(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】超伝導体配線製造のためのプレクリーンおよび誘電体堆積方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20221108BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20221108BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20221108BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20221108BHJP
H01L 39/24 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
H01L21/302 102
H01L21/90 A
H01L21/88 M
H01L21/90 K
H01L39/24 F
(21)【出願番号】P 2021522992
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(86)【国際出願番号】 US2019054551
(87)【国際公開番号】W WO2020091943
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-04-26
(32)【優先日】2018-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー、ブライアン ポール
(72)【発明者】
【氏名】カービー、クリストファー エフ.
(72)【発明者】
【氏名】レニー、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ケリハー、ジェームズ ティ.
(72)【発明者】
【氏名】リム、キハウス
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/097925(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/075117(WO,A2)
【文献】特開平02-000322(JP,A)
【文献】特開平06-097111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/768
H01L 21/3205
H01L 39/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超伝導体デバイス配線構造を形成する方法であって、
基板を覆う第1の誘電体層を形成すること、
前記第1の誘電体層に超伝導配線要素を形成することであって、第1の配線層を形成するために前記第1の誘電体層の上面と揃えられた上面を有する前記超伝導配線要素を形成すること、
前記超伝導体デバイス配線構造を誘電体堆積チャンバに移動させること、
前記誘電体堆積チャンバ内の前記第1の配線層の上面に対して
三フッ化窒素(NF
3
)ベースのプラズマクリーンエッチングプロセスを実施して、前記第1の配線層の上面から酸化を除去すること、
前記誘電体堆積チャンバ内において前記第1の配線層の上に第2の誘電体層を堆積すること
を含む方法。
【請求項2】
前記NF
3ベースのプラズマクリーンエッチングプロセスを実施することは、NF
3プラズマ、アルゴン(Ar)ガス、および窒素(N
2)ガスを前記誘電体堆積チャンバに供給することを含み、前記方法は、前記第1の配線層の上に前記第2の誘電体層を堆積する前に、前記N
2ガスの流れを維持しながら、前記NF
3プラズマおよび前記アルゴン(Ar)ガスを前記誘電体堆積チャンバから排出することをさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記超伝導配線要素は、ニオブから形成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記誘電体層は、窒化ケイ素、アモルファスシリコン、およびアモルファス炭化ケイ素(SiC)のうちの1つから形成されている、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の配線層を形成するために前記第1の誘電体層の前記上面と揃えられた上面を有する前記超伝導配線要素を形成することは、前記第1の誘電体層に開口を形成すること、形成された開口を充填するためにコンタクト材料充填を実施すること、化学機械的研磨(CMP)を実施して、前記超伝導配線要素の上面を、前記第1の誘電体層の上面に揃えることを含み、前記
NF
3
ベースのプラズマクリーンエッチングプロセスは、前記CMPによって生じた前記超伝導配線要素の上面の酸化を除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記超伝導配線要素は、第1の導電配線であり、前記方法は、前記第2の誘電体層に第2の導電配線および第1のコンタクトを形成すること、前記第2の誘電体層に第3の導電配線および第2のコンタクトを形成することをさらに含み、前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクトは、前記第1の導電配線の異なる部分に結合されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記
NF
3
ベースのプラズマクリーンエッチングプロセスは、
前記誘電体堆積チャンバの圧力を約1.5T(トール)に設定し、同時に三フッ化窒素(NF
3)ガスを約25標準立方センチメートル/分(sccm)から約45sccmの流量で、およびアルゴンを約1050sccmから約1250sccmの流量で導入すること、
前記誘電体堆積チャンバの温度を約400℃に設定すること、
前記誘電体堆積チャンバのRF電力を約700ワット(W)にすること、
前記第1の配線層の面を、毎分約300から約850オングストロームのエッチング速度で約10秒間エッチングすること、
前記第1の配線層上に第2の誘電体層を堆積する前に、前記誘電体堆積チャンバからNF
3ガスおよびArガスを排出すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
超伝導体デバイス配線構造を形成する方法であって、
誘電体堆積チャンバ内に超伝導配線層を配置することを含み、前記超伝導配線層は、第1の誘電体層の上面と揃えられた上面を有する超伝導コンタクトまたは導電配線を有し、前記超伝導コンタクトまたは前記導電配線の上面は、酸化層を有し、前記第1の誘電体層の前記上面は、酸化層を有しており、前記方法は、
三フッ化窒素(NF
3)ガスを前記誘電体堆積チャンバに導入すること、
所定の期間、前記NF
3ガスでプラズマクリーンエッチングを誘起するようにエッチング条件を設定して、前記超伝導コンタクトまたは前記導電配線から前記酸化層を除去し、前記第1の誘電体層から前記酸化層を除去すること、
前記誘電体堆積チャンバからNF
3ガスを排出すること、
前記超伝導配線層上に第2の誘電体層を堆積すること
を含む、方法。
【請求項9】
前記超伝導コンタクトまたは前記導電配線を形成するために使用される超伝導材料は、ニオブ(Nb)であり、前記酸化層は、酸化ニオブであり、前記プラズマクリーンエッチングは、前記ニオブの表面から酸化層を除去して、清浄なニオブ上面を形成し、前記第1の誘電体層から酸化層を除去する、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記エッチング条件を設定することは、
前記誘電体堆積チャンバの圧力を約1.5T(トール)に設定し、同時に前記NF
3ガスを約25標準立方センチメートル/分(sccm)から約45sccmの流量で導入するとともに、アルゴン(Ar)を約1050sccmから約1250sccmの流量で導入すること、
前記誘電体堆積チャンバの温度を約400℃に設定すること、
前記誘電体堆積チャンバのRF電力を約700ワット(W)にすること、
前記超伝導配線層の面を、毎分約300から約850オングストロームのエッチング速度で約10秒間エッチングすること
を含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
約0sccmから約200sccmの窒素(N
2)ガスを前記NF
3ガスおよびArガスとともに導入することをさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記超伝導配線層は、前記第1の誘電体層に開口を形成すること、形成された開口を充填するために超伝導材料充填を実施すること、化学機械研磨(CMP)を実施して、前記超伝導材料充填の上面を、前記第1の誘電体層の上面に揃えることによって形成され、クリーニングプロセスは、前記CMPによって生じた超伝導配線要素の上面の酸化を除去する、請求項
8に記載の方法。
【請求項13】
超伝導配線要素は、第1の導電配線であり、前記方法は、前記第2の誘電体層に第2の導電配線および第1のコンタクトを形成すること、前記第2の誘電体層に第3の導電配線および第2のコンタクトを形成することをさらに含み、前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクトは、前記第1の導電配線の異なる部分に結合されている、請求項
8に記載の方法。
【請求項14】
アルゴン(Ar)ガスおよび窒素(N
2)ガスを前記誘電体堆積チャンバに導入することをさらに含み、前記エッチング条件を設定することは、所定の時間、前記NF
3ガスおよび前記Arガスを用いてプラズマクリーンエッチングを誘起するようにエッチング条件を設定して、前記超伝導コンタクトまたは前記導電配線から前記酸化層を除去し、前記第1の誘電体層から前記酸化層を除去することを含み、前記誘電体堆積チャンバから前記NF
3ガスを排出することは、第1の配線層の上に前記第2の誘電体層を堆積する前に、前記N
2ガスの流れを維持しながら、前記誘電体堆積チャンバから前記NF
3ガスおよび前記Arガスを排出することを含む、請求項
8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、超伝導体、より詳細には、超伝導体配線製造のためのプレクリーンおよび誘電体堆積方法に関する。
(政府の利益)
本発明は、米国契約番号第30080984号の下でなされた。したがって、米国政府は、その契約で指定されている発明に対する権利を有する。
【背景技術】
【0002】
超伝導回路は、通信信号のインテグリティまたは計算能力が必要とされる国家安全保障アプリケーションに大幅な強化を提供することが期待される、量子コンピューティングおよび暗号化アプリケーションのために提案された主要なテクノロジーの1つである。それらは100ケルビン未満の温度で動作させられる。超伝導デバイスの製造に関する取り組みは、ほとんどが大学または政府の研究機関に限定されており、超伝導デバイスの大量生産についてはほとんど発表されていない。したがって、これらの研究機関で超伝導デバイスを製造するために使用される方法の多くは、迅速で一貫した製造が不可能なプロセスまたは装置を利用する。近年、従来の半導体プロセスで利用されているものと類似の技術を利用して、超伝導回路を大量生産する動きがある。
【0003】
よく知られている半導体プロセスの1つは、集積回路の異なる層にわたってデバイスを相互に結合するために多層配線スタックにコンタクトおよび導電配線を形成することである。導電性コンタクトおよび配線を形成するためのそのような製造プロセスの1つは、デュアルダマシンプロセスとして知られている。この技術は、近年、超伝導回路の形成において試みられた。デュアルダマシン超伝導回路の製造中に、ビア/トレンチ構造がパターニングされ、エッチングされ、金属(例えば、ニオブ、タンタル、アルミニウム)が充填され、化学機械研磨(CMP)プロセスを使用して研磨される。次いで、次の層の誘電体が堆積され、シーケンスが再び開始され、多層配線スタックが構築される。次の誘電体層を堆積する前のCMPプロセスおよび酸素への曝露は、導電性コンタクトおよび配線の酸化をもたらし、性能を劣化させる可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
一例では、超伝導体デバイス配線構造を形成する方法が提供される。方法は、基板を覆う第1の誘電体層を形成すること、第1の誘電体層に超伝導配線要素を形成することを含む。超伝導配線要素は、第1の配線層を形成するために、第1の誘電体層の上面と揃えられた上面を含む。超伝導体デバイス配線構造は、誘電体堆積チャンバに移動させられる。方法は、誘電体堆積チャンバ内の第1の配線層の上面に対してクリーニングプロセスを実施して、第1の配線層の上面から酸化を除去すること、誘電体堆積チャンバ内で第1の配線層上に第2の誘電体層を堆積することをさらに含む。
【0005】
別の例では、超伝導体デバイス配線構造を形成する方法が提供される。方法は、誘電体堆積チャンバ内に超伝導配線層を配置することを含む。超伝導配線層は、第1の誘電体層の上面と揃えられた上面を有する超伝導コンタクトまたは導電配線を含み、超伝導コンタクトまたは導電配線の上面は、酸化層を有し、第1の誘電体層の上面は、酸化層を有している。三フッ化窒素(NF3)ガスが、誘電体堆積チャンバに導入され、所定の期間、NF3ガスでプラズマクリーンエッチングを誘起するようにエッチング条件を設定して、超伝導コンタクトまたは導電配線から酸化層を除去し、第1の誘電体層から酸化層を除去する。NF3ガスが、誘電体堆積チャンバから排出され、第2の誘電体層が、超伝導配線層上に堆積される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】製造の初期段階における超伝導体構造の一例の概略断面図である。
【
図3】フォトレジスト材料層が堆積およびパターニングされた後、エッチングチャンバ内でエッチングプロセスを受けている間の
図2の構造の概略断面図である。
【
図4】エッチングプロセス後およびフォトレジスト材料層が剥離された後の
図3の構造の概略断面図である。
【
図5】材料堆積チャンバにおけるコンタクト材料充填の後の
図4の構造の概略断面図である。
【
図6】化学機械研磨を受けている
図5の構造の概略断面図である。
【
図7】プレクリーンプロセスを受けている誘電体堆積チャンバ内に配置された
図6の構造の概略断面図である。
【
図8】排気プロセスを受けている誘電体堆積チャンバ内に配置された
図7の構造の概略断面図である。
【
図9】誘電体堆積プロセスを受けている誘電体堆積チャンバ内に配置された
図8の構造の概略断面図である。
【
図10】酸化物深さ対酸素濃度(atoms/CC)の二次イオン質量分析計(SIMS)データグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、超伝導体配線構造およびそれを形成するための方法に関する。方法は、次の層の誘電体に金属配線要素を封止する前に、超伝導金属配線要素(例えば、導電配線、コンタクト)および層間誘電体(ILD)表面から酸化物層を除去するためのプレクリーンプロセスを組み込んでいる。酸化物は、化学的機械的プロセス(CMP)の結果として、および/または真空環境外の酸素への超伝導体配線構造の曝露の結果として生じる可能性がある。一例では、方法は、プラズマプレクリーンプロセスを、高密度多層配線サブミクロン技術にスケーリングするためのデュアルダマシンプロセスに統合する。方法は、デュアルダマシンプロセスにおける次の層の誘電体堆積の前に、三フッ化窒素(NF3)ガスベースのその場(in-situ)プラズマプレクリーンエッチングプロセスを使用して、金属配線要素および下層のILD表面の滑らかで清浄な表面を確保できる。
【0008】
典型的なダマシン超伝導製造アーキテクチャでは、金属配線酸化物(通常は酸化ニオブ)およびILD表面酸化物のエッチングによる酸化物除去は、同じメインフレーム上の堆積チャンバとは別のエッチングチャンバを利用することにより、搬送は真空で行われるか、または異なるメインフレーム上の酸化物エッチングチャンバを利用することにより、ウェハはメインフレーム間で搬送される。いずれの場合も、真空に近い状態で搬送が行われても、搬送中に酸化物が表面に形成される。
【0009】
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、単一の誘電体堆積チャンバ内でシリコン(Si)、誘電体、または超伝導体構造の金属表面から汚染物質をエッチングすることによってプレクリーンし、その上に誘電体層を堆積するものである。このプロセスは、超伝導配線の誘電体堆積の前に表面酸化物を除去することに関して特に重要である。これらの表面酸化物の除去は、超伝導エレクトロニクス製造プロセスにおける以下の改善、すなわち、後続の処理中に超伝導メタライゼーション(例えば、ニオブ)に拡散し、配線臨界電流(Ic)性能を低下させる可能性のある酸素源を界面から除去すること、これらの構造の歩留まり、均一性、および再現性を低下させるジョセフソン接合メタライゼーションの堆積中の意図しない酸化物層を除去すること、および超伝導回路要素の実効損失正接を低減する誘電体材料と超伝導トレースとの間の高損失界面酸化物を除去することをサポートする。
【0010】
一例では、単一のPECVDチャンバ内で独立したプレクリーンプロセスおよび誘電体堆積プロセスの両方をサポートするように構成されたプラズマ強化化学気相成長(PECVD)プラットフォームを含むシステムが提供される。プロセスオブレコード(POR)は、1)プレクリーンチャンバ、および2)堆積チャンバの2つのチャンバを使用する。この開示は、プレクリーンプロセスおよび堆積プロセスの両方を単一のチャンバに組み合わせ、外部エッチングチャンバから堆積チャンバへの搬送中にさらなる酸化が発生するのを防ぐ。本開示のシステムおよび方法の意図は、単一のチャンバ内で表面酸化物/汚染物質をエッチングする能力および誘電体堆積を確立することによって、意図しない酸化を排除することである。この技術は、例えばクラスタツールで使用される搬送/バッファチャンバにおいて、誘電体堆積の前に清浄なウェハ表面を酸化環境にさらすことを排除する。
【0011】
図1は、例えば、ウェハの一部上に形成された超伝導配線構造10の断面図を示している。超伝導配線構造10は、基板12を覆う活性層14を含む。基板12は、シリコン、ガラスまたは他の基板材料で形成することができる。活性層14は、接地層またはデバイス層であってよい。第1の誘電体層16は、活性層14を覆い、第2の誘電体層18は、第1の誘電体層16を覆っている。第1の誘電体層16および第2の誘電体層18の両方は、非酸化物ベースの誘電体材料から形成することができる。第1の導電配線20は、第1の誘電体層16に埋め込まれている。第1の導電性コンタクト22は、第1の端部で第1の導電配線20から第2の誘電体層18の第2の導電配線24まで延在し、第2の導電性コンタクト26は、第2の端部で第1の導電配線20から第2の誘電体層18の第3の導電配線28まで延在している。第3の誘電体層は、第2の導電配線24、第3の導電配線28、および第2の誘電体層18を覆っている。各誘電体層は、窒化ケイ素、アモルファスシリコン、またはアモルファスSiCなどの非酸化物ベースの誘電体で形成することができる。
【0012】
コンタクトおよび導電配線の各々は、ニオブなどの超伝導材料で形成されている。本明細書に記載のクリーニングプロセスは、第3の誘電体層の堆積の前に実施され、クリーニングプロセスおよび誘電体堆積プロセスの両方が、単一の誘電体堆積チャンバ内で実施される。クリーニングプロセスは、第2の誘電体層18の堆積の前に実施することもでき、クリーニングプロセスおよび第2の誘電体層の堆積の両方が、同じ単一の誘電体堆積チャンバ内で実施される。
【0013】
次に、
図2~
図9を参照して、
図1の超伝導デバイスにおける配線の形成に関連した製造について説明する。本実施例は、絶縁誘電体における超伝導金属のシングルまたはデュアルダマシン層の形成から始まるプロセスフローに関して説明されていることを理解されたい。本実施例は、誘電体薄膜にシングルダマシントレンチをエッチングして下部導電配線を形成し、それに続くデュアルダマシンプロセスによって上部導電配線を形成することに関して説明される。
【0014】
図2は、製造の初期段階における超伝導体構造40の断面図を示している。超伝導体構造40は、1つまたは複数の誘電体層にビアおよびトレンチを形成するためのエッチングチャンバ内に存在する。超伝導体構造40は、下にある基板50を覆う、接地層またはデバイス層などの活性層52を含む。下にある基板50は、例えば、活性層52および続いて上を覆う層に機械的支持を提供するシリコンまたはガラスウェハであってよい。第1の誘電体層54は、活性層52の上に形成される。第1の誘電体層54を、配線層を提供するのに適した厚さに形成するための任意の適切な技術、例えば、低圧化学気相成長(LPCVD)、プラズマ強化化学気相成長(PECVD)、高密度プラズマ化学気相成長(HDPCVD)、スパッタリングまたはスピンオン技術を使用することができる。代替的に、活性層52が省略されている例では、第1の誘電体層54は、基板50上に直接形成することができる。導電配線56は、第1の誘電体層54内に存在し、第1の誘電体層54の上面と同一平面上にある上面を有している。導電配線56は、シングルダマシンプロセスで形成することができ、次の誘電体層の堆積の前にクリーニングプロセスを経る。
【0015】
クリーニングプロセスは、次の誘電体層58が堆積される前に堆積チャンバ内でその場(in situ)プラズマNF
3クリーニングを行い、導電配線56の表面から任意の酸化物を除去する。このプロセスは、
図6~
図9を参照してさらに詳細に説明される。第2の誘電体層58は、第1の誘電体層54を覆い、第2の誘電体層58の上面から第1の誘電体層54に存在する導電配線56の上面まで延びる一対のビア60を含む。第1の誘電体層54および第2の誘電体層56で使用される誘電体材料は、非酸化物ベースの誘電体材料から形成することができる。一対のビア60は、デュアルダマシンプロセスの第1の部分で形成されたものである。
図3は、デュアルダマシンプロセスの第2の部分を示している。
図3に示されるように、フォトレジスト材料層62は、構造を覆うために塗布され、トレンチパターンに従ってフォトレジスト材料層62にトレンチ開口64を露出させるようにパターニングされて、現像されている。フォトレジスト材料層62は、フォトレジスト材料層62をパターニングするために使用される放射の波長に対応して変化する厚さを有することができる。フォトレジスト材料層62は、スピンコーティングまたはスピンキャスティング堆積技術を介して第2の誘電体層58上に形成され、選択的に照射され(例えば、深紫外線(DUV)照射を介して)、現像されてトレンチ開口64を形成することができる。
【0016】
図3は、フォトレジスト材料層62のトレンチパターンに基づいて、第2の誘電体層58に拡張されたトレンチ開口68(
図4)を形成するために、第2の誘電体層58に対してエッチング200(例えば、異方性反応性イオンエッチング(RIE))を実施することも示している。エッチング200は、ドライエッチングであってよく、下にある導電配線56および上にあるフォトレジスト材料層62よりも速い速度で下にある第2の誘電体層58を選択的にエッチングするエッチャントを使用することができる。例えば、第2の誘電体層58は、平行平板RIE装置などの市販のエッチャー、または代替的に電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマリアクターで、プラズマガス、本明細書ではフッ素イオンを含む四フッ化炭素(CF
4)を用いて異方的にエッチングされて、フォトレジスト材料層62のパターニングされたマスクパターンを複製し、それによって拡張されたトレンチ開口64を作製することができる。その後、フォトレジスト材料層62は、
図4に示される構造をもたらすように剥離される(例えば、O2プラズマ中でのアッシング)。
【0017】
次に、
図5に示すように、構造は材料堆積チャンバ110内に配置され、コンタクト材料充填が行われ、ニオブなどの超伝導材料70をビア開口66およびトレンチ開口68に堆積させて、
図5に示す結果として得られる構造を形成する。コンタクト材料充填物は、標準的なコンタクト材料堆積を使用して堆積することができる。コンタクト材料充填物の堆積に続いて、超伝導材料70は、研磨チャンバ120内に配置され、化学機械研磨(CMP)によって誘電体層58の表面レベルまで研磨されて、金属配線の一部を形成する導電配線74およびコンタクト72を形成し、
図6の結果として得られる構造を提供する。
【0018】
しかしながら、CMPプロセス中に、酸化物表面76が、金属の表面上で約70Åの厚さまで成長し、CMPプロセスが完了した後も残る可能性がある。この酸化物は、例えば、CMPプロセスにおける水酸化アンモニウムおよび過酸化水素の存在により成長する。金属としてニオブを使用した場合、酸化ニオブが生成される。この酸化ニオブの存在は、超伝導回路の性能を低下させる(金属配線の損失)ことになるため、次の誘電体層を堆積する前に除去する必要がある。酸化ケイ素は、堆積された誘電体表面上に(例えば、窒化ケイ素上に)形成される。この酸化ニオブおよび酸化シリコンの存在は、通常アモルファス酸化物に関連するさまざまなRF損失メカニズムを通じて超伝導回路の性能を低下させるため、次の誘電体層を堆積する前に除去する必要がある。
【0019】
次に、
図7~
図9に示されるように、得られた構造は、誘電体堆積チャンバ130内に配置されて、プレクリーンプロセス、続いて真空プロセスおよび誘電体堆積プロセスを受ける。得られた構造は、CMPチャンバから誘電体堆積チャンバに除去されるときに酸素に曝露されるため、超伝導材料上に表面酸化層、またはCMPプロセスから形成された酸化物層に加えて酸化層を有する可能性がある。プレクリーンプロセスの目的は、次の層の誘電体層に封止する(encapsulation)前に、金属配線表面および誘電体層の上面からこれらの酸化物層を除去することである。
【0020】
図7に示されるように、誘電体堆積チャンバ130は、アルゴン(Ar)ガスをアルゴン流量制御デバイス340に基づく流量で誘電体堆積チャンバ130に供給するアルゴン源330、および三フッ化窒素(NF
3)ガスをNF
3流量制御デバイス360に基づく流量で誘電体堆積チャンバ130に供給するNF
3ガス源350を含む。誘電体堆積チャンバ130は、チャンバ130内の圧力を設定する圧力コントローラ300、誘電体堆積チャンバ130のパワーを設定するRFパワーコントローラ310、および誘電体堆積チャンバ130内の温度を設定する温度コントローラ320も含む。一例では、誘電体堆積チャンバ130は、Centuraメインフレームに取り付けられたアプライドマテリアルズDxZプラズマ強化化学気相成長(PECVD)チャンバである。しかしながら、このプロセスは、NF
3ガスおよびプラズマ機能で適切に構成された複数の異なるPECVDチャンバで使用することができる。
【0021】
この例では、NF3プラズマは平行平板であり、リモートプラズマではない。プラズマは、トッププレート131から、ウェハを保持するチャックであってよいボトムプレート133に向けられる。通常、リモートプラズマNF3エッチング/クリーンは、チャンバ壁クリーンとして使用され、堆積チャンバ内にウェハが存在するプロセスエッチングガスとしては使用されない。しかしながら、プレクリーンプロセスにもリモートNF3プラズマを使用することは可能である。
【0022】
一例では、ウェハは、搬送チャンバを通って誘電体堆積チャンバ130に移動する。ウェハが誘電体堆積チャンバ130内に入ると、ガスの流れおよび圧力が安定化され、次にプラズマが点火されて、ILDおよび超伝導配線金属の表面に形成された酸化物76をエッチングするプレクリーンプロセス220を実施する。典型的なプロセス条件は、NF3およびアルゴン(Ar)ガスの混合物を利用する。加えて、N2をガス混合物に加えることができる。一例では、NF3酸化物プレクリーンエッチングプロセス条件は以下の通りである。NF3流量は約25sccm~約45sccm、Ar流量は約1050sccm~約1250sccm、N2流量(該当する場合)は約0~約200sccm、パワーは約700W、プロセス圧力は約1.5Torr、処理時間は10秒を上回るように設定される。代表的なエッチング速度は、約400℃に設定された典型的なプロセス温度では約300Å/分~約850Å/分である。
【0023】
NF
3プレクリーンプロセスが完了すると、次に、プロセスガスは、
図8に示されるように、ポンプ390によって矢印78に沿った方向に送られ、ガスを排出して、誘電体堆積プロセスのためにチャンバ130を準備する。一例では、すべてのプロセスガスは、誘電体堆積プロセスの前に排出される(evacuated)。別の例では、NF
3ガスおよびArガスのみが排出され、N
2ガスは排気プロセス中に流れ続ける。注目すべき詳細は、プレクリーンプロセスでエッチングされたウェハが、真空プロセスおよびそれに続く誘電体堆積プロセスを通じて、堆積チャンバ内に残っていることである。通常、真空プロセスは、完了するまでに約5秒かかり得る。
【0024】
次に、
図9に示されるように、プレクリーンプロセスでエッチングされたウェハ表面酸化物76は、誘電体堆積プロセス230を受けることによって、PECVDで堆積された誘電体層80に封止される。このPECVD誘電体層80は、窒化ケイ素、アモルファスシリコン、アモルファスSiC、またはダマシンアーキテクチャに基づく超伝導デバイスに関連する任意の他の非酸化物ベースのPECVD堆積誘電体であってよい。
【0025】
以前の技術では、プレクリーンプロセスと誘電体堆積プロセスとの間のウェハの搬送チャンバ内のミリトールレベルの真空は、配線金属(すなわち、Nb)およびILD(すなわち、窒化ケイ素)の両方で表面酸化物を再成長させるのに十分である。通常、この酸化物は、ほぼ単分子層の厚さであり、酸素の検出限界が0.1%未満である二次イオン質量分析(SIMS)のような技術でのみ検出できる。X線光電子分光法およびエネルギー分散型X線分光法のような技術は、この真空中(in vacuo)搬送ステップの間、誘電体および金属表面に形成される酸素を検出するのに十分な感度を有していない。
【0026】
図10は、酸化物の深さ対酸素濃度(atoms/CC)の二次イオン質量分析計(SIMS)データグラフを示している。SIMSデータグラフは、NF
3プレクリーンが、2つのチャンバを利用する現在の最先端のプロセスオブレコード(POR)と同等のレベルまで誘電体表面酸化物を効果的に除去し、酸化物エッチングを行わない場合と比較して効果的であることを示している。
【0027】
上記で説明したのは、本発明の例である。もちろん、本発明を説明する目的で構成要素または方法の考えられるすべての組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者は、本発明の多くのさらなる組み合わせおよび置換が可能であることを認識するであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲を含む、本出願の範囲内に含まれるそのようなすべての変更、修正、および変形を包含することが意図されている。
以下に、本開示に含まれる技術思想を付記として記載する。
[付記1]
超伝導体デバイス配線構造を形成する方法であって、
基板を覆う第1の誘電体層を形成すること、
前記第1の誘電体層に超伝導配線要素を形成することであって、第1の配線層を形成するために前記第1の誘電体層の上面と揃えられた上面を有する前記超伝導配線要素を形成すること、
前記超伝導体デバイス配線構造を誘電体堆積チャンバに移動させること、
前記誘電体堆積チャンバ内の前記第1の配線層の上面に対してクリーニングプロセスを実施して、前記第1の配線層の上面から酸化を除去すること、
前記誘電体堆積チャンバ内において前記第1の配線層の上に第2の誘電体層を堆積すること
を含む方法。
[付記2]
前記クリーニングプロセスは、三フッ化窒素(NF
3
)ベースのプラズマクリーンエッチングプロセスである、付記1に記載の方法。
[付記3]
前記超伝導配線要素は、ニオブから形成されている、付記1に記載の方法。
[付記4]
前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層は、非酸化物ベースの誘電体材料から形成されている、付記1に記載の方法。
[付記5]
前記非酸化物ベースの誘電体材料は、窒化ケイ素、アモルファスシリコン、およびアモルファス炭化ケイ素(SiC)のうちの1つである、付記4に記載の方法。
[付記6]
前記第1の配線層を形成するために前記第1の誘電体層の前記上面と揃えられた上面を有する前記超伝導配線要素を形成することは、前記第1の誘電体層に開口を形成すること、形成された開口を充填するためにコンタクト材料充填を実施すること、化学機械的研磨(CMP)を実施して、前記超伝導配線要素の上面を、前記第1の誘電体層の上面に揃えることを含み、前記クリーニングプロセスは、前記CMPによって生じた前記超伝導配線要素の上面の酸化を除去する、付記1に記載の方法。
[付記7]
前記超伝導配線要素は、第1の導電配線であり、前記方法は、前記第2の誘電体層に第2の導電配線および第1のコンタクトを形成すること、前記第2の誘電体層に第3の導電配線および第2のコンタクトを形成することをさらに含み、前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクトは、前記第1の導電配線の異なる部分に結合されている、付記1に記載の方法。
[付記8]
前記クリーニングプロセスは、
前記誘電体堆積チャンバの圧力を約1.5T(トール)に設定し、同時に三フッ化窒素(NF
3
)ガスを約25標準立方センチメートル/分(sccm)から約45sccmの流量で、およびアルゴンを約1050sccmから約1250sccmの流量で導入すること、
前記誘電体堆積チャンバの温度を約400℃に設定すること、
前記誘電体堆積チャンバのRF電力を約700ワット(W)にすること、
前記第1の配線層の面を、毎分約300から約850オングストロームのエッチング速度で約10秒間エッチングすること、
前記第1の配線層上に第2の誘電体層を堆積する前に、前記誘電体堆積チャンバからNF
3
ガスおよびArガスを排出すること
を含む、付記1に記載の方法。
[付記9]
約0sccmから約200sccmの窒素(N
2
)ガスを前記NF
3
ガスおよび前記Arガスとともに導入することをさらに含む、付記8に記載の方法。
[付記10]
前記誘電体堆積チャンバは、平行平板プラズマ強化化学気相成長(PECVD)チャンバである、付記8に記載の方法。
[付記11]
超伝導体デバイス配線構造を形成する方法であって、
誘電体堆積チャンバ内に超伝導配線層を配置することを含み、前記超伝導配線層は、第1の誘電体層の上面と揃えられた上面を有する超伝導コンタクトまたは導電配線を有し、前記超伝導コンタクトまたは前記導電配線の上面は、酸化層を有し、前記第1の誘電体層の前記上面は、酸化層を有しており、前記方法は、
三フッ化窒素(NF
3
)ガスを前記誘電体堆積チャンバに導入すること、
所定の期間、前記NF
3
ガスでプラズマクリーンエッチングを誘起するようにエッチング条件を設定して、前記超伝導コンタクトまたは前記導電配線から前記酸化層を除去し、前記第1の誘電体層から前記酸化層を除去すること、
前記誘電体堆積チャンバからNF
3
ガスを排出すること、
前記超伝導配線層上に第2の誘電体層を堆積すること
を含む、方法。
[付記12]
前記超伝導コンタクトまたは前記導電配線を形成するために使用される超伝導材料は、ニオブ(Nb)であり、前記酸化層は、酸化ニオブであり、前記プラズマクリーンエッチングは、前記ニオブの表面から酸化層を除去して、清浄なニオブ上面を形成し、前記第1の誘電体層から酸化層を除去する、付記11に記載の方法。
[付記13]
前記エッチング条件を設定することは、
前記誘電体堆積チャンバの圧力を約1.5T(トール)に設定し、同時に前記NF
3
ガスを約25標準立方センチメートル/分(sccm)から約45sccmの流量で導入するとともに、アルゴン(Ar)を約1050sccmから約1250sccmの流量で導入すること、
前記誘電体堆積チャンバの温度を約400℃に設定すること、
前記誘電体堆積チャンバのRF電力を約700ワット(W)にすること、
前記超伝導配線層の面を、毎分約300から約850オングストロームのエッチング速度で約10秒間エッチングすること
を含む、付記11に記載の方法。
[付記14]
約0sccmから約200sccmの窒素(N
2
)ガスを前記NF
3
ガスおよびArガスとともに導入することをさらに含む、付記13に記載の方法。
[付記15]
前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層は、非酸化物ベースの誘電体材料から形成されている、付記11に記載の方法。
[付記16]
前記非酸化物ベースの誘電体材料は、窒化ケイ素、アモルファスシリコン、およびアモルファス炭化ケイ素(SiC)のうちの1つである、付記15に記載の方法。
[付記17]
前記超伝導配線層は、前記第1の誘電体層に開口を形成すること、形成された開口を充填するために超伝導材料充填を実施すること、化学機械研磨(CMP)を実施して、前記超伝導材料充填の上面を、前記第1の誘電体層の上面に揃えることによって形成され、クリーニングプロセスは、前記CMPによって生じた超伝導配線要素の上面の酸化を除去する、付記11に記載の方法。
[付記18]
超伝導配線要素は、第1の導電配線であり、前記方法は、前記第2の誘電体層に第2の導電配線および第1のコンタクトを形成すること、前記第2の誘電体層に第3の導電配線および第2のコンタクトを形成することをさらに含み、前記第1のコンタクトおよび前記第2のコンタクトは、前記第1の導電配線の異なる部分に結合されている、付記11に記載の方法。
[付記19]
前記誘電体堆積チャンバは、平行平板プラズマ強化化学気相成長(PECVD)チャンバである、付記11に記載の方法。