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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】折畳み式ボックス
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
B65D81/38 N
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018140673
(22)【出願日】2018-07-26
(65)【公開番号】P2020015532
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】597053038
【氏名又は名称】中村被服株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】関谷 朋巳
(72)【発明者】
【氏名】半田 考平
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-088224(JP,A)
【文献】実開平07-013730(JP,U)
【文献】特開2008-285185(JP,A)
【文献】特開2009-083876(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0226783(US,A1)
【文献】特開2014-189307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/38
B65D 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材からなり、かつ上部に第1の開口を備え、かつ折畳み可能な外容器と、複数の厚板材からなり、かつ上部に第2の開口を備え、かつ前記外容器内に収容されて折畳み可能な断熱容器と、を備えてなる収納ボックスにおいて、
前記断熱容器は、底パネルと、前記断熱容器の側面をなす一対の傾動パネルと、前記断熱容器の側面をなす一対の折曲げパネルと、を備え、
前記外容器は、一対の前記傾動パネルに面して配され、かつ前記断熱容器の折畳み時に、前記断熱容器から離れる方向に山折りされてつば状部をなす第1の側面と、一対の前記折曲げパネルに面して配されている第2の側面と、を備え、
前記つば状部は、このつば状部を前記底パネル側に折曲げた状態で固定するための第1の固定構造を備えていることを特徴とする折畳み式ボックス。
【請求項2】
シート材からなり、かつ上部に第1の開口を備え、かつ折畳み可能な外容器と、複数の厚板材からなり、かつ上部に第2の開口を備え、かつ前記外容器内に収容されて折畳み可能な断熱容器と、を備えてなる収納ボックスにおいて、
前記断熱容器は、底パネルと、この底パネル上に傾動可能に設けられ、かつ互いに相対して配される一対の傾動パネルと、折畳み時に一対の前記傾動パネル上に積層され、かつ折畳み時に水平方向に配される折り目に沿って折曲され、かつ互いに相対して配される一対の折曲げパネルと、を備え、
前記外容器は、一対の前記傾動パネルに面して配され、かつ前記断熱容器の折畳み時に、前記断熱容器から離れる方向に山折りされてつば状部をなす第1の側面と、一対の前記折曲げパネルに面して配され、かつ前記断熱容器の折畳み時に、前記折曲げパネルの谷折り部分に折込まれる第2の側面と、を備え、
前記つば状部は、このつば状部を前記底パネル側に折曲げた状態で固定するための第1の固定構造を備えていることを特徴とする折畳み式ボックス。
【請求項3】
前記折曲げパネルは、前記折り目に沿って配される補強材を備えていることを特徴とする請求項2に記載の折畳み式ボックス。
【請求項4】
前記つば状部はさらに、このつば状部の先端に延設されている舌状の固定補助部を備え、
前記第1の固定構造は、前記固定補助部にのみ、又は、前記つば状部前記固定補助部の両方に、設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の折畳み式ボックス。
【請求項5】
前記外容器の前記第1の側面は、前記つば状部の形成を助長する肉厚部を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の折畳み式ボックス。
【請求項6】
前記外容器の前記第1の側面の内側面は、前記傾動パネルを着脱可能に固定するための第2の固定構造を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の折畳み式ボックス。
【請求項7】
可撓性を有するシート材からなり、かつ前記折曲げパネルにおいて前記第2の開口をなす端縁と、前記第2の側面において前記第1の開口側の内側面と、をつなぐ連結シートを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の折畳み式ボックス。
【請求項8】
前記外容器の底面における外側面は、前記断熱容器の前記第2の開口の平面寸法と同一又はこの平面寸法からクリアランス分を差し引いた平面寸法を有するスタッキング用パネルを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の折畳み式ボックス。
【請求項9】
前記断熱容器の底面の平面寸法と同一又はこの平面寸法からクリアランス分を差し引いた平面寸法を有する蓋パネルと、この蓋パネルを前記第1の開口と前記第2の開口との連通口に着脱可能に固定するための第3の固定構造と、を有する蓋体を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の折畳み式ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不使用時にコンパクトに折畳むことができ、しかもその折畳み作業及び組立作業を迅速かつスムーズに行うことができる折畳み式ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンビニエンスストアや、ドラッグストア、あるいはスーパー等の小売り店舗で販売する冷凍・冷蔵食品は、これらの小売り店舗以外の保管・加工施設から必要量分を小売り店舗に配送することが行われている。
この場合、各冷凍・冷蔵食品は、その種類毎に断熱性を有する断熱ボックスに収容した状態で搬送されている。
また、通常、このような用途に用いられる断熱ボックスは、十分な断熱効果を発揮させるために、厚板状の断熱材が用いられている。
そして、このような厚板状の断熱材からなる断熱ボックスは特に嵩張るため、不使用時にはコンパクトに折畳めることが望ましい。
また、上記目的に沿うような折畳み可能な断熱容器に関する先行技術としては、例えば、特開2006-27625号公報に開示される「折り畳み式断熱容器」(特許文献1)、特開2016-210466号公報に開示される「保冷保温容器、外装袋、保冷保温容器の組み立て方法、折り畳み方法、及び、保管方法」(特許文献2)、特開2010-208644号公報に開示される「保冷箱」(特許文献3)、特開2009-83876号公報に開示される「保冷容器」(特許文献4)、特開平9-165073号公報に開示される「断熱用箱体」(特許文献5)、特開平11-59739号公報に開示される「折り畳み式保冷保温ボックス」(特許文献6)、及び、特開平10-287372号公報に開示される「折り畳み式保冷保温ボックス」(特許文献7)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-27625号公報
【文献】特開2016-210466号公報
【文献】特開2010-208644号公報
【文献】特開2009-83876号公報
【文献】特開平9-165073号公報
【文献】特開平11-59739号公報
【文献】特開平10-287372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される発明の場合は、断熱容器の壁面を構成する断熱材の厚みが大きい場合に、断熱容器を折畳むことができないという課題を有していた。
また、特許文献2に開示される発明の場合は、断熱容器を折畳んだ状態で保持しておくための固定具等を備えていないので、折畳んだ断熱容器が意図せず復元してしまう恐れがあり、折畳まれた状態の断熱容器の取扱いが容易でないという課題を有していた。
これに対して、特許文献3乃至特許文献5に開示される発明では、断熱容器の折畳み状態を保持しておくための固定具を備えているので、上述の特許文献2の場合のような不具合は生じない。しかしながら、特許文献3乃至特許文献5に開示される発明では、断熱容器の折畳み作業を行う度に、折畳まれた断熱容器を固定具で固定する動作行い、さらに、組立作業を行う度にこの固定具を取り外す動作行う必要があった。このため、多数の断熱容器を折畳む又は組立てる必要がある場合に、その作業性を向上し難いという課題を有していた。
さらに、特許文献6,7に開示される発明では、断熱容器の折畳み状態を保持しておくための固定具として断熱容器に付属する蓋を用いている。しかしながら、例えば、折畳み可能な断熱容器をスタッキングさせて用いる場合で、かつ、個々の断熱容器がその付属品として蓋を備えていない場合は、特許文献6,7に開示される発明は、上述の特許文献2に開示される発明の場合と同様に、断熱容器の折畳み状態を保持しておくことができないという課題を有していた。
【0005】
本発明はかかる従来の課題に対処してなされたものでありその目的は、断熱材の厚みが大きい場合でも折畳み可能であり、折畳んだ状態を保持しておくことができ、さらに、折畳み作業及び組立作業を迅速かつスムーズに行うことができる折畳み式ボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための第1の発明である折畳み式ボックスは、シート材からなり、かつ上部に第1の開口を備え、かつ折畳み可能な外容器と、複数の厚板材からなり、かつ上部に第2の開口を備え、かつ外容器内に収容されて折畳み可能な断熱容器と、を備えてなる収納ボックスにおいて、断熱容器は、底パネルと、この断熱容器の側面をなす一対の傾動パネルと、同じく断熱容器の側面をなす一対の折曲げパネルと、を備え、外容器は、一対の傾動パネルに面して配され、かつ断熱容器の折畳み時に、断熱容器から離れる方向に山折りされてつば状部をなす第1の側面と、一対の折曲げパネルに面して配されている第2の側面と、を備え、つば状部は、このつば状部を底パネル側に折曲げた状態で固定するための第1の固定構造を備えていることを特徴とするものである。
【0007】
また、第2の発明である折畳み式ボックスは、シート材からなり、かつ上部に第1の開口を備え、かつ折畳み可能な外容器と、複数の厚板材からなり、かつ上部に第2の開口を備え、かつ外容器内に収容されて折畳み可能な断熱容器と、を備えなる収納ボックスにおいて、断熱容器は、底パネルと、この底パネル上に傾動可能に設けられ、かつ互いに相対して配される一対の傾動パネルと、折畳み時に一対の傾動パネル上に積層され、かつ折畳み時に水平方向に配される折り目に沿って折曲され、かつ互いに相対して配される一対の折曲げパネルと、を備え、外容器は、一対の傾動パネルに面して配され、かつ断熱容器の折畳み時に、断熱容器から離れる方向に山折りされてつば状部をなす第1の側面と、一対の折曲げパネルに面して配され、かつ断熱容器の折畳み時に、折曲げパネルの谷折り部分に折込まれる第2の側面と、を備え、つば状部は、このつば状部を底パネル側に折曲げた状態で固定するための第1の固定構造を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
上記構成の第1,第2の発明において、断熱容器は、その中空部内に収容される物品を所望の温度帯域に保持するという作用を有する。また、外容器は、上記断熱構造をその中空部内に収容するとともに、この断熱容器を中空容器状に組立てた際に、一対の傾動パネル及び一対の折曲げパネルを支えるという作用を有する。
また、外容器がシート材により構成されていることで、断熱容器の折畳み時に、その動作に連動して外容器も併せて折畳み可能にするという作用を有する。
また、上述の断熱容器における一対の傾動パネル、及び、一対の折畳みパネルは、不使用時に断熱容器の底パネル上に積層され、又は、折り目に沿って折畳まれた状態で底パネル上に積層される。よって、第1の発明における断熱容器は、不使用時にその形態を厚板材の積層体にすることができるので、その容積をコンパクトにするという作用を有する。
さらに、上述の外容器における第1の側面は、断熱容器の折畳み動作に連動してつば状部を形成するという作用を有する。そして、このつば状部は、折畳み式ボックスを折畳んだ際に、その折畳み状態を保持するための固定具として用いられる。
加えて、上述の外容器における第2の側面は、先の第1の側面におけるつば状部の形成動作と連動して、折曲げパネルの谷折り部分に折込まれる。
さらに、第1の連結構造は、つば状部を外容器の外側面上に着脱可能に固定させるという作用を有する。
【0009】
第3の発明であるである折畳み式ボックスは、上述の第2の発明であって、折曲げパネルは、折り目に沿って配される補強材を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第3の発明は、上述の第2の発明による作用と同じ作用に加えて、補強材は、折曲げパネルの折り目の周囲を補強するという作用を有する。
【0010】
第4の発明であるである折畳み式ボックスは、上述の第1乃至第3のいずれかの発明であって、つば状部はさらに、このつば状部の先端に延設されている舌状の固定補助部を備え、第1の固定構造は、前記つば状部に代えて固定補助部にのみ、又は、前記つば状部に加えて固定補助部に、設けられていることを特徴とするものである。
上記構成の第4の発明は、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明による作用と同じ作用に加えて、固定補助部は、つば状部の先端位置からやや離れた位置に第1の固定構造を配置させるという作用を有する。
また、第4の発明における第1の固定構造が、つば状部の先端位置からやや離れた位置に配置されていることで、外容器の第1の側面に設けられる対をなす第1の固定構造同士を接合して一体化しておくことで、つば状部の先端に位置する折り目を開く(広げる)ように力が作用した際に、この折り目が開いてしまうのを妨げるという作用を有する。
この場合、第4の発明を折畳んだ後に、その状態を第1の固定構造により維持したまま第4の発明を持ち運ぶ際に、第1の固定構造による固定状態が意図せず解除されてしまい、第4の発明が折畳み途中又は組立途中の状態になってしまうのを防ぐという作用を有する。
【0011】
第5の発明である折畳み式ボックスは、上述の第1乃至第4のいずれかの発明であって、外容器の第1の側面は、つば状部の形成を助長する肉厚部を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第5の発明は、上述の第1乃至第4のそれぞれの発明による作用と同じ作用に加えて、肉厚部は、第1の側面の折畳み時に、この肉厚部の境界上、及び、この境界上に形成される頂点同士を結ぶ線上に、折り目を形成させるという作用を有する。これにより、第5の発明では、折畳み式ボックスの折畳み時に、外容器の第1の側面の所望位置に、所望の大きさ及び形状を有するつば状部を繰り返し形成させるという作用を有する。
従って、第5の発明によれば、折畳み式ボックスの折畳み動作及び折畳み状態を固定する動作を、迅速かつスムーズにするという作用を有する。
【0012】
第6の発明である折畳み式ボックスは、上述の第1乃至第5のいずれかの発明であって、外容器の第1の側面の内側面は、傾動パネルを着脱可能に固定するための第2の固定構造を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第6の発明は上述の第1乃至第5のそれぞれの発明による作用と同じ作用に加えて、第2の固定構造は、外容器内において断熱容器を組立てる際に、傾動パネルの鉛直上方側の端縁(傾動パネルにおいて第2の開口をなす縁縁側)を外容器における第1の側面の内側面上に着脱可能に固定するという作用を有する。
【0013】
第7の発明である折畳み式ボックスは、上述の第1乃至第6のいずれかの発明であって、可撓性を有するシート材からなり、かつ折曲げパネルにおいて第2の開口をなす端縁と、第2の側面において第1の開口側の内側面と、をつなぐ連結シートを備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第7の発明は、上述の第1乃至第6のそれぞれの発明による作用と同じ作用に加えて、連結シートは、折曲げパネルにおいて第2の開口をなす端縁と、外容器の第2の側面における第1の開口側の内側面とをつないで一体化するという作用を有する。
そして第7の発明は、このような連結シートを備えていることで、外容器及び断熱容器の折畳み動作時又は組立動作時に、外容器の内側面に対する、折曲げパネルの第2の開口をなす端面の向きを所望に変更させるという作用を有する。
【0014】
第8の発明である折畳み式ボックスは、上述の第1乃至第7のいずれかの発明であって、外容器の底面における外側面は、断熱容器の第2の開口の平面寸法と同一又はこの平面寸法からクリアランス分を差し引いた平面寸法を有するスタッキング用パネルを備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第8の発明は、上述の第1乃至第7のそれぞれの発明による作用と同じ作用を有する。さらに、スタッキング用パネルは、第8の発明を鉛直方向に複数個スタッキングさせる際に、鉛直下方側に配される他の折畳み式ボックスの第2の開口に嵌設されて、折畳み式ボックス同士の連結部分における水平方向の位置ずれを防止するという作用を有する。
【0015】
第9の発明である折畳み式ボックスは、上述の第1乃至第8のいずれかの発明であって、断熱容器の底面の平面寸法と同一又はこの平面寸法からクリアランス分を差し引いた平面寸法を有する蓋パネルと、この蓋パネルを第1の開口と第2の開口との連通口に着脱可能に固定するための第3の固定構造と、を有する蓋体を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第9の発明は、上述の第1乃至第8のそれぞれの発明による作用と同じ作用を有する。さらに、蓋パネルは、断熱容器の第2の開口に覆設されて、この第2の開口を塞ぐという作用を有する。
また、第3の固定構造は、第2の開口に覆設される蓋パネルを容器体に着脱可能に固定して、蓋パネルが意図せず外れてしまうのを防止するという作用を有する。
【発明の効果】
【0016】
上述のような第1,第2の発明によれば、外容器と断熱容器からなる折畳み式ボックスの折畳み動作時に、外容器における第1の側面を変形させてつば状部を形成させることができる。そして、このつば状部は、折畳み式ボックスの折畳み動作を完了した際に、折畳み状態で保持しておくための固定具として用いることができる。
よって、第1,第2の発明によれば、折畳み式ボックスの折畳み状態を保持しておくためのバンド等の固定用部材を、外容器や断熱容器とは別に備えている必要がない。
また、このような第1,第2の発明では、つば状部材の固定状態を解除する動作を、折畳み式ボックスを組立てる際の動作の一環として行うことができる。
よって、第1,第2の発明によれば、外容器や断熱容器とは別に、折畳み式ボックスの折畳み状態を保持しておくための構成(固定具等)を備えている必要がないので、折畳み式ボックスの構造をシンプルにすることができる。
さらに、第1,第2の発明では、つば状部の固定動作又はその解除動作を、折畳み式ボックスの折畳み動作又は組立動作の一環として行うことができる。
よって、第1,第2の発明によれば、折畳み式ボックスの折畳み作業又は組立作業を少ない工程で迅速に行うことができる。この結果、第1,第2の発明によれば、折畳み式ボックスの折畳み作業又は組立作業を行う際の作業効率を向上させることができる。
【0017】
第3の発明によれば、上述の第2の発明による効果と同じ効果に加えて、折畳み式ボックスにおける折畳みパネルの強度を向上させることができる。
この結果、第3の発明を組立てた後に、外容器の外側から一対の折畳みパネルを挟持するようにして折畳み式ボックスを持ち上げる動作を繰り返す場合に、折畳み式ボックスの変形や破損を防止できる。この結果、第3の発明によれば、折畳み式ボックスの耐久性を向上させることができる。
【0018】
第4の発明によれば、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明による効果と同じ効果に加えて、折畳み式ボックスのつば状部が固定補助部を備えていることで、折畳み式ボックスを折畳んだ状態のまま持ち運ぶ際に、折畳み式ボックスのつば状部の先端に位置する折り目が意図せず開いてしまうのを防ぐことができる。
これにより、第4の発明である折畳み式ボックスを折畳んだ状態のまま持ち運ぶ際に、この折畳み式ボックスが組立途中又は折畳み途中の状態になってしまうのを防ぐことができる。
よって、第4の発明によれば、折畳んだ状態の折畳み式ボックスの取扱いを容易にすることができる。
【0019】
第5の発明によれば、上述の第1乃至第4のそれぞれの発明による効果と同じ効果に加えて、折畳み式ボックスの折畳み動作及び組立動作を繰り返す場合に、つば状部形成時の再現性を高めることができる。つまり、外容器の第1の側面の所望位置に、常に同じ形状及び大きさを有するつば状部を繰り返し形成させることができる。
よって第5の発明によれば、折畳み式ボックスの折畳み作業時の作業性を向上させることができる。
【0020】
第6の発明によれば、上述の第1乃至第5のそれぞれの発明による効果と同じ効果に加えて、断熱容器の組立動作時に、外容器の内側に傾動パネルを固定しておくことができる。また、断熱容器の傾動パネルは、折曲げパネルを立設した際に、折曲げパネルが意図せず折曲がって倒れないようにするためのストッパーとしても作用する。
よって、第6の発明によれば、組立後の折畳み式ボックスの形状保持性を向上させることができる。
【0021】
第7の発明によれば、上述の第1乃至第6のそれぞれの発明による効果と同じ効果を有する。また、第7の発明では、連結シートを備えていることで、折畳み式ボックスの折畳み時又は組立時に、折曲げパネルの第2の開口をなす端面の向きを所望に変更させることができる。
このことは、折畳み式ボックスの組立時には、折曲げパネルの第2の開口をなす端面を鉛直上方側に配するとともに、折畳み式ボックスの折畳み時には、折曲げパネルの第2の開口をなす端面を水平方向に配することができることを意味している。
この結果、第7の発明では、外容器の内側面に、断熱容器の折曲げパネルの第2の開口側の端縁を連結したまま、折曲げパネルを折畳むことができる。
また、第7の発明では、折曲げパネルと外容器とが連結シートを介して一体につながっているため、折曲げパネルの折畳み動作と連動して外容器の第2の側面を折畳むことができる。
この結果、第7の発明によれば、折曲げパネルの折畳み動作又は組立動作と、外容器の第2の側面の折畳み動作又は復元動作を同時に行うことができる。
よって、第7の発明によれば、折畳み式ボックスが連結シートを備えていない場合に比べて、その折畳み作業又は組立作業に要する工程数を少なくすることができる。
【0022】
第8の発明によれば、上述の第1乃至第7のそれぞれの発明による効果と同じ効果に加えて、複数の折畳み式ボックスをスタッキングさせる場合に、折畳み式ボックス同士の連結部分に水平方向の位置ずれが生じるのを防止することができる。
よって、第8の発明によれば、複数の折畳み式ボックスをスタッキングさせた場合でも倒壊し難い折畳み式ボックスを提供することができる。
【0023】
第9の発明によれば、上述の第1乃至第8のそれぞれの発明による効果と同じ効果に加えて、折畳み式ボックスが蓋体を備えていることで、断熱容器内の温度を好適に維持しつつ、折畳み式ボックスの形状保持性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係る折畳み式ボックスの折畳み前の状態(組立完了時)を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る折畳み式ボックスの折畳み手順におけるステップS1(一対の傾動パネルを折畳んだ状態)を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る折畳み式ボックスの折畳み手順におけるステップS2(折畳みパネルを折畳んでいる状態)を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る折畳み式ボックスの折畳み手順におけるステップS3(つば状部を固定した状態)を示す斜視図である。
図5】(a)本発明の実施形態に係る折畳み式ボックスにおける折畳み前の状態(組立完了時)の長辺方向における鉛直方向断面図であり、(b)同折畳み式ボックスの短辺方向における鉛直方向断面図である。
図6】(a)本発明の実施形態に係る折畳み式ボックスにおけるステップS1の長辺方向における鉛直方向断面図であり、(b)同折畳み式ボックスの短辺方向における鉛直方向断面図である。
図7】(a)本発明の実施形態に係る折畳み式ボックスにおけるステップS2の長辺方向における鉛直方向断面図であり、(b)同折畳み式ボックスの短辺方向における鉛直方向断面図である。
図8】(a)本発明の実施形態に係る折畳み式ボックスにおいてステップ2を完了した状態の長辺方向における鉛直方向断面図であり、(b)同折畳み式ボックスの短辺方向における鉛直方向断面図である。
図9】(a)本発明の実施形態に係る折畳み式ボックスにおけるステップS3の長辺方向における鉛直方向断面図であり、(b)同折畳み式ボックスの短辺方向における鉛直方向断面図である。
図10】本発明の実施形態に係る折畳み式ボックスをスタッキングさせた状態の垂直方向断面図である。
図11】(a)本発明の実施形態に係る折畳み式ボックスが蓋体を備える場合の長辺方向における鉛直方向断面図であり、(b)同折畳み式ボックスの短辺方向における鉛直方向断面図である。
図12】本発明の実施形態の変形例に係る折畳み式ボックスの短辺方向における鉛直方向断面図である。
図13】(a),(b)はともに本発明の実施形態の他の変形例に係る折畳み式ボックスの短辺方向における鉛直方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態に係る折畳み式ボックスについて図1乃至図12を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
[本実施形態に係る折畳み式ボックスの基本構造]
はじめに、図1及び図5を参照しながら本発明の実施形態に係る折畳み式ボックスの構造について説明する。
図1は本発明の実施形態に係る折畳み式ボックスの折畳み前の状態(組立完了時)を示す斜視図である。また、図5(a)は本発明の実施形態に係る折畳み式ボックスの長辺方向における鉛直方向断面図であり、(b)は同折畳み式ボックスの短辺方向における鉛直方向断面図である。より具体的には、図5(a)は図1中のA-A線断面図であり、図5(b)は図1中のB-B線断面図である。
図1,5に示すように、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aは主に、シート材2bからなり、かつ上部に第1の開口2aを備え、かつ折畳み可能な中空容器状の外容器2と、複数枚の厚板材8からなり、かつ外容器2の中空部内に収容されて折畳み可能な断熱容器3と、を備えてなるものである。
また、この断熱容器3は、図1,5に示すように、断熱性を有する複数の厚板材8が一体に連結されてなり、外容器2内において断熱容器3を中空容器状に組立てた際に、外容器2の第1の開口2aと、断熱容器3の第2の開口3aとが連通するよう構成されている。
さらに、断熱容器3は、底パネル3bと、この断熱容器3において一対の側面をなす傾動パネル3c,3cと、この断熱容器3において他の一対の側面をなす折曲げパネル3d,3dを備えている。
【0027】
この断熱容器3は、より具体的には、図1,5に示すように、外容器2の底に配される底パネル3bと、この底パネル3bにおける一対の短辺側に立設され、互いに相対して配される一対の傾動パネル3c,3cと、底パネル3bにおける一対の長辺側に立設され、互いに相対して配される一対の折曲げパネル3d,3dとを備えている。
さらに、傾動パネル3cは、折り目4aに沿って傾動させることで、底パネル3b上に積層することができる(後段における図7を参照)。また、傾動パネル3cは、折り目4bに沿って傾動させることで、底パネル3b上に積層することができる(後段における図7を参照)。
したがって、底パネル3b上に傾動パネル3c及び傾動パネル3cが積層された状態(後段における図2を参照)にするには、傾動パネル3c,傾動パネル3cの順で底パネル3b上に傾動させる必要がある。
加えて、一対の折曲げパネル3d,3dは、水平方向に配される折り目4c,4dを備えている。そして、この折り目4c,4dにおいて折曲げパネル3d,3dを折曲げることで、一対の折曲げパネル3d,3dを二つ折りにした状態で底パネル3b上に積層することができる(後段における図9を参照)。
【0028】
なお、断熱容器3において傾動パネル3c,3c及び折曲げパネル3d,3dはいずれも厚板材8により構成されている。このため、折り目4a以外の折り目4b及び折り目4dを、パネル3bの上面上における短辺又は長辺と同じ鉛直方向高さに設けると、厚板材8同士が干渉して傾動パネル3c,3c及び折曲げパネル3d,3dを上手く積層させることができない。
このような事情に鑑み、本実施形態に係る断熱容器3では、図5(a)に示すように、底パネル3の傾動パネル3cが配されている側の短辺に台座パネル3eを設け、この台座パネル3e上に傾動パネル3cを載置している。この場合は、台座パネル3eと傾動パネル3cの境界が折り目4bになる。
この場合、折り目4bの鉛直方向高さを、底パネル3bの上面を基準にして、傾動パネル3cの厚み分だけ鉛直上方側に位置させることができる。この結果、傾動パネル3c,3cをこの順で底パネル3b上に傾動させた際に、底パネル3b上に、傾動パネル3c,3cの順でこれらを積層することができる。
【0029】
さらに、本実施形態に係る断熱容器3では、その折畳み動作時に、傾動パネル3c上に一対の折曲げパネル3d,3dが積層されることになる。
このため断熱容器3では、折曲げパネル3d,3dを傾動パネル3c上に積層させる際に、傾動パネル3c,3cと折曲げパネル3d,3dとが互いに干渉しないように工夫しておく必要もある。
このため、本実施形態に係る断熱容器3では、底パネル3bにおいて折曲げパネル3d,3dが配される長辺側に、傾動パネル3c,3cのそれぞれの厚みを合算した値に相当する高さを有する台座パネル3e,3eを設け、この台座パネル3e上に折曲げパネル3dを載置している。この場合は、台座パネル3eと折曲げパネル3dとの境界が折り目4dとなり、折曲げパネル3d自体を水平方向に二つ折り可能にするための折り目が折り目4cである。
この場合、折り目4dの鉛直方向高さを、底パネル3bの上面を基準にして、傾動パネル3c及び傾動パネル3cのそれぞれの厚みを合算した値分だけ鉛直上方側に位置させることができる。この結果、傾動パネル3c上に折曲げパネル3d,3dを二つ折りにした状態で積層する際に、傾動パネル3c,3cと第2の側面2d,2dとが干渉するのを防止することができる。
【0030】
また、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aにおいて、上述のような断熱容器3における傾動パネル3c,3cのそれぞれに面して配されているのが外容器2の第1の側面2c,2cであり、一対の折曲げパネル3d,3dのそれぞれに面して配されているのが外容器2の第2の側面2d,2dである。
【0031】
さらに、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aでは、図1,5に示すように、外容器2と断熱容器3は、可撓性を有するシート材からなる連結シート7を介してつながっている。
より具体的には、断熱容器3において第2の開口3aをなす折曲げパネル3dの端縁と、外容器2における第1の開口2a側の内側面と、の間に連結シート7が介設されている。
また、図1,5において連結シート7は、折曲げパネル3d,3dの第2の開口3aをなす「端面」の全域を被覆しているが、連結シート7はこの「端面」に接合されているわけではない。
つまり、連結シート7の一方の端部7aは、後段において説明する第4の固定構造11を介して外容器2の第1の開口2aの内側につながっており、連結シート7の他方の端部7bは、折曲げパネル3dの第2の開口3aをなす「端縁」につながっている。この理由については後段において詳細に説明する。
【0032】
加えて、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aは、外容器2の第1の側面2c,2cに、折畳み式ボックス1Aの折畳み状態を保持しておくための一対の第1の固定構造5を2組備えている。
【0033】
[本実施形態に係る折畳み式ボックスの折畳み手順]
続いて本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aを折畳む際の手順について図1乃至図9を参照しながら詳細に説明する。
図2乃至図4はいずれも本発明の実施形態に係る折畳み式ボックスを折畳む際の各ステップの様子を示す斜視図である。また、図5乃至図9における(a)はいずれも本発明の実施形態に係る折畳み式ボックスを折畳む際の各ステップにおける長辺方向の垂直断面図であり、図6乃至図9における(b)はいずれも同折畳み式ボックスの短辺方向の垂直断面図である。なお、図1,5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
また、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aを折畳む前の状態を示したものが図1,5である。
【0034】
そして、図1,5に示す状態から本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aを折畳むには、まず、図2,6に示すように、外容器2内に立設されている傾動パネル3c,3cを、この順序で底パネル3b側に傾動させて、底パネル3b上に積層させる(ステップS1)。
この時、本実施形態に係る断熱容器3が台座パネル3eを備えていることで、傾動パネル3cを傾動させる際に、傾動パネル3cが傾動パネル3cに干渉をするのを防止することができる。
この結果、傾動パネル3c,3cのそれぞれの平面方向を略水平にしながら、これらを底パネル3b上に積層することができる。
【0035】
次に、この図2,6に示すステップS1の状態から本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aの第1の開口2aを鉛直下方側に押し下げると、図7(b)、図8(b)に示すように、一対の折曲げパネル3d,3dが折り目4c及び折り目4dにおいて折曲げられて、傾動パネル3c上に積層される(ステップS2)。
この時、折曲げパネル3dは、水平方向に形成される折り目4cに沿って二つ折りされた状態になる。
そして、この折曲げパネル3d,3dの折曲げ動作に連動して、図7(b),図8(b)に示すように、一対の折曲げパネル3d,3dに面して配されている外容器2の第2の側面2d,2dが、一対の折曲げパネル3d,3dの谷折り部分に挟み込まれるようにして折り込まれる(図3を参照)。
さらに、このステップS2では、折曲げパネル3d,3dの折曲げ動作に連動して、図3及び図8(a)に示すように、外容器2の第1の側面2c,2cの一部が、断熱容器3から離れる方向に山折りされてつば状部2f,2fが形成される。
なお、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aでは、先に述べた通り外容器2と断熱容器3の折曲げパネル3d,3dが、連結シート7を介してつながっている。このため、図7(b)、図8(b)に示すように、折曲げパネル3d,3dの折曲げ動作時に、外容器2の内側面に対する、第2の開口3aをなす折曲げパネル3d,3dの端面のなす角度を所望に変えることができる。
この結果、外容器2の第2の側面2dを折曲げパネル3dの谷折り部分に折り込む動作、並びに、外容器2の第1の側面2cにつば状部2f,2fを形成させる動作を、折曲げパネル3d,3dの折畳み動作と連動させながら、同時に行うことができる。
【0036】
そして、このステップS2の後のステップS3は、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aの折畳み状態を保持させるための工程である。
ステップ2を完了した直後、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aでは、図3図7(a)及び図8(a)に示すように、外容器2の第1の側面2cに、つば状部2fが形成されている。
また、図3図7(a)及び図8(a)に示すように、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aでは、外容器2のそれぞれの第1の側面2cが、一対の第1の固定構造5を備えている。
さらに、それぞれの第1の側面2cにおける一対の第1の固定構造5のうちの一方は、つば状部2fの鉛直下方側の面に設けられ、他方は、このつば状部2fを鉛直下方側に回動させた際に、上記一方の第1の固定構造5と接触する位置の第1の側面2c上に設けられている。
【0037】
そして、図8(a)に示すように、外容器2の外側面上に突出してなるつば状部2fを、同図中の符号Pで示す方向(鉛直下方側)に回動させると、図9(a)に示すように、一対の第1の固定構造5,5同士が接触して一体化する。
この結果、外容器2の第1の側面2c上につば状部2fを折畳んだ状態で着脱可能に固定しておくことができる。なお、外容器2の第1の側面2c上につば状部2fを着脱可能に固定した状態を示した斜視図が図4である。
このように、ステップS3において外容器2のつば状部2fが第1の固定構造5により第1の側面2c上に固定されることで、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aの折畳み状態を保持することができる。
また、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aにおいて、つば状部2fが第1の側面2cに固定されている状態では、外容器2の第1の開口2aを掴んで折畳み式ボックス1Aを持ち上げても、一対の第1の固定構造5の接続状態は解除されない。
このため、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aを折畳んだ状態で持ち運ぶ際に、折畳み式ボックス1Aの折畳み状態を好適に保持することができる。
【0038】
[本実施形態に係る折畳み式ボックスの組立て手順]
また、図4,9に示すように、折畳み状態が固定されている折畳み式ボックス1Aを組立てる場合は、上述のステップS1乃至ステップS3を逆の順序で行えばよい。
より具体的には、まず、図4,9に示す状態の本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aにおけるつば状部2f,2fの下端側に手指を掛止して、つば状部2f,2fを第1の側面2c,2cから引き剥がすように回動させる(図8(a)中の符号Pで示す方向の逆方向)。この動作により対を成す第1の固定構造5の接続状態を解除することができる(ステップS3に対応)。
この後、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aの第1の開口2aを鉛直上方側に引き上げることで、図7(a),(b)に示すように、折畳まれていた外容器2が中空容器状に復元される。また、この動作に連動して、傾動パネル3c上に折畳まれていた折曲げパネル3d,3dが鉛直上方側に引き上げられて、外容器2の第2の側面2d側に折曲げパネル3d,3dが起立した状態になる(ステップS2に対応、図6を参照)。
最後に、外容器2の中空部内において底パネル3b上に積層されている傾動パネル3c,3cを、この順序で第1の側面2c側に引き起こして起立させることで、図1,5に示すように、傾動パネル3c,3cの水平方向側に配される端面により、第2の側面2d,2dの折り目4cが支えられることで(ステップS1に対応)、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aの組立動作が完了する。
【0039】
[本実施形態に係る折畳み式ボックスによる効果]
上述のような本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aによれば、最少で3つのステップでその折畳み動作又は組立動作を完了することができる。
したがって、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aによれば、厚板材8からなる断熱容器3の折畳み作業又は組立作業を容易かつ迅速に行うことができる折畳み式ボックスを提供することができる。
また、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aでは、その折畳み動作時に、外容器2の第1の側面2cの一部をつば状部2fに変形させることができる。そして、このつば状部2fは、折畳み式ボックス1Aの折畳み状態を保持するための固定具として使用することができる。
このため、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aでは、その折畳み状態を保持しておくために、バンド等の構成を別途備えている必要がない。よって、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aでは、その構造をシンプルにすることができる。
また、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aによれば、折畳み式ボックス1Aの折畳み状態を保持しておくことができるので、畳み式ボックス1Aを折畳んだまま持ち運ぶ際の取り扱いを容易にすることができるという効果も有する。
また、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aでは、その折畳み動作の過程でつば状部2fを自動的に形成せることができる。しかも、このつば状部2fの固定状態を解除する動作を、折畳み式ボックス1Aを組立てる動作の一環として行うことができる。
このように、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aは、その折畳み状態を解除するための動作を、折畳み式ボックス1Aの組立動作と別に行う必要がないので、この点からもその組立動作を迅速にできるという効果が発揮される。
【0040】
また、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aでは、図1乃至図9に示すように、外容器2の内側面と、折曲げパネル3d,3dとが連結シート7を介して接続されていることで、外容器2と折曲げパネル3d,3dとを連結したまま、折曲げパネル3d,3dの折曲げ動作を行うことができる。
すなわち、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aでは、図5(b)乃至図8(b)のそれぞれに示すように、連結シート7を備えていることで、外容器2の内側面に対する、第2の開口3aをなす折曲げパネル3d,3dの端面のなす角度を所望に変更することができる。
この結果、折曲げパネル3d,3dの折畳み動作と、外容器2の第2の側面2dを折曲げパネル3d,3dの谷折り部分に折り込む動作[図7(b)及び図8(b)を参照]と、外容器2の第1の側面2cの一部をつば状部2fに変形させる動作[図7(a)及び図8(a)を参照]の3つの動作を同時に行うことができる。
よって、連結シート7を備えた本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aによれば、折畳み式ボックス1Aの折畳み動作及び組立て動作を迅速かつスムーズに行うことができる。
【0041】
なお、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aは、必ずしも連結シート7を備えていなくともよい。より具体的には、外容器2の内側面に、折曲げパネル3d,3dを直接取設してもよい。
この場合、外容器2の内側面に対する、折曲げパネル3dの第2の開口3aをなす端面のなす角度を所望に変更することができなくなる。そのため、このような折畳み式ボックス1Aでは、折り目4cにおいて二つ折りにした折曲げパネル3dの鉛直方向の厚みが、図8(b)に示すものよりも大きくなってしまう。つまり、折畳み動作完了時の折畳み式ボックス1Aの鉛直方向高さが、連結シート7を備えている場合に比べて大きくなってしまう。
したがって、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aが、連結シート7を備えない場合は、折畳み時の折畳み式ボックス1Aの形態をコンパクトにするという効果の一部が損なわれてしまうものの、発明の実施には特に支障はない。
【0042】
[本実施形態に係る折畳み式ボックスの選択的構成要素]
ここで、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aの選択的構成要素について説明する。また、ここで説明する本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aのそれぞれの選択的構成要素は、上述の折畳み式ボックス1Aの基本構成に単独で付加してもよいし、所望の選択的構成要素を複数組み合わせて付加してもよい。
【0043】
図2乃至図9に示すように、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aは、外容器2の中空部内に立設された傾動パネル3c,3cのそれぞれを、外容器2の内側面に着脱可能に固定しておくための第2の固定構造6を備えていてもよい(選択的構成要素)。
この第2の固定構造6は、傾動パネル3c側又は傾動パネル3c側に設けられるものと、外容器2の第1の側面2cの内面側に設けられるものとが一対で用いられる。よって、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aは、一対の第2の固定構造6を2組備えていることになる。
本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aでは、外容器2の内形寸法が、断熱容器3の外形寸法と略一致するように設計されている。このため、第2の固定構造6を備えていなくとも折畳み式ボックス1Aの組立状態を維持することができる。
しかしながら、折畳み式ボックス1Aが第2の固定構造6を備えていない場合は、折畳み式ボックス1Aの外から、傾動パネル3c又は傾動パネル3cに対してこれらを外容器2の中空部側に押し倒すような外力が作用した際に、意図せず、傾動パネル3c又は傾動パネル3cが傾動してしまう恐れがある。
また、傾動パネル3c及び傾動パネル3cは、折曲げパネル3d,3dの起立状態を維持するためのストッパーとしても機能している。このため、傾動パネル3c又は傾動パネル3cが意図せず底パネル3b側に傾動してしまうと、折曲げパネル3d,3dが支えを失ってその起立状態を維持しておくことができなくなり、結果として、折畳み式ボックス1Aの組立状態を維持することもできなくなる。
これに対して、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aが第2の固定構造6を備えている場合は、傾動パネル3c又は傾動パネル3cを押し倒すような外力が作用した際に、意図せず折畳み式ボックス1Aの外形が崩れてしまうのを防止することができる。
よって、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aが第2の固定構造6を備えている場合は、使用時の折畳み式ボックス1Aの形状保持性を向上させることができるという効果を有する。
【0044】
本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aは、折畳み式ボックス1Aの折畳み動作時に、外容器2の第1の側面2cにおいてつば状部2fの形成を助長するための肉厚部18を備えていてもよい(選択的構成要素)。
なお、第1の側面2cにおける肉厚部18は、例えば、図2に示すように、折畳み可能な別のシート材(例えば、裏打ち材17等)を、第1の側面2cの裏面側に接着又は縫着することで形成してもよい。あるいは、第1の側面2cを構成するシート材2b自体の厚みを変えることで(図示せず)、この肉厚部を形成してもよい。
そして、第1の側面2cがこのような肉厚部18(例えば、裏打ち材17等)を備えている場合は、折畳み式ボックス1Aの折畳み動作時に、この肉厚部18の境界18aに沿って、及び、この境界18a上に形成される頂点18b同士を結ぶ線上に、折り目を形成させることができる。
この場合、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aの折畳み動作又は組立動作を繰り返す際に、つば状部2fの外形及び大きさの再現性を高めることができる。
よって、外容器2の第1の側面2cが肉厚部18を備える場合は、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aの折畳み動作を迅速かつ確実に行うことができる。この結果、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aの折畳み動作を効率良く行うことができるという効果を有する。
【0045】
本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aは、外容器2の第1の側面2cの第1の開口2a側に持ち手16を備えていてもよい(選択的構成要素)。
この場合、上述した本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aの一連の組立動作時に、つば状部2fの第1の固定構造5による固定状態を解除した後に、この持ち手16を用いて折畳み式ボックス1Aの第1の開口2aを鉛直上方側に引き上げる動作を行うことができる。
さらに、この持ち手16は、つば状部2fの真上に設けられている。このため、図9(a)に示すように、鉛直下方側に折曲げられたつば状部2fの下端を、図8(a)に示すように、水平方向に向ける動作を行った際の作業者の手を、そのまま鉛直上方側の持ち手16に移動させるだけでよい。この場合、持ち手16を用いて容外容器2の第1の開口2aを容易に鉛直上方側に引き上げることができる。
よって、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aが上述のような持ち手16を備えていることで、持ち手16を備えない場合に比べて折畳み式ボックス1Aの組立作業をより迅速かつスムーズに行うことができる。
また、このような持ち手16は、折畳み式ボックス1Aを持ち運ぶ際にも便利である。
【0046】
本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aは、図5乃至図9に示すように、外容器2の底面2eの外側面に、断熱容器3の第2の開口3aの平面寸法と同一又はこの平面寸法からクリアランス分を差し引いた平面寸法を有するスタッキング用パネル9を備えていてもよい(選択的構成要素)。
図10は本発明の本実施形態に係る折畳み式ボックスをスタッキングさせた状態の垂直方向断面図である。なお、図1乃至図9に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
スタッキング用パネル9を備えている折畳み式ボックス1Aを鉛直方向にスタッキングさせた場合、図10に示すように、鉛直上方側に配される折畳み式ボックス1Aのスタッキング用パネル9が、その真下に配される折畳み式ボックス1Aの断熱容器3の第2の開口3aに嵌設される。さらにこの時、鉛直上方側に配される折畳み式ボックス1Aにおける断熱容器3の底パネル3bと、外容器2の底面2eの重なり部分が、外容器2の第1の開口2aに嵌め込まれて、鉛直下方側に配される折畳み式ボックス1Aの蓋として機能する。
また、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aでは、外容器2は折畳み可能なシート材2bにより構成されている。このため、スタッキング用パネル9を備えない折畳み式ボックス1Aを鉛直方向にスタッキングさせると、スタッキングされた折畳み式ボックス1A群に対して水平方向の外力が作用した際に、折畳み式ボックス1A群の連結部分が容易に位置ずれを起こして、最悪の場合、折畳み式ボックス1A群が倒壊してしまう。
これに対して、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aがスタッキング用パネル9を備える場合は、鉛直上方側に配される折畳み式ボックス1Aのスタッキング用パネル9が、その真下に配される折畳み式ボックス1Aの断熱容器3の第2の開口3aに嵌設されるため、外容器2よりも剛性が高い断熱容器3同士が直接連結された状態になる。よって、折畳み式ボックス1A同士の連結部分において水平方向の位置ずれが起こるのを防止することができる。
したがって、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aがスタッキング用パネル9を備えている場合は、鉛直方向にスタッキングさせた際に倒壊し難い折畳み式ボックスを提供することができる。
【0047】
図11(a)は本発明の実施形態に係る折畳み式ボックスが蓋体を備える場合の長辺方向における鉛直方向断面図であり、(b)は同折畳み式ボックスの短辺方向における鉛直方向断面図である。なお、図1乃至図10に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aは、図11(a),(b)に示すような蓋体14を備えていてもよい(選択的構成要素)。
この場合、蓋体14は、例えば11(a),(b)に示すように、断熱容器3の底面の平面寸法と同一又はこの平面寸法からクリアランス分を差し引いた平面寸法を有する蓋パネル12と、この蓋パネル12を第1の開口2aと第2の開口3aとの連通口に着脱可能に固定するための第3の固定構造10と、を備えてなるものでもよい。
【0048】
なお、図11(a),(b)に示す蓋体14は、蓋パネル12の上面に、蓋パネル12の平面寸法よりやや大きいシート材13を一体に設け、さらに、このシート材13において互いに対向して配される一対の縁部に沿って第3の固定構造10(対を成す第3の固定構造10のうちの一方)を備えてなるものでもよい。なお、シート材13は蓋体14の選択的構成要素である。
また、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aが蓋体14を備える場合は、図11(b)に示すように、この蓋体14を折畳み式ボックス1Aに固定するための第3の固定構造10の他方を、外容器2の外側面上で、かつ蓋体14を第1の開口2a及び第2の開口3aの連通口に覆設した際に、上述の一方の第3の固定構造10と重なり部を形成する位置に、設けておくとよい。
本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aが上述のような蓋体14を備えていることで、折畳み式ボックス1A内に物品を収容して持ち運ぶ際の保温性を向上させることができる。また、本実施形態に係る折畳み式ボックス1Aが蓋体14を備えることで、折畳み式ボックス1A全体の強度を向上させることができるので、運搬時に折畳み式ボックス1Aの組立状態が損なわれるのを防止することもできる。
なお、蓋パネル12の平面寸法は、図11(a),(b)中に示す、断熱容器3の底面の長辺方向寸法Qと短辺方向寸法Qからなる矩形の平面寸法と同じである。また、蓋パネル12の平面寸法は、長辺方向寸法Qと短辺方向寸法Qのそれぞれからクリアランス分を差引いた矩形の平面寸法であってもよい。
【0049】
上述の本実施形態に係る蓋体14は上記構成に加えて、図11(a),(b)に示すように、蓋パネル12の断熱容器3の中空部側に配される面に、上述のスタッキング用パネル9を備えていてもよい(スタッキング用パネル9は蓋体14の選択的構成要素)。
なお、蓋体14がスタッキング用パネル9を備える場合、このスタッキング用パネル9の平面寸法は、断熱容器3の第2の開口3aの平面寸法と同一又はこの平面寸法からクリアランス分を差し引いた平面寸法にすればよい。
このように蓋体14がスタッキング用パネル9を備えている場合は、折畳み式ボックス1Aにおける第1の開口2aと第2の開口3aとの連通口に蓋体14を覆設した際の、蓋体14の水平方向の位置ずれを好適に防止することができる。
この場合、スタッキング用パネル9を有する蓋体14を備えた折畳み式ボックス1A内の気密性を高めることができる。これにより、折畳み式ボックス1A内に物品を収容して運ぶ際の保温性(断熱性)を高めることができる。
【0050】
図12は本発明の実施形態の変形例に係る折畳み式ボックスの短辺方向における鉛直方向断面図である。なお、図1乃至図11に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
先の折畳み式ボックス1Aにおける断熱容器3では、折曲げパネル3dは、その中ほどに水平方向に形成される折り目4cを備えているために、折り目4cを備えていない厚板材8よりもその強度が低下する。
この場合、組立後に折畳み式ボックス1Aを、産業用ロボット等を利用して移動させようとして、折畳み式ボックス1Aの第2の側面2d側から一対の折曲げパネル3dを挟持する動作を繰り返した際に、折曲げパネル3dの破損が起こり易いという課題があった。
このような課題に対処するため、本実施形態の変形例に係る折畳み式ボックス1Bは、図12に示すように、折り目4cに沿って補強材15備えた折曲げパネル3d´を用いてもよい(選択的構成要素)。
なお、折曲げパネル3d´の補強材15としては、例えば、金属製又は剛性樹脂製の断面L字状をなすアングル材を用いることができる。
さらに、補強材15として例えば図12に示すような、断面L字状をなすアングル材を用いる場合は、折り目4cを挟んで相対して配される厚板材8,8の角部を、断面L字状をなすアングル材で被覆して保護するとよい。
なお、補強材15は、図12に示すような断面L字状をなすアングル材に代えて、断面コ字状をなすアングル材を用いてもよいし(図示せず)、折曲げパネル3d´の外側面に、折り目4cに沿って金属製又は合成樹脂製の平板材(図示せず)を接着しておくだけでも折曲げパネル3d´の十分な強度向上効果を期待できる。
そして、断熱容器3がこのような補強材15を有する折曲げパネル3d´を備えている場合は、断熱容器3の外側から一対の折曲げパネル3d´,3d´を挟持するようにして本実施形態の変形例に係る折畳み式ボックス1Bを持ち運ぶ際に、折畳み式ボックス1Bの破損を防止することができるという効果を有する。
【0051】
本実施形態及びその変形例に係る折畳み式ボックス1A,1Bは、図5乃至図9、及び、図11,12に示すように、外容器2の内側面に折曲げパネル3d又は折曲げパネル3d´を直接又は連結シート7を介して取設する際に、その接続部分に着脱可能な第4の固定構造11を備えていてもよい(選択的構成要素)。
この第4の固定構造11は、折曲げパネル3d側に設けられる一方と、外容器2側に設けられる他方とが対をなした状態で用いられる。
また、本実施形態及びその変形例に係る折畳み式ボックス1A,1Bでは、このような第4の固定構造11を備えていることで、外容器2に対して断熱容器3を着脱可能に取設することができる。
この場合、外容器2と断熱容器3とを別々に製造し、最後に外容器2と断熱容器3とを第4の固定構造11を介して一体化させることで容易に本実施形態及びその変形例に係る折畳み式ボックス1A,1Bを製造することができる。
また、万一、外容器2又は断熱容器3のいずれかが破損した場合は、これらを分離して、破損した方を新しいものに交換して使用することもできる。
よって、上述のような第4の固定構造11を備えている本実施形態及びその変形例に係る折畳み式ボックス1A,1Bによれば、その製造時に生産性を向上することができ、しかも破損した部品を交換しながら使用し続けることができるという効果を有する。
【0052】
本実施形態及びその変形例に係る折畳み式ボックス1A,1Bにおいて、断熱容器3や蓋体14の蓋パネル12を構成する厚板材8は、従来公知の断熱材(発泡樹脂成型体等)を支障なく使用することができる。
さらに、本実施形態及びその変形例に係る折畳み式ボックス1A,1Bの断熱容器3は、上述のような材質からなる厚板材8を単独で用いてもよいし、このような厚板材8の表面の所望部位(例えば、中空容器の内側をなす面等)に断熱性及び/又は防水性を有するシート材(図示せず)を別途付加して用いてもよい(選択的構成要素)。
この場合は、本実施形態及びその変形例に係る折畳み式ボックス1A,1Bの保温性及び/又は防水性を一層向上させることができる。
【0053】
本実施形態及びその変形例に係る折畳み式ボックス1A,1Bの断熱容器3において、複数の厚板材8は、図示しない連結材(シート体等)や連結具(ヒンジ等)を用いて連結してもよい(選択的構成要素)。
あるいは、断熱性を有するシート材により袋体を形成し、この袋体に厚板材8収容して、この袋体同士を連結することで、厚板材8同士を連結してもよい(選択的構成要素)。
いずれの場合も、比較的厚手の厚板材8を容易にかつ大幅なサイズの変更を伴うことなく連結することができるという効果を有する。
【0054】
なお、本実施形態及びその変形例に係る折畳み式ボックス1A,1Bにおける第1乃至第4の固定構造5,6,10,11は、いずれも一方に対して他方を着脱可能に固定できるように構成されるものであれば、どのようなものを用いてもよい。このような第1乃至第4の固定構造5,6,10,11としては、特に、面ファスナやスナップボタンが適している。また、これ以外にもフックとループからなる掛止構造や、ボタンとボタンホールからなる掛止構造、あるいは、線ファスナ、スナップ錠等を単独であるいは所望に組み合わせて用いることができる。
【0055】
最後に、図13を参照しながら本実施形態の他の変形例に係る折畳み式ボックスについて説明する。
図13(a),(b)はともに本発明の実施形態の他の変形例に係る折畳み式ボックスの短辺方向における鉛直方向断面図である。より具体的には、図13(a)は、本実施形態の他の変形例に係る折畳み式ボックスにおける第1の側面側に、つば状部を形成した状態を示す鉛直方向断面図であり、同図(b)は、つば状部を折畳み式ボックスの第1の側面に固定した状態を示す鉛直方向断面図である。なお、図1乃至図12に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
上述の本実施形態及びその変形例に係る折畳み式ボックス1A,1Bにおける第1の固定構造5として、例えば面ファスナを用いる場合で、かつ外容器2の材質として比較的硬い材質が用いられる場合や、断熱容器3が比較的重い場合は、つば状部2fを第1の固定構造5により第1の側面2cに固定した後に、その第1の開口2a又は持ち手16を掴んで持ち上げた際に、第1の固定構造5の固定状態が意図せず解除されてしまうことがあった。
この場合、移動中の折畳み式ボックス1A,1Bが、折畳み途中、又は、組立途中の状態(例えば、図7,8を参照)になってしまい、折畳み式ボックス1A,1Bをコンパクトな状態で持ち運ぶことができないという課題が生じていた。
【0056】
発明者らは当初、つば状部2fを第1の側面2c側に折曲げて固定した際の(図9を参照)、第1の側面2cとつば状部2fの重なり部分に取設されている第1の固定構造5の面積を大きくすることで上記課題の解決を試みた。
ところが、上述のような改良では、折畳み式ボックス1A,1Bにおけるつば状部2fの先端に位置する折り目を開くように力が作用した際に、意図せず折り目が開いてしまうのを防ぐことができなかった。
このような事情に鑑み、発明者らは鋭意研究の結果、図13(a)に示すように、本実施形態の他の変形例に係る折畳み式ボックス1Cにおけるつば状部2f´の先端に、舌状の固定補助部19を延設するとともに、この固定補助部19にのみ、又は、この固定補助部19とつば状部2f´の両方に第1の固定構造5を設けることで上記課題を解決した。
【0057】
より具体的には、図13(a),(b)に示す他の変形例に係る折畳み式ボックス1Cでは、つば状部2f´がその先端に、舌状の固定補助部19を備えていることで、つば状部2f´の先端に位置する折り目からやや離れた位置に第1の固定構造5を配置することができる。
また、先にも述べたように、本実施形態の他の変形例に係る折畳み式ボックス1Cを折畳んだ状態で、その第1の開口2a又は持ち手16を掴んで持ち上げると、折り畳まれたつば状部2f´の先端に位置する折り目に、この折り目を開く(広げる)ように力が作用する。
この時、つば状部2f´の先端に位置する折り目が開いてしまうと、外容器2の折畳み状態が解除されて、折畳まれていた外容器2が、組立途中又は折畳み途中の状態(図7,8を参照)になってしまう。
このことはすなわち、本実施形態の他の変形例に係る折畳み式ボックス1Cを折畳んだ状態で持ち運ぶ際に、つば状部2f´の先端に位置する折り目が開かなければ(広がらなければ)、折畳み式ボックス1Cの折畳み状態が解除されないことを意味している。
【0058】
そして、本実施形態の他の変形例に係る折畳み式ボックス1Cでは、つば状部2f´の先端に位置する折り目からやや離れた位置に第1の固定構造5が配されていることで、図13(b)に示すように、この第1の固定構造5を、第1の側面2cに設けられている対をなす他の第1の固定構造5に接合して一体化した際に、つば状部2f´の先端に位置する折り目が開くのを確実に防止することができる。
よって、本実施形態の他の変形例に係る折畳み式ボックス1Cによれば、この折畳み式ボックス1Cを折畳んだまま移動する際に、第1の固定構造5の固定状態を維持することができる。
この結果、本実施形態の他の変形例に係る折畳み式ボックス1Cによれば、折畳んだ状態での取り扱いが容易な折畳み式ボックスを提供することができる。
【0059】
なお、図13(a)では、水平方向に突出するつば状部2f´の鉛直下方側に固定補助部19を取設する場合を例に挙げて説明しているが、この固定補助部19は、つば状部2f´の鉛直上方側に取設してもよい。
ただし、この場合は、図13(a),(b)に示すように、つば状部2f´と固定補助部19を跨ぐように第1の固定構造5を取設することができない。このため、つば状部2f´と固定補助部19のそれぞれに個別に第1の固定構造5を取設する必要があるものの(図示せず)、その使用時にはこれらの第1の固定構造5は一体の第1の固定構造5として機能する。
【0060】
さらに、つば状部2f´の先端に延設される固定補助部19の全域に第1の固定構造5を取設してしまうと、対をなす第1の固定構造5同士の着脱作業をスムーズに行うことができなくなってしまう。
このため、本実施形態の他の変形例に係る折畳み式ボックス1Cでは、図13(a),(b)に示すように、固定補助部19は、つば状部2f´に接続されない側の端部側に、第1の固定構造5を備えていないつまみ部19a有していてもよい(選択的構成要素)。
この場合、対を成す第1の固定構造5同士の着脱作業、並びに、つば状部2f´の着脱作業をスムーズかつ容易に行うことができる。
【0061】
[補足]
また、本実施形態及びその変形例に係る折畳み式ボックス1A~1Cにおけるシート材2bや、蓋体14を構成するシート材13は、折畳み可能なシート材であればその材質は折畳み式ボックス1A~1Cの使用目的に応じて自由に選定されてよい。
より具体的には、シート材2bやシート材13は、人工又は天然由来の繊維からなる織地や編地、あるいは、不織布でもよいし、合成樹脂をシート状に成形してなるものでもよい。あるいは、これらを適宜組み合わせてなるシート材でもよい。
このように本実施形態及びその変形例に係る折畳み式ボックス1A~1Cに係る外容器2や、蓋体14の一部を折畳み可能なシート材により構成する場合は、その成形手段に縫製を採用することができる。
この場合、外容器2を成形する際に、金型等を用いる必要がない。また、シート体同士を熱と圧力により圧着する場合のように大掛かりなプレス装置等を準備する必要もない。したがって、シート材の成形手段が縫製である場合は、様々な大きさの折畳み式ボックス1A~1Cを少量ずつ生産する場合に、製品の製造コストを廉価にできるというメリットを有する。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上説明したように本発明は、不使用時にコンパクトに折畳むことができ、しかもその折畳み作業及び組立作業を迅速かつスムーズに行うことができる折畳み式ボックスであり、物流設備やその付属品に関する分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1A,1B,1C…折畳み式ボックス 2…外容器 2a…第1の開口 2b…シート材 2c…第1の側面 2d…第2の側面 2e…底面 2f,2f´…つば状部 3…断熱容器 3a…第2の開口 3b…底パネル 3c,3c…傾動パネル 3d,3d´…折曲げパネル 3e,3e…台座パネル 4a,4b,4c,4d…折り目 5…第1の固定構造 6…第2の固定構造 7…連結シート 7a…一方の端部 7b…他方の端部 8…厚板材 9…スタッキング用パネル 10…第3の固定構造 11…第4の固定構造 12…蓋パネル 13…シート材 14…蓋体 15…補強材 16…持ち手 17…裏打ち材 18…肉厚部 18a…境界 18b…頂点 19…固定補助部 19a…つまみ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13