(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】施工記録写真管理補助システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20221108BHJP
【FI】
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2021009800
(22)【出願日】2021-01-25
【審査請求日】2021-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000162593
【氏名又は名称】エクシオグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】篠原 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】堀家 剛
(72)【発明者】
【氏名】賀川 裕司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 潤
【審査官】庄司 琴美
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-012212(JP,A)
【文献】国際公開第2016/056297(WO,A1)
【文献】特開2017-079019(JP,A)
【文献】特開2014-002658(JP,A)
【文献】特開2019-175383(JP,A)
【文献】特開2021-086244(JP,A)
【文献】特開2010-108384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事現場において現場状況や施工状況を現場端末により撮影した画像データを管理システムに送信し、各状況の適否を判定する施工記録写真管理システムにおいて、
少なくとも、前記画像データを撮影するための撮影手段と、撮影した画像データを記録するための記録手段と、タッチ操作機能を有すると共に、前記記録手段に記録した前記画像データを視認可能に表示するための表示手段と、前記管理システムとのデータ通信を行う通信手段、及び各種手段の作用を成すプログラムを実行するための演算手段とを有する現場端末を備え、
前記演算手段は、前記表示手段に前記画像データが表示された後、前記表示手段における前記画像データの表示領域にタッチ操作が認識された場合に、タッチされた部位における画像データ上の座標データを算出し、算出された座標データを前記画像データに関連付けて前記記録手段に記録する処理と、
前記座標データの位置にマーキングを表示したデータシートを作成し、前記表示手段に表示されている前記画像データに重ねて表示する処理、前記データシートを前記画像データに関連付けて前記記録手段に記録する処理、及び前記管理システムに対して前記画像データを送信する際に、前記画像データに関連づけた座標データ
及び前記データシートも併せて送信する処理と
、を行い、
前記管理システムでは、前記現場状況や前記施工状況の適否の判定を人手によって行う場合には、前記管理システムの表示手段上に、前記データシートを前記画像データに重ねて表示する処理を行い、前記適否の判定をAIによって行う場合には、前記画像データに関連付けた前記座標データに基づいて判定対象となる部位を特定する処理を行うことを特徴とする施工記録写真管理補助システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事における施工記録のための写真を管理するシステムに係り、特に施工箇所の特定を容易化するのに好適な施工記録写真管理補助システムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル撮影技術、並びに通信技術の発達に伴い工事現場では、施工記録写真をデジタル撮影し、管理システムへ送信するという事を行うケースが増えてきている。例えば特許文献1には、工事現場を自律移動する移動体に撮影手段を備え、適宜撮影された画像データを管理システムに送信する技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、工事現場における施工状況の画像データを管理システムへ送信した後、管理システムにおいて施工状況の判定を行い、送信者に対して施工の予定や警告を通知するという技術が開示されている。
【0004】
さらに本願出願人は、非特許文献1に開示されているように、工事現場の現場状況を撮影した画像データに基づき、安全対策が適切であるか否かの判定を行うシステムを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-58767号公報
【文献】特開2017―215878号公報
【文献】http://www.itea.or.jp/works/raisers_pdf/202001/rai202001safety2.pdf(特に項目3.2、
図10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献や非特許文献に開示されているように、施工状況や現場状況を画像データとして記録したり、当該画像データに基づいて施工状況や安全対策の判定を行う事によれば、施工記録としての確実性を担保できると共に、施工状況や安全対策の適切な判断、並びに施工や安全対策に関する質の向上を図る事ができると考えられる。
【0007】
しかし、画像データに基づく判定は、管理者など、現場状況を把握する事ができない者や、AIなどにより行われることとなる。このため、画像データ中に判定対象となり得る内容が複数存在する場合には、どれが本来の判定対象であるのかという判断が困難となる場合がある。
【0008】
そこで本発明では、画像データに判定対象となり得る内容が複数存在する場合であっても、判定対象の特定を容易化する事のできる施工記録写真管理補助システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る施行記録写真管理補助システムは、工事現場において現場状況や施工状況を現場端末により撮影した画像データを管理システムに送信し、各状況の適否を判定する施工記録写真管理システムにおいて、少なくとも、前記画像データを撮影するための撮影手段と、撮影した画像データを記録するための記録手段と、タッチ操作機能を有すると共に、前記記録手段に記録した前記画像データを視認可能に表示するための表示手段と、前記管理システムとのデータ通信を行う通信手段、及び各種手段の作用を成すプログラムを実行するための演算手段とを有する現場端末を備え、前記演算手段は、前記表示手段に前記画像データが表示された後、前記表示手段における前記画像データの表示領域にタッチ操作が認識された場合に、タッチされた部位における画像データ上の座標データを算出し、算出された座標データを前記画像データに関連付けて前記記録手段に記録する処理と、前記管理システムに対して前記画像データを送信する際に、前記画像データに関連づけた座標データも併せて送信する処理とを行うことを特徴とする。
【0010】
また、上記のような特徴を有する施行記録写真管理補助システムにおいて前記演算手段は、前記座標データを算出した際、前記座標データの位置にマーキングを表示したデータシートを作成し、前記表示手段に表示されている前記画像データに重ねて表示する処理を行うようにすると良い。このような特徴を有する事によれば、施工状況等の良否(適否)を判定する対象を特定した事を視覚的に把握する事が可能となる。
【0011】
さらに、上記のような特徴を有する施行記録写真管理補助システムでは、前記管理システムにおいて前記現場端末から送信された前記画像データを開示する際、前記管理システムの表示手段上には、前記データシートを前記画像データに重ねて表示する処理が成されるようにすると良い。このような特徴を有する施工記録写真管理補助システムによれば、施工状況等の良否判定を人が行う場合において、判定対象となる部位を視覚的に把握する事が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
上記のような特徴を有する施工記録写真管理補助システムによれば、画像データに判定対象となり得る内容が複数存在する場合であっても、判定対象の特定を容易化する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る施工記録写真管理補助システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る施工記録写真管理補助システムを構成する現場端末の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】現場端末の表示手段に、撮影手段により撮影した画像データを表示した状態の例を示す図である。
【
図4】表示手段に表示された画像データにデータシートを積層表示した場合の例を示す図である。
【
図5】画像データをタッチ操作した際に算出される座標データの表示例を示す図である。
【
図6】画像データとデータシートがそれぞれ別レイヤーで構成される事を示す図である。
【
図7】施工記録写真管理補助システムによるデータ処理の流れを説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の施工記録写真管理補助システムに係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1、2を参照して、本実施形態に係る施工記録写真管理補助システムの構成について説明する。なお、
図1は実施形態に係る施工記録写真管理補助システム全体の構成を示すブロック図であり、
図2は、同現場端末の構成を示すブロック図である。
【0015】
[構成]
本実施形態に係る施工記録写真管理補助システム10は、管理システム12と、1つ乃至は複数の現場端末14を基本として構成される。管理システム12は、詳細を後述する現場端末14から送信された工事現場の現場状況や施工状況に関する画像データの確認、及び当該画像データに基づく各状況の適否についての判断を行うための要素である。施工状況の適否(良否)に関する判断(判定)を人手によって行う場合には、ディスプレイ等の表示手段を有し、現場端末から送信された画像データ等を表示可能な構成とする。
【0016】
現場端末14は、工事現場に配備され、管理システム12に対して画像データの送信を可能とする端末であれば良い。よって、各作業者や現場監督が保有する、いわゆるスマートフォンやタブレット端末などの携帯端末に限らず、大規模な工事現場に設けられた事務所などに設置されるパソコンなどの固定端末も、本実施形態に係る現場端末の一部に含まれる。
【0017】
本実施形態に係る現場端末14は、少なくとも、撮影手段16と、記録手段18、表示手段20、通信手段22、及び演算手段24を有するものであれば良い。撮影手段16は、工事現場における現場状況や施工状況を撮影し、画像データ30(一例として、
図3参照)を取得する事ができれば良い。なお、現場端末14が固定端末である場合には、必ずしも現場端末に一体化されたものでなく、デジタルカメラなど、現場端末14に対して直接的、あるいは間接的に画像データ30を送る事ができる要素であれば足りる。
【0018】
記録手段18は、撮影手段16により撮影された画像データ30や詳細を後述する座標データ、及びデータシート32(一例として
図6参照)の他、各種手段による作用を成すためのプログラム等を記録しておくための要素である。
【0019】
表示手段20は、撮影手段16により撮影された画像データ30や、記録手段18に記録された座標データ、並びにデータシート32などを視認可能に表示するための要素であり、液晶ディスプレイなどであれば良い。また、表示手段20は、いわゆるタッチ操作が可能な構成とし、各種操作キーなども表示可能な構成とすると良い。
【0020】
通信手段22は、管理システム12との間でデータ通信を行うための要素である。演算手段24は、上述した各種手段の作用を成すためのプログラムを実行すると共に、画像データ30に関し、詳細を後述する各種処理を実行するための要素である。
【0021】
具体的には、撮影手段16により撮影された画像データ30が表示手段20に表示された後、表示手段20における画像データ30の表示領域にタッチ操作が加えられた場合、当該操作を認識する。そして、タッチ操作された部位における画像データ30上の座標データを算出し、算出された座標データを画像データ30に関連づけて記録手段18に記録する処理を行う。また、通信手段22を介して画像データ30を管理システム12に送信する際には、画像データ30に関連付けた座標データも併せて送信する処理を行う。
【0022】
さらに、本実施形態に係る演算手段24は、タッチ操作を行った部位に相当する座標データを算出した際、この座標データの位置にマーキングを表示したデータシート32を作成する処理と、作成したデータシート32を表示手段20に表示されている画像データ30に重ねて表示する処理を行うことを可能とする(一例として
図4参照)。なお、作成したデータシート32は、座標データと同様に、画像データ30に関連付けて記録手段18に記録すると共に、画像データ30を管理システム12に送信する際には、併せて送信するようにする。また、データシート32は、例えば画像データ30と同じピクセル数の透過画像を別シート(レイヤー)として作成し、この透過画像上に座標データを反映させたマーキングを記すようにすれば良い。
【0023】
[作用]
次に、上記のような構成を有する施工記録写真管理補助システム10によるデータ処理の流れについて、
図7に示すフローを参照して説明する。実施形態に係る施工記録写真管理補助システム10ではまず、工事現場において現場端末14を保有する者(例えば作業者)が、撮影手段16を用いて施工状況を撮影する(ステップ10)。撮影が完了すると、現場端末14の表示手段20に、撮影された画像データ30が表示される(
図3参照)。作業者は、表示されている画像データ30上において施工状況の判定を要求する部位(判定対象)をタップするなど、タッチ操作を実行する。ここでは、施工対象とする家屋と、家屋から主線への引き込みを行った分岐点、および引落柱(電柱)を判定対象として指定する(ステップ20)。
【0024】
表示手段20における画像データ30の表示領域に対してタッチ操作が行われると、演算手段24は表示手段20上のタッチ操作部位における画像データ30上の座標データ(例えばピクセル単位でのXY座標)を算出する(ステップ30:座標データに関しては、例えば
図5参照)。座標データが算出されると、演算手段24は画像データ30と同サイズの透過画像シートを作成し、座標データの位置に任意のマーキングを表示したデータシート32を作成する(ステップ40)。作成されたデータシート32は、表示手段20上において画像データ30の上部レイヤーとして積層表示される(ステップ50:積層表示の例としては
図4参照)。
【0025】
演算手段24により算出された座標データと、座標データに基づいて作成されたデータシート32は、画像データ30に関連づけて記録手段18に記録される(ステップ60)。記録手段18に記録された画像データ30と座標データ、及びデータシート32は、現場端末14における管理システム12へのデータ送信操作が実行されると、画像データ30に関連づけられたファイルとして、画像データ30と共に管理システム12に送信される(ステップ70)。
【0026】
現場端末14からの画像データ30、並びに画像データ30に関連づけられたファイルを受信した管理システム12では、施工状況等に関する良否判定を行う。ここで、良否判定を人手によって行う場合には、表示手段上に画像データ30に加え、データシート32を積層配置して表示する処理が成される。
【0027】
[効果]
上記のような施工記録写真管理補助システム10によれば、管理システム12には、画像データ30と共に、判定対象となる部位を示す座標データと、画像データ30に積層表示可能なレイヤーとしてのデータシート32が送信されることとなる。このため、管理システム12における施工状況等の良否判定が人によって成される場合には、画像データ30とデータシート32を重ねた状態でディスプレイ等に画像データ30を表示し、マーキング部分を確認した上で施工状況等の良否判定を実行することができる。
【0028】
一方、施行状況等の良否判定をAIによって実行される場合には、画像データ30に対応した座標データに基づいて、判定対象となる部位の特定を行う事が可能となる。よって、判定を人が行う場合であるか、AIにより行われる場合であるかに関わらず、画像データ30に判定対象となり得る内容が複数存在する場合であっても、判定対象の特定を容易化し、判定処理に要する時間、及び労力を軽減することが可能となる。
【0029】
また、データシート32を画像データ30と別レイヤーとして保存、重ね合わせ表示可能な構成とすることで、元の画像データ30を維持したまま、判定対象となる部位を視覚的に認識しやすくする事ができる。
【符号の説明】
【0030】
10………施工記録写真管理補助システム、12………管理システム、14………現場端末、16………撮影手段、18………記録手段、20………表示手段、22………通信手段、24………演算手段、30………画像データ、32………データシート。