(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】無線受電装置、無線送電装置、ワイヤレスイヤホン、LED装置及び無線送受電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/20 20160101AFI20221108BHJP
H02J 50/27 20160101ALI20221108BHJP
【FI】
H02J50/20
H02J50/27
(21)【出願番号】P 2021548098
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 JP2019037972
(87)【国際公開番号】W WO2021059453
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 勝英
(72)【発明者】
【氏名】矢作 保夫
(72)【発明者】
【氏名】秋山 仁
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-199857(JP,A)
【文献】特表2013-511955(JP,A)
【文献】特開2017-212849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 - 50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線受電装置であって、
RFID応答器と、
ビーコン信号を生成するビーコン信号発振器と、
受電アンテナと、
前記ビーコン信号発振器、前記RFID応答器、及び前記受電アンテナの其々に接続されたRFID-ビーコン切替スイッチと、
前記RFID-ビーコン切替スイッチの切替制御を行う受電側制御回路と、を備え、
前記RFID-ビーコン切替スイッチの第1入力端に前記ビーコン信号発振器が接続され、
前記RFID-ビーコン切替スイッチの第2入力端に前記RFID応答器が接続され、
前記RFID-ビーコン切替スイッチの第1出力端に前記受電アンテナが接続され、
前記無線受電装置に前記ビーコン信号を送信する電力がない場合、前記受電側制御回路は、前記RFID応答器と前記受電アンテナとを接続すると共に前記ビーコン信号発振器は前記受電アンテナと非接続にする第1系統に接続制御し、前記無線受電装置に前記ビーコン信号を送信する電力がある場合は、前記受電側制御回路は、前記ビーコン信号発振器と前記受電アンテナとを接続すると共に前記RFID応答器は前記受電アンテナと非接続にする第2系統に接続制御する、
ことを特徴とする無線受電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線受電装置において、
前記受電アンテナが受電した電力を整流するレクテナと、
バッテリと、を更に備え、
前記レクテナは、前記RFID-ビーコン切替スイッチの第2出力端と前記バッテリとの間に接続され、前記レクテナが整流した電力が前記バッテリに充電され、
前記受電側制御回路は、前記バッテリの残量が前記ビーコン信号の送信に必要な残量未満の場合は前記第1系統に接続制御し、前記バッテリの残量が前記ビーコン信号の送信に必要な残量以上の場合は前記第2系統に接続制御し、前記受電アンテナが受電している場合は、前記受電アンテナと前記レクテナとを接続すると共に前記ビーコン信号発振器及び前記RFID応答器のいずれにも非接続とする第3系統に接続制御する、
ことを特徴とする無線受電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の無線受電装置であって、
前記受電側制御回路は、前記第3系統に接続制御した後、予め定められた周期で前記第2系統と前記第3系統とに交互に切替制御する、
ことを特徴とする無線受電装置。
【請求項4】
請求項2に記載の無線受電装置において、
前記RFID応答器、前記ビーコン信号発振器、及び前記レクテナは直列に接続され、
前記RFID-ビーコン切替スイッチは、前記RFID応答器と前記ビーコン信号発振器との間にドレインとソースとが接続された第1電界効果トランジスタ、前記ビーコン信号発振器と前記レクテナとの間にドレインとソースとが接続された第2電界効果トランジスタ、及び前記ビーコン信号発振器と前記受電側制御回路との間にドレインとソースとが接続された第3電界効果トランジスタを含んで構成される、
ことを特徴とする無線受電装置。
【請求項5】
無線受電装置であって、
RFID応答器と、
前記RFID応答器に接続され、RFID応答信号を送信するRFIDアンテナと、
ビーコン信号を生成するビーコン信号発振器と、
受電アンテナと、
前記ビーコン信号発振器及び前記受電アンテナの其々に接続されたビーコン-電力系切替スイッチと、
前記受電アンテナが受電した電力を整流するレクテナと、
前記ビーコン-電力系切替スイッチの切替制御を行う受電側制御回路と、を備え、
前記RFID応答器は、前記受電側制御回路からの制御指示を受けることなく前記RFID応答信号を前記RFIDアンテナから送信し、
前記無線受電装置に前記ビーコン信号を送信する電力がない場合、前記受電側制御回路は、前記受電アンテナと前記レクテナとを接続すると共に前記受電アンテナと前記ビーコン信号発振器とは非接続にする第4系統に接続制御し、前記無線受電装置に前記ビーコン信号を送信する電力がある場合は、前記受電側制御回路は、前記ビーコン信号発振器と前記受電アンテナとを接続すると共に前記レクテナと前記受電アンテナとを非接続にする第5系統に接続制御する、
ことを特徴とする無線受電装置。
【請求項6】
請求項5に記載の無線受電装置において、
前記レクテナが整流した電力を充電するバッテリを更に備え、
前記受電側制御回路は、前記バッテリの残量が前記ビーコン信号の送信に必要な残量未満の場合は前記第4系統に接続制御し、前記バッテリの残量が前記ビーコン信号の送信に必要な残量以上の場合は前記第5系統に接続制御する、
ことを特徴とする無線受電装置。
【請求項7】
請求項6に記載の無線受電装置であって、
前記受電側制御回路は、前記第5系統に接続制御した後、予め定められた周期で前記第4系統と前記第5系統とに交互に切替制御する、
ことを特徴とする無線受電装置。
【請求項8】
無線受電装置であって、
RFID応答器と、
前記RFID応答器に接続され、RFID応答信号を送信するRFIDアンテナと、
受電アンテナと、
前記受電アンテナが受電した電力を整流するレクテナと、
前記レクテナが整流した電力で作動する負荷回路と、
を備えることを特徴とする無線受電装置。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一つに記載の無線受電装置を搭載したワイヤレスイヤホン。
【請求項10】
請求項8に記載の無線受電装置を搭載したLED装置。
【請求項11】
無線送電装置であって、
送電アンプと、
RFID変調回路及びRFID復調回路と、
ビーコン受信回路と
フェーズドアレイアンテナと、
前記フェーズドアレイアンテナと、前記送電アンプ及び前記RFID変調回路の其々との接続を切り替える第1切替回路と、
前記フェーズドアレイアンテナと、前記RFID復調回路及び前記ビーコン受信回路の其々との接続を切り替える第2切替回路と、
前記第1切替回路、前記第2切替回路、及び前記フェーズドアレイアンテナの動作を制御する送電側制御回路と、を備え、
前記フェーズドアレイアンテナは、前記第1切替回路及び前記第2切替回路の其々と接続され、
前記送電側制御回路は、前記第1切替回路を介して前記RFID変調回路と前記フェーズドアレイアンテナとを接続制御し、前記第2切替回路を介して前記RFID復調回路と前記フェーズドアレイアンテナとを接続制御し、無線受電装置が発したRFID応答を前記フェーズドアレイアンテナが受信すると、前記RFID応答を受信した方向を含む相対的に広角な方向に向けて前記フェーズドアレイアンテナから電力を送電する広域送電モードで送電制御し、
前記第2切替回路を介して前記ビーコン受信回路と前記フェーズドアレイアンテナとを接続制御し、無線受電装置が発したビーコン信号を前記フェーズドアレイアンテナが受信すると、前記ビーコン信号を受信した方向を含む相対的に狭角な方向に向けて前記フェーズドアレイアンテナから電力を送電する集中送電モードによる送電制御する、
ことを特徴とする無線送電装置。
【請求項12】
請求項11に記載の無線送電装置であって、
送電対象となる前記無線受電装置の識別情報を表示する表示器を更に備える、
ことを特徴とする無線送電装置。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の無線送電装置から、請求項1から8のいずれか一つに記載の無線受電装置に向けて無線送電を行う無線送受電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線受電装置、無線送電装置及びそれらを用いた無線送受電技術に係り、例えば、IoT機器や携帯端末など小型携帯機器のバッテリに非接触により充電を行う無線充電や回転体などに実装されたセンサなどへの無線給電技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末などの携帯機器などでは小型、薄型化が進んだ反面、充電の時のコネクタ接続が煩わしい状況にあり、無線給電による充電の要求が高まっている。無線給電には、マイクロ波などの電波を用いるものや磁界結合を用いた電磁誘導方式などが検討されている。これらのうち、電磁誘導方式は伝送距離が数cm程度であるが送受電に用いられるコイルの伝送効率は90%程度の高い効率が得られていることから、携帯機器向けの無線充電機器の製品化が進んでいる。これに対し、GHz帯を用いたマイクロ波給電は伝送効率が悪い反面、数m程度の伝送距離が期待できるため、例えば、携帯機器で通話をしながらの無線電力伝送による充電やガスや水道の使用量を検出するために設置されたセンサ類などのIoT機器への無線充電も期待できることから実用化が望まれている。
【0003】
特許文献1は、マイクロ波を用いた無線電力伝送を実現するものである。特許文献1において、受電装置に搭載されたビーコン信号発振器からのビーコン信号は送電装置のフェーズドアレイアンテナにより受信される。このとき送電装置は、受信した信号の位相情報から、ビーコン信号の伝搬経路とは逆方向に伝送するようにフェーズドアレイアンテナの位相を調整して電力を送電する。このため、送受電間に障害物などがある場合でもそれを避けるような伝搬経路が形成されるため、効率が低いと言われるマイクロ波給電でも比較的高い効率が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、受電装置に搭載されたビーコン信号発振器からのビーコン信号を送電装置のフェーズドアレイアンテナで受信することでその受信伝搬経路と逆方向に送電するため、受電装置のバッテリ残量が少なくビーコン信号発振器を駆動することができないと送電装置から受電装置への送電方向が求められず送電できないという課題を有していた。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、受電装置の小型化、及び低コスト化を図りつつ、バッテリ残量が少ない場合にも無線給電ができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、請求の範囲に記載の構成を備える。その一例をあげるならば、本発明は、無線受電装置であって、RFID応答器と、ビーコン信号を生成するビーコン信号発振器と、受電アンテナと、前記ビーコン信号発振器、前記RFID応答器、及び前記受電アンテナの其々に接続されたRFID-ビーコン切替スイッチと、前記RFID-ビーコン切替スイッチの切替制御を行う受電側制御回路と、を備え、前記RFID-ビーコン切替スイッチの第1入力端に前記ビーコン信号発振器が接続され、前記RFID-ビーコン切替スイッチの第2入力端に前記RFID応答器が接続され、前記RFID-ビーコン切替スイッチの第1出力端に前記受電アンテナが接続され、前記無線受電装置に前記ビーコン信号を送信する電力がない場合、前記受電側制御回路は、前記RFID応答器と前記受電アンテナとを接続すると共に前記ビーコン信号発振器は前記受電アンテナと非接続にする第1系統に接続制御し、前記無線受電装置に前記ビーコン信号を送信する電力がある場合は、前記受電側制御回路は、前記ビーコン信号発振器と前記受電アンテナとを接続すると共に前記RFID応答器は前記受電アンテナと非接続にする第2系統に接続制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、受電装置の小型化、及び低コスト化を図りつつ、バッテリ残量が少ない場合にも無線給電ができる技術を提供することができる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る送受電システムの構成を示す図
【
図2】RFID-ビーコン切替スイッチの構成を示す図
【
図3】受電装置のバッテリ残量が少なくビーコン信号が出力できない状態から給電を開始した時のタイミングチャート
【
図4】受電装置のバッテリ残量がありビーコン信号が送信できる場合のタイミングチャート
【
図5】第1実施形態に係る送受電システムの送電装置の動作を示すフローチャート
【
図6】第1実施形態に係る送受電システムの受電装置の動作を示すフローチャート
【
図7】第2実施形態に係る送受電システムの構成を示す図
【
図8】第3実施形態に係る送受電システムの構成を示す図
【
図9】第4実施形態に係る送受電システムの構成を示す図
【
図10】第5実施形態に係る送受電システムの構成を示す図
【
図11】第6実施形態に係る送受電システムの構成を示す図
【
図12】第7実施形態に係る送受電システムの構成を示す図
【
図13】ワイヤレスイヤホンを頭部に装着した状態を示す図
【
図14】第8実施形態に係る送受電システムの構成を示す図
【
図15】第9実施形態に係る送受電システムの構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る送受電システム100の構成を示す図である。
【0011】
図1に示すように、送受電システム100は、無線送電装置(以下「送電装置」と略記)101から無線受電装置(以下「受電装置」と略記)102へ給電するシステムである。送電装置101は、RFIDリーダ(発振器111、送電アンプ112、RFIDを読み取るために送電を行うためのRFIDアンプ113、RFIDに書き込みを行うためのRFID変調回路114、RFID応答器からの変調データ信号を復調するRFID復調回路121を含んで構成される)、第1切替スイッチ115、送電側の送信とRFIDリーダ時の読み取りやビーコン信号の受信を信号の方向で分離するサーキュレータ116、各アンテナ素子に給電する信号の位相を調整して所望の方向にアンテナ指向性を持たせることができるフェーズドアレイアンテナ117、受電装置102からのビーコン信号を受信するビーコン受信回路122、第2切替スイッチ123、第1切替スイッチ115及び第2切替スイッチ123の切替制御、フェーズドアレイアンテナ117の位相の制御、ビーコン受信回路122及び送電側無線機125の動作を制御する送電側制御回路124、受電装置102と通信を行うための送電側無線機125を含む。送電側無線機125は、例えば、2.4GHz帯のBluetooth(登録商標)などが用いられる。なお、送電周波数には、無線通信以外の利用が比較的容易にできるISM帯において、アンテナの小型化が図れる5.8GHz帯を用いている。
【0012】
また、受電装置102は、受電アンテナ141、RFID-ビーコン切替スイッチ142(「RFID-ビーコン切替SW」と図示)、RFID応答器143、入力フィルタ144、受電した電力を直流電源に変換するレクテナ145、整合回路146、電源回路147、バッテリ148、ビーコン信号発振器151、送電装置101と無線通信を行うための受電側無線機152、RFID-ビーコン切替スイッチ142やビーコン信号発振器151などを制御する受電側制御回路153を含む。
【0013】
送受電システム100は、RFID-ビーコン切替スイッチ142の切り替え動作に伴い、送電装置101及び受電装置102の動作モードが切り替わる。次に送電装置101での各動作モードについて説明する。
【0014】
(RFIDリーダモード)
RFIDリーダモードでは、送電側制御回路124が、第1切替スイッチ115をRFID変調回路114側に、第2切替スイッチ123をRFID復調回路121側に切り替える。これにより、発振器111からの信号はRFIDアンプ113により増幅され、RFID変調回路114によりRFIDに書き込みが必要な場合は振幅変調されて第1切替スイッチ115およびサーキュレータ116を介してフェーズドアレイアンテナ117に入力される。フェーズドアレイアンテナ117では、送電側制御回路124の位相制御により所望の方向にRFIDリーダ信号が出力される。このとき、受電装置102に搭載されたRFID応答器143から応答があった場合、その応答信号はRFIDリーダ信号の反射波となってフェーズドアレイアンテナ117で受信される。そして、RFIDリーダ信号の反射波はサーキュレータ116と第2切替スイッチ123を介してRFID復調回路121に入力され、RFID応答器からの信号を復調する。また、このとき受信したフェーズドアレイアンテナ117の各アンテナ素子の位相情報が送電側制御回路124に入力される。なお、RFIDリーダ信号の周波数は、無線給電に用いられる5.8GHzと同じ周波数が用いられる。
【0015】
(ビーコン受信モード)
ビーコン受信モードでは、送電側制御回路124が、第2切替スイッチ123をビーコン受信回路122側に切り替える。これにより、受電装置102からのビーコン信号をフェーズドアレイアンテナ117により受信し、サーキュレータ116、第2切替スイッチ123を介してビーコン受信回路122に入力される。このときのビーコン受信信号とフェーズドアレイアンテナ117の位相情報は送電側制御回路124に入力される。
【0016】
(送電モード)
送電モードでは、送電側制御回路124が、第1切替スイッチ115を送電アンプ112側に切り替える。これにより、発振器111の信号が送電アンプ112により増幅され第1切替スイッチ115とサーキュレータ116を介しフェーズドアレイアンテナ117から送電される。このとき、送電側制御回路124はフェーズドアレイアンテナ117の指向性を調整する。これにより、送電側制御回路124が調整した指向性で送電される。
【0017】
また、受電装置102の各動作モードについて説明する。
【0018】
(RFIDモード)
RFIDモードでは、受電側制御回路153が、RFID-ビーコン切替スイッチ142をRFID応答器143側に切り替える。これにより、RFID応答器143が受電アンテナ141と接続され、送電装置101からのRFIDリーダ信号を受信するとそれに対応した応答信号を出力する。
【0019】
(ビーコン出力モード)
ビーコン出力モードでは、受電側制御回路153が、RFID-ビーコン切替スイッチ142をビーコン信号発振器151側に切り替える。これにより、ビーコン信号発振器151が受電アンテナ141と接続され、受電装置102からビーコン信号が出力される。なお、ビーコン信号は、受電側制御回路153がバッテリの充電が必要と判断した場合にのみ出力され、満充電の場合は送信されない。
【0020】
(受電モード)
受電モードでは、受電側制御回路153が、RFID-ビーコン切替スイッチ142を入力フィルタ144側に切り替える。これにより、入力フィルタ144が受電アンテナ141と接続され、受電した電力はレクテナ145により直流電圧に変換され整合回路146によりインピーダンス整合が図られた後、電源回路147により一定の電圧に変換され、バッテリ148に充電される。このときの充電時の送電電力調整などの制御は受電側無線機152を介して送電装置101の送電側無線機125と通信することで行われる。
【0021】
以上の構成では、送電装置101がRFIDリーダモードのとき、受電装置102は、RFIDモードとなる。また、受電装置102がビーコン出力モードのときは、送電装置101がビーコン受信モードとなり、送電装置101が送電モードのときは、受電装置102は受電モードとなることで、送受電間で通信や無線電力伝送が可能となる。特に、RFIDモードでは、受電装置のバッテリ残量が少ない場合やバッテリがない機器でも動作可能となる。なお、フェーズドアレイアンテナ117により、送電周波数に近い信号を受信した場合は、送電を行わないか、信号の到来方向を避けて送電すればよい。
【0022】
図2は、RFID-ビーコン切替スイッチ142の構成を示す図である。
図2に示すように、RFID-ビーコン切替スイッチ142は、検波回路201、第1電界効果トランジスタ202、第2電界効果トランジスタ203、第3電界効果トランジスタ204、第1抵抗205、第2抵抗206、第3抵抗207、及び第4抵抗208を含む。
【0023】
RFID-ビーコン切替スイッチ142は、受電アンテナ141の入力に検波回路201が接続され受電電力があると検波電圧を出力する構成となっている。また、RFID応答器143、ビーコン信号発振器151および入力フィルタ144の両端にはそれぞれ第1電界効果トランジスタ202、第2電界効果トランジスタ203、第3電界効果トランジスタ204の各ドレインと各ソース端子が接続されるとともに、これらは、受電アンテナ141に対し直列に接続されている。このような構成とすることで、受電装置102のバッテリ148の残量が少なくRFID-ビーコン切替スイッチ142の第1電界効果トランジスタ202、第2電界効果トランジスタ203、第3電界効果トランジスタ204の其々がオンできない状態であってもこれらの回路は直列に接続されているため、受電アンテナ141とある程度のインピーダンスを持つ。
【0024】
RFIDモード時には、送電装置101の送電電力により検波回路201の出力は第4抵抗208を介してビーコン信号発振器151の出力端をショート状態にする。これにより、RFID応答器143と入力フィルタ144が直列接続となるが、入力フィルタ144の入力インピーダンスは比較的低いので、RFIDリーダによる受電電力はRFID応答器143の両端にほぼ印加される。よって、RFID応答器143の動作が可能となる。
【0025】
ビーコン出力モードでは、受電側制御回路153が第2電界効果トランジスタ203のゲート電圧を下げてオフ状態にするとともに、第1電界効果トランジスタ202、第3電界効果トランジスタ204のゲートにオン電圧を印加することで受電アンテナ141はビーコン信号発振器151の出力端が接続される。これにより、受電アンテナ141からビーコン信号が出力される。
【0026】
受電モードでは、受電アンテナ141にはRFIDリーダよりも高い電力が受電されるため、検波回路201にも高い電圧が出力される。このため、検波回路201の出力には第1抵抗205と第2抵抗206により分圧された電圧が第3抵抗207を介して第1電界効果トランジスタ202のゲートをオン状態とするとともに、ビーコン信号発振器151の両出力端に接続された第2電界効果トランジスタ203もオン状態となる。さらに、受電側制御回路153は第3電界効果トランジスタ204をオフ状態とすることで、受電アンテナ141で受電した電力は入力フィルタ144を介してレクテナ145により直流電圧に変換される。
【0027】
以上の構成とすることで、RFID-ビーコン切替スイッチ142は、バッテリ148の残量が少なく、第1電界効果トランジスタ202、第2電界効果トランジスタ203、第3電界効果トランジスタ204が動作できない状態であっても、RFID応答器143に接続可能な構成であり、その他、ビーコン送信モード、受電モードとも切り替えが可能である。
【0028】
図3は、受電装置102のバッテリ残量が少なくビーコン信号が出力できない状態から給電を開始した時のタイミングチャートである。
【0029】
図3に示すように、バッテリ容量が少なくビーコン信号が出力できない場合、送電装置101はRFIDリーダモード、受電装置102はRFIDモードとなり、RFIDリーダからの信号を受信した場合は、RFIDリーダに対し、受電装置102の識別情報や充電の優先順位や受信信号レベルなどのデータをRFID応答器143により応答する。しかし、このとき、送電装置101からみた受電装置102が位置する方向が分からないため、送電装置101は、フェーズドアレイアンテナ117の指向性を変えながらRFIDの反応を待つ(T301)。
【0030】
RFIDの応答があった場合(T302)、送電装置101は送電モードに切り替えてRFIDの反応があった方向に電力を送電し、受電装置102は受電モードとなりバッテリ148に充電を行う(T303)。このとき、受電装置102側よりビーコン信号が送信されたかどうかを確認するため、送電装置1011はときどきビーコン受信モードに切り替わりビーコン信号の送信を待つ。
【0031】
そして、ビーコン信号を出力するのに必要な電力が受電装置102のバッテリ148に蓄電されると、受電装置102はビーコン出力モードとなり、送電装置101がビーコン信号を受信する(T304)。送電装置101はビーコン信号の受信方向を基に、送電装置101からみた受電装置102の方向を判断する。
【0032】
送電装置101は、ビーコンを受信すると送電モードとなり電力を送電する。この送電モードでは、送電装置101は受電装置102の方向に電波を集中させて(出力方向を狭めて)送電する。従って、T303の送電に比べて受電装置102は効率的に、すなわちより速く充電がされる。T303の送電モードを広域送電モード、T305の送電モードを集中送電モードという。充電中、特に集中送電モードでは、受電装置102が移動すると送電のフェーズドアレイアンテナ117の指向性を調整する必要があるため、送電装置101は定期的にビーコン受信モードとなる(T306)。集中送電モード中に、受電装置102が移動するなどの何らかの理由で受電装置102が受電できなくなった場合、受電装置102はビーコン出力モードに切り替わる。したがって、再度、送電装置101がビーコン信号を受信するのでフェーズドアレイアンテナ117の指向性の調整が可能となる。
【0033】
図4は、受電装置102のバッテリ残量がありビーコン信号が送信できる場合のタイミングチャートを示したものである。
【0034】
図4に示すように、受電装置102はバッテリ残量があるため、ビーコンモードとなっている。一方、送電装置101は、バッテリ残量がなくRFIDモードになっている受電装置102を検知するため、しばらくはRFIDリーダとなって周囲にRFIDモードの受電装置102がないか探す(T401)。しばらくして、RFIDモードの受電装置102がないと分かると送電装置101はビーコン受信モードに遷移する。
【0035】
受電装置102のビーコン信号を受信すると(T402)、送電装置101は集中送電モード、受電装置102は受電モードとなり、バッテリ148への充電が開始される(T403)。なお、バッテリ残量がない場合と同様に、フェーズドアレイアンテナ117の指向性を定期的に調整する必要があるため、送電装置101はビーコン受信モードに、受電装置102もビーコン出力モードに切り替わる。これにより、集中送電モード中にフェーズドアレイアンテナ117の指向性の調整が可能となる(T404)。また、受電装置102の充電が完了した場合は、ビーコン信号出力を停止する。これにより、送電装置101は送電をストップする(T405)。
【0036】
図5は、第1実施形態に係る送受電システム100の送電装置101の動作を示すフローチャートである。
【0037】
図5に示すように、送電装置101の電源をオンにして処理が開始すると(S501)、送電装置101はRFIDリーダモードに切り替え、RFIDの反応がないか一定の時間スキャンする(S502)。このスキャンは、フェーズドアレイ107の指向性を変えながら実施する。
【0038】
もし、RFIDの反応があった場合(S503:Yes)、送電装置101を広域送電モードに切り替え、送電を開始する(S504)。このとき、RFID検知時と同一のフェーズドアレイ107の指向性を用いて送電を行う。一定時間が経過したら、送電装置101はビーコン受信モードに切り替える(S505)。
【0039】
ビーコン信号が検知できない場合(S506:No)、広域送電モードに遷移し、再度広域送電モードで送電を行う(S504に戻る)。
【0040】
ビーコン受電モード時にビーコン信号を検出したら(S506:Yes)、送電装置101は集中送電モードに切り替えて送電を行う(S509)。集中送電モードで送電している間、受電装置の位置を把握してフェーズドアレイアンテナ117の指向性を調整するために、送電装置101は、集中送電モードによる送電を開始後、定期的にビーコン受信モードに切り替える。なお、受電装置102も定期的にビーコン出力モードに切り替わる。
【0041】
このように、受電装置102は、集中送電モード中は定期的にビーコンの有無を確認しており、ビーコンの有無で受電装置102の充電が終了したか判定する(S510)。充電が完了すると受電装置102はビーコンの送信をストップするため、ビーコンが受信できなかった場合は送電装置101の充電終了と判定して(S510:Yes)、送電をストップする(S511)。ビーコンが受信できた場合は(S510:No)、集中送電モードを継続する(S509)。なお、充電終了判定は、受電側無線機152から送電側無線機125に充電終了情報を送信することで行ってもよい。
【0042】
なお、ステップS502において、送電装置101がRFIDモードで一定時間、RFIDの反応がないかをスキャンした結果、反応がない場合(S503:No)、送電装置101はビーコンモードに切り替える(S507)。受電装置102からのビーコン信号がない場合は(S508:No)、受電装置102が存在しないことから、送電装置101はRFIDモードとなりステップS502に戻り、RFIDの反応がないか再度スキャンを開始する。
【0043】
一方、ステップS508においてビーコン信号を検出した場合(S508:Yes)、送電装置101を集中送電モードに切り替えて送電を開始し(S509)、充電が終了するまで送電を行う(S510、S511)。
【0044】
図6は、第1実施形態に係る送受電システム100の受電装置の動作を示すフローチャートである。
【0045】
図6に示すように、受電装置102がバッテリ残量の状態を確認するところから本処理は開始する(S601)。バッテリ残量がなくビーコン信号を送信できない場合(S602:No)、受電装置102は、RFIDモードを保持し(S603)、RFIDリーダの信号があるまでRFIDモードを保持する。
【0046】
受電装置102がRFID応答信号を受信すると(S604:Yes)、受電装置102はレクテナ受電モードに切り替える(S605)。このとき、送電装置101は広域送電モードとなっているので、ビーコンが動作するまで送電電力を受電してバッテリ148に充電を行う(S606)。
【0047】
ビーコン信号発振器151が動作するまで充電ができたら、受電装置102はビーコン出力モードに遷移する(S607)。しばらくビーコン信号を送信したら、送電装置101が集中送電モードに遷移し、受電装置102はレクテナ受電モードに遷移して充電を行う(S608)。
【0048】
なお、
図5で示した送電装置101の動作を示したフローチャートと同様に充電中は受電装置102が移動すると送電装置101のフェーズドアレイアンテナ117の指向性を調整する必要があるため、送電装置101は定期的にビーコン受信モードに、受電装置102はビーコン出力モードに切り替わる。
【0049】
受電装置102の充電が完了すると(S609:Yes)、受電装置102はビーコン送信モードに遷移しない一方、送電装置101は定期的にビーコン受信モードに遷移する。このとき、受電装置102からビーコン信号を受信しないので、送電装置101は送電を停止する(S610)。
【0050】
なお、ステップS602において、バッテリ残量がある場合(S602:Yes)はステップS607へ遷移する。
【0051】
第1実施形態によれば、受電装置102のバッテリ残量が少なくビーコン信号を送信できる電力がなくても、受電装置102に搭載されたRFID応答器143が送電装置101に搭載されたRFIDリーダに応答することで、その応答結果に基づき、送電装置101のフェーズドアレイアンテナ117を用いてRFIDリーダに指向性を持たせて広域送電モードにより給電することができる。そして、受電装置102がビーコン信号を送信できるまでバッテリ148に充電できる。受電装置102から送電装置101にビーコン信号を送信し、送電装置101が受信すると、ビーコン信号を基にRFIDの応答結果よりも更に高精度に受電装置102に相対的な方向がわかるので、その方向に向けて通常の無線給電動作(集中送電モード)で充電を行うことができる。
【0052】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態に係る送受電システム100aの構成を示す図である。送受電システム100aは、第1実施形態の受電装置102とは異なる構成の受電装置102aを含んで構成される。
【0053】
図7に示すように、第2実施形態に係る送受電システム100aで用いられる受電装置102aは、RFIDアンテナ(「5.8GHzアンテナ」ともいう)701にRFID応答器143を接続し、RFID応答器143は受電側制御回路153に接続されてない。即ち、RFID応答器143は、受電装置102aのバッテリ148の残量に関らず、かつ受電側制御回路153による制御を受けることなく、パッシブ動作を行い続ける。第1実施形態では、受電アンテナ141がRFIDアンテナ701の機能を兼任していたが、第2実施形態では、受電アンテナ141とは別体のRFIDアンテナ701を備える点で異なる。
【0054】
受電アンテナ141には、ビーコン-電力系切替スイッチ703が接続される。さらに、ビーコン-電力系切替スイッチ703はビーコン信号発振器151の出力端、及び入力フィルタ144の入力端に接続され、どちらかを選択する構成となっている。ビーコン-電力系切替スイッチ703は、第1実施形態におけるRFID-ビーコン切替スイッチ142において、RFID応答器143への接続およびその切り替え機能を削除した構成である。
【0055】
第2実施形態に係る送受電システム100aによれば、第1実施形態と同様の効果が得られるとともに、RFID応答器143に接続されるRFIDアンテナ701がバッテリ148や受電側制御回路153の制御によって駆動する系統とは別系統となっているため、RFID応答のための切替スイッチが不要となる。従って、比較的信号レベルの低いRFID応答器の反射波に対してレベル低下の低減が図れるため、RFIDモードでの検知感度が図れるとともに、切替スイッチの簡略化が図れる。
【0056】
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態に係る送受電システム100bの構成を示す図である。第3実施形態に係る送受電システム100bに用いられる送電装置101aは、第1、第2実施形態で用いられた送電装置101から送電側無線機125が削除されている点で異なる。また受電装置102bは、第2実施形態で用いられた受電装置102aから受電側無線機152が削除されている点、及びRFID応答器143が受電側制御回路153に接続される点で異なる。
【0057】
送電装置101aは、RFIDモードのときにRFID変調回路114において、RFIDリーダ信号に振幅変調をかけることができる。この振幅変調がかかったRFIDリーダ信号は、受電装置102のRFID応答器143において復調されることでデータの受信が可能となる。一方、RFID応答器143からは、受電装置102bの識別情報、受信信号レベル、バッテリ残量、充電の優先順位などのデータがRFIDリーダ信号の反射となって、送電装置101のRFID復調回路121で復調され、送電側制御回路124に入力される。送電側制御回路124では、それらのデータから、複数の受電装置102bがあった場合の充電の優先順位の決定や、バッテリの残量の少ない機器から充電を開始するなどの充電制御を行う。
【0058】
第3実施形態によれば、送電側無線機125及び受電側無線機152を削除し、その代わりにRFIDを用いることで、第2実施形態と同様の効果を得つつ、送受電装置の簡略化と低消費電力化が図れる。
【0059】
<第4実施形態>
図9は、第4実施形態に係る送受電システム100cの構成を示す図である。第4実施形態に係る受電装置102cは、第3実施形態に係る受電装置102bのバッテリ148及びビーコン信号発振器151が削除され、代わりに負荷回路901が接続される点で異なる。
【0060】
第4実施形態によれば、RFIDにより受電装置102cの位置検知と充電制御が可能であることから、第3実施形態と同様な効果が得られるのに加え、バッテリがない機器への給電も可能となる。
【0061】
<第5実施形態>
図10は、第5実施形態に係る送受電システム100dの構成を示す図である。送受電システム100dは、送電装置筐体1001に搭載される送電装置101と、携帯端末1002に搭載される受電装置102と、を含んで構成される。
【0062】
送電装置101および受電装置102は、第1実施形態から第4実施形態の各送電装置、受電装置のどれを用いてもよい。
【0063】
第5実施形態によれば、携帯端末1002のバッテリ残量が少なくビーコン信号を送信できなくともRFIDを用いることで充電が可能となる。さらに、充電中は、携帯端末1002が移動した場合にフェーズドアレイアンテナ117の方向がずれるため、定期的にビーコン信号を送信させて充電方向を調整することができる。従って、携帯端末1002を移動しながらでも充電が可能となる。また、充電制御に用いられる無線機は、携帯端末1002に一般的に搭載されているBluetooth(登録商標)を用いることで受電装置の回路簡略化が可能である。
【0064】
<第6実施形態>
図11は、第6実施形態に係る送受電システム100eの構成を示す図である。
図11に示すワイヤレスイヤホン1101は、受電アンテナ1102及びスピーカ1103を含む。なお、ワイヤレスイヤホン1101は左右対称形であるので一方のみに番号を付す。ワイヤレスイヤホン1101は、第1実施形態から第4実施形態の受電装置102が搭載されており、ワイヤレスイヤホン1101のバッテリなどが搭載される突起状の部分に受電アンテナ1102が搭載されている。
【0065】
また
図11において、送電装置101は、携帯端末1002を充電するとともに、左右のワイヤレスイヤホン1101の充電を行う。携帯端末1002はワイヤレスイヤホン1101へ音楽データをBluetooth(登録商標)により伝送する。携帯端末1002の受電装置102は送電装置101とBluetooth(登録商標)を用いて充電制御を行っているが、携帯端末1002はBluetooth(登録商標)を用いて音楽データの伝送も行う。このため、ワイヤレスイヤホン1101に対して携帯端末1002から充電制御データを音楽データと時分割などにより重畳して伝送することにより、送電装置101は携帯端末1002を経由してワイヤレスイヤホン1101と通信を行うことが可能である。一般に、ワイヤレスイヤホンは小型であるため、Bluetooth(登録商標)などの無線通信距離を長くとることはできない。しかし、携帯端末1002を介して送電装置101と無線通信を行うことで、ワイヤレスイヤホン1101の通信距離の拡大が図れる。
【0066】
<第7実施形態>
図12は、第7実施形態に係る送受電システム100fの構成を示す図である。本実施形態では、LED装置が受電装置を内蔵する。LED装置は、筐体1201の外表面にLED1202を備え、筐体1201の内部に第4実施形態の受電装置102cが搭載される。LED1202は負荷回路901に相当する。送電装置101は、RFIDを用いて受電装置102cの方向検出を行い送電モードとなる構成であり、ビーコン信号やバッテリは搭載していない。
【0067】
以上の構成では、受電装置102cが簡易な構成で実現できることから、LEDなどを給電する場合に適した構成が得られる。
【0068】
図13は、ワイヤレスイヤホン1101を頭部1301に装着した状態を示す図である。1302はアンテから顔までの高さを示したものである。ワイヤレスイヤホン1101を頭部1301に装着した状態において、受電アンテナ1102と顔の皮膚までの距離dが携帯端末1002との無線通信に使用する電波の4分の1波長になることが望ましい。携帯端末1002からの電波が皮膚で反射され、その反射波が逆相となることを考えると、距離dが4分の1波長に等しくなると、反射波と直接波が同相となるため、アンテナ利得を高くすることができる。一例として、周波数として5.8GHzを用いた場合の4分の1波長は、1.29cmであることから、アンテナと皮膚までの距離を1.29cmとなるように設計すればアンテナ利得を高くすることができる。
【0069】
設計時には、ワイヤレスイヤホン1101において最も突出した部分、たとえば耳に挿入する部分の先端面の延長線(延長面)と、受電アンテナ1102との距離を距離dと見做し、これが4分の1波長になるように構成してもよい。
【0070】
<第8実施形態>
図14は、第8実施形態に係る送受電システム100gの構成を示す図である。送受電システム100gに用いられる送電装置101は、送電装置筐体1001に内蔵される。また、送電装置筐体1001の外表面には表示器1401が備えられる。表示器1401には、送電装置101が現在、給電を行っている携帯端末の番号や名称(
図14では“A1”、“A2”で図示)が表示される。これにより送電装置101が、どの携帯端末に給電しているかを確認することができる。なお、本実施形態で用いられる受電装置102は、携帯端末でもよいし、ワイヤレスイヤホン、LED装置でもよく、その種類は問わない。
【0071】
<第9実施形態>
図15は、第9実施形態に係る送受電システム100hの構成を示す図である。送受電システム100hは、受電装置102を内蔵する携帯端末1002の液晶画面1501に、充電モードやRFIDモードなど、どのモードであるかの状態と受電のレベルを表示する。液晶画面1502、1503は液晶画面1501の表示例を示す。この表示により、受電装置102はどの程度の受電レベルで受電しているかをユーザが知ることができる。そして、万一、受電レベルが低い場合は、効率の良い位置に携帯端末1002を持って移動することができる。
【0072】
上記した各実施形態は、本発明を限定するものではない。本発明の趣旨を逸脱しない様々な変更態様は、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
100:送受電システム
101:送電装置
102:受電装置
141:受電アンテナ
142:RFID-ビーコン切替スイッチ
143:RFID応答器
145:レクテナ
151:ビーコン信号発振器
153:受電側制御回路