(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】船舶の補助補正システム及びその運用方法
(51)【国際特許分類】
G08G 3/02 20060101AFI20221108BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20221108BHJP
B63B 49/00 20060101ALI20221108BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
G08G3/02 A
G05D1/02 S
G05D1/02 K
B63B49/00 Z
G01C3/06 120S
(21)【出願番号】P 2021089771
(22)【出願日】2021-05-28
【審査請求日】2021-05-28
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】513185951
【氏名又は名称】財團法人船舶▲曁▼▲海▼洋▲産▼▲業▼研發中心
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】曽 俊舜
(72)【発明者】
【氏名】陳 宜祥
(72)【発明者】
【氏名】郭 以平
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-092820(JP,A)
【文献】特開2019-097114(JP,A)
【文献】特開2017-178242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
B60W 10/00 - 60/00
G05D 1/02
B63B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水上運搬具に配置された少なくとも1つの撮影装置でキャプチャされた少なくとも1つの基本画像を受信するための受信機と、
少なくとも1つの機械可読なグリッドを格納するためのストレージと、
前記
水上運搬具の状態を検出すると共に少なくとも1つの感知データを生成するための少なくとも1つのセンサーと、
前記受信機、前記ストレージ及び前記少なくとも1つのセンサーに接続され、前記少なくとも1つの基本画像及び少なくとも1つの機械可読なグリッドに基づいて少なくとも1つの距離パラメータを生成し、前記少なくとも1つの感知データに従って前記距離パラメータを調整する必要があるかどうかを判定するように構成されるプロセッサと、
前記プロセッサに接続され、少なくとも1つの補助画像を表示するように構成されるモニターと、
を含む船舶の補助補正システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのセンサーは、傾斜センサー、加速度センサーまたはこれらの組み合わせである請求項1に記載の船舶の補助補正システム。
【請求項3】
船舶の補助補正方法であって、
請求項1に記載の船舶の補助補正システムを用意するステップ(A)、
少なくとも1つの撮影装置によって少なくとも1つの障害物を含むシーンを撮影して少なくとも1つの基本画像を生成するステップ(B)、
プロセッサを介して前記少なくとも1つの基本画像及び少なくとも1つの機械可読なグリッドを分析して、前記シーン内の任意の障害物の距離パラメータを推定するステップ(C)、
前記プロセッサは、前記少なくとも1センサーで生成された感知データに基づいて補正されるべき前記少なくとも1つの距離パラメータを判定するステップ(D)、
前記プロセッサが補正パラメータに基づき、判定を経た前記少なくとも1つの距離パラメータを補正するステップ(E)、
前記モニターを介して補正する必要のない前記少なくとも1つの距離パラメータ、または補正後の前記少なくとも1つの距離パラメータを表示するための少なくとも1つの仮想標識を有する少なくとも1つの補助画像を表示するステップ(F)、を含む船舶の補助補正方法。
【請求項4】
ステップ(B)は、前記プロセッサを介して、前記シーンに前記少なくとも1つの障害物があるかどうかを判断し、前記シーンに前記少なくとも1つの障害物が含まれる場合、前記撮影装置は前記シーンを撮影して、前記少なくとも1つの基本画像を前記受信機に出力するステップ(B1)を含む請求項3に記載の船舶の補助補正方法。
【請求項5】
ステップ(B1)は、前記プロセッサを介して前記シーン内で判読された前記少なくとも1つの障害物が予め設定された条件を満たしているかどうかを確認するステップ(B11)をさらに含み、ここで前記少なくとも1つの障害物が予め設定された条件を満たした場合、前記シーンに基づいて対応する前記少なくとも1つの基本画像を生成できることを確認する請求項4に記載の船舶の補助補正方法。
【請求項6】
ステップ(C)は、前記プロセッサが、
前記撮影装置を表す第1基準点を前記少なくとも1つの機械可読なグリッド上に設定し、前記第1基準点に基づいて前記
水上運搬具の2つの相対端点を表す第2基準点を前記少なくとも1つの機械可読なグリッドに設定するステップ(C1)、
前記少なくとも1つの基本画像内の前記少なくとも1つの障害物の画像特徴点を、前記少なくとも1つの機械可読なグリッドの対応する目標点にマッピングするステップ(C2)、
前記少なくとも1つの第2基準点と前記少なくとも1つの第1基準点及び前記少なくとも1つの目標点の間の距離に基づいて計算して、前記少なくとも1つの障害物の画像の距離パラメータを得ると共にすべての障害物の画像の距離パラメータの定義が完了するまで、ステップ(C2)及びステップ(C3)を繰り返して実行するステップ(C3)を含む請求項3に記載の船舶の補助補正方法。
【請求項7】
ステップ(D)は、
前記プロセッサが、前記少なくとも1つの感知データの第1動揺係数が第1閾値よりも大きいかどうか、かつ第2動揺係数が第2閾値よりも大きいかどうかを判定し、仮に前記第1動揺係数及び前記第2動揺係数のいずれかが対応する閾値よりも高い場合、前記少なくとも1つの基本画像の全ての距離パラメータを補正しなければならないステップ(D1)、
前記プロセッサが、前記第1動揺係数及び前記第2動揺係数を使用して前記補正パラメータを提供するステップ(D2)含む請求項3に記載の船舶の補助補正方法。
【請求項8】
ステップ(D)は、ステップ(D1)と(D2)との間で前記プロセッサは前記少なくとも1つの感知データに基づいて前記第1動揺係数または前記第2動揺係数の持続時間が許容値を超えるかどうかをさらに判定するステップ(D3)を選択的に実行でき、ここで前記持続時間が前記許容値を超えない場合、前記少なくとも1つの距離パラメータを補正せずにステップ(F)を続行する請求項7に記載の船舶の補助補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助補正システム及びその運用方法に関し、特に、船舶の補助補正システム及びその運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経路計画は、無人水上運搬具の制御における基本的な課題である。セントラルコンピュータは、無人水上運搬具の航行開始から目標に到達するまでたどるよう航行経路を完全に指定し、前記航行経路が通常航行環境内の障害物と衝突しないようにするか、衝突が起きる可能性を最小限に抑える。
【0003】
ライダ技術は、距離検出に幅広く使用されていることが知られている。無人水上運搬具は、通常ライダー(LiDAR)で航路シーンを探査するが、ライダー(LiDAR)が水域環境にある時、水面の干渉要因の影響(例えば水面での光の反射、うねりまたは水蒸気等)をよく受けて、測定精度及び実用性を低下させるため、実際に応用する時、通常、他の計測方法を補足して完備させることができる。
【0004】
ライダ技術と比較して、画像計測技術は、環境に影響される程度が比較的小さい。ただし水面の変動に基づくと、例えば突然水面の高低差が大きくなる状況に遭遇すると、障害物が高低差により上下に揺れ、画像計測に著しい誤差が生じ、無人水上運搬具の航行安全に影響を与え、または障害物の位置または形状の特徴が時間の経過とともに変化する可能性がある(例えば大型浮流物が水流方向に基づいて移動する可能性がある)。したがって経路計画の挑戦は、画像計測の処理速度がリアルタイムであり、ユーザーに適時監視させなければならない。ユーザーは、無人水上運搬具の航行経路を確認したとき、実際の航行環境の画像に基づいて監視し、状況を見てリアルタイムで航行経路の補正/調整をする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の少なくとも1つの問題を解決するため本発明は、補助補正システム及びその運用方法に関し、特に、リアルタイムで障害物の距離と検出環境と一致する画像を表示する利点を持ち、船舶に用いられる補助補正システム及びその運用方法に関する。具体的にあらかじめ設定された機械可読な(Machine-readable)グリッドで障害物の距離パラメータを決定し、センサーの感知データに基づきこの距離パラメータが正常(すなわち、検出環境による誤差を排除)であることを確認すると共に補正するため、ライダー(LiDAR)を使用せずに障害物に対する距離測定を完了でき、うねりが比較的大きな水域(例えば海上)の障害物の測定にも使用できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の少なくとも1つの実施例は、受信機と、ストレージと、少なくとも1つのセンサーと、プロセッサと、モニターと、を備えた船舶の補助補正システムであり、前記プロセッサが前記受信機、前記ストレージ及び前記少なくとも1つのセンサーと互いに接続し、前記モニターが前記プロセッサに接続される。
【0007】
本発明の少なくとも1つの実施例は、船舶の補助補正方法である。前記方法は、前記船舶の補助補正システムを用意するステップと、撮影装置によって少なくとも1つの障害物を含むシーンを撮影して少なくとも1つの基本画像を生成するステップと、プロセッサを介して前記少なくとも1つの基本画像及び少なくとも1つの機械可読な(Machine-readable)グリッドを分析して、前記シーン内の任意の障害物の距離パラメータを推定するステップと、前記プロセッサは、少なくとも1センサーで生成された感知データに基づいて補正されるべき前記少なくとも1つの距離パラメータを判定するステップと、前記プロセッサが補正パラメータに基づき、判定を経た前記少なくとも1つの距離パラメータを補正するステップと、モニターを介して補正する必要のない前記少なくとも1つの距離パラメータ、または補正後の前記少なくとも1つの距離パラメータを表示するための少なくとも1つの仮想標識を有する少なくとも1つの補助画像を表示するステップと、を含む。前記少なくとも1つの基本画像には、前記輸送用具に対する少なくとも1つの障害物の距離を表示する。
【0008】
上記本発明の概要は、本発明の幾つか態様及び技術的特徴に対し基本的な説明を行うことを目的とする。発明の概要は、本発明の詳細な説明ではないため、その目的は特別に本発明のキーとなる或いは重要要素を挙げることなく、本発明の範囲を画定するために用いられることはなく、単に本発明のいくつかの概念を簡潔に開示する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のいくつかの実施例に係る船舶の補助補正システム構成図である。
【
図2】本発明のいくつかの実施例に係る船舶の補助補正システムのシーンを示す図である。
【
図3】本発明のいくつかの実施例に係る船舶の補助補正方法の運用方法のフローチャートである。
【
図4】本発明のいくつかの実施例に係る船舶の補助補正方法の基本画像の出力を示す概略図である。
【
図5】本発明のいくつかの実施例に係る船舶の補助補正方法の基本画像の出力を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の技術的特徴及び技術的内容をさらに理解するため、以下の本発明に関する詳細な説明及び図面を参照されたい。
【0011】
本発明の少なくとも1つの実施例は、補助補正システム及びその運用方法に関し、特に、船舶に用いられる補助補正システム及びその運用方法に関する。
【0012】
図1及び
図2を一緒に参照すると
図1は、本発明のいくつかの実施例に係わる船舶の補助補正システム1の模式図であり、
図2は、本発明のいくつかの実施例に係る船舶の補助補正システム1のシーンP0を示す模式図である。
図1に示すように、前記船舶の補助補正システム1が輸送用具P1内に設けられ、受信機10と、ストレージ20と、少なくとも1つのセンサー30と、プロセッサ40と、モニター50と、を備え、プロセッサ40が受信機10、ストレージ20、モニター50及び少なくとも1つのセンサー30と互いに接続する。
図1の受信機10は、少なくとも1つの撮影装置11によってキャプチャされた少なくとも1つの基本画像100を受信し、ならびに少なくとも1つの基本画像100をストレージ20に選択的に保存/直接プロセッサ40に送信するように構成される。
【0013】
図1及び
図2に示される実施例において輸送用具P1は、スピードボート、漁船、観光船などの小型水上運搬具であり得、他の無人船(戦艦、クルーズ船などの大型水上運搬具)に応用され得る。本発明の態様は、これに限定されない。この時、いわゆる撮影装置11は、デジタルビデオカメラ(DV)、デジタルスチルカメラ(Digital Still Camera、DSC)、デジタルビデオカメラ(DVR)、または撮像機能を有する他の電子機器/カメラシステムを広く指し、少なくとも1つの障害物P2の画像を含む基本画像100をキャプチャ及び出力するように構成される。ここでの障害物P2とは、開放/閉鎖性水域の静的/動的障害物を指す。本実施例は、使用する撮影装置11の数を1つまたは複数を特に限定するものではなく、本実施例を応用する者は、輸送用具P1のサイズに応じて適切な撮影装置11の数を決定して、本願の上記目的を実現することができる。下記実施例において、撮影装置11の数は1つであり、針路上の輸送用具P1と障害物P2の最も近い位置を特徴づけるために輸送用具P1の船首端に設けられると仮定される。プロセッサ40は、撮影装置11の位置情報を取得するだけで、推定により障害物P2と輸送用具P1との間の最短距離を得ることができる。
【0014】
図1及び
図2内のセンサー30は、輸送用具P1の内部または周辺に配置され、輸送用具P1の運航状態(例えば傾斜角度または速力)を検出するために用いられ、または輸送用具P1と前述の障害物P2との間の距離の検出支援に用いられる。本実施例のセンサー30は、傾斜センサー、加速度センサー及び速度センサーを備えた機能モジュールを例としているが、当然これに限定されないことに留意されたい。当然のことながら例えばひずみセンサー、変位センサー、光センサー、回転センサー、角度センサー、または角速度センサーを運用して異なる検出パラメータの生成を支援できる。本実施例の説明は、以下、感知データと呼ばれる。
【0015】
ストレージ20は、少なくとも1つの機械可読な(Machine-readable)グリッドを格納するように実施され、プロセッサ40を介して前記機械可読な(Machine-readable)グリッドを読み取ると共に実行することができる。前記ストレージ20は、プロセッサ40に読み取られる形態の情報(機械可読な(Machine-readable)グリッドまたは命令)を格納するための任意のデバイス、例えば揮発性(volatile)または不揮発性(non-volatile)、磁気的、半導体、磁気テープ、光学式、取り外し可能、取り外し不可、またはこれらの組み合わせの大容量ストレージモジュールである。しかしながらこれらの描写は、単なる例であり、本発明ではこれに限定されないことを理解されたい。
【0016】
前記プロセッサ40は、受信機10及びストレージ20に接続され/受信機10と、ストレージ20と、を備え、かつストレージ20に格納された命令を実行し、またはストレージ20との有線/無線通信を介して操作関連の各種データ(例えば1個または複数の感知データ、距離パラメータ、基本画像100または機械可読な(Machine-readable)グリッド等)を書き込む及び/または読み取ることで、本実施例の前記船舶の補助補正システム1の操作を実現するように構成され得る。
【0017】
図1及び
図2に示されるようにプロセッサ40は、基本画像100及び機械可読な(Machine-readable)グリッドを分析して、任意の障害物P2の画像を形成する距離パラメータを推定し、1つまたは複数の特徴的な関係を感知することに基づきこの距離パラメータを調整する必要があるかどうかを判定して、モニター50に補助画像200を表示するように構成される。この時、前記補助画像200の表示態様は、各障害物P2の通常の距離パラメータ(すなわち、補正する必要のない距離パラメータ)またはプロセッサによって補正された距離パラメータを含み、前記輸送用具P1と任意の障害物P2の現在の相対位置(相対方位や距離数値など)あるいは輸送用具P1の現在の航行状態(速度や傾斜角度など)をユーザーに指示するために用いられる。詳細にはプロセッサ40は、境界としての機械可読な(Machine-readable)グリッドに従って前述の基本画像100を分割し、各分割領域の幅に従って任意の障害物P2の画像に対して任意の距離測定を実行する。具体的に機械可読な(Machine-readable)グリッドは、基本画像100内に撮影装置11及び任意の障害物P2を表す画像のマッピングされた座標位置を提供するように構成され得る。実際、いわゆる幅は、機械可読な(Machine-readable)グリッド内の輸送用具P1の2つの相対端点間の幅の平均値として理解することができる。
【0018】
プロセッサ40及びモニター50の型番及び/または種類は、ここでは明確に定義されていないが、当業者として前記プロセッサ40がマイクロプロセッサであり得、従来のプロセッサ、コントローラ、または計算を実現するための他のコンポーネントの組み合わせ/構成であってもよいことを容易に理解することができることに留意されたい。モニター50は、コンピュータディスプレイ/スクリーン、テレビモニター/スクリーン、または仮想現実デバイスディスプレイ/スクリーンであり得、投影マッピング機能を備えたディスプレイでもあり得る。
【0019】
実施例に実際に応用される前述の操作内容の原理の理解及び説明を容易にするため、以下に
図2、
図3及び
図4~
図5の順に説明する。
【0020】
まず
図1~
図2と併せて
図3を参照されたい。
図3は、本発明のいくつかの実施例に係る船舶の補助補正方法の運用方法のフローチャートである。前記方法は、ステップ(A)~ステップ(F)を含み、すなわち船舶の補助補正システムを用意(ステップ(A))し、本実施例においては、
図1の前記船舶の補助補正システム1が使用される。次に撮影装置11によって少なくとも1つの障害物P2を含むシーンP0を撮影して少なくとも1つの基本画像100を生成する(ステップ(B))。さらにプロセッサ40を介して基本画像100及び機械可読な(Machine-readable)グリッドを分析して、シーンP0内の個々の障害物P2の距離パラメータを推定する(ステップ(C))。ここでの前記距離パラメータは、障害物P2と輸送用具P1との間の最短距離を特徴づけるように、機械可読な(Machine-readable)グリッドにおける各障害物P2と撮影装置との相対位置情報を表すために用いられる。次にプロセッサ40は、センサー30で生成された感知データに基づいて補正されるべき距離パラメータを判定する(ステップ(D))。プロセッサ40は、補正パラメータに基づき、判定を経た距離パラメータを補正する(ステップ(E))。モニター50を介して通常の距離パラメータ(補正する必要のない距離パラメータ)、または補正後の距離パラメータを表示するための少なくとも1つの仮想標識を有する補助画像200を表示する(ステップ(F))。ステップ(D)で補正が必要な対象(距離パラメータ)を判定しない場合、補正方法がステップ(E)を省略し、直接ステップ(F)に進む。
【0021】
ステップ(B)は、シーンP0の選択手順に関連し、ステップ(B1)を含む。ステップ(B1)では、プロセッサ40を介して、シーンP0に前記障害物P2があるかどうかを判断し、前記シーンP0に障害物P2が含まれる場合、撮影装置は前記シーンP0を撮影して、前記基本画像100を受信機10に出力する。具体的には、ステップ(B1)の構成例において、センサー30は、対応する検出結果をプロセッサ40に提供して、シーンP0内の障害物P2を判読するための光感知要素を備え、例えば光感知要素は、光源から放出されシーンP0における障害物P2によって反射された光を受信/感知することにより、プロセッサ40が障害物P2の存在の有無を判読するために使用できる検出結果を生成する。この構成例で光感知要素は、従来の電荷結合素子(Charge-coupled Device、CCD)、相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor、CMOS)、または光感知機能を備えた他の要素であり得る。
【0022】
なおステップ(B1)の他の構成例は、選択的にステップ(B11)を含み得る。ステップ(B11)では、プロセッサ40を介してシーンP0内で判読された障害物P2が予め設定された条件を満たしているかどうかを確認し、すなわち予め設定された条件は任意の障害物P2の画像の期待される解像度が閾値よりも高いかどうかを判断することと同等である。いわゆる期待される解像度は、撮影装置11によって出力された画像内の障害物画像(すなわち、任意の障害物P2の画像)のピクセル数によって決定され、いわゆる閾値は、ユーザプログラマブルされ、プロセッサ40の感度に合わせて設計され得る予め設定されたピクセル数の閾値である。したがってプロセッサ40が、任意の障害物P2の画像の期待される解像度が限界値以上であると判定した場合、前記シーンP0に従って基本画像100を対応して生成することができる。プロセッサ40が、任意の障害物P2の画像の期待される解像度が限界値よりも低いと判定した場合、前記シーンP0を捨ててステップ(B1)を再度実行する。
【0023】
本実施例において、ステップ(C)は、ステップ(C1)~(C3)をさらに含み、プロセッサ40を介して基本画像100内の障害物P2の画像の各距離パラメータを1つずつ計算する。まずステップ(C1)では、撮影装置11を表す第1基準点を機械可読な(Machine-readable)グリッド上に設定し、第1基準点に基づいて輸送用具P1の2つの相対端点を表す第2基準点を機械可読な(Machine-readable)グリッドに設定する。次にステップ(C2)では、基本画像100内の各障害物P2の画像特徴点を、機械可読な(Machine-readable)グリッドの対応する目標点にマッピングする。さらにステップ(C3)では、個々の第2基準点と第1基準点及び各目標点の間の距離に基づいて計算して、任意の障害物P2の画像の距離パラメータを得る。上記のステップでは、三角関数アルゴリズムを使用し、すべての障害物P2の画像の距離パラメータの定義が完了するまで、ステップ(C2)及びステップ(C3)を繰り返して実行することができる。一般的に言えば、ステップ(C1)~(C3)の実行は、反復計算と組み合わせて実現することもできる。この場合、ステップ(C1)及びステップ(C3)は、当業者が理解できるステップを含むことができる。
【0024】
ステップ(C2)で言及される特徴点は、複数の障害物P2の画像のエッジ端点から少なくとも1つの可能な隣接点を選択することであり、ここで隣接点はプロセッサ40が輸送用具P1に対応する実際の端点をシミュレートする位置に基づいて異なる距離の定義があり、各障害物P2と輸送用具P1が実際に衝突確率の高い仮想点位置(すなわち、エッジ端点)を特定する。輸送用具P1の実際の端点位置は、予め設定された情報にすることができ、またはプログラム言語(Pythonなど)と反復計算を使用して得ることもできる。同様に、障害物P2の画像のエッジ端点も同じ方法で決定できる。
【0025】
さらに前述の記述からステップ(C2)の目標点は、変換行列の後に機械可読な(Machine-readable)グリッド上に表示される個々の特徴点の相対座標であることが理解することができる。この場合の変換行列は、基本画像100における各障害物P2の画像と機械可読な(Machine-readable)グリッドとの間の位置対応関係に及び、かつ前記変換行列はストレージ20に予め格納することができ、またはプロセッサ40はその時点で得られた位置対応関係に基づいて生成されることに留意されたい。なお、変換行列の計算は単純なアルゴリズムの一般的な応用に過ぎないことを考慮して、ここでその説明を省略する。
【0026】
ステップ(D)は、補正対象(すなわち、補正を必要とする距離パラメータ)の判定に関し、またステップ(D1)~(D2)をさらに含む。ステップ(D1)では、プロセッサ40は、感知データの第1動揺係数が第1閾値よりも大きいかどうか、かつ第2動揺係数が第2閾値よりも大きいかどうかを判定する。仮に第1動揺係数及び第2動揺係数のいずれかが対応する閾値(第1閾値または第2閾値)よりも高い(またはそれ以上である)場合、基本画像100の全ての距離パラメータを補正しなければならず、ステップ(D2)では、プロセッサ40は、第1動揺係数及び第2動揺係数を使用して前記補正パラメータを提供する。本実施例において補正パラメータは、第1動揺係数に第2動揺係数を掛けることによって得られ、当然本発明は、第1動揺係数及び第2動揺係数において特定の計算モデルを使用して前記補正パラメータを提供することもできるが、これに限定されない。ここで注目すべきは、第1閾値と第2閾値がどちらも予め定められた値であり、実際の応用ニーズ-に応じてのみ選択される。例えば第1動揺係数が輸送用具P1の横揺れ程度を示すために用いられる場合、第1閾値は、設置された撮影装置11の対応する動揺防止程度に応じて決定され、第2動揺係数は、輸送用具P1の縦揺れ程度を示すために用いられる場合も同様である。なお、第1動揺係数及び第2動揺係数のいずれかも輸送用具P1の上下揺れ程度を示すために用いられることができ、輸送用具P1の航行水域の違いに応じて定義される。
【0027】
センサー30がタイマーを含む場合、ステップ(D1)と(D2)との間で選択的にプロセッサ40は、第1動揺係数または第2動揺係数の持続時間が許容値を超えるかどうかをさらに判定するステップ(D3)を実行できる。ここで、持続時間が許容値を超えない場合、今回の距離パラメータを補正せず(すなわち、ステップ(D2)を続行しない)、プロセッサ40は、ユーザーが確認できるようにステップ(C)の処理を経て生成された補助画像200をモニター50に送信する(すなわち、ステップ(F))。この実施例において、持続時間に関連する許容値は、撮影装置11の適応アルゴリズムの補正仕様に従って決定され、実際の状況(例えば風速、流速などの環境要因)に応じて動的定義または他のタイプの定義を与えることができ、本発明はこれを限定しない。
【0028】
その他の可能な実施例において、輸送用具P1に出力が必要な補正パラメータの違い(輸送用具P1が海上航路にある時)に基づき、ステップ(D1)~(D2)もステップ(E)内のステップ(E1)~(E4)に置き換えることができる。ステップ(E1)では、プロセッサ40は、予め定義された標準画像に従って第1水平線を抽出し、基本画像100の第2水平線を抽出する。ステップ(E2)では、プロセッサ40は、標準画像に基本画像100を重ね合わせて、重ね合わせデータを形成し、この時重ね合わせデータ内には、第1水平線及び第2水平線の情報が同時に含まれる。ステップ(E3)では、プロセッサ40内のシミュレーション要素を介してマークを第1水平線及び第2水平線に投影して、オフセットを有する基準マーク(第1水平線)及び補正マーク(第2水平線)を構成する。ステップ(E4)では、プロセッサ40は、前記基準マークと前記補正マークとの間のオフセット値を計算して、前記補正パラメータを形成する。
【0029】
図2及び
図3と併せて
図4及び
図5を参照されたい。
図4及び
図5は、本発明のいくつかの実施例に係る船舶の補正支援方法の補助画像200の出力を示す概略図である。
図4は、本発明を近距離検出に適用した場合の出力形態を示し、
図5は、本発明を長距離検出に適用した場合の出力形態を示す。いわゆる短距離、中距離及び長距離には特別な距離値の制限はなく、障害物P2と輸送用具P1との間の相対距離の概念的な表現に過ぎない。本実施例が水上を走行する無人運搬具に応用されることに着目し、多くの水面干渉要因が考慮されるため、航路シーンP0と一致する画像を表示して輸送用具P1の経路を適時調整する必要がある。なお、監視の効果を向上させるため、本実施例の実際の応用において、モニター50は、プロセッサ40の出力情報(例えば距離パラメータ)に応答するため、仮想標識を有する補助画像200を表示するように構成されている。具体的にステップ(E)を実行する前に、プロセッサ40は、各距離パラメータを使用してそれに対応する仮想標識を生成し、仮想標識を基本画像100に埋め込み、補助画像200を形成して、モニター50に出力する。このようにして、衝突確率判断根拠とした距離パラメータは、先に仮想標識に基づいて識別される。
【0030】
図4及び
図5の仮想標識は、物体情報1101と、運搬具情報1012と、を含み得るが、これに限定されない。その他の実際の応用において、前記仮想標識は、選択的にグリッド線情報1103をさらに含み得る。物体情報1101は、任意の障害物P2と輸送用具P1との間の距離値(cm)及び任意の障害物P2の輸送用具P1に対する方向(方位)の集合であり、ここでの距離値が前記距離パラメータの値に等しい。運搬具情報1012は、輸送用具P1のリアルタイム船速の速力値(knot)である。グリッド線情報1103は、前記機械可読な(Machine-readable)グリッドを線の形で表される視覚的形態である。
【0031】
なお仮想標識も例えばセンサー30の検出範囲または障害物P2の輪郭などの線性で表現された他の情報を選択的に含み得る。基本データに埋め込まれた仮想標識を効果的に識別するため、本発明は実際の応用時、ステップ(E)の実行前にプロセッサ40を利用して物体情報1101、運搬具情報1012及びグリッド線情報1103を属性に応じてカラーリングすることができ、例えば物体情報1101内の近距離のもの(すなわち、距離値が比較的小さいもの)に赤色を付けて警告効果を向上し、同様に、グリッド線情報013内の衝突境界として特徴付けられたもの(すなわち、輸送用具P1の2つの相対端点の線形延長部位)に黄色を付け、以降もこの例による。この時、いわゆる属性は、物体情報1101、運搬具情報1012及びグリッド線情報1103のさらなる定義であり得、例えば物体情報1101の近距離、長距離、または運搬具情報1012のアイドル速度、加速度も他のタイプの定義形態とすることができ、本発明はこれを限定しない。かつ前記属性と前記カラーリングの対応関係は、予め設定された1つの標準ルックアップテーブルにすることができ、または実際の操作ニーズに応じてランダムに異なるカラーリング表現(すなわち、1つの属性が1つのカラーリングに対応する)のみを与えることもできる。
【0032】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変動や潤色を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0033】
100 基本画像
10 受信機
1101 物体情報
1012 運搬具情報
1103 グリッド線情報
1 船舶の補助補正システム
11 撮影装置
200 補助画像
20 ストレージ
30 センサー
40 プロセッサ
50 モニター
P0 シーン
P1 輸送用具
P2 障害物
(A)~(F) ステップ