(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】脂肪相、親油性ポリマー、及び揮発性炭化水素系油を含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20221108BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20221108BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20221108BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20221108BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20221108BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20221108BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/31
A61K8/37
A61K8/92
A61Q19/00
A61Q1/00
A61Q5/00
(21)【出願番号】P 2020526939
(86)(22)【出願日】2018-11-15
(86)【国際出願番号】 EP2018081469
(87)【国際公開番号】W WO2019096954
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-05-15
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ラルカ・ローラン
(72)【発明者】
【氏名】カール・ブーテル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンサン・グランジョン
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/098456(WO,A1)
【文献】特表2021-502974(JP,A)
【文献】特表2021-502997(JP,A)
【文献】特表2021-503025(JP,A)
【文献】特開昭52-108030(JP,A)
【文献】特開2003-212744(JP,A)
【文献】特開2008-201781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの
油性相と;少なくとも1つの揮発性炭化水素油と;式(A)及び(B)のモノマーユニットを含む少なくとも1つの親油性ポリマーと;を含む局所適用のための組成物であって:
【化1】
式中:
R
1は、互いに独立して、アルキル基又はアルキレン基から選択され;
R
1基の少なくとも60質量%はベヘニル基であり、前記質量パーセンテージは、前記ポリマー中に存在する全てのR
1基の合計に関し;
全てのヒドロキシエチルアクリレートユニットの合計の、R
1基を有する全てのアクリレートユニットの合計に対する質量比は、1:30~1:1であり;
ユニットA及びBの全ての合計は、前記ポリマーの総質量の少なくとも95質量%であり、
前記親油性ポリマーの数平均分子量Mnは、2000~9000g/molである、局所適用のための組成物。
【請求項2】
前記揮発性炭化水素油は室温で液体であり、室温及び大気圧での蒸気圧は0.13Pa~40000Pa(10
-3~300mmHg)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記揮発性炭化水素油は、フレグランスオイル以外である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記揮発性炭化水素油はテルペン類以外である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記揮発性炭化水素油は、8~16個の炭素原子を含む炭化水素油から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記揮発性炭化水素油は、分岐C8~C16アルカンから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記揮発性炭化水素油は、イソドデカン、イソデカン、及びイソヘキサデカン、並びにこれらの混合物から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記揮発性炭化水素油は、8~16個の炭素原子を含む揮発性直鎖アルカンから選択される、請求項1~
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記揮発性炭化水素油は、n-オクタン(C8)、n-ノナン(C9)、n-デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)、n-テトラデカン(C14)、及びヘキサデカン(C16)、並びにこれらの混合物から選択される、請求
項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記揮発性炭化水素油は、前記組成物の総質量に対し0.1質量%~90質量%である含有量で存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記親油性ポリマー及び前記揮発性炭化水素油の質量比は、1:1~1:6の
間である、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの固体脂肪物質を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記親油性ポリマーにおいて、R
1はアルキル基から構成される、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記親油性ポリマーにおいて、R
1基の少なくとも70質量%はベヘニル基である、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記親油性ポリマーにおいて、R
1基は全てベヘニル基である、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記親油性ポリマーにおいて、全ての前記ヒドロキシエチルアクリレートユニットの合計の、R
1基を有する全ての前記アクリレートユニットの合計に対する質量比は、1:15~1:1である、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記親油性ポリマーは、数平均分子量Mnが5000~9000g/molである、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記親油性ポリマーは、融点が60℃~69℃である、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記親油性ポリマーは、前記組成物の総質量に対して
、0.1質量%~10質量%存在する、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
少なくとも1つの水性相を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
ケラチン材料を化粧的に処置するための方法であって、請求項1~20のいずれか一項で定義された組成物を前記ケラチン材料に適用することを含む、方法。
【請求項22】
化粧品分野における、ケラチン材料を、ケアするため、保護するため、及び/又はメークアップするための、請求項1~20のいずれか一項に定義された組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの脂肪相、少なくとも1つの特定の親油性ポリマー、及び少なくとも1つの揮発性炭化水素系油を含む局所的適用のための組成物と、化粧品分野及び皮膚科学分野における、特にケラチン材料をケア及び処置するための前記組成物の使用と、に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品分野、より詳細には、スキンケア及び光防御分野においては、親油性増粘剤で構造化/増粘された脂肪相を含む構造の剤形(galenical architecture)を使用するのが一般的である。それにより、製品の有効性及び安定性を向上することが可能になる。
【0003】
特に、脂肪相を親油性増粘剤で構造化することは、皮膚をケア又はメークアップすることが意図された無水又は乳化された組成物に粘稠性を付与するのに特に有利である。ワックス状又はペースト状脂肪物質は、増粘効果を得ることを目的としてよく使用されている。
【0004】
しかしながら、このような種類の調製物は、適用時に脂っぽさを感じ、皮膚への浸透が遅く且つ不完全であり、不快な脂っぽい皮膜を残存させる組成物を生成するという欠点がある。
【0005】
したがって、このような欠点がなく、皮膚に脂っぽい皮膜を残すことなく速やかに吸収されるであろう、構造化された脂肪相を含む組成物を製造することが依然として求められている。
【0006】
更に近年、化粧品市場において、天然由来の成分を含む配合物を求める声が高まっている。消費者は、化学物質よりも、皮膚の寛容性及び皮膚との親和性がより優れていることが知られており、より環境に優しい天然由来の成分を好み、化学物質を含まない配合物を所望している。
【0007】
したがって、ケラチン材料に全く無害であり、良好な安定性、良好な微生物学的保存性(microbiological preservation)を有し、使用が容易であり且つ使用感が良く、それにも関わらず、ケア用製品に求められる性質を有する、即ち、使用感が良く、脂っぽさ、ねばつき、又は刺激性を有しない、天然由来の化合物を含むケア用製品を得ることが求められている。
【0008】
「天然の化合物(natural compound)」という語は、大地若しくは土壌から又は植物若しくは動物から直接、適切であれば1つ又は複数の物理的方法、例えば、粉砕、精錬(refining)、蒸留、精製、又は濾過を介して得られる化合物を意味する。
【0009】
「天然由来の化合物(compound of natural origin)」という語は、1つ若しくは複数の追加の化学的若しくは工業的処理が施され、この化合物に必須の品質に影響を及ぼさない変性を受けた天然の化合物、及び/又は上に述べた変換を受けても受けていなくてもよい天然の構成成分を主として含む化合物を意味する。
【0010】
天然の化合物の必須の品質に影響を及ぼさない変性をもたらす追加の化学的又は工業的処理の非限定的な例としては、エコサート(Ecocert)(化粧品、生物学的製品、及び環境製品の照会システム、2003年1月)等の規制機関により認証されるか、又は当該技術分野において認められている便覧、例えば、(非特許文献1)に定義されているものを挙げることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【文献】Cosmetics and Toiletries Magazine,2005,Vol.120,9:10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
驚くべきことに、本出願人らは、適切に選択された親油性ポリマーと揮発性炭化水素系油とを脂肪相を含む組成物中で組み合わせることにより、それらを含む化粧用組成物の官能特性を向上させると同時に、それらをより速やかに且つより完全に皮膚に吸収させることが可能になることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明の1つの主題は、少なくとも1つの脂肪相と;少なくとも1つの揮発性炭化水素系油と;式(A)及び(B)のモノマーユニットを含む少なくとも1つの親油性ポリマーと;を含み:
【化1】
式中:
R
1は、互いに独立して、アルキル基又はアルキレン基から選択され;
R
1基の少なくとも60質量%はベヘニル基であり、質量パーセンテージは、ポリマー中に存在する全てのR
1基の合計に関し;
全てのヒドロキシエチルアクリレートユニットの合計の、R
1基を有する全てのアクリレートユニットの合計に対する質量比は、1:30~1:1であり;
ユニットA及びBの全ての合計は、ポリマーの総質量の少なくとも95質量%である、局所的適用のための組成物にある。
【0014】
本発明による組成物は、官能特性が向上しており、より速やかに且つより完全に皮膚に吸収される。特に本発明に従う組成物は、例えばワックス等の固形脂肪物質の存在下であってさえも、適用時及び適用後の皮膚に残る感触が脂っぽくなく、且つねばつかない。
【0015】
したがって本発明により、皮膚に良く、特定のワックス状脂肪物質及び適合性を有する揮発性油を含み、それと同時に安定であり、適用が容易であり且つ使用感の良い均質な質感を有し、脂っぽくなく、ねばつかず、刺激性もない、化粧用組成物を調製することが可能になる。この種の製品は乾燥した皮膚を処置するのに特に有利である。
【0016】
本発明に従う組成物は、例え親油性増粘剤の含有量及び/又は脂肪相の含有量が高くてさえも、脂っぽい皮膜を残すことなく速やかに浸透する。
【0017】
本発明に従う組成物はまた、通常はシリコーン、特に揮発性シリコーンを用いて得られる化粧特性に近い良好な化粧特性も有し、これらの化合物の使用を制限又は回避さえすることを可能にする。
【0018】
更に、こうして得られた化粧用組成物は、長時間に亘り、特に室温で及び45℃で2ヵ月後も良好な安定性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
「安定な組成物」という語は、4℃~50℃の間の任意の温度で24時間保管した後も、色、匂い、若しくは粘度が巨視的に変化していないか、又はpHが変動しておらず、且つ粒状物が存在しない組成物を指す。
【0020】
したがって、本発明に従う組成物は、有利には、従来使用されている乳化性界面活性剤を含有しなくてもよく、又は非常に少量を含有してもよく、こうすることにより、あらゆる肌タイプ、特に、弱い(fragile)肌に加えて、特に、影響を受けやすい敏感肌でも十分に寛容性を示すことができる。
【0021】
本発明の主題はまた、ケラチン材料の美容処置のための方法であり、これは、先で定義された組成物をケラチン材料に適用することからなる。
【0022】
本発明の主題はまた、前記組成物の、化粧品又は皮膚科学での、特に、体若しくは顔の皮膚を保護且つ/又はメークアップするケア、又は毛髪ケアのための使用である。
【0023】
本発明に従う組成物は、局所的適用が意図されているので、生理的に許容可能な媒体を含む。用語「生理的に許容可能な媒体」は、ここで、ケラチン材料と適合する媒体を意味する。
【0024】
本発明の文脈では、用語「ケラチン材料」は、とりわけ、皮膚、頭皮、ケラチン繊維、例えば、睫毛、眉毛、頭髪、体毛、爪、及び粘膜、例えば唇、より詳細には皮膚(体、顔、眼の周りの領域、眼瞼)を意味する。
【0025】
以下の本文中で、表現「少なくとも1つ」は、「1つ以上」に等しく、そして特に明記しない限り、値の範囲の限界は、その範囲内に含まれる。
【0026】
脂肪相
本発明に従う組成物は少なくとも1つの脂肪相を含む。
【0027】
本発明の目的のために、脂肪相は、室温及び大気圧で液体であり、一般には油であるか、又は室温及び大気圧でワックス等の固体であるか若しくは任意のペースト状化合物である、前記組成物中に存在する任意の脂肪物質を包含する。
【0028】
本発明に従う組成物の脂肪相は、特に、先に定義した少なくとも1つの親油性ポリマーと、少なくとも1つの揮発性炭化水素系油とを含む。
【0029】
親油性ポリマー
本発明に従う組成物は、式(A)及び(B)のモノマーユニットを含む少なくとも1つの親油性ポリマーを含み:
【化2】
式中:
R
1は、互いに独立して、アルキル基又はアルキレン基から選択され;
R
1基の少なくとも60質量%はベヘニル基であり、質量パーセンテージは、ポリマー中に存在する全てのR基の合計に関し;
全てのヒドロキシエチルアクリレートユニットの合計の、R
1基を有する全てのアクリレートユニットの合計に対する質量比は、1:30~1:1であり;
ユニットA及びBの全ての合計は、ポリマーの総質量に対し少なくとも95質量%である。
【0030】
好ましくは、R1は、アルキル基で、好ましくはC16~C22アルキル基で、より優先的にはベヘニル(C22)基で構成されている。
【0031】
好ましくは、R1基の少なくとも70質量%は、ベヘニル基、優先的には少なくとも80質量%、より優先的には少なくとも90質量%である。
【0032】
好ましい実施形態に従えば、全てのR1基は、ベヘニル基である。
【0033】
好ましくは、前記質量比は、1:15~1:1であり、優先的には1:10~1:4に及ぶ。
【0034】
有利には、ポリマー中に存在するポリマーユニットは、以前に記載されるユニット(A)及び(B)で構成される。
【0035】
ポリマーは、数平均分子量Mnが2000~9000g/molであり、好ましくは5000~9000g/molに及ぶ。数平均分子量は、例えば以降の例において記載される方法に従う、ゲル浸透クロマトグラフィ法で測定することができる。
【0036】
好ましくは、ポリマーは、融点が60℃~69℃であり、優先的には63℃~67℃に及ぶ。融点は、例えば以下の例に記載される方法に従う、示差走査熱量測定(DSC)によって測定される。
【0037】
本発明に従って用いられるポリマーは、式CH2=CH-COO-R1のモノマー(R1は、以前に記載される意味を有する)の、そして2-ヒドロキシエチルアクリレートの重合によって調製することができる。
【0038】
重合は、知られている方法、例えば溶液重合又はエマルジョン重合に従って実行することができる。
【0039】
重合は、例えば、米国特許出願公開第2007/0264204号明細書中に記載されている。
【0040】
本発明の文脈で用いられ、そして以前に記載される親油性ポリマーは、組成物中に、組成物の総質量に対して、活性材料の量にして0.1質量%~10質量%、好ましくは0.1質量%~3質量%で存在してもよい。
【0041】
揮発性炭化水素系油
本発明に従う組成物は、少なくとも1つの揮発性炭化水素系油を含む。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、揮発性炭化水素系油はフレグランスオイルとは異なる。
【0043】
本発明の他の実施形態によれば、揮発性炭化水素系油はテルペン類とは異なる。
【0044】
揮発性炭化水素系油は、8~16個の炭素原子を含む炭化水素系油から選択することができる。
【0045】
用語「炭化水素系の油」は、炭素原子及び水素原子、並びに、場合によっては酸素原子、窒素原子、硫黄原子、及び/又はリン原子から本質的に形成され、又は構成され、そしてケイ素原子もフッ素原子も含有しない油を意味する;これは、エステル、エーテル、アミン、又はアミド基を含有してもよい。
【0046】
「揮発性油」という語は、ケラチン材料、特にケラチン繊維と接触すると、室温及び大気圧で1時間未満で蒸発することができる油(又は非水性媒体)を意味する。揮発性油は、室温で液体であり、特に、室温及び大気圧で蒸気圧がゼロではなく、特に蒸気圧が0.13Pa~40000Pa(10-3~300mmHg)であり、好ましくは1.3Pa~13000Pa(0.01~100mmHg)であり、優先的には1.3Pa~1300Pa(0.01~10mmHg)である、揮発性化粧用油である。
【0047】
揮発性の炭化水素系の油は、特に、揮発性の分枝状エステル、揮発性の分枝状アルカン、揮発性の直鎖状アルカン、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0048】
本発明に従う組成物は、1つ以上の分枝状のC8~C16エステル、例えば、ネオペンタン酸イソヘキシル、イソアミルエステル、例えばラウリン酸イソアミル、又はイソノナン酸イソノニルを含んでもよい。
【0049】
本発明に従う組成物は、1つ以上の揮発性の分枝状アルカンを含有してもよい。用語「1つ以上の揮発性の分枝状アルカン」は、区別なく(without preference)、「1つ以上の揮発性の分枝状アルカン油」を意味する。
【0050】
揮発性の分枝状アルカンとして、特に、C8~C16分枝状アルカン、例えばC8~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られている)、イソデカン、イソヘキサデカン、そして例えば、ExxonMobilによってIsopar(登録商標)、又はPresperseによってPermethyl(登録商標)の商標名で販売されている油に言及してもよい。好ましくは、8~16個の炭素原子を含有する揮発性の炭化水素系の油は、イソドデカン、イソデカン、及びイソヘキサデカン、並びにそれらの混合物から選択され、特にイソドデカンである。
【0051】
本発明に従う組成物は、1つ以上の揮発性の直鎖状アルカンを含有してもよい。用語「1つ以上の揮発性の直鎖状アルカン」は、区別なく「1つ以上の揮発性の直鎖状アルカン油」を意味する。
【0052】
本発明に適した揮発性の直鎖状アルカンは、室温(約25℃)にて、且つ大気圧(760mmHg)にて液体である。
【0053】
本発明に適した「揮発性の直鎖状アルカン」は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg、すなわち101325Pa)にて、皮膚と接触して1時間未満に蒸発することができ、周囲温度にて液体であり、特に、蒸発率が、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)にて0.01~15mg/cm2/分である美容用の直鎖状アルカンを指す。
【0054】
好ましくは、本発明に適した「揮発性の直鎖状アルカン」は、蒸発率が、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)にて0.01~3.5mg/cm2/分である。
【0055】
好ましくは、本発明に適した「揮発性の直鎖状アルカン」は、蒸発率が、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)にて0.01~1.5mg/cm2/分である。
【0056】
より好ましくは、本発明に適した「揮発性の直鎖状アルカン」は、蒸発率が、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)にて0.01~0.8mg/cm2/分である。
【0057】
さらにより好ましくは、本発明に適した「揮発性の直鎖状アルカン」は、蒸発率が、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)にて0.01~0.3mg/cm2/分である。
【0058】
さらにより好ましくは、本発明に適した「揮発性の直鎖状アルカン」は、蒸発率が、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)にて0.01~0.12mg/cm2/分である。
【0059】
本発明に従う揮発性のアルカンの(より一般的には揮発性の溶媒の)蒸発率は、特に、国際公開第06/013413号パンフレットに記載されているプロトコルによって、より詳細には以下に記載するプロトコルによって評価することができる。
【0060】
15gの揮発性の炭化水素系の溶媒を、温度調節され(25℃)、且つ湿度調節(50%の相対湿度)されている約0.3m3のチャンバ内にある秤の上に配置された結晶皿(直径:7cm)内に入れる。
【0061】
液体は、撹拌されない一方で、揮発性の炭化水素系の溶媒を含有する結晶皿の上方に垂直に配置されたファン(2700rpmにて回転するPapst-Motoren、リファレンス8550N)(ブレードが、結晶皿の底に対して20cm離れて結晶皿に向けられている)によって換気されていると、自由に蒸発し得る。
【0062】
結晶皿内に残った揮発性の炭化水素系の溶媒の質量を、規則的な時間間隔にて測定する。
【0063】
次に、蒸発した生成物の量(mg/cm2)の曲線を、時間(分)の関数としてプロットして、溶媒の蒸発プロファイルを得る。
【0064】
次に、得られた曲線の起点に対する正接に相当する蒸発率を算出する。蒸発率を、表面積のユニット(cm2)あたり、そして時間のユニット(分)あたりで蒸発した揮発性の溶媒のmgで表す。
【0065】
好ましい一実施形態に従えば、本発明に適した「揮発性の直鎖状アルカン」は、蒸気圧(飽和蒸気圧としても知られている)が、室温にてゼロでなく、特に、蒸気圧は0.3Pa~6000Paである。
【0066】
好ましくは、本発明に適した「揮発性の直鎖状アルカン」は、蒸気圧が室温(25℃)にて0.3~2000Paである。
【0067】
好ましくは、本発明に適した「揮発性の直鎖状アルカン」は、蒸気圧が室温(25℃)にて0.3~1000Paである。
【0068】
より好ましくは、本発明に適した「揮発性の直鎖状アルカン」は、蒸気圧が室温(25℃)にて0.4~600Paである。
【0069】
好ましくは、本発明に適した「揮発性の直鎖状アルカン」は、蒸気圧が室温(25℃)にて1~200Paである。
【0070】
より好ましくは、本発明に適した「揮発性の直鎖状アルカン」は、蒸気圧が室温(25℃)にて3~60Paである。
【0071】
一実施形態に従えば、本発明の使用に適した揮発性の直鎖状アルカンは、引火点が30~120℃、より詳細には40~100℃の範囲内にある。引火点は、特に、規格ISO 3679に従って測定される。
【0072】
一実施形態に従えば、本発明の使用に適したアルカンは、8~14個の炭素原子を含む揮発性の直鎖状アルカンであってよい。
【0073】
有利な実施形態に従えば、本発明の使用に適した「揮発性の直鎖状アルカン」は、先で定義される蒸発率が、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)にて0.01~3.5mg/cm2/分であり、そして8~14個の炭素原子を含む。
【0074】
本発明に適した揮発性の直鎖状アルカンは、有利には、植物起源であってよい。
【0075】
そのようなアルカンは、直接、又はいくつかの工程で、植物原料、例えば、油、バター、ワックスから得ることができる。
【0076】
本発明での使用に適したアルカンの例として、Cognis社による国際公開第2007/068371号パンフレット又は国際公開第2008/155059号パンフレットにおいて記載されているアルカン(少なくとも1つの炭素によって異なる様々なアルカンの混合物)に言及してもよい。当該アルカンは、脂肪アルコールから得られ、それ自体はヤシ核油又はパーム油から得られる。
【0077】
本発明での使用に適した直鎖状アルカンの例として、n-オクタン(C8)、n-ノナン(C9)、n-デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)、n-テトラデカン(C14)、n-ヘキサデカン(C16)、及びそれらの混合物に言及してもよい。特定の実施形態に従えば、揮発性の直鎖状アルカンは、n-ノナン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、及びn-テトラデカン、並びにそれらの混合物から選択される。
【0078】
揮発性の直鎖状アルカンは、単独で用いられてもよい。
【0079】
代わりに、又は優先的に、少なくとも2つの異なる揮発性の直鎖状アルカンの混合物が用いられてもよく、これらは少なくとも1個の炭素数nによって互いに異なり、特に1又は2個の炭素数によって互いに異なる。
【0080】
第1の実施形態によれば、10~16個の炭素原子を含み、互いに少なくとも1個の炭素数が異なる、少なくとも2つの異なる揮発性直鎖アルカンの混合物が使用される。その例として、特に、C10/C11、C11/C12、又はC12/C13揮発性直鎖アルカンの混合物を挙げることができる。
【0081】
他の実施形態によれば、10~16個の炭素原子を含み、互いに少なくとも2個の炭素数が異なる、少なくとも2つの異なる揮発性直鎖アルカンの混合物が使用される。その例として、特に、炭素数nが偶数の場合はC10/C12又はC12/C14揮発性直鎖アルカンの混合物、炭素数nが奇数の場合はC11/C13混合物を挙げることができる。
【0082】
好ましい実施形態に従えば、10~16個の炭素原子を含み、そして少なくとも2個の炭素数によって互いに異なる少なくとも2つの異なる揮発性の直鎖状アルカンの混合物、特に、C11/C13の揮発性の直鎖状アルカンの混合物、又はC12/C14の揮発性の直鎖状アルカンの混合物が用いられる。
【0083】
また、本発明に従う、2つを超える揮発性の直鎖状アルカンを組み合わせた他の混合物、例えば、8~16個の炭素原子を含み、そして少なくとも1個の炭素数によって互いに異なる少なくとも3つの異なる揮発性の直鎖状アルカンの混合物が、本発明の一部を形成するが、本発明に従う2つの揮発性の直鎖状アルカンの混合物(二元混合物)が好ましく、前記2つの揮発性の直鎖状アルカンは、好ましくは、混合物中の揮発性の直鎖状アルカンの総含有量の95質量%超、より良好には99質量%超を表す。本発明の特定の実施形態に従えば、揮発性の直鎖状アルカンの混合物において、炭素数が最も少ない揮発性の直鎖状アルカンが混合物中で支配的である。
【0084】
本発明の別の実施形態に従えば、炭素数が最も大きい揮発性の直鎖状アルカンが混合物中で支配的である、揮発性の直鎖状アルカンの混合物が用いられる。
【0085】
本発明の使用に適した混合物の例として、特に、以下の混合物に言及してもよい:
前記混合物中のアルカンの総質量に対して
-50質量%~90質量%、好ましくは55質量%~80質量%、より優先的には60質量%~75質量%の、揮発性のCn直鎖状アルカン(nは8~16である)
-10質量%~50質量%、好ましくは20質量%~45質量%、好ましくは24質量%~40質量%の、揮発性のCn+x直鎖状アルカン(xは1以上であり、好ましくはx=1又はx=2であり、n+xは8~16である)。
【0086】
特に、本発明に従うアルカンの前記混合物は、以下を含有する:
混合物中、
-2質量%未満、好ましくは1質量%未満の分枝状炭化水素、
-及び/又は2質量%未満、好ましくは1質量%未満の芳香族炭化水素、
-及び/又は2質量%未満、好ましくは1質量%未満、優先的には0.1質量%未満の不飽和炭化水素。
【0087】
より詳細には、本発明での使用に適した揮発性の直鎖状アルカンは、n-ウンデカン/n-トリデカンの混合物の形態で用いられてもよい。
【0088】
特に、以下を含む揮発性の直鎖状アルカンの混合物を使用することとする:
前記混合物中のアルカンの総質量に対して
-55質量%~80質量%、好ましくは60質量%~75質量%の揮発性のC11直鎖状アルカン(n-ウンデカン)、
-20質量%~45質量%、好ましくは24質量%~40質量%の揮発性のC13直鎖状アルカン(n-トリデカン)。
【0089】
特定の実施形態に従えば、アルカンの混合物は、n-ウンデカン/n-トリデカンの混合物である。特に、そのような混合物は、国際公開第2008/155059号パンフレットの実施例1又は実施例2に従って得ることができる。
【0090】
本発明の文脈で用いられてもよい揮発性の炭化水素系の油の例として、以下に言及してもよい:
-n-ドデカン、例えばSasolによってリファレンスParafol 12-97の下で販売されている製品;
-n-テトラデカン、例えばSasolによってリファレンスParafol 14-97の下で販売されている製品;
-n-ドデカン及びn-テトラデカンの混合物;
-イソドデカン(C12)、例えばIneos社によって販売されている製品;
-C15~C16分枝状アルカンの混合物、例えばSEPPIC社によってEmogreen L15の名で販売されている製品;
-C13~C15直鎖状アルカン及び/又は分枝状アルカンの混合物、例えばSEPPIC社によってEmosmart L15の名で販売されている製品。
【0091】
揮発性炭化水素系油は、本発明に従う組成物中に、組成物の総質量に対し0.1質量%~90質量%である、好ましくは1質量%~70質量%である、優先的には3質量%~60質量%である、更には3質量%~40質量%である含有量で存在することができる。
【0092】
本発明の特定の実施形態によれば、親油性ポリマー及び揮発性炭化水素系油の質量比は、1:1~1:6の間、好ましくは1:2~1:4の間にある。
【0093】
本発明に従う組成物の脂肪相は、先に定義した揮発性炭化水素系油を含む。これは、少なくとも1つの追加の揮発性又は不揮発性油も含むことができる。
【0094】
「油」という語は、室温(25℃)及び大気圧で液体形態にある任意の脂肪物質を意味する。
【0095】
追加の油は、特に動物又は植物起源の不揮発性炭化水素系油、合成油、シリコーン油、若しくはフルオロ油、又はこれらの混合物とすることができる。
【0096】
本発明の目的のための「シリコーン油」という用語は、少なくとも1つのケイ素原子を含み、特に、少なくとも1つのSi-O基を含む油を意味する。
【0097】
本発明の目的のための「フルオロ油」という用語は、少なくとも1つのフッ素原子を含む油を意味する。
【0098】
不揮発性油
本発明の目的のための「不揮発性油」という用語は、蒸気圧が0.13Pa(0.01mmHg)未満である油を意味する。
【0099】
不揮発性油は、特に、不揮発性炭化水素系油から、又は適切であれば、フルオロ油及び/若しくはシリコーン油から選択することができる。
【0100】
本発明の実施に好適な不揮発性炭化水素系油として、特に、次に示すものを挙げることができる:
- 動物起源の炭化水素系の油、
- 植物起源の炭化水素系の油、例えば、フィトステアリル(phytostearyl)エステル、特に、オレイン酸フィトステアリル(phytostearyl oleate)、イソステアリン酸フィトステアリル(phytostearyl isostearate)、及びラウロイルグルタミン酸(オクチルドデシル/フィトステアリル)(lauroyl/octyl-dodecyl/phytostearyl glutamate)、例えば、味の素株式会社(Ajinomoto)からエルデュウ(Eldew)PS203の名称で販売されているもの、グリセロールの脂肪酸エステルから構成されるトリグリセリド(その脂肪酸はC4~C24の範囲の鎖長を有することができ、これらの鎖は、直鎖又は分岐であっても飽和又は不飽和であってもよく;これらの油は、特に、ヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリドである)、コムギ胚芽油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ゴマ油、トウモロコシ油、アプリコット油、ヒマシ油、シア油、アボカド油、オリーブ油、ダイズ油、アーモンド油、パーム油、ナタネ油、綿実油、ヘーゼルナッツ種子油、マカデミア(macadamia)油、ホホバ油、アルファルファ(alfalfa)油、ケシ(poppy)油、パンプキン(pumpkin)油、マローオイル、ブラックカラント(blackcurrant)油、月見草油、キビ(millet)油、オオムギ(barley)油、キノア(quinoa)油、ライムギ(rye)油、紅花油、キャンドルナッツ(candlenut)油、トウケイソウ(passion flower)油、又はモスカータバラ油;シヤ脂;或いはトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリド、例えば、Stearinerie Dubois社から販売されているもの、又はMiglyol810(登録商標)、812(登録商標)、及び818(登録商標)の名称でDynamit Nobel社から販売されているもの;Fitodermの名称でCognis社から販売されている精製植物性パーヒドロスクワレン(refined vegetable perhydrosqualene);
- 鉱物又は合成起源の炭化水素系の油、例えば:
・10~40個の炭素原子を含む合成エーテル、
・鉱物又は合成起源の直鎖又は分岐の炭化水素、例えば、ワセリン、ポリデセン、水添ポリイソブテン、例えば、Parleam、及びスクワラン、並びにこれらの混合物、特に、水添ポリイソブテン、
・合成エステル、例えば、式R1COOR2(式中、R1は、1~40個の炭素原子を含む直鎖又は分岐脂肪酸の残基を表し、R2は、特に1~40個の炭素原子を含む分岐の炭化水素系の鎖の残基を表し、但しR1+R2は≧10である)の油。
【0101】
エステルは、特に脂肪酸エステル、例えば、次に示すものから選択することができる:
△ 炭酸ジカプリリル(CognisからのCetiol CC)、オクタン酸セトステアリル、イソプロピルアルコールエステル、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ヒドロキシル化エステル、例えば、乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、アジピン酸ジイソプロピル、ヘプタン酸エステル、特に、ヘプタン酸イソステアリル、アルコール又は多価アルコールのオクタン酸エステル、デカン酸エステル、又はリシノール酸エステル、例えば、プロピレングリコールジオクタン酸エステル、オクタン酸セチル、オクタン酸トリデシル、4-ジヘプタン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、安息香酸アルキル、ポリエチレングリコールジヘプタン酸エステル、プロピレングリコール2-ジエチルヘキサン酸エステル、及びこれらの混合物、安息香酸アルコール(C12-15)、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸エステル、例えば、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、イソノナン酸エステル、例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸オクチル、ヒドロキシル化エステル、例えば、乳酸イソステアリル、及びリンゴ酸ジイソステアリル、
△ ポリオールエステル及びペンタエリスリチルエステル、例えば、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、
△ ジオール二量体と二酸二量体とのエステル、例えば、日本精化株式会社(Nippon Fine Chemical)から販売されており、仏国特許出願第0302809号明細書に記載されているラスプラン(Lusplan)DD-DA5(登録商標)及びラスプラン(Lusplan)DD-DA7(登録商標)、
・室温で液体である、12~26個の炭素原子を含む分岐及び/又は不飽和の炭素系鎖を有する脂肪アルコール、例えば、2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール、及び2-ウンデシルペンタデカノール、
・高級脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸、並びにこれらの混合物、
・2つのアルキル鎖が同一であっても異なっていてもよい炭酸ジアルキル、例えば、CognisからCetiol CC(登録商標)の名称で販売されている炭酸ジカプリリル、
・不揮発性シリコーン油、例えば、不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、シリコーン鎖の側鎖及び/又は末端にアルキル基又はアルコキシ基を含み、これらの基がそれぞれ2~24個の炭素原子を含むポリジメチルシロキサン、フェニルシリコーン、例えば、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、及び2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、及び粘度が100cSt以下のジメチコン又はフェニルトリメチコン、並びにこれらの混合物、
- 並びにこれらの混合物。
【0102】
追加の揮発性油
追加の油は、先に定義した揮発性炭化水素系油とは異なる揮発性油とすることができる。
【0103】
用いられてもよい追加的な揮発性の油として、揮発性のシリコーン、例えば、揮発性の直鎖状又は環状のシリコーン油、とりわけ、粘性が≦8センチストーク(8×10-6m2/s)であり、そしてとりわけ2~10個のケイ素原子、特に2~7個のケイ素原子を含むもの(これらのシリコーンは、場合によっては、1~10個の炭素原子を有するアルキル基又はアルコキシ基を含む)が挙げられる。本発明で用いられてもよい揮発性のシリコーン油として、とりわけ、粘性が5及び6cStのジメチコン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、及びドデカメチルペンタシロキサン、並びにそれらの混合物に言及してもよい。
【0104】
また、揮発性のフルオロ油、例えばノナフルオロメトキシブタン又はペルフルオロメチルシクロペンタン、及びそれらの混合物が用いられてもよい。
【0105】
また、先で言及した油の混合物を用いることも可能である。
【0106】
本発明に従う組成物の脂肪相は、1つ又は複数のペースト状脂肪物質も含むことができる。
【0107】
本発明の目的のための「ペースト状脂肪物質」という用語は、固体/液体状態が可逆的に変化し、固体状態において異方性結晶構造を有し、23℃の温度で液体画分及び固体画分を含む親油性脂肪化合物を意味する。
【0108】
換言すれば、ペースト状脂肪物質の溶融開始点は23℃未満とすることができる。ペースト状脂肪物質の液体画分は、23℃で測定した場合、ペースト状脂肪物質の9質量%~97質量%を占めることができる。23℃で液体である画分は、好ましくは、15~85質量%の間、より好ましくは40~85質量%の間を占める。
【0109】
本発明の目的のための融点は、ISO規格11357-3;1999に記載されている熱分析(DSC)により観測される最も高い(most)吸熱ピークの温度に相当する。ペースト状脂肪物質の融点は、例えば、TA Instruments社からMDSC 2920の名称で販売されている熱量計である示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。
【0110】
測定手順は次の通りである:
坩堝に入れたペースト状脂肪物質の試料5mgを、昇温速度を10℃/分とし、-20℃~100℃の範囲で1回目の昇温に付し、次いで100℃から-20℃まで降温速度10℃/分で冷却し、最後に、昇温速度を5℃/分とし、-20℃~100℃の範囲で2回目の昇温に付す。2回目の昇温を行う間、空の坩堝及びペースト状脂肪物質の試料を含む坩堝が吸収したエネルギー(power)の差の変動を温度の関数として測定する。ペースト状脂肪物質の融点は、吸収されたエネルギーの差の変動を温度の関数として表した曲線のピークの先端に相当する温度の値である。
【0111】
ペースト状脂肪物質の23℃における液体画分(質量による)は、ペースト状脂肪物質の融解熱に対する23℃で消費される融解熱の比に等しい。
【0112】
ペースト状脂肪物質の融解熱は、固体状態から液体状態に移行するためにその物質が消費する熱である。ペースト状脂肪物質は、その物体が全て結晶性固体形態にある場合、固体状態にあると言われる。ペースト状脂肪物質は、その物体が全て液体形態にある場合、液体状態にあると言われる。
【0113】
ペースト状脂肪物質の融解熱は、TA Instruments社からMDSC 2920の名称で販売されている熱量計等の示差走査熱量計(DSC)を用いて、ISO規格11357-3:1999に準拠し、5℃又は10℃毎分で昇温した場合に得られるサーモグラムの曲線下面積に等しい。
【0114】
ペースト状脂肪物質の融解熱は、ペースト状脂肪物質を固体状態から液体状態に変化させるために必要なエネルギーの量である。これはJ/gで表される。
【0115】
23℃で消費される融解熱は、試料が固体状態から23℃における状態、即ち液体画分及び固体画分から構成される状態に変化する際に吸収されるエネルギーの量である。
【0116】
32℃で測定されるペースト状脂肪物質の液体画分は、好ましくは、ペースト状脂肪物質の30質量%~100質量%、好ましくはペースト状脂肪物質の50質量%~100質量%、より好ましくは60質量%~100質量%を占める。32℃で測定されるペースト状脂肪物質の液体画分が100質量%である場合、ペースト状脂肪物質の溶融範囲の終点の温度は32℃以下である。
【0117】
ペースト状脂肪物質の32℃で測定される液体画分は、ペースト状脂肪物質の融解熱に対する32℃で消費される融解熱の比に等しい。32℃で消費される融解熱は、23℃で消費される融解熱と同様にして求められる。
【0118】
ペースト状脂肪物質は、好ましくは、合成脂肪物質及び植物起源の脂肪物質から選択される。ペースト状脂肪物質は、植物起源の出発物質から合成することにより得ることができる。
【0119】
ペースト状脂肪物質は、有利には、次に示すものから選択される:
- ラノリン及びその誘導体、
- 次に示すものから選択されるポリオールエーテル:ポリアルキレングリコールのペンタエリスリチルエーテル、糖の脂肪アルキルエーテル、及びこれらの混合物、5つのオキシエチレンユニット(5OE)を含むポリエチレングリコールのペンタエリスリチルエーテル(CTFA名:PEG-5ペンタエリスリチルエーテル(PEG-5 Pentaerythrityl Ether))、5つのオキシプロピレン(5OP)ユニットを含むポリプロピレングリコールペンタエリスリチルエーテル(CTFA名:PPG-5ペンタエリスリチルエーテル(PPG-5 Pentaerythrityl Ether))、及びこれらの混合物、その中でも特に、Vevy社からLanolideの名称で販売されている、PEG-5ペンタエリスリチルエーテル、PPG-5ペンタエリスリチルエーテル、及びダイズ油の混合物(構成成分は、質量比46/46/8:PEG-5ペンタエリスリチルエーテル46%、PPG-5ペンタエリスリチルエーテル46%、及びダイズ油8%の混合物である)、
- 高分子又は非高分子シリコーン化合物、
- 高分子又は非高分子フルオロ化合物、
- ビニルポリマー、特に:
■オレフィンホモポリマー及びコポリマー、
■水添ジエンホモポリマー及びコポリマー、
- 1つ又は複数のC2~C100、好ましくはC2~C50ジオールのポリエーテル化により生成する油溶性ポリエーテル、
- エステル、
- 並びに/又はこれらの混合物。
【0120】
ペースト状脂肪物質は、好ましくは、ポリマー、特に炭化水素系のポリマーである。
【0121】
特に好ましい油溶性ポリエーテルは、C6~C30長鎖アルキレンオキシドを有するエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのコポリマー、より好ましくは、コポリマー中のアルキレンオキシドに対するエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの質量比が5:95~70:30となるものである。この群の中では、特に、例えば長鎖アルキレンオキシドが平均分子量1000~10000であるブロックで配置されているコポリマー、例えば、ポリオキシエチレン/ポリドデシルグリコールブロックコポリマー、例えば、Akzo NobelからElfacos ST9のブランド名で販売されている、ドデカンジオール(22mol)とポリエチレングリコール(45OE)とのエーテルが挙げられる。
【0122】
エステルの中でも、次に示すものが特に好ましい:
- グリセロールオリゴマーのエステル、特に、ジグリセロールエステル、特に、アジピン酸とグリセロールとの縮合物であって、グリセロールのヒドロキシル基の一部を、脂肪酸の混合物、例えば、ステアリン酸、カプリン酸、イソステアリン酸、及び12-ヒドロキシステアリン酸の混合物と反応させたもの、特に、例えば、Sasol社からSoftisan 649のブランド名で販売されている製品、
- AlzoからWaxenol 801のブランド名で販売されているプロピオン酸アラキジル、
- フィトステロールエステル、
- 脂肪酸トリグリセリド及びその誘導体、
- ペンタエリスリチルエステル、
- ジオール二量体と二酸二量体とのエステルであって、適切であれば、その遊離アルコール基又は酸基が酸基又はアルコール基でエステル化されているもの、特に、ダイマージリノール酸エステル;この種のエステルは、特に、次に示すINCI命名法に従うエステルから選択することができる:ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)(bis-behenyl/isostearyl/phytosteryl dimer dilinoleyl dimer dilinoleate)(Plandool G)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)(phytosteryl isostearyl dimer dilinoleate)(Lusplan PI-DA、Lusplan PHY/IS-DA)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)(phytosteryl/isosteryl/cetyl/stearyl/behenyl dimer dilinoleate)(Plandool H又はPlandool S)、及びこれらの混合物、
- マンゴー種子脂(mango butter)、例えば、AarhusKarlshamn社からリファレンスLipex 203の下で販売されている製品、
- 水添ダイズ油、ヤシ核油、ナタネ油、植物油の混合物、例えば、水添ダイズ油、ヤシ核油、パーム油、及びナタネ植物油の混合物、例えば、AarhusKarlshamn社によってリファレンスAkogel(登録商標)の下で販売されている混合物(INCI名:水添野菜油(Hydrogenated Vegetable Oil))、
- シヤ脂、特に、INCI名がButyrospermum parkii Butterである製品、例えば, AarhusKarlshamn社からリファレンスSheasoft(登録商標)の下で販売されている製品、
- カカオ脂、特に、CT Cocoa Butter Deodorizedの名称でDutch Cocoa BV社から販売されている製品又はBeurre De Cacao NCB HD703 758の名称でBarry Callebaut社から販売されている製品、
- サル脂、特に、Dub Shorea Tの名称でStearinerie Dubois社から販売されている製品、
- 並びにこれらの混合物。
【0123】
好ましい実施形態によれば、ペースト状脂肪物質は、シヤ脂、カカオ脂、サル脂、水添ダイズ油、ヤシ核油、パーム油、及びナタネ植物油の混合物、並びにこれらの混合物、より詳細には上に言及したものから選択される。
【0124】
本発明に従う組成物の脂肪相は、少なくとも1つのワックスも含むことができる。
【0125】
本発明の文脈で考慮されているワックスは、一般に、室温(25℃)で変形可能であるか又は変形しない固体であり、固体/液体の状態変化が可逆的であり、融点が30℃以上であり、200℃まで、特に120℃までの範囲にある親油性化合物である。
【0126】
本発明に従い、1つ又は複数のワックスを液体状態(溶融)にすることで、1つ又は複数の油と混和させ、巨視的に均質なワックス+油混合物を形成することが可能になるが、前記混合物の温度を室温に戻すと、混合物の油中のワックスが再び結晶化する。
【0127】
本発明の目的のための融点は、ISO規格11357-3;1999に記載されている熱分析(DSC)において観測される最も高い吸熱ピークの温度に相当する。ワックスの融点は、例えば、TA Instruments社からMDSC 2920の名称で販売されている熱量計等の示差走査熱量計(DSC)を使用して測定することができる。
【0128】
測定手順は次の通りである:
坩堝に入れたワックスの試料5mgを、昇温速度を10℃/分として、-20℃~100℃の範囲で1回目の昇温に付し、次いで100℃から-20℃まで降温速度10℃/分で冷却し、最後に、昇温速度を5℃/分として-20℃~100℃の範囲の2回目の昇温に付す。2回目の昇温を行う間、空の坩堝及びワックスの試料を含む坩堝が吸収したエネルギーの差の変動を温度の関数として測定する。化合物の融点は、吸収されたエネルギーの差の変動を温度の関数として表した曲線のピークの先端に相当する温度の値である。
【0129】
本発明に従う組成物に使用することができるワックスは、室温で固体であり、動物、植物、鉱物、又は合成起源のもの及びこれらの混合物であるワックスから選択される。これらは炭化水素系ワックス、フルオロワックス、及び/又はシリコーンワックスとすることができる。
【0130】
特に、炭化水素系ワックスの例として、例えば、天然のミツロウ(又は脱色ミツロウ)、合成ミツロウ、カルナウバワックス、コメヌカロウ、例えば、セラリカNoda(Cera Rica Noda)社からリファレンスNC1720の下で販売されている製品、キャンデリラロウ、例えば、Strahl&Pitsch社からリファレンスSP 75 Gの下で販売されている製品、マイクロクリスタリンワックス、例えば、融点が85℃を超えるマイクロクリスタリンワックス、例えば、日本精蝋株式会社(Nippon Seiro)から販売されている製品であるHI-MIC(登録商標)1070、1080、1090、及び3080、セレシン又はオゾケライト、例えば、融点が40℃未満であるイソパラフィン、例えば、日本精蝋株式会社(Nippon Seiro)から販売されている製品であるEMW-0003、α-オレフィンオリゴマー、例えば、New Phase Technologies社から販売されているPerformaV(登録商標)825、103、及び260ポリマー;エチレン/プロピレンコポリマー、例えば、Performalene(登録商標)EP 700、ポリエチレンワックス(好ましくは、分子量が400~600の間にあるもの)、フィッシャー・トロプシュワックス、Koster Keunen社からリファレンスsunflower waxの下で販売されているヒマワリ種子ロウを挙げることができる。
【0131】
シリコーンワックス、例えば、16~45個の炭素原子を含むアルキル又はアルコキシジメチコン及びフルオロワックスを挙げることができる。
【0132】
特定の実施形態によれば、本発明に従う組成物に使用されるワックスの融点は35℃を超え、より良好には40℃を超え、一層良好には45℃を超えるか又は55℃を超える。
【0133】
好ましい実施形態によれば、ワックスは、ポリメチレンワックス;Dow Corning 2501 Cosmetic Waxの名称でDow Corning社から販売されているシリコーンワックス(INCI名:ビスPEG-18メチルエーテルジメチルシラン(bis-PEG-18 methyl ether dimethyl silane));ミツロウ;植物性ワックス、例えば、カルナウバワックス;Gattefosse社からHydracire Sの名称で販売されているポリグリセロール化(3mol)植物性(ミモザ/ホホバ/ヒマワリ)ワックスの混合物、Cray Valley社からAntisettle CVPの名称で販売されている水添ヒマシ油から選択される。
【0134】
脂肪相中に存在することができる他の脂肪物質は、例えば、8~30個の炭素原子を含む脂肪酸、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、又はパルミチン酸;8~30個の炭素原子を含む脂肪アルコール、例えば、ステアリルアルコール又はセチルアルコール及びこれらの混合物(セテアリルアルコール)である。
【0135】
脂肪相は、油中に溶解した他の化合物、例えば、ゲル化剤及び/又は構造化剤も含むことができる。
【0136】
これらの化合物は、特に、ガム類、例えば、シリコーンガム(ジメチコノール);シリコーン樹脂、例えば、トリフルオロメチルアルキル(C1-C4)ジメチコン及びトリフルオロプロピルジメチコン、並びにシリコーンエラストマー、例えば、KSGの名称で信越化学工業株式会社(Shin-Etsu)から販売されている製品、Trefilの名称でDow Corning社から販売されている製品、又はGransilの名称でGrant Industriesから販売されている製品;並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0137】
これらの脂肪物質は、例えば、粘稠性又は質感という意味の所望の特性を有する組成物を調製するために、当業者によって様々な方式で選択することができる。
【0138】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、少なくとも1つの固体脂肪物質、特にワックスを含む。
【0139】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、シリコーン化合物、例えば、シリコーン脂肪物質、特にシリコーン油を、組成物の総質量に対し5質量%未満、特に2質量%未満、更には1質量%未満、一層良好には0.5質量%未満含む。好ましくは、組成物はシリコーン化合物を含まない。
【0140】
本発明に従う組成物は、局所的適用に従来使用されている様々な提供形態、特に、美容液型の分散液、脂肪相を水性相中に分散させるか(O/W)若しくはその逆(W/O)により得られる、液状若しくは半液状の粘稠性を有する乳液型のエマルジョン、又は軟質、半固体、若しくは固体の粘稠性を有するクリーム若しくはゲル型の懸濁液若しくはエマルジョン、或いは多相エマルジョン(W/O/W又はO/W/O)、マイクロエマルジョン、又はイオン性及び/若しくは非イオン性のベシクルの分散液の形態とすることができる。これらの組成物は、通常の方法に従い調製することができる。
【0141】
更に、本発明に従い使用される組成物は、ある程度流体状とすることができ、ゲル、白色若しくは有色のクリーム、軟膏、乳液、美容液、ペースト、又は泡沫の外観を有することができる。
【0142】
特定の実施形態によれば、本発明に従う組成物は無水組成物の形態にある。
【0143】
本発明の目的のための「無水」という用語は、前記組成物の総質量に対し水を1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下の含有量で含むか、又は水を含まない場合さえある組成物を指す。適切であれば、このような少量の水は、特に、組成物の成分により導入されたものであってもよく、組成物はその残存量を含み得る。
【0144】
他の特定の実施形態によれば、本発明に従う組成物は、連続油性相と、前記油性相中に分散した水性相とを含む油中水型エマルジョン形態にあるか、又は連続水性相と前記水性相中に分散した油性相とを含む水中油型エマルジョンの形態にある。
【0145】
組成物が無水組成物の形態にある場合、脂肪相の比率は、例えば、組成物の総質量に対し30質量%~99質量%、好ましくは50質量%~90質量%であることができる。
【0146】
組成物がエマルジョン形態にある場合、脂肪相の比率は、例えば、組成物の総質量に対し1質量%~80質量%、好ましくは5質量%~40質量%であることができる。
【0147】
これらの指示された量に、親油性界面活性剤の含有量は含まれない。
【0148】
水性相
本発明に従う組成物がエマルジョン形態にある場合、水性相は少なくとも水を含む。組成物の提供形態に応じて、水性相の量は、組成物の総質量に対し0.1質量%~99質量%、好ましくは0.5質量%~98質量%、より良好には30質量%~95質量%、一層良好には40質量%~95質量%であることができる。この量は、所望の組成物の提供形態に依存する。水の量は、水性相の全部又は一部を占めることができ、一般に、組成物の総質量に対し少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも50質量%、より良好には少なくとも60質量%である。
【0149】
水性相は、少なくとも1つの親水性溶媒、例えば、1~8個の炭素原子を含む、実質的に直鎖又は分岐の低級1価アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、又はイソブタノール;ポリオール、例えば、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、及びこれらの誘導体;並びにこれらの混合物を含むことができる。
【0150】
本発明に従うエマルジョンは、単独で又は混合物として使用される、両性、アニオン性、カチオン性、及び非イオン性乳化剤から選択される少なくとも1つの乳化剤を含むことができる。乳化剤は、取得すべきエマルジョン(W/O又はO/Wエマルジョン)に応じた適切な形で選択される。
【0151】
乳化剤は、一般に、組成物中に、活性材料として、組成物の総質量に対し0.1質量%~30質量%、好ましくは0.2質量%~20質量%であるの比率で存在する。
【0152】
W/O型エマルジョンの場合、乳化剤の例として、ジメチコンコポリオール、例えば、Dow Corning社からDC 5225 Cの名称で販売されているシクロメチコンとジメチコンコポリオールとの混合物、信越化学工業株式会社(Shin-Etsu)からKF 60117の名称で販売されているオキシエチレン化ポリジメチルシロキサンであるPEG-10ジメチコン、アルキルジメチコンコポリオール、例えば、Dow Corning社からDow Corning 5200 Formulation Aidの名称で販売されているラウリルメチコンコポリオール、及びGoldschmidt社からAbil EM 90(登録商標)の名称で販売されているセチルジメチコンコポリオール、又はGoldschmidt社からAbil WE 09の名称で販売されているイソステアリン酸ポリグリセリル-4/セチルジメチコンコポリオール/ラウリン酸ヘキシルの混合物を挙げることができる。1つ又は複数の共乳化剤をそこに添加することもできる。共乳化剤は、有利には、ポリオールアルキルエステルからなる群から選択することができる。ポリオールアルキルエステルとして、特に、グリセロール及び/又はソルビタンエステル、例えば、イソステアリン酸ポリグリセリル、例えば、Goldschmidt社からIsolan GI 34の名称で販売されている製品、イソステアリン酸ソルビタン、例えば、ICI社からArlacel 987の名称で販売されている製品、イソステアリン酸ソルビタングリセリル、例えば、ICI社からArlacel 986の名称で販売されている製品、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0153】
O/Wエマルジョン用の乳化剤の例として、非イオン性界面活性剤、特に、例えば、8~24個の炭素原子、より良好には12~22個の炭素原子を含む飽和又は不飽和鎖を有するポリオールと脂肪酸とのエステル及びそのオキシアルキレン化誘導体、即ちオキシエチレン及び/又はオキシプロピレンユニットを含む誘導体、例えば、C8~C24脂肪酸のグリセリルエステル及びそのオキシアルキレン化誘導体;C8~C24脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、C8~C24脂肪酸のソルビトールエステル、及びそのオキシアルキレン化誘導体;脂肪アルコールエーテル;C8~C24脂肪アルコールの糖エーテル;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0154】
脂肪酸のグリセリルエステルとしては、特にステアリン酸グリセリル(モノステアリン酸、ジステアリン酸、及び/又はトリステアリン酸グリセリル)(CTFA名:ステアリン酸グリセリル(glyceryl stearate))又はリシノール酸グリセリル、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0155】
脂肪酸のポリエチレングリコールエステルとしては、特に、ポリエチレングリコールステアリン酸エステル(ポリエチレングリコールモノステアリン酸、ジステアリン酸、及び/又はトリステアリン酸エステル)を挙げることができ、その中でも特に、モノステアリン酸ポリエチレングリコール50OE(CTFA名:ステアリン酸PEG-50(PEG-50 stearate))及びモノステアリン酸ポリエチレングリコール100OE(CTFA名:ステアリン酸PEG-100(PEG-100 stearate))並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0156】
これらの界面活性剤の混合物、例えば、ステアリン酸グリセリル及びステアリン酸PEG-100を含む、Uniqema社からArlacel 165の名称で販売されている製品、並びにステアリン酸グリセリル(モノ-ジステアリン酸グリセリル)及びステアリン酸カリウムを含む、Goldschmidt社からTeginの名称で販売されている製品(CTFA名:ステアリン酸グリセリルSE(glyceryl stearate SE))も使用することができる。
【0157】
脂肪アルコールエーテルの例として、8~30個の炭素原子、特に10~22個の炭素原子を含む脂肪アルコールのポリエチレングリコールエーテル、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、又はセテアリルアルコール(セチルアルコール及びステアリルアルコールの混合物)のポリエチレングリコールエーテルを挙げることができる。例えば、1~200個、好ましくは2~100個のオキシエチレン基を含むエーテル、例えば、CTFA名がセテアレス-20(Ceteareth-20)又はセテアレス-30(Ceteareth-30)であるもの及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0158】
糖モノ-又はポリアルキルエステル又はエーテルの例として、Degussa Goldschmidt社からIsolan-ISの名称で販売されているイソステアリン酸メチルグルコース、又はCroda社からCrodesta F50の名称で販売されているジステアリン酸スクロース及び三菱ケミカルフーズ株式会社(Mitsubishi Kagaku Foods)からリョートーシュガーエステル(Ryoto sugar ester)S 1570の名称で販売されているステアリン酸スクロースを挙げることができる。
【0159】
リポアミノ酸及びその塩、例えば、アシルグルタミン酸モノナトリウム及びジナトリウム、例えば、味の素株式会社(Ajinomoto)からアミソフト(Amisoft)HS-11PFの名称で販売されているステアロイルグルタミン酸モノナトリウム、及びアミソフト(Amisoft)HS-21Pの名称で販売されているステアロイルグルタミン酸ジナトリウムも挙げることができる。
【0160】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、乳化性界面活性剤を組成物の総質量に対し5質量%未満、特に2質量%未満、更には1質量%未満、一層良好には0.5質量%未満含む。好ましくは、組成物は、乳化性界面活性剤を含まない。
【0161】
知られている方法で、本発明の組成物は全て、化粧品及び皮膚科学において一般的であるアジュバント:親水性又は親油性のゲル化剤及び/又は増粘剤;モイスチャライザ;皮膚軟化剤;親水性又は親油性の活性剤;フリーラジカルスカベンジャ;封鎖剤;抗酸化剤;保存剤;塩基性化剤又は酸性化剤;芳香剤;皮膜形成剤;フィラー;並びにそれらの混合物の1つ以上を含んでもよい。
【0162】
これらの種々のアジュバントの量は、考慮中の分野において従来通りに用いられているものである。特に、活性剤の量は、所望の目的及び対象の分野における従来の使用量に応じて変化し、例えば、組成物の総質量に対し0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%である。
【0163】
活性剤
言及されてもよい活性剤の非限定的な例として、アスコルビン酸及びその誘導体、例えば5,6-ジ-O-ジメチルシリルアスコルベート(Exsymol社によってリファレンスPRO-AAの下で販売されている)、dl-アルファ-トコフェリル-2l-アスコルビルホスフェートのカリウム塩(千寿製薬株式会社によってリファレンスSepivital EPCの下で販売されている)、アスコルビルマグネシウムホスフェート、アスコルビルナトリウムホスフェート(Roche社によってリファレンスStay-C 50の下で販売されている);フロログルシノール;酵素;並びにそれらの混合物が挙げられる。本発明の好ましい実施形態に従えば、酸化感受性の親水性活性剤のうち、アスコルビン酸が使用される。アスコルビン酸は、あらゆる天然のものであってよい。ゆえに、粉末形態、又はオレンジジュース、好ましくはオレンジジュース濃縮物形態の天然起源のものであってもよい。また、好ましくは粉末形態の、合成起源のものであってもよい。
【0164】
本発明の組成物に使用することができる他の活性剤の例として、保湿剤、例えば、タンパク質加水分解物、及びポリオール、例えば、グリセロール、グリコール、例えば、ポリエチレングリコール;天然抽出物;抗炎症剤;プロアントシアニジンオリゴマー;ビタミン類、例えば、ビタミンA(レチノール)、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンB5(パンテノール)、ビタミンB3(ナイアシンアミド)、これらのビタミン類の誘導体(特にエステル)、及びこれらの混合物;尿素;カフェイン;美白剤、例えば、コウジ酸、ヒドロキノン、及びカフェイン酸;サリチル酸及びその誘導体;アルファ-ヒドロキシ酸、例えば、乳酸及びグリコール酸、並びにこれらの誘導体;レチノイド、例えば、カロテノイド及びビタミンA誘導体;ヒドロコルチゾン;メラトニン;藻、真菌、植物、酵母、又は細菌抽出物;ステロイド類;抗菌活性剤、例えば、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル(又はトリクロサン)、3,4,4’-トリクロロカルバニリド(又はトリクロカルバン)並びに上述の酸、特に、サリチル酸及びその誘導体;艶消し剤、例えば、繊維;引き締め剤(tensioning agent);UVスクリーニング剤、特に、有機UVスクリーニング剤;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0165】
言うまでもなく、当業者であれば、本発明に従う組成物に加えられる任意選択のアジュバントを、本発明に従う組成物と内因的に関連する有利な特性が、想定される付加によって悪影響を受けない、又は実質的に受けないように選択するよう注意することとなる。
【0166】
以下に示す実施例により本発明をより明確に理解することが可能となるであろうが、これらは限定する性質を有するものではない。指示された量は、他に記載のない限り、出発物質の質量パーセンテージである。化合物の名称は化学名又はINCI名で表す。
【実施例】
【0167】
親油性ポリマーの合成例
ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)による分子量の判定:
ポリマーの10mg/mlテトラヒドロフラン溶液を調製することによって、サンプルを調製する。サンプルを、54℃のオーブン内に10分間置いてから、振動シェーカー内に60分間置いて、溶解を促進させる。視覚による精査の後に、サンプルは、溶媒中に完全に溶解したように見える。
【0168】
調製したサンプルを、2つのpolypore 300×7.5mmカラム(Agilent Technologies製)、Waters 2695クロマトグラフィ系、テトラヒドロフラン移動相、及び屈折率による検出を用いて分析した。サンプルを、0.45μmナイロンフィルタで濾過してから、液体クロマトグラフ中に注入した。較正に用いた標準は、Agilent TechnologiesのEasi Vial狭ポリスチレン(PS)標準である。
【0169】
2520000~162ダルトンであるポリスチレン標準を、較正に用いた。
【0170】
当該系は、PSS SECcurity 1260 RI検出器を備えている。ポリスチレン較正曲線を用いて、平均分子量を判定した。ダイアグラムの記録、及び種々の分子量の判定を、Win GPC Unichrom 81プログラムによって実行した。
【0171】
示差走査熱量測定(又はDSC)による融点の判定:
この方法は、示差走査熱量測定によってポリマーの融点を判定するための一般的な手順を記載する。この方法は、規格ASTM E791及びASTM D 34182に基づき、DSC較正は、規格ASTM E 9672に従って実行される。
【0172】
ベヘニルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー(ポリマー1):
横方向に延びる羽根を有する撹拌機(side-blade mixer)、内部温度計、2個の漏斗、環流冷却器、及び2個の他の連結部(neck)への延長部分を備えた4ツ口フラスコ内にイソプロパノール40gを装入し、窒素を20分間通気することにより系内から酸素を除去した後、ベヘニルアクリレート175g、2-ヒドロキシエチルアクリレート25g、及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(Akzo Nobel)0.4gを、撹拌しながら80℃で60分間かけて加えた。混合物を80℃で3時間撹拌した。次いで溶媒を真空蒸留により除去し、次いで過酸化ジラウリル1gを加えて反応を110℃で60分間継続した。このステップを繰り返した。次いで混合物を90℃に冷却し、脱イオン水流を加え、次いで混合物を撹拌した。水を真空蒸留により除去した。
分子量:Mn=7300g/mol、Mw=21000、Mw/Mn=2.8
融点:65℃
【0173】
配合例
組成物の皮膚への吸収速度を、ケア用製品の描写に関し訓練を受けた8人の熟練したパネルにより評価する。官能評価を次に示すように実施する:製品0.05mlを手の甲に適用し、製品が完全に浸透するまでに要する時間を評価する。
【0174】
吸収速度を4段階で記録する:非常に遅い、普通、速い、非常に速い。
【0175】
比較例1
次に示す組成物を調製した。
【0176】
【0177】
【0178】
手順:
相Aの構成成分をビーカーに秤量した後、全体を水浴で80℃に加熱する。
【0179】
相Cの構成成分を別のビーカーに秤量した後、キサンタンガム(相B)を、分散機(deflocculator)(例えば、Rayneriブレンダー)を用いて均質な混合物が得られるまで撹拌しながら、霧雨のように散布する。全体を80℃に加熱する。
【0180】
相Cの構成成分を、ローター/ステーター型の乳化装置(例えば、Rayneriブレンダー)を用いて相Aに3000rpmの速度で撹拌しながら添加し、全体の冷却を開始する。相Dを50℃で加え、次いで2500rpmに減速する。撹拌しながら冷却を18~20℃になるまで継続する。流体状の白色エマルジョンを得る。
【0181】
こうして得られた組成物を、室温で24時間経過した後に評価する。
【0182】
観察:
特許請求した親油性ポリマー(ポリマー1)を揮発性炭化水素と組み合わせた組成物A、B、及びC(本発明による組成物)は均質なエマルジョン形態にあり、適用時に粒状物は認識されず、脂っぽい皮膜が残ることもなく、適用しやすく、皮膚に非常に速やかに吸収される。
【0183】
特許請求した親油性ポリマー(ポリマー1)を揮発性シリコーン油と組み合わせた組成物D(比較組成物)は不安定であり、均質性が低く、肉眼で認識できる粒状物を有しており、これは不安定性/揮発性油及び親油性ポリマーの非相溶性の現れである。
【0184】
本発明の一部を構成しない親油性ポリマー(Evonik Materials Netherlands B.V.からのIntelimer IPA 13-6 Polymer)を揮発性炭化水素と組み合わせた組成物E(比較組成物)の場合、エマルジョンを調製することができず、肉眼で認識できるかなりの結晶化が認められる。試験品は均質ではなく、化粧品として許容することができず、組成物は多くの粒状物を含んでいる。
【0185】
特許請求したポリマー(ポリマー1)を不揮発性鉱物油と組み合わせた組成物F(比較組成物)は均質なエマルジョン形態にある。しかしながら、皮膚に適用すると、組成物は脂っぽい皮膜を残し、適用が容易ではなく、皮膚へは非常にゆっくりとしか吸収されない。
【0186】
比較例2
以下に示す組成物を調製した。
【0187】
【0188】
手順:
相Aの構成成分をビーカーに秤量した後、全体を水浴で80℃に加熱する。
【0189】
相Cの構成成分を別のビーカーに秤量した後、分散機(例えば、Rayneriブレンダー)を用いて均質な混合物が得られるまで撹拌しながら、キサンタンガム(相B)を霧雨のように散布する。全体を80℃に加熱する。
【0190】
相Cの構成成分を、ローター/ステーター型の乳化装置を用いて3000rpmの速度で撹拌しながら相Aに添加し(例えば、Rayneriブレンダー)、全体の冷却を開始する。50℃で相Dを加えた後、撹拌を2500rpmに減速する。撹拌しながら冷却を18~20℃になるまで継続する。流体状の白色のエマルジョンを得る。
【0191】
こうして得られた組成物を室温で24時間経過した後に評価する。
【0192】
観察
特許請求した親油性ポリマー(ポリマー1)を揮発性炭化水素と組み合わせた組成物G(本発明に従う組成物)は均質なエマルジョン形態にあり、適用時に粒状物を認識せず、脂っぽい皮膜が残らず、適用が容易であり、皮膚に速やかに吸収される。
【0193】
特許請求したポリマー(ポリマー1)を不揮発性炭化水素と組み合わせた組成物H(比較組成物)は均質なエマルジョンの形態にある。しかしながら、皮膚に適用すると組成物の脂っぽい皮膜が残り、適用が容易ではなく、皮膚に非常にゆっくりとしか吸収されない。
【0194】
比較例3
次に示す組成物を調製した。
【0195】
【0196】
手順:
相Aの構成成分をビーカーに秤量した後、全体を水浴で80℃に加熱する。
【0197】
相Cの構成成分を別のビーカーに秤量した後、分散機(例えば、Rayneriブレンダー)を用いて均質な混合物が得られるまで撹拌しながら、キサンタンガム(相B)を霧雨のように散布する。全体を80℃に加熱する。
【0198】
相Cの構成成分を、ローター/ステーター型の乳化装置(例えば、Rayneriブレンダー)を用いて相Aに3000rpmの速度で撹拌しながら添加し、全体の冷却を開始する。相Dを50℃で加え、次いで2500rpmに減速する。撹拌しながら冷却を18~20℃になるまで継続する。流体状の白色エマルジョンを得る。
【0199】
こうして得られた組成物を室温で24時間経過した後に評価する。
【0200】
観察:
特許請求された親油性ポリマー(ポリマー1)を揮発性炭化水素と組み合わせた組成物I(本発明従う組成物)は均質なエマルジョン形態にあり、適用時に粒状物を認識せず、脂っぽい皮膜が残らず、適用が容易であり、皮膚に非常に速やかに吸収される。
【0201】
本発明の一部を構成しない親油性ポリマー(Evonik Materials Netherlands B.V.からのIntelimer IPA 13-6 Polymer)を揮発性炭化水素と組み合わせた組成物J(比較組成物)の場合、エマルジョンを調製することができず、肉眼で認識できるかなりの結晶化が認められ、試験品は均質ではなく、化粧品として許容することができず、組成物は多くの粒状物を含んでいる。
【0202】
例示的実施例
【0203】
【0204】
【0205】
【0206】
【0207】
【0208】
【0209】
【0210】
例示的な実施例において上に記載した、特許請求した親油性ポリマー(ポリマー1)を揮発性炭化水素と組み合わせた組成物K、L、M、N、O、P、及びQ(本発明に従う組成物)は、滑らか且つ均質な組成物の形態にあり、皮膚に適用する際に粒状物を認識せず、脂っぽい皮膜が残らず、適用が容易であり、皮膚に速やかに吸収される。