(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】垂直多関節ロボットおよび2軸ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 17/02 20060101AFI20221108BHJP
B25J 9/06 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
B25J17/02 D
B25J9/06 B
(21)【出願番号】P 2021548052
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2019037654
(87)【国際公開番号】W WO2021059404
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】馬目 俊文
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-073487(JP,U)
【文献】特開2010-094749(JP,A)
【文献】特開2015-171746(JP,A)
【文献】特開2004-174704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツールが取り付けられる先端のツールフランジを第1回転軸線周りに回転駆動する第1モータと、前記第1モータにベルト機構を介して連結された第1減速機とを含む第1関節軸部と、
前記第1関節軸部を前記第1回転軸線の延びる方向と直交する方向に延びる第2回転軸線周りに回転駆動する第2モータと、前記第2モータに直結された第2減速機とを含む第2関節軸部と、を備え、
前記第1モータは、先端の前記ツールフランジと前記第2モータとの間に前記第1モータが配置されない状態で、前記第2モータに対して、前記第1回転軸線の延びる方向および前記第2回転軸線の延びる方向のいずれとも直交する方向に重なる部分を有する、垂直多関節ロボット。
【請求項2】
前記第1回転軸線上に前記第2回転軸線が配置されている、請求項1に記載の垂直多関節ロボット。
【請求項3】
前記第1モータは、ブレーキが設けられていないモータであり、
前記第1関節軸部は、前記第2モータを挟んで前記第1モータと対向するように設けられたブレーキを含む、請求項1または2に記載の垂直多関節ロボット。
【請求項4】
前記第1モータは、ブレーキが設けられているモータであり、
前記第1関節軸部は、前記第1モータのブレーキ以外のブレーキを含まないように構成されている、請求項1または2に記載の垂直多関節ロボット。
【請求項5】
前記第1モータは、ブレーキが設けられているモータであり、
前記第1関節軸部は、前記第2モータを挟んで前記第1モータと対向するように設けられたブレーキを含む、請求項1または2に記載の垂直多関節ロボット。
【請求項6】
前記第1モータは、ブレーキが設けられていないモータであり、
前記第1関節軸部は、前記第2モータを挟んで前記第1モータと対向するように設けられたブレーキ付モータを含む、請求項1または2に記載の垂直多関節ロボット。
【請求項7】
前記第1モータは、ブレーキが設けられているモータであり、
前記第1関節軸部は、前記第2モータを挟んで前記第1モータと対向するように設けられたブレーキ付モータを含む、請求項1または2に記載の垂直多関節ロボット。
【請求項8】
ツールが取り付けられる先端のツールフランジを第1回転軸線周りに回転駆動する第1モータと、前記第1モータにベルト機構を介して連結された第1減速機とを含む第1関節軸部と、
前記第1関節軸部を前記第1回転軸線の延びる方向と直交する方向に延びる第2回転軸線周りに回転駆動する第2モータと、前記第2モータに直結された第2減速機とを含む第2関節軸部と、を備え、
前記第1モータは、先端の前記ツールフランジと前記第2モータとの間に前記第1モータが配置されない状態で、前記第2モータに対して、前記第1回転軸線の延びる方向および前記第2回転軸線の延びる方向のいずれとも直交する方向に重なる部分を有する、2軸ロボット。
【請求項10】
ツールが取り付けられる先端のツールフランジを第1回転軸線周りに回転駆動する第1モータと、前記第1モータにベルト機構を介して連結された第1減速機とを含む第1関節軸部と、
前記第1関節軸部を前記第1回転軸線の延びる方向と直交する方向に延びる第2回転軸線周りに回転駆動する第2モータと、前記第2モータに直結された第2減速機とを含む第2関節軸部と、を備え、
前記第1モータは、先端の前記ツールフランジと前記第2モータとの間に前記第1モータが配置されない状態で、前記第2モータに対して、前記第1回転軸線の延びる方向および前記第2回転軸線の延びる方向のいずれとも直交する方向に見て、重なる部分を有する、2軸ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、垂直多関節ロボットおよび2軸ロボットに関し、特に、モータと減速機とを備える垂直多関節ロボットおよび2軸ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータと減速機とを備える垂直多関節ロボットが知られている。このような垂直多関節ロボットは、たとえば、特許第5560260号公報に開示されている。
【0003】
上記特許第5560260号公報には、7軸の垂直多関節ロボットであるマニピュレータ装置が開示されている。このマニピュレータ装置の7つの関節の各々は、サーボモータと、サーボモータに直結された減速機とを備えている。ここで、上記特許第5560260号公報では、7つの関節のうち、エンドエフェクタ(ツール)が取り付けられる第7のアーム体を駆動する先端の第7の関節のサーボモータは、第7のアーム体と第6の関節のサーボモータとの間に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許第5560260号公報に記載されたマニピュレータ装置では、先端の第7の関節のサーボモータが第7のアーム体と第6の関節のサーボモータとの間に配置されているため、第7の関節のサーボモータが第7のアーム体と第6の関節のサーボモータとの間に配置されている分だけ、第7のアーム体が第6の関節の出力軸である回転軸線から遠くなる。このため、先端から2つ目の軸である第6の関節の回転軸線周りの第7のアーム体に起因するイナーシャ(慣性モーメント)が増加するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、先端から2つ目の回転軸線周りのイナーシャ(慣性モーメント)を低減することが可能な垂直多関節ロボットおよび2軸ロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による垂直多関節ロボットは、ツールが取り付けられる先端のツールフランジを第1回転軸線周りに回転駆動する第1モータと、第1モータにベルト機構を介して連結された第1減速機とを含む第1関節軸部と、第1関節軸部を第1回転軸線の延びる方向と直交する方向に延びる第2回転軸線周りに回転駆動する第2モータと、第2モータに直結された第2減速機とを含む第2関節軸部と、を備え、第1モータは、先端のツールフランジと第2モータとの間に第1モータが配置されない状態で、第2モータに対して、第1回転軸線の延びる方向および第2回転軸線の延びる方向のいずれとも直交する方向に重なる部分を有する。
【0008】
この発明の第1の局面による垂直多関節ロボットでは、上記のように、第1回転軸線周りに回転駆動する第1モータを、第1回転軸線の延びる方向と直交する方向に延びる第2回転軸線周りに回転駆動する第2モータに対して、第1回転軸線の延びる方向および第2回転軸線の延びる方向のいずれとも直交する方向に重なる部分を有するように構成する。これにより、第1モータを第2モータに対して第1回転軸線の延びる方向に重なる位置に配置する場合と異なり、第1モータが先端のツールフランジと第2モータとの間に配置されないので、第1モータが先端のツールフランジと第2モータとの間に配置されない分だけ、先端のツールフランジを第2関節軸部の出力軸である第2回転軸線に近づけることができる。その結果、ツールフランジを第2関節軸部の第2回転軸線に近づけた分だけ、先端から2つ目の軸である第2回転軸線周りのイナーシャ(慣性モーメント)を低減することが可能な垂直多関節ロボットを提供することができる。
【0009】
上記第1の局面による垂直多関節ロボットにおいて、好ましくは、第1回転軸線上に第2回転軸線が配置されている。このように構成すれば、第1回転軸線上に第2回転軸線が配置されていない場合と異なり、第1回転軸線周りに回転するツールフランジと第2回転軸線とを同一平面内に配置することができるので、ツールフランジを第2関節軸部の第2回転軸線により近い位置に配置することができる。その結果、第2回転軸線周りのイナーシャをより低減することができる。
【0010】
上記第1の局面による垂直多関節ロボットにおいて、好ましくは、第1モータは、ブレーキが設けられていないモータであり、第1関節軸部は、第2モータを挟んで第1モータと対向するように設けられたブレーキを含む。このように構成すれば、第2モータを挟んで第1モータと対向するようにブレーキを設けることにより、ブレーキもツールフランジと第2モータとの間に配置されないので、第1モータとは別個にブレーキを設ける場合にも、ツールフランジを第2関節軸部に近づけることができる。
【0011】
上記第1の局面による垂直多関節ロボットにおいて、好ましくは、第1モータは、ブレーキが設けられているモータであり、第1関節軸部は、第1モータのブレーキ以外のブレーキを含まないように構成されている。このように構成すれば、第1モータ内にブレーキを含むことができるので、第1モータ外にブレーキを設ける場合と異なり、第1モータと第1モータ外に設けたブレーキとを接続するための構造を設ける必要がない。その結果、第1関節軸部の構造を簡素化することができる。
【0012】
上記第1の局面による垂直多関節ロボットにおいて、好ましくは、第1モータは、ブレーキが設けられているモータであり、第1関節軸部は、第2モータを挟んで第1モータと対向するように設けられたブレーキを含む。このように構成すれば、第2モータを挟んで第1モータと対向するようにブレーキを設けることにより、ブレーキもツールフランジと第2モータとの間に配置されないので、第1モータとは別個にブレーキを設ける場合にも、ツールフランジを第2関節軸部の第2回転軸線に近づけることができる。
【0013】
上記第1の局面による垂直多関節ロボットにおいて、好ましくは、第1モータは、ブレーキが設けられていないモータであり、第1関節軸部は、第2モータを挟んで第1モータと対向するように設けられたブレーキ付モータを含む。このように構成すれば、第2モータを挟んで第1モータと対向するようにブレーキ付モータを設けることにより、ブレーキ付モータもツールフランジと第2モータとの間に配置されないので、第1モータとは別個にブレーキ付モータを設ける場合にも、ツールフランジを第2関節軸部の第2回転軸線に近づけることができる。
【0014】
上記第1の局面による垂直多関節ロボットにおいて、好ましくは、第1モータは、ブレーキが設けられているモータであり、第1関節軸部は、第2モータを挟んで第1モータと対向するように設けられたブレーキ付モータを含む。このように構成すれば、第2モータを挟んで第1モータと対向するようにブレーキ付モータを設けることにより、ブレーキ付モータもツールフランジと第2モータとの間に配置されないので、第1モータとは別個にブレーキ付モータを設ける場合にも、ツールフランジを第2関節軸部の第2回転軸線に近づけることができる。
【0015】
この発明の第2の局面による2軸ロボットは、ツールが取り付けられる先端のツールフランジを第1回転軸線周りに回転駆動する第1モータと、第1モータにベルト機構を介して連結された第1減速機とを含む第1関節軸部と、第1関節軸部を第1回転軸線の延びる方向と直交する方向に延びる第2回転軸線周りに回転駆動する第2モータと、第2モータに直結された第2減速機とを含む第2関節軸部と、を備え、第1モータは、先端のツールフランジと第2モータとの間に第1モータが配置されない状態で、第2モータに対して、第1回転軸線の延びる方向および第2回転軸線の延びる方向のいずれとも直交する方向に重なる部分を有する。
【0016】
この発明の第2の局面による2軸ロボットでは、上記のように、第1回転軸線周りに回転駆動する第1モータを、第1回転軸線の延びる方向と直交する方向に延びる第2回転軸線周りに回転駆動する第2モータに対して、第1回転軸線の延びる方向および第2回転軸線の延びる方向のいずれとも直交する方向に重なる部分を有するよう構成する。これにより、第1モータを第2モータに対して第1回転軸線の延びる方向に重なる位置に配置する場合と異なり、第1モータが先端のツールフランジと第2モータとの間に配置されないので、第1モータが先端のツールフランジと第2モータとの間に配置されない分だけ、先端のツールフランジを第2関節軸部の出力軸である第2回転軸線に近づけることができる。その結果、ツールフランジを第2関節軸部の第2回転軸線に近づけた分だけ、先端から2つ目の軸である第2回転軸線周りのイナーシャ(慣性モーメント)を低減することが可能な2軸ロボットを提供することができる。
この発明の第3の局面による垂直多関節ロボットは、ツールが取り付けられる先端のツールフランジを第1回転軸線周りに回転駆動する第1モータと、第1モータにベルト機構を介して連結された第1減速機とを含む第1関節軸部と、第1関節軸部を第1回転軸線の延びる方向と直交する方向に延びる第2回転軸線周りに回転駆動する第2モータと、第2モータに直結された第2減速機とを含む第2関節軸部と、を備え、第1モータは、先端のツールフランジと第2モータとの間に第1モータが配置されない状態で、第2モータに対して、第1回転軸線の延びる方向および第2回転軸線の延びる方向のいずれとも直交する方向に見て、重なる部分を有する。
この発明の第4の局面による2軸ロボットは、ツールが取り付けられる先端のツールフランジを第1回転軸線周りに回転駆動する第1モータと、第1モータにベルト機構を介して連結された第1減速機とを含む第1関節軸部と、第1関節軸部を第1回転軸線の延びる方向と直交する方向に延びる第2回転軸線周りに回転駆動する第2モータと、第2モータに直結された第2減速機とを含む第2関節軸部と、を備え、第1モータは、先端のツールフランジと第2モータとの間に第1モータが配置されない状態で、第2モータに対して、第1回転軸線の延びる方向および第2回転軸線の延びる方向のいずれとも直交する方向に見て、重なる部分を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記のように、先端から2つ目の回転軸線周りのイナーシャ(慣性モーメント)を低減することが可能な垂直多関節ロボットおよび2軸ロボットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態による垂直多関節ロボットの全体構成を示した斜視図である。
【
図2】第1実施形態による垂直多関節ロボットの第5、6関節軸部ユニットを示した斜視図である。
【
図3】第1実施形態による垂直多関節ロボットの第5、6関節軸部を示した断面図である。
【
図4】第1実施形態による垂直多関節ロボットの第5、6関節軸部ユニットを示した断面図である。
【
図5】第1実施形態の第1変形例による垂直多関節ロボットの第5、6関節軸部ユニットを示した断面図である。
【
図6】第1実施形態の第2変形例による垂直多関節ロボットの第5、6関節軸部ユニットを示した断面図である。
【
図7】第1実施形態の第3変形例による垂直多関節ロボットの第5、6関節軸部ユニットを示した断面図である。
【
図8】第1実施形態の第4変形例による垂直多関節ロボットの第5、6関節軸部ユニットを示した断面図である。
【
図9】第2実施形態による2軸ロボットの全体構成を示した平面図である。
【
図10】第2実施形態による2軸ロボットを水平多関節ロボットに取り付けた状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
[第1実施形態]
(垂直多関節ロボットの構成)
図1~
図4を参照して、本発明の第1実施形態による垂直多関節ロボット100の構成について説明する。
【0021】
垂直多関節ロボット100は、
図1に示すように、6の自由度を有する6軸ロボットである。垂直多関節ロボット100は、ベース部100aを介して、床などの設置面に設置されるように構成されている。
【0022】
垂直多関節ロボット100は、複数(6つ)のアーム部1~6と、複数のアーム部1~6を回転駆動する複数(6つ)の関節軸部10~60とを備えている。複数のアーム部1~6は、第1アーム部1、第2アーム部2、第3アーム部3、第4アーム部4、第5アーム部5および第6アーム部6を含んでいる。また、複数の関節軸部10~60は、第1関節軸部10、第2関節軸部20、第3関節軸部30、第4関節軸部40、第5関節軸部50および第6関節軸部60を含んでいる。なお、第5関節軸部50および第6関節軸部60は、それぞれ、請求の範囲の「第2関節軸部」および「第1関節軸部」の一例である。
【0023】
第1関節軸部10は、鉛直方向(Z方向)に沿った方向に延びる回転軸線A1周りに、第1アーム部1を回転駆動するように構成されている。第1アーム部1は、第1関節軸部10と第2関節軸部20とを連結するように構成されている。第2関節軸部20は、第2アーム部2が延びる方向と直交する幅方向(X方向、水平方向)に沿った方向に延びる回転軸線A2周りに、第2アーム部2を回転駆動するように構成されている。第2アーム部2は、第2関節軸部20と第3関節軸部30とを連結するように構成されている。第3関節軸部30は、第3アーム部3が延びる方向と直交する幅方向(X方向、水平方向)に沿った方向に延びる回転軸線A3周りに、第3アーム部3を回転駆動するように構成されている。第3アーム部3は、第3関節軸部30と第4関節軸部40とを連結するように構成されている。
【0024】
第4関節軸部40は、第4アーム部4が延びる方向(Y方向)に沿った方向に延びる回転軸線A4周りに、第4アーム部4を回転駆動するように構成されている。第4アーム部4は、第4関節軸部40と第5関節軸部50とを連結するように構成されている。第5関節軸部50は、水平方向(X方向)に沿った方向に延びる回転軸線A5周りに、第5アーム部5を回転駆動するように構成されている。第5アーム部5は、第5関節軸部50と第6関節軸部60とを連結するように構成されている。第6関節軸部60は、回転軸線A5に直交する方向(Y方向)に沿った方向に延びる回転軸線A6周りに、第6アーム部6を回転駆動するように構成されている。第6アーム部6は、ツールフランジであり、ツール6a(エンドエフェクタ)が取り付けられるように構成されている。第5関節軸部50、第5アーム部5、第6関節軸部60および第6アーム部6は、手首構造に対応する。なお、回転軸線A5およびA6は、それぞれ、請求の範囲の「第2回転軸線」および「第1回転軸線」の一例である。
【0025】
(第5、6関節軸部の構成)
図2~
図4に示すように、手首構造に対応する第5関節軸部50および第6関節軸部60は、第5関節軸部50と、第6関節軸部60と、第5アーム部5と、第6アーム部6とを一体的に含む第5、6関節軸部ユニット50aを形成するように構成されている。第5、6関節軸部ユニット50aは、第5関節軸部50と、第6関節軸部60と、第5アーム部5と、第6アーム部6とを一体的に含む状態で、取り付けおよび取り外しが可能なように構成されている。これにより、第5関節軸部50と、第6関節軸部60と、第5アーム部5と、第6アーム部6とを一体的に扱うことができるので、第5関節軸部50と、第6関節軸部60と、第5アーム部5と、第6アーム部6との組立および交換を容易に行うことができる。
【0026】
第5関節軸部50は、モータ51と、減速機52と、ブレーキ53と、オイルシール54とを含んでいる。なお、モータ51および減速機52は、それぞれ、請求の範囲の「第2モータ」および「第2減速機」の一例である。
【0027】
モータ51は、第5アーム部5を回転駆動することにより、回転軸線A6の延びる方向と直交する方向(X方向)に延びる回転軸線A5周りに、第6関節軸部60を回転駆動するように構成されている。モータ51は、図示しないねじなどの固定具により、第5アーム部5に取り付けられている。モータ51は、筺体51aと、モータシャフト51bとを含んでいる。筺体51aは、固定子、回転子などを収容するように構成されている。一方、筺体51aは、ブレーキおよびオイルシールを収容しないように構成されている。すなわち、モータ51は、ブレーキおよびオイルシールを筺体51a内に含まない、ブレーキ、オイルシールなしモータである。このため、モータ51の筺体51aは、ブレーキ、オイルシールを筺体内に含む、ブレーキ、オイルシール付モータの筺体に比べて、軸方向(X方向)の長さが小さい。モータシャフト51bは、モータ51の出力軸であり、回転軸線A5の延びる方向(X方向)に沿った方向に延びるように構成されている。モータシャフト51bは、減速機52に直結されている。
【0028】
減速機52は、モータ51と同軸に配置されているとともに、モータ51のモータシャフト51bに直結されている。減速機52は、ウェーブジェネレータ52aと、フレクススプライン52bと、サーキュラスプライン52cとを含む波動歯車減速機である。ウェーブジェネレータ52aは、減速機52の入力部であり、モータシャフト51bが連結用の貫通孔152aに挿入されることにより、モータシャフト51bに連結されている。フレクススプライン52bは、減速機52の出力部であり、第5アーム部5に連結されている。サーキュラスプライン52cは、減速機52の固定部であり、フレクススプライン52bに取り付けられている。また、減速機52は、軸受部52dを含んでいる。軸受部52dは、フレクススプライン52bを回転可能に保持している。軸受部52dは、クロスローラベアリングである。
【0029】
また、ウェーブジェネレータ52aは、回転中心にモータシャフト51bの挿入用の貫通孔152aを有する楕円型の円盤形状を有している。ウェーブジェネレータ52aは、フレクススプライン52bの後述する円筒部152bに圧入されることにより、フレクススプライン52bに取り付けられている。フレクススプライン52bは、円筒部152bと、フランジ部152cとを有している。円筒部152bは、中空形状を有し、回転軸線A5の延びる方向(X方向)に沿った方向に延びるように構成されている。円筒部152bは、サーキュラスプライン52cの内歯と噛み合う外歯を有している。フランジ部152cは、円環形状を有し、円筒部152bのモータ51側(X2方向側)の端部から、外側(回転中心から離れる側)に延びるように構成されている。サーキュラスプライン52cは、円環形状を有するとともに、フレクススプライン52bの外歯と噛み合う内歯を有している。
【0030】
減速機52の出力部であるフレクススプライン52bは、フランジ部152cにおいて、図示しないねじなどの固定具により、第5アーム部5に取り付けられている。また、減速機52の固定部であるサーキュラスプライン52cは、ねじなどの固定具7aにより、第4アーム部4に取り付けられている。
【0031】
ブレーキ53は、モータ51を保持するように構成されている。ブレーキ53は、非通電時にモータ51を保持するとともに、通電時にモータ51の保持を解除する無励磁作動型の電磁ブレーキである。ブレーキ53のブレーキハブ53aは、セットスクリュにより、モータシャフト51bの中央部に取り付けられている。ブレーキ53の本体部53bは、図示しないねじなどの固定具により、第5アーム部5のブレーキ保持部5aに取り付けられている。オイルシール54は、減速機52のグリスをシールするように構成されている。オイルシール54は、モータシャフト51bに装着されている。また、オイルシール54は、第4アーム部4および第5アーム部5とは別個に設けられたオイルシール保持部8に保持されている。
【0032】
ブレーキ53およびオイルシール54は、モータ51とは別個に、モータ51の筺体51a外に設けられている。ブレーキ53およびオイルシール54は、回転軸線A5の延びる方向(X方向)に沿った方向において、モータ51の筺体51aと、減速機52のウェーブジェネレータ52aとの間に配置されている。ブレーキ53およびオイルシール54は、モータ51側(X2方向側)から減速機52側(X1方向側)に向かって、この順に配置されている。
【0033】
第6関節軸部60は、モータ61(
図4参照)と、減速機62と、ブレーキ63(
図4参照)と、ベルト機構64とを含んでいる。なお、モータ61および減速機62は、それぞれ、請求の範囲の「第1モータ」および「第1減速機」の一例である。
【0034】
モータ61は、ツールフランジである第6アーム部6を回転軸線A6周りに回転駆動するように構成されている。モータ61は、図示しないねじなどの固定具により、第5アーム部5に取り付けられている。モータ61は、筺体61aと、モータシャフト61bとを含んでいる。筺体61aは、固定子、回転子などを収容するように構成されている。一方、筺体61aは、ブレーキを収容しないように構成されている。すなわち、モータ61は、ブレーキを筺体61a内に含まない(ブレーキが設けられていない)、ブレーキなしモータである。このため、モータ61の筺体61aは、ブレーキを筺体内に含む、ブレーキ付モータ(ブレーキが設けられたモータ)の筺体に比べて、軸方向(Y方向)の長さが小さい。モータシャフト61bは、モータ61の出力軸であり、回転軸線A6の延びる方向(Y方向)に沿った方向に延びるように構成されている。モータシャフト61bは、ベルト機構64を介して減速機62に連結されている。
【0035】
ここで、第1実施形態では、モータ61は、モータ51に対して、回転軸線A6の延びる方向(Y方向)および回転軸線A5の延びる方向(X方向)のいずれとも直交する方向(Z方向)に重なる部分61cを有している。部分61cは、筺体61aの一部を含む部分である。部分61cは、モータ51に対して、回転軸線A6の延びる方向(Y方向)および回転軸線A5の延びる方向(X方向)のいずれとも直交する方向(Z方向)に重なる位置に配置されている。具体的には、モータ61は、筺体61aの一部を含む部分61cがモータ51の筺体51aとZ方向に対向するように配置されている。モータ61の筺体61aのY1方向側の第1端部161aは、モータ51の筺体51aのY1方向側の第1端部151aよりも、Y1方向側に配置されている。また、モータ61の筺体61aのY2方向側の第2端部161bは、モータ51の筺体51aのY2方向側の第2端部151bよりも、Y2方向側に配置されている。すなわち、モータ61の筺体61aは、モータ51の筺体51aの第1端部151aから第2端部151bに亘って、筺体51aとZ方向に対向するように配置されている。また、モータ61は、モータ51とZ方向に近接した位置に配置されている。
【0036】
また、第1実施形態では、回転軸線A6上に回転軸線A5が配置されている。言い換えると、回転軸線A5上に回転軸線A6が配置されている。回転軸線A6および回転軸線A5は、同一平面内(X-Y平面内)に配置されている。すなわち、第6関節軸部60の出力軸と第5関節軸部50の出力軸とは、同一平面内に配置されている。このため、ツールフランジである第6アーム部6と、第6関節軸部60の減速機62と、第5関節軸部50のモータ51および減速機52とは、回転軸線A6の延びる方向(Y方向)および回転軸線A5の延びる方向(X方向)のいずれとも直交する方向(Z方向)において、同じ高さ位置に位置するように配置されている。また、ツールフランジである第6アーム部6と、第6関節軸部60の減速機62と、第5関節軸部50のモータ51とは、回転軸線A6の延びる方向に重なる位置に配置されている。
【0037】
減速機62は、モータ61と軸が重ならないように配置されているとともに、モータ61のモータシャフト61bにベルト機構64を介して連結されている。減速機62は、ウェーブジェネレータ62aと、フレクススプライン62bと、サーキュラスプライン62cとを含む波動歯車減速機である。ウェーブジェネレータ62aは、減速機62の入力部であり、入力軸162aがベルト機構64の後述するプーリ64bに連結されることにより、ベルト機構64を介してモータシャフト61bに連結されている。フレクススプライン62bは、減速機62の出力部であり、第6アーム部6に連結されている。サーキュラスプライン62cは、減速機62の固定部であり、フレクススプライン62bに取り付けられている。また、減速機62は、軸受部62dを含んでいる。軸受部62dは、フレクススプライン62bを回転可能に保持している。軸受部62dは、クロスローラベアリングである。
【0038】
また、ウェーブジェネレータ62aは、入力軸162aと、円盤部162bとを有している。ウェーブジェネレータ62aは、円盤部162bがフレクススプライン62bの後述する円筒部162cに圧入されることにより、フレクススプライン62bに取り付けられている。フレクススプライン62bは、カップ形状を有し、カップの側部である円筒部162cと、カップの底部162dとを有している。円筒部162cは、中空形状を有し、回転軸線A6の延びる方向(Y方向)に沿った方向に延びるように構成されている。円筒部162cは、サーキュラスプライン62cの内歯と噛み合う外歯を有している。底部162dは、円筒部162cのモータ61側とは反対側(Y1方向側)の端部から、内側(回転中心に近づく側)に延びるように構成されている。サーキュラスプライン62cは、円環形状を有するとともに、フレクススプライン62bの外歯と噛み合う内歯を有している。
【0039】
減速機62の出力部であるフレクススプライン62bは、底部162dにおいて、ねじなどの固定具7bにより、第6アーム部6に取り付けられている。また、減速機62の固定部であるサーキュラスプライン62cは、図示しないねじなどの固定具により、第5アーム部5に取り付けられている。
【0040】
ブレーキ63は、モータ61を保持するように構成されている。ブレーキ63は、非通電時にモータ61を保持するとともに、通電時にモータ61の保持を解除する無励磁作動型の電磁ブレーキである。ブレーキ63は、モータ61とは別個に、モータ61の筺体61a外に設けられている。
【0041】
また、第1実施形態では、ブレーキ63は、回転軸線A6の延びる方向(Y方向)および回転軸線A5の延びる方向(X方向)のいずれとも直交する方向(Z方向)において、モータ51を挟んで、モータ61と対向するように配置されている。このため、ブレーキ63は、モータ51に対して、回転軸線A6の延びる方向および回転軸線A5の延びる方向のいずれとも直交する方向に重なる位置に配置されている。ブレーキ63の筺体63aのY1方向側の第1端部163aは、モータ51の筺体51aのY1方向側の第1端部151aよりも、Y1方向側に配置されている。また、ブレーキ63の筺体63aのY2方向側の第2端部163bは、モータ51の筺体51aのY2方向側の第2端部151bよりも、Y1方向側に配置されている。すなわち、ブレーキ63の筺体63aは、モータ51の筺体51aの第1端部151aから第2端部151bよりもY1方向側の位置に亘って、筺体51aとZ方向に対向するように配置されている。また、ブレーキ63は、モータ51とZ方向に近接した位置に配置されている。
【0042】
また、ブレーキ63およびモータ61は、回転軸線A6および回転軸線A5を含む平面(X-Y平面内)を挟んで、互いに対向するように配置されている。すなわち、ブレーキ63およびモータ61は、回転軸線A6および回転軸線A5を含む平面に対して、一方側および他方側にそれぞれ配置されている。また、ブレーキ63およびモータ61は、回転軸線A5に直交する同一平面内に配置されている。
【0043】
ベルト機構64は、モータ61による駆動力を減速機62に伝達するように構成されている。また、ベルト機構64は、ブレーキ63による制動力(保持力)をモータ61に伝達するように構成されている。ベルト機構64は、複数(3つ)のプーリ64a~64cと、複数(2つ)のベルト64dおよび64eとを含んでいる。プーリ64aは、ねじなどの固定具7cにより、モータシャフト61bに取り付けられている。プーリ64bは、ねじなどの固定具7dにより、ウェーブジェネレータ62aの入力軸162aに取り付けられている。プーリ64cは、ねじなどの固定具7eにより、ブレーキ63の入力軸63bに取り付けられている。ベルト64dは、プーリ64aとプーリ64bとの間に掛け渡されている。ベルト64eは、プーリ64bとプーリ64cとの間に掛け渡されている。ベルト機構64の少なくとも一部(プーリ64b、ベルト64d、ベルト64eなど)は、減速機62と、モータ51との間に配置されている。なお、ベルト機構64のY方向の大きさは、モータ61のY方向の大きさよりも小さい。
【0044】
第5、6関節軸部ユニット50aは、第5関節軸部50のモータ51、減速機52、ブレーキ53およびオイルシール54と、第6関節軸部60のモータ61、減速機62、ブレーキ63およびベルト機構64と、オイルシール保持部8と、第5アーム部5と、第6アーム部6とを一体的に含むように構成されている。また、第5、6関節軸部ユニット50aは、第5関節軸部50のモータ51、減速機52、ブレーキ53およびオイルシール54と、第6関節軸部60のモータ61、減速機62、ブレーキ63およびベルト機構64と、オイルシール保持部8と、第5アーム部5と、第6アーム部6とを一体的に含む状態で、取り付けおよび取り外しが可能なように構成されている。
【0045】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0046】
第1実施形態では、上記のように、回転軸線A6周りに回転駆動するモータ61を、回転軸線A6の延びる方向と直交する方向に延びる回転軸線A5周りに回転駆動するモータ51に対して、回転軸線A6の延びる方向および回転軸線A5の延びる方向のいずれとも直交する方向に重なる位置に配置する。これにより、モータ61をモータ51に対して回転軸線A6の延びる方向に重なる位置に配置する場合と異なり、モータ61がツールフランジである先端の第6アーム部6とモータ51との間に配置されないので、モータ61がツールフランジである先端の第6アーム部6とモータ51との間に配置されない分だけ、ツールフランジである先端の第6アーム部6を第5関節軸部50の出力軸である回転軸線A5に近づけることができる。その結果、ツールフランジである第6アーム部6を第5関節軸部50の回転軸線A5に近づけた分だけ、先端から2つ目の軸である回転軸線A5周りのイナーシャ(慣性モーメント)を低減することができる。
【0047】
また、上記のように、第6関節軸部60を、モータ61およびモータ61にベルト機構64を介して連結された減速機62を含むように構成する。これにより、第6関節軸部60を、モータ61と減速機62とをベルト機構64を介して接続する構造にすることができるので、モータ61と減速機62とをベルト機構64を介さずに直接接続する直結構造にする場合に比べて、モータ61の配置の自由度を向上させることができる。その結果、モータ61を、モータ51に対して、回転軸線A6の延びる方向および回転軸線A5の延びる方向のいずれとも直交する方向に重なる位置に容易に配置することができる。
【0048】
また、上記のように、第5関節軸部50を、モータ51およびモータ51に直結された減速機52を含むように構成する。これにより、第6関節軸部60に比べてツール6aによる作業点から遠いために負荷が大きい第5関節軸部50を、モータ51と減速機52とをベルト機構を介さずに直接接続する直結構造とすることができる。その結果、モータ51と減速機52とをベルト機構を介して接続する場合と異なり、ベルトの伸びに起因して位置決め精度が低下することを効果的に防止することができる。
【0049】
また、第1実施形態では、上記のように、回転軸線A6上に回転軸線A5を配置する。これにより、回転軸線A6上に回転軸線A5が配置されていない場合と異なり、回転軸線A6周りに回転するツールフランジである第6アーム部6と回転軸線A5とを同一平面内に配置することができるので、ツールフランジである第6アーム部6を第5関節軸部50の回転軸線A5により近い位置に配置することができる。その結果、回転軸線A5周りのイナーシャをより低減することができる。
【0050】
また、第1実施形態では、上記のように、モータ61を、ブレーキが設けられていないモータであるように構成する。また、第6関節軸部60を、モータ51を挟んでモータ61と対向するように設けられたブレーキ63を含むように構成する。これにより、モータ61がブレーキ付モータ(ブレーキが設けられたモータ)である場合に比べて、モータ61を小型化することができる。また、モータ51を挟んでモータ61と対向するようにブレーキ63を設けることにより、ブレーキ63もツールフランジである第6アーム部6とモータ51との間に配置されないので、モータ61とは別個にブレーキ63を設ける場合にも、ツールフランジである第6アーム部6を第5関節軸部50に近づけることができる。
【0051】
[第1実施形態の第1変形例]
次に、
図5を参照して、第1実施形態の第1変形例について説明する。この第1実施形態の第1変形例では、第6関節軸部60にブレーキが設けられていないモータであるモータ61とブレーキ63とを設けた上記第1実施形態とは異なり、第6関節軸部260にブレーキ付モータであるモータ261を設けた例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。なお、第6関節軸部260は、請求の範囲の「第1関節軸部」の一例である。また、モータ261は、請求の範囲の「第1モータ」の一例である。
【0052】
(第6関節軸部の構成)
本発明の第1実施形態の第1変形例による第6関節軸部260は、
図5に示すように、ブレーキを筺体61a内に含むブレーキ付モータ(ブレーキが設けられたモータ)であるモータ261を含んでいる。一方、第6関節軸部260は、モータ261のブレーキ以外のブレーキを含まないように構成されている。すなわち、第6関節軸部260は、上記第1実施形態のブレーキ63を含まないように構成されている。また、第6関節軸部260は、上記第1実施形態のベルト機構64のブレーキ63用の構成であるプーリ64cとベルト64eとも含まないように構成されている。
【0053】
なお、第1実施形態の第1変形例のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0054】
(第1変形例の効果)
第1変形例では、上記のように、モータ261は、ブレーキが設けられたモータであるように構成する。また、第6関節軸部260を、モータ261のブレーキ以外のブレーキを含まないように構成する。これにより、モータ261内にブレーキを含むことができるので、モータ261外にブレーキを設ける場合と異なり、モータ261とモータ261外に設けたブレーキとを接続するための構造を設ける必要がない。その結果、第6関節軸部260の構造を簡素化することができる。また、第1実施形態の第1変形例では、上記第1実施形態のブレーキ63、プーリ64cおよびベルト64eを含まない分だけ、ベルト機構64を小型化することができる。その結果、ベルト機構64を小型化した分だけ、ツールフランジである第6アーム部6を第5関節軸部50の回転軸線A5により近づけることができる。
【0055】
なお、第1実施形態の第1変形例のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0056】
[第1実施形態の第2変形例]
次に、
図6を参照して、第1実施形態の第2変形例について説明する。この第1実施形態の第2変形例では、第6関節軸部60にブレーキが設けられていないモータであるモータ61とブレーキ63とを設けた上記第1実施形態とは異なり、第6関節軸部360にブレーキ付モータであるモータ261とブレーキ63とを設けた例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。なお、第6関節軸部360は、請求の範囲の「第1関節軸部」の一例である。
【0057】
(第6関節軸部の構成)
本発明の第1実施形態の第2変形例による第6関節軸部360は、
図6に示すように、上記第1実施形態の第1変形例のブレーキ付モータであるモータ261と、上記第1実施形態のブレーキ63とを含んでいる。ブレーキ63は、上記第1実施形態と同様に、モータ51を挟んでモータ261と対向するように設けられている。なお、詳細な説明は省略するが、モータ261とブレーキ63とモータ51との位置関係は、上記第1実施形態のモータ61とブレーキ63とモータ51との位置関係と同様である。
【0058】
なお、第1実施形態の第2変形例のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0059】
(第2変形例の効果)
第2変形例では、上記のように、モータ261を、ブレーキが設けられたモータであるように構成する。また、第6関節軸部360を、モータ51を挟んでモータ261と対向するように設けられたブレーキ63を含むように構成する。これにより、ブレーキ付モータであるモータ261とモータ261とは別のブレーキ63とにより保持を行うことができるので、第6関節軸部360の保持力を高めることができる。また、モータ51を挟んでモータ261と対向するようにブレーキ63を設けることにより、ブレーキ63もツールフランジである第6アーム部6とモータ51との間に配置されないので、モータ261とは別個にブレーキ63を設ける場合にも、ツールフランジである第6アーム部6を第5関節軸部50の回転軸線A5に近づけることができる。
【0060】
なお、第1実施形態の第2変形例のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0061】
[第1実施形態の第3変形例]
次に、
図7を参照して、第1実施形態の第3変形例について説明する。この第1実施形態の第3変形例では、第6関節軸部60にブレーキが設けられていないモータであるモータ61とブレーキ63とを設けた上記第1実施形態とは異なり、第6関節軸部460にブレーキが設けられていないモータであるモータ61とブレーキ付モータ465とを設けた例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。なお、第6関節軸部460は、請求の範囲の「第1関節軸部」の一例である。
【0062】
(第6関節軸部の構成)
本発明の第1実施形態の第3変形例による第6関節軸部460は、
図7に示すように、上記第1実施形態のモータ61と、ブレーキ付モータ465とを含んでいる。
【0063】
ブレーキ付モータ465は、モータ61と共に、ツールフランジである第6アーム部6を回転軸線A6周りに回転駆動するように構成されている。ブレーキ付モータ465は、モータ61と同期してアーム部6を回転駆動するように構成されている。ブレーキ付モータ465は、筺体465aと、モータシャフト465bとを含んでいる。筺体465aは、固定子、回転子、ブレーキなどを収容するように構成されている。すなわち、ブレーキ付モータ465は、ブレーキを筺体465a内に含むモータ(ブレーキが設けられたモータ)である。モータシャフト465bは、モータ465の出力軸であり、回転軸線A6の延びる方向(Y方向)に沿った方向に延びるように構成されている。モータシャフト465bは、上記第1実施形態のブレーキ63と同様に、ベルト機構64を介して減速機62に連結されている。
【0064】
ブレーキ付モータ465は、モータ51を挟んでモータ61と対向するように設けられている。なお、詳細な説明は省略するが、モータ61とブレーキ付モータ465とモータ51との位置関係は、上記第1実施形態のモータ61とブレーキ63とモータ51との位置関係と同様である。
【0065】
なお、第1実施形態の第3変形例のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0066】
(第3変形例の効果)
第3変形例では、上記のように、モータ61を、ブレーキが設けられていないモータであるように構成する。また、第6関節軸部460を、モータ51を挟んでモータ61と対向するように設けられたブレーキ付モータ465を含むように構成する。これにより、モータ61がブレーキ付モータである場合に比べて、モータ61を小型化することができる。また、モータ61とモータ61とは別のブレーキ付モータ465とによりツールフランジである第6アーム部6を回転駆動することができるので、第6関節軸部460の駆動力を高めることができる。あるいは、モータ61とは別のブレーキ付モータ465によりモータ61の駆動力を負担することができるので、ブレーキ付モータ465により駆動力を負担した分だけ、モータ61を小型化することができる。また、モータ51を挟んでモータ61と対向するようにブレーキ付モータ465を設けることにより、ブレーキ付モータ465もツールフランジである第6アーム部6とモータ51との間に配置されないので、モータ61とは別個にブレーキ付モータ465を設ける場合にも、ツールフランジである第6アーム部6を第5関節軸部50の回転軸線A5に近づけることができる。
【0067】
なお、第1実施形態の第3変形例のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0068】
[第1実施形態の第4変形例]
次に、
図8を参照して、第1実施形態の第4変形例について説明する。この第1実施形態の第4変形例では、第6関節軸部60にブレーキが設けられていないモータであるモータ61とブレーキ63とを設けた上記第1実施形態とは異なり、第6関節軸部560にブレーキ付モータであるモータ261とブレーキ付モータ465とを設けた例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。なお、第6関節軸部560は、請求の範囲の「第1関節軸部」の一例である。
【0069】
(第6関節軸部の構成)
本発明の第1実施形態の第4変形例による第6関節軸部560は、
図8に示すように、上記第1実施形態の第1変形例のモータ261と、上記第1実施形態の第3変形例のブレーキ付モータ465とを含んでいる。ブレーキ付モータ465は、モータ51を挟んでモータ261と対向するように設けられている。なお、詳細な説明は省略するが、モータ261とブレーキ付モータ465とモータ51との位置関係は、上記第1実施形態のモータ61とブレーキ63とモータ51との位置関係と同様である。
【0070】
なお、第1実施形態の第4変形例のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0071】
(第4変形例の効果)
第4変形例では、上記のように、モータ261を、ブレーキが設けられたモータであるように構成する。また、第6関節軸部560を、モータ51を挟んでモータ261と対向するように設けられたブレーキ付モータ465を含むように構成する。これにより、ブレーキ付モータであるモータ261とモータ261とは別のブレーキ付モータ465とにより保持を行うことができるので、第6関節軸部560の保持力を高めることができる。また、モータ261とモータ261とは別のブレーキ付モータ465とによりツールフランジである第6アーム部6を回転駆動することができるので、第6関節軸部560の駆動力を高めることができる。あるいは、モータ261とは別のブレーキ付モータ465によりモータ261の駆動力を負担することができるので、ブレーキ付モータ465により駆動力を負担した分だけ、モータ261を小型化することができる。また、モータ51を挟んでモータ261と対向するようにブレーキ付モータ465を設けることにより、ブレーキ付モータ465もツールフランジである第6アーム部6とモータ51との間に配置されないので、モータ261とは別個にブレーキ付モータ465を設ける場合にも、ツールフランジである第6アーム部6を第5関節軸部50の回転軸線A5に近づけることができる。
【0072】
なお、第1実施形態の第4変形例のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0073】
[第2実施形態]
次に、
図9および
図10を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、垂直多関節ロボットの例について説明した上記第1実施形態とは異なり、2軸ロボットの例について説明する。
【0074】
(2軸ロボットの構成)
第2実施形態による2軸ロボット500は、
図9に示すように、2の自由度を有するロボットである。2軸ロボット500は、取付部500aを介して、水平多関節ロボット600(
図10参照)などの取付対象に取り付けられるように構成されている。
【0075】
2軸ロボット500は、2つのアーム部501および502と、2つのアーム部501および502を回転駆動する2つの関節軸部510および520とを備えている。関節軸部510は、回転軸線A7周りに、アーム部501を回転駆動するように構成されている。アーム部501は、関節軸部510と関節軸部520とを連結するように構成されている。関節軸部520は、回転軸線A7に直交する方向に沿った方向に延びる回転軸線A8周りに、アーム部502を回転駆動するように構成されている。アーム部502は、ツールフランジであり、ツール(エンドエフェクタ)が取り付けられるように構成されている。なお、関節軸部510および520は、それぞれ、請求の範囲の「第2関節軸部」および「第1関節軸部」の一例である。また、回転軸線A7およびA8は、それぞれ、請求の範囲の「第2回転軸線」および「第1回転軸線」の一例である。
【0076】
詳細な説明は省略するが、関節軸部510および関節軸部520は、関節軸部510と、関節軸部520と、アーム部501と、アーム部502とを一体的に含む関節軸部ユニット510aを形成するように構成されている。詳細な説明は省略するが、関節軸部ユニット510aは、上記第1実施形態の第5、6関節軸部ユニット50aと同様の構成を有している。すなわち、関節軸部ユニット510aは、
図2~
図4に示す構造を有している。なお、関節軸部ユニット510aは、上記第1実施形態の第1~第4変形例に示す構造を有していてもよい。2軸ロボット500では、関節軸部ユニット510aは、取付部500aを端部に有する支持体503に支持されている。
【0077】
図10に示すように、2軸ロボット500は、水平多関節ロボット600に取り付けて用いることができる。水平多関節ロボット600は、4の自由度を有する4軸ロボットである。水平多関節ロボット600は、複数(3つ)の関節軸部610、620および640と、鉛直軸部630とを備えている。関節軸部610、620および640は、それぞれ、鉛直方向に沿って延びる回転軸線B1、B2およびB4周りの回転駆動を行うように構成されている。また、鉛直軸部630は、鉛直方向に沿って延びる回転軸線B3周りの回転駆動を行うことにより、関節軸部640を鉛直方向に駆動するように構成されている。2軸ロボット500は、水平多関節ロボット600の関節軸部640に連結されている。この場合、2軸ロボット500は、水平多関節ロボット600の第5関節軸部および第6関節軸部として機能する。
【0078】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0079】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0080】
第2実施形態では、上記のように、上記第1実施形態の第5、6関節軸部ユニット50aと同様に関節軸部ユニット510aを構成する。これにより、上記第1実施形態と同様に、先端から2つ目の軸である回転軸線A7周りのイナーシャ(慣性モーメント)を低減することができる。
【0081】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0082】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0083】
たとえば、上記第1実施形態では、垂直多関節ロボットが、6の自由度を有する6軸ロボットである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、5以下の自由度を有するロボットであってもよいし、7以上の自由度を有するロボットであってもよい。
【0084】
また、上記第1実施形態では、本発明の狭幅関節軸部が、回転軸線A6(第1回転軸線)上に回転軸線A5(第2回転軸線)が配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1回転軸線上に第2回転軸線が配置されていなくてもよい。すなわち、第1回転軸線と第2回転軸線とが同一平面内に配置されていなくてもよい。
【0085】
また、上記第1実施形態では、第5関節軸部(本発明の第2関節軸部)と、第6関節軸部(本発明の第1関節軸部)とを一体的に含む第5、6関節軸部ユニットが形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1関節軸部と、第2関節軸部とを一体的に含むユニットが形成されていなくてもよい。
【0086】
また、上記第1~第2実施形態では、減速機が波動歯車減速機である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、減速機が波動歯車減速機以外の減速機であってもよい。
【符号の説明】
【0087】
6 第6アーム部(ツールフランジ)
6a ツール
50 第5関節軸部(第2関節軸部)
51 モータ(第2モータ)
52 減速機(第2減速機)
60、260、360、460、560 第6関節軸部(第1関節軸部)
61、261 モータ(第1モータ)
62 減速機(第1減速機)
64 ベルト機構
100 垂直多関節ロボット
465 ブレーキ付モータ
500 2軸ロボット
502 アーム部(ツールフランジ)
510 関節軸部(第2関節軸部)
520 関節軸部(第1関節軸部)
A5、A7 回転軸線(第2回転軸線)
A6、A8 回転軸線(第1回転軸線)