(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-07
(45)【発行日】2022-11-15
(54)【発明の名称】エピナスチン又はその塩と硫黄系抗酸化剤を含有する経皮投与用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/55 20060101AFI20221108BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20221108BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20221108BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20221108BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20221108BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20221108BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
A61K31/55
A61K47/22
A61P27/02
A61K47/44
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/10
(21)【出願番号】P 2022531536
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 JP2021047943
【審査請求日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】P 2020215228
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000177634
【氏名又は名称】参天製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100158414
【氏名又は名称】秦野 正和
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 豊実
(72)【発明者】
【氏名】池田 紘之
【審査官】松本 淳
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-522053(JP,A)
【文献】特開2020-055799(JP,A)
【文献】特表2016-513723(JP,A)
【文献】国際公開第2018/203424(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エピナスチン又はその塩と2-メルカプトベンズイミダゾールを含有する経皮投与用医薬組成物。
【請求項2】
0.01~5%(w/w)濃度のエピナスチン又はその塩である、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
軟膏剤、クリーム剤又はゲル剤である、請求項
1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
クリーム剤である、請求項
3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
油中水型エマルションである、請求項1~
4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
眼科用である、請求項1~
5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
経皮投与が眼瞼皮膚への投与である、請求項1~
6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
アレルギー性結膜炎を治療するための、請求項1~
7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
患者に1日1回投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~
8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
エピナスチン又はその塩と
2-メルカプトベンズイミダゾールを含有する経皮投与用医薬組成物であって、さらに炭化水素、ロウ、油脂、脂肪族カルボン酸又はその塩、脂肪酸エステル及び高級アルコールからなる群より選択される1以上の油成分を含有
し、前記高級アルコールが、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール及びオクチルドデカノールからなる群より選択される1以上である、医薬組成物。
【請求項11】
さらに、溶媒及び/又は分散媒を含有する、請求項
10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
パラベンを含有しない、請求項
10又は
11に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エピナスチン又はその塩と硫黄系抗酸化剤を含有する経皮投与用医薬組成物(以下、「本発明の医薬組成物」ともいう)に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品は、有効性と安全性を確保するための厳格な管理が義務づけられている。例えば、「新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドライン」には、医薬品の品質を確保するために、新製剤の製造中あるいは安定性試験において認められた分解生成物(原薬の分解生成物又は原薬と医薬品添加物もしくは直接容器/施栓系との反応による生成物)についてその量の限度値(閾値)が定められており、その値を超えると、分解生成物の構造決定、さらには分解生成物の安全性の確認等が必要であると規定されている。従って、医薬品の開発においては、その製造中あるいは保存中に分解生成物が閾値を超えて生成されないように処方設計及び製造工程を管理する必要がある。
【0003】
エピナスチン又はその塩を含む医薬品としては、例えば、アレルギー性結膜炎治療剤として、エピナスチン塩酸塩を有効成分とするアレジオン(登録商標)点眼液0.05%があり、通常1回1滴、1日4回点眼の用法・用量で使用されている(非特許文献1)。点眼液では、服薬アドヒアランスの観点から、点眼回数を少なくすることが望ましいとされているが、点眼回数を減らすと眼組織中の有効濃度を維持できずに薬効を低減させる可能性があり、薬効を発揮するためには眼組織中の有効濃度を維持する必要がある。眼組織中の有効濃度を維持する方法としては、有効成分の配合濃度を増大させる方法があるが、有効成分の配合濃度を増大させると副作用の発生のリスクが高まる可能性がある。そこで、近年、点眼以外の投与方法を選択することによって、眼組織中の有効濃度を維持する試みが行われている。
【0004】
例えば、特許文献1には、支持体上に眼疾患治療薬を含有する膏体層が設けられた構造を有し、眼瞼の前表面を含む皮膚表面に貼付して、膏体層中の眼疾患治療薬を、実質的に全身血流を介さずに、皮膚透過により眼の局所組織に投与するための眼疾患治療用経皮吸収型製剤について記載されている。また、エピナスチン又はその塩についても、点眼液以外の製剤として眼科用経皮吸収型製剤が報告されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2004/064817
【文献】WO2007/007851
【非特許文献】
【0006】
【文献】アレジオン(登録商標)点眼液0.05%添付文書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
エピナスチン又はその塩を含む医薬品において、水性点眼剤におけるエピナスチン又はその塩の安定性が良好であることは知られている一方で、その他の剤形、例えば経皮吸収型製剤においてはエピナスチン又はその塩の安定性を長時間維持するのが困難であることはこれまで知られていない。そのため、経皮吸収型製剤中のエピナスチン又はその塩の安定性を維持する方法についての報告はない。
【0008】
したがって、眼組織中の有効濃度を維持し、かつ安定性を長時間維持できる、有効成分としてエピナスチン又はその塩を含有する新たな医薬組成物を提供することは興味深い課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、エピナスチン又はその塩を含有する、新たな医薬組成物について鋭意研究を行う過程において、エピナスチン又はその塩を含む医薬組成物を経皮吸収型製剤として調製した際に、水性点眼剤中の安定性とは反し、驚くべきことにエピナスチン又はその塩の類縁物質が不純物として発生し、その安定性を長時間維持するのが困難であることを見出した。さらに鋭意検討を行った結果、エピナスチン又はその塩を含む経皮投与用医薬組成物に抗酸化剤、具体的には硫黄系抗酸化剤を加えることによって、長期保存下でも類縁物質の発生・増加を抑え、当該医薬組成物においてエピナスチン又はその塩の安定性を長時間維持できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0010】
具体的に、本発明は以下を提供する。
(1)エピナスチン又はその塩と硫黄系抗酸化剤を含有する経皮投与用医薬組成物。
(2)硫黄系抗酸化剤が、システイン、N-アセチルシステイン、メチオニン、グルタチオン、2-メルカプトベンズイミダゾール、チオリンゴ酸ナトリウム、チオグリセロール、チオグリコール酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム及び亜硫酸ナトリウムからなる群より選択される1以上である、(1)に記載の医薬組成物。
(3)硫黄系抗酸化剤が、2-メルカプトベンズイミダゾールである、(2)に記載の医薬組成物。
(4)0.01~5%(w/w)濃度のエピナスチン又はその塩である、(1)~(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(5)軟膏剤、クリーム剤又はゲル剤である、(1)~(4)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(6)クリーム剤である、(5)に記載の医薬組成物。
(7)油中水型エマルションである、(1)~(6)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(8)眼科用である、(1)~(7)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(9)経皮投与が、眼瞼皮膚への投与である、(1)~(8)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(10)アレルギー性結膜炎を治療するための、(1)~(9)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(11)患者に1日1回投与されるように用いられることを特徴とする、(1)~(10)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(12)エピナスチン又はその塩と硫黄系抗酸化剤を含有する経皮投与用医薬組成物であって、さらに炭化水素、ロウ、油脂、脂肪族カルボン酸又はその塩、脂肪酸エステル及び高級アルコールからなる群より選択される1以上の油成分を含有する、医薬組成物。
(13)さらに、溶媒及び/又は分散媒を含有する、(12)に記載の医薬組成物。
(14)パラベンを含有しない、(12)又は(13)に記載の医薬組成物。
【0011】
さらに、本発明は以下を提供する。
(15)エピナスチン又はその塩が、エピナスチンである、(1)~(14)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(16)硫黄系抗酸化剤が、0.01~2%(w/w)である、(1)~(14)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(17)防腐剤を含有しない、(1)~(13)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(18)エピナスチン又はその塩を含有する経皮投与用医薬組成物に、硫黄系抗酸化剤を含有させることにより、エピナスチン又はその塩の類縁物質の発生及び増加を抑制する方法。
(19)エピナスチン又はその塩を含有する経皮投与用医薬組成物に、硫黄系抗酸化剤を含有させることにより、医薬組成物におけるエピナスチン又はその塩の安定性を向上させる方法。
(20)治療が必要な患者に、治療上の有効量の(1)~(17)のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを特徴とする、アレルギー性結膜炎の治療方法。
(21)アレルギー性結膜炎を治療するための医薬を製造するための、(1)~(17)のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
(22)エピナスチン又はその塩と抗酸化剤を含有する経皮投与用医薬組成物。
【0012】
なお、前記(1)から(22)の各構成は、任意に2以上を選択して組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、眼組織中においてエピナスチン又はその塩の有効濃度が維持され、さらに、医薬組成物中のエピナスチン又はその塩が長期間にわたり安定化される、有効成分としてエピナスチン又はその塩を含む経皮投与用医薬組成物を提供することができる。また、本発明の医薬組成物は、医薬品として十分な安全性を有するものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0015】
本発明において、「エピナスチン」とは、化学名(±)-3-Amino-9,13b-dihydro-1H-dibenz[c,f]imidazo[1,5-a]azepineで表される化合物であり、また下記式:
【化1】
で表される化合物である。
【0016】
本発明の医薬組成物において、含有されるエピナスチンはラセミ体であってもよく、光学異性体であってもよい。
【0017】
本発明の医薬組成物において、含有されるエピナスチンは塩であってもよく、医薬として許容される塩であれば特に制限はない。塩としては例えば、無機酸との塩、有機酸との塩等が挙げられる。
無機酸との塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩が挙げられる。
有機酸との塩としては、酢酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、グルコン酸、グルコヘプト酸、グルクロン酸、テレフタル酸、メタンスルホン酸、アラニン、乳酸、馬尿酸、1,2-エタンジスルホン酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、オレイン酸、没食子酸、パモ酸、ポリガラクツロン酸、ステアリン酸、タンニン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、硫酸ラウリル、硫酸メチル、ナフタレンスルホン酸、スルホサリチル酸等との塩が挙げられる。
エピナスチンの塩としては、一塩酸塩(エピナスチン塩酸塩)が特に好ましい。
【0018】
本発明の医薬組成物において、含有されるエピナスチン又はその塩は、水和物又は溶媒和物の形態をとってもよい。
【0019】
本発明の医薬組成物を調製する場合には、該医薬組成物中のエピナスチンの形態はエピナスチンの塩であってもよいが、経皮吸収性をより効率的に高めるためには、遊離形のエピナスチンであることがより好ましい。本発明の医薬組成物の製造工程において、遊離形のエピナスチンを使用して医薬組成物を調製してもよいが、エピナスチンの塩(例えば、エピナスチン塩酸塩)と適量の塩基(例えば、水酸化ナトリウム)を使用して工程中に脱塩を行い、該医薬組成物中に遊離形のエピナスチンを生じさせてもよい。
【0020】
本発明の医薬組成物において、エピナスチン又はその塩の含有量は、医薬として所望する治療効果を奏するのに十分な量であれば特に制限されないが、0.01~5%(w/w)が好ましく、0.03~3%(w/w)がより好ましく、0.05~1%(w/w)がさらに好ましく、0.05~0.5%(w/w)がよりさらに好ましく、0.1~1%(w/w)が特に好ましい。また、エピナスチン又はその塩の含有量は、0.01%(w/w)、0.03%(w/w)、0.05%(w/w)、0.1%(w/w)、0.2%(w/w)、0.25%(w/w)、0.3%(w/w)、0.4%(w/w)、0.5%(w/w)、0.6%(w/w)、0.7%(w/w)、0.75%(w/w)、0.8%(w/w)、0.9%(w/w)、1%(w/w)、1.5%(w/w)、2%(w/w)、3%(w/w)、5%(w/w)も好ましい。
【0021】
なお、本発明において、「%(w/w)」は、本発明の医薬組成物100g中に含まれる対象成分の質量(g)を意味する。本発明においてエピナスチンの塩が含有される場合、その値はエピナスチンの塩の含有量である。また、本発明においてエピナスチン又はその塩が、水和物又は溶媒和物の形態をとって配合される場合、その値はエピナスチン又はその塩の、水和物又は溶媒和物の含有量である。以下、特に断りがない限り同様とする。
【0022】
本発明において、「抗酸化剤」は、特に限定されないが、通常の医薬品において添加剤として用いられるものであればよい。抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸、トコフェロールまたはその誘導体、没食子酸プロピル、ジブチルヒドロキシトルエン(以下、「BHT」ともいう)、システイン、N-アセチルシステイン、メチオニン、グルタチオン、2-メルカプトベンズイミダゾール(以下、「MBI」ともいう)、チオリンゴ酸ナトリウム、チオグリセロール、チオグリコール酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。本発明における抗酸化剤は、好ましくは、硫黄系抗酸化剤である。本発明の医薬組成物において、含有される抗酸化剤は、塩の形態であってもよく、水和物又は溶媒和物或いは塩の水和物又は溶媒和物の形態をとってもよい。また、含有される抗酸化剤がキラル中心を有する場合、それらは、ラセミ体であってもよく、光学異性体であってもよい。
【0023】
本発明において、「硫黄系抗酸化剤」は、硫黄原子を分子内に有する抗酸化剤を意味し、硫黄系酸化防止剤ともいう。硫黄系抗酸化剤としては、例えば、システイン、N-アセチルシステイン、メチオニン、グルタチオン、2-メルカプトベンズイミダゾール(MBI)、チオリンゴ酸ナトリウム、チオグリセロール、チオグリコール酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等が挙げられ、これらの水和物又は溶媒和物であってもよい。特に好ましくは、2-メルカプトベンズイミダゾールである。
本発明の医薬組成物において、硫黄系抗酸化剤を1種又は2種以上一緒に用いてもよい。
【0024】
本発明の医薬組成物は、硫黄系抗酸化剤に加えて、硫黄系抗酸化剤以外の抗酸化剤を適宜配合することができる。これらの抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸、トコフェロールまたはその誘導体、没食子酸プロピル、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等が挙げられる。
本発明の医薬組成物にこれらの抗酸化剤を配合する場合には、かかる抗酸化剤を1種又は2種以上一緒に用いてもよい。
【0025】
本発明の医薬組成物に配合する硫黄系抗酸化剤の含有量並びに硫黄系抗酸化剤及び硫黄系以外の抗酸化剤の含有量は、抗酸化剤の数や種類等により適宜調整することができるが、例えば、0.01~2%(w/w)であり、好ましくは0.03~1.5%(w/w)、より好ましくは0.05~1%(w/w)、さらに好ましくは0.05~0.5%(w/w)である。
【0026】
本発明の医薬組成物において、硫黄系抗酸化剤として2-メルカプトベンズイミダゾールを使用する場合、その化合物は水に難溶な化合物のため、その含有量は、0.5%(w/w)以下が好ましい。また、抗酸化作用を発揮するためには、その含有量は0.01%(w/w)以上が好ましい。本発明の医薬組成物に配合される2-メルカプトベンズイミダゾールの含有量としては、0.01~0.5%(w/w)が好ましく、0.03~0.3%(w/w)がより好ましく、0.05~0.3%(w/w)がさらに好ましい。例えば、その含有量は、0.05%(w/w)、0.1%(w/w)、0.15%(w/w)、0.2%(w/w)、0.25%(w/w)又は0.3%(w/w)であってもよい。
【0027】
本発明の医薬組成物は、局所に適用でき、例えば、眼科用、耳鼻科用又は皮膚科用として調製することができる。本発明の医薬組成物は、眼科用経皮吸収型製剤が特に好ましい。
【0028】
本発明の医薬組成物の剤形は、医薬品として使用可能なものであれば特に制限されるものではなく、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤(テープ剤、パップ剤)、スプレー剤(例えば、ポンプスプレー剤、外用エアゾール剤)、外用液剤(例えば、ローション剤、リニメント剤)、外用固形剤(例えば、外用散剤)等が挙げられる。本発明の医薬組成物は、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、スプレー剤及び外用液剤が好ましく、軟膏剤、クリーム剤及びゲル剤がより好ましく、クリーム剤が特に好ましい。
これらは当該技術分野における通常の方法に従って製造することができる。
【0029】
本発明の医薬組成物を眼科用経皮吸収型製剤として使用する場合は、本発明の医薬組成物を眼の近傍に投与することが好ましい。「眼の近傍」とは上眼瞼、下眼瞼等の眼瞼及びその近傍、若しくは眼窩の周囲であり、眼瞼皮膚及びその近傍の皮膚、若しくは眼窩周囲の皮膚も含まれる。眼の近傍への投与には、例えば、上眼瞼、下眼瞼又はその両方の眼瞼皮膚及びその近傍への塗布又は貼付、若しくは眼窩周囲の皮膚への塗布又は貼付が含まれる。なお、眼瞼縁は眼の近傍に含まれてもよいが、まばたきによって眼瞼縁に投与された医薬組成物の一部が敏感な眼表面に触れることによって眼刺激性を生じやすくなる可能性が高まることから、眼瞼縁には投与しないことがより好ましい。
【0030】
本発明の医薬組成物には、必要に応じて医薬品の添加剤を用いることができ、例えば、pH調節剤、緩衝剤、等張化剤、粘稠化剤、安定化剤、防腐剤、界面活性化剤、清涼化剤、油成分等を加えることができる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、また、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよく、適量を配合することができる。
【0031】
本発明の医薬組成物にpH調節剤を配合する場合のpH調節剤は、医薬品の添加剤として使用可能なpH調節剤を適宜配合することができる。pH調節剤としては、例えば、酸又は塩基である。酸としては、例えば、塩酸、リン酸、酢酸、クエン酸、それらの塩等が挙げられ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。また、これらは、水和物又は溶媒和物であってもよい。
【0032】
本発明の医薬組成物のpHは、医薬品として許容される範囲内にあればよく、例えば4.0~8.5又は4.0~8.0の範囲内であり、6.0~8.0が好ましく、6.5~7.5がより好ましい。特に好ましいpHは、6.7~7.3である。例えば、そのpHは、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2又は7.3であってもよい。
【0033】
本発明の医薬組成物に緩衝剤を配合する場合の緩衝剤は、医薬品の添加剤として使用可能な緩衝剤を適宜配合することができる。緩衝剤としては、例えば、リン酸又はその塩、ホウ酸、ホウ砂、トロメタモール、有機酸又はその塩等が挙げられ、これらの水和物又は溶媒和物であってもよい。
【0034】
リン酸又はその塩としては、例えば、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム等が挙げられる。
有機酸としては、例えば、クエン酸、酢酸、ε-アミノカプロン酸、グルコン酸、フマル酸、乳酸、アスコルビン酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、アミノ酸類等が挙げられ、その塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0035】
本発明の医薬組成物に緩衝剤を配合する場合の緩衝剤の含有量は、緩衝剤の種類等により適宜調整することができ、例えば0.01~5%(w/w)であるが、緩衝剤以外の作用も有する場合にはこの限りではない。また、本発明の医薬組成物に緩衝剤を配合する場合には、緩衝剤を1種又は2種以上一緒に用いてもよい。
【0036】
本発明の医薬組成物に配合されるリン酸又はその塩及び有機酸又はその塩は、pH調節剤及び緩衝剤としての作用を有することがある。
【0037】
本発明の医薬組成物に等張化剤を配合する場合の等張化剤は、医薬品の添加剤として使用可能な等張化剤を適宜配合することができる。等張化剤としては、例えば、イオン性等張化剤、非イオン性等張化剤等が挙げられる。
【0038】
イオン性等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられ、これらの水和物又は溶媒和物であってもよい。
【0039】
非イオン性等張化剤としては、例えば、グリセリン(濃グリセリン)、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、トレハロース、マルトース、スクロース、キシリトール等が挙げられ、これらの水和物又は溶媒和物であってもよい。
【0040】
本発明の医薬組成物に等張化剤を配合する場合の等張化剤の含有量は、等張化剤の種類等により適宜調整することができ、例えば0.01~5%(w/w)であり、0.05~3%(w/w)が好ましく、0.1~2%(w/w)がより好ましく、0.1~1%(w/w)がさらに好ましいが、等張化剤以外の作用も有する場合にはこの限りではない。また、本発明の医薬組成物に等張化剤を配合する場合には、等張化剤を1種又は2種以上一緒に用いてもよい。
【0041】
本発明の医薬組成物に粘稠化剤を配合する場合の粘稠化剤は、医薬品の添加剤として使用可能な粘稠化剤を適宜配合することができる。粘稠化剤としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられ、これらの水和物又は溶媒和物であってもよい。
【0042】
本発明の医薬組成物に粘稠化剤を配合する場合の粘稠化剤の含有量は、粘稠化剤の種類等により適宜調整することができ、例えば0.01~20%(w/w)であり、0.1~10%(w/w)が好ましく、1~10%(w/w)がより好ましいが、粘稠化剤以外の作用も有する場合にはこの限りではない。また、本発明の医薬組成物の剤形がゲル剤であれば、例えば20%(w/w)以上含まれていてもよい。また、本発明の医薬組成物に粘稠化剤を配合する場合には、粘稠化剤を1種又は2種以上一緒に用いてもよい。
【0043】
本発明の医薬組成物に安定化剤を配合する場合の安定化剤は、医薬品の添加剤として使用可能な安定化剤を適宜配合することができる。安定化剤としては、例えば、エデト酸又はその塩、シクロデキストリン等が挙げられ、これらの水和物又は溶媒和物であってもよい。
エデト酸又はその塩としては、例えば、エデト酸、エデト酸二ナトリウム(エデト酸ナトリウム)、エデト酸四ナトリウム等が挙げられる。
【0044】
本発明の水性医薬組成物に安定化剤を配合する場合の安定化剤の含有量は、安定化剤の種類等により適宜調整することができ、例えば0.01~5%(w/w)であり、0.01~3%(w/w)が好ましく、0.01~1%(w/w)がより好ましいが、安定化剤以外の作用も有する場合にはこの限りではない。また本発明の医薬組成物に安定化剤を配合する場合には、安定化剤を1種又は2種以上一緒に用いてもよい。
【0045】
本発明の医薬組成物に防腐剤を配合する場合の防腐剤は、医薬品の添加剤として使用可能な防腐剤を適宜配合することができ、例えば、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、パラベン、亜塩素酸ナトリウム、フェノキシエタノール、チモール、ソルビン酸又はクロロブタノール等が挙げられる。
パラベンとしては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル等が挙げられる。
【0046】
本発明の医薬組成物に防腐剤を配合する場合の防腐剤の含有量は、防腐剤の種類等により適宜調整することができ、例えば0.001~1%(w/w)である。また、本発明の医薬組成物に防腐剤を配合する場合には、防腐剤を1種又は2種以上一緒に用いてもよい。
【0047】
本発明の医薬組成物が、防腐剤を含有しなくても医薬品に求められる保存効力を発揮し得る場合には、防腐剤を配合しないことが好ましく、例えば、パラベンを配合しないことが好ましい。医薬品に求められる保存効力は、例えば、第十七改正日本薬局方において製剤区分別に判定基準が定められており、各製剤はその判定基準を満たせば、保存効力を有するものと認められる。なお、エピナスチン又はその塩は配合濃度によっては保存効力を発揮することから、本発明の医薬組成物はその製剤の種類に応じて防腐剤を配合しなくても所望の保存効力を発揮し得る。所望の保存効力とは、例えば、第十七改正日本薬局方に記載される保存効力試験法に適合することを指す。また、防腐剤を含有しないことにより、本発明の医薬組成物を経皮投与した場合の刺激性が低減され得る。
【0048】
本発明の医薬組成物に界面活性化剤を配合する場合の界面活性化剤は、医薬品の添加剤として使用可能な界面活性化剤を適宜配合することができる。界面活性化剤としては、例えば、カチオン性界面活性化剤、アニオン性界面活性化剤、非イオン性界面活性化剤等が挙げられる。
【0049】
カチオン性界面活性化剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アルキルアミンポリオキシエチレン付加物、脂肪酸トリエタノールアミンモノエステル塩、アシルアミノエチルジエチルアミン塩、脂肪酸ポリアミン縮合物、アルキルイミダゾリン、1-アシルアミノエチル-2-アルキルイミダゾリン、1-ヒドロキシルエチル-2-アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
【0050】
アニオン性界面活性化剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、レシチン等のリン脂質等が挙げられる。
【0051】
非イオン性界面活性化剤としては、例えば、ステアリン酸ポリオキシル40等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ステアリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリソルベート80等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ポリオキシル35ヒマシ油等のポリオキシルヒマシ油;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル;ポリオキシエチレンセチルエーテル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル;ポリオキシエチレンベヘニルエーテル;ラウリン酸グリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル、パルミチン酸グリセリル、パルミチン酸ポリグリセリル、ステアリン酸グリセリル(モノステアリン酸グリセリル)、ステアリン酸ポリグリセリル、オレイン酸グリセリル(モノオレイン酸グリセリル)、オレイン酸ポリグリセリル、リノール酸グリセリル、リノール酸ポリグリセリル、リノレン酸グリセリル、リノレン酸ポリグリセリル、リシノール酸グリセリル、リシノール酸ポリグリセリル、縮合リシノール酸ポリグリセリル(ポリリシノール酸ポリグリセリル、縮合リシノレイン酸ポリグリセリルまたはポリリシノレイン酸ポリグリセリルともいう)等のグリセリン脂肪酸エステル;ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0052】
本発明の医薬組成物に界面活性化剤を配合する場合の界面活性化剤の含有量は、界面活性化剤の種類等により適宜調整することができ、例えば0.1~20%(w/w)であり、0.5~10%(w/w)が好ましく、1~5%(w/w)がより好ましいが、界面活性化剤以外の作用も有する場合にはこの限りではない。また、本発明の医薬組成物に界面活性化剤を配合する場合には、界面活性化剤を1種又は2種以上一緒に用いてもよく、また、2種以上の界面活性化剤の混合物として用いてもよい。
界面活性化剤は、それらの分子の親水性部分と親油性部分とのバランスによって特性付けられ、親水性・親油性バランス(HLB)数を有する。HLBは親水性の増加に伴って増加し、同じ成分名であっても製造会社によってHLBは異なることがある。
本発明の医薬組成物に界面活性化剤を配合する場合の界面活性化剤のHLBは、塗布投与用の製剤として調製できれば特に制限はなく、例えば1~20であり、1.0~10.0が好ましく、2.0~8.0がより好ましく、3.0~6.0がさらに好ましい。
【0053】
本発明の医薬組成物に清涼化剤を配合する場合の清涼化剤は、医薬品の添加剤として使用可能な清涼化剤を適宜配合することができる。清涼化剤としては、例えば、テルペノイド、テルペノイドを含有する精油等が挙げられる。
【0054】
テルペノイドとしては、例えば、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、ネロール、シネオール、シトロネロール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、リナロール、酢酸リナリル等が挙げられ、d体、l体及びdl体のいずれであってもよい。
テルペノイドを含有する精油としては、例えば、ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、ウイキョウ油、ローズ油、ケイヒ油、スペアミント油、樟脳油、クールミント、ハッカ油等が挙げられる。
【0055】
本発明の医薬組成物に清涼化剤を配合する場合の清涼化剤の含有量は、清涼化剤の種類等により適宜調整することができ、例えば0.001~1%(w/w)である。また、本発明の医薬組成物に清涼化剤を配合する場合には、清涼化剤を1種又は2種以上一緒に用いてもよい。
【0056】
本発明の医薬組成物に油成分を配合する場合の油成分の含有量は、医薬品の添加剤として使用可能な油成分を適宜配合することができる。油成分としては、例えば、炭化水素、ロウ、油脂、脂肪族カルボン酸又はその塩、脂肪酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、高級アルコール等が挙げられる。
【0057】
炭化水素としては、例えば、ワセリン、白色ワセリン、流動パラフィン(軽質流動パラフィン、重質流動パラフィン)、固形パラフィン(パラフィン)、スクアレン、スクワラン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられ、これらの混合物でもよく、例えば、パラフィンとマイクロクリスタリンワックスとの混合物等が挙げられる。
【0058】
ロウとしては、例えば、ミツロウ、サラシミツロウ、ラノリン等が挙げられる。
【0059】
油脂としては、例えば、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、大豆油等が挙げられる。
【0060】
脂肪族カルボン酸としては、例えば、酪酸、吉草酸、カプロン酸等の短鎖脂肪酸類、カプリル酸、カプリン酸等の中鎖脂肪酸類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノ―ル酸(リシノレイン酸)、アラキドン酸等の長鎖脂肪酸類、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸類等が挙げられ、分枝の脂肪族カルボン酸も含まれる。脂肪族カルボン酸の塩としては、例えば、これらのナトリウム塩等が挙げられる。
【0061】
本発明において、脂肪酸エステルとは、脂肪族カルボン酸のカルボキシル基とアルコールがエステル結合した化合物を指す。脂肪族カルボン酸のカルボキシル基とエステル結合してもよいアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、イソプロパノール、イソブタノール、sec-ブタノール、イソペンタノール等の1価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、ジポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコールの多量体(重合体)等が挙げられる。例えば、ラウリン酸ポリエチレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチル、パルミチン酸グリコール、ステアリン酸ポリエチレングリコール、オレイン酸イソプロピル、リノール酸プロピレングリコール、リノレン酸エチル、リシノ―ル酸(リシノレイン酸)エチレングリコール、アジピン酸ジイソプロピル等が挙げられる。脂肪族エステルが2以上のエステル結合を有する場合、そのエステル結合を構成するアルコールは同一でも異なっていてもよい。
【0062】
高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール(セチルアルコール)、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
【0063】
本発明の医薬組成物に油成分を配合する場合の油成分の含有量は、油成分の種類等により適宜調整することができ、例えば0.1~50%(w/w)であり、1~40%(w/w)が好ましく、10~30%(w/w)がより好ましいが、本発明の医薬組成物の剤形が軟膏剤であれば、例えば50%(w/w)以上含まれていてもよい。また、本発明の医薬組成物に油成分を配合する場合には、油成分を1種又は2種以上一緒に用いてもよい。
【0064】
本発明の医薬組成物に配合される油成分が界面活性化剤としての作用を有する場合には、油成分を界面活性化剤と読み替えてもよい。
【0065】
本発明の医薬組成物に配合される油成分は、医薬組成物中に含まれる他の成分の溶解性を上げるための溶解剤(可溶化剤)としてもよい。本発明の医薬組成物に配合される油成分は、例えば、エピナスチン又はその塩、硫黄系抗酸化剤の溶解性を上げるための溶解剤として用いてもよい。
【0066】
本発明の医薬組成物は、溶媒及び/又は分散媒をさらに含んでいてもよい。溶媒及び/又は分散媒を含む本発明の医薬組成物は、構成成分が全て溶解又は一部懸濁していてもよく、またエマルション又は半固体状の形態であってもよい。溶媒及び/又は分散媒の例としては、限定されるものではないが、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン(グリセロール)、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、液体ポリエチレングリコール、マクロゴール等)等が挙げられる。
【0067】
本発明の医薬組成物に溶媒及び/又は分散媒を配合する場合の溶媒及び/又は分散媒の含有量は、それらの種類等により適宜調整することができるが、例えば医薬組成物の総重量に対して、10%(w/v)以上が好ましく、30%(w/v)以上がより好ましい。また、本発明の医薬組成物に溶媒及び/又は分散媒を配合する場合には、溶媒及び/又は分散媒は、1種又は2種以上一緒に用いてもよい。
【0068】
本発明の医薬組成物をエマルションとして使用する場合は、本発明の医薬組成物は、水中油型エマルション(水相を連続相として、水相と分散した油性液滴から構成されるエマルション)であっても油中水型エマルション(油相を連続相として、油と分散した水性液滴から構成されるエマルション)であってもよい。本発明の医薬組成物は、好ましくは油中水型エマルションである。
油性液滴又は水性液滴の平均サイズは、例えば、20~3000nmであり、好ましくは50~2000nmであり、より好ましくは100~1000nmであり、さらに好ましくは200~800nmである。
【0069】
本発明の医薬組成物は、当該技術分野において汎用される通常の方法に従って製造することができる。例えば、有効成分及び硫黄系抗酸化剤の他に、安定化剤、防腐剤、界面活性化剤、油成分等の添加剤及び水等の溶媒又は分散媒を混合して製造することができる。また必要に応じて、当該技術分野において汎用される通常の滅菌方法に従って無菌製剤として製造することができる。滅菌方法としては、製造工程中に使用可能な方法であれば特に制限はなく、例えば、高圧蒸気滅菌、ろ過滅菌、乾熱滅菌、電子線(EB)滅菌、ガンマ線滅菌、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌、過酸化水素ガス滅菌である。
【0070】
本発明の医薬組成物は、特に断りのない限り、エピナスチン又はその塩以外の医薬活性成分を含んでいてもよい。例えば、本発明の医薬組成物が眼科用医薬組成物である場合は、エピナスチン又はその塩以外の点眼剤に用いられる他の医薬活性成分を含んでいてもよい。他の医薬活性成分として、例えば、抗炎症剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、ビタミン剤、血管収縮剤、散瞳剤、縮瞳剤、眼圧降下剤、ドライアイ治療剤、局所麻酔剤等が挙げられる。また、本発明の医薬組成物は、エピナスチン又はその塩を唯一の有効成分として含んでいてもよい。
【0071】
本発明の医薬組成物を眼科用医薬組成物として使用する場合は、特にアレルギー性結膜炎の治療剤として有用である。本発明において、「アレルギー性結膜炎の治療」とは、アレルギー性結膜炎及びその症状のあらゆる治療(例えば、改善、軽減、進行の抑制等)及びその予防が含まれる。
【0072】
本発明の医薬組成物を耳鼻用医薬組成物として使用する場合は、特にアレルギー性鼻炎の治療剤として有用である。本発明において、「アレルギー性鼻炎の治療」とは、アレルギー性鼻炎及びその症状のあらゆる治療(例えば、改善、軽減、進行の抑制等)及びその予防が含まれる。
【0073】
本発明の医薬組成物を皮膚科用医薬組成物として使用する場合は、特に接触皮膚炎、湿疹皮膚炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹等のアレルギー性皮膚炎の治療剤として有用である。本発明において、「アレルギー性皮膚炎の治療」とは、アレルギー性皮膚炎及びその症状のあらゆる治療(例えば、改善、軽減、進行の抑制等)及びその予防が含まれる。
【0074】
本発明において、「患者」とは、ヒトのみに限らずその他の動物、例えば、イヌ、ネコ、ウマ等も意味する。患者は、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。本発明において、「治療上の有効量」とは、未治療対象と比べて、疾患及びその症状の治療効果をもたらす量、又は疾患及びその症状の進行の遅延をもたらす量等を指す。
【0075】
本発明の医薬組成物を投与する場合、所望の薬効を奏するのに十分であれば用法用量に特に制限はないが、1日1~4回、好ましくは1日1~2回、より好ましくは1日1回投与することができる。
【0076】
本発明の医薬組成物を軟膏剤、クリーム剤又はゲル剤として使用する場合、その投与量は所望の薬効を奏するのに十分であれば特に制限はなく、また含有する有効成分の含有量や患者によっても異なる。例えばクリーム剤では、例えば成人の場合、1回当たり適量、具体的には1mg~5g、好ましくは5mg~1g、より好ましくは10mg~500mg、特に好ましくは20mg~100mgを経皮投与することができる。例えば、その投与量は30mgである。投与の一例として、本発明の医薬組成物を眼科用医薬組成物として使用する場合、患者自らが医薬組成物を適量、例えば20~40mgを指に取り、片眼の上眼瞼皮膚と下眼瞼皮膚に約半分ずつとなるように分配してそれぞれ塗布し、もう片眼についても同様に塗布する。なお、実際の使用においては、医薬組成物を秤量することなく、1眼1回当たりの前記投与量を目安として、患者自らが医薬組成物を目分量で取り出して使用してもよい。また本発明の医薬組成物が収容される容器のサイズや形状にもよるが、投与量の目安として、成人の人差し指の先から第1関節まで薬剤を載せた量を1FTU(1フィンガー・チップ・ユニット)として、例えば0.5FTUまたは1FTUを取り出して使用してもよい。
皮膚に塗布した場合の適用時間は、0.5~24時間が好ましく、2~12時間がより好ましく、4~8時間がさらに好ましい。適用時間を経過した後は、医薬組成物を除去したとしても皮膚組織中に十分量の有効成分が滞留しており、これが徐放されることによって薬効の持続が期待できる。用法の一例として、本発明の医薬組成物を就寝前に眼瞼皮膚に投与し、起床後に除去することによって、日中に投与せずともアレルギー性結膜炎の治療及び予防をする効果の持続が期待できる。
【0077】
本発明の医薬組成物を軟膏剤、クリーム剤又はゲル剤として使用する場合、収容される容器には特に制限はなく、チューブ、ボトル、缶等のいずれに収容されていてもよい。容器の材質に特に制限はなく、ポリエチレン(PE)製、ポリプロピレン(PP)製、ポリエチレンテレフタレート(PET)製、ポリブチレンテレフタレート(PBT)製、ポリプロピレン-ポリエチレンコポリマー製、ポリ塩化ビニル製、アクリル製、ポリスチレン製、ポリ環状オレフィンコポリマー製等の樹脂製容器、アルミニウム等の金属製容器、樹脂、紙、アルミ泊等の複数の材料を貼り合わせて加工されたラミネート容器であってもよい。また、樹脂製容器の材質が、例えばポリエチレンであれば、ポリエチレンはその密度によって分類され、低密度ポリエチレン(LDPE)製、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)製、中密度ポリエチレン(MDPE)製、高密度ポリエチレン(HDPE)製等の容器を用いることができる。
【0078】
本発明の医薬組成物は、ハードコンタクトレンズ装用時においても、ソフトコンタクトレンズ装用時においても使用することができる。
【0079】
本発明の医薬組成物は、エピナスチン又はその塩の類縁物質の発生及び増加を抑制することができる。本発明において、「類縁物質」とは、エピナスチン又はその塩の原薬の不純物及びエピナスチン又はその塩の分解生成物をいう。
【実施例】
【0080】
以下に、製剤例及び各試験の結果を示すが、これらは本発明をより良く理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0081】
製剤例
以下に本発明の代表的な製剤例を示す。なお、下記製剤例において各成分の配合量は製剤100g中の含量である。また、「%(w/w)」は、製剤100g中の各成分の含量(g)を意味する。
【0082】
[製剤例1]油中水型エマルション
エピナスチン 1.0g
スクワラン 5.0g
軽質流動パラフィン 5.0g
セレシン 3.0g
白色ワセリン 10.0g
サラシミツロウ 1.0g
グリセリン脂肪酸エステル 5.0g
パラオキシ安息香酸プロピル 0.1g
パラオキシ安息香酸メチル 0.1g
2-メルカプトベンズイミダゾール 0.1g
エデト酸ナトリウム水和物 0.5g
濃グリセリン 15.0g
精製水 適量
【0083】
[製剤例2]油中水型エマルション
エピナスチン塩酸塩 2.0g
セチルアルコール 0.5g
白色ワセリン 8.0g
ミリスチン酸イソプロピル 4.0g
ポリソルベート80 0.5g
パラオキシ安息香酸プロピル 0.05g
パラオキシ安息香酸メチル 0.03g
ジブチルヒドロキシトルエン 0.2g
2-メルカプトベンズイミダゾール 0.05g
プロピレングリコール 5.0g
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
【0084】
[製剤例3]油中水型エマルション
エピナスチン塩酸塩 3.0g
セチルアルコール 2.0g
スクワラン 10.0g
グリセリン脂肪酸エステル 4.0g
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5g
2-メルカプトベンズイミダゾール 0.3g
オクチルドデカノール 5.0g
エデト酸ナトリウム水和物 0.5g
濃グリセリン 10.0g
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
【0085】
[製剤例4]水中油型エマルション
エピナスチン塩酸塩 1.0g
スクワラン 10.0g
モノステアリン酸グリセリル 4.0g
ポリオキシエチレンベヘニルエーテル 4.0g
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0g
セチルアルコール 5.0g
ステアリルアルコール 2.5g
2-メルカプトベンズイミダゾール 0.1g
アジピン酸ジイソプロピル 4.0g
1,3-ブチレングリコール 5.0g
クエン酸ナトリウム 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
【0086】
さらに、製剤例5~36を表1~4に示す。
【表1】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
実施例
1.エピナスチン又はその塩の安定性試験(1)
(1)試験手順
汎用的な方法を用いて、有効成分であるエピナスチン塩酸塩、油性基剤、各抗酸化剤、水酸化ナトリウム及び精製水を混合して被験製剤1~4を調製した。また抗酸化剤を含まないことを除いて、被験製剤1~4と同様の方法を用いて被験製剤5を調製した。調製した被験製剤1~5をそれぞれ温度60℃の保存庫中で1週間保存した。製剤調製の直後と1週間保存後の類縁物質の含有量を以下に記載する分析条件で定量し、含有量を比較した。
<分析条件>
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリカ化シリカゲルを充填
移動相:移動相A(リン酸二水素カリウム、1-ペンタンスルホン酸ナトリウム、メタノール、リン酸緩衝液を含む水溶液)と移動相B(アセトニトリル-メタノール混液)による濃度勾配
流速:0.7mL/min
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:220nm)
カラム温度:50℃付近の一定温度
【0091】
被験製剤1~5の添加成分は表5の通りである。なお、表5中の「油性基剤」とは、スクワラン、ステアリルアルコール、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油100、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル20、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、アジピン酸ジイソプロピル、パラオキシ安息香酸プロピルをそれぞれ適量含み、油性基剤中の比率は被験製剤1~5で差が無いものとする。また、水酸化ナトリウム及び精製水は、エピナスチン塩酸塩の溶解と中和のために適量含むものとする。
【表5】
【0092】
(2)試験結果及び考察
主な類縁物質の含有量を表6に示す。調製して1週間保存後の類縁物質の量について、相対保持時間(RRT)0.142である類縁物質は、抗酸化剤を含まない被験製剤5では増加し、また各抗酸化剤を含有する被験製剤1~3においても増加することが明らかとなった。一方で、抗酸化剤が2-メルカプトベンズイミダゾールである被験製剤4の場合のみ、類縁物質の量の増加を抑制できることが明らかとなった。またRRT1.035である類縁物質は、抗酸化剤を含まない被験製剤5、抗酸化剤としてトコフェロール酢酸エステルを含有する被験製剤2及び没食子酸プロピルを含む被験製剤3では増加し、一方で、ジブチルヒドロキシトルエンを含む被験製剤1及び2-メルカプトベンズイミダゾールを含有する被験製剤4は類縁物質の量の増加を抑制できることが明らかとなった。
【表6】
【0093】
2.エピナスチン又はその塩の安定性試験(2)
(1)試験手順
汎用的な方法を用いて、有効成分であるエピナスチン塩酸塩、基剤、各抗酸化剤、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム及び精製水を混合して、油中水型エマルションである被験製剤6~9を調製した。また抗酸化剤を含まないことを除いて、被験製剤6~9と同様の方法を用いて油中水型エマルションである被験製剤10を調製した。調製した被験製剤6~10を、温度40℃、湿度75%の保存庫中で1か月間保存した。製剤調製の直後と1か月間保存後の類縁物質の含有量を前記「1.エピナスチン又はその塩の安定性試験(1)」と同様の分析条件で定量し、含有量を比較した。
【0094】
被験製剤6~10の添加成分は表7の通りである。なお、表7中の「基剤」とは、スクワラン、白色ワセリン、軽質流動パラフィン、セレシン、サラシミツロウ、濃グリセリン、オクチルドデカノール、グリセリン脂肪酸エステル、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、エデト酸ナトリウム水和物をそれぞれ適量含み、基剤中の比率は被験製剤6~10で差がないものとする。
【表7】
【0095】
(2)試験結果及び考察
総類縁物質の量及びRRT1.064である類縁物質の量を表8に示す。調製して1か月保存後の類縁物質の量について、RRT1.064である類縁物質は、抗酸化剤を含まない被験製剤10では増加し、また抗酸化剤としてジブチルヒドロキシトルエンを含有する被験製剤6及び被験製剤7では、ジブチルヒドロキシトルエンの濃度に関わらず増加傾向を示すことが明らかとなった。一方で、2-メルカプトベンズイミダゾールを含有する被験製剤8及び被験製剤9のみに、類縁物質の量の増加を抑制することが明らかとなった。また被験製剤8及び被験製剤9は、総類縁物質の量の増加も抑制することが明らかとなった。
【表8】
【0096】
3.長期安定性試験
(1)試験手順
前記「2.エピナスチン又はその塩の安定性試験(2)」に記載の被験製剤8及び被験製剤10を調製して、温度40℃、湿度75%の保存庫中で6か月間保存した。製剤調製の直後と6か月間保存後の類縁物質の含有量を前記「1.エピナスチン又はその塩の安定性試験(1)」と同様の分析条件で定量し、含有量を比較した。
【0097】
(2)試験結果及び考察
総類縁物質の量及びRRT1.05である類縁物質の量を表9に示す。調製して6か月保存後の類縁物質の量について、RRT1.05である類縁物質は、抗酸化剤を含まない被験製剤10では増加した一方で、2-メルカプトベンズイミダゾールを含有する被験製剤8では、類縁物質の量の増加を抑制することが明らかになった。また被験製剤8は被験製剤10と比較して、総類縁物質の量の増加も抑制することが明らかになった。
【表9】
【0098】
4.エピナスチン又はその塩の安定性試験(3)
(1)試験手順
汎用的な方法を用いて、有効成分であるエピナスチン塩酸塩、基剤、各抗酸化剤、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム及び精製水を混合して、油中水型エマルションである被験製剤11~15を調製した。調製した被験製剤11~15を、温度60℃の保存庫中で4週間保存した。製剤調製の直後と4週間保存後の類縁物質の含有量を前記「1.エピナスチン又はその塩の安定性試験(1)」と同様の分析条件で定量し、含有量を比較した。
【0099】
被験製剤11~14の添加成分は表10の通りである。また被験製剤15の添加成分は、前述の特許文献2(WO2007/007851)を参考に、表11の通りである。
【表10】
【0100】
【0101】
(2)試験結果及び考察
総類縁物質の量を表12に示す。抗酸化剤としてトコフェロール(ビタミンE)を配合した被験製剤14及びアスコルビン酸(ビタミンC)を配合した被験製剤15は、4週間保存後の総類縁物質の量が大きく増加したのに対し、硫黄系抗酸化剤を配合した被験製剤11~13は、4週間保存後の総類縁物質の量の増加を抑制する傾向があることが明らかとなった。
【表12】
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、眼組織中の有効濃度を維持し、かつ安定性を長時間維持できる、有効成分としてエピナスチン又はその塩を含有する経皮投与用医薬組成物を提供する。
【要約】
本発明は、眼組織中の有効濃度を維持し、かつ安定性を長時間維持できる、エピナスチン又はその塩と硫黄系抗酸化剤を含有する経皮投与用医薬組成物を提供する。