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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】誘電体用途向けポリマー樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08F 212/02 20060101AFI20221108BHJP
   H01B 3/30 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
C08F212/02
H01B3/30 Q
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020207493
(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公開番号】P2021109965
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2020-12-15
(31)【優先権主張番号】62/954,732
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コーリン・ヘイズ
(72)【発明者】
【氏名】コーリン・カラブレス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ケイ.・ガラゲール
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ケイ.・バー
【審査官】岡谷 祐哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-085563(JP,A)
【文献】特開2019-085562(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0127505(US,A1)
【文献】特開昭62-148503(JP,A)
【文献】特開2019-099802(JP,A)
【文献】特開2004-031712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 212/02
H01B 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)10~50モル%の少なくとも1種の付加重合性アリールシクロブテンモノマーであって、式A-1-a
【化1】
(式中:
Arは、置換若しくは非置換の炭素環式アリール又は置換若しくは非置換ヘテロアリール基であり;
Qは、共有結合、O、S、又はNR であり;
は、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素環式アリール、及び置換若しくは非置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
~R は、同じものであるか若しくは異なり、独立して、水素、重水素、アルキル、アルコキシ、置換若しくは非置換の炭素環式アリール基、及び置換若しくは非置換ヘテロアリール基からなる群から選択され;
は、出現ごとに同じものであるか若しくは異なり、アルキル、アルコキシ、置換若しくは非置換の炭素環式アリール基、及び置換若しくは非置換ヘテロアリール基からなる群から選択され;
aは、0~4の整数である)
を有する、少なくとも1種の付加重合性アリールシクロブテンモノマーと;
(b)15~50モル%の少なくとも1種の付加重合性ジエンモノマーであって、式B
【化2】
(式中:
は、出現ごとに同じものであるか若しくは異なり、水素及びメチルから選択され;
10 は、出現ごとに同じものであるか若しくは異なり、水素、C 1~5 アルキル、C 1~5 アルコキシ、C 1~5 チオアルキル、及びC 5~12 アルケニルからなる群から選択される)
を有する少なくとも1種の付加重合性ジエンモノマーと;
(c)15~60モル%の少なくとも1種の付加重合性芳香族ビニルモノマーであって、式C
【化3】
(式中、
12 ~R 14 は、出現ごとに同じでものあるか若しくは異なり、水素及びC 1~5 アルキルからなる群から選択され;
15 は、出現ごとに同じものであるか若しくは異なり、水素及びC 1~5 アルキルからなる群から選択され、ここで、隣接するR 15 基は連結して縮合6員芳香環を形成することができる)
を有する少なくとも1種の付加重合性芳香族ビニルモノマー
を含む混合物からの共重合生成物を含むポリマー。
【請求項2】
(a)20~40モル%の少なくとも1種の付加重合性アリールシクロブテンモノマーであって、式A-1-a
【化4】
(式中:
Arは、フェニル、ビフェニル及びナフチルからなる群から選択され;
Qは、共有結合、O、S、NH又はNCH であり;
~R は、同じものであるか若しくは異なり、独立して、水素、C 1~6 アルキル及びC 1~6 アルコキシからなる群から選択され;
は、出現ごとに同じものであるか若しくは異なり、C 1~6 アルキル及びC 1~6 アルコキシからなる群から選択され;
aは、0~2の整数である)
を有する、少なくとも1種の付加重合性アリールシクロブテンモノマーと;
(b)20~25モル%の少なくとも1種の付加重合性ジエンモノマーであって、式B
【化5】
(式中:
は、出現ごとに同じものであるか若しくは異なり、水素及びメチルから選択され;
10 は、出現ごとに同じものであるか若しくは異なり、水素、C 1~5 アルキル、C 1~5 アルコキシ、C 1~5 チオアルキル、及びC 5~12 アルケニルからなる群から選択される)
を有する少なくとも1種の付加重合性ジエンモノマーと;
(c)40~60モル%の少なくとも1種の付加重合性芳香族ビニルモノマーであって、式C
【化6】
(式中、
12 ~R 14 は、出現ごとに同じでものあるか若しくは異なり、水素及びC 1~3 アルキルからなる群から選択され;
15 は、出現ごとに同じものであるか若しくは異なり、水素及びC 1~3 アルキルからなる群から選択され、ここで、隣接する2つのR 15 基は連結して縮合6員芳香環を形成することができる)
を有する少なくとも1種の付加重合性芳香族ビニルモノマー
を含む混合物からの共重合生成物を含むポリマー。
【請求項3】
(a)20~40モル%の少なくとも1種の付加重合性アリールシクロブテンモノマーであって、式A-1-a
【化7】
(式中:
Arは、フェニルからなる群から選択され;
Qは、共有結合又はOであり;
~R は、水素であり;
は、出現ごとに同じものであるか若しくは異なり、C 1~3 アルキル及びC 1~3 アルコキシからなる群から選択され;
aは、0~2の整数である)
を有する、少なくとも1種の付加重合性アリールシクロブテンモノマーと;
(b)20~25モル%の少なくとも1種の付加重合性ジエンモノマーであって、式B
【化8】
(式中:
全てのR は水素であるか、又は3つのR は水素であり及び1つのR はメチルであり;
10 は、出現ごとに同じものであるか若しくは異なり、水素、C 1~3 アルキル、C 1~3 アルコキシ及びアルケニルであって式-(CH -CH=C(R 11 (式中cは1~5の整数であり及びR 11 は水素またはメチルである)を有するアルケニルからなる群から選択される)
を有する少なくとも1種の付加重合性ジエンモノマーと;
(c)40~60モル%の少なくとも1種の付加重合性芳香族ビニルモノマーであって、式C
【化9】
(式中、
12 ~R 14 は、出現ごとに同じでものあるか若しくは異なり、水素及びメチルからなる群から選択され;
15 は、出現ごとに同じものであるか若しくは異なり、水素及びメチルからなる群から選択される)
を有する少なくとも1種の付加重合性芳香族ビニルモノマー
を含む混合物からの共重合生成物を含むポリマー。
【請求項4】
前記アリールシクロブテンモノマーが、1-(4-ビニルフェノキシ)-ベンゾシクロブテン及び1-(4-ビニルフェニル)-ベンゾシクロブテンからなる群から選択される、請求項1又は2に記載のポリマー。
【請求項5】
前記ジエンモノマーが、ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,4-ヘキサジエン及びβ-ミルセンからなる群から選択される、請求項1、2及び4のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項6】
前記芳香族ビニルモノマーが、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、1-ビニルナフタレン及び2-ビニルナフタレンからなる群から選択される、請求項1、2、4及び5のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項7】
前記混合物が、(d)3~10モル%の少なくとも1種の付加重合性ビニル置換C3~12ヘテロ環モノマーを更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項8】
前記ヘテロ環モノマーが、N-ヘテロ環、S-ヘテロ環、N,S-ヘテロ環、及びそれらの置換誘導体からなる群から選択される、請求項に記載のポリマー。
【請求項9】
ビニル置換C3~12ヘテロ環が、4-ビニルピリジン、4-ビニル-1,3-ジアジン、2-ビニル-1,3,5-トリアジン、及び4-メチル-5-ビニル-1,3-チアゾールからなる群から選択される、請求項7又は8に記載のポリマー。
【請求項10】
溶媒中に請求項1~のいずれか一項に記載のポリマーを含む液体組成物。
【請求項11】
前記溶媒が、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ガンマ-ブチロラクトン、3-メトキシプロピオネート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、3-メトキシブチルアセテート、アニソール、メシチレン、2-ヘプタノン、シメン、2-ブタノン、乳酸エチル、酢酸アミル、酢酸n-ブチル、N-メチル-2-ピロリドン、N-ブチル-2-ピロリドンからなる群から選択される、請求項10に記載の液体組成物。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の液体組成物を基板上へ堆積させ、前記堆積した組成物を加熱することによって製造される誘電体膜。
【請求項13】
前記基板が、銅、シリコン、窒化ケイ素、アルミニウム、金、銀、ポリイミド、及びエポキシモールドコンパウンドからなる群から選択される、請求項12に記載の誘電体膜。
【請求項14】
前記膜が、10GHzでDk≦2.6及びDf≦0.004を有する、請求項12又は13に記載の誘電体膜。
【請求項15】
前記膜が、28GHzでDk≦2.6及びDf≦0.004を有する、請求項12又は13に記載の誘電体膜。
【請求項16】
請求項12~15のいずれか一項に記載の誘電体膜を含む少なくとも1つの層を有する電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリマー樹脂組成物、そのような樹脂の調製方法及び電子デバイスの製造での使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー樹脂は、スピン-オン誘電体パッケージング、回路基板、ラミネート、及び他の電子用途に使用されている。これらの樹脂は、良好な機械的特性及び良好な接着特性、並びに低い誘電特性を有する膜/コーティングを提供する必要がある。特に、高い引張強度、高い引張伸び、銅への良好な接着性、並びに高周波数での低い比誘電率(Dk)及び損失正接(Df)を有することが望ましい。加えて、過度の硬化時間なしにより低い温度で樹脂を硬化できることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第7,198,878号明細書
【文献】米国特許第8,143,360号明細書
【文献】米国特許出願公開第20190169327A1号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
改善された特性を有する誘電性樹脂組成物が継続して必要とされている。
【発明を実施するための形態】
【0005】
多くの態様及び実施形態が下記に記載されてきたが、例示的であるにすぎず、限定的ではない。本明細書を読んだ後に、当業者は、他の態様及び実施形態が本開示の範囲から逸脱することなく可能であることを十分理解する。
【0006】
本明細書の全体にわたって用いるところでは、以下の略語は、文脈が特に明確に示さない限り、以下の意味を有するものとする:℃=摂氏度;g=グラム;nm=ナノメートル、μm=ミクロン=マイクロメートル;mm=ミリメートル;sec.=秒;及びmin.=分。特に明記しない限り、全ての量は、重量パーセント(「重量%」)であり、全ての比は、モル比である。全ての数値範囲は、そのような数値範囲が合計100%になるように制約されることが明らかである場合を除いて、包含的であり、且つ、任意の順で組み合わせ可能である。特に明記しない限り、全てのポリマー及びオリゴマーの分子量は、g/mol又はダルトン単位の重量平均分子量(「Mw」)であり、ポリスチレン標準と比較してゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定される。
【0007】
冠詞「a」、「an」及び「the」は、そうではないと文脈が明確に示していない限り、単数形及び複数形を指す。本明細書で用いるところでは、用語「及び/又は」は、関連項目の1つ以上のいずれかの及び全ての組み合わせを包含する。
【0008】
本明細書で用いるところでは、R、R、R、R’、R’’及び任意の他の変量は、総称であり、式中で定義される変量と同じものであるか、又は異なり得る。
【0009】
本明細書で用いるところでは、用語「付加重合性」は、それがモノマーに適用されるとき、他の生成物の同時生成なしに基の簡単な連結によって重合できる不飽和モノマーを意味することを意図する。
【0010】
用語「隣接した」は、置換基に言及するとき、単結合又は多重結合によって連結している炭素に結合している置換基を指す。例示的な隣接したR基は、以下に示される:
【化1】
【0011】
用語「アルコキシ」は、基RO-(ここで、Rはアルキル基である)を意味することを意図する。
【0012】
用語「アルキル」は、脂肪族炭化水素に由来する基を意味することを意図し、線状、分岐状、又は環状基を包含する。化合物「に由来する」基は、1個以上の水素又は重水素の除去によって形成されるラジカルを示す。いくつかの実施形態において、アルキルは、1~20個の炭素原子を有する。
【0013】
用語「芳香族化合物」は、4n+2の非局在化π電子を有する少なくとも1つの不飽和環状基を含む有機化合物を意味することを意図する。
【0014】
用語「アリール」は、1つ以上の結合点を有する芳香族化合物に由来する基を意味することを意図する。この用語は、単環を有する基及び単結合によって連結できる又は一緒に縮合できる複数の環を有する基を包含する。炭素環式アリール基は、環構造中に炭素のみを有する。ヘテロアリール基は、環構造中に少なくとも1つのヘテロ原子を有する。
【0015】
用語「アルキルアリール」は、1つ以上のアルキル置換基を有するアリール基を意味することを意図する。
【0016】
用語「アリールオキシ」は、基RO-(ここで、Rはアリール基である)を意味することを意図する。
【0017】
組成物に適用されるような用語「硬化性」は、放射線及び/若しくは熱に暴露された場合に、又は使用の条件下でより硬くなり、且つ、溶媒に溶けにくくなる材料を意味することを意図する。
【0018】
用語「液体組成物」は、材料がそれに溶解して溶液を形成する液体媒体、材料がそれに分散して分散系を形成する液体媒体、又は材料がそれに懸濁して懸濁液若しくは乳化液を形成する液体媒体を意味することを意図する。
【0019】
用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレートか又はメタクリレートかのどちらかである基を意味することを意図する。
【0020】
用語「溶媒」は、室温で液体である有機化合物を意味することを意図する。この用語は、単一の有機化合物又は2種以上の有機化合物の混合物を包含することを意図する。
【0021】
用語「膜」及び「層」は、本明細書の全体にわたって同じ意味で用いられる。
【0022】
全ての範囲は、包括的であり、且つ、組み合わせ可能である。例えば、用語「50~3000cPsの範囲、又は100cPs以上」には、50~100cPs、50~3000cPs及び100~3000cPsのそれぞれが含まれるであろう。
【0023】
本明細書において、特に明示的に述べないか又は使用に関連して反対を示さない限り、本明細書の主題の実施形態が、特定の特徴又は要素を含む、包含する、含有する、有する、それらからなる又はそれらによって若しくはそれらから構成されると述べられるか又は記載される場合、明示的に述べられた又は記載されたものに加えて1つ以上の特徴又は要素が、実施形態で存在し得る。本明細書の開示された主題の代わりの実施形態は、特定の特徴又は要素から本質的になると記載され、その実施形態において、操作の原理又は実施形態の際立った特性を実質的に変更するであろう特徴又は要素は、その中に存在しない。本明細書の記載された主題の更なる代わりの実施形態は、特定の特徴又は要素からなると記載され、その実施形態には、又はその実態のない変形には、具体的に述べられた又は記載された特徴又は要素のみが存在する。
【0024】
特に定義しない限り、本明細書に用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様の又は等価の方法及び材料を本開示の実施形態の実施又は試験に使用することができるが、好適な方法及び材料は、以下に記載される。更に、材料、方法、及び実施例は、例示的であるに過ぎず、限定的であることを意図しない。
【0025】
本明細書に記載されていない範囲まで、特定の材料、処理行為、及び回路に関する多くの詳細は、従来のものであり、フォトレジスト、有機発光ダイオードディスプレイ、光検出器、光起電力セル、及び半導体部材技術内のテキスト及び他の情報源に見出され得る。
【0026】
共重合に存在する全モノマーを基準として(a)10~50モル%の少なくとも1種の付加重合性アリールシクロブテンモノマーと;(b)15~50モル%の少なくとも1種の付加重合性ジエンモノマーと;(c)15~60モル%の少なくとも1種の付加重合性芳香族ビニルモノマーとを含む混合物からの共重合生成物を含むポリマーが提供される。
【0027】
付加重合性アリールシクロブテンモノマーは、少なくとも1つの付加重合性置換基を有するアリールシクロブテンである。置換基は、ビニル基、アリル基、又は(メタ)アクリレート基であることができる。モノマーは、共重合に存在する全モノマーを基準として、20~40モル%の量で存在することができる。
【0028】
いくつかの実施形態において、アリールシクロブテンモノマーは、下に示される、式A-1及び式A-2:
【化2】
(式中、
は、アルキル、アリール、炭素環式アリール、多環式アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アリールアルキル、カルボニル、エステル、カルボキシル、エーテル、チオエステル、チオエーテル、第三級アミン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される二価基であり;
は、単結合、又はアルキル、アリール、炭素環式アリール、多環式アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アリールアルキル、カルボニル、エステル、カルボキシル、エーテル、チオエステル、チオエーテル、第三級アミン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される二価基であり;
は、共有結合又は多価連結基であり;
Mは、置換若しくは非置換の二価芳香族ラジカル基、又は置換若しくは非置換の二価ヘテロ芳香族ラジカル基であり;
~Rは、同じものであるか若しくは異なり、独立して、水素、重水素、アルキル、アルコキシ、置換若しくは非置換の炭素環式アリール基、及び置換若しくは非置換ヘテロアリール基からなる群から選択され;
x及びyは、同じものであるか若しくは異なり、1~5の整数であり、ここで、Lが共有結合の場合、y=1である)
を有する。
【0029】
式A-1において、Kは、ヘテロ原子を持たない非置換C6~36炭素環式アリール基、若しくはヘテロ原子を持たない非置換C6~18炭素環式アリール基;又はアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換C6~36炭素環式アリール基、若しくはアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換
6~18炭素環式アリール基;又は非置換C3~36ヘテロアリール基、若しくは非置換C3~18ヘテロアリール基;又はアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換C6~36ヘテロアリール基、若しくはアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換C6~18ヘテロアリール基;又は環ヘテロ原子を持たない非置換C6~36アリールオキシ基、若しくは環ヘテロ原子を持たない非置換C6~18アリールオキシ基;又はアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換C3~36ヘテロアリールオキシ基、若しくはアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換C3~18ヘテロアリールオキシ基;又はヘテロ原子を持たない非置換C6~36アリールアルキル基、若しくはヘテロ原子を持たない非置換C6~18アリールアルキル基;又はアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換C3~36ヘテロアリールアルキル基、若しくはアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換C3~18ヘテロアリールアルキル基であることができる。
【0030】
式A-1において、Lは、共有結合;又は環ヘテロ原子を持たない多価C6~12炭素環式アリール基であるか;又はフェニル、ビフェニル、及びナフチルからなる群から選択される。
【0031】
式A-1において、Mは、ヘテロ原子を持たない非置換C6~36炭素環式アリール基、若しくはヘテロ原子を持たない非置換C6~18炭素環式アリール基;又はアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換C6~36炭素環式アリール基、若しくはアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換
6~18炭素環式アリール基;又は非置換C3~36ヘテロアリール基、若しくは非置換C3~18ヘテロアリール基;又はアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換C6~36ヘテロアリール基、若しくはアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換C6~18ヘテロアリール基である。
【0032】
式A-1において、Rは、水素;又はC1~6アルキル、若しくはC1~3アルキル;又はC1~6アルコキシ、若しくはC1~3アルコキシである。
【0033】
式A-1におけるRについての上記の実施形態の全ては、式A-1におけるR及びRに等しく当てはまるか、又はR=R=R=水素である。
【0034】
式A-1において、xは、1、若しくは2であり;yは、1若しくは2であるか、又はx=y=1である。
【0035】
式A-2において、Kは、共有結合;又はヘテロ原子を持たない非置換C6~36炭素環式アリール基、若しくはヘテロ原子を持たない非置換C6~18炭素環式アリール基;又はアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換C6~36炭素環式アリール基、若しくはアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換C6~18炭素環式アリール基;又は非置換C3~36ヘテロアリール基、若しくは非置換C3~18ヘテロアリール;又はアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換C6~36ヘテロアリール基、若しくはアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換C6~18ヘテロアリール基;又は環ヘテロ原子を持たない非置換C6~36アリールオキシ基、若しくは環ヘテロ原子を持たない非置換C6~18アリールオキシ基;又はアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換C3~36ヘテロアリールオキシ基、若しくはアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換C3~18ヘテロアリールオキシ基;又はヘテロ原子を持たない非置換C6~36アリールアルキル基、若しくはヘテロ原子を持たない非置換C6~18アリールアルキル基;又はアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換C3~36ヘテロアリールアルキル基、若しくはアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換C3~18ヘテロアリールアルキル基である。
【0036】
式A-1におけるL、M、x、及びyは、式A-2におけるL、M、x、及びyに等しく当てはまる。式A-1におけるRについての上記の実施形態の全てが、式A-2におけるR~Rに等しく当てはまる。
【0037】
一実施形態において、アリールシクロブテンモノマーは、式A-1-a:
【化3】
(式中:
Arは、置換若しくは非置換の炭素環式アリール又は置換若しくは非置換ヘテロアリール基であり;
Qは、共有結合、O、S、又はNRであり;
は、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素環式アリール、及び置換若しくは非置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
~Rは、同じものであるか若しくは異なり、独立して、水素、重水素、アルキル、アルコキシ、置換若しくは非置換の炭素環式アリール基、及び置換若しくは非置換ヘテロアリール基からなる群から選択され;
は、アルキル、アルコキシ、置換若しくは非置換の炭素環式アリール基、及び置換若しくは非置換ヘテロアリール基からなる群から選択され;
aは、0~4の整数である)
を有する。
【0038】
式A-1-aにおいて、Arは、6~36個の環炭素を有する非置換の炭素環式アリール基、若しくは6~12個の環炭素を有する非置換の炭素環式アリール基;又は6~36個の環炭素を有する並びにアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換の炭素環式アリール基、若しくは6~12個の環炭素を有する並びにアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換の炭素環式アリール基;又は3~36個の環炭素を有するヘテロアリール基、若しくは3~12個の環炭素を有するヘテロアリール基;又は6~36個の環炭素を有する並びにアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換ヘテロアリール基、若しくは3~12個の環炭素を有する並びにアルキル及びアルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換ヘテロアリール基であるか;或いはフェニル、ビフェニル、及びナフチルからなる群から選択される。
【0039】
式A-1-aにおいて、Qは、共有結合、又はO、又はS、又はNH、又はNCHである。
【0040】
式A-1-aにおいて、aは、0;又は1;又は2;又は>1;又は>0であり、少なくとも1つのRは、C1~6アルキル、若しくはC1~3アルキルであり;少なくとも1つのRは、C1~6アルコキシ、若しくはC1~3アルコキシである。
【0041】
式A-1におけるRの上記の実施形態の全てが、式A-1-aにおけるR~Rに等しく当てはまる。
【0042】
別の実施形態において、アリールシクロブテンモノマーは、式A-2-a:
【化4】
(式中:
Arは、置換若しくは非置換の炭素環式アリール又は置換若しくは非置換ヘテロアリール基であり;
Qは、共有結合、O、S、又はNRであり;
は、水素、重水素、置換若しくは非置換の炭素環式アリール、及び置換若しくは非置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
~Rは、同じものであるか若しくは異なり、独立して、水素、重水素、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、置換若しくは非置換の炭素環式アリール基、及び置換若しくは非置換ヘテロアリール基からなる群から選択され;
は、アルキル、アルコキシ、置換若しくは非置換の炭素環式アリール基、及び置換若しくは非置換ヘテロアリール基からなる群から選択され;
bは、0~3の整数である)
を有する。
【0043】
式A-2-aにおいて、bは、0;又は1;又は2;又は>1;又は>0であることができ、少なくとも1つのRは、C1~6アルキル、又はC1~3アルキルであり;少なくとも1つのRは、C1~6アルコキシ、又はC1~3アルコキシである。
【0044】
式A-1-aにおけるAr及びQについての上記の実施形態の全てが、式A-2-aにおけるAr及びQに等しく当てはまる。式A-1におけるRについての上記の実施形態の全てが、式A-2-aにおけるR~Rに等しく当てはまる。
【0045】
アリールシクロブテンモノマーの例としては、1-(4-ビニルフェノキシ)-ベンゾシクロブテン、1-(4-ビニルメトキシ)-ベンゾシクロブテン、1-(4-ビニルフェニル)-ベンゾシクロブテン、1-(4-ビニルヒドロキシナフチル)-ベンゾシクロブテン、4-ビニル-1-メチル-ベンゾシクロブテン、4-ビニル-1-メトキシ-ベンゾシクロブテン、及び4-ビニル-1-フェノキシ-ベンゾシクロブテンを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0046】
ジエンモノマーは、共重合に存在する全モノマーを基準として15~30モル%、又は20~25モル%の量で存在することができる。一実施形態において、ジエンモノマーは、下に示されるような、式B:
【化5】
(式中:
は、出現ごとに同じものであるか若しくは異なり、水素及びメチルからなる群から選択され;
10は、出現ごとに同じものであるか若しくは異なり、水素、C1~5アルキル、C1~5アルコキシ、C1~5チオアルキル、及びC5~12アルケニルからなる群から選択される)
を有する。
【0047】
式Bにおいて、全てのRは水素であることができるか、又は3つのRは水素であり、1つのRはメチルである。2つのR10は、同じものである;又は異なる;又は少なくとも1つのR10は水素である;又は少なくとも1つのR10は、C1~3アルキル、つまりメチルである;又は少なくとも1つのR10は、C1~3アルコキシ、つまりメトキシである;又は少なくとも1つのR10は、式-(CH-CH=C(R11、(式中、cは、1~5の整数であり、R11は、水素又はメチルである)を有するアルケニルである。
【0048】
ジエンモノマーの例としては、ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,4-ヘキサジエン、シクロペンタジエン、β-ミルセン、オシメン、シクロオクタジエン、ファルネセン、及び重合性テルペンを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0049】
芳香族ビニルモノマーは、共重合に存在する全モノマーを基準として40~60モル%の量で存在することができる。一実施形態において、芳香族ビニルモノマーは、下に示される、式C:
【化6】
(式中:
12~R14は、出現ごとに同じものであるか若しくは異なり、水素及びC1~5アルキルからなる群から選択され;
15は、各存在において同じであるか若しくは異なり、水素及びC1~5アルキルからなる群から選択され、隣接するR15基は連結して縮合6員芳香環を形成していてもよい)を有する。
【0050】
式Cにおいて、R12は、水素、又はC1~3アルキル、つまりメチルであることができる。式CにおけるR12は、式CにおけるR13及びR14に等しく当てはめることができるか、又はR12=R13=R14=水素である。
【0051】
式Cにおいて、全てのR15は水素であることができるか;又は少なくとも1つのR15は、C1~3アルキル、つまりメチルである;又は1つのR15は、C1~3アルキル、つまりメチルである;又は2つのR15は、C1~3アルキル、つまりメチルである;又は2つのR15は、連結して縮合6員芳香環を形成する。
【0052】
芳香族ビニルモノマーの例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、1-ビニルナフタレン、及び2-ビニルナフタレンを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0053】
混合物は、(d)3~10モル%の付加重合性のビニル置換C3~12ヘテロ環又はビニル置換C3~5ヘテロ環モノマーを更に含むことができる。いくつかの実施形態において、ヘテロ環モノマーは、1つ以上のC1~6アルキル、C6~12炭素環式アリール、又はC3~12ヘテロアリールで更に置換されていることができる。ヘテロ環モノマーは、共重合に存在する全モノマーを基準として4~7モル%の量で存在することができる。ヘテロ環モノマーは、N-ヘテロ環、S-ヘテロ環、N,S-ヘテロ環、及びそれらの置換誘導体からなる群から選択される。
【0054】
N-ヘテロ環は、少なくとも1個の環窒素を有することができる。N-ヘテロ環の例としては、ピロール、ピリジン、ジアジン、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、及びキノロンを挙げることができるが、それらに限定されない。S-ヘテロ環は、少なくとも1個の環硫黄を有することができる。S-ヘテロ環の例としては、チオフェン、ベンゾチオフェン、及びジベンゾチオフェンを挙げることができるが、それらに限定されない。N,S-ヘテロ環は、少なくとも1個の環窒素及び1個の環硫黄を有することができる。N,S-ヘテロ環の例としては、チアゾール、チアジアゾール、及びチアジアジンを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0055】
一実施形態において、ヘテロ環モノマーは、下に示される、式D:
【化7】
(式中:
及びZは、同じものであるか若しくは異なり、N又はCR15aであり;
12~R14及びR15aは、出現ごとに同じものであるか若しくは異なり、水素及びC1~5アルキルからなる群から選択される)
を有する。
【0056】
式Dにおいて、Z=Zである;又はZ≠Zである;又はZは、CH、若しくはCR15a、若しくはN、若しくはCHである;又はZは、CR15a、若しくはNである。R12は、水素、又はC1~3アルキル、つまりメチルである。
【0057】
式DにおけるR12についての上記の実施形態の全ては、式DにおけるR13、R14、及びR15aに等しく当てはまるか;又はR12=R13=R14=水素である。
【0058】
ヘテロ環モノマーの例としては、4-ビニルピリジン、4-ビニル-1,3-ジアジン、2-ビニル-1,3,5-トリアジン、及び4-メチル-5-ビニル-1,3-チアゾールを挙げることができるが、それらに限定されない。更に、1種以上の追加の付加重合性モノマーが重合に存在することができる。
【0059】
ポリマーは、熱開始剤、光開始剤又は他の光活性化合物の作用により上記の付加重合性モノマーを共重合させることによって形成することができる。
【0060】
一実施形態において、共重合プロセスは、極性溶媒中の上に記載された付加重合性モノマーの混合物及びラジカル開始剤を提供する工程と;混合物を5~50時間の期間にわたって50~150℃の温度に加熱する工程とを含む。別の実施形態において、共重合プロセスは、極性溶媒中の上に記載された付加重合性モノマーの混合物を提供する工程と;混合物を50~150℃の温度に加熱して加熱された混合物を形成する工程と、ラジカル開始剤を5~50時間の期間にわたって加熱された混合物へ連続的に供給する工程とを含む。
【0061】
極性溶媒は、単一の有機化合物又は化合物の混合物であることができる。極性溶媒は、モノマーがその中に混和性である又は分散性であるものである。極性溶媒は、反応混合物の総重量を基準として10~70重量%、又は20~50重量%の量で存在することができる。一実施形態において、極性溶媒は、(シクロ)アルカノン若しくは環状エステル、又は線状若しくは分岐状ケトン及びC1~8エステルなどの、極性有機溶媒であることができる。
【0062】
ラジカル開始剤は、一般にアゾ化合物又は有機過酸化物である。一実施形態において、ラジカル開始剤は、油溶性アゾ化合物である。そのような開始剤としては、例えば、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)及び2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を挙げることができる。添加される合計開始剤は、出発反応混合物の重量を基準として、1~5重量%の範囲にあることができる。
【0063】
所望の反応時間後に、結果として生じた最終反応混合物が得られ、室温(20~25℃)に冷却され、必要に応じて処理される。本開示のポリマーは、そのまま使用され得るか、又は水若しくはメタノールなどの、非溶媒を添加してポリマーを溶液から沈澱させ、その後有機溶媒を除去することによって単離され得る。
【0064】
本開示は、1種以上の有機溶媒に溶解した又は分散した上記のポリマーを含む液体組成物を指向する。液体組成物は、任意の公知の技術を用いて基板上へ堆積させて膜を形成し、加熱して溶媒を除去することができる。これに、膜を更に硬化させるための追加の加熱工程が続くことができる。いくつかの実施形態において、本開示の液体組成物は、フォトリソグラフィー、パッケージング、接着剤、シーリング及びスピンオンコーティング又は緩衝層でなどの、バルク誘電性用途のための誘電体膜を形成するために使用することができる。基板上に形成された誘電体膜は、直接使用することができるか、又は剥離し、電子デバイスにおける様々な基板上で使用することができる。
【0065】
当技術分野において公知の任意の基板を本開示に使用することができる。基板の例としては、シリコン、銅、銀、インジウムスズ酸化物、二酸化ケイ素、ガラス、窒化ケイ素、アルミニウム、金、ポリイミド及びエポキシモールドコンパウンドを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0066】
好適な有機溶媒は、ポリマーがそれに溶けるものである。特に有用な有機溶媒は、アリールシクロブテンポリマーの製造又は調合に有用な任意の溶媒である。例示的な有機溶媒としては、限定なしに、極性のプロトン性溶媒及び極性の非プロトン性溶媒、例えば、2-メチル-1-ブタノール、4-メチル-2-ペンタンオール、及びメチルイソブチルカルビノールなどのアルコール;乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、酢酸n-ブチル及び3-メトキシ-1-ブチルアセテートなどのエステル;ガンマ-ブチロラクトンなどのラクトン;N-メチルピロリジノンなどのラクタム;プロピレングリコールメチルエーテル及びジプロピレングリコールジメチルエーテル異性体などのエーテル、例えばPROGLYDETMDMM(The Dow Chemical Company,Midland,MI);2-ブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノンなどのケトン;並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0067】
好適な添加剤を本開示の液体組成物へ添加することができる。添加剤の例としては、限定なしに、硬化剤、ポリマーとは別個の架橋性モノマーなどの、架橋剤、界面活性剤、無機フィラー、有機フィラー、可塑剤、接着促進剤、金属不動態化材、及び前述のいずれか組み合わせのそれぞれの1つ以上を挙げることができる。好適な界面活性剤は、当業者に周知であり、非イオン界面活性剤が好ましい。そのような界面活性剤は、0~10g/L、又は0~5g/Lの量で存在し得る。
【0068】
任意の好適な無機フィラーが本組成物に任意選択的に使用されてもよく、それらは当業者に周知である。例示的な無機フィラーとしては、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、炭化アルミニウム、窒化アルミニウム、ジルコニア、及びそれらの混合物を挙げることができるが、それらに限定されない。無機フィラーは、粉末、棒状、球形、又は任意の他の好適な形状の形態にあってもよい。そのような無機フィラーは、任意の好適な寸法を有し得る。そのような無機フィラーは、シラン又はチタネートなどのカップリング剤を従来の量で含み得る。無機フィラーは、組成物の総重量を基準として固形分として、0~80重量%、又は40~80重量%の量で使用され得る。いくつかの実施形態において、無機フィラーは存在しない。
【0069】
金属不動態化材は、銅不動態化剤であることができる。好適な銅不動態化剤は、当技術分野において周知であり、イミダゾール、ベンゾトリアゾール、エチレンジアミン又はその塩若しくは酸エステル、及びイミノ二酢酸又はそれらの塩が挙げられる。
【0070】
任意の好適な架橋剤が本液体組成物に任意選択的に使用され得る。好適な架橋剤は、当業者によって選択されるようなアルケン及びディールスアルダージエンなどの、樹脂組成物中の官能基と反応し得る。そのような好適な架橋剤としては、多官能性チオール、多官能性アジド、多官能性アジリン、及びビス-アリールシクロブテンモノマー、並びに(メタ)アクリレート、マレイミド、アリル化合物、ビニルシラン化合物などの多官能性ジエノフィル、又は組成物を硬化されるために用いられる条件下でそれらが本開示のポリマーを架橋するという条件で、他の好適なジエノフィルが挙げられ得る。そのような架橋剤の選択は、当業者の能力内である。そのような架橋剤は、典型的には、組成物中の重合性モノマーの総重量を基準として、0~30重量%、又は0~15重量%の量で使用される。
【0071】
様々な硬化剤が、フォトリソグラフィーに有用である本開示の液体組成物に使用され得る。好適な硬化剤は、ビス-ベンゾシクロブテン含有材料の硬化に役立ち得るし、熱又は光によって活性化され得る。例示的な硬化剤としては、熱生成開始剤及び光活性化合物(光生成開始剤)を挙げることができるが、それらに限定されない。そのような硬化剤の選択は、当業者の能力内にある。好ましい熱生成開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンゾイルペルオキシド、及びジクミルペルオキシドなどの、しかしそれらに限定されない、フリーラジカル開始剤である。好ましい光活性硬化剤は、IrgacureブランドでBASFから入手可能なフリーラジカル光開始剤、及びDNQ化合物のスルホネートエステルを含むジアゾナフトキノン(DNQ)化合物である。好適なDNQ化合物は、DNQスルホネートエステル部分などの、DNQ部分を有する、及び本組成物において光活性化合物として機能する任意の化合物である、すなわち、それらは、適切な放射線への露光時に溶解開始剤として機能する。好適なDNQ化合物は、それらの全内容が参照により本明細書に援用される、(特許文献1)及び(特許文献2)に開示されている。
【0072】
光活性化合物の量は、ポリマー固形分の総重量を基準として、0から30重量%まで変わる。存在する場合、光活性化合物は、典型的には、ポリマー固形分の総重量を基準として、5~30重量%、又は5~25重量%、又は10~25重量%の量で使用される。
【0073】
任意の好適な接着促進剤が、本開示の液体組成物に使用され得、そのような接着促進剤の選択は、十分に当業者の能力内にある。好ましい接着促進剤は、シラン含有材料若しくはテトラアルキルチタネート、又はトリアルコキシシラン含有材料である。例示的な接着促進剤としては、ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼンなどのビス(トリアルコキシシリルアルキル)ベンゼン;アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、及びフェニルアミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノアルキルトリアルコキシシラン;及び他のシランカップリング剤、並びに前述の混合物が挙げられるが、それらに限定されない。接着促進剤は、先ずプライマー層として又は組成物への添加物として塗布され得る。特に好適な接着促進剤としては、AP 3000、AP 8000、及びAP 9000C(Dow Electronic Materials,Marlborough,MA)が挙げられる。本開示の液体組成物は、組成物の総重量を基準として0~15重量%、又は0.5~10重量%、又は1~10重量%、又は2~10重量%の接着促進剤を含有し得る。
【0074】
本開示のフォトリソグラフィック液体組成物は、本開示の1種以上のポリマーと、任意の有機溶媒と、水又は追加の成分と、硬化剤としての光活性化合物とを任意の順に組み合わせることによって調製され得る。有機溶媒は、上に記載されたものと同じものである。本組成物が、ジアゾナフトキノン、オニウム塩又は光開始剤などの、光活性化合物を含有する場合、架橋剤が先ず好適な有機溶媒又は水性アルカリに溶解させられ、次いで1種以上の本ポリマー及び任意の任意選択の界面活性剤と組み合わせられ、次いで任意の任意選択の接着促進剤と組み合わせられることが好ましい。好適な光活性化合物の選択は、当業者の当たり前のレベル内にある。
【0075】
いくつかの実施形態において、本開示の液体組成物は、任意の好適な方法によって基板上にコートされ得る又は堆積され得る。基板は、上に記載されたものと同じものであり得る。本組成物をコートするための好適な方法としては、他の方法中でも、スピンコーティング、カーテンコーティング、スプレーコーティング、ローラーコーティング、ディップコーティング、蒸着、及び真空積層などの積層を挙げることができるが、それらに限定されない。半導体製造業界において、スピンコーティングが、既存の設備及びプロセスを活用するための好ましい方法である。スピンコーティングにおいて、塗布される表面上で組成物の所望の厚さを達成するために、組成物の固形分は、スピン速度と共に、調整され得る。
【0076】
本開示の液体組成物が接着促進剤を含有しない場合、本組成物でコートされる基板の表面は、任意選択的に先ず、好適な接着促進剤と接触させられ得るか又は蒸気処理され得る。プラズマ処理などの、当技術分野において公知の様々な蒸気処理が、基板表面への本開示のポリマーの接着性を高め得る。特定の用途において、本組成物で表面をコーティングする前に、接着促進剤を使用して基板表面を処理することが好ましいかもしれない。接着促進剤は、上に記載されたもとの同じものである。
【0077】
典型的には、本開示の液体組成物は、400~4000rpmのスピン速度でスピンコートされる。ウエハー又は基板上に分配される本組成物の量は、組成物中の合計固形分、結果として生じる層の所望の厚さ、及び当業者に周知のその他の因子に依存する。本組成物の膜又は層がスピンコーティングによってキャストされる場合、溶媒の多く(又は全て)は、膜の堆積中に蒸発する。好ましくは、表面上に堆積された後に、組成物は、いかなる残留溶媒をも除去するために加熱される(ソフトベークされる)。典型的なベーキング温度は、90~120℃であるが、他の温度が好適に用いられ得る。残留溶媒を除去するためのそのようなベーキングは、典型的には、およそ1~2分間行われるが、より長い時間又はより短い時間が好適に用いられ得る。
【0078】
本開示のポリマーは、典型的には、ある時間加熱することによって硬化する。好適な硬化温度は、140~300℃;又は170~250℃の範囲である。典型的には硬化時間は、1~600分、又は30~240分、又は30~120分の範囲である。
【0079】
一実施形態において、本明細書に記載されるポリマーを含む液体組成物は、銅上へスピンキャストすることができる。組成物は、マイクロ電子用途向けに望ましい乾燥膜を形成するために、スロットダイコーター又は他の好適な装置によってキャストすることができる。キャスト膜は、70~150℃の、又は90~120℃の温度で30秒~10分間残留溶媒を除去するためにソフトベークすることができる。ソフトベークされた膜は、次いで30分~4時間150~250℃の硬化条件にさらすことができる。
【0080】
いくつかの実施形態において、本開示の液体組成物の層はまた、乾燥膜として形成され、積層によって基板の表面上に配置され得る。真空積層技術などの、様々な好適な積層技術が用いられ得、これらは当業者に周知である。乾燥膜の形成においては、本組成物は、先ず、スロットダイコーティング、グラビア印刷、又は別の適切な方法を用いて、ポリエステルシート、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)シート、又はKAPTONTMポリイミド(DuPont,Wilmington,DE)などのポリイミドシートなどの好適な膜支持シートの前面上へ、コートされるなど、配置される。次いで、組成物は、いかなる溶媒をも除去するために、1~30分などの、適切な時間、90~140℃などの、好適な温度で、ソフトベークされる。次いで、ポリエチレンなどのポリマー膜カバーシートが、保管及び取り扱い中に組成物を保護するために、乾燥した組成物上へ室温(20~25℃)でロール積層される。乾燥した組成物を基板上へ配置するために、カバーシートが先ず除去される。次いで、支持シート上の乾燥した組成物が、ロール積層又は真空積層を用いて基板表面へ積層される。積層温度は、20~120℃の範囲であることができる。次いで、支持シートが除去され(剥離され)、その表面上に乾燥した組成を残す。
【0081】
結果として生じた硬化膜は、良好な引張強度、引張伸び、銅などの所望の基板への良好な接着性、及び高周波数での低い誘電損失を有する。本明細書に開示されるポリマーは、いかなる種類の無機フィラーの助けもなしにこれらの良好な特性を達成することができる。誘電体膜は、高周波数(10又は28GHz)で3.0未満のDk値及び0.004未満のDf値を有することができる。いくつかの実施形態において、誘電体膜は、10GHzの周波数でDk≦2.6及びDf≦0.004を有する。いくつかの実施形態において、誘電体膜は、28GHzの周波数でDk≦2.6及びDf≦0.004を有する。
【0082】
本開示はまた、電子デバイス基板上に本出願の誘電体膜の少なくとも1つの層を含む多種多様の電子デバイスを指向する。電子デバイス基板は、任意の電子デバイスの製造において使用するための任意の基板であることができる。例示的な電子デバイス基板としては、限定なしに、半導体ウエハー、ガラス、サファイア、シリケート材料、窒化ケイ素材料、炭化ケイ素材料、ディスプレイデバイス基板、エポキシモールドコンパウンドウエハー、回路基板基材、及び熱的に安定なポリマーが挙げられる。本明細書で用いるところでは、用語「半導体ウエハー」は、シングルチップウエハー、マルチプルチップウエハー、様々なレベルのためのパッケージ、発光ダイオード(LED)用の基板、又ははんだ接続を必要とする他の組立体などの、半導体基板、半導体デバイス、及び様々なレベルの相互接続のための様々なパッケージを包含することを意図する。シリコンウエハー、ガリウムヒ素ウエハー、及びシリコンゲルマニウムウエハーなどの、半導体ウエハーは、パターン化されていても、パターン化されていなくてもよい。本明細書で用いるところでは、用語「半導体基板」には、半導体デバイスの有効部分又は動作可能部分を含む1つ以上の半導体層又は構造を有する任意の基板が含まれる。用語「半導体基板」は、半導体デバイスなどの、半導体材料を含む任意の構造を意味すると定義される。半導体デバイスは、少なくとも1つのマイクロ電子デバイスがその上に製造されているか又は製造されることになる半導体基板を意味する。熱的に安定なポリマーとしては、限定なしに、ポリイミド、例えば、KAPTONTMポリイミド(DuPont,Wilmington,DE)、液晶ポリマー、例えばVECSTARTMLCP膜(株式会社クラレ、東京、日本)及びビスマレイミド-トリアジン(BT)樹脂(MGC、東京、日本)などの、アリールシクロブテン材料を硬化させるために用いられる温度に安定な任意のポリマーが挙げられる。
【実施例
【0083】
原材料:
ベータ-ミルセン(食品グレード)、トルエン中の20重量パーセントブタジエン溶液、4-メチル-5-ビニル-1,3-チアゾール及びスチレンは、Sigma Aldrichから入手した。Vazo 65及びVazo 601ジアゾ開始剤は、Wako Chemicalから購入した。ビニルフェノキシBCB[1-(4-ビニルフェノキシ)ベンゾシクロブテン)]は、(特許文献3)(その全内容は、参照により本明細書に援用される)に従って調製した。4-ビニルピリジンは、Sigma Aldrichから購入し、使用前に蒸留した。ビニルトルエン異性体混合物は、Deltech Corporationから受け取った。全ての他の溶媒及び化学物質は、the Dow Chemical Companyから受け取り、更なる精製なしに受け取ったままの状態で使用した。
【0084】
試験方法
(1)誘電特性:
10~28GHzで動作するKeysight 85072Aスプリットシリンダ共振器及びKeysight N5224A PNAネットワークアナライザーを使用してIPC試験方法TM-650 2.5.5.1を用いて自立膜の誘電特性を測定した。膜形状は、基板が2つの円筒空洞部の直径を超えて伸びるようなものであった。膜厚は50μmであった。
【0085】
自立膜をスプリットシリンダ共振器の空洞に配置し、TE011共振モードの共振周波数及び品質係数を、ネットワークアナライザーを使用して測定した。膜の比誘電率(Dk)及び損失正接(Df)を、Keysightによって提供されたソフトウェアを使用してTE011共振モードから計算した。
【0086】
(2)分子量測定手順:
ポリマーサンプルを、テトラヒドロフラン中の0.5重量%溶液として調製し、0.2ミクロンTeflonフィルタを通して濾過した。移動相は、テトラヒドロフランであった。カラムは、Waters Styragel HR5E 7.8×300mmカラム ロット番号0051370931であった。注入量は、100マイクロリットルであり、ラン時間は、27分であった。分子量データは、ポリスチレン標準と比較して報告する。
【0087】
実施例A
100mlのEasyMaxTMガラス反応器に、ベータ-ミルセン(0.98g)、1-(4-ビニルフェノキシ)ベンゾシクロブテン(9.31g)及びスチレン(9.36g)を添加した。アニソール(6.67g)を次いで反応器へ添加した。反応器を組み立て、均質化するまで機械撹拌下に混合した。内部反応器温度を次いで80℃に上げ、その点でアニソール(13.33g)中のV65(0.68g)の溶液を20時間にわたって一定速度で添加した。添加が完了したとき、反応器を追加の2時間80℃に保持し、次いで温度を室温(20~25℃)に下げた。アリコートをGPC分析のために採取し、結果として生じた溶液を、5μm細孔径NylonTMフィルタを通して使用のためにガラスボトル中へ濾過した。GPC Mn:27.4k、Mw:584.5k。
【0088】
実施例B:
2.019gのベータミルセン、9.578gの1-(4-ビニルフェノキシ)ベンゾシクロブテン、8.88gのスチレン及び6.21gのメシチレンを反応器に添加したことを除いて、実施例Aにおけるのと同一の手順を用いた。反応温度が80℃に達した時点で、12.99gのメシチレン中の0.7gのV65の溶液を添加した。GPCデータ:Mw 125.5k、Mn 20.3k。
【0089】
実施例1
5.18gのベータミルセン、16.40gの1-(4-ビニルフェノキシ)ベンゾシクロブテン、13.95gのスチレン及び15.43gのアニソールを反応器に添加したことを除いて、実施例Aにおけるのと同一の手順を用いた。1.20gのV65及び8.57gのアニソールの開始剤供給物を添加した。GPC Mn:11.8k、Mw:54.4k。
【0090】
実施例2
5.52gのベータミルセン、12.40gの1-(4-ビニルフェノキシ)ベンゾシクロブテン、9.58gのスチレン及び6.88gのシクロペンタノンを反応器に添加したことを除いて、実施例Aにおけるのと同一の手順を用いた。0.91gのV65及び15.625gのシクロペンタノンの開始剤供給物を18時間にわたって反応混合物へ供給した。GPC Mn:7.9k、Mw:23.2k。
【0091】
実施例3
8.37gのベータミルセン、13.11gの1-(4-ビニルフェノキシ)ベンゾシクロブテン、8.19gのスチレン及び5.29gのシクロペンタノンを反応器に添加したことを除いて、実施例Aにおけるのと同一の手順を用いた。0.97gのV65及び14.71gのシクロペンタノンの開始剤供給物を添加した。GPC Mn:9.6k、Mw:29.1k。
【0092】
上記の形成されたままの状態のポリマー溶液を、好適なCuウエハー基板、直径200mm上へスピンコーティングによって堆積させ、90秒間110℃でソフトベークした。ポリマー膜を、次いで窒素、100ppm未満の酸素下で1時間200℃でのBlueMオーブン中で硬化させた。結果として生じた基板を好適なサイズに切断し、膜を水浴中の5%硫酸アンモニウムの中で持ち上げ、すすぎ洗いし、乾燥させて試験用の自立膜を得た。それぞれ、ポリマー組成物を下に示されるような表1に示し、ポリマー組成物から調製された膜の試験データを表2に列挙する。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
これらの結果は、モル%ジエンが増加するにつれてDfが最初は低下することを示す。しかしながら、モル%ジエンが約25モル%超に増加するとき、Dfは増加する。同様に、モル%ジエンが増加するにつれてDkは最初は低下する。
【0096】
実施例4
15.52gのブタジエントルエン溶液、19.14gの1-(4-ビニルフェノキシ)ベンゾシクロブテン、15.26gのビニルトルエン、1.51gの4-ビニルピリジン、0.99gのV601及び10.0gのシクロヘキサノンを混合し、3つの封管に分け、次いで反応器への好適なインサート中へ入れたことを除いて、実施例Aにおけるのと同一の手順を用いた。密封系を80℃に加熱し、17時間保持し、次いで使用のために25℃に戻した。GPC Mn:14.2k、Mw:40.9k。
【0097】
実施例5
5.1gのベータミルセン、12.1gの1-(4-ビニルフェノキシ)ベンゾシクロブテン、9.53gのビニルトルエン、1.01gの4-ビニルピリジン及び11.79gのアニソールを反応器に添加したことを除いて、実施例Aにおけるのと同一の手順を用いた。80℃の反応温度で、0.41gのV601を添加した。反応を15時間保持し、次いで0.41gのV65及び10.71gのアニソールの開始剤供給物を12時間にわたって供給し、これに、80℃に保持される追加の2時間が続き、その後25℃に戻した。
【0098】
実施例6
5.98gのベータミルセン、14.18gの1-(4-ビニルフェノキシ)ベンゾシクロブテン、11.19gのビニルトルエン、1.33gの4-メチル-5-ビニルチアゾール及び6.21gのシクロヘキサノンを反応器に添加したことを除いて、実施例Aにおけるのと同一の手順を用いた。80℃の反応温度で、12.86gのシクロヘキサノン中の1.04gのV65の溶液を使用した。GPCデータ:Mw 32.1k、Mn 11.1k。
【0099】
実施例7
6.33gのベータミルセン、12.01gの1-(4-ビニルフェノキシ)ベンゾシクロブテン、8.83gのビニルトルエン、0.6gの4-ビニルピリジン及び11.79gのアニソールを反応器に添加したことを除いて、実施例Aにおけるのと同一の手順を用いた。80℃の反応温度で、0.41gのV601を添加した。反応を15時間保持し、次いで10.71gのアニソール中の0.41gのV65を12時間にわたって供給し、これに、80℃に保持される追加の2時間が続き、その後25℃に戻した。GPCデータ:Mw 50.6k、Mn 10.6k。
【0100】
実施例8
6.33gのベータミルセン、12.02gの1-(4-ビニルフェノキシ)ベンゾシクロブテン、8.42gのビニルトルエン、1.0gの4-ビニルピリジン及び11.79gのアニソールを反応器に添加したことを除いて、実施例Aにおけるのと同一の手順を用いた。80℃の反応温度で、0.41gのV601を添加した。反応を15時間保持し、次いで10.71gのアニソール中の0.41gのV65を12時間にわたって供給し、これに、80℃に保持される追加の2時間が続き、その後25℃に戻した。
【0101】
実施例9
11.76gのベータミルセン、13.95gの1-(4-ビニルフェノキシ)ベンゾシクロブテン、6.12gのビニルトルエン、1.14gの4-ビニルピリジン及び14.14gのシクロヘキサノンを反応器に添加したことを除いて、実施例Aにおけるのと同一の手順を用いた。80℃の反応温度で、12.86gのシクロヘキサノン中の1.02gのV65の溶液を使用した。GPCデータ:Mw 19.3k、Mn 4.4k。
【0102】
実施例10
17.18gのベータミルセン、16.31gの1-(4-ビニルフェノキシ)ベンゾシクロブテン、4.29gのビニルトルエン、1.33gの4-ビニルピリジン及び9.75gのシクロヘキサノンを反応器に添加したことを除いて、実施例Aにおけるのと同一の手順を用いた。80℃の反応温度で、11.2gのシクロヘキサノン中の1.19gのV65の溶液を使用した。GPCデータ:Mw 19.7k、Mn 6.7k。
【0103】
上に記載されたような上記の形成されたままの状態のポリマー溶液から膜を調製した。それぞれ、ポリマー組成物を下の表3に示し、ポリマー組成物から調製された膜の試験データを表4に列挙する。
【0104】
【表3】
【0105】
【表4】
【0106】
これらの結果は、モル%ジエンが約25モル%を超えて増加するにつれて、Dfが増加することを示す。同様に、モル%ジエンが増加するにつれてDkは最初は低下する。しかしながら、モル%ジエンが約40モル%超に増加するとき、Dkは増加する。
【0107】
一般的な説明又は実施例において上に記載された活動の全てが必要であるわけではなく、特定の活動の一部は、必要でない場合があること、及び1つ以上の更なる活動は、記載されたものに加えて行われ得ることに留意されたい。更にまた、活動が列挙されている順序は、必ずしもそれらが行われる順序ではない。
【0108】
前述の本明細書において、本概念は、特定の実施形態に関連して説明されてきた。しかしながら、当業者は、以下の特許請求の範囲において明記されるような本開示の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができることを認識する。従って、本明細書及び図面は、限定的な意味よりもむしろ例示的な意味で考えられるべきであり、全てのそのような修正は本開示の範囲内に包含されることを意図する。
【0109】
利益、他の利点、及び問題の解決策が、特定の実施形態に関して上で記載されてきた。しかしながら、利益、利点、問題の解決策、及び任意の利益、利点、又は解決策を生じさせ得る又はより顕著にならせ得る任意の特徴は、特許請求の範囲のいずれか又は全ての決定的に重要な、必要な、又は不可欠な特徴として解釈されるべきではない。
【0110】
明確にするために、特定の特徴は、別個の実施形態との関連で本明細書において記載されており、また単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが十分理解されるべきである。反対に、簡潔にするために、単一の実施形態との関連で記載されている様々な特徴は、個別に又は任意の部分的な組み合わせでも提供され得る。本明細書において明記される様々な範囲中の数値の使用は、記載範囲内の最小値及び最大値が両方とも単語「約」によって先行されるかのように近似値として記載されている。この方法では、記載範囲の上下のわずかな変動は、範囲内の数値と実質的に同じ結果を達成するために使用することができる。また、これらの範囲の開示は、1つの値の成分のいくつかが、異なる値のそれらと混ぜられるときに生じ得る小数値を含む最小平均値と最大平均値との間のあらゆる値を含む連続した範囲であることを意図している。更に、より広い及びより狭い範囲が開示されるとき、1つの範囲からの最小値を別の範囲からの最大値と一致させることは、本開示の予想の範囲内にあり、その逆も同様である。