(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】操船システムおよび船舶
(51)【国際特許分類】
B63H 21/21 20060101AFI20221108BHJP
B63H 23/30 20060101ALI20221108BHJP
B63H 20/14 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
B63H21/21
B63H23/30
B63H20/14 100
(21)【出願番号】P 2020200184
(22)【出願日】2020-12-02
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】土屋 俊哉
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-216018(JP,A)
【文献】特開2017-088111(JP,A)
【文献】特開2005-145438(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0130152(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 21/21
B63H 23/30
B63H 20/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンの駆動力により船体を推進するための推進力を発生させる推進力発生部と、
前記エンジンの駆動力を前記推進力発生部に伝達させるシフトイン状態と、前記エンジンの駆動力を前記推進力発生部に伝達させないシフトアウト状態と、を切り換えるシフトアクチュエータと、
ユーザの操作に基づいて、前記シフトイン状態が継続する通常運転モードと、前記シフトイン状態と前記シフトアウト状態とを所定の周期で繰り返す間欠運転モードと、を切り換えるように前記シフトアクチュエータを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ユーザの操作に基づいて前記通常運転モードから前記間欠運転モードに切り換える間欠運転切換制御を行う際に、前記間欠運転モードを前記シフトアウト状態から直ちに開始するように前記シフトアクチュエータを制御するシフトアウト開始制御を行うように構成されて
おり、
前記制御部は、前記間欠運転モードにおいて、前記所定の周期に対応する所定のタイミング毎に前記シフトイン状態から前記シフトアウト状態に切り換えられるように構成されているとともに、前記間欠運転切換制御を行う際に、前記所定の周期に設定されたタイマーをリセットして前記所定のタイミングをずらすことにより、前記シフトアウト開始制御を行うように構成されている、操船システム。
【請求項2】
前記制御部は、船舶の航行を自動で制御する自動航行モードである場合に、前記間欠運転切換制御を行う際に、前記シフトアウト開始制御を行うように構成されている、請求項
1に記載の操船システム。
【請求項3】
前記間欠運転モードであるか否かを表示する表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記間欠運転切換制御を行う際に、前記間欠運転モードであることを前記表示部に表示する制御を行うとともに、前記シフトアウト開始制御を行うように構成されている、請求項1
または2に記載の操船システム。
【請求項4】
前記制御部は、船舶の航行が前進または後進のいずれかである場合に、前記間欠運転切換制御を行う際に、前記シフトアウト開始制御を行うように構成されている、請求項1~
3のいずれか1項に記載の操船システム。
【請求項5】
船舶の速度を調整するための操作部をさらに備え、
前記制御部は、前記間欠運転モードにおいて、前記ユーザにより前記操作部に対して前記船舶の速度を変更する速度変更操作が行われた際に、前記ユーザの操作に基づいて、前記船舶の速度に応じて前記シフトイン状態の継続時間と前記シフトアウト状態の継続時間との比率が調整された前記間欠運転モードを前記シフトアウト状態から直ちに開始するように前記シフトアクチュエータを制御する調整シフトアウト開始制御を行うように構成されている、請求項1~
4のいずれか1項に記載の操船システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記間欠運転モードにおいて、前記所定の周期に対応する所定のタイミング毎に前記シフトイン状態から前記シフトアウト状態に切り換えられるように構成されているとともに、前記間欠運転モードにおいて、前記ユーザにより前記操作部に対して前記速度変更操作が行われた際に、前記調整シフトアウト開始制御を行うように構成されている、請求項
5に記載の操船システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記間欠運転モードにおいて、前記ユーザにより前記操作部に対して前記速度変更操作が行われた際に、前記所定の周期に設定されたタイマーをリセットして前記所定のタイミングをずらすことにより、前記調整シフトアウト開始制御を行うように構成されている、請求項
6に記載の操船システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記船舶の航行を自動で制御する自動航行モードである場合に、前記ユーザにより前記操作部に対して前記速度変更操作が行われた際に、前記調整シフトアウト開始制御を行うように構成されている、請求項
5~
7のいずれか1項に記載の操船システム。
【請求項9】
前記船舶の速度を表示する表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記間欠運転モードにおいて、前記ユーザにより前記操作部に対して前記速度変更操作が行われた際に、変更後の前記船舶の速度を前記表示部に表示する制御を行うとともに、前記調整シフトアウト開始制御を行うように構成されている、請求項
5~
8のいずれか1項に記載の操船システム。
【請求項10】
エンジンと、
前記エンジンの駆動力により船体を推進するための推進力を発生させる推進力発生部と、
前記エンジンの駆動力を前記推進力発生部に伝達させるシフトイン状態と、前記エンジンの駆動力を前記推進力発生部に伝達させないシフトアウト状態と、を切り換えるシフトアクチュエータと、
ユーザの操作に基づいて、前記シフトイン状態が継続する通常運転モードと、前記シフトイン状態と前記シフトアウト状態とを所定の周期で繰り返す間欠運転モードと、を切り換えるように前記シフトアクチュエータを制御する制御部と、
船舶の速度を調整するための操作部と、を備え、
前記制御部は、前記ユーザの操作に基づいて前記通常運転モードから前記間欠運転モードに切り換える間欠運転切換制御を行う際に、前記間欠運転モードを前記シフトアウト状態から直ちに開始するように前記シフトアクチュエータを制御するシフトアウト開始制御を行うように構成されており、
前記制御部は、前記ユーザにより前記操作部に対して前記船舶の速度が前記所定の速度よりも小さくなる操作が行われた場合に、前記船舶の速度に応じた前記シフトイン状態の継続時間と前記シフトアウト状態の継続時間との比率で、前記シフトアウト開始制御を行うように構成されている、操船システム。
【請求項11】
船体と、
前記船体に取り付けられる船外機と、を備え、
前記船外機は、
エンジンと、
前記エンジンの駆動力により前記船体を推進するための推進力を発生させる推進力発生部と、
前記エンジンの駆動力を前記推進力発生部に伝達させるシフトイン状態と、前記エンジンの駆動力を前記推進力発生部に伝達させないシフトアウト状態と、を切り換えるシフトアクチュエータと、
ユーザの操作に基づいて、前記シフトイン状態が継続する通常運転モードと、前記シフトイン状態と前記シフトアウト状態とを所定の周期で繰り返す間欠運転モードと、を切り換えるように前記シフトアクチュエータを制御する制御部と、を含み、
前記制御部は、前記ユーザの操作に基づいて前記通常運転モードから前記間欠運転モードに切り換える間欠運転切換制御を行う際に、前記間欠運転モードを前記シフトアウト状態から直ちに開始するように前記シフトアクチュエータを制御するシフトアウト開始制御を行うように構成されて
おり、
前記制御部は、前記間欠運転モードにおいて、前記所定の周期に対応する所定のタイミング毎に前記シフトイン状態から前記シフトアウト状態に切り換えられるように構成されているとともに、前記間欠運転切換制御を行う際に、前記所定の周期に設定されたタイマーをリセットして前記所定のタイミングをずらすことにより、前記シフトアウト開始制御を行うように構成されている、船舶。
【請求項12】
前記制御部は、前記船舶の航行を自動で制御する自動航行モードである場合に、前記間欠運転切換制御を行う際に、前記シフトアウト開始制御を行うように構成されている、請求項1
1に記載の船舶。
【請求項13】
前記間欠運転モードであるか否かを表示する表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記間欠運転切換制御を行う際に、前記間欠運転モードであることを前記表示部に表示する制御を行うとともに、前記シフトアウト開始制御を行うように構成されている、請求項1
1または12に記載の船舶。
【請求項14】
エンジンと、
前記エンジンの駆動力により船体を推進するための推進力を発生させる推進力発生部と、
前記エンジンの駆動力を前記推進力発生部に伝達させるシフトイン状態と、前記エンジンの駆動力を前記推進力発生部に伝達させないシフトアウト状態と、を切り換えるシフトアクチュエータと、
ユーザの操作に基づいて、前記シフトイン状態が継続する通常運転モードと、前記シフトイン状態と前記シフトアウト状態とを所定の周期で繰り返す間欠運転モードと、を切り換えるように前記シフトアクチュエータを制御する制御部と、
船舶の速度を調整するための操作部と、を備え、
前記制御部は、前記ユーザの操作に基づいて前記通常運転モードから前記間欠運転モードに切り換える間欠運転切換制御を行う際に、前記間欠運転モードを前記シフトアウト状態から直ちに開始するように前記シフトアクチュエータを制御するシフトアウト開始制御を行うように構成されており、
前記制御部は、前記ユーザにより前記操作部に対して前記船舶の速度が前記所定の速度よりも小さくなる操作が行われた場合に、前記操作部に対する操作量に応じた前記シフトイン状態の継続時間と前記シフトアウト状態の継続時間との比率で、前記シフトアウト開始制御を行うように構成されている、船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、操船システムおよび船舶に関し、特に、シフトイン状態とシフトアウト状態とを切り換えるシフトアクチュエータを備える操船システムおよび船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シフトイン状態とシフトアウト状態とを切り換えるシフトアクチュエータを備える船舶が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、船舶本体と、船舶本体に取り付けられた推進装置としての船外機とから構成された船舶が記載されている。上記特許文献1に記載されている船舶では、船外機に、シフトインと中立(シフトアウト)とを切り換えるためのシフトアクチュエータが設けられている。上記特許文献1に記載されている船舶では、シフトインと中立とを所定時間ずつ交互に繰り返すことにより、シフトインが継続する状態よりも低速で船舶を航行することが可能に構成されている。なお、上記特許文献1に記載されている船舶では、シフトインが継続する状態から、シフトインと中立とを所定時間ずつ交互に繰り返す状態に切り換った後、シフトインと中立とを所定時間ずつ交互に繰り返す状態がシフトインから開始されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている船舶では、上記のように、シフトインが継続する状態からシフトインと中立とを所定時間ずつ交互に繰り返す状態に切り換った後、シフトインと中立とを所定時間ずつ交互に繰り返す状態がシフトインから開始されている。この場合、シフトインと中立とを所定時間ずつ交互に繰り返す状態に切り換った後、最初のシフトインから最初の中立に切り換わるまでは、シフトインが継続する状態と同じ速度で船舶を航行する状態が継続する。すなわち、シフトインと中立とを所定時間ずつ交互に繰り返す状態に切り換わった後、シフトインが継続する状態よりも低速で船舶を航行する状態に直ぐに変化させることができない。この場合、船舶の速度を変更する操作を行ったユーザが、船舶の速度が変化するタイミングが遅れたように感じると考えられる。このため、上記特許文献1に記載されている船舶のように、シフトインと中立(シフトアウト)とを所定時間ずつ交互に繰り返すことにより、シフトインが継続する状態よりも低速で船舶を航行可能な船舶において、シフトインが継続する状態からシフトインが継続する状態よりも低速で船舶を航行する状態への切換応答性を向上させたいという要望がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、シフトインが継続する状態からシフトインが継続する状態よりも低速で船舶を航行する状態への切換応答性を向上させることが可能な操船システムおよび船舶を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による操船システムは、エンジンと、エンジンの駆動力により船体を推進するための推進力を発生させる推進力発生部と、エンジンの駆動力を推進力発生部に伝達させるシフトイン状態とエンジンの駆動力を推進力発生部に伝達させないシフトアウト状態とを切り換えるシフトアクチュエータと、ユーザの操作に基づいて、シフトイン状態が継続する通常運転モードとシフトイン状態とシフトアウト状態とを所定の周期で繰り返す間欠運転モードとを切り換えるようにシフトアクチュエータを制御する制御部と、を備え、制御部は、ユーザの操作に基づいて通常運転モードから間欠運転モードに切り換える間欠運転切換制御を行う際に、間欠運転モードをシフトアウト状態から直ちに開始するようにシフトアクチュエータを制御するシフトアウト開始制御を行うように構成されており、制御部は、間欠運転モードにおいて、所定の周期に対応する所定のタイミング毎にシフトイン状態からフトアウト状態に切り換えられるように構成されているとともに、記間欠運転切換制御を行う際に、所定の周期に設定されたタイマーをリセットして所定のタイミングをずらすことにより、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による操船システムでは、上記のように、制御部は、ユーザの操作に基づいて通常運転モードから間欠運転モードに切り換える間欠運転切換制御を行う際に、間欠運転モードをシフトアウト状態から直ちに開始するようにシフトアクチュエータを制御するシフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、通常運転モードから間欠運転モードに切り換わった後、間欠運転モードをシフトアウト状態から開始させることができる。すなわち、間欠運転モードがシフトイン状態から開始される場合と異なり、通常運転モードから間欠運転モードに切り換わった後、通常運転モードよりも低速で船舶を航行する状態に直ぐに変化させることができる。その結果、シフトインが継続する状態からシフトインが継続する状態よりも低速で船舶を航行する状態への切替応答性を向上させることができる。すなわち、船舶の速度を変更する操作を行ったユーザが、船舶の速度が変化するタイミングが遅れたように感じるのを抑制することができる。
また、上記第1の局面による操船システムでは、上記のように、制御部は、間欠運転モードにおいて、所定の周期に対応する所定のタイミング毎にシフトイン状態からシフトアウト状態に切り換えられるように構成されているとともに、間欠運転切換制御を行う際に、所定のタイミングをずらすことにより、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、間欠運転切換制御が行われるタイミングに関係なく、間欠運転切換制御を行う際に、シフトアウト開始制御を行うことができる。
また、上記第1の局面による操船システムでは、上記のように、制御部は、間欠運転切換制御を行う際に、所定の周期に設定されたタイマーをリセットして所定のタイミングをずらすことにより、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、間欠運転切換制御を行う際に、シフトアウト開始制御を行うために、タイマーをリセットして所定のタイミングを容易にずらすことができる。
【0013】
上記第1の局面による操船システムにおいて、好ましくは、制御部は、船舶の航行を自動で制御する自動航行モードである場合に、間欠運転切換制御を行う際に、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。このように構成すれば、船舶が自動で航行している場合に、シフトインが継続する状態からシフトインが継続する状態よりも低速で船舶を航行する状態への切替応答性を向上させることができる。
【0014】
上記第1の局面による操船システムにおいて、好ましくは、間欠運転モードであるか否かを表示する表示部をさらに備え、制御部は、間欠運転切換制御を行う際に、間欠運転モードであることを表示部に表示する制御を行うとともに、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。このように構成すれば、シフトインが継続する状態からシフトインが継続する状態よりも低速で船舶を航行する状態への切替応答性を向上させた状態で、間欠運転モードの状態(シフトインが継続する状態よりも低速で船舶を航行する状態)であることをユーザにタイムラグを感じさせずに視覚的に認識させることができる。
【0015】
上記第1の局面による操船システムにおいて、好ましくは、制御部は、船舶の航行が前進または後進のいずれかである場合に、間欠運転切換制御を行う際に、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。このように構成すれば、船舶が前進している場合または後進している場合に、シフトインが継続する状態からシフトインが継続する状態よりも低速で船舶を航行する状態への切替応答性を向上させることができる。
【0016】
上記第1の局面による操船システムにおいて、好ましくは、船舶の速度を調整するための操作部をさらに備え、制御部は、間欠運転モードにおいて、ユーザにより操作部に対して船舶の速度を変更する速度変更操作が行われた際に、ユーザの操作に基づいて、船舶の速度に応じてシフトイン状態の継続時間とシフトアウト状態の継続時間との比率が調整された間欠運転モードをシフトアウト状態から直ちに開始するようにシフトアクチュエータを制御する調整シフトアウト開始制御を行うように構成されている。このように構成すれば、船舶の速度に応じてシフトイン状態の継続時間とシフトアウト状態の継続時間との比率が調整された間欠運転モードをシフトアウト状態から開始させることができる。すなわち、船舶の速度に応じてシフトイン状態の継続時間とシフトアウト状態の継続時間との比率が調整された間欠運転モードがシフトイン状態から開始される場合と異なり、ユーザによる操作により変更された船舶の速度で船舶を航行する状態に直ぐに変化させることができる。その結果、シフトインが継続する状態よりも低速で船舶を航行する状態において、船舶を航行する速度の切替応答性を向上させることができる。
【0017】
この場合、好ましくは、制御部は、間欠運転モードにおいて、所定の周期に対応する所定のタイミング毎にシフトイン状態からシフトアウト状態に切り換えられるように構成されているとともに、間欠運転モードにおいて、ユーザにより操作部に対して速度変更操作が行われた際に、調整シフトアウト開始制御を行うように構成されている。このように構成すれば、間欠運転モードにおいて、ユーザにより操作部に対して速度変更操作が行われるタイミングに関係なく、船舶の速度に応じてシフトイン状態の継続時間とシフトアウト状態の継続時間との比率の調整を行う際に、調整シフトアウト開始制御を行うことができる。
【0018】
上記制御部が間欠運転モードにおいて所定の周期に対応する所定のタイミング毎にシフトイン状態からシフトアウト状態に切り換えられる構成において、好ましくは、制御部は、間欠運転モードにおいて、ユーザにより操作部に対して速度変更操作が行われた際に、所定の周期に設定されたタイマーをリセットして所定のタイミングをずらすことにより、調整シフトアウト開始制御を行うように構成されている。このように構成すれば、船舶の速度に応じてシフトイン状態の継続時間とシフトアウト状態の継続時間との比率の調整を行う際に、調整シフトアウト開始制御を行うために、タイマーをリセットして所定のタイミングを容易にずらすことができる。
【0019】
上記制御部が間欠運転モードにおいて速度変更操作が行われた際に調整シフトアウト開始制御を行う構成において、好ましくは、制御部は、船舶の航行を自動で制御する自動航行モードである場合に、ユーザにより操作部に対して速度変更操作が行われた際に、調整シフトアウト開始制御を行うように構成されている。このように構成すれば、船舶が自動で航行している場合に、シフトインが継続する状態よりも低速で船舶を航行する状態において、船舶を航行する速度の切替応答性を向上させることができる。
【0020】
上記制御部が間欠運転モードにおいて速度変更操作が行われた際に調整シフトアウト開始制御を行う構成において、好ましくは、船舶の速度を表示する表示部をさらに備え、制御部は、間欠運転モードにおいて速度変更操作が行われた際に、変更後の船舶の速度を表示部に表示する制御を行うとともに、調整シフトアウト開始制御を行うように構成されている。このように構成すれば、シフトインが継続する状態よりも低速で船舶を航行する状態において、船舶を航行する速度の切替応答性を向上させた状態で、船舶の速度が変更されたことをユーザにタイムラグを感じさせずに視覚的に認識させることができる。
また、上記目的を達成するために、この発明の第2の局面による操船システムは、エンジンと、エンジンの駆動力により船体を推進するための推進力を発生させる推進力発生部と、エンジンの駆動力を推進力発生部に伝達させるシフトイン状態と、エンジンの駆動力を推進力発生部に伝達させないシフトアウト状態と、を切り換えるシフトアクチュエータと、ユーザの操作に基づいて、シフトイン状態が継続する通常運転モードと、シフトイン状態とシフトアウト状態とを所定の周期で繰り返す間欠運転モードと、を切り換えるようにシフトアクチュエータを制御する制御部と、船舶の速度を調整するための操作部と、を備え、制御部は、ユーザの操作に基づいて通常運転モードから間欠運転モードに切り換える間欠運転切換制御を行う際に、間欠運転モードをシフトアウト状態から直ちに開始するようにシフトアクチュエータを制御するシフトアウト開始制御を行うように構成されており、制御部は、ユーザにより操作部に対して船舶の速度が所定の速度よりも小さくなる操作が行われた場合に、船舶の速度に応じたシフトイン状態の継続時間とシフトアウト状態の継続時間との比率で、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。
この発明の第2の局面による操船システムでは、上記のように、制御部は、ユーザの操作に基づいて通常運転モードから間欠運転モードに切り換える間欠運転切換制御を行う際に、間欠運転モードをシフトアウト状態から直ちに開始するようにシフトアクチュエータを制御するシフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、上記第1の局面による操船システムと同様に、通常運転モードから間欠運転モードに切り換わった後、間欠運転モードをシフトアウト状態から開始させることができる。その結果、上記第1の局面による操船システムと同様に、シフトインが継続する状態からシフトインが継続する状態よりも低速で船舶を航行する状態への切替応答性を向上させることができる。すなわち、船舶の速度を変更する操作を行ったユーザが、船舶の速度が変化するタイミングが遅れたように感じるのを抑制することができる。
また、上記第2の局面による操船システムでは、上記のように、船舶の速度を調整するための操作部をさらに備え、制御部は、ユーザにより操作部に対して船舶の速度が所定の速度よりも小さくなる操作が行われた場合に、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、上記第1の局面による操船システムと同様に、船舶の速度を所定の速度よりも小さくするためのユーザによる操作に基づいて、通常運転モードから間欠運転モードに切り換わった後、通常運転モードよりも低速で船舶を航行する状態に直ぐに変化させることができる。
また、上記第2の局面による操船システムでは、上記のように、制御部は、ユーザにより操作部に対して船舶の速度が所定の速度よりも小さくなる操作が行われた場合に、船舶の速度に応じたシフトイン状態の継続時間とシフトアウト状態の継続時間との比率で、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、上記第1の局面による操船システムと同様に、通常運転モードから間欠運転モードに切り換わった後、通常運転モードよりも低速で、かつ、船舶の速度を変化させるためのユーザによる操作に応じた船舶の速度で船舶を航行する状態に直ぐに変化させることができる。
【0021】
また、上記目的を達成するために、この発明の第3の局面による船舶は、船体と、船体に取り付けられる船外機と、を備え、船外機は、エンジンと、エンジンの駆動力により船体を推進するための推進力を発生させる推進力発生部と、エンジンの駆動力を推進力発生部に伝達させるシフトイン状態とエンジンの駆動力を推進力発生部に伝達させないシフトアウト状態とを切り換えるシフトアクチュエータと、ユーザの操作に基づいて、シフトイン状態が継続する通常運転モードとシフトイン状態とシフトアウト状態とを所定の周期で繰り返す間欠運転モードとを切り換えるように前記シフトアクチュエータを制御する制御部と、を含み、制御部は、ユーザの操作に基づいて通常運転モードから間欠運転モードに切り換える間欠運転切換制御を行う際に、間欠運転モードをシフトアウト状態から直ちに開始するようにシフトアクチュエータを制御するシフトアウト開始制御を行うように構成されている。
【0022】
この発明の第3の局面による船舶では、上記のように、制御部は、ユーザの操作に基づいて通常運転モードから間欠運転モードに切り換える間欠運転切換制御を行う際に、間欠運転モードをシフトアウト状態から直ちに開始するようにシフトアクチュエータを制御するシフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、上記第1の局面による操船システムと同様に、通常運転モードから間欠運転モードに切り換わった後、間欠運転モードをシフトアウト状態から開始させることができる。その結果、上記第1の局面による操船システムと同様に、シフトインが継続する状態からシフトインが継続する状態よりも低速で船舶を航行する状態への切替応答性を向上させることができる。すなわち、船舶の速度を変更する操作を行ったユーザが、船舶の速度が変化するタイミングが遅れたように感じるのを抑制することができる。
【0027】
上記第3の局面による船舶において、好ましくは、制御部は、船舶の航行を自動で制御する自動航行モードである場合に、間欠運転切換制御を行う際に、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。このように構成すれば、上記第1の局面による操船システムと同様に、船舶が自動で航行している場合に、シフトインが継続する状態からシフトインが継続する状態よりも低速で船舶を航行する状態への切替応答性を向上させることができる。
【0028】
上記第3の局面による船舶において、好ましくは、間欠運転モードであるか否かを表示する表示部をさらに備え、制御部は、間欠運転切換制御を行う際に、間欠運転モードであることを表示部に表示する制御を行うとともに、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。このように構成すれば、上記第1の局面による操船システムと同様に、シフトインが継続する状態からシフトインが継続する状態よりも低速で船舶を航行する状態への切替応答性を向上させた状態で、間欠運転モードの状態(シフトインが継続する状態よりも低速で船舶を航行する状態)であることをユーザにタイムラグを感じさせずに認識させることができる。
また、上記目的を達成するために、この発明の第4の局面による船舶は、船体と、船体に取り付けられる船外機と、を備え、船外機は、エンジンと、エンジンの駆動力により船体を推進するための推進力を発生させる推進力発生部と、エンジンの駆動力を推進力発生部に伝達させるシフトイン状態と、エンジンの駆動力を推進力発生部に伝達させないシフトアウト状態と、を切り換えるシフトアクチュエータと、ユーザの操作に基づいて、シフトイン状態が継続する通常運転モードと、シフトイン状態とシフトアウト状態とを所定の周期で繰り返す間欠運転モードと、を切り換えるようにシフトアクチュエータを制御する制御部と、船舶の速度を調整するための操作部と、を含み、制御部は、ユーザの操作に基づいて通常運転モードから間欠運転モードに切り換える間欠運転切換制御を行う際に、間欠運転モードをシフトアウト状態から直ちに開始するようにシフトアクチュエータを制御するシフトアウト開始制御を行うように構成されており、制御部は、ユーザにより操作部に対して船舶の速度が所定の速度よりも小さくなる操作が行われた場合に、船舶の速度に応じたシフトイン状態の継続時間とシフトアウト状態の継続時間との比率で、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。
この発明の第4の局面による船舶では、上記のように、制御部は、ユーザの操作に基づいて通常運転モードから間欠運転モードに切り換える間欠運転切換制御を行う際に、間欠運転モードをシフトアウト状態から直ちに開始するようにシフトアクチュエータを制御するシフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、上記第1の局面による操船システムと同様に、通常運転モードから間欠運転モードに切り換わった後、間欠運転モードをシフトアウト状態から開始させることができる。その結果、上記第1の局面による操船システムと同様に、シフトインが継続する状態からシフトインが継続する状態よりも低速で船舶を航行する状態への切替応答性を向上させることができる。すなわち、船舶の速度を変更する操作を行ったユーザが、船舶の速度が変化するタイミングが遅れたように感じるのを抑制することができる。
また、上記第4の局面による船舶では、上記のように、船舶の速度を調整するための操作部をさらに備え、制御部は、ユーザにより操作部に対して船舶の速度が所定の速度よりも小さくなる操作が行われた場合に、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、上記第1の局面による操船システムと同様に、船舶の速度を所定の速度よりも小さくするためのユーザによる操作に基づいて、通常運転モードから間欠運転モードに切り換わった後、通常運転モードよりも低速で船舶を航行する状態に直ぐに変化させることができる。
また、上記第4の局面による船舶では、上記のように、制御部は、ユーザにより操作部に対して船舶の速度が所定の速度よりも小さくなる操作が行われた場合に、船舶の速度に応じたシフトイン状態の継続時間とシフトアウト状態の継続時間との比率で、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、上記第1の局面による操船システムと同様に、通常運転モードから間欠運転モードに切り換わった後、通常運転モードよりも低速で、かつ、船舶の速度を変化させるためのユーザによる操作に応じた船舶の速度で船舶を航行する状態に直ぐに変化させることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、上記のように、シフトインが継続する状態からシフトインが継続する状態よりも低速で船舶を航行する状態への切替応答性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態による船舶を示す模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態による船外機の構成を示す側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による操船システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態による船舶のリモコンレバーを示す模式図である。
【
図5】本発明の一実施形態による船舶の表示部を示す模式図である。
【
図6】本発明の一実施形態による船舶の速度とスロットル開度およびシフト状態との関係を説明するための図である。
【
図7】本発明の一実施形態による操船システムの通常運転モードから間欠運転モードへ切り換える制御を説明するための図である。
【
図8】本発明の一実施形態による操船システムの間欠運転モードにおいて船舶の速度を変更する操作が行われた際にシフトイン状態の継続時間とシフトアウト状態の継続時間との比率を調整する制御を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
図1~
図8を参照して、本発明の一実施形態による操船システム100および船舶110の構成について説明する。操船システム100は、船舶110を操船するためのシステムである。操船システム100は、船舶110に設けられている。
【0033】
(船舶の全体構成)
図1に示すように、船舶110(操船システム100(
図3参照))は、船体10と、船外機20と、を備える。船外機20は、船体10の後方に取り付けられている。船外機20は、船体10を推進するための船舶用推進装置である。船舶110は、たとえば、運河や湖沼等において遊覧等に用いられる船舶である。また、船舶110は、比較的小型の船舶である。なお、
図1のFWDおよびBWDは、それぞれ、船舶110の前方および後方を示している。
【0034】
図2に示すように、船外機20は、エンジン21と、ドライブシャフト22と、ギア部23と、プロペラシャフト24と、プロペラ25と、を備える。なお、プロペラ25は、特許請求の範囲の「推進力発生部」の一例である。
【0035】
エンジン21は、燃焼室内での燃料の爆発燃焼により駆動力を発生する内燃機関である。ドライブシャフト22は、エンジン21の駆動力を伝達するようにエンジン21のクランクシャフト(図示しない)に接続されている。ドライブシャフト22は、クランクシャフトを介して伝達されたエンジン21の駆動力により回転する。ギア部23は、ドライブシャフト22の回転を減速してプロペラシャフト24に伝達するように構成されている。プロペラ25は、プロペラシャフト24に接続されている。プロペラ25は、クランクシャフト(図示しない)と、ドライブシャフト22と、ギア部23と、プロペラシャフト24と、を介して伝達されたエンジン21の駆動力により、水中において回転することにより推力を発生させる。すなわち、プロペラ25は、エンジン21の駆動力により船体10を推進するための推進力を発生させるように構成されている。
【0036】
船外機20は、スロットルアクチュエータ26と、シフトアクチュエータ27と、を備える。スロットルアクチュエータ26は、エンジン21のスロットル開度を制御するように構成されている。シフトアクチュエータ27は、エンジン21の駆動力をプロペラ25に伝達させるシフトイン状態と、エンジン21の駆動力をプロペラ25に伝達させないシフトアウト状態と、を切り換えるように構成されている。具体的には、シフトアクチュエータ27は、ギア部23の噛み合いを切り換えることにより、シフトイン状態とシフトアウト状態とを切り換えるように構成されている。
【0037】
ギア部23は、ピニオンギアと、前進用ベベルギアと、後進用ベベルギアと、ドッグクラッチとを含んでいる。ピニオンギアは、ドライブシャフト22に取り付けられている。前進用ベベルギアおよび後進用ベベルギアは、ピニオンギアを挟み込むように、プロペラシャフト24に設けられている。ピニオンギアは、前進用ベベルギアおよび後進用ベベルギアと噛み合っている。ギア部23は、プロペラシャフト24と一体的に回転するドッグクラッチが前進用ベベルギアまたは後進用ベベルギアのいずれかと噛み合う状態(シフトイン状態)となった場合、エンジン21の駆動力をプロペラシャフト24を介してプロペラ25に伝達する。また、ギア部23は、ドッグクラッチが前進用ベベルギアおよび後進用ベベルギアのいずれとも噛み合わない状態(ニュートラル状態、シフトアウト状態)となった場合、エンジン21の駆動力をプロペラ25に伝達しない。なお、ギア部23は、ドッグクラッチが前進用ベベルギアと噛み合う状態(前進状態)および後進用ベベルギアと噛み合う状態(後進状態)において、それぞれ、船舶110を前進させる方向および後進させる方向にプロペラシャフト24を回転させる。
【0038】
図3に示すように、船体10は、リモコンレバー11と、表示部12と、制御部13と、を備える。また、船外機20は、ECU(Engine Control Unit)28を備える。なお、リモコンレバー11は、特許請求の範囲の「操作部」の一例である。
【0039】
図4に示すように、リモコンレバー11は、前後方向に傾倒可能に構成されている。リモコンレバー11は、エンジン21(
図2参照)のスロットル開度を調整する操作、および、シフト状態(前進状態、ニュートラル状態、後進状態)を切り換える操作を受け付けるように構成されている。
【0040】
具体的には、リモコンレバー11は、前方に所定角度だけ傾倒した位置と後方に所定角度だけ傾倒した位置との間の位置がニュートラル位置(N)である。また、リモコンレバー11は、ニュートラル位置よりも前方に傾倒した位置が前進位置(F)である。また、リモコンレバー11は、ニュートラル位置よりも後方に傾倒した位置が後進位置(R)である。また、リモコンレバー11は、前進位置および後進位置における傾倒角度の大きさがエンジン21(
図2参照)のスロットル開度の大きさに対応する。
【0041】
そして、手動航行モードにおいて、リモコンレバー11がニュートラル位置(N)となるように操作されると、ニュートラル状態(シフトアウト状態)となるように制御部13(
図3参照)による制御が行われる。また、手動航行モードにおいて、リモコンレバー11が前進位置(F)となるように操作されると、前進状態(シフトイン状態)となるように制御部13による制御が行われる。また、手動航行モードにおいて、リモコンレバー11が後進位置(R)となるように操作されると、後進状態(シフトイン状態)となるように制御部13による制御が行われる。なお、手動航行モードは、ユーザによるリモコンレバー11に対する傾倒角度を変更する操作に基づいて、船舶110(
図1参照)の航行を制御部13が制御する運転モードである。すなわち、手動航行モードは、船舶110の航行を手動で制御する運転モードである。
【0042】
また、リモコンレバー11には、UPボタン11aとDOWNボタン11bとが設けられている。UPボタン11aおよびDOWNボタン11bは、自動航行モードのために設けられたボタンである。なお、自動航行モードは、ユーザによるリモコンレバー11に対するUPボタン11aおよびDOWNボタン11bに対する操作に基づいて、船舶110(
図1参照)の速度がユーザにより設定された目標船速に維持されるように、船舶110の航行を制御部13(
図3参照)が自動で制御する運転モードである。
【0043】
具体的には、手動航行モードにおいて、DOWNボタン11bが押下されると、手動航行モードから自動航行モードに遷移する制御部13(
図3参照)による制御が行われる。なお、操船システム100(
図3参照)では、リモコンレバー11が前進位置(F)または後進位置(R)にある状態で、DOWNボタン11bが押圧操作された場合に、手動航行モードから自動航行モードに遷移する制御部13による制御が行われる。すなわち、リモコンレバー11がニュートラル位置(N)にある状態では、DOWNボタン11bが押圧操作されたとしても、手動航行モードから自動航行モードに遷移する制御部13による制御は行われない。
【0044】
そして、自動航行モードにおいて、UPボタン11aが押圧操作されることにより、エンジン21のスロットル開度の大きさを大きくするように制御部13(
図3参照)による制御が行われる。また、自動航行モードにおいて、DOWNボタン11bが押圧操作されることにより、エンジン21のスロットル開度の大きさを小さくするように制御部13による制御が行われる。なお、操船システム100(
図3参照)では、自動航行モードにおいて、リモコンレバー11の傾倒角度を変更すると、自動航行モードを解除する(すなわち、自動航行モードから手動航行モードに遷移する)制御部13による制御が行われる。すなわち、自動航行モードでは、リモコンレバー11が前進位置(F)または後進位置(R)にある状態となっている。
【0045】
図5に示すように、表示部12は、船舶110(
図1参照)の情報を表示するように構成されている。船舶110の情報としては、たとえば、船舶110の速度(船速)、エンジン21の回転数、シフト状態(前進状態、ニュートラル状態、後進状態)、航行モード(手動航行モード、自動航行モード)、間欠運転モード(後述する)であるか否か等を含む。表示部12は、たとえば、液晶ディスプレイである。なお、
図5では、自動航行モード(Auto cruise mode)における表示部12の表示例を示している。また、
図5のF、NおよびRは、それぞれ、前進状態、ニュートラル状態および後進状態を示しており、現在のシフト状態が丸で囲まれるように表示されている(すなわち、
図5では、前進状態である場合の表示例を示している)。
【0046】
図3に示すように、制御部13は、リモコンレバー11等に対するユーザの操作に基づいて、ECU28を制御する。たとえば、制御部13は、手動航行モードにおいて、リモコンレバー11のシフト状態および傾倒角度に基づいて、ECU28を制御する。また、制御部13は、自動航行モードにおいて、船舶110の速度が、リモコンレバー11のUPボタン11aまたはDOWNボタン11bが押圧操作されることにより設定された目標船速となるように、ECU28を制御する。ECU28は、制御部13による制御に基づいて、スロットルアクチュエータ26やシフトアクチュエータ27を制御する。制御部13およびECU28は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含む回路基板である。
【0047】
ここで、制御部13は、リモコンレバー11に対するユーザの操作に基づいて、シフトイン状態が継続する通常運転モードと、シフトイン状態とシフトアウト状態とを所定の周期T(
図7参照)で繰り返す間欠運転モードと、を切り換えるようにシフトアクチュエータ27を制御するように構成されている。なお、操船システム100では、制御部13による通常運転モードと間欠運転モードとを切り換える制御は、自動航行モードにおいて行われる。
【0048】
具体的には、
図6に示すように、制御部13(
図3参照)は、自動航行モードにおいて、ユーザによって設定された船舶110の速度が所定の速度V
EX以上の場合、シフトイン状態が継続する通常運転モードとなるように、ECU28を介してシフトアクチュエータ27(
図3参照)を制御する。また、制御部13は、自動航行モードにおいて、ユーザによって設定された船舶110の速度が所定の速度V
EXよりも小さい場合、シフトイン状態とシフトアウト状態とを所定の周期T(
図7参照)で繰り返す間欠運転モードとなるように、ECU28を介してシフトアクチュエータ27を制御する。
【0049】
制御部13は、自動航行モードにおいて、所定の周期Tに設定されたタイマー13a(
図3参照)に基づいて、シフトイン状態とシフトアウト状態とを所定の周期Tで繰り返すように、ECU28を介してシフトアクチュエータ27を制御する。所定の周期は、たとえば、数秒である。タイマー13aは、通常運転モードから間欠運転モードへ切り換わるタイミングにおいて、カウントダウンを開始するように構成されている。
【0050】
(船舶の速度とスロットル開度およびシフト状態との関係)
船舶110の速度(船舶110の推進力)は、エンジン21のスロットル開度およびシフト状態(シフトイン状態またはシフトアウト状態)と対応している。船舶110の速度が最大速度VMAXの状態は、シフトイン状態、かつ、エンジン21のスロットル開度が最大の状態に対応する。船舶110の速度が所定の速度VEXの状態は、シフトイン状態、かつ、エンジン21のスロットル開度が最小の状態に対応する。すなわち、船舶110の速度が所定の速度VEXの状態は、いわゆるトロール状態である。そして、船舶110の速度が最大速度VMAXと所定の速度VEXとの間の状態は、シフトイン状態、かつ、エンジン21のスロットル開度の大きさと船舶110の速度の大きさとが相関(比例)する状態に対応する。
【0051】
一方、船舶110の速度が所定の速度V
EXよりも小さい状態は、スロットル開度が最小、かつ、シフトイン状態の比率と船舶110の速度の大きさとが相関(比例)する状態に対応する。すなわち、操船システム100では、船舶110の速度が所定の速度V
EXよりも小さい場合、船舶110の速度(船舶110の推進力)は、シフトイン状態の継続時間T
10(
図7参照)と、シフトアウト状態の継続時間T
20(
図7参照)との比率に応じて変化する。したがって、制御部13(
図3参照)は、自動航行モードにおいて、ユーザにより設定された船舶110の速度が所定の速度V
EXよりも小さく設定された場合、ユーザにより設定された船舶110の速度に応じたシフトイン状態の継続時間T
10とシフトアウト状態の継続時間T
20との比率で、シフトイン状態とシフトアウト状態とを所定の周期Tで繰り返すように、ECU28(
図3参照)を介してシフトアクチュエータ27(
図3参照)を制御する。
【0052】
(通常運転モードから間欠運転モードへの切り換え制御)
ここで、本実施形態では、
図7に示すように、制御部13(
図3参照)は、自動航行モードである場合に、ユーザの船舶110の速度を所定の速度V
EXよりも小さくなるように変更するための(リモコンレバー11のDOWNボタン11bに対する)操作に基づいて通常運転モードから間欠運転モードに切り換える間欠運転切換制御を行う際に、間欠運転モードをシフトアウト状態から直ちに開始するようにシフトアクチュエータ27(
図3参照)を制御するシフトアウト開始制御を行うように構成されている。
【0053】
詳細には、制御部13(
図3参照)は、間欠運転モードにおいて、所定の周期Tに対応する所定のタイミング毎にシフトイン状態からシフトアウト状態に切り換えられるように構成されている。具体的には、操船システム100(
図3参照)では、タイマー13a(
図3参照)がカウントゼロになるタイミング(所定の周期T毎の所定のタイミング)のみにおいて、シフトイン状態からシフトアウト状態に切り換え可能に構成されている。このため、自動航行モードにおいて、ユーザにより船舶110の速度が所定の速度V
EXよりも大きい速度V
1から所定の速度V
EXよりも小さい速度V
2に変更される操作が行われた後、タイマー13aがカウントゼロになるまで、船舶110の速度が所定の速度V
EXから変化しない。
【0054】
そこで、本実施形態では、制御部13(
図3参照)は、自動航行モードにおいて、間欠運転切換制御を行う際に、所定の周期Tに設定されたタイマー13a(
図3参照)をリセットして所定のタイミングをずらすことにより、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、自動航行モードにおいて、ユーザにより船舶110の速度が所定の速度V
EXよりも大きい速度V
1から所定の速度V
EXよりも小さい速度V
2に変更される操作が行われた後、直ぐに、船舶110の速度が所定の速度V
EXよりも小さい速度V
2に近づくように変化する。
【0055】
また、上述したように、制御部13(
図3参照)は、自動航行モードにおいて、ユーザにより設定された船舶110の速度が所定の速度V
EXよりも小さく設定された場合、ユーザにより設定された船舶110の速度に応じたシフトイン状態の継続時間T
10とシフトアウト状態の継続時間T
20との比率で、シフトイン状態とシフトアウト状態とを所定の周期Tで繰り返すように、ECU28(
図3参照)を介してシフトアクチュエータ27(
図3参照)を制御する。すなわち、本実施形態では、制御部13は、自動航行モードにおいて、ユーザによりリモコンレバー11(
図4参照)に対して船舶110の速度が所定の速度V
EXよりも小さくなる操作が行われた場合に、船舶110の速度に応じたシフトイン状態の継続時間T
10とシフトアウト状態の継続時間T
20との比率で、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。
【0056】
また、本実施形態では、制御部13(
図3参照)は、間欠運転切換制御を行う際に、間欠運転モードであることを表示部12に表示する制御を行うとともに、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。具体的には、
図5に示すように、制御部13は、通常運転モードから間欠運転モードに切り換わると略同時に、表示部12に「間欠運転モード」という文字12aを表示させる制御を行う。
【0057】
なお、上述したように、上記のシフトアウト開始制御は、自動航行モードにおいて行われる。また、上述したように、自動航行モードでは、リモコンレバー11が前進位置(F)または後進位置(R)にある状態となっている。すなわち、本実施形態では、制御部13(
図3参照)は、船舶110の航行が前進(状態)または後進(状態)のいずれかである場合に、間欠運転切換制御を行う際に、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。
【0058】
(シフトイン状態の継続時間とシフトアウト状態の継続時間との比率を調整する制御)
図8に示すように、本実施形態では、制御部13(
図3参照)は、(自動航行モードである場合に、)間欠運転モードにおいて、ユーザにより操作部に対して船舶110の速度を変更する速度変更操作が行われた際に、ユーザの操作に基づいて、船舶110の速度に応じてシフトイン状態の継続時間T
10とシフトアウト状態の継続時間T
20との比率が調整された間欠運転モードをシフトアウト状態から直ちに開始するようにシフトアクチュエータ27(
図3参照)を制御する調整シフトアウト開始制御を行うように構成されている。
【0059】
詳細には、上述したように、操船システム100(
図3参照)では、タイマー13a(
図3参照)がカウントゼロになるタイミング(所定の周期T毎の所定のタイミング)のみにおいて、シフトイン状態からシフトアウト状態に切り換え可能に構成されている。このため、自動航行モードにおいて、ユーザにより操作部に対して船舶110の速度変更操作が行われた後、タイマー13aがカウントゼロになるまで、船舶110の速度がユーザにより変更される前の速度から変化しない。
【0060】
そこで、本実施形態では、制御部13(
図3参照)は、間欠運転モードにおいて、ユーザによりリモコンレバー11(
図4参照)に対して速度変更操作が行われた際に、所定の周期Tに設定されたタイマー13a(
図3参照)をリセットして所定のタイミングをずらすことにより、調整シフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、自動航行モードにおいて、ユーザによりリモコンレバー11に対して船舶110の速度を変更する速度変更操作が行われた後、直ぐに、船舶110の速度がユーザにより変更された変更後の速度に近づくように変化する。
【0061】
なお、
図8では、船舶110の速度を、所定の速度V
EXよりも小さい速度V
2から、所定の速度V
EXよりも小さく、かつ、速度V
2よりも大きい速度V
3に変更した例を示している。すなわち、船舶110の速度が速度V
3の場合のシフトイン状態の継続時間T
11は、船舶110の速度が速度V
2の場合のシフトイン状態の継続時間T
10よりも長く、船舶110の速度が速度V
3の場合のシフトアウト状態の継続時間T
21は、船舶110の速度が速度V
2の場合のシフトアウト状態の継続時間T
20よりも短い。
【0062】
また、本実施形態では、制御部13(
図3参照)は、間欠運転モードにおいて速度変更操作が行われた際に、変更後の船舶110の速度を表示部12に表示する制御を行うとともに、調整シフトアウト開始制御を行うように構成されている。具体的には、
図5に示すように、制御部13は、シフトイン状態の継続時間T
10(
図8参照)とシフトアウト状態の継続時間T
20(
図8参照)との比率が調整されると略同時に、船舶110の速度を表示部12に表示する。
【0063】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0064】
本実施形態では、上記のように、制御部13は、ユーザの操作に基づいて通常運転モードから間欠運転モードに切り換える間欠運転切換制御を行う際に、間欠運転モードをシフトアウト状態から直ちに開始するようにシフトアクチュエータ27を制御するシフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、通常運転モードから間欠運転モードに切り換わった後、間欠運転モードをシフトアウト状態から開始させることができる。すなわち、間欠運転モードがシフトイン状態から開始される場合と異なり、通常運転モードから間欠運転モードに切り換わった後、通常運転モードよりも低速で船舶110を航行する状態に直ぐに変化させることができる。その結果、シフトインが継続する状態からシフトインが継続する状態よりも低速で船舶110を航行する状態への切替応答性を向上させることができる。すなわち、船舶110の速度を変更する操作を行ったユーザが、船舶110の速度が変化するタイミングが遅れたように感じるのを抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、制御部13は、間欠運転モードにおいて、所定の周期Tに対応する所定のタイミング毎にシフトイン状態からシフトアウト状態に切り換えられるように構成されているとともに、間欠運転切換制御を行う際に、所定のタイミングをずらすことにより、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、間欠運転切換制御が行われるタイミングに関係なく、間欠運転切換制御を行う際に、シフトアウト開始制御を行うことができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、制御部13は、間欠運転切換制御を行う際に、所定の周期Tに設定されたタイマー13aをリセットして所定のタイミングをずらすことにより、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、間欠運転切換制御を行う際に、シフトアウト開始制御を行うために、タイマー13aをリセットして所定のタイミングを容易にずらすことができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、操船システム100は、船舶110の速度を調整するためのリモコンレバー11を備える。そして、制御部13は、ユーザによりリモコンレバー11に対して船舶110の速度が所定の速度VEXよりも小さくなる操作が行われた場合に、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、船舶110の速度を所定の速度VEXよりも小さくするためのユーザによる操作に基づいて、通常運転モードから間欠運転モードに切り換わった後、通常運転モードよりも低速で船舶110を航行する状態に直ぐに変化させることができる。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、制御部13は、ユーザにより操作部に対して船舶110の速度が所定の速度VEXよりも小さくなる操作が行われた場合に、船舶110の速度に応じたシフトイン状態の継続時間T10とシフトアウト状態の継続時間T20との比率で、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、通常運転モードから間欠運転モードに切り換わった後、通常運転モードよりも低速で、かつ、船舶110の速度を変化させるためのユーザによる操作に応じた船舶110の速度で船舶110を航行する状態に直ぐに変化させることができる。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、制御部13は、船舶110の航行を自動で制御する自動航行モードである場合に、間欠運転切換制御を行う際に、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、船舶110が自動で航行している場合に、シフトインが継続する状態からシフトインが継続する状態よりも低速で船舶110を航行する状態への切替応答性を向上させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、操船システム100は、間欠運転モードであるか否かを表示する表示部12を備える。そして、制御部13は、間欠運転切換制御を行う際に、間欠運転モードであることを表示部12に表示する制御を行うとともに、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、シフトインが継続する状態からシフトインが継続する状態よりも低速で船舶110を航行する状態への切替応答性を向上させた状態で、間欠運転モードの状態(シフトインが継続する状態よりも低速で船舶110を航行する状態)であることをユーザにタイムラグを感じさせずに視覚的に認識させることができる。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように、制御部13は、船舶110の航行が前進または後進のいずれかである場合に、間欠運転切換制御を行う際に、シフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、船舶110が前進している場合または後進している場合に、シフトインが継続する状態からシフトインが継続する状態よりも低速で船舶110を航行する状態への切替応答性を向上させることができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記のように、制御部13は、間欠運転モードにおいて、ユーザによりリモコンレバー11に対して船舶110の速度を変更する速度変更操作が行われた際に、ユーザの操作に基づいて、船舶110の速度に応じてシフトイン状態の継続時間T10とシフトアウト状態の継続時間T20との比率が調整された間欠運転モードをシフトアウト状態から直ちに開始するようにシフトアクチュエータ27を制御する調整シフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、船舶110の速度に応じてシフトイン状態の継続時間T10とシフトアウト状態の継続時間T20との比率が調整された間欠運転モードをシフトアウト状態から開始させることができる。すなわち、船舶110の速度に応じてシフトイン状態の継続時間T10とシフトアウト状態の継続時間T20との比率が調整された間欠運転モードがシフトイン状態から開始される場合と異なり、ユーザによる操作により変更された船舶110の速度で船舶110を航行する状態に直ぐに変化させることができる。その結果、シフトインが継続する状態よりも低速で船舶110を航行する状態において、船舶110を航行する速度の切替応答性を向上させることができる。
【0073】
また、本実施形態では、上記のように、制御部13は、間欠運転モードにおいて、所定の周期Tに対応する所定のタイミング毎にシフトイン状態からシフトアウト状態に切り換えられるように構成されているとともに、間欠運転モードにおいて、ユーザによりリモコンレバー11に対して速度変更操作が行われた際に、調整シフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、間欠運転モードにおいて、ユーザによりリモコンレバー11に対して速度変更操作が行われるタイミングに関係なく、船舶110の速度に応じてシフトイン状態の継続時間T10とシフトアウト状態の継続時間T20との比率の調整を行う際に、調整シフトアウト開始制御を行うことができる。
【0074】
また、本実施形態では、上記のように、制御部13は、間欠運転モードにおいて、ユーザによりリモコンレバー11に対して速度変更操作が行われた際に、所定の周期Tに設定されたタイマー13aをリセットして所定のタイミングをずらすことにより、調整シフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、船舶110の速度に応じてシフトイン状態の継続時間T10とシフトアウト状態の継続時間T20との比率の調整を行う際に、調整シフトアウト開始制御を行うために、タイマー13aをリセットして所定のタイミングを容易にずらすことができる。
【0075】
また、本実施形態では、上記のように、制御部13は、船舶110の航行を自動で制御する自動航行モードである場合に、ユーザによりリモコンレバー11に対して速度変更操作が行われた際に、調整シフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、船舶110が自動で航行している場合に、シフトインが継続する状態よりも低速で船舶110を航行する状態において、船舶110を航行する速度の切替応答性を向上させることができる。
【0076】
また、本実施形態では、上記のように、操船システム100は、船舶110の速度を表示する表示部12を備える。そして、制御部13は、間欠運転モードにおいて速度変更操作が行われた際に、変更後の船舶110の速度を表示部12に表示する制御を行うとともに、調整シフトアウト開始制御を行うように構成されている。これにより、シフトインが継続する状態よりも低速で船舶110を航行する状態において、船舶110を航行する速度の切替応答性を向上させた状態で、船舶110の速度が変更されたことをユーザにタイムラグを感じさせずに認識させることができる。
【0077】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0078】
たとえば、上記実施形態では、制御部13を、間欠運転モードにおいて速度変更操作が行われた際に、変更後の船舶110の速度を表示部12に表示する制御を行うとともに、調整シフトアウト開始制御を行うように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部を、間欠運転モードにおいて速度変更操作が行われた際に、変更後の船舶の速度を表示部に表示する制御を行わずに、調整シフトアウト開始制御を行うように構成してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、制御部13を、船舶110の航行を自動で制御する自動航行モードである場合に、ユーザによりリモコンレバー11(操作部)に対して速度変更操作が行われた際に、調整シフトアウト開始制御を行うように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部を、船舶の航行を手動で制御する手動航行モードである場合に、ユーザにより操作部に対して速度変更操作が行われた際に、調整シフトアウト開始制御を行うように構成してもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、制御部13を、間欠運転モードにおいて、ユーザによりリモコンレバー11(操作部)に対して速度変更操作が行われた際に、所定の周期Tに設定されたタイマー13aをリセットして所定のタイミングをずらすことにより、調整シフトアウト開始制御を行うように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部を、間欠運転モードにおいて、ユーザにより操作部に対して速度変更操作が行われた際に、所定の周期に設定されたタイマーをリセットする以外の方法(たとえば、割り込み制御)を用いて所定のタイミングをずらすことにより、調整シフトアウト開始制御を行うように構成してもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、制御部13を、間欠運転モードにおいて、ユーザにより操作部に対して船舶110の速度を変更する速度変更操作が行われた際に、ユーザの操作に基づいて、船舶110の速度に応じてシフトイン状態の継続時間T10とシフトアウト状態の継続時間T20との比率が調整された間欠運転モードをシフトアウト状態から直ちに開始するようにシフトアクチュエータ27を制御する調整シフトアウト開始制御を行うように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部を、間欠運転モードにおいて、ユーザにより操作部に対して速度変更操作が行われた際に、調整シフトアウト開始制御を行わない(すなわち、船舶の速度に応じてシフトイン状態の継続時間とシフトアウト状態の継続時間との比率が調整された間欠運転モードをシフトイン状態から開始する)ように構成してもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、制御部13を、船舶110の航行が前進または後進のいずれかである場合に、間欠運転切換制御を行う際に、シフトアウト開始制御を行うように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部を、船舶の航行が前進および後進以外である場合に、間欠運転切換制御を行う際に、シフトアウト開始制御を行うように構成してもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、制御部13を、間欠運転切換制御を行う際に、間欠運転モードであることを表示部12に表示する制御を行うとともに、シフトアウト開始制御を行うように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部を、間欠運転切換制御を行う際に、間欠運転モードであることを表示部に表示する制御を行わずに、シフトアウト開始制御を行うように構成してもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、制御部13を、船舶110の航行を自動で制御する自動航行モードである場合に、間欠運転切換制御を行う際に、シフトアウト開始制御を行うように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部を、船舶の航行を手動で制御する手動航行である場合に、間欠運転切換制御を行う際に、シフトアウト開始制御を行うように構成してもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、制御部13を、間欠運転切換制御を行う際に、所定の周期Tに設定されたタイマー13aをリセットして所定のタイミングをずらすことにより、シフトアウト開始制御を行うように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部を、間欠運転切換制御を行う際に、所定の周期に設定されたタイマーをリセットする以外の方法(たとえば、割り込み制御)を用いて所定のタイミングをずらすことにより、シフトアウト開始制御を行うように構成してもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、特許請求の範囲の「操作部」をリモコンレバー11として構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、特許請求の範囲の「操作部」を、リモコンレバー以外の操作部(たとえば、ジョイスティック、タッチパネル等)として構成してもよい。なお、特許請求の範囲の「操作部」をタッチパネルとして構成する場合には、タッチパネルが、特許請求の範囲の「操作部」および「表示部」を兼ねるように構成してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、操船システム100を、リモコンレバー11のDOWNボタン11bが押圧操作された場合に、手動航行モードから自動航行モードに遷移する制御部13による制御が行われるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、操船システムを、リモコンレバーのDOWNボタン以外の部分(たとえば、UPボタン、リモコンレバーにおけるDOWNボタンおよびUPボタン以外の部分、リモコンレバー以外の操作部、等)が操作されることにより、手動航行モードから自動航行モードに遷移する制御部による制御が行われるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0088】
10 船体
11 リモコンレバー(操作部)
12 表示部
13 制御部
13a タイマー
20 船外機
21 エンジン
22 プロペラ(推進力発生部)
27 シフトアクチュエータ
100 操船システム
110 船舶
T 所定の周期
T10 シフトイン状態の継続時間
T20 シフトアウト状態の継続時間
VEX 所定の速度