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特許7171831乗りかご内装置、遠隔監視システム及び遠隔監視システムの通話方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】乗りかご内装置、遠隔監視システム及び遠隔監視システムの通話方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20221108BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
B66B3/00 T
B66B3/00 G
B66B5/00 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021099318
(22)【出願日】2021-06-15
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 悠介
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-190721(JP,A)
【文献】特開平07-257842(JP,A)
【文献】特開2018-002428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00- 3/02
B66B 5/00- 5/28
G10L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク回線を介して遠隔監視センターと接続された乗りかご内装置であって、
乗りかご内からの非常呼びボタンの操作に基づき、前記遠隔監視センターへかご内音声を送出するかご内音声送出部と、
前記遠隔監視センターからの音声を受信するかご内音声受話部と、
前記かご内音声送出部の送出音声、及び前記かご内音声受話部の受信音声を文字変換するかご内文字変換部と、
文字変換された前記送出音声と前記受信音声との文字変換結果から、両者が同一言語であるか否かを判断し、同一の場合は両者をそのまま表示し、異なる場合は、前記送出音声の内容を受信側の言語へ翻訳し、前記受信音声の内容を前記送出音声の言語へ翻訳するかご内言語翻訳部と、
前記乗りかご内の撮影映像と遠隔監視センターの映像、及び前記かご内言語翻訳部で翻訳された送出音声内容と受信音声内容とを、翻訳前と翻訳後の字幕で表示するかご内映像/字幕送受信部と、を備える乗りかご内装置。
【請求項2】
前記乗りかご内装置と同一機能を有する他の乗りかご内装置とが前記遠隔監視センターを介して接続され、
前記かご内映像/字幕送受信部は、前記乗りかご内の撮影映像と、前記他の乗りかご内の撮影映像と、前記遠隔監視センターの映像とを同一画面に表示するとともに、前記かご内言語翻訳部で翻訳された送出音声内容と受信音声内容、及び前記他の乗りかご内装置のかご内言語翻訳部で翻訳された送出音声内容と受信音声内容を、それぞれ翻訳前と翻訳後の字幕で表示する、請求項1に記載の乗りかご内装置。
【請求項3】
前記他の乗りかご内装置は、他号機の乗りかご内に設置された装置、またはダブルデッキエレベーターにあっては上下の各乗りかご内に設置された装置である、請求項2に記載の乗りかご内装置。
【請求項4】
前記請求項1から3の何れか1項に記載の乗りかご内装置とネットワーク回線を介して接続された遠隔監視センター装置とを備える遠隔監視システムであって、
前記遠隔監視センター装置は、
非常呼びボタンの操作があった乗りかご内装置に対してオペレーターの音声を送出するオペレーター音声送出部と、
乗りかご内装置のかご内音声送出部から送出されたかご内音声を受信するオペレーター音声受信部と、
遠隔監視センターの撮影映像を送信するセンター映像送信部と、
前記オペレーター音声送出部のオペレーター音声および前記オペレーター音声受信部のかご内音声の各音声内容を文字化するセンター文字変換部と、
前記オペレーター音声、かご内音声の文字変換結果から同一言語であるかを判断し、同一の場合はそのまま表示し、異なる場合はオペレーター音声の内容を、かご内音声の内容の言語へ翻訳し、かご内音声の内容をオペレーター音声の内容の言語へ翻訳するセンター言語翻訳部と、
乗りかご内と遠隔監視センターの映像を送受信して前記センター言語翻訳部から受信したオペレーター音声の内容と、かご内音声の内容とを翻訳前と翻訳後の字幕で表示するセンター映像/字幕送受信部と、を備える遠隔監視システム。
【請求項5】
前記乗りかご内と前記遠隔監視センターとで通話する際、送受話、映像、字幕の各送受信の信号が有るか否かを判断する通信経路検知部を備え、信号が無い場合には、かご内映像/字幕送受信部、センター映像/字幕送受信部に信号が無い旨を映像画面上で報知する、請求項4に記載の遠隔監視システム。
【請求項6】
エレベーターの乗りかごの通話を制御する乗りかご内装置と当該エレベーターを遠隔監視する遠隔監視センター装置とがネットワーク回線を介して接続された遠隔監視システムで実行される通話方法であって、
エレベーター走行中に前記乗りかご内の乗客の非常ボタン操作により前記遠隔監視センター装置との接続を要求して、当該乗客が発した音声をかご内音声として前記遠隔監視センター装置へ送信し、
前記遠隔監視センター装置は、前記乗りかごとの通話を有効にして音声接続を開始し、送信された音声を受信し、
前記かご内音声を受信した前記遠隔監視センター装置は
前記かご内音声と前記遠隔監視センター装置からのセンター側音声とを文字変換し、
前記かご内音声と前記センター側音声とが同一言語でない場合には、前記センター側音声を前記かご内音声の言語に翻訳し、
翻訳後の前記センター側音声の文字と翻訳前の前記センター側音声の文字とをかご内ディスプレイに表示する、遠隔監視システムの通話方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗りかご内装置、遠隔監視システム及び遠隔監視システムの通話方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔監視システムが適用されるエレベーターにおいて、例えば、地震等の非常事態が発生して乗客が乗りかご内に閉じ込められた場合、乗客が非常呼びボタンを押すと、かご内の乗客と遠隔監視センターのオペレーターとの通話が可能となる。このとき、かご内の乗客は遠隔監視センターの映像を、遠隔監視センターのオペレーターはかご内の映像を見ながら双方の音声による通話をすることができる技術もある。
【0003】
また、遠隔のエレベーターの制御信号や音声信号、画像信号を同時に送受信できる仕組みがある。この技術では、かご内の乗客と遠隔監視センターのオペレーターが通話中にデータの同時通信を行うことができる。さらに、通話時ではないが、火災管制運転や地震管制運転時、エレベーターの乗客の音声に基づいた言語へ変換してエレベーターかご内へアナウンスをすることで主言語が異なる人々へも内容を案内できる提案もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-156907号公報
【文献】特開2018-115058公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来、エレベーター閉じ込めなどの非常時に非常呼びボタンを押した時、かご内の乗客と遠隔監視センターのオペレーターとがお互いの映像を見ながら通話ができるものの、そのときに自身が映像に映っていることを確認できない。また、自身の言葉が相手に伝わっているかを確認する手段がないため、主言語が異なる人と通話する場合、通話内容が相手に伝わっているかが分からない。また、会話する言語が異なるため、双方で通話内容を理解できないことがある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、非常時などにかご内と遠隔監視センターとの間で相互通話する際、双方の映像を双方が確認でき、また、双方で正確な通話を可能にする乗りかご内装置、遠隔監視システム及び遠隔監視システムの通話方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための実施形態は、乗りかご内からのボタン操作に基づき、前記遠隔監視センターへ乗りかご内音声を送出するかご内音声送出部と、前記遠隔監視センターからの音声を受信するかご内音声受話部と、前記かご内音声送出部の送出音声、及び前記かご内音声受話部の受信音声を文字変換するかご内文字変換部と、文字変換された前記送出音声と前記受信音声との文字変換結果から、両者が同一言語であるか否かを判断し、同一の場合は両者をそのまま表示し、異なる場合は、前記送出音声の内容を受信側の言語へ翻訳し、前記受信音声の内容を送出側の言語へ翻訳するかご内言語翻訳部と、前記乗りかご内の撮影映像と遠隔監視センターの映像、及び前記かご内言語翻訳部で翻訳された送出音声内容と受信音声内容とを、翻訳前と翻訳後の字幕で表示するかご内映像/字幕送受信部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る遠隔監視システムの構成を示すブロック図。
図2】第1実施形態に係る遠隔監視システムの処理手順を示すフローチャート。
図3】第1実施形態のかご内ディスプレイに表示される映像、字幕の一例を示す説明図。
図4】第2実施形態に係る遠隔監視システムの構成を示すブロック図。
図5A】第2実施形態に係る遠隔監視システムの処理手順を示すフローチャート。
図5B】第2実施形態に係る遠隔監視システムの処理手順を示すフローチャート。
図6A】第3、第4実施形態に係る遠隔監視システムにおけるA号機乗りかご装置の構成を示すブロック図。
図6B】第3、第4実施形態に係る遠隔監視システムにおけるB号機乗りかご装置の構成を示すブロック図。
図6C】第3実施形態に係る遠隔監視システムにおける遠隔端末装置及び遠隔監視センター装置の構成を示すブロック図。
図7A】第3実施形態に係る遠隔監視システムの処理手順を示すフローチャート。
図7B】第3実施形態に係る遠隔監視システムの処理手順を示すフローチャート。
図8】第3実施形態のかご内ディスプレイ及びセンター内ディスプレイに表示される映像、字幕の一例を示す説明図。
図9】第4実施形態に係る遠隔監視システムにおける遠隔端末装置及び遠隔監視センター装置の構成を示すブロック図。
図10A】第4実施形態に係る遠隔監視システムの処理手順を示すフローチャート。
図10B】第4実施形態に係る遠隔監視システムの処理手順を示すフローチャート。
図10C】第4実施形態に係る遠隔監視システムの処理手順を示すフローチャート。
図11】第4実施形態のかご内ディスプレイ及びセンター内ディスプレイに表示される映像、字幕の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
《第1実施形態の構成》
図1は本発明の第1実施形態の遠隔監視システム1Aの構成を示すブロック図である。
【0010】
図1に示す遠隔監視システム1Aは、エレベーター制御装置によって走行制御される乗りかご内に設置される乗りかご内装置10と、各エレベーターの乗りかごの異常監視、通話を制御する遠隔監視端末装置20と、各地のエレベーターの乗りかごなどの異常監視、通話を統括制御する遠隔監視センター装置30とを備える。乗りかご内装置10及び遠隔監視端末装置20は、ネットワーク回線を介して遠隔監視センター装置30と接続されている。
【0011】
乗りかご内装置10は、非常呼びボタン11と、かご内音声送出部12と、かご内音声受話部13と、かご内文字変換部14と、かご内言語翻訳部15と、かご内映像/字幕送受信部16と、かご内ディスプレイ17とを備える。
【0012】
非常呼びボタン11は、閉じ込め等の非常時において乗客により押圧操作されると非常呼び信号を遠隔監視端末装置20を介して遠隔監視センター装置30へ送信する。
【0013】
かご内音声送出部12は、非常呼びボタン11が押されると遠隔監視端末装置20経由で遠隔監視センター装置30へ乗りかご内の音声を送出する。
【0014】
かご内音声受話部13は、遠隔監視端末装置20経由で遠隔監視センター装置30からの音声を受信する。
【0015】
かご内文字変換部14は、かご内音声送出部12から送出される音声とかご内音声受話部13から受信した音声を文字へ変換する。
【0016】
かご内言語翻訳部15は、かご内文字変換部14で文字変換された、送出音声と受信音声の言語が異なる場合、かご内音声送出部12から送出した音声の言語は、かご内文字変換部14により特定して翻訳する。また、かご内音声受話部13から受信した音声の言語は、かご内音声送出部12から送出した言語をかご内文字変換部14より特定して翻訳する。
【0017】
かご内映像/字幕送受信部16は、かご内映像と遠隔監視センター装置30の映像及びかご内言語翻訳部15よりかご内から送出された音声とかご内が受信した音声を翻訳前と翻訳後の言語で、かご内ディスプレイ17に映像とともに字幕表示する。かご内言語翻訳部15で翻訳不要と判断された場合は単一言語で字幕表示する。
【0018】
遠隔監視端末装置20は、センター呼出し制御部21と、かご内/センター音声送受話制御部22と、センター映像通信部23とを備える。
【0019】
センター呼出し制御部21は、非常呼びボタン11が押されると遠隔監視センター装置30へ非常呼びを知らせる信号を送信する。
【0020】
かご内/センター音声送受話制御部22は、かご内の音声送受信と遠隔監視センター装置30の音声送受信の接続を制御して、接続時はかご内へ遠隔監視センター装置30の映像を送信、終話時は映像送信を停止する指令を出力する。
【0021】
センター映像通信部23は、かご内/センター音声送受話制御部22より、乗りかご内装置10に対する遠隔監視センター装置30からの映像送信指令を受けたとき、かご内映像/字幕送受信部16へ遠隔監視センター装置30の映像を送信する。また、停止指令があると、映像送信を停止する。
【0022】
遠隔監視センター装置30は、エレベーター号機判断部31と、センター音声接続部32と、オペレーター音声受話部33と、オペレ―ター音声送出部34と、センター映像送信部35と、終話ボタン36とを備える。
【0023】
エレベーター号機判断部31は、センター呼出制御部21から非常呼び信号を受信すると、どのエレベーターの乗りかごからの信号であるかを判断して音声接続指令を出力する。
【0024】
センター音声接続部32は、エレベーター号機判断部31から音声接続指令を受けるとかご内/センター音声送受話制御部22へ音声接続要求を送信する。また、音声接続応答を受信すると遠隔監視センター装置30のオペレーターと通話を実施し、終話ボタン36が押されると通話を終了する。
【0025】
オペレーター音声受話部33は、センター音声接続部32から音声の受信要求が来ると音声の受信を開始する。
【0026】
オペレ―ター音声送出部34は、センター音声接続部32から音声の送信要求が来ると音声送出を開始する。
【0027】
センター映像送信部35は、センター映像通信部23から遠隔監視センター装置30の映像送信要求が来ると映像送信を開始する。
【0028】
終話ボタン36は、通話終了時にセンター内のオペレーターにより操作されると、通話を終了する。
【0029】
《第1実施形態の動作》
次に、第1実施形態の動作を図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0030】
図2において、乗りかごが通常運転で走行中に(S1)、エレベーターに異常が発生すると、乗りかごが非常停止して乗客が乗りかご内に閉じ込められる(S2YES)。その時に乗客により乗りかご内装置10の非常呼びボタン11が押圧操作されなければ、閉じ込められた状態が続くことになる(S3NO)。非常呼びボタン11が押されると(S3YES)、遠隔監視端末装置20内のセンター呼出し制御部21を経由して、遠隔監視センター装置30へ非常呼び信号が送信される。
【0031】
遠隔監視センター装置30のエレベーター号機判断部31では、非常呼びボタン11が押された乗りかごを判断する。そして、センター音声接続部32は、かご内/センター音声送受話制御部22を介して、かご内音声送出部12、かご内音声受話部13、及びオペレーター音声受話部33、オペレ―ター音声送出部34に対して音声の送受信接続を開始する。また、かご内/センター音声送受話制御部22は、センター映像通信部23へ遠隔監視センター装置30の映像を接続するよう要求する。センター映像送信部35へ映像要求されると、センター映像送信部35から映像がセンター映像通信部23へ送信されてセンター映像通信部23からかご内映像/字幕送受信部16へ送信される。かご内映像/字幕送受信部16はかご内映像も取得しているので、乗りかごと遠隔監視センターの両映像をかご内ディスプレイ17に表示する(S4)。
【0032】
乗りかご内でセンター側の音声を取得していない場合は、特に動きはないが(S5NO)、かご内でセンター側の音声を取得した場合(S5YES)、かご内音声送出部12、かご内音声受話部13の音声をかご内文字変換部14にて文字変換後にかご内言語翻訳部15によりかご内言語とセンター側言語を特定し、比較する。センター側の音声がかご内言語と同一の場合(S6NO)、かご内言語翻訳部15では翻訳せずに乗りかご内、センター側の音声をそのままかご内映像/字幕送受信部16の映像に重ねた字幕をかご内ディスプレイ17に表示する(S8)。
【0033】
センター側の音声がかご内言語と異なる言語であれば(S6YES)、かご内言語翻訳部15でセンター側から受信した音声をかご内言語へ翻訳する。かご内から送出した音声はセンター側言語へ翻訳してかご内映像/字幕送受信部16の映像に加える。そして、かご内言語の翻訳前と翻訳後、センター側言語の翻訳前と翻訳後の言語の字幕を映像に重ねてかご内ディスプレイ17に表示する(S7)。
【0034】
図3にかご内映像/字幕送受信部16に接続されたかご内ディスプレイ17に表示される映像、字幕の一例を示す。乗りかご内の映像と、遠隔監視センターの映像と、それぞれが話している音声をそれぞれ翻訳前、翻訳後の両方で映像に重ねて字幕表示する。
【0035】
この状態で、映像と字幕表示を見ながらかご内の乗客とセンターのオペレーターとが会話する(S9)。その後、終話ボタン36が押されるまで会話が継続される(S10NO)。終話ボタン36が押されて終話となれば(S10YES)、センター音声接続部32からかご内/センター音声送受話制御部22へ終話信号が送られる。そして、かご内音声受話部13、かご内音声送出部12がオペレーター音声受話部33、オペレ―ター音声送出部34の通信が切断され、センター映像通信部23の映像制御も停止し、かご内映像/字幕送受信部16の映像、字幕が消えて終話となる(S11)。その後に保守員により閉じ込め救出がされ、乗りかご内の乗客が救出される(S12)と、保守員にてエレベーター復帰後、通常走行となる(S13)。
【0036】
このように第1実施形態によれば、エレベーターの閉じ込め時などで非常呼びボタンが押されて乗りかご内装置10と遠隔監視センター装置30との間で通話する時に音声だけでなく、映像及びかご内、センターお互いの言語の通話字幕を表示することで非常時に正確な通話情報を把握する遠隔監視システムを実現できる。
【0037】
<第2実施形態>
《第2実施形態の構成》
図4は本発明の第2実施形態の遠隔監視システム1Bの構成を示すブロック図である。
【0038】
図4に示す遠隔監視システム1Bの遠隔監視端末装置20は、第1実施形態の構成に加え、かご内映像通信部24を更に備える。また、第2実施形態の遠隔監視センター装置30は、第1実施形態の構成に加え、センター文字変換部37と、センター言語翻訳部38と、センター映像/字幕送受信部39とを更に備える。
【0039】
かご内映像通信部24は、かご内映像/字幕送受信部16などからかご内映像を受信し遠隔監視センター装置30などへ送信する。
【0040】
センター文字変換部37は、オペレ―ター音声送出部34とオペレーター音声受話部33から受信した音声を文字変換する。
【0041】
センター言語翻訳部38は、センター文字変換部37で文字変換された送出音声と受信音声の言語が一致していると判断した場合には翻訳しない。一方、言語が異なっている場合にはオペレ―ター音声送出部34からの送出音声は、乗りかご内装置10から受信した言語をセンター文字変換部37より特定してセンター側の言語へ翻訳する。また、オペレーター音声受話部33で受信した音声はオペレ―ター音声送出部34から送出した言語をセンター文字変換部37より特定してかご内の言語へ翻訳する。
【0042】
センター映像/字幕送受信部39は、かご内映像と遠隔監視センター装置30の映像及びセンター言語翻訳部38よりかご内から送出された音声とかご内が受信した音声を翻訳前と翻訳後の言語で映像に字幕表示する。また、センター言語翻訳部38で翻訳不要と判断された場合は一言語で字幕表示する。
【0043】
《第2実施形態の動作》
次に、第2実施形態の動作を図5A図5Bのフローチャートに基づいて説明する。
【0044】
図5Aにおいて、ステップS21~S28の処理は、図2に示したステップS1~S8の処理と同様であるため、その説明は省略する。
【0045】
遠隔監視センター装置30にてオペレーター音声受話部33がかご内音声を取得していない場合は特に動きはない(S29NO)。オペレーター音声受話部33がかご内音声を取得した場合(S29YES)、センター側言語を特定し、かご内音声がセンター側言語と同一か否かを判定する。同一の場合(S30NO)、オペレ―ター音声送出部34、オペレーター音声受話部33の音声をセンター言語翻訳部38では翻訳せずにかご内、センター側のそれぞれ音声をそのままセンター映像/字幕送受信部39の映像に重ねてかご内ディスプレイ17に字幕を表示する(S32)。
【0046】
かご内音声がセンター側言語と異なる言語であれば(S30YES)、オペレ―ター音声送出部34、オペレーター音声受話部33のかご内から受信した音声をセンター言語翻訳部38でセンター側言語へ翻訳する。センター側から送出した音声はセンター言語翻訳部38でかご内言語へ翻訳してセンター映像/字幕送受信部39の映像に加えてかご内言語の翻訳前と翻訳後、センター側言語の翻訳前と翻訳後の言語を映像に重ねて字幕表示する(S31)。
【0047】
この状態で終話するまで映像と字幕表示を見ながら会話する(S33)。その後、終話ボタン36が押されるまで会話が継続され(S34NO)、終話ボタン36が押されると(S34YES)、センター音声接続部32よりかご内/センター音声送受話制御部22へ終話信号が送られる。その後、かご内音声受話部13、かご内音声送出部12がオペレーター音声受話部33、オペレ―ター音声送出部34の通信が切断される。これにより、センター映像通信部23の映像制御、かご内映像通信部24の映像制御も停止し、かご内映像/字幕送受信部16の映像、字幕とセンター映像/字幕送受信部39の映像、字幕が消えて終話となる(S35)。
【0048】
通話が終了した後に保守員により閉じ込め救出がされ、乗りかご内の乗客が救出される(S36)と、保守員にてエレベーター復帰後、通常走行となる(S37)。
【0049】
このように第2実施形態によれば、エレベーターの閉じ込め時などで非常呼びボタンが押されて乗りかご内と遠隔監視センターとの間で通話する時に音声だけでなく、映像及びかご内、センター言語の通話字幕をかご内とセンター側の両方で表示することで非常時に正確な通話情報を把握するシステムを実現できる。
【0050】
<第3実施形態>
《第3実施形態の構成》
図6A図6Cは本発明の第3実施形態の遠隔監視システム1Cの構成を示すブロック図である。
【0051】
第3実施形態の遠隔監視システム1Cでは、複数台のエレベーター号機を遠隔監視するもので、第3実施形態では、A号機乗りかごに設置されたA号機乗りかご内装置10AとB号機乗りかご内に設置されたB号機乗りかご内装置10Bとを備えている。
【0052】
図6Aに示すように、A号機乗りかご内装置10Aは、第1実施形態、第2実施形態の乗りかご内装置10と同様の機能を備え、A号機非常呼びボタン11Aと、A号機かご内音声送出部12Aと、A号機かご内音声受話部13Aと、A号機かご内文字変換部14Aと、A号機かご内言語翻訳部15Aと、A号機かご内映像/字幕送受信部16Aと、A号機かご内ディスプレイ17Aとを備える。
【0053】
A号機かご内音声送出部12Aは、A号機非常呼びボタン11Aが押されると遠隔監視端末装置20経由でB号機乗りかご内装置11B、遠隔監視センター装置30などへA号機乗りかご内の音声を送出する。
【0054】
A号機かご内音声受話部13Aは、遠隔監視端末装置20経由で遠隔監視センター装置30、B号機乗りかご内装置11Bなどの音声を受信する。
【0055】
A号機かご内文字変換部14Aは、A号機かご内音声送出部12AとA号機かご内音声受話部13Aから受信した音声を文字変換する。
【0056】
A号機かご内言語翻訳部15Aは、A号機かご内文字変換部14Aで文字変換された送出音声と受信音声の言語が一致している場合には翻訳しない。また、異なっている場合には、A号機かご内音声送出部12Aからの送出音声は、かご内音声受話部13Aの受信音声の変換後の言語に翻訳する。また、A号機かご内音声受話部13Aから受信した音声はかご内音声送出部12からの送出音声の変換後の言語に翻訳する。
【0057】
A号機かご内映像/字幕送受信部16Aは、A号機かご映像、かご内映像と遠隔監視センター装置30の映像及びA号機かご内言語翻訳部36よりA号機かご内から送出された音声とかご内が受信した音声を翻訳前と翻訳後の言語で映像に字幕表示する。A号機かご内言語翻訳部15Aで翻訳不要と判断された場合は、A号機かご内映像/字幕送受信部16Aは一言語で字幕表示する。
【0058】
図6Bに示すように、B号機乗りかご内装置10BもA号機乗りかご内装置10Aと同様、B号機非常呼びボタン11Bと、B号機かご内音声送出部12Bと、B号機かご内音声受話部13Bと、B号機かご内文字変換部14Bと、B号機かご内言語翻訳部15Bと、B号機かご内映像/字幕送受信部16Bと、B号機かご内ディスプレイ17Bとを備える。
【0059】
B号機かご内音声送出部12Bは、B号機非常呼びボタン11Bが押されると遠隔監視端末装置20経由でA号機乗りかご内装置11A、遠隔監視センター装置30などへB号機乗りかご内の音声を送出する。
【0060】
B号機かご内音声受話部13Bは、遠隔監視端末装置20経由で遠隔監視センター装置30、A号機乗りかご内装置11Aなどの音声を受信する。
【0061】
B号機かご内文字変換部14Bは、B号機かご内音声送出部12BとB号機かご内音声受話部13Bから受信した音声を文字変換する。
【0062】
B号機かご内言語翻訳部15Bは、B号機かご内文字変換部14Bで文字変換された送出音声と受信音声の言語が一致している場合には翻訳しない。また、異なっている場合には、B号機かご内音声送出部12Bからの送出音声は、かご内音声受話部13Bの受信音声の変換後の言語に翻訳する。また、B号機かご内音声受話部13Bから受信した音声はかご内音声送出部12からの送出音声の変換後の言語に翻訳する。
【0063】
B号機かご内映像/字幕送受信部16Bは、B号機かご映像、かご内映像と遠隔監視センター装置30の映像及びB号機かご内言語翻訳部36よりB号機かご内から送出された音声とかご内が受信した音声を翻訳前と翻訳後の言語で映像に字幕表示する。B号機かご内言語翻訳部15Bで翻訳不要と判断された場合は、B号機かご内映像/字幕送受信部16Bは一言語で字幕表示する。
【0064】
図6Cに示すように、第3実施形態の遠隔監視端末装置20は、A号機乗りかご内装置10A及びB号機乗りかご内装置10Bと遠隔監視センター装置30とに接続され、A号機乗りかご内装置10A及びB号機乗りかご内装置10Bの異常監視、通話を制御する。
【0065】
《第3実施形態の動作》
次に、第3実施形態の動作を図7A図7Bのフローチャートに基づいて説明する。
【0066】
A号機乗りかご及びB号機乗りかごが通常運転で走行中(S41)、エレベーターに異常が発生してA号機乗りかご及びB号機乗りかごが非常停止して乗客が乗りかご内に閉じ込められる(S42YES)。
【0067】
このとき、A号機非常呼びボタン11Aが押されず、B号機乗りかご内で非常呼びボタン11Bも押されない場合(S43NO、S45NO)には、特に動きはない。
【0068】
A号機非常呼びボタン11AまたはB号機非常呼びボタン11Bが押された場合(S43YES、S45YES)、遠隔監視端末装置20内のセンター呼出し制御部21を経由して、遠隔監視センター装置30へ非常呼び信号が送信される。
【0069】
エレベーター号機判断部31は、非常呼びボタン11A、または非常呼びボタン11Bが押された乗りかごを判断する。そして、センター音声接続部32からかご内/センター音声送受話制御部22を介して、A号機かご内音声送出部12A、A号機かご内音声受話部13A、B号機かご内音声送出部12A、B号機かご内音声受話部13Bへ音声の送受信接続を開始する。また、オペレーター音声受話部33、及びオペレ―ター音声送出部34に対して音声の送受信接続を開始する。さらに、かご内/センター音声送受話制御部22からセンター映像通信部23へは遠隔監視センター装置30の映像を接続するよう要求する。センター映像通信部23からセンター映像/字幕送受信部39へ映像要求後、センター映像/字幕送受信部39から映像がセンター映像通信部23へ送信される。そして、センター映像通信部23からA号機かご内映像/字幕送受信部16A及びB号機かご内映像/字幕送受信部16Bへセンター側の映像が送信される。かご内映像通信部24に対しては、A号機かご内映像、B号機かご内映像をセンター映像/字幕送受信部39へ接続するよう要求する。B号機かご内映像をA号機かご内映像/字幕送受信部16Aへ接続するよう要求する。そして、それぞれの映像をそれぞれに送信し、A号機かご内映像をB号機かご内映像/字幕送受信部16Bへ接続するよう要求する。そして、センター側映像、A号機かご内映像、B号機かご内映像をセンター映像/字幕送受信部39、A号機かご内映像/字幕送受信部16A、B号機かご内映像/字幕送受信部16Bのそれぞれにて表示する(S44)。
【0070】
かご内でセンター側の音声を取得していない場合は特に動きはない(S46NO)が、A号機かご内音声受話部13AでB号機かご内とセンター側の音声を取得した場合(S46YES)、A号機かご内文字変換部14Aは、それぞれの音声を文字変換後にセンター側、B号機乗りかご内の言語を特定する。かご内言語と同一の場合(S47NO)、A号機かご内音声送出部12A、A号機かご内音声受話部13Aの音声を、かご内言語翻訳部15では翻訳せずにA号機乗りかご内、B号機乗りかご内、センターの音声の字幕をそのままかご内映像/字幕送受信部16の映像に重ねて、字幕をA号機かご内ディスプレイ17Aに表示する(S48)。A号機かご内文字変換部14Aにて文字変換されたセンター、及びB号機かご内の音声がA号機かご内言語と異なる言語であれば(S47YES)、かご内音声送出部12A、かご内音声受話部13Aの音声をかご内言語翻訳部15でセンター側から受信した音声、B号機かご内から受信した音声をかご内言語へ翻訳する。また、かご内から送出した音声もかご内言語翻訳部15にてセンター側言語、B号機かご内音声へ翻訳する。そして、A号機かご内映像/字幕送受信部16Aの映像に加えてかご内言語の翻訳前と翻訳後、B号機かご内言語の翻訳前と翻訳後、センター側言語の翻訳前と翻訳後のそれぞれの言語を映像に重ねて字幕表示する(S48)。
【0071】
ステップS50~S53の処理はB号機かご内、ステップS54~S57の処理はセンター側の処理を示している。
【0072】
図8は、A号機かご内映像/字幕送受信部16A、B号機かご内映像/字幕送受信部16B、センター映像/字幕送受信部39に映し出される映像、字幕の一例を示す。A号機乗りかご内、B号機乗りかご内、遠隔監視センターの映像とそれぞれが話している音声をそれぞれ翻訳前、翻訳後の言葉を映像に重ねて字幕表示するものである。
【0073】
この状態で終話するまでそれぞれが映像と字幕表示を見ながら会話する(S58)。その後、終話ボタン36が押されなければ会話が継続され(S59NO)、終話ボタン36が押されて終話となれば(S59YES)、センター音声接続部32よりかご内/センター音声送受話制御部22へ終話信号が送られる。そして、A号機かご内音声受話部13A、A号機かご内音声送出部12A、B号機かご内音声受話部13B、B号機かご内音声送出部12B、オペレーター音声受話部33、オペレ―ター音声送出部34の通信が切断され、センター映像通信部23の映像制御、かご内映像通信部24の映像制御も停止し、A号機かご内映像/字幕送受信部16Aの映像、字幕、B号機かご内映像/字幕送受信部16Bの映像、字幕、及びセンター映像/字幕送受信部39の映像、字幕が消えて終話となる(S60)。その後に保守員により閉じ込め救出がされ、乗りかご内の乗客が救出される(S61)と、保守員にてエレベーター復帰後、通常走行となる(S62)。
【0074】
このように第3実施形態によれば、エレベーターにて2つの乗りかごが設置されていた場合も閉じ込め時などで非常呼びボタンが押されてA号機乗りかご内、B号機乗りかご内、遠隔監視センターとの間で通話をする時に音声だけでなく、映像及びかご内、B号機乗りかご内、センターの言語の通話字幕をA号機乗りかご内、B号機乗りかご内及びセンター側に表示することで非常時に複数箇所で正確な通話情報を把握するシステムを実現できる。
【0075】
<第4実施形態>
《第4実施形態の構成》
図9は本発明の第4実施形態の遠隔監視システム1Dの内、遠隔監視端末装置及び遠隔監視センター装置の構成を示すブロック図である。なお、A号機乗りかご内装置10Aの構成は図6A、B号機乗りかご内装置10Bは図6Bと同様であるため、これらの図面を援用することとする。
【0076】
図9に示すように、第4実施形態の遠隔監視システム1Dでは、第3実施形態の遠隔監視端末装置20の構成に加えて、通信経路検知部25を設けている。遠隔監視センター装置30の構成は第3実施形態と同様である。
【0077】
通信経路検知部25は、A号機乗りかご内装置10A、及びB号機乗りかご内装置10Bと遠隔監視センター装置30との間で映像、字幕を使用した通話を実施中にかご内/センター音声送受話制御部22、センター映像通信部23、かご内映像通信部24のいずれか、または全ての音声、映像信号が無くなった場合にセンター映像通信部23、かご内映像通信部24に信号が無くなったことを表示するよう指令する。また、音声、映像信号が復帰したときには、元の状態に戻す指令をする。
【0078】
《第4実施形態の動作》
次に、第4実施形態の動作を図10A図10Bのフローチャートに基づいて説明する。なお、図10AのステップS71~S80、図10BのステップS81~S88の処理は基本的に図7AのステップS41~S50、図7BのステップS51~S58の処理と同様である。
【0079】
A号機乗りかご内、B号機乗りかご内、遠隔監視センターのそれぞれが映像と字幕表示を見ながら会話する(S88)状態で、かご内/センター音声送受話制御部22、センター映像通信部23、かご内映像通信部24において音声、映像信号を受信できていると通信経路検知部25が判断すると(S89YES)、終話するまで会話を続ける。かご内/センター音声送受話制御部22、センター映像通信部23、かご内映像通信部24のいずれか、またはすべてで音声、映像信号を受信できてないと通信経路検知部25が判断すれば(S89NO)、通信経路検知部25の指令でかご内映像/字幕送受信部16、B号機かご内映像/字幕送受信部16B、センター映像/字幕送受信部39に音声、映像信号の一部、または全てが無いことを表示する(S91)。
【0080】
図11に通信経路検知部25にて信号無しの箇所が発生した場合のかご内映像/字幕送受信部16、B号機かご内映像/字幕送受信部16B、センター映像/字幕送受信部39に映し出される映像、字幕の一例を示す。A号機乗りかご内、B号機乗りかご内、遠隔監視センターの映像の信号が無い箇所の画面には信号が無いことを知らせる表示となる。
ステップS91の状態で終話すると(S92NO)、映像、字幕の停止と共に通話は終話する(S90)。終話されずに(S91YES)、信号無しの音声、映像信号が復帰しない場合(S93NO)は信号無し表示を継続する。信号無しの音声、映像信号が復帰したと通信経路検知部25が判断したら(S93YES)、通信経路検知部25がかご内/センター音声送受話制御部22、センター映像通信部23、かご内映像通信部24の映像、字幕は元に戻すように指令する。そして、かご内映像/字幕送受信部16、B号機かご内映像/字幕送受信部16B、センター映像/字幕送受信部39の各画面表示は元に戻る(S94)。
【0081】
その後、終話ボタン36が押されなければ会話が継続され(S90NO)、終話ボタン36が押されて終話となれば(S90YES)、センター音声接続部32よりかご内/センター音声送受話制御部22へ終話信号が送られる。そして、A号機かご内音声受話部13A、A号機かご内音声送出部12A、B号機かご内音声受話部13B、B号機かご内音声送出部12B、オペレーター音声受話部33、オペレ―ター音声送出部34の通信が切断される。センター映像通信部23の映像制御、かご内映像通信部24の映像制御も停止し、A号機かご内映像/字幕送受信部16Aの映像、字幕、B号機かご内映像/字幕送受信部16Bの映像、字幕、及びセンター映像/字幕送受信部39の映像、字幕が消えて終話となる(S95)。その後に保守員により閉じ込め救出がされ、乗りかご内の乗客が救出される(S96)と、保守員にてエレベーター復帰後、通常走行となる(S97)。
【0082】
このように第4実施形態によれば、閉じ込め時などで非常呼びボタンが押されてA号機乗りかご内、B号機乗りかご内と遠隔監視センターとの間で通話をする時に音声、映像、字幕に異常があればそのことをA号機乗りかご内装置10AやB号機乗りかご内装置10B、遠隔監視センター装置30へ知らせることができる。なお、第4実施形態では第3実施形態を前提に説明したが、これは第1実施形態、第2実施形態を前提としても同様に実現できる。
【0083】
<他の実施形態>
第3実施形態、第4実施形態では、A号機及びB号機と遠隔監視センターとの間での通話を例にしたが、ダブルデッキエレベーターの場合には、上階側乗りかごをA号機、下階側乗りかごをB号機と読み替えて構成することができる。ダブルデッキエレベーターの上下の乗りかごと遠隔監視センターとの間で音声をやり取りする際に有効である。
【0084】
以上、本発明の各実施形態によれば、乗りかご内の乗客と遠隔監視センター内のオペレーターとの間で会話する際、聞き間違い等、会話内容に誤認識を防止でき、音声を聞き逃した場合でも画面の字幕で内容を確認することができる。
【0085】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1A,1B,1C,1D…遠隔監視システム、10…乗りかご内装置、10A…A号機乗りかご内装置、10B…B号機乗りかご内装置、11…非常呼びボタン、11A…A号機非常呼びボタン、11B…B号機非常呼びボタン、12…かご内音声送出部、12A…A号機かご内音声送出部、12B…B号機かご内音声送出部、13…かご内音声受話部、13A…A号機かご内音声受話部、13B…B号機かご内音声受話部、14…かご内文字変換部、14A…A号機かご内文字変換部、14B…B号機かご内文字変換部、15…かご内言語翻訳部、15A…A号機かご内言語翻訳部、15B…B号機かご内言語翻訳部、16…かご内映像/字幕送受信部、16A…A号機かご内映像/字幕送受信部、16B…B号機かご内映像/字幕送受信部、17…かご内ディスプレイ、17A…A号機かご内ディスプレイ、17B…B号機かご内ディスプレイ、20…遠隔監視端末装置、21…センター呼出し制御部、22…かご内/センター音声送受話制御部、23…センター映像通信部、24…かご内映像通信部、25…通信経路検知部、30…遠隔監視センター装置、31…エレベーター号機判断部、32…センター音声接続部、33…オペレーター音声受話部、34…オペレーター音声送出部、35…センター映像送信部、36…終話ボタン、37…センター文字変換部、38…センター言語翻訳部、39…センター映像/字幕送受信部、40…センター側装置ディスプレイ
【要約】
【課題】非常時などにかご内と遠隔監視センターとの間で相互通話する際、双方の映像を双方が確認でき、また、双方で正確な通話を可能にする。
【解決手段】乗りかご内からのボタン操作に基づき、遠隔監視センターへ乗りかご内音声を送出するかご内音声送出部と、遠隔監視センターからの音声を受信するかご内音声受話部と、かご内音声送出部の送出音声、及びかご内音声受話部の受信音声を文字変換するかご内文字変換部と、文字変換された送出音声と受信音声との文字変換結果から、両者が同一言語であるか否かを判断し、同一の場合は両者をそのまま表示し、異なる場合は、送出音声の内容を受信側の言語へ翻訳し、受信音声の内容を送出側の言語へ翻訳するかご内言語翻訳部と、乗りかご内の撮影映像と遠隔監視センターの映像、及びかご内言語翻訳部で翻訳された送出音声内容と受信音声内容とを、翻訳前と翻訳後の字幕で表示するかご内映像/字幕送受信部と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11