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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】肺送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/06 20060101AFI20221108BHJP
   A24F 40/30 20200101ALI20221108BHJP
【FI】
A61M15/06 A
A24F40/30
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020529836
(86)(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-15
(86)【国際出願番号】 IB2018055626
(87)【国際公開番号】W WO2019030602
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】1712749.9
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1714880.0
(32)【優先日】2017-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520045594
【氏名又は名称】トウェンティー・シックスティーン(2016)・ファーマ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガラガー、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】パンディア、アナント
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/079197(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106659250(CN,A)
【文献】特表2016-501588(JP,A)
【文献】国際公開第2016/179376(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/00
A24F 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マウスピースを組み込む肺送達デバイスであって、
前記デバイスは、
ある量の第1流体を熱的に気化させて相対的に温かく湿った第1蒸気を形成するように適合された加熱要素を持つ第1チャンバを有する本体と、
出口と、
前記出口を介して本体に接続可能な前記マウスピースと、を含み、
前記マウスピースは、
前記第1蒸気の通路のための前記本体の前記第1チャンバへの延長部を含み、かつ
少なくとも1つの香料又は芳香の受け取りのために適合された第2チャンバを有し、
前記第2チャンバは、選択的に又は連続的に空気と流体連通して、加熱することなくある量の香料又は芳香を霧化するためのパッシブアトマイザーを提供し、
前記香料又は芳香は、前記第2チャンバを通して空気を吸うことによって吸入されることを特徴とする前記デバイス。
【請求項2】
前記香料は、前記第2チャンバ内に固体又は半固体の形態で提供される請求項1に記載の肺送達デバイス。
【請求項3】
前記第2チャンバを通過する流体の量が選択的に調節可能である請求項1又は2に記載の肺送達デバイス。
【請求項4】
記マウスピースは、前記本体に可逆的に取り外し可能である請求項1~のいずれか1項に記載の肺送達デバイス。
【請求項5】
記第2チャンバは、少なくとも部分的に前記第1チャンバへの前記延長部を囲む請求項1~4のいずれか1項に記載の肺送達デバイス。
【請求項6】
前記マウスピースは、前記第1チャンバを提供する中央の延長部と同心円外側の第2チャンバとを含み、前記第2チャンバは、少なくとも1つの空気入口を有する請求項に記載の肺送達デバイス。
【請求項7】
記第2チャンバは、前記少なくとも1つの空気入口を有するフランジで終端し、前記フランジは、前記肺送達デバイスの前記本体の上面に受けられる請求項1~6のいずれか1項に記載の肺送達デバイス。
【請求項8】
環状のフランジは、前記マウスピースの前記第1チャンバを提供する前記延長部から横方向に延び、前記フランジは、前記第1チャンバを囲む前記第2チャンバへの前記少なくとも1つの空気入口を有する請求項4~6のいずれか1項に記載の肺送達デバイス。
【請求項9】
複数の空気入口が前記第2チャンバ内に設けられ、前記空気入口を通る空気の進入は調節可能であり、前記第2チャンバ内に開いている前記空気入口の数及び/又はサイズは調節可能である請求項1~8のいずれか1項に記載の肺送達デバイス。
【請求項10】
前記マウスピースは2つの部分を含み、第1部分は前記中央の第1チャンバを形成し、前記第1チャンバの少なくとも一部は、第1部分を囲む第2部分によって形成される第2チャンバと流体連通する空気入口を含み、第1部分及び第2部分は、互いに対して少なくとも部分的に回転可能であり、第1部分に設けられた1つ又は複数の空気入口の閉鎖又は開放をもたらす請求項に記載の肺送達デバイス。
【請求項11】
前記マウスピースは、空気入口の一部を同時に選択的に閉じるための手段を含請求項1~10のいずれか1項に記載の肺送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、肺送達デバイスに関し、特にニコチン、カンナビノイド、ペプチド、タンパク質及び他の肺送達可能な薬剤などの活性分子及び/又は薬剤をユーザに送達するのに適した肺送達デバイス、並びに他の蒸発製品に関するが、これに限定されない。
【0002】
技術分野
肺送達デバイスは、薬や薬剤をユーザの肺に直接送達できるため、現代医学で広く使用されている。さらに、経口送達システムの場合のように、肺に送達された薬剤は、身体の代謝を介するのではなく、血流に直接入るので、特に鎮痛又薬離脱用途での薬剤の利点は、ユーザによってほぼすぐに感じられる。肺送達デバイスのもう1つの大きな利点は、針を使用せずに薬を送達できることである。
【0003】
既存の肺送達システムは、吸入スプレー、ネブライザー、肺や蒸気送達システムによって吸入されるミストの形態で投与される定量吸入器を含む、様々な形態をとり、それにより、薬剤が吸入可能な蒸気(多くの場合、水を含む蒸気)に混合される。
【0004】
蒸気タイプの肺送達システムは、所望の薬剤が混合されるキャリア液体、多くの場合水又は水-グリコール混合物(蒸気形態のときに水滴を安定化するグリコール)を含む。キャリア液体は、ノズルを通して噴霧するなどの様々な方法で気化させることができるが、多くの場合、それは単に加熱されて、キャリア液体及び所望の薬剤を含む蒸気を形成する。次に、得られた蒸気をユーザが吸入して、薬剤を送達する。しかしながら、薬剤の加熱は、望ましくない副産物が形成され、従ってユーザによって吸入される可能性がある。これはまた、吸入される薬剤の投与量の精度を低下させる可能性がある。
【0005】
蒸気タイプの肺送達システムの例は、ユーザが吸入するためにニコチンを蒸発させる電子シガレットである。ニコチン溶液(「e-液体」)は、(多くの場合、取り外し可能なカートリッジの形態で)容器に設けられ、芯に沿って加熱要素に通じ、そこで気化してユーザが吸入することができる。一般に、バッテリーなどの電源に接続されたある長さの抵抗線が、芯の周りに巻かれている。ワイヤが作動して熱くなると、e-液体が蒸気に変わり、ユーザが吸入する。そのようなデバイスは、通常のタバコシガレットを吸うときよりもはるかに少なく、安全な成分がユーザによって吸入されるため、従来のシガレットを吸うよりも明らかに有利である。しかしながら、常連のユーザは、電子シガレットが従来のタバコシガレットのように「その場でヒットする」ことはないことに気付いた。これは、湿った蒸気がユーザの口で急速に凝縮し、ニコチン吸収の大部分が、鼻、喉及び肺の気道の粘膜を介して行われる。対称的に、従来の喫煙では、ニコチンは肺に直接流れ込み、血流への迅速な吸収と対応する「迅速なヒット」をもたらす。
【0006】
代替のタイプの電子シガレットは、霧化吸入器である。このタイプのデバイスは、加熱された蒸気の代わりに冷たい加圧蒸気を使用するため、ニコチンのより良い、より迅速な吸収を提供し、それにより、鼻と喉の粘膜における蒸気の有意の凝縮を回避する。しかしながら、このタイプのデバイスによって提供される冷たくて乾燥した感覚は、全体的な経験が従来のシガレットの喫煙と大きく異なり、そのようなデバイスは、蒸発タイプの電子シガレットよりも人気が低く、コンプライアンスが全くないか不十分である。
【0007】
出願人の同時に係属しているPCT特許公開WO2015/079197号は、ある量のキャリア液体を熱的に気化させて加熱された第1蒸気を形成するように適合された第1熱源を有する第1チャンバと、第2流体を加熱することなく、活性分子又は薬剤を含むある量の第2流体を霧化して、第1蒸気より低温の第2蒸気のミストを形成するように適合された第2チャンバと、使用中に、ユーザが第1蒸気及び第2蒸気の混合物を吸入することができる出口とを設けることによって、この問題に対する解決策を提供する。このようにして、第2蒸気に含まれる活性分子の迅速な吸収が達成されると同時に、「温かい」第1液体の蒸気によって提供される吸入に対して望ましい熱感覚がユーザに提供される。
【0008】
電子ニコチン送達システム(ENDS)は、多くの場合、気化したニコチンとともに香料を送達するために提供される。しかしながら、オイルなどの香料の成分を吸入するリスクがあるため、気化したり、肺に送達されたりすると、発がん性を生じる可能性があるという問題がある。さらに、システムの本体のキャリーオーバー又は汚染なしに、システムの香料を変更することは困難である。コーヒー、タバコ、ミント及びフルーツ香料は、その特徴的な芳香のために交替が難しいことがよくある。現在、香料は、デバイスの本体を汚染するプロピレングリコール/水キャリア液体の不可欠な部分を形成している。
【0009】
本発明の目的は、上記の欠点を克服する、又は少なくとも軽減する、改善された肺送達デバイスを提供することである。
【0010】
発明の概要
従って、本発明は、ある量の第1流体を熱的に気化させて相対的に温かく湿った第1蒸気を形成するように適合された第1チャンバと、第2流体を加熱することなく、ある量の第2流体を霧化して相対的に冷たい第2蒸気のミストを形成するように適合された第2チャンバと、使用中に、ユーザが第1蒸気及び第2蒸気の混合物を吸入することができる出口とを含む肺送達デバイスを提供し、第2チャンバはパッシブアトマイザーを含み、第2チャンバは選択的に又は連続的に空気と流体連通し、第2チャンバは、少なくとも1つの香料又は芳香、及び任意に活性分子又は薬剤を含み、香料/芳香及び任意の他の活性分子又は薬剤は、第2チャンバを通して空気を吸うことによって吸入される。
【0011】
香料及び/又は芳香は、ドライフラワー、芽、葉、茎、果実、種子、皮、樹皮、又は根のエッセンシャルオイル;例えばペパーミント、スペアミント、ユーカリ、ウィンターグリーン、クローブ、カルダモン、シナモン、ビターアーモンド、コリアンダー、キャラウェイ、ジンジャー、ジュニパー、オレンジ、ダイダイ、レモン、グレープフルーツ、ベルガモット、タイム、フェンネルローズマリーなどのオイル;例えばフルーツ、ベリー、ナッツ、スパイス、ミント、タバコ、ココア、コーヒー、茶、バニラ、甘草、カラメル、タフィー、蜂蜜、ワイン、酒類及び醸造物からの天然起源のエッセンシャルオイル又は香料成分の濃縮物の天然香料及び芳香剤;フルーツ、ベリー、ナッツ、スパイス、ミント、タバコ、ココア、コーヒー、茶、バニラ、甘草、カラメル、タフィー、蜂蜜、ワイン、酒類又は醸造物及びそれらの混合物などの天然香料に合うようにブレンドされた.炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、エステル類、ケトン類、エーテル類及び酸化物類を含む化学物質の混合物からなる天然香料及び芳香剤から選択されてもよい。
【0012】
好ましくは、第1チャンバは、第1流体の気化のための熱源を備え、又はそれに接続され、それにより、第1の「温かい」蒸気を生成する。好ましくは、活性分子又は薬剤は、「冷たい」蒸気を形成する第2流体に含まれる。このようにして、第2蒸気に含まれる活性分子の迅速な吸収が達成される一方で、「温かい」第1流体の蒸気によって提供される吸入に対する望ましい熱感覚をユーザに提供する。代替として、活性分子又は薬剤は第1流体に含まれ、「熱い蒸気」を形成してもよい。
【0013】
第1流体は、水又は水-グリコール混合物などの不活性(非薬用のキャリア液体)であり得るキャリア液体(すなわち、安定した蒸気を形成可能な液体)を含んでもよい。
【0014】
好ましくは、香料は、第2チャンバ内で適切な剤型で固体又は半固体の形態で提供される。好ましくは、第2チャンバを通して吸入される空気の量は、選択的に調節可能であり、それにより、吸入される香料の量を変え、口に沈着させて、香料を高め、熱分解を避け、それにより発がん性分解生成物を避けることができる。
【0015】
さらにより好ましくは、デバイスは、マウスピースの形態の、好ましくは可逆的に取り外し可能な、第1チャンバ及び/又は第2チャンバからの出口を備える。このようにして、香料はマウスピースに設けられて、その容易な交換を可能にし、例えば種々の香料に変更するか、又は香料の補充を可能にしてもよい。マウスピースは、好ましくは、第1及び第2マウスピースチャンバを含む。香料は、好ましくは固体又は半固体の形態であり、第2マウスピースチャンバに設けられる。好ましい実施形態において、マウスピースは、中央の第1マウスピースチャンバと、同心円外側の第2マウスピースチャンバとを含み、第2チャンバは、少なくとも1つの空気入口を有する。好ましくは、香料ブロックは第2チャンバに設けられる。
【0016】
肺送達デバイスは、マウスピースが第2チャンバを提供する第1チャンバのみを含んでもよく、好ましくは、マウスピースは、好ましくは第1チャンバへの延長部を囲む第2チャンバを提供することに加えて、第1チャンバへの延長部を提供するということを理解されたい。
【0017】
好ましくは、マウスピースの中央の第1チャンバは、加熱された又は温かい蒸気を生成する肺送達デバイスに設けられたメイン第1チャンバ内で受け取るような寸法である。適切な取り付け手段が、メインデバイスにマウスピースを取り付けるために設けられている。例えば、第1マウスピースチャンバの端部は、ねじが切られていてもよく、又は嵌め込み式構成を含んでもよい。外側の第2マウスピースチャンバは、少なくとも1つの空気入口を有するフランジで終端していてもよく、フランジは、肺送達デバイスの本体のメイン第1チャンバの上面に受けられる。好ましくは、複数の空気入口は、第2チャンバの基部に、間隔を空けて、好ましくは等距離だけ離間して設けられる。これにより、制御された又は香料なしの送達のために最適化された空気の流れが制御される。
【0018】
代替として、環状のフランジは、デバイスの本体に接触する第1マウスピースチャンバの領域から横方向に延びてもよく、フランジは、第1チャンバを囲む第2マウスピースチャンバへの空気の流入を可能にする穴を備える。
【0019】
好ましくは、入口を通る空気の進入は、制御可能及び/又は可変であってもよい。例えば、開いている空気入口の数は、ユーザの好みに合うように調節可能であってもよい。複数の入口のうちの1つ又は複数の開閉を可能にするために、任意の適切な機構を使用してもよい。
【0020】
1つの実施形態において、マウスピースは2つの部分を含んでもよく、一方の部分は中央の第1チャンバを形成し、第1チャンバの少なくとも一部は、第1部分を囲む第2部分によって形成される第2チャンバと流体連通する空気入口を含む。好ましくは、第2部分は、第1部分に対して少なくとも部分的に回転可能であり、第1部分に設けられた1つ又は複数の空気入口の閉鎖又は開放をもたらす。代替として、第1部分は第2部分に対して回転可能であってもよい。
【0021】
代替として、マウスピースは、空気入口の一部を同時に閉じるための手段(チャンバの2分の1又は4分の1の全ての空気入口など)を含んでもよい。このようにして、マウスピースは、第2チャンバに異なる香料を備えてもよく、ユーザは、好みに応じて香料を選択してもよい。例えば、2つのセミシリンダー香料ブロックは、第2マウスピースチャンバの対向側に設けられ、空気入口は所望の香料を含むチャンバ側で選択的に開けられてもよい。
【0022】
メインチャンバ又はマウスピースチャンバの1つ又はそれぞれから放出される蒸気の量を制御することによって、混合物の組成を制御することが可能であることを理解されたい。適切には、送達装置は、使用時に、混合物中の第1及び/又は第2蒸気の組成を制御するように、つまり、混合物中の第1蒸気及び第2蒸気の相対量、又は両者の比率を制御することによって適合されるコントローラを含んでもよい。コントローラは、気化器の一方又は他方をオン又はオフに切り替えるように適合させることができ、従って、液体の一方又は他方を蒸気の形態で送達する選択肢を提供する。
【0023】
肺送達デバイスの第1メインチャンバは、好ましくは例えばバッテリー式の抵抗加熱ワイヤ又はコイルのような電気ヒーターの形態の気化器を含む。抵抗加熱ワイヤ又はコイルに供給される電流は、ワイヤ又はコイルの温度を制御するために使用することができ、従って、液体の加熱及び気化を調整及び/又は制御することができる。本発明の実施形態において、ヒーターは、気化される液体のフィルムでコーティングする親水性又は超親水性の箔を含む。コイルに電流を流して加熱し、液体を気化させることができる。代替として、セラミックヒーターを熱源として使用してもよい。セラミック又はその他の適切な材料のヒーターを使用は、金属がユーザの肺に移動/吸入される可能性、つまり高温に曝された金属元素により有害な金属残渣が肺に送達される可能性が低くなるため、好ましいかもしれない。
【0024】
フィードバック回路を設けて、ヒーターの温度又は温度プロファイルをサーモスタットで調整してもよい。例えば、回路を、ワイヤ又はコイルの抵抗(抵抗は、ワイヤ又はコイルの温度に依存する)を監視し、抵抗、よって、温度が制御されるようにワイヤ又はコイルの電流を調整するために設けてもよい。
【0025】
本発明に係る肺送達デバイスの第1チャンバでの使用に適した気化器は、それに接触するある量の気化可能な液体を気化するように適合された電気ヒーターを含んでもよく、気化器はさらに、その測定された温度に応答してヒーターの電流を時間的に制御することによって時間依存の加熱及び/又は冷却プロファイルを適用するように構成された回路を含む。
【0026】
そのような構成、つまり、時間依存の加熱及び/又は冷却プロファイルは、1つ又は複数の液体の気化をより正確かつ再現性よく適切に制御し、及び/又は適切には電熱線、箔、コイル又はセラミック管であるヒーターの寿命を改善する。
【0027】
熱電子エミッタ、ペルチェデバイス、赤外線エミッタなどの他の加熱デバイスを同様に使用することができ、本発明は、抵抗ヒーターワイヤ、箔又はコイルに限定されない。
【0028】
第2液体は、液体を霧化又はノズル若しくは開口に通して強制することによって気化し、安定した冷たい蒸気又はミストを形成する。これは、ユーザに活性分子の迅速な吸収を提供するだけではなく、潜在的な有害な副産物にユーザを曝す可能性のある香料などの活性成分又は賦形剤の潜在的な劣化を回避する。
【0029】
エアロゾル分配装置、超音波振動子、圧縮機及び電気振動メッシュ技術などの任意の適切なアトマイザーを、第2蒸気のミストを形成するためのデバイスに組み込んでもよい。好ましくは、第2チャンバによって提供されるミスト中の適切な製剤を使用して生成される粒子は、5~50μm、より好ましくは8~35μmの平均直径を有する。香料及び/又は活性分子は、所望の粒径を提供するために適切な製剤で提供される。例えば、適切な製剤は、官能特性を最適化するために粘度増強剤、界面活性剤、安定剤及び/又は保湿剤を含んでもよい。
【0030】
冷たいチャンバに香料と任意に活性分子又は薬剤を入れることにより、再現可能な用量で活性剤の用量をより正確に制御でき、つまり、活性分子又は薬剤を高温に曝さず、霧化をより正確で再現可能のあるものにするように設計される。追加として、潜在的な香料は、有害な副産物(分解物)を生成するために加熱されず、胃に入らない。
【0031】
ユーザの肺への薬剤の送達は、第2蒸気の粒子液滴サイズ及び速度の選択によって制御及び/又は変更されてもよいことを理解されたい。
【0032】
本発明の実施形態において、例えば、ニコチン離脱デバイス、肺送達システムは、シガレット、パイプ、又はシガーに似ている。そのような状態において、第1流体は、水とグリコールの不活性混合物を含むことができ、第2流体は、推進剤、香料及び/又は所望の薬剤、この場合は液体ニコチンの混合物を含むことができる。従って、デバイスは、デバイスの各「パフ」中に、又は1日などの所与の期間にわたって特定の投与量の薬剤(ニコチン)を送達するようにプログラムすることができる。しかしながら、ニコチンはまた、所望に応じて、第1流体に設けられてもよく、実際、特定の場合において、これは第2チャンバから放出される第2流体に含まれる香料のみで好ましい場合がある。
【0033】
1つの実施形態において、肺送達デバイスの第1メインチャンバの気化器は、使用時にそれぞれの液体の量を保持するための容器と、使用時に容器からヒーターに液体を運ぶように適合されたコンベヤーとを適切に含む。本発明の実施形態において、容器はバイアルを含み、コンベヤーは、バイアルの内部とヒーターとの間に延びる芯を含む。適切には、本明細書に記載されているものなどの抵抗加熱ワイヤは、液体を気化させるために芯の周りに巻かれるか、巻き付けられることができる。コンベヤーは、バイアルとヒーターとの間に延びる毛細管を含んでもよい。
【0034】
第1流体及び/又は第2流体は、適切に設計された剤型/レシピ中に溶媒及び安定剤を適切に含んでもよい。安定剤は、空気中の溶媒の液滴を安定させるように適切に適合される。キャリア液体は、以下を含む群のいずれか1つ又は複数を含むことができる。
水、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのアルコール、植物油、鉱油、脂質、シクロデキストリン類などの可溶化剤、溶媒及びそれらの混合物;カルボン酸イオン、硫酸基及びスルホン酸基を有する陰イオン剤などの界面活性剤類;カチオン性界面活性剤、ポリオールエーテル類、ポリオキシエチレンエステル類及びエーテル類、ポロキサマー類などの非イオン性界面活性剤;両性界面活性剤、天然乳化剤、スクロースエステル類及びアルキルポリグルコシド類;
アスコルビン酸及びその塩と誘導体、トコフェロール(ビタミンE)、システイン及びアセチルシステインなどのチオール誘導体、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤;
アルコール、アゾンなどの吸収促進剤;
EDTA及びガレートなどのキレート剤;
フッ化物などのミネラル;
ハイドロフルオロアルカン類(HFA)、クロロフルオロカーボン(CFCs)、二酸化炭素などの推進剤;例えばサッカリン及びそのナトリウム塩とカルシウム塩、アスパルテーム、アセスルファム及びそのカリウム塩、ソ-マチン及びグリチルリチンのような人工甘味料などの甘味料;ソルビトール、キシリトール、マンニトール及びグリセロール、グルコース、フルクトース、ガラクトース、スクロース、ラクトース、マルトース及びそれらの混合物などの多価アルコール;及び
水酸化ナトリウム、カリウム又はカルシウム、重炭酸塩、クエン酸塩、リン酸塩などのpH調整剤及び緩衝剤。
【0035】
第1又は第2流体の一方又は両方は、適切には、活性分子又は薬剤を含む。活性分子、賦形剤又は薬剤は、以下を含む群からの薬理活性化合物のいずれか1つ又は複数を含んでもよい。
ペプチド及びタンパク質;
シメチジン、及びラニチジンなどのH2-受容体拮抗薬;
ミソプロストールなどのプロスタグランジン類似体;
ランソプラゾール、オメプラゾール、及びパントプラゾールなどのプロトンポンプ阻害剤;
クロモグリク酸ナトリウムなどの食物アレルギーの治療薬;
ジゴキシンなどの強心配糖体;
アミロライド、ベンドロフルメチアジド、インダパミド、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、及びキシパミドなどの利尿薬;
プロカインアミド、リドカイン、プロプラノロール、アテノロール、ビソプロロール、カルベジロール、ピンドロール、及びネビボロールなどの不整脈用薬;
シラザプリル、リシノプリル、ラミプリル、トランドラプリル、アムロジピンロサルタン、三硝酸グリセリン、一硝酸イソソルビド、アムロジピン、ジルチアゼム、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピンなどの抗高血圧薬及び狭心症の治療薬;
スタチンなどの脂質調整薬;
サルブタモール、テルブタリン、バンブテロールなどの呼吸器系に作用する薬;
シンナリジン、プロメタジン、ペルフェナジン及びプロクロルペラジンなどの抗ヒスタミン薬;
ゾルピデム、ゾピクロン、クロメチアゾールなどの催眠薬;
ベンゾジアゼピン、ブスピロンなどの抗不安薬;
ベンペリドール、フルフェナジン、ピモジド及びアミスルプリドなどの抗精神病薬;
三環系、ミアンセリン、MAOIs、SRIs、レボキセチンなどの抗うつ薬;
メチルフェニデートなどの中枢神経系(CNS)刺激薬;
抗ヒスタミン薬、ドンペリドン、メトクロプラミド、5HT3拮抗薬、ヒヨスチン、及びベタヒスチンなどの吐き気の治療に使用される薬;
モルヒネ、ブプレノルフィン及びフェンタニルなどのオピオイド鎮痛薬;
5HT1作用薬及び麦角アルカロイドなどの片頭痛薬;
アポモルヒネ、ブロモクリプチン、リスリド、ハロペリドール及び麦角アルカロイドなどのパーキンソン症候群の治療に使用される薬;
ニコチン及びブプレノルフィンなどの物質依存症に使用される薬;
リバスチグミン、ジヒドロエルゴタミン、ジヒドロエルゴクリスチン及びジヒドロエルゴクリプチンなどの認知症に使用される薬;
抗生物質、抗真菌薬、抗ウイルス薬及び抗マラリア薬;
糖尿病の治療に使用される薬;
ベタメタゾン及びデキサメタゾンなどのステロイド類を使用するグルココルチコイド療法;
エストラジオール、ノルエチステロン、プロゲステロン、テストステロン及びエステルなどの男性及び/又は女性ホルモン;
バソプレシン及びデスモプレシンなどの下垂体ホルモン;
カルシトニン及びビスホスホネート製剤などの骨代謝に影響を与える薬;
ブロモクリプチン及びカベルゴリンなどの内分泌薬;
エストロゲン、プロゲストゲン、及びそれらの組み合わせなどの避妊薬;
オキシブチニン及びデスモプレシンなどの頻尿及び遺尿症に使用される薬;
アポモルヒネ及びシルデナフィルなどの勃起不全に使用される薬;
ブスルファン、代謝拮抗薬、アルカロイド、コルチコステロイド類、ホルモン及びインターフェロン類などの悪性疾患及び免疫抑制に使用される薬;
ジクロフェナク、ピロキシカム及びレフォキシカブ(refoxicab)などの非ステロイド系抗炎症薬;
コルヒチン類などの痛風の治療に使用される薬;
ネオスチグミン及びピリドスチグミンなどの神経筋疾患に使用される薬;
ジアゼパム、チザニジンなどの筋弛緩薬;
皮下経路で送達されるワクチン;
ニコチンなどのニコチン禁断症状の治療薬;及びカンナビノイド。
【0036】
少なくとも1つの活性化合物は、栄養補助活性化合物であってもよい。「栄養補助活性化合物」は、状態の治療においてヒト又は動物の体に有益な及び/又は治療効果を有する天然起源(動物又は植物)に由来する化合物である。そのような化合物は、栄養素とみなされてもよい。
【0037】
適切な栄養補助活性化合物は、動物又は植物から抽出された天然物であってもよい。適切な栄養補助活性化合物の例には、以下が含まれる。
リコペン、ルテイン、アスタキサンチン及び□-カロテンなどのカロテノイド類;グルコサミン又はN-アシルグルコサミン;ユビキノン;
ビタミンA,C,D及びEなどのビタミン;ロスマリン酸;ホノキオール;マグノロール;クロロゲン酸;オレウロペイン;メチルスルホニルメタン(「MSM」);コラーゲン及びコンドロイチン;ボスウェリン及びボスウェリン酸;エスシン及びエスクリン;クルクミノイド類及びテトラヒドロクルクミノイド類などのウコン抽出物;ジンゲロール及びジンゲロン;ウルソール酸及びオレアノール酸などのトリテルペン;アシアチコシド、セリコシド及びルスコゲニンなどのジテルペン類;ヒドロキシクエン酸(「HCA」)及びナイアシンアミドヒドロキシクエン酸塩;トリゴネリン;及びコロソリン酸;ノコギリヤシ;及びセイヨウオトギリソウ。
【0038】
デバイスは、適切には、第1チャンバのヒーター及び/又は制御回路に電力を供給するための、使い捨て又は充電式バッテリーなどのバッテリーを含む。
【0039】
ヒーターは、スイッチを使用して適切にオン又はオフに切り替えられる。スイッチは、適切には、ユーザがデバイスを吸入することによって動作させる自動スイッチである。従って、スイッチは、デバイスの出口と関連している圧力作動スイッチを含んでもよく、これによってユーザがデバイスを吸うと、スイッチがオンになり、それにより、ヒーターが自動的にオンになり、これにより、ユーザがデバイスを吸うことを終えると、ヒーターは再びオフに切り替えられる。適切には、デバイスは、周囲空気の圧力を監視するための第2感圧スイッチをさらに含む。
【0040】
第2流体を含有する肺送達デバイスの第2メインチャンバもまた、呼吸により作動されてもよい。
【0041】
本発明の別の態様は、肺送達装置のためのマウスピースを提供し、マウスピースは、第1入口端及び第2出口端を有し、マウスピースの入口端で肺送達デバイスの本体内に受け取るように適合された第1マウスピースチャンバと、好ましくは第1チャンバを同心円状に囲む第2マウスピースチャンバとを含み、第2チャンバは、少なくとも1つの香料又は芳香を受け取るように適合され、入口端に少なくとも1つの空気入口を有し、それにより、第2チャンバは、選択的に又は連続的に空気と流体連通する。
【0042】
マウスピースは、例えばデバイスの一部を形成する肺送達デバイスに不可逆的に取り付けることができるが、より好ましくは、マウスピースは別個の構成要素であることを理解されたい。
【0043】
第1及び第2マウスピースチャンバは、好ましくは同心円の円筒壁によって提供される。好ましくは、マウスピースの第1チャンバは、入口端で第2マウスピースチャンバの端部を越えて延びる。チャンバの出口端は、好ましくは実質的に同じ末端である。好ましくは、第2チャンバの入口端は、第2チャンバから実質的に垂直に延びる環状のフランジを備え、フランジは、第2チャンバと流体連通する少なくとも1つの空気入口を有する。第1チャンバの一部は、肺送達デバイスの本体内に受け取るためにフランジを越えて延び、フランジは、本体の側面に置く又は係合するように適合され、これにより、第2チャンバの空気入口は、本体の側面を越えて配置される。好ましくは、複数の空気入口は、第2チャンバの入口端に設けられ、好ましくは第2チャンバの周りに等距離で離間される。好ましくは、空気入口は、フランジを越えて延びる第1チャンバの一部に隣接する。
【0044】
香料ブロックは、好ましくは第2マウスピースチャンバ内に設けられる。
【0045】
代替の実施形態において、環状のフランジは、内側のマウスピースチャンバの一部を形成し、フランジは、第1チャンバを囲む第2マウスピースチャンバへの空気入口を形成するための一連の穴を備える。
【0046】
マウスピースは、好ましくは第2チャンバへの空気入口を選択的に開閉する手段を含み、それにより、第2チャンバに入る空気の量を調整することができる。例えば、第2チャンバは、第1チャンバに対して少なくとも部分的に回転可能であり、空気入口を開閉してもよく、逆もまた同様である。第2チャンバを形成するシリンダーの壁は、第1チャンバに対する第2シリンダーの回転度に応じて、空気入口の上に延び、閉じることができる離間した突出部又はタブを備えてもよい。しかしながら、空気入口の所望の選択の開閉を可能にするために他の手段が設けられてもよいことを理解されたい。
【0047】
別の実施形態において、第2チャンバは複数の香料ブロックを備え、空気入口を開いて、ブロックの所望の香料のみからの香料を可能にしてもよい。例えば、香料ブロックは、それぞれが異なる香料である2つの半セクションを含んでもよく、マウスピースは、例えば、回転可能な又はスライド可能なシャッターの提供によって、半セクションの一方に隣接する空気入口のみを開くための手段を備える。別の例において、香料は、第2チャンバ内の内側及び外側の同心円リングに設けられてもよく、空気入口は、対応する内側及び外側の同心円リングに設けられてもよく、マウスピースは、内側又は外側の同心円リングの選択的な開閉のための手段を備える。
【図面の簡単な説明】
【0048】
次に、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して例としてのみ説明する。
【0049】
図1図1は、先行技術に係る肺送達デバイスの斜視図である。
図2図2は、図1の肺送達デバイスの分解図である。
図3A図3Aは、図1の肺送達デバイスの平面図である。
図3B図3Bは、図3Aの一部の拡大図である。
図4図4は、技術水準の一部を形成する別の肺送達デバイスの平面図である。
図5図5は、肺送達デバイス及びユーザインタフェースの概略図である。
図6A図6Aは、肺送達デバイスに取り付けるための、本発明の実施形態に係るマウスピースの断面図である。
図6B図6Bは、香料ブロックが第2チャンバに完全に挿入された、図6Aに示されるマウスピースの斜視図である。
図6C図6Cは、香料ブロックが第2チャンバに部分的に挿入された、図6Aに示されるマウスピースの斜視図である。
図6D図6Dは、第2チャンバの空気入口を示す図6Aのマウスピースの斜視図である。
図7図7は、先行技術の肺送達デバイス及び本発明に係るマウスピースの斜視図である。
図8A図8Aは、肺送達デバイスに取り付けるための本発明の別の実施形態に係るマウスピースの斜視図である。
図8B図8Bは、肺送達デバイスに取り付けるための本発明の別の実施形態に係るマウスピースの部分断面図である。
図8C図8Cは、肺送達デバイスに取り付けるための本発明の別の実施形態に係るマウスピースの上面図である。
【0050】
詳細な説明
添付の図面の図1、2及び3A~3Bを参照すると、先行技術の肺送達デバイス10は、シガレットに類似するように適合されたほぼ円筒形の本体部分12を含む。本体部分12は、二重気化器チャンバ15、16を収容する管状のフィルターチャンバ14と、充電式バッテリー20を収容する管状のバッテリーチャンバ18とを含む。本体12の先端22は、半透明のエンドキャップ24によって閉鎖され、その後ろには、デバイス10が使用されているときに照明するLED表示灯26が置かれている。制御回路28は、使用中のデバイス10の動作を制御するためのプログラム可能な回路を含む本体12内に含まれる。
【0051】
図2及び3を参照すると、デバイス10は、フィルターチャンバ14内に配置された第1圧力センサー(見えない)を含み、これは、使用中に、デバイス10によって生成された蒸気をユーザが吸入できる出口開口30を中に有する。ユーザがフィルターチャンバ14を吸うと、圧力センサー(見えない)が第1気化器及び/又は第2気化器15、16を作動させて、吸入される第1液体及び/又は第2液体を含む混合蒸気を形成する。
【0052】
二重気化器チャンバ15、16は、それぞれ第1及び第2液体を含む一対の別個の容器を含む。第1容器15は、第1液体を含み、液体を吸収する毛細管の芯31を含み、その端部は、使用時に第1液体によって濡らされるピラミッド型の超親水性の箔35の形態のヒーター素子に接触する(特に、図3B参照)。代替として、ヒーター素子35は、芯31の周りに巻かれた抵抗加熱コイルを含むことができる。いずれにしても、ヒーター素子35は、制御回路28の制御下でバッテリー20に接続される。
【0053】
第2容器16は、容器内の圧力下で保持される第2液体を含み、圧力解放バルブ又は流量制御バルブ(図示せず)を含む。ユーザがフィルターチャンバを吸うと、圧力センサーはバルブを作動させ、第2液体を微細なミスト又は蒸気として第2容器から推進する。加熱要素がないと、第2容器から冷たい蒸気が放出される。
【0054】
従って、ヒーター35がオンに切り替えられると、第1チャンバは「温かい蒸気チャンバ」として機能し、第1液体が蒸発して、フィルターチャンバ14の内部に温かい蒸気Bを形成する。同時に、冷たい蒸気Aが第2容器(「冷たい蒸気チャンバ」)からチャンバ14の内部に放出され、従って、温かい蒸気及び冷たい蒸気B,Aが、デバイスの出口開口30を介して、ユーザによって吸入される前に、フィルターチャンバの中空空間内で混合することを可能にする。
【0055】
第1液体は、グリセロールと水の混合物を含み、第2液体は、ニコチン及び適切な推進剤を含む。好ましくは、第2液体のミストを形成する粒子は、直径が10μm未満、より好ましくは5μm未満である。このようにして、ニコチン(又は第2液体で提供される他の活性分子)は、肺の奥深くに送達され、肺を介して血流に迅速に吸収される。しかしながら、気化した第1液体の形態の温かく湿った蒸気の同時送達は、従来のタバコシガレットの喫煙中に経験される感覚によりよく似た感覚をユーザに提供する。活性分子は、ヒーター素子と直接接触していないため、ユーザが有害な副産物を吸入する原因となる熱劣化の可能性が減少する。対称的に、グリセロールと水のみがヒーター素子と接触しているため、熱劣化しても有害な副産物は生成されない。
【0056】
デバイスはまた、それぞれのチャンバからの第1蒸気及び/又は第2蒸気の送達を制御し得る適切な制御回路28を備えてもよい。加熱せずに加圧チャンバからニコチンを送達することにより、本発明のデバイスを使用して、加熱蒸気法を使用するニコチンの送達よりもより正確なニコチン投与が可能になる。湿った温かい蒸気及び冷たい蒸気の送達を制御してもよく、混合蒸気の含有量を必要に応じて調整してもよいことを理解されたい。
【0057】
例えば、加熱された蒸気の送達の制御は、ヒーターの抵抗を測定し、それからヒーター温度を推論するヒーター素子35に動作可能に接続された抵抗センサーを使用して達成されてもよい。制御回路28は、ヒーター35への電流を制限するための電流制限回路をさらに含み、所定の時間依存の加熱/冷却プロファイルに従ってそれを加熱するようにプログラムされている。
【0058】
ユーザがフィルターチャンバ14を吸うと、圧力スイッチ(見えない)が制御回路28を動作させてヒーター35を加熱する。それにより、制御回路28は、制御された再現可能な方法でバッテリー20をヒーター35に接続する。従って、ヒーター35の温度、時間での温度が制御され、それにより、芯31からの第1液体の気化を調整する。
【0059】
制御回路28はまた、周囲空気の圧力を測定する第2圧力センサー39(図2)に動作可能に接続されてもよい。制御回路28は、上記のように、第1圧力スイッチが動作されたときにのみヒーター35をオンに切り替えるように構成される。
【0060】
これにより、デバイス10が組み立てられたときに、蒸気は、フィルターチャンバ14の先端に向かって配置された中空の内部空間(混合チャンバ)、つまり気化器チャンバ15と出口開口30との間の空間内のヒーターに隣接して形成される。
【0061】
「冷たい蒸気チャンバ」からの出口開口は、各分配物で避けることができる第2液体の量を制御(質量制限)するのに十分に小さく、制御バルブ(図示せず)によって選択的に閉じられ及び/又は開かれる。制御バルブは、制御回路28に接続され、ヒーター素子から独立して制御することが可能である。従って、制御回路28は、作動ごとに所定回数バルブを開くように構成することができ、それにより、分配される液体の投与量を増分的に制御する(作動ごとの投与量は、出口開口のサイズにより一定である)。従って、デバイスは、各作動で分配される第1及び第2液体の比率、よって、第1液体及び第2液体の特定の薬剤又は薬剤の混合物の投与量を、正確に制御することができる。比率は、事前にプログラムされた投与計画に従って、制御回路28によって調整されてもよい。
【0062】
前述のデバイスは、各チャンバによって提供される投与量を正確に制御し得るが、活性分子又は薬剤が「冷たい蒸気」にのみ含まれる場合、このチャンバによって提供される投与のみを正確に制御することが可能である。これにより、活性分子又は薬剤が温かい蒸気で分配される場合よりも簡単な投与制御が可能になる。
【0063】
図4は、技術水準の一部を形成する代替の肺送達デバイスを示す。図4において、第1チャンバ及び第2チャンバは、並んだ配置ではなく、代わりに、デバイスの長手方向軸に沿って端部と端部を合わせた配置で配置され、スリムラインデバイスを提供する。図1~3に記載されたものと同一の特徴は、簡略化のために同じ参照番号が与えられる。チャンバ15、16は、各端部にエアロゾル出口を有する二重端エアロゾルコンテナを含む中空の円筒形圧力容器に設けられ、コンテナは出口30を有するハウジング14によって囲まれている。冷たい蒸気チャンバ16は、出口30近くのエアロゾルコンテナの意図された上端に設けられ、温かい蒸気チャンバ15は、エアロゾルコンテナの下端のチャンバ16の基部から延びる。加熱要素35は、エアロゾルコンテナの基部に沿って設けられている。活性分子を含有する第2液体は、上部チャンバ(A)から分配され、第1液体は、下部チャンバから加熱要素35(B)に分配される。これは、第2蒸気を温め、それは次いでハウジングとコンテナとの間の通路(B)を出口30まで通過し、それにより、出口を通って出る前の熱い蒸気と冷たい蒸気(B,A)及びユーザによる吸入を可能にする。
【0064】
この例において、制御回路は、冷たい蒸気チャンバからの蒸気の放出の数ミリ秒前に、温かい蒸気チャンバ内の第1液体の気化を作動するようにプログラムされてもよく、それにより、温かい蒸気が冷たい蒸気と同時に放出されることを確実にする。
【0065】
デバイスの温かい蒸気チャンバ及び冷たい蒸気チャンバのために、代替の配置が設けられてもよいことを理解されたい。例えば、デバイスは、中央仕切りを含む中空の円筒形圧力容器を有し、従ってその内部を第1液体及び第2液体のための2つの別個の容器に分割する二重チャンバを含んでもよい。加圧された推進剤ガスが、1つの容器の残りの空間を占め、ヒーター素子と芯がもう1つの容器に設けられ、加圧された推進剤とヒーターの作用下で液体がそれぞれの容器から避けることを可能にするために出口開口が設けられる。
【0066】
セラミックヒーターを、第1チャンバに第1液体を加熱するために使用してもよい。これにより、金属製の加熱要素からの有害な金属残渣がユーザによって吸入される可能性が減少する。
【0067】
代替のタイプの「冷たい蒸気」チャンバは、第2液体を保持するための容器を形成する管状の本体部分を含むばね式シリンジを含んでもよい。ピストンは、本体内でスライド可能に移動可能で、O-リングシールによって本体に密閉されている。超弾性ばねは、ピストンの背面と本体のエンドキャップの間で協働して、本体に沿ってピストンを押し、その結果、そこに含まれる液体を出口開口から排出する。出口開口を開閉するために、出口流量制御バルブも設けられる。超弾性ばねは、その超弾性範囲内で圧縮され、超弾性ばねがこの範囲内で動作すると、液体の圧力が一定に保たれるため、バルブの各動作中に分配される液体の量を正確に調整する。
【0068】
このタイプの「冷たい蒸気」気化器を組み込んだデバイスは、もちろん、温かい蒸気を放出するための加熱要素を備えた「温かい蒸気」チャンバと、任意に液体の送達を制御するための制御回路28も含む。
【0069】
投与量制御システム100が、図面の図5に示されている。図5において、図1~3B、図4又は図6A~7に示されているような肺送達デバイス10は、ワイヤレス102でユーザのスマートフォン、タブレットコンピュータ又はPC104に接続され、ブロードバンドルータなどのWi-Fiアクセスポイント108を介してインターネット106に接続される。従って、インターネットに接続されたコンピュータ110、112(ローカル又はリモート)は、ユーザ自身と同様にワイヤレスでデバイス10に接続することができる。ワイヤレス接続は、制御回路28のWi-Fi及び/又はBluetooth(登録商標)ユーザインタフェースを介して提供され、それにより、デバイス10と交信するためのデバイス104、110、112のいずれかにグラフィカルユーザインタフェース(GUI)120を提供する。
【0070】
GUI120は、デバイス10の無許可の再構成を防止するための安全なログインシステム122を有し、ユーザが3つの主要な動作モード、すなわち「離脱」モードの間で選択できるようにし、これにより、GUIの投与量-時間グラフ130に示されているように、所与の薬剤の投与量126は時間128にわたって減少させることができる。グラフは、曲線の形状を調整して離脱プロファイル124、すなわち離脱プロセスの重症度、期間、遅延などを変更することを可能にするドラッグ可能なハンドル132を有する。
【0071】
ドロップダウンメニューからの別の選択肢は、制御プログラム134を選択することであり、これは、所望の量の薬剤が一定期間にわたって投与されることを確実にする。従って、パフ当たりの投与量は、平均して、一定期間にわたる薬剤の比較的均一な投与を確実にするように制御される。
【0072】
第3の選択肢は、鎮痛剤の用途において有用であり得る上限136を設定することである。このプログラムは、単位時間当たりの最大投与量が送達されるのを防ぐが、投与下を可能にする。
【0073】
GUI120は、構成設定メニュー138を含み、これはデバイス内の液体140、142に従って、GUIを構成することを可能にする。履歴テーブル144も設けられ、これは投与回数146、送達された薬剤の量147及び現在の合計148の概要を提供する。これらのデータは、ユーザへの薬送達の監視を容易にするために、履歴150、実際152、及び目標154に基づいて表示される。
【0074】
デバイスは、前述の例の詳細に限定されない。例えば、デバイスの形状及び構成を変更でき、製造材料、使用される気化器技術の組み合わせ、使用されるヒーターの組み合わせ、オン/オフスイッチ、制御バルブなどの追加機能を変更できる。
【0075】
例えば、吸入可能な蒸気を形成する、水-グリコール混合物などの不活性液体を含む第1「温かい蒸気」容器は、ユーザによる制限なしに消費され得る。デバイスは、フィルター管14内に配置された圧力スイッチを有し、これはユーザがデバイスを吸入したときを検出する。圧力スイッチは、制御回路28に接続され、制御回路は、バッテリー20から、芯の端部に巻き付けられた抵抗加熱コイルへの電流をオンにするように適合され、これは、第1液体を蒸発させて、気化器出口とデバイスのメイン出口開口30を介して、デバイスから吸うことができる蒸気を形成する。
【0076】
デバイスは、デバイスの外部からアクセス可能なプッシュスイッチをさらに含んでもよく、使用時に、ユーザはこれを押して「冷たい蒸気」チャンバのバルブを作動させることができる。従って、ユーザは、任意にデバイスを使用でき、吸入中にボタンを押すことにより、第2容器に含まれるニコチンなどの薬剤又は活性成分の投与量をいつ投与するかを選択することができる。
【0077】
前述のデバイスは、以前の肺送達デバイスに比べて多くの潜在的な利点を提供する。ニコチン又はカンナビノイドなどの活性成分は、小さな粒子(<10μm)として吸入され、ユーザの肺へ奥深く送達され、血流への急速な吸収を可能にする。温かい不活性蒸気の同時送達は、吸入の香料と感覚を高める。活性成分は熱劣化を受けないため、有害な副産物が減少し、用量の精度と再現性が向上する。
【0078】
本発明の実施形態に係るデバイスは、添付の図面の図6A~6D、図7及び図8A~8Cに示されている。デバイスは、上記のデバイスの改造であり、熱く湿った蒸気で送達されるオイルなどの香料、及び前記香料による肺送達デバイスの汚染に関連する問題に対処する。
【0079】
本発明は、吸入データが知られていないか、又は吸入のリスクが経口沈着よりも顕著に大きい場合の様々な香料化合物の吸入毒性の有意な規制の負担を克服する。
【0080】
本発明は、「冷たい」霧化蒸気における香料又は芳香の送達を提供する。これは、加熱されたチャンバからキャリア液体(例えば、水、又は水-グリコール混合物など)とともに香料又は芳香を送達する先行技術のデバイスとは対照的である。従って、図1及び4に示される肺送達デバイスにおいて、芳香又は香料は、第2チャンバに対して相対的に温かい蒸気を提供する第1チャンバではなく、任意に活性分子とともに第2チャンバに提供される。これにより香料が口に確実に送達され、加熱時に発生する可能性のある有害な副産物への香料の劣化が防止される。
【0081】
先行技術に係る温かい蒸気に香料を供給することは、デバイスのタンク/チャンバシステムに汚染又はキャリーオーバーも引き起こす。本発明の実施形態は、タンクシステムへの汚染又はキャリーオーバーなしに、ENDSの香料を変更することを可能にする。コーヒー、タバコ、ミント及びフルーツ香料は、その特徴的な芳香のために交替が難しいことがよくある。図6A~6D、7及び8A~8Cに記載されている本発明は、エアロゾル化チャンバにおける香料ブロックの仕様を可能にし、使用から使用への香料の二次汚染を単純な切り替えで低減又は排除する。現在、香料は、利用可能なデバイスのプロピレングリコール/水の不可欠な部分である。
【0082】
図6A~6Dに示される実施形態は、図7に示されるデバイス300などの、従来の肺送達デバイスに取り付けるためのマウスピース200である。マウスピースは、第1入口端202及び第2出口端204を有し、第1中央チャンバ206は、マウスピースの入口端202で肺送達デバイス300の本体内に受け取れるように適合された円筒管からなる。第2チャンバ208は、第1チャンバを同心円状に囲み、第2チャンバは、少なくとも1つの香料又は芳香210を受け取るように適合され、入口端に少なくとも1つの空気入口212を有する。
【0083】
マウスピースの第1チャンバ206は、第2チャンバの入口端を越えて延びる。チャンバの出口端204は、実質的に同じ末端である。第2チャンバの入口端は、第2チャンバから垂直に延びる環状のフランジ220を備え、フランジは、第2チャンバと流体連通する少なくとも1つの空気入口212を有する。第1チャンバの一部202aは、肺送達デバイスの本体内に受け取るためにフランジを越えて延び、フランジは、本体の側面に置く又は係合するように適合され、これにより、第2チャンバの空気入口は、本体の側面を越えて配置される。フィルターチップ302はまた、マウスピースの出口端204で受けられてもよい(図7参照)。
【0084】
複数の空気入口212は、第2チャンバの入口端に設けられてもよく、好ましくは第2チャンバへの空気の流れを最適化するために、第2チャンバの周りに等距離で離間される、ということを理解されたい。理想的には、空気入口212は、フランジを越えて延びる第1チャンバの一部に隣接して位置する。
【0085】
任意の所望の香料ブロック210は、第2チャンバ208内に提供されてもよい。このようにして、マウスピース200が肺送達デバイスに取り付けられ、ユーザがマウスピースで吸入すると、デバイスの本体からの温かく湿った蒸気が、マウスピースの第1チャンバ206に入る。同時に、空気は、空気入口212を通って第2チャンバに入り、香料ブロック内の香料を霧化することができる。これにより、ユーザは温かく湿った蒸気と香料を含む冷たい蒸気との混合物を手に入れ、香料の有害な成分が経口的に沈着する可能性のない、いくつかのニコチン生成物又は他の活性薬剤の冷感の送達に対処する。
【0086】
この配置は、オイルなどの香料が熱にさらされないため、健康への悪影響が少ないだけではなく、メイン肺送達デバイスを汚染することなく、マウスピースを種々の香料ブロックを有するマウスピースに簡単に変更できる。
【0087】
理想的には、本質的ではないが、ニコチン又は他の活性薬剤もまた、冷たいチャンバを介して送達される。加熱されていないガスと加熱されたエアロゾル(通常は香料なし)の組み合わせは、顧客満足度を向上すると考えられ、ニコチン含有製品に対する顧客の期待により近い製品をもたらす可能性がある。
【0088】
図6A~6D及び7に示される実施形態は、好ましくは単純なツーピース構造から形成される。マウスピースは、使用後に処分して新しいマウスピースと交換してもよく、あるいは香料ブロックを取り外し、洗浄し、新しい香料ブロックを挿入してもよい。従って、これは、ユーザが香料又はそのデバイスを、例えばチェリーからメントールに変更するための簡単な機構を提供する。
【0089】
本発明に係るマウスピースの別の実施形態が、図8A~8Aに示されている。マウスピース400は、図6A~6Dに示されるマウスピースと同様であるが、環状のフランジ420は、第1マウスピースチャンバ406を形成する成形品の一部として形成され、円筒形スリーブ408aは、フランジ上にあり第2チャンバ408を形成する。空気入口412は、フランジを通して設けられ、第2チャンバの入口端402を越えて延びる第1マウスピースの一部は、肺送達デバイス(図示せず)の加熱されたチャンバとの係合のためにねじが切られている。スリーブは、好ましくはユーザの快適性を高めるためにマウスピースの他の部分よりも可鍛性のある材料である。
【0090】
本発明の好ましい実施形態において、第2チャンバに開いている空気入口の数は、このチャンバを通る空気の流れを変えるように選択的に調節可能である。これにより、ユーザは吸入して熱い蒸気と混合する香料の量を選択できる。代替として、又は追加として、2つ以上の種類の香料は、第2チャンバに設けられてもよく、ユーザは、どの香料が吸入されるべきかに応じてどの空気入口を選択することができる。
【0091】
例えば、マウスピースは、第2チャンバへの空気入口を開閉するための手段を有していてもよく、それにより、第2チャンバに入る空気の量を調整することができる(図示せず)。例えば、第2チャンバは、第1チャンバに対して少なくとも部分的に回転可能であり、空気入口を開閉してもよく、逆もまた同様である。第2チャンバを形成するシリンダーの壁は、第1チャンバに対する第2シリンダーの回転度に応じて、空気入口の上に延び、閉じることができる離間した突出部又はタブを備えてもよい。
【0092】
別の実施形態において、第2チャンバは複数の香料ブロックを備え、空気入口を開いて、ブロックの所望の香料のみからの香料を可能にしてもよい。例えば、香料ブロックは、それぞれが異なる香料である2つの半セクションを含んでもよく、マウスピースは、例えば、回転可能な又はスライド可能なシャッターの提供によって、半セクションの一方に隣接する空気入口のみを開くための手段を備える。別の例において、香料は、対応する内側及び外側の同心円リングの配置に設けられた空気入口を有する第2チャンバ内の内側及び外側の同心円リングに設けられてもよく、マウスピースは、内側又は外側の同心円リングの空気入口の選択的な開閉のための手段を備える。これにより、ユーザはマウスピースを変更する必要なく、特定の香料を容易に選択できる。これは、多くのユーザが香料にすぐに慣れ、チェリーやミントなどの香料を、1日を通して交替したい可能性があるため望ましい。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
ある量の第1流体を熱的に気化させて相対的に温かく湿った第1蒸気を形成するように適合された第1チャンバと、第2流体を加熱することなく、ある量の第2流体を霧化して相対的に冷たい第2蒸気のミストを形成するように適合された第2チャンバとを含む肺送達デバイスであって、デバイスは、使用中に、ユーザが前記第1蒸気及び前記第2蒸気の混合物を吸入することができる出口をさらに含み、第2チャンバは、パッシブアトマイザーの形態であり、前記第2チャンバは、選択的に又は連続的に空気と流体連通し、前記第2チャンバは、少なくとも1つの香料又は芳香、任意に活性分子又は薬剤を含み、前記香料及び任意の他の活性分子又は薬剤は、チャンバを通して空気を吸うことによって吸入されることを特徴とする該デバイス。
[2]
前記第1チャンバは、前記第1流体の気化のための熱源を備え、又はそれに接続され、それにより、第1の「温かい」蒸気を生成し、好ましくは、前記第1流体及び/又は第2流体のうち少なくとも1つは、好ましくはニコチンなどの活性分子又は薬剤を含み、より好ましくは、第1流体は、水又は水-グリコール混合物などの不活性(非薬用のキャリア液体)であり得るキャリア液体(すなわち、安定した蒸気を形成可能な液体)を含む[1]に記載の肺送達デバイス。
[3]
前記香料は、前記第2チャンバ内に固体又は半固体の形態で提供される[1]又は[2]に記載の肺送達デバイス。
[4]
前記第2チャンバを通過する流体の量が選択的に調節可能である[1]~[3]のいずれか1つに記載の肺送達デバイス。
[5]
前記出口は、マウスピースに接続され、前記マウスピースは前記第1及び/又は前記第2チャンバを提供し、前記マウスピースは、好ましくは可逆的に取り外し可能であり、より好ましくは、前記マウスピースは第1チャンバ及び第2チャンバを有し、前記第2チャンバは、好ましくは固体又は半固体の形態である前記香料を備える[1]~[4]のいずれか1つに記載の肺送達デバイス。
[6]
前記デバイスは前記第1チャンバを提供し、前記マウスピースは前記第2チャンバを提供し、好ましくは、前記マウスピースは前記デバイスの前記第1チャンバへの延長部を提供し、前記第2チャンバは前記第1チャンバへの前記延長部を囲む[5]に記載の肺送達デバイス。
[7]
前記マウスピースは、中央の第1チャンバと同心円外側の第2チャンバとを含み、前記第2チャンバは、少なくとも1つの空気入口を有する[6]に記載の肺送達デバイス。
[8]
前記マウスピースの前記中央の第1チャンバは、加熱された又は温かい蒸気を生成する前記肺送達デバイスに設けられたメイン第1チャンバ内で受け取るような寸法である[7]に記載の肺送達デバイス。
[9]
前記外側の第2チャンバは、前記少なくとも1つの空気入口を有するフランジで終端し、前記フランジは、前記肺送達デバイスの本体の前記メイン第1チャンバの上面に受けられる[8]に記載の肺送達デバイス。
[10]
環状のフランジは、前記マウスピースの前記第1チャンバから横方向に延び、前記フランジは、前記第1チャンバを囲む前記第2チャンバへの前記少なくとも1つの空気入口を有する[5]~[8]のいずれか1つに記載の肺送達デバイス。
[11]
複数の空気入口が前記第2チャンバ内に設けられ、前記空気入口を通る空気の進入は調節可能であり、好ましくは、前記第2チャンバ内に開いている前記空気入口の数及び/又はサイズは調節可能である[5]~[10]のいずれか1項に記載の肺送達デバイス。
[12]
前記マウスピースは2つの部分を含み、一方の部分は前記中央の第1チャンバを形成し、前記第1チャンバの少なくとも一部は、第1部分を囲む第2部分によって形成される第2チャンバと流体連通する空気入口を含み、第1部分及び第2部分は、互いに対して少なくとも部分的に回転可能であり、第1部分に設けられた1つ又は複数の空気入口の閉鎖又は開放をもたらす[11]に記載の肺送達デバイス。
[13]
前記マウスピースは、空気入口の一部を同時に選択的に閉じるための手段を含み、好ましくは、前記空気入口の1つの半セクションは、対向側の半セクションが閉じている間に開かれ得る[5]~[12]のいずれか1項に記載の肺送達デバイス。
[14]
2つのセミシリンダー香料ブロックが、第2マウスピースチャンバの対向側に設けられ、それにより、前記空気入口の2分の1が、所望の香料を含むチャンバ側で同時に一時的に開かれ得る[13]に記載の肺送達デバイス。
[15]
肺送達デバイスのためのマウスピースであって、前記マウスピースは、第1入口端及び第2出口端を有し、前記マウスピースの入口端で肺送達デバイスの本体内に受け取るように適合された第1チャンバと、好ましくは前記第1チャンバを同心円状に囲む第2チャンバとを含み、前記第2チャンバは、好ましくは固体又は半固体ブロックの形態である、少なくとも1つの香料又は芳香を受け取るように適合され、前記入口端に少なくとも1つの空気入口を有し、それにより、前記第2チャンバは、選択的に又は連続的に空気と流体連通する該マウスピース。
[16]
前記マウスピースの前記第1チャンバは、前記入口端で前記第2チャンバの端部を越えて延び、及び/又はチャンバの出口端は実質的に同じ末端である[15]に記載のマウスピース。
[17]
前記第2チャンバの前記入口端は、前記第2チャンバから実質的に垂直に延びる環状のフランジを備え、前記フランジは、前記第2チャンバと流体連通する少なくとも1つの空気入口を有する[15]又は[16]に記載のマウスピース。
[18]
前記第1チャンバの一部は、肺送達デバイスの本体内に受け取るために前記フランジを越えて延び、前記フランジは、前記本体の側面に置く又は係合するように適合され、これにより、前記第2チャンバの前記空気入口は、前記本体の前記側面を越えて配置される[17]に記載のマウスピース。
[19]
前記第1チャンバの前記入口端は、環状のフランジを備え、前記フランジは、前記第1チャンバを囲む前記第2チャンバへの空気入口を形成するための一連の穴を備える[17]又は[18]に記載のマウスピース。
[20]
複数の空気入口は、前記第2チャンバの前記入口端に設けられ、好ましくは前記第2チャンバの周りに等距離で離間されている[15]~[19]のいずれか1つに記載のマウスピース。
[21]
前記マウスピースは、前記第2チャンバへの前記空気入口を選択的に開閉する手段を含む[15]~[20]のいずれか1つに記載のマウスピース。
[22]
前記第2チャンバは、前記第1チャンバに対して少なくとも部分的に回転可能であり、前記空気入口を選択的に開閉し、好ましくは前記第2チャンバの回転度に応じて、前記空気入口を選択的に覆うための一連の突出部を備える円筒壁によって形成される[21]に記載のマウスピース。
[23]
前記香料は、2つの半セクションを含み、各セクションは、異なる香料であり、前記マウスピースは、前記半セクションの1つに隣接する前記空気入口のみを開くための手段を備える[15]~[21]のいずれか1つに記載のマウスピース。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8A
図8B
図8C