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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】回転式伸縮装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/12 20060101AFI20221108BHJP
   B60K 15/05 20060101ALI20221108BHJP
   E05B 83/34 20140101ALI20221108BHJP
   E05C 19/02 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
F16H25/12 B
B60K15/05 B
E05B83/34
E05C19/02 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021514920
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(86)【国際出願番号】 JP2020016108
(87)【国際公開番号】W WO2020213523
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2019080554
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】曽我部 敦史
(72)【発明者】
【氏名】新倉 昇
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/038034(WO,A1)
【文献】特開2015-209689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/12
B60K 15/05
E05B 83/34
E05C 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1本体部及び第2本体部からなり、内周が円形状をなした筒状部を有する本体部材と、
外周が円形状をなすと共に、前記筒状部内に配置されて、同筒状部に対して回転可能に且つ軸方向移動可能に保持される移動部材と、
該移動部材を前記筒状部の一端から突出する方向に付勢するバネ部材と、
前記移動部材の外周に形成されたカム突部と、
前記筒状部に形成され、前記カム突部が嵌入して、前記移動部材を回転させつつ軸方向移動させるカム溝とを有し、
前記筒状部は、前記筒状部を軸方向に分割してなる第1筒部及び第2筒部からなり、前記第1筒部が前記第1本体部に設けられ、前記第2筒部が前記第2本体部に設けられており、
前記第1本体部と前記第2本体部とを組付けた状態で、前記第1筒部及び前記第2筒部の軸方向に対向する端面には、互いに当接する当接面と、互いに離れて前記カム溝を形成するカム溝形成面とが、それぞれ設けられられていることを特徴とする回転式伸縮装置。
【請求項2】
前記カム溝は、前記筒状部の一端側に設けられた突出側端部と、該突出側端部よりも、前記筒状部の他端側に設けられた押込み側端部とを有しており、前記突出側端部に前記カム突部が位置するときに、前記筒状部の一端から前記移動部材が所定長さ突出し、前記押込み側端部に前記カム突部が位置するときに、前記筒状部の一端から前記移動部材が所定長さ引き込まれるように構成されており、
前記突出側端部には、前記押込み側端部に向けて、前記筒状部の軸方向に沿って所定長さで直線状に延びる、直線部が形成されている請求項1記載の回転式伸縮装置。
【請求項3】
前記当接面の一部は、前記直線部の途中に配置されている請求項2記載の回転式伸縮装置。
【請求項4】
前記当接面の一部は、前記押込み側端部に配置されている請求項2又は3記載の回転式伸縮装置。
【請求項5】
前記当接面は、前記突出側端部側に位置し、前記筒状部の周方向に沿って形成された第1当接面、及び/又は、前記押込み側端部に位置し、前記筒状部の周方向に沿って形成された第2当接面を有しており、
更に、前記第1当接面又は前記第2当接面の一方から、前記筒状部の軸方向に対して斜めに延びるか、前記第1当接面及び前記第2当接面を繋ぐように、前記筒状部の軸方向に対して斜めに延びる、第3当接面を有している請求項2~4のいずれか1つに記載の回転式伸縮装置。
【請求項6】
前記回転式伸縮装置は、前記筒状部内に押込まれた状態の、前記移動部材に係合して、前記移動部材の押込み状態を保持するロックリテーナと、前記本体部材内に収容されていると共に、前記ロックリテーナを駆動させて、前記移動部材の押込み状態を解除する、駆動装置とを有している請求項1~5のいずれか1つに記載の回転式伸縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車のフューエルリッドの開閉構造に用いられ、押し込み動作によって回転しながら伸縮するように構成された、回転式伸縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のフューエルリッドには、開口部に対してリッドを閉じた状態で、リッドを受け止めて支持するためのロッドが配置されている。このロッドは、リッドの押し込み動作によって伸縮する構造とされていることが多い。
【0003】
このような構造を有する装置として、下記特許文献1には、筒状部を有する本体部材と、筒状部に対して軸方向スライド及び回転可能に保持される移動部材と、移動部材を付勢するバネ部材と、移動部材外周に形成された突部と、筒状部内周に形成され、突部が嵌入するカム溝とを有する、回転式伸縮装置が記載されている。前記カム溝は、第1嵌合溝と、第2嵌合溝と、第1ガイド溝と、第2ガイド溝とを有し、それらが筒状部内周に沿って周回するように配置されている。更に、前記本体部材は、筒状部の軸方向に分割された第1本体部と第2本体部とからなり、第1本体部及び第2本体部を組付けた状態で、第1本体部及び第2本体部の対向する端面によって、カム溝が形成されるようになっている。なお、第1本体部の周縁に複数の係止突部が形成され、第2本体部の周縁に枠状をなした複数の係止枠部が設けられており、係止突部と係止枠部とが係止することで、第1本体部と第2本体部とが組付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開WO2018/038034A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記回転式伸縮装置では、筒状部内周において、カム溝が周方向に連通するように、第1本体部と第2本体部とを組付ける必要がある。また、突部をカム溝内においてスムーズに周回移動させるためには、カム溝の寸法精度が要求される。
【0006】
しかし、上記回転式伸縮装置では、複数の係止突部と複数の係止枠部とを互いに係止させることで、第1本体部と第2本体部とを組付けており、両本体部を組付けた状態で、両筒部の対向端面の間にカム溝が形成されるようになっているので、係止突部や係止枠部の寸法精度によっては、第1本体部と第2本体部との組付け精度に支障が生じ、カム溝の寸法精度に影響が出ることがあった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、筒状部に形成されるカム溝を精度良く形成することができる、回転式伸縮装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の回転式伸縮装置は、第1本体部及び第2本体部からなり、内周が円形状をなした筒状部を有する本体部材と、外周が円形状をなすと共に、前記筒状部内に配置されて、同筒状部に対して回転可能に且つ軸方向移動可能に保持される移動部材と、該移動部材を前記筒状部の一端から突出する方向に付勢するバネ部材と、前記移動部材の外周に形成されたカム突部と、前記筒状部に形成され、前記カム突部が嵌入して、前記移動部材を回転させつつ軸方向移動させるカム溝とを有し、前記筒状部は、前記筒状部を軸方向に分割してなる第1筒部及び第2筒部からなり、前記第1筒部が前記第1本体部に設けられ、前記第2筒部が前記第2本体部に設けられており、前記第1本体部と前記第2本体部とを組付けた状態で、前記第1筒部及び前記第2筒部の軸方向に対向する端面には、互いに当接する当接面と、互いに離れて前記カム溝を形成するカム溝形成面とが、それぞれ設けられられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1本体部と第2本体部とを組付けた状態で、第1筒部及び第2筒部の軸方向に対向する端面には、互いに当接する当接面と、互いに離れてカム溝を形成するカム溝形成面とが、それぞれ設けられられているので、第1本体部と第2本体部とを組付けたときに、第1筒部及び第2筒部の当接面どうしを互いに当接させつつ、カム溝を形成することができ、カム溝を精度良く形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る回転式伸縮装置の、一実施形態を示す斜視図である。
図2】同回転式伸縮装置の分解斜視図である。
図3】同回転式伸縮装置において、移動部材の係合片が開閉部材の係合溝に係合した状態の拡大斜視図である。
図4】同回転式伸縮装置を構成する本体部材において、一部を透視した場合の拡大分解斜視図である。
図5】同回転式伸縮装置を構成する移動部材の拡大斜視図である。
図6】同回転式伸縮装置の拡大斜視図である。
図7】同回転式伸縮装置における筒状部に対する移動部材の動作状態を示しており、(a)は筒状部から移動部材が引き込まれた状態の要部拡大斜視図、(b)は筒状部から移動部材が突出した状態の要部拡大斜視図である。
図8】同回転式伸縮装置における筒状部に対する移動部材の動作状態を示しており、筒状部から移動部材が突出した状態の要部拡大平面図である。
図9】同回転式伸縮装置における筒状部に対する移動部材の動作状態を示しており、筒状部から移動部材が引き込まれた状態の要部拡大平面図である。
図10】同回転式伸縮装置の要部拡大断面図である。
図11】同回転式伸縮装置において、移動部材の係合片が開閉部材の係合溝に係合していない状態の要部拡大斜視図である。
図12】同回転式伸縮装置において、移動部材の係合片が開閉部材の係合溝に係合した状態の要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係る回転式伸縮装置の実施形態について説明する。
【0012】
この回転式伸縮装置は、例えば、図1に示すように、フューエルリッドの開閉構造に用いられるものである。図1に示すように、車体1aの燃料給油口周縁には、略円筒箱状をなした固定部材1が固定されており、該固定部材1には、ヒンジ部3を介して開閉部材(フューエルリッド)5が開閉可能に取付けられている。また、固定部材1の開口部側周縁からは、環状のフランジ2が突設されている。更に、固定部材1のヒンジ部3とは周方向反対側には、凹部2aが設けられており、該凹部2aに、この実施形態の回転式伸縮装置10(以下、「伸縮装置10」という)が配置されている。また、前記開閉部材5の内面側には、係合部6が設けられている。この係合部6は、略L字状をなした一対の側壁部7,7と、それらの一端部どうしを連結した連結壁8とからなり、門形枠状をなしている。なお、一対の側壁部7,7の間には、係合溝9が設けられている。
【0013】
この実施形態の伸縮装置10は、上記のようなフューエルリッドの開閉構造に利用されるが、例えば、自動車の小物入れの開閉構造や、押し込むことで開閉する構造の家具や日用品等に利用してもよく、使用態様や設置場所等は特に限定されない。
【0014】
そして、図2に示すように、この実施形態の伸縮装置10は、第1本体部30及び第2本体部40からなり、内周が円形状をなした筒状部15(図7参照)を有する本体部材11と、外周が円形状をなすと共に、筒状部15内に配置されて、筒状部15に対して回転可能に且つ軸方向移動可能に保持される移動部材50と、この移動部材50を筒状部15の一端15aから突出する方向に付勢する第1バネ部材S1と、移動部材50の外周に形成されたカム突部55と、筒状部15に形成され、カム突部55が嵌入して、移動部材50を回転させつつ軸方向移動させるカム溝20(図8及び図9参照)とを有している。この実施形態では、筒状部15に一対のカム溝20,20が形成され、これに対応して、移動部材50に、一対のカム突部55,55が突設されている。なお、前記第1バネ部材S1が、本発明における「バネ部材」をなしている。
【0015】
また、図7~9に示すように、筒状部15は、筒状部15を軸方向に分割してなる第1筒部33及び第2筒部43からなり、第1筒部33が第1本体部30に設けられ、第2筒部43が第2本体部40に設けられている。図2図3に示すように、第1本体部30及び第2本体部40には、取付孔16,17がそれぞれ形成されている。これらの取付孔16,17を介して、伸縮装置10が固定部材1に取付けられるようになっている。
【0016】
図2図3に示すように、第1本体部30は、一方向に長く伸びる略長箱状をなしたベース部31を有しており、このベース部31の長手方向一端側に、略円筒状をなした筒状カバー32が設けられている。この筒状カバー32の内側に、前記第1筒部33が一体形成されている。図10に示すように、この筒状カバー32内には、第2本体部40の第2筒部43が挿入されるようになっている。なお、図4図7図8図9においては、構造を分かりやすく説明するため、便宜上、第1本体部30については、筒状カバー32を省略して、第1筒部33を実線で記載している。
【0017】
また、ベース部31の、第2本体部40との当接面31a側の外周縁部には、複数の係止突部34が突設されている。更に図3に示すように、ベース部31の長手方向他端側には、駆動装置60が収容配置されている。また、ベース部31の、筒状カバー32と駆動装置60の配置部との間には、ロックリテーナ70が収容配置される。図2に示すように、駆動装置60はウォームギヤ61を有しており、図示しない電力供給手段によって、ウォームギヤ61が所定方向に回転するようになっている。
【0018】
図2に示すように、前記ロックリテーナ70は、中央部にウォームギヤ61が歯合する雌ネジ72を有している。また、ロックリテーナ70の一側部には、移動部材50のロック孔57(図2参照)に係脱するロック突部73が連設されている。更に、駆動装置60とロックリテーナ70との間には、第2バネ部材S2が介装されており、ロックリテーナ70を移動部材50側に向けて、常時付勢するようになっている。
【0019】
そして、前記駆動装置60は、ウォームギヤ61の回転によって、移動部材50に対して、ロックリテーナ70を離反する方向にスライドさせるようになっており、ロックリテーナ70のロック突部73を移動部材50のロック孔57から抜き出し可能となっている。また、ロック突部73は、移動部材50のロック孔57内に入り込むことで、移動部材50の回転及び軸方向移動を規制し(図12参照)、ロック孔57から抜け出ることで、移動部材50の回転及び軸方向移動を許容する(図11参照)。
【0020】
なお、駆動装置60によるロックリテーナ70のスライド動作は、ウォームギヤのみならず、ボールネジを利用してもよく、また、作動源としては、モーターだけではなく、電磁ソレノイド等でもよく、特に限定はされない。
【0021】
更に、ロックリテーナ70の背面側からは、フック状の操作ノブ75が延設されている。この操作ノブ75は、第2本体部40の溝部41b(図2参照)を通して、本体部材11の外部に挿出される。そして、この操作ノブ75は、駆動装置60の故障等によってウォームギヤ61が回転せず、ロックリテーナ70がスライド不能となった場合に、手動でロックリテーナ70をスライドさせて、ロック突部73を移動部材50のロック孔57から抜き外すことを可能とする。
【0022】
また、図2図6に示すように、前記筒状カバー32の一端側(第2本体部40との当接面とは反対側)には、ゴムや弾性エラストマー等からなる、キャップ80が装着されるようになっている。
【0023】
図10を併せて参照すると、このキャップ80は、略円筒状をなした周壁81と、その基端側周縁から突設したフランジ部82とを有している。また、周壁81の内周には、その先端側に突設された環状の第1弾性部83と、基端側に突設された環状の第2弾性部84とが設けられている。これらの弾性部83,84は、移動部材50の外周に弾性的に当接して、水等の流体や粉塵等の異物が、筒状部15内に侵入することを抑制するシール部材として機能すると共に、第1バネ部材S1で付勢された移動部材50が、筒状部15の一端15aから飛び出す際の過剰な速度を抑制するダンパーとして機能する。
【0024】
一方、図2及び図3に示すように、第2本体部40は、上記第1本体部30に対応して一方向に長く伸びる略長板状をなしたベース部41を有している。このベース部41の長手方向一端側には、前記第1筒部33と併せて、筒状部15を形成する有底円筒状の第2筒部43が設けられている。図2図10に示すように、この実施形態の第2筒部43は、ベース部41の内面(第1本体部30との対向面)から筒状に突出し、先端が開口した部分と、ベース部41の外面(内面とは反対面)から筒状に突出し、基端側が閉塞された部分とからなる。
【0025】
また、第2筒部43の外径は、前記第1筒部33の外径と同一で、かつ、第1本体部30の筒状カバー32内に挿入可能な寸法となっている。そのため、図10に示すように、第1本体部30と第2本体部40とが組付けられて本体部材11が構成された状態で、筒状カバー32内に第2筒部43が挿入されて、第1筒部33及び第2筒部43の軸方向に対向する端面に、カム溝20が形成されるようになっている。
【0026】
このカム溝20の構成については、後で詳しく説明する。なお、第2筒部43の外側に筒状カバー32が配置されることで、カム溝20がカバーされるため、粉塵等の異物の、カム溝20内への侵入が防止される。
【0027】
また、ベース部41の外周縁部には、枠状をなした複数の係止枠部44が設けられている。これらの複数の係止枠部44に、第1本体部30の複数の係止突部34がそれぞれ係止することで、第1本体部30と第2本体部40とが組付けられて、本体部材11が構成されるようになっている(図6参照)。
【0028】
更に図10に示すように、第2筒部43の底部の内面中央からは、円柱状をなしたバネ支持柱41aが突設されている。このバネ支持柱41aは、第1バネ部材S1内に挿入されて、同第1バネ部材S1を傾きにくくする。
【0029】
図5に示すように、筒状部15内に配置される移動部材50は、略円筒形状をなしており、図10に示すように、開口した軸方向基端側から、第1バネ部材S1が挿入されるようになっている。それによって、筒状部15の一端15aから、移動部材50が所定長さ突出するようになっている。また、移動部材50の軸方向先端中央からは、細径の柱状部52が突設されている。この柱状部52の先端には、長手方向両端が円弧状をなした帯状の係合片53が連設されている。
【0030】
図11図12に示すように、この係合片53は、移動部材50の回転に伴って回転して角度が変わって、前記開閉部材5の係合部6に係脱するようになっている。この実施形態の場合、固定部材1の開口部から開閉部材5が開いたときに、開閉部材5に設けた係合部6の係合溝9の溝方向に沿った方向となるように、係合片53の長手方向が配置されるようになっており(図11参照)、一方、固定部材1の開口部に対して開閉部材5を閉じたときに、係合溝9の溝方向に対して直交するように、係合片53の長手方向の角度が変わるようになっている(図12参照)。
【0031】
更に、移動部材50の軸方向外周であって、基端寄りの箇所には、一対のカム突部55,55が突設されている。各カム突部55は、その外周が円形状をなしている。これらのカム突部55,55が、一対のカム溝20,20内に嵌入して、移動部材50の押込み動作に応じて、移動部材50を回転及び軸方向移動させる。また、図10に示すように、第1バネ部材S1に付勢される移動部材50は、その一対のカム突部55,55が、一対のカム溝20,20の突出側端部21,21に嵌合するため、筒状部15の一端15aから移動部材50全体が抜け出ないように、抜け止め保持されるようになっている。なお、この実施形態におけるカム突部55は移動部材50と一体形成されているが、別体で形成してもよい。
【0032】
また、移動部材50の、前記一対のカム突部55,55よりも、軸方向基端側の外周であって、前記一対のカム突部55,55の突出方向に直交する位置には、四角孔状をなしたロック孔57,57が形成されている。このロック孔57には、ロックリテーナ70のロック突部73が挿脱し、移動部材50を押込み状態にロックするかロック状態を解除する。
【0033】
更に図9~12に示すように、移動部材50の基端部外周には、最基端に向かって次第に高さが低くなるテーパ面59が形成されている。図10に示すように、このテーパ面59は、ロックリテーナ70のロック突部73に対向して配置されるようになっている。そのため、移動部材50が筒状部15の奥側(筒状部15の一端15aとは反対側)に押し込まれたときに、テーパ面59がロック突部73を押圧して、ロックリテーナ70を、第2バネ部材S2の付勢力に抗して、移動部材50から離反する方向に押し下げ可能となっている。
【0034】
また、ベース部41の内面側には、リミットスイッチ85が配置されるようになっている(図2参照)。図2に示すように、このリミットスイッチ85は、スイッチケース86と、該スイッチケース86の上端部に、配置された検出部87とを有している。この検出部87には、移動部材50の軸方向基端部が接離して、筒状部15に対する移動部材50の押込み状態を検出するようになっている。
【0035】
更に、ベース部41の内面側には、バスバー90が配置されるようになっている。図2に示すように、このバスバー90は、駆動装置60に導通する第1導通部91と、リミットスイッチ85に導通する第2導通部92と、それらを連結する連結部93とを有している。そして、図示しない電力供給手段による電力が、第1導通部91を介して駆動装置60に供給されると共に、第1導通部91、連結部93、第2導通部92を介して、リミットスイッチ85に供給されるようになっている。
【0036】
次に、筒状部15の内周に形成されるカム溝20について説明する。
【0037】
図7~9に示すように、このカム溝20は、筒状部15の一端15a側に設けられた突出側端部21と、該突出側端部21よりも、筒状部15の他端側に設けられた押込み側端部23とを有しており、突出側端部21にカム突部55が位置するときに、筒状部15の一端15aから移動部材50が所定長さ突出し(図7(b)及び図8参照)、押込み側端部23にカム突部55が位置するときに、筒状部15の一端15aから移動部材50が所定長さ引き込まれるように(図7(a)及び図9参照)構成されている。
【0038】
すなわち、図7(b)及び図8に示すように、前記突出側端部21は、第1バネ部材S1により付勢された移動部材50のカム突部55が嵌合して、筒状部15の一端15aから、移動部材50を突出した状態に保持する。また、この突出側端部21には、押込み側端部23に向けて、筒状部15の軸方向に沿って所定長さで直線状に延びる、直線部21aが形成されている。
【0039】
一方、図7(a)及び図9に示すように、前記押込み側端部23は、筒状部15の奥側(一端15aとは反対側の他端側)に向けて移動部材50が押込まれた際に、カム突部55が嵌合して、それ以上の押し込みを規制する。なお、この状態では、第2バネ部材S2に付勢されたロックリテーナ70のロック突部73が、移動部材50のロック孔57に嵌合するので、移動部材50が筒状部15の一端15aから所定長さ引き込まれた状態に保持されるようになっている。
【0040】
また、この実施形態のカム溝20には、筒状部15の軸心C(軸方向に沿った方向)に対して周方向の一方側(図8の符号R1で示す方向、以下、単に「周方向R1」ともいう)に傾斜して、両端部21,23どうしを連結する、ガイド部25が設けられている。
【0041】
なお、以下の説明において特に記載がない場合の、「軸方向」とは、筒状部15の軸方向(軸心Cに沿った方向)を意味し、「周方向」とは、筒状部15の周方向を意味するものとする。
【0042】
前記ガイド部25は、以下の(1),(2)の役割をなす。(1)突出側端部21にカム突部55が嵌合した状態で、移動部材50が押込まれる際に、カム突部55を、周方向R1に移動させつつ軸方向他端側に移動させて、押込み側端部23へと導いて、移動部材50を、筒状部15の一端15aから回転させつつ所定長さ引き込む。(2)押込み側端部23にカム突部55が位置した状態で、駆動装置60によりロックリテーナ70のロック突部73が、移動部材50のロック孔57から抜き出されて、ロック状態が解除された場合に、第1バネ部材S1の付勢力によって、カム突部55を、筒状部15の軸心Cに対して周方向の他方側(図9の符号R2で示す方向、以下、単に「周方向R2」ともいう)に移動させつつ、軸方向一端側に移動させて、突出側端部21へと導いて、移動部材50を、上記の引込み時とは反対方向に回転させつつ、筒状部15の一端15aから所定長さ突出させる。
【0043】
図7~10に示すように、上記カム溝20は、第1筒部33の軸方向他端側の端面、及び、第2筒部43の軸方向一端側の端面を、軸方向に互いに対向させて、一部を当接させると共に、残りを離反させることで、形成されるようになっている。
【0044】
この伸縮装置10においては、第1本体部30と第2本体部40とを組付けた状態で、第1筒部33及び第2筒部43の、軸方向に対向する端面には、互いに当接する当接面35,45と、互いに離れてカム溝20を形成するカム溝形成面37,47とが設けられている。そして、第2本体部40側の複数の係止枠部44に、第1本体部30側の複数の係止枠部44を係止させて、第1本体部30と第2本体部40とを組付けた状態で、第1筒部33の当接面35と第2筒部43の当接面45とが互いに当接するようになっており、第1筒部33のカム溝形成面37と第2筒部43のカム溝形成面47との間に、カム溝20が形成されるようになっている。
【0045】
この実施形態では、上記のような構成をなした当接面35,45と、カム溝形成面37,47とが、筒状部15の周方向に均等な間隔をあけて一対設けられている。
【0046】
より具体的に説明すると、図8に示すように、第1筒部33の、第2筒部43との対向端面に設けられた当接面35は、突出側端部21側に配置されると共に周方向に沿って延びる第1当接面35aと、押込み側端部23側に配置されると共に周方向に沿って延びる第2当接面35bと、第1当接面35a及び第2当接面35bどうしを連結すると共に、筒状部15の軸心Cに対して周方向R2側に傾斜して延びる第3当接面35cとからなる、略クランク状をなしている。
【0047】
また、図9に示すように、第1筒部33の、第2筒部43の対向端面に設けられたカム溝形成面37は、軸方向に沿って互いに平行に延びる一対の直線部形成面37a,37bと、これらを連結すると共に周方向に沿って延びる直線部形成面37cと、前記直線部形成面37bの軸方向他端から、筒状部15の軸心Cに対して周方向R1側に傾斜しつつ湾曲して延びる、ガイド部形成面37dと、このガイド部形成面37dの軸方向他端から軸方向に沿って延びる押込み端部形成面37eとからなる。また、押込み端部形成面37eは、一対の直線部形成面37a,37bよりも軸方向に短くなっている。
【0048】
一方、図8に示すように、第2筒部43の、第1筒部33との対向端面に設けられた当接面45は、前記第1筒部33の当接面35に適合する形状となっている。すなわち、この当接面45は、突出側端部21側に配置されると共に周方向に沿って延び、前記第1当接面35aに当接する第1当接面45aと、押込み側端部23側に配置されると共に周方向に沿って延び、前記第2当接面35bに当接する第2当接面45bと、第1当接面45a及び第2当接面45bどうしを連結すると共に、筒状部15の軸心Cに対して周方向R2側に傾斜して延び、前記第3当接面35cに当接する第3当接面45cとからなる、略クランク状をなしている。
【0049】
また、図9に示すように、第2筒部43の、第1筒部33の対向端面に設けられたカム溝形成面47は、軸方向に沿って延びる直線部形成面47aと、該直線部形成面47aの軸方向他端から、筒状部15の軸心Cに対して周方向R1側に傾斜しつつ湾曲して延びる、ガイド部形成面47bと、このガイド部形成面47bの軸方向他端から周方向に沿って延びる押込み端部形成面47cとからなる。なお、上記の直線部形成面47aは、第1筒部33側の、一対の直線部形成面37a,37bよりも軸方向に短く形成されている。
【0050】
そして、図8に示すように、第1本体部30と第2本体部40とを組付けた状態では、第1筒部33の第1当接面35a、第2当接面35b、第3当接面35cが、第2筒部43の第1当接面45a、第2当接面45b、第3当接面45cに、それぞれ当接する。その結果、図9に示すように、第1筒部33の直線部形成面37aと、第2筒部43の直線部形成面47aとが周方向に整合して、軸方向に連続して延びる直線状となると共に、第1筒部33の直線部形成面37a,37b,37c、及び、第2筒部43の直線部形成面47aによって、カム溝20の直線部21aが形成されるようになっている。
【0051】
また、図9に示すように、上記の第1本体部30と第2本体部40とを組付けた状態では、第1筒部33のガイド部形成面37dと、第2筒部43のガイド部形成面47bとが、離間して配置されて、カム溝20のガイド部25が形成されるようになっている。
【0052】
更に図9に示すように、上記の第1本体部30と第2本体部40とを組付けた状態では、第1筒部33の押込み端部形成面37eと、第2筒部43の押込み端部形成面47cとが互いに直交して配置されて、カム溝20の押込み側端部23が形成されるようになっている。
【0053】
また、図8に示すように、この実施形態では、両筒部33,43の、第1当接面35a,45aが、直線部21aの軸方向途中に位置するように設けられている。更に図8に示すように、この実施形態においては、両筒部33,43の、第2当接面35b,45bが、押込み側端部23に位置するように設けられている。
【0054】
なお、この実施形態においては、両筒部33,43の、第1当接面35a,45aどうし、第2当接面35b,45bどうし、第3当接面35c,45cどうしが、筒状部15の軸方向の3箇所において、互いに当接するように構成されているが、例えば、第1当接面どうし及び第3当接面どうしが当接する構成としたり、或いは、第2当接面どうし及び第3当接面どうしが当接する構成としたりしてもよい。
【0055】
また、両筒部の当接面としては、例えば、第1当接面及び第2当接面を、筒状部の軸心に対して傾斜したり、軸方向に沿って延びた形状としたりしてもよく、また、第3当接面を、軸方向に沿って延びたり、階段状に延びたり、曲面状をなすように延びた形状等としたりしてもよく、両本体部の組付け状態で、両筒部の対応する当接面どうしが互いに当接可能であればよく、当接する箇所は1箇所であってもよい。更に、両筒部のカム溝形成面は、その内部でカム突部が移動可能な形状であれば、特に限定はされない。
【0056】
次に、上記構造からなる伸縮装置10の使用方法及び作用効果について説明する。
【0057】
まず、この伸縮装置10の組付け方法について説明する。すなわち、第1本体部30及び第2本体部40の間に、駆動装置60、第2バネ部材S2、ロックリテーナ70や、リミットスイッチ85、バスバー90を配置すると共に、第2本体部40のバネ支持柱41aの外周に、第1バネ部材S1を外装する。その後、第2本体部40の第2筒部43を、第1本体部30の筒状カバー32に挿入して押込んでいく。
【0058】
すると、図7~9に示すように、第1筒部33の当接面35と第2筒部43の当接面45とが互いに当接するので、第2筒部43のそれ以上の押込みが規制されると共に、第2本体部40側の複数の係止枠部44に、第1本体部30側の複数の係止突部34がそれぞれ係止して、第1本体部30と第2本体部40とを組付けることができる。その後、キャップ80を筒状部15の先端外周に装着させることで、伸縮装置10を組立てることができる。
【0059】
上記のように、第1筒部33の当接面35と第2筒部43の当接面45とが互いに当接した状態では、図7~9に示すように、第1筒部33のカム溝形成面37及び第2筒部43のカム溝形成面47が互いに離間するので、筒状部15にカム溝20を形成することができる。そして、この伸縮装置10においては、第1本体部30と第2本体部40とを組付けたときに、両筒部33,43の当接面35,45どうしを互いに当接させつつ、両筒部33,43のカム溝形成面37,47によって、カム溝20を形成することができるので、カム溝20を精度良く形成することができる。すなわち、この伸縮装置10においては、図8図9に示すように、カム溝形成面37,47と近い箇所で、当接面35,45どうしを当接させて、カム溝20を形成するので、第1筒部33や第2筒部43が傾いたり、ガタついたりすることを抑制して、両筒部33,43の軸心を整合させやすくすることができるため、所望寸法のカム溝20を精度良く形成可能となる。
【0060】
また、上記のように組立てられた伸縮装置10は、次のように動作する。
【0061】
図7(b)や図8に示すように、各カム突部55が各カム溝20の突出側端部21に嵌合した状態(ここではカム突部55が、直線部21aを構成する直線部形成面37a,37b,37cに当接した状態)では、筒状部15の一端15aから移動部材50が所定長さ突出されている。図11に示すように、この状態での移動部材50の係合片53は、係合部6の係合溝9を通過して、開閉部材5の内面側に当接しており、開閉部材5は固定部材1の開口部周縁に対して開閉可能となっている。また、図10に示すように、この状態では、第2バネ部材S2に付勢されたロックリテーナ70のロック突部73が、移動部材50の最基端のテーパ面59に対向して配置されている。
【0062】
上記状態から開閉部材5を閉じると、係合片53が押圧されて、移動部材50が第1バネ部材S1の付勢力に抗して、筒状部15の奥側に押し込まれると共に、そのテーパ面59によって、第2バネ部材S2の付勢力に抗してロックリテーナ70を押し下げつつ、移動部材50が押込まれる。すると、各突出側端部21に嵌合した各カム突部55が、直線部21aに沿って軸方向に所定距離移動した後、ガイド部25によってぞれぞれガイドされて、移動部材50が所定方向に回転しながら筒状部15内に徐々に引き込まれていくと共に、係合片53が回転していく。更に移動部材50が押圧されると、図7(a)や図9に示すように、各カム突部55が各カム溝20の押込み側端部23に当接して、それ以上の押し込みが規制されると共に、第2バネ部材S2の付勢力によって押圧されたロックリテーナ70のロック突部73が、移動部材50のロック孔57に入り込んで係合して、筒状部15の一端15aから、移動部材50を所定長さ引き込んだ状態に保持することができる。
【0063】
それと共に、図12に示すように、移動部材50の係合片53が、開閉部材5の係合部6の係合溝9の溝方向に対して、係合片53の長手方向が直交するので、固定部材1の開口部周縁に対して開閉部材5を閉じた状態にロックすることができる。
【0064】
上記状態から、例えば、車両内部に配置されたスイッチを操作することで、駆動装置60を駆動させて、ウォームギヤ61を介して、第2バネ部材S2の付勢力に抗して、ロックリテーナ70を押し下げて、そのロック突部73を移動部材50のロック孔57から抜き出す。すると、第1バネ部材S1の付勢力によって移動部材50が押されて、各カム突部55が、各カム溝20の押込み側端部23から抜け出るので、移動部材50の押込み状態が解除される。その後、各カム突部55が各ガイド部25によってそれぞれガイドされて、移動部材50が、押込み時の回転方向とは反対方向に回転しながら、筒状部15の一端15aから徐々に突出していく。そして、各カム突部55が、直線部21aを通って各突出側端部21に嵌合すると、移動部材50のそれ以上の突出が規制されると共に、図11に示すように、係合片53が、開閉部材5の係合部6の係合溝9の溝方向に沿った方向となるので、開閉部材5の閉じ状態のロックが解除される。このとき、移動部材50によって開閉部材5が押されて、固定部材1の開口部から開閉部材5を所定高さ持ち上げるので(リフター動作)、開閉部材5を手動で開くことができる。
【0065】
このように、この実施形態における回転式伸縮装置10は、筒状部15内に押込まれた状態の、移動部材50に係合して、移動部材50の押込み状態を保持するロックリテーナ70と、本体部材11内に収容されていると共に、ロックリテーナ70を駆動させて、移動部材50の押込み状態を解除する、駆動装置60とを有しているので、上記のような、フューエルリッドのリッド開閉構造に好適に用いることができる。また、移動部材50の押込み状態を保持するロックリテーナ70を設けたことによって、上記特許文献1の回転式伸縮装置のような周回するカム溝ではなく、筒状部15の周方向及び軸方向に所定長さで延びるシンプルな形状で且つ短い溝長で、カム溝20を形成することができるので、両筒部33,43の当接面35,45の長さを長く確保することができ、カム溝20の寸法精度をより高めることができる。
【0066】
また、この実施形態においては、カム溝20は、筒状部15の一端15a側に設けられた突出側端部21と、該突出側端部21よりも、筒状部15の他端側に設けられた押込み側端部23とを有しており、突出側端部21には、押込み側端部23に向けて、筒状部15の軸方向に沿って所定長さで直線状に延びる、直線部21aが形成されている。そのため、第1バネ部材S1によって付勢された移動部材50が、筒状部15の一端15aから突出する際に、第1バネ部材S1のバネ力が弱まっても、カム突部55が直線部21aを通るため、カム溝内周に対するカム突部55の抵抗を少なくすることができ、移動部材50を筒状部15の一端15aから確実に突出させることができる。なお、回転式伸縮装置10を、フューエルリッドの開閉に用いる際には、フューエルリッド(開閉部材5)を確実に開くことができるので、異音を防止することができる。
【0067】
更に、この実施形態においては、当接面35,45の一部は、カム溝20を構成する直線部21aの途中に配置されている。そのため、図8図9に示すように、両筒部33,43が互いに当接する当接面35,47(ここでは第1当接面35a,45a)に、多少の段差があっても、該当接面35a,47aは、直線部21aの途中に位置するため、カム溝20内を移動するカム突部55の移動、特に回転移動に影響を及ぼしにくい。
【0068】
また、この実施形態においては、当接面35,45の一部は、カム溝20を構成する押込み側端部23に配置されている。すなわち、図7(a)及び図8に示すように、両筒部33,43の、第3当接面35c,45cが、押込み側端部23に配置されているので、移動部材50が押込まれて、カム突部55が止まる位置に段差があっても、移動部材50の回転移動や軸方向移動に影響を及ぼしにくい。
【0069】
更に、この実施形態においては、図7~9に示すように、両筒部33,43の、当接面35,45は、突出側端部21側で周方向に沿って形成された第1当接面35a,45aと、押込み側端部23で周方向に沿って形成された第2当接面35b,45bと、筒状部15の軸方向に対して斜めに延びる第3当接面35c,45cとを有している。そのため、第1筒部33と第2筒部43とを当接面35,45を介して当接させたときに、第1当接面35a,45aどうし、第2当接面35b,45bどうし、第3当接面35c,45cどうしがそれぞれ当接するので、カム溝形成面37,47の軸方向と周方向の位置規制を、より近接した位置で図ることができ、カム溝20の精度をより一層高めることができる。なお、両筒部33,43の、第1当接面35a,45aどうし及び第3当接面35c,45cどうしが当接する構成や、第2当接面35b,45bどうし及び第3当接面35c,45cどうしが当接する構成であっても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0070】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
10 回転式伸縮装置(伸縮装置)
11 本体部材
15 筒状部
20 カム溝
21 突出側端部
21a 直線部
23 押込み側端部
30 第1本体部
33 第1筒部
35 当接面
37 カム溝形成面
40 第2本体部
43 第2筒部
45 当接面
47 カム溝形成面
50 移動部材
55 カム突部
60 駆動装置
61 ウォームギヤ
70 ロックリテーナ
80 キャップ
85 リミットスイッチ
90 バスバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12