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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】軟性銅箔積層フィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 28/02 20060101AFI20221108BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20221108BHJP
   C09J 7/28 20180101ALI20221108BHJP
   C09J 183/04 20060101ALI20221108BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20221108BHJP
   C25D 5/56 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
C23C28/02
B32B15/08 J
B32B15/08 N
C09J7/28
C09J183/04
C09J201/00
C25D5/56 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021520896
(86)(22)【出願日】2019-07-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 KR2019007947
(87)【国際公開番号】W WO2020009388
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2020-12-22
(31)【優先権主張番号】10-2018-0076599
(32)【優先日】2018-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】504092127
【氏名又は名称】トーレ・アドバンスド・マテリアルズ・コリア・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TORAY ADVANCED MATERIALS KOREA INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】300,3gongdan 2-ro,Gumi-si,Gyeongsangbuk-do 39389 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ホ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ウ・ドゥク・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ビョン・グク・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ドク・イ
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-021157(JP,A)
【文献】特開2002-050851(JP,A)
【文献】特開2005-193400(JP,A)
【文献】特開2006-175634(JP,A)
【文献】特開2006-213872(JP,A)
【文献】特開2008-179127(JP,A)
【文献】特開2011-153372(JP,A)
【文献】特開2014-179638(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0071205(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 15/08
C09J 7/28
C09J 183/04 - 183/16
C09J 201/00
C23C 18/32 - 18/50
C23C 28/00 - 28/04
C25D 5/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非伝導性高分子基材と、
前記非伝導性高分子基材の少なくとも一面に位置した高分子含有接着層と、
前記高分子含有接着層の一面に位置したニッケル含有メッキ層と、
前記ニッケル含有メッキ層の一面に位置した金属メッキ層と、を含む、軟性銅箔積層フィルムであって、
前記高分子含有接着層が、末端にアミン基を含むポリシロキサン系樹脂を含み、
前記金属メッキ層の金属が銅である、軟性銅箔積層フィルム。
【請求項2】
前記非伝導性高分子基材の厚みが5ないし100μmである、請求項1に記載の軟性銅箔積層フィルム。
【請求項3】
前記高分子含有接着層の厚みが0.001ないし30μmである、請求項1に記載の軟性銅箔積層フィルム。
【請求項4】
前記ニッケル含有メッキ層が、ニッケルまたはニッケル合金から選択された無電解メッキ層である、請求項1に記載の軟性銅箔積層フィルム。
【請求項5】
前記ニッケル含有メッキ層の厚みが0.01ないし5μmである、請求項1に記載の軟性銅箔積層フィルム。
【請求項6】
前記金属メッキ層が、電解メッキ層である、請求項1に記載の軟性銅箔積層フィルム。
【請求項7】
前記金属メッキ層の厚みが0.1ないし20μmである、請求項1に記載の軟性銅箔積層フィルム。
【請求項8】
前記軟性銅箔積層フィルムは、下記数式1で表示される接着力維持率が80%以上98.2%以下である、請求項1に記載の軟性銅箔積層フィルム:
(数式1)
接着力維持率(%:△F)=[(F/F)×100]
ここで、Fは、(1)常温で測定した初期接着力であって、JISC6471に基づき、3mmパターン形成後、23℃±2℃で72時間放置し、50mm/分の速度でのT-peel testの剥離力(N/mm)であり、Fは、(2)1回以上150℃で2時間熱処理した後で測定した接着力であって、JISC6471に基づき、150℃で2時間熱処理及び常温で30分放置を1回以上繰り返し、最後に、240℃で10分間熱処理した後、試験速度50mm/min、荷重5Nの条件下でのT-peel testの剥離力(N/mm)である
【請求項9】
非伝導性高分子基材を準備する段階と、
前記非伝導性高分子基材の少なくとも一面に、高分子含有コーティング液を塗布して乾燥させ、高分子含有接着層を形成する段階と、
前記高分子含有接着層の一面に、ニッケル含有無電解メッキ層を形成する段階と、
前記ニッケル含有無電解メッキ層の一面に、金属電解メッキ層を形成し、請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載の軟性銅箔積層フィルムを製造する段階と、を含む軟性銅箔積層フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記高分子含有コーティング液において、樹脂の固形分含量が0.01重量%ないし10重量%である、請求項9に記載の軟性銅箔積層フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟性銅箔積層フィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、半導体集積回路分野の発展により、一般的に、小型化、軽量化、耐久性及び高画質が要求されている。それにより、高集積度が具現される素材の開発が促進されている。例えば、LCD用ドライバICに使用される軟性銅箔積層フィルム(FCCL:flexible copper clad laminate)にも、微細パターン(fine pattern)化、薄膜化及び耐久性が要求されている。
【0003】
そのような軟性銅箔積層フィルムを製造するために、最近、スパッタリング工程が多用されている。該スパッタリング工程は、微細ピッチに対する対応が容易であり、マイクロ単位で厚み調節を行うことができる。しかし、該スパッタリング工程によって製造された軟性銅箔積層フィルムは、導電膜の表面に不良が発生し、作業空間及び作業工程において、ターゲットの空間調整及び位置調整に困難さがある。また、スパッタリング工程上、高温で作業が進められるために、基材フィルムの熱損傷などの心配があり、低い生産速度を有してしまう。
【0004】
従って、微細パターン形成技術の発達により、基材と金属層との間において、向上された耐熱密着力を有し、層間において剥離されないように、常温及び高温で接着力が向上された軟性銅箔積層フィルム及びその製造方法への要求が依然としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一側面は、基材と金属層との間において、耐熱密着力を向上させるだけではなく、温度変化により、常温及び高温における接着力が向上された軟性銅箔積層フィルムを提供するものである。
【0006】
他の側面は、前記軟性銅箔積層フィルムの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一側面により、
非伝導性高分子基材と、
前記非伝導性高分子基材の少なくとも一面に位置した高分子含有接着層と、
前記高分子含有接着層の一面に位置したニッケル含有メッキ層と、
前記ニッケル含有メッキ層の一面に位置した金属メッキ層と、を含む軟性銅箔積層フィルムが提供される。
【0008】
前記非伝導性高分子基材の厚みは、5ないし100μmでもある。
【0009】
前記高分子含有接着層は、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリシラン系樹脂、カルボニル系樹脂、エポキシ系樹脂、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0010】
前記高分子含有接着層は、末端にアミン基を含むポリシロキサン系樹脂を含んでもよい。
【0011】
前記高分子含有接着層の厚みは、0.001ないし30μmでもある。
【0012】
前記ニッケル含有メッキ層は、ニッケルまたはニッケル合金から選択された無電解メッキ層でもある。
【0013】
前記ニッケル含有メッキ層の厚みは、0.01ないし5μmでもある。
【0014】
前記金属メッキ層は、金、銀、コバルト、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、銅、またはそれらの組み合わせから選択された電解メッキ層でもある。
【0015】
前記金属メッキ層の厚みは、0.1ないし20μmでもある。
【0016】
前記軟性銅箔積層フィルムは、下記数式1で表示される接着力維持率が、80%以上でもある:
(数式1)
接着力維持率(%;△F)=[(F/F)×100]
(Fは、(1)常温で測定した初期接着力であり、Fは、(2)1回以上150℃で2時間熱処理した後で測定した接着力である)。
【0017】
他の側面により、
非伝導性高分子基材を準備する段階と、
前記非伝導性高分子基材の少なくとも一面に、高分子含有コーティング液を塗布して乾燥させ、高分子含有接着層を形成する段階と、
前記高分子含有接着層の一面に、ニッケル含有無電解メッキ層を形成する段階と、
前記ニッケル含有無電解メッキ層の一面に、金属電解メッキ層を形成し、前述の軟性銅箔積層フィルムを製造する段階と、を含む軟性銅箔積層フィルムの製造方法が提供される。
【0018】
前記高分子含有コーティング液において、樹脂の固形分含量は、0.01重量%ないし10重量%でもある。
【発明の効果】
【0019】
一側面による軟性銅箔積層フィルムは、前記非伝導性高分子基材の少なくとも一面に、高分子含有接着層が配置され、耐熱密着力を向上させるだけではなく、前記高分子含有接着層の一面に、ニッケル含有メッキ層が配置され、常温及び高温で接着力が向上しうる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一具現例による軟性銅箔積層フィルムの断面模式図である。
図2】実施例1によって製造された軟性銅箔積層フィルム上に、銅を12.0μm厚に追加メッキした後、前記軟性銅箔積層フィルムの第1面及び第2面に対し、JIS C 6471に基づき、常温で測定した初期接着力(F)と、1回以上150℃で2時間熱処理した後で測定した接着力(F)とを示したグラフである。
図3】比較例1によって製造された軟性銅箔積層フィルム上に、銅を12.0μm厚に追加メッキした後、前記軟性銅箔積層フィルムの第1面及び第2面に対し、JIS C 6471に基づき、常温で測定した初期接着力(F)と、1回以上150℃で2時間熱処理した後で測定した接着力(F)とを示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施例と図面とを参照し、軟性銅箔積層フィルム及びその製造方法について詳細に説明する。それら実施例は、ただ、本発明について、さらに具体的に説明するために例示的に提示したものであるのみ、本発明の範囲は、それら実施例によって制限されるものではないということは、当業界で当業者において自明であろう。
【0022】
取り立てて定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的な用語は、本発明が属する技術分野の熟練者により、一般的に理解されるところと同一意味を有する。相反する場合、定義を含む本明細書が優先されるのである。
【0023】
本明細書で説明されるところと類似していたり、同等であったりする方法及び材料は、本発明の実施または試験にも使用されるが、適する方法及び材料が本明細書に記載される。
【0024】
本明細書において、構成要素の前に、「少なくとも一面」という表現は、前記構成要素の「一面」または「両面」をいずれも含むということを意味する。本明細書において、構成要素の前に、「少なくとも1種」、「1種以上」、または「1以上」という表現は、全体構成要素のリストを補完することができ、前記記載の個別構成要素を補完することができることを意味するものではない。
【0025】
本明細書において、「及び/または」という用語は、関連記載した1以上の項目の任意の組み合わせ、及び全ての組み合わせを含むものであることを意味する。本明細書において、「または」という用語は、「及び/または」を意味する。
【0026】
本明細書において、「含む」という用語は、特別に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素を追加させ、または/かつ介在させることができることを示すように使用される。本明細書において、「それらの組み合わせ」という用語は、先立って記述された2個以上の構成要素の混合物または合金などを示すように使用される。本明細書において、「~系樹脂」という用語は、「~樹脂」または/及び「~樹脂の誘導体」を含む広い概念を示すように使用される。本明細書において、「リン系難燃剤」という用語は、リンを含む難燃剤の広い概念を示すように使用される。
【0027】
本明細書において、特別に取り立てて規定しない限り、単位「重量部」は、各成分間の重量比を意味する。
【0028】
本明細書において、一構成要素が他の構成要素の「上」に配置されていると言及される場合、該一構成要素は、他の構成要素上に直接配置されたり、前記構成要素間に介在された構成要素が存在したりもする。一方、一構成要素が他の構成要素「上に直接」配置されると言及される場合、介在された構成要素が存在しないのである。
【0029】
スパッタリング工程によって製造された軟性銅箔積層フィルムは、一般的に、基材と金属層との接着力を向上させるために、接着層が必要である。該接着層としては、クロム、ニッケルのような有害重金属が使用されうる。そのような有害重金属が使用された接着層上に銅が蒸着される場合、工程数が増加し、有害物質が使用されるので、安定性及び環境汚染の問題が発生しうる。また、接着層表面に対する蒸着均一度が低下し、ピンホールが発生する場合が多く、ピンホールにより、銅蒸着シード面における金属間に問題が発生しうる。それにより、クラック、及び応力伝達によるメッキ面の破壊、メッキ時、デラミネーション、シード層の離脱現象、及びフィルム損傷のような問題が発生しうる。
【0030】
本発明の発明者らは、前記問題を解決するために、次のような軟性銅箔積層フィルムを提案する。
【0031】
一具現例による軟性銅箔積層フィルムは、非伝導性高分子基材と、前記非伝導性高分子基材の少なくとも一面に位置した高分子含有接着層と、前記高分子含有接着層の一面に位置したニッケル含有メッキ層と、前記ニッケル含有メッキ層の一面に位置した金属メッキ層と、を含むものである。
【0032】
図1は、一具現例による軟性銅箔積層フィルム10の断面模式図である。
【0033】
図1を参照すれば、一具現例による軟性銅箔積層フィルム10は、第1面5と第2面6とからなる両面軟性銅箔積層フィルム10を示している。軟性銅箔積層フィルム10は、非伝導性高分子基材1の両面に、高分子含有接着層2,2’が配置されており、前記高分子含有接着層2,2’の一面に、それぞれニッケル含有メッキ層3,3’が配置されており、前記ニッケル含有メッキ層3,3’の一面に、金属メッキ層4,4’が配置されている。
【0034】
一具現例による軟性銅箔積層フィルム10は、熱的損傷を遮断しながら、均一なニッケル含有メッキ層を形成することにより、接着力、例えば、常温及び高温において、接着力が顕著に向上しうる。
【0035】
以下、前記軟性銅箔積層フィルム10を構成するそれぞれの非伝導性高分子基材1、高分子含有接着層2,2’、ニッケル含有メッキ層3,3’及び金属メッキ層4,4’について詳細に説明する。
【0036】
<非伝導性高分子基材1>
前記非伝導性高分子基材1は、フェノール系樹脂、フェノールアルデヒド系樹脂、アリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリイミド系樹脂から選択された1種以上でもある。
【0037】
例えば、前記非伝導性高分子基材1は、接着力、引っ張り強度及び剥離強度などを考慮するとき、ポリイミド系樹脂が使用されうる。例えば、該ポリイミド系樹脂は、ポリイミド前駆体であるポリアミン酸を押し出してフィルムを作り、前記ポリアミン酸のイミド化のために、前記フィルムを熱処理することにより、ポリイミド系樹脂含有非伝導性高分子基材1を製造することができる。
【0038】
前記非伝導性高分子基材1は、水分及び残留ガスを除去するために、当該技術分野で一般的に使用される方法で乾燥されうる。例えば、常圧下において、ロール・ツー・ロール(roll to roll)タイプの熱処理を介して遂行されるか、あるいは真空雰囲気下において、赤外線(IR)ヒータを利用しても遂行される。
【0039】
前記非伝導性高分子基材1の厚みは、5ないし100μmでもあり、例えば、10ないし40μmでもあり、20ないし30μmでもある。前記非伝導性高分子基材1は、前記厚み範囲内において、熱的損傷を遮断しながら、軟性及び接着力にすぐれる基材が得られる。
【0040】
<高分子含有接着層2,2’>
前記高分子含有接着層2,2’は、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリシラン系樹脂、カルボニル系樹脂、エポキシ系樹脂、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0041】
例えば、前記高分子含有接着層2,2’は、末端にアミン基を含むポリシロキサン系樹脂を含んでもよい。例えば、前記高分子含有接着層2,2’は、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、またはそれらの組み合わせのシラン系化合物を加水分解して形成されたポリシロキサン系樹脂を含んでもよい。
【0042】
前記ポリシロキサン系樹脂の重量平均分子量は、例えば、100ないし1000,000でもある。
【0043】
前記高分子含有接着層2,2’は、軟性が向上されるだけでなく、後述するニッケル含有メッキ層3,3’との化学的共有結合により、強い接着力を有することができるので、非伝導性高分子基材1とニッケル含有メッキ層3,3’との間において、耐熱密着力が向上しうる。
【0044】
前記軟性銅箔積層フィルム10の難燃性を向上させるために、前記高分子含有接着層2,2’に、リン系難燃剤が追加して含まれてもよい。前記リン系難燃剤としては、3-(ヒドロキシフェニルホスフィニル)プロピオン酸、トリス(1,3-クロロ-2-プロピル)ホスフェート(TCPP)、トリエチルホスフェート(TEP)、トリメチルホスフェート(TMP)のうちから選択された1種以上でもあるが、それらに制限されるものではない。
【0045】
前記リン系難燃剤は、前記樹脂100重量部を基準にし、1ないし30重量部、例えば、5ないし20重量部で含まれてもよい。前記高分子含有接着層2,2’は、前記重量範囲内でリン系難燃剤が含まれる場合、難燃性が向上し、前記非伝導性高分子基材1との密着性、屈曲性などが向上しうる。
【0046】
前記軟性銅箔積層フィルム10の耐熱性、耐薬品性、及び非伝導性高分子基材1との密着性などをさらに向上させるために、前記高分子含有接着層2,2’に、硬化促進剤が追加して含まれてもよい。前記硬化促進剤としては、テトラフェニルボロエート;ポリビニルフェノール;ポリビニルフェノールブロム化物;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス-2-シアノエチルホスフィンのような有機ホスフィン類;トリn-ブチル(2,5-ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロミド;ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロリド;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボロエートなどを含んでもよい。前記硬化促進剤は、耐熱性、基材との密着性などを考慮するとき、テトラフェニルボロエートが使用されうる。
【0047】
前記硬化促進剤は、前記樹脂100重量部を基準にし、0.01ないし15重量部で含まれてもよい。前記高分子含有接着層2,2’は、前記重量範囲内で硬化促進剤が含まれる場合、耐熱性及び接着力が向上しうる。
【0048】
前記高分子含有接着層2,2’の厚みは、0.001ないし30μmでもある。例えば、前記高分子含有接着層2,2’の厚みは、0.001ないし20μmでもあるか、0.001ないし15μmでもあるか、0.002ないし10μmでもあるか、0.002ないし5μmでもあるか、0.002ないし1μmでもあるか、0.002ないし0.1μmでもあるか、0.002ないし0.05μmでもあるか、あるいは0.002ないし0.03μmでもある。前記高分子含有接着層2,2’は、前記厚み範囲内で乾燥工程を経て、安定して硬化され、接着力が向上しうる。
【0049】
前記高分子含有接着層2,2’の含量は、非伝導性高分子基材1100重量部を基準にし、0.1ないし1.0重量部でもあり、例えば、0.1ないし0.9重量部でもあるか、0.1ないし0.8重量部でもあるか、0.1ないし0.7重量部でもあるか、0.1ないし0.6重量部でもあるか、0.1ないし0.5重量部でもあるか、0.1ないし0.4重量部でもあるか、あるいは0.1ないし0.3重量部でもある。前記高分子含有接着層2,2’は、前記含量範囲内において、分散が容易であり、均一な接着層が形成されうる。
【0050】
<ニッケル含有メッキ層3,3’>
スパッタリング方式のプラズマ処理は、非伝導性高分子基材1と金属層との接着力を確保することができるが、25μm以下の薄膜タイプの非伝導性高分子基材1の加工時、熱的損傷が発生しうる。
【0051】
そのような問題を解決するために、前記ニッケル含有メッキ層3,3’は、ニッケルまたはニッケル合金から選択された無電解メッキ層でもある。前記無電解ニッケル含有メッキ層は、接着力を向上させながら、熱的損傷を防止することができる。
【0052】
前記ニッケル含有メッキ層3,3’は、例えば、次のようなメッキ液を使用し、無電解メッキ法を介しても形成される。
【0053】
前記メッキ液は、水溶性ニッケル塩、還元剤及び錯化剤を含んでもよく、前記水溶性ニッケル塩は、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、次亜リン酸ニッケル、酢酸ニッケル、リンゴ酸ニッケル、及びそれら水和物のうちから選択された1種以上を含んでもよい。前記水溶性ニッケル塩は、3ないし50g/l、例えば、3ないし35g/l、例えば、3ないし15g/lの濃度でメッキ液に含まれてもよい。前記水溶性ニッケル塩は、前記範囲内において、ニッケルメッキ被膜の析出速度及び流動性が向上し、ニッケルメッキ被膜に、ピット(pit)発生が少なくなりうる。
【0054】
前記還元剤は、当該技術分野で一般的に使用される還元剤を使用することができる。例えば、前記還元剤は、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウムなどの次亜リン酸塩;水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムなどの水素化ホウ素化合物;ジメチルアミンボラン(DMAB)、トリメチルアミンボラン、トリエチルアミンボランのようなアミンボラン化合物;などを含んでもよい。
【0055】
前記還元剤がメッキ液内に含まれる濃度は、使用する還元剤の種類によっても異なる。例えば、還元剤として、次亜リン酸ナトリウムを使用した場合、20ないし50g/lの濃度でもある。例えば、還元剤として、ホウ素化合物であるジメチルアミンホウ素(DMAB)を使用する場合、1ないし10g/lの濃度、例えば、3ないし5g/lの濃度でもある。前記濃度範囲内において、メッキ液の分解、または成膜に長期間を必要とする問題などを防止することができる。
【0056】
また、該メッキ液は、ニッケル化合物の沈澱を防止して、ニッケルの析出反応を調節するために、錯化剤をさらに含んでもよい。
【0057】
前記錯化剤は、サリチル酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、マロン酸、シュウ酸、アジピン酸のようなジカルボン酸;グリシン、グルタミン酸、アアスパラギン酸、アラニンのようなアミノカルボン酸;エチレンジアミン四酢酸、Verniol(N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン-N,N’,N’-三酢酸)、Quadrol(N,N,N’,N’-テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン)のようなエチレンジアミン誘導体;1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸のようなホスホン酸;及びそれら可溶性塩などでもある。
【0058】
前記錯化剤は、0.001ないし2mol/lの濃度、例えば、0.002ないし1mol/l濃度でメッキ液に含まれてもよい。前記錯化剤は、前記濃度範囲内において、メッキ液の分解、水酸化ニッケルの沈澱などを防止することができる。
【0059】
また、前記メッキ液は、下記化学式1で表示される硫黄含有ベンゾチアゾール系化合物をさらに含んでもよい。
【化1】
(ここで、Xは、ハロゲン原子、C-C10のアルコキシ、C-C10アルコキシアルキル、C-C10ヘテロアルキル基、C-C20アリール基、C-C20アリールアルキル基、C-C20ヘテロアリール基、またはC-C20ヘテロアリールアルキル基で置換もしくは非置換のC-C30アルキル基、またはそれらの塩である)
【0060】
「ハロゲン原子」は、フッ素、ブロム、塩素、ヨードなどを含む。
【0061】
「アルキル」は、完全飽和された分枝型または非分枝型(または、直鎖または線形)炭化水素を言う。「アルキル」の非制限的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、iso-アミル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチルまたはn-ヘプチルなどを挙げることができる。
【0062】
「アルコキシ」は、酸素原子に結合されたアルキルを意味する。
【0063】
「アリール」は、芳香族環が1以上の炭素環に融合された基も含む。「アリール」の非制限的な例としては、フェニル、ナフチルまたはテトラヒドロナフチルなどを挙げることができる。
【0064】
「ヘテロアリール」は、N、O、PまたはSのうちから選択された1以上のヘテロ原子を含み、残り環原子が炭素である単環(monocyclic)有機物または二環(bicyclic)有機化合物を意味する。前記ヘテロアリール基は、例えば、1~5個のヘテロ原子を含んでもよく、5~10員環(ring member)を含んでもよい。前記Sまたは前記Nは、酸化され、さまざまな酸化状態を有することができる。
【0065】
「ヘテロアリール」の非制限的な例としては、チエニル、プリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリルギ、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、イソチアゾール-3-イル、イソチアゾール-4-イル、イソチアゾール-5-イル、オキサゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、オキサゾール-5-イル、イソオキサゾール-3-イル、イソオキサゾール-4-イル、イソオキサゾール-5-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル、1,2,4-トリアゾール-5-イル、1,2,3-トリアゾール-4-イル、1,2,3-トリアゾール-5-イル、テトラゾリル、ピリド-2-イル、ピリド-3-イル、2-ピラジン-2-イル、ピラジン-4-イル、ピラジン-5-イル、2-ピリミジン-2-イル、4-ピリミジン-2-イルまたは5-ピリミジン-2-イルなどを挙げることができる。
【0066】
前記硫黄含有ベンゾチアゾール系化合物のメッキ液内における濃度は、0.1ないし1g/lでもある。前記硫黄含有ベンゾチアゾール系化合物は、前記濃度範囲内において、改善された被膜柔軟性を得ることができる。
【0067】
また、前記メッキ液は、安定剤をさらに含んでもよい。前記安定剤としては、酢酸鉛のようなPb化合物、酢酸ビスマスなとのBi化合物のような無機化合物;ブチンジオールのような有機化合物;などを含んでもよく、そのうち、単独または2以上を混合して使用することができる。
【0068】
前記無電解ニッケルメッキ液は、pHが4ないし8でもある。例えば、前記無電解ニッケルメッキ液は、pHが4ないし7.5でもある。前記無電解ニッケルメッキ液は、前記pH範囲内において、メッキ浴の分解を防止しながら、安定した析出速度を得ることができる。
【0069】
前記ニッケル含有メッキ層3,3’の厚みは、0.01ないし5μmでもあり、例えば、0.01ないし3μmでもあるか、あるいは0.03ないし2μmでもある。前記ニッケル含有メッキ層3,3’は、前記厚み範囲内において、蒸着が容易であり、接着力が向上しうる。
【0070】
<金属メッキ層4,4’>
前記金属メッキ層4,4’は、金、銀、コバルト、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、銅、またはそれらの組み合わせから選択された電解メッキ層でもある。例えば、前記金属メッキ層4,4’は、銅でもある。
【0071】
前記金属メッキ層4,4’は、例えば、次のようなメッキ液及び方法を利用し、電解メッキ法を介しても形成される。
【0072】
前記電解メッキは、当該技術分野で一般的に使用される方法を介して遂行することができる。
【0073】
メッキ液として、硫酸銅及び硫酸を基本物質ともする。前記メッキ液において、銅は、15ないし40g/lの濃度でもあり、例えば、15ないし38g/lの濃度でもあるか、あるいは17ないし36g/lの濃度でもある。前記メッキ液の温度は、22ないし37℃、例えば、25ないし35℃、例えば、27ないし34℃にも維持される。前記メッキ液が温度範囲を維持する場合、金属メッキ層4,4’の形成が容易でありながらも、生産性が向上しうる。前記メッキ液には、生産性及び表面均一性のために、添加剤、例えば、光沢剤、レベラ、補正剤または緩和剤などが添加されうる。
【0074】
電解銅メッキ層形成のために、電流密度は、0.1ないし20A/dmでもあり、例えば、0.1ないし17A/dmでもあるか、0.3ないし15A/dmでもあるか、0.5ないし10A/dmでもあるか、0.7ないし8A/dmでもあるか、あるいは1.0ないし5A/dmでもある。前記電流密度範囲内において、金属メッキ層4,4’形成が容易でありながらも、生産性が改善されうる。
【0075】
前記金属メッキ層4,4’の厚みは、0.1ないし20μmでもあり、例えば、0.2ないし18.0μmでもあるか、あるいは0.7ないし12μmでもある。前記金属メッキ層4,4’は、前記厚み範囲内において、金属薄膜層形成が容易でありながらも、生産性が改善して接着力が向上しうる。
【0076】
本明細書において、各層の厚みは、当該技術分野で一般的な方法で測定することができる。例えば、各層の厚みは、X線蛍光(XRF:X-ray fluorescence)分析法を利用して測定することができる。前記X線蛍光分析法は、一定エネルギーを有した一次X線を対象物質に照射し、その物質内側における励起によって放出された電子位置に、外郭電子が転移する間に放出される特定X線エネルギーの大きさを検出し、メッキ厚により、そのエネルギー強度が異なる原理を利用して分析する方法である。
【0077】
前記軟性銅箔積層フィルム10は、下記数式1で表示される接着力維持率が80%以上でもある:
(数式1)
接着力維持率(%:△F)=[(F/F)×100]
(Fは、(1)常温で測定した初期接着力であり、Fは、(2)1回以上150℃で2時間熱処理した後で測定した接着力である)
【0078】
例えば、前記熱処理した後で測定した接着力は、150℃で2時間少なくとも1回以上熱処理した後、240℃で10分間1回熱処理した後で測定することができる。例えば、前記熱処理した後で測定した接着力は、150℃で2時間熱処理した後、常温で30分間放置する過程を2回反復した後、240℃で10分間熱処理した後で測定することができる。
【0079】
<軟性銅箔積層フィルムの製造方法>
一具現例による軟性銅箔積層フィルムの製造方法は、非伝導性高分子基材を準備する段階と、前記非伝導性高分子基材の少なくとも一面に、高分子含有コーティング液を塗布して乾燥させ、高分子含有接着層を形成する段階と、前記高分子含有接着層の一面に、ニッケル含有無電解メッキ層を形成する段階と、前記ニッケル含有無電解メッキ層の一面に、金属電解メッキ層を形成し、前述の軟性銅箔積層フィルムを製造する段階と、を含んでもよい。
【0080】
前記非伝導性高分子基材を準備する段階は、非伝導性高分子基材から、水分及び残留ガスを除去するために乾燥段階をさらに含んでもよい。
【0081】
前記乾燥段階は、例えば、真空雰囲気において、赤外線(IR)ヒータを利用し、50ないし300℃、例えば、60ないし280℃でもあるか、あるいは70ないし270℃で遂行されうる。前記乾燥温度範囲内において、非伝導性高分子基材が損傷され、品質が低下することなく、水分を正しく除去することができるという効果がある。
【0082】
前記高分子含有接着層を形成する段階は、例えば、ロール・ツー・ロール方式を介し、高分子含有コーティング液が、前記非伝導性高分子基材の一面または両面に塗布されうる。前記高分子含有コーティング液において、樹脂の固形分含量は、0.01ないし10重量%でもある。前記高分子含有コーティング液において、樹脂が、前記範囲内の固形分含量を有するならば、他の添加剤との混合及び分散が容易でもある。
【0083】
前記高分子含有コーティング液には、リン系難燃剤または/及び硬化促進剤をさらに含んでもよい。前記リン系難燃剤または/及び硬化促進剤の種類及び含量については、前述の通りであるので、説明は、省略する。
【0084】
前記高分子含有コーティング液の溶媒としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、メチルエチルケトン、エタノール、アセトン、メタノール、トルエン、キシレン、イソブタノール、n-ブタノール、酢酸エチル及びテトラヒドロフランのうちから選択された1種以上を混合することができる。前記高分子含有コーティング液の粘度を考慮するとき、酢酸エチル、酢酸プロピル、メチルエチルケトン、エタノール及びアセトンのうちから選択された1種以上を加え、25℃において、粘度が約2,000ないし5,000cpsに製造することができる。
【0085】
前記高分子含有コーティング液において、樹脂対溶媒の重量比が、10:90ないし90:10、例えば、30:70ないし70:30、例えば、40:60ないし60:40になるように混合することができる。前記高分子含有コーティング液において、樹脂対溶媒の重量比が前記範囲内であるとき、接着力が向上しうる。
【0086】
前記高分子含有接着層は、50ないし150℃温度において、乾燥工程、例えば、熱風乾燥を経て安定して硬化されうる。
【0087】
前記ニッケル含有無電解メッキ層を形成する段階は、湿式無電解メッキ法で、ニッケル含有メッキ層を形成することができる。
【0088】
前記湿式無電解メッキ法の実施は、メッキ条件及びメッキ装置が限定されるものではなく、一般的な方法により、適切に選択して実施することができる。例えば、前述の組成の無電解ニッケル含有メッキ液を、被メッキ液に浸漬させたり接触させたりする方法で実施することができる。このとき、メッキ処理温度は、45ないし90℃でもあり、例えば、47ないし87℃でもあるか、あるいは50ないし85℃でもある。メッキ処理時間は、形成されるニッケルメッキ被膜の膜厚などにより、適切に設定することができるが、例えば、0.1ないし60分、例えば、0.5ないし10分でもある。前記メッキ処理温度及びメッキ処理時間の範囲内において、安定したニッケル含有メッキ層を形成することができる。
【0089】
前記金属電解メッキ層の形成は、電流密度が0.1ないし20A/dm、例えば、0.1ないし17A/dmでもあるか、あるいは0.3ないし15A/dmの条件で、電解メッキ法を介しても形成される。
【0090】
前記金属電解メッキ層の形成は、加熱処理する段階をさらに含んでもよい。前記加熱処理する段階は、100ないし150℃の温度範囲内において、一般的に実施される方法によっても遂行される。
【0091】
以下、実施例と比較例とを記載する。しかし、下記実施例は、本発明の一実施例であるのみ、本発明の範疇内及び技術思想範囲内において、多様な変更及び修正が可能であるということは、当業者において明白なことであり、そのような変更及び修正が添付された実施例が、特許請求範囲に属するということは、言うまでもない。
【実施例
【0092】
実施例1:軟性銅箔積層フィルム
非伝導性高分子基材として、厚みが25μmであるポリイミドフィルム(Kapton 100ENC、TDC社製)を使用した。前記ポリイミドフィルム基材の両面に、末端にアミン基を含むポリシロキサン樹脂(CovaBond P100、Atotech社製)と、メチルエチルケトン溶媒とを50:50の重量比で混合したコーティング液を、ロール・ツー・ロールコーティング装備に塗布し、約120℃で熱風乾燥させ、約20nm厚の、末端にアミン基を含むポリシロキサン樹脂高分子含有接着層をそれぞれ形成した。前記末端にアミン基を含むポリシロキサン樹脂高分子含有接着層上に、下記無電解ニッケルメッキ液を水平方向に進める無電解ニッケルメッキ法により、約2μm厚のニッケルメッキ層をそれぞれ形成した。前記ニッケルメッキ層上に、下記電解銅メッキ液を、電解メッキ法により、約10μm厚の銅メッキ層をそれぞれ形成し、図1から分かるような軟性銅箔積層フィルムを製造した:
(無電解ニッケルメッキ液)
・メッキ液:ニッケル塩水和物NiSO4・6HOのニッケルイオンの濃度が5g/Lになるように設定
・バス(bath)温度:約60℃
・ニッケル析出時間:約1分
・pH濃度:約7.3
(電解銅メッキ液)
・メッキ液:硫酸銅24g/L、硫酸188g/L、塩酸60ppm
・バス温度:32℃
・電流密度:3.2A/dm
・銅析出時間:約31分
【0093】
実施例2:軟性銅箔積層フィルム
前記ポリイミドフィルム基材の両面に、末端にアミン基を含むポリシロキサン樹脂(CovaBond P100、Atotech社製)と、メチルエチルケトン溶媒とを50:50の代わりに、40:60の重量比で混合したコーティング液を、ロール・ツー・ロールコーティング装備に塗布し、約120℃で熱風乾燥させ、約20nm厚の、末端にアミン基を含むポリシロキサン樹脂高分子含有接着層をそれぞれ形成したことを除いては、実施例1と同一方法で軟性銅箔積層フィルムを製造した。
【0094】
比較例1:軟性銅箔積層フィルム
非伝導性高分子基材として、厚みが25μmであるポリイミドフィルム(Kapton 100ENC、TDC社製)を使用した。前記ポリイミドフィルム基材の一面に、10-5Torr真空状態で、スパッタリングにより、Ni-Cr合金タイ層及びCuシード層を順次に形成した。このとき、前記Ni-Cr合金タイ層は、NiとCrとの重量比を80:20(純度:99.9%以上)にし、約250Å厚に形成し、Cuシード層は、純度99.995%銅を利用し、約800Å厚に形成した。
【0095】
前記銅シード層上に、硫酸銅メッキ液を利用した電解メッキ法で、約10μm厚の銅メッキ層を形成し、軟性銅箔積層フィルムを製造した。このとき、前記電解メッキ法は、硫酸銅26g/L、硫酸188g/L、塩酸60ppmのメッキ液を、30℃のバス温度、3.2A/dmの電流密度、及び約32.5分の銅析出時間の条件下で遂行した。
【0096】
比較例2:軟性銅箔積層フィルム
前記末端にアミン基を含むポリシロキサン樹脂高分子含有接着層の一面に、下記無電解ニッケルメッキ液を水平方向に進める無電解ニッケルメッキ法により、約2μm厚のニッケルメッキ層をそれぞれ形成したことを除いては、実施例1と同一方法で、軟性銅箔積層フィルムを製造した。
(無電解ニッケルメッキ液)
・メッキ液:ニッケル塩水和物NiSO・6HOのニッケルイオンの濃度が2.5g/Lになるように設定
・バス温度:約60℃
・ニッケル析出時間:約1分
・pH濃度:約7.3
【0097】
評価例1:物性評価
実施例1,2及び比較例1,2によって製造された軟性銅箔積層フィルム上に、銅を12.0μm厚に追加メッキした後、下記の測定方法(1),(2)により、第1面(図1において、図面番号5)または/及び第2面(図1において、図面番号6)に対して測定した結果、及び前記(1),(2)を基に、(3)の数式2によって計算した結果を下記[表1]、図2及び図3に示した。
【0098】
(1)初期接着力(N/mm:F):JIS C 6471に基づき、3mmパターン形成後、23℃±2℃で72時間放置し、、Texture Analyzer(TAXplus/50、SMS社製)を使用し、50mm/分の速度でT-peel testで剥離力を測定して求めた。
【0099】
(2)熱処理した後、接着力(N/mm:F):JIS C 6471に基づき、150℃で2時間熱処理し、常温で30分放置した後、さらに150℃で2時間熱処理し、常温で30分間放置した。最後に、240℃で10分間熱処理した後、Texture Analyzer(TAXplus/50、SMS社)を使用し、試験速度50mm/min、荷重5Nの条件下で、T-peel testで剥離力を測定して求めた。
【0100】
(3)接着力維持率(%:△F):前述の(1),(2)を基に、下記数式1によって接着力維持率を計算した。
(数式1)
接着力維持率(%:△F)=[(F/F)×100]
(Fは、(1)常温で測定した初期接着力であり、Fは、(2)1回以上150℃で2時間熱処理した後で測定した接着力である)
【0101】
【表1】
【0102】
表1を参照すれば、実施例1,2によって製造された軟性銅箔積層フィルムの第1面を、比較例1,2によって製造された軟性銅箔積層フィルムの第1面と比較するとき、初期接着力(F)と、熱処理後の接着力(F)との差が小さく、熱処理後に接着力が向上し、さらには、接着力維持率が95%以上であることを確認することができる。
【0103】
比較例1によって製造された軟性銅箔積層フィルムの第1面は、初期接着力(F)と、熱処理後の接着力(F)との差が非常に大きく、熱処理後の接着力(F)が大きく低下することを確認することができる。比較例2によって製造された軟性銅箔積層フィルムの第1面は、接着力維持率が80%未満であることを確認することができる。それは、ニッケルメッキ層の活性度不足に起因したものと見られる。
【0104】
図2を参照すれば、実施例1によって製造された軟性銅箔積層フィルムの第2面(図1において、図面番号6)は、初期接着力(F)が0.67N/mmであり熱処理後の接着力(F)が0.68N/mmであることを確認することができる。図3を参照すれば、比較例1によって製造された軟性銅箔積層フィルムの第2面は、初期接着力(F)が0.64N/mmであり、熱処理後の接着力(F)が0.42N/mmであることを確認することができる。それにより、実施例1によって製造された軟性銅箔積層フィルムの第2面も、比較例1によって製造された軟性銅箔積層フィルムの第2面と比較するとき、接着力維持率が約36%向上されたことを確認することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 ・・・非伝導性高分子基材
2 ・・・高分子含有接着層
2’・・・高分子含有接着層
3 ・・・ニッケル含有メッキ層
3’・・・ニッケル含有メッキ層
4 ・・・金属メッキ層
4’・・・金属メッキ層
5 ・・・第1面
6 ・・・第2面
10・・・軟性銅箔積層フィルム
図1
図2
図3