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特許7171743自動車のためのカメラモニタシステム、および自動車のためのカメラモニタシステムを動作させるための方法および装置
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  • 特許-自動車のためのカメラモニタシステム、および自動車のためのカメラモニタシステムを動作させるための方法および装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】自動車のためのカメラモニタシステム、および自動車のためのカメラモニタシステムを動作させるための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/26 20220101AFI20221108BHJP
   B60R 1/28 20220101ALI20221108BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20221108BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
B60R1/26 100
B60R1/26 200
B60R1/28
H04N7/18 J
B60R11/02 C
H04N7/18 V
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020540599
(86)(22)【出願日】2019-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2019050574
(87)【国際公開番号】W WO2019145161
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-08-19
(31)【優先権主張番号】102018201027.7
(32)【優先日】2018-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
【住所又は居所原語表記】Vahrenwalder Strasse 9, D-30165 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シュミッツ
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-077628(JP,A)
【文献】国際公開第2017/020898(WO,A1)
【文献】特開2016-119526(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0341583(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0366336(US,A1)
【文献】特開2016-107985(JP,A)
【文献】国際公開第2016/026870(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00-99/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被牽引車(202)を有する自動車(101)のための、ミラー代替システムとしてのカメラモニタシステム(100)を動作させるための方法であって、
前記カメラモニタシステム(100)は、
前記被牽引車(202)の後面(105)に対応付けられたカメラ(102)と、
前記自動車(101)の長手方向側面(106)に対応付けられ、従来の外部ミラーの代替となる前記ミラー代替システムの一部である別のカメラ(103)と、
前記自動車(101)の側方の領域に配置され、前記カメラ(102,103)の画像を表示するための、前記ミラー代替システムのモニタ(104)と、
を有し、
前記カメラ(102)は、取り外し可能なカメラとして構成されており、
当該方法は、
前記カメラ(102)の画像を提供するステップと、
前記別のカメラ(103)の別の画像を提供するステップと、
前記自動車(101)の特定された軌道に基づいて、前記画像および前記別の画像からの1つの全体画像を決定するステップと、
前記全体画像を前記モニタ(104)上に表示するステップと、
を含
当該方法は、
前記画像および前記別の画像内において所定の画像内容を特定するステップと、
特定された前記画像内容に基づいて、前記別のカメラ(103)に対する相対的な前記カメラ(102)の位置を特定するステップと、
を含み、
前記画像内容を特定するステップは、前記画像および前記別の画像内において前記被牽引車(202)の車幅灯(109)を特定するステップを含み、
前記車幅灯(109)は、前記カメラの位置を特定している間、所定の点滅パターンによって制御される、
方法。
【請求項2】
前記軌道を特定するステップは、
前記自動車(101)の速度を特定するステップと、
操舵角度を特定するステップと、
前記自動車(101)の牽引車(201)と前記被牽引車(202)との間のアーティキュレート角度(107)を特定するステップと、
前記被牽引車(202)のヨーレートを特定するステップと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記全体画像を決定するステップは、
前記画像と前記別の画像とを、スティッチングによって合成するステップ
を含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記全体画像を決定するステップは、
前記カメラ(102)の視野領域(S2,S2’)と前記別のカメラ(103)の視野領域(S1,S2’,S1’’)とから構成されている全体視野領域(S3)が前記全体画像内に表示されるように、前記画像と前記別の画像とを合成するステップ
を含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記全体画像を決定するステップは、
前記カメラ(102)の視野領域(S2,S2’)と前記別のカメラ(103)の視野領域(S1)の部分領域(S1’)とから構成されている全体視野領域(S3)が前記全体画像内に表示されるように、前記画像と前記別の画像とを合成するステップ
を含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記画像内容を特定するステップは、
前記画像および前記別の画像内において前記被牽引車(202)の側面縁部(108)を特定するステップと
含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記カメラモニタシステム(100)は、前記後面(105)に対応付けられた少なくとも2つのカメラ(102)を有し、
当該方法は、
前記少なくとも2つのカメラ(102)のそれぞれの画像内において所定の画像内容を特定するステップと、
特定された前記画像内容に基づいて、前記少なくとも2つのカメラ(102)の、互いに対する相対的な位置、および/または前記別のカメラ(103)に対する相対的な位置を特定するステップと、
を含む、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法を実施するように構成された、被牽引車(202)を有する自動車(101)のための装置。
【請求項9】
被牽引車(202)を有する自動車(101)のための、ミラー代替システムとしてのカメラモニタシステム(100)であって、当該カメラモニタシステム(100)は、
前記被牽引車(202)の後面(105)に対応付けられたカメラ(102)と、
前記自動車(101)の長手方向側面(106)に対応付けられ、従来の外部ミラーの代替となる前記ミラー代替システムの一部である別のカメラ(103)と、
前記自動車(101)の側方の領域に配置され、前記カメラ(102,103)の画像を表示するための、前記ミラー代替システムのモニタ(104)と、
請求項記載の装置(110)と、
を有
前記カメラ(102)は、取り外し可能なカメラとして構成されている、
カメラモニタシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のための、とりわけ被牽引車を有する自動車のためのカメラモニタシステムに関する。本発明はさらに、自動車のためのカメラモニタシステムを動作させるための方法と、当該方法を実施するように構成された装置とに関する。
【0002】
自動車、例えばトラックおよび乗用車は、従来、外部ミラーを有する。ミラー代替システムも知られており、このミラー代替システムでは、通常の外部ミラーの視野領域がカメラおよびモニタによって写される。このようなミラー代替システムは、カメラモニタシステムとも称される。
【0003】
とりわけ自動車の被牽引車による高信頼性の動作を可能にする、自動車のためのカメラモニタシステムを動作させるための方法を提供することが望ましい。さらに、高信頼性の動作を可能にするカメラモニタシステムを動作させるための装置を提供することが望ましい。さらに、とりわけ被牽引車における高信頼性の動作を可能にするカメラモニタシステムを提供することが望ましい。
【0004】
本発明は、被牽引車を有する自動車のためのカメラモニタシステムを動作させるための方法と、当該方法を実施するように構成された対応する装置とを特徴とする。
【0005】
少なくとも1つの実施形態によれば、本カメラモニタシステムは、被牽引車の後面に対応付けられたカメラを有する。カメラは、例えば、被牽引車の後面における環境を撮影するために、被牽引車の後面に取り付けられるように構成されている。カメラモニタシステムは、自動車の長手方向側面に対応付けられた別のカメラを有する。この側面は、とりわけ、通常の走行方向において自動車の前方のフロントガラスと被牽引車の後方端部との間に延在している長手方向側面である。別のカメラは、とりわけ、自動車の側面の領域における自動車の環境の画像を提供するように構成されている。
【0006】
本カメラモニタシステムはさらに、カメラの画像を表示するためのモニタを有する。
【0007】
カメラの画像が提供される。別のカメラの別の画像が提供される。自動車の特定された軌道に基づいて、画像および別の画像からの1つの全体画像が決定される。全体画像がモニタ上に表示される。
【0008】
したがって、本方法により、リアビューカメラとも称することができるカメラと、例えば、従来の外部ミラーの代替となるミラー代替システムの一部である別のカメラとを組み合わせることが可能になる。車両においてカメラの画像を表示するために追加的なモニタは必要ない。カメラの画像は、別のカメラの別の画像と一緒に、ミラー代替システムのモニタ上に表示される。モニタは、例えば、自動車の側方の領域に配置されている。これにより、被牽引車を有する自動車の場合であっても、表示された環境をユーザが直感的に把握することが可能となる。とりわけ、従来のミラー代替システムまたは従来の外部ミラーでは写すことができない領域を、モニタに写すことができる。
【0009】
被牽引車の後方の領域を見ることが可能となる。この場合、従来の外部ミラーの代替としてのモニタの位置に関する法定要件を満たすことができる。
【0010】
運転者は、被牽引車の後方の背面領域を確認することができるようにするために、例えば車両の中央に配置されている別のモニタに目を向ける必要がなくなる。これによって、運転者にとっての利便性がより快適になる。左右の従来の外部ミラーに代わる2つのモニタ上では、バック走行時に、例えばカーブ内側の領域と、カーブ外側の領域と、背面領域とが見て取れる。したがって、背面領域を、快適かつ直感的に把握することができる。このために、とりわけ後方領域を表示するための別個のモニタは必要ない。オプションで、別のモニタを、例えば自動車の中央の領域に設けることが可能である。これによって、運転者は、別のモニタを見る必要なく、後方領域を快適に見ることができる。
【0011】
自動車は、例えば被牽引車を有するトラック、例えばトレイラを有するトラクタである。自動車は、被牽引台車を有するトラックおよび/または被牽引車を有するバスであってもよい。別の実施例によれば、代替的または追加的に、自動車は、被牽引車を有する乗用車である。
【0012】
自動車の軌道を考慮することにより、画像および別の画像の表示をその都度の走行状況に合わせて適合させることが可能になる。例えば、表示される全体画像が、自動車の牽引車と被牽引車との間のアーティキュレート角度(Knickwinkel)に基づいて適合される。
【0013】
少なくとも1つの別の実施形態によれば、軌道を特定することは、自動車の速度を特定することを含む。代替的または追加的に、軌道を特定することは、操舵角度を特定することを含む。
【0014】
代替的または追加的に、軌道を特定することは、被牽引車のヨーレートを特定することを含む。したがって、自動車の走行状態に基づいて、環境のうちの所望の区分がモニタ上に表示されるように、画像と別の画像とを組み合わせて、全体画像を形成することが可能である。
【0015】
少なくとも1つの実施形態によれば、画像と別の画像とが、スティッチング(Stitching)によって合成される。したがって、画像および/または別の画像は、1つの一貫した全体画像がモニタ上に表示されるように歪められる。
【0016】
少なくとも1つの実施形態によれば、カメラの視野領域と別のカメラの視野領域とから構成されている視野領域が全体画像内に表示されるように、画像と別の画像とが合成される。とりわけ、別のカメラの視野領域が、カメラの視野領域によって補足される。別のカメラの視野領域は、例えば、一方の側面にある従来の外部ミラーの視野領域に実質的に相当する。この視野領域は、被牽引車の後面に対応付けられたカメラの視野領域によって補足される。したがって、例えば、モニタ上の全体画像内において、被牽引車を部分的に透明に表示することが可能である。自動車の側方の環境を表示することに加えて。
【0017】
少なくとも1つの別の実施形態によれば、カメラの視野領域と別のカメラの視野領域の部分領域とから構成されている視野領域が全体画像内に表示されるように、画像と別の画像とが合成される。とりわけカーブ走行時には、別のカメラの視野領域が、被牽引車自体によって覆われる。視野領域のこの部分は、例えば、全体画像内には表示されない。被牽引車に隣接する環境を写し続けている別のカメラの視野領域の部分領域が表示される。この部分領域は、アーティキュレート角度が0°である場合における別のカメラの従来の視野領域が全体的にシミュレート可能となるように、カメラの視野領域によって補足される。
【0018】
少なくとも1つの実施形態によれば、カメラは、取り外し可能なカメラとして構成されている。カメラは、被牽引車に非破壊で取り付け可能であり、かつ再び取り外し可能である。したがって、被牽引車の後面に元々カメラが装備されていない自動車においても、本方法および本カメラモニタシステムを使用することが可能である。較正のために、画像および別の画像内において所定の画像内容がそれぞれ特定される。特定された画像内容に基づいて、別のカメラに対する相対的なカメラの位置が特定される。これにより、取り外し可能なカメラを取り付ける際の誤差を補償することができる。
【0019】
少なくとも1つの実施形態によれば、画像内容を特定することは、画像および別の画像内において被牽引車の側面縁部を特定することを含む。代替的または追加的に、それぞれ画像および別の画像内において被牽引車の車幅灯が特定される。代替的または追加的に、画像および別の画像内に写されている、環境の良好に認識可能で特徴的な点が使用される。工場環境における較正点を使用して、カメラおよび別のカメラの較正を実施することも可能である。
【0020】
少なくとも1つの実施形態によれば、本カメラモニタシステムは、カメラと、別のカメラと、モニタと、少なくとも1つの実施形態による本方法を実施するように構成された装置とを有する。
【0021】
方法に関して説明した利点、特徴、および発展形態は、装置およびシステムにも適用され、その逆もまた同様である。
【0022】
さらなる利点、特徴、および発展形態は、図面に関連して説明される以下の例から明らかとなる。同一、類似、および同等の要素には、全ての図面にわたって同一の参照記号が付されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】1つの実施例によるカメラモニタシステムを有する自動車の概略図である。
図2】自動車の概略図である。
図3】自動車の概略図である。
【0024】
図1は、1つの実施例による自動車101の概略図を示す。自動車101は、例えば、牽引車201および被牽引車202を有するトラックである。別の実施例によれば、自動車101は、被牽引車202を有するバスおよび/または乗用車である。
【0025】
自動車101は、ミラー代替システムとしてのカメラモニタシステム100を有する。カメラモニタシステム100は、自動車101のそれぞれの長手方向側面106につき1つのカメラ103を有する。カメラ103は、それぞれの対応する側面106のそれぞれの側方の環境111を撮影するために使用される。
【0026】
カメラモニタシステム100は、2つのモニタ104を有し、これらのモニタ104は、側面106のうちの1つにそれぞれ対応付けられている。動作時には、環境111の一区域が、それぞれの対応するモニタ104上に表示される。とりわけ、法律によって規定された視界クラス、例えば視界クラス2,4,および5(Sichtfeldklassen 2, 4 und 5)を表示するために、カメラ103の視野領域S1の全体または一部が、対応するモニタ104上に表示される。モニタ104上に表示される画像は、とりわけ、従来の外部ミラーのミラー像を表示するように、かつとりわけ、環境111のうちの、従来の外部ミラーでは写すことができない別の区域を表示するように構成されている。
【0027】
カメラ103およびモニタ104に信号技術的に結合された装置110が設けられている。装置110は、カメラ103およびモニタ104の両方を制御するように構成されている。例えば、装置110は、自動車101の制御装置または制御装置の一部である。
【0028】
被牽引車202の後面105には、追加的なカメラ102が配置されている。被牽引車202の後面105は、通常の動作時には、牽引車201とは反対側を向いている。カメラ102は、装置110に信号技術的に結合されている。装置110は、カメラ102を制御するように構成されている。例えば、カメラ102は、装置110に信号技術的に無線で接続されている。ケーブルによる接続も可能である。
【0029】
実施例によれば、装置110は、カメラ102,103およびモニタ104とは別個の構成要素である。別の実施例によれば、装置110は、カメラ102,103のうちの少なくとも1つおよび/またはモニタ104のうちの少なくとも1つの構成要素である。
【0030】
リアビューカメラとも称することができるカメラ102は、例えば可搬式のカメラである。可搬式のカメラ102は、被牽引車202に取り付け可能であり、非破壊で再び取り外し可能であり、例えば別の被牽引車202に取り付け可能である。別の実施例によれば、カメラ102は、被牽引車202に固定的に取り付けられている。
【0031】
カメラ102は、被牽引車202の後方の環境111の領域を検出するように構成されている。カメラ102の視野領域S2は、被牽引車202の後方の環境111を検出する。視野領域S2は、とりわけ、牽引車101とは反対側を向いた領域である。
【0032】
カメラ102のカメラ画像は、牽引車201内の装置110に有線または無線で送信される。カメラ102の画像は、ミラー代替システムのモニタ104上に表示される。例えば、モニタ104は、ミラー代替システムの既存のモニタである。
【0033】
従来のミラー代替システムと比較して追加されている視野領域S2は、例えばスティッチングによって視野領域S1と適応的に組み合わされる。このために装置110は、とりわけ自動車101の軌道を特定する。この際には、例えば自動車101の速度が考慮される。例えば、速度は、CAN(Controller Area Network)情報から特定される。代替的または追加的に、自動車101の操舵角度が考慮される。代替的または追加的に、アーティキュレート角度107(図3)および/またはヨーレートが考慮される。ヨーレートは、例えばジャイロスコープセンサまたは他の制御装置によって特定される。
【0034】
図2から見て取れるように、カメラ102および103の視野領域S1およびS2は、少なくとも部分的に合成されて1つの全体視野領域3を形成し、対応するモニタ104上に表示される。
【0035】
運転者のためにモニタ104上に後面105の領域も挿入するために、車両の軌道と、長さ、高さ、および/または幅のような自動車101の既知のパラメータと、カメラ102および103の既知の視野領域S1およびS2とに基づいて、視野領域S1およびS2をどのように合成して全体視野領域S3を形成するかが決定される。視野領域S1およびS2の合成は、とりわけ特定された軌道に基づいて、例えば牽引車201と被牽引車202との間のアーティキュレート角度に基づいて、変更および適合される。
【0036】
カメラ102と装置110との間のデータ接続は、例えば、いわゆるブローダー・リーチ(BroadR-Reach)ネットワークを介して有線で実施されるか、または例えばIEEE802.11規格に準拠した無線ローカルネットワークを介して無線で実施される。無線ネットワークを使用する場合には、アンテナを、ミラー代替システムのカメラ103のカメラアームに配置することができる。
【0037】
複数の異なるカメラ102および103の画像の合成は、とりわけ装置110においてスティッチングによって実施される。この際には、複数の異なるビューをモニタ104上に表示することができる。例えば、従来のように法律によって規定された視界クラスを表示することに加えて、リアビューカメラの画像が表示される。例えばモニタ104上には、視界クラス4が表示され、追加的に、視界クラス2に隣接してカメラ102の画像が表示される。例えば、カメラ102の画像は、視界クラス4に加えて、視界クラス5に隣接して表示される。例えば、図2に示すように、被牽引車202を部分的に透明に表示することも可能である。ここでは、カメラ103の視野領域S1は、従来のミラー代替システムと比較して拡大された1つの全体視野領域3が作成されるように、カメラ102の視野領域S2の部分領域S2’によって補足される。この全体視野領域3は、被牽引車202を透過するビューをシミュレートするような、モニタ104上の表示を可能にする。
【0038】
とりわけ自動車101の運転状況または特定された軌道に基づいて、視野領域S1およびS2を種々異なるように組み合わせて、全体視野領域S3を形成することが可能である。この際には、カメラ103の視野領域S1は、例えば、自動車101、とりわけ被牽引車202の側面106に沿って整列するように、または自動車101、とりわけ被牽引車202を最小限に被覆または横断するように構成されている。別のカメラ103の視野領域S1は、例えば、法定の視界クラス2、4、および5の視界から構成されている。このために、複数のカメラを使用することもできる。
【0039】
図2に示されているように、部分領域S2によって視界S1を拡大することにより、ミラー代替システムの従来の領域S1を表示することが可能であると同時に、部分領域S2’と組み合わせることによって、被牽引車202の後方の領域を表示することも可能となる。このような被牽引車202の後方の領域は、カメラ102なしでは写すことができなかった。全体視野領域3がより大きな開口角度を有する単一の視界であるかのように、2つの視野領域S1およびS2’が組み合わされて、全体視野領域3を形成する。
【0040】
2つのカメラ102および103の画像は、これらの画像をできるだけ良好に合成することが可能となるように歪められる。このために、それぞれのカメラ102および103の、互いに対する相対的な位置と、自動車101に対する相対的な位置とが特定される。動作中、例えばカーブ走行時には、例えばアーティキュレート角度107に基づいて、カメラ102,103の互いに対する相対的な向きの変化が考慮され、これに応じてカメラ102および103の画像の合成が適合される。
【0041】
図面では、視野領域は、運転席側に関して概略的に図示されている。本方法および本システムは、助手席側に関しても相応に実現可能である。
【0042】
図3は、カメラ102および103の視野領域S1およびS2の、またはこれらの視野領域の部分領域の、代替的な合成を示す。
【0043】
例えば、自動車101が真っ直ぐに方向決めされている場合、すなわちアーティキュレート角度が180°±5°である場合には、視界S1だけがモニタ104上に表示される。カーブ走行時には、アーティキュレート角度107が減少する。アーティキュレート角度107に基づいて、さらに視野領域S1の部分領域S1’だけが表示される。この部分領域S1’は、視野領域S1のうちの、被牽引車202の側面縁部108から外側に向いている領域である。視野領域S1のうちの、被牽引車202の側面106だけを写している残りの部分領域S1’’は、全体視野領域3をモニタ104上に表示するためには使用されない。この領域S1’’は、後面105における環境111を写しているカメラ102の部分領域S2’によって置き換えられる。したがって、全体視野領域3は、アーティキュレート角度107に関係なく常に同じ大きさである。
【0044】
部分領域S2’を用いて全体視野領域3から被牽引車202をフェードアウトさせる代わりに、被牽引車202を、ほぼ透明にではあるが依然として表示することも可能であり、この場合には、例えば透明度を設定することが可能である。表示された全体視野領域3内において、被牽引車202の位置を有色透明にオーバーレイすることも可能である。代替的または追加的に、被牽引車202の縁部を、線を用いて、例えばボックスとしてモニタ104上に表示することも可能である。代替的または追加的に、ワイヤフレームビューも可能である。古典的な縁部検出によってフィルタリングされた画像をオーバーレイすることも可能である。
【0045】
部分領域S2’のない全体視野領域3に加えて、モニタ104上に部分領域S1’’を写すことも可能である。例えば、2つの領域S1’およびS1’’と、S1’およびS2’とが、モニタ104上に並べて表示される。これにより、運転者は、両方のビューを考慮することができる。
【0046】
ミラー代替システムの従来の表示に加えて、モニタ104における下位の2つのクラス5の領域のうちの一方の領域内に、視野領域S2またはS2’を表示することも可能である。
【0047】
代替的または追加的に、カメラ102の画像が、モニタ104の専用の領域上に、または追加的なモニタ上に表示される。このために例えば、補足としてミラー代替システムのカメラ103の画像が使用され、組み合わされたビューが、例えば、ナビゲーションシステムのモニタ上に表示される。
【0048】
カメラ102が取り外し可能なカメラとして構成されている場合には、カメラ102の位置を特定するために、例えば、カメラ102および103の画像内容が使用される。カメラ102のカメラレンズが180°より大きい角度をカバーしている場合には、例えば、カメラ102の画像内において、被牽引車202の2つの側面縁部108が検出される。自動車101の側面106のうちの一方の側面の縁部も、例えば、別のカメラ103の画像内において検出される。代替的または追加的に、カメラ102,103のそれぞれの画像内において、例えば車幅灯109が認識される。車幅灯109は、リアポジションランプとも称される。実施例によれば、車幅灯109は、画像および別の画像内において車幅灯109を良好に識別することができるようにするために、カメラ102,103の位置を特定している間、所定のパターンによって制御される。例えば、所定の点滅パターンが実施される。
【0049】
他の画像内容、例えば車線標示および/または較正点、および/または環境内の簡単に認識可能な顕著な画像内容を、較正のために使用することもできる。
【0050】
とりわけ、固定的に設置されたリアビューカメラシステムの場合には、例えば視差を最小化するために、被牽引車202の後面105のそれぞれ左右にある2つのカメラ102を使用することができる。無線接続の場合には、2つのカメラ102が互いに接続を確立することができ、その場合、これらのカメラ102のうちの一方が、マスタの役割を引き受けることができる。2つのカメラ102をケーブルによって接続することも可能であり、これにより、装置110との1つの無線データ接続のみを形成すればよくなる。とりわけ、取り外し可能なカメラ102の場合には、2つのカメラ102の互いに対する相対的な位置の特定を、上述した方法により、とりわけカメラ102のそれぞれの画像内において画像内容を特定することによって実施することもできる。
【0051】
上述の実施例によるカメラモニタシステム100により、被牽引車202の後方の環境111のうちの、カメラ102なしでは従来見えなかった領域を、自動車101の運転者のためにモニタ104上に快適かつ直感的に表示することが可能となる。
図1
図2
図3