(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】ユーザ機器及び方法
(51)【国際特許分類】
H04W 72/10 20090101AFI20221108BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20221108BHJP
【FI】
H04W72/10
H04W92/18
(21)【出願番号】P 2021087562
(22)【出願日】2021-05-25
(62)【分割の表示】P 2020013593の分割
【原出願日】2015-12-21
【審査請求日】2021-05-25
(32)【優先日】2015-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2015-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローア ヨアキム
(72)【発明者】
【氏名】バス マリック プラティーク
(72)【発明者】
【氏名】堀 貴子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】ZTE,Some considerations for D2D communication[online],3GPP TSG-RAN WG2#85 R2-140695,2014年02月14日
【文献】Ericsson,ProSe communication and Group priority[online],3GPP TSG-RAN WG2#88 R2-145137,2014年11月21日
【文献】ZTE Corporation,Contents of D2D BSR[online],3GPP TSG-RAN WG2#87 R2-143603,2014年08月22日
【文献】Vice-Chair (InterDigital),Report of the LTE break-out session (ProSe and eDRX)[online],3GPP TSG-RAN WG2#91 R2-153885,2015年08月28日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ機器であって、
サイドリンク宛先グループに設定される複数のサイドリンク論理チャネルに含まれる各サイドリンク論理チャネルに対する論理チャネル優先度を取得する処理と、
送信のために利用可能なデータを有するサイドリンク論理チャネルの中で最も高い前記論理チャネル優先度を有するサイドリンク論理チャネルが帰属するサイドリンク宛先グループ
を複数のサイドリンク宛先グループから選択し、
前記選択したサイドリンク宛先グループに帰属する前記各サイドリンク論理チャネルに対して前記論理チャネル優先度の降順に無線リソースを割り当てるスケジューリング処理と、を制御する制御部と、
前記割り当てられた無線リソースを用いてサイドリンクデータを送信する送信部と、
を有する、ユーザ機器。
【請求項2】
前記論理チャネル優先度は、
データ宛先の前記サイドリンク宛先グループと関連づけられる宛先グループ優先度、
搬送されるデータの種類に従ってグループ化される一群の論理チャネルと関連づけられる論理チャネルグループ優先度、
前記ユーザ機器の地理的位置、
前記ユーザ機器が動作している緊急レベル、および、
ユーザ機器識別子、
の少なくとも1つに依存する、
請求項1に記載のユーザ機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記無線通信システムの近接サービス(ProSe)エンティティにおけるProSe機能によって決定される前記各サイドリンク論理チャネルに対する前記論理チャネル優先度のインジケーションを受信し、前記論理チャネル優先度を記憶する受信処理をさらに制御する、
請求項1に記載のユーザ機器。
【請求項4】
前記スケジューリング処理は、前記サイドリンク論理チャネルに対する前記論理チャネル優先度を決定する、
請求項1に記載のユーザ機器。
【請求項5】
前記制御部は、
前記サイドリンク論理チャネルに対して送信されるべきデータを記憶するバッファを有し、
前記論理チャネル優先度の自身の再計算に基づいて、または、ProSe機能から受信される指令に基づいて、前記サイドリンク論理チャネルに対する現在の論理チャネル優先度を修正された論理チャネル優先度に修正する優先度設定処理を、をさらに制御する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のユーザ機器。
【請求項6】
前記制御部は、修正前に前記バッファに記憶された前記データを、前記現在の論理チャネル優先度が前記修正された論理チャネル優先度より高いか否か、前記修正された論理チャネル優先度のレベル、および、修正の原因、の少なくとも1つに応じて、フラッシュするか、または、前記現在の論理チャネル優先度で送信するかのいずれかの処理を制御する、
請求項5に記載のユーザ機器。
【請求項7】
前記制御部は、
前記ユーザ機器が前記無線通信システムのユーザ機器の中でデータを送信するように選択されるか否かを判定し、
前記ユーザ機器が選択されない場合、前記サイドリンク論理チャネルを停止し、
データ発信ユーザ機器が選択された場合、前記先だって停止されたサイドリンク論理チャネルを再開する、フロア制御処理をさらに制御し、
前記スケジューリング処理は、選択し、リソースを割り当てるためには前記停止された論理チャネルを考慮しない、
請求項1から6のいずれか一項に記載のユーザ機器。
【請求項8】
前記フロア制御処理は、前記ユーザ機器間、および/または、MACより上のレイヤにおける近接サービス(ProSe)エンティティ間の前記無線通信システムで交換されるメッセージに従って、前記ユーザ機器がデータを送信するべきか否かを決定し、
前記ユーザ機器がデータを送信するべきでないと決定した上で、前記ユーザ機器は、スケジューリング割当ておよび対応するデータの1回の送信に対応する期間であるサイドリンク制御期間内で自身のデータおよび/またはサイドリンク制御情報の送信を停止する、
請求項7に記載のユーザ機器。
【請求項9】
前記フロア制御処理は、
別のユーザ機器から受信される、物理レイヤ上のサイドリンク制御情報またはメディアアクセス制御(MAC)プロトコルデータユニット(PDU)から、ユーザ機器優先度インジケータを抽出し、前記ユーザ機器優先度インジケータは、前記ユーザ機器または前記ユーザ機器によって送信されるべき前記データの優先度を示し、前記抽出したユーザ機器優先度インジケータを、前記ユーザ機器に記憶される自身のユーザ機器優先度または送信されるべき前記データの優先度と比較し、
前記自身のユーザ機器優先度が前記抽出したユーザ機器優先度より低い場合、前記ユーザ機器が前記送信のために選択されないと判定する、
請求項7または8に記載のユーザ機器。
【請求項10】
前記ユーザ機器がフロアを有し、同時に、より高いユーザ機器優先度を持つ別のユーザ機器からのサイドリンク制御情報を受信した場合、前記フロア制御処理は、前記送信を停止し、前記別のユーザ機器にフロアを委譲する、
請求項9に記載のユーザ機器。
【請求項11】
前記ユーザ機器優先度は、前記MAC PDUのMACヘッダ内で通知され、前記無線通信システムの近接サービス(ProSe)エンティティによって設定される、
請求項9または10に記載のユーザ機器。
【請求項12】
前記制御部は、前記論理チャネル優先度と関連づけられるバッファの状況を前記無線通信システムのネットワークノードに報告するためのバッファ状況報告処理をさらに制御する、
請求項1から11のいずれか一項に記載のユーザ機器。
【請求項13】
前記スケジューリング処理は、リソースプールから前記データの前記送信のために割り当てられるべき前記リソースを選択するように、および前記宛先グループ優先度または前記データが送信されるべきサイドリンク論理チャネルと関連づけられる論理チャネル優先度に従って複数のリソースプールの中の前記リソースプールを選択する、
請求項2に記載のユーザ機器。
【請求項14】
ユーザ機器によって実行される方法であって、前記方法は、
サイドリンク宛先グループに設定される複数のサイドリンク論理チャネルに含まれる各サイドリンク論理チャネルに対する論理チャネル優先度を取得し、
送信のために利用可能なデータを有するサイドリンク論理チャネルの中で最も高い前記論理チャネル優先度を有するサイドリンク論理チャネルが帰属するサイドリンク宛先グループ
を複数のサイドリンク宛先グループから選択し、
前記選択したサイドリンク宛先グループに帰属する前記各サイドリンク論理チャネルに対して前記論理チャネル優先度の降順に無線リソースを割り当てるスケジューリング処理を制御し、
前記割り当てられた無線リソースを用いてサイドリンクデータを送信する、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、論理チャネル優先順位付け手順(logical channel prioritization procedure)を行う場合にサイドリンク論理チャネル(sidelink logical channels)に無線リソースを割り当てるためのユーザ機器及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
<ロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)>
ロングタームエボリューションの仕様が、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP:3rd Generation Partnership Project)ユニバーサル移動体地上ネットワーク(Universal Mobile Terrestrial Network)に続くシステムとしてのRelease8(LTE Rel.8)として完成された。LTEシステムは、低遅延および低コストでフルIPベースの機能性を提供する効率的なパケットベースの無線アクセスを提供する。LTEでは、所与のスペクトルを用いて柔軟なシステム展開を達成するために、1.4、3.0、5.0、10.0、15.0および20.0MHzなどのスケーラブルな複数の送信帯域幅が設定される。ダウンリンクでは、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)ベースの無線アクセスが、低シンボルレートによるマルチパス干渉(MPI)に対するその固有の耐性、サイクリックプレフィックス(CP:Cyclic Prefix)の使用、および異なる送信帯域幅の配置に対するその親和性のために採用された。ユーザ機器(UE:User Equipment)の制限される送信電力を考慮すると、ピークデータレートの向上よりも広域カバレージを備えることが優先されるため、アップリンクではシングルキャリア周波数分割多元接続(SC-FDMA:Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)ベースの無線アクセスが採用された。LTE Rel.8/9では、多くの主要なパケット無線アクセス技法が、MIMO(Multiple Input Multiple Output)チャネル送信技術を含めて利用され、高効率の制御シグナリング構造が達成される。
【0003】
<LTEアーキテクチャ>
全体的なアーキテクチャを
図1に示し、E-UTRANアーキテクチャのより詳細な表現を
図2に示す。E-UTRANはeNodeBから構成され、ユーザ機器(UE)に向けたE-UTRAユーザプレーン(PDCP/RLC/MAC/PHY)プロトコルの終端および制御プレーン(RRC)プロトコルの終端を提供する。eNodeB(eNB)は、物理(PHY)、メディアアクセス制御(MAC)、無線リンク制御(RLC)および、ユーザプレーンヘッダ圧縮および暗号化の機能を含むパケットデータ制御プロトコル(PDCP)レイヤをホストする。eNodeBは、制御プレーンに対応する無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)機能も提供する。eNodeBは、無線リソース管理、アドミッションコントロール、スケジューリング、ネゴシエートされたアップリンクサービス品質(QoS:Quality of Service)の実施、セル情報ブロードキャスト、ユーザおよび制御プレーンデータの暗号化/解読、ならびにダウンリンク/アップリンクユーザプレーンパケットヘッダの圧縮/解凍を含む多くの機能を行う。eNodeBは、X2インタフェースを用いて相互接続される。
【0004】
eNodeBはまた、S1インタフェースを用いてEPC(Evolved Packet Core)に、より詳細には、S1-MMEを用いてMME(Mobility Management Entity)に接続され、S1-Uを用いてサービングゲートウェイ(SGW:Serving Gateway)に接続される。S1インタフェースは、MME/サービングゲートウェイとeNodeBとの間の多対多の関係をサポートする。SGWは、ユーザデータパケットをルーティングおよび転送する一方で、eNodeB間でのハンドオーバ中にユーザプレーンのためのモビリティアンカとして、および、(S4インタフェースを終端し、2G/3GシステムとPDN GWとの間のトラヒックを中継する)LTEと他の3GPP技術との間のモビリティのためのアンカとして機能する。アイドル(Idle)状態のユーザ機器に対しては、SGWはダウンリンクデータを終端し、ユーザ機器に対してダウンリンクデータが到着するとページングをトリガする。SGWはユーザ機器コンテキスト、例えば、IPベアラサービスのパラメータ、ネットワーク内部ルーティング情報を管理および記憶する。SGWは、合法的傍受の場合にはユーザトラヒックの複製も行う。
【0005】
MMEは、LTEアクセスネットワークにとって主要な制御ノードである。MMEは、再送を含むアイドルモードのユーザ機器のトラッキングおよびページング手順に対する役割を担う。MMEはベアラアクティブ化/非アクティブ化プロセスに関与し、かつ初期アタッチ時およびコアネットワーク(CN:Core Network)ノード再配置を伴うLTE内ハンドオーバ時にユーザ機器に対するSGWを選択する役割も担う。MMEは、(HSSと対話することによって)ユーザを認証する役割を担う。非アクセス層(NAS:Non-Access Stratum)シグナリングはMMEで終端し、MMEは一時的な識別子の生成およびユーザ機器への割当ての役割も担う。MMEは、サービスプロバイダのPLMN(Public Land Mobile Network)にキャンプするためにユーザ機器の認証を確認し、ユーザ機器のローミング制限を実施する。MMEは、NASシグナリングに対する暗号化/整合性保護のためのネットワークにおける終端点であり、セキュリティキー管理を扱う。シグナリングの合法的傍受もMMEによってサポートされる。MMEは、S3インタフェースがSGSNからMMEで終端して、LTEおよび2G/3Gアクセスネットワーク間のモビリティのための制御プレーン機能も提供する。MMEは、ローミングユーザ機器に対してホームHSSに向けたS6aインタフェースも終端する。
【0006】
<LTEにおけるコンポーネントキャリア構造>
3GPP LTEシステムのダウンリンクコンポーネントキャリアは、時間-周波数領域で、いわゆるサブフレームに分割される。3GPP LTEでは、各サブフレームは2つのダウンリンクスロットに分割され、ここでは第1のダウンリンクスロットは第1のOFDMシンボル内に制御チャネル領域(PDCCH領域)を備える。各サブフレームは時間領域で所与の数のOFDMシンボル(3GPP LTE(Release8)では12または14個のOFDMシンボル)から成り、ここでは各OFDMシンボルはコンポーネントキャリアの帯域幅全体に渡る。OFDMシンボルは、したがって各々、
図3にも図示するように、それぞれのサブキャリアで送信されるいくつかの変調シンボルから成る。
【0007】
例えば、3GPP LTEに使用されるような、OFDMを利用するマルチキャリア通信システムを前提とすると、スケジューラによって割り当てられることができるリソースの最小単位は1つの「リソースブロック」である。物理リソースブロック(PRB:Physical Resource Block)は、時間領域では連続するOFDMシンボル(例えば7つのOFDMシンボル)、および、周波数領域では
図3に例示するように連続するサブキャリア(例えばコンポーネントキャリアにとして12個のサブキャリア)として定義される。3GPP LTE(Release8)では、物理リソースブロックはリソースエレメントから成り、時間領域では1つのスロットに、かつ周波数領域では180kHzに対応する(ダウンリンクリソースグリッドに関するさらなる詳細については、例えばwww.3gpp.orgで入手可能であり、かつ参照により本明細書に援用される非特許文献1の6.2節を参照のこと)。
【0008】
1つのサブフレームは2つのスロットから成り、その結果、いわゆる「通常(normal)」CP(サイクリックプレフィックス)が使用されるときにはサブフレームに14個のOFDMシンボルがあり、いわゆる「拡張(extended)」CPが使用されるときにはサブフレームに12個のOFDMシンボルがある。専門用語のために、以下では、サブフレーム全体に渡る同じ連続するサブキャリアに相当する時間-周波数リソースを、「リソースブロックペア」または同意義の「RBペア」もしくは「PRBペア」と呼ぶ。
【0009】
「コンポーネントキャリア」という用語は、周波数領域でのいくつかのリソースブロックの組合せを指す。LTEの将来のリリースでは、「コンポーネントキャリア」という用語はもはや使用されず、代わりに専門用語は、ダウンリンクおよび任意選択でアップリンクリソースの組合せを指す「セル」に変更される。ダウンリンクリソースのキャリア周波数とアップリンクリソースのキャリア周波数との間の関連づけ(リンキング)は、ダウンリンクリソースで送信されるシステム情報に示される。
【0010】
コンポーネントキャリア構造に対する同様の前提が、後のリリースにも当てはまる。
【0011】
<より広帯域幅のサポートのためのLTE-Aでのキャリアアグリゲーション>
Release10以降のLTEで利用可能なキャリアアグリゲーションでは、100MHzまでのより広い送信帯域幅をサポートするために、2つ以上のコンポーネントキャリアがアグリゲートされる。LTEシステムでのいくつかのセルがアグリゲートされて、たとえLTEでのこれらのセルが異なる周波数帯にあるとしても、100MHzに対して十分に広いLTE-Advancedシステムでの1つのより広いチャネルになる。
【0012】
すべてのコンポーネントキャリアは、少なくともコンポーネントキャリアの帯域幅がLTE Rel.8/9セルのサポートされる帯域幅を超えない場合、LTE Rel.8/9互換性があるように構成されることができる。ユーザ機器によってアグリゲートされるすべてのコンポーネントキャリアが必ずしもRel.8/9互換性があるわけではなくてもよい。現存のメカニズム(例えば禁止(barring))を使用して、Rel-8/9ユーザ機器がコンポーネントキャリアにキャンプすることを回避してもよい。
【0013】
ユーザ機器は、その能力に応じて1つまたは複数のコンポーネントキャリア(複数のサービングセルに対応する)を同時に受信または送信してもよい。キャリアアグリゲーションのための受信および/または送信能力を持つLTE-A Rel.10ユーザ機器は、複数のサービングセルで同時に受信および/または送信することができる一方で、LTE Rel.8/9ユーザ機器は、コンポーネントキャリアの構造がRel.8/9仕様に従うとの条件で、単一のサービングセルのみで受信および送信することができる。
【0014】
キャリアアグリゲーションは連続および非連続コンポーネントキャリア両方に対してサポートされるが、各コンポーネントキャリアは3GPP LTE(Release8/9)のニューメロロジー(numerology)を用いて周波数領域で最大で110個のリソースブロックに制限される。3GPP LTE-A(Release10)互換のユーザ機器を、同じeNodeB(基地局)から発信し、かつ場合によりアップリンクおよびダウンリンクで異なる帯域幅の異なる数のコンポーネントキャリアをアグリゲートするように構成することが可能である。構成することができるダウンリンクコンポーネントキャリアの数はUEのダウンリンクアグリゲーション能力に依存する。反対に、構成することができるアップリンクコンポーネントキャリアの数はUEのアップリンクアグリゲーション能力に依存する。移動端末をダウンリンクコンポーネントキャリアよりアップリンクコンポーネントキャリアが多くなるように構成することは、現在、可能でなくてもよい。
【0015】
連続してアグリゲートされるコンポーネントキャリアの中心周波数間の間隔は300kHzの倍数であるものとする。これは、3GPP LTE(Release8/9)の100kHz周波数ラスタ(raster)と互換性があり、かつ同時に15kHz間隔を持つサブキャリアの直交性を保持するためである。アグリゲーションシナリオに応じて、n*300kHz間隔は、連続したコンポーネントキャリア間への少数の未使用サブキャリアの挿入によって容易にされることができる。
【0016】
複数のキャリアのアグリゲーションの性質は、MACレイヤまでしか明らかにされていない。アップリンクおよびダウンリンク両方に関して、各アグリゲートされるコンポーネントキャリアごとにMACで1つのHARQエンティティが必要とされる。(アップリンクに対するSU-MIMOの不在下では)コンポーネントキャリア当たり多くとも1つのトランスポートブロックがある。トランスポートブロックおよびその潜在的なHARQ再送信は同じコンポーネントキャリアにマッピングされる必要がある。
【0017】
<LTEレイヤ2-ユーザプレーンおよび制御プレーンプロトコルスタック>
LTEレイヤ2ユーザプレーン/制御プレーンプロトコルスタックは、
図4に図示するような3つのサブレイヤ(PDCP、RLCおよびMAC)を備える。送信側では、各レイヤは、レイヤがサービスを提供する上位レイヤからサービスデータユニット(SDU)を受け取り、下位のレイヤにPDUを出力する。RLCレイヤはPDCPレイヤからパケットを受け取る。これらのパケットは、PDCPの観点からはPDCP PDUと呼ばれ、RLCの観点からはRLC SDUを表す。RLCレイヤは、下位のレイヤ、すなわちMACレイヤに提供されるパケットを作成する。RLCによってMACレイヤに提供されるパケットは、RLCの観点からはRLC PDU、MACの観点からはMAC SDUである。
【0018】
受信側では、プロセスは反転され、各レイヤが上位のレイヤにSDUを渡し、上位のレイヤでSDUはPDUとして受け取られる。
【0019】
物理レイヤが本質的に、ターボ符号化および巡回冗長検査(CRC:Cyclic Redundancy Check)によって保護されるビットパイプ(bitpipe)を提供する一方で、リンクレイヤプロトコルは上昇した信頼性、安全性および整合性によって上位のレイヤに対するサービスを強化する。加えて、リンクレイヤは、マルチユーザのメディアアクセスおよびスケジューリングの役割を担う。LTEリンクレイヤ設計に対する主な課題の1つは、広範囲の異なるサービスおよびデータレートを持つインターネットプロトコル(IP:Internet Protocol)データフローに、必要とされる信頼性レベルおよび遅延を提供することである。特に、プロトコルオーバーヘッドが比例しなければならない。例えば、ボイスオーバーIP(VoIP:Voice over IP)フローが100ms程度の遅延および1パーセントまでのパケットロスを許容することができると広く思われている。他方では、TCPファイルダウンロードが低帯域幅遅延積を持つリンクを通じてよりよく作動することが周知である。結果的に、超高データレート(例えば、100Mb/s)でのダウンロードは一層低い遅延を必要とし、加えて、VoIPトラヒックよりIPパケットロスに影響される。
【0020】
全体として、この課題は、部分的に結び付けられるLTEリンクレイヤの3つのサブレイヤによって達成される。
【0021】
パケットデータ収束プロトコル(PDCP:Packet Data Convergence Protocol)サブレイヤは主に、IPヘッダ圧縮および暗号化の役割を担う。加えて、PDCPサブレイヤは、eNB間ハンドオーバの場合には無損失のモビリティをサポートし、上位レイヤ制御プロトコルに整合性保護を提供する。
【0022】
無線リンク制御(RLC:Radio Link Control)サブレイヤは、主にARQ機能を備え、データセグメンテーションおよび連結をサポートする。後者の2つは、データレートから独立したプロトコルオーバーヘッドを最小化する。
【0023】
最後に、メディアアクセス制御(MAC:Medium Access Control)サブレイヤはHARQを提供し、スケジューリング動作およびランダムアクセスなどのメディアアクセスのために必要とされる機能の役割を担う。
図5は、物理レイヤまでのリンクレイヤプロトコルを通してのIPパケットのデータフローを例示的に描く。図は、各プロトコルサブレイヤがデータユニットにそれ自体のプロトコルヘッダを追加することを示す。
【0024】
<LTEのためのアップリンクアクセス方式>
アップリンク送信について、カバレージ(coverage)を最大化するのに電力効率の良いユーザ端末送信が必要である。動的帯域幅割当てを伴うFDMAと組み合わされるシングルキャリア送信が、進化型UTRAアップリンク送信方式として選択されている。各時間間隔中に、NodeBが、ユーザデータを送信するための固有の時間/周波数リソースをユーザに割り当て、それによってセル内直交性を保証する。アップリンクでの直交アクセスは、セル内干渉を排除することによって上昇したスペクトル効率を約束する。マルチパス伝搬による干渉は、送信信号へのサイクリックプレフィックスの挿入によって補助されて基地局(NodeB)で処理される。
【0025】
データ送信のために使用される基本的な物理リソースは1つの時間間隔、例えば0.5msのサブフレームの間のサイズBWgrantの周波数リソースから成り、その上に符号化情報ビットがマッピングされる。送信時間間隔(TTI:Transmission Time Interval)とも称されるサブフレームがユーザデータ送信のための最小時間間隔であることに留意するべきである。しかしながら、サブフレームの連結によってユーザに1つのTTIより長い時限に渡って周波数リソースBWgrantを割り当てることが可能である。
【0026】
<LTEのためのULスケジューリング方式>
アップリンク方式は、スケジュールされる、すなわちeNBによって制御されるアクセスおよび競合ベースのアクセスの両方を許容する。
【0027】
スケジュールされるアクセスの場合には、UEは、アップリンクデータ送信のために一定の時間に渡る一定の周波数リソース(すなわち時間/周波数リソース)を割り当てられる。しかしながら、いくらかの時間/周波数リソースは競合ベースのアクセスのために割り当てられることができる。これらの時間/周波数リソース内で、UEは、最初にスケジュールされることなく送信することができる。UEが競合ベースのアクセスをしている1つのシナリオは、例えばランダムアクセス、すなわちUEがセルへのまたはアップリンクリソースを要求するための初期アクセスを行っているときである。
【0028】
スケジュールされるアクセスに関して、NodeBスケジューラは、ユーザにアップリンクデータ送信のための固有の周波数/時間リソースを割り当てる。より詳細には、スケジューラは、どのUEが送信するのを許容されるか、送信のために移動端末によって使用されるべき物理チャネルリソース(周波数)およびトランスポート形式(変調符号化方式(MCS:Modulation Coding Scheme))を決定する。
【0029】
割当て情報は、L1/L2制御チャネル(以下で「アップリンクグラントチャネル」と呼ばれる)で送信されるスケジューリンググラントを介してUEにシグナリングされる。スケジューリンググラントメッセージは、UEが周波数帯域のどの部分を使用するのを許容されるかという情報、グラントの有効期間、およびUEが来るべきアップリンク送信のために使用しなければならないトランスポート形式を含む。最短有効期間は1つのサブフレームである。選択される方式に応じて、UEに対するグラントメッセージに付加情報も含まれてもよい。UEは次いで、割り当てられたリソースをなんらかの規則に従ってその無線ベアラに分配する。eNBはなんらかの情報、例えば報告されるスケジューリング情報およびQoS情報に基づいてトランスポート形式を決定し、UEは選択されたトランスポート形式に従わなければならない。サービス品質を決定するためには、無線リソースのスケジューリングが共用チャネルアクセスネットワークで最も重要な機能であるので、効率的なQoS管理を許容するために、LTEのためのULスケジューリング方式によって果たされるべきであるいくつかの要件がある。
【0030】
- 低優先度サービスの枯渇が回避されるべきである。枯渇は、高優先度論理チャネルからのデータがすべてのMAC PDUスペースを占めるため、低優先度論理チャネルからのデータが送信されることができないことを意味する。
- 無線ベアラ/サービスに対する明白なQoS区別がスケジューリング方式によってサポートされるべきである。
- eNBスケジューラがどの無線ベアラ/サービスについてデータが送信されるべきかを識別するのを許容するために、UL報告は微粒(fine granular)のバッファ報告(例えば無線ベアラごとまたは無線ベアラグループごと)を許容するべきである。
- 異なるユーザのサービス間の明白なQoS区別をすることが可能であるべきである。
- 無線ベアラごとに最小ビットレートを提供することが可能であるべきである。
【0031】
上記の列記から分かるように、LTEスケジューリング方式の1つの本質的な態様は、事業者が異なるQoSクラスの無線ベアラ間でそのアグリゲートされたセル容量の分割を制御することができるメカニズムを提供することである。
【0032】
<論理チャネル優先順位付け(LCP:Logical Channel Prioritization)手順>
アップリンクについて、UEが割り当てられた無線リソースを使用して送信するMAC PDUを作成するプロセスは完全に標準化され、これは最適でかつ異なるUE実装間で一貫した方途でUEが各構成された無線ベアラのQoSを充足することを保証するように構成される。PDCCHでシグナリングされるアップリンク送信リソースグラントメッセージに基づいて、UEは、新たなMACに含まれるべき各論理チャネルに対するデータ量を決定しなければならず、必要ならば、MAC制御要素のためにスペースも割り当てなければならない。
【0033】
複数の論理チャネルからのデータでMAC PDUを構築する際、最も単純かつ最も直観的な方法は絶対優先度ベースの方法であり、この方法ではMAC PDUスペースは論理チャネル優先度の降順に論理チャネルに割り当てられる。つまり、最高優先度の論理チャネルからのデータがMAC PDUで最初に扱われ、次の最高優先度の論理チャネルからのデータが後続し、MAC PDUスペースが尽きるまで続く。絶対優先度ベースの方法はUE実装の点で非常に単純であるとは言え、その方法は時には低優先度の論理チャネルからのデータの枯渇につながる。
【0034】
LTEでは、重要性の順にデータを送信するが、しかしより低い優先度を持つデータの枯渇を回避もするために、優先ビットレート(PBR:Prioritized Bit Rate)が各論理チャネルに対して規定される。PBRは、論理チャネルに対して保証される最小データレートである。たとえ論理チャネルが低優先度を有するとしても、PBRを保証するために、少なくとも小量のMAC PDUスペースが割り当てられる。したがって、PBRを使用することによって、枯渇の問題は回避されることができる。
【0035】
PBRを持つMAC PDUを構築することは、2つのラウンドから成る。第1のラウンドでは、各論理チャネルは論理チャネル優先度の降順に扱われるが、MAC PDUに含まれる各論理チャネルからのデータ量は、最初、論理チャネルの設定されたPBR値に対応する量に制限される。すべての論理チャネルがそれらのPBR値まで扱われた後、MAC PDUに残された余地があれば、第2のラウンドが行われる。第2のラウンドでは、各論理チャネルは優先度の降順に再び扱われる。第1のラウンドと比較した第2のラウンドについての大きな違いは、より高い優先度のすべての論理チャネルがもはや送信するデータを有しない場合だけ、より低い優先度の各論理チャネルがMAC PDUスペースを割り当てられることができることである。
【0036】
MAC PDUは、各設定された論理チャネルからのMAC SDUだけでなくMAC CE(制御要素)も含んでもよい。パディングBSR(バッファ状況報告)を除いて、MAC CEは、それがMACレイヤの動作を制御するので、論理チャネルからのMAC SDUより高い優先度を有する。したがって、MAC PDUが構成されるとき、MAC CEが存在すれば、それが含まれるべき最初のものであり、残りのスペースが論理チャネルからのMAC SDUのために使用される。次いで、追加のスペースが残され、それがBSRを含むのに十分大きければ、パディングBSRがトリガされてMAC PDUに含められる。
【0037】
アップリンクのための論理チャネル優先順位付けは、例えばwww.3gpp.orgで入手可能であり、かつ本明細書に援用される非特許文献2(最新バージョンv12.4.0)の5.4.3.1節に標準化される。
【0038】
論理チャネル優先順位付け(LCP:Logical Channel Prioritization)手順は、トランスポートブロックの新たな送信が行われるときに(すなわち同じデータの再送信時にではなく)適用される。
【0039】
RRCは、各論理チャネルに対するシグナリングによって、アップリンクデータのスケジューリングを制御する:
- 大きい優先度値ほど低い優先度レベルを示すpriority、
- 優先ビットレート(PBR:Prioritized Bit Rate)を設定するprioritisedBitRate、
- バケットサイズ継続時間(BSD:Bucket Size Duration)を設定するbucketSizeDuration。
【0040】
UEは、各論理チャネルjのための変数Bjを維持するものとする。Bjは、関連した論理チャネルが確立されるときにゼロに初期化され、各TTIごとに積PBR×TTI継続時間だけインクリメントされるものとし、ここでPBRは論理チャネルjの優先ビットレートである。しかしながら、Bjの値は決してバケットサイズを超えることができず、Bjの値が論理チャネルjのバケットサイズより大きければ、Bjの値はバケットサイズに設定されるものとする。論理チャネルのバケットサイズはPBR*BSDに等しく、ここでPBRおよびBSDは上位のレイヤによって設定される。
【0041】
UE(MACエンティティ)は、新たな送信が行われるときに以下の論理チャネル優先順位付け手順を行うものとする:
- UE(MACエンティティ)は、以下のステップで論理チャネルにリソースを割り当てるものとする:
-- ステップ1:Bj>0のすべての論理チャネルが優先度降順にリソースを割り当てられる。無線ベアラのPBRが「無限大」に設定されれば、UEは、より低い優先度無線ベアラのPBRを満たす前に、無線ベアラでの送信のために利用可能であるすべてのデータのためにリソースを割り当てるものとする。
-- ステップ2:UE(MACエンティティ)は、ステップ1で論理チャネルjに分配されるMAC SDUの総サイズだけBjをデクリメントするものとする。
注:Bjの値は負でありえる。
-- ステップ3:任意のリソースが残れば、どちらが先にせよその論理チャネルのためのデータかまたはULグラントかいずれかが尽きるまで、すべての論理チャネルが(Bjの値に関係なく)厳密な優先度降順に扱われる。等しい優先度が設定される論理チャネルは等しく扱われるべきである。
【0042】
- UE(MACエンティティ)は、以上のスケジューリング手順の間、以下の規則にも従うものとする:
-- UE(MACエンティティ)は、全体のSDU(または部分的に送信されるSDUもしくは再送信されるRLC PDU)が残りのリソースに収まれば、RLC SDU(または部分的に送信されるSDUもしくは再送信されるRLC PDU)をセグメント化するべきでない。
-- UE(MACエンティティ)が論理チャネルからのRLC SDUをセグメント化する場合、UEは、可能な限りグラントを満たすようにセグメントのサイズを最大化するものとする。
-- UE(MACエンティティ)はデータの送信を最大化するべきである。
-- UE(MACエンティティ)が、送信のために利用可能なデータを有しつつ、4バイト以上であるULグラントサイズを与えられれば、UE(MACエンティティ)は、パディングBSRおよび/またはパディングのみを送信することはしないものとする(ULグラントサイズが7バイト未満であり、かつAMD PDUセグメントが送信される必要がある場合を除く)。
【0043】
UEは、停止されている無線ベアラに対応する論理チャネルのためのデータを送信しないものとする(無線ベアラが停止されていると考えられるときの条件は、www.3gpp.orgで入手可能である非特許文献3に規定される)。
【0044】
論理チャネル優先順位付け手順に関して、UEは以下の相対的優先度を降順に考慮するものとする:
- C-RNTIに関するMAC制御要素またはUL-CCCHからのデータ;
- パディングのために含まれるBSRを除くBSRに関するMAC制御要素;
- PHRもしくは拡張PHRまたは二重接続PHRに関するMAC制御要素;
- UL-CCCHからのデータを除く、任意の論理チャネルからのデータ;
- パディングのために含まれるBSRに関するMAC制御要素。
【0045】
UEが1つのTTIに複数のMAC PDUを送信するように要求されるとき、ステップ1~3および関連する規則が各グラントに独立してか、またはグラントの容量の和にかいずれかで適用されてもよい。また、グラントが処理される順序は、UE実装次第である。UEが1つのTTIに複数のMAC PDUを送信するように要求されるとき、どのMAC PDUにMAC制御要素が含まれるか決定することはUE実装次第である。
【0046】
<バッファ状況報告>
スケジューリングの通例のモードは、ダウンリンク送信リソースの割当てのためのダウンリンク割当てメッセージおよびアップリンク送信リソースの割当てのためのアップリンクグラントメッセージを用いた、動的スケジューリングであり、これらのメッセージは通例、特定の単一のサブフレームに対して有効である。それらのメッセージは、UEのC-RNTIを使用してPDCCHで送信される。動的スケジューリングは、TCPなど、トラヒックのレートがバースト的かつ動的であるサービス種類に対して効率的である。
【0047】
動的スケジューリングに加えて、永続スケジューリング(persistent scheduling)が規定され、これは無線リソースが半静的に設定されて1つのサブフレームより長い時限の間UEに割り当てられることを可能にし、したがって各サブフレームに対するPDCCH上での特定のダウンリンク割当てメッセージまたはアップリンクグラントメッセージの必要性を回避する。永続スケジューリングは、データパケットのサイズが小さく、周期的でかつ半静的であるVoIPなどのサービスに対して有用である。したがって、PDCCHのオーバーヘッドは、動的スケジューリングの場合と比較して著しく低減される。
【0048】
eNodeBがアップリンクリソースを割り当てること、すなわちアップリンクスケジューリングを支援するために、UEからeNodeBへのバッファ状況報告(BSR:Buffer Status Reports)が使用される。ダウンリンクの場合に関して、eNBスケジューラは各UEに配信されるべきデータ量を明らかに認識しているが、しかしながら、アップリンク方向に関しては、スケジューリング決定がeNBで行われ、データのためのバッファがUEにあるので、UL-SCHを通じて送信される必要があるデータ量を示すために、UEからeNBにBSRが送信されなければならない。
【0049】
LTEのためのバッファ状況報告MAC制御要素は、長いBSR(LCG ID#0~3に対応する4つのバッファサイズフィールドを持つ)か、または、短いBSR(1つのLCG IDフィールドおよび1つの対応するバッファサイズフィールドを持つ)かいずれかから成る。バッファサイズフィールドは、論理チャネルグループのすべての論理チャネルに渡って利用可能な総データ量を示し、異なるバッファサイズレベルの指標として符合化されるバイト数で示される(www.3gpp.orgで入手可能であり、かつ参照により本明細書に援用される非特許文献2のバージョン12.4.0の6.1.3.1節も参照のこと)。
【0050】
短いまたは長いBSRいずれかのどちらのBSRがUEによって送信されるかは、トランスポートブロックでの利用可能な送信リソース、どれくらいの論理チャネルのグループが空でないバッファを有するか、および、特定のイベントがUEでトリガされるかどうか、に依存する。長いBSRが4つの論理チャネルグループのためのデータ量を報告する一方で、短いBSRは最高の論理チャネルグループのみのためにバッファされるデータ量を示す。
【0051】
論理チャネルグループ概念を導入する理由は、たとえUEが5つ以上の論理チャネルを設定されてもよいとしても、各個々の論理チャネルに対するバッファ状況を報告することが、あまりに多くのシグナリングオーバーヘッドを引き起こすだろうということである。したがって、eNBは各論理チャネルを論理チャネルグループに割り当て、好ましくは同じ/同様のQoS要件を持つ論理チャネルが同じ論理チャネルグループ内に割り当てられるべきである。
【0052】
送信失敗に対してロバストであるために、LTEにBSR再送信メカニズムが規定されており、アップリンクグラントが再開されるたびに再送信BSRタイマが始動または再始動され、再送信BSRタイマが満了する前にアップリンクグラントが受信されなければ、別のBSRがUEによってトリガされる。
【0053】
BSRは、以下のイベントなどについてトリガされる。
- バッファが空でない(すなわちバッファが先だってデータを含んだ)論理チャネルより高い優先度を有する論理チャネルに対してデータが到着するたびに、
- 送信のために利用可能なデータが先だってない(すなわちすべてのバッファが先だって空になる)ときに任意の論理チャネルのためにデータが利用可能になるたびに、
- 再送信BSRタイマが満了するたびに、
- 定期的なBSR報告が予定される、すなわちperiodicBSRタイマが満了するたびに、
- BSRを収容することができる予備のスペースがトランスポートブロックにあるたびに。
【0054】
BSRおよび特にそれをトリガすることに関するより詳細な情報が、www.3gpp.orgで入手可能であり、かつ参照により本明細書に援用される非特許文献2のバージョン12.4.0の5.4.5節に説明される。
【0055】
BSRがトリガされるときに、UEがトランスポートブロックにBSRを含むために割り当てられるアップリンクリソースを有しなければ、UEは、BSRを送信するアップリンクリソースを割り当てられるように、eNodeBにスケジューリング要求(SR:Scheduling Request)を送信する。単一ビットスケジューリング要求がPUCCHを通じて送信される(個別スケジューリング要求、D-SR:Dedicated Scheduling Request)か、またはランダムアクセス手順(RACH:Random Access Procedure)が行われるかいずれかで、BSRを送信するためのアップリンク無線リソースの割当てを要求する。
【0056】
<LTEデバイスツーデバイス(D2D:Device to Device)近接サービス(ProSe:Proximity Services)>
事業者およびユーザにとって関心があろう商用サービスおよび公安(Public Safety)に関連したサービスを含む領域で、近接ベースのアプリケーションが使用されてもよい。デバイスツーデバイス(D2D:Device to Device)通信は、任意の基地局を通るトラヒックのないユーザ端末間の直接通信を可能にするLTE-Rel.12のための技術要素である。デバイスツーデバイス(D2D:Device to Device)通信技術は、セルラネットワークに対するアンダーレイとしてのD2Dがスペクトル効率を上昇させるのを許容する。例えば、セルラネットワークがLTEであれば、すべてのデータ通知用物理チャネルはD2DシグナリングのためにSC-FDMAを使用する。
【0057】
<LTEでのD2D通信>
LTEでのD2D通信は2つの領域:発見および通信に重点を置いている。
ProSe(近接ベースのサービス)直接発見(Direct Discovery)は、ProSe対応UEによって、PC5インタフェースを介してE-UTRA直接無線信号を使用してその近接の他のProSe対応UEを発見するために使用される手順として規定される。
図6は、UE AとUE Bとの間のデバイスツーデバイス直接発見のためのPC5インタフェースを概略的に例示する。
図6は、物理レイヤ、L2無線プロトコル(MACであることができる)および「上位レイヤ」のProSeプロトコルを含むProSe直接発見のための無線プロトコルスタック(AS)も概略的に例示する。
【0058】
D2D通信では、UEは、基地局(BS:Base Station)を通しての代わりにセルラリソースを使用する直接リンクを通じて互いにデータ信号を送信する。D2Dユーザは、BS下で制御されたまま、すなわち少なくともeNBのカバレージにいるときに直接通信する。したがって、D2Dは、セルラリソースを再使用することによってシステム性能を向上させることができる。
【0059】
D2Dは、(FDDの場合)アップリンクLTEスペクトル、または、(カバレージ外の場合を除き、TDDの場合)カバレージを与えるセルのアップリンクサブフレームで動作することを前提とする。さらには、D2D送信/受信は所与のキャリアで全二重を使用しない。個々のUEの観点から、所与のキャリアで、D2D信号受信およびLTEアップリンク送信は全二重を使用しない、すなわちD2D信号受信およびLTE UL送信の同時は不可能である。
【0060】
D2D通信では、1つの特定のUE1が送信の役割を有するとき(送信ユーザ機器または送信端末)、UE1はデータを送信し、別のUE2(受信ユーザ機器)がそのデータを受信する。UE1およびUE2はそれらの送信および受信役割を交換することができる。UE1からの送信は、UE2のような1つまたは複数のUEによって受信されることができる。
【0061】
ユーザプレーンプロトコルに関して、以下にD2D通信の観点からの取り決めの一部を挙げる(参照により本明細書に援用される、www.3gpp.orgで入手可能な3GPP TR 36.843、current version 12.0.1、「Study on LTE device to device proximity services; Radio aspects」、Section 9.2.2も参照のこと)。
【0062】
PDCP:
- 1:M(1つのデバイスがM個のデバイスに送信し、Mが整数である)D2Dブロードキャスト通信データ(すなわちIPパケット)は、通常のユーザプレーンデータとして取り扱われるべきである。
- PDCPでのヘッダ圧縮/伸長は、1:MのD2Dブロードキャスト通信に適用可能である。
-- U―モードは、公安のためのD2Dブロードキャスト動作のためのPDCPでのヘッダ圧縮のために使用される。
【0063】
RLC:
- RLC UMは、1:M D2Dブロードキャスト通信のために使用される。
- セグメンテーションおよび再構築(Re-assmebly)は、RLC UMによってL2でサポートされる。
- 受信UEは、送信ピアUEごとに少なくとも1つのRLC UMエンティティを維持する必要がある。
- RLC UM受信側エンティティは、第1のRLC UMデータユニットの受信前に設定される必要はない。
- ここまで、ユーザプレーンデータ送信のためのD2D通信のためのRLC AMまたはRLC TMに対して必要が確認されていない。
【0064】
MAC:
- 1:M D2Dブロードキャスト通信に対して、HARQフィードバックは前提とされない。
- 受信UEは、受信側RLC UMエンティティを識別するためにソースIDを知る必要がある。
- MACヘッダは、MACレイヤでパケットをフィルタリングすることを許容するL2ターゲットIDを備える。
- L2ターゲットIDはブロードキャスト、グループキャストまたはユニキャストアドレスでもよい。
-- L2グループキャスト/ユニキャスト:MACヘッダで通知されるL2ターゲットIDは、受信RLC UM PDUをRLC受信側エンティティに送る前にさえそれを破棄することを許容するであろう。
-- L2ブロードキャスト:受信UEは、すべての送信機からのすべての受信RLC PDUを処理し、IPパケットを再構築して上位のレイヤに送ろうとするであろう。
- MACサブヘッダは、複数の論理チャネルを区別するLCIDを含む。
- 少なくとも多重化/逆多重化、優先度処理およびパディングはD2Dに対して有用である。
【0065】
<ProSe直接通信関連識別情報>
www.3gpp.orgで入手可能である非特許文献4の現行バージョン12.4.0が、ProSe直接通信のために使用する以下の識別情報を8.3節に規定する:
- SL-RNTI:ProSe直接通信スケジューリングのために使用される固有の識別;
- ソースレイヤ2ID:サイドリンクProSe直接通信でデータの送信側を識別する。ソースレイヤ2IDは長さ24ビットであり、受信側でのRLC UMエンティティおよびPDCPエンティティの識別のためのProSeレイヤ2宛先IDおよびLCIDと共に使用される;
- 宛先レイヤ2ID:サイドリンクProSe直接通信でデータのターゲットを識別する。宛先レイヤ2IDは長さ24ビットであり、MACレイヤで2つのビット列に分割される:
-- 1つのビット列は宛先レイヤ2IDのLSB部(8ビット)であり、サイドリンク制御レイヤ1IDとして物理レイヤに転送される。これはサイドリンク制御の意図されたデータのターゲットを識別し、物理レイヤでパケットのフィルタリングのために使用される。
-- 第2のビット列は宛先レイヤ2IDのMSB部(16ビット)であり、MACヘッダ内で通知される。これはMACレイヤでパケットのフィルタリングのために使用される。
【0066】
アクセス層シグナリングは、グループ形成のために、ならびにUEでソースレイヤ2ID、宛先レイヤ2IDおよびサイドリンク制御L1IDを設定するために必要とされない。これらの識別情報は上位レイヤによって提供されるか、または上位レイヤによって提供される識別情報から導出されるかいずれかである。グループキャストおよびブロードキャストの場合には、上位レイヤによって提供されるProSe UE IDはソースレイヤ2IDとして直接使用され、上位レイヤによって提供されるProSeレイヤ2グループIDはMACレイヤで宛先レイヤ2IDとして直接使用される。
【0067】
<近接サービスのための無線リソース割当て>
送信UEの観点から、近接サービス対応UE(ProSe対応UE)は、リソース割当てのための2つのモードで動作することができる。
【0068】
モード1はeNBスケジュールリソース割当てを指し、ここでUEがeNB(またはリリース10中継ノード)に送信リソースを要求し、eNodeB(またはリリース10中継ノード)は次いで直接データおよび直接制御情報を送信するためにUEによって使用される正確なリソースをスケジュールする(例えばスケジューリング割当て)。UEは、データを送信するためにRRC_CONNECTEDである必要がある。特に、UEはeNBにスケジューリング要求(D-SRまたはランダムアクセス)を送信し、通例のようにバッファ状況報告(BSR:Buffer Status Report)が後続する(以下の章「D2D通信のための送信手順」も参照のこと)。BSRに基づいて、eNBは、UEがProSe直接通信送信のためのデータを有すると判定することができ、送信のために必要とされるリソースを推定することができる。
【0069】
他方では、モード2はUE自律リソース選択を指し、ここでUEが、直接データおよびサイドリンク制御情報を送信するためにリソースプールからリソース(時間および周波数)を単独で選択する(すなわちSA)。1つのリソースプールが、例えばSIB18の内容によって、すなわちフィールドcommTxPoolNormalCommonによって規定され、この特定のリソースプールはセルでブロードキャストされ、次いでなおRRC_Idle状態のセルにおけるすべてのUEに共通に利用可能である。実際上、eNBは、上記プールの4つまでの異なるインスタンス、それぞれSAメッセージおよび直接データの送信のための4つのリソースプールを規定してもよい。しかしながら、たとえ列記がRelease12LTEのための複数のリソースプールを設定されたとしても、UEは列記に規定される第1のリソースプールを常に使用するものとする。規格の以後のバージョンは取扱いが異なってもよい。
【0070】
代替策として、別のリソースプールがeNBによって規定され、SIB18で、すなわちフィールドcommTxPoolExceptionalを使用することによってシグナリングされることができ、そのリソースプールは例外的な場合にUEによって使用されることができる。
【0071】
UEがどのリソース割当てモードを使用する予定かは、eNBによって設定可能である。さらには、UEがD2Dデータ通信のためにどのリソース割当てモードを使用する予定かは、また、RRC状態、すなわちRRC_IDLEまたはRRC_CONNECTED、およびUEのカバレージ状態、すなわちカバレージ内、カバレージ外に依存してもよい。UEは、それがサービングセルを有する(すなわちUEがRRC_CONNECTEDであるかまたはRRC_IDLEのセルにキャンプしている)とすれば、カバレージ内と考えられる。
- リソース割当てモードに関する以下の規則がUEに当てはまる:
- UEがカバレージ外であれば、UEはモード2を使用することができるのみである;
- UEがカバレージ内であれば、eNBがUEを相応に設定すれば、それはモード1を使用してもよい;
- UEがカバレージ内であれば、eNBがUEを相応に設定すれば、UEはモード2を使用してもよい。
【0072】
例外条件がないとき、UEは、そうするようにeNBによって設定される場合のみ、モード1からモード2にまたはその逆に変更してもよい。UEがカバレージ内であれば、例外的な場合の1つが発生しない限り、UEはeNB構成によって示されるモードのみを使用するものとする;
-- UEは、例えばT311またはT301が動作している間、UE自体を例外条件にあると考える;
-- 例外的な場合が発生すると、UEは、たとえUEがモード1を使用するように設定されたとしても、一時的にモード2を使用するようにされる。
E-UTRAセルのカバレージ範囲にある間、たとえULキャリアのリソースが、例えばUICC(ユニバーサル集積回路カード)に予め設定されているとしても、UEはそのセルによって割り当てられるリソースのみでのそのキャリアでProSe直接通信送信を行うものとする。
【0073】
RRC_IDLEのUEに対して、eNBは、以下のオプションの1つを選択してもよい:
- eNBは、SIBでモード2送信リソースプールを提供してもよい。ProSe直接通信に許可されているUEは、RRC_IDLEのProSe直接通信のためにこれらのリソースを使用する;
- eNBは、それがD2Dをサポートするが、しかしProSe直接通信のためのリソースは提供しないことをSIBで示してもよい。UEは、ProSe直接通信送信を行うためにRRC_CONNECTEDに入る必要がある。
【0074】
RRC_CONNECTEDのUEに対して:
- ProSe直接通信送信を行う許可を与えられているRRC_CONNECTEDのUEは、UEがProSe直接通信送信を行う必要があるときに、UEがProSe直接通信送信を行いたいことをeNBに示す;
- eNBは、MMEから受信されるUEコンテキストを使用して、RRC_CONNECTEDのUEがProSe直接通信送信に許可されているかどうかを確認する;
- eNBはRRC_CONNECTEDのUEに、UEがRRC_CONNECTEDである間、制約なく使用してもよいモード2リソース割当て送信リソースプールを個別シグナリングによって設定してもよい。代替的に、eNBはRRC_CONNECTEDのUEに、UEが例外的な場合にのみ使用し、そうでなければモード1に依存するようにされるモード2リソース割当て送信リソースプールを個別シグナリングによって設定してもよい。
【0075】
UEがカバレージ外であるときのスケジューリング割当てのためのリソースプールは、以下のように設定されることができる:
- 受信のために使用されるリソースプールが予め設定される。
- 送信のために使用されるリソースプールが予め設定される。
UEがカバレージ内であるときのスケジューリング割当てのためのリソースプールは、以下のように設定されることができる:
- 受信のために使用されるリソースプールが、個別またはブロードキャストシグナリングで、RRCを介してeNBによって設定される。
- モード2リソース割当てが使用されれば、送信のために使用されるリソースプールがRRCを介してeNBによって設定される。
- モード1リソース割当てが使用されれば、送信のために使用されるSAリソースプールはUEには知られない。
- モード1リソース割当てが使用されれば、eNBは、スケジューリング割当て送信のために使用する特定のリソースをスケジュールする。eNBによって割り当てられる特定のリソースは、UEに提供されるスケジューリング割当ての受信のためのリソースプール内にある。
【0076】
図7は、オーバーレイ(LTE)およびアンダーレイ(D2D)システムのための送信/受信リソースの使用を例示する。
【0077】
基本的に、eNodeBは、UEがモード1またはモード2送信を適用してもよいかどうかを制御する。一旦UEが、それがD2D通信を送信(または受信)することができるそのリソースを知ると、UEは対応する送信/受信のための対応するリソースのみを使用する。例えば、
図7で、D2Dサブフレームは、D2D信号を受信または送信するためにのみ使用されることになる。D2DデバイスとしてのUEは半二重モードで動作するであろうから、UEは任意の時点でD2D信号を受信かまたは送信かいずれかすることができる。同様に、
図7に例示するその他のサブフレームは、LTE(オーバーレイ)送信および/または受信のために使用することができる。
【0078】
<D2D通信のための送信手順>
D2Dデータ送信手順は、リソース割当てモードに応じて異なる。モード1について上記したように、eNBは、UEからの対応する要求後、スケジューリング割当ておよびD2Dデータ通信のためのリソースを明示的にスケジュールする。特に、UEは、D2D通信が通常許容されるが、しかしモード2リソース(すなわちリソースプール)は提供されないことをeNBによって通知されてもよく;これは、例えばUEによるD2D通信関心インジケーションおよび対応する応答(D2D通信応答)の交換で行われてもよく、ここで、上述した対応する例示的なProseCommConfig情報要素はcommTxPoolNormalCommonを含まないであろうから、送信を伴う直接通信を開始したいUEがE-UTRANに各個々の送信のためのリソースを割り当てるように要求しなければならないことを意味する。したがって、そのような場合に、UEは各個々の送信のためのリソースを要求しなければならず、以下に要求/グラント手順の異なるステップがこのモード1リソース割当てに関して例示的に列記される:
- ステップ1:UEがPUCCHを介してeNBにSR(スケジューリング要求)を送信する;
- ステップ2:eNBがPDCCHを介して(UEがBSRを送信するための)ULリソースを、C-RNTIによってスクランブルして許可する;
- ステップ3:UEがPUSCHを介してバッファ状況を示すD2D BSRを送信する;
- ステップ4:eNBがPDCCHを介して(UEがデータを送信するための)D2Dリソースを、D2D-RNTIによってスクランブルして許可する。
- ステップ5:D2D Tx UEがステップ4で受信したグラントに従ってSA/D2Dデータを送信する。
【0079】
スケジューリング割当て(SA:Scheduling Assignment)は、制御情報、例えば対応するD2Dデータ送信のための時間/周波数リソースへのポインタを含むコンパクトな(低ペイロード)メッセージである。SAの内容は基本的に、上記ステップ4で受信したグラントに従う。D2DグラントおよびSA内容の正確な詳細は今なお確定されていないが、しかしSA内容に対する作業前提として、以下の取り決めが達せられた:
- 周波数リソースは、Rel-8ULタイプ0リソース割当て(システムBWに応じて5~13ビット)によって示される。
- 1ビット周波数ホッピングインジケータ(Rel-8の通り)
-- モード2で設定されたリソースプール外のPRBをホッピングが使用しないように、インデクシングのなんらかの再解釈が規定されるべきであることに留意されたい。
- 単一クラスタリソース割当てのみが有効である。
-- このことは、周波数領域でリソースプールにギャップがあれば、リソース割当てはギャップをまたがないものとすることを暗示する。
- SAにはRVインジケータがない。
- データに対するRVパターン:{0,2,3,1}
【0080】
他方では、モード2リソース割当てに関して、上記ステップ1~4は基本的に必要でなく、UEは、eNBによって設定および提供される送信リソースプールからSAおよびD2Dデータ送信のためのリソースを自律的に選択する。
【0081】
図8は、2つのUE(UE-AおよびUE-B)に対するスケジューリング割当ておよびD2Dデータの送信を例示的に示し、ここでスケジューリング割当てを送信するためのリソースは周期的であり、D2Dデータ送信のために使用されるリソースは対応するスケジューリング割当てによって示される。
【0082】
図9は、SC期間(サイドリンク制御期間)としても知られている1つのSA/データ期間のモード2、自律スケジューリングのD2D通信タイミングを例示する。
【0083】
図10は、1つのSA/データ期間のモード1、eNBスケジュール割当てのD2D通信タイミングを例示する。SC期間は、スケジューリング割当ておよびそれらの対応するデータの送信から成る期間である。
図9から分かるように、UEはSAオフセット時間後に、モード2のスケジューリング割当てのための送信プールリソース(SA_Mode2_Tx_pool)を使用して、スケジューリング割当てを送信する。SAの1回目の送信の後に、例えば同じSAメッセージの3回の再送信が続く。次いで、UEは、SAリソースプールの第1のサブフレーム(SA_offsetによって与えられる)後いくらかの設定したオフセット(Mode2data_offset)で、D2Dデータ送信、より詳しくはT-RPTビットマップ/パターンを開始する。MAC PDUの1つのD2Dデータ送信は、その1回目の送信および数回の再送信から成る。
図9の(および
図10の)例について、3回の再送信が行われる(すなわち同じMAC PDUの2回目、3回目および4回目の送信)ことを前提とする。Mode2T-RPTビットマップ(送信(T-RPT)の時間リソースパターン)は基本的に、MAC PDU送信(1回目の送信)およびその再送信(2回目、3回目および4回目の送信)のタイミングを規定する。
【0084】
1つのSA/データ期間の間、UEは、1つのProSe宛先グループのみにではあるが、複数のトランスポートブロックを(サブフレーム(TTI)ごとに1つのみ、すなわち順々に)送信することができる。また、1つのトランスポートブロックの再送信は、次のトランスポートブロックの第1の送信が開始する前に終わらなければならず、すなわち1つのHARQプロセスのみが複数のトランスポートブロックの送信のために使用される。
【0085】
図10から明らかなように、eNBスケジュールリソース割当てモード(モード1)に関して、D2Dデータ送信、より詳しくはT-RPTパターン/ビットマップは、SAリソースプールでの最後のSA送信繰り返し後、次のULサブフレームで開始する。
図9に関して既に説明したように、Mode1T-RPTビットマップ(送信(T-RPT)の時間リソースパターン)は基本的に、MAC PDU送信(1回目の送信)およびその再送信(2回目、3回目および4回目の送信)のタイミングを規定する。
【0086】
<ProSeネットワークアーキテクチャおよびProSeエンティティ>
図11は、それぞれのUE AおよびBにおける異なるProSeアプリケーションの他に、ネットワークにおけるProSeアプリケーションサーバおよびProSe機能を含む、非ローミングケースについての高レベルの例示的なアーキテクチャを例示する。
図11のアーキテクチャ例は、www.3gpp.orgで入手可能であり、かつ参照により本明細書に援用される非特許文献5のバージョン12.3.0の「Architectural Reference Model」というタイトルの4.2節から取られている。
【0087】
機能エンティティは、参照により本明細書に援用される、上記引用した非特許文献5の「Functional Entities」というタイトルの4.4節に詳細に提示および説明されている。ProSe機能は、ProSeのために必要とされるネットワーク関連行動のために使用される論理機能であり、ProSeの特徴の各々のための異なる役割を果たす。ProSe機能は3GPPのEPCの一部であり、近接サービスに関連した、許可、認証、データ操作などのようなすべての関連するネットワークサービスを提供する。ProSe直接発見および通信に関して、UEは、PC3基準点を通じてProSe機能から、特定のProSe UE識別情報、他の構成情報の他に許可を得てもよい。ネットワークには複数のProSe機能を展開することができるが、例解の容易さのために、単一のProSe機能を提示する。ProSe機能は、ProSe特徴に応じて異なる役割を行う3つの主な副機能:直接供給機能(DPF:Direct Provision Function)、直接発見名管理機能およびEPCレベル発見機能から成る。DPFは、ProSe直接発見およびProSe直接通信を使用するために、UEに必要なパラメータを供給するために使用される。
【0088】
上記関連で使用される用語「UE」は、以下などのProSe機能性をサポートするProSe対応UEを指す:
- PC3基準点を通じるProSe対応UEとProSe機能との間のProSe制御情報の交換。
- PC5基準点を通じる他のProSe対応UEの公開ProSe直接発見のための手順。
- PC5基準点を通じる一対多ProSe直接通信のための手順。
- ProSe UE対ネットワークリレーとして作用する手順。リモートUEは、PC5基準点を通じてProSe UE対ネットワークリレーと通信する。ProSe UE対ネットワークリレーはレイヤ3パケット転送を使用する。
- 例えばUE対ネットワークリレー検出およびProSe直接発見のための、PC5基準点を通じるProSe UE間の制御情報の交換。
- PC3基準点を通じる別のProSe対応UEとProSe機能との間のProSe制御情報の交換。ProSe UE対ネットワークリレーの場合には、リモートUEはPC5ユーザプレーンを通じてこの制御情報を送信し、ProSe機能に向けてLTE-Uuインタフェースを通じて中継されることになる。
- パラメータ(例えば、IPアドレス、ProSeレイヤ2グループID、グループセキュリティ事柄、無線リソースパラメータを含む)の構成。これらのパラメータは、UEに予め設定されるか、またはカバレージ内であれば、ネットワークにおけるProSe機能にPC3基準点を通じてシグナリングによって供給されることができる。
【0089】
ProSeアプリケーションサーバは、EPC ProSeユーザIDおよびProSe機能IDの記憶、ならびにアプリケーションレイヤユーザIDおよびEPC ProSeユーザIDのマッピングをサポートする。ProSeアプリケーションサーバ(AS:Application Server)は3GPPの範囲外のエンティティである。UEにおけるProSeアプリケーションは、アプリケーションレイヤ基準点PC1を介してProSe ASと通信する。ProSe ASはPC2基準点を介して3GPPネットワークに接続される。
【0090】
<D2DのためのUEカバレージ状態>
既に前述したように、D2D通信のためのリソース割当て方法は、RRC状態、すなわちRRC_IDLEおよびRRC_CONNECTEDとは別に、UEのカバレージ状態、すなわちカバレージ内、カバレージ外にも依存する。UEは、それがサービングセルを有する(すなわちUEがRRC_CONNECTEDであるかまたはRRC_IDLEのセルにキャンプしている)とすれば、カバレージ内と考えられる。
【0091】
ここまで述べた2つのカバレージ状態、すなわちカバレージ内(IC:in-coverage)およびカバレージ外(OOC:out-of-coverage)は、D2Dに関して下位状態にさらに区別される。
図12は、D2D UEが関連づけられることができる4つの異なる状態を示し、それらは以下の通りに要約されることができる:
- 状態1:UE1はアップリンクおよびダウンリンクカバレージを有する。この状態では、ネットワークは各D2D通信セッションを制御する。さらには、ネットワークは、UE1がリソース割当てモード1かまたはモード2かどちらを使用するべきかを設定する。
- 状態2:UE2はアップリンクを除いたダウンリンクカバレージ、すなわちDLカバレージのみを有する。ネットワークは(競合ベースの)リソースプールをブロードキャストする。この状態では、送信UEは、ネットワークによって設定されるリソースプールからSAおよびデータのために使用されるリソースを選択するが、リソース割当ては、そのような状態のD2D通信のためのモード2に従って可能であるのみである。
- 状態3:UE3はアップリンクおよびダウンリンクカバレージを有しないので、UE3は厳密に言えば、既にカバレージ外(OOC:out-of-coverage)として考えられる。しかしながら、UE3は、それら自体(例えばUE1)セルのカバレージ内であるいくつかのUEのカバレージ内であり、すなわちそれらのUEはCP中継UEとも称されることができる。したがって、
図12における状態3UEの領域は、CP UE中継カバレージ範囲として示されることができる。この状態3のUEはOOC状態3UEとも称される。この状態では、UEは、eNB(SIB)によって送信され、セルのカバレージ内のCP UE中継UEによってPD2DSCHを介してOOC状態3UEに転送されるなんらかのセル固有情報を受信する。(競合ベースの)ネットワーク制御リソースプールがPD2DSCHによってシグナリングされる。
- 状態4:UE4はカバレージ外であり、セルのカバレージ内である他のUEからPD2DSCHを受信しない。状態4OOCとも称されるこの状態では、送信UEは、リソースの予め設定されたプールからデータ送信のために使用されるリソースを選択する。
【0092】
状態3OOCと状態4OOCとの間で区別する理由は、主にカバレージ外デバイスからのD2D送信とレガシーE-UTRA送信との間の潜在的に強い干渉を回避するためである。概して、D2D可能UEは、カバレージ外の間に使用するためにD2D SAおよびデータの送信のためのリソースプールを予め設定しているだろう。これらのカバレージ外UEがセル境界付近でこれらの予め設定されたリソースプールで送信する場合、D2D送信とカバレージ内レガシー送信との間の干渉がセル内の通信に悪影響を及ぼすはずである。カバレージ内のD2D対応UEがセル境界付近でそれらのカバレージ外デバイスにD2Dリソースプール設定を転送するとすれば、カバレージ外UEはeNode Bによって特定されるリソースにそれらカバレージ外UEの送信を限定し、したがってカバレージ内のレガシー送信との干渉を最小化することができるだろう。したがって、RAN1は、カバレージ内UEがカバレージ範囲すぐ外のそれらのデバイス(状態3UE)にリソースプール情報および他のD2D関連設定を転送するメカニズムを導入した。
【0093】
物理D2D同期チャネル(PD2DSCH:Physical D2D synchronization channel)を使用してネットワーク近接のUEにカバレージ内D2Dリソースプールについてのこの情報を通知し、その結果ネットワーク近接内のリソースプールは同調される。PD2DSCHの詳細な内容は今なお完成されていない。
【0094】
<D2D(サイドリンク)論理チャネルのためのLCP手順>
D2DのためのLCP手順は、「通常の」LTEデータのための以上提示したLCP手順とは異なることになる。以下の情報は、ProSeおよびその機能性の導入に向けられる、非特許文献2のバージョン12.3.0に対するR2-145435(変更要求0744)から取られており、その書類は参照によりその全体が本明細書に援用される。
論理チャネル優先順位付け手順は新たな送信が行われるときに適用される。
【0095】
UEは、新たな送信が行われるときに以下の論理チャネル優先順位付け手順を行うものとする。UEは、以下の規則に従ってサイドリンク論理チャネルにリソースを割り当てるものとする:
- UEは、全体のSDU(または部分的に送信されるSDU)が残りのリソースに収まれば、RLC SDU(または部分的に送信されるSDU)をセグメント化するべきでない;
- UEがサイドリンク論理チャネルからのRLC SDUをセグメント化する場合、UEは、可能な限りグラントを満たすようにセグメントのサイズを最大化するものとする;
- UEはデータの送信を最大化するべきである。
- UEが、送信のために利用可能なデータを有しつつ、10バイト以上であるサイドリンクグラントサイズを与えられれば、UEは、パディングのみを送信することはしないものとする。
【0096】
注:上記規則は、サイドリンク論理チャネルが扱われる順序はUE実装次第であることを暗示する。概して、1つのPDUのために、MACは同じソースレイヤ2ID-宛先レイヤ2ID対を持つ論理チャネルのみを考えるものとし、すなわち1つのPDUのために、UEにおけるMACエンティティは同じProSe宛先グループの論理チャネルのみを考えるものとする。さらには、Rel-12では、1つのSA/データ期間の間、D2D送信UEは1つのProSe宛先グループにデータを送信することができるのみである。
【0097】
すべてのD2D(サイドリンク)論理チャネル、例えばSTCH(サイドリンクトラヒックチャネル)は、LCGIDが「11」に設定される同じ論理チャネルグループ(LCG:Logical Channel Group)に割り当てられる。Rel-12では、D2D(サイドリンク)論理チャネル/グループのための優先順位付けメカニズムはない。本質的に、すべてのサイドリンク論理チャネルはUEの観点から同じ優先度を有し、すなわちサイドリンク論理チャネルが扱われる順序はUE実装次第である。
【0098】
<ProSeのためのバッファ状況報告>
(D2D)サイドリンクバッファ状況報告手順は、サービングeNBにUEのサイドリンクバッファで送信のために利用可能なサイドリンクデータ量についての情報を提供するために使用される。RRCは、2つのタイマPeriodic-ProseBSR-TimerおよびRetxProseBSR-Timerを設定することによってサイドリンクBSR報告を制御する。各サイドリンク論理チャネル(STCH)は、LCGIDが「11」に設定されるLCGに割り当てられ、ProSe宛先グループに帰属する。
【0099】
サイドリンクバッファ状況報告(BSR:Buffer Status Report)は、非特許文献2のバージョン12.5.0の5.14.1.4節に挙げられるように、なんらかの特定のイベントが発生する場合にトリガされるものとする。非特許文献2のバージョン12.5.0の6.1.3.1.a節は、ProSe BSR MAC制御要素およびそれらの対応する内容を以下の通りに特定する。
【0100】
ProSeバッファ状況報告(BSR:Buffer Status Report)MAC制御要素は、報告されるD2D宛先グループごとに1つのグループインデックスフィールド、1つのLCG IDフィールドおよび1つの対応するバッファサイズフィールドから成る。より詳細には、各含まれるProSe宛先グループに対して、以下のフィールドが規定される:
- グループインデックス:グループインデックスフィールドはProSe宛先グループを識別する。このフィールドの長さは4ビットである。値は、ProseDestinationInfoListで報告される宛先識別情報のインデックスに設定される;
- LCG ID:論理チャネルグループIDフィールドは、バッファ状況が報告されている論理チャネルのグループを識別する。フィールドの長さは2ビットであり、それは「11」に設定される;
- バッファサイズ:バッファサイズフィールドは、TTIに対するすべてのMAC PDUが構築された後にProSe宛先グループのすべての論理チャネルに渡って利用可能な総データ量を識別する。データ量は、バイト数で示される。
- R:予約ビット、「0」に設定される。
図13は、以上引用した非特許文献2のバージョン12.5.0から取られる、N(ProSe宛先グループの数)にも対するProSe BSR MAC制御要素を示す。
【0101】
<ミッションクリティカルプッシュツートーク>
近年、ミッションクリティカルプッシュツートーク(MCPTT:Mission Critical Push To Talk)サービスと呼ばれるサービスが3GPPで検討されており、それはwww.3gpp.orgで入手可能である非特許文献6にも取り込まれている。プッシュツートーク(PTT:Push To Talk)サービスは、2人以上のユーザが通信に係わってもよい調停された方法を提供する。ユーザは、(例えば、伝統的にボタンの押下によって)送信する許可を要求してもよい。LTEを通じたミッションクリティカルプッシュツートークサービスは、3GPP進化型パケットシステム(EPS:Evolved Packet System)サービスに基づいて、ミッションクリティカルシナリオに適する拡張PTTサービスをサポートする。ここで規定されるMCPTTサービスの要件は、非ミッションクリティカルプッシュツートーク(PTT:Push To Talk)サービスのための基盤を形成することもできる。MCPTTサービスは数人のユーザ間の通信(グループコール(group call))をサポートするものと意図され、ここで各ユーザは調停された方式でトークする許可にアクセスする能力を有する。しかしながら、MCPTTサービスはペアのユーザ間のプライベートコール(private call)もサポートする。MCPTTサービスは、ユーザ間の実際の通信経路を確立、維持、および終了するために、EPSアーキテクチャによって提供される現存の3GPPトランスポート通信メカニズムを基にしている。
【0102】
MCPTTサービスはサービスイネーブラ:GCSE_LTEおよびProSeをも基にしている。実行可能な範囲では、MCPTTサービスがEPCネットワークのカバレージ下で使用されるかまたはネットワークカバレージのないProSeに基づけば、エンドユーザの経験はとにかく同様であることが予期される。この意図を明らかにするために、要件は適用性に従って、オンネットワーク使用、オフネットワーク使用または両方にグループ化される。MCPTTサービスは、ユーザがトークする(声/音声を送信する)許可を要求するのを許容し、競合する要求間を調停する決定論的メカニズム(すなわち、フロア制御)を提供する。複数の要求が発生するとき、どのユーザの要求が受諾されて、どのユーザの要求が拒否または待機されるかの決定は、いくつかの特性(競合するユーザのそれぞれの優先度を含む)に基づく。MCPTTサービスは、優先度がより高い(例えば、緊急条件)ユーザが現行のトーカに優先する(割り込む)手段を提供する。MCPTTサービスは、ユーザがトークする(フロアを保持する)時間を制限し、したがって同じまたはより低い優先度のユーザにフロアを得る機会を許可するメカニズムもサポートする。
【0103】
MCPTTサービスは、ユーザがいくつかの別々のコールの活動性を監視する手段を提供し、ユーザが選択したコールに焦点を切り替えることを可能にする。MCPTTサービスユーザは、既に確立されたMCPTTグループコールに加わってもよい(遅れコールエントリ)。加えて、MCPTTサービスは、現行の話者のユーザIDおよびユーザの位置決定特徴を提供する。MCPTTサービスのユーザは、商用PTTサービスのユーザより厳しい性能の期待値を抱いてもよい。
【0104】
MCPTTサービスはグループコールおよびプライベートコール能力を提供し、この能力はそれらと関連づけられる様々なプロセスフロー、状態および許可を有する。
図15、
図16および
図17は、グループコールおよびプライベートコールと関連づけられる高レベルフロー、状態および許可を示す。図はオンネットワークの場合およびオフネットワークの場合に当てはまり、ユーザ観点から、サービスおよび概念はオンネットワークおよびオフネットワークで同様に見えるべきである。技術的観点からは、オンネットワーク状態とオフネットワーク状態との間に差異があるだろう(例えば、オフネットワークでは、加入するにはユーザが加入するアプリケーションサーバを通知することを必要とはしないだろうし、オフネットワーク能力がオンネットワーク能力に匹敵することができる程度に応じて、詳細には他の差異もあるだろう)。
【0105】
MCPTTユーザがMCPTTグループと通信したければ、MCPTTユーザはMCPTTグループにアクセスする(すなわち、MCPTTグループメンバである)のを許容されなければならず、MCPTTユーザは次いで加入しなければならず、それからMCPTTグループを自分の選択MCPTTグループとして有することができる。MCPTTユーザがグループに加入しているだけであれば、これはMCPTTユーザがグループから受信することができるということであり、しかしながらMCPTTユーザが選択MCPTTグループを有すれば、これはMCPTTユーザが送信するためのグループである。状態の差異は、MCPTTユーザが複数のMCPTTグループから受信するが、しかしMCPTTユーザがどのMCPTTグループに送信することを望むかを特定することを可能にする。
【0106】
特に、
図15、
図16および
図17は、特定のMCPTTグループに関して受信および送信の両方を許容したユーザ、送信するのだけを許容されるユーザ、および受信するのだけを許容されるユーザに対するそれぞれのMCPTTユーザ状態図を示す。本論考の状態では、この図は単に例解的な目的を果たし、要件に取って代わるものではない。その図は網羅的でなく、すべての異なるシナリオを含むわけでもない。
【0107】
MCPTTユーザが1つまたは複数のMCPTTグループに加入することが可能である。通常、運用中に、MCPTTユーザは、自分がどのMCPTTグループに加入することを望むかをMCPTTサービスに通知する。これらの加入は、MCPTTユーザがそれらを削除、またはそれらを変更、またはサービスからサインアウトするまで効力があるままである。一部のMCPTTユーザはあるMCPTTグループへの永久加入を有し、それらの加入は、ネットワークで操作するときに黙示的に(すなわち、自動的に)設定される。それらのユーザに対して、MCPTTグループ加入は、MCPTTサービスがユーザに首尾よくサインインするときに開始し、MCPTTサービスからサインアウトするMCPTTユーザの明示のまたは黙示の(例えば、不活動またはすべてのそのデバイスの電源遮断のため)要求が肯定応答されるときに終了する。
【0108】
PTT要求が許可されるたびに、ユーザはMCPTT送信または「トークバースト」を開始することができる。MCPTTグループコールは1つまたは複数のMCPTT送信から成る。同じまたは異なるユーザからの2つの連続する送信が同じコールの一部であるか、または2番目の送信が新たなコールを開始するかどうかは、連続するMCPTT送信間の不活動期間の設定可能な最大長さに依存する。この不活動期間は、直前の送信の終了時に開始するハングタイムとしてみなすことができる。このタイマが動作している間、コールと関連づけられたリソースはコールに割り当てられたままであり(プリエンプションの場合は除く)、これはこのグループか、コールに関与していないグループかに対する将来のフロア要求の待ち時間を削減するはずである。不活動期間の間に新たな送信が開始すると、タイマは停止、リセット、およびその送信の終了時に再び再始動される。
【0109】
MCPTTサービスは、ブロードキャストグループコール、緊急グループコールおよび切迫危機グループコールを含むいくつかの「特別な」グループコールを認識する。
【0110】
<MCPTT優先度モデル>
多くのLTE非公安ユーザが今日、1つの特定のサービスの優先度およびQoSレベル(例えば、「金(gold)」、「銀(silver)」または「銅(bronze)」)に登録しており、これは常に固定した区別を提供する。このモデルは、非公安ユーザにとっては効果的で、比較的簡単であるが、公安アプリケーションの必要性となると不十分である。
【0111】
MCPTT優先度およびQoSは状況による。公安ユーザは彼らの優先度を決定する有意な動的動作条件を有するので、MCPTTサービスはMCPTTコールに対するリアルタイム優先度およびQoS経験を提供するものと意図される。例えば、応答者が応対している出来事の種類または応答者の全体のシフト役割は、LTEシステムからリソースを得るユーザの能力に強く影響する必要がある。
【0112】
MCPTTコールのオンネットワーク使用のためのMCPTT優先度処理が、
図18に図示するように概念的にモデル化される。概念モデルは、コール間およびコール内の優先順位付け、システム間優先順位付け、およびトランスポートレイヤ(EPSおよびUE)での優先順位付けの3つの優先順位付けの領域を識別する。アプリケーションレイヤでは、一般的なネットワーク側の機能エンティティ「MCPTT優先度およびQoS制御」は、各静的な要求について、MCPTTに関与するユーザおよびグループについての予め設定された情報の他に、それらについての動的(または状況による)情報を処理する。この処理の結果に基づいて、「MCPTT優先度およびQoS制御」は他の機能エンティティ、システムまたはレイヤに情報を提供し、かつそれらとの相互作用を示して、可能な範囲で、経験の質の観点から、コールおよび送信が確立されたポリシー規則に従って適切に取り扱われることを保証する。
【0113】
図18では、ユーザ静的属性は、おそらくいくつかの判定基準(例えば、第1の応答者、第2の応答者、監督者、発送者、管理者)の他に、司法権利上の境界およびおそらく予め設定されるシステム全体に渡る個々の優先度レベルによってユーザを分類する情報を含む。
【0114】
グループ静的属性は、グループおよび所有組織の性質/種類、グループ内の送信者および受信者のための司法権利上の境界、グループに対する通常の運用時間、他のグループに対するプリエンプション傾向、ならびにグループのデフォルト最小優先度についての情報を含む。
【0115】
ユーザ動的属性は、ユーザ/参加者の操作状況(例えば、勤務中/外)、ユーザの位置、ユーザが関与するかもしれない出来事の種類(例えば、MCPTT緊急または切迫危機)、ならびにユーザが惹起したか否かを問わず、ユーザが公式に管理される出来事に個別に関与しているか否か、および肯定ならば、出来事範囲の境界、出来事重大度および出来事の解決でのユーザの割り当てられた役割を含む。
【0116】
グループ動的属性は、もしあれば、グループが現在処理している出来事の種類(例えば、MCPTT緊急または切迫危機)、ならびに公式に管理される出来事への関与の場合には、出来事範囲の境界および出来事重大度を含む。
図19に示すように、各特定のベアラに対する上位レイヤは、リアルタイム属性(ユーザ静的属性、グループ静的属性、ユーザ動的属性、グループ動的属性)に基づいて、MACレイヤに優先度値を提供する。
【0117】
MACレイヤは、少なくとも2つの可能な方途でこの値をさらに使用してもよい:
A)LCPメカニズムの一部として、すなわち論理チャネルおよび/または宛先グループ優先度と共に
B)通り/止まり決定をするために独立して(LCP前に/後に):この場合、論理チャネル優先順位付けは、論理チャネルが(どのグループで)どれくらいのデータに割り当てられるかを決定するものであり、MCPTT優先度はフロア調停に反映するのみである。
現在、UEで論理チャネルを優先順位付けするための特定の手順は規定されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0118】
【文献】3GPP TS 36.211、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical Channels and Modulation (Release 8)」
【文献】3GPP TS 36.321、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Medium Access Control (MAC) protocol specification」
【文献】3GPP TS 36.331、12.5.0、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Radio Resource Control (RRC); Protocol specification」
【文献】3GPP TS 36.300、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN); Overall description; Stage 2」
【文献】3GPP TS 23.303、「Proximity-based services (ProSe); Stage 2」
【文献】3GPP TS 22.179、v.13.1.0、「Mission Critical Push to Talk (MCPTT) over LTE; Stage 1」
【発明の概要】
【0119】
1つの非限定的かつ例示的な実施形態が、近接サービスのためにユーザ機器で論理チャネル優先順位付け手順を行うときに、論理チャネルに無線リソースを割り当てるための改善された方法を提供する。
【0120】
独立請求項が非限定的かつ例示的な実施形態を提供する。有利な実施形態は従属請求項に従う。
【0121】
第1の態様によれば、本発明は、ユーザ機器が、利用可能なProSeデータを持つ異なる論理チャネルに利用可能な無線リソース(例えばeNBのグラントによって割り当てられるかまたはリソースプールからUE自体によって選択される)を割り当てる論理チャネル優先順位付け(LCP)手順を向上させる。上記目的で、異なるProSe論理チャネル間でリソース割当てを管理するためのLCP手順のために、優先順位付けメカニズムが導入される。優先順位付けメカニズムは大抵、それがあたかもLCP手順の一部であるかのように記載されるが、このことは必ずしも事実であるわけではなく、優先順位付けメカニズムは代替的に、LCP手順に対して外部的であると考えられてもよい。
【0122】
背景で論じたように、異なるProSe宛先グループが規定される。第1の態様によれば、複数のProSe宛先グループの各々は、例示的にProSe宛先グループ優先度と名付けられる複数の異なる優先度からの1つを割り当てられる。異なるProSe宛先グループは、ネットワークにおける対応するProSe機能/エンティティによって設定および管理される。1つの変形によれば、異なるProSe宛先グループ優先度は、上記のまたは別のProSeエンティティによってネットワークに同様に設定および管理されることができる。上記の場合、利用可能なProSe宛先グループに関する情報およびそれらの対応する優先度レベルはUEに送信されるものとする。他方では、ProSe宛先グループに関するこの情報およびそれらの対応する優先度レベルは、eNBが上記ユーザ機器のための無線リソースのeNBによるスケジューリングを向上させるのを許容するように、eNBに送信されることもできる。なお別の変形によれば、ProSe宛先グループおよびそれらのProSe宛先グループ優先度もUE(および無線基地局)に予め設定されることができ、そのためネットワークを通じた情報の交換は必要ではない。
【0123】
前述したように、異なるProSe論理チャネルがProSe直接通信のためにユーザ機器に設定され、複数のProSe宛先グループからの1つとも追加的に関連づけられる。ProSeデータが送信されるべきである、すなわちProSeデータがProSe論理チャネルに対する送信のために利用可能になるとき、UEはその設定に応じて、eNBスケジュールリソース割当てモード(モード1とも称される)かまたはUE自律リソース選択モード(モード2とも称される)かいずれかでProSe直接通信を行うことができる。いずれの方途でも、UEは、LCP手順を行うことによって異なるProSe論理チャネル(例えばSTCH)間でProSe送信のために利用可能な無線リソース(eNBスケジュールリソースであろうとリソースプールからのリソースであろうと)を割り当てる必要がある。
【0124】
第1の態様の改善されたLCP手順はProSe論理チャネルの優先度を考慮する。特に、複数の宛先グループを特定するサイドリンク設定が記憶され、各宛先グループは、サイドリンクデータのための可能な宛先を含む、記憶装置であって、サイドリンク宛先グループのために設定される論理チャネルからの各論理チャネルに対する論理チャネル優先度を記憶する、記憶装置と、送信のために利用可能なデータを有するサイドリンク論理チャネルの中で最高論理チャネル優先度を持つ、送信のために利用可能なサイドリンクデータを有するサイドリンク論理チャネルを持つサイドリンク宛先グループを選択し、選択したサイドリンク宛先グループに帰属するサイドリンク論理チャネルに優先度降順に無線リソースを割り当てるように構成されるスケジューリング部と、を備える、ユーザ機器間の直接通信をサポートする無線通信システムにおいて動作可能なユーザ機器が提供される。
【0125】
さらには、ユーザ機器間の直接通信をサポートする無線通信システムにおいて動作可能なネットワークノードが提供され、ネットワークノードは、複数の宛先グループを特定するサイドリンク設定がユーザ機器ごとに記憶され、各宛先グループは、サイドリンクデータのための可能な宛先を含む、記憶装置であって、サイドリンク宛先グループのために設定される論理チャネルからの各論理チャネルに対する論理チャネル優先度を記憶する、記憶装置と、送信のために利用可能なデータを有するサイドリンク論理チャネルの中で最高論理チャネル優先度を持つ、送信のために利用可能なサイドリンクデータを有するサイドリンク論理チャネルを持つサイドリンク宛先グループを選択し、選択したサイドリンク宛先グループのユーザ機器に相応に無線リソースを割り当てるように構成されるスケジューリング部と、を備える。
【0126】
その上、ユーザ機器間の直接通信をサポートする無線通信システムにおいて動作可能なユーザ機器で行われるべき方法が提供され、方法は、複数の宛先グループを特定するサイドリンク設定を記憶し、各宛先グループは、サイドリンクデータのための可能な宛先を含み、さらに、サイドリンク宛先グループのために設定される論理チャネルからの各論理チャネルに対する論理チャネル優先度を記憶し、送信のために利用可能なデータを有するサイドリンク論理チャネルの中で最高論理チャネル優先度を持つ、送信のために利用可能なサイドリンクデータを有するサイドリンク論理チャネルを持つサイドリンク宛先グループを選択し、選択したサイドリンク宛先グループに帰属するサイドリンク論理チャネルに優先度降順に無線リソースを割り当てる。
【0127】
開示した実施形態の追加の利益および利点は本明細書および図から明らかだろう。利益および/または利点は、明細書および図面の開示の様々な実施形態および特徴によって個々に提供されてもよく、同利益および/または利点の1つまたは複数を得るためにすべて提供される必要があるわけではない。
【0128】
これらの一般的なおよび特定の態様はシステム、方法およびコンピュータプログラム、ならびにシステム、方法およびコンピュータプログラムの任意の組合せを使用して実装されてもよい。
【0129】
以下では、例示的な実施形態が添付の図および図面を参照しつつより詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【
図1】3GPP LTEシステムの例示的なアーキテクチャを示す図である。
【
図2】3GPP LTEの全体のE-UTRANアーキテクチャの例示的な概要を示す図である。
【
図3】3GPP LTE(Release8/9)に定義されるダウンリンクスロットの例示的なダウンリンクリソースグリッドを示す図である。
【
図4】3つのサブレイヤ(PDCP、RLCおよびMAC)で構成されるレイヤ2ユーザおよび制御プレーンプロトコルスタックを示す図である。
【
図5】PDCP、RLCおよびMACレイヤでの異なる機能の概要であり、様々なレイヤによるSDU/PDUの処理の例示的な図である。
【
図6】デバイスツーデバイス直接発見のためのPC5インタフェースの概略図である。
【
図7】オーバーレイ(LTE)およびアンダーレイ(D2D)システムのための送信/受信リソースの使用を示す図である。
【
図8】2つのUEに対するスケジューリング割当ておよびD2Dデータの送信を示す図である。
【
図9】UE自律スケジューリングモード2のD2D通信タイミングを示す図である。
【
図10】eNBスケジュールスケジューリングモード1のD2D通信タイミングを示す図である。
【
図11】非ローミングシナリオについてのProSeのための例示的なアーキテクチャモデルを示す図である。
【
図12】D2D UEが関連づけられることができる4つの異なる状態に関するカバレージを示す図である。
【
図13】規格に規定されるProSeバッファ状況報告MAC制御要素を示す図である。
【
図14】例示的なシナリオに対するProSe論理チャネル(ProSe LCG)とProSe宛先グループとの間の関連を示す図である。
【
図15】特定のMCPTTグループに関して受信および送信の両方を許容したユーザに対するMCPTTユーザ状態を示す図である。
【
図16】特定のMCPTTグループに関して送信のみを許容したユーザに対するMCPTTユーザ状態を示す図である。
【
図17】特定のMCPTTグループに関して受信のみを許容したユーザに対するMCPTTユーザ状態を示す図である。
【
図18】概念的なオンネットワークMCPTT優先度モデルを示す図である。
【
図19】レイヤモデルでの優先度の統合の概略図である。
【
図20】第2の実施形態の特定の変形に係る異なるProSe LCGとProSe宛先グループとの間の関係の図である。
【
図21】
図20に例示した第2の実施形態の特定の変形に係るProSe LCHとProSe宛先グループとの間の特定の関連に対するProSe LCHとProSe LCGとの間の可能なマッピングを示す図である。
【
図22】第2の実施形態の別の特定の変形に係る異なるProSe LCGとProSe宛先グループとの間の関係の図である。
【
図23】
図22に例示した第2の実施形態の特定の変形に係る、
図21と同じProSe LCHとProSe宛先グループとの間の特定の関連に対するProSe LCHとProSe LCGとの間の可能なマッピングを示す図である。
【
図24】第2の実施形態の変形に係るProSeバッファ状況報告MAC制御要素の図である。
【
図25】第5の実施形態に係る優先順位付けのための例示的な方法を例示するフロー図である。
【
図26】論理チャネルに対する優先度設定のための例示的な方法を例示するフロー図である。
【
図27】論理チャネルを停止/再開することによってフロー制御をサポートするための例示的な方法を例示するフロー図である。
【
図28】優先度に基づいてフロー制御を行うための例示的な方法を例示するフロー図である。
【
図29】サイドリンク制御情報のフォーマットを例示する概略図である。
【
図30】MAC PDUのフォーマットを例示する概略図である。
【
図31】3つのUEのグループのための例示的なフロア制御メカニズムを実装するメッセージフローを例示する概略図である。
【
図32】3つのUEのグループのための例示的なフロア制御メカニズムを実装するメッセージフローを例示する概略図である。
【
図33】論理チャネルの優先順位付けを実装するユーザ機器の例を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0131】
移動局または移動ノードまたはユーザ端末またはユーザ機器は、通信ネットワーク内の物理エンティティである。1つのノードがいくつかの機能エンティティを有してもよい。機能エンティティは、所定の機能の集合をノードの他の機能エンティティまたはネットワークに実装および/または提供するソフトウェアまたはハードウェアモジュールを指す。ノードは、ノードが通信するために介することができる通信機構または媒体にノードを取り付ける1つまたは複数のインタフェースを有してもよい。同様に、ネットワークエンティティは、機能エンティティが他の機能エンティティまたは対応ノードと通信するために介してもよい通信機構または媒体に機能エンティティを取り付ける論理インタフェースを有してもよい。
【0132】
用語「無線リソース」は、一組の請求項でおよび本出願で使用する場合、時間-周波数リソースなどの物理無線リソースを指すとして広く理解しなければならない。
【0133】
一組の請求項でおよび本出願で使用する用語「ProSe」またはその非省略形で「Proximity Services(近接サービス)」は、背景項で例示的に説明したように、LTEシステムでの近接ベースのアプリケーションおよびサービスの文脈で適用される。「D2D」などの他の専門用語もこの文脈で使用して、近接サービスのためのデバイスツーデバイス通信を指す。さらには、「ProSeデータ」または「ProSe宛先グループ」などの、一組の請求項を通して利用する専門用語全体と一貫するように、「ProSe論理チャネル」の専門用語を請求項で使用するが、しかしながら、異なる用語「サイドリンク」もこの文脈で、すなわち大抵「サイドリンク論理チャネル」、すなわち近接サービス/D2Dのために設定される論理チャネルとして使用する。一組の請求項でおよび残りの本出願で使用する用語「ProSe宛先グループ」は、例えば3GPP LTEで規定される1つのソースレイヤ2ID-宛先レイヤ2ID対として理解することができる。
【0134】
背景で説明したように、1つの大きな目的は現行のLTEシステム全体での近接サービスの実装を継続的に向上させることである。現在では、D2D通信のためのLCP手順は、サイドリンク論理チャネルが扱われる順序がUE実装次第であるように規定され、すなわちサイドリンクチャネルのための優先順位付けメカニズムはサポートされておらず、本質的にすべてのサイドリンク論理チャネルはUEの観点から同じ優先度を有する。さらには、現在実装されるように、1つのMAC PDUのために、UEにおけるMACエンティティは同じProSe宛先グループの論理チャネルのみを考えるものとする。再び、ProSe宛先グループがどの順序で扱われるかはUE実装次第である。
【0135】
現在標準化されるLCP手順は、以下から明らかになるであろう、いくつかの不利点を伴う。
【0136】
例えば、D2Dリソースは非効率的に使用されており、半二重課題(UEが、同じ時間、すなわちTTIに受信および送信することができないという課題)は軽減されることができない。より詳細には、その課題を説明するために、特定のProSe宛先グループ(例えば公安)の数人のメンバが互いの間で通信するシナリオを前提とする。同じProSe宛先グループに帰属する2つのUEは、ProSeデータを送信するためにそれぞれのグラントを受信する。ProSe宛先グループ(およびサイドリンク論理チャネル)の選択順序はUE実装次第であるので、eNodeBは、例えばこれらの2つのUEが同じTTIでの同じProSe宛先グループへの送信のためにそれらのグラントを使用するのを防止することができない。結果的に、2つの送信UEは、(ProSeの半二重動作のため)他方の送信UEが同じ時間に送信しているので、同じTTIで他方の送信UEから送信を受信することができないことになる。第一に、上記半二重課題のためにグループメンバ間の情報が異なるという危険性がある、すなわちすべてのグループメンバがすべての情報を受信することが保証されない。さらには、スケジュールしたリソースのいくつかは非効率的に使用される。
【0137】
以上説明した課題を軽減するために、以下の例示的な実施形態が発明者らによって考えられる。
【0138】
以下では、いくつかの例証的な実施形態を詳細に説明することになる。これらのいくつかは、様々な実施形態に関連して以下で説明するような特定の主要な特徴を伴って、3GPP規格によって与えられ、かつ本背景で部分的に説明したような広範な仕様で実装されるものである。実施形態は、例えば上記技術背景に記載したように、3GPP LTE-A(Release10/11/12/13)通信システムなどの移動通信システムに有利に使用されることができるが、しかし実施形態はこの特定の例示的な通信ネットワークでのその使用に限定されないことに留意するべきである。
【0139】
説明は、本開示の範囲を限定するとしてではなく、本開示をよりよく理解するための実施形態の単なる例として理解するべきである。当業者は、請求項に述べるような本開示の一般的な原理が異なるシナリオに、かつ本明細書に明記しない方途で適用されることができることを認識しているべきである。対応して、様々な実施形態の説明目的で前提とする以下のシナリオは、本発明およびその実施形態をそのように限定するものではない。
例えば、以下の実施形態に対して、概してProSe LCP手順が現在標準化されているのと同じ目的で、すなわちUEが、新たな送信を行うためにMAC PDUを構築するときに、送信のための利用可能なデータを持つ異なる論理チャネルに利用可能な無線リソースを割り当てるために、使用されるであろうことを前提とする。また、いくつかのProSe宛先グループが、現在標準化されているのと同じまたは同様にして既に規定されていることを前提とする。さらには、様々なProSe論理チャネルを設定するときに、ProSe論理チャネルとProSe宛先グループとの間の関連づけがUEで行われることを前提とし、そのためUEで設定される各ProSe論理チャネルは、ProSe論理チャネルのProSeデータが向けられる特定のProSe宛先グループと関連づけられる。
【0140】
その上、様々な実施形態がLCP手順について論じ、これに従って送信のための利用可能なデータを持つProSe論理チャネル間で無線リソースが分配される。さらなるインジケーションまたは制限が与えられない場合、割り当てられるべき無線リソースは、eNBスケジュールリソース(リソース割当てモード1)かまたは適切なリソースプールからUEによって自律的に決定される無線リソース(リソース割当てモード2)かいずれかであることを前提とするべきである。
【0141】
(第1の例証的な実施形態)
第1の例示的な実施形態によれば、ユーザ機器で論理チャネル優先順位付け(LCP)手順を行うときに論理チャネルに無線リソースを割り当てるための方法が、近接サービスのために提供される。方法は、UEが、新たな送信のためのMAC PDUを生成するときに、利用可能なProSeデータを持つProSe論理チャネルに利用可能な無線リソースを割り当てるのを許容する。ProSe論理チャネルはUEで適切に設定され、第1の実施形態によれば、すべてのProSe論理チャネルは先行技術でと同じProSe LCG(「11」)に割り当てられる。主な着想は、LCP手順を行うときに優先順位付けメカニズムを導入することであり、LCP手順はProSe宛先グループに基づいている。先に説明したように、MAC PDUは1つの特定のProSe宛先グループに関連するProSeデータのみを含むものとし、そのためUEはまずProSe宛先グループを選択しなければならない。このことは第1の実施形態についても該当するが、しかしながら第1の実施形態は加えて、ProSe宛先グループの各々が、(例えば「ProSe宛先グループ優先度」と名付けられる)それぞれの優先度を割り当てられることを見込む。
【0142】
ProSe宛先グループ優先度は、Uuインタフェースで送信されるMAC PDUの生成のためにLCP手順内でLTEにおいて使用される論理チャネル優先度と異なってもよい。技術背景に記載したように、UuインタフェースでのLTEアップリンク送信に関しては、基本的にすべての論理チャネルのデータがMAC PDUに多重化されることができ、論理チャネル優先度は論理チャネルが扱われる順序を決定する。しかしながらProSe通信に関しては、同じProSe宛先グループに割り当てられる論理チャネルのデータのみがProSe PDUにマッピングされることができる。
【0143】
ProSe宛先グループにそれぞれの優先度を割り当てることは、例えばネットワークにおける上位レイヤエンティティ、すなわち上記の点で役割を担う対応するProSe機能またはエンティティによって行うことができる。例えば、上記ProSe機能/エンティティは、ProSe宛先グループを既に設定および管理するものと同じであることができる。
図15に関連して背景で説明したように、そのようなProSeエンティティは本明細書に規定するProSe機能であることができる。上記の場合、ProSe宛先グループに関する情報およびそれらの優先度は、PC3インタフェースを介して直接行うことができるProSe対応UEなど、および/または、eNodeBなど、ネットワークにおける他のエンティティに分配される。例えば、ProSe機能/エンティティは、なんらかの上位レイヤプロトコルによって、割り当てられたProSe宛先グループと共にProSe宛先グループに関する(IDなどの)情報を送信する。
【0144】
さらには、この情報はまずE-UTRANのeNBに提供することができる。eNodeBは、ProSe機能の代わりに、次いでUEに通知することができる。
【0145】
代替的に、ProSe宛先グループ優先度はUE(およびeNB)に既に予め設定されてもよく(例えば規格によって、またはUICCに記憶されて)、そのため対応する情報はネットワークを通じてシグナリングされなければならないのではなく、最初からUE(およびeNB)で既に利用可能である。
【0146】
さらには、ProSe宛先グループに対して利用可能な実際の優先度レベルがどのように実装されることができるかに関するいくつかの可能性もある。約8つの異なるProSe宛先グループをUEに対して設定することができることが現在論じられている。結果的に、第1の実施形態の1つの変形はそこで、3ビットで符合化される、対応する数の8つの異なる優先度レベルを提供するものであり、ここで例えば優先度レベル1が最高であり、優先度レベル8が最低優先度であるか、またはその逆である。例えば、公安のためのProSe宛先グループは高優先度を有するだろう。しかしながら、ProSe宛先グループより少ない優先度レベルであってもよい。さらには、ProSe宛先グループ優先度に基づいて本明細書で論じる様々な実施形態はその優先度には限定されず、ProSe宛先グループの任意の他の適切な優先順位付けが可能である。
【0147】
第1の実施形態は、上論したProSe宛先グループ優先度に基づいてLCP手順のために優先順位付けメカニズムを実装する。より詳細には、第1のステップが導入され、それに従ってUEは、ProSeデータが利用可能であり、かつ対応するMAC PDUが新たな送信のために生成されるものとするときに、ProSe宛先グループの1つをその優先度に従って選択し、そのため生成および送信されるべきMAC PDUは上記選択したProSe宛先グループに向けられるProSe論理チャネルのProSeデータのみを含むことになる。例えば、UEは最高優先度を持つProSe宛先グループを選択する。どのデータが実際に利用可能であるかについてそれらのProSe宛先グループのみが考えられることに留意するべきである。すなわち、例えば優先度がより高いが、送信されるべきデータのないProSe宛先グループは無視される。
【0148】
先に前提としたように、無線リソースは、モード1割当てリソースであろうとモード2割当てリソースであろうと、UEがPC5インタフェースを介して別のProSe UEにD2D直接通信でデータを送信するために利用可能である。対応して、第2のステップで、UEはProSe論理チャネル(例えばSTCH)に利用可能な無線リソースを割り当てるものとするが、選択したProSe宛先グループに帰属するProSe論理チャネルのみを考える。しかしながら、どれくらい正確に、例えばどの順序でUEが上記選択したProSe宛先グループの様々なProSe論理チャネルを扱うかは、ここではそれぞれのUE実装次第であり、この時点ではさらに詳細には特定しない。上記の点で、上記ProSe宛先グループ内のすべてのProSe論理チャネルが同じ優先度(後に説明することになるように、第2の実施形態に従って変更される)を有することに留意するべきである。
【0149】
MAC PDUはしたがって、上記選択した高優先度ProSe宛先グループのみのProSeデータで構築される。
【0150】
上記の点で、MAC PDUは、現在標準化されるように、2つの異なるProSe宛先グループのProSeデータを備えることができないことに留意するべきである。結果的に、たとえ選択したProSe宛先グループのすべてのProSe論理チャネルが扱われた後に無線リソースがなお利用可能であるとしても(すなわちMAC PDUに余地が残されるとしても)、他のProSe論理チャネルのさらなるProSeデータは含めることができず、例えばMAC PDUはパディングまたは、存在すればProSe MAC CEで満たされる。
【0151】
このように生成したMAC PDUは次いで、通例のようにさらに処理および送信される。例えば、リソース割当てモードに応じて、MAC PDUの、および先だって対応するSAメッセージの送信は、例えば
図15および16に関連して背景で説明したように行うことができる。
【0152】
第1の実施形態へのさらなる任意選択の改善として、UEは、LCP手順を行うときに以下の規則をさらに考慮するべきである:
- UEは、全体のSDU(または部分的に送信されるSDU)が残りのリソースに収まれば、RLC SDU(または部分的に送信されるSDU)をセグメント化するべきでない。
- UEがサイドリンク論理チャネルからのRLC SDUをセグメント化する場合、UEは、可能な限りグラントを満たすようにセグメントのサイズを最大化するものとする。
- UEはデータの送信を最大化するべきである。
- UEが、送信のために利用可能なデータを有しつつ、10バイト以上であるサイドリンクグラントサイズを与えられれば、UEは、パディングのみを送信することはしないものとする。
【0153】
これらの任意選択の規則は、背景に提示したような現在標準化されたLCP手順から取られ、第1の実施形態の改善された/支援されたLCP手順のために(第2および第3の実施形態のためにも)同様に使用することができる。
【0154】
第1の実施形態によって達成される利点は、ProSe宛先グループの選択がUE実装次第ではないということである。むしろ、異なるProSe宛先グループに優先度を適切に割り当て、割り当てた優先度に基づいてProSe宛先グループをUEに選択させることによって、UEの振る舞いは上記の点で予め決定され、したがって予見できる(例えばeNBにとって)。対応して、eNBはこの予見できるUEの振る舞いを使用して、eNBのスケジューリングを向上させ(eNBスケジュールリソース割当てモード1が使用されるとき)、したがって、例えば、半二重課題を軽減することができる。特に、eNBは、2つのUEが最高優先度を有するように同じProSe宛先グループを有すれば、同じTTIに対してそれらをスケジュールしないものである。半二重課題を説明したときの上論したシナリオでは、2つのUEが同じProSe宛先グループに同じ時間に送信することを回避するように、eNBは2つのUEの一方のみをスケジュールし、そして他方のUEを、例えば、次またはその後のTTIにスケジュールするものである。無線リソースはもはや浪費されず、したがってより効率的に使用/スケジュールすることができる。
【0155】
さらには、(公安、警察などといった、重要なProSe宛先グループについてなどの)重要なProSeデータは、対応するProSe宛先グループ優先度が高く設定されることになるので、不必要に遅延することはなく、したがって以上提示したように、LCP手順を行うときにUEで優先して扱われることになる。
【0156】
第1の実施形態の変形によれば、以前のLCP手順を考慮することによって、ProSe宛先グループ優先度に基づくProSe宛先グループの選択はさらに改善される。言い換えると、ProSe宛先グループはそれらのProSe宛先グループ優先度の降順で厳密に扱われるのではなく、より低い優先度のProSe宛先グループの遅延および/または枯渇が回避されるように、以前のLCP手順を考慮するときに例外があってもよい。
【0157】
ProSe宛先グループの中で最高優先度を持つ、利用可能なデータを持つProSe宛先グループの中のProSe宛先グループを選択するステップは、新たな送信が行われるべきである各時間、すなわちLCP手順が行われる各時間に繰り返すことができる。上記の場合、ProSe宛先グループの中で最高優先度を有する同じ1つのProSe宛先グループが、上記ProSe宛先グループに対してProSeデータが常に利用可能であることを前提として、毎回選択される。このことは、より低い優先度を持つProSe宛先グループの著しい遅延および枯渇に至ることがあり、(LCP手順が行われる)1つのSA/データ期間の間、UEが1つのProSe宛先グループにのみ送信することができることを必要とする現行の標準化によって悪化される。したがって、たとえ最高優先度を持つProSe宛先グループを扱った後にSA/データ期間中のどこかの点で未使用リソースが利用可能であったとしても、未使用リソースは、他のProSe宛先グループに向けられるProSeデータに対して使用することができない。
【0158】
そのようなシナリオに関する不利点を回避するために、第1の実施形態の変形は、他のより低い優先度のProSe宛先グループのためにProSeデータが同様に利用可能であるときに、特定のProSe宛先グループが長時間繰り返し扱われることを回避することによって、第1の優先順位付けメカニズムを改善する。
【0159】
より詳細には、ProSe宛先グループの中で最高優先度を持つ、利用可能なデータを持つProSe宛先グループの中のProSe宛先グループを選択するステップは、以前のLCPで(またはいくらかの所定時間前に行ったLCPで)最高優先度を持つその同じProSe宛先グループが既に扱われた場合には、たとえその後のLCP手順を行うときにこのProSe宛先グループのためのProSeデータ(古いまたは新しい)が送信のために利用可能であるとしても、ステップ自体行われない。そのような場合には、その既に扱ったProSe宛先グループはLCP手順に関して一時的に無視され、そのため実際上、ProSe宛先グループの中で2番目に最高優先度を持つ、利用可能なデータを持つ残りのProSe宛先グループの中のProSe宛先グループが、LCP手順をさらに続行するために選択される。
【0160】
第1の実施形態のこの改善された変形は、以下説明することになるように、将来のシナリオにも適用されてもよい。当面、UEはSA/データ期間ごとに1つの有効なProSeグラントのみを有することが標準化され、そのため、たとえ、UEが第2のProSeグラントを受信したとしても、UEは、新たなグラントを選んで「古い」ものを破棄することになる。さらには、このProSeグラントが有効である1つのSA/データ期間の間、UEは、1つのProSe宛先グループにのみ送信することができる。結果として、たとえ、最初に選択したProSe宛先グループのために利用可能であるデータがないとしても、グラントからの未使用無線リソースを使用して別のProSe宛先グループにデータを送信することは可能でない。このことはリソースの浪費であり、したがって、このことは、1つのSA/データ期間の間に2つ以上のProSe宛先グループを扱うことができ、2つ以上のProSeグラントを受信および使用することができるように将来のリリースで変わるかもしれない。別に自律選択(モード2)に関して、UEはSA/データ期間の間に2つ以上のSLグラントを選択するのを許容されてもよい。その上、1つのMAC PDUは、1つのProSe宛先グループのためのデータのみを含むことをなお必要とされることがある。
【0161】
そのような場合、複数のProSe MAC PDUが送信されるべきであり(すなわち複数のProSe宛先グループに)、かつ、複数のProSeグラントが利用可能であれば、ProSe宛先グループの選択は、ProSe宛先グループ優先度の降順に行われる。詳細には、第1のProSeグラントは、ProSe宛先グループの中で最高優先度を持つ、利用可能なデータを持つProSe宛先グループに対する第1のLCP手順の間、使用される。しかしながら、第2のProSeグラントは、たとえProSe宛先グループの中で最高優先度を持つProSe宛先グループに送信されるために利用可能な残りのデータがあるとしても、ProSe宛先グループの中で2番目に最高優先度を持つ、利用可能なデータを持つProSe宛先グループに対する第2のLCP手順の間、使用される。任意のさらなるProSe宛先グループおよびProSeグラントに関しても同様である。
【0162】
(第2の例証的な実施形態)
第1の実施形態は先行技術の対応するLCP手順に勝る様々な利点を既に提供するとはいえ、発明者らはさらなる不利点を特定した。
【0163】
先行技術に関し、第1の実施形態の手順にも関する別の課題は、LCP手順の間のサイドリンク論理チャネルの選択順序がUE実装次第であるので、UEが、最高優先度を持つ、ボイスオーバーIP(VoIP:Voice over IP)のような遅延にクリティカルなサービスを扱うという保証がないということである。誤った、または、非最適なUE実装が遅延にクリティカルなサービスに対し、大きい待ち時間およびおそらく枯渇さえ被ることがある。
【0164】
例示の目的のみで、以下、3つのProSe論理チャネル(LCH#1、LCH#2およびLCH#3)がユーザ機器に設定され、3つのすべてが先行技術でと同じProSe LCG(例えば「11」)と関連づけられる例示的なシナリオを考える。LCH#1およびLCH#2がProSe宛先グループ1に割り当てられ、LCH#3がProSe宛先グループ2に割り当てられることを例示的に前提とする。これを
図21に例示する。ProSe宛先グループ1は、ProSe宛先グループ2より高い優先度を有すると前提する。ProSeデータはすべての3つの論理チャネルに対して送信されるように利用可能であり、無線リソースはUEによって割り当てられるように利用可能である。
【0165】
第1の実施形態の様々な変形がこのシナリオに適用されるとすれば、データが送信されるべきである2つのProSe宛先グループ間でより高い優先度を有するために、UEはまずProSe宛先グループ1を選択するであろう。次いで、選択したProSe宛先グループ1の論理チャネルが扱われる順序、すなわち、LCH#1およびLCH#2のうち、UE実装次第で、LCH#1かまたはLCH#2かいずれかがまず扱われる。したがって、両LCHのデータのために十分な無線リソースがなければ、2つのProSe LCHの一方のデータは遅延することになり、最悪の場合、枯渇が起こることがある。このことは、これがVoIPなどの遅延にクリティカルなサービスに起こる場合、特に不利益である。例えば、LCH#1が遅延にクリティカルなデータを搬送していることを前提とすると、UEが最初にLCH#2を扱うことを決定すれば、対応して構築されたMAC PDUは遅延にクリティカルなサービスのデータのいずれも含まないか、またはその一部のみを含むかもしれない。
【0166】
第2の実施形態の変形はこの課題を解決するものとし、その目的で、以下詳細に説明することになるように、第2の優先順位付けレベルが導入される。以下では、第2の実施形態を、第1の実施形態に完全に基づくとして主に例解目的で説明することになり、すなわち第2の実施形態は、第2の優先順位付けレベルを追加的に実装することによって第1の実施形態を拡張するが、しかし第1の実施形態(およびその変形)のその他の特徴を維持する。しかしながら、二次優先順位付けメカニズムの使用はスタンドアロンで、すなわちProSe宛先グループをその優先度に基づいて選択する第1の優先順位付けメカニズムを有さずに使用することもできることに留意するべきである。結果的に、以下の説明が、第1の態様(および以上説明したすべてのその変形)の第1の優先順位付けメカニズムを実際には含む第2の実施形態に重点を置く一方で、第2の実施形態はそれに限定されるものではなく、スタンドアロンと考えられてもよい。
【0167】
第2の実施形態のために使用する第2の優先順位付けメカニズムは、異なるProSe論理チャネルグループ(ProSe LCG:ProSe Logical Channel Group)およびそれらの対応する優先度間で区別をする。要するに、ProSe論理チャネルに対して1つのProSe LCG(「11」)のみが提供される現行の標準化(背景および例えば
図14を参照のこと)とは対照的に、ProSe直接通信のために複数のProSe LCGが規定され、UEは設定ProSe論理チャネルを関連づけてもよい。さらに、複数のProSe LCGの各々は、例えば「ProSe LCG優先度」と名付けられるそれぞれの優先度を割り当てられる。次いで、LCP手順を行う場合、UEは、ProSe論理チャネル間で利用可能なリソースを割り当てるときに、すなわちProSe論理チャネルがそれらの関連する優先度の降順に扱われるように、様々なProSe論理チャネルが帰属するProSe LCGのそれぞれの優先度を考慮する。このことは以下により詳細に説明することになる。
【0168】
異なるProSe LCGがどのように規定されるかに関するいくつかの可能性がある。とりわけ、このことは、様々なProSe宛先グループに対するProSe論理チャネルとProSe LCGとの間のマッピングがどのように実装されるかにも依存するだろう。2つの択一の可能なマッピングを以下提示することになるが、他のものが等しく可能であってもよい。
【0169】
2つの選択肢は
図20および
図22に関連して例示することになり、図中、ProSe宛先グループとProSe LCGとの間の関係を例示するものとする。両図で、合計で4つの、すなわち2ビットの対応するProSe宛先グループIDを持つProSe宛先グループのみがあることを例示的に前提とし、ProSe LCGを識別するために1ビットが利用可能である(0または1)ことをさらに前提とする。それぞれの例を
図21および
図23に例示し、ここで2つのProSe宛先グループおよび4つのProSe LCGを伴って異なるシナリオが前提とされる。
【0170】
第1の選択肢は
図20に関連して説明することになり、図中、各ProSe宛先グループがProSe LCGのいずれかに関連することができることを例示し、言い換えると、ProSe LCGは、規定されたProSe宛先グループに関わらず規定される。結果的に、ProSe LCG IDを使用することによって、規定されたProSe LCG間で区別することが可能である、すなわちProSe LCG ID:0がProSe LCG#1を識別し、ProSe LCG ID:1がProSe LCG#2を識別する。UEによる異なるProSe LCGへのProSe論理チャネルの対応するマッピングは、このことを考慮し、したがってProSe論理チャネルが帰属するProSe宛先グループから独立している。例えば、UEは、そのProSe論理チャネルを設定するとき、それらの各々を規定されたProSe LCGの任意の1つに適宜割り当てることになる。このことは
図21に例示的に示され、ここでProSe LCH#1およびProSe LCH#3がProSe宛先グループ1と関連づけられると前提し、ProSe LCH#2はProSe宛先グループ2と関連づけられる。破線で描くように、ProSe論理チャネルの各々は、それらのProSe宛先グループとの関連にかかわらず、ProSe LCG1~4のいずれかと関連づけられることができる。換言すれば、異なるProSe宛先グループと関連づけられるProSe LCHが同じProSe LCGにマッピングされることができる(以下に説明する第2の選択肢では可能でない)。
【0171】
図22に例示する第2の選択肢によれば、各ProSe宛先グループに対して異なるProSe LCGが規定される。
図22の例示的なシナリオでは、合計で8つの異なるProSe LCGが4x2としてあってもよく、ここで4は異なるProSe宛先グループの総数に関し、2はProSe宛先グループごとの異なるProSe LCGに関する。全ての異なるProSe LCG間で明白に区別するために、ProSe LCG IDに加えてProSe宛先グループ(例えばProSe宛先グループID)を考慮することが必要である。換言すれば、ProSe LCGは、特定のProSe宛先グループのみに制限される。対応して、ProSe宛先グループIDは、単独でProSe宛先グループを明白に規定し、ProSe LCG IDとの組合せで、ProSe LCGを明白に識別するためのコードポイントを提供する。UEによる異なるProSe LCGへのProSe論理チャネルの対応する可能なマッピングは、
図20および
図21に関して説明したものとも異なる。以上説明したように、UEは、ProSe論理チャネルを設定するとき、それらの各々に対して特定のProSe宛先グループを適宜割り当てられることになる。UEは次いで、ProSe論理チャネルの各々に対して、論理チャネルが関連づけられるProSe宛先グループに帰属するProSe LCGのみを割り当てられてもよい。このことは、
図23に例示的に示され、ここで
図21についてと同じProSe LCHとProSe宛先グループとの間の関連を前提とする。ここでは、しかしながら、ProSe LCH1および3はProSe宛先グループ1と関連づけられるので、それらはProSe LCG1または2、すなわち、それら自体ProSe宛先グループ1と関連づけられているものと関連づけられることができるのみである(破線を参照のこと)。同じことがProSe LCH2に当てはまり、したがってProSe LCG3かまたはLCG4かいずれか、すなわち、それら自体ProSe宛先グループ2と関連づけられているものに、UEによってマッピングされることができるのみである。
【0172】
1つの変形によれば、異なるProSe LCGおよびそれらの優先度は、例えばネットワークにおける上位レイヤエンティティ、すなわち上記の点で役割を担うものとする対応するProSe機能またはエンティティ、例えば
図15に関連して背景に既に提示したProSe機能によって中央で規定されてもよい。上記の場合、ProSe LCGに関する情報およびそれらの優先度は、PC3インタフェースを介して直接行うことができるProSe対応UEなど、ネットワークにおける他のエンティティに、および例えばなんらかの上位レイヤプロトコルを用いてeNodeBに分配される。
【0173】
代替的に、ProSe LCGに関するそれぞれの情報およびそれらの優先度は、まずE-UTRANのeNBに提供され、eNBは、次いで、UEと直接交信するProSe機能の代わりに、UEに通知するはずである。
【0174】
代替的に、ProSe LCGおよびそれらの優先度は、UE(およびeNB)に予め設定されてもよく(例えば規格によって、またはUICCに記憶されて)、そのため対応する情報は、ネットワークでシグナリングされなければならないのではなく、最初からUE(およびeNB)で既に利用可能である。
【0175】
さらには、ProSe LCGに対して利用可能な実際の優先度レベルがどのように実装されることができるかに関するいくつかの可能性もある。このことは、例えば
図20~
図23に関連して説明したように実際の実装に応じて変化してもよいProSe LCGの総数に依存してもよい。例えば、第2の実施形態の1つの変形は、そこで、例えば最高などであるとする優先度レベル1から始まる、ProSe LCGの数と同じ数の優先度レベルを提供するものである。しかしながら、ProSe LCGより少ない優先度レベルがあってもよい。ProSe LCGの任意の他の適切な優先順位付けも可能である。
【0176】
ProSe LCG優先度は、第2の実施形態のLCP手順で第2の優先順位付けメカニズムのために使用され、第2の優先順位付けメカニズムは、新たな送信のためのMAC PDUを構築するために利用可能な無線リソースを割り当てるときにProSe論理チャネルがどの順序で扱われるかを決定する。特に、ProSe論理チャネルは、それらがマッピングされたProSe LCGを介して関連づけられるProSe LCG優先度を有する。第2の優先順位付けによれば、利用可能なリソースはProSe論理チャネルに、それらの対応するProSe LCG優先度の降順に割り当てられる。
【0177】
MAC PDUは、したがって、ProSe LCG優先度降順にProSe論理チャネルからのProSeデータで順次構築される。
【0178】
同じProSe LCGと関連づけられているProSe論理チャネルが、同じ優先度、すなわち、同じProSe LCG優先度を有することになることに留意するべきであり、同じ関連する優先度を持つこれらの特定のProSe論理チャネルがLCP手順の間に扱われる順序は、例えばUE実装次第である。
【0179】
ProSe LCG優先度に基づいて上記第2のレベルの優先順位付けを実装することの利点は、同じProSe宛先グループに帰属するサイドリンク論理チャネルに対して、詳細な優先順位付け制御が可能であるということである。UE挙動が予測可能であるので、eNBはeNBスケジュールリソース割当てモード1のために、より効率的にスケジュールすることができる。さらには、VoIPなどの遅延にクリティカルなデータは、対応する高優先度を持つProSe LCGにUEがマッピングするであろうProSe論理チャネルによって伝送されることになる。結果的に、第2の実施形態に係るLCP手順が、リソースを割り当てる間これらのProSe LCG優先度を考慮するので、遅延にクリティカルなデータはいかなる不必要な遅延なしで最初に送信されることになる。
【0180】
上述したように、第2の優先順位付けレベルは、第1の実施形態の様々な変形で実装することができ、そのため2つの後続のレベルの優先順位付けがあり、第1のステップで、UEはProSe宛先グループをそれらの優先度の降順に扱い、次いで後続の第2のステップで、UEは現在選択した(すなわち現在扱う)高優先度のProSe宛先グループのProSe論理チャネルをそれらの関連するProSe LCG優先度の降順に扱う。
【0181】
代替の実装では、UEは、ProSe宛先グループ優先度および論理チャネルに関連づけられるProSe LCG優先度に基づいて、論理チャネル優先度を導出し、論理チャネルの優先度順序に論理チャネルを扱うはずである。より詳しくは、論理チャネルの優先度は、この論理チャネルと関連づけられるProSe宛先グループの優先度とこの論理チャネルと関連づけられるProSe LCGの優先度の関数であるだろう。1つの例示的な実装では、UEはまず、先に説明したように、ProSe宛先グループ優先度とProSe LCG優先度の関数を使用することによって論理チャネルの優先度を導出し、次いで論理チャネルが論理チャネル優先度順に扱われるLTEアップリンクの場合と同様のLCP手順を行うはずである。
【0182】
第2の実施形態のさらなる変形は、eNBがより詳細な情報を受信するように適合バッファ状況報告を提供する。当面、ProSeバッファ状況報告はProSe宛先グループごとにバッファサイズ情報を提供するが、バッファサイズ情報は上記ProSe宛先グループのすべてのProSe論理チャネルに渡る利用可能なデータ量を示す(背景および
図13を参照のこと)。さらには、すべてのサイドリンク論理チャネルは、先行技術では1つのLCGにマッピングされる。結果的に、現在標準化されたProSeバッファ状況報告MAC制御要素は、1つのProSe宛先グループ内の異なる論理チャネルのデータ間で区別をしない。
【0183】
1つの変形によれば、ProSeバッファ状況報告はより詳細な情報、すなわちProSe宛先グループおよびProSe LCGの対ごとのバッファサイズ情報を提供し、バッファサイズ情報は、上記対と関連づけられている、すなわち上記対のProSe宛先グループおよびProSe LCG両方と関連づけられているすべてのProSe論理チャネルに渡るProSeデータ量を示す。
【0184】
図24は、第2の実施形態のこの変形に係るProSe BSR MAC制御要素を例示的に開示し、ここではProSe宛先グループおよびProSe LCGの各対に対して、MAC CEは以下を備える。
- グループインデックス:グループインデックスフィールドは対のProSe宛先グループを識別する。このフィールドの長さは4ビットである。値は、ProseDestinationInfoListで報告される宛先識別情報のインデックスに設定される。
- LCG ID:論理チャネルグループ(Logical Channel Group)IDフィールドは対のProSe LCGを識別する(したがってバッファ状況が報告されている論理チャネルを識別する)。フィールドの長さは2ビットである。
【0185】
バッファサイズ:バッファサイズフィールドは、TTIに対するすべてのMAC PDUが構築された後にProSe宛先グループ-ProSe LCG対のすべての論理チャネルに渡って利用可能な総データ量を識別する。データ量はバイト数で示される。
【0186】
ProSe BSR MAC CEのために使用される実際のフォーマットに応じて、予約ビットがあることがあり、例えば「0」に設定される。
【0187】
図24に対して取られる特定の例では、LCH#1がProSe宛先グループ1およびProSe LCG1と関連づけられ、LCH#2がProSe宛先グループ1およびProSe LCG2と関連づけられ、LCH#3がProSe宛先グループ2およびProSe LCG2と関連づけられることを前提とする。結果的に、3つのペアのProSe宛先グループおよびProSe LCG、すなわちProSe宛先グループ1とProSe LCG1および2、ならびに、ProSe宛先グループ2とProSe LCG2がある。
【0188】
上記した改善されたProSe BSRの利点は、eNBが今や同じProSe宛先グループに帰属する異なるProSe LCG間で区別することができ、このためeNBがより効率的なスケジューリングを提供するのを許容するということである。
【0189】
ProSe BSRの実際の内容に関する上記した変更によって、例えば背景で(非特許文献2の5.x.1.4項に対するR2-145435(CR0744)を参照しつつ)説明した先行技術でのように、改善されたProSeバッファ状況報告が追加的に規定されることができる。専らいくつかの例として:RRCは、2つのタイマPeriodic-ProseBSR-TimerおよびRetxProseBSR-Timerを設定することによってサイドリンクBSR報告を制御してもよく;異なるイベントがProSe BSRをトリガし;パディングProSe BSR、規則的かつ定期的なProSe BSRなどの異なる種類のProSe BSRが存在する。
【0190】
(第3の例証的な実施形態)
第3の実施形態は、LCP手順を行うときにUEのリソース割当て手順をさらに改善する。特に、第3の実施形態はUE自律スケジューリングモード2に重点を置き、ここでUEは、新たな送信のために必要とされるときにリソースプールから無線リソースを選択する。
【0191】
第3の実施形態は第1および第2の実施形態の変形のいずれかと組み合わせることができるが、しかしスタンドアロンとして実装することもできる。
【0192】
背景で説明したように、UEは、それぞれSAメッセージおよびD2Dデータの送信のための複数のリソースプールが設けられる。したがって、以下では、UEに対して、自律リソース割当てモードでのD2D通信のための複数のリソースプール、すなわち、より詳しくはスケジューリング割当て(SA:Scheduling Assignment)の送信のための複数のリソースプールおよび対応するD2Dデータ送信のための複数のリソースプールが規定されることを前提とする。このことは、例えばeNBによって、および/または、上記の点で役割を担うネットワークにおけるProSe機能/エンティティによって、行われる。SAおよびデータのためのこれらの複数のリソースプールは、例えば、SIB18を介してUEに提供される、すなわち、対応するセルのシステム情報でブロードキャストされる。
【0193】
対応して、UE自律リソース割当て(モード2)を行わなければならないときに、すなわち新たなD2D MAC PDUを生成するときに、異なるリソースプールがUEに利用可能である。さらには、第3の実施形態に関して、第1および第2の実施形態のすべての変形に関してのように、複数のProSe宛先グループが規定されることを前提とする。第3の実施形態のいくつかの変形に関して、ProSe宛先グループの各々が特定のProSe宛先グループ優先度と関連づけられることを前提としてもよく、さらなる詳細は第1および第2の実施形態に既に提供されており、したがってここでは省略される。
【0194】
モード2であるときのUEによるリソース割当てをさらに向上させるために、UEが(例えばProSe宛先グループの中で最高優先度を持つ)送信のために利用可能なProSeデータを持つProSe宛先グループを選択した後に、様々なリソースプールの中の適切なリソースプール(より詳しくはスケジューリング割当ての送信のためのリソースプールおよび対応するデータのためのリソースプール)が、選択したProSe宛先グループに基づいてUEによって選択される。換言すれば、UEは、選択したProSe宛先グループに適切である(SAおよびデータのための)無線リソースプールを選択する。無線リソースプールのこの選択は、異なる方途で実装することができ、そのうちの2つを以下に提示することになる。
【0195】
第1の変形によれば、ProSe宛先グループとリソースプールとの間の新たなマッピングが導入され、そのため各ProSe宛先グループは、SAのためのリソースプールおよびD2Dデータのためのリソースプールを割り当てられる。このマッピングは、例えば上記の点で役割を担う、ネットワークにおけるProSe機能/エンティティによって規定される。上記の場合、マッピングに関する情報は、例えばなんらかの上位レイヤプロトコルを用いてUE(およびeNB)に送信される。代替的に、このマッピングは、UE(およびeNB)に予め設定されることができ(例えば規格によって、またはUICCに記憶されて)、そのため対応するマッピングはネットワークを通じてシグナリングされる必要はなく、UE(およびeNB)で既に利用可能である。
【0196】
いずれにせよ、選択したProSe宛先グループに基づいて、UEは、記憶したマッピング情報に基づいて、選択したProSe宛先グループに関連づけられている1つのリソースプールまたは複数のリソースプール(1つはSAのためおよび1つは対応するD2Dデータのため)を単に選択してもよい。サイドリンク制御(SC:Sidelink Control)期間とも称される1つのSA/データ期間内で、D2D UEは、1つのProSe宛先グループにD2D MAC PDUを送信することができるのみであるので、リソースプールの選択は、SA/データ期間ごとに一度行う必要があるのみである。
【0197】
第2の変形によれば、明示的なマッピングを提供する代わりに、UEは、選択したProSe宛先グループのための適切な無線リソースプールを異なって決定するものとする。特に、複数のリソースプールの各々には、例えば、リソースプール優先度と名付けられる特定の優先度が割り当てられる。
【0198】
複数のリソースプールに対して利用可能な実際の優先度レベルがどのように実装されるかに関するいくつかの可能性もある。第2の変形は、ProSe宛先グループおよびリソースプールの優先度を比較して、選択したProSe宛先グループに基づいてリソースプールを適切に選択するものとすることを見込む。結果的に、2つの優先度は、それらが有意味な方式で比較可能であるように規定されるものとする。ProSe宛先グループの優先度について先に挙げた例は、優先度レベル1が最高であり、優先度レベル8が最低であるとして、8つの異なる優先度レベルを前提とした。対応して、リソースプールの優先度は同様にして規定し、割り当てることができ、そのため重要なデータのためにのみ使用されるべきであるリソースプールには、高優先度(例えば1)が割り当てられ、より重要でないデータのために既に使用されることができるリソースプールには低優先度(例えば8)が割り当てられる。
【0199】
これらのリソースプール優先度および優先度を割り当てることは、例えば既に複数のリソースプールを設定する役割を担った、ネットワークにおける同じProSe機能/エンティティによって行われることができる。上記の場合、特定の無線リソースプールの優先度レベルの情報は、特定の無線リソースプール自体に関する情報と共に、例えばSIB18でシグナリングされるプール設定でシグナリングすることができる。
【0200】
代替的に、優先度は、第3の実施形態の第1の変形に関するマッピングと同じ方式で、UE(およびeNB)に予め設定される(例えば規格によって、またはUICCに記憶されて)。
【0201】
いずれにせよ、第2の変形によれば、UEには複数のリソースプール(それぞれSAおよびD2Dデータのため)が設定され、その各々には特定の優先度レベルが割り当てた。上述したように、リソースプールの優先度は、リソースプールに関連づけられる優先度と同じ(またはより高い)グループ優先度を持つProSe宛先グループに帰属するサイドリンク論理チャネルのデータのみが上記リソースプールからの無線リソースで送信されることができるように規定される。
【0202】
対応して、UEがProSe宛先グループを(ProSe宛先グループ優先度に基づいて)選択した後に、UEは様々なリソースプールの優先度と選択したProSe宛先グループの優先度を比較し、選択したProSe宛先グループのProSe宛先グループ優先度と同じであるか、または、より低いプール優先度を有するリソースプール(1つはSAのためおよび1つはD2Dデータのため)を選択する。
【0203】
対応して、UEは、選択した無線リソースプールの無線リソースに基づいて、サイドリンクグラントを決定することができる。決定したサイドリンクグラントの無線リソースは、次いで、第1および第2の実施形態の様々な変形に関して論じたLCP手順に従って、様々なProSe論理チャネルに使用され、割り当てられる。
【0204】
リソースプール選択メカニズムを有することの利点は、スケジューリング割当ておよび対応するデータ送信のためのリソースプールを選択するためのUE挙動が、eNodeBの観点から予測可能であるということである。このことは、eNodeBが異なるリソースプールへの負荷を制御するのを許容する。さらには、干渉状況は、異なるリソースプールについて異なるはずであり、そのため、ProSeデータ送信は異なるサービス品質(QoS:Quality of Service)となる。
【0205】
代替的に、異なるリソースプールを異なるサイクリックプレフィックス(CP:Cyclic Prefix)長に対して規定することができ、すなわちD2D送信のための複数のリソースプールの1つは拡張CP長を使用するものとする一方で、D2D送信のための他のリソースプールは通常CP長を使用するものとする。
【0206】
以下では、第3の実施形態が第2の実施形態の基本変形と組み合わされるときのステップのシーケンスを簡潔に説明する。したがって、UEがスケジューリングモード2(UE自律)であることを前提とする。第1のステップでは、UEは、ProSe宛先グループ優先度(例えばそれらの中で最高を有するもの)に基づいて、UEがこのTTI、またはSA/データ期間にD2Dデータを送信したいProSe宛先グループを決定するものとする。次いで、UEは、選択したProSe宛先グループに基づいて(マッピング情報に基づいて、または、上記で説明した優先度比較に基づいて)、対応するリソースプールを決定する。選択した無線リソースプールに基づいて、UEは、選択した無線リソースプールからサイドリンクグラントを選択し、グラントの上記無線リソースを、選択したProSe宛先グループのProSe論理チャネルに、ProSe論理チャネルと関連づけられるProSe LCG優先度の降順に割り当てることになる。
【0207】
第3の実施形態は、しかしながら、eNBスケジュールリソース割当てモード(モード1)にも適用することでき、モード1でスケジュールされるときに複数のリソースプールがUEに対しても利用可能であることを前提とする。特に、将来のリリースで、モード2のみのために現在規定されている複数のリソースプールが、モード1スケジューリングのためにも使用可能になるかもしれず、そのため、UEは、eNBから受信するeNBスケジュールグラントが実際にどのリソースプールを指すかを示される必要がある。
【0208】
結果的に、第3の実施形態のこの変形によれば、UEがeNBからサイドリンクグラントを受信するときに、第1および第2の実施形態に関連して以上説明したように、UEは改善されたLCP手順を行う。しかしながら、eNBグラントを適用するために、UEは、選択したProSe宛先グループに基づいて(改善されたモード1リソースプール選択に関連して第3の実施形態に関して既に論じた様々な変形のいずれかに従って)、そのリソースプールを選択することになる。
【0209】
(さらなる例証的な実施形態)
以下では、上記で説明した第1、第2および第3の実施形態の変形のいずれかと組み合わせることができるが、スタンドアロン、すなわち、第1、第2および第3の実施形態のいずれかと独立して考えられてもよい、異なる実施形態を説明することになる。
【0210】
1つの追加の実施形態に関して、UEが1つのリソース割当てモードのみで設定される現在標準化された実装とは対照的に、同時に両リソース割当てモード(すなわちモード1およびモード2)を使用、すなわち設定することが可能であることを前提とする。上記の場合、リソース割当てモードは、例えば、論理チャネル固有にすることができ、そのためそのいくつかの論理チャネルは、スケジュールリソース割当てモードに設定される一方で、他の論理チャネルは、自律リソース割当てモードに設定される。UEは上記の点で、例えばeNBによってRRCシグナリングを介して設定されてもよい。
【0211】
代替的に、ProSe論理チャネルのリソース割当てモードは、例えば、既にProSe宛先グループまたはProSe LCGの異なる優先度を割り当てる役割を担った、ネットワークにおける同じProSe機能/エンティティによって設定され、上位レイヤプロトコルによって、UEまたはeNodeBにシグナリングされる。
【0212】
代替的に、ProSe論理チャネルに関連づけられるリソース割当てモードは、第1の変形に関するマッピングと同じ方式で、(例えば、規格によって、または、UICCに記憶されて)UE(およびeNB)に予め設定される。
【0213】
結果として、UEで行われるLCP手順は、次いで、サイドリンクグラントがeNBから受信される場合には、例えばeNBスケジュールリソース割当てモードに設定されている論理チャネルのみを考慮するであろうし、逆に、サイドリンクグラントがリソースプールからUEによって自律的に決定される場合には(eNBグラントなしでは)、UEは、次いで、UE自律リソース割当てモードに設定されている論理チャネルのみを考慮するであろう。したがって、LCP手順の第1のステップで、現在処理するサイドリンクグラントと同じリソース割当てモードに関連しない論理チャネルは、LCP手順に関しては無視されるであろう。したがって、例えば、その論理チャネルには無線リソースは割り当てられないであろう。そして、第1の実施形態を考えると、ProSe宛先グループを選択するステップは、これらの無視した論理チャネルがProSe宛先グループの一部でないように行われるであろう。同様に、第2の実施形態を考えると、リソースが割り当てられる論理チャネルの順序を決定するときに、これらの無視した論理チャネルおよびそれらの関連するProSe LCG優先度は却下されるであろう。
【0214】
さらには、UEは、対応するProSe BSRでeNBスケジュールリソース割当てモードに設定されるそれらの論理チャネルのデータのみを報告するであろう。
【0215】
代替的に、リソース割当てモードは、ProSe宛先グループまたはProSe論理チャネルグループに固有にすることができる。
【0216】
別の追加の実施形態に関して、D2Dに対して半永続スケジューリングがサポートされ、したがって、上記SPSグラントの無線リソースが、LCP手順に従ってProSe論理チャネルに割り当てられることを前提とする。この追加の実施形態によれば、利用可能なデータを持つProSe宛先グループの中で最高優先度を持つProSe宛先グループのデータが送信されるものとし、すなわちSPSリソースを使用して送信されるべき新たなMAC PDUを生成するとき、最高優先度のProSe宛先グループがLCP手順をさらに続行するために選択される。結果的に、SPSリソースは、選択したProSe宛先グループと関連づけられているProSe論理チャネルのみに割り当てられる。
【0217】
代替的に、特定のProSe宛先グループをSPSに対して(予め)設定することができ、またはできず、そのためUEは、SPSリソースを割り当てるときに、SPSに対して設定されているProSe宛先グループのみから選択してもよい。
設定は、例えば上位レイヤシグナリングによって、例えば対応するProSe宛先グループがSPSに向けられていることを示すフラグを使用することによって行われる。代替的に、ProSe宛先グループのこのSPS設定は、UEに予め設定される。
【0218】
第1の態様のLCP手順によって達成される利点の1つは、高優先度のProSe宛先グループのためのProSeデータが最初に送信され、先行技術システムのように不必要に遅延しないということである。異なる優先度レベルを、所望の効果を達成するように、中央ProSe機能/エンティティによって異なるProSe宛先グループに適切に割り当てられる。
【0219】
要約すると、第1の態様に関連して論じたProSe宛先グループ優先度に基づく第1の優先順位付けレベルに加えて、第2の優先順位付けレベルがLCP手順に対して実装される。より詳細には、先行技術のようにProSe通信に関連して1つの論理チャネルグループ(LCG)のみを提供する代わりに、第2の態様は複数のProSe LCGに基づき、それらの各々は、例えばProSe LCG優先度と名付けられる複数の異なる優先度の1つと関連づけられる。1つの変形によれば、ProSe LCGおよび対応するProSe LCG優先度も、上記の点で役割を担うネットワークにおけるProSe機能/エンティティによって設定および管理される。上記の場合、利用可能なProSe LCGに関する情報およびそれらの対応する優先度レベルは、eNBが上記ユーザ機器のための無線リソースのeNBによるスケジューリングを向上させるのをさらに許容するように、UEおよび(例えば)eNBに送信される。UEは、次いで、複数のProSe LCGから1つに、UEの複数の設定したProSe論理チャネル(例えばSTCH)の各々をマッピングするものとする。
【0220】
ProSeデータが送信されるべきであるとき、かつ、サイドリンクグラントは利用可能であれば(eNBによってシグナリングされたかまたはリソースプールからUEによって自律的に決定されたかいずれか)、第1の態様の改善されたLCP手順の拡張である、第2の態様の改善されたLCP手順は、ProSe LCG優先度に基づく第2の優先順位付けレベルを導入する。したがって、第1の態様に係る第1の優先順位付けで、UEは最高優先度を有するProSe宛先グループを選択し、そのため生成されるPDUは上記選択したProSe宛先グループのUEに送信されるべきProSeデータのみを含むことになる。次いで、第2の優先順位付けで、上記選択したProSe宛先グループのProSe論理チャネルがマッピングされるProSe LCGに関連づけられるProSe LCG優先度を考慮することによって、利用可能なリソースはProSe論理チャネルに割り当てられ、すなわちProSe論理チャネルはそれらの対応するProSe LCG優先度の降順に扱われる。PDUはしたがって、ProSe論理チャネルと関連づけられるProSe LCG優先度の降順に、1つの選択したProSe宛先グループの、かつProSe論理チャネルからのProSeデータで順次構築される。このように生成したPDUは次いでさらに処理および送信される。
【0221】
第2の態様のLCP手順によって達成される利点の1つは、第1の態様の利点に加えて、遅延にクリティカルなサービス(ボイスオーバーIPなど)と関連づけられるProSeデータが、上記遅延にクリティカルなデータを搬送する対応ProSe論理チャネルが(マッピングされたProSe LCGを介して関連づけられる)それらの関連する優先度に従って扱われるので、不必要に遅延しないということである。
【0222】
第2の態様の変形は、ProSe LCGへのProSe論理チャネルのマッピングがどのように行われるかについて異なっている。例えば、1つの変形で、いかなるProSe宛先グループにも関わりなく、複数のProSe LCGが規定され、ユーザ機器に設定されるProSe論理チャネルの各々が複数のProSe LCGからの1つに、すなわちProSe論理チャネルとProSe宛先グループとの間の関連に関わりなくマッピングされる。例えば、合計で4つの異なるLCGをProSe用に予め規定することができ、UEは、ProSe論理チャネルを設定するときにまたはその後に、ProSe論理チャネルの各々を4つのProSe LCGのうちの1つにマッピングする。この変形では、4つのProSe LCGは、対応するLCG-IDによって明白に識別することができる。代替の変形では、各ProSe宛先グループに対して、異なる一組の異なるProSe LCGが規定され、例えば1つのProSe宛先グループに対する複数のProSe LCGは、任意の他のProSe宛先グループからのProSe LCGと異なっている。例えば、ProSe宛先グループごとに4つの異なるLCGおよび8つの異なるProSe宛先グループを前提とすると、実際上8×4=32個の異なるProSe LCGがあることになり、例えばProSe宛先グループIDおよびProSe LCG-IDの組合せによって識別可能である。次いで、ProSe宛先グループの各々に関して、上記ProSe宛先グループと関連づけられるProSe論理チャネルの各々が、ProSe宛先グループのProSe LCGの1つにマッピングされる。後者の変形に関して、優先順位付けは、より正確に規定され、実装されることができる。
【0223】
第2の態様のさらなる変形によれば、ProSeのためのバッファ状況報告手順は、より多くのバッファサイズ情報を含むように、改善されたLCP手順に適合され、したがってeNBが、上記ProSe BSRを受信して、より効率的にProSeリソースをスケジュールするのを許容する。特に、ProSeバッファ状況報告は、(例えばUEで能動的に使用される、および/または例えば、ProSeデータが利用可能である)ProSe宛先グループおよびProSe LCGの各ペアに対して、ペアのProSe宛先グループおよびProSe LCGと関連づけられているProSe論理チャネルのための利用可能なProSeデータのバッファサイズ情報を含むように生成される。UEは次いで、移動通信システムにおけるユーザ機器のための無線リソースを制御する無線基地局に、生成したProSeバッファ状況報告を送信する。
【0224】
本発明の第3の態様によれば、ProSe宛先グループは、UE自律リソーススケジューリングモード(モード2)のための適切なリソースプールを選択するために追加的に使用される。特に、複数の無線リソースプールが、例えばeNodeBおよび/またはネットワークにおける役割を担うProSe機能/エンティティによってユーザ機器に対して設定される。第1の態様に関して既に説明したように、ProSe宛先グループは利用可能な無線リソースに関して優先度の降順に扱われる。
【0225】
次いで、ProSe宛先グループを選択するこのステップの後に、UEは、選択したProSe宛先グループに基づいて上記リソースプールの1つを選択する。このことは異なる方途で行うことができる。
【0226】
1つの変形で、各ProSe宛先グループと上記リソースプールの1つとの間の関連があり、リソースプールはネットワークにおける役割を担うProSe機能/エンティティによって中央で決定することができ、次いでUEに送信されるか、またはUEに予め設定される。対応して、UEは次いで、選択したProSe宛先グループに割り当てられている無線リソースプールを選択することができる。
【0227】
代替の変形では、無線リソースプールの各々は、(例えば前述したProSe機能/エンティティによって)特定の優先度を割り当てられ、UEはまた、例えば無線基地局によるそのセルでのシステム情報ブロードキャストによって、各無線リソースプールの優先度について通知される。ProSe宛先グループが第1のステップに従って選択された後、上記選択したProSe宛先グループの優先度は、1つの特定の無線リソースプールを選択するように利用可能な無線リソースプールの優先度とUEによって比較される。例えば、適切な無線リソースプールは、選択したProSe宛先グループの優先度と同じ(またはより低い)優先度を有し、そのためリソースプールに関連づけられる優先度と同じ(またはより高い)のグループ優先度を持つProSe宛先グループに帰属するProSe論理チャネルのProSeデータのみが、上記対応するリソースプールのリソースで送信される。
【0228】
対応して、1つの一般的な態様では、ここで開示する技術は、移動通信システムのユーザ機器で論理チャネル優先順位付け(LCP)手順を行うときに論理チャネルに無線リソースを割り当てるための方法を特徴とする。近接サービス(ProSe)のための複数の論理チャネルがユーザ機器に設定され、ProSeデータの可能な宛先としての複数のProSe宛先グループの1つと関連づけられる。さらには、複数のProSe宛先グループの各々はProSe宛先グループ優先度と関連づけられ、複数のProSe論理チャネルの各々は複数のProSe論理チャネルグループ(LCG)からの1つにマッピングされる。また、複数のProSe LCGの各々はProSe LCG優先度と関連づけられる。ユーザ機器は、送信のための第1のプロトコルデータユニット(PDU)を生成するときに以下のステップを行う。UEは、最高ProSe宛先グループ優先度を持つ、送信のために利用可能なProSeデータを持つProSe宛先グループを選択する。次いで、UEは、選択したProSe宛先グループと関連づけられている、送信のために利用可能なProSeデータを持つProSe論理チャネルに、それらのProSe論理チャネルがマッピングされるProSe LCGと関連づけられるProSe LCG優先度の降順に無線リソースを割り当てる。
【0229】
上記に加えてまたは代替的に使用することができる有利な変形によれば、ProSe LCG優先度は、ユーザ機器に予め設定されるか、または移動通信システムのProSeエンティティにおけるProSe機能によって決定され、ユーザ機器に通信されるかいずれかである。後者の場合、決定したProSe LCG優先度は、移動通信システムにおけるユーザ機器のための無線リソースを制御する無線基地局にも任意選択で通信される。
【0230】
上記に加えてまたは代替的に使用することができる有利な変形によれば、ProSe宛先グループ優先度は、ユーザ機器に予め設定されるか、または移動通信システムのProSeエンティティにおけるProSe機能で決定され、ユーザ機器に通信されるかいずれかである。後者の場合、決定したProSe宛先グループ優先度は、移動通信システムにおけるユーザ機器のための無線リソースを制御する無線基地局にも任意選択で送られる。
【0231】
上記に加えてまたは代替的に使用することができる有利な変形によれば、ProSe LCGへのProSe論理チャネルのマッピングは、一組の異なるProSe LCGを規定することによって行われ、ここではユーザ機器に設定されるProSe論理チャネルの各々は一組の複数の異なるProSe LCGからの1つにマッピングされ、例えば、異なるProSe LCGはProSe LCG IDによって識別される。代替的に、各ProSe宛先グループに対して、異なる一組の異なるProSe LCGが規定され、複数のProSe宛先グループからの1つと関連づけられるProSe論理チャネルの各々は複数のProSe宛先グループの上記1つに対して規定されたその組の異なるProSe LCGの1つにマッピングされ;例えば、異なるProSe LCGはProSe宛先グループのためのIDおよびProSe LCGのためのIDの組合せによって識別される。
【0232】
上記に加えてまたは代替的に使用することができる有利な変形によれば、ProSeバッファ状況報告は、ProSe宛先グループおよびProSe LCGの各ペアに対して、ペアのProSe宛先グループおよびProSe LCGと関連づけられているProSe論理チャネルのための利用可能なProSeデータのバッファサイズ情報を含んで、ユーザ機器によって生成される。次いで、生成したProSeバッファ状況報告は、移動通信システムにおけるユーザ機器のための無線リソースを制御する無線基地局に送信される。1つの例では、ProSeバッファ状況報告は、各ペアのProSe宛先グループおよびProSe LCGに対して、ペアのProSe宛先グループのProSe宛先グループ識別情報、ペアのProSe LCGのProSe LCG識別情報、ならびにペアのProSe宛先グループおよびProSe LCGと関連づけられているProSe論理チャネルのための利用可能なProSeデータのバッファサイズ情報、のいずれかの情報を含む。
【0233】
上記に加えてまたは代替的に使用することができる有利な変形によれば、最高優先度を持つProSe宛先グループのためのProSeデータが、第1のPDUを生成した後になお送信のために利用可能であり、ProSeデータが少なくとも別のProSe宛先グループに送信されるために利用可能であるシナリオを前提とする。上記の場合、送信のための第2のPDUを生成するときに、ユーザ機器は、最高ProSe宛先グループ優先度を持つ、送信のために利用可能なProSeデータを持つProSe宛先グループを選択するか、または、2番目に高いProSe宛先グループ優先度を持つ、送信のために利用可能なProSeデータを持つProSe宛先グループを選択するかいずれかである。
【0234】
上記に加えてまたは代替的に使用することができる有利な変形によれば、二組の無線リソースがユーザ機器に利用可能であり、ここでは二組の無線リソースの第1は第1のPDUのための無線リソースの割当てのために使用され、二組の無線リソースの第2は第2のPDUのための無線リソースの割当てのために使用される。
【0235】
対応して、1つの一般的な態様では、ここで開示する技法は、移動通信システムのユーザ機器で論理チャネル優先順位付け(LCP)手順を行うときに論理チャネルに無線リソースを割り当てるための方法を特徴とする。近接サービス(ProSe)のための複数の論理チャネルがユーザ機器に設定され、ProSeデータの可能な宛先としての複数のProSe宛先グループからの1つと関連づけられる。さらには、複数の無線リソースプールがユーザ機器に対して設定され、複数のProSe宛先グループの各々はProSe宛先グループ優先度と関連づけられる。ユーザ機器は、送信のための第1のプロトコルデータユニット(PDU)を生成するときに以下のステップを行う。UEは、最高ProSe宛先グループ優先度を持つ、送信のために利用可能なProSeデータを持つProSe宛先グループを選択する。次いで、UEは、選択したProSe宛先グループに基づいて無線リソースプールを選択する。次いで、UEは、選択したProSe宛先グループと関連づけられている、送信のために利用可能なProSeデータを持つProSe論理チャネルに、選択した無線リソースプールの無線リソースを割り当てる。
【0236】
上記に加えてまたは代替的に使用することができる有利な変形によれば、選択したProSe宛先グループに基づいて無線リソースプールを選択するステップは、ネットワークエンティティから受信されるかまたはユーザ機器に予め設定されて、複数のProSe宛先グループの各々に対して複数の無線リソースプールからの関連する無線リソースプールを示す関連情報に従ってユーザ機器によって行われることができる。または、無線リソースプールの各々が複数のプール優先度からの1つを割り当てられると、ユーザ機器は、選択したProSe宛先グループのProSe宛先グループ優先度と比較して適切なプール優先度を持つ無線リソースプールを選択する。1つの例では、UEは、選択したProSe宛先グループのProSe宛先グループ優先度と同じであるかまたはより低いプール優先度を有する無線リソースプールを選択するものとする。1つのさらなる具体例では、ユーザ機器は、移動通信システムにおけるユーザ機器のための無線リソースを制御する無線基地局から送信されるブロードキャスト情報を介して各無線リソースプールのプール優先度について通知される。
【0237】
上記に加えてまたは代替的に使用することができる有利な変形によれば、複数のProSe論理チャネルの各々は複数のProSe論理チャネルグループ(LCG)からの1つにマッピングされる。さらに、複数のProSe LCGの各々は、ProSe LCG優先度と関連づけられ、選択したProSe宛先グループと関連づけられている、送信のために利用可能なProSeデータを持つProSe論理チャネルに、それらのProSe論理チャネルがマッピングされるProSe LCGと関連づけられるProSe LCG優先度の降順に、選択した無線リソースプールの無線リソースを割り当てる。対応して、1つの一般的な態様では、ここで開示する技法は、移動通信システムのユーザ機器で論理チャネル優先順位付け(LCP)手順を行うときに論理チャネルに無線リソースを割り当てるためのユーザ端末を特徴とする。近接サービス(ProSe)のための複数の論理チャネルがユーザ機器に設定され、ProSeデータの可能な宛先としての複数のProSe宛先グループからの1つと関連づけられる。複数のProSe宛先グループの各々はProSe宛先グループ優先度と関連づけられ、ここでは複数のProSe論理チャネルの各々は複数のProSe論理チャネルグループ(LCG)からの1つにマッピングされ、ここでは複数のProSe LCGの各々はProSe LCG優先度と関連づけられる。UEのプロセッサは、送信のための第1のプロトコルデータユニット(PDU)を生成するときに、最高ProSe宛先グループ優先度を持つ、送信のために利用可能なProSeデータを持つProSe宛先グループを選択する。プロセッサはさらには、選択したProSe宛先グループと関連づけられている、送信のために利用可能なProSeデータを持つProSe論理チャネルに、それらのProSe論理チャネルがマッピングされるProSe LCGと関連づけられるProSe LCG優先度の降順に無線リソースを割り当てる。
【0238】
上記に加えてまたは代替的に使用することができる有利な変形によれば、UEの記憶媒体は、ユーザ機器に予め設定されているProSe LCG優先度を記憶する。代替的にまたは加えて、UEの受信器は、移動通信システムのProSeエンティティにおけるProSe機能から、上記ProSe機能によって決定されるProSe LCG優先度を受信する。また、UEの記憶媒体は、ユーザ機器に予め設定されているProSe宛先グループ優先度を記憶し、および/または受信器は、移動通信システムのProSeエンティティにおけるProSe機能から、上記ProSe機能によって決定されるProSe宛先グループ優先度を受信する。上記に加えてまたは代替的に使用することができる有利な変形によれば、プロセッサは、一組の異なるProSe LCGからの1つにユーザ機器に設定されるProSe論理チャネルの各々をマッピングする。代替的に、各ProSe宛先グループに対して、異なる一組の異なるProSe LCGが規定され、プロセッサは、上記1つのProSe宛先グループに対して規定されたその組の異なるProSe LCGの1つに複数のProSe宛先グループからの1つと関連づけられるProSe論理チャネルの各々をマッピングする。
【0239】
上記に加えてまたは代替的に使用することができる有利な変形によれば、プロセッサは、各対のProSe宛先グループおよびProSe LCGに対して、ペアのProSe宛先グループおよびProSe LCGと関連づけられているProSe論理チャネルのための利用可能なProSeデータのバッファサイズ情報を含むProSeバッファ状況報告を生成する。UEの送信器は次いで、ユーザ機器のための無線リソースを制御する無線基地局に生成したProSeバッファ状況報告を送信する。1つの例では、ProSeバッファ状況報告は、各ペアのProSe宛先グループおよびProSe LCGに対して以下の情報を含む:ペアのProSe宛先グループのProSe宛先グループ識別情報、ペアのProSe LCGのProSe LCG識別情報、ならびにペアのProSe宛先グループおよびProSe LCGと関連づけられているProSe論理チャネルのための利用可能なProSeデータのバッファサイズ情報。
【0240】
上記に加えてまたは代替的に使用することができる有利な変形によれば、最高優先度を持つProSe宛先グループのためのProSeデータが、第1のPDUを生成した後になお送信のために利用可能であり、ProSeデータが少なくとも別のProSe宛先グループに送信されるために利用可能であることを前提とする。次いで、プロセッサは、送信のための第2のPDUを生成するときに、最高ProSe宛先グループ優先度を持つ、送信のために利用可能なProSeデータを持つProSe宛先グループをなお選択する。代替的に、プロセッサは、送信のための第2のPDUを生成するときに、2番目に高いProSe宛先グループ優先度を持つ、送信のために利用可能なProSeデータを持つProSe宛先グループを選択する。
【0241】
対応して、1つの一般的な態様では、ここで開示する技術は、移動通信システムのユーザ機器で論理チャネル優先順位付け(LCP)手順を行うときに論理チャネルに無線リソースを割り当てるためのユーザ端末を特徴とする。近接サービス(ProSe)のための複数の論理チャネルがユーザ機器に設定され、ProSeデータの可能な宛先としての複数のProSe宛先グループからの1つと関連づけられる。複数の無線リソースプールがユーザ機器に対して設定され、ここでは複数のProSe宛先グループの各々はProSe宛先グループ優先度と関連づけられる。UEのプロセッサは、送信のための第1のプロトコルデータユニット(PDU)を生成するときに、最高ProSe宛先グループ優先度を持つ、送信のために利用可能なProSeデータを持つProSe宛先グループを選択する。プロセッサは次いで、選択したProSe宛先グループに基づいて無線リソースプールをさらに選択する。最後に、プロセッサは、選択したProSe宛先グループと関連づけられている、送信のために利用可能なProSeデータを持つProSe論理チャネルに、選択した無線リソースプールの無線リソースを割り当てる。上記に加えてまたは代替的に使用することができる有利な変形によれば、プロセッサは、ネットワークエンティティから受信されるかまたはユーザ機器に予め設定されている、複数のProSe宛先グループの各々に対して関連する無線リソースプールを示す関連情報に従って無線リソースプールを選択する。代替的に、プロセッサは、選択したProSe宛先グループのProSe宛先グループ優先度と比較して適切なプール優先度を持つ無線リソースプールを選択し、ここでは無線リソースプールの各々は複数のプール優先度からの1つを割り当てられる。例えば、プロセッサは、選択したProSe宛先グループのProSe宛先グループ優先度と同じであるかまたはより低いプール優先度を有する無線リソースプールを選択する。
【0242】
上記に加えてまたは代替的に使用することができる有利な変形によれば、複数のProSe論理チャネルの各々は複数のProSe論理チャネルグループ(LCG)からの1つにマッピングされ、ここでは複数のProSe LCGの各々はProSe LCG優先度と関連づけられる。次いで、プロセッサは、選択したProSe宛先グループと関連づけられている、送信のために利用可能なProSeデータを持つProSe論理チャネルに、それらのProSe論理チャネルがマッピングされるProSe LCGと関連づけられるProSe LCG優先度の降順に、選択した無線リソースプールの無線リソースを割り当てる。
【0243】
(MCPTTのために有利である第5の実施形態)
MCPTTサービスは、背景で例証したように、コール(call)の要素(例えば、サービス種類、要求側識別情報(requesting identity)および対象識別情報(target identity))と関連づけられる優先度に基づいてMCPTTグループコールに優先順位を付けるメカニズムを提供するべきである。この要件は、グループコールの優先度が、通信対象に加えて、要求側識別情報(別名発信側ユーザ/UE)に依存することができることを暗示する。このことは、ProSeレイヤ2グループIDそれ自体が優先度を示さないことを確認する。むしろ、優先度は、MCPTTのアプリケーションレイヤでいくつかの要因に基づいて算定される。
また、上記した実施形態がLCPのために利用されてもよい一方で、第5の実施形態は、MCPTTサービスに特定の利益を提供する。特に、上述にて導入したグループ優先度方式は、MCPTTに関していくつかの制約および不変性を有することがある。例えば、グループAの通信がグループBの通信より典型的に高い優先度である2つのProSeグループに参加するUEを考えるとする。上記したようにまずグループ優先度に従ってグループを選択する宛先グループ優先順位付け方式のため、すべての他のトラヒックよりもこの特定のグループBのトラヒックを優先させることが望ましいであろうグループB内で緊急事態をサポートすることは可能でないであろう。
【0244】
以下の記載では、現在の3GPPによるMCPTTサービス検討を基礎として例を記載する。しかしながら、このメカニズムは、異なるサービスおよび宛先の優先度が効率的なグループコール動作のために重要である任意の種類のProSeシステムのために利用可能であることに留意されたい。
【0245】
各サイドリンク論理チャネルが優先度レベルを割り当てられることが、実施形態5によって提供される具体的な解決策である。UEは、宛先グループ優先度を考慮することなくこの優先度レベルにのみ基づく論理チャネル優先順位付け(すなわち異なるSLRBで待機されるデータを扱う順序を決定する)を行う。
【0246】
実際、この第5の実施形態はまた、グループ優先度をサポートせずに、単に特定の論理チャネルに優先度レベルを割り当てるシステムに実装してもよい。
【0247】
特に、UEは
図25に示すように以下のステップを行う。UEは、(利用可能なデータを有する)最高優先度サイドリンク論理チャネルをステップ2510で選択する。最高優先度LCはここで、UEによって対応されるすべての宛先グループのすべてのLCの中で最高優先度を有するLCである。選択したサイドリンク論理チャネルはProSe宛先グループを決定する。したがって、UEは、最高の優先度の論理チャネルが帰属する宛先グループをステップ2520で決定する。決定した宛先グループは次いでデータ送信のために選択され、選択した宛先グループのUEの論理チャネルに対してさらなる優先順位付けが行われる。したがって、ステップ2530で、UEは、選択したProSe宛先グループに帰属するすべてのサイドリンク論理チャネルに対してさらなる優先順位付けを行う。次いでステップ2540で、決定したProSe宛先グループに帰属するすべてのサイドリンク論理チャネルが優先度降順に(宛先グループのそれぞれのサイドリンク論理チャネルに関連づけられる優先度に基づいて)扱われる。扱われることは、それぞれの論理チャネルからのデータが、現行の送信タイミング(上記したサイドリンク制御(SC)期間などの送信機会)に、割り当てられるリソース上にマッピングされることを意味する。
【0248】
本手順は、モード1(eNB制御リソース割当てモード)において、または、モード2(自律リソース割当てモード)においてのいずれかで動作するUEによって利用されてもよい。本手順は、送信がeNBより別のエンティティによって制御される他のシステムでも動作してもよい。これは、リソース割当て手順に関わらず、利用可能であるいくらかのリソースを既に前提とするからである。
【0249】
上記手順は、新たなトランスポートブロックが生成される必要がある送信機会ごとにUEによって有利に行われる。ProSeの文脈では、UEは、現行の特定されたProSe機能性(Rel-12)に従って、SC期間内で1つのProSeグループにデータを送信することができるのみである。その意味では、UEは、SC期間ごとに一度サイドリンク論理チャネル優先度に基づいてProSe宛先グループを選択する必要があるのみである。
【0250】
なお、優先順位付けメカニズムのステップ、すなわち選択したProSe宛先グループに帰属するサイドリンク論理チャネルへの、それらの優先度に従う、無線リソースの割当ては、各新たなトランスポートブロックに対して行われるべきである。
【0251】
これは、各新たなトランスポートブロックの形成で、データを送信するのを許容されるUEが、最初に最も重要なデータを伝達するために割り当てられる容量を使用するという利点を提供する。各トランスポートブロック送信につれて、送信のために利用可能なデータは変化してもよく、したがってまた、優先度に従う宛先グループおよび論理チャネルの選択はトランスポートブロックごとに異なる結果を有してもよい。とりわけクリティカルデータについて、データ送信の高速可能性は重要である。
【0252】
しかしながら、本発明はこの例に限定されないことに留意されたい。いくつかのアプリケーションに関して、K(2より大きい整数)個のトランスポートブロックごとに宛先グループが選択されてスケジューリングが行われれば、許容される。残りのトランスポートブロックは最後の割当てを使用して形成される。(したがって最後の選択した宛先グループに送信し、選択したグループに対する論理チャネルに、それらの優先度に従ってリソースを割り当てる。)
【0253】
上記した手順は、UEで規定され、利用可能な各サイドリンク論理チャネルに対して優先度があり、例えば一時的にまたは永久に記憶されることを単に前提とする。その上、各サイドリンク論理チャネルに対してそれがどの宛先グループに帰属するかを特定する、UEで利用可能な情報もある。
【0254】
例えば、各サイドリンク論理チャネルと関連づけられる優先度は、UEによってかまたはProSe機能によってかいずれかで決定され、UEにおよび/またはeNBにシグナリングされてもよい。
【0255】
ProSe機能が論理チャネル優先度を決定する場合には、ProSeエンティティ(ProSe機能)とUE(および場合によりeNB)との間にいくらかのシグナリングが導入される必要がある。
【0256】
例えば、シグナリングは上位レイヤ、すなわち物理レイヤおよびMACレイヤを越えたレイヤ上の制御シグナリングでもよい。特に、プロトコルメッセージは、各論理チャネルに対する論理チャネル優先度を含んでもよい。論理チャネル優先度は、UEでサイドリンク論理チャネルを確立するときに、例えばUE識別情報、LCの宛先グループ識別情報、LCが帰属する論理チャネルグループおよび/またはLCによって搬送される特定のサービスなどの少なくとも1つに従って、ProSeエンティティによって設定されてもよい。サイドリンク論理チャネルに関連づけられる優先度は、例えばアプリケーションレイヤによってトリガされるときに変更または再設定される。
【0257】
概して、優先度レベルは、(アプリケーションレイヤパケットなど)サービスの各データパケットに関連づけることもできる。同じ優先度レベルのパケットは同じベアラ、すなわちサイドリンク論理チャネルにマッピングされる。例えば、ProSeサービスが2つの異なる優先度レベルと関連づけられているデータパケットを生成すれば(例えば、ビデオコールでの声およびビデオは異なる優先度を有してもよい)、(ProSeエンティティにおける)ProSe機能は、UEを、パケットがそれらの優先度に従ってマッピングされるProSeサービスのそれぞれの2つのデータフローのための2つのサイドリンク論理チャネルを確立するように設定してもよい。その意味では、上記したような優先順位付け手順は、サービスのデータパケットに関連づけられる優先度レベルに基づいて行うこともできる。
【0258】
モード1では、リソース割当てはeNBによって制御され、eNBはUEと同じ設定情報が提供されてもよい。より詳しくは、eNBには、それぞれの確立したサイドリンク論理チャネルに関連づけられる優先度レベルが提供されてもよい。それぞれの確立したサイドリンクLCと関連づけられる優先度レベルは、ProSeエンティティによって、または、UEによって、eNBに提供されてもよい。
【0259】
代替的に、eNBには、論理チャネルグループへのサイドリンク論理チャネルのマッピング情報およびサイドリンク論理チャネル優先度と一致した論理チャネルグループの対応する優先度レベルが提供されることができる。優先度情報およびサイドリンクバッファ状況報告に基づいて、eNBは、異なるUEからの送信の優先度を考慮して効率的なスケジューリングを行うことができる。現行の規定されたサイドリンクバッファ状況報告MAC制御要素によれば、UEは、ProSe宛先グループ-論理チャネルグループ対ごとにバッファ状況を報告する。したがって、対応するProSe宛先グループに、すなわちこれらのLCGペア上にマッピングされるサイドリンク論理チャネルの優先度に関する情報をeNBに提供することが有益である。
【0260】
有利には、ProSeエンティティからのシグナリング内で、UEおよび/またはeNBは、サイドリンク論理チャネル優先度が、およびLCGおよび宛先グループへのサイドリンク論理チャネルのマッピングが設定される。
【0261】
UEがサイドリンク論理チャネルに対する論理チャネル優先度を単独で決定する場合には、UEおよび/またはeNBがProSe宛先グループ優先度およびLCG優先度を設定されることを前提とする。これは、先行の実施形態に関して記載したようにProSeエンティティにおけるProSe機能によって行われてもよい。
【0262】
UEが論理チャネル優先度を単独で決定したか、またはProSeエンティティから設定を受信するかにかかわらず、eNBはなお優先度を計算するか、またはProSeエンティティから設定を受信するかいずれかを行ってもよいことに留意されたい。
【0263】
UE(または場合によりeNB)は次いで論理チャネル優先度をなんらかの所定の公式に基づいて計算する。例えば、サイドリンク論理チャネル優先度は、ProSeグループ優先度(SLRBi)とLCG優先度(SLRBi)の積として計算されてもよい。概して:
サイドリンク論理チャネル優先度=f(SLRBi,SLRBi)
ここで、fは好ましくはProSeグループ優先度(SLRBi)およびLCG優先度(SLRBi)に比例する任意関数である。論理チャネル優先度は、先行の実施形態に記載したように、宛先グループ優先度およびLCG優先度に基づいて計算されてもよい。
【0264】
論理チャネル優先度の計算を
図26に示す。
図26における方法2600のフロー図はUEおよびeNBのいずれで実行されてもよい。この方法はモード1の他にモード2で使用してもよい。ステップ2610にて、UEおよび/またはeNBは、優先度を計算する論理チャネルの宛先グループを決定する。この決定は、宛先グループの優先度を含むProSeエンティティからの制御情報を受信することに応答して行われてもよい。ステップ2620にて、UEは、優先度を計算する論理チャネルに対するLCG優先度を決定する。これも、ProSeエンティティからLCG優先度を受信した上で行われてもよい。ステップ2630にて、UEの地理的な位置、UEの緊急状況またはIDなどといった、論理チャネル優先度を決定するために使用しても良いさらなるパラメータが決定されてもよい。最後に、ステップ2640にて、これらのパラメータに基づく計算が行われる。上記方法2600は、UEに対して設定されるすべての論理チャネルに対してUEおよび/またはeNBによって行われてもよい。
【0265】
ProSe BSR報告(モード1)に関して、Rel-12でのProSeバッファ状況報告のMACに規定される制御要素を再使用してもよい。特に、1つのProSe宛先グループに帰属するサイドリンクLCが4つの異なるLCGにマッピングされることができる場合、ProSe BSRは、本質的に、64個の異なる宛先グループ-LCGペア(4ビット長の宛先グループIDおよび2ビット長のLCG IDに対応)間で区別することができる。そのようなシグナリングは、eNBによって効率的なスケジューリングが行われるのに十分な粒度(granularity)を提供するべきである。
【0266】
モード2(自律リソース割当てモード)では、上記したようなリソースプール選択が使用されてもよい。(最高優先度を持つサイドリンク論理チャネルに基づいて選択された)選択したProSe宛先グループに基づいて、リソースプールが選択される。本質的に、自律リソース割当てモードのためのセルによって設定されるリソースプールは、UEが関連するリソースプールから選択するために、任意の種類の優先度(例えばグループ優先度または論理チャネル優先度)と関連づけられるべきである。これは、異なる関連する優先度でProSe送信を行っているUEによって使用されるリソースを分割するのに十分な手段を提供するべきである。eNBは例えば、異なる優先度のリソースプールのために異なる物理パラメータを設定することができる。UE側から、UEが自律リソース割当てモードでProSe送信を行いたいとき、UEはまず関連する優先度に基づいて、例えば論理チャネル優先度に従ってProSe宛先グループを選択する必要がある。選択したProSe宛先グループに基づいて、UEは、リソースプールの一覧からTxリソースプールを選択するものとする。より詳しくは、UEは、(ProSe宛先グループが選択された基である)選択したProSe宛先グループの優先度または代替的に最高優先度論理チャネルの優先度と同じであるかまたはより低い関連する優先度を有するTxリソースプールを使用するものとする。
【0267】
言い換えると、UEは、有利には、リソースプールからデータの送信のために割り当てられるべきリソースを選択するように、および、宛先グループ優先度またはデータが送信されるべき論理チャネルと関連づけられる論理チャネル優先度に従って複数のリソースプールの中のリソースプールを選択するように、さらに設定される。リソースプールが選択される基である論理チャネル優先度が宛先グループに対する論理チャネルの中で最高論理チャネル優先度であれば、有益である。
【0268】
代替的にまたは加えて、各リソースプールに関連づけられる優先度レベルがあり、それをUEは選択したProSe宛先グループ内の最高優先度論理チャネルと比較する。
【0269】
様々な緊急アプリケーションのために使用してもよいPTTサービスのためのより状況応答な優先順位付けを提供するために、サイドリンク論理チャネルの優先度は現行の状況、例えば地理的位置、緊急事態、第1応答者などに基づいて変化することがある。
【0270】
論理チャネル優先度の変化は動的に行われてもよく、これはグループコールの間(ベアラが設定される間)、優先度が同じのままである必要がなく、変化してもよいことを意味する。
修正(modification)は、論理チャネルパラメータ、すなわち優先度の再設定によって行われてもよい。これは、背景に規定されたように非アクセス層下のプロトコルを含むアクセス層によって行われてもよい。
【0271】
代替的に、新たな論理チャネルが新たな修正した優先度で設定される一方で、旧優先度を持つ論理チャネルは、バッファが空になってその論理チャネルが削除されるまで維持される。とりわけ、新優先度が旧優先度より高い場合には、この新たな論理チャネルのパケットをより高い優先度で取り扱うために、この手法は有益だろう。任意選択で、現在の(旧)優先度を持つ論理チャネルを閉じてもよい(あるいは、削除してもよい)。優先度の修正は、アプリケーションレイヤ上のProSeエンティティによってトリガされてもよい。
【0272】
その送信データがバッファに記憶されている論理チャネルに対する優先度をUEが再構成すれば、バッファ内のそのデータに対して旧優先度(その修正前の優先度)を有効に維持することが概して有益だろう。優先度の修正が優先度を下げる場合にも、これが該当する。バッファ内のデータは、論理チャネルがより高い優先度を有した間に生成されたので、旧優先度を維持することはこれらのデータがより速く伝達されることを保証する。
【0273】
バッファが送信のためのデータをなお含んでいるチャネルに対する論理チャネル優先度の修正に応じた代替の挙動は、新たなデータが最初に取り扱われることを確実にするためにバッファを直ちにフラッシュすることである。とりわけ論理チャネルの優先度がより高い優先度に修正される場合に、この挙動は有益だろう。
【0274】
したがって、現在の優先度が修正した優先度より高ければ、UEは修正前にバッファしたデータをなお現在の優先度で送信する一方で、修正後にバッファしたデータを新優先度で取り扱ってもよい。他方では、現在の優先度が新優先度より低い場合、UEは修正前に記憶したデータをバッファから削除しても、すなわちバッファをフラッシュしてもよい。
【0275】
バッファフラッシングは、フラッシュしたデータがなくなることを暗示してもよい。とりわけ(PTT)コールまたはビデオコールとしての会話サービスに関して、アプリケーションレイヤなどの上位レイヤ上の再送信は有用でないだろう。しかしながら、本発明はそれに限定されず、上位レイヤで実装されるなんらかの再送信メカニズムがあってもよい。
【0276】
しかしながら、変化の種類(優先度を増減させる)に関わらず、バッファしたデータに対して旧優先度を維持する規則を修正に応じて適用してもよいことに留意されたい。本発明は概して優先度の修正に応じて特定の挙動に限定されず、バッファも常にフラッシュしてもよい。
【0277】
さらなる選択肢が一定のシナリオに対して有利だろう。例えば、優先度の修正に応じたUE挙動は、修正の理由に依存してもよい。例えば、論理チャネル優先度が緊急レベルの変化により変化する一方で、変化が増加であれば、バッファをフラッシュする。そうでなければ、バッファはフラッシュされない。
【0278】
代替的に、バッファフラッシングは、一方がバッファをフラッシュすべきことを示し、他方がデータを維持すべきことを示す2つの値を取ることができるバッファフラッシュフラグを優先度の修正メッセージに含めることによって、ProSe機能によって制御されてもよい。
【0279】
なお代替的に、UE挙動は修正後の優先度値に依存してもよい。例えば、修正した優先度が所定の優先度レベルの閾値より高い場合だけ、バッファはフラッシュされる。したがって、最も重要なデータ(例えば最高優先度を持つデータのみ)は早急に送信されるものとする一方で、他の優先度のデータは公平に取り扱われるだろう。
【0280】
(第6の実施形態:論理チャネル停止)
本発明の別の実施形態によれば、フロア制御メカニズムが提供される。本実施形態は、先行の実施形態と独立して動作してもよいし、または先に記載した実施形態のいずれかと組み合わされてもよい。第6の実施形態は、モード1およびモード2両方と利用されてもよい。
【0281】
MCPTTサービスはいくつかの特殊性を有する。特に、一度に、単一の当事者(グループコールのメンバ)のみがデータ/トークを送信(ブロードキャスト)してもよい。したがって、どのメンバが送信するべきかを選択するためのメカニズムが、システム効率に相当な影響を有するだろう。プッシュツートークシステムの文脈では、用語「フロア制御」は、とりわけ同じ送信機会にデータを送信しようとするより多くのユーザがいる場合に、グループにおけるどの特定のユーザがトークするのを許容されるかを選択し、特定のユーザに通知するプロセスを示す。
【0282】
www.3gpp.orgで入手可能な3GPP SA6 TR 23.779、v0.6.0、「Study on System Architecture Enhancements for Mission Critical PTT over LTE」に基づいて、本質的に特定のチャネルを求めてフロアを要求する1つのUE、およびそのような要求を受信した上でそれら自体の送信をオフにする他のUEでのアプリケーションによって、アプリケーションレイヤシグナリングを使用してフロア制御をサポートする、いくつかの提案がなされている。
【0283】
現在の検討でユーザ機器がフロアを有さず、したがってその送信を停止するとき、論理チャネルはなおアクティブのままであり、異なるグループへのデータ送信の優先順位付けのために端末によっても使用されている。
【0284】
本実施形態において、一群のユーザ機器間の直接通信をサポートする無線プッシュツートーク通信システムにおいて動作可能なユーザ機器が提供される。ユーザ機器は、ユーザ機器が無線通信システムのユーザ機器の中でデータを送信するように選択されるかどうかを決定するように設定されるフロア制御部を備える。ユーザ機器が選択されない場合、ProSeグループ(一群のユーザ機器、すなわち1つの特定のUEの観点からの宛先グループ)に属するユーザ機器のサイドリンク論理チャネルを停止する。他方では、データ発信ユーザ機器が選択された場合、先だって停止されたそのサイドリンク論理チャネルを再開する。
【0285】
有利には、停止した論理チャネルは、上記実施形態に記載したように、優先順位付けおよびリソース割当てのために考慮されない。
【0286】
一群のユーザ機器は、2つ以上のUEによって形成されてもよい。フロア制御部は、プロセッサ、場合により先行の実施形態に記載したような優先順位付け手順によって使用されてもよいものと同じプロセッサによって実装されてもよい。
データ機器が選択されたかどうかの判定は、フロア制御の実装に応じて、様々な異なる方途で行われてもよい。本実施形態は、フロア制御が起こるレイヤに関わらず、任意のそのようなフロア制御のために動作してもよい。
【0287】
例えば、データを送信するための許容をグループコールメンバに提供している1つのエンティティがある。中央エンティティは、ユーザ機器、グループコールのメンバの1つでもよい。例えば、UEはフロアの要求(フロア要求メッセージ)を送信し、中央エンティティは要求を許可する。フロアグラントメッセージはブロードキャストされてもよく、その結果残りのステーションはそれを受信し、それらのステーションが選択されない、すなわち送信するのを許容されないと判定する。この例は、本発明を限定するものではないことに留意されたい。中央エンティティはUEと異なる装置であってもよい。中央エンティティは、例えばeNB、または、リレーもしくはサーバなどの別のエンティティであってもよい。
【0288】
有利には、フロア制御(フロア要求メッセージおよび場合によりフロアグラントの送信)は上位レイヤ、すなわちMACより上で行われる。特に、フロア制御はアプリケーションレイヤで行ってもよい。
【0289】
代替的に、中央エンティティが含まれなくてもよい。特に、UEはすべてフロア要求を受信し、所与の時間の間のそれら自体の送信を停止してもよい。例えば、以下の実施形態により詳細に記載することにもなるように、自身の優先度および「フロア」を要求するグループ内の他のUEの優先度に基づいて、各UE自身が、サイドリンク論理チャネルまたはProSeグループ送信を一時的に停止するべきかまたはそれらを再開するべきかを決定することができる。
【0290】
停止および再開は、様々な異なる方途で行われてもよい。論理チャネルが停止されるとき、バッファの内容は維持され、そこに記憶したデータは、論理チャネルを再開した上で送信される。
【0291】
要約すると、フロア制御メカニズムの結果に基づいて、サイドリンク論理チャネルまたはProSe宛先グループは、停止、および、LCP手順のために再開される。停止および/または再開は、有利には、アプリケーションレイヤなどの上位レイヤによって行われても(開始されても)よい。特に、例示的な実装によれば、上位レイヤは、低位レイヤに一定のサイドリンク論理チャネル/ProSeグループを停止/再開するように通知することになる。
【0292】
1つの例示的な実装によれば、各サイドリンク論理チャネルは、UEに記憶される関連状況フラグを有し、それは、対応するサイドリンク論理チャネルが停止しているかまたは「アクティブ」か、を示す。UE内の上位レイヤ、例えばProSe機能は、アプリケーションレイヤ上で動作するフロア制御メカニズムの結果に従ってフラグを設定する。MAC内のLCP手順は、トランスポートブロック生成手順の間、サイドリンク論理チャネルの優先度または、ProSeグループ優先度およびLCG優先度のような任意の他の優先度だけでなく、このフラグの状況も考慮する。より詳しくは、新たなトランスポートブロックの生成のため、LCP手順またはMACレイヤは、状況フラグが停止に設定されていないサイドリンク論理チャネルのみを考慮する。
図25に注目すると、このことは、ステップ2510で、アクティブフラグが設定されている(すなわち、停止しているよりむしろアクティブな)LCの中で最高優先度を持つLCが選択されることを意味する。ステップ2530での優先順位付けもアクティブなチャネルの中でのみ行われる。
【0293】
より高い優先度UEが現在送信している場合、グループ内の他のUEのサイドリンク送信は停止されるものとする。UEでのLCP手順は、停止したサイドリンク論理チャネル/ProSeグループを考慮しないことになる。上記したように、このことは、停止したサイドリンク論理チャネルまたはProSeグループのデータを持つ新たなトランスポートブロックをUEが生成および送信しないことになるという結果になるだろう。
【0294】
フロア制御メカニズムがProSeグループ内のUEに対してサイドリンク送信を承認/許容する場合、ProSeグループに帰属するサイドリンク論理チャネルはアクティブになる(再開される)ものとする。UEでのLCP手順は、アクティブな/再開したサイドリンク論理チャネル/ProSeグループを考慮する。上位レイヤ(アプリケーションレイヤ)は、サイドリンク論理チャネル/ProSeグループを停止/再開し、そのことをMACに通知してもよい。
【0295】
特に、UEは以下も行うように設定されてもよい。UEが現在SC期間内でデータを送信しているサイドリンク論理チャネル/ProSeグループを上位レイヤが停止する場合、UEはSC期間内のSCI/データ(DTX)の送信を停止するものとする。
【0296】
UEは、次のSC期間に対するLCP/BSR/グラント選択手順に関して停止したサイドリンク論理チャネル/ProSeグループを考慮しないことになる。
図27は、第6の実施形態に係る例示的な方法2700を示す。特に、UEが、(ステップ2710で評価される)あるProSeグループでフロアを得れば、UEは、ステップ2720で、ProSeグループに対するすべてのサイドリンク論理チャネルを再開するまたはアクティブにする(ProSeグループに帰属するいくらかの停止した論理チャネルがあれば、それらの論理チャネルを再開する)と考え、ステップ2730で、実施形態1~5に記載したように優先順位付けおよび割当て手順に従って論理チャネルのバッファからデータを送信する。他方では、UEがフロアを有しなければ、ステップ2740で、UEは、あるProSeグループのすべての論理チャネルを停止するものとする。
【0297】
(第7の実施形態)
上記実施形態において、フロア制御は、フロアを要求するUEにそれらUEの必要性を評価することなくフロアを割り当てるための単なるメカニズムとして記載された。しかしながら、とりわけミッションクリティカルなシナリオで、それ自体のデータを通信するより重大な必要性を有するUEに、最初にフロアが与えられれば、フロア制御はより効率的であろう。
【0298】
基本的に、効率的なフロア制御は、複数のユーザ(2人以上)によるマルチキャスト/ブロードキャストリソースの公平な使用法を可能にするために、1つのUEが別のUEに先取する能力を必要とする。
【0299】
フロア制御は、したがって、異なるユーザにチャネルを割り当てるための規則も必要とする。したがって、送信されるべきデータを有するユーザを単に循環的にスケジュールすることよりむしろユーザの優先順位付けも有益である。
【0300】
本実施形態において、フロア制御はProSeユーザの優先度に基づき、それは以下UE優先度と呼ぶことにする。この優先度は概して、上記したような論理チャネル優先度、論理チャネルグループ優先度またはグループ優先度から独立した優先度であってもよい。しかしながら、UE優先度は、所与のProSeグループ内のProSeユーザのサイドリンク送信の優先度にも関連してもよい。言い換えると、論理チャネル優先度、論理チャネルグループ優先度および/または宛先グループ優先度とUE優先度との間のマッピングがあってもよい。
【0301】
フロア制御でのUE優先度処理を
図28に概略的に示す。特に、方法2800は、別のユーザ機器から受信される、物理レイヤ上のサイドリンク制御情報またはメディアアクセス制御(MAC)プロトコルデータユニット(PDU)から、ユーザ機器優先度インジケータを抽出するステップ2810を含み、ここではユーザ機器優先度インジケータはユーザ機器またはユーザ機器によって送信されるべきデータの優先度を示す。ステップ2820にて、抽出したユーザ機器優先度インジケータは、ユーザ機器に記憶される自身のユーザ機器優先度または送信されるべきデータの優先度と比較される。自身のユーザ機器優先度が、抽出したユーザ機器優先度より低い場合、(例えば、
図27に関して記載したステップ2710に対応して)、ユーザ機器は、送信のために選択されず、ユーザ端末の論理チャネルに対してバッファされるデータは送信されないと判定される(2830)。
【0302】
ステップ2830は、第6の実施形態に記載したように、ProSe宛先グループに対してユーザ機器の論理チャネルを停止することも含んでもよいことに留意されたい。
【0303】
他方では、自身のユーザ機器優先度がフロアを要求するすべての他の端末の抽出したユーザ機器優先度より高ければ、(例えば、
図27に関して記載したステップ2710に対応して)、ユーザ機器は送信のために選択され、ユーザ端末の論理チャネルに対してバッファされるデータは送信されると判定される(2840)。送信(2840)は、実施形態1~5のいずれかに示したように、優先順位付けメカニズムに基づいて行われてもよい。
【0304】
フロア要求を送信する2つ以上のUEが、グループのUEの中で最高の同じ優先度を有すれば、同じ優先度を持つUEがすべて送信してもよいか、またはなんらかのランダム選択が各UEによって行われて送信するべきか否かを決定してもよい。概して、これは、MCPTTサービスの場合、起こったとしても極めてまれであるべきである。
【0305】
たとえ先行の実施形態に示した意図がアプリケーションレイヤ上のフロア制御を適用することであったとしても、サイドリンク送信またはProSeユーザの優先度は、有利にはフロア制御メカニズムへの入力である。したがって、フロア制御の少なくとも一部分を低位レイヤに、すなわち、以上例証したように物理レイヤまたはMACに移動することが有益だろう。
【0306】
したがって、データまたは/および関連するサイドリンク制御情報(SCI:sidelink control information)はなんらかの優先度情報を含み、これに基づいて「フロア制御」メカニズムはPHY/MACレイヤ上で実現されることができ、さらに、なんらかの上位レイヤ「フロア制御」メカニズムと比較して待ち時間の利点を有する。SCI情報は、モード1およびモード2の両方に関して背景に既に上記したスケジューリング割当て(SA)の概念に対する別名である。
【0307】
特に、PHYおよびMACレイヤプロトコルは、アプリケーションレイヤプロトコルと比較して低い待ち時間を有する。したがって、PHY/MACシグナリングに優先度インジケーションを追加することが有利である。例えば、サイドリンク制御情報は、
図29に図示するように優先度フィールド2900を備えてもよい。SCIは、LTE Rel8以後でのDCIにほぼ匹敵してもよい物理レイヤの制御メッセージである。SCIは、基本的に、スケジューリング割当て(SA:scheduling assignment)という名の下で上記したような割当て情報を含む、すなわちSCIは、例えば、変調および符号化、冗長性バージョン(redundancy version)、周波数帯域、(サブ)フレーム、MIMOパラメータなどのいずれかを含み、リソースをより詳細に特定してもよい。
【0308】
一定のProSeグループ(宛先グループID)に送信しているUEは、上位レイヤによってシグナリングされてもよい(およびProSeエンティティによって設定されてもよい)または端末に予め設定されてもよいそれ自体の優先度、あるいは、送信されるべきデータの優先度を、同じグループでの他のUEからを受信されるSCIの優先度フィールド2900(ユーザ機器優先度、UEP)内で受信される優先度と比較する。受信したSCIメッセージでの優先度がそれ自体の優先度より高ければ、送信UEは、このSC期間の間、および、場合により後続のSC期間にもデータ/SCIを送信することを停止することになる。
【0309】
特に、UE優先度は、製造業者または事業者によってUEに予め設定されてもよい。より低い優先度で設定される他のUEに先取することができるマスタUEとして、いくつかのUEを予め設定することによって、単純であるが、効率的な実装が達成されてもよい。
【0310】
別の、より柔軟な手法は、ProSeエンティティによってUE優先度を設定することでもよく、この手法は、異なるミッションまたは異なるシナリオに対してUE優先度を変更する利点を提供する。
【0311】
なおさらに、UE優先度は、UEによって自律的に決定されてもよく、または、論理チャネル優先度のマッピングに基づいてProSeエンティティによって設定されてもよい。例えば、最高の優先度を持つ論理チャネルは、高いUE優先度にマッピングする一方で、すべての他のLC優先度は、低いUE優先度にマッピングする(ここでUE優先度が、0および1、または、1および0でもよい高低2つの値のみを取ることができることを例示的に前提とする)。UE優先度は、次いで、UE優先度値上へ、所与のグループに対するUEの最高のLCをマッピングすることによって決定されてもよい。上記例は、本発明を限定するものではない。むしろ、マッピングは異なっていてもよい。例えば、高いUE優先度上に2つ以上の最高LC優先度値のマッピングがあってもよい。その上、UE優先度は、3つ以上の値を取ってもよい。UE優先度が、直接、論理チャネル優先度でもよいことに留意されたい。
【0312】
(ProSeエンティティによってまたはUE自体によって)設定可能なUE優先度は、優先度が柔軟に変更されてもよい利点を有する。1つのUEが異なるProSeグループで異なる優先度を有してもよいように、UE優先度は、宛先(ProSe)グループごとに記憶/設定されてもよい。
【0313】
この手法に関しては、たとえフロアがUEによって取られるとしても、より高い優先度を持つ別のUEが送信UEに先取して、フロアを取ってもよいことが保証される。これは、優先度が高いUEほど残りのUEより小さい待ち時間でそれらのデータを送信するという結果になる。残りのUEは、それらの優先度レベルでフロアが利用可能となるまで待たなければならない。展開シナリオに応じて、データが送信のためにバッファに記憶されていた時間に比例してUEの優先度または対応するLCの優先度を増加させることが有益だろう。
【0314】
代替的に、または、SCI PHYメッセージ内の優先度フィールドに加えて、データトランスポートブロック(TB:Transport Block)は、
図30に図示するように、それぞれのMACヘッダに優先度フィールドを含んでもよい。
【0315】
MACヘッダの優先度フィールドで通知される優先度インジケーションに基づいて、UEは、上記したように、ProSeグループにデータを送信するべきか否かを決定してもよい。
【0316】
特に、MAC PDUは、MACヘッダおよびMACペイロードを含む。
図30に図示するように、現在使用されるMACヘッダ構造は、優先度フィールドをシグナリングするために再使用されてもよい。特に、MACヘッダは、有利には、MACサブヘッダの「R」予約ビット内にUE優先度インジケーションを含む。MACの「R」フィールドは、後の標準バージョンで使用するために残され、したがって優先度インジケーションを導入し、初期のリリースへの後方互換性をなお維持するのに適する。MACヘッダは非特許文献2のバージョン12.5.0の6.2.4節に記載される。
【0317】
UE優先度フィールドは先取インジケータ(preemption indicator)を通知してもよく、これは、UEが送信するのが緊急データかまたは通常データかを示す。緊急データを送信しているUEは、上記にて例証したように、通常データを送信しているUEに先取することができるであろう。特に、優先度インジケーションは、一方の値が「緊急」を示すのに対して、他方の値が通常優先度を示す単一のビットであってもよい。
【0318】
MACヘッダには、送信ProSe UE IDを識別するSRC(ソース:source)フィールドもあるので、(ProSeエンティティにおける)ProSe機能は、ProSe UE IDと、基本のUE優先度、すなわち現在送信される特定のデータに関係ないUEの優先度を基本的に示すであろう対応するUE優先度と、の間のマッピングを提供してもよい。一種の「緊急インジケータ」として上記したように使用することができる「R」フィールドと共に、受信UEは、送信UEの優先度を計算し、次いで上記した手順に従って作用することができる。すなわち、(ProSeエンティティによって設定され、それ自体のUEに記憶される基本UE優先度を考慮して)MACヘッダフィールドによって決定される優先度がそれ自体の優先度より高ければ、UEは、このSC期間、および、最適には後続のSC周期にデータを送信することを停止することになり、UEがデータを送信していない後続のSC期間の数を、このProSeグループがシグナリングまたは予め設定されることができる。言い換えると、UEは、グループにおけるUEとそれらの基本優先度との間の割当てを記憶するように構成され、MACヘッダからUE優先度インジケータを抽出するように構成され、グループにおけるUEの現在のUE優先度を、基本優先度および抽出した優先度インジケータの関数として計算するように構成されてもよい。これは、例えば、和の関数または乗算または任意の他の関数でもよい。この方途で、いくつかのUEは、より高い優先度(マスタ)で設定されてもよい一方で、現在緊急の場合、すなわち緊急データが送信されるべきである場合、低い優先度を持つUEがマスタUEに先取する可能性もなおある。
【0319】
図31は、例示的なフロア制御メカニズムを示す。3つのUEのグループG1があり、UE1はフロア制御優先度(UE優先度)が低優先度に対応するp=0、UE2は高優先度p=1、UE3は低優先度p=0である。UE1およびUE2は、それらがこのグループG1のための送信されるべきデータをバッファに有するので、両方ともSCI(SA)を提示する。対応するSA1およびSA2は、すべてのそれぞれの端末によって(または、少なくともUE1およびUE2によって)受信される。UE1は、UE2から受信したSA2からUE2の優先度p=1を抽出し、それを自身の優先度p=0と比較し、自身の方が低くなる。結果的に、UE1は、現在のSC期間でデータを送信しないものとする。UE2は、SA1を受信し、より高い自身のp=1と抽出したp=0との同様の比較をする。結果的に、UE2は、フロアを取り、データ、例えば言語データ(speech data)を送信する。
【0320】
UEが有利にはSC期間より長い間、送信を停止してもよいことに留意されたい。これは、言語データの場合とりわけ有利でもよく、その場合、言語部分が送信されるためにいくつかのSC期間を取るだろうことを前提する。したがって、UEは、SC期間より大きいフロア制御期間の継続時間の間、停止してもよい。フロア制御期間は設定可能でもよい。
【0321】
本第7の実施形態が有利には、フロア制御結果に応じて論理チャネルを停止/再開することに関する第6の実施形態と組み合わされてもよいことに留意されたい。しかしながら、第7の実施形態は第6の実施形態なしで機能してもよい。同様に、第7の実施形態は有利には第1~5の実施形態と組み合わされてもよい。
【0322】
上記実施形態の組合せの例を
図32に例示する。特に、
図31を参照しつつ記載した例と同様にグループG1は、UE1、UE2およびUE3を含む。すべての3つのUEは送信されるべきデータを有し、したがって単独で実施形態1~5のいずれかに記載した優先順位付け手順を行う。結果として、UE1およびUE2はグループG1に送信することになる一方で、UE3は別のグループに送信することになる。SA1およびSA2の送信、ならびに、UE1およびUE2によるそれらの相互受信は、上記したように行われる。UE1は、実施形態6に従って、送信を停止し、グループG1に対するその論理チャネルを停止する。
【0323】
要約すると、
図33にも例示するように、第5の実施形態によれば、ユーザ機器間の直接通信をサポートする無線通信システムにおいて動作可能なユーザ機器は、複数の宛先グループを特定するサイドリンク設定が記憶され、各宛先グループは、サイドリンクデータのための可能な宛先を含む、記憶装置3320であって、サイドリンク宛先グループのために設定される論理チャネルからの各論理チャネルに対する論理チャネル優先度を記憶する、記憶装置3320と、送信のために利用可能なデータを有するサイドリンク論理チャネルの中で最も高い論理チャネル優先度を持つ、送信のために利用可能なサイドリンクデータを有するサイドリンク論理チャネルを持つサイドリンク宛先グループを選択し、選択したサイドリンク宛先グループに帰属するサイドリンク論理チャネルに対して優先度の降順に無線リソースを割り当てるように構成されるスケジューリング部3310と、を備える。
【0324】
ユーザ端末は、行った優先順位付けに従っておよび割り当てたリソースでデータを送信する送信部3370をさらに含んでもよい。
【0325】
有利には、論理チャネル優先度は、データ宛先の宛先グループと関連づけられる宛先グループ優先度、搬送されるデータの種類に従ってグループ化される一群の論理チャネルと関連づけられる論理チャネルグループ優先度、ユーザ機器の地理的位置、ユーザ機器が動作している緊急レベル、およびユーザ機器識別子の少なくとも2つに依存する。
【0326】
ユーザ機器は、移動通信システムのProSeエンティティにおけるProSe機能によって決定されるそれぞれの論理チャネルに対する論理チャネル優先度のインジケーションを受信し、論理優先度を記憶装置に記憶するための受信部3360をさらに備えてもよい。
【0327】
代替的に、ユーザ機器のスケジューリング部3310は、論理チャネルに対する論理チャネル優先度を決定するように構成される。このことは、グループ優先度および/またはLCG優先度などのProSeエンティティから受信されるパラメータを基礎としての他に、さらに、受信および/または記憶されるパラメータに基づいて行われてもよい。
【0328】
ユーザ機器は、論理チャネルに対して送信されるべきデータを記憶するバッファ3330と、優先度の自身の再計算に基づいて、または、ProSe機能から受信される指令に基づいて、上記論理チャネルに対する現在の優先度を修正優先度に修正する優先度設定部3340と、をさらに備えてもよい。上記したように、修正は修正優先度を持つ新たな論理チャネルを開くことによって行われ、残りのデータを持つ論理チャネルを、バッファ内のデータが送信されるまで設定させてもよい。
【0329】
代替的に、修正前にバッファに記憶されたデータは、現在の優先度が修正優先度より高いか否か、修正優先度のレベル、および、修正の原因の少なくとも1つに応じてフラッシュ(flush)されるかまたは現在の優先度で送信されるかいずれかである。その上、ユーザ機器は、ユーザ機器が無線通信システムのユーザ機器の中でデータを送信するように選択されるか否かを判定し、ユーザ機器が選択されない場合、そのサイドリンク論理チャネルを停止し、データ発信ユーザ機器が選択された場合、先だって停止されたそのサイドリンク論理チャネルを再開するように構成されるフロア制御部3350を備えてもよく、スケジューリング部は、選択し、リソースを割り当てるためには停止された論理チャネルを考慮しない。
【0330】
例えば、フロア制御部3350は、ユーザ機器間および/またはMACより上のレイヤにおける近接サービスエンティティ間の無線通信システムで交換されるメッセージに従って、ユーザ機器がデータを送信するべきか否かを決定するように構成されてもよく、ユーザ機器がデータを送信するべきでないと決定した上で、ユーザ機器は、スケジューリング割当ておよび対応するデータの1回の送信に対応する期間であるサイドリンク制御期間内で自身のデータおよび/またはサイドリンク制御情報の送信を停止する。
【0331】
フロア制御部3350は、別のユーザ機器から受信される、物理レイヤ上のサイドリンク制御情報またはメディアアクセス制御(MAC)プロトコルデータユニット(PDU)から、ユーザ機器優先度インジケータを抽出し、ユーザ機器優先度インジケータは、ユーザ機器またはユーザ機器によって送信されるべきデータの優先度を示し、抽出したユーザ機器優先度インジケータを、ユーザ機器に記憶される自身のユーザ機器優先度または送信されるべきデータの優先度と比較し、自身のユーザ機器優先度が抽出したユーザ機器優先度より低い場合、ユーザ機器が送信のために選択されないと判定するようにも構成されてもよい。
【0332】
特に、ユーザ機器がフロア(floor)を有し、同時に、より高いユーザ機器優先度を持つ別のユーザ機器からのサイドリンク制御情報を受信した場合、フロア制御部は、送信を停止し、したがって他のユーザ機器にフロアを委ねるように構成される。
【0333】
ユーザ機器優先度は、MAC PDUのMACヘッダ内で通知されても、無線通信システムの近接サービス(ProSe)エンティティによって設定されてもよい。
【0334】
ユーザ機器は、論理チャネル優先度と関連づけられるバッファ3330の状況を無線通信システムのネットワークノードに報告するためのバッファ状況報告部をさらに備えてもよい。
【0335】
さらには、ユーザ機器間の直接通信をサポートする無線通信システムにおいて動作可能なネットワークノードが提供され、ネットワークノードは、複数の宛先グループを特定するサイドリンク設定がユーザ機器ごとに記憶され、各宛先グループは、サイドリンクデータのための可能な宛先を含む、記憶装置であって、サイドリンク宛先グループのために設定される論理チャネルからの各論理チャネルに対する論理チャネル優先度を記憶する、記憶装置と、送信のために利用可能なデータを有するサイドリンク論理チャネルの中で最高論理チャネル優先度を持つ、送信のために利用可能なサイドリンクデータを有するサイドリンク論理チャネルを持つサイドリンク宛先グループを選択し、選択したサイドリンク宛先グループのユーザ機器に相応に無線リソースを割り当てるように設定されるスケジューリング部と、を備える。
【0336】
その上、ネットワークノードは、優先度決定およびリソース割当てが行われるユーザ機器にスケジューリング割当てを送信するための送信部を、さらに備えてもよい。スケジューリング割当ては、1つまたは複数のグループのUEに帰属する複数のUEからの優先度およびリソース要求のその評価に基づいて、ネットワークノードによって生成される。ネットワークノードは、LTEまたは任意の他のアクセスポイントにおけるeNBなどの基地局でもよい。
【0337】
その上、ユーザ機器間の直接通信をサポートする無線通信システムにおいて動作可能なユーザ機器で行われるべき方法が提供され、方法は、複数の宛先グループを特定するサイドリンク設定を記憶し、各宛先グループは、サイドリンクデータのための可能な宛先を含み、さらに、サイドリンク宛先グループのために設定される論理チャネルからの各論理チャネルに対する論理チャネル優先度を記憶し、送信のために利用可能なデータを有するサイドリンク論理チャネルの中で最高論理チャネル優先度を持つ、送信のために利用可能なサイドリンクデータを有するサイドリンク論理チャネルを持つサイドリンク宛先グループを選択し、選択したサイドリンク宛先グループに帰属するサイドリンク論理チャネルに優先度降順に無線リソースを割り当てる方法である。
【0338】
<本開示のハードウェアおよびソフトウェア実装>
他の例示的な実施形態は、ハードウェアおよびソフトウェアを使用する上記した様々な実施形態の実装に関する。これに関連して、ユーザ端末(移動端末)およびeNodeB(基地局)が提供される。ユーザ端末および基地局は、受信器、送信器、プロセッサなど、本明細書に記載した方法に適切に関与する対応するエンティティを含め、同方法を行う。
【0339】
様々な実施形態がコンピューティング装置(プロセッサ)を使用して実装されてもまたは行われてもよいとさらに認識される。コンピューティング装置またはプロセッサは、例えば汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)または他のプログラマブル論理装置などでもよい。様々な実施形態はこれらの装置の組合せによって行われてもまたは具象化されてもよい。
【0340】
さらに、様々な実施形態はソフトウェアモジュールを用いて実装されてもよく、ソフトウェアモジュールはプロセッサによってまたはハードウェアで直接実行される。また、ソフトウェアモジュールおよびハードウェア実装の組合せも可能だろう。ソフトウェアモジュールは任意の種類のコンピュータ可読記憶媒体、例えばRAM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、レジスタ、ハードディスク、CD-ROM、DVDなどに記憶されてもよい。
【0341】
異なる実施形態の個々の特徴が個々にまたは任意の組合せで別の実施形態の主題であることにさらに留意するべきである。
【0342】
当業者によって、多数の変形および/または修正が具体的な実施形態に示すように本開示になされてもよいことが認識されるであろう。本実施形態は、したがって、すべての点で例示的であり限定的でないと考えられるべきである。
【0343】
要約すると、本開示はユーザ機器で行われるべき方法に、およびユーザ機器間の直接通信をサポートする無線通信システムにおいて動作可能なユーザ機器に関する。したがって、サイドリンク設定がユーザ機器に記憶され、複数の宛先グループを特定し、各宛先グループはサイドリンクデータのための可能な宛先を含み、さらに、サイドリンク宛先グループのために設定される論理チャネルからの各論理チャネルに対して論理チャネル優先度が記憶される。端末は、次いで、送信のために利用可能なデータを有するサイドリンク論理チャネルの中で最も高い論理チャネル優先度を持つ、送信のために利用可能なサイドリンクデータを有するサイドリンク論理チャネルを持つサイドリンク宛先グループを選択し、選択したサイドリンク宛先グループに帰属するサイドリンク論理チャネルに優先度降順に無線リソースを割り当てる。