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特許71718982つのオーバーモールド部品から作製されたブラケットを有する回転電気機械
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  • 特許-2つのオーバーモールド部品から作製されたブラケットを有する回転電気機械 図1
  • 特許-2つのオーバーモールド部品から作製されたブラケットを有する回転電気機械 図2
  • 特許-2つのオーバーモールド部品から作製されたブラケットを有する回転電気機械 図3
  • 特許-2つのオーバーモールド部品から作製されたブラケットを有する回転電気機械 図4a
  • 特許-2つのオーバーモールド部品から作製されたブラケットを有する回転電気機械 図4b
  • 特許-2つのオーバーモールド部品から作製されたブラケットを有する回転電気機械 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】2つのオーバーモールド部品から作製されたブラケットを有する回転電気機械
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/16 20060101AFI20221108BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
H02K5/16 Z
H02K7/116
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021513984
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2019069861
(87)【国際公開番号】W WO2020052843
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-05-10
(31)【優先権主張番号】1858300
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508075579
【氏名又は名称】ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】セドリック、ルデュー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-クロード、ラブロス
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-294249(JP,A)
【文献】実開平06-062764(JP,U)
【文献】特開2012-080733(JP,A)
【文献】特開2017-184606(JP,A)
【文献】実開平03-014950(JP,U)
【文献】特開平07-115746(JP,A)
【文献】特開平9-9597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/16
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-シャフト(13)と、
-前記シャフト(13)に取り付けられたロータ(12)と、
-特に前記ロータ(12)を取り囲むステータ(11)と、
-回転する前記シャフト(13)のガイドを保証するシャフトベアリング(19)を受容するための収容部(17)を備えたブラケット(15)と、
を備える、特に自動車用の回転電気機械(10)において、
前記ブラケット(15)は、
-第1材料から作製される第1部品(15.1)であって、
-前記シャフトベアリング(19)を受容するための前記収容部(17)と、
-前記回転電気機械(10)の外部のピニオン(49)のベアリング(50)を取り付けるためのインターフェース(51)と、
を備えた第1部品(15.1)と、
-第2材料から作製される第2部品(15.2)であって、
-側壁(53)と、
-前記側壁(53)から得られ、前記ステータ(11)を少なくとも部分的に取り囲むスカート(54)と、
を備えた第2部品(15.2)と、
を備え、
-前記第2部品(15.2)は、強度の高いブラケット(15)を形成するように前記第1部品(15.1)にオーバーモールドされる、
ことを特徴とする回転電気機械。
【請求項2】
前記第1部(15.)は、前記第2部品(15.)の材料より強度の高い材料から作製される、
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電気機械。
【請求項3】
前記第1部品(15.1)は、スチールから作製される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の回転電気機械。
【請求項4】
前記第2部品(15.2)は、アルミニウムから作製される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の回転電気機械。
【請求項5】
前記取付インターフェース(51)は、対応する前記ピニオン(49)の前記ベアリング(50)の内輪の内部に挿入されるように突出して延びる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回転電気機械。
【請求項6】
前記第1部品(15.1)の前記シャフトベアリング(19)を受容するための収容部(17)は、前記シャフトベアリング(19)の外輪を受容するように構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の回転電気機械。
【請求項7】
前記第1部品(15.1)は、その後面に、交互になるリブ(57)と凹部(58)とを備える、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の回転電気機械。
【請求項8】
前記側壁(53)には、前記ステータの相の端部が通過するように開口(55)が設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の回転電気機械。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の回転電気機械(10)と、減速機要素(22)と、を備えたことを特徴とする、アセンブリ。
【請求項10】
前記減速機要素(22)は、自動車のギアボックスである、
ことを特徴とする請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記減速機要素(22)は、前記車のトレーンに取り付けられるとともに、前記回転電気機械(10)に結合された減速機である、
ことを特徴とする請求項9に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのオーバーモールド部品から作製されたブラケットを有する回転電気機械に関する。本発明は、減速機要素に結合されてオルタネータモードおよびモータモードで動作可能な高出力の可逆電気機械への適用に特に有利であるが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
既知の態様において、回転電気機械は、ステータと、シャフトに固定されたロータと、を備えている。ステータは、ベアリングを介してブラケット上のシャフトを回転させるように構成されたハウジングに取り付けられている。
【0003】
ロータは、適切な固定システムによりセットの形態で保持される金属板シートの積層体によって形成された本体を備えている。ロータは、例えば、ロータの磁気質量に設けられたキャビティに収容された永久磁石により形成された極を備えている。あるいは、いわゆる「突出」極構造においては、極は、ロータのアームに巻回されたコイルにより形成される。
【0004】
また、ステータは、クラウンを形成する薄い金属板の積層体により構成された本体を備え、その内面には、巻線を受容するように内部に向かって開放するノッチが設けられている。巻線は、例えば、エナメルで被覆された連続ワイヤから、または、溶接により互いに接続されたピンの形態の導電性要素から得られる。巻線は、星形または三角形の形状で接続された相巻線を備え、それらの出力は、電子制御モジュールに接続される。
【0005】
熱機関の機械的動力の車両の車輪への伝達を保証する特定タイプの自動車牽引チェーンにおいて、高出力の可逆電気機械を減速機要素に結合することができる。減速機要素は、車両のギアボックスの形態、または車両のトレーンに取り付けられるとともに回転電気機械に機械的に接続された減速機の形態を取り得る。
【0006】
電気機械と減速機要素との結合を保証するように、電気機械のシャフトに支持されたピニオンが、減速機要素に支持されたピニオンに、電気機械のブラケットに取り付けられた中間ピニオンを介して係合する。この目的のために、ブラケットは、中間ピニオンのベアリングを取り付けるためのインターフェースを備えている。システムの動作の機械的シミュレーションにより、特にブラケットが全体として強度の高い材料ではないアルミニウムから作製されている場合に、ブラケットが持ちこたえることが困難な、軸方向、径方向および接線方向の力が存在することが明らかになった。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、
-シャフトと、
-前記シャフトに取り付けられたロータと、
-前記ロータを特に取り囲むステータと、
-回転する前記シャフトのガイドを保証するシャフトベアリングを受容するための収容部を備えたブラケットと、
を備える、特に自動車用の回転電気機械において、
前記ブラケットは、
-第1材料から作製される第1部品であって、
-前記シャフトベアリングを受容するための前記収容部と、
-前記回転電気機械の外部のピニオンのベアリングを取り付けるためのインターフェースと、
を備えた第1部品と、
-第2材料から作製される第2部品であって、
-側壁と、
-前記側壁から得られ、前記ステータを少なくとも部分的に取り囲むスカートと、
を備えた第2部品と、
を備え、
-前記第2部品は、強度の高いブラケットを形成するように前記第1部品にオーバーモールドされることを特徴とする回転電気機械を提案することにより、このような欠点を有効になくすことである。
【0008】
したがって、本発明は、アセンブリの動作中に持続する力に耐えるように、電気機械のシャフトのピニオン用のベアリングの支持面と、減速機要素と係合するピニオンと、を備えるブラケットの領域を機械的に補強することを可能とする。
【0009】
一実施形態によれば、前記第1部分は、前記第2部品の材料より強度の高い材料から作製される。
【0010】
一実施形態によれば、前記第1部品は、スチールから作製される。
【0011】
一実施形態によれば、前記第2部品は、アルミニウムから作製される。
【0012】
一実施形態によれば、前記取付インターフェースは、対応する前記ピニオンの前記ベアリングの内輪の内部に挿入されるように突出して延びる。
【0013】
一実施形態によれば、前記第1部品の前記シャフトベアリングを受容するための収容部は、前記シャフトベアリングの外輪を受容するように構成される。
【0014】
一実施形態によれば、前記第1部品は、その後面に、交互になるリブと凹部とを備える。
【0015】
一実施形態によれば、前記側壁には、前記ステータの相の端部が通過するように開口が設けられる。
【0016】
また、本発明は、上述の回転電気機械を備えるアセンブリに関する。
【0017】
一実施形態によれば、前記減速機要素は、自動車のギアボックスである。
【0018】
一実施形態によれば、前記減速機要素は、前記車のトレーンに取り付けられるとともに、前記回転電気機械に結合された減速機である。
【0019】
本発明は、以下の説明を読み、これに添付する図面を精査することでより良く理解されるであろう。これらの図面は、完全に本発明の例示として提供され、本発明を限定するものでは全くない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】減速機要素と本発明による回転電気機械との結合を示す斜視図。
図2】本発明による回転電気機械の長手方向断面図。
図3】本発明による回転電気機械の2つの部品からなる前方ブラケットの斜視図。
図4a】本発明による回転電気機械の前方ブラケットを形成する第1部品の斜視図。
図4b】本発明による回転電気機械の前方ブラケットを形成する第1部品の斜視図。
図5】本発明による回転電気機械の前方ブラケットを形成する第2部品の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
同一の、類似する、または相似する要素には図面を通じて同じ参照符号が付される。
【0022】
以下の説明において、前方から後方への向きは、図2における左から右への向きであるとみなされる。したがって、「前方」要素とは、前方ベアリング19の側に配置された要素を意味し、「後方」要素とは、反対側に配置された要素を意味する。
【0023】
図1および2は、回転電気機械10を示す。回転電気機械10は、電気機械10の軸に対応する軸Xを有するシャフト13に取り付けられたロータ12を取り囲む多相ステータ11を備えている。ステータ11は、ステータ11の内周とロータ12の外周との間に空気ギャップが存在する状態で、ロータ12を取り囲んでいる。ステータ11は、前方ブラケット15と後方ブラケット16とを備えたハウジング14に取り付けられている。前方ブラケット15および後方ブラケット16は、それぞれ、回転するシャフト13のガイドを保証する、対応するベアリング19、20を受容するための収容部17、18を備えている。
【0024】
この電気機械10は、減速機要素22に結合されるように設計されている。減速機要素22は、自動車のギアボックス、または車両のトレーンに取り付けられるともに回転電気機械10に結合された減速機の形態を取り得る。
【0025】
電気機械10は、特にエネルギーを車両のバッテリおよび車載ネットワークに供給するようにオルタネータモードで動作可能であるとともに、車両の熱機関の始動を保証するように、および該当する場合には、単独でまたは熱機関と協働して車両の牽引に関与するように、モータモードで動作可能である。機械の出力は、例えば、15kW乃至50kWに含まれ得る。
【0026】
より具体的には、図2に示すように、ロータ12は、金属板のセットの形態の本体24を備えている。永久磁石25が、本体24のキャビティ26に埋設されている。磁石25は、電気機械10に必要とされる用途や電力に応じて、希土類またはフェライトから構成され得る。
【0027】
また、ロータ12は、それぞれロータ12の軸方向端面に対して配置された2つのフランジ28、29を備えている。これらのフランジ28、29は、磁石25の軸方向保持を保証するとともに、ロータ12のバランスをとるためにも使用される。
【0028】
また、ステータ11は、金属板のセットにより構成される本体31、ならびに巻線32を備えている。本体31は、金属板シートの積層体により形成され、これらの金属板シートは、適切な固定システム、例えばリベットによりセットの形態で保持されている。
【0029】
ステータ本体11は、巻線32を取り付けるためのノッチを画定する歯を設けられている。巻線32は、ノッチを通過して、ステータ本体11の両側に突出して延びるシニョンを形成する相巻線のアセンブリを備えている。本例において、巻線32は、例えば溶接により互いに接続されたピンの形態の導電性要素から得られる。巻線32は、星形および/または三角形の形状で接続された二重三相型の相巻線を備えている。相出力部が、電子制御モジュール34に接続されるように設計されている。
【0030】
電子制御モジュール34は、放熱器35を備え、その上に特に複数のパワーモジュール36が、例えばねじ留めにより固定されている。これらのパワーモジュール36は、既知の態様において、例えばMOSタイプのトランジスタの形態のスイッチを組み込んでいる。これにより、回転電気機械10のモータモードまたはオルタネータモードにおける制御が保証され得る。これらのトランジスタの切替は、制御ユニットにより制御される。電子制御ユニット34は、放熱器35を介して、後方ブラケット16の側壁の後面に対して取付配置されている。
【0031】
有利には、電気機械10は、水または油をベースとする液体等の液体を冷却するように、入力部39および出力部40を有する冷却回路38を備えている。冷却回路38は、放熱器35の質量部に設けられた冷却チャンバ41と、ステータ11を取り囲む冷却チャンバ42と、を有している。
【0032】
冷却チャンバ42は、前方ブラケット15の環状壁の外周と、後方ブラケット16の環状壁の内周とにより画定され得る。この冷却チャンバ42は、その軸方向端部がOリングタイプの2つのシール46により閉鎖されている。ステータ11は、前方ブラケット15の内部に収縮した状態で取り付けられている。これにより、ステータ本体31の外周と、前方ブラケット15の横壁の内周との密接が確立される。
【0033】
変形例として、図1に示すように、ステータ11は、前方ブラケット15と後方ブラケット16との間において、固定タイロッドによってクランプされた状態で取り付けられる。ステータ本体31の露出した外周は、冷却液と直接接触可能である。
【0034】
図1に示すように、電気機械10と減速機要素22との結合を保証するように、電気機械10のシャフトに支持されたピニオン47が、減速機要素22に支持されたピニオン48に、前方ブラケット15に取り付けられた中間ピニオン49を介して係合している。この目的のために、前方ブラケット15は、電気機械10の外部の中間ピニオン49のベアリング50を取り付けるためのインターフェース51を、備えている。
【0035】
図3に示すように、前方ブラケット15は、第1部品15.1と第2部品15.2とから形成されている。第2部品15.2は、ブラケット15を形成するように、第1部品15.1にオーバーモールドされている。有利には、第1部品15.1は、第2部品15.2の材料より強度の高い材料から作製される。好適な実施形態によれば、第1部品15.1はスチールから作製され、第2部品15.2はアルミニウムから作製される。
【0036】
より具体的には、図4aおよび図4bに示すように、第1部品15.1は、シャフトベアリング19を受容するための収容部17と、中間ピニオン49のベアリング50を取り付けるためのインターフェース51と、を備えている。
【0037】
本実施形態において、第1部品15.1を受容するための収容部17は、シャフトベアリング19の外輪を受容するように構成されている。取付インターフェース51は、中間ピニオン49のベアリング50の内輪の内部に挿入されるように突出して延びている。変形例として、取付インターフェース51は、中間ピニオン49のベアリング50の外輪を受容するための収容部を備え得る。
【0038】
取付インターフェース51は、ベアリングを受容するように収容部17に対して径方向にオフセットしている。ブラケット15の軸に対応する収容部17の軸X1は、取付インターフェース51の軸X2に対して平行である。軸X1は、回転電気機械10の軸Xと組み合わされるように設計されている。
【0039】
図5に示すように、第2部品15.2は、側壁53と、側壁53から得られ、ステータ11を少なくとも部分的に取り囲むスカート54と、を備えている。側壁53には、ステータの相の端部が通過するように開口55が設けられ得る。スカート54は、径方向に突出する耳部56を備えている。耳部56には、固定ユニットが通過するように開口が設けられている。
【0040】
図4bに示すように、好適には、第1部品15.1は、その後面に、交互になるリブ57と凹部58とを備えている。これらのリブ57およびこれらの凹部58は、ベアリング19を受容するための収容部17の周囲に配置される。このような形状は、ブラケット15の第1部品15.1と第2部品15.2との機械的接続を、これら2つの部品15.1、15.2同士の間の接触面を最大にすることで向上させることを意図している。
【0041】
上述の説明は、完全に例示として提供され、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲からの逸脱は、種々の要素を他の同等物で置き換えることにより構成され得ないことを理解されたい。
【0042】
また、本発明の種々の特徴、変形例、および/または実施形態は、それらが互換性を有しない、または相互に排他的でない限り、種々の組み合わせに従って互いに関連付けられ得る。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5