(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B66B 1/46 20060101AFI20221108BHJP
B66B 1/14 20060101ALI20221108BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20221108BHJP
B66B 13/14 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
B66B1/46 A
B66B1/14 L
B66B3/00 K
B66B3/00 W
B66B13/14 F
(21)【出願番号】P 2021148805
(22)【出願日】2021-09-13
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】文屋 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】西田 岳人
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-142686(JP,A)
【文献】特開2005-067836(JP,A)
【文献】特開平05-286675(JP,A)
【文献】特許第7036177(JP,B1)
【文献】特許第7056784(JP,B1)
【文献】国際公開第2007/129402(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00 - 1/52
B66B 3/00 - 3/02
B66B 13/00 - 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路を移動する乗りかごの行き先対象をそれぞれ表示する複数の表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記表示部への操作を非接触で検知する複数のセンサ部と、
前記センサ部に対して前記利用者による操作が検知された場合に、前記複数の表示部とは異なる位置に設けられ、呼びの状態を前記利用者に報知可能な表示装置を、第1の態様で発光制御し、前記センサ部による検知の状態で第1の時間が経過して呼び登録がされた場合に、前記表示装置を、第2の態様で発光制御し、前記呼び登録から第2の時間が経過した場合には、前記表示装置を、第3の態様で発光制御する報知部と、
を備える、エレベータ制御装置。
【請求項2】
前記報知部は、前記センサ部の検知の他、他のセンサ部で前記利用者による検知がされている場合には、前記センサ部による前記呼び登録がなされた場合および前記センサ部による前記呼び登録から前記第2の時間が経過した場合にかかわらず、前記表示装置を前記第2の態様および前記第3の態様での発光制御を行わず、前記表示装置を、前記他のセンサ部の検知に基づいて前記第1の態様または前記第2の態様で発光制御する、
請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記報知部は、さらに、前記センサ部による前記呼び登録と前記他のセンサ部による前記呼び登録の双方から前記第2の時間が経過した場合に、前記表示装置を前記第3の態様で発光制御する、
請求項2に記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記複数の表示部は、前記乗りかごの中に設けられ、前記行き先対象としての前記乗りかごの行き先階をそれぞれ表示する複数の行き先階表示部、を含み、
前記表示装置は、前記乗りかごの中の前記複数の行き先階表示部とは異なる位置に設けられ、少なくとも前記乗りかご内の前記利用者に、行き先階の呼びの状態を報知可能である、
請求項1~3のいずれか一つに記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
前記表示装置は、前記乗りかごの扉の開閉を報知可能な開閉報知用表示灯である、
請求項4に記載のエレベータ制御装置。
【請求項6】
前記表示装置は、前記乗りかご内を照明する照明灯である、
請求項4に記載のエレベータ制御装置。
【請求項7】
前記表示装置は、前記乗りかごの扉の近傍に設けられた表示灯である、
請求項4に記載のエレベータ制御装置。
【請求項8】
前記複数の行き先階表示部と、液晶表示部とを有する操作盤、をさらに備え、
前記表示装置は、前記液晶表示部である、
請求項4に記載のエレベータ制御装置。
【請求項9】
前記複数の行き先階表示部、を有する操作盤、と、
複数の第2の行き先階表示部、と第2の液晶表示部と、を有する第2の操作盤、と、をさらに備え、
前記表示装置は、前記液晶表示部である、
請求項4に記載のエレベータ制御装置。
【請求項10】
前記表示装置は、左右に開閉する扉の先端に設けられたスイッチ部であって、接触することにより閉まりかけた扉を左右に開かせることが可能な前記スイッチ部に、内蔵されている、
請求項4に記載のエレベータ制御装置。
【請求項11】
前記複数の表示部は、前記乗りかごへの乗り場に設けられ、前記行き先対象として前記乗りかごの上下の行き先方向をそれぞれ表示する複数の行き先方向表示部、を含み、
前記表示装置は、前記乗り場の前記複数の行き先方向表示部とは異なる位置に設けられ、前記乗り場の前記利用者に、行き先方向の呼びである乗り場呼びを報知可能である、
請求項1~3のいずれか一つに記載のエレベータ制御装置。
【請求項12】
前記複数の行き先方向表示部と、液晶表示部とを有する操作盤、をさらに備え、
前記表示装置は、前記液晶表示部である、
請求項11に記載のエレベータ制御装置。
【請求項13】
前記報知部は、前記第1の態様の発光制御として前記表示装置を点滅させ、前記第2の態様の発光制御として前記表示装置を点灯させ、前記第3の態様の発光制御として前記表示装置を消灯させる、
請求項1~12のいずれか一つに記載のエレベータ制御装置。
【請求項14】
前記報知部は、前記第1の態様の発光制御として前記表示装置を点滅させ、前記第2の態様の発光制御として前記表示装置を通常時の照度より明るい照度で点灯させ、前記第3の態様の発光制御として前記表示装置を前記通常時の照度で点灯させる、
請求項1~12のいずれか一つに記載のエレベータ制御装置。
【請求項15】
前記報知部は、前記第1の態様の発光制御、前記第2の態様の発光制御、前記第3の態様の発光制御として、前記表示装置の発光色を変更する、
請求項1~12のいずれか一つに記載のエレベータ制御装置。
【請求項16】
エレベータ制御装置で実行される制御方法であって、
前記エレベータ制御装置は、
昇降路を移動する乗りかごの行き先対象をそれぞれ表示する複数の表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記表示部への操作を非接触で検知する複数のセンサ部、を備え、
前記センサ部に対して前記利用者による操作が検知された場合に、前記複数の表示部とは異なる位置に設けられ、呼びの状態を前記利用者に報知可能な表示装置を、第1の態様で発光制御し、前記センサ部による検知の状態で第1の時間が経過して呼び登録がされた場合に、前記表示装置を、第2の態様で発光制御し、前記呼び登録から第2の時間が経過した場合には、前記表示装置を、第3の態様で発光制御する、
ことを含む、制御方法。
【請求項17】
エレベータ制御装置のコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記エレベータ制御装置は、
昇降路を移動する乗りかごの行き先対象をそれぞれ表示する複数の表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記表示部への操作を非接触で検知する複数のセンサ部、を備え、
前記センサ部に対して前記利用者による操作が検知された場合に、前記複数の表示部とは異なる位置に設けられ、呼びの状態を前記利用者に報知可能な表示装置を、第1の態様で発光制御し、前記センサ部による検知の状態で第1の時間が経過して呼び登録がされた場合に、前記表示装置を、第2の態様で発光制御し、前記呼び登録から第2の時間が経過した場合には、前記表示装置を、第3の態様で発光制御する、
ことを前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ制御装置、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗場でかごを呼ぶ乗り場呼びや、かご内で行先階の呼びを非接触で行う技術が知られている。このような技術として、非接触センサによる検知により各呼びを行うものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-151253号公報
【文献】特開2016-3100号公報
【文献】実開平5-61183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、利用者が非接触センサで乗りかごの呼びを行っている場合、非接触センサを用いて呼び登録の最中であることを、他の利用者に知らせることが困難である。このため、他の利用者は、行先階の呼び登録を行うべきかどうかを迷ったり、非接触ンサでの呼び登録が登録できたかどうかを把握することが困難で、利用者にとっては不便な場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のエレベータ制御装置は、昇降路を移動する乗りかごの行き先対象をそれぞれ表示する複数の表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記表示部への操作を非接触で検知する複数のセンサ部と、前記センサ部に対して前記利用者による操作が検知された場合に、前記複数の表示部とは異なる位置に設けられ、呼びの状態を前記利用者に報知可能な表示装置を、第1の態様で発光制御し、前記センサ部による検知の状態で第1の時間が経過して呼び登録がされた場合に、前記表示装置を、第2の態様で発光制御し、前記呼び登録から第2の時間が経過した場合には、前記表示装置を、第3の態様で発光制御する報知部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態1にかかるエレベータ制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態1にかかる乗りかご内の操作盤の構成の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態1において乗りかご1に設けられた表示装置の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、実施形態1における扉の入り口部分に設けた表示灯の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態1において扉の先端に設けられたスイッチ部に設けられた表示灯の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態1の車椅子用操作盤の構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態1にかかるエレベータ制御システムによる制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態2にかかるエレベータ制御システムによる制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態3にかかるエレベータ制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、実施形態3にかかる乗り場の操作盤の構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[実施形態1]
以下、図面を参照して実施形態1について詳細に説明する。
【0008】
(エレベータ制御システムの構成例)
図1は、実施形態1にかかるエレベータ制御システム100の機能構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、エレベータ制御システム100は、制御盤10、及び行き先階呼び装置30を備える。エレベータ制御システム100が制御を行うエレベータは、乗りかご1、駆動装置2、カウンタウェイト3、及びロープ4等を備える。
【0009】
乗りかご1は、図示しない昇降路内を昇降して、各階に設けられた乗り場で乗りかご1に乗車した利用者を他の階に輸送する。乗りかご1とカウンタウェイト3とはロープ4によって連結されている。ロープ4は駆動装置2に架け渡されている。駆動装置2は例えば巻上機等であり、駆動装置2が駆動することで乗りかご1を昇降路内で上下に走行させることができる。
【0010】
制御盤10は、制御部11、通信部12、及び記憶部13を備え、エレベータ全体を制御する。制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、駆動装置2と有線または無線で接続されている。また、制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、例えば乗りかご1内等に設置される行き先階呼び装置30と接続されている。制御盤10と行き先階呼び装置30とは有線または無線で接続されていてよい。また、制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、乗り場に設置される図示しない乗り場呼び装置等と有線または無線で接続されている。
【0011】
制御部11は、乗りかご1内の利用者から行き先階呼びがあった場合、または、乗り場の利用者から乗り場呼びがあった場合等に、それらの呼び登録を行う。制御部11は、呼び登録の内容を記憶部13に格納してもよい。
【0012】
ここで、行き先階呼びとは、乗りかご1内の利用者が、その乗りかご1を所望の行き先階へと向かわせるために行う操作である。また、乗り場呼びとは、乗り場の利用者が、上下いずれかの行き先方向に向かう乗りかご1をその乗り場に到着させるために行う操作である。
【0013】
制御部11は、呼び登録の内容に応じて駆動装置2を駆動させ、乗りかご1を行き先階呼び、または乗り場呼びに応答させる。また、制御部11は、乗りかご1が所定階に到着すると乗りかご1及び乗り場の戸開および戸閉等を行う。
【0014】
通信部12は、乗りかご1内の利用者から行き先階呼びがあった場合、または、乗り場の利用者から乗り場呼びがあった場合等に、それらの情報を行き先階呼び装置30及び図示しない乗り場呼び装置等から取得する。また、通信部12は、制御部11からの各種命令等を乗りかご1等に送信する。
【0015】
記憶部13は、制御盤10にエレベータの制御を実行させるための各種プログラムを記憶する。上述のように、記憶部13が、行き先階呼び登録および乗り場呼び登録等を記憶していてもよい。
【0016】
エレベータ制御装置としての行き先階呼び装置30は、物体検知部31、センサ部311(311a,311b,311c・・・)、押下検知部32、押しボタン312(312a,312b,312c・・・)、発光制御部33、報知部36、表示灯313(313a,313b,313c・・・)、表示装置35、及び通信部34を備え、乗りかご1の利用者による行き先階呼びを受け付ける。行き先階呼び装置30のうち、少なくともセンサ部311、押しボタン312、表示装置35、及び表示灯313は乗りかご1内に設けられている。行き先階呼び装置30の全体が乗りかご1内に設けられていてもよい。
【0017】
センサ部311(311a,311b,311c・・・)は、乗りかご1の複数の行き先階(行き先対象)にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部311に手指等をかざすと、センサ部311は利用者の手指等の物体を検知する。
【0018】
押しボタン312(312a,312b,312c・・・)は、乗りかご1の複数の行き先階にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。押しボタン312は、所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応する押しボタン312を押下することが可能に構成されている。
【0019】
表示灯313(313a,313b,313c・・・)は、乗りかご1の複数の行き先階にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部311に手指等をかざし、または、対応する押しボタン312を押下すると、その行き先階に対応する表示灯313が所定の態様で発光する。
【0020】
表示装置35は、乗りかご1の中であって、上記表示灯313(すなわち、
図2の複数の行き先階表示部310)とは異なる位置に設けられている。表示装置35の具体的な位置については、後述の表示装置35の具体例で説明する。そして、表示装置35は上記表示灯313とは別個に発光し、センサ部311に対する利用者の操作の検知に基づいて、少なくとも乗りかご1内の利用者に、呼びの状態を報知可能な発光デバイスである。表示装置35の詳細については後述する。
【0021】
物体検知部31は、計時部31aと、制御部31bとを備える。計時部31aは、いずれかのセンサ部311が利用者の手指等の物体を検知すると、第1の時間の計時を開始する。計時部31aは、そのセンサ部311が物体を検知し続けている間は、第1の時間を経過するまで計時を継続する。計時部31aは、第1の時間経過前に、そのセンサ部311が物体を検知しなくなった場合には、第1の時間の計時を終了する。
【0022】
計時部31aは、いずれかのセンサ部311が物体を検知した後に、そのセンサ部311が物体を検知しない状態、すなわち、非検知状態になると、計時を終了する。第1の時間としては、任意に設定することができる。例えば、第1の時間を300msとすることができるが、これに限定されるものではない。また、第1の時間を装置ごとに設定変更可能なパラメータデータとして構成し、装置ごとに調整するように構成してもよい。
【0023】
計時部31aは、上記第1の時間が経過して行き先階呼び登録がされた場合に、第2の時間の計時を開始する。そして、計時部31aは第2の時間が経過したら、計時を終了する。第2の時間としては、任意に設定することができる。例えば、第2の時間を300msとすることができるが、これに限定されるものではない。また、第2の時間を装置ごとに設定変更可能なパラメータデータとして構成し、装置ごとに調整するように構成してもよい。
【0024】
制御部31bは、いずれかのセンサ部311が利用者の手指等の物体を検知すると、計時部31aが計時した結果に基づいて行き先階呼びがあったか否かを判定する。具体的には、制御部31bは、いずれかのセンサ部311について第1の時間に達する前に、計時部31aが第1の時間の計時を終了した場合には、そのセンサ部311に対応する行き先階への呼びはなかったものと判定する。また、制御部31bは、いずれかのセンサ部311について第1の時間に達した場合に、他のセンサ部311が物体を検知しなければ、物体を検知したセンサ部311に対応する行き先階への呼びがあったものと判定する。
【0025】
さらに、制御部31bは、センサ接点信号を制御する。ここで、センサ接点信号は、センサ部311に対する操作による検知に基づく信号である。具体的には、本実施形態のセンサ接点信号は、センサ部311の検知に同期する信号である。すなわち、センサ部311により操作が検知された場合にオンとなり、センサ部311により非検知となった場合には、オフとなる。
【0026】
制御部31bは、センサ部311により操作が検知された場合に、センサ接点信号をオンとし、センサ部311により検知から非検知に変化した場合に、センサ接点信号をオフにする。また、制御部31bは、センサ接点信号がオンとなってから、検知状態のまま第1の時間経過したら、行き先階呼び登録を行う。そして、制御部31bは、行き先階呼び登録から第2の時間が経過したら、センサ接点信号をオフにする。なお、制御部31bは、センサ接点信号を、一定時間ごと、あるいはオンオフが変化するごとに、発光制御部33および報知部36に送出する。また、制御部31bは、センサ接点信号がオンとなった場合には、表示灯313の暗点灯指示を、発光制御部33に送出する。さらに、制御部31bは、行き先階呼び登録が行われたと判定した場合には、表示灯313の明点灯指示を発光制御部33に送出する。
【0027】
押下検知部32は、計時部32aと、制御部32bとを備える。計時部32aは、いずれかの押しボタン312が利用者によって押下されると、押しボタン312の押下時間のカウントを開始する。計時部32aは、その押しボタン312が押下され続けている間は、押下時間が所定時間に達するまで押下時間のカウントを継続する。計時部32aは、押下時間が所定時間に達する前に、その押しボタン312が押下されなくなった場合には、押しボタン312の押下時間の計時を終了する。
【0028】
制御部32bは、いずれかの押しボタン312が利用者によって押下されると、計時部32aがカウントした結果に基づいて行き先階呼びがあったか否かを判定する。具体的には、制御部32bは、いずれかの押しボタン312について計時部32aがカウントした押下時間が所定時間に達する前に、計時部32aが押下時間のカウントを終了した場合には、その押しボタン312に対応する行き先階への呼びはなかったものと判定する。
【0029】
制御部32bは、いずれかの押しボタン312について計時部32aがカウントした押下時間が所定時間に達した後に、他の押しボタン312が押下されなければ、押下された押しボタン312に対応する行き先階への呼びがあったものと判定する。ただし、既にセンサ部311の検知から所定時間経過することで行き先階への呼び登録が行われている場合には、制御部32bは、押しボタン312の押下により新たな行き先階への呼び登録は行わない。
【0030】
さらに、制御部32bは、押しボタン接点信号を制御する。ここで、押しボタン接点信号は、押しボタン312に対する操作による検知に基づく信号である。具体的には、本実施形態の押しボタン接点信号は、押しボタン312の押下に同期する。
【0031】
制御部32bは、押しボタン312の押下が検知された場合に、押しボタン接点信号をオンとする。制御部32bは、押しボタン接点信号がオンとなってから押下の状態で所定時間が経過したら、行き先階への呼び登録を行う。ただし、既にセンサ部311の検知から所定時間経過すること等で行き先階への呼び登録が行われている場合には新たに行き先階への呼び登録は行われない。制御部32bは、押しボタン312の押下から押下が検知されなくなった場合、すなわち、利用者の手指等が押しボタン312から離れて押下が解除された場合に、押しボタン接点信号をオフにする。
【0032】
なお、制御部32bは、押しボタン接点信号を、一定時間ごと、またはオンオフが変化するごとに、発光制御部33に送出する。また、制御部32bは、押しボタン接点信号がオンとなった場合には、表示灯313の暗点灯指示を、発光制御部33に送出する。さらに、制御部32bは、行き先階へ呼びがあったと判定した場合には、表示灯313の明点灯指示を発光制御部33に送出する。ただし、センサ部311の検知から所定時間経過することで行き先階への呼び登録が既に行われている場合には、制御部32bは、暗点灯指示および明点灯指示は送出しない。
【0033】
発光制御部33は、制御部31bからセンサ接点信号を入力し、制御部32bから押しボタン接点信号を入力する。そして、発光制御部33は、センサ接点信号、押しボタン接点信号のオンオフに従って表示灯313を点灯させる。すなわち、発光制御部33は、センサ接点信号、押しボタン接点信号のいずれかがオンの場合には、操作が行われた行き先階に対応する表示灯313を発光させ、センサ接点信号、押しボタン接点信号の双方がオフの場合には当該表示灯313を消灯させる。
【0034】
ここで、発光させる態様としては、暗点灯と明点灯がある。発光制御部33は、制御部31bからの暗点灯指示を入力した場合に、表示灯313を暗点灯させ、制御部31b、32bからの明点灯指示を入力した場合に、表示灯313を明点灯させる。ここで、表示灯313の明点灯は、押しボタン312の押下、およびセンサ部311の検知から第1の時間経過したことによる呼び登録の入力を、行き先階呼び装置30が検知した結果に対する応答の点灯を意味する。
【0035】
なお、発光の態様として、暗点灯、明点灯は一例であり、これらに限定されるものではない。例えば、点滅等の発光態様を採用することも可能である。
【0036】
報知部36は、センサ部311に対して利用者による操作が検知された場合に、表示装置35を、第1の態様で発光制御し、センサ部311による検知の状態で第1の時間が経過して呼び登録がされた場合に、表示装置35を、第2の態様で発光制御し、呼び登録から第2の時間が経過した場合には、表示装置35を、第3の態様で発光制御することで、乗りかご1内の利用者に、行き先階呼びの状態を報知する。
【0037】
本実施形態では、報知部36は、第1の態様の発光制御として表示装置35を点滅させ、第2の態様の発光制御として表示装置35を点灯させ、第3の態様の発光制御として表示装置35を消灯させる。
【0038】
通信部34は、物体検知部31または押下検知部32が、所定の行き先階への呼びがあったものと判定した場合には、その行き先階呼びの情報を制御盤10に送信する。
【0039】
なお、後述するように、行き先階呼び装置30は、乗りかご1の複数の行き先階に対応する押しボタン312の他に、例えば乗りかご1の戸開および戸閉を行う押しボタン等を備えている。この場合、上述の押下検知部32は、これらの他の押しボタンの押下を検知し、通信部34を介して制御盤10等に検知結果を通知してもよい。
【0040】
また、後述するように、行き先階呼び装置30は、乗りかご1の複数の行き先階に対応する表示灯313の他に、例えば乗りかご1の戸開および戸閉等に対応する表示灯等を備えている。この場合、上述の発光制御部33は、押下検知部32の検知結果等に基づいて、これらの表示灯を種々の態様で発光させてもよい。
【0041】
また、行き先階呼び装置30は、上記以外にも、乗りかご1の利用者の操作に供する種々の構成を備えることができる。
【0042】
次に、実施形態1にかかるエレベータ制御システム100の物理構成について説明する。制御盤10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び記憶装置等を備えるコンピュータとして構成されている。
【0043】
ROMには、例えば制御プログラム及び呼び登録プログラム等のエレベータの制御に関わる各種プログラムが格納されている。ROMに格納されたこれらのプログラムが読み出されてRAMに展開され、それらのプログラムをCPU101が実行することにより、制御盤10のエレベータ制御装置としての機能が実現される。
【0044】
この呼び登録プログラムがCPUにより実行されることで、上述の制御部11、通信部12、及び記憶部13等が実現される。
【0045】
行き先階呼び装置30は、CPU、ROM、及びRAM等を備えるコンピュータとして構成されている。行き先階呼び装置30はまた、上述のようにセンサ部311(311a,311b,311c・・・)、押しボタン312(312a,312b,312c・・・)、及び表示灯313(313a,313b,313c・・・)を備えている。
【0046】
ROMには、例えば行き先階呼びプログラム等の行き先階呼びの受け付けに関わるプログラムや、センサ接点信号および押しボタン接点信号の制御、表示灯313の発光制御に関わる信号制御プログラム、表示装置35の発光制御による報知プログラム等の各種プログラムが格納されている。ROMに格納された行き先階呼びプログラム、信号制御プログラム、報知プログラムが読み出されてRAMに展開され、CPUによって実行されることにより、行き先階呼び装置30の物体検知部31、押下検知部32、生成部35、発光制御部33、報知部35、及び通信部34等が実現される。
【0047】
ここで、呼び登録プログラム、行き先階呼びプログラム、信号制御プログラム、報知プログラム等は、コンピュータで実行可能な、エレベータの制御に関する複数の命令を含むコンピュータ読み取り可能かつ非遷移的な記録媒体(Non-transitory Computer Readable Recording Medium)を有するコンピュータプログラムプロダクトである。呼び登録プログラム、行き先階呼びプログラム、信号制御プログラム、報知プログラム等は、例えばモジュール構成となっており、これらのモジュールが主記憶装置上にロードされる。
【0048】
呼び登録プログラム、行き先階呼びプログラム、信号制御プログラム、報知プログラム等は、例えばコンピュータでの読み取りが可能なように記録媒体等に格納されて提供される。記録媒体は、例えば磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、またはフラッシュメモリ等である。ただし、呼び登録プログラム、行き先階呼びプログラム、信号制御プログラム、報知プログラム等は、ネットワークに置かれたサーバ等により配信され、または、ダウンロード可能なように構成されることで、他の様々な手法により提供されてもよい。
【0049】
なお、主に、制御盤10によって実行される呼び登録プログラムと、行き先階呼び装置30によって実行される呼び登録プログラム、行き先階呼びプログラム、信号制御プログラム、報知プログラムとによって、エレベータ制御システム100によって実行されるエレベータ制御プログラムが構成される。
【0050】
(操作盤の構成例)
次に、
図2を用いて、実施形態1の操作盤318の構成例について説明する。
図2は、実施形態1にかかる乗りかご1内の操作盤318の構成の一例を示す模式図である。
【0051】
行き先階呼び装置30は、例えば乗りかご1内に設置された操作盤318を備える。操作盤318の設置位置は、例えば乗りかご1内の扉右横、つまり、利用者が乗りかご1に乗り込んだ状況で乗り場側に向かって、右側袖壁部分である。操作盤318が、乗りかご1の左側袖壁部分、または、側板部分等の他の部分に設置されていてもよい。
【0052】
操作盤318は、例えば行き先階表示部310(310a~310e)、センサ部311(311a~311e)、押しボタン312(312a~312e),315(315e,315c)、表示灯313(313a~313e),316(316e,316c)、開閉表示部314(314e,314c)、及び表示装置317を備える。
【0053】
行き先階表示部310は、例えば乗りかご1の行き先階の数字が示された文字盤等であり、乗りかご1の行き先階に対応して操作盤318に複数配置されている。
図2の例では、乗りかご1の行き先階である1階~5階にそれぞれ対応して、5つの行き先階表示部310a~310eが縦方向に配置されている。
【0054】
センサ部311は、非接触式のセンサであり、複数の行き先階表示部310にそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310近傍の操作盤318に複数配置されている。
図2の例では、縦方向に並ぶ行き先階表示部310a~310eの左横に、それぞれ対応する5つのセンサ部311a~311eが配置されている。乗りかご1の利用者が、所望の行き先階への呼びを行うために、対応するセンサ部311に手指等をかざすと、そのセンサ部311が、対応する行き先階表示部310への操作として利用者の手指等を検知する。
【0055】
センサ部311は、例えば非接触式の反射型光電センサ等として構成されている。反射型光電センサは、赤外線をセンサの外側へ向けて投光し、その光が当たった物体からの反射光を受光することで、非接触に物体を検知する。ただし、センサ部311は、非接触で物体を検知することができればよく、例えば静電容量型センサ等の他の型式のセンサとして構成されていてもよい。静電容量型センサは、センサの周囲に電界を発生させ、電界内に進入した物体によって静電容量が変化することにより非接触に物体を検知する。
【0056】
センサ部311は、表面から所定距離だけ離れた検知範囲を有している。センサ部311は、センサ部311が設けられた行き先階表示部310の表面から第1の距離だけ離間した位置までの第1の空間領域では前記利用者の操作を検知しない。検知範囲は、行き先階表示部310の表面から第1の距離から離間した位置から第2の距離だけ離間した位置までの空間領域であり、この空間領域で利用者の操作を検知する。第1の距離は、例えば、行き先階表示部310の表面から5mm程度であり、第2の距離は、例えば、行き先階表示部310の表面から25mm程度とすることができる。ただし、第1の距離、第2の距離についてはこれに限定されるものではない。
【0057】
押しボタン312は、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、複数の行き先階表示部310にそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310と一体的に操作盤318に複数配置されている。すなわち、例えば押しボタン312のそれぞれの前面には、対応する行き先階表示部310である文字盤等がはめ込まれている。乗りかご1の利用者が、所望の行き先階への呼びを行うために、対応する押しボタン312を押下すると、上述の押下検知部32(
図1参照)が、対応する行き先階表示部310への操作として押しボタン312の押下を検知する。
【0058】
表示灯313は、上述のように複数の態様で発光することが可能に構成され、複数の行き先階表示部310にそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310と一体的に操作盤318に複数内蔵されている。すなわち、例えば押しボタン312のそれぞれの背面に、それぞれ表示灯313が埋め込まれている。上述の物体検知部31からのセンサ接点信号に基づいて、及び押下検知部32からの押しボタン接点信号に基づいて、対応する表示灯313が点灯すると、押しボタン312及び行き先階表示部310を透過した表示灯313の光が利用者に目視される。
【0059】
開閉表示部314は、例えば乗りかご1の扉の開閉を表示する表示盤等であり、乗りかご1の戸開を表示する開閉表示部314e、及び乗りかご1の戸閉を表示する開閉表示部314cを含む。
図2の例では、開閉表示部314e,314cが左右に並んで操作盤318に配置されている。
【0060】
押しボタン315は、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、開閉表示部314e,314cにそれぞれ対応して、対応する開閉表示部314と一体的に操作盤318に複数配置されている。すなわち、例えば押しボタン315e,315cのそれぞれの前面には、対応する開閉表示部314e,314cである表示盤等がはめ込まれている。乗りかご1の利用者が、乗りかご1の扉の開閉を行うために、対応する押しボタン315を押下すると、上述の押下検知部32(
図1参照)が、対応する開閉表示部314への操作として押しボタン315の押下を検知する。
【0061】
表示灯316は、所定の態様で発光することが可能に構成され、開閉表示部314e,314cにそれぞれ対応して、対応する開閉表示部314と一体的に操作盤318に内蔵されている。すなわち、例えば押しボタン315e,315cのそれぞれの背面に、それぞれ表示灯316e,316cが埋め込まれている。例えば上述の押下検知部32(
図1参照)の検知結果に基づいて、上述の発光制御部33(
図1参照)が対応するいずれかの表示灯316e,316cを点灯させると、押しボタン315及び開閉表示部314を透過した表示灯316の光が利用者に目視される。これにより、利用者は、自身の操作がどちらの開閉表示部314e,314cに対する操作と認識されたかを知ることができる。
【0062】
表示装置317は、例えば液晶表示部としての液晶パネルとして構成され、乗りかご1が、どの階付近をどちらの向きに走行中であるかを表示する。
図2の例では、上向き矢印と「3」の文字が表示されている。このことから、乗りかご1は3階付近を上方へ向かって走行中であることが判る。
【0063】
なお、操作盤318の構成および各種構成の配置は
図2の例に限られない。
【0064】
図2の例では、複数の行き先階表示部310と、これらに対応するセンサ部311とがセットで縦1列に配置されることとしたが、行き先階表示部310とセンサ部311とがセットで複数列に配置されていてもよい。つまり、例えば1階~5階に対応する行き先階表示部310とセンサ部311とのセットが縦1列に配置された右隣等に、例えば6階~10階に対応する行き先階表示部310とセンサ部311とのセットを更に縦1列に配置することができる。
【0065】
また、複数の行き先階表示部310と、これらに対応するセンサ部311とがセットで横1列または複数列に配置されていてもよい。
【0066】
また、センサ部311の近傍に、センサ部311の存在を示す表示またはセンサ部311に手指等をかざす操作を促す表示等を配置してもよい。これらの表示は、例えばセンサ部311の近傍に所望の表示が記されたシール等を貼付することで配置することができる。
【0067】
また、それぞれのセンサ部311の近傍に、それらのセンサ部311に対応する行き先階を示す点字、センサ部311の存在を示す点字、またはセンサ部311に手指等をかざす操作を促す点字等を配置してもよい。これらの点字は、例えばセンサ部311の近傍に所望の点字が付された銘板等を設置することで配置することができる。
【0068】
また、操作盤318は、乗りかご1の開閉も非接触で行うことができるよう、開閉表示部314e,314cにそれぞれ対応するセンサ部を備えていてもよい。
【0069】
その他、操作盤318は、利用者の操作に供する種々の押しボタン及びセンサ等を備えることができ、また、利用者に種々の情報を提示する表示灯等を備えることができる。
【0070】
(表示装置35の具体例)
次に、表示装置35の具体例について説明する。
図3は、実施形態1において乗りかご1に設けられた表示装置35の一例を示す模式図である。
【0071】
本実施形態では、表示装置35は、開閉報知用表示灯35aを用いることができる。開閉報知用表示灯35aは、
図3に示すように、扉401の上方の幕板の下面に設けられている。開閉報知用表示灯35aは、乗りかご1の扉401の開閉時(戸開時、戸閉時)に点滅して利用者に注意を促して、乗りかご1の乗り降り時に事故が起こらないようにする表示灯である。
【0072】
すなわち、本実施形態では、扉401の開閉時には本来の機能として点滅して利用者に注意を促すが、それ以外は、行き先階呼び登録の状態を乗りかご1内の利用者に報知するために使用される。
【0073】
また、表示装置35としては、
図3に示すように、乗りかご1の天井に設けられ、乗りかご1内を照明する照明灯35bを用いるfことができる。このように乗りかご1の天井に設けられた照明灯35bを,本実施形態の表示装置35として用いることで、乗りかご1内の利用者に、行き先階呼び登録の状態を容易に報知することができる。
【0074】
また、表示装置35としては、
図3に示すように、乗りかご1の扉401の近傍である入り口部分に設けた表示灯35cを用いることができる。
図4は、実施形態1における扉401の入り口部分に設けた表示灯35cの一例を示す図である。表示灯35cは、
図4に示すように、扉401の入り口部分としての入り口柱403に設けられている。
【0075】
このように入り口柱402に表示装置35としての表示灯35cを設けることにより、扉401が開いている状態では、行き先階呼びの状態を、乗りかご1内の利用者だけではなく、乗り場にいる利用者にも報知することが可能となる。
なお、扉401の近傍の入り口部分の側板に表示灯35cを設けても良い。
【0076】
また、表示装置35としては、
図2で示した操作盤318に設けられた表示装置317(液晶表示部)を用いることができる。この場合、表示装置317の液晶画面に表示されている階床数字を点滅させたり、点灯させたり、消灯したりすることで、行き先階呼びの状態を、乗りかご1内の利用者に報知することが可能となる。
【0077】
また、表示装置35として、左右に開閉する扉401の先端に設けられたスイッチ部に設けた表示灯を用いることができる。
図5は、実施形態1において扉401の先端に設けられたスイッチ部405に設けられた表示灯35dの一例を示す図である。
【0078】
スイッチ部405は、左右の扉401の各先端に設けられ、左右の扉401が閉まろうとする際に、乗りかご1へ乗り降りしている利用者や荷物と接触することにより閉まりかけた扉を左右に開かせることが可能なスイッチである。表示灯35dは、
図5に示すように、このスイッチ部405の先端部分の内部に埋め込まれている。これにより、行き先階呼びの状態を、乗りかご1内の利用者だけではなく、乗り場にいる利用者にも報知することが可能となる。
【0079】
操作盤318の他に、乗りかご1の内壁面に設けられた第2の操作盤としての車椅子用操作盤の液晶表示部(第2の液晶表示部)を、表示装置35として用いることもできる。
図6は、実施形態1の車椅子用操作盤801の構成の一例を示す図である。
【0080】
車椅子用操作盤801は、
図6に示すように、例えば行き先階表示部810、センサ部811、押しボタン812,815、不図示の表示灯、開閉表示部814、非常用ボタン816及び液晶表示部817を備える。
【0081】
行き先階表示部810は、例えば乗りかご1の行き先階の数字が示された文字盤等であり、乗りかご1の行き先階に対応して車椅子用操作盤801に複数配置されている。
図6の例では、乗りかご1の行き先階である1階~14階にそれぞれ対応して、14個の行き先階表示部810が横方向に二列となって配置されている。
【0082】
センサ部811は、非接触式のセンサであり、複数の行き先階表示部810にそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部810の近傍に複数配置されている。
図6の例では、横方向に二列に並ぶ行き先階表示部810の下側に、それぞれ対応する14個のセンサ部811が配置されている。
【0083】
押しボタン812は、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、複数の行き先階表示部810にそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部810と一体的に車椅子用操作盤801に複数配置されている。
【0084】
表示灯(不図示)は、複数の態様で発光することが可能に構成され、複数の行き先階表示部810にそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部810と一体的に車椅子用操作盤801に複数内蔵されている。
【0085】
開閉表示部814は、例えば乗りかご1の扉の開閉を表示する表示盤等であり、乗りかご1の戸開を表示する開閉表示部と乗りかご1の戸閉を表示する開閉表示部とから構成される。
図6の例では、二つの開閉表示部814が左右に並んで車椅子用操作盤801に配置されている。
【0086】
押しボタン815は、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、二つの開閉表示部814にそれぞれ対応して、対応する開閉表示部814と一体的に車椅子用操作盤801に複数配置されている。二つの開閉表示部814にそれぞれ対応して、二つの表示灯(不図示)が対応する開閉表示部814と一体的に車椅子用操作盤801に内蔵されている。
【0087】
非常用ボタン816は、押下されることにより、管理センタ等の外部に非常事態を通知するためのボタンである。
【0088】
液晶表示部817は、液晶パネルとして構成され、乗りかご1が、どの階付近をどちらの向きに走行中であるかを表示する。
図6の例では、上向き矢印と「10」の文字が表示されている。このことから、乗りかご1は10階付近を上方へ向かって走行中であることが判る。
【0089】
ここで、センサ部811、押しボタン812、815、表示灯、開閉表示部814、液晶表示部817のそれぞれの構成は、操作盤318のセンサ部311、押しボタン312、315、表示灯313、316、開閉表示部314、表示装置317の押しボタン312の構成と同様である。
【0090】
なお、車椅子操作盤801の構成および各種構成の配置は
図6の例に限られない。
【0091】
そして、本実施形態では、この車椅子用操作盤801の液晶表示部817を表示装置35として用いることができる。乗りかご1内の利用者に、行き先階呼び登録の状態を容易に報知することができる。
【0092】
(エレベータ制御システムの処理例)
次に、
図7を用いて、実施形態1のエレベータ制御システム100のエレベータ制御処理の例について説明する。
図7は、実施形態1にかかるエレベータ制御システム100による制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。ここで、以下では、行き先階呼び装置30のセンサ部311による検知があった場合の表示装置35による報知処理例を中心に説明し、押しボタン312による検知および表示灯313の発光制御については説明を省略する。また、表示装置35として、開閉報知用表示灯35aを用いた場合を例として説明する。
【0093】
図7に示すように、行き先階呼び装置30の物体検知部31は、利用者の手指等がいずれかのセンサ部311の検知範囲内に入り、対応する行き先階表示部310への操作を検知したか否かを判定する(S101)。手指等がいずれのセンサ部311の検知範囲外であり、非検知状態であった場合には(S101:No)、物体検知部31はいずれかのセンサ部311が検知状態となるまで待機する。
【0094】
手指等が所定のセンサ部311の検知範囲内に入り、当該所定のセンサ部311が、ある行き先階を表示する行き先階表示部310への操作を検知した場合には(ステップS101:Yes)、制御部31bはセンサ接点信号をオンとする(S102)。そして、報知部36は、表示装置35を点滅させる(S103)。次に、計時部31aは、第1の時間の計時を開始する(S104)。そして、制御部31bは、センサ部311の検知から第1の時間が経過したか否かを判断する(S105)。
【0095】
第1の時間が経過していない場合には(S105:No)、物体検知部31は、手指等がセンサ部311の検知範囲外に入り、非検知となったか否かを判断する(S114)。手指等がセンサ部311の検知範囲外に入り非検知となった場合には(S114:Yes)、制御部31bはセンサ接点をオフにする(S115)。そして、報知部36は表示装置35を消灯し(S116)、処理はS101へ戻る。
【0096】
S114において、手指等がセンサ部311の検知範囲内にある場合には(S114:No)、S105へ戻り、第1の時間の経過を判断する。
【0097】
S105において、第1の時間を経過した場合には(S105:Yes)、計時部31aは第1の時間の計時を終了する(S106)。そして、制御部31bは行き先階呼びを行って、制御盤10の制御部11が行き先階呼び登録を行う(S107)。報知部36は、表示装置35を点灯させる(S108)。そして、計時部31aは、第2の時間の計時を開始する(S109)。
【0098】
次に、制御部31bは、行き先階呼び登録から第2の時間が経過したか否かを判断する(S110)。行き先階呼び登録から第2の時間が経過していない場合には(S110:No)、制御部31bは第2の時間の経過まで待機する。
【0099】
一方、行き先階呼び登録から第2の時間が経過した場合には(S110:Yes)、計時部31aは第2の時間の計時を終了し(S111)、制御部31bは、センサ接点をオフにする(S112)。そして、報知部36は、表示装置35を消灯する(S113)。
以上のS101からS113の処理は、繰り返し実行される。
【0100】
このように本実施形態では、センサ部311に対して利用者による操作が検知された場合、報知部36は表示装置35を点滅させ、センサ部311による検知の状態で第1の時間が経過して行き先階呼び登録がされた場合には、報知部36は表示装置35を点灯させ、行き先階呼び登録から第2の時間が経過した場合には、報知部36は表示装置35を消灯する。これにより本実施形態では、行き先階呼びの状態を乗りかご1の利用者に報知することができ、利用者の便宜となる。
【0101】
[実施形態2]
実施形態1では、一つのセンサ部311の検知に基づいて表示装置35による呼び状態の報知を行っていたが、この実施形態2では、他のセンサ部311で検知が行われている場合での呼び状態の報知を実現するものである。
実施形態2のエレベータ制御システム100、制御盤10、行き先階呼び装置30の機能的構成、ハードウェア構成は、
図1を用いて説明した実施形態1と同様である。また、操作盤318の構成も
図2を用いて説明した実施形態1と同様である。表示装置35の構成、具体例を実施形態1と同様である。
【0102】
実施形態2の行き先階呼び装置30の報知部36は、センサ部311の検知の他、他のセンサ部311で利用者による検知がされている場合には、センサ部311による行き先階呼び登録がなされた場合およびセンサ部311による行き先階呼び登録から第2の時間が経過した場合にかかわらず、表示装置311を第2の態様および第3の態様での発光制御を行わず、表示装置35を、他のセンサ部311の検知に基づいて第1の態様または第2の態様で発光制御する。また、報知部36は、センサ部311による行き先階呼び登録と他のセンサ部311による行き先階呼び登録の双方から第2の時間が経過した場合に、表示装置35を第3の態様で発光制御する。
【0103】
ここで、本実施形態でも、報知部36は、第1の態様の発光制御として表示装置35を点滅させ、第2の態様の発光制御として表示装置35を点灯させ、第2の態様の発光制御として表示装置35を消灯させる。
【0104】
次に、
図8を用いて、実施形態2のエレベータ制御システム100のエレベータ制御処理の例について説明する。
図8は、実施形態2にかかるエレベータ制御システム100による制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。ここで、以下では、行き先階呼び装置30のセンサ部311による検知があった場合の表示装置35による報知処理例を中心に説明し、押しボタン312による検知および表示灯313の発光制御については説明を省略する。また、表示装置35として、開閉報知用表示灯35aを用いた場合を例として説明する。
【0105】
S101のセンサ部311の検知判断からS107の当該センサ部311に基づく行き先階呼び登録までの処理は実施形態1と同様に行われる。
【0106】
S107には、S101のセンサ部311の検知に基づく行き先階呼び登録がされると、物体検知部31は、手指等が、S101で検知したセンサ部311とは異なる他のセンサ部311の検知範囲内に入り、当該他のセンサ部311で検知されているか否かを判断する(S201)。手指等が当該他のセンサ部311の検知範囲外であり、当該他のセンサ部311が非検知である場合には(S201:No)、S108へ行き、報知部36は表示装置35を点灯させる(S108)。
【0107】
S201において、手指等が他のセンサ部311の検知範囲内であり、当該他のセンサ部311が検知状態にある場合には(S201:Yes)、制御部31bは、当該他のセンサ部311の検知から第1の時間の計時が開始され第1の時間が経過して、当該他のセンサ部311に基づく行き先階呼び登録がなされているか否かを判断する(S202)。当該他のセンサ部311の検知から第1の時間が経過しておらず、当該他のセンサ部311に基づく行き先階呼び登録がなされていない場合には(S202:No)、報知部36は表示装置35を点滅させ(S203)、当該他のセンサ部311の検知から第1の時間が経過して当該他のセンサ部311に基づく行き先階呼び登録がなされるまで待機する。
【0108】
他のセンサ部311の検知から第1の時間が経過して、他のセンサ部311に基づく行き先階呼び登録がなされた場合には(S202:Yes)、報知部36は表示装置36を点灯させる(S108)。その後、S109の処理、すなわち、S101で検知したセンサ部311に基づく呼び登録からの第2の時間の計時開始から、S112の処理、すなわち、S101で検知したセンサ部311に基づく行き先階呼び登録から第2の時間の経過によるS101で検知したセンサ部311のセンサ接点のオフまでの処理は、実施形態1と同様に行われる。
【0109】
ここで、S202で他のセンサ部311に基づく行き先階呼び登録がなれた場合には、当該行き先階呼び登録からの第2の時間の計時の処理(S109)、当該他のセンサ部311の呼び登録からの第2の時間の計時開始、計時された当該第2の時間の経過(S110)による当該他のセンサ部311に基づく第2の時間の計時の終了(S111)、当該他のセンサ部311のセンサ接点のオフまでの処理(S112)も並行して実行される。
【0110】
このため、S111で計時部31aがS101で検知したセンサ部311に基づく第2の時間の計時を終了したら、制御部31bは、他のセンサ部311によりセンサ接点がオフとなっているか否かを判断する(S204)。そして、他のセンサ部311によりセンサ接点がオフとなっていない場合には(S204:No)、他のセンサ部311によりセンサ接点がオフとなるまで待機する。
【0111】
他のセンサ部311によりセンサ接点がオフとなった場合には(S204:Yes)、報知部36は表示装置35を消灯させる(S113)。
以上のS101からS113の処理は、繰り返し実行される。
【0112】
このように本実施形態では、報知部36は、センサ部311の検知の他、他のセンサ部311で利用者による検知がされている場合には、センサ部311による行き先階呼び登録がなされた場合およびセンサ部311による行き先階呼び登録から第2の時間が経過した場合にかかわらず、表示装置311の点灯、消灯を行わず、表示装置35を、他のセンサ部311の検知に基づいて点滅または点灯させる。そして、報知部36は、センサ部311による行き先階呼び登録と他のセンサ部311による行き先階呼び登録の双方から第2の時間が経過して双方のセンサ接点がオフとなった場合に、表示装置35を消灯させる。このため、本実施形態では、複数のセンサ部311による行き先階呼びの状態を乗りかご1の利用者に報知することができ、利用者の便宜となる。
【0113】
[実施形態3]
以下、図面を参照して実施形態3について詳細に説明する。実施形態3のエレベータ制御システムでは、実施形態1の行き先階呼び装置30の構成および機能が乗り場呼び装置に適用されている。以下の図面においては、上述の実施形態1と同様の機能を有する構成には同様の符号を付し、それらの説明を省略する。
【0114】
(エレベータ制御システムの構成例)
図9は、実施形態3にかかるエレベータ制御システム200の機能構成の一例を示すブロック図である。
図9に示すように、エレベータ制御システム200は、制御盤10、及び乗り場呼び装置50を備える。
【0115】
エレベータ制御システム200が制御を行うエレベータは、例えば乗りかご1等を含む上述の実施形態1と同様の構成を備える。制御盤10は、例えば上述の実施形態1と同様の構成を備える。制御盤10と乗り場呼び装置50とは、各種信号の授受が可能なように有線または無線で接続されている。
【0116】
乗り場呼び装置50は、物体検知部51、センサ部511(511u,511d・・・)、押下検知部52、押しボタン512(512u,512d・・・)、表示装置517、発光制御部53、報知部56、表示灯513(513u,513d・・・)、及び通信部54を備え、乗り場の利用者による乗り場呼びを受け付ける。乗り場は、乗りかご1が発着し、利用者が乗りかご1に対して乗降車する場所である。乗り場呼び装置50のうち、少なくともセンサ部511、押しボタン512、及び表示灯513は乗り場に設けられている。乗り場呼び装置50の全体が乗り場に設けられていてもよい。
【0117】
センサ部511(511u,511d・・・)は、乗りかご1の上下の行き先方向(行き先対象)にそれぞれ対応して乗り場に設けられている。所定の乗り場呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部511に手指等をかざすと、センサ部511は利用者の手指等の物体を検知する。
【0118】
押しボタン512(512u,512d・・・)は、乗りかご1の上下の行き先方向にそれぞれ対応して乗り場に設けられている。押しボタン512は、所定の乗り場呼びを行おうとする利用者が、対応する押しボタン512を押下することが可能に構成されている。
【0119】
表示灯513(513u,513d・・・)は、乗りかご1の上下の行き先方向にそれぞれ対応して乗り場に設けられている。乗り場呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部511に手指等をかざし、または、対応する押しボタン512を押下すると、その行き先方向に対応する表示灯513が所定の態様で発光する。
【0120】
物体検知部51は、計時部51aと、制御部51bとを備える。制御部51bは、いずれかのセンサ部511が利用者の手指等の物体を検知すると、乗り場呼びがあったか否かを判定する。この他、計時部51aおよび制御部51bの機能は、例えば上述の実施形態1の物体検知部31の計時部31aおよび制御部31bの機能と同様であるが、本実施形態では、センサ部511の検知状態で第1の時間の経過により、行き先階の呼びに代えて、乗り場呼びが行われる。
【0121】
押下検知部52は、計時部52aと、制御部52bとを備える。制御部52bは、いずれかの押しボタン512が利用者によって押下されると、乗り場呼びがあったか否かを判定する。この他、計時部52aおよび制御部52bの機能は、例えば上述の実施形態1の押下検知部32の計時部32aおよび制御部32bの機能と同様であるが、本実施形態では、押しボタン512の押下状態で所定時間の経過により、行き先階の呼びに代えて、乗り場呼びが行われる。
【0122】
報知部56の機能は、実施形態1の報知部36と同様である。発光制御部53の機能は、実施形態1の発光制御部33と同様である。通信部54は、物体検知部51または押下検知部52が、乗り場呼びがあったものと判定した場合には、その乗り場呼びの情報を制御盤10に送信する。
【0123】
表示装置517の機能は実施形態1と同様であり、具体的には後述するように液晶表示部である。
【0124】
制御盤10の制御部11は、受信した乗り場呼びを登録する。また、制御部11は、乗り場呼び登録の内容に応じて、乗りかご1をその乗り場呼びに応答させる。つまり、制御部11は、乗り場呼び登録に登録した行き先方向に走行予定の乗りかご1を、乗り場呼びがあった乗り場へと向かわせる。
【0125】
なお、乗り場呼び装置50は、上記以外にも、乗り場の利用者の操作に供する種々の構成を備えることができる。
【0126】
次に、実施形態2にかかるエレベータ制御システム200の物理構成について説明する。エレベータ制御システム200の制御盤10は、例えば上述の実施形態1と同様の構成を備える。
【0127】
乗り場呼び装置50は、CPU、ROM、及びRAM等を備えるコンピュータとして構成されている。乗り場呼び装置50はまた、上述のようにセンサ部511(511u,511d・・・)、押しボタン512(512u,512d・・・)、及び表示灯513(513u,513d・・・)を備えている。
【0128】
ROMには、例えば乗り場呼びプログラム等の乗り場呼びの受け付けに関わるプログラムや、センサ接点信号および押しボタン接点信号の制御や表示灯313の発光制御に関わる信号制御プログラム、報知部56による報知プログラム等の各種プログラムが格納されている。ROMに格納された乗り場呼びプログラム、信号制御プログラムおよび報知プログラムが読み出されてRAMに展開され、CPUによって実行されることにより、乗り場呼び装置50の物体検知部51、押下検知部52、報知部55、発光制御部53、及び通信部54等が実現される。
【0129】
ここで、乗り場呼びプログラム、信号制御プログラムおよび報知プログラム等は、コンピュータで実行可能な、エレベータの制御に関する複数の命令を含むコンピュータ読み取り可能かつ非遷移的な記録媒体を有するコンピュータプログラムプロダクトである。乗り場呼びプログラム、信号制御プログラムおよび報知プログラム等は、例えばモジュール構成となっており、これらのモジュールが主記憶装置上にロードされる。
【0130】
乗り場呼びプログラム、信号制御プログラムおよび報知プログラム等は、例えばコンピュータでの読み取りが可能なように記録媒体等に格納されて提供される。記録媒体は、例えば磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、またはフラッシュメモリ等である。ただし、乗り場呼びプログラム、信号制御プログラムおよび報知プログラム等は、ネットワークに置かれたサーバ等により配信され、または、ダウンロード可能なように構成されることで、他の様々な手法により提供されてもよい。
【0131】
なお、主に、制御盤10によって実行される呼び登録プログラムと、乗り場呼び装置50によって実行される乗り場呼びプログラム、信号制御プログラムおよび報知プログラムとによって、エレベータ制御システム200によって実行されるエレベータ制御プログラムが構成される。
【0132】
(操作盤の構成例)
次に、
図10を用いて、実施形態3の操作盤518の構成例について説明する。
図10は、実施形態3にかかる乗り場の操作盤518の構成の一例を示す模式図である。
【0133】
乗り場呼び装置50は、例えば乗り場に設置された操作盤518を備える。操作盤518の設置位置は、例えば乗りかご1が発着する乗り場の扉横等である。1つの乗り場には少なくとも1つの操作盤518が設置されていればよい。複数の乗りかご1が乗り場を発着する場合には、複数の乗りかご1のそれぞれに対応する複数の操作盤518が設置されていてもよい。
【0134】
操作盤518は、例えば行き先方向表示部510(510u,510d)、センサ部511(511u,511d)、押しボタン512(512u,512d)、表示灯513(513u,513d)、及び表示装置517を備える。
【0135】
行き先方向表示部510は、例えば乗り場に到着する乗りかご1の上下方向等の行き先方向を表示する表示盤等であり、乗りかご1の行き先方向に対応して操作盤518に複数配置されている。
図10の例では、乗りかご1の行き先方向である上方向(上層階)及び下方向(下層階)にそれぞれ対応して、2つの行き先方向表示部510u,510dが縦方向に配置されている。
【0136】
センサ部511は、例えば反射型光電センサ、または静電容量型センサ等の非接触式のセンサであり、複数の行き先方向表示部510にそれぞれ対応して、対応する行き先方向表示部510近傍の操作盤518に複数配置されている。
図10の例では、縦方向に並ぶ行き先方向表示部510u,510dの左横に、それぞれ対応する2つのセンサ部511u,511dが配置されている。
【0137】
乗り場の利用者が、所望の行き先階(上層階または下層階等)の方向(上方向または下方向等)へ向かう乗りかご1の乗り場呼びを行うために、対応するセンサ部511に手指等をかざすと、そのセンサ部511が、対応する行き先方向表示部510への操作として利用者の手指等を検知する。
【0138】
押しボタン512は、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、複数の行き先方向表示部510にそれぞれ対応して、対応する行き先方向表示部510と一体的に操作盤518に複数配置されている。すなわち、例えば押しボタン512のそれぞれの前面には、対応する行き先方向表示部510である表示盤等がはめ込まれている。乗り場の利用者が、所望の行き先階(上層階または下層階等)の方向(上方向または下方向等)へ向かう乗りかご1の乗り場呼びを行うために、対応する押しボタン512を押下すると、上述の押下検知部52が、対応する行き先方向表示部510への操作として押しボタン512の押下を検知する。
【0139】
表示灯513は、上述のように複数の態様で発光することが可能に構成され、複数の行き先方向表示部510にそれぞれ対応して、対応する行き先方向表示部510と一体的に操作盤518に複数内蔵されている。すなわち、例えば押しボタン512のそれぞれの背面に、それぞれ表示灯513が埋め込まれている。上述の物体検知部51からセンサ接点信号、及び押下検知部52からの押しボタン接点信号に基づいて、対応する表示灯513が点灯すると、押しボタン512及び行き先方向表示部510を透過した表示灯513の光が利用者に目視される。これにより、利用者は、どちらの行き先方向への呼びが登録されたかを知ることができる。
【0140】
表示装置517は、複数の行き先方向表示部510および表示灯513とは異なる位置に設けられている。具体的には、表示装置517は、例えば液晶表示部(液晶パネル)等として構成され、その操作盤518に対応する乗りかご1、または乗り場呼びに応答中の乗りかご1等が、どの階付近をどちらの向きに走行中であるかを表示する。
図10の例では、上向き矢印と「3」の文字が表示されている。このことから、乗りかご1は3階付近を上方へ向かって走行中であることが判る。
【0141】
また、本実施形態の表示装置517は、報知部56により、乗り場呼びの状態が報知される。報知のための表示装置517の発光態様は、実施形態1と同様である。
【0142】
なお、操作盤518の構成および各種構成の配置は
図10の例に限られない。
【0143】
例えば、行き先方向表示部510とセンサ部511とがセットで横1列に配置されていてもよい。また例えば、センサ部511の近傍に所望の表示が記されたシール等が貼付され、また、所望の点字が付された銘板等が設置されていてもよい。
【0144】
また例えば、行き先方向表示部510、押しボタン512、表示灯513のうちのいずれか、あるいは全部が分離され、別々に操作盤518に配置されていてもよい。また例えば、操作盤518は、押しボタン512u,512d等を備えていなくともよい。
【0145】
その他、操作盤518は、利用者の操作に供する種々の押しボタン及びセンサ等を備えることができ、また、利用者に種々の情報を提示する表示灯等を備えることができる。
【0146】
(エレベータ制御システムの処理例)
実施形態3のエレベータ制御システム200もまた、上述の実施形態1のエレベータ制御システム100と同様の処理を行う。ただし、本実施形態では、行き先階呼び登録に代えて乗り場呼び登録が行われる。
【0147】
このように実施形態3のエレベータ制御システム200では、実施形態1の行き先階呼び装置30の構成および機能が乗り場呼び装置50に適用されているので、上述の実施形態1のエレベータ制御システム100と同様の作用効果を奏する。すなわち、本実施形態によれば、本実施形態では、乗り場呼びの状態を乗りかご1の利用者に報知することができ、利用者の便宜となる。
【0148】
[変形例]
上述の実施形態には、種種の変形例がある。
例えば、変形例1としては、報知部36,56は、表示装置35, 55の全体または一部に対して、第1の態様の発光制御として点滅させ、第2の態様の発光制御として通常時の照度より明るい照度で点灯させ、第3の態様の発光制御として通常時の照度で点灯させるように構成することができる。
【0149】
この変形例1では、表示装置を乗りかご1の天井に設けられた照明灯35bを表示装置35として用いる場合に、照明灯35bの一部に対してこのような発光制御を行うことにより、乗りかご1内が消灯による暗くならないため特に有益である。この他は、上述の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0150】
また、変形例2として、報知部36,56、第1の態様の発光制御、第2の態様の発光制御、第3の態様の発光制御として、表示装置の発光色を変更するように構成することができる。例えば、センサ部311,511が検知された場合には、表示装置を第1の態様として赤色に発光させ、第1の時間が経過して呼び登録がされた場合には、表示装置を第2の態様として青色に発光させ、呼び登録から第2の時間が経過した場合には、表示装置を第3の態様として無色で発光させるように報知部36,56を構成することができる。
【0151】
また、利用者が階床を選んでいる途中でセンサ部311の回りを手指が動いていることで、センサ部311が検知している間は、表示装置35を赤色で発光させ、呼び登録が行われたら表示装置35を緑色で発光させるように報知部36を構成することもできる。
【0152】
変形例3では、センサ部311,511の検知による呼び状態の他、押しボタン312,512の押下による呼びの状態を表示装置35,517に報知するように報知部36,56を構成してもよい。この場合、センサ部311,511の検知による呼び状態の報知を青色で表示し、押しボタン312,512の押下による呼びの状態を赤色で表示する等のように発光色を異ならせて報知するように報知部36,56を構成することができる。
【0153】
変形例4では、表示装置35に複数のLEDを内蔵し、それぞれのLEDを複数のセンサ部311と対応づけておき、それぞれのセンサ部311の検知状態に応じて対応するLEDの発光の態様を変化させるように報知部36を構成しても良い。これにより、複数のセンサ部311の検知による呼び状態を、複数のセンサ部311のそれぞれごとに利用者に報知することができ、利用者にとってより便宜となる。
【0154】
変形例5では、扉が閉まって乗りかご1の移動中に、表示装置35の発光態様を変化させて呼び状態を報知する他、扉が開いて乗りかご1が停止中においても、表示装置35の発光態様を変化させて呼び状態を報知するように報知部36を構成することができる。この場合には、扉が開いて乗りかご1が停止中において、利用者の腕や鞄などでセンサ部311が誤検知してしまうことを、表示装置35の発光態様に利用者が把握することができ、利用者の意識しない誤操作を防止することが可能となる。
【0155】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0156】
1…乗りかご、2…駆動装置、3…カウンタウェイト、4…ロープ、10…制御盤、11…制御部、12…通信部、13…記憶部、30…行き先階呼び装置、31,51…物体検知部、31a…計時部、31b…制御部、32,52…押下検知部、32a…計時部、32b…制御部、33,53…発光制御部、34,54…通信部、35,55…表示装置、35a…開閉報知用表示灯、35b…照明灯、35c,35d…表示灯、36,56…報知部、50…乗り場呼び装置、51a…計時部、51b…制御部、52a…計時部、52b…制御部、100,200…エレベータ制御システム、310a~310e…行き先階表示部(表示部)、311a~311e,511d,511u,811…センサ部、312a~312e,315c,315e,512d,512u,815…押しボタン、313a~313e,316c,316e,513d,513u…表示灯、510d,510u…行き先方向表示部(表示部)、401…扉、403…入口柱、405…スイッチ部。
【要約】
【課題】呼び状態を報知して利用者の便宜となること。
【解決手段】実施形態のエレベータ制御装置は、昇降路を移動する乗りかごの行き先対象をそれぞれ表示する複数の表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記表示部への操作を非接触で検知する複数のセンサ部と、前記センサ部に対して前記利用者による操作が検知された場合に、呼びの状態を前記利用者に報知可能な表示装置を、第1の態様で発光制御し、前記センサ部による検知の状態で第1の時間が経過して呼び登録がされた場合に、前記表示装置を、第2の態様で発光制御し、前記呼び登録から第2の時間が経過した場合には、前記表示装置を、第3の態様で発光制御する報知部と、を備える。
【選択図】
図1