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特許7171806リグニン化合物を含む環境に優しいタイヤ用ゴム組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】リグニン化合物を含む環境に優しいタイヤ用ゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20221108BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20221108BHJP
   C08L 97/00 20060101ALI20221108BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20221108BHJP
   B60C 5/14 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
C08L21/00
C08K5/17
C08L97/00
B60C1/00 A
B60C1/00 B
B60C1/00 C
B60C5/14 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021057782
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2021195534
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2021-03-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0073388
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521099202
【氏名又は名称】ハンコック タイヤ アンド テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【氏名又は名称】臼井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ダ ミ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン ヘオン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ハク ジョー
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-505855(JP,A)
【文献】特表2019-537660(JP,A)
【文献】特開2009-108308(JP,A)
【文献】欧州特許第02935447(EP,B1)
【文献】英国特許出願公開第00717971(GB,A)
【文献】国際公開第2015/056758(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ゴム100重量部と、リグニン系酸化防止剤1~20重量部と、架橋剤0.1~3重量部とを含むタイヤ用ゴム組成物であって、
前記リグニン系酸化防止剤は、リグニン類似体を含み、
前記リグニン類似体は、下記式で示される化合物
【化1】
を含むことを特徴とするタイヤ用ゴム組成物
【請求項2】
前記リグニン系酸化防止剤は、重量平均分子量が200~10,000g/molであることを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
前記原料ゴムは、天然ゴムを含み、
前記タイヤ用ゴム組成物は、補強性充填剤を 前記原料ゴム100重量部に対して40~50重量部で含まれ、
前記補強性充填剤は、カーボンブラック(Carbon black)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項4】
前記タイヤ用ゴム組成物は、タイヤのトレッド(Tread)部、サイドウォール(Sidewall)部、カーカス(Carcass)部、ベルト(Belt)部、ビード(Bead)部、アンダートレッド(Under tread、U/T)部、及びインナーライナー(Inner-liner)部を構成する群から一つ以上の部分に含まれることを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項5】
請求項1~請求項のいずれか一つの項に記載のタイヤ用ゴム組成物を含むタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年6月17日に出願された韓国特許出願第10-2020-0073388号に基づく優先権を主張するものであり、その出願の全ての内容は本出願の内容に含まれる。
【0002】
本発明は、原料ゴム100重量部と、リグニン系酸化防止剤1~20重量部と、架橋剤0.1~3重量部とを含むタイヤ用ゴム組成物であって、詳しくは、アミノ化リグニンを酸化防止剤として使用することにより、従来の石油系酸化防止剤を使用しなくても、優れた酸化防止効果を有するタイヤ用ゴム組成物に関するものである。
【背景技術】
【0003】
世界的に高度の産業化が進むにつれて、環境汚染が深刻な問題として浮上しつつある。これを受け、環境への関心も高まっており、産業全般において環境規制が強化される傾向にある。
【0004】
同様に、タイヤ業界では、タイヤの素材や製造方法などに関する環境規制法規を国別で定立・管理しているのが実情であり、今後の環境規制はさらに強化されるものと予測され、環境に優しいタイヤに関する活発な研究が求められている。
【0005】
特に、タイヤを構成するゴム組成物には、天然ゴムのような天然由来成分だけではなく、石油系原料から分解、精製または合成されて得られる石油系化合物が広く使用されていて、炭素排出量が高い方である。
【0006】
例えば、合成ゴム、合成油、各種合成添加剤は、石油系化合物に起源するものが一般的であり、様々な工程を経て変形、分解されるたびに追加のエネルギーが投入されるので、炭素排出量はさらに大きく増加する。
【0007】
これに関連し、炭素排出量、即ち、二酸化炭素の排出を減らすための取り組みの一つとして、「カーボンニュートラル(炭素中立)プログラム」が注目されている。「カーボンニュートラル」とは、二酸化炭素の排出量を実質的に「ゼロ」にする環境キャンペーンのことである。化学分野においても、天然由来の素材をそのまま使用するか、或いはそれを最小限に加工したカーボンニュートラルな物質を使用することにより、二酸化炭素の排出量削減に向けた取り組みを行っている。
【0008】
例えば、植物から得られる天然高分子であるリグニンとセルロースを添加したゴム組成物を用いてタイヤを製造することにより、社会的にはカーボンニュートラルな物質の使用による二酸化炭素の排出量削減や石油資源枯渇への対策につながる一方で、石油系化合物を含む場合には、タイヤからの揮発性有機化合物の放出などの問題を解決したり、軽減させたりすることができるという利点がある。
【0009】
一方、地球上に最も豊富に存在する天然高分子物質であるセルロースとリグニンは、環境に優しいカーボンニュートラルな物質であって、需給が容易であり、価格が安い。特に、リグニンは、針葉樹や広葉樹などの木質部を構成する成分の一つである脂溶性フェノール高分子であって、それを活用した様々な試みが行われ続けている。
【0010】
最近、タイヤ業界では、添加剤、ゴム、フェノールホルムアルデヒド(phenol-formaldehyde)、尿素ホルムアルデヒド(urea-formaldehyde)などのプレポリマーに、1~2wt%のリグニンを少量添加して使用した例があるが、当該成分が、低い分子量を有し、分子間の水素結合を形成することにより、高温でも溶けず熱分解が起こる問題があって、その使用範囲が限られるという限界があった。
【0011】
リグニン関連産業をリードできるような産業の基盤がほぼ整っていない国内の状況から、リグニン及びセルロースに関する基礎的な技術開発はほとんど行われていない状態ではあるものの、大学や研究所を中心に学問的な次元で天然物としてリグニンの分離精製、構造分析、化学的特性に関する研究が断続的に行われているのが実情である。
【0012】
本発明の発明者らは、前記のような問題を認識し、それを解決するために、天然素材であるリグニンを活用することにより、二酸化炭素排出量を減らし、石油資源の枯渇に備えた代替素材の開発に加え、生産単価を下げることができる新しいタイヤ用ゴム組成物を完成するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、石油資源に由来する化合物の使用を控え、カーボンニュートラルな材料を活用したタイヤ用ゴム組成物を提供することを目的とする。
【0014】
本発明は、特に、石油系酸化防止剤の代わりに、天然材料に由来するリグニン系酸化防止剤を添加して、タイヤ用ゴム組成物の酸化を防止することができるタイヤ用ゴム組成物を提供することを目的とする。
【0015】
本発明は、石油系酸化防止剤から放出される揮発性有機物質が放出される虞のないリグニン系酸化防止剤を含むタイヤ用ゴム組成物を提供することを目的とする。
【0016】
単価の高い石油系酸化防止剤の代わりに、リグニン系酸化防止剤を添加することにより、製造価格の安いタイヤ用ゴム組成物を提供することを目的とする。
【0017】
本発明は、また、本発明に係るタイヤ用ゴム組成物を用いて製造されたタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記のような課題を解決するための本発明に係るタイヤ用ゴム組成物は、原料ゴム100重量部と、リグニン系酸化防止剤1~20重量部と、架橋剤0.1~3重量部とを含む。
【0019】
本発明において、前記リグニン系酸化防止剤は、リグニン及びリグニン類似体(Lignin analogue)からなる群から選択された一つ以上を含んでもよい。
【0020】
本発明において、前記リグニン系酸化防止剤は、リグニン類似体を含み、前記リグニン類似体は、アミノ化リグニン(Aminated lignin)として、リグニンの水酸基(Hydroxy group)を基準にし、オルト(Ortho)及び/またはメタ(Meta)の位置にアミン基(Amine group)を含んでもよい。
【0021】
本発明において、前記リグニン系酸化防止剤は、重量平均分子量が200~10,000g/molであってもよい。
【0022】
本発明において、前記アミノ化リグニンのアミン基は、炭素数1~6個を有する炭素鎖を一つ以上含んでもよい。
【0023】
本発明において、前記原料ゴムは、天然ゴムを含み、前記タイヤ用ゴム組成物は、前記補強性充填剤を、前記原料ゴム100重量部に対して40~50重量部で含まれ、前記補強性充填剤は、カーボンブラック(Carbon black)を含んでもよい。
【0024】
本発明において、前記タイヤ用ゴム組成物は、タイヤのトレッド(Tread)部、サイドウォール(Sidewall)部、カーカス(Carcass)部、ベルト(Belt)部、ビード(Bead)部、アンダートレッド(Under tread、U/T)部、及びインナーライナー(Inner-liner)部を構成する群から一つ以上の部分に含まれてもよい。
【0025】
本発明は、また、上述したタイヤ用ゴム組成物を含むタイヤを提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、石油系酸化防止剤を使用しなくても酸化が防止される効果を持つ。
【0027】
本発明は、天然素材であるリグニンを活用することにより、二酸化炭素排出量を減らし、揮発性有機物質の放出を防止することができる効果を持つ。
【0028】
また、本発明は、価格の高い石油系酸化防止剤を使用しなくても、優れた酸化防止効果を有するため、製造コスト及び生産単価を下げることができる効果を持つ。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の各構成をさらに詳しく説明するが、これは一つの例示にすぎず、本発明の権利範囲が次の内容によって限定されない。
【0030】
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物は、原料ゴム100重量部と、リグニン系酸化防止剤1~20重量部と、架橋剤0.1~3重量部とを含む。
【0031】
タイヤは合成ゴムまたは天然ゴムを主成分として含むが、ゴム成分は、酸素や光によってゴム内の鎖が切断されて酸化される虞がある。ゴム鎖の切断は、結局、タイヤの表面に亀裂を発生させ、さらには、タイヤの破壊をもたらすということから、タイヤの酸化を防止することは、タイヤの品質とユーザーの安全にとって非常に重要である。
【0032】
タイヤの酸化を防止するために、タイヤ用ゴム組成物には酸化防止剤が添加されるが、これはゴムやポリマーの不飽和結合部分が酸素やオゾンによって鎖が切断されることを防止し、老化による劣化を遅らせて、寿命を延長させるために添加される成分である。
【0033】
タイヤ用酸化防止剤は、静的酸化防止剤(Static anti-oxidant)と動的酸化防止剤(Dynamic anti-oxidant)とに分けることができるが、静的酸化防止剤の場合には、タイヤの表面にフィルムを形成することにより、酸素とオゾンがタイヤの表面との接触を防いでタイヤの酸化を防止する方式であり、前記動的酸化防止剤は、タイヤを構成するゴム組成物内に添加することにより、当該物質がタイヤの表面で酸素やオゾンと反応して、酸化を防止する方式である。
【0034】
しかし、タイヤの表面にフィルムを形成する場合には、路面との反復的な摩擦によってフィルムが簡単に破損しかねないので、酸化防止効果の維持期間が短いという問題点があり、動的酸化防止剤は、主に石油系化合物が使用されることから、価格が高いという問題点がある。
【0035】
本発明は、このような問題点を解決するために、従来の動的酸化防止剤として広く用いられてきた、下記化学式1の構造を有する6PPD(N-(1,3-Dimethylbutyl)-N’-phenyl-p-phenylenediamine)などの石油系酸化防止剤を代替するために、これと構造的な類似性が高いリグニンベースの化合物を含むことにより、タイヤの酸化を防止することができるタイヤ用ゴム組成物を提供する。
【0036】
【化1】
【0037】
具体的には、本発明において、前記原料ゴムは、天然ゴムや合成ゴムを使用することができるが、好ましくは、天然ゴム(Natural Rubber、NR)を使用することができる。
【0038】
前記天然ゴムとは、自然から得られるゴムを総称するものであって、原産地などが限定されない。一般的な天然ゴム及び変性天然ゴムを全て使用することができる。シス-1,4-ポリイソプレン(cis-1,4-polyisoprene)を主要に含んでいるが、必ずしもこれに限定されず、トランス-1,4-ポリイソプレン(trans-1,4-polyisoprene)を含む天然ゴムも使用することが可能である。
【0039】
本発明は、特に、酸化防止剤として石油系酸化防止剤を含む代わりに、リグニン系酸化防止剤を含むことを特徴とする。
【0040】
本発明に係るリグニン系酸化防止剤に代替することが可能な従来の石油系酸化防止剤は、例えば、6PPD(N-(1,3-Dimethylbutyl)-N’-phenyl-p-phenylenediamine)、77PD(N,N’-bis(1,4-dimethylpentyl)-p-phenylenediamine)、IPPD(N-Isopropyl-N’-phenyl-1,4-phenylenediamine)、TMQ(2,2,4-Trimethyl-1,2-Dihydroquinoline)などの酸化防止剤であってもよい。このような石油系酸化防止剤を添加していたタイヤ用ゴム組成物に、石油系酸化防止剤の代わりにリグニン系酸化防止剤を添加することにより、酸化防止効果を得ることができる。
【0041】
具体的には、前記リグニン系酸化防止剤は、リグニン及びリグニン類似体からなる群から選択された一つ以上のものを含んでもよい。
【0042】
リグニンは、針葉樹や広葉樹などの木質部を構成する様々な構成成分の中で、脂溶性フェノール高分子のことを指すが、リグニンは、p-クマリルアルコール(p-coumaryl alcohol(H))、コニフェリルアルコール(coniferyl alcohol(G))とシナピルアルコール(sinapyl alcohol(S))という単量体がβ-O-4または炭素-炭素結合によって、複雑な3次元構造の高分子体をなす。
【0043】
前記リグニン類似体というのは、一つの原子または原子団が、他の原子または原子団に置換されると、リグニンになれる化合物のことを指す。これにより、リグニンの構造において一つの原子または原子団が、他の原子または原子団に置換された全ての化合物を通称する。具体的には、リグニンを構成する一つの水素が水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルカニル基、アミン基、アミノ基などの様々な官能基に置換されて得られた化合物であってもよい。
【0044】
前記リグニン系酸化防止剤は、好ましくは、リグニンを構成するベンゼン環を構成する水素が前記官能基に置換されたものであってもよく、最も好ましくは、リグニンを構成するベンゼン環に置換された水酸基(Hydroxy group)を基準にし、下記化学式2でR1~R3の位置にあたるオルト(Ortho)及び/またはメタ(Meta)の位置にアミン基(Amine group)が含まれたものであってもよい。
【0045】
【化2】
【0046】
好ましくは、前記の水酸基を基準にし、オルトの位置にアミン基が含まれたものであってもよく、前記アミン基は、炭素数1~6個を有する炭素鎖を一つ以上含んでもよく、さらに詳しくは、下記の化学式3の化合物であってもよい。
【0047】
【化3】
【0048】
前記化学式3の化合物は、下記反応式1のように、リグニンをホルムアルデヒド(HCOH)とジエチレントリアミン(Diethylenetriamine)と共に塩基条件で加熱して得ることができる。
【0049】
[反応式1]
【化4】
【0050】
ただし、前記の反応と反応条件は、本発明に係るアミノ化リグニンを製造する一つの例示的な方法にすぎず、これに限定されず、様々な反応でアミノ化リグニンを製造することが可能である。
【0051】
前記リグニン系酸化防止剤であるリグニンやリグニン類似体は、いかなるリグニン種類のリグニンを使用しても、特に限定されず、非限定的な例として、クラフトリグニン(Kraft lignin)、リグノスルホネートリグニン(Lignosulfonate lignin)、ソーダリグニンまたはこれらの混合物を使用することができる。
【0052】
一方、本発明に係る前記リグニン系酸化防止剤は、重量平均分子量が200~10,000g/molであってもよく、好ましくは、500~7,000g/mol、最も好ましくは、1,000~3,000g/molであってもよい。
【0053】
前記範囲よりも大きい分子量を持つ場合には、酸化防止剤の拡散速度が遅くて、酸化物質からゴムを保護することができず、酸化防止効果が低下する問題があり、前記範囲よりも小さい分子量を持つ場合には、酸化防止剤の拡散速度が速くて、表面にはみ出してしまいタイヤの変色を引き起こす問題があるので、前記範囲内の重量平均分子量を有する化合物を使用することが好ましい。
【0054】
一方、前記リグニン系酸化防止剤は、好ましくは、1~20重量部で含まれてもよく、最も好ましくは、1~10重量部で添加されてもよい。
【0055】
前記含有量よりも過度に添加される場合には、ゴムの加硫物性に影響を与える問題があり、前記含有量よりも少量で添加される場合には、酸化防止効果が十分ではないという問題がある。
【0056】
前記架橋剤は、タイヤの分野で使用することができるものであれば特に制限されず、使用が可能である。
【0057】
本発明の一実施例に係るタイヤ用ゴム組成物は、原料ゴム100重量部に対して、補強性充填剤を、40~50重量部でもっと含んでいる。
【0058】
前記含有量よりも少量で添加される場合には、補強性が低下する問題がある。
【0059】
本発明において、前記補強性充填剤は、カーボンブラック、シリカなどの当該技術分野で使用されるものであれば特に限定されず、使用することが可能である。好ましくは、前記補強性充填剤は、カーボンブラックであってもよい。
【0060】
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物は、タイヤを構成する様々な部分に含まれてもよい。具体的には、タイヤのトレッド(Tread)部、サイドウォール(Sidewall)部、カーカス(Carcass)部、ベルト(Belt)部、ビード(Bead)部、アンダートレッド(Under tread、U/T)部、及びインナーライナー(Inner-liner)部を構成する群から一つ以上の部分に含まれてもよい。
【0061】
本発明は、また、本発明に係るタイヤ用ゴム組成物を含むタイヤを提供する。
【0062】
一方、本発明に係るタイヤは、トラック用タイヤ、LTR(Light Truck Radial)用タイヤ、乗用車用タイヤ、及びレーシングカー用タイヤからなる群から選択されたいずれか一つであってもよい。
【0063】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳しく説明するが、これは一つの例示に過ぎず、本発明の権利範囲 が、次の内容によって限定されるものではない。
【0064】
[製造例:タイヤトレッド用ゴム組成物の製造]
下記表1のような組成で実施例及び比較例に従うゴム組成物を製造した。計量された各化合物をバンバリーミキサー(Banbury Mixer)を用いて配合した後、シートゴムを製造した。
【0065】
【表1】
【0066】
(*前記アミノ化リグニンは、化学式3のアミノ化リグニンである)
【0067】
【化5】
【0068】
[実験例:耐疲労評価実験]
加硫ゴムの疲労寿命(Fatigue Life)と切傷成長(Cut Growth)性を測定する試験機としてダンベル(Dumbbell)型試験片を様々なDrive Camによって周期的な一定変位を加えながら、破壊時のサイクル(Cycle)数で耐疲労性を評価した。Cam回転速度は、100rpm(試験片数6個/b’t)、ひずみ範囲(Strain Range)は、60%、80%、100%、120%の条件で測定し、その結果を表2に示した。
【0069】
【表2】
【0070】
前記表2を参照すると、実施例1は、ゴム組成物に酸化防止剤としてアミノ化リグニンを適用したものであって、100%の累積確率で比較例1よりも同等以上のレベルの耐疲労性の結果を示す。また、アミノ化させていないリグニンを使用した比較例2と比較する際にも、実施例1が高い耐疲労性能を示すことが確認できる。
【0071】
これにより、アミノ化リグニンを従来の石油系酸化防止剤に代替して、天然酸化防止剤として使用できることが確認できる。