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▶ オリンパス・ウィンター・アンド・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

特許7171803電気外科手術用システム、電気外科手術用器具、および電気外科手術用ジェネレータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】電気外科手術用システム、電気外科手術用器具、および電気外科手術用ジェネレータ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20221108BHJP
   A61B 18/18 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
A61B18/12
A61B18/18
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021055102
(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2021159765
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】10 2020 108 798.5
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2020 108 970.8
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2020 128 695.3
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510320416
【氏名又は名称】オリンパス・ウィンター・アンド・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン ヤーニヒ
(72)【発明者】
【氏名】イェンス クリューガー
(72)【発明者】
【氏名】カーステン ロレンツ
(72)【発明者】
【氏名】フランク ブライトシュプレヒャー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル カーデル
(72)【発明者】
【氏名】アンネ クウィク
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-502359(JP,A)
【文献】特表2011-526157(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0105701(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0241116(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0099180(US,A1)
【文献】特開2013-192953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00-18/18
A61B 90/90-90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科手術用システム(10)を動作させるための方法であって、
当該電気外科手術用システム(10)は、少なくとも1つの器具データメモリを有する電気外科手術用器具(14)と、動作時に前記電気外科手術用器具(14)が接続される電気外科手術用ジェネレータ(12)とを有し、
前記電気外科手術用ジェネレータ(12)は、プロセッサ(70)と、前記プロセッサ(70)に接続された少なくとも1つのジェネレータデータメモリ(72)とを有し、
前記プロセッサ(70)は、前記電気外科手術用ジェネレータ(12)を制御するために、前記ジェネレータデータメモリ(72)内に格納されている動作プログラム(74)を実行し、
構造化されたデータを有するデータセットが生成または提供され、前記構造化されたデータは、複数のパラメータ化された参照指示として構成されており、前記参照指示は、前記電気外科手術用ジェネレータ(12)の前記ジェネレータデータメモリ(72)内に格納されている動作規定(76)を参照するよう指示し、前記動作規定(76)は、制御命令および動作パラメータみ、
前記構造化されたデータを有する前記データセットは、前記電気外科手術用器具の前記器具データメモリ内に格納されるか、または格納されており、
前記電気外科手術用ジェネレータ(12)の起動時または動作中に、前記電気外科手術用器具(14)の前記器具データメモリ(26)内に格納されている、前記構造化されたデータを有する前記データセットが、前記電気外科手術用ジェネレータによって読み取られ、
前記電気外科手術用ジェネレータ(12)内に格納されている制御命令を、前記構造化されたデータ内に存在する前記動作パラメータを考慮して実行するために、前記構造化されたデータ内に格納されている前記パラメータ化された参照指示が、前記動作プログラム(74)によって制御されて呼び出され、
これにより、前記電気外科手術用ジェネレータは、前記動作プログラムと、前記ジェネレータデータメモリ内に格納されている前記制御命令と、前記ジェネレータデータメモリ内に格納されている前記制御命令の個々の制御命令を参照するよう指示する、前記構造化されたデータ内に含まれている前記パラメータ化された参照指示とに依存して制御される、
方法。
【請求項2】
前記電気外科手術用器具(14)の前記器具データメモリ(26)内に格納されている、前記構造化されたデータを有する前記データセットは、前記電気外科手術用ジェネレータによって読み取られた後、前記電気外科手術用ジェネレータのジェネレータデータメモリ(72)内に保存される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記電気外科手術用器具(14)の前記器具データメモリ(26)内に格納されている構造化されたデータは、前記電気外科手術用ジェネレータ(12)によって読み取られる際、または前記電気外科手術用ジェネレータ(12)の前記ジェネレータデータメモリ(72)内に保存された後に変更される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記構造化されたデータは、信号指令を含み、
前記信号指令は、前記電気外科手術用ジェネレータの動作中、構成状態および/または動作状態に応じた、ユーザへの音響的および/または光学的な通知に変換される、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記構造化されたデータは、起動音のための定義を含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記構造化されたデータは、通知および/またはエラーメッセージを生成および/または再生するための条件およびプロパティを含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記構造化されたデータは、テキストメッセージを表すデータのために制御文字を含み、
前記制御文字は、種々異なるディスプレイ上でのテキストメッセージの再生を定義し、
前記テキストメッセージは、前記電気外科手術用ジェネレータ(12)の動作中、前記制御文字に依存して、かつ前記電気外科手術用ジェネレータ(12)に設けられたテキスト用ディスプレイ(96)に依存して生成される、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
電気外科手術用システム(10)であって、
当該電気外科手術用システム(10)は、少なくとも1つの器具データメモリ(26)を有する電気外科手術用器具(14)と、前記電気外科手術用器具(14)が接続される電気外科手術用ジェネレータ(12)とを有し、
前記電気外科手術用ジェネレータ(12)は、プロセッサ(70)と、少なくとも1つのジェネレータデータメモリ(72)とを有し、
前記プロセッサ(70)は、前記電気外科手術用ジェネレータを制御するために、前記ジェネレータデータメモリ(72)内に格納されている動作プログラム(74)を実行し、
前記電気外科手術用器具(14)の前記器具データメモリ(26)内に、構造化されたデータを有するデータセットが格納されており、前記構造化されたデータは、複数のパラメータ化された参照指示として構成されており、前記参照指示は、前記電気外科手術用ジェネレータ(12)の前記ジェネレータデータメモリ(72)内に格納されている、制御命令が含まれた動作規定を参照するよう指示し、かつ/または動作パラメータを含み、
前記電気外科手術用ジェネレータ(12)は、
前記電気外科手術用システムの起動時または動作中に、前記電気外科手術用器具(14)の前記器具データメモリ(26)内に格納されている、構造化されたデータを有する前記データセットを読み取り、
前記電気外科手術用ジェネレータ(12)内に格納されている制御命令を、前記構造化されたデータにおいて指定された動作パラメータを考慮して実行するために、前記構造化されたデータ内に格納されている前記パラメータ化された参照指示を、前記動作プログラムによって制御されて呼び出す
ように構成されている、
電気外科手術用システム(10)。
【請求項9】
前記電気外科手術用ジェネレータ(12)は、音発生器(92)と、音響信号を出力するために前記音発生器(92)に接続されたスピーカ(94)とを有し、
前記音発生器(92)は、前記プロセッサ(70)に作用接続されていて、前記プロセッサ(70)により、前記電気外科手術用器具(14)の前記器具データメモリ(26)内の、信号指令を表すデータに依存して制御されて、音響信号を生成し、前記スピーカ(94)を介して前記音響信号を出力するように構成されている、
請求項8記載の電気外科手術用システム(10)。
【請求項10】
前記ジェネレータデータメモリ(76)内に、オーディオファイルが保存されており、
前記音発生器(92)は、前記プロセッサ(70)および前記動作プログラム(74)により、前記電気外科手術用器具(14)の前記器具データメモリ(26)内の、信号指令を表すデータに依存して制御されて、前記オーディオファイルを音響信号に変換することができる、
請求項9記載の電気外科手術用システム(10)。
【請求項11】
前記電気外科手術用ジェネレータ(12)は、テキストおよび/または記号を表示するためのディスプレイ(96)を有し、
前記ディスプレイ(96)は、前記プロセッサ(70)に接続されていて、前記プロセッサ(70)および前記動作プログラム(74)により、前記電気外科手術用器具(14)の前記器具データメモリ(26)内の、信号指令を表すデータに依存して制御されて、テキストメッセージを出力するように構成されている、
請求項8から10までのいずれか1項記載の電気外科手術用システム(10)。
【請求項12】
前記電気外科手術用システム(10)は、1つのプログラミングインターフェース(82)または複数のプログラミングインターフェースを有し、
前記プログラミングインターフェース(82)を用いて、前記ジェネレータデータメモリ(72)の内容をプログラミングすることができる、
請求項8から11までのいずれか1項記載の電気外科手術用システム(10)。
【請求項13】
請求項10から12までのいずれか1項記載の電気外科手術用システム(10)のための電気外科手術用器具(14)であって、
当該電気外科手術用器具(14)は、器具データメモリ(26)を有し、前記器具データメモリ(26)は、構造化されたデータを有するデータセット(80)を含み、
前記構造化されたデータは、電気外科手術用ジェネレータ(12)によって動作中に出力される音響信号および/または光学信号のための信号指令を表すデータを含む、
電気外科手術用器具(14)。
【請求項14】
請求項13記載の電気外科手術用器具(14)のための構造化されたデータセットを作成する方法であって、
プログラミングインターフェース(82)が提供され、
前記プログラミングインターフェース(82)により、複数のパラメータ化された参照指示として構成されている構造化されたデータを有するデータセットが作成され、前記電気外科手術用器具(14)の器具データメモリ(26)内に保存される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気外科手術用器具に高周波交流電流を供給するように構成された電気外科手術用ジェネレータを有する電気外科手術用システムに関する。本発明はさらに、電気外科手術用システムを動作させるための方法と、電気外科手術用器具と、電気外科手術用ジェネレータとに関する。
【0002】
電気外科手術用システムは、通常、高周波交流電流を生成するための電気外科手術用ジェネレータを含む。電気外科手術用ジェネレータは、通常、2つ以上の出力部を有していて、これら2つ以上の出力部に電気外科手術用器具を接続することができ、動作中には、これら2つ以上の出力部の間に高周波交流電圧が供給される。このために電気外科手術用ジェネレータは、通常、動作中に直流電流を生成する高電圧電源部と、この高電圧電源部に接続されていて、かつ動作中に直流電流から高周波交流電流を生成する高周波部とを含む。
【0003】
電気外科手術用ジェネレータには、典型的に、種々異なるタスクのための種々異なる電気外科手術用器具を接続することができる。これとは逆に、電気外科手術用器具も、状況により、種々異なる電気外科手術用ジェネレータによって動作可能である。
【0004】
電気外科手術によって生物学的組織(すなわち、生体組織)を切断、凝固(硬化)、および/または気化させることができる。電気外科手術のためには、典型的に、0.2MHz~3MHzの間の周波数を有する高周波交流電流が使用される。電気外科手術用器具とは、典型的に、医師が生体組織を凝固、切除、および/または切断するために使用することができる手持ち式の器具である。
【0005】
このために電気外科手術用器具には、高周波の電気エネルギが給電され、この高周波の電気エネルギによって組織を所期のように凝固または切断することができる。高周波の電気エネルギは、電気外科手術用ジェネレータによって供給され、その時々の適切な電気外科手術用器具によって生体組織に印加される。用途に応じて、特別な電流推移および電圧推移が必要とされ、このような特別な電流推移および電圧推移は、電気外科手術用ジェネレータにおいて選択するための動作モード(モードとも呼ばれる)の形態で、医師に提供される。これらの動作モードは、電気外科手術用ジェネレータ内に固定的に格納可能である。
【0006】
国際公開第2011/032729号から、電気外科手術用器具のための容易にプログラミング可能な給電装置が公知である。プログラミングの容易性は、ステートマシンの取り得る状態の限定的な規定から結果的にもたらされるが、ただし、これにより、給電装置のフレキシビリティも制限されてしまう。
【0007】
本発明の基礎となる課題は、ユーザに情報を出力するための改善された可能性を提供する電気外科手術用システムを得ることである。
【0008】
このために、本発明によれば、それぞれ単独でも互いに組み合わせても、一方ではフレキシブルに組み合わせることが可能であって、かつ他方ではその時々の用途またはその時々の電気外科手術用器具に合った動作モードを可能にするような、電気外科手術用システム、電気外科手術用ジェネレータ、および電気外科手術用器具が提案される。さらに、電気外科手術用システムおよび電気外科手術用ジェネレータを動作させるための方法が提案される。
【0009】
本発明による電気外科手術用システムは、電気外科手術用器具と、動作時に電気外科手術用器具が接続される電気外科手術用ジェネレータとを含む。
【0010】
電気外科手術用ジェネレータについて:
電気外科手術用ジェネレータは、プロセッサと、少なくとも1つのジェネレータデータメモリとを有し、プロセッサは、ジェネレータデータメモリにアクセス可能であり、このジェネレータデータメモリ内には、電気外科手術用ジェネレータの動作を、電気外科手術用器具に関連して制御するための動作プログラムが保存されている。さらに、電気外科手術用ジェネレータは、電気外科手術用器具を接続するための出力部を有する。これらの出力部を介して、動作時に電気外科手術用ジェネレータに接続される電気外科手術用器具に、電気エネルギ、とりわけ高周波交流電圧または高周波交流電流を給電することができる。電気外科手術用ジェネレータは、電気外科手術用器具とのデータ通信のためのジェネレータデータインターフェース、とりわけデータ接続部をさらに有する。
【0011】
電気外科手術用器具について:
電気外科手術用器具は、器具データメモリを有し、器具データメモリ内に、構造化されたデータを有する少なくとも1つのデータセットが保存されており、構造化されたデータは、複数のパラメータ化された参照指示として構成されており、参照指示は、電気外科手術用ジェネレータのジェネレータデータメモリ内に格納されている制御命令を参照するよう指示する。データセットは、動作パラメータの値をさらに含むことができる。電気外科手術用器具は、電気外科手術用ジェネレータとのデータ通信のための器具データインターフェースをさらに有する。器具データインターフェースを介して、電気外科手術用ジェネレータは、動作中に、器具データメモリ内に格納されているデータセットから構造化されたデータを読み取ることができる。さらに、器具データインターフェースにより、複数のパラメータ化された参照指示として構成されている構造化されたデータを有するデータセットを、器具データメモリ内に格納することができる。
【0012】
動作プログラムについて:
動作プログラムは、電気外科手術用ジェネレータへの制御介入をトリガするだけでなく、器具データメモリ内の構造化されたデータへのメモリアクセスもトリガし、構造化されたデータによって表されているパラメータ化された参照指示が参照するよう指示した、ジェネレータデータメモリ内に保存されている制御命令を実行するように構成されている。
【0013】
電気外科手術用ジェネレータを動作させる際の手順:
電気外科手術用ジェネレータの動作中、プロセッサは、ジェネレータデータメモリ内に格納されている動作プログラムを実行し、動作プログラムに従って電気外科手術用ジェネレータを制御する。とりわけ、プロセッサは、動作プログラムによって制御されて、電気外科手術用ジェネレータへの制御介入をトリガする。制御介入は、例えば、動作時に電気外科手術用ジェネレータに接続される電気外科手術用器具へのエネルギの出力を制御することを含む。しかしながら、制御介入は、信号の出力または情報の表示を引き起こすこともできる。
【0014】
制御介入は、動作プログラムによって直接的に制御可能であるか、または器具データメモリ内に格納されている構造化されたデータ内に含まれているパラメータ化された参照指示に依存することも可能である。制御介入を指定するパラメータの値も、器具データメモリ内の構造化されたデータ内に含めることができる。
【0015】
電気外科手術用ジェネレータの動作中に、構造化されたデータ内に格納されているパラメータ化された参照指示が動作プログラムによって呼び出され、構造化されたデータによって表されているパラメータ化された参照指示が参照するよう指示した、ジェネレータデータメモリ内に保存されている制御命令が実行される。構造化されたデータが、動作パラメータの値を含んでいる場合には、制御命令は、構造化されたデータにおいて指定されたこれらの動作パラメータ値を考慮して実行される。
【0016】
このために、電気外科手術用ジェネレータは、動作中にプロセッサおよび対応する動作プログラムによって制御されて、構造化されたデータにアクセスする。このことは、器具データメモリに直接的にアクセスすることによって実施可能である。これに代えて、動作プログラムは、器具データメモリからの構造化されたデータをジェネレータデータメモリ内へと転送するようにも構成可能である。このことは、電気外科手術用ジェネレータの起動時または電気外科手術用器具の接続時に実施可能である。電気外科手術用ジェネレータの起動時または電気外科手術用器具の接続時に、構造化されたデータがジェネレータデータメモリ内に読み込まれると、プロセッサは、こうしてジェネレータデータメモリ内に設けられた構造化されたデータにアクセスする。
【0017】
電気外科手術用システムのための動作方法について:
したがって、本発明によれば、電気外科手術用システムを動作させるための方法も提案され、当該電気外科手術用システムは、電気外科手術用器具を有する。当該電気外科手術用システムは、電気外科手術用器具が接続される電気外科手術用ジェネレータを有する。電気外科手術用器具は、器具データメモリを有する。電気外科手術用ジェネレータは、プロセッサと、少なくとも1つのジェネレータデータメモリとを有する。プロセッサは、電気外科手術用ジェネレータを制御するために、ジェネレータデータメモリ内に格納されている動作プログラムを実行する。
【0018】
本発明によれば、構造化されたデータを有するデータセットが生成または提供され、構造化されたデータは、複数のパラメータ化された参照指示として構成されており、参照指示は、電気外科手術用ジェネレータのジェネレータデータメモリ内に格納されている動作規定を参照するよう指示する。動作規定とは、とりわけ、潜在的に使用され得る制御命令である。構造化されたデータは、パラメータ化された参照指示に加えて、追加的に動作パラメータ値も含むことができる。しかしながら、動作パラメータ値は、ジェネレータデータメモリ内に保存されている動作規定の一部であってもよい。この場合、パラメータ化された参照指示は、制御命令だけでなく、動作パラメータ値も参照するよう指示することができる。
【0019】
構造化されたデータを有するデータセットは、電気外科手術用器具の器具データメモリ内に格納されるか、または格納されている。
【0020】
電気外科手術用ジェネレータの起動時または動作中に、電気外科手術用器具の器具データメモリ内に格納されている、構造化されたデータを有するデータセットが、電気外科手術用ジェネレータによって読み取られ、電気外科手術用ジェネレータ内に格納されている制御命令を、構造化されたデータ内に場合によって存在する動作パラメータを考慮して実行するために、構造化されたデータ内に格納されているパラメータ化された参照指示が、動作プログラムによって制御されて呼び出され、これにより、電気外科手術用ジェネレータは、動作プログラムと、ジェネレータデータメモリ内に格納されている動作規定(例えば、制御命令)と、ジェネレータデータメモリ内に格納されている制御命令の個々の制御命令を参照するよう指示する、構造化されたデータ内に含まれているパラメータ化された参照指示とに依存して制御される。
【0021】
動作プログラムと、構造化されたデータとは、動作プログラムの実行時に、好ましくは動作プログラムの実行と、動作プログラムによる構造化されたデータの呼び出しとが、所定の動作モードでの電気外科手術用ジェネレータの動作を定義するように相互作用する。
【0022】
構造化されたデータを有するデータセットは、好ましくは手動で、またはソフトウェアを用いて生成可能である。
【0023】
好ましくは、電気外科手術用器具の器具データメモリ内に格納されている、構造化されたデータを有するデータセットは、電気外科手術用ジェネレータによって読み取られた後、電気外科手術用ジェネレータのジェネレータデータメモリ内に保存される。このようにすると、プロセッサは、動作プログラム、構造化されたデータ、および動作規定を呼び出すために、ジェネレータデータメモリにアクセスするだけでよくなる。それと同時に、構造化されたデータを有するデータセットが器具データメモリ内に保存されている利点は、維持されたままである。
【0024】
本動作方法は、以下のステップを有することもでき、このステップの枠内では、器具データメモリ上に格納されている構造化されたデータは、電気外科手術用ジェネレータによって読み取られる際、または電気外科手術用ジェネレータのデータメモリ内に保存された後に変更される。このことは、例えば、行番号および相対アドレスの追加を含むことができる。
【0025】
構造化されたデータは、信号指令を含むことができ、信号指令は、電気外科手術用ジェネレータの動作中、構成状態および/または動作状態に依存した、ユーザへの音響的および/または光学的な通知に変換される。
【0026】
構造化されたデータは、起動音のための定義を含むことができる。
【0027】
構造化されたデータは、特定の通知またはエラーメッセージのための条件およびプロパティを含むことができる。
【0028】
好ましくは、構造化されたデータは、テキストメッセージを表すデータのために制御文字を含み、制御文字は、種々異なるディスプレイ上でのテキストメッセージの再生を定義し、テキストメッセージは、電気外科手術用ジェネレータの動作中、制御文字に依存して、かつ電気外科手術用ジェネレータに設けられたテキスト用ディスプレイに依存して生成される。
【0029】
電気外科手術用システムについて:
本発明によれば、電気外科手術用システムも提案され、当該電気外科手術用システムは、少なくとも1つの器具データメモリを有する電気外科手術用器具と、電気外科手術用器具が接続される電気外科手術用ジェネレータとを含む。電気外科手術用ジェネレータは、プロセッサと、プロセッサが動作中にアクセスできる少なくとも1つのジェネレータデータメモリとを有する。ジェネレータデータメモリ内には、電気外科手術用ジェネレータを制御するためにプロセッサが実行することができる動作プログラムが格納されている。ジェネレータデータメモリ内には、少なくとも複数の制御命令を定義する動作規定がさらに格納されている。制御命令を定義するこれらの動作規定は、本明細書の枠内では制御命令とも呼ばれる。
【0030】
電気外科手術用器具の器具データメモリ内に、構造化されたデータを有するデータセットが格納されている。構造化されたデータは、複数のパラメータ化された参照指示として構成されており、参照指示は、電気外科手術用ジェネレータのジェネレータデータメモリ内に格納されている、制御命令を表す動作規定を参照するよう指示する。構造化されたデータは、動作パラメータ値をさらに含むことができる。
【0031】
電気外科手術用ジェネレータは、起動時または動作中に、電気外科手術用器具の器具データメモリ内に格納されている、構造化されたデータを有するデータセットを読み取り、動作中、動作規定の一部として電気外科手術用ジェネレータ内に格納されている、その時々のパラメータ化された参照指示が参照するよう指示した制御命令を実行するために、構造化されたデータ内に格納されているパラメータ化された参照指示を、動作プログラムによって呼び出すように構成されている。このことは、構造化されたデータにおいて指定された動作パラメータ値を考慮して実施可能である。したがって、動作中、電気外科手術用ジェネレータの制御は、動作プログラムと、ジェネレータデータメモリ内に格納されている動作規定(とりわけ、制御命令)と、ジェネレータデータメモリ内に格納されている動作規定の個々の動作規定を参照するよう指示する、構造化されたデータ内に含まれているパラメータ化された参照指示とに依存して実施される。
【0032】
電気外科手術用ジェネレータは、電気外科手術用ジェネレータの動作中にユーザに光学的および/または音響的な通知を提供するために、光学的および/または音響的な信号手段および/または表示手段を有することができる。電気外科手術用ジェネレータが光学的および/または音響的な信号手段および/または表示手段を有する場合、電気外科手術用ジェネレータのプロセッサは、動作プログラムに関連して、信号手段および/または表示手段を介して出力されるべき信号または通知を、器具データメモリ内に格納されている、信号指令を表す構造化されたデータに基づいて制御するように構成されている。器具データメモリ内に格納されている構造化されたデータによって表されている信号指令は、動作中の電気外科手術用器具が接続された電気外科手術用ジェネレータによってどのような信号および/または情報をどのようにしてどのような条件下で出力すべきかを定義するものである。
【0033】
好ましくは、電気外科手術用ジェネレータは、音発生器と、信号手段の一部として音響信号を出力するために音発生器に接続されたスピーカとを有する。音発生器は、プロセッサに作用接続されていて、プロセッサにより、器具データメモリ内の、信号指令を表すデータに依存して制御されて、音響信号を生成し、スピーカを介して音響信号を出力するように構成されている。
【0034】
好ましくは、電気外科手術用ジェネレータは、テキストおよび/または記号を表示するための信号手段としてのディスプレイも有する。ディスプレイは、プロセッサに接続されていて、プロセッサにより、器具データメモリ内の、信号指令を表すデータに依存して制御されて、テキストメッセージを出力するように構成されている。
【0035】
プロセッサは、(動作プログラムによって制御されて)とりわけ、信号指令を表すデータを、器具データメモリから読み取って、構成情報および/またはステータス情報を考慮して処理し、これにより、ユーザへの信号または情報の出力が、ステータスおよび/または構成に依存して、電気外科手術用器具において定義された方式で実施されるように、構成されている。構成情報は、例えば、電気外科手術用ジェネレータに接続される他の電気外科手術用器具に関連し得る。ステータス情報は、電気外科手術用ジェネレータの動作ステータスに関してセンサから取得された情報、または動作中にプロセッサによって生成されたステータス情報であり得る。
【0036】
器具データメモリからの信号指令の読み取りは、電気外科手術用ジェネレータに電気外科手術用器具が接続されたときに実施可能であるか、または電気外科手術用器具の動作中に実施可能である。
【0037】
ステータスおよび/または構成に依存した、ユーザへの信号または情報の出力は、ディスプレイ上でのテキストの表示、または音響信号の出力を含むことができる。このようにして、例えば、動作モード、エラーメッセージ、動作状態などに関する警告情報および/またはステータス情報をユーザに出力することが可能となる。
【0038】
パラメータ化された参照指示が参照するよう指示した制御命令と、場合によっては動作パラメータ値とは、ジェネレータデータメモリ内に保存されている動作規定である。ジェネレータデータメモリは、電気外科手術用器具の接続とは独立して理論的に任意の数の動作規定を含み、これらの動作規定は、動作プログラムによって呼び出し可能であり、それ自体で電気外科手術用ジェネレータの動作に影響を与えることができるが、固定的な動作手順を規定するわけではない。動作規定は、一方では制御命令、命令式および/または条件式などであり得るが、他方では出力電圧、電流量、時間設定、インピーダンス値、目標値などの値のような動作パラメータ値でもあり得る。とりわけ、器具データメモリは、音響信号を定義するオーディオファイルを含むこともでき、これらの音響信号は、電気外科手術用器具の動作中、プロセッサにより、動作プログラムに関連して、電気外科手術用器具のデータメモリ内の、信号指令を定義するデータに依存して制御されて、出力可能である。
【0039】
器具データメモリ内の動作規定は、動作プログラムがアクセスできる任意の数の動作規定(例えば、場合によって出力されるべき音響信号のためのオーディオファイル、またはテキストディスプレイまたは周波数発生器のための制御情報など)のライブラリとして理解可能である。しかしながら、これらの動作規定へのアクセスは、直接的には実施されないので、電気外科手術用ジェネレータの動作方式は、動作規定および動作プログラムのみによってはまだ決定されていない。
【0040】
むしろ、動作プログラムによって制御されるプロセッサは、電気外科手術用器具が接続されたとき、かつ/または動作中に、器具データメモリ内の、信号指令を表す構造化されたデータにアクセスし、これにより、ユーザへの信号または情報の出力が、電気外科手術用器具において定義された方式で実施される。
【0041】
好ましくは、ジェネレータデータメモリ内に、オーディオファイルが保存されており、音発生器は、プロセッサにより、器具データメモリ内の、信号指令を表すデータに依存して制御されて、オーディオファイルを音響信号に変換することができる。
【0042】
好ましくは、追加的にデータ構造も設けられており、このデータ構造内には、構造化されたデータを有する任意のデータセットが保存されている。構造化されたデータは、制御命令または動作パラメータ値のような、潜在的に使用され得る動作規定への参照指示を含む。構造化されたデータによって定義されているパラメータ化された参照指示は、電気外科手術用ジェネレータの動作中に、実行中の動作プログラムによって呼び出され、具体的に使用されるべき動作規定に翻訳され、その後、この動作規定を動作プログラムが使用することができる。構造化されたデータは、とりわけ、器具データメモリ内にも保存可能であり、信号指令を表すデータを含むことができる。
【0043】
したがって、電気外科手術用ジェネレータの具体的な動作方式は、好ましくは、以下の3つの異なる種類の保存されたデータに依存しており、すなわち、
・ジェネレータデータメモリ内の、動作プログラムを定義するデータと、
・ジェネレータデータメモリ内の、例えば制御命令または動作パラメータ値を定義する潜在的に使用され得る動作規定と、
・データ構造内に保存されている、構造化されたデータを有するデータセットであって、動作プログラムの実行中に、動作プログラムによってトリガされて、器具データメモリ内に保存されている潜在的に使用され得る動作規定から、具体的に使用されるべき動作規定を呼び出すようにトリガする、構造化されたデータを有するデータセットと
に依存している。
【0044】
データ構造内に保存されている、構造化されたデータのいくつかは、好ましくは、電気外科手術用ジェネレータの動作中に、電気外科手術用ジェネレータのプロセッサによって音響信号または光学信号および/またはユーザへの通知に変換される信号指令を表す。信号指令の、音響信号または光学信号および/またはユーザへの通知への変換は、ステータスおよび/または構成に依存して、電気外科手術用器具において定義された方式で実施可能である。なぜなら、データ構造内の信号指令を表すデータを、電気外科手術用器具上に保存することができるからである。
【0045】
器具データメモリ内の、動作プログラムを定義するデータと、動作規定を定義するデータと、構造化されたデータを有するデータ構造とは、それぞれのデータ形式が互換性を有するという制限付きで、互いに独立して変更可能および規定可能である。したがって、それぞれの動作モードにおける電気外科手術用ジェネレータの動作方式は、器具データメモリ内に保存されている動作プログラムを変更することによって、または器具データメモリ内に保存されている動作規定を変更することによって、またはデータ構造内の構造化されたデータを変更することによって、またはこれらの変更の組み合わせによっても変更可能である。
【0046】
電気外科手術用器具は、不揮発性の器具データメモリ(例えば、EEPROMなど)を含むが、プロセッサを含まない。器具データメモリ上には、構造化されたデータを有するデータセットが存在する。このデータセットの構造化されたデータは、電気外科手術用ジェネレータのジェネレータデータメモリ内のデータ構造と互換性があり、電気外科手術用ジェネレータのデータ構造、または電気外科手術用ジェネレータのデータ構造の一部を形成することができる。
【0047】
したがって、データ構造は、電気外科手術用ジェネレータの物理的な構成要素であるジェネレータデータメモリ内に存在することができるか、またはデータ構造は、器具データメモリの内容によって形成されるか、もしくは電気外科手術用ジェネレータのジェネレータデータメモリ内のデータと、電気外科手術用器具の器具データメモリ内のデータとの組み合わせから形成される。
【0048】
電気外科手術用ジェネレータのプロセッサは、電気外科手術用器具の器具データメモリを読み取るように、ジェネレータデータメモリ内の動作プログラムによって構成されている。
【0049】
電気外科手術用ジェネレータのプロセッサは、電気外科手術用ジェネレータに電気外科手術用器具が接続された後、電気外科手術用ジェネレータが何らかの動作モードで動作される前に、電気外科手術用器具の器具データメモリを読み取るように、ジェネレータデータメモリ内の動作プログラムによって構成可能である。電気外科手術用ジェネレータのプロセッサは、1つもしくは複数のデータセット、または1つもしくは複数のデータセット内に含まれている構造化されたデータを、電気外科手術用ジェネレータのジェネレータデータメモリ内に作成されたデータ構造内へと転送するように、ジェネレータデータメモリ内の動作プログラムによって構成可能である。
【0050】
これに代えて、電気外科手術用ジェネレータのプロセッサは、動作プログラムの実行中に(すなわち、電気外科手術用ジェネレータが何らかの動作モードで動作されている間に)器具データメモリを読み取るように、ジェネレータデータメモリ内の動作プログラムによって構成可能である。したがって、器具データメモリ内には、コンピュータプログラムまたはアルゴリズムは保存されておらず、構造化されたデータは、コンピュータプログラムとして読み取り可能であるわけでも、プログラムに関連付けられたアルゴリズムとしても読み取り可能であるわけでもなく、むしろ、ジェネレータデータメモリ内に格納されている動作規定への参照指示を表すものである。
【0051】
構造化されたデータの構造は、パラメータ化された参照指示に行番号を対応付けることを可能にする。行番号は、これらの行番号に対応付けられた参照指示を、動作プログラムによって所期のように呼び出すことを可能にする。参照指示自体は、ジェネレータデータメモリ内の具体的な動作規定を一義的に参照するよう指示するか、またはこれに代えて、構造化されたデータ内の他の参照指示を参照するよう指示する。
【0052】
データセット内に明示的に保存された行番号を設ける代わりに、データセットが読み取られる際に初めて、しかもデータセット内の、参照指示を表す構造化されたデータの構造に基づいて、行番号を生成してもよい。このことは、参照指示が、例えば企図された順序でデータセット内に保存されている場合に可能である。
【0053】
構造化されたデータは、好ましくは、例えば16進数の形式で表すことができるメモリ効率の良いバイナリ形式で設けられている。
【0054】
好ましくは、電気外科手術用システムは、1つのプログラミングインターフェースまたは複数のプログラミングインターフェースを有し、プログラミングインターフェースを用いて、データ構造をプログラミングして、電気外科手術用器具に転送することができる。動作プログラムおよび/または動作規定、とりわけ制御命令を、ジェネレータデータメモリ内で、プログラミングインターフェースを介して、例えば、USBを介した電気外科手術用ジェネレータのソフトウェア更新によって変更することもできる。
【0055】
電気外科手術用システムを動作させるための方法であって、電気外科手術用ジェネレータに接続された電気外科手術用器具の器具データメモリから、信号指令を表すデータが読み取られ、電気外科手術用ジェネレータの動作中に、構成状態および/または動作状態に依存した、ユーザへの音響的および/または光学的な通知に変換されるような方法が好ましい。
【0056】
好ましくは、信号指令は、テキストメッセージを表すデータのために制御文字を含み、制御文字は、種々異なるディスプレイ上でのテキストメッセージの再生を定義し、これにより、テキストメッセージは、電気外科手術用ジェネレータの動作中、制御文字に依存して、かつ電気外科手術用ジェネレータに設けられたテキスト用ディスプレイに依存して生成される。
【0057】
好ましくは、信号指令を表すデータは、電気外科手術用ジェネレータの動作中に、電気外科手術用ジェネレータに接続された電気外科手術用器具の器具データメモリから読み取られる。これに代えて、信号指令を表すデータを、電気外科手術用ジェネレータに電気外科手術用器具が接続されたときに、電気外科手術用器具の器具データメモリから読み取ることも可能である。
【0058】
好ましくは、動作規定およびデータ構造は、電気外科手術用ジェネレータ上のジェネレータデータメモリの相互に独立したメモリ領域に設けられており、データ構造は、動作規定への参照指示を含む。好ましくは、電気外科手術用ジェネレータのプロセッサは、まず始めにデータ構造内のパラメータ化された参照指示にアクセスし、続いて、その時々の参照指示が参照するよう指示した1つまたは複数の動作規定を呼び出すことによって、動作プログラムの実行中に、個々の動作規定に間接的にアクセスする。
【0059】
好ましくは、データ構造は、電気外科手術用器具の器具データメモリから、しかも好ましくは、電気外科手術用器具の接続後かつ使用前に読み取られる。電気外科手術用器具上のデータ構造内に含まれている、構造化されたデータを有するデータセットは、電気外科手術用ジェネレータのジェネレータデータメモリ内に保存されているデータ構造内へと転送可能である。
【0060】
本発明のさらなる態様は、上述した形式の電気外科手術用システムのための電気外科手術用ジェネレータである。電気外科手術用ジェネレータは、電気外科手術用器具を接続するための接続部と、プロセッサと、少なくとも1つのジェネレータデータメモリと、電気外科手術用ジェネレータの動作中にユーザに光学的および/または音響的な通知を提供するための光学的および/または音響的な信号手段および/または表示手段とを有する。ジェネレータデータメモリは、電気外科手術用ジェネレータの動作を、動作時に電気外科手術用ジェネレータに接続される電気外科手術用器具に関連して制御するための、プロセッサのための動作プログラムを含む。電気外科手術用ジェネレータのプロセッサは、電気外科手術用ジェネレータの動作中に、信号手段および/または表示手段によって出力されるべき信号または通知を、接続されている電気外科手術用器具の器具データメモリ内に格納されている、信号指令を表す構造化されたデータに依存して制御するように、動作プログラムによって構成可能である。
【0061】
好ましくは、電気外科手術用ジェネレータは、音発生器と、音響信号を出力するために音発生器に接続されたスピーカとを信号手段として有する。音発生器は、電気外科手術用ジェネレータのプロセッサに接続されていて、電気外科手術用ジェネレータのプロセッサにより、電気外科手術用器具のデータメモリ内の、信号指令を表すデータに依存して制御されて、音響信号を生成し、スピーカを介して音響信号を出力するように構成されている。
【0062】
好ましくは、電気外科手術用ジェネレータは、テキストおよび/または記号を表示するためのディスプレイも信号手段として有する。ディスプレイは、電気外科手術用ジェネレータのプロセッサに接続されていて、電気外科手術用ジェネレータのプロセッサにより、電気外科手術用器具のデータメモリ内の、信号指令を表すデータに依存して制御されて、テキストメッセージを出力するように構成されている。
【0063】
そのような電気外科手術用ジェネレータは、種々異なる電気外科手術用器具と一緒に容易に使用可能であり、電気外科手術用ジェネレータのジェネレータデータメモリ内の動作規定を変更する必要なく、データ構造内の、参照指示を表す対応するエントリのみを介して、その時々の電気外科手術用器具を適合させることが可能である。
【0064】
本発明のさらなる態様は、電気外科手術用器具であって、当該電気外科手術用器具は、器具データメモリを有し、器具データメモリは、構造化されたデータを有するデータセットを含み、構造化されたデータのうちの少なくともいくつかは、電気外科手術用ジェネレータによって動作中に出力される音響信号および/または光学信号のための信号指令を表す、電気外科手術用器具である。
【0065】
構造化されたデータは、通常、ジェネレータデータメモリ内に保存されている動作規定への参照指示を含むことができる。したがって、そのような電気外科手術用器具は、その時々の電気外科手術用器具に合った動作モードを可能にするための所要の情報を含むことができ、この際、この動作モードを、電気外科手術用器具によって完全に定義する必要がない。
【0066】
そのような電気外科手術用システムと、そのような電気外科手術用ジェネレータと、そのような電気外科手術用器具とによれば、それぞれ単独でも互いに組み合わせても、通知状態およびエラー状態、ならびにこれらの通知の挙動を、電気外科手術用ジェネレータを開発する時点に既に把握しておく必要がなくなる。通知状態ならびにエラー状態、およびこれらの通知の挙動の事後的な適合も、電気外科手術用器具のソフトウェア更新を介して容易に実施可能となる。それどころか、通知状態ならびにエラー状態、およびこれらの通知の挙動の、ユーザビリティテスト中での「ライブ」最適化さえも実施可能となる。
【0067】
以下では、本発明を、図面を参照しながら実施例に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1】電気外科手術用ジェネレータと、電気外科手術用ジェネレータに接続される電気外科手術用器具とを有する電気外科手術用システムを示す図である。
図2】電気外科手術用器具を示す図である。
図3】電気外科手術用ジェネレータの概略回路図である。
図4図3の電気外科手術用ジェネレータのジェネレータデータメモリに関連するプロセッサを示す概略図である。
図5図3の電気外科手術用ジェネレータのジェネレータデータメモリに関連するプロセッサの代替的な構成を示す概略図である。
【0069】
図1には、電気外科手術用システム10が示されている。電気外科手術用システム10は、電気外科手術用ジェネレータ12と、電気外科手術用器具14とを含む。電気外科手術用器具14は、接続ケーブル16を介して電気外科手術用ジェネレータ12の電気入出力部18に接続されている。
【0070】
電気外科手術用器具14は、シャフト20を有し、このシャフト20の端部にはアクティブ電極22が設けられている。シャフト20は、電気外科手術用器具14の把持部24に取り付けられている。
【0071】
電気外科手術用器具14は、器具データメモリ26を有し、器具データメモリ26は、構造化されたデータを有するデータセット80を含み、この構造化されたデータは、電気外科手術用ジェネレータ12のジェネレータデータメモリ72内に保存されている動作規定へのパラメータ化された参照指示を表す。構造化されたデータはさらに、信号指令を表し、この信号指令は、動作中の電気外科手術用器具14が接続された電気外科手術用ジェネレータ12によってどのような信号および/または情報をどのようにしてどのような条件下で出力すべきかを定義するものである。器具データメモリ26は、不揮発性であり、例えばROM(読み取り専用メモリ)、例えばEPROM(電気的にプログラミング可能な読み取り専用メモリ)、とりわけEEPROM(電気的に消去可能なプログラミング可能な読み取り専用メモリ)であり得る。EEPROMは、消去および再書き込みが可能な不揮発性のデータメモリである。器具データメモリ26は、例えば、電気外科手術用器具14の把持部24内に収容されている。
【0072】
接続ケーブル16内には、給電線路28および30と、少なくとも1つのデータ線路32とが設けられている。給電線路28は、アクティブ電極22と、これ以上は図示されていない中性電極とを、電気外科手術用ジェネレータ12の電気出力部18.1および18.2に接続する。器具データメモリ26は、データ線路32を介して電気外科手術用ジェネレータ12の対応するデータ接続部18.3に接続されている。このことは、図2に概略的に示されている。
【0073】
接続ケーブル16のデータ線路32およびデータ接続部18.3は、多芯型または多極型であり得る。データ線路32に加えてまたはデータ線路32の代わりに、電気外科手術用器具14から電気外科手術用ジェネレータ12へのデータ転送のための無線インターフェースを設けてもよい。そのような無線インターフェースは、例えばブルートゥース(登録商標)インターフェース、NFCインターフェース、またはRFIDインターフェースであり得る。
【0074】
電気外科手術用器具14を動作させるために電気外科手術用器具14のアクティブ電極22および対向電極に出力されるべき出力交流電圧は、動作中に電気外科手術用ジェネレータ12によって供給される。図3から見て取れるように、電気外科手術用ジェネレータ12は、このために高電圧電源部40を有し、この高電圧電源部40は、例えば、通常の公共の電力系統に接続可能であり、自身の出力部42において出力直流電圧を有する高電圧直流電流を供給する。この出力直流電流は、電気外科手術用ジェネレータ12の高周波部44に供給される。電気外科手術用ジェネレータ12の高周波部44は、インバータとして機能し、高周波出力交流電圧を生成し、この高周波出力交流電圧は、高周波部44の出力変換器46を介して、電気外科手術用ジェネレータ12の出力部18.1および18.2に出力される。電気外科手術用ジェネレータ12の出力部18.1および18.2には、図1および図2に示されているような電気外科手術用器具14を接続することができる。
【0075】
電気外科手術用ジェネレータ12の出力交流電圧を制御するために、ジェネレータ制御ユニット48が設けられており、このジェネレータ制御ユニット48は、動作中、例えば設定された出力電圧最大値を上回らないように、出力交流電圧最大値に基づいて電気外科手術用ジェネレータ12の出力部18.1および18.2における出力交流電圧を制御する。
【0076】
電気外科手術用ジェネレータ12の出力交流電圧(ひいては、出力交流電流および出力電力も)は、高電圧電源部40によって生成される出力直流電圧によって制御可能である。
【0077】
このために、ジェネレータ制御ユニット48が使用され、このジェネレータ制御ユニット48は、例えば、その時々の時点での電気外科手術用ジェネレータのその時々の動作モードが要求するような出力交流電圧または出力交流電流が生じるように、高電圧電源部40によって生成される出力直流電圧を制御する。
【0078】
それぞれの動作モードは、出力部18.1ならびに18.2を介した出力交流電圧の実効値、出力部18.1ならびに18.2を介した出力ピーク電圧、出力部18.1または18.2における出力交流電流、出力部18.1ならびに18.2を介した出力交流電圧における直流電圧成分、および高電圧電源部40の出力直流電圧に関するそれぞれの最大値を定義する。それぞれの動作モードによって定義される最大値は、状況によって異なる可能性があり、使用中に変化する可能性がある。
【0079】
ジェネレータ制御ユニット48は、出力交流電圧、出力ピーク電圧、出力交流電流、出力交流電圧における直流電圧成分、もしくは出力直流電圧、またはこれらのパラメータの値の組み合わせの、それぞれの動作モードによって定義される最大値と、動作中に検出ユニット54、56、および58によって検出される実際値とに依存して、高電圧電源部40を制御する。
【0080】
電気外科手術用ジェネレータ12の出力交流電圧を生成するための具体的な最大値および経時推移と、検出された瞬時値に対するこれらの最大値および経時推移の依存関係とは、電気外科手術用ジェネレータ12がちょうど動作しているときのその時々の動作モード(モード)に依存する。
【0081】
動作モードは、例えば、ユーザによる対応するスイッチ、例えばフットスイッチ84の操作によって呼び出される。
【0082】
それぞれの動作モードにおいて、電気外科手術用ジェネレータ12の動作は、ジェネレータデータメモリ内に保存されている動作プログラムに関連してプロセッサ70によって制御される。プロセッサ70は、例えば、出力交流電圧、出力交流電流、出力電力、または出力交流電圧における直流電圧成分のような種々異なる動作パラメータに関するそれぞれの最大値を規定することができ、これらの動作パラメータのその時々の実際値は、電気外科手術用ジェネレータ12の動作中に検出される。
【0083】
プロセッサ70は、ジェネレータデータメモリ72に接続されており、このジェネレータデータメモリ72内には、電気外科手術用ジェネレータ12のための動作プログラムが格納されている。
【0084】
プロセッサ70は、一方では、動作中に電気外科手術用器具に出力されるべき出力交流電圧の出力を制御するためにジェネレータ制御ユニット48に接続されている。しかしながら、他方では、プロセッサ70は、信号手段および表示手段にも接続されており、すなわち具体的な事例では、スピーカ94を伴う音発生器92と、テキストおよび/または記号を表示するためのディスプレイ96とにも接続されている。音発生器92は、周波数発生器によって生成するように、またはオーディオファイルの形態で規定された音響信号を、スピーカ94を介して再生するように構成可能である。音発生器は、オーディオファイル内に保存されている情報を、対応するオーディオ信号に変換するようにも構成可能である。
【0085】
ジェネレータデータメモリ72内に格納されている動作プログラム74の実行中に、プロセッサ70は、動作プログラム74内に格納されている箇所において、例えば動作パラメータの値を表すデータまたは制御命令のような、それぞれの動作モードに関して同じくジェネレータデータメモリ72内に格納されている動作規定76にアクセスする。ジェネレータデータメモリ72内に格納されている動作規定76は、例えば、高電圧電源部の出力直流電圧、または出力交流電圧、または高周波部の出力交流電流などの所定の値を規定するものである。しかしながら、ジェネレータデータメモリ72内に格納されている動作規定76は、例えば“if”または“while”または“true”または“false”のような所定の制御命令も含む。このようにして、ジェネレータデータメモリ72内に格納されている、データおよび制御命令を表す動作規定76により、例えば、「出力交流電圧の実際値を絶対値200と比較し、この電圧の実際値が200以下である場合には“true”を出力し、実際値が200よりも大きい場合には“false”を出力しろ」というような制御指令を定義することができる。他のデータと制御命令とを組み合わせて、例えば、高電圧電源部の最大出力直流電圧を100ボルトにすべきである、ということを意味する制御指令を生成することができる。
【0086】
しかしながら、そのような制御指令を生成および実行するために、プロセッサ70は、ジェネレータデータメモリ72内の動作規定76に直接的にアクセスするのではなく、動作プログラム74の対応する箇所においてデータ構造78を呼び出す。このデータ構造78内には、ジェネレータデータメモリ72内の対応する動作規定76を参照するよう指示する参照指示が、それぞれの動作モードごとに格納されている。これについては、図4を参照されたい。参照指示は、例えば数値、とりわけ1バイトの大きさの2進数とすることができるが、16進数としても表すこともできる。なぜなら、16進数は、必要とされるメモリスペースが少ないからである。この場合には、動作規定76を表の形式で構造化することができ、この表では、それぞれの参照指示(すなわち、例えばそれぞれの16進数)に、対応する制御命令またはデータが対応付けられている。
【0087】
種々異なる動作モードを実現するために、データ構造78内には複数のデータセット80が格納されており、これらの複数のデータセット80の各々は、1つまたは複数の参照指示を含み、これらの参照指示には、それぞれのデータセットの構造(とりわけ、参照指示が保存されている順序)に基づいて行番号を対応付けることができる。行番号に対応付けられた参照指示は、ジェネレータデータメモリ72内の対応する動作規定76を参照するよう指示し、プロセッサ70が、データ構造78内に格納されている、対応する行番号を示すベクトルアドレスに事前にアクセスした後で、プロセッサ70に、ジェネレータデータメモリ72から対応する動作規定76を読み取らせる。ジェネレータデータメモリ72内に保存されている動作規定は、例えば、制御指令、制御命令、またはパラメータ値であってよく、動作プログラムは、動作プログラム74の中の、データ構造78内の行番号への参照指示が存在する動作プログラムの箇所において、これらの制御指令、制御命令、またはパラメータ値を使用することが求められている。
【0088】
データ構造78内には、ジェネレータデータメモリ72内に保存されている動作規定76への参照指示が、順序付けられたシーケンスで保存されている。データ構造78内のそれぞれのデータセットの構造は、データ構造78の内部のアドレスの形式の行番号を、参照指示に対応付けることを可能にし、これにより、例えば、動作プログラムによる参照指示の厳密なシーケンシャル処理だけではなく、データ構造78内の参照指示へのジャンプまたはリターンも可能となる。行番号は、データ構造78内の構造化されたデータの内部のベクトルアドレスとして使用可能であり、プロセッサ70は、動作プログラムによって制御されて、これらのベクトルアドレスにアクセスする。行番号に対応付けられた参照指示は、ジェネレータデータメモリ72内に保存されている複数の動作規定76から具体的な動作規定を参照するよう指示する。これらの動作規定は、制御規定、すなわち例えば、個々の制御命令、組み合わせられた制御指令、またはパラメータ値であり得る。データ構造78内のパラメータ化された参照指示によって呼び出された動作規定76は、動作プログラム74と協働して、それぞれの動作モードにおける電気外科手術用ジェネレータ12の動作を制御する。動作規定は、データ構造78内の他の参照指示の呼び出しを引き起こす制御命令であってもよい。しかしながら、このことは、それぞれの動作モードに属するデータ(すなわち、参照指示)の内部でのみ可能である。
【0089】
パラメータ化された参照指示は、好ましくは16進数によって表されており、この16進数は、データセット80の構造化されたデータを一緒に形成する。1つのデータセットは、1つの動作モードに属していて、例えば以下のことを含むことができる:
【表1】
【0090】
斜体で示されている数値は、データセット80が読み取られる際に生成された行番号であり、電気外科手術用器具14のデータメモリ26内に保存されているのではなく、それぞれのデータセット内の参照指示の順序に即して動作プログラム自体によって生成される。したがって、行番号は、それぞれのデータセット内の参照指示の順序(すなわち、データセットの構造)から生じる。この例では斜体で示されている数値として示されている行番号は、構造化されたデータの長さに即した単純な昇順の数値である。太字で示されている数値は、参照指示(または指示子もしくはポインタ)として機能し、これらの参照指示は、それぞれ、ジェネレータデータメモリ72内の具体的な動作規定76を参照するよう指示し、より詳細には、本実施例では、制御命令を参照するよう指示する。したがって、例えば、“11”は、制御命令“IF”を参照するよう指示し、“36”は、後続する対応付けられた数値“02 30 00 C8 00”によって指定される比較を参照するよう指示し、“12”は、制御命令“THEN”を参照するよう指示し、“0F”は、後続する対応付けられた数値“04 64 00”によって指定されるパラメータ値をセットするための制御命令を参照するよう指示し、“56”は、制御命令“ELSE”を参照するよう指示する。
【0091】
パラメータ化された参照指示によって呼び出されたそれぞれの動作規定76から、どのような追加情報(例えば、上記の例の“02 30 00 C8 00”など)がさらに関連しているのかも明らかになる。
【0092】
動作プログラム74は、上記の例を、以下のように読み取って翻訳することができる:
【表2】
【0093】
翻訳すると、このことは、「第1の数値(30 00)が第2の数値(C8 00)よりも大きいかどうかを比較しろ。結果がTRUEである場合には電圧を100V(64 00)にセットし、そうでない場合には・・・」を意味し得る。
【0094】
したがって、それぞれのデータセット80内の、この例では16進数として示されている2進数(本明細書では略して「16進数」と呼ばれる数値)は、一方では、パラメータ化された参照指示を表し、これらのパラメータ化された参照指示に基づいて、動作プログラム74は、ジェネレータデータメモリ72内の具体的な動作規定76にアクセスすることができる。データセット内に構造化されて(順序付けられて)保存されている16進数は、例えば制御命令またはパラメータのような、ジェネレータデータメモリ72内に保存されている動作規定へのパラメータ化された参照指示を表し、これらの参照指示には、データセットの構造に基づいて行番号を対応付けることができ、これらの行番号自体は、データセット80内に明示的に保存されている必要はなく、それぞれのデータセット80が読み込まれる際に、動作プログラム74によって生成可能である。
【0095】
それぞれのデータセット80内に保存されている、この例では16進数として示されている2進数は、電気外科手術用ジェネレータ12のジェネレータデータメモリ72内の具体的な動作規定76を参照するよう指示するポインタ(または指示子)として使用され、したがって、対応する16進数は、電気外科手術用ジェネレータ12のジェネレータデータメモリ72内の対応する動作規定76とリンクされている。したがって、これらの16進数は、電気外科手術用ジェネレータ12のジェネレータデータメモリ72内の、動作規定76を表す対応するメモリエントリを示すために使用される。したがって、これらの16進数は、動作プログラムを、電気外科手術用ジェネレータ12のジェネレータデータメモリ72内の動作規定76へと案内するための一種のポインタであり、ここで、動作プログラムの実行中に、動作プログラムは、当該動作プログラム74のためのそれぞれ1つの動作規定を呼び出すことができる。参照指示の呼び出しは、動作プログラムによって制御されて実施され、これによってプロセッサ70は、参照指示が参照するよう指示したジェネレータデータメモリ72内のメモリエントリを呼び出す。参照指示の内部でのジャンプも可能であり、このジャンプは、そのシーケンスまたは行番号によって識別されている。したがって、データセット80内の構造化されたデータを、ジェネレータデータメモリ72内の、これらのデータに対応するメモリエントリを介して、動作プログラムのための動作規定に翻訳することが可能である。
【0096】
一例として上に挙げたデータセットでは、第1列のエントリ(“006F, 0070, 0076...”)は、行番号を表している。行番号は、電気外科手術用器具14の器具データメモリ26内に保存されているのではなく、行番号は、構造化されたデータの長さに即した単純な昇順の数値であるので、動作プログラム74自体によって生成される:
【表3】
【0097】
それぞれの行のエントリ
【数1】
は、ジェネレータデータメモリ72内の動作規定76を参照するよう指示するものである。ジェネレータデータメモリ72内の“11”によって示されているエントリは、例えば、“IF”ステートメントであり得、その一方で、“12”によって示されているエントリは、“THEN”ステートメントであり得る。“IF”ステートメントおよび“THEN”ステートメントは、それぞれ1つの動作規定である。図示のデータセットの構造化されたデータにおいて“11”と“12”との間に存在する16進数
【数2】
を、ジェネレータデータメモリ72内の対応するメモリエントリから、以下のような制御指令に翻訳することが可能であり、すなわち、例えば、「電圧の直近の読み取り値(30 00)を、数値200(C8 00)と比較しろ。電圧が200以下である場合には、結果は“TRUE”であり、そうでない場合には、結果は“FALSE”である。」のような制御指令に翻訳することが可能である。動作プログラム74が、(動作プログラムによって生成された)アドレス“0077”において、ジェネレータデータメモリ72から文字列
【数3】
のメモリエントリを呼び出す場合には、このことは、電気外科手術用ジェネレータ12のための設定を意味することができ、すなわち、この設定は、例えば、出力直流電圧に関する最大値(0F 04)が100V(64 00)に設定されていることであり得る。
【0098】
1つの重要な態様は、スピーカ94またはディスプレイ96を介したユーザへの通知の出力である。ここでも、電気外科手術用ジェネレータ12の上述した構造は、信号指令を表すデータを、電気外科手術用器具14の器具データメモリ26内に保存することができ、したがって、電気外科手術用ジェネレータ12内に格納する必要がないという点で役立つ。
【0099】
本発明に即して、信号指令を表すデータを電気外科手術用器具14の器具データメモリ26内に保存することにより、とりわけ、起動音および他の音響信号を、電気外科手術用器具14を介してフレキシブルに定義する可能性が得られる。実際には、例えば、器具データメモリ26内の構造化されたデータ80内に(すなわち、例えば電気外科手術用器具14のEEPROM内に)バイトシーケンスが保存される。バイトシーケンスは、例えば、起動音または他の音響信号を定義する。とりわけ、以下のオプションを実装することができる:
1.電気外科手術用ジェネレータ12において定義されたオーディオファイルを再生する(例えば、ActivationCut.wav)
2.電気外科手術用ジェネレータ12において定義されたオーディオファイルを、定義されたパルスデューティ比で再生する(例えば、ActivationCut.wavを、500ミリ秒の持続期間および100ミリ秒の休止時間で)
3.電気外科手術用ジェネレータ内に実装された周波数発生器92により、定義された周波数を再生する(例えば、500Hz)
4.電気外科手術用ジェネレータ内に実装された周波数発生器92により、定義された周波数を、定義されたパルスデューティ比で再生する(例えば、500Hzを、500ミリ秒の持続期間および100ミリ秒の休止時間で)
5.電気外科手術用ジェネレータ12内に実装された周波数発生器92により、混合周波数を再生する(例えば、500Hzを、1000Hzおよび2000Hzと一緒に)
6.電気外科手術用ジェネレータ12内に実装された周波数発生器92により、混合周波数を、定義されたパルスデューティ比で再生する(例えば、500Hzを、1000Hzおよび2000Hzと一緒に、500ミリ秒の持続期間および100ミリ秒の休止時間で)
7.動作モードに依存して起動音を変更する(例えば、通常の状態では起動音Aにし、特定の抵抗値に到達した場合には起動音Bにする)。
【0100】
このことから、非常に高いフレキシビリティが得られ、これにより、プログラミングインターフェース82と、データ構造78内のデータセット80とを用いて、電気外科手術用器具14内に非常に複雑なサウンドシーケンスを格納することも可能となる。
【0101】
ユーザへの音響信号の出力に関して、データ構造78(またはより正確には:データ構造内のデータセット)は、上記の例を実装するために以下のエントリを含むことができる:
【0102】
1)電気外科手術用ジェネレータ12のジェネレータデータメモリ72内に保存されたオーディオファイルを再生する
【表4】
【0103】
2)電気外科手術用ジェネレータ12のジェネレータデータメモリ72内に保存されたオーディオファイルを、定義されたパルスデューティ比で再生する
【表5】
【0104】
3)電気外科手術用ジェネレータ12内に実装された周波数発生器92により、定義された周波数を再生する
【表6】
【0105】
4)電気外科手術用ジェネレータ12内に実装された周波数発生器92により、定義された周波数を、定義されたパルスデューティ比で再生する
【表7】
【0106】
5)電気外科手術用ジェネレータ12内に実装された周波数発生器92により、混合周波数を再生する
【表8】
【0107】
6)電気外科手術用ジェネレータ12内に実装された周波数発生器92により、混合周波数を、定義されたパルスデューティ比で再生する
【表9】
【0108】
7)動作モードに依存して起動音を再生する
【表10】
【0109】
表示オプションに応じてそれぞれ異なる表示形式でテキストを表示することに関して、通知テキストを、特殊文字または印刷不可能文字(制御文字)が追加的に含まれた文字列によって表すことができる。これらの特殊文字または印刷不可能文字(制御文字)は、ディスプレイ96によって必要とされた場合に、動作プログラム74と、動作規定76と、構造化されたデータとによって制御されるプロセッサ70により、通知テキストを短縮することを規定する。
【0110】
このことにより、電気外科手術用器具14は、種々異なるディスプレイを有する種々異なる電気外科手術用ジェネレータ12において動作可能となる。したがって、比較的小型のディスプレイ上に表示される通知テキストよりも長い通知テキストを、適切なディスプレイ上に表示することができる。
【0111】
電気外科手術用器具14上に表示されるべきテキストを、少なくとも1つの短縮指令と一緒に保存することにより、文字列は、表示されるべき通知テキストのフレキシビリティを提供する。短縮指令として、例えば、文字列に挿入される特殊文字または印刷不可能文字(本明細書では制御文字とも呼ばれる)が使用され、プロセッサ70は、これらの特殊文字または印刷不可能文字を、表示されるべきテキストの所要の短縮のために、予め定義された規則に従って利用することができる。短縮は、文字列の最後、最初、および途中で実施可能である。優先順位によって制御された、組み合わせ型の短縮が可能である。
【0112】
したがって、文字列は、表示されるべきテキスト(本来の文字列)に加えて制御文字も含むことができ、これらの制御文字は、電気外科手術用ジェネレータ12のそれぞれのディスプレイ96上で再生される際に、表示されるべきテキストの適合を定義する。
【0113】
以下では、このことを、いくつかの簡単な例に基づいて説明することとする。
【0114】
簡単な例1(最後での短縮):
従来の動作モード名:“BiSoftCoag”
短縮指令を有する動作モード名:“Bi#Soft#Coag”
電気外科手術用ジェネレータ(12)のディスプレイ上に、利用可能なスペースが十分にある場合には、次のように表示され得る:“BiSoftCoag”
電気外科手術用ジェネレータ(12)のディスプレイ上に、利用可能なスペースが少ない場合には、次のように表示され得る:“BiSoft”
電気外科手術用ジェネレータ(12)のディスプレイ上に、利用可能なスペースが非常に少ない場合には、次のように表示され得る:“Bi”
【0115】
すなわち、特殊文字「#」が表示されることは決してなく、特殊文字「#」が配置されている箇所において、表示されるべき文字列を短縮することができる。
【0116】
簡単な例2(他の場所での短縮):
従来の動作モード名:“PK SoftCoag”
短縮指令を有する動作モード名:“{PK }SoftCoag”
電気外科手術用ジェネレータ(12)のディスプレイ上に、利用可能なスペースが十分にある場合には、次のように表示され得る:“PK SoftCoag”
電気外科手術用ジェネレータ(12)のディスプレイ上に、利用可能なスペースが少ない場合には、次のように表示され得る:“SoftCoag”
【0117】
したがって、中括弧内の文字列は、場合によって表示されないことがある。
【0118】
簡単な例3(組み合わせ型の短縮):
従来の動作モード名:“PK SoftCoag”
短縮指令を有する動作モード名:“{PK }Soft#Coag”
電気外科手術用ジェネレータ(12)のディスプレイ上に、利用可能なスペースが十分にある場合には、次のように表示され得る:“PK SoftCoag”
電気外科手術用ジェネレータ(12)のディスプレイ上に、利用可能なスペースが少ない場合には、次のように表示され得る:“PK Soft”
電気外科手術用ジェネレータ(12)のディスプレイ上に、利用可能なスペースが非常に少ない場合には、次のように表示され得る:“Soft”
【0119】
例3は、表示されるべき文字列を短縮するための例1に示された手段と、例2に示された手段とを、どのようにして組み合わせることができるかを示す。
【0120】
音発生器92を伴うスピーカ94と、ディスプレイ96との形態での信号手段および表示手段を用いて、動作状態、エラーなどに関してユーザに通知することが可能である。そのような通知を定義する制御指令は、電気外科手術用器具14のデータメモリ26内に保存されているデータによって表されている。したがって、通知状態ならびにエラー状態、およびこれらの通知の挙動を、電気外科手術用ジェネレータを開発する時点に既に把握しておく必要がなくなる。通知状態ならびにエラー状態、およびこれらの通知の挙動の事後的な適合も、電気外科手術用器具のソフトウェア更新を介して容易に実施可能となる。それどころか、通知状態ならびにエラー状態、およびこれらの通知の挙動の、ユーザビリティテスト中での「ライブ」最適化さえも実施可能となる。
【0121】
本発明に即して、信号指令を表すデータを電気外科手術用器具14のデータメモリ26内に保存することにより、さらに、通知ならびにエラーメッセージ、およびこれらの通知の挙動を、電気外科手術用器具14上でフレキシブルに定義する可能性が得られる。実際には、例えば、電気外科手術用器具14の器具データメモリ26内の構造化されたデータ80内に(すなわち、例えばEEPROM内に)バイトシーケンスが保存される。バイトシーケンスは、例えば、特定の通知またはエラーメッセージの条件およびプロパティを定義する。
【0122】
電気外科手術用器具上では、一例として以下に挙げた種類の通知およびエラーメッセージを定義することができる:
1.情報テキストを表示する
・フレキシブルなトリガ条件
・フレキシブルなサウンドデザイン(無音、標準の情報サウンド、自分で定義したサウンド)
・フレキシブルな高周波/超音波の取り扱い(高周波/超音波の非作動化を伴う、高周波/超音波の非作動化を伴わない)
2.標準の低優先度用サウンドを用いて、低優先度のエラーを表示する
・フレキシブルなトリガ条件
・フレキシブルな高周波/超音波の取り扱い(高周波/超音波の非作動化を伴う、高周波または超音波の非作動化を伴わない)
3.標準の中優先度用サウンドを用いて、中優先度のエラーを表示する
・フレキシブルなトリガ条件
・フレキシブルな高周波の取り扱い(高周波/超音波の非作動化を伴う、高周波/超音波の非作動化を伴わない)
4.標準の高優先度用サウンドを用いて、高優先度のエラーを表示する
【0123】
とりわけ、以下のトリガ条件が可能である:
1.電気外科手術用ジェネレータ12に電気外科手術用器具14が接続されたとき
2.電気外科手術用ジェネレータ12が「アイドル」状態(例えば、電気外科手術用器具14が接続されてから所定の期間が経過した後)であるとき
3.高周波/超音波を出力する直前(例えば、電気外科手術用器具14がオフになっている場合の作動の防止)
4.高周波/超音波を出力した直後(例えば、使用がまだ完了していないという通知)
5.作動中、動作モードに依存して、例えば、
・組織のインピーダンスに依存して
・作動期間に依存して
・特定のイベント(例えば、火花)が発生したとき
【0124】
表示されるテキストを、電気外科手術用器具上に(すなわち、器具データメモリ26内に)多言語で格納することも可能である。
【0125】
以下の実装例は、このことを説明している:
A)種々異なる種類の通知の例
高周波/超音波の非作動化を伴わない無音の情報テキスト
【表11】
高周波/超音波の非作動化を伴う無音の情報テキスト
【表12】
高周波/超音波の非作動化と、独自のサウンドデザインとを伴う無音の情報テキスト
【表13】
高周波/超音波の非作動化を伴わない低優先度のエラー
【表14】
高周波/超音波の非作動化を伴う低優先度のエラー
【表15】
高周波/超音波の非作動化を伴わない中優先度のエラー
【表16】
高周波/超音波の非作動化を伴う中優先度のエラー
【表17】
高優先度のエラー
【表18】
【0126】
B)トリガ条件の例
電気外科手術用器具が接続されたとき
【表19】
電気外科手術用ジェネレータが「アイドル」状態(例えば、電気外科手術用器具が接続されてから所定の期間が経過した後)であるとき
【表20】
高周波または超音波を出力する直前
【表21】
高周波または超音波を出力した直後
【表22】
作動中、組織のインピーダンスに依存して
【表23】
【0127】
したがって、それぞれの動作モードにおける電気外科手術用ジェネレータ12の動作は、一方では、ジェネレータデータメモリ72内に保存されている動作プログラム74に依存している。しかしながら、それぞれの動作モードにおける電気外科手術用ジェネレータ12の動作挙動は、さらに、データ構造78内の、それぞれの動作モードのために呼び出されたデータセット80と、同じくジェネレータデータメモリ72内に保存されている動作規定76と、とりわけ、電気外科手術用器具14の器具データメモリ26内に保存されている、信号指令を表すデータとにも依存している。動作挙動は、電気外科手術用器具14への出力交流電圧の出力と、ディスプレイ96を介したテキストの表示またはスピーカ94を介した音響信号の出力とを含む。
【0128】
そのような電気外科手術用ジェネレータ12の利点は、ユーザへの対応する通知を含む新しい動作モードを、データ構造78内に新しいデータセット80を生成することによって容易に定義することが可能であり、例えば、個々の動作モードを、データ構造78内の対応するデータセット80を変更するだけで変更することが可能であり、この際、ジェネレータデータメモリ72内の動作プログラム74またはジェネレータデータメモリ72内の動作規定76を変更する必要がないことである。とりわけ、電気外科手術用器具14のための信号指令を、電気外科手術用器具14のデータメモリ26内のデータによって容易に定義することが可能である。
【0129】
したがって、通知状態ならびにエラー状態、およびこれらの通知の挙動を、電気外科手術用ジェネレータを開発する時点に既に把握しておく必要がなくなる。通知状態ならびにエラー状態、およびこれらの通知の挙動の事後的な適合も、電気外科手術用器具のソフトウェア更新を介して容易に実施可能となる。それどころか、通知状態ならびにエラー状態、およびこれらの通知の挙動の、ユーザビリティテスト中での「ライブ」最適化さえも実施可能となる。
【0130】
他方では、例えば、考えられる利用可能な制御指令、または電気外科手術用ジェネレータに依存している動作パラメータのような大域的なパラメータ、例えば、電気外科手術用ジェネレータの最大出力交流電圧または最小許容出力直流電圧を、動作規定76としてジェネレータデータメモリ72内に格納することができ、場合によっては、ジェネレータデータメモリ72において、全ての可能な動作モードに対して一元的に同時に変更することもできる。
【0131】
電気外科手術用ジェネレータ12の構造のさらなる利点は、電気外科手術用器具14のために適した動作モードを間接的に定義する構造化されたデータを有するデータセット80を、電気外科手術用器具14内に格納することも可能であることである。これについては、図5を参照されたい。具体的には、電気外科手術用器具14の器具データメモリ26は、構造化されたデータを有するデータセットを含むことができ、これらの構造化されたデータは、ジェネレータデータメモリ72内のデータ構造78と互換性があり、データ構造78内の他の構造化されたデータと同様に、ジェネレータデータメモリ72内の動作規定76への対応する参照指示によって、それぞれの動作モードを間接的に定義する。このことは、とりわけ、動作状態またはエラーなどに関してユーザに通知するための音響信号または光学信号に鑑みて、大きな利点である。なぜなら、そのような信号を定義する制御指令を、個々の電気外科手術用器具14ごとにデータによって表すことができ、このデータを、それぞれの個々の電気外科手術用器具14に適合するように、電気外科手術用器具14の器具データメモリ26内に保存することができるからである。
【0132】
したがって、電気外科手術用ジェネレータ12は、電気外科手術用器具14が接続されると、その都度(利用可能である限り)、まず始めにこの電気外科手術用器具14の器具データメモリ26を読み取り、器具データメモリ26内に保存されているデータセットからの構造化されたデータを、ジェネレータデータメモリ72内のデータ構造78内へと入力するように構成されている。このようにすると、その後、電気外科手術用ジェネレータ12は、動作中に、その時々の電気外科手術用器具14にちょうど合うように編集された動作モードを利用することが可能となる。
【0133】
器具データメモリ26の内容へのアクセスを可能にするために、少なくともデータ線路22に、対応する接続部18.3が設けられている。代替的または追加的に、器具データメモリ26の内容にアクセスするために、ブルートゥース(登録商標)インターフェースまたはNFCインターフェースのような無線インターフェースを設けてもよい。
【0134】
電気外科手術用器具14の器具データメモリ26から電気外科手術用ジェネレータ12のデータ構造78内の対応するデータセット内へと構造化されたデータを転送する場合には、場合により、電気外科手術用ジェネレータ12の動作プログラム74に適合するように、行番号を生成することができる。
【0135】
器具データメモリ26内に保存されているデータセットが、構造化されて順序付けられた参照指示(ジェネレータデータメモリ72内のさらなるメモリエントリへのポインタ)のみを含んでいるが、それぞれの動作モードに関する何らかの制御指令または動作パラメータを直接的には含んでいないということは、大きな利点である。なぜなら、制御指令および動作パラメータは、電気外科手術用ジェネレータ12のジェネレータデータメモリ72内に一元的に保存されているからである。
【0136】
これに代えて、電気外科手術用ジェネレータ12は、動作中に(すなわち、動作プログラムの実行中に)、電気外科手術用器具14の器具データメモリ26を直接的に読み取るようにも構成可能である。このことは、図5に示されている例において当てはまる。この場合には、器具データメモリ26内のデータセットの構造化されたデータを、まず始めに電気外科手術用ジェネレータ12上のデータ構造78内へと転送する必要がなくなる。ただし、その場合には、生成されるべき行番号は、動作プログラム内の対応する呼び出し、およびジェネレータデータメモリ72内のエントリに適合していなければならない。
【0137】
本明細書で説明した形式の電気外科手術用システム10の1つの利点は、電気外科手術用ジェネレータ12の動作を決定している種々異なるパラメータ値および動作規定を、互いに独立して取り扱うことができることである。したがって、ジェネレータデータメモリ72内に保存されている動作プログラム74は、動作規定76とは独立して、ジェネレータデータメモリ72内に保存されている。動作規定76自体は、構造化されたデータとは独立して、データ構造78内に保存されている。
【0138】
したがって、好ましくは、プログラミングインターフェース82が設けられており、このプログラミングインターフェース82は、好ましくは、グラフィカルユーザインターフェースを提供し、複数のパラメータ化された参照指示として構成されている構造化されたデータを有するデータセットを介して作成可能であり、電気外科手術用器具14の器具データメモリ26内に保存可能である。
【0139】
好ましくは、プログラミングインターフェース82は、それぞれ異なるユーザにそれぞれ異なる権利を付与するように構成されている。したがって、ジェネレータデータメモリ72内に保存されている動作プログラム74をプログラミングする権利と、同じくジェネレータデータメモリ72内に保存されている動作規定76を入力する権利と、データ構造78内に保存されている構造化されたデータに対する権利とを、それぞれ異なるように授与することができる。とりわけ、このようにして、動作規定76の変更または動作プログラム74の変更を、それぞれの電気外科手術用ジェネレータ12に精通している開発者のみが実施可能であることを保証することができる。したがって、動作プログラム74および動作規定76のプログラミングは、それぞれの電気外科手術用ジェネレータ12に精通している開発者によって実施可能であり、その一方で、電気外科手術用器具14のための動作モードの定義は、電気外科手術用器具14に精通している開発者が、構造化されたデータを有する対応するデータセットを作成することによって実施可能である。好ましくは、電気外科手術用器具14に精通している開発者によって生成されたデータセットは、対応する電気外科手術用器具14の器具データメモリ26内に保存され、その一方で、さらなる動作モードは、電気外科手術用ジェネレータ12のデータ構造78内に直接的に保存可能である。このために、電気外科手術用ジェネレータ12は、例えば、USBプログラミングインターフェースを有することができる。対応する電気外科手術用器具14の器具データメモリ26内に保存されている構造化されたデータのために、対応するインターフェースを有する接続ケーブル16内のデータ線路32が利用可能であるか、(または、代替的または追加的に)ブルートゥース(登録商標)インターフェースまたはNFCインターフェースのような無線インターフェースも利用可能である。その場合、電気外科手術用器具14の器具データメモリ26内のデータセットからの構造化されたデータを、電気外科手術用器具14が接続されたときに、電気外科手術用ジェネレータ12上のデータ構造78内へと転送することができる。
【0140】
このことは、とりわけ、種々異なる電気外科手術用器具14に関して重要である。なぜなら、電気外科手術用器具14は、電気外科手術用ジェネレータ12の開発者とは異なる開発者によってプログラミングされる可能性があるからである。電気外科手術用ジェネレータ12の開発者は、電気外科手術用ジェネレータ12にとって重要である全ての特定のパラメータ値データおよび制御命令を、(場合により、ジェネレータデータメモリ72内に保存されている動作プログラム74に依存して)動作規定76としてジェネレータデータメモリ72内に保存することができる。このようなパラメータ値は、例えば、出力直流電圧、出力交流電圧などに対する最大許容値または最小許容値であり得る。
【0141】
これとは独立して、電気外科手術用器具14の開発者は、この電気外科手術用器具14のための特定の動作モードを、ジェネレータデータメモリ72内の動作プログラム74と、ジェネレータデータメモリ72内の動作規定76とによって定義された限界値の枠内でどのように実行することができるかを、電気外科手術用器具の器具データメモリ26内のデータセット内の構造化されたデータを用いて厳密に規定することができる。この場合、電気外科手術用器具14の開発者は、動作プログラム74および動作規定76による規定についてこれ以上考える必要はない。むしろ、電気外科手術用器具14の開発者は、それぞれの電気外科手術用ジェネレータ12のために与えられたこれらの規定を受け入れることができる。
【0142】
電気外科手術用器具14の開発者は、それぞれの電気外科手術用器具14のための動作モードを定義するために、プログラミングインターフェース82を利用することができ、このプログラミングインターフェース82を介して、開発者は、それぞれの電気外科手術用器具14のための動作モードを完全に定義することができる。このことは、例えば、全ての電流パラメータ値および電圧パラメータ値、ならびに電気外科手術用器具を動作させるための時間規定および遷移条件も含む。このようにして、容易に操作可能なツールを用いた動作モードの開発は、ソフトウェア開発の知識がほとんどなくても、電気外科手術用器具の開発者によって実施可能である。プログラミングインターフェース82は、一連のパラメータセットを開発者に提供し、開発者は、これらの一連のパラメータセットを用いて、種々異なる段階、例えば、初期段階、切断段階、凝固段階を定義することができるだけでなく、それぞれの電気外科手術用器具のための短絡監視または電力監視を定義することもできる。プログラミングインターフェース82に属する開発ツールは、構造化されたデータの省メモリスペースのセットを規定から生成し、このセットは、電気外科手術用器具14のデータメモリ26内に不揮発性に格納可能なデータセットを形成する。
【0143】
データセット80内の構造化されたデータによって定義された、電気外科手術用器具14のための新しい動作モードが、ジェネレータデータメモリ72内の動作プログラム74の変更、またはジェネレータデータメモリ72内の動作規定76の変更も要求する場合には、そのような変更を、例えば、電気外科手術用ジェネレータ12に精通している開発者によってプログラミングインターフェース82を介して実施することが可能である。したがって、動作モードのために定義された構造化されたデータが、ジェネレータデータメモリ72の動作規定76、およびジェネレータデータメモリ72の動作プログラム74と互換性があることを、保証することができる。電気外科手術用器具14の開発者は、これに関して、電気外科手術用ジェネレータ12に精通している開発者と調整することができる。その結果、電気外科手術用ジェネレータ12に精通していない開発者(例えば、電気外科手術用器具14の開発者)が、誤った動作規定76を作成するか、または意図しない影響またはエラーをもたらすような動作プログラム74の変更を行うことが保証されている。
【0144】
電気外科手術用ジェネレータ12に電気外科手術用器具14が接続されると、電気外科手術用ジェネレータ12は、電気外科手術用器具14内の器具データメモリ26を読み取り、ジェネレータデータメモリ72内の、構造化されたデータ内に含まれている参照指示によって示されている動作規定76を呼び出し、これにより、この動作規定76において定義されている、全ての時間条件およびその他の条件を含む電流推移および電圧推移が使用される。このようにして、開発時間および開発コストの削減が可能である。電気外科手術用器具14は、電気外科手術用ジェネレータ12とは十分に独立して組み込み可能である。電気外科手術用ジェネレータ12の導入後でも動作モードを開発および完了することが可能となるので、製品の導入時間を短縮することも可能である。動作モードの最適化、および新しい動作モードは、電気外科手術用器具14の更新によって、または新しい電気外科手術用器具14によって容易に導入可能である。電気外科手術用器具のための動作モードの定義は、ソフトウェア開発の知識がほとんどなくても実施可能である。
【0145】
電気外科手術用ジェネレータ12に接続された電気外科手術用器具14を有する電気外科手術用システム10を動作させるべき場合、電気外科手術用器具14の接続後には、もう既に適切な動作モードを利用することが可能である。なぜなら、電気外科手術用器具14の器具データメモリ26から、構造化されたデータを有する対応するデータセット80を読み取ることができるからである。したがって、ユーザは、電気外科手術用ジェネレータ12の適切な動作モードで電気外科手術用器具14を動作させるために、例えば、あとはもうスイッチ84を操作するだけでよい。ユーザは、電気外科手術用器具14を接続した後、設定またはプログラミングを実施する必要がなくなる。
【0146】
スイッチ84は、線路86を介して電気外科手術用ジェネレータ12のプロセッサ70に接続されており、したがって、スイッチ84の操作により、ジェネレータデータメモリ72内に保存されている動作プログラム74の実行を開始および中断することができる。スイッチ84は、フットスイッチであり得るが、例えば、手持ち式の電気外科手術用器具14に配置されたハンドスイッチであってもよい。ここでも、線路86の代わりに無線の制御接続部を設けることができる。
【0147】
スイッチ84に代わるさらなる代替案は、動作プログラム74の自動的な開始であり、この自動的な開始は、ユーザによって事前に作動させておくことが可能である。この場合、電気外科手術用器具14によってまず始めに小さな測定電圧が出力され、この測定電圧を用いて、組織接触(電流の流れ)が検出される。組織接触(すなわち、電流の流れ)が検出されると、電気外科手術用器具のための本来の動作プログラム74が呼び出される。組織接触が消失すると、電気外科手術用器具のための本来の動作プログラム74が終了され、小さな測定電圧が再び出力され、この測定電圧を用いて新たな組織接触が検出される。
【0148】
動作プログラムによって制御されて、プロセッサ70は、まず始めにデータ構造78内の参照指示にアクセスし、続いて、その時々の参照指示が参照するよう指示した1つまたは複数の動作規定76を呼び出すことによって、動作モードの使用中に、ジェネレータデータメモリ72内の個々の動作規定76に間接的にアクセスする。ユーザへの通知の出力に関して、プロセッサ70は、まず始めに器具データメモリ26内の、信号指令を表すデータにアクセスし、続いて、この信号指令によって規定されているオーディオファイルを呼び出して、音発生器92が応答することにより、動作モードの使用中に、ジェネレータデータメモリ72内の個々のオーディオファイルに間接的にアクセスする。
【0149】
プロセッサ70は、ジェネレータデータメモリ内の動作プログラム74および動作規定76と、データ構造78内の参照指示および信号指令と、検出ユニット54、56、および58から到来した信号90とに依存して、ジェネレータ制御ユニット46のための制御信号88を生成する。
【符号の説明】
【0150】
10 電気外科手術用システム
12 電気外科手術用ジェネレータ
14 電気外科手術用器具
16 接続ケーブル
18.1,18.2 電気出力部
18.3 接続部
20 シャフト
20.1,20.2 出力部
22 アクティブ電極
24 把持部
26 器具データメモリ
28,30 給電線路
32 データ線路
40 高電圧電源部
42 出力部
44 高周波部
46 出力変換器
48 ジェネレータ制御ユニット
50 コンデンサ
52 同期回路
54 出力電流検出ユニット
56 出力交流電圧検出ユニット
58 出力直流電圧検出ユニット
60 高電圧整流回路
62 出力コンデンサ
64 スイッチ
70 プロセッサ
72 ジェネレータデータメモリ
74 動作プログラム
76 動作規定
78 データ構造
80 データセット
84 スイッチ
86 線路
88 プロセッサの制御信号
90 検出ユニットの信号
92 周波数発生器を含む音発生器
94 スピーカ
96 テキストおよび/または記号のためのディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5