(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置、エレベータ制御システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B66B 1/18 20060101AFI20221108BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
B66B1/18 N
B66B3/00 M
B66B3/00 G
(21)【出願番号】P 2021000271
(22)【出願日】2021-01-04
【審査請求日】2021-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 嘉章
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-125189(JP,A)
【文献】特開2015-218015(JP,A)
【文献】特開2019-131395(JP,A)
【文献】国際公開第2020/261361(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/18
B66B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗場において利用者の行先階を行先呼びとして登録可能なエレベータ制御装置において、
エレベータのかご内の乗り合わせ人数が所定人数を超えないように抑制する必要があるか否かを判断する判断部と、
前記乗り合わせ人数が所定人数を超えないように抑制する必要がある場合に登録されている乗場行先呼びに基づいて、所定人数を超えて乗り合わせとなる可能性のあるかごを割当対象から除外するかご割当除外部と、
を備え、
前記判断部は、既登録の前記行先呼びに対する予測平均待ち時間が所定の閾値以下である場合に、前記乗り合わせ人数が所定人数を超えないように抑制する必要があると判断する、
エレベータ制御装置。
【請求項2】
前記判断部は、乗車済みの乗客の降車予定階、既に前記かごに割り当てられている前記行先呼びの乗降階から新規の前記行先呼びの乗客が下車するまで乗り合わせる前記乗り合わせ人数の最大人数を算出する、
請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記判断部は、所定の設定により、前記乗り合わせ人数が所定人数を超えないように指示がなされている場合に、前記乗り合わせ人数が所定人数を超えないように抑制する必要があると判断する、
請求項1
または請求項2に記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記かごに対応づけて予め設定された乗客の立位置及び前記立位置の優先度に基づいて、未割当の立位置のうち、前記優先度の高い立位置を提示する立位置提示部を備えた、
請求項1乃至
請求項3のいずれか一項に記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
前記乗場には、行先階登録装置が設けられており、
前記立位置提示部は、前記行先階登録装置を介して前記優先度の高い立位置を提示する、
請求項4に記載のエレベータ制御装置。
【請求項6】
乗場において利用者の行先階を行先呼びとして登録可能な制御対象の複数のエレベータの運転を制御するエレベータ制御システムにおいて、
各エレベータの運転制御を行う単体制御装置と、
前記単体制御装置を介して前記複数のエレベータの群管理を行うエレベータ制御装置と、
前記乗場に設けられた行先階登録装置と、
を備え、
前記エレベータ制御装置は、乗場において利用者の行先階を行先呼びとして登録可能であり、エレベータのかご内の乗り合わせ人数が所定人数を超えないように抑制する必要があるか否かを判断する判断部と、前記乗り合わせ人数が所定人数を超えないように抑制する必要がある場合に登録されている乗場行先呼びに基づいて、所定人数を超えて乗り合わせとなる可能性のあるかごを割当対象から除外するかご割当除外部と、を有
し、
前記判断部は、既登録の前記行先呼びに対する予測平均待ち時間が所定の閾値以下である場合に、前記乗り合わせ人数が所定人数を超えないように抑制する必要があると判断する、
エレベータ制御システム。
【請求項7】
制御対象の複数のエレベータの運転を制御し、乗場において利用者の行先階を行先呼びとして登録可能なエレベータ制御装置で実行される方法であって、
エレベータのかご内の乗り合わせ人数が所定人数を超えないように抑制する必要があるか否かを判断する過程と、
前記乗り合わせ人数が所定人数を超えないように抑制する必要がある場合に登録されている乗場行先呼びに基づいて、所定人数を超えて乗り合わせとなる可能性のあるかごを割当対象から除外する過程と、
を備え
、
前記判断する過程において、既登録の前記行先呼びに対する予測平均待ち時間が所定の閾値以下である場合に、前記乗り合わせ人数が所定人数を超えないように抑制する必要があると判断する、
方法。
【請求項8】
制御対象の複数のエレベータの運転を制御し、乗場において利用者の行先階を行先呼びとして登録可能なエレベータ制御装置をコンピュータにより制御するプログラムであって、
前記コンピュータを、
エレベータのかご内の乗り合わせ人数が所定人数を超えないように抑制する必要があるか否かを判断する手段と、
前記乗り合わせ人数が所定人数を超えないように抑制する必要がある場合に登録されている乗場行先呼びに基づいて、所定人数を超えて乗り合わせとなる可能性のあるかごを割当対象から除外する手段と、して機能さ
せ、
前記判断する手段に、既登録の前記行先呼びに対する予測平均待ち時間が所定の閾値以下である場合に、前記乗り合わせ人数が所定人数を超えないように抑制する必要があると判断させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、エレベータ制御装置、エレベータ制御システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータ制御システムにおいては、無駄な停止を無くしてエレベータの輸送効率を向上させる観点で満員通過機能、及び、満員荷重の閾値の変更を行う満員荷重変更機能が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6536746号公報
【文献】特許第6683181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エレベータでは、当該エレベータが設けられたビル混雑時にかご内が密状態となりやすくなるが、かご内密状態を直接的に抑制する手法は提案されていないのが現状である。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、エレベータのかご内において、所定人数を超える乗りあわせを抑制し、ソーシャルディスタンスを確保することが可能なエレベータ制御装置、エレベータ制御システム、方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のエレベータ制御装置は、乗場において利用者の行先階を行先呼びとして登録可能なエレベータ制御装置において、エレベータのかご内の乗り合わせ人数が所定人数を超えないように抑制する必要があるか否かを判断する判断部と、前記乗り合わせ人数が所定人数を超えないように抑制する必要がある場合に登録されている乗場行先呼びに基づいて、所定人数を超えて乗り合わせとなる可能性のあるかごを割当対象から除外するかご割当除外部と、を備え、前記判断部は、既登録の前記行先呼びに対する予測平均待ち時間が所定の閾値以下である場合に、前記乗り合わせ人数が所定人数を超えないように抑制する必要があると判断する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態のエレベータ制御システムの構成例説明図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の全体処理フローチャートである。
【
図3】
図3は、かご内乗り合わせ人数の算出処理の処理フローチャートである。
【
図4】
図4は、割当候補かごの選出処理の処理フローチャートである。
【
図5】
図5は、割当評価処理の処理フローチャートである。
【
図6】
図6は、エレベータのかご内の好適な立位置の一例を説明する図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態の全体処理フローチャートである。
【
図8】
図8は、割当評価処理の処理フローチャートである。
【
図9】
図9は、かご内立位置決定処理の処理フローチャートである。
【
図10】
図10は、行先階登録装置の立位置結果表示時の外観説明図である。
【
図11】
図11は、行先階登録装置の立位置結果表示の詳細説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に図面を参照して実施形態について詳細に説明する。
[1]第1実施形態
図1は、実施形態のエレベータ制御システムの構成例説明図である。
エレベータ制御システム10は、大別すると、複数(
図1の例では、3台)のエレベータ11と、エレベータ11の群管理制御を行うエレベータ制御装置12と、エレベータ制御装置12の制御下で各エレベータ11をそれぞれ制御する複数の単体制御装置13と、エレベータ11の乗場に設けられた行先階登録装置14と、を備えている。
【0009】
以下の説明において各エレベータ11を識別する必要がある場合には、それぞれ、エレベータ11A(A号機)、エレベータ11B(B号機)及びエレベータ11C(C号機)と表記するものとする。
【0010】
各エレベータ11のかごには、それぞれ各種アナウンスを行うアナウンス装置がそれぞれ設けられている。
【0011】
エレベータ制御装置(群管理装置)12は、行先階登録装置14により行先階呼び(乗場呼び)がなされた場合に、エレベータ11A、エレベータ11B及びエレベータ11Cに対して既に割り当てられている行先呼びあるいはエレベータ11A、エレベータ11B及びエレベータ11Cに対応する既に割り当てられているかご呼びに基づいて、新たな行先階呼びに応答させるエレベータを決定し、割当指令を出力する。
【0012】
この場合において、エレベータ制御装置12は、後述するように、エレベータの需要を判別し、需要が所定値(所定の閾値)以下である場合、より詳細には、既登録の行先呼びに対する予測平均待ち時間が所定の閾値以下である場合に、既割り当ての行先階呼び登録階に至る途中階に対応する新たな行先階呼びの割り当てを抑制し、かご呼び登録階に至る途中階に対応する新たな行先階呼びの割り当てを抑制するように制御を行う。
【0013】
単体制御装置13は、対応するいずれか一つのエレベータ11のかごの走行および戸開閉を制御する。
【0014】
行先階登録装置14は、エレベータ11の乗場に設置され、入力された行先階を登録して行先呼びを発生させる。
【0015】
より詳細には、行先階登録装置14は、エレベータ11の乗場に少なくとも一つずつ設置されている。行先階登録装置14には、乗客が行先階を登録するための複数の登録ボタンが配置された登録ボタンパネル14Aと、車椅子の利用者が車椅子対応ダブルデッキエレベータを呼ぶための車椅子ボタン14Bと、各種情報を表示するためのディスプレイパネル14Cと、が設けられている。
【0016】
乗客は、登録ボタンパネル14Aの各階の登録ボタンを操作して所望の行先階として登録することができる。そして、行先階が登録されると、その行先階を示す行先呼び信号が行先階登録装置14からエレベータ制御装置12に対して送出される。
これらの登録情報については、ディスプレイパネル14Cに表示される。
【0017】
ここで、エレベータ制御装置12の機能について説明する。
エレベータ制御装置12の割当制御部21は、実際に登録された行先階呼び登録階に対応する行先階呼び登録及び対応するエレベータを特定する情報を管理し、通常時には、エレベータ11A~11Cの各かごについて算出されたそれぞれの割当評価値に基づいて、行先呼びに対応して割り当てるかごを決定する。
また割当制御部21は、行先階呼びの登録がなされてから、かごが到着するまでの待ち時間を予測して予測平均待ち時間として算出する。
【0018】
また割当制御部21は、乗り合わせ抑制制御時には、エレベータ11A~11Cの各かごについて算出されたそれぞれのかご内乗り合わせ人数の算出結果に基づいて、行先階呼びに対応して乗り合わせ抑制を行うべく割り当てるかごを決定する。
【0019】
そして、割当制御部21は、行先階呼びに対応していて割り当てるかごが決定すると、当該かごに対応する割当指令を対応する単体制御装置13に出力する。
この場合において、割当制御部21は、エレベータのかご内の乗り合わせ人数が所定人数を超えないように抑制する必要があるか否かを判断する判断部21Aと、乗り合わせ人数が所定人数を超えないように抑制する必要がある場合に登録されている乗場行先呼びに基づいて、所定人数を超えて乗り合わせとなる可能性のあるかごを割当対象から除外するかご割当除外部21Bと、かごに対応づけて予め設定された乗客の立位置及び立位置の優先度に基づいて、未割当の立位置のうち、優先度の高い立位置を提示する立位置提示部21Cとして機能する。
また、立位置優先度設定部22は、後述する立位置の優先度が設定可能で、かご内の立位置の優先度を記憶している。
【0020】
次に第1実施形態の概要動作を説明する。
図2は、第1実施形態の全体処理フローチャートである。
まず、エレベータ制御装置12は、乗りかご内の乗り合わせ人数を抑制し、かご内の密状態をさける乗り合わせ抑制制御が必要か否か判断する(ステップS11)。
【0021】
この場合において、乗り合わせ抑制制御が必要か否かは、予測した予測平均待ち時間が一定水準以下、すなわち、予測平均待ち時間が短く、かご内の密状態が発生しにくい状況である場合、あるいは、エレベータの管理者により常時、乗り合わせ抑制制御を行うように設定スイッチなどが設定されている場合である。
【0022】
ステップS11の判断において、乗り合わせ抑制制御が必要ではない場合には(ステップS11;No)、エレベータ制御装置12は、処理をステップS14に移行して通常通りかごの割当評価を行い(ステップS14)、配車制御を行う(ステップS15)。なお、割当評価の詳細については、後に詳述する。
【0023】
ステップS11の判断において、乗り合わせ抑制制御が必要である場合には(ステップS11;Yes)、エレベータ制御装置12はかご内乗り合わせ人数を算出する(ステップS12)。
【0024】
図3は、かご内乗り合わせ人数の算出処理の処理フローチャートである。
このかご内乗り合わせ人数の算出処理は、エレベータ11の全号機、すなわち、エレベータ11A~11Cのそれぞれについてなされる。
より具体的には、エレベータ制御装置12は、乗車済み乗客の降車予定階、既に当該エレベータ11に割り当てられている行く先呼びの乗降階から新規行き先呼びの乗客が下車するまでに相乗り状態となる最大人数を算出する(ステップS21)。
そして同様の処理を全てのエレベータ11について行う。
【0025】
次にエレベータ制御装置12は、割当候補かごの選出処理を行う(ステップS13)。
【0026】
図4は、割当候補かごの選出処理の処理フローチャートである。
割当候補かごの選出処理は、エレベータ11の全号機、すなわち、エレベータ11A~11Cのそれぞれについてなされる。
【0027】
より具体的には、エレベータ制御装置12は、ステップS21において算出した乗車済み乗客の降車予定階、既割り当て行先呼びの乗降階から新規行先呼びの乗客が下車するまでに相乗り状態となる最大人数が予め指定された人数を超えるか否かを判断する(ステップS31)。
【0028】
ステップS31の判断において、乗車済み乗客の降車予定階、既割り当て行先呼びの乗降階から新規行先呼びの乗客が下車するまでに相乗り状態となる最大人数が予め指定された人数を超えない場合には(ステップS31;No)には、割当候補かごの選出処理を終了する。
【0029】
ステップS31の判断において、乗車済み乗客の降車予定階、既割り当て行先呼びの乗降階から新規行先呼びの乗客が下車するまでに相乗り状態となる最大人数が予め指定された人数を超える場合には、当該エレベータ11であるかごは密状態となる可能性が高いため、割当候補かごから除外する(ステップS32)。
【0030】
次にエレベータ制御装置12は、選出された割当候補かごについて割当評価処理を行う(ステップS14)。
【0031】
図5は、割当評価処理の処理フローチャートである。
割当評価処理は、割当候補かごのなかから実際に行先呼びに応答して、走行するエレベータ11を選定する処理である。
【0032】
より具体的には、エレベータ制御装置12は、ステップS31の判断の結果としての割当候補かごがあるか否かを判断する(ステップS41)。
ステップS41の判断において、少なくとも1台の割当候補かごがある場合には(ステップS41;Yes)、エレベータ制御装置12は、割当候補かごの中から通常の割当評価を行って、割当評価に基づいて実際の割当かごを選定(決定)する(ステップS42)。
【0033】
そして、エレベータ制御装置12は、割当かごの選定結果を乗場行先階登録して(ステップS43)、割当評価処理を終了する。
ステップS41の判断において、割当候補かごがない場合には(ステップS41;No)、エレベータ制御装置12は、割当なしと判定して(ステップS44)、割当かごの選定結果を乗場行先階登録して(ステップS43)、割当評価処理を終了する。
【0034】
次にエレベータ制御装置12は、乗場行く先階登録されたかごについて配車制御を行う(ステップS15)。
これらの処理の結果、乗場行先階登録に対応する乗場には、相乗り時の人数が制限されるように考慮されたかごが配車されることとなる。
【0035】
以上の説明のように、本第1実施形態によれば、相乗り状態となる最大人数が予め指定された人数を超えてエレベータのかご内が密状態となるのを抑制することが可能となる。
したがって、エレベータのかご内において、所定人数を超える乗りあわせを抑制し、かつ、ソーシャルディスタンスを確保することができる。
【0036】
[2]第2実施形態
次に第2実施形態について説明する。
本第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、かご内での乗客に対し、ソーシャルディスタンスを確保するために好適な立位置を提示する点である。
【0037】
図6は、エレベータのかご内の好適な立位置の一例を説明する図である。
エレベータ11のかごBXは、その大きさに応じてより好適なソーシャルディスタンスを確保するための乗客の立位置がある。
【0038】
例えば、
図6に示すかごBXにおいては、かご内操作パネルの位置等も考慮して、立位置P1~P5が考えられる。
この場合において、立位置P1~P5の優先度(立位置優先度)PP1~PP5は、例えば、以下のようになっている。
PP1>PP2>PP3>PP4>PP5
【0039】
このようにして、優先度の高い立位置から乗客に立位置を割り当て、相乗り時の最大人数を5人とすることで、好ましいソーシャルディスタンスが確保できるのである。
【0040】
次に第2実施形態の動作を説明する。
図7は、第2実施形態の全体処理フローチャートである。
図7において、
図2と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
まず、エレベータ制御装置12は、乗りかご内の乗り合わせ人数を抑制し、かご内の密状態をさける乗り合わせ抑制制御が必要か否か判断する(ステップS11)。
【0041】
ステップS11の判断において、乗り合わせ抑制制御が必要ではない場合には(ステップS11;No)、エレベータ制御装置12は、処理をステップS46に移行して通常通りかごの割当評価を行い(ステップS46)、配車制御を行う(ステップS47)。
【0042】
ステップS11の判断において、乗り合わせ抑制制御が必要である場合には、現在の運転モードが混雑回避運転モードである場合には(ステップS11;Yes)、エレベータ制御装置12は
図3に示した手順によりかご内乗り合わせ人数を算出する(ステップS12)。
【0043】
次にエレベータ制御装置12は、
図4に示した手順により割当候補かごの選出処理を行う(ステップS13)。
【0044】
ステップS31の判断において、乗車済み乗客の降車予定階、既割り当て行先呼びの乗降階から新規行先呼びの乗客が下車するまでに相乗り状態となる最大人数が予め指定された人数を超える場合には、当該エレベータ11であるかごは密状態となる可能性が高いため、割当候補かごから除外する(ステップS32)。
【0045】
次にエレベータ制御装置12は、選出された割当候補かごについて割当評価処理を行う(ステップS46)。
【0046】
図8は、割当評価処理の処理フローチャートである。
割当評価処理は、割当候補かごのなかから実際に行先呼びに応答して、走行するエレベータ11を選定する処理である。
より具体的には、エレベータ制御装置12は、ステップS31の判断の結果としての割当候補かごがあるか否かを判断する(ステップS51)。
【0047】
ステップS51の判断において、少なくとも1台の割当候補かごがある場合には(ステップS51;Yes)、エレベータ制御装置12は、割当候補かごの中から通常の割当評価を行って、割当評価に基づいて実際の割当かごを選定(決定)する(ステップS52)。
【0048】
次にエレベータ制御装置12は、かご内立位置決定処理を行う(ステップS53)。
【0049】
図9は、かご内立位置決定処理の処理フローチャートである。
まずエレベータ制御装置12は、立位置優先度設定部22から記憶しているかごの大きさに応じて予め定められた立位置(上述の立位置P1~P5に相当)と、立位置優先度(上述の優先度PP1~PP5に相当)と、を取得する(ステップS61)。
【0050】
次にエレベータ制御装置12は、新規行先呼びの行先階において割当かごに乗車する際に提示する立位置情報として、未割当の立位置の内、優先度の最も高い立位置を選択する(ステップS62)。
【0051】
より具体的には、初期状態においては、立位置P1~P5のうち、最も優先度の高い立位置P1(優先度=PP1)が選択される。
また既に立位置P1、P2が選択されている状態においては、未だ未割当の立位置P3~P5のうち最も優先度の高い立位置P3(優先度=PP3)が選択される。
【0052】
次にエレベータ制御装置12は、割当かごの選定結果及び立位置決定結果を乗場の行先階登録装置14へ通知して、割当評価処理を終了する(ステップS54)。
【0053】
次にエレベータ制御装置12は、乗場行く先階登録されたかごについて配車制御を行い、行先階登録装置14において立位置情報を提示する(ステップS47)。
これらの処理の結果、乗場行先階登録に対応する乗場には、相乗り時の人数が制限されるように考慮されたかごが配車され、立位置情報が提示される。
【0054】
図10は、行先階登録装置の立位置結果表示時の外観説明図である。
図11は、行先階登録装置の立位置結果表示の詳細説明図である。
通知された割当かごの選定結果EID及び立位置決定結果STPは、
図10に示すように、行先階登録装置14のディスプレイパネル14Cに表示される。
【0055】
より詳細には、
図11に示すように、割当かごの選定結果EIDにより割当かごがエレベータ11Aに相当する「A」号機であることがわかる。
また、エレベータ制御装置12により推薦される好ましい乗客の立位置としては、立位置P1に対応する立位置表示マークSTMがかごの略図とともに示される。
【0056】
なお、この場合において、その他の立位置P2~P5については、グレー表示等により表示される。
また必要に応じて音声案内あるいはディスプレイパネル14Cに当該立位置表示マークSTMに立って乗車するように案内表示を行うようにすることも可能である。
【0057】
以上の説明のように、本第2実施形態によれば、相乗り状態となる最大人数が予め指定された人数を超えてエレベータのかご内が密状態となるのを抑制することが可能となるとともに、好適な乗客の立位置を提示できるので、エレベータのかご内において、所定人数を超える乗りあわせを抑制し、かつ、ソーシャルディスタンスをより確実に確保することができる。
【0058】
本実施形態のエレベータ制御装置は、CPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、HDD、SSDなどの外部記憶装置と、を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0059】
本実施形態のエレベータ制御装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでメモリカード、USBメモリ、SSD等の半導体記憶装置、DVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0060】
また、本実施形態のエレベータ制御装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のエレベータ制御装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0061】
また、本実施形態のエレベータ制御装置のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0062】
これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0063】
10 エレベータ制御システム
11、11A~11C エレベータ
12 エレベータ制御装置
13 単体制御装置
14 行先階登録装置
14C ディスプレイパネル
21 割当制御部
21A 判断部
21B 割当除外部
21C 立位置提示部
22 立位置優先度設定部
EID 割当かごの選定結果
STM 立位置表示マークSTM
STP 立位置決定結果
P1~P5 立位置