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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】無線端末
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/18 20090101AFI20221108BHJP
   H04W 84/00 20090101ALI20221108BHJP
【FI】
H04W48/18 113
H04W84/00 110
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020112185
(22)【出願日】2020-06-29
(62)【分割の表示】P 2016559055の分割
【原出願日】2015-11-10
(65)【公開番号】P2020162177
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2020-06-29
(31)【優先権主張番号】P 2014232107
(32)【優先日】2014-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】長坂 優志
(72)【発明者】
【氏名】藤代 真人
【審査官】小林 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-192065(JP,A)
【文献】特開2014-072700(JP,A)
【文献】特開2004-159304(JP,A)
【文献】Ericsson,Enhanced steering timers for WLAN/3GPP Radio interworking[online], 3GPP TSG-RAN WG2#88 R2-145155,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ra,2014年11月07日
【文献】王 暁秋 他1名,WLANと3GPPの融合に関する3GPP標準化動向,電子情報通信学会2014年通信ソサイエティ大会講演論文集1,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2014年09月09日,S-18~S-19
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末であって、
移動通信網から無線LANに待ち受け先又は接続先を切り替える第1切替処理を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記無線端末の移動状態が、前記無線端末が所定閾値よりも遅い速度で移動している第1状態であると判定され、第1期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行し、
前記無線端末の移動状態が、前記無線端末が前記所定閾値よりも速い速度で移動している第2状態であると判定され、前記第1期間よりも長い第2期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行することを特徴とする無線端末。
【請求項2】
前記制御部は、
前記無線LANを構成するアクセスポイントが固定アクセスポイントであるときに、前記無線端末の移動状態が前記第1状態であると判定され、前記第1期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行し、
前記無線LANを構成するアクセスポイントが移動アクセスポイントであるときに、前記無線端末の移動状態が前記第2状態であると判定され、前記第2期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の無線端末。
【請求項3】
前記制御部は、前記無線LANを構成するアクセスポイントが前記固定アクセスポイントであるときに、前記無線端末の移動状態が前記第2状態である場合に、前記第1切替処理の実行を禁止することを特徴とする請求項2に記載の無線端末。
【請求項4】
前記制御部は、前記無線端末の移動状態が前記第2状態であると判定されたときに、前記無線LANを構成するアクセスポイントが前記固定アクセスポイントである場合に、前記第1切替処理の実行を禁止することを特徴とする請求項2に記載の無線端末。
【請求項5】
前記第2期間は、前記第1期間のN(Nは1よりも大きい整数)倍であり、
前記Nを示す値は、前記移動通信網から通知されることを特徴とする請求項1に記載の無線端末。
【請求項6】
前記第2期間を示す値は、前記移動通信網から通知されることを特徴とする請求項1に記載の無線端末。
【請求項7】
前記第2期間は、前記移動通信網で予め定められていることを特徴とする請求項1に記載の無線端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信網と無線LANとの間で待ち受け先又は接続先を切り替える切替処理を行う無線端末に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)に代表される移動通信網のカバレッジエリアと無線LANのカバレッジエリアの少なくとも一部が重複している場合に、移動通信網と無線LANとの間で待ち受け先又は接続先を切り替える切替処理(ネットワークセレクション及びトラフィックステアリング)が提案されている。具体的には、切替処理は、移動通信網側の第1情報が第1条件を満たすか否か及び無線LAN側の第2情報が第2条件を満たすか否かに基づいて実行される。詳細には、所定期間に亘って第1条件及び/又は第2条件が満たされた場合に、上述した切替処理が行われる。
【0003】
ここで、移動通信網側の第1情報は、例えば、受信信号の信号レベル(RSRP;Reference Signal Received Power)の測定結果(RSRPmeas)及び受信信号の信号品質(RSRQ;Reference Signal Received Quality)の測定結果(RSRQmeas)である。無線LAN側の第2情報は、例えば、無線LANのチャネル利用値、無線LANのバックホール値、受信信号の信号強度(RSSI;Received Signal Strength Indicator)である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】TS36.304V12.1.0
【発明の概要】
【0005】
第1の特徴に係る無線端末は、移動通信網から無線LANに待ち受け先又は接続先を切り替える第1切替処理を行う制御部を備える。前記制御部は、前記無線端末の移動状態が第1状態であると判定され、所定期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行する。前記制御部は、前記無線端末の移動状態が前記第1状態とは異なる第2状態であると判定され、かつ、前記無線LANを構成するアクセスポイントが移動アクセスポイントである場合に、前記所定期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行する。
【0006】
第2の特徴に係る無線端末は、移動通信網から無線LANに待ち受け先又は接続先を切り替える第1切替処理を行う制御部を備える。前記制御部は、前記無線端末の移動状態が第1状態であると判定され、第1期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行する。前記制御部は、前記無線端末の移動状態が前記第1状態とは異なる第2状態であると判定され、前記第1期間よりも長い第2期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行する。
【0007】
第3の特徴に係る無線端末は、移動通信網から無線LANに待ち受け先又は接続先を切り替える第1切替処理を行う制御部を備える。前記制御部は、前記無線LANを構成するアクセスポイントが固定アクセスポイントであり、第1期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行する。前記制御部は、前記無線LANを構成するアクセスポイントが移動アクセスポイントであり、前記第1期間よりも長い第2期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行する。
【0008】
第4の特徴に係る無線端末は、無線LANから移動通信網に待ち受け先又は接続先を切り替える第2切替処理を行う制御部を備える。前記制御部は、前記無線LANを構成するアクセスポイントが固定アクセスポイントであるときに、或いは、前記無線端末の移動状態が第1状態であると判定されたときに、第3期間に亘って前記第2切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第2切替処理を実行する。前記制御部は、前記無線LANを構成するアクセスポイントが移動アクセスポイントであるときに、或いは、前記無線端末の移動状態が前記第1状態とは異なる第2状態であるとであると判定されたときに、前記第3期間よりも長い第4期間に亘って前記第2切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第2切替処理を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る通信システム1を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る無線端末10を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る無線基地局100を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る切替処理の判定(移動通信網側)を説明するための図である。
図5図5は、実施形態に係る切替処理の判定(無線LAN側)を説明するための図である。
図6図6は、実施形態に係る通信方法を示すフロー図である。
図7図7は、変更例1に係る通信方法を示すフロー図である。
図8図8は、変更例2に係る通信方法を示すフロー図である。
図9図9は、変更例3に係る通信方法を示すフロー図である。
図10図10は、変更例4に係る通信方法を示すフロー図である。
図11図11は、変更例5に係る通信方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[開示の概要]
ところで、無線端末が所定速度よりも高い速度で移動している場合には、移動通信網から無線LANに対する切替処理が実行された後に、無線LANから移動通信網への切替処理が直ちに実行される可能性がある。従って、無線端末が所定速度よりも高い速度で移動している場合には、移動通信網から無線LANに対する切替処理を一律に禁止することが考えられる。
【0011】
しかしながら、無線LANを構成するアクセスポイントとしては、店舗やオフィスなどの固定物に設置される固定アクセスポイントだけではなく、乗り物などの移動体に設置される移動アクセスポイントが考えられる。従って、所定速度よりも高い速度で移動している場合に、移動通信網から無線LANに対する切替処理を一律に禁止してしまうと、移動アクセスポイントが設置される移動体とともに無線端末が移動するケース(例えば、移動アクセスポイントが設置される乗り物に無線端末を所持するユーザが乗るケース)において、移動通信網から無線LANに対する切替処理を無線端末が実行することができず、移動アクセスポイントを利用することができない。
【0012】
そこで、実施形態は、上述した課題を解決するためになされたものであり、移動アクセスポイントを有効に利用することを可能とする無線端末を提供する。
【0013】
開示の概要に係る無線端末は、移動通信網から無線LANに待ち受け先又は接続先を切り替える第1切替処理を行う制御部を備える。
【0014】
第1の特徴において、前記制御部は、前記無線端末の移動状態が第1状態であると判定され、所定期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行する。前記制御部は、前記無線端末の移動状態が前記第1状態とは異なる第2状態であると判定され、かつ、前記無線LANを構成するアクセスポイントが移動アクセスポイントである場合に、前記所定期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行する。
【0015】
第1の特徴によれば、前記制御部は、前記無線端末の移動状態が前記第2状態であっても、前記無線LANを構成するアクセスポイントが前記移動アクセスポイントであれば、前記所定期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行する。従って、前記第2状態において、前記移動通信網から前記無線LANに対する前記第1切替処理が一律に禁止されず、前記移動アクセスポイントを有効に利用することができる。
【0016】
第2の特徴において、前記制御部は、前記無線端末の移動状態が第1状態であると判定され、第1期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行する。前記制御部は、前記無線端末の移動状態が前記第1状態とは異なる第2状態であると判定され、前記第1期間よりも長い第2期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行する。
【0017】
第2の特徴において、前記制御部は、前記無線LANを構成するアクセスポイントが固定アクセスポイントであるときに、前記無線端末の移動状態が前記第1状態であると判定され、前記第1期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行する。前記無線LANを構成するアクセスポイントが移動アクセスポイントであるときに、前記無線端末の移動状態が前記第2状態であると判定され、前記第2期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行する。
【0018】
第2の特徴において、前記制御部は、前記無線LANを構成するアクセスポイントが前記固定アクセスポイントであるときに、前記無線端末の移動状態が前記第2状態である場合に、前記第1切替処理の実行を禁止する。
【0019】
第2の特徴によれば、前記制御部は、前記無線端末の移動状態が前記第2状態であっても、前記第2期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行する。従って、前記第2状態において、前記移動通信網から前記無線LANに対する前記第1切替処理が一律に禁止されず、前記移動アクセスポイントを有効に利用することができる。また、前記第2期間が前記第1期間よりも長いため、前記移動アクセスポイントが設置された移動体と同様の移動を前記無線端末が偶発的に行っているケースにおいて、第1切替処理が誤って行われる可能性を軽減することができる。このようなケースは、例えば、前記移動アクセスポイントが設置された乗り物に前記無線端末を所持するユーザが乗車していないケースなどである。
【0020】
第3の特徴において、前記制御部は、前記無線LANを構成するアクセスポイントが固定アクセスポイントであり、第1期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行する。前記制御部は、前記無線LANを構成するアクセスポイントが移動アクセスポイントであり、前記第1期間よりも長い第2期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行する。
【0021】
第3の特徴において、前記制御部は、前記無線端末の移動状態が第1状態であると判定されたときに、前記無線LANを構成するアクセスポイントが前記固定アクセスポイントであり、前記第1期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行する。前記無線端末の移動状態が前記第1状態とは異なる第2状態であると判定されたときに、前記無線LANを構成するアクセスポイントが前記移動アクセスポイントであり、前記第2期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行する。
【0022】
第3の特徴において、前記制御部は、前記無線端末の移動状態が前記第2状態であると判定されたときに、前記無線LANを構成するアクセスポイントが前記固定アクセスポイントである場合に、前記第1切替処理の実行を禁止する。
【0023】
第3の特徴によれば、前記制御部は、前記無線LANを構成するアクセスポイントが前記移動アクセスポイントであり、前記第2期間に亘って前記第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第1切替処理を実行する。従って、前記移動アクセスポイントを有効に利用することが可能である。また、前記第2期間が前記第1期間よりも長いため、前記移動アクセスポイントが設置された移動体と同様の移動を前記無線端末が偶発的に行っているケースにおいて、第1切替処理が誤って行われる可能性を軽減することができる。このようなケースは、例えば、前記移動アクセスポイントが設置された乗り物に前記無線端末を所持するユーザが乗車していないケースに加えて、前記移動アクセスポイントが設置された乗り物が一時的に停止しているケースなどである。
【0024】
第2の特徴及び第3の特徴において、前記第2期間は、前記第1期間のN(Nは1よりも大きい整数)倍であり、前記Nを示す値は、前記移動通信網から通知される。
【0025】
第2の特徴及び第3の特徴において、前記第2期間を示す値は、前記移動通信網から通知される。
【0026】
第2の特徴及び第3の特徴において、前記第2期間は、前記移動通信網で予め定められている。
【0027】
開示の概要に係る無線端末は、無線LANのカバレッジエリアの少なくとも一部が移動通信網のカバレッジエリアと重複している場合に、前記移動通信網から前記無線LANに待ち受け先又は接続先を切り替える第2切替処理を行う制御部を備える。
【0028】
第4の特徴において、前記制御部は、前記無線LANを構成するアクセスポイントが固定アクセスポイントであるときに、或いは、前記無線端末の移動状態が第1状態であると判定されたときに、第3期間に亘って前記第2切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第2切替処理を実行する。前記制御部は、前記無線LANを構成するアクセスポイントが移動アクセスポイントであるときに、或いは、前記無線端末の移動状態が前記第1状態とは異なる第2状態であるとであると判定されたときに、前記第3期間よりも長い第4期間に亘って前記第2切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第2切替処理を実行する。
【0029】
第4の特徴において、前記第4期間は、前記第3期間のN(Nは1よりも大きい整数)倍である。前記Nを示す値は、前記移動通信網から通知される。
【0030】
第4の特徴において、前記第4期間を示す値は、前記移動通信網から通知される。
【0031】
第4の特徴において、前記第4期間は、前記移動通信網で予め定められている。
【0032】
第4の特徴によれば、前記制御部は、前記無線LANを構成するアクセスポイントが前記移動アクセスポイントであるときに、或いは、前記無線端末の移動状態が前記第2状態であるとであると判定されたときに、前記第3期間よりも長い第4期間に亘って前記第2切替処理を行う条件が満たされた場合に、前記第2切替処理を実行する。すなわち、前記第4期間が前記第3期間よりも長いため、前記移動アクセスポイントが設置された乗り物が一時的に停止するケースにおいて、乗り物の一時停止に伴って無線LANから移動通信網への前記第2切替処理が実行された直後に、乗り物の発車に伴って移動通信網から無線LANへの第1切替処理が実行される事態が抑制される。すなわち、不要な第2切替処理の抑制によって、前記移動アクセスポイントを有効に利用することが可能である。
【0033】
なお、第4の特徴では、第1の特徴のように、前記無線端末の移動状態が前記第2状態である場合に、前記無線端末が前記移動アクセスポイントに接続されるという前提で、「前記無線LANを構成するアクセスポイントが前記移動アクセスポイントである」という条件は、「前記無線端末の移動状態が前記第2状態である」という条件と同様の意味を持つことに留意すべきである。
【0034】
以下において、本発明の実施形態に係る無線端末について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0035】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0036】
[実施形態]
(通信システム)
以下において、実施形態に係る通信システムについて説明する。図1は、実施形態に係る通信システム1を示す図である。
【0037】
図1に示すように、通信システム1は、無線基地局100と、アクセスポイント200とを有する。また、通信システム1は、無線基地局100又はアクセスポイント200と接続可能な無線端末10を備える。
【0038】
無線端末10は、携帯電話又はタブレットなどの端末である。無線端末10は、無線基地局100と無線通信を行う機能に加えて、アクセスポイント200と無線通信を行う機能を有する。
【0039】
無線基地局100は、第1カバレッジエリア100Aを有しており、第1カバレッジエリア100Aにおいて、LTE(Long Term Evolution)に代表される移動通信サービスを提供する。無線基地局100は、1つ又は複数のセルを管理しており、第1カバレッジエリア100Aは、1つ又は複数のセルによって構成される。無線基地局100は、移動通信網のエンティティである。なお、セルとは、地理的なエリアを示す用語と考えてもよく、無線端末10と無線通信を行う機能と考えてもよい。
【0040】
アクセスポイント200は、第2カバレッジエリア200Aを有しており、第2カバレッジエリア200Aにおいて、無線LANサービスを提供する。アクセスポイント200は、無線LANのエンティティである。第2カバレッジエリア200Aの少なくとも一部は、第1カバレッジエリア100Aと重複する。第2カバレッジエリア200Aの全部が第1カバレッジエリア100Aと重複していてもよい。一般的には、第2カバレッジエリア200Aは、第1カバレッジエリア100Aよりも小さい。
【0041】
実施形態において、アクセスポイント200は、店舗やオフィスなどの固定物に設置される固定アクセスポイントであってもよく、乗り物などの移動体に設置される移動アクセスポイントであってもよい。アクセスポイント200が固定アクセスポイントであるか移動アクセスポイントであるかを示す種別情報(WLAN Type)は、例えば、無線基地局100から報知される。
【0042】
(適用シーン)
実施形態において、移動通信網と無線LANとの間で待ち受け先又は接続先を切り替える切替処理(例えば、ネットワークセレクション及びトラフィックステアリング)を行う方法について説明する。切替処理は、移動通信網から無線LANに対して待ち受け先又は接続先を切り替える第1切替処理、及び、無線LANから移動通信網に対して待ち受け先又は接続先を切り替える第2切替処理の双方を含む。但し、実施形態では、切替処理が第1切替処理であるケースについて主として説明する。
【0043】
具体的には、実施形態では、無線端末10の移動状態が第1状態であると判定され、所定期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理が実行される。無線端末10の移動状態が第1状態とは異なる第2状態であると判定され、かつ、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントである場合に、所定期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理が実行される。
【0044】
なお、切替処理が第1切替処理であるケースにおいて、無線LANを構成するアクセスポイント200とは、第1切替処理における待ち受け先又は接続先の候補であることに留意すべきである。
【0045】
実施形態において、第1状態とは、無線端末10が所定閾値よりも遅い速度で移動している状態である。一方で、第2状態とは、無線端末10が所定閾値よりも速い速度で移動している状態である。
【0046】
無線端末10の移動状態は、無線端末10に設けられるGPSによって取得される位置の変化に基づいて判定されてもよく、無線端末10に設けられる加速度センサによって取得される加速度に基づいて判定されてもよく、一定期間におけるハンドオーバ回数に基づいて判定されてもよい。
【0047】
或いは、移動通信網は、無線端末10の移動状態を推定するとともに、推定された移動状態に応じて、第1切替処理又は第2切替処理が満たされている期間を判定するための所定期間を特定し、特定された所定期間を示す信号を無線端末10に通知してもよい。移動通信網は、例えば、無線端末10のハンドオーバ回数などに基づいて無線端末10の移動状態を推定する。このようなケースにおいて、無線端末10は、無線端末10の移動状態を直接的に判定する必要がなく、移動通信網から通知された信号によって、無線端末10の移動状態を間接的に判定することができる。特定された所定期間は、例えば、移動通信網(無線基地局100)送信されるRRCメッセージ(例えば、RRC Connection Reconfiguration)に含まれてもよく、移動通信網(無線基地局100)から報知されるSIB(例えば、WLAN-OffloadConfig-r12)に含まれてもよい。
【0048】
或いは、移動通信網は、無線端末10の移動状態を推定するとともに、推定された移動状態を示す信号を無線端末10に通知してもよい。
【0049】
或いは、無線端末10を所持するユーザが乗り物に乗っている場合には、無線端末10の移動状態は、乗り物に設けられたスピードメータと通信を行うことによってスピードメータから取得される速度によって判定されてもよい。
【0050】
実施形態において、切替処理を行う条件は、第1条件及び第2条件を含む。第1条件は、移動通信網側の第1情報が満たすべき条件であり、第2条件は、無線LAN側の第2情報が満たすべき条件である。
【0051】
ここで、移動通信網側の第1情報は、例えば、受信信号の信号レベル(RSRP;Reference Signal Received Power)の測定結果(RSRPmeas)及び受信信号の信号品質(RSRQ;Reference Signal Received Quality)の測定結果(RSRQmeas)である。
【0052】
無線LAN側の第2情報は、例えば、無線LANのチャネル利用値(ChannelUtilizationWLAN)、無線LANの下りリンクのバックホール値(BackhaulRateDlWLAN)、無線LANの上りリンクのバックホール値(BackhaulRateUlWLAN)、受信信号の信号レベル(RSSI;Received Signal Strength Indicator)である。
【0053】
(移動通信網から無線LANに対する第1切替処理)
移動通信網から無線LANに対して待ち受け先又は接続先を切り替える第1条件は、例えば、以下の条件(1a)又は(1b)のいずれかが満たされることである。但し、第1条件は、以下の条件(1a)~(1b)の全てが満たされることであってもよい。
【0054】
(1a)RSRPmeas<ThreshServingOffloadWLAN,LowP
(1b)RSRQmeas<ThreshServingOffloadWLAN,LowQ
【0055】
なお、“ThreshServingOffloadWLAN,LowP”及び“ThreshServingOffloadWLAN,LowQ”は、無線基地局100から提供される閾値又は予め定められた閾値である。
【0056】
移動通信網から無線LANに対して待ち受け先又は接続先を切り替える第2条件は、例えば、以下の条件(1c)~(1f)の全てが満たされることである。但し、第2条件は、以下の条件(1c)~(1f)のいずれかが満たされることであってもよい。
【0057】
(1c)ChannelUtilizationWLAN<ThreshChUtilWLAN,Low
(1d)BackhaulRateDlWLAN>ThreshBackhRateDLWLAN,High
(1e)BackhaulRateUlWLAN>ThreshBackhRateULWLAN,High
(1f)RSSI>ThreshBEACONSRSSI,High
【0058】
なお、“ThreshChUtilWLAN,Low”、“ThreshBackhRateDLWLAN,High”、“ThreshBackhRateULWLAN,High”及び“ThreshBEACONSRSSI,High”は、無線基地局100から提供される閾値又は予め定められた閾値である。
【0059】
(無線LANから移動通信網に対する第2切替処理)
無線LANから移動通信網に対して待ち受け先又は接続先を切り替える第1条件は、例えば、以下の条件(2a)及び(2b)が満たされることである。但し、第1条件は、以下の条件(2a)又は(2b)のいずれかが満たされることであってもよい。
【0060】
(2a)RSRPmeas>ThreshServingOffloadWLAN,HighP
(2b)RSRQmeas>ThreshServingOffloadWLAN,HighQ
【0061】
なお、“ThreshServingOffloadWLAN,HighP”及び“ThreshServingOffloadWLAN,HighQ”は、無線基地局100から提供される閾値又は予め定められた閾値である。
【0062】
無線LANから移動通信網に対して待ち受け先又は接続先を切り替える第2条件は、例えば、以下の条件(2c)~(2f)のいずれかが満たされることである。但し、第2条件は、以下の条件(2c)~(2f)の全てが満たされることであってもよい。
【0063】
(2c)ChannelUtilizationWLAN>ThreshChUtilWLAN,High
(2d)BackhaulRateDlWLAN<ThreshBackhRateDLWLAN,Low
(2e)BackhaulRateUlWLAN<ThreshBackhRateULWLAN,Low
(2f)RSSI<ThreshBEACONSRSSI,Low
【0064】
なお、“ThreshChUtilWLAN,High”、“ThreshBackhRateDLWLAN,Low”、“ThreshBackhRateULWLAN,Low”及び“ThreshBEACONSRSSI,Low”は、無線基地局100から提供される閾値又は予め定められた閾値である。
【0065】
(切替処理の補足説明)
上述した閾値が提供されていない場合には、無線端末10は、閾値が提供されていない情報の取得(すなわち、受信又は測定)を省略してもよい。
【0066】
実施形態において、上述した各種閾値は、移動通信網と無線LANとの間で待ち受け先又は接続先を切り替える切替処理を行うか否かを判定するための判定パラメータの一例である。すなわち、判定パラメータは、“ThreshServingOffloadWLAN,LowP”、“ThreshServingOffloadWLAN,LowQ”、“ThreshChUtilWLAN,Low”、“ThreshBackhRateDLWLAN,High”、“ThreshBackhRateULWLAN,High”、“ThreshBEACONSRSSI,High”、“ThreshServingOffloadWLAN,HighP”、“ThreshServingOffloadWLAN,HighQ”、“ThreshChUtilWLAN,High”、“ThreshBackhRateDLWLAN,Low”、“ThreshBackhRateULWLAN,Low”及び“ThreshBEACONSRSSI,Low”の中から選択された1つ以上の値を含む。
【0067】
さらに、判定パラメータは、第1条件又は第2条件が満たされている状態が継続すべき所定期間(TsteeringWLAN)を含む。所定期間(TsteeringWLAN)は、例えば、最大で7秒の値である。或いは、判定パラメータは、移動通信網から無線LANに対する第1切替処理で参照される所定期間(TsteeringWLAN)及び無線LANから移動通信網に対する第2切替処理で参照される所定期間(TsteeringEUTTRA)を含んでもよい。すなわち、第1切替処理で参照される所定期間(TsteeringWLAN)とは別に、第2切替処理で参照される所定期間(TsteeringEUTTRA)が定義されてもよい。
【0068】
判定パラメータとしては、無線基地局100から無線端末10に対して個別に通知される個別パラメータ及び無線基地局100から無線端末10に対して報知される報知パラメータが存在する。個別パラメータは、例えば、無線基地局100から無線端末10に送信されるRRCメッセージ(例えば、RRC Connection Reconfiguration)に含まれる。報知パラメータは、例えば、無線基地局100から報知されるSIB(例えば、WLAN-OffloadConfig-r12)に含まれる。無線端末10は、報知パラメータに加えて個別パラメータを受信した場合に、報知パラメータよりも個別パラメータを優先して適用することに留意すべきである。
【0069】
(無線端末)
以下において、実施形態に係る無線端末について説明する。図2は、実施形態に係る無線端末10を示すブロック図である。
【0070】
図2に示すように、無線端末10は、LTE無線通信部11と、WLAN無線通信部12と、制御部13とを有する。
【0071】
LTE無線通信部11は、無線基地局100と無線通信を行う機能を有する。例えば、LTE無線通信部11は、無線基地局100から参照信号を定期的に受信する。LTE無線通信部11は、参照信号の信号レベル(RSRP)及び参照信号の信号品質(RSRQ)を定期的に測定する。LTE無線通信部11は、判定パラメータとして個別パラメータ及び報知パラメータを無線基地局100から受信する。
【0072】
さらに、LTE無線通信部11は、無線基地局100の周囲に設けられるアクセスポイント200のリストを無線基地局100から受信する。アクセスポイント200のリストは、例えば、無線基地局100からSIB(例えば、WLAN-Id-r12)によって報知される。アクセスポイント200のリストは、アクセスポイント200が固定アクセスポイントであるか移動アクセスポイントであるかを示す種別情報(WLAN Type)を含むことが好ましい。
【0073】
WLAN無線通信部12は、アクセスポイント200と無線通信を行う機能を有する。例えば、WLAN無線通信部12は、アクセスポイント200からビーコン又はプローブ応答を受信する。ビーコン又はプローブ応答は、BBS Load情報要素を含み、無線LANのチャネル利用値(ChannelUtilizationWLAN)は、BBS Load情報要素から取得することができる。
【0074】
WLAN無線通信部12は、アクセスポイント200に対する要求(GAS(Generic Advertisement Service) Request)に応じてアクセスポイント200から返信される応答(GAS Response)を受信する。応答(GAS Response)は、無線LANの下りリンクのバックホール値(BackhaulRateDlWLAN)及び無線LANの上りリンクのバックホール値(BackhaulRateUlWLAN)を含む。このような問合せ手順は、WFA(Wi-Fi Alliance)のHotspot2.0で規定されるANQP(Access Network Query Protocol)に従って行われる。
【0075】
WLAN無線通信部12は、アクセスポイント200から信号を受信する。WLAN無線通信部12は、受信信号の信号レベル(RSSI)を測定する。受信信号の信号レベル(RSSI)は、ビーコン又はプローブ応答の信号強度である。
【0076】
制御部13は、CPU及びメモリ等によって構成されており、無線端末10を制御する。例えば、制御部13は、無線LANのカバレッジエリアの少なくとも一部が移動通信網のカバレッジエリアと重複している場合に、移動通信網と無線LANとの間で待ち受け先又は接続先を切り替える切替処理(第1切替処理及び第2切替処理)を行う。ここでは、切替処理が第1切替処理であるケースについて主として説明する。
【0077】
具体的には、制御部13は、無線端末10の移動状態が第1状態であると判定され、所定期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理を実行する。制御部13は、無線端末10の移動状態が第1状態とは異なる第2状態であると判定され、かつ、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントである場合に、所定期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理を実行する。
【0078】
例えば、制御部13は、無線基地局100から種別情報(WLAN Type)が報知される場合には、種別情報(WLAN Type)に基づいて、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントであるか否かを判定することができる。なお、制御部13は、無線LANを構成するアクセスポイント200の事前登録等によって、アクセスポイント200が移動アクセスポイントであるか否かを判定してもよい。
【0079】
(無線基地局)
以下において、実施形態に係る無線基地局について説明する。図3は、実施形態に係る無線基地局100を示すブロック図である。
【0080】
図3に示すように、無線基地局100は、LTE無線通信部110と、制御部120とを有する。
【0081】
LTE無線通信部110は、無線端末10と無線通信を行う機能を有する。例えば、LTE無線通信部110は、無線端末10に対して参照信号を定期的に送信する。LTE無線通信部110は、判定パラメータとして個別パラメータ及び報知パラメータを無線端末10に送信する。上述したように、LTE無線通信部110は、RRCメッセージ(例えば、RRC Connection Reconfiguration)によって個別パラメータを無線端末10に通知し、SIB(例えば、WLAN-OffloadConfig-r12)によって報知パラメータを無線端末10に通知する。
【0082】
制御部120は、CPU及びメモリ等によって構成されており、無線基地局100を制御する。
【0083】
(切替処理の判定)
以下において、切替処理の判定について、移動通信網から無線LANに対する第1切替処理を例に挙げて説明する。
【0084】
第1に、所定期間(TsteeringWLAN又はTsteeringEUTRA)に亘って第1情報が第1条件を満たすか否かを判定する方法について説明する。第1情報は、参照信号の信号レベル(RSRP)の測定結果(RSRPmeas)又は参照信号の信号品質(RSRP)の測定結果(RSRQmeas)であり、参照信号は短い周期で定期的に受信され、RSRPmeas又はRSRQmeasが比較的に短い周期で測定される。すなわち、図4に示すように、RSRPmeas又はRSRQmeasは、時間軸方向において連続的に取得される。
【0085】
第2に、所定期間(TsteeringWLAN又はTsteeringEUTRA)に亘って第2情報が第2条件を満たすか否かを判定する方法について説明する。第2情報を取得する周期について取り決めがない。すなわち、図5に示すように、第2情報(例えば、BackhaulRateDlWLAN又はBackhaulRateUlWLAN)は、時間軸方向において離散的に取得される。
【0086】
(通信方法)
以下において、実施形態に係る通信方法について説明する。図6は、実施形態に係る通信方法を示すフロー図である。図6に示すフローは、無線端末10によって実行される。ここでは、切替処理が第1切替処理であるケースについて説明する。
【0087】
図6に示すように、ステップS10において、無線端末10は、無線端末10の移動状態が第1状態であるか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS11の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、ステップS12の処理が行われる。言い換えると、無線端末10の移動状態が第2状態であると判定された場合には、ステップS12の処理が行われる。
【0088】
ステップS11において、無線端末10は、所定期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされているか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS14の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、一連の処理を終了する(すなわち、第1切替処理は行われない)。
【0089】
ステップS12において、無線端末10は、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントであるか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS13の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、一連の処理を終了する(すなわち、第1切替処理は行われない)。言い換えると、無線端末10の移動状態が第2状態であり、無線LANを構成するアクセスポイント200が固定アクセスポイントである場合には、一連の処理を終了する(すなわち、第1切替処理は行われない)。
【0090】
ステップS13において、無線端末10は、所定期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされているか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS14の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、一連の処理を終了する(すなわち、第1切替処理は行われない)。
【0091】
ステップS14において、無線端末10は、移動通信網から無線LANに待ち受け先又は接続先を切り替える第1切替処理を行う。
【0092】
(作用及び効果)
実施形態によれば、無線端末10の制御部13は、無線端末10の移動状態が第2状態であっても、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントであれば、所定期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理を実行する。従って、第2状態において、移動通信網から無線LANに対する第1切替処理が一律に禁止されず、移動アクセスポイントを有効に利用することができる。
【0093】
[変更例1]
以下において、実施形態の変更例1について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0094】
実施形態では、制御部13は、無線端末10の移動状態が第1状態であると判定され、所定期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理を実行する。制御部13は、無線端末10の移動状態が第1状態とは異なる第2状態であると判定され、かつ、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントである場合に、所定期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理を実行する。
【0095】
これに対して、変更例1では、制御部13は、無線端末10の移動状態が第1状態であると判定され、第1期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理を実行する。制御部13は、無線端末10の移動状態が第1状態とは異なる第2状態であると判定され、第1期間よりも長い第2期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理を実行する。
【0096】
すなわち、変更例1においては、制御部13は、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントであるか否かを判定しなくてもよい。従って、アクセスポイント200が固定アクセスポイントであるか移動アクセスポイントであるかを示す種別情報(WLAN Type)が無線端末10に通知される必要もない。また、第2期間は、第1期間のN(Nは1よりも大きい整数)倍であり、Nを示す値は、移動通信網から通知されてもよい。或いは、第2期間を示す値(例えば、期間を示す直値又は期間に対応する識別子)は、移動通信網から通知されてもよい。これらのケースにおいて、Nを示す値又は第2期間を示す値は、RRCメッセージ(例えば、RRC Connection Reconfiguration)に含まれてもよく、SIB(例えば、WLAN-OffloadConfig-r12)に含まれてもよい。或いは、第2期間は、移動通信網で予め定められていてもよい。
【0097】
変更例1において、第1期間及び第2期間は、例えば、第1実施形態で触れた所定期間(TsteeringWLAN)の一種である。第1期間は、第1実施形態で触れた所定期間(TsteeringWLAN)と同じ値であってもよい。
【0098】
(通信方法)
以下において、変更例1に係る通信方法について説明する。図7は、変更例1に係る通信方法を示すフロー図である。図7に示すフローは、無線端末10によって実行される。ここでは、切替処理が第1切替処理であるケースについて説明する。
【0099】
図7に示すように、ステップS20において、無線端末10は、無線端末10の移動状態が第1状態であるか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS21の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、ステップS22の処理が行われる。言い換えると、無線端末10の移動状態が第2状態であると判定された場合には、ステップS22の処理が行われる。
【0100】
ステップS21において、無線端末10は、第1期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされているか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS23の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、一連の処理を終了する(すなわち、第1切替処理は行われない)。
【0101】
ステップS22において、無線端末10は、第2期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされているか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS23の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、一連の処理を終了する(すなわち、第1切替処理は行われない)。
【0102】
ステップS23において、無線端末10は、移動通信網から無線LANに待ち受け先又は接続先を切り替える第1切替処理を行う。
【0103】
(作用及び効果)
変更例1によれば、無線端末10の制御部13は、無線端末10の移動状態が第2状態であっても、第2期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理を実行する。従って、第2状態において、移動通信網から無線LANに第1切替処理が一律に禁止されず、移動アクセスポイントを有効に利用することができる。また、第2期間が第1期間よりも長いため、移動アクセスポイントが設置された移動体と同様の移動を無線端末10が偶発的に行っているケースにおいて、第1切替処理が誤って行われる可能性を軽減することができる。このようなケースは、例えば、移動アクセスポイントが設置された乗り物に無線端末10を所持するユーザが乗車していないケースなどである。
【0104】
[変更例2]
以下において、実施形態の変更例2について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0105】
実施形態では、制御部13は、無線端末10の移動状態が第1状態であると判定され、所定期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理を実行する。制御部13は、無線端末10の移動状態が第1状態とは異なる第2状態であると判定され、かつ、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントである場合に、所定期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理を実行する。
【0106】
これに対して、変更例2では、制御部13は、無線LANを構成するアクセスポイント200が固定アクセスポイントであり、第1期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理を実行する。制御部13は、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントであり、第1期間よりも長い第2期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理を実行する。
【0107】
すなわち、変更例2においては、制御部13は、無線端末10の移動状態を判定しなくてもよい。また、第2期間は、第1期間のN(Nは1よりも大きい整数)倍であり、Nを示す値は、移動通信網から通知されてもよい。或いは、第2期間を示す値(例えば、期間を示す直値又は期間に対応する識別子)は、移動通信網から通知されてもよい。これらのケースにおいて、Nを示す値又は第2期間を示す値は、RRCメッセージ(例えば、RRC Connection Reconfiguration)に含まれてもよく、SIB(例えば、WLAN-OffloadConfig-r12)に含まれてもよい。或いは、第2期間は、移動通信網で予め定められていてもよい。
【0108】
変更例2において、第1期間及び第2期間は、例えば、第1実施形態で触れた所定期間(TsteeringWLAN)の一種である。第1期間は、第1実施形態で触れた所定期間(TsteeringWLAN)と同じ値であってもよい。
【0109】
(通信方法)
以下において、変更例2に係る通信方法について説明する。図8は、変更例2に係る通信方法を示すフロー図である。図8に示すフローは、無線端末10によって実行される。ここでは、切替処理が第1切替処理であるケースについて説明する。
【0110】
図8に示すように、ステップS30において、無線端末10は、無線LANを構成するアクセスポイント200が固定アクセスポイントであるか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS31の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、ステップS32の処理が行われる。言い換えると、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントである場合には、ステップS32の処理が行われる。
【0111】
ステップS31において、無線端末10は、第1期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされているか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS33の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、一連の処理を終了する(すなわち、第1切替処理は行われない)。
【0112】
ステップS32において、無線端末10は、第2期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされているか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS33の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、一連の処理を終了する(すなわち、第1切替処理は行われない)。
【0113】
ステップS33において、無線端末10は、移動通信網から無線LANに待ち受け先又は接続先を切り替える第1切替処理を行う。
【0114】
(作用及び効果)
変更例2によれば、無線端末10の制御部13は、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントであり、第2期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理を実行する。従って、移動アクセスポイントを有効に利用することが可能である。また、第2期間が第1期間よりも長いため、移動アクセスポイントが設置された移動体と同様の移動を無線端末が偶発的に行っているケースにおいて、第1切替処理が誤って行われる可能性を軽減することができる。このようなケースは、例えば、移動アクセスポイントが設置された乗り物に無線端末を所持するユーザが乗車していないケースに加えて、移動アクセスポイントが設置された乗り物が一時的に停止しているケースなどなどである。
【0115】
[変更例3]
以下において、実施形態の変更例3について説明する。以下においては、変更例1に対する相違点について主として説明する。
【0116】
変更例1では、制御部13は、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントであるか否かを判定しない。これに対して、変更例3では、制御部13は、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントであるか否かを判定する。
【0117】
具体的には、変更例3では、制御部13は、無線LANを構成するアクセスポイント200が固定アクセスポイントであるときに、無線端末10の移動状態が第1状態であると判定され、第1期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理を実行する。制御部13は、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントであるときに、無線端末の移動状態が第2状態であると判定され、第2期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理を実行する。
【0118】
さらに、制御部13は、無線LANを構成するアクセスポイント200が固定アクセスポイントであるときに、無線端末10の移動状態が第2状態であると判定された場合に、第1切替処理の実行を禁止する。
【0119】
(通信方法)
以下において、変更例3に係る通信方法について説明する。図9は、変更例3に係る通信方法を示すフロー図である。図9に示すフローは、無線端末10によって実行される。ここでは、切替処理が第1切替処理であるケースについて説明する。
【0120】
図9に示すように、ステップS40において、無線端末10は、無線LANを構成するアクセスポイント200が固定アクセスポイントであるか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS41の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、ステップS43の処理が行われる。言い換えると、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントである場合には、ステップS43の処理が行われる。
【0121】
ステップS41において、無線端末10は、無線端末10の移動状態が第1状態であるか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS42の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、一連の処理を終了する(すなわち、第1切替処理は行われない)。言い換えると、無線端末10は、無線LANを構成するアクセスポイント200が固定アクセスポイントであるときに、無線端末10の移動状態が第2状態であると判定された場合には、第1切替処理を禁止する。
【0122】
ステップS42において、無線端末10は、第1期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされているか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS44の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、一連の処理を終了する(すなわち、第1切替処理は行われない)。
【0123】
ステップS43において、無線端末10は、第2期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされているか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS44の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、一連の処理を終了する(すなわち、第1切替処理は行われない)。
【0124】
ステップS44において、無線端末10は、移動通信網から無線LANに待ち受け先又は接続先を切り替える第1切替処理を行う。
【0125】
なお、変更例3においては、無線端末10は、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントである場合には、無線端末10の移動状態に依存せずに、第2期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされているか否かに応じて、第1切替処理を行うか否かを判定していることに留意すべきである。
【0126】
(作用及び効果)
変更例3によれば、無線端末10の制御部13は、無線端末10は、無線LANを構成するアクセスポイント200が固定アクセスポイントであるときに、無線端末10の移動状態が第2状態であると判定された場合に、第1切替処理を禁止する。従って、移動アクセスポイントを有効に利用しながらも、移動通信網から無線LANに対する第1切替処理が行われた後に無線LANから移動通信網に対する第2切替処理が直ちに実行される事態が抑制される。
【0127】
[変更例4]
以下において、実施形態の変更例4について説明する。以下においては、変更例2に対する相違点について主として説明する。
【0128】
変更例2では、制御部13は、無線端末10の移動状態を判定しない。これに対して、変更例4では、制御部13は、無線端末10の移動状態を判定する。
【0129】
具体的には、変更例3では、制御部13は、無線端末10の移動状態が第1状態であると判定されたときに、無線LANを構成するアクセスポイント200が固定アクセスポイントであり、第1期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理を実行する。制御部13は、無線端末10の移動状態が第1状態とは異なる第2状態であると判定されたときに、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントであり、第2期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理を実行する。
【0130】
さらに、制御部13は、無線端末10の移動状態が第2状態であると判定されたときに、無線LANを構成するアクセスポイント200が固定アクセスポイントである場合に、第1切替処理の実行を禁止する。
【0131】
(通信方法)
以下において、変更例4に係る通信方法について説明する。図10は、変更例4に係る通信方法を示すフロー図である。図10に示すフローは、無線端末10によって実行される。ここでは、切替処理が第1切替処理であるケースについて説明する。
【0132】
図10に示すように、ステップS50において、無線端末10は、無線端末10の移動状態が第1状態であるか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS51の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、ステップS52の処理が行われる。言い換えると、無線端末10の移動状態が第2状態であると判定された場合に、ステップS52の処理が行われる。
【0133】
ステップS51において、無線端末10は、無線LANを構成するアクセスポイント200が固定アクセスポイントであるか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS53の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、ステップS54の処理が行われる。言い換えると、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントである場合には、ステップS54の処理が行われる。
【0134】
ステップS52において、無線端末10は、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントであるか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS54の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、一連の処理が終了する(すなわち、第1切替処理は行われない)。言い換えると、無線端末10は、無線端末10の移動状態が第2状態であると判定されたときに、無線LANを構成するアクセスポイント200が固定アクセスポイントである場合に、第1切替処理の実行を禁止する。
【0135】
ステップS53において、無線端末10は、第1期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされているか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS55の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、一連の処理を終了する(すなわち、第1切替処理は行われない)。
【0136】
ステップS54において、無線端末10は、第2期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされているか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS55の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、一連の処理を終了する(すなわち、第1切替処理は行われない)。
【0137】
ステップS55において、無線端末10は、移動通信網から無線LANに待ち受け先又は接続先を切り替える第1切替処理を行う。
【0138】
なお、変更例4においては、無線端末10は、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントである場合には、無線端末10の移動状態に依存せずに、第2期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされているか否かに応じて、第1切替処理を行うか否かを判定していることに留意すべきである。
【0139】
(作用及び効果)
変更例4によれば、無線端末10の制御部13は、無線端末10の移動状態が第2状態であると判定されたときに、無線LANを構成するアクセスポイント200が固定アクセスポイントである場合に、第1切替処理の実行を禁止する。従って、移動アクセスポイントを有効に利用しながらも、移動通信網から無線LANに対する第1切替処理が行われた後に無線LANから移動通信網に対する第2切替処理が直ちに実行される事態が抑制される。
【0140】
[変更例5]
以下において、実施形態の変更例5について説明する。以下においては、第1実施形態及び変更例2に対する相違点について主として説明する。
【0141】
具体的には、第1実施形態では、切替処理が第1切替処理であるケースについて主として説明する。また、変更例2では、制御部13は、無線LANを構成するアクセスポイント200が固定アクセスポイントであり、第1期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理を実行する。制御部13は、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントであり、第1期間よりも長い第2期間に亘って第1切替処理を行う条件が満たされた場合に、第1切替処理を実行する。
【0142】
これに対して、変更例5では、切替処理が第2切替処理であるケースについて主として説明する。制御部13は、無線LANを構成するアクセスポイント200が固定アクセスポイントであり、第3期間に亘って第2切替処理を行う条件が満たされた場合に、第2切替処理を実行する。制御部13は、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントであり、第3期間よりも長い第4期間に亘って第2切替処理を行う条件が満たされた場合に、第2切替処理を実行する。
【0143】
ここで、第4期間は、第3期間のN(Nは1よりも大きい整数)倍であり、Nを示す値は、移動通信網から通知されてもよい。或いは、第4期間を示す値(例えば、期間を示す直値又は期間に対応する識別子)は、移動通信網から通知されてもよい。これらのケースにおいて、Nを示す値又は第4期間を示す値は、RRCメッセージ(例えば、RRC Connection Reconfiguration)に含まれてもよく、SIB(例えば、WLAN-OffloadConfig-r12)に含まれてもよい。或いは、第4期間は、移動通信網で予め定められていてもよい。
【0144】
変更例5において、第2切替処理で参照される第3期間及び第4期間は、第1切替処理で参照される第1期間及び第2期間とは別に定義される所定期間(TsteeringEUTTRA)である。なお、第1期間及び第2期間は、上述したように、第1実施形態で触れた所定期間(TsteeringWLAN)の一種である。上述したように、所定期間(TsteeringWLAN)としては、最大で7秒の値が設定可能である。一方で、所定期間(TsteeringEUTTRA)としては、7秒以上の値が設定可能であってもよい。
【0145】
(通信方法)
以下において、変更例5に係る通信方法について説明する。図11は、変更例5に係る通信方法を示すフロー図である。図11に示すフローは、無線端末10によって実行される。ここでは、切替処理が第2切替処理であるケースについて説明する。
【0146】
図11に示すように、ステップS60において、無線端末10は、無線LANを構成するアクセスポイント200が固定アクセスポイントであるか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS61の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、ステップS62の処理が行われる。言い換えると、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントである場合には、ステップS62の処理が行われる。
【0147】
ステップS61において、無線端末10は、第3期間に亘って第2切替処理を行う条件が満たされているか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS63の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、一連の処理を終了する(すなわち、第2切替処理は行われない)。
【0148】
ステップS62において、無線端末10は、第4期間に亘って第2切替処理を行う条件が満たされているか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS63の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、一連の処理を終了する(すなわち、第2切替処理は行われない)。
【0149】
ステップS63において、無線端末10は、移動通信網から無線LANに待ち受け先又は接続先を切り替える第2切替処理を行う。
【0150】
なお、変更例5では、上述した実施形態のように、無線端末10の移動状態が第2状態である場合に、無線端末10が移動アクセスポイントに接続されるという前提で、「無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントである」という条件は、「無線端末10の移動状態が第2状態である」という条件と同様の意味を持つことに留意すべきである。
【0151】
従って、変更例5において、制御部13は、無線端末10の移動状態が第2状態であるときに、第3期間よりも長い第4期間に亘って第2切替処理を行う条件が満たされた場合に、第2切替処理を実行してもよい。このようなケースにおいては、無線LANを構成するアクセスポイント200を判定する必要がないことは勿論である。
【0152】
(作用及び効果)
変更例5によれば、無線端末10の制御部13は、無線LANを構成するアクセスポイント200が移動アクセスポイントであり、第3期間よりも長い第4期間に亘って第2切替処理を行う条件が満たされた場合に、第2切替処理を実行する。すなわち、第4期間が第3期間よりも長いため、移動アクセスポイントが設置された乗り物が一時的に停止するケースにおいて、乗り物の一時停止に伴って無線LANから移動通信網への第2切替処理が実行された直後に、乗り物の発車に伴って移動通信網から無線LANへの第1切替処理が実行される事態が抑制される。すなわち、不要な第2切替処理の抑制によって、移動アクセスポイントを有効に利用することが可能である。
【0153】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0154】
実施形態では、無線端末10の移動状態として、2種類の移動状態(第1状態及び第2状態)を例示した。しかしながら、無線端末10の移動状態は、3種類以上であってもよい。このようなケースにおいて、所定期間(TsteeringWLAN)或いは所定期間(TsteeringEUTTRA)は、無線端末10の移動状態毎に定められてもよい。無線端末10の移動速度が速いほど、所定期間(TsteeringWLAN)或いは所定期間(TsteeringEUTTRA)として大きな値が設定されることが好ましい。例えば、移動速度が遅い順に、無線端末10の移動状態が第1状態、第2状態及び第3状態を含む場合に、第1状態で参照される所定期間(TsteeringWLAN)或いは所定期間(TsteeringEUTTRA)は、基準期間のN1(N1は1以上の整数)倍であり、第2状態で参照される所定期間(TsteeringWLAN)或いは所定期間(TsteeringEUTTRA)は、基準期間のN2(N2はN1よりも大きい整数)倍であり、第3状態で参照される所定期間(TsteeringWLAN)或いは所定期間(TsteeringEUTTRA)は、基準期間のN3(N3はN2よりも大きい整数)倍であってもよい。
【0155】
第2切替処理で参照される所定期間(TsteeringEUTTRA)は、第1切替処理で参照される所定期間(TsteeringWLAN)のN(Nは1よりも大きい整数)倍であり、Nを示す値は、移動通信網から通知されてもよい。
【0156】
実施形態では、所定期間に亘って条件が満たされるケースについて説明したが、このようなケースにおいて、所定期間中に条件を満たさない状態が一時的に存在したとしても、所定期間の全体に亘って条件を満たすと判断してもよい。
【0157】
無線端末10及び無線基地局100が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0158】
或いは、無線端末10及び無線基地局100が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成されるチップが提供されてもよい。
【0159】
実施形態では、移動通信網としてLTEを例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。移動通信網は、通信キャリアによって提供されるネットワークであればよい。従って、移動通信網は、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)であってもよく、GSM((登録商標)global system for mobile communications)であってもよい。
【0160】
[相互参照]
日本国出願第2014-232107号(2014年11月14日出願)の全内容が、参照により本願明細書に組み込まれている。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明は、通信分野において有用である。
図1
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図11