(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】2成分無溶剤接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 175/06 20060101AFI20221108BHJP
C08G 18/68 20060101ALI20221108BHJP
C08G 18/12 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
C09J175/06
C08G18/68
C08G18/12
(21)【出願番号】P 2021535236
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(86)【国際出願番号】 CN2018122618
(87)【国際公開番号】W WO2020124542
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】シ、ルイ
(72)【発明者】
【氏名】チュー、ツァオホイ
(72)【発明者】
【氏名】クオ、インチョン
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-95672(JP,A)
【文献】特開2001-335771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 175/06
C08G 18/68
C08G 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2成分無溶剤接着剤組成物であって、
(A)
(i)イソシアネートモノマーと、
(ii)第1のダイマー酸ポリエステルポリオールとの反応生成物を含むイソシアネート成分と、
(B)
(i)第2のダイマー酸ポリエステルポリオールと、
(ii)任意選択で、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びそれらの組合せからなる群から選択されるポリオールとを含むポリオール成分と、の反応生成物を含み、
前記2成分無溶剤接着剤組成物の総重量に基づいて、15重量%~45重量%のダイマー酸に由来する単位を含む、2成分無溶剤接着剤組成物。
【請求項2】
前記イソシアネート成分が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びそれらの組合せからなる群から選択される第2のポリオールをさらに含む、請求項1に記載の2成分無溶剤接着剤組成物。
【請求項3】
前記イソシアネート成分が、
(i)45重量%~90重量%の前記イソシアネートモノマーと、
(ii)10重量%~55重量%の前記第1のダイマー酸ポリエステルポリオールと、
(iii)0重量%~30重量%の、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びそれらの組合せからなる群から選択される第2のポリオールとの反応生成物を含む、請求項1又は2に記載の2成分無溶剤接着剤組成物。
【請求項4】
前記ポリオール成分が、
(i)10重量%~50重量%の前記第2のダイマー酸ポリエステルポリオールと、
(ii)50重量%~90重量%の前記ポリエーテルポリオールとを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の2成分無溶剤接着剤組成物。
【請求項5】
1.0~1.8のNCO指数を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の2成分無溶剤接着剤組成物。
【請求項6】
1.4~1.8のNCO指数を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の2成分無溶剤接着剤組成物。
【請求項7】
ラミネートであって、
第1の基材と、
第2の基材と、
前記第1の基材と前記第2の基材との間の接着剤層とを含み、前記接着剤層が、請求項1~6のいずれか一項に記載の2成分無溶剤接着剤組成物から形成されている、ラミネート。
【請求項8】
前記第1の基材がポリエチレンフィルムであり、前記第2の基材が金属箔フィルムであり、ボイルインバッグ試験後の接着強度が、1.0N/15mm~15N/15mmである、請求項7に記載のラミネート。
【請求項9】
ボイルインバッグ試験後のヒートシール強度が、20N/15mm~75N/15mmである、請求項8に記載のラミネート。
【請求項10】
2成分無溶剤接着剤組成物を形成する方法であって、
(A)
(i)イソシアネートモノマーと、
(ii)第1のダイマー酸ポリエステルポリオールとの反応生成物を含むイソシアネート成分を提供すること、
(B)
(i)第2のダイマー酸ポリエステルポリオールと、
(ii)任意選択で、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びそれらの組合せからなる群から選択されるポリオールとを含むポリオール成分を提供すること、並びに、
(C)前記イソシアネート成分を前記ポリオール成分と反応させて、2成分無溶剤接着剤組成物の総重量に基づいて、15重量%~45重量%のダイマー酸に由来する単位を含む2成分無溶剤接着剤組成物を形成すること、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ラミネートは、従来、溶剤ベースの接着剤で形成されており、溶剤を除去して接着剤層を形成するために追加の乾燥工程が必要である。乾燥工程は、従来、基材層及び溶剤ベースの接着剤を高温のオーブンに通すことによって達成され、これには、追加の機器及び処理コストを要する。オーブン乾燥を必要としない無溶剤接着剤でラミネートを製造する試みがなされてきたが、これらのラミネートは、化学的エージング後及び/又はボイルインバッグ試験などの高温試験後に不十分な接着を示す。これらのラミネートは、熱及び/又は食品にさらされた後に一定期間十分な接着が要求される食品包装などの多くのラミネート用途には不向きである。接着が不十分な場合、ラミネート構造にバブリングや層間剥離などの欠陥が生じる。
【0002】
当技術分野は、熱及び/又は食品への曝露後に基材間に十分な接着性を示す無溶剤接着剤の必要性を認識している。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、2成分無溶剤接着剤組成物を提供する。2成分無溶剤接着剤組成物は、(A)(i)イソシアネートモノマーと、(ii)第1のダイマー酸ポリエステルポリオールとの反応生成物を含むイソシアネート成分と、(B)(i)第2のダイマー酸ポリエステルポリオールと、(ii)任意選択で、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びそれらの組合せから選択されるポリオールとを含むポリオール成分との反応生成物を含む。2成分無溶剤接着剤組成物は、2成分無溶剤接着剤組成物の総重量に基づいて、15重量%~45重量%のダイマー酸に由来する単位を含む。
【0004】
本開示はまた、2成分無溶剤接着剤組成物を形成する方法を提供する。この方法は、(A)(i)イソシアネートモノマーと、(ii)第1のダイマー酸ポリエステルポリオールとの反応生成物を含むイソシアネート成分を提供すること、(B)(i)第2のダイマー酸ポリエステルポリオールと、(ii)任意選択で、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びそれらの組合せから選択されるポリオールとを含むポリオール成分を提供すること、並びに、(C)上記イソシアネート成分を上記ポリオール成分と反応させて、2成分無溶剤接着剤組成物の総重量に基づいて、15重量%~45重量%のダイマー酸に由来する単位を含む2成分無溶剤接着剤組成物を形成すること、を含む。
【0005】
定義
元素周期表への任意の参照は、CRC Press,Inc.,1990-1991によって出版されたものへの参照である。この表の或るグループの元素への参照は、グループに番号を付す新たな表記法によるものである。
【0006】
米国特許慣例の目的で、いかなる参照される特許、特許出願又は刊行物の内容も、特に、定義の開示(本開示に具体的に提供される任意の定義と矛盾しない程度において)及び当技術分野の一般的な知見に関して、それらの全体が参照により組み込まれる(又は、その米国版に相当するものが、参照によりそのように組み込まれる)。
【0007】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値及び上限値を含む、下限値から上限値のすべての値を含む。明示的な値を含む範囲(例えば、1、2、又は3~5、又は6、又は7の範囲)の場合、2つの明示的な値の間の部分範囲が含まれる(例えば、上記の範囲1~7には、部分範囲1~2、2~6、5~7、3~7、5~6など)。
【0008】
相反する記載がない限り、文脈から黙示的でない限り、又は当該技術分野で慣習的でない限り、すべての部及びパーセントは、重量に基づき、すべての試験方法は、本開示の出願日時点で最新のものである。
【0009】
「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、並びに組成物の材料から形成された反応生成物及び分解生成物を指す。
【0010】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、及びこれらの派生語は、任意の追加の成分、ステップ、又は手順が、本明細書で具体的に開示されているかに関わらず、それらの存在を除外するよう意図されない。疑義を回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて特許請求されるすべての組成物は、反対の記載がない限り、ポリマーであろうとなかろうと、任意の追加の添加剤、アジュバント、又は化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる続く記述の範囲からあらゆる他の成分、ステップ、又は手順を除く。「からなる」という用語は、具体的に描写又は列挙されていないあらゆる成分、ステップ、又は手順も除く。「又は」という用語は、特に明記しない限り、列挙されたメンバーを個別に、並びに任意の組合せで指す。単数形の使用は、複数形の使用を含み、その逆も同じである。
【0011】
「ジカルボン酸」は、2つのカルボキシル(-COOH)基を含む化合物である。
【0012】
「イソシアネート」は、その構造に少なくとも1つのイソシアネート基を含む化学物質である。イソシアネート基は、式:-N=C=Oで表される。2つ以上又は少なくとも2つのイソシアネート基を含むイソシアネートは、「ポリイソシアネート」である。例えば、2つのイソシアネート基を有するイソシアネートはジイソシアネートであり、3つのイソシアネート基を有するイソシアネートはトリイソシアネートである。イソシアネートは、芳香族又は脂肪族であり得る。
【0013】
「ポリエーテル」は、同じ原子の直鎖中に2つ以上のエーテル結合を含む化合物である。
【0014】
「ポリエステル」は、同じ原子の直鎖中に2つ以上のエステル結合を含む化合物である。
【0015】
「ポリエステルポリオール」は、ポリエステルでありかつポリオールである化合物である。
【0016】
「ポリマー」は、同じ種類であるか異なる種類であるかに関わらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物である。したがって、ポリマーという総称は、「ホモポリマー」という用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下で、1種類のモノマーのみから調製されたポリマーを指すのに用いられる)及び「インターポリマー」という用語(これは「コポリマー」という用語と同じ意味で用いられる)を包含し、「インターポリマー」は、バイポリマー(2種類の異なるモノマーから調製されたポリマーを指すのに用いられる)、ターポリマー(3種類の異なるモノマーから調製されるポリマーを指すのに用いられる)及び4種類以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。微量の不純物、例えば、触媒残渣が、ポリマー中及び/又はポリマー内に組み込まれ得る。それはまた、すべての形態のコポリマー、例えば、ランダム、ブロックなども包含する。ポリマーは多くの場合、1つ以上の特定のモノマー「から作製されて」いること、特定のモノマー又はモノマーの種類「に基づいて」いること、特定のモノマー内容物「を含有して」いるなどと称されるが、この文脈において、「モノマー」という用語は、非重合種ではなく、特定のモノマーの重合残余物を指していることが理解される。一般に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものを指す。
【0017】
「ポリオール」は、複数のヒドロキシル(-OH)基を含む有機化合物である。換言すれば、ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む。好適なポリオールの非限定的な例としては、ジオール(2つのヒドロキシル基を含む)、トリオール(3つのヒドロキシル基を含む)及びマルチヒドロキシ含有ポリオールが挙げられる。
【0018】
「無溶剤接着剤」は、溶剤を欠いているか、又は溶剤を実質的に欠いている接着剤組成物である。
【0019】
試験方法
酸価(又は酸性度指数)は、ASTM D1386/7に従って測定する。酸価は、成分又は組成物中に存在するカルボン酸の量の尺度である。酸価は、物質(例えば、エチレン系ポリマー又は分散剤)1グラム中に存在する遊離カルボン酸の中和に必要とされる水酸化カリウムのミリグラム数である。酸価の単位は、mg KOH/gである。
【0020】
ダイマー酸ポリエステルポリオールのダイマー酸含有量は、再生可能な含有量に基づいて、ASTM D6866に従って測定される。
【0021】
ヒドロキシル価(OH価)(又は水酸基価)は、成分又は組成物に存在するヒドロキシル基の数の尺度である。ヒドロキシル価は、1グラムの物質のヒドロキシル基を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数である(mg KOH/g)。ヒドロキシル価は、DIN53240に従って決定される。
【0022】
イソシアネート基(NCO)含有量(重量)は、ASTM D2572-97に従って測定される。
【0023】
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)システムを使用して測定される。
【0024】
接着強度(90度T型剥離離試験)
接着強度は、90度ハンドアシストT型剥離試験に従って測定される。ラミネートを、40℃のオーブンで2日間硬化した後、最初のT型剥離接着強度試験のために、「175mm×15mm」の帯状片にカットする(各帯状片の接着面積は「175mm×15mm」であった)。接着強度は、ボイルインバッグ試験の後にも測定する。Instron5943ピールテスターは250mm/分のクロスヘッド速度に設定する。試験中、帯状片の尾部をわずかに指で引っ張って尾部が剥離方向に対して90度の方向に維持されていることを確かめる。平均接着強度(15ミリメートルあたりのニュートン(N/15mm))は、力対距離のプロファイルから決定される。3つのサンプルを試験し、平均の「接着強度」を報告する。
【0025】
ヒートシール強度
ラミネートを、Brugger Companyから入手可能なHSG-Cヒートシール機で140℃のシール温度と300Nの圧力下で1秒間ヒートシールし、次いで、室温(23℃)に冷却し、「175mm×15mm」の帯状片にカットする(各帯状片のヒートシール領域は「175mm×15mm」であった)。Instron Corporationから入手可能なクロスヘッド速度250mm/分に設定された5940シリーズシングルカラムテーブルトップシステムを使用して、帯状片のヒートシール強度を測定する。3つのサンプルを試験し、平均「ヒートシール強度」を15ミリメートルあたりのニュートン(N/15mm)で報告する。
【0026】
ボイルインバッグ
8インチ(20.32cm)×12インチ(30.48cm)のラミネートを折り重ねて、20.32cm×15.24cmの構造を形成し、その構造は、第1の面及び第2の面を有する。したがって、第1の面及び第2の面はそれぞれ、同じラミネートから形成される。第1の面の第1基材(PEフィルム)は、第2の面の第1基材(PEフィルム)と接触している。上記構造は、1つの折り重なった縁部と3つの開放された縁部を含む4つの縁部を持つ。開放された縁部のうちの2つを、ヒートシールしてパウチ(小袋)を形成する。ヒートシールは、140℃で1秒間、300N/15mmの圧力で行う。それぞれの実施例から2~3個のパウチを作る。
【0027】
各パウチについて、残りの開放された縁部から180mLのスープ(豆油、ケチャップ、酢を1:1:1の混合比で混合したモートンスープ)を充填する。ヒートシールの失敗を防ぐために、ヒートシール領域にスープをはねかけないようにする。充填後、開放された縁部を、閉じたパウチ内に閉じ込められる空気が最小限になるような形でヒートシールする。閉じたパウチは、それぞれ、4つの閉じた縁部と、18.82cm×13.74cmの内部空間(スープで満たされている)を持つ。各ヒートシールの完全性を目視で検査して、シールに、試験中にパウチに漏れを生じさせる欠陥がないことを確認する。欠陥が疑われるパウチは廃棄して、交換する。
【0028】
ポットに2/3の水を入れ、沸騰させる。沸騰しているポットに蓋をして、水及び蒸気の損失を最小限にする。試験中、ポットを観察して沸騰を維持するのに十分な水が存在することを確認する。パウチを個別に沸騰したお湯に入れ、沸騰したお湯に30分間入れておく。次に、パウチを沸騰したお湯から取り出し、トンネリング、バブリング、ブリスター、層間剥離、及び/又は漏れがないか目視で検査する。
【0029】
パウチを切り開いてスープを空け、石鹸と水ですすぐ。ラミネートの1つ以上の帯状片(15mm×175mm)をパウチから切り取る(ヒートシール領域を除く)。ラミネートの接着強度を上記の90度T型剥離試験に従って測定する。ラミネートのヒートシール強度を上記のヒートシール強度試験に従って測定する。接着強度とヒートシール強度は、パウチからスープを空けた後できるだけ早く測定する。パウチの内部を欠陥がないか目視で検査する。
【0030】
イソシアネート(NCO)指数
イソシアネート指数又は(「NCO指数」)は、ダイマー酸ポリエステルポリオール成分中のヒドロキシル基の量に対する、イソシアネート成分中のイソシアネート基のモル比である。NCO指数は、下記式(1)に従って算出される。
【数1】
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示は、2成分無溶剤接着剤組成物を提供する。2成分無溶剤接着剤組成物は、(A)(i)イソシアネートモノマーと、(ii)第1のダイマー酸ポリエステルポリオールとの反応生成物を含むイソシアネート成分と、(B)(i)第2のダイマー酸ポリエステルポリオールと、(ii)任意選択で、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びそれらの組合せから選択されるポリオールとを含むポリオール成分との反応生成物を含む。2成分無溶剤接着剤組成物は、2成分無溶剤接着剤組成物の総重量に基づいて、15重量%~45重量%のダイマー酸に由来する単位を含む。
【0032】
A.イソシアネート成分
2成分無溶剤接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)ポリオール成分との反応生成物を含む。(A)イソシアネート成分は、(i)イソシアネートモノマーと、(ii)第1のダイマー酸ポリエステルポリオールとの反応生成物を含む。
【0033】
(A)イソシアネート成分は、イソシアネートプレポリマーである。「イソシアネートプレポリマー」は、イソシアネートモノマーと、少なくとも1つのポリオールとの反応生成物であり、ただし、少なくとも1つのポリオールは、ダイマー酸ポリエステルポリオールを含む。イソシアネートプレポリマーは、モノマーと最終ポリマーの間の液体中間体である。
【0034】
イソシアネートモノマー
イソシアネート成分は、(i)イソシアネートモノマーと、(ii)第1のダイマー酸ポリエステルポリオールとの反応生成物を含む。
【0035】
「イソシアネートモノマー」は、少なくとも2つのイソシアネート基を含む分子である。イソシアネートモノマーは、ポリオールに化学的に結合して、プレポリマーを形成し得る。好適なイソシアネートモノマーの非限定的な例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、カルボジイミド修飾イソシアネートモノマー、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0036】
「芳香族イソシアネートモノマー」は、1つ以上の芳香環を含むイソシアネートモノマーである。好適な芳香族イソシアネートモノマーの非限定的な例としては、メチレンジフェニルジポリイソシアネート(MDI)の異性体、例えば、4,4-MDI、2,4-MDI、及び2,2’-MDI;又は修飾MDI、例えば、カルボジイミド修飾MDI若しくはアロファネート修飾MDI;トルエン-ジポリイソシアネート(TDI)の異性体、例えば、2,4-TDI、2,6-TDI;ナフタレンジポリイソシアネート(NDI)の異性体、例えば、1,5-NDI;並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0037】
「脂肪族イソシアネート」は、イソシアネート基(-NCO)が芳香環に直接結合していないイソシアネートである。一実施形態では、脂肪族イソシアネートは、芳香環を欠いているか、又は芳香環を含まない。好適な脂肪族イソシアネートモノマーの非限定的な例としては、ヘキサメチレンジポリイソシアネート(HDI)の異性体、イソホロンジポリイソシアネート(IPDI)の異性体、キシレンジポリイソシアネート(XDI)の異性体、メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート(水添MDI)(HMDI)のような他のシクロ脂肪族イソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0038】
一実施形態では、イソシアネートモノマーは、モノイソシアネートモノマー、ジイソシアネートモノマー、トリイソシアネートモノマー、及びそれらの組合せから選択される。追加的な実施形態では、イソシアネートモノマーは、ジイソシアネートモノマーである。
【0039】
一実施形態では、イソシアネートモノマーは、少なくとも2つのイソシアネート基、又は少なくとも3つのイソシアネート基を有する多官能性イソシアネートモノマーである。
【0040】
一実施形態では、イソシアネートモノマーは、MDI、TDI、HDI、及びそれらの組合せから選択される。追加的な実施形態では、イソシアネートモノマーは、MDIである。
【0041】
イソシアネートモノマーは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0042】
ダイマー酸ポリエステルポリオール
イソシアネート成分は、(i)イソシアネートモノマーと、(ii)第1のダイマー酸ポリエステルポリオールとの反応生成物を含む。「ダイマー酸ポリエステルポリオール」(又は「DAPP」)は、ダイマー酸に由来する単位を含むポリエステルポリオールである。一実施形態では、DAPPは、(i)ダイマー酸と、(ii)ポリオールと、(iii)任意選択で、ジカルボン酸との反応生成物である。
【0043】
i.ダイマー酸
一実施形態では、DAPPは、(i)ダイマー酸と、(ii)ポリオールと、(iii)任意選択で、ジカルボン酸とを含む反応混合物の反応生成物である。
【0044】
「ダイマー酸」とは、2~4個のエチレン性二重結合と14~22個の炭素原子を有する脂肪酸(以下「不飽和脂肪酸A」という)と、1~4個のエチレン性二重結合と14~22個の炭素原子を有する脂肪酸(以下、「不飽和脂肪酸B」という)とを二量体化反応において二重結合上で反応させることによって得られるジカルボン酸化合物である。一実施形態では、不飽和脂肪酸Aは、2個のエチレン性二重結合と14~22個の炭素原子を有し、不飽和脂肪酸Bは、1個又は2個のエチレン性二重結合と14~22個の炭素原子を有する。好適な不飽和脂肪酸Aの非限定的な例としては、テトラデカジエン酸、ヘキサデカジエン酸、オクタデカジエン酸(リノール酸など)、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、オクタデカトリエン酸(リノレン酸など)、エイコサテトラエン酸(アラキドン酸など)、及びそれらの組合せが挙げられる。好適な不飽和脂肪酸Bの非限定的な例としては、上記の例、並びに、テトラデセン酸(ツズ酸、フィセテル酸、ミリストレイン酸)、ヘキサデセン酸(パルミトール酸など)、オクタデセン酸(オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸など)、エイコセン酸(ガドレイン酸など)、及びドコセン酸(エルシン酸、セトレイン酸、及びブラシジン酸など)、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0045】
得られるダイマー酸は、結合部位又は二重結合の異性化によって構造が異なるダイマー酸の混合物である。好適なダイマー酸構造の非限定的な例は、以下の構造(A)である。
【化1】
【0046】
一実施形態では、ダイマー酸は、C36ダイマー酸である。追加的な実施形態では、C36ダイマー酸は、構造(A)を有する。
【0047】
一実施形態では、得られたダイマー酸は、0重量%~2重量%、又は4重量%、又は6重量%のモノマー酸、及び/又は、0重量%~2重量%、又は4重量%、又は6重量%の三量体酸の重合度以上の重合度を有する高分子酸を含む。
【0048】
一実施形態では、ダイマー酸は不飽和である。「不飽和ダイマー酸」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む。構造(A)は不飽和ダイマー酸である。好適なダイマー酸の非限定的な例は、Aturex Groupから入手可能なATUREX(商標)1001(CAS 61788-89-4)である。
【0049】
一実施形態では、ダイマー酸は、150mg KOH/g、又は160mg KOH/g、又は170mg KOH/g、又は180mg KOH/g、又は190mg KOH/g、又は194mg KOH/g~200mg KOH/g、又は210mg KOH/g、又は220mg KOH/g、又は230mg KOH/g、又は240mg KOH/g、又は250mg KOH/gの酸価を有する。別の実施形態では、ダイマー酸は、150mg KOH/g~250mg KOH/g、又は180mg KOH/g~220mg KOH/g、又は190mg KOH/g~200mg KOH/gの酸価を有する。
【0050】
一実施形態では、ダイマー酸は構造(A)を有し、150mg KOH/g~250mg KOH/g、又は180mg KOH/g~220mg KOH/g、又は190mg KOH/g~200mg KOH/gの酸価を有する。追加的な実施形態では、ダイマー酸は、Aturex Groupから入手可能なATUREX(商標)1001(CAS 61788-89-4)である。
【0051】
ダイマー酸は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0052】
ii.ポリオール
一実施形態では、DAPPは、(i)ダイマー酸と、(ii)ポリオールと、(iii)任意選択で、ジカルボン酸とを含む反応混合物の反応生成物である。
【0053】
好適なポリオールの非限定的な例としては、ジオール(2つのヒドロキシル基を含む)及びトリオール(3つのヒドロキシル基を含む)が挙げられる。一実施形態では、ポリオールは、ジオール及びトリオールを含む。
【0054】
一実施形態では、ポリオールはジオールである。好適なジオールの非限定的な例としては、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPD)、2-メチル-1,3-プロパンジオール(MPG)、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、及びネオペンチルグリコール(NPG)が挙げられる。一実施形態では、ジオールはMPDである。
【0055】
好適なトリオールの非限定的な例は、トリメチロールプロパン(TMP)である。
【0056】
ポリオールは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0057】
iii.任意選択のジカルボン酸
一実施形態では、DAPPは、(i)ダイマー酸と、(ii)ポリオールと、(iii)任意選択で、ジカルボン酸とを含む反応混合物の反応生成物である。
【0058】
(iii)ジカルボン酸はダイマー酸ではない。換言すれば、(iii)ジカルボン酸は、反応混合物中の(i)ダイマー酸とは構造的にかつ/又は組成的に異なる。
【0059】
好適なジカルボン酸の非限定的な例としては、脂肪酸、芳香族酸、及びそれらの組合せが挙げられる。好適な芳香族ジカルボン酸の非限定的な例としては、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸が挙げられる。好適な脂肪族ジカルボン酸の好適な非限定的な例としては、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、2-メチルコハク酸、3,3-ジエチルグルタル酸、2,2-ジメチルコハク酸、及びトリメリット酸が挙げられる。本明細書で使用される場合、「酸」という用語は、当該酸の任意の無水物をも含む。アジピン酸又はイソフタル酸などの飽和脂肪族及び/又は芳香族酸も好適である。
【0060】
一実施形態では、ジカルボン酸は、4個、又は5個、又は6~7個、又は8個、又は9個、又は10個の炭素原子を有する。別の実施形態では、ジカルボン酸は、4~10個の炭素原子、又は6~8個の炭素原子を有する。追加的な実施形態では、ジカルボン酸は、8個の炭素原子を有する。
【0061】
一実施形態では、ジカルボン酸は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びそれらの組合せから選択される。
【0062】
ジカルボン酸は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0063】
iv.任意選択の添加剤
一実施形態では、DAPPは、(i)ダイマー酸と、(ii)ポリオールと、(iii)任意選択で、ジカルボン酸と、(iv)任意選択で、添加剤とを含む反応混合物の反応生成物である。
【0064】
好適な任意の添加剤の非限定的な例としては、接着促進剤、鎖延長剤、触媒、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0065】
適切な接着促進剤の非限定的な例は、アミノシランである。
【0066】
好適な鎖延長剤の非限定的な例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0067】
好適な触媒の非限定的な例としては、チタン酸テトラ-n-ブチル、硫酸亜鉛、有機スズ触媒、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0068】
一実施形態では、上記反応混合物は鎖延長剤を除外する。
【0069】
任意選択の添加剤は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0070】
iv.反応混合物
一実施形態では、DAPPは、(i)ダイマー酸と、(ii)ポリオールと、(iii)任意選択で、ジカルボン酸と、(iv)任意選択で、添加剤とを含む反応混合物の反応生成物である。
【0071】
一実施形態では、反応混合物は、反応混合物の総重量に基づいて、15重量%又は20重量%又は25重量%又は30重量%又は35重量%~40重量%又は45重量%又は50重量%又は55重量%又は60重量%又は65重量%又は70重量%又は75重量%又は80重量%又は85重量%又は90重量%のダイマー酸を含む。追加的な実施形態では、反応混合物は、反応混合物の総重量に基づいて、15重量%~90重量%、又は25重量%~90重量%、又は30重量%~85重量%のダイマー酸を含む。
【0072】
一実施形態では、反応混合物は、反応混合物の総重量に基づいて、15重量%又は20重量%又は25重量%又は30重量%又は35重量%~40重量%又は45重量%又は50重量%又は55重量%又は60重量%又は65重量%又は70重量%又は75重量%又は80重量%又は85重量%又は90重量%のダイマー酸、及び逆数量のポリオール、あるいは、反応混合物の総重量に基づいて、10重量%又は15重量%又は20重量%又は25重量%又は30重量%又は35重量%又は40重量%又は45重量%又は50重量%又は55重量%又は60重量%~65重量%又は70重量%又は75重量%又は80重量%又は85重量%のポリオールを含む。
【0073】
一実施形態では、反応混合物は、反応混合物の総重量に基づいて、0重量%又は10重量%又は15重量%~25重量%又は30重量%又は35重量%又は40重量%又は45重量%又は50重量%のジカルボン酸を含む。別の実施形態では、反応混合物は、反応混合物の総重量に基づいて、0重量%~50重量%、又は10重量%~50重量%、又は10重量%~40量%、又は10重量%~25重量%のジカルボン酸を含む。
【0074】
一実施形態では、反応混合物は、反応混合物の総重量に基づいて、(i)15重量%~90重量%、又は25重量%~90重量%、又は30重量%~85重量%のダイマー酸と、(ii)10重量%~85重量%、又は10重量%~75重量%、又は15重量%~70重量%のポリオールと、(iii)任意選択で、0重量%~50重量%、又は10重量%~50重量%、又は10重量%~40重量%、又は10重量%~25重量%のジカルボン酸と、(iv)任意選択で、0重量%又は0.001重量%~0.1重量%の触媒と、を含む、又はこれらから本質的になる、又はこれらからなる。
【0075】
前述の反応混合物を含む、本明細書に開示される成分、混合物、組成物、及び層の各々の成分の合計が、それぞれの成分、混合物、組成物、又は層の総重量に基づいて、100重量パーセント(重量%)になることが理解される。
【0076】
上記反応混合物を反応させて、DAPPを含む反応生成物を形成する。DAPPは、反応混合物の重縮合反応生成物である。重縮合反応では、ダイマー酸(及び任意選択のジカルボン酸)のカルボキシル基がポリオールのヒドロキシル基と反応する。一実施形態では、反応混合物は、チタン酸テトラ-n-ブチルなどの触媒を含む。DAPP反応生成物は、ダイマー酸に由来する単位を持つヒドロキシル末端ポリエステルである。
【0077】
一実施形態では、DAPPは、DAPPの総重量に基づいて、15重量%又は20重量%又は25重量%又は30重量%又は35重量%~40重量%又は45重量%又は50重量%又は55重量%又は60重量%又は65重量%又は70重量%又は75重量%又は80重量%又は85重量%又は90重量%のダイマー酸に由来する単位を含む。追加的な実施形態では、DAPPは、DAPPの総重量に基づいて、15重量%~90重量%、又は25重量%~90重量%、又は30重量%~85重量%のダイマー酸に由来する単位を含む。
【0078】
一実施形態では、DAPPは、500g/mol又は1000g/mol~1500g/mol又は2000g/mol又は3000g/mol又は4000g/mol又は5000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0079】
一実施形態では、DAPPは、500g/mol又は1000g/mol~1200g/mol又は1500g/mol又は2000g/mol又は3000g/mol又は4000g/mol又は5000g/molの数平均分子量(Mn)を有する。別の実施形態では、DAPPは、500g/mol~5000g/mol、又は1000g/mol~2000g/mol、又は1000g/mol~1500g/molのMnを有する。
【0080】
一実施形態では、DAPPは、0mg KOH/g又は0.01mg KOH/g~0.8mg KOH/g又は1.0mg KOH/g未満又は5.0mg KOH/g未満の酸価を有する。別の実施形態では、DAPPは、0mg KOH/g~5.0mg KOH/g未満、又は0mg KOH/g~1.0mg KOH/g、又は0mg KOH/g~0.8mg KOH/gの酸価を有する。
【0081】
一実施形態では、DAPPは、30mg KOH/g又は50mg KOH/g又は60mg KOH/g又は70mg KOH/g又は75mg KOH/g又は80mg KOH/g又は85mg KOH/g又は90mg KOH/g~120mg KOH/g又は130mg KOH/g又は140mg KOH/g又は150mg KOH/gのOH価を有する。別の実施形態では、DAPPは、30mg KOH/g~150mg KOH/g、又は90mg KOH/g~150mg KOH/g、又は90mg KOH/g~120mg KOH/gのOH価を有する。
【0082】
一実施形態では、第1のDAPPは、以下の特性のうちの1つ、又はいくつか、又はすべてを有する。(i)DAPPの総重量に基づいて、15重量%~90重量%、又は25重量%~90重量%、又は30重量%~85重量%のダイマー酸に由来する単位、及び/又は、(ii)Mwが、500g/mol又は1000g/mol~1500g/mol又は2000g/mol又は3000g/mol又は4000g/mol又は5000g/molである、及び/又は、(iii)Mnが、500g/mol~5000g/mol、又は1000g/mol~2000g/mol、又は1000g/mol~1500g/molである、及び/又は、(iv)酸価が、0mg KOH/g~5.0mg KOH/g未満、又は0mg KOH/g~1.0mg KOH/g、又は0mg KOH/g~0.8mg KOH/gである、及び/又は、(v)OH価が、30mg KOH/g~150mg KOH/g、又は75mg KOH/g~150mg KOH/g、又は90mg KOH/g~150mg KOH/g、又は90mg KOH/g~120mg KOH/gである。
【0083】
一実施形態では、DAPPは、DAPPの総重量に基づいて、15重量%~90重量%、又は25重量%~90重量%、又は30重量%~85重量%のダイマー酸に由来する単位を含み、DAPPは、30mg KOH/g~150mg KOH/g、又は75mg KOH/g~150mg KOH/g、又は90mg KOH/g~150mg KOH/g、又は90mg KOH/g~120mg KOH/gのOH価を有する。
【0084】
上記反応混合物は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0085】
DAPPは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0086】
任意選択のポリオール
一実施形態では、イソシアネート成分は、(i)イソシアネートモノマーと、(ii)第1のDAPPと、(iii)任意選択のポリオールとの反応生成物を含む。
【0087】
任意選択のポリオールは、第1のDAPPと組成的にかつ/又は構造的に異なるという条件で、本明細書に開示される任意のポリオールであり得る。
【0088】
一実施形態では、ポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びそれらの組合せから選択される。
【0089】
i.ポリエステルポリオール
一実施形態では、イソシアネート成分は、(i)イソシアネートモノマーと、(ii)第1のDAPPと、(iii)任意選択のポリエステルポリオールであるポリオールとの反応生成物を含む。
【0090】
ポリエステルポリオールは、第1のDAPPとは組成的にかつ/又は構造的に異なる。一実施形態では、ポリエステルポリオールは、第1のDAPPとは組成的にかつ/又は構造的に異なるDAPPである。別の実施形態では、ポリエステルポリオールは、DAPPを除外する。
【0091】
好適なポリエステルポリオールの非限定的な例としては、ジオールの重縮合物、ポリオール(例えば、トリオール、テトラオール)、ジカルボン酸、ポリカルボン酸(例えば、トリカルボン酸、テトラカルボン酸)、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン、及びそれらの組合せが挙げられる。ポリエステルポリオールはまた、遊離ポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物、又は低級アルコールの対応するポリカルボン酸エステルから誘導され得る。
【0092】
好適なジオールの非限定的な例としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、及びネオペンチルグリコール(NPG)が挙げられる。
【0093】
好適なジカルボン酸の非限定的な例としては、脂肪酸、芳香族酸、及びそれらの組合せが挙げられる。好適な芳香族酸の非限定的な例としては、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸が挙げられる。好適な脂肪族酸の好適の非限定的な例としては、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、2-メチルコハク酸、3,3-ジエチルグルタル酸、2,2-ジメチルコハク酸、及びトリメリット酸が挙げられる。本明細書で使用される場合、「酸」という用語は、当該酸の任意の無水物をも含む。アジピン酸又はイソフタル酸などの飽和脂肪族及び/又は芳香族酸も好適である。
【0094】
ポリエステルポリオールは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0095】
ii.ポリエーテルポリオール
一実施形態では、イソシアネート成分は、(i)イソシアネートモノマーと、(ii)第1のDAPPと、(iii)任意選択のポリエーテルポリオールであるポリオールとの反応生成物を含む。
【0096】
「ポリエーテルポリオール」は、ポリエーテルでありかつポリオールである化合物である。好適なポリエーテルポリオールの非限定的な例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、並びにそれらの共付加及びグラフト化生成物、の重付加生成物;多価アルコールの縮合によって得られるポリエーテルポリオール又はそれらの混合物;並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0097】
好適なポリエーテルポリオールの非限定的な例としては、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、及びそれらの組合せが挙げられる。一実施形態では、ポリエーテルポリオールは、ポリプロピレングリコール(PPG)である。
【0098】
好適なポリエーテルポリオールの非限定的な例としては、VORANOL(商標)1010 L(PPG)、及び、VORANOL(商標)CP450(グリセリンプロポキシル化ポリエーテルトリオール)が挙げられる(それぞれ、The Dow Chemical Companyから入手可能)。
【0099】
一実施形態では、ポリエーテルポリオールは、50g/mol又は100g/mol又は400g/mol又は450g/mol~1,000g/mol又は1,500g/mol又は2,000g/mol又は4,000g/mol又は5,000g/molのMwを有する。
【0100】
一実施形態では、ポリエーテルポリオールは、30mg KOH/g又は50mg KOH/g又は75mg KOH/g又は100mg KOH/g~115mg KOH/g又は125mg KOH/g又は150mg KOH/g又は200mg KOH/g又は300mg KOH/g又は350mg KOH/g又は400mg KOH/g又は450mg KOH/g又は500mg KOH/gのOH価を有する。
【0101】
一実施形態では、ポリエーテルポリオール(polyethyer polyol)は、以下の特性、すなわち、(i)50g/mol~5,000g/mol、又は100g/mol~2,000g/mol、又は400g/mol~1,500g/mol、又は400g/mol~1,000g/molのMw、及び/又は、(ii)30mg KOH/g~500mg KOH/g、又は100mg KOH/g~400mg KOH/g、又は100mg KOH/g~150mg KOH/g、又は350mg KOH/g~400mg KOH/gのOH価、の一方又は両方を有する。
【0102】
ポリエーテルポリオールは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0103】
任意選択の触媒
一実施形態では、イソシアネート成分は、(i)イソシアネートモノマーと、(ii)第1のDAPPと、(iii)任意選択のポリオールと、(iv)任意選択の触媒との反応生成物を含む。
【0104】
好適な触媒の非限定的な例としては、ジラウリン酸ジブチルスズ、酢酸亜鉛、2,2-ジモルホリノジエチルエーテル、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0105】
一実施形態では、イソシアネート成分は、イソシアネート組成物の総重量に基づいて、10重量%又は20重量%又は30重量%又は40重量%又は45重量%又は50重量%又は51重量%~55重量%又は60重量%又は65重量%又は70重量%又は80重量%又は85重量%又は90重量%のイソシアネートモノマーを含むイソシアネート組成物の反応生成物から形成される。追加的な実施形態では、イソシアネート成分は、イソシアネート組成物の総重量に基づいて、10重量%~90重量%、又は10重量%~80重量%、又は20重量%~70重量%、又は30重量%~70重量%、又は40重量%~70重量%、又は45重量%~90重量%、又は50重量%~60重量%、又は50重量%~55重量%、又は51重量%~80重量%のイソシアネートモノマーを含むイソシアネート組成物の反応生成物から形成される。
【0106】
一実施形態では、イソシアネート成分は、イソシアネート組成物の総重量に基づいて、10重量%又は15重量%又は20重量%又は30重量%又は40重量%又は45重量%又は50重量%~55重量%、又は60重量%、又は65重量%、又は70重量%、又は80重量%のDAPPを含むイソシアネート組成物の反応生成物から形成される。追加的な実施形態では、イソシアネート成分は、イソシアネート組成物の総重量に基づいて、10重量%~80重量%、又は10重量%~70重量%、又は10重量%~60重量%、又は15重量%~60重量%、又は15重量%~50重量%、又は10重量%~55重量%、又は15重量%~50重量%未満のDAPPを含むイソシアネート組成物の反応生成物から形成される。
【0107】
一実施形態では、イソシアネート成分は、イソシアネート組成物の総重量に基づいて、0重量%又は1重量%又は5重量%又は10重量%又は15重量%~20重量%又は25重量%又は30重量%の任意選択のポリオールを含むイソシアネート組成物の反応生成物から形成される。別の実施形態では、イソシアネート成分は、イソシアネート組成物の総重量に基づいて、0重量%~30重量%、又は1重量%~30重量%、又は5重量%~30重量%、又は10重量%~30重量%、又は15重量%~30重量%の任意選択のポリオールを含むイソシアネート組成物の反応生成物から形成される。
【0108】
一実施形態では、イソシアネート成分は、以下のものを含む、又は以下のものから本質的になる、又は以下のものからなるイソシアネート組成物の反応生成物から形成される:(i)イソシアネート組成物の総重量に基づいて、10重量%~90重量%、又は10重量%~80重量%、又は20重量%~70重量%、又は30重量%~70重量%、又は40重量%~70重量%、又は45重量%~90重量%、又は50重量%~60重量%、又は50重量%~55重量%、又は51重量%~80重量%のイソシアネートモノマー、(ii)イソシアネート組成物の総重量に基づいて、10重量%~80重量%、又は10重量%~70重量%、又は10重量%~60重量%、又は15重量%~60重量%、又は15重量%~50重量%、又は10重量%~55重量%、又は15重量%~50重量%未満の第1のDAPP、(iii)任意選択で、イソシアネート組成物の総重量に基づいて、0重量%~30重量%、又は1重量%~30重量%、又は5重量%~30重量%、又は10重量%~30重量%、又は15重量%~30重量%のポリオール、並びに(iv)任意選択で、触媒。
【0109】
一実施形態では、イソシアネート成分のNCO含有量は、イソシアネート成分の総重量に基づいて、10重量%又は11重量%又は12重量%又は13重量%又は14重量%~15重量%又は16重量%又は20重量%である。
【0110】
一実施形態では、イソシアネート成分は、(i)イソシアネート組成物の総重量に基づいて、45重量%~90重量%のイソシアネートモノマーと、(ii)イソシアネート組成物の総重量に基づいて、10重量%~55重量%の第1のDAPPと、(iii)イソシアネート組成物の総重量に基づいて、0重量%~30重量%の任意選択のポリオールとを含む、又はそれらから本質的になる、又はそれらからなるイソシアネート組成物の反応生成物から形成される。追加的な実施形態では、イソシアネート成分のNCO含有量は、イソシアネート成分の総重量に基づいて、10重量%又は11重量%又は12重量%又は13重量%又は14重量%~15重量%又は16重量%又は20重量%である。
【0111】
イソシアネート成分は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0112】
B.ポリオール成分
2成分無溶剤接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)ポリオール成分との反応生成物を含む。ポリオール成分は、(i)第2のダイマー酸ポリエステルポリオールと、(ii)任意選択で、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びそれらの組合せから選択されるポリオールとを含む。
【0113】
一実施形態では、ポリオール成分は、(i)第2のDAPPからなる。
【0114】
一実施形態では、ポリオール成分は、(i)第2のDAPPと、(ii)ポリオールとの混合物である。
【0115】
第2のダイマー酸ポリエステルポリオール
ポリオール成分は、(i)第2のダイマー酸ポリエステルポリオールと、(ii)任意選択で、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びそれらの組合せから選択されるポリオールとを含む。
【0116】
第2のDAPPは、本明細書に開示される任意のDAPPであり得る。
【0117】
第2のDAPPは、第1のDAPPと同じでも異なっていてもよい。一実施形態では、第1のDAPPは、第2のDAPPとは組成的にかつ/又は構造的に異なる。
【0118】
一実施形態では、第1のDAPPは、第2のDAPPと同じである。第2のDAPPと同じ第1のDAPPは、第2のDAPPと同じ組成と同じ構造を持っている。
【0119】
第2のDAPPは、本明細書に開示される2以上の一実施形態を含み得る。
【0120】
ポリオール
一実施形態では、ポリオール成分は、(i)第2のDAPPと、(ii)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びそれらの組合せから選択されるポリオールとを含む。
【0121】
i.ポリエーテルポリオール
一実施形態では、ポリオール成分は、(i)第2のDAPPと、(ii)ポリエーテルポリオールであるポリオールとを含む。
【0122】
ポリエーテルポリオールは、本明細書に開示される任意のポリエーテルポリオールであり得る。
【0123】
ポリエーテルポリオールは、イソシアネート成分中の任意選択のポリオールと同じであっても異なっていてもよい。一実施形態では、ポリエーテルポリオールは、イソシアネート成分中の任意選択のポリオールとは組成的にかつ/又は構造的に異なる。
【0124】
一実施形態では、ポリエーテルポリオールは、イソシアネート成分中の任意選択のポリオールと同じである。イソシアネート成分中の任意選択のポリオールと同じポリエーテルポリオールは、イソシアネート成分中の任意選択のポリオールと同一の組成及び同一の構造を有する。
【0125】
ポリエーテルポリオールは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0126】
ii.ポリエステルポリオール
一実施形態では、ポリオール成分は、(i)第2のDAPPと、(ii)ポリエステルポリオールであるポリオールとを含む。
【0127】
ポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオールが第2のDAPPと組成的にかつ/又は構造的に異なるという条件で、本明細書に開示される任意のポリエステルポリオールであり得る。
【0128】
ポリエステルポリオールは、第2のDAPPとは組成的にかつ/又は構造的に異なる。一実施形態では、ポリエステルポリオールは、第2のDAPPとは組成的にかつ/又は構造的に異なるDAPPである。別の実施形態では、ポリエステルポリオールは、DAPPを除外する。
【0129】
ポリエステルポリオールは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0130】
一実施形態では、ポリオール成分は、ポリオール成分の総重量に基づいて、10重量%又は20重量%又は25重量%又は30重量%又は35重量%~40重量%又は45重量%又は50重量%又は75重量%又は90重量%又は100重量%の第2のDAPPを含む。別の実施形態では、ポリオール成分は、ポリオール成分の総重量に基づいて、10重量%~100重量%、又は10重量%~50重量%、又は10重量%~45重量%、又は20重量%~45重量%、又は30重量%~45重量%、又は35重量%~40重量%の第2のDAPPを含む。
【0131】
一実施形態では、ポリオール成分は、ポリオール成分の総重量に基づいて、10重量%又は20重量%又は25重量%又は30重量%又は35重量%~40重量%又は45重量%又は50重量%の第2のDAPPと、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びこれらの組合せから選択される逆数量のポリオール、又は、50重量%又は55重量%又は60重量%~65重量%又は70重量%又は75重量%又は80重量%又は90重量%の、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びこれらの組合せから選択されるポリオールと、を含む。別の実施形態では、ポリオール成分は、ポリオール成分の総重量に基づいて、50重量%~90重量%、又は55重量%~90重量%、又は50重量%~80重量%、又は55重量%~75重量%、又は55重量%~65重量%の、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びこれらの組合せから選択されるポリオールを含む。
【0132】
一実施形態では、ポリオール成分は、180mg KOH/g又は250mg KOH/g又は260mg KOH/g又は265mg KOH/g~272mg KOH/g又は275mg KOH/g又は300mg KOH/g又は400mg KOH/gのヒドロキシル価を有する。
【0133】
一実施形態では、ポリオール成分は、(i)ポリオール成分の総重量に基づいて、10重量%~50重量%、又は10重量%~45重量%、又は20重量%~45重量%、又は30重量%~45重量%、又は35重量%~40重量%の第2のDAPPと、(ii)ポリオール成分の総重量に基づいて、50重量%~90重量%、又は55重量%~90重量%、又は50重量%~80重量%、又は55重量%~75重量%、又は55重量%~65重量%の、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びそれらの組合せから選択されるポリオールとを含む、又はこれらから本質的になる、又はこれらからなる。追加的な実施形態では、ポリオール成分は、250mg KOH/g又は260mg KOH/g又は265mg KOH/g~275mg KOH/g又は300mg KOH/gのヒドロキシル価を有する。
【0134】
ポリオール成分は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0135】
C.2成分無溶剤接着剤組成物
2成分無溶剤接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)ポリオール成分との反応生成物を含む。2成分無溶剤接着剤組成物は、2成分無溶剤接着剤組成物の総重量に基づいて、15重量%~45重量%のダイマー酸に由来する単位を含む。
【0136】
2成分無溶剤接着剤組成物は、溶剤を欠いているか、又は実質的に溶剤を欠いている。
【0137】
一実施形態では、2成分無溶剤接着剤組成物は、任意選択で添加剤を含む。任意選択の添加剤は、本明細書に開示の任意の任意選択の添加剤であり得る。
【0138】
2成分無溶剤接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)ポリオール成分とを、イソシアネート成分の-NCO基をポリオール成分のヒドロキシル基と反応させるのに適した条件下で、混合することによって形成される。一実施形態では、(A)イソシアネート成分と、(B)ポリオール成分とは、静的混合装置又は動的混合装置(メーター混合ディスペンサーなど)によって、15℃又は20℃又は25℃又は30℃又は35℃又は40℃~45℃又は50℃又は55℃の温度で、混ぜ合わせ、混合される。
【0139】
2成分無溶剤接着剤組成物は、2成分無溶剤接着剤組成物の総重量に基づいて、15重量%~45重量%のダイマー酸に由来する単位を含む。別の実施形態では、2成分無溶剤接着剤組成物は、2成分無溶剤接着剤組成物の総重量に基づいて、15重量%又は16重量%又は17重量%又は18重量%又は19重量%~20重量%又は25重量%又は30重量%又は34重量%又は35重量%又は40重量%又は45重量%のダイマー酸に由来する単位を含む。別の実施形態では、2成分無溶剤接着剤組成物は、2成分無溶剤接着剤組成物の総重量に基づいて、15重量%~40重量%、又は15重量%~35重量%、又は16重量%~35重量%、又は16重量%~33重量%のダイマー酸に由来する単位を含む。
【0140】
一実施形態では、2成分無溶剤接着剤組成物は、1.0又は1.4又は1.5又は1.6~1.7又は1.8のNCO指数を有する。一実施形態では、2成分無溶剤接着剤組成物は、1.0~1.8、又は1.4~1.8、又は1.5~1.8、又は1.6~1.8、又は1.6~1.7のNCO指数を有する。
【0141】
一実施形態では、2成分無溶剤接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)イソシアネート成分:ポリオール成分の重量比が100:30~100:100、又は100:30~100:60、又は100:40~100:60、又は100:40~100:45のポリオール成分とを含む。
【0142】
一実施形態では、2成分無溶剤接着剤組成物は、以下のものの反応生成物を含むか、又はそれから本質的になるか、又はそれからなる:(A)以下のものを含む、又は以下のものから本質的になるか、又は以下のものからなるイソシアネート組成物の反応生成物であるイソシアネートプレポリマーを含むイソシアネート成分:(i)イソシアネート組成物の総重量に基づいて、10重量%~90重量%、又は10重量%~80重量%、又は20重量%~70重量%、又は30重量%~70重量%、又は40重量%~70重量%、又は45重量%~90重量%、又は50重量%~60重量%、又は50重量%~55重量%、又は51重量%~80重量%のイソシアネートモノマー;(ii)イソシアネート組成物の総重量に基づいて、10重量%~80重量%、又は10重量%~70重量%、又は10重量%~60重量%、又は15重量%~60重量%、は15重量%~50重量%、又は10重量%~55重量%、又は15重量%~50重量%未満の第1のDAPP;(iii)任意選択で、イソシアネート組成物の総重量に基づいて、0重量%~30重量%、又は1重量%~30重量%、又は5重量%~30重量%、又は10重量%~30重量%、又は15重量%~30重量%のポリオール;及び(iv)任意選択で、触媒;(B)以下を含むか、又は以下から本質的になるか、又は以下からなるポリオール成分:(i)ポリオール成分の総重量に基づいて、10重量%~100重量%、又は10重量%~50重量%、又は10重量%~45重量%、又は20重量%~45重量%、又は30重量%~45重量%、又は35重量%~40重量%の第2のDAPP;並びに(ii)任意選択で、ポリオール成分の総重量に基づいて、50重量%~90重量%、又は55重量%~90重量%、又は50重量%~80重量%、又は55重量%~75重量%、又は55重量%の65重量%の、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びそれらの組合せから選択されるポリオール。そして、2成分無溶剤接着剤組成物は、2成分無溶剤接着剤組成物の総重量に基づいて、15重量%~40重量%、又は15重量%~35重量%、又は16重量%~35重量%、又は16重量%~33重量%のダイマー酸に由来する単位を含む。そして、
第1のDAPP及び第2のDAPPは同じであり、それぞれは、以下のものを含む、又は以下のものから本質的になる、又は以下のものからなる反応混合物の反応生成物である:(i)反応混合物の総重量に基づいて、15重量%~90重量%、又は25重量%~90重量%、又は30重量%~85重量%のダイマー酸;(ii)反応混合物の総重量に基づいて、10重量%~85重量%、又は10重量%~75重量%、又は15重量%~70重量%のポリオール;(iii)任意選択で、反応混合物の総重量に基づいて、0重量%~50重量%、又は10重量%~50重量%、又は10重量%~40重量%、又は10重量%~25重量%のジカルボン酸;及び(iv)任意選択で、0重量%又は0.001重量%~0.1重量%の触媒。そして、
第1のDAPP及び第2のDAPPは、それぞれ、以下の特性のうちの1つ、又はいくつか、又はすべてを有する:(i)DAPPの総重量に基づいて、15重量%~90重量%、又は25重量%~90重量%、又は30重量%~85重量%のダイマー酸に由来する単位;及び/又は、(ii)Mwが、500g/mol又は1000g/mol~1500g/mol又は2000g/mol又は3000g/mol又は4000g/mol又は5000g/molである;及び/又は、(iii)Mnが、500g/mol~5000g/mol、又は1000g/mol~2000g/mol、又は1000g/mol~1500g/molである;及び/又は、(iv)酸価が、0mg KOH/g~5.0mg KOH/g未満、又は0mg KOH/g~1.0mg KOH/g、又は0mg KOH/g~0.8mg KOH/gである;及び/又は、(v)OH価が、30mg KOH/g~150mg KOH/g、又は75mg KOH/g~150mg KOH/g、又は90mg KOH/g~150mg KOH/g、又は90mg KOH/g~120mg KOH/gである。そして、
2成分無溶剤接着剤組成物は、以下の特性のうちの一方又は両方を有する:(i)1.0~1.8、又は1.4~1.8、又は1.5~1.8、又は1.6~1.8、又は1.6~1.7のNCO指数;及び/又は、(ii)100:30~100:100、又は100:30~100:60、又は100:40~100:60、又は100:40~100:45のイソシアネート成分:ポリオール成分の重量比。
【0143】
2成分無溶剤接着剤組成物は、本明細書に開示される2以上の一実施形態を含み得る。
【0144】
E.ラミネート
本開示は、ラミネートを提供する。ラミネートは、第1の基材と第2の基材を含み、第1の基材と第2の基材との間に接着剤層を含む。接着剤層は、2成分無溶剤接着剤組成物から形成される。
【0145】
2成分無溶剤接着剤組成物は、本明細書に開示される任意の2成分無溶剤接着剤組成物であり得る。
【0146】
第1の基材と第2の基材
ラミネートは、第1の基材と第2の基材を含む。
【0147】
第1の基材及び第2の基材は、同じであっても異なっていてもよい。一実施形態では、第1の基材及び第2の基材は、同一の組成及び同一の構造を有するという点で同じである。
【0148】
実施形態では、第1の基材及び第2の基材は、互いに組成的にかつ/又は構造的に異なる。
【0149】
「基材」に言及する以下の説明は、個別的にかつ/又は集合的に、第1の基材及び第2の基材を指すことが理解される。
【0150】
好適な基材の非限定的な例はフィルムである。フィルムは、単層フィルム又は多層フィルムであってもよい。多層フィルムは、2つの層、又は3つ以上の層を含む。例えば、多層フィルムは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又はそれ以上の層を有し得る。一実施形態では、多層フィルムは、ただ2つの層だけ、又はただ3つの層だけを含む。
【0151】
一実施形態では、フィルムは、ただ1つの層だけを備えた単層フィルムである。
【0152】
一実施形態では、フィルムは、エチレン系ポリマー(PE)、プロピレン系ポリマー(PP)、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリエステル、エチレンビニルアルコール(EVOH)コポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレンビニルアクリレート(EVA)コポリマー、エチレンメチルアクリレートコポリマー、エチレンエチルアクリレートコポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンメタクリル酸コポリマー、エチレンアクリル酸のイオノマー、メタクリル酸のイオノマー、無水マレイン酸グラフト化エチレン系ポリマー、ポリ乳酸(PLA)、ポリスチレン、金属箔、セルロース、セロファン、不織布、及びそれらの組合せから選択される成分を含む層を含む。好適な金属箔の非限定的な例は、アルミニウム箔である。多層フィルムの各層は、同じ成分から形成することができ、又は異なる成分から形成することができる。
【0153】
一実施形態では、フィルムは、金属箔を含む層を含む。
【0154】
一実施形態では、フィルムは、エチレン系ポリマー層である単一の層を有する単層フィルムである。追加的な実施形態では、フィルムは、ポリエチレン層である単一の層を有する単層フィルムである。
【0155】
基材、さらにフィルムは、2つの対向する表面を持つ切れ目のない構造である。
【0156】
一実施形態では、基材は、5μm又は10μm又は12μm又は15μm又は20μm又は21μm~23μm又は24μm又は25μm又は30μm又は35μm又は40μm又は45μm又は50μm又は100μm又は150μm又は200μm又は250μm又は300μm又は350μm又は400μm又は450μm又は500μmの厚さを有する。
【0157】
一実施形態では、基材は、紙や木材などのセルロース系の基材を除外する。
【0158】
一実施形態では、第1の基材がPE層である単一の層を有する単層フィルムであり、第2の基材が金属箔層である層を有するフィルムである。
【0159】
フィルムは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0160】
第1の基材は、本明細書で開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0161】
第2の基材は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0162】
2成分無溶剤接着剤組成物は、例えば、Nordmeccanica Labo Combi 400ラミネーターを用いて、第1の基材と第2の基材との間に塗布される。一実施形態では、2成分無溶剤接着剤組成物は、20℃又は30℃又は40℃~50℃又は60℃又は70℃又は80℃又は90℃の温度で、第1の基材と第2の基材との間に塗布される。
【0163】
好適な塗布方法の非限定的な例としては、ブラッシング、注入(pouring)、噴霧、コーティング、圧延、散布、及び注入(injecting)が挙げられる。
【0164】
一実施形態では、2成分無溶剤接着剤組成物は、平方メートルあたり0.8g(g/m2)又は1.0g/m2又は1.5g/m2又は1.8g/m2~2.0g/m2又は2.5g/m2のコート重量で、第1の基材と第2の基材との間に塗布される。別の実施形態では、2成分無溶剤接着剤組成物は、0.8g/m2~2.5g/m2、又は1.0g/m2~2.5g/m2、又は1.5g/m2~2.0g/m2、又は1.8g/m2~2.0g/m2のコート重量で、第1の基材と第2の基材との間に塗布される。
【0165】
一実施形態では、2成分無溶剤接着剤組成物は、第1の基材と第2の基材との間に均一に塗布される。「均一な塗布」は、基材の表面全体にわたって連続的(断続的ではない)であって、基材の表面全体にわたって同じ又は実質的に同じ厚さの組成物の層である。換言すれば、基材に均一に塗布された組成物は、基材表面に直接接触し、当該組成物は、基材表面と同一の外延を有する。
【0166】
2成分無溶剤の接着剤組成物と第1の基材は、互いに直接接触している。本明細書で使用される場合、「直接接触している」という用語は、基材が2成分無溶剤接着剤組成物又は接着剤層のすぐ近隣に位置し、基材と2成分無溶剤接着剤組成物又は接着剤層との間に、介在層又は介在構造体がない層構成のことである。2成分無溶剤接着剤組成物は、第1の基材の表面に直接接触する。
【0167】
2成分無溶剤接着剤組成物及び第2の基材は、互いに直接接触している。2成分無溶剤接着剤組成物は、第2の基材の表面に直接接触する。
【0168】
第1の基材、第2の基材、及び2成分無溶剤接着剤組成物を含む構造は、以下の構造(B)を有する。
第1の基材/2成分無溶剤接着剤組成物/第2の基材
構造(B)
【0169】
構造(B)の接着剤層は、2成分の無溶剤接着剤組成物を硬化することによって形成される。2成分無溶剤接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)ポリオール成分とを混合して反応させることにより形成される。
【0170】
一実施形態では、2成分無溶剤接着剤組成物は、30℃又は35℃~40℃又は45℃又は50℃の温度のオーブン内で硬化される。
【0171】
一実施形態では、2成分無溶剤接着剤組成物は、20℃~25℃の温度で、1日~2日又は4日又は7日の期間にわたって硬化される。
【0172】
一実施形態では、2成分無溶剤接着剤組成物は、光開始剤の非存在下で、又は実質的に光開始剤の非存在下で硬化される。
【0173】
一実施形態では、2成分無溶剤接着剤組成物は、水の非存在下で、又は実質的に水の非存在下で硬化される。
【0174】
一実施形態では、構造(B)は硬化されて、第1の基材と第2の基材との間に接着剤層を形成し、それによってラミネートを形成する。ラミネートは、以下の構造(C)を有する。
第1の基材/接着剤層/第2の基材 構造(C)
【0175】
ラミネートは、接着剤層と直接接触している第1の基材と、接着剤層と直接接触している第2の基材とを含む。
【0176】
ラミネートは、基材と接着剤層を交互に含む。ラミネートは、少なくとも合計で3つの層を含み、合計の層は、基材及び接着剤層を含む。一実施形態では、ラミネートは、3~4又は5又は6又は7又は8又は9又は10の合計層を含む。
【0177】
一実施形態では、第1の基材は、PE層である単一の層を有する単層フィルムであり、第2の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、ラミネートは、3N/15mm又は5N/15mm又は7N/15mm~12N/15mm又は15N/15mm又は20N/15mmの初期接着強度を有する。
【0178】
一実施形態では、第1の基材は、PE層である単一の層を有する単層フィルムであり、第2の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、ラミネートは、ボイルインバッグ試験後に1.0N/15mm又は5.0N/15mm又は6.0N/15mm~11.0N/15mm又は12.0N/15mm又は13N/15mm又は15N/15mmの接着強度を有する。別の実施形態では、ラミネートは、ボイルインバッグ試験後に、1.0N/15mm~15N/15mm、又は5.0N/15mm~15N/15mm、又は6.0N/15mm~11.0N/15mmの接着強度を有する。
【0179】
一実施形態では、第1の基材は、PE層である単一の層を有する単層フィルムであり、第2の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、ラミネートは、20N/15mm又は25N/15mm又は30N/15mm又は35N/15mm又は40N/15mm又は45N/15mm又は50N/15mm又は52N/15mm~55N/15mm又は60N/15mm又は70N/15mm又は75N/15mm又は100N/15mmの初期ヒートシール強度を有する。別の実施形態では、ラミネートは、20N/15mm~100N/15mm、又は40N/15mm~100N/15mm、又は50N/15mm~100N/15mm、又は52N/15mm~100N/15mm、又は50N/15mm~75N/15mmの初期ヒートシール強度を有する。
【0180】
一実施形態では、第1の基材は、PE層である単一の層を有する単層フィルムであり、第2の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、ラミネートは、ボイルインバッグ試験後に、20N/15mm又は25N/15mm又は28N/15mm又は30N/15mm~49N/15mm又は50N/15mm又は55N/15mm又は60N/15mm又は65N/15mm又は70N/15mm又は75N/15mmのヒートシール強度を有する。別の実施形態では、ラミネートは、ボイルインバッグ試験後に、20N/15mm~35N/15mm、又は25N/15mm~75N/15mm、又は30N/15mm~75N/15mm、又は30N/15mm~50N/15mmのヒートシール強度を有する。
【0181】
一実施形態では、第1の基材は、PE層である単一の層を有する単層フィルムであり、第2の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、ラミネートは、ボイルインバッグ試験後に剥離しない。
【0182】
一実施形態では、ラミネートは、以下のものを含み、又は以下のものから本質的になり、又は以下のものからなる:PE層である単一の層を有する単層フィルムである第1の基材;金属箔層である層を有するフィルムである第2の基材;並びに第1の基材と第2の基材との間の接着剤層、金属箔層及びPE層と直接接触する接着剤層。そして、接着剤層は、以下のものの反応生成物を含むか、又は本質的にこれからなるか、又はこれからなる2成分無溶剤接着剤組成物から形成される:
(A)以下のものを含む、又は以下のものから本質的になる、又は以下のものからなるイソシアネート組成物の反応生成物であるイソシアネートプレポリマーを含むイソシアネート成分:(i)イソシアネート組成物の総重量に基づいて、10重量%~90重量%、又は10重量%~80重量%、又は20重量%~70重量%、又は30重量%~70重量%、又は40重量%~70重量%、又は45重量%~90重量%、又は50重量%~60重量%、又は50重量%~55重量%、又は51重量%~80重量%のイソシアネートモノマー;(ii)イソシアネート組成物の総重量に基づいて、10重量%~80重量%、又は10重量%~70重量%、又は10重量%~60重量%、又は15重量%~60重量%、又は15重量%~50重量%、又は10重量%~55重量%、又は15重量%~50重量%未満の第1のDAPP;(iii)任意選択で、イソシアネート組成物の総重量に基づいて、0重量%~30重量%、又は1重量%~30重量%、又は5重量%~30重量%、又は10重量%~30重量%、又は15重量%~30重量%のポリオール;及び(iv)任意選択で、触媒;
(B)以下のものを含む、又は以下のものから本質的になる、又は以下のものからなるポリオール成分:(i)ポリオール成分の総重量に基づいて、10重量%~100重量%、又は10重量%~50重量%、又は10重量%~45重量%、又は20重量%~45重量%、又は30重量%~45重量%、又は35重量%~40重量%の第2のDAPP、及び、(ii)任意選択で、ポリオール成分の総重量に基づいて、50重量%~90重量%、又は55重量%~90重量%、又は50重量%~80重量%、又は55重量%~75重量%、又は55重量%~65重量%の、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びそれらの組合せから選択されるポリオール。そして、
2成分無溶剤接着剤組成物は、2成分無溶剤接着剤組成物の総重量に基づいて、15重量%~40重量%、又は15重量%~35重量%、又は16重量%~35重量%、又は16重量%~33重量%のダイマー酸に由来する単位を含み、以下の特性のうちの一方又は両方を有する:(i)1.0~1.8、又は1.4~1.8、又は1.5~1.8、又は1.6~1.8、又は1.6~1.7のNCO指数、及び/又は、(ii)100:30~100:100、又は100:40~100:60、又は100:40~100:45のイソシアネート成分:ポリオール成分の重量比。
ここで、上記ラミネートは、以下の特性のうちの1つ、又は一部、又はすべてを有する:(A)3N/15mm~20N/15mm、又は5N/15mm~15N/15mm、又は7N/15mm~13N/15mmの初期接着強度、及び/又は、(B)1.0N/15mm~15N/15mm、又は5.0N/15mm~15N/15mm、又は6.0N/15mm~11.0N/15mmのボイルインバッグ試験後の接着強度、及び/又は、(C)20N/15mm~100N/15mm、又は40N/15mm~100N/15mm、又は50N/15mm~100N/15mm、又は52N/15mm~100N/15mm、又は50N/15mm~75N/15mmの初期ヒートシール強度、及び/又は、(D)20N/15mm~35N/15mm、又は25N/15mm~75N/15mm、又は30N/15mm~75N/15mm、又は30N/15mm~50N/15mmのボイルインバッグ試験後のヒートシール強度、及び/又は、(E)ボイルインバッグ試験後にラミネートが剥離しない。
【0183】
ラミネートは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0184】
F.2成分無溶剤接着剤組成物を形成する方法
本開示はまた、2成分無溶剤接着剤組成物を形成する方法を提供する。
【0185】
一実施形態では、この方法は、(A)(i)イソシアネートモノマーと、(ii)第1のDAPPとの反応生成物を含むイソシアネート成分を提供すること、(B)(i)第2のDAPPと、(ii)任意選択で、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びそれらの組合せから選択されるポリオールとを含むポリオール成分を提供すること、並びに、(C)上記イソシアネート成分を上記ポリオール成分と反応させて、2成分無溶剤接着剤組成物の総重量に基づいて、15重量%~45重量%のダイマー酸に由来する単位を含む2成分無溶剤接着剤組成物を形成すること、を含む。
【0186】
イソシアネート成分、イソシアネートモノマー、第1のDAPP、ポリオール成分、第2のDAPP、ポリオール及び2成分無溶剤接着剤組成物は、本明細書に開示されるそれぞれのイソシアネート成分、イソシアネートモノマー、第1のDAPP、ポリオール成分、第2のDAPP、ポリオール及び2成分無溶剤接着剤組成物のいずれかであり得る。
【0187】
一実施形態では、上記プロセスは、(a)ダイマー酸とポリオールを含む反応混合物を提供し、(b)上記反応混合物を重縮合してDAPPを形成することによって、第1のDAPP及び/又は第2のDAPPを形成することを含む。
【0188】
上記方法は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0189】
本開示はまた、ラミネートを含む物品を提供する。好適な物品の非限定的な例としては、パッケージ、バッグ、及びパウチが挙げられる。
【0190】
一実施形態では、ラミネートは食料品と接触する。「食料品」は食用の食品である。
【0191】
ここで、限定ではなく例には、本開示のいくつかの実施形態を、以下の実施例で詳細に説明する。
【実施例】
【0192】
実施例で使用される材料を、以下の表1に示す。
【表1】
【0193】
A.ダイマー酸ポリエステルポリオールAの調製
ダイマー酸ポリエステルポリオールA(DAPP-A)を、1,600グラム(g)のATUREX(商標)1001(ダイマー酸)と540gの3-メチル1,5-ペンタンジオール(MPD)を攪拌機とガラスコンデンサーを備えた3,000mLケトルに充填し、反応混合物が液体になるまでケトルを100℃に加熱することによって調製する。反応混合物が液体の状態になったら、攪拌機をオンにし、ケトル内の温度とガラスコンデンサーの温度を監視し、ガラスコンデンサーの最高温度が103℃未満に保たれるようにしながら、反応混合物を混合する。ほとんどの水が除去され、反応混合物の温度が220℃に上昇し、ガラスコンデンサーの最高温度が100℃未満に低下すると、減圧をゆっくりと開始し、減圧開始から30分以内に真空度が25~30mmHgの圧力に達するようにする。25~30mmHgの真空圧を維持して、反応混合物の酸価を25~30分ごとに測定する。反応混合物の酸価が10mg KOH/g未満になるまで、反応混合物にTYZOR(商標)TBT(触媒)を徐々に加える。次に、30mmHgの真空圧を維持しながら、反応混合物の酸価が0.8mg KOH/g以下になるまで、追加のTYZOR(商標)TBT(触媒)を少なくとも1時間かけて段階的に添加する。次に、上記反応生成物(DAPP-A)を60~70℃に冷却する。
【0194】
B.イソシアネート成分の調製
実施例1~3のイソシアネート成分と比較例4のイソシアネート成分は、それぞれ1,000mLのガラス製反応器で調製する。DESMODUR(商標)2460(MDI)を反応器に充填し、窒素下で60℃の温度に維持する。次に、DAPP-A(上記のように調製)、PRIPLAST(商標)3162(ダイマー酸ポリエステルポリオール)及び/又はVORANOL(商標)1010L(ポリプロピレングリコール)を、以下の表2に示す量で反応器に投入する。反応器の内容物を混合し、反応混合物の温度を30分間かけて80℃に上昇させる。次に、NCO含有量が目標のNCO%に達するまで、反応混合物を2~3時間80℃の温度に維持する。反応生成物はイソシアネートプレポリマーである。イソシアネートプレポリマーは、以下に説明するように、ポリオール成分と結合するまで、窒素下で十分に密封された容器に充填する。
【0195】
比較例5及び6のイソシアネート成分は、いずれも、Dow Chemical Companyから入手可能な市販製品(MOR-FREE(商標)706A及びMOR-FREE(商標)698A)である。
【0196】
C.ポリオール成分の調製
実施例1~3と比較例4のポリオール成分は、いずれも、40グラム(g)のダイマー酸ポリエステルポリオール(DAPP-A(上記のように調製)又はPRIPLAST(商標)3162)を60gのVORANOL(商標)CP450(グリセリンプロポキシル化ポリエーテルトリオール)とともに、(水分汚染を防ぐため)窒素下の反応器内において、60℃の温度で30分間混合することによって調製する。各ポリオール成分の組成は、下記表2に示す。混合する前に、真空下で105℃の温度で乾燥することによって、ダイマー酸ポリエステルポリオールとVORANOL(商標)CP450のそれぞれの含水率が500ppm未満に減少する。
【0197】
実施例1~3及び比較例4のポリオール成分は、いずれも、ダイマー酸ポリエステルポリオール及びトリオール(VORANOL(商標)CP450)の混合物である。
【0198】
比較例5及び6のポリオール成分は、いずれも、The Dow Chemical Companyから入手可能な市販製品(それぞれ、Coreactant C79及びCoreactant C83)である。
【0199】
D.2成分無溶剤接着剤組成物の形成
2成分無溶剤接着剤組成物は、(A)上記のように調製されたイソシアネート成分のうちの1つを、(B)上記のように調製されたポリオール成分のうちの1つとともに、ガラス器具内において45℃の温度で混合することによって調製する。2成分無溶剤接着剤組成物が形成される。
【0200】
実施例及び比較例それぞれの接着剤組成物の成分を表2に示す。
【0201】
E.ラミネートの形成
厚さ60μmの単層フィルムであるポリエチレン(PE)フィルムを得る。
【0202】
金属箔フィルムを得る。金属箔フィルムは厚さ20μmの単層膜である。金属箔フィルムは、ADCOTE(商標)545S:Coreactant F(100:11の重量比)(溶剤ベースの2成分ポリウレタン接着剤、The Dow Chemical Companyから市販)を使用してPETフィルムで事前にラミネートし、以下の構造(I)を有する金属箔プレラミネートを形成する。
金属箔フィルム/ADCOTE(商標)545S:Coreactant F 接着剤層/PETフィルム 構造(I)
【0203】
実施例及び比較例の接着剤組成物を、Nordmeccanica SDC Labo Combi400ラミネーターにロードする。ラミネーターのニップ温度を40℃に維持し、ラミネーターを100メートル/分(m/分)の速度で操作する。接着剤組成物を、PEフィルムと金属箔プレラミネートの間に1.8~2.0グラム/平方メートル(g/m2)のコート重量で塗布し、以下の構造(II)を形成する。
PEフィルム/接着剤組成物/金属箔プレラミネート 構造(II)。
【0204】
構造(II)では、接着剤組成物は、金属箔プレラミネート(構造(I)を有する)の金属箔フィルム層の表面に直接接触する。
【0205】
次に、構造(II)を40℃の温度で2日間硬化させ、構造(III)を有するラミネートを形成する。
PEフィルム/接着剤層/金属箔プレラミネート 構造(III)
【0206】
実施例及び比較例それぞれのラミネートの特性を、下記表2に示す。
【0207】
NCO指数は、上記の式(1)に従って計算する。例えば、実施例1のNCO指数は、下記式(1A)に従って計算する。
【数2】
【0208】
F.結果
比較例5と比較例6は、いずれも、(A)イソシアネート成分(それぞれ、MOR-FREE(商標)706A及びMOR-FREE(商標)698A)と、(B)ポリオール成分(それぞれ、Coreactant C79及びCoreactant C83)とから形成された接着剤層を含み、どちらもダイマー酸ポリエステルポリオールを含まない。換言すれば、比較例5及び比較例6の2成分無溶剤接着剤組成物は、いずれも、それぞれの2成分無溶剤接着剤組成物の総重量に基づいて、0重量%のダイマー酸に由来する単位を含む。比較例5及び比較例6の積層構造は、いずれも、ボイルインバッグ試験後に層間剥離を示す。さらに、比較例5及び比較例6のラミネート構造は、いずれも、(i)ボイルインバッグ試験後に1.0N/15mm未満(それぞれ、0.39N/15mm及び0.48N/15mm)の接着強度を示し、(ii)ボイルインバッグ試験後に20N/15mm未満(それぞれ、17.89N/15mm及び17.76N/15mm)のヒートシール強度を示す。このように、比較例5及び比較例6は、いずれも、ボイルインバッグ試験後に不十分な接着強度及びヒートシール強度を示す。
【表2】
【0209】
比較例4は、(A)(i)イソシアネートモノマー(MDI)と、(ii)ポリプロピレングリコールとの反応生成物を含むイソシアネート成分(DAPPを含まない)と、(B)(i)DAPP(DAPP-A)と、(ii)ポリエーテルポリオール(VORANOL(商標)CP450)とを含むポリオール成分と、から形成される接着剤層を含む。比較例4の2成分無溶剤接着剤組成物は、比較例4の2成分無溶剤接着剤組成物の総重量に基づいて、15重量%未満のダイマー酸に由来する単位(9.3重量%)を含む。比較例4のラミネート構造は、ボイルインバッグ試験後に層間剥離を示す。さらに、比較例4のラミネート構造は、(i)1.0N/15mm未満(0.59N/15mm)のボイルインバッグ試験後の接着強度を示し、(ii)20N/15mm未満(14.4N/15mm)のボイルインバッグ試験後のヒートシール強度を示す。このように、比較例4は、ボイルインバッグ試験後に不十分な接着強度及びヒートシール強度を示す。
【0210】
実施例1、実施例2、及び実施例3は、いずれも、(A)(i)イソシアネートモノマー(MDI)と、(ii)DAPP(DAPP-A又はPRIPLAST(商標)3162)との反応生成物を含むイソシアネート成分と、(B)(i)DAPP(DAPP-A又はPRIPLAST(商標)3162)と、(ii)ポリエーテルポリオール(VORANOL(商標)CP450)とを含むポリオール成分と、から形成される接着剤層を含む。実施例1、実施例2、及び実施例3の2成分無溶剤接着剤組成物は、いずれも、それぞれの2成分無溶剤接着剤組成物の総重量に基づいて、15~45重量%のダイマー酸に由来する単位を含む(それぞれ、33.8重量%、21.5重量%、及び16.3重量%)。実施例1、実施例2、及び実施例3のラミネート構造は、いずれも、ボイルインバッグ試験後に良好な外観(すなわち、層間剥離なし)を示す。さらに、実施例1、実施例2、及び実施例3のラミネート構造は、いずれも、(i)ボイルインバッグ試験後に少なくとも1.0N/15mmの接着強度を示し(それぞれ、8.68N/15mm、6.28N/15mm、及び10.38N/15mm)を示し、(ii)ボイルインバッグ試験後に少なくとも20N/15mmのヒートシール強度(それぞれ、46.08N/15mm、60.56N/15mm、及び48.01N/15mm)を示す。このように、実施例1、実施例2、及び実施例3は、いずれも、ボイルインバッグ試験後に十分な接着強度及びヒートシール強度を示す。
【0211】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態及び例示に限定されず、実施形態の一部、及び異なる実施形態の要素の組合せを含むこれらの実施形態の変更された形態を、以下の特許請求の範囲の範囲に該当するものとして含むことが、特に意図されている。