニル(4-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)フェニル)スルホニウムノナフルオロブタンスルホネート(6.4g)と、ジオキサン(1.5mL)中の4N塩酸を、メタノール(51g)中に溶解し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を留去し、溶液を塩化メチレン(66g)で希釈した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(66g×1)と脱イオン水(40g×3)で洗浄した。粗生成物を塩化メチレン/ヘプタンから析出させ、真空下で乾燥させることで、粘り気のある液体を4.4g(78%)で得た。
【0119】
実施例6.(4-(3-ヒドロキシプロポキシ)フェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート。
(1)(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムヨージド(10.2g、1.0当量)、炭酸カリウム(4.5g、1.3当量)、及びヨウ化カリウム(2.1g、0.5当量)をDMF(103g)に溶解し、2-(2-クロロエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(4.9g、1.1当量)を添加した。混合物を100℃で16時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、セライトを通して濾過し、溶媒を減圧下で留去した。混合物をヘプタン/塩化メチレンから析出させ、真空下で乾燥することで、12.9g(94%)を固体として得た。
【0120】
(2)トリフルオロメタンスルホン酸カリウム(2.8g、1.4当量)及びジフェニル(4-(3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)プロポキシ)フェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート(6.1g、1.0当量)をクロロホルム(100g)及び脱イオン水(30g)に溶解し、室温で一晩撹拌した。有機層を脱イオン水で洗浄(30g×2)し、減圧下で溶媒を留去した。生成物を、6.1g(97%)の粘り気のある液体として得た。
【0121】
(3)ジフェニル(4-(3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)プロポキシ)フェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート(5.8g、1.0当量)をメタノール(60g)に溶解し、4Nの塩化水素溶液(3mL)を添加した。混合物を24℃で16時間撹拌した。混合物を減圧下で留去し、真空下で乾燥することで、4.2g(84%)の生成物を得た。
【0122】
実施例7.(4-(3-ヒドロキシプロポキシ)フェニル)ジフェニルスルホニウム1,1,2,2,3,3,4,4,4-ノナフルオロブタン-1-スルホネート。
(1)(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムヨージド(10.2g、1.0当量)、炭酸カリウム(4.5g、1.3当量)、及びヨウ化カリウム(2.1g、0.5当量)をDMF(103g)に溶解し、2-(2-クロロエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(4.9g、1.1当量)を添加した。混合物を100℃で16時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を室温まで冷却し、セライトを通して濾過し、溶媒を減圧下で留去した。混合物をヘプタン/塩化メチレンから析出させ、真空下で乾燥させることで、12.9g(94%)の固体を得た。
【0123】
(2)リチウムノナフルオロブタン-1-スルホネート(3.6g、1.3当量)及びジフェニル(4-(3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)プロポキシ)フェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート(5.0g、1当量)を、塩化メチレン(100g)及び脱イオン水(50g)の中に溶解し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応後、有機層を脱イオン水(30g×2)で洗浄し、減圧下で溶媒を留去した。生成物を、6.1g(94%)の粘り気のある液体として得た。
【0124】
(3)ジフェニル(4-(3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)プロポキシ)フェニル)スルホニウムノナフルオロブタン-1-スルホネート(6.2g、1.0当量)をメタノール(60g)の中に溶解し、4Nの塩化水素溶液(3mL)を添加した。混合物を24℃で16時間撹拌した。反応が完了した後、溶媒を減圧下で留去した。4.5g(84%)の生成物が得られた。
【0125】
反射防止組成物の調製
実施例8
実施例1に従って調製したポリマー0.65g、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.10g、2,4,6-トリメチルピリジニウムp-トルエンスルホネート0.01g、及び実施例2に従って調製した架橋性PAG0.02gを、HBM溶剤99.22gの中に溶解した。
【0126】
実施例9
実施例1に従って調製したポリマー0.65g、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.10g、2,4,6-トリメチルピリジニウムp-トルエンスルホネート0.01g、及び実施例3に従って調製した架橋性PAG0.02gを、HBM溶剤99.22gの中に溶解した。
【0127】
実施例10
実施例1に従って調製したポリマー0.73g、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.02g、2,4,6-トリメチルピリジニウムp-トルエンスルホネート0.01g、及び実施例4に従って調製した架橋性PAG0.02gを、HBM溶剤99.22gの中に溶解した。
【0128】
実施例11
実施例1に従って調製したポリマー0.72g、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.02g、2,4,6-トリメチルピリジニウムp-トルエンスルホネート0.01g、及び実施例5に従って調製した架橋性PAG0.02gを、HBM溶剤99.22gの中に溶解した。
【0129】
実施例12
実施例1に従って調製したポリマー0.73g、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.02g、2,4,6-トリメチルピリジニウムp-トルエンスルホネート0.01g、及び実施例6に従って調製した架橋性PAG0.02gを、HBM溶剤99.22gの中に溶解した。
【0130】
実施例13
実施例1に従って調製したポリマー0.72g、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.02g、2,4,6-トリメチルピリジニウムp-トルエンスルホネート0.01g、及び実施例7に従って調製した架橋性PAG0.02gを、HBM溶剤99.22gの中に溶解した。
【0131】
比較例1
実施例1に従って調製したポリマー0.73g、テトラメトキシメチルグリコールウリル0.02g、2,4,6-トリメチルピリジニウムp-トルエンスルホネート0.01g、及び1,1,2,2,3,3,4,4,4-ノナフルオロブタン-1-スルホネート0.02gを、HBM溶剤99.22gの中に溶解した。
【0132】
反射防止組成物のリソグラフィー評価
1.厚さ測定
200mmのベアシリコンウェハを、TEL MARKトラック上で、1500RPMでコーティングされるBARC材料でコーティングし、205℃で60秒間硬化した。コーティングされたウェハを、厚さ測定のためにOpti-Probeツールで検査した。
【0133】
2.膜剥離試験
BARC材料を、8インチのシリコンウェハにスピンコーティングし、MARKトラックにより205℃で60秒間ベークした(工程1)。コーティングされたウェハを30mLのPGMEA:HBM(比率50重量%:50重量%)に90秒間曝露し、スピンドライして薄膜を形成し、110℃で60秒間硬化した(工程2)。膜厚は、Opti-probeにより最初のコーティングされた膜(工程1)及びポストベークされた膜(工程2)で測定した。剥離量は、工程1と工程2の厚さの差であると決定した。
【0134】
3.接触角の測定
BARC材料を、1,500rpmの回転速度で8インチのシリコンウェハ上にスピンコーティングすることにより形成した。膜をホットプレート上で205℃で60秒間硬化することで残留溶剤を除去した。水接触角は、JDSA-100動的接触角ゴニオメーターを使用して決定し、1滴の水(3ul)をBARC基板上に直接載せて9点で測定した。
【0135】
4.オンセット試験
200mmのベアシリコンウェハを、TEL MARKトラック上で、1500RPMでコーティングされるBARC材料でコーティングし、それぞれ60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃の温度で60秒間硬化した。コーティングされた各ウェハを、30mLのPGMEA:HBM(比率50重量%:50重量%)に90秒間曝露し、スピンドライして薄膜を形成し、110℃で60秒間硬化した。膜厚はOpti-probeによってポストベークした膜で測定した。オンセット温度は、架橋反応の開始点を表す増加した膜厚により決定した。
【0136】
5.リソ評価
300mmのベアシリコンウェハを、ARTM46(Dupont)でTEL Lithius 300mmウェハトラック上でコーティングし、205℃で60秒間硬化して、650Åの第1のBARC層を形成した。リソ評価用のBARC材料を第1のBARC層の上にコーティングし、205℃で60秒間硬化して、190Åの2番目のBARC層を形成した。Dupont ArF-i NTDフォトレジストをBARC層の重なりの上にコーティングし、100℃で60秒間ソフトベークして、900Åの厚さを形成した。ウェハを、1.3NA、0.80/0.64内部/外部シグマ、環状照明でNIKON 610C液浸スキャナーでフォトマスクを通して露光し、46/94nmのライン/スペースパターンを形成した。ウェハを、90℃で60秒間露光後ベーク(PEB)した。ウェハを、酢酸n-ブチル(NBA)現像液で現像し、スピンドライしてフォトレジストパターンを形成した。パターニングしたウェハをCD-SEMツールで検査し、リソ分析の結果を表2に示した。
【0137】
新たに配合した架橋性PAG(実施例8~13)は、BARCポリマーとの架橋反応により、同等のオンセット及び接触角性能を有する比較例1よりも改善された溶剤剥離損失を示した(表1)。
【0138】
【0139】
新規なBARC配合物を含む架橋性PAG(実施例8~13)は、比較例1よりも架橋反応を伴う効果的な酸の発生により改善されたEL及びより広いFLマージン性能を示した(表2)。
【0140】
【0141】
本開示は、実用的で例示的な実施形態であると現在考えられるものと併せて記載されてきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されず、むしろ添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正形態及び均等な構成を包含することが理解されるべきである。