IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 朝日航洋株式会社の特許一覧

特許7171962路線統計データ管理装置、路線統計データ管理方法及び路線統計データ管理プログラム
<>
  • 特許-路線統計データ管理装置、路線統計データ管理方法及び路線統計データ管理プログラム 図1
  • 特許-路線統計データ管理装置、路線統計データ管理方法及び路線統計データ管理プログラム 図2
  • 特許-路線統計データ管理装置、路線統計データ管理方法及び路線統計データ管理プログラム 図3
  • 特許-路線統計データ管理装置、路線統計データ管理方法及び路線統計データ管理プログラム 図4
  • 特許-路線統計データ管理装置、路線統計データ管理方法及び路線統計データ管理プログラム 図5
  • 特許-路線統計データ管理装置、路線統計データ管理方法及び路線統計データ管理プログラム 図6
  • 特許-路線統計データ管理装置、路線統計データ管理方法及び路線統計データ管理プログラム 図7
  • 特許-路線統計データ管理装置、路線統計データ管理方法及び路線統計データ管理プログラム 図8
  • 特許-路線統計データ管理装置、路線統計データ管理方法及び路線統計データ管理プログラム 図9
  • 特許-路線統計データ管理装置、路線統計データ管理方法及び路線統計データ管理プログラム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】路線統計データ管理装置、路線統計データ管理方法及び路線統計データ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/62 20130101AFI20221108BHJP
   G06T 17/05 20110101ALI20221108BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20221108BHJP
【FI】
G06F21/62 354
G06T17/05
G06Q50/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022072317
(22)【出願日】2022-04-26
【審査請求日】2022-08-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000213909
【氏名又は名称】朝日航洋株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153040
【弁理士】
【氏名又は名称】川井 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】穂苅 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智也
(72)【発明者】
【氏名】布施 健
(72)【発明者】
【氏名】武藤 知二
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-177452(JP,A)
【文献】福島 健太 他,スマートな社会を実現するコンピュータセキュリティ技術,情報処理学会論文誌 論文誌ジャーナル[CD-ROM],日本,一般社団法人情報処理学会,2012年09月15日,Vol.53 No.9,pp.2171-2181,ISSN:1882-7837
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F12/14
21/00-21/88
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G06T 1/00
11/60-13/80
17/05
19/00-19/20
G09C 1/00-5/00
G16Z99/00
H04K 1/00-3/00
H04L 9/00-9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路線を示す路線データに関連付けられた、当該路線に関連付けられる集計対象の属性情報を含む路線統計データを管理する路線統計データ管理装置であって、
前記路線統計データに含まれる集計対象の属性情報の数である情報数が所与の閾値未満である路線を非匿名化路線として抽出する抽出部と、
一の前記非匿名化路線の路線統計データを、前記一の非匿名化路線に隣接する路線である隣接路線の路線統計データに結合する結合部であって、前記隣接路線は、前記一の非匿名化路線の路線統計データの情報数と前記隣接路線の路線統計データの情報数との合計が前記閾値以上となるような非匿名化路線である、結合部と、
を備える路線統計データ管理装置。
【請求項2】
前記結合部は、複数の前記隣接路線のうち、前記一の非匿名化路線の路線統計データの情報数と前記隣接路線の路線統計データの情報数との合計が最も少なくなるような前記隣接路線の路線統計データを、前記一の非匿名化路線の路線統計データと結合する、
請求項1に記載の路線統計データ管理装置。
【請求項3】
前記路線データは、前記路線の長さを示す路線長を含み、
前記結合部は、複数の前記隣接路線のうち、前記一の非匿名化路線の路線データの路線長と前記隣接路線の路線データの路線長との合計が最も短くなるような前記隣接路線の路線統計データを、前記一の非匿名化路線の路線統計データと結合する、
請求項1に記載の路線統計データ管理装置。
【請求項4】
前記結合部は、複数の前記隣接路線のうち、前記一の非匿名化路線の路線統計データの情報数と前記隣接路線の路線統計データの情報数との合計が最も小さくなるような隣接路線である第1の候補隣接路線が複数ある場合に、複数の前記第1の候補隣接路線のうち、前記一の非匿名化路線の路線データの路線長と前記第1の候補隣接路線の路線データの路線長との合計が最も短くなるような前記第1の候補隣接路線の路線統計データを、前記一の非匿名化路線の路線統計データと結合する、
請求項1に記載の路線統計データ管理装置。
【請求項5】
前記結合部は、複数の隣接路線のうちの、所与の拠点に設定された始点から、前記一の非匿名化路線及び前記隣接路線が結合されてなる結合路線を経由し、接続される路線が存在しない路線端点である終点に至るまでの総延長経路に含まれる路線の情報数の合計が最も小さくなるような、前記隣接路線の路線統計データを、前記一の非匿名化路線の路線統計データと結合する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の路線統計データ管理装置。
【請求項6】
前記結合部は、複数の隣接路線のうちの、所与の拠点に設定された始点から、前記一の非匿名化路線及び前記隣接路線が結合されてなる結合路線を経由し、接続される路線が存在しない路線端点である終点に至るまでの総延長経路に含まれる路線の路線長の合計が最も短くなるような、前記隣接路線の路線統計データを、前記一の非匿名化路線の路線統計データと結合する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の路線統計データ管理装置。
【請求項7】
前記結合部は、複数の前記隣接路線のうち、所与の拠点に設定された始点から、前記一の非匿名化路線及び前記隣接路線が結合されてなる結合路線を経由し、接続される路線が存在しない路線端点である終点に至るまでの総延長経路に含まれる路線の情報数の合計が最も小さくなるような前記隣接路線である第2の候補隣接路線が複数ある場合に、複数の前記第2の候補隣接路線のうち、前記総延長経路に含まれる路線の路線長の合計が最も短くなるような、前記第2の候補隣接路線の路線統計データを、前記一の非匿名化路線の路線統計データと結合する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の路線統計データ管理装置。
【請求項8】
路線を示す路線データに関連付けられた、当該路線に関連付けられる集計対象の属性情報を含む路線統計データを管理する路線統計データ管理装置における路線統計データ管理方法であって、
前記路線統計データに含まれる集計対象の属性情報の数である情報数が所与の閾値未満である路線を非匿名化路線として抽出する抽出ステップと、
一の前記非匿名化路線の路線統計データを、前記一の非匿名化路線に隣接する路線である隣接路線の路線統計データに結合する結合ステップであって、前記隣接路線は、前記一の非匿名化路線の路線統計データの情報数と前記隣接路線の路線統計データの情報数との合計が前記閾値以上となるような非匿名化路線である、結合ステップと、
を有する路線統計データ管理方法。
【請求項9】
コンピュータを、路線を示す路線データに関連付けられた、当該路線に関連付けられる集計対象の属性情報を含む路線統計データを管理する路線統計データ管理装置として機能させるための路線統計データ管理プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記路線統計データに含まれる集計対象の属性情報の数である情報数が所与の閾値未満である路線を非匿名化路線として抽出する抽出機能と、
一の前記非匿名化路線の路線統計データを、前記一の非匿名化路線に隣接する路線である隣接路線の路線統計データに結合する結合機能であって、前記隣接路線は、前記一の非匿名化路線の路線統計データの情報数と前記隣接路線の路線統計データの情報数との合計が前記閾値以上となるような非匿名化路線である、結合機能と、
を実現させる路線統計データ管理プログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路線統計データを管理する路線統計データ管理装置、路線統計データ管理方法及び路線統計データ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地理的な統計情報の集計は、メッシュごとに行われていた。メッシュは、経度及び緯度または任意の範囲で地域を隙間なく網の目状の区域に分けた、ほぼ同一の大きさ形状を有する単位区画である。例えば、特許文献1には、地図を網目化して複数の区画(メッシュ)を形成し、区画ごとの建物の数を抽出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-5851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地理的に詳細な状況を把握するためには、メッシュのサイズを小さくする必要がある。しかしながら、メッシュに含まれる集計の対象が少数になると匿名性が担保されないとう問題があった。また、メッシュは、地理的特徴が異なる領域を包含する場合があり、そのようなメッシュごとに集計された統計情報は、各領域の特徴を適切に表していなかった。
【0005】
そこで本発明は、かかる問題点に鑑み、匿名性を担保した上で、地理的な統計情報を適切に把握することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る路線統計データ管理装置は、路線を示す路線データに関連付けられた、当該路線に関連付けられる集計対象の属性情報を含む路線統計データを管理する路線統計データ管理装置であって、路線統計データに含まれる集計対象の属性情報の数である情報数が所与の閾値未満である路線を非匿名化路線として抽出する抽出部と、一の非匿名化路線の路線統計データを、一の非匿名化路線に隣接する路線である隣接路線の路線統計データに結合する結合部であって、隣接路線は、一の非匿名化路線の路線統計データの情報数と隣接路線の路線統計データの情報数との合計が閾値以上となるような非匿名化路線である、結合部と、を備える。
【0007】
本発明の一形態に係る路線統計データ管理方法は、路線を示す路線データに関連付けられた、当該路線に関連付けられる集計対象の属性情報を含む路線統計データを管理する路線統計データ管理装置における路線統計データ管理方法であって、路線統計データに含まれる集計対象の属性情報の数である情報数が所与の閾値未満である路線を非匿名化路線として抽出する抽出ステップと、一の非匿名化路線の路線統計データを、一の非匿名化路線に隣接する路線である隣接路線の路線統計データに結合する結合ステップであって、隣接路線は、一の非匿名化路線の路線統計データの情報数と隣接路線の路線統計データの情報数との合計が閾値以上となるような非匿名化路線である、結合ステップと、を有する。
【0008】
本発明の一形態に係る路線統計データ管理プログラムは、コンピュータを、路線を示す路線データに関連付けられた、当該路線に関連付けられる集計対象の属性情報を含む路線統計データを管理する路線統計データ管理装置として機能させるための路線統計データ管理プログラムであって、コンピュータに、路線統計データに含まれる集計対象の属性情報の数である情報数が所与の閾値未満である路線を非匿名化路線として抽出する抽出機能と、一の非匿名化路線の路線統計データを、一の非匿名化路線に隣接する路線である隣接路線の路線統計データに結合する結合機能であって、隣接路線は、一の非匿名化路線の路線統計データの情報数と隣接路線の路線統計データの情報数との合計が閾値以上となるような非匿名化路線である、結合機能と、を実現させる。
【0009】
上記の形態によれば、集計対象の種々の属性情報が、該属性情報が関連付けられる路線を示す路線データに関連付けられて、路線統計データとして管理される。各路線統計データに含まれる属性情報の情報数が閾値未満である路線が、匿名化が十分ではない非匿名化路線として抽出され、結合後の情報数が閾値以上となるように、一の非匿名化路線の路線統計データと、隣接路線の路線統計データとが結合される。これにより、匿名性が担保され且つ路線毎の特徴を適切に表した路線統計データを得ることが可能となる。
【0010】
別の形態に係る路線統計データ管理装置は、結合部は、複数の隣接路線のうち、一の非匿名化路線の路線統計データの情報数と隣接路線の路線統計データの情報数との合計が最も少なくなるような隣接路線の路線統計データを、一の非匿名化路線の路線統計データと結合することとしてもよい。
【0011】
上記の形態によれば、複数の隣接路線のうち、結合後の情報数の合計が最も小さくなるような隣接路線が、一の非匿名化路線と結合される隣接路線として選択される。これにより、路線統計データが結合されることにより各路線統計データが表す地理的特徴が過剰に粗くなることを防止できる。
【0012】
別の形態に係る路線統計データ管理装置は、路線データは、路線の長さを示す路線長を含み、結合部は、複数の隣接路線のうち、一の非匿名化路線の路線データの路線長と隣接路線の路線データの路線長との合計が最も短くなるような隣接路線の路線統計データを、一の非匿名化路線の路線統計データと結合することとしてもよい。
【0013】
上記の形態によれば、複数の隣接路線のうち、結合後の路線長の合計が最も短くなるような隣接路線が、一の非匿名化路線と結合される隣接路線として選択される。これにより、路線統計データが結合されることにより各路線統計データが表す地理的特徴が過剰に粗くなることを防止できる。
【0014】
別の形態に係る路線統計データ管理装置は、結合部は、複数の隣接路線のうち、一の非匿名化路線の路線統計データの情報数と隣接路線の路線統計データの情報数との合計が最も小さくなるような隣接路線である第1の候補隣接路線が複数ある場合に、複数の第1の候補隣接路線のうち、一の非匿名化路線の路線データの路線長と第1の候補隣接路線の路線データの路線長との合計が最も短くなるような第1の候補隣接路線の路線統計データを、一の非匿名化路線の路線統計データと結合することとしてもよい。
【0015】
上記の形態によれば、結合後の情報数の合計が最も小さくなるような第1の候補隣接路線が複数有る場合に、結合後の路線長の合計が最も短くなるような第1の候補隣接路線が、一の非匿名化路線と結合される隣接路線として選択される。従って、一の非匿名化路線と結合させるべき適切な隣接路線を選択できる。
【0016】
別の形態に係る路線統計データ管理装置は、結合部は、複数の隣接路線のうちの、所与の拠点に設定された始点から、一の非匿名化路線及び隣接路線が結合されてなる結合路線を経由し、接続される路線が存在しない路線端点である終点に至るまでの総延長経路に含まれる路線の情報数の合計が最も小さくなるような、隣接路線の路線統計データを、一の非匿名化路線の路線統計データと結合することとしてもよい。
【0017】
上記の形態によれば、総延長経路に含まれる路線の情報数の合計を、他の路線の路線データに及ぼす影響度を示す重み付けとして、複数の隣接路線のうち、総延長経路に含まれる路線の情報数が最も少ない隣接路線が、一の非匿名化路線と結合される隣接路線として選択される。これにより、路線統計データが結合されることによる他の路線の路線データに及ぼす影響を抑制できる。
【0018】
別の形態に係る路線統計データ管理装置は、結合部は、複数の隣接路線のうちの、所与の拠点に設定された始点から、一の非匿名化路線及び隣接路線が結合されてなる結合路線を経由し、接続される路線が存在しない路線端点である終点に至るまでの総延長経路に含まれる路線の路線長の合計が最も短くなるような、隣接路線の路線統計データを、一の非匿名化路線の路線統計データと結合することとしてもよい。
【0019】
上記の形態によれば、総延長経路に含まれる路線の路線長の合計を、他の路線の路線データに及ぼす影響度を示す重み付けとして、複数の隣接路線のうち、総延長経路に含まれる路線の路線長の合計が最も短い隣接路線が、一の非匿名化路線と結合される隣接路線として選択される。これにより、路線統計データが結合されることによる他の路線の路線データに及ぼす影響を抑制できる。
【0020】
別の形態に係る路線統計データ管理装置は、結合部は、複数の隣接路線のうち、所与の拠点に設定された始点から、一の非匿名化路線及び隣接路線が結合されてなる結合路線を経由し、接続される路線が存在しない路線端点である終点に至るまでの総延長経路に含まれる路線の情報数の合計が最も小さくなるような隣接路線である第2の候補隣接路線が複数ある場合に、複数の第2の候補隣接路線のうち、総延長経路に含まれる路線の路線長の合計が最も短くなるような、第2の候補隣接路線の路線統計データを、一の非匿名化路線の路線統計データと結合することとしてもよい。
【0021】
上記の形態によれば、総延長経路に含まれる路線の情報数が最も少なくなるような第2の候補隣接路線が複数有る場合に、総延長経路に含まれる路線の路線長の合計が最も短くなるような第2の候補隣接路線が、一の非匿名化路線と結合される隣接路線として選択される。従って、一の非匿名化路線と結合させるべき適切な隣接路線を選択できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一側面によれば、匿名性を担保した上で、地理的な統計情報を適切に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係る路線統計データ管理装置の機能的構成を示すブロック図である。
図2】路線統計データ管理装置のハードウェア構成を示す図である。
図3図3(a)は、路線データの例を示す図である。図3(b)は、路線データの結合の例を示す図である。
図4】路線データに集計対象の属性情報が関連付けられてなる路線統計データの一部の例をテーブル形式で例示する図である。
図5】路線統計データ管理装置において実施される路線統計データ管理方法の処理内容を示すフローチャートである。
図6図6(a)は、処理対象の路線データを模式的に示す図である。図6(b)は、路線統計データにおいて、各路線に関連付けられている属性情報の情報数及び各路線の路線長を示す図である。
図7図7(a)は、結合後の情報数に基づいて仮結合された路線の路線データを模式的に示す図である。図7(b)は、仮結合された路線統計データにおいて、各路線に関連付けられている属性情報の情報数及び各路線の路線長を示す図である。
図8図8(a)は、結合路線を含む総延長経路を模式的に示す図である。図8(b)は、総延長経路に含まれる路線の情報数合計及び路線長合計を示す図である。
図9図9(a)は、結合された路線を含む各路線の路線データを模式的に示す図である。図9(b)は、結合された路線を含む各路線の路線統計データに含まれる属性情報の情報数及び路線長を示す図である。
図10】路線統計データ管理プログラムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る路線統計データ管理装置の機能的構成を示す図である。路線統計データ管理装置10は、路線統計データを管理する装置である。路線統計データは、路線を示す路線データ及び路線データに関連付けられた集計対象の属性情報を含むデータである。言い換えるならば、路線統計データは、路線データ及び当該路線データに関連付けられた統計データからなる。路線データは、路線を示す有限長の線形データである。統計データは、路線に関連付けられ、1以上の集計対象の属性情報である。集計対象は、例えば、人、世帯及び家屋等に例示される。集計対象の属性情報は、例えば、世帯情報、要介護者情報、住基情報及び土地、家屋の課税情報等に例示される。
【0026】
図1に示されるように、路線統計データ管理装置10は、取得部11、抽出部12、結合部13及び出力部14を備える。図1に示される路線統計データ管理装置10の例では、各機能部11~14が一つの装置に構成されているが、各機能部は、複数の装置に分散されて構成されてもよい。また、路線統計データ管理装置10に含まれる各機能部11~14は、ハードウェア及びソフトウェアのいずれか、または任意の組み合わせによって実現される。
【0027】
図1に示されるように、路線統計データ管理装置10は、路線統計データ記憶部20といった記憶手段にアクセス可能に構成されている。路線統計データ記憶部20は、路線統計データを記憶している記憶手段である。路線統計データ記憶部20は、路線統計データ管理装置10内に構成されてもよいし、路線統計データ管理装置10からネットワークまたは所定の通信手段を介してアクセス可能に構成されてもよい。
【0028】
図2は、路線統計データ管理装置10のハードウェア構成図である。路線統計データ管理装置10は、物理的には、図2に示すように、CPU101、RAM及びROMといったメモリにより構成される主記憶装置102、ハードディスク及びメモリ等で構成される補助記憶装置103、通信制御装置104などを含むコンピュータシステムとして構成されている。路線統計データ管理装置10は、入力デバイスであるキーボード、タッチパネル、マウス等の入力装置105及びディスプレイ等の出力装置106をさらに含むこととしてもよい。
【0029】
図1に示した各機能は、図2に示すCPU101、主記憶装置102等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信制御装置104等を動作させるとともに、主記憶装置102や補助記憶装置103におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。処理に必要なデータやデータベースは主記憶装置102及び補助記憶装置103内に格納される。
【0030】
図3は、本実施形態の路線統計データ管理装置10における路線統計データの管理処理を概略的に示す図である。図3(a)は、路線データの例を示す図である。路線データは、市町村等が土地の評価を行うために用いる固定資産税路線価及び道路ネットワーク図等に基づいて加工及び設定された、路線に対応する線形のデータである。図3(a)では、各路線に対応する路線データr1,r2,r3,r4,r5が示されている。
【0031】
図4は、路線データに集計対象の属性情報が関連付けられてなる路線統計データの例をテーブル形式で例示する図である。図4に示される例では、路線データr1には、2つの属性情報at11,at12が関連付けられている。即ち、路線データr1に対応する路線統計データの情報数は2である。また、路線データr2,r3,r4,r5のそれぞれに対応する路線統計データの情報数はそれぞれ、3,1,4,3である。
【0032】
路線統計データは、各路線を示す路線データに、当該路線に属する集計対象の属性情報即ち統計情報が統計データとして関連付けられてなるデータである。集計対象は、例えば、人、世帯及び家屋等である。集計対象の属性情報は、例えば、世帯情報、要介護者情報、住基情報及び土地、家屋の課税情報等に例示される。
【0033】
各路線統計データにおける集計対象の属性情報の数である情報数が少ない場合には、集計対象の特定が容易となり、路線統計データにおける匿名性が十分に担保されない。そこで、本実施形態の路線統計データ管理装置10は、図3(b)に示されるように、路線統計データにおいて各路線に関連付けられた集計対象の属性情報の数が少ないために統計データの匿名性が十分ではない非匿名化路線の路線統計データを、非匿名化路線に隣接する隣接路線の路線統計データと結合することにより、統計データの匿名性を担保する。
【0034】
図3(b)に示される例では、路線統計データ管理装置10は、路線データr1,r2に対応する路線統計データを結合して、結合路線r12に対応する路線統計データを生成する。また、路線統計データ管理装置10は、路線データr3,r4,r5に対応する路線統計データを結合して、結合路線r35に対応する路線統計データを生成する。
【0035】
再び図1を参照して、図1に示した路線統計データ管理装置10の機能部を説明する。取得部11は、ある処理対象の範囲内の前記路線統計データを取得する。処理対象の範囲は、例えば、所定の地理的範囲である。本実施形態では、取得部11は、例えば、路線統計データ記憶部20から、処理対象の範囲内の路線統計データを取得する。
【0036】
抽出部12は、取得部11により取得された路線統計データの各々に含まれる集計対象の属性情報の数である情報数が所与の閾値未満である路線を、匿名化が十分ではない非匿名化路線として抽出する。具体的には、抽出部12は、各路線統計データにおいて、各路線データに関連付けられている統計データを参照して、統計データに含まれている属性情報の情報数が閾値未満の路線を、非匿名化路線として抽出する。
【0037】
結合部13は、一の非匿名化路線の路線統計データを、一の非匿名化路線に隣接する路線である隣接路線の路線統計データに結合する。結合される隣接路線は、一の非匿名化路線の路線統計データの情報数と当該隣接路線の路線統計データの情報数との合計が閾値以上となるような路線である。結合される隣接路線は、非匿名化路線であっても、関連付けられた属性情報の数が所与の閾値以上である匿名化路線であってもよい。
【0038】
出力部14は、結合部13により結合された路線統計データを出力する。出力部14は、例えば、結合部13により結合された路線統計データを路線統計データ記憶部20に記憶させる。
【0039】
続いて、図5のフローチャート及び図6図9の路線統計データの例を参照しながら、路線統計データ管理処理を詳細に説明する。図5は、路線統計データ管理装置において実施される路線統計データ管理方法の処理内容を示すフローチャートである。図6図9は、処理対象の路線及び路線データを模式的に示す図、並びに、各路線に関連付けられる属性情報の数等を示す図である。
【0040】
ステップS1において、取得部11は、処理対象の地理的範囲内の路線統計データを取得する。図6(a)は、処理対象の路線及び路線データを模式的に示す図である。図6(a)に示されるように、ここでは、路線A~Eが処理対象の路線とされ、取得部11は、路線データra,rb,rc,rd,reのそれぞれを含む、路線A~Eの路線統計データを取得する。
【0041】
図6(b)は、各路線の路線統計データにおいて、路線データに関連付けられている属性情報の数である情報数N及び各路線の長さを示す路線長を示す図である。例えば、路線Aの路線統計データにおいて、路線データraに関連付けられている属性情報の情報数Nは3であり、路線Aの路線長は15である。
【0042】
ステップS2において、抽出部12は、匿名化されていない路線統計データがあるか否かを判定する。匿名化されていない路線統計データがあると判定された場合には、処理はステップS3に進む。一方、匿名化されていない路線統計データがあると判定されなかった場合には、処理はステップS13に進む。
【0043】
図6に示す例では、例えば、情報数Nに関する所与の閾値が3であるとして、抽出部12は、情報数Nが3未満である路線統計データがあるか否かを判定する。そして、情報数Nが3未満である路線B,C,Eがあるので、処理はステップS3に進む。
【0044】
ステップS3において、抽出部12は、情報数Nが所与の閾値未満の非匿名化路線を抽出する。図6(a)及び図6(b)に示す例では、抽出部12は、情報数Nが3未満である路線を非匿名化路線として抽出する。具体的には、抽出部12は、情報数Nがそれぞれ2,1,2である路線B,C,Eを非匿名化路線として抽出する。
【0045】
ステップS4において、結合部13は、ステップS3において抽出された非匿名化路線のうちの一の非匿名化路線に隣接する路線である隣接路線を抽出する。ここで抽出される隣接路線は、一の非匿名化路線の路線統計データの情報数と当該隣接路線の路線統計データの情報数との合計が閾値以上となるような非匿名化路線である。ここで、一の非匿名化路線に隣接する非匿名化路線が存在する場合には、結合部13は、非匿名化路線を優先して、当該一の非匿名化路線の隣接路線として抽出してもよい。図5等を参照しながら説明する以後の処理の例では、一の非匿名化路線に隣接する非匿名化路線が隣接路線として抽出されることとする。
【0046】
図6に示す例では、結合部13は、路線Bの隣接路線として、路線Bに隣接し、且つ、路線Bの情報数(N=2)との情報数の合計が3以上となる非匿名化路線である路線C,Eを抽出する。また、結合部13は、路線Cの隣接路線として、路線Cに隣接し、且つ、路線Cの情報数(N=1)との情報数の合計が3以上となる非匿名化路線である路線B,Eを抽出する。また、結合部13は、路線Eの隣接路線として、路線Eに隣接し、且つ、路線Eの情報数(N=2)との情報数の合計が3以上となる非匿名化路線である路線B,Cを抽出する。
【0047】
ステップS5において、結合部13は、一の非匿名化路線の情報数Nと隣接路線の情報数Nとの合計が最小となる隣接路線を、一の非匿名化路線と結合させる隣接路線として選択する。図7を更に参照して、隣接路線の選択について説明する。図7(a)は、ステップS4において抽出された隣接路線と一の非匿名化路線とが仮結合された結合路線及び路線データを模式的に示す図である。図7(b)は、結合路線の情報数N及び路線長を示す図である。
【0048】
図7(a)に示されるように、結合部13は、路線B(路線データrb)と路線C(路線データrc)とを仮結合した結合路線BC(路線データrbc)を生成する。図7(b)に示されるように、結合路線BCの情報数Nは3(=2+1)である。また、結合部13は、路線B(路線データrb)と路線E(路線データre)とを仮結合した結合路線BE(路線データrbe)を生成する。結合路線BEの情報数Nは4(=2+2)である。また、結合部13は、路線C(路線データrc)と路線E(路線データre)とを仮結合した結合路線CE(路線データrce)を生成する。結合路線CEの情報数Nは3(=1+2)である。
【0049】
結合部13は、仮結合された非匿名化路線と隣接路線との組合せから、情報数の合計が最小となる組合せを選択する。図7に示す例では、結合部13は、仮結合された結合路線の路線の組合せのうち、情報数Nの合計が最小(N=3)となる路線BC及び路線CEを選択する。
【0050】
ステップS6において、結合部13は、一の非匿名化路線と結合させる隣接路線のうち、結合された路線の情報数Nの合計が最小となる隣接路線(第1の候補隣接路線)が複数存在するか否かを判定する。情報数Nの合計が最小となる隣接路線が複数存在すると判定された場合には、処理はステップS7に進む。一方、情報数Nの合計が最小となる隣接路線が複数存在すると判定されなかった場合には、処理はステップS12に進む。
【0051】
即ち、ステップS6では、結合部13は、仮結合された非匿名化路線と隣接路線との組合せから、情報数の合計が最小となる組合せが複数存在するか否かを判定する。図7に示される例では、仮結合された結合路線のうち、情報数Nの合計が最小(N=3)となる組合せが、路線BC及び路線CEの2つ存在するので、処理はステップS7に進められる。
【0052】
ステップS7において、結合部13は、一の非匿名化路線の路線長と隣接路線の路線長との合計の路線長が最短となる隣接路線を、一の非匿名化路線と結合させる隣接路線として選択する。図7(b)に示されるように、結合路線BCの合計の路線長は17である。また、結合路線CEの合計の路線長は17である。
【0053】
結合部13は、仮結合された非匿名化路線と隣接路線との組合せから、合計の路線長が最短となる組合せを選択する。図7に示す例では、結合部13は、ステップS5,S6において洗濯された結合路線の路線の組合せのうち、路線長の合計が最小(17)となる路線BC及び路線CEを選択する。なお、ステップS7の処理は、ステップS4の処理の後に、ステップS5,S6の処理を経ずに実行されてもよい。
【0054】
ステップS8において、結合部13は、一の非匿名化路線と結合させる隣接路線のうち、結合された路線の路線長の合計が最短となる隣接路線が複数存在するか否かを判定する。路線長の合計が最短となる隣接路線が複数存在すると判定された場合には、処理はステップS9に進む。一方、路線長の合計が最短となる隣接路線が複数存在すると判定されなかった場合には、処理はステップS12に進む。
【0055】
即ち、ステップS8では、結合部13は、仮結合された非匿名化路線と隣接路線との組合せから、路線長の合計が最短となる組合せが複数存在するか否かを判定する。図7に示される例では、仮結合された結合路線のうち、路線長の合計が最短(17)となる組合せが、路線BC及び路線CEの2つ存在するので、処理はステップS9に進められる。
【0056】
ステップS9において、結合部13は、複数の隣接路線のうちの、総延長経路に含まれる路線の情報数Nの合計が最も小さくなるような隣接路線を、一の非匿名化路線と結合させる隣接路線として選択する。総延長経路は、所与の拠点に設定された始点から、前記一の非匿名化路線及び前記隣接路線が結合されてなる結合路線を経由し、接続される路線が存在しない路線端点である終点に至るまでの経路である。所定の拠点は、目的に応じて予め設定される。例えば、路線統計データの使用目的が「災害時の救助」である場合には、避難先となる学校及び病院等が拠点として設定される。
【0057】
図8を更に参照して、総延長経路に基づく隣接路線の選択について説明する。図8(a)は、結合路線を含む総延長経路を模式的に示す図である。図8(b)は、総延長経路に含まれる路線の情報数合計及び路線長合計を示す図である。結合部13は、ステップS9に至るまでに選択された結合路線である路線BC及び路線CEの総延長経路を抽出する。図8(a)に示されるように、結合部13は、路線BCの総延長経路として、始点spから、路線BCを経由し、さらに路線A、路線Fを経由し、路線Fにおける接続路線が存在しない路線端点である行止ep1に至るまでの経路を抽出する。そして、結合部13は、路線BC、路線A及び路線Fの情報数Nの総和により、路線BCの総延長経路の情報数Nの合計7を算出する。
【0058】
また、結合部13は、路線CEの総延長経路として、始点spから、路線CEを経由し、路線Eにおける接続路線が存在しない路線端点である行止ep2に至るまでの経路を抽出する。そして、結合部13は、路線CE及び路線Eの情報数Nの総和により、路線CEの総延長経路の情報数Nの合計3を算出する。
【0059】
結合部13は、仮結合された非匿名化路線と隣接路線との組合せから、総延長経路に含まれる路線の情報数Nの合計が最小となる組合せを選択する。図8に示す例では、結合部13は、路線BC及び路線CEのうちの、路線CEを選択する。
【0060】
なお、ステップS9の処理は、ステップS4の処理の後に、ステップS5,S6,S7,S8の処理を経ずに実行されてもよい。また、ステップS9の処理は、ステップS6の判定処理において「YES」の判定がされた後に、ステップS7,S8の処理を経ずに実行されてもよい。
【0061】
ステップS10において、結合部13は、総延長経路に含まれる路線の情報数Nの合計が最小となる隣接路線(第2の候補隣接路線)が複数存在するか否かを判定する。総延長経路に含まれる路線の情報数Nの合計が最小となる隣接路線が複数存在すると判定された場合には、処理はステップS11に進む。一方、総延長経路に含まれる路線の情報数Nの合計が最小となる隣接路線が複数存在すると判定されなかった場合には、処理はステップS12に進む。
【0062】
即ち、ステップS10では、結合部13は、仮結合された非匿名化路線と隣接路線との組合せから、総延長経路に含まれる路線の情報数Nの合計が最小となる組合せが複数存在するか否かを判定する。図8に示される例では、総延長経路に含まれる路線の情報数Nの合計が最小となる組合せは、路線BC及び路線CEのうちの、路線CEの一つであるので、処理はステップS12に進められる。
【0063】
ステップS11において、結合部13は、複数の隣接路線のうちの、総延長経路に含まれる路線の情報数Nの合計が最も小さくなるような隣接路線を、一の非匿名化路線と結合させる隣接路線として選択する。仮に、路線BC及び路線CEの総延長経路に含まれる路線の情報数Nの合計が同じであり、処理がステップS10からステップS11に進められたと仮定して、結合部13は、路線BCの総延長経路に含まれる、路線BC,路線A及び路線Fの路線長の合計37を算出する。また、結合部13は、路線CEの総延長経路に含まれる、路線CE及び路線Eの路線長の合計17を算出する。結合部13は、仮結合された非匿名化路線と隣接路線との組合せから、総延長経路に含まれる路線の路線長の合計が最短となる組合せを選択する。図8に示す例では、結合部13は、路線BC及び路線CEのうちの、路線CEを選択する。
【0064】
なお、ステップS11の処理は、ステップS4の処理の後に、ステップS5,S6,S7,S8,S9,S10の処理を経ずに実行されてもよい。また、ステップS11の処理は、ステップS6の判定処理において「YES」の判定がされた後に、ステップS7,S8,S9,S10の処理を経ずに実行されてもよい。また、ステップS11の処理は、ステップS8の判定処理において「YES」の判定がされた後に、ステップS9,S10の処理を経ずに実行されてもよい。
【0065】
ステップS12において、結合部13は、非匿名化路線の路線統計データと、選択された隣接路線の路線統計データとを結合する。図9は、図9(a)は、結合された路線を含む各路線の路線データを模式的に示す図である。図9(b)は、結合された路線を含む各路線の路線統計データに含まれる属性情報の情報数及び路線長を示す図である。図9に示される例では、ステップS12に至るまでに仮結合された結合路線である路線CEが選択されたので、結合部13は、路線Cの路線統計データと路線Eの路線統計データとを結合し、路線CEの路線統計データを生成する。図9(b)に示されるように、路線CEの情報数Nは「3」であるので、路線CEの路線統計データにおける統計データの匿名性が担保される。
【0066】
ステップS12の処理の後に、ステップS2の判定処理において「NO」の判定がされた場合には、処理はステップS13に進む。ステップS13において、出力部14は、結合された路線統計データを出力する。具体的には、出力部14は、例えば、結合された路線統計データを路線統計データ記憶部20に記憶させる。
【0067】
なお、ステップS4において、一の非匿名化路線に隣接する非匿名化路線が存在せず、匿名化路線が存在する場合には、結合部13は、当該匿名化路線を隣接路線として抽出する。図6(a)に示される例において、仮に路線C及び路線Eが匿名化路線である場合には、路線Bの隣接路線として、路線A,C,D,Eが抽出されて、ステップS5以降の処理が実施される。
【0068】
次に、図10を参照して、コンピュータを路線統計データ管理装置10として機能させるための路線統計データ管理プログラムを説明する。路線統計データ管理プログラムP1は、メインモジュールm10、取得モジュールm11、抽出モジュールm12、結合モジュールm13及び出力モジュールm14を含む。
【0069】
メインモジュールm10は、路線統計データ管理処理を統括的に制御する部分である。取得モジュールm11、抽出モジュールm12、結合モジュールm13及び出力モジュールm14を実行することにより実現される機能はそれぞれ、図1に示される路線統計データ管理装置10の取得部11、抽出部12、結合部13及び出力部14の機能と同様である。
【0070】
路線統計データ管理プログラムP1は、例えば、磁気ディスクや光ディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体M1によって提供される。また、路線統計データ管理プログラムP1は、搬送波に重畳されたコンピュータデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0071】
以上説明した本実施形態の路線統計データ管理装置10、路線統計データ管理方法及び路線統計データ管理プログラムP1では、集計対象の種々の属性情報が、該属性情報が関連付けられる路線を示す路線データに関連付けられて、路線統計データとして管理される。各路線統計データに含まれる属性情報の情報数が閾値未満である路線が、匿名化が十分ではない非匿名化路線として抽出され、結合後の情報数が閾値以上となるように、一の非匿名化路線の路線統計データと、隣接路線の路線統計データとが結合される。匿名性が担保され且つ路線毎の特徴を適切に表した路線統計データを得ることが可能となる。
【0072】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0073】
10…路線統計データ管理装置、11…取得部、12…抽出部、13…結合部、14…出力部、20…路線統計データ記憶部、M1…記憶媒体、m10…メインモジュール、m11…取得モジュール、m12…抽出モジュール、m13…結合モジュール、m14…出力モジュール。
【要約】
【課題】匿名性を担保した上で、地理的な統計情報を適切に把握する。
【解決手段】路線統計データ管理装置10は、路線を示す路線データに関連付けられた、当該路線に関連付けられる集計対象の属性情報を含む路線統計データを管理する路線統計データ装置であって、路線統計データに含まれる集計対象の属性情報の数である情報数が所与の閾値未満である路線を非匿名化路線として抽出する抽出部12と、一の非匿名化路線の路線統計データを、一の非匿名化路線に隣接する隣接路線の路線統計データに結合する結合部13であって、結合される隣接路線は、一の非匿名化路線の路線統計データの情報数と隣接路線の路線統計データの情報数との合計が閾値以上となるような路線である、結合部13と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10