(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】エレベータのドア制御装置
(51)【国際特許分類】
B66B 13/14 20060101AFI20221108BHJP
B66B 5/02 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
B66B13/14 H
B66B5/02 P
(21)【出願番号】P 2021109838
(22)【出願日】2021-07-01
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井浦 秀保
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-168970(JP,A)
【文献】特開2011-144021(JP,A)
【文献】特開2007-145583(JP,A)
【文献】特開昭62-201782(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0002238(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00- 5/28
B66B 13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごのドアを開閉動作させるためのドアモータと、
上記乗りかごの揺れを検知する揺れ検知手段と、
上記乗りかご内の利用者の有無を検知する利用者検知手段と、
上記揺れ検知手段によって検知される上記乗りかごの揺れ
の情報から上記ドアの移動方向の揺れの情報を抽出し、上記ドアの移動方向の揺れの情報と、上記乗りかごの運転情報と、上記利用者検知手段から出力される利用者検知情報とに基づいて、
上記乗りかごの着床中または走行中に上記ドアが開かないように、上記乗りかごの戸閉を保持するための戸閉保持力を制御する制御手段と
を具備したことを特徴とするエレベータのドア制御装置。
【請求項2】
上記制御手段は、
上記乗りかごが着床中であり、上記利用者が上記乗りかごに乗車している場合に、上記ドアの移動方向の揺れの大きさに応じて上記ドアモータの戸閉保持力を制御することを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置。
【請求項3】
上記制御手段は、
上記利用者が上記ドア付近に乗車している場合には、上記ドアモータの戸閉保持力を上記利用者が上記ドア付近以外に乗車しているときよりも上げることを特徴とする請求項2記載のエレベータのドア制御装置。
【請求項4】
上記制御手段は、
上記乗りかごが走行中の場合には、上記利用者の乗車の有無に関係なく、上記ドアの移動方向の揺れの大きさに応じて上記ドアモータの戸閉保持力を制御することを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置。
【請求項5】
上記制御手段は、
上記利用者が上記ドア付近に乗車している場合には、上記ドアモータの戸閉保持力を上記利用者が上記ドア付近以外に乗車しているときよりも上げることを特徴とする請求項4記載のエレベータのドア制御装置。
【請求項6】
上記制御手段は、
上記乗りかごの揺れが検知されていない状態でも、上記乗りかごの運転状態と上記利用者の乗車有無との関係から上記ドアモータの戸閉保持力を制御することを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置。
【請求項7】
上記制御手段は、
上記乗りかごが任意の階で戸開中のときに、上記乗りかごの揺れが検知された場合に、上記利用者の乗車の有無に応じて上記ドアモータの戸開保持力を制御することを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置。
【請求項8】
上記制御手段は、
上記利用者が上記乗りかごに乗車している場合に上記ドアの戸開時間を延長すると共に、上記ドアモータの戸開保持力を予め設定された標準値よりも上げることを特徴とする請求項7記載のエレベータのドア制御装置。
【請求項9】
上記制御手段は、
上記ドアの移動方向の揺れの大きさに応じて、上記ドアの戸開時間および上記ドアモータの戸開保持力を段階的に変更することを特徴とする請求項8記載のエレベータのドア制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータのドア制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗りかごが各階の乗場に着床すると、かごドアが乗場ドアに係合して開閉動作する。駆動源であるドアモータは乗りかごに設置されている。このドアモータの駆動によりかごドアが開閉方向に移動し、乗場ドアはそのかごドアに追従して移動する。ここで、乗りかごが各階を移動しているときに、かごドアが振動等で開かないように、ドアモータに一定の制御量(戸閉保持力)が出力されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、例えば地震や強風などにより建物と共に乗りかごが揺れると、乗りかごのドアに上記制御量を超えた外力が働き、開閉動作を繰り返すことがある。その際、乗りかごに利用者が乗車していると、指などを挟む可能性がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、地震や強風などによって乗りかごが揺れた場合に、乗りかごのドアが動くことを防いで、利用者の安全を確保するエレベータのドア制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係るエレベータのドア制御装置は、乗りかごのドアを開閉動作させるためのドアモータと、上記乗りかごの揺れを検知する揺れ検知手段と、上記乗りかご内の利用者の有無を検知する利用者検知手段と、上記揺れ検知手段によって検知される上記乗りかごの揺れの情報から上記ドアの移動方向の揺れの情報を抽出し、上記ドアの移動方向の揺れの情報と、上記乗りかごの運転情報と、上記利用者検知手段から出力される利用者検知情報とに基づいて、上記乗りかごの着床中または走行中に上記ドアが開かないように、上記乗りかごの戸閉を保持するための戸閉保持力を制御する制御手段とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は第1の実施形態に係るエレベータシステムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は上記エレベータシステムに備えられた乗りかご内の出入口周辺部分の構成を示す図である。
【
図3】
図3は上記乗りかご内を上から見た場合の模式図である。
【
図4】
図4は上記乗りかご内を上から見た場合の模式図である。
【
図5】
図5は上記乗りかごの揺れの大きさと方向との関係を示す図である。
【
図6】
図6は上記乗りかごの揺れの大きさと方向との関係を示す図である。
【
図7】
図7は上記第1の実施形態におけるドア制御量の一例を示す図である。
【
図8】
図8は上記第1の実施形態におけるドア制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は上記
図8のステップS15で実行される第1のドア制御の詳細を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は上記
図8のステップS17で実行される第2のドア制御の詳細を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は上記
図8のステップS21で実行される第3のドア制御の詳細を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は上記
図8のステップS23で実行される第4のドア制御の詳細を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は第2の実施形態におけるドア制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は上記第2の実施形態におけるドア制御量の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係るエレベータシステムの構成を示す図である。本実施形態におけるエレベータシステムは、エレベータ制御装置10と、ドア制御装置20と、乗りかご30とを備える。
【0010】
エレベータ制御装置10は、コンピュータからなり、図示せぬ機械室あるいは昇降路内に設置され、乗りかご30の運転制御を含むエレベータ全体の制御を行う。エレベータ制御装置10は、乗りかご30の運転状態(走行中,着床中など)を示す運転情報をドア制御装置20に出力する。ドア制御装置20は、コンピュータからなり、乗りかご30に設置され、かごドア31の開閉動作を制御する。本実施形態において、このドア制御装置20には、利用者検知部21、制御部22、駆動部23が備えられている。
【0011】
利用者検知部21は、乗りかご30内の利用者の有無を検知する。詳しくは、利用者検知部21は、乗りかご30内に設置されたカメラ34の画像を解析処理する機能を有し、上記画像の解析結果に基づいて乗りかご30内の利用者の有無を検知し、その検知結果を示す利用者検知情報を制御部22に出力する。なお、この利用者検知部21の機能をエレベータ制御装置10に設けて、エレベータ制御装置10側で乗りかご30内の利用者の有無を検知する構成としても良い。
【0012】
制御部22は、乗りかご30が任意の階で着床したときに、モータ駆動信号を駆動部23に出力してドアモータ32を駆動する。このドアモータ32の駆動により、かごドア31がドア開閉機構33を介して戸開方向または戸閉方向に移動する。駆動部23は、ドアモータ32を駆動するためのドライバである。また、制御部22は、後述する加速度センサ35から出力されるかご揺れ情報と、乗りかご30の運転情報と、利用者検知部21から出力される利用者検知情報とに基づいてドア制御を行う機能を有する。
【0013】
詳しくは、制御部22は、乗りかご30の揺れが検知された場合に、乗りかご30の運転情報に基づいて乗りかご30が着床中であるか走行中であるかを判断すると共に、利用者検知情報に基づいて利用者が乗りかご30のドア付近に乗車しているか否かを判断する。「着床中」とは、乗りかご30が任意の階に停止した直後の状態を言う。このとき、かごドア31はまだ閉じた状態である。「走行中」とは、乗りかご30が各階を移動している状態のことを言う。
【0014】
乗りかご30が着床中であり、利用者が乗りかご30に乗車している場合には、制御部22は、加速度センサ35によって検知される乗りかご30の揺れの大きさに応じて、ドアモータ32の戸閉保持力を調整する。また、乗りかご30が走行中の場合には、制御部22は、利用者の乗車の有無に関係なく、乗りかご30の揺れの大きさに応じて、ドアモータ32の戸閉保持力を制御する。ここで、本実施形態では、乗りかご30の揺れの方向成分のうち、かごドア31の移動方向の揺れの情報を用いて、戸閉保持力を制御することが特徴である(
図5および
図6参照)。また、乗りかご30の揺れが検知されていない状態でも、制御部22は、乗りかご30の運転状態と利用者の乗車有無との関係からドアモータ32の戸閉保持力を制御する。
【0015】
乗りかご30には、かごドア31、ドアモータ32、ドア開閉機構33が設けられている。かごドア31は、例えば2枚のドアパネルからなり、乗りかご30の乗降口に開閉自在に設けられている。かごドア31の開閉方式(単にドア方式とも言う)が中央両開き方式であれば、かごドア31を構成する2枚のドアパネルは互いに逆方向に開閉動作する。片開き方式であれば、かごドア31を構成する2枚のドアパネルは同じ方向に開閉動作する。
【0016】
乗場の乗降口に設置された乗場ドア40もかごドア31と同じドア方式であり、かごドア31の開閉動作に追従して同時に移動する。ドア開閉機構33は、例えば複数の滑車やこれらの滑車に巻回されるベルトなどを備え、ドアモータ32の回転力を戸開閉に必要な力に変換する。
【0017】
図中のP1はモータ出力、P2は走行抵抗(摩擦力等の戸開動作を妨げる力)、P3は戸閉保持力(戸閉状態を保持するために必要な力)である。モータ出力P1は、ドアモータ32の回転速度とトルクによって決まる。ここでは、モータ出力P1の全てがかごドア31に伝達されることにする。モータ出力P1は、下記の(1)式で表すことができる。なお、走行抵抗P2は、予め据付け時に各階毎に測定されている。
【0018】
P1=P2+P3
=P2+(M×a) ……(1)
Mはドア重量であり、かごドア31の重量と乗場ドア40の重量を含む。aは加速度である。
【0019】
一般的なドア制御方式では、乗りかご30の運転中は、利用者の有無に関係なく、ドア重量によって戸閉保持力P3が制御される。つまり、乗りかご30に利用者が乗車していても乗車していなくても、一定の力で戸閉状態が保持されている。このため、消費電力が高く、長時間運転を続けていると、ドアモータ32が発熱して劣化する可能性がある。本実施形態では、乗りかご30内に設置されたカメラ34の画像から利用者を検知することで、乗りかご30が着床中と走行中とで戸閉保持力P3を制御する構成としている。
【0020】
また、乗りかご30に、例えば3軸の加速度センサ35が設置されている。加速度センサ35は、xyz方向の加速度を検知する。かごドア31の移動方向(戸開閉方向)をx方向としたとき、加速度センサ35は、少なくともx方向の加速度を検知可能な構成であれば良い。本実施形態では、この加速度センサ35を用いて、乗りかご30の揺れを検知し、x方向(かごドア31の移動方向)の揺れの大きさを戸閉保持力P3の制御に反映させている。
【0021】
図2は乗りかご30内の出入口周辺部分の構成を示す図である。
乗りかご30の出入口にかごドア31が開閉自在に設けられている。
図2の例では2枚戸両開きタイプのかごドア31が示されており、かごドア31を構成する2枚のドアパネル31a,31bが間口方向(水平方向)に沿って互いに逆方向に開閉動作する。なお、「間口」とは、乗りかご30の出入口と同じである。
【0022】
乗りかご30の出入口の両側に正面柱41a,41bが設けられており、幕板30aと共に乗りかご30の出入口を囲っている。「正面柱」は、出入口柱あるいは出入口枠とも言い、裏側にはかごドア31を収納するための戸袋が設けられているのが一般的である。
図2の例では、かごドア31が戸開したときに、一方のドアパネル31aが正面柱41aの裏側に設けられた戸袋42aに収納され、他方のドアパネル31bが正面柱41bの裏側に設けられた戸袋42bに収納される。
【0023】
正面柱41a,41bの一方あるいは両方に表示器43や、行先階ボタン44などが配設された操作盤45、スピーカ46が設置されている。
図2の例では、正面柱41aにスピーカ46、正面柱41bに表示器43、操作盤45が設置されている。
【0024】
乗りかご30の出入口上部の幕板30aの中央部にカメラ34が設置されている。カメラ34は、例えば車載カメラ等の小型の監視用カメラであり、広角レンズもしくは魚眼レンズを有し、1秒間に数コマ(例えば30コマ/秒)の画像を連続的に撮影可能である。カメラ34は、かごドア31付近を含み、かご内全体を撮影し、その撮影画像を利用者検知部21に出力する。なお、カメラ34はかごドア31付近を含み、かご内全体を撮影できればよいため、
図2のように幕板30aに設けられる態様に限定されない。例えば、監視カメラのように、乗りかご30の天井に設けられていてもよい。
【0025】
図3および
図4は乗りかご30内を上から見た場合の模式図である。かごドア31の戸開閉方向をX軸方向、戸開閉方向と直交する方向をY軸方向とする。図中のQ1~Q3は利用者を表している。
【0026】
カメラ34の撮影画像上でかごドア31の位置を基準にして検知エリアE1が設定されている。検知エリアE1は、かごドア31からY軸方向にL1のサイズを有する。X軸方向のサイズは乗りかご30の間口幅と同じW0である。
図3に示すように、利用者Q1,Q2が検知エリアE1内で検知されない場合には、かごドア31から離れた場所に乗車しているものと判断される。一方、
図4に示すように、利用者Q3が検知エリアE1内で検知される場合には、かごドア31の近くに乗車しているものと判断される。
【0027】
検知エリアE1の範囲はかごドア31の近傍に設定されており、検知エリアE1のサイズは自由に変更可能としても良い。例えば、Y軸方向のL1のサイズは乗りかご30のY軸方向において、かごドア31側の半分以内に設定すると好適である。例えば、乗りかご30の容量が大きい場合は、Y軸方向のL1のサイズは、乗客数名分の幅のサイズとしても良い。検知エリアE1の値は、例えばドア制御装置20内またはエレベータ制御装置10内の図示せぬ記憶部に記憶されている。
【0028】
図5および
図6は乗りかご30の揺れの大きさと方向との関係を示す図である。
かごドア31の移動方向(戸開閉方向)をx方向、かごドア31の前後方向をy方向とする。例えば、地震あるいは強風などにより、建物と共に乗りかご30が揺れると、乗りかご30に設置された加速度センサ35によって、x方向とy方向の揺れが検知される。なお、3軸の加速度センサ35であれば、z方向(昇降方向)の揺れも含めて検知される。
【0029】
ここで、x方向の揺れの大きさをMx、y方向の揺れの大きさをMyとした場合に、かごドア31の戸閉保持力に直接関わるのは、Mxの大きさである。つまり、走行中はz方向(昇降方向)の揺れも含めて、かご全体が多少揺れていることもあるが、地震等により乗りかご30が大きく揺れたときに問題となるのは、かごドア31の移動方向の揺れある。したがって、
図5に示すように、かご全体の揺れは大きくても、かごドア31の移動方向の揺れが小さい場合には戸閉保持力を強くする必要はない。逆に、
図6に示すように、かご全体の揺れは小さくても、かごドア31の移動方向の揺れが大きい場合には戸閉保持力を強くする必要がある。
【0030】
【0031】
「ドア制御量」とは、ここでは戸閉保持力の強さのことである(
図1に示したP3)。「a」,「b」,「c」,「d」の順で戸閉保持力が大きくなる。具体的には、a:50N,b:100N(標準値),c:150N,d:200Nである(Nはニュートン)。「ドア移動方向の揺れレベル」とは、
図5および
図6で説明したように、乗りかご30の揺れの方向成分のうち、かごドア31の移動方向の揺れの大きさである。「M1」,「M2」,「M3」の順で揺れが大きくなる。
【0032】
ドア移動方向の揺れレベル「0」の場合、着床中/走行中に関係なく、戸閉保持力は利用者の乗車状態に応じて設定される。利用者が乗車していない場合、あるいは、利用者が乗車していてもドア付近にいない場合には、危険性が少ないため、戸閉保持力を標準値よりも下げておくことができる(戸閉保持力=「a」)。利用者がドア付近に乗車している場合には、利用者の手などが挟まれる可能性があるため、少なくとも標準値程度の力で閉めておくことが好ましい(戸閉保持力=「b」)。
【0033】
一方、例えば地震や強風などにより、建物と共に乗りかご30が揺れている場合には、着床中と走行中に分けて、戸閉保持力が調整される。着床中は、ドアを固定しておくために、ドア移動方向の揺れレベルが高いほど、戸閉保持力を上げておくことが好ましい。走行中は、利用者の乗車の有無に関係なく、戸開を防ぐために戸閉保持力を上げておく必要がある。具体的には、以下のような条件で戸閉保持力が調整される。
【0034】
(1)乗りかご30が着床中で、利用者が乗車していない場合
ドア移動方向の揺れレベルが低いときは、戸閉保持力を標準値bよりも下げておく。
揺れレベル「M1」のときは、戸閉保持力=「a」
揺れレベル「M2」,「M3」のときは、戸閉保持力=「b」
(2)乗りかご30が着床中で、利用者がドア付近以外に乗車している場合
ドア移動方向の揺れレベルに応じて、戸閉保持力を標準値bから段階的に上げる。
揺れレベル「M1」,「M2」のときは、戸閉保持力=「b」
揺れレベル「M3」のときは、戸閉保持力=「c」
(3)乗りかご30が着床中で、利用者がドア付近に乗車している場合
ドア移動方向の揺れレベルに応じて、戸閉保持力を段階的に上記(2)よりもさらに上げる。
揺れレベル「M1」,「M2」のときは、戸閉保持力=「c」
揺れレベル「M3」のときは、戸閉保持力=「d」
(4)乗りかご30が走行中で、利用者が乗車していない場合
戸閉保持力を着床中のときよりも上げる。
揺れレベル「M1」のときは、戸閉保持力=「b」
揺れレベル「M2」,「M3」のときは、戸閉保持力=「c」
(5)乗りかご30が走行中で、利用者がドア付近以外に乗車している場合
上記(4)と同様
揺れレベル「M1」のときは、戸閉保持力=「b」
揺れレベル「M2」,「M3」のときは、戸閉保持力=「c」
(6)乗りかご30が走行中で、利用者がドア付近に乗車している場合
戸閉保持力を上記(4),(5)よりもさらに上げる。
揺れレベル「M1」のときは、戸閉保持力=「c」
揺れレベル「M2」,「M3」のときは、戸閉保持力=「d」
また、乗りかご30が揺れていない場合には、乗りかご30が揺れているときよりも低めの設定になる。具体的には、以下のような条件で戸閉保持力が調整される。
・乗りかご30が着床中/走行中で、利用者が乗車していない場合
戸閉保持力=「a」
・乗りかご30が着床中/走行中で、利用者がドア付近以外に乗車している場合
戸閉保持力=「a」
・乗りかご30が着床中/走行中で、利用者がドア付近に乗車している場合
戸閉保持力=「b」
つまり、乗りかご30が揺れていない場合には、利用者がドア付近に乗車しているか否かで戸閉保持力が異なる。
【0035】
なお、
図7は一例であり、ドア重量などに応じて、戸閉保持力の値を任意に設定することができる。また、ドア移動方向の揺れレベルも3つ以上に分けて、各レベル毎に戸閉保持力の値を細かく設定することでも良い。
【0036】
次に、第1の実施形態の動作について説明する。
図8は第1の実施形態におけるドア制御装置20の動作を示すフローチャートである。
図9~
図11はそれぞれ、
図8に示す第1のドア制御~第4のドア制御の詳細を示すフローチャートである。以下では、揺れ発生時と平常時に分けて、かごドア31の戸閉を保持するための戸閉保持力の制御について説明する。
【0037】
(a)揺れ発生時
例えば、地震や強風などにより、建物と共に乗りかご30が揺れると、乗りかご30に設置された加速度センサ35から乗りかご30の揺れの大きさを示すかご揺れ情報がドア制御装置20に与えられる。ドア制御装置20に備えられた制御部22は、かご揺れ情報により乗りかご30が揺れたことを検知すると(ステップS11のYes)、エレベータ制御装置10から乗りかご30の運転情報を取得し(ステップS12)、乗りかご30が着床中であるか走行中であるか否かを判断する(ステップS13)。
【0038】
乗りかご30が着床中であった場合には(ステップS13のYes)、制御部22は、利用者検知部21を起動して利用者検知処理を実行する(ステップS14)。なお、乗りかご30の運転状態に関係なく、常に利用者検知部21によって利用者の有無を検知する構成としても良い。制御部22は、利用者検知処理の結果を受けて第1のドア制御を実行し、かごドア31の戸閉を保持するための戸閉保持力を調整する(ステップS15)。
【0039】
詳しくは、
図9に示すように、乗りかご30に利用者が乗車していなかった場合には(ステップS31のNo)、制御部22は、危険性が低いと判断し、戸閉保持力を下げて、ドアモータ32を戸閉方向に駆動する(ステップS33)。ただし、着床中でも揺れレベルが高い場合には、かごドア31を固定しておく必要があるため、戸閉保持力を強くする。
【0040】
ここで言う「揺れレベル」とは、
図5および
図6で説明したように、かごドア31の移動方向の揺れの大きさのことである。この場合、3軸の加速度センサ35であれば、制御部22は、上記かご揺れ情報として得られるx,y,z方向の揺れのうち、x方向の揺れの情報を抽出して、当該情報に基づいて揺れの大きさ(レベル)を判定する。
図7の例では、揺れレベル「M1」のときは、戸閉保持力が標準値bよりも下げられている。揺れレベル「M2」以上のときは、戸閉保持力が標準値bに切り替えられる(図中の(1)参照)。
【0041】
乗りかご30の検知エリアE1以外に利用者が乗車していた場合、つまり、かごドア31付近以外に利用者が乗車していた場合には(ステップS32のNo)、制御部22は、危険性がやや高いと判断し、戸閉保持力を標準値b以上に上げてドアモータ32を戸閉方向に駆動する(ステップS34)。この場合、かごドア31の移動方向の揺れレベルに応じて戸閉保持力を段階的に変更する。
【0042】
「段階的に変更する」とは、予め設定された各レベルの順に戸閉保持力を変更することである。
図7の例では、揺れレベル「M1」,「M2」のときは、戸閉保持力=「b」である。揺れレベル「M3」のときは、戸閉保持力=「c」に切り替えられる(図中の(2)参照)。
【0043】
また、乗りかご30の検知エリアE1に利用者が乗車していた場合、つまり、かごドア31付近に利用者が乗車していた場合には(ステップS32のYes)、制御部22は、危険性が高いと判断し、戸閉保持力を利用者がドア付近に乗車していないときよりもさらに上げてドアモータ32を戸閉方向に駆動する(ステップS35)。その際、かごドア31の移動方向の揺れレベルに応じて戸閉保持力を段階的に上げる。
図7の例では、揺れレベルM1,M2のときは、戸閉保持力=「c」である。揺れレベルM3のときは、のときは、戸閉保持力=「d」に切り替えられる(図中の(3)参照)。
【0044】
戸閉保持力は、例えばかご重量などから求められる。「戸閉保持力を標準値よりも上げる」とは、戸閉状態を保持するために必要なトルクを通常よりも上げることである。これにより、かごドア31が強い力で閉まり、例えば地震の揺れなどによる外的な力がかごドア31に加えられても簡単には開かないようになる。
【0045】
「戸閉保持力を標準値よりも下げる」とは、戸閉状態を保持するために必要なトルクを通常よりも下げることである。これにより、戸閉保持に必要な電力が抑えられる。したがって、利用者に危険がない場合には、戸閉保持力を「a」に下げておくことで、ドアモータ32の温度上昇による劣化を防ぐことができる。
【0046】
図8に戻って、乗りかご30が走行中であった場合には(ステップS13のNo)、制御部22は、利用者検知部21を起動して利用者検知処理を実行し(ステップS16)、その利用者検知処理の結果を受けて第2のドア制御を実行する(ステップS17)。第2のドア制御は、乗りかご30が着床中のときよりも戸閉保持力を上げて、かごドア31を強く閉める。
【0047】
すなわち、
図10に示すように、乗りかご30に利用者が乗車していなかった場合には(ステップS41のNo)、制御部22は、かごドア31の移動方向の揺れレベルに応じて戸閉保持力を標準値bから段階的に上げて、ドアモータ32を戸閉方向に駆動する(ステップS43)。
図7の例では、揺れレベル「M1」のときは、戸閉保持力=「b」である。揺れレベル「M2」,「M3」のときは、戸閉保持力=「c」に切り替えられる(図中の(4)参照)。
【0048】
乗りかご30の検知エリアE1以外に利用者が乗車していた場合、つまり、かごドア31付近以外に利用者が乗車していた場合には(ステップS42のNo)、制御部22は、乗車なしの場合と同様に、かごドア31の移動方向の揺れレベルに応じて戸閉保持力を標準値bから段階的に上げてドアモータ32を戸閉方向に駆動する(ステップS44)。
図7の例では、揺れレベル「M1」のときは、戸閉保持力=「b」である。揺れレベル「M2」,「M3」のときは、戸閉保持力=「c」に切り替えられる(図中の(5)参照)。
【0049】
ここで、乗りかご30の検知エリアE1に利用者が乗車していた場合、つまり、かごドア31付近に利用者が乗車していた場合には(ステップS42のYes)、制御部22は、危険性が高いと判断し、戸閉保持力をさらに上げてドアモータ32を戸閉方向に駆動する(ステップS45)。
図7の例では、揺れレベル「M1」のときは、戸閉保持力=「c」である。揺れレベル「M2」,「M3」のときは、戸閉保持力=「d」に切り替えられる(図中の(6)参照)。
【0050】
(b)平常時
乗りかご30が地震や強風などの外的な力を受けずに通常に乗降動作しているとき、つまり、平常時には、以下のような処理が実行される。
すなわち、ドア制御装置20に備えられた制御部22は、エレベータ制御装置10から乗りかご30の運転情報を取得し(ステップS18)、乗りかご30が任意の階に着床中であるか各階の間を走行中であるか否かを判断する(ステップS19)。
【0051】
乗りかご30が着床中であった場合には(ステップS19のYes)、制御部22は、利用者検知部21を起動して利用者検知処理を実行する(ステップS20)。なお、乗りかご30の運転状態に関係なく、常に利用者検知部21によって利用者の有無を検知する構成としても良い。制御部22は、利用者検知処理の結果を受けて第3のドア制御を実行し、かごドア31の戸閉を保持するための戸閉保持力を調整する(ステップS21)。
【0052】
詳しくは、
図11に示すように、乗りかご30に利用者が乗車していなかった場合には(ステップS51のNo)、制御部22は、危険性が低いと判断し、戸閉保持力を標準値bよりも下げて、ドアモータ32を戸閉方向に駆動する(ステップS53)。同様に、乗りかご30の検知エリアE1以外に利用者が乗車していた場合、つまり、かごドア31付近以外に利用者が乗車していた場合(ステップS52のNo)、制御部22は、危険性が低いと判断し、戸閉保持力を標準値bよりも下げて、ドアモータ32を戸閉方向に駆動する(ステップS54)。
図7の例では、「乗車なし」と「ドア付近に乗車なし」の場合に、戸閉保持力=「a」に設定されている。
【0053】
また、乗りかご30の検知エリアE1に利用者が乗車していた場合、つまり、かごドア31付近に利用者が乗車していた場合には(ステップS52のYes)、制御部22は、危険性がやや高いと判断し、戸閉保持力を「a」よりも上げてドアモータ32を戸閉方向に駆動する(ステップS55)。
図7の例では、「ドア付近に乗車あり」の場合に、戸閉保持力=「b」に設定されている。
【0054】
戸閉保持力を上げることでかごドア31が強い力で閉まるので、地震の揺れがなくても、例えば利用者の悪戯などの外的な力がかごドア31に加えられても簡単には開かないようになる。
【0055】
特に、かごドア31が2枚戸片開き方式であった場合、一方のドアパネルと他方のドアパネルとの重なり部分に利用者が寄り掛かるなどすると、かごドア31が開いてしまうことがある。このような場合に、戸閉保持力を上げておけば、利用者の寄り掛かりなどによる戸開を防ぐことができる。
【0056】
図8に戻って、乗りかご30が走行中であった場合には(ステップS19のNo)、制御部22は、利用者検知部21を起動して利用者検知処理を実行し(ステップS22)、その利用者検知処理の結果を受けて第4のドア制御を実行する(ステップS23)。第4のドア制御は、第3のドア制御と同様である。
【0057】
すなわち、
図12に示すように、乗りかご30に利用者が乗車していなかった場合には(ステップS61のNo)、制御部22は、危険性が低いと判断し、戸閉保持力を標準値bよりも下げて、ドアモータ32を戸閉方向に駆動する(ステップS63)。同様に、乗りかご30の検知エリアE1以外に利用者が乗車していた場合、つまり、かごドア31付近以外に利用者が乗車していた場合(ステップS62のNo)、制御部22は、危険性が低いと判断し、戸閉保持力を標準値bよりも下げて、ドアモータ32を戸閉方向に駆動する(ステップS64)。
図7の例では、「乗車なし」と「ドア付近に乗車なし」の場合に、戸閉保持力=「a」に設定されている。
【0058】
また、乗りかご30の検知エリアE1に利用者が乗車していた場合、つまり、かごドア31付近に利用者が乗車していた場合には(ステップS62のYes)、制御部22は、危険性がやや高いと判断し、戸閉保持力を「a」よりも上げてドアモータ32を戸閉方向に駆動する(ステップS65)。
図7の例では、「ドア付近に乗車あり」の場合に、戸閉保持力=「b」に設定されている。
【0059】
このように第1の実施形態によれば、地震や地震等により乗りかご30が揺れた場合に、着床中と走行中とに分け、それぞれに利用者の乗車状態に応じて戸閉保持力を調整することで、かごドア31が開くことを防いで利用者の安全を確保できる。
【0060】
特に、かごドア31の移動方向の揺れに着目し、その揺れレベルに応じて戸閉保持力を段階的に変更することで、地震や強風等でかごドア31が動いてしまうことを確実に防いで、利用者の安全を確保できる。一方、利用者が乗車していない場合には、戸閉保持力を下げておくことで、電力消費を抑え、ドアモータ32の温度上昇による劣化を防ぐことができる。
【0061】
また、乗りかご30が揺れていない平常時であっても、利用者の乗車状態に応じて戸閉保持力を調整することで、利用者の悪戯などによる戸開を防ぐことができる。一方、利用者が乗車していない場合には、戸閉保持力を下げておくことで、電力消費を抑え、ドアモータ32の温度上昇による劣化を防ぐことができる。
【0062】
なお、上記第1の実施形態では、平常時は着床中と走行中に関係なく、ドア付近に利用者が乗車しているか否かで戸閉保持力を切り替える構成としたが、走行中は着床中よりも利用者の安全性が求められるため、ドアの戸閉保持力を少し上げるようにしても良い。つまり、
図7の例で、走行中にドア付近に乗車なしのときは戸閉保持力=「b」、走行中にドア付近に乗車ありのときは戸閉保持力=「c」とする。
【0063】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
通常、乗りかご30が任意の階に着床して全開すると、かごドア31の戸開方向に一定の力が加わり、戸開状態が保持される。このときの力を「戸開保持力」と呼び、
図1に示した戸閉保持力P3とは逆方向に働く。ここで、例えば地震や強風が発生したときに、そのときの揺れでかごドア31が戸閉方向に動き、乗りかご30から降車する利用者にぶつかる可能性がある。そこで、第2の実施形態では、戸開中に乗りかご30が揺れた場合に、利用者の乗車状態に応じて戸開保持力を制御する構成としたものである。
【0064】
図13は第2の実施形態におけるドア制御装置20の動作を示すフローチャートである。
いま、乗りかご30が任意の階で戸開中にあり、上述した戸開保持力によって戸開状態が保持されているとする(ステップS71)。このときの戸開保持力は標準値ka、時間時間は一定時間taである。
【0065】
ここで、戸開中に地震や強風などにより、建物と共に乗りかご30が揺れると、乗りかご30に設置された加速度センサ35から乗りかご30の揺れの大きさを示すかご揺れ情報がドア制御装置20に与えられる。ドア制御装置20に備えられた制御部22は、かご揺れ情報により乗りかご30が揺れたことを検知すると(ステップS72のYes)、以下のような処理を実行する。
【0066】
すなわち、まず、制御部22は、利用者検知部21を起動して利用者検知処理を実行する(ステップS73)。利用者検知処理の結果、乗りかご30のドア付近を含め、利用者が乗車していた場合には(ステップS74のYes)、制御部22は、戸開時間を延長するとともに(ステップS75)、戸開保持力を上げて、ドアモータ32を戸開方向に駆動する(ステップS76)。
【0067】
「戸開時間を延長する」とは、戸開状態を保持している時間(戸開待機時間)を予め設定された時間taよりも長くすることである。「戸開保持力を上げる」とは、予め設定された標準値kaよりも上げることである。
【0068】
なお、戸開時間と戸開保持力をどの程度上げるのかは任意に設定可能である。また、例えば
図14に示すように、戸開時間と戸開保持力を揺れレベルに応じて段階的に変更することでも良い。この場合、上記第1の実施形態と同様に、かごドア31の移動方向の揺れに着目し、その揺れの大きさに応じて戸開時間と戸開保持力と段階的に変更することが好ましい。
【0069】
「段階的に変更する」とは、予め設定された各レベルの順に戸開時間と戸開保持力を変更することである。
図14の例では、利用者が乗車している場合に、かごドア31の移動方向の揺れレベルが上がるのに従って、戸開時間がtaからtb,tc,tdに順に上がり、戸開保持力がkaからkb,kc,kdに順に上がることが示されている。
【0070】
一方、戸開中に乗りかご30の揺れが検知されなかった場合(ステップS72のNo)、あるいは、乗りかご30に利用者が乗車していなかった場合には(ステップS74のNo)、制御部22は、戸開時間をta、戸開保持力をkaに設定して、通常の戸閉制御を行う(ステップS77)。
【0071】
このように第2の実施形態によれば、戸開中に地震や強風等で乗りかご30が揺れた場合に、利用者の乗車状態に応じて戸開時間および戸開保持力が調整される。したがって、利用者が乗車していた場合には、かごドア31が動かないように戸開状態を保持し、また、戸開時間を通常よりも延長することで、利用者を安全に降車させることができる。その際、かごドア31の移動方向の揺れに着目し、その揺れの大きさに応じて段階的に戸開時間および戸開保持力を段階的に変更することで、戸開中に地震や強風等でかごドア31が動いてしまうことを確実に防ぐことができる。
【0072】
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、地震や強風などによって乗りかごが揺れた場合に、乗りかごのドアが動くことを防いで、利用者の安全を確保することのできるエレベータのドア制御装置を提供することができる。
【0073】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
10…エレベータ制御装置、20…ドア制御装置、21…利用者検知部、22…制御部、23…駆動部、30…乗りかご、31…かごドア、32…ドアモータ、33…ドア開閉機構、34…カメラ、35…加速度センサ、40…乗場ドア。
【要約】
【課題】地震や強風などによって乗りかごが揺れた場合に、乗りかごのドアが動くことを防いで、利用者の安全を確保する。
【解決手段】一実施形態に係るエレベータのドア制御装置は、乗りかごのドアを開閉動作させるためのドアモータと、上記乗りかごの揺れを検知する揺れ検知手段と、上記乗りかご内の利用者の有無を検知する利用者検知手段と、上記揺れ検知手段によって検知される上記乗りかごの揺れの方向成分のうち、上記ドアの移動方向の揺れの情報と、上記乗りかごの運転情報と、上記利用者検知手段から出力される利用者検知情報とに基づいて、上記乗りかごの戸閉を保持するための戸閉保持力を制御する制御手段とを具備とする。
【選択図】
図1