(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】遠隔支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20120101AFI20221109BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20221109BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2017085319
(22)【出願日】2017-04-24
【審査請求日】2020-04-20
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】下遠 誠
【合議体】
【審判長】渡邊 聡
【審判官】溝本 安展
【審判官】古川 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-155584(JP,A)
【文献】特開2007-233150(JP,A)
【文献】特開2004-341853(JP,A)
【文献】特開2002-091913(JP,A)
【文献】特開2006-178766(JP,A)
【文献】特開2012-018605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備機器と、
動画或いは静止画に係る画像を撮像するカメラ機能を備え前記設備機器に関する該設備機器の現場撮像画像情報を含む情報を送信および/または受信する携帯端末と、
前記設備機器の設置、運用、点検、修理、改造、異常対応、のうちの少なくともいずれか一つを含む前記設備機器に対するサービスの実施に対応する対応手段であって、
前記携帯端末、指示端末、及び、会議参加端末がネットワークを通じて接続されて形成される会議システムを介在させて前記携帯端末
、前記指示端末、及び、前記会議参加端末の間で前記設備機器の情報を共有する手段、を備え、
前記サービスの実施に対応する対応手段は前記設備機器の現場に誘導するための誘導情報及び前記サービスを実施すべき該当箇所が特定される特定情報を提示するとともに前記会議システム
に参加する前記会議参加端末からの対策/対応情報を提示する提示手段であって、前記提示手段は前記特定情報及び前記対策/対応情報を前記携帯端末に前記現場撮像画像情報と重畳させた仮想の画像として提示するものである手段、を含み、
前記対応手段は前記携帯端末を介して前記サービスの実施を遠隔から支援することを特徴とする遠隔支援システム。
【請求項2】
前記携帯端末から送信された前記設備機器に関する画像情報を前記対応手段が受けて前記サービスの実施を支援することを特徴とする請求項1記載の遠隔支援システム。
【請求項3】
前記サービスは前記設備機器の教育を含み、
前記対応手段は前記設備機器に関するドキュメントを含む情報を前記携帯端末へ送信することを特徴とする請求項1または請求項2記載の遠隔支援システム。
【請求項4】
前記対応手段と前記携帯端末とで画像情報および/またはドキュメント情報を共有することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項記載の遠隔支援システム。
【請求項5】
前記携帯端末は、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット、ウェアラブル端末およびハンドヘルド式パーソナルコンピュータのいずれか一つまたはそれらの組合わせであることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項記載の遠隔支援システム。
【請求項6】
前記設備機器に関する情報を格納する格納手段をさらに備え、
前記対応手段と前記携帯端末との間で前記設備機器に関する情報を共有することを特徴とする請求項1記載の遠隔支援システム。
【請求項7】
前記格納手段は前記会議システムに接続されていることを特徴とする請求項6記載の遠隔支援システム。
【請求項8】
設備機器と、
前記設備機器側に配置され、動画或いは静止画に係る画像を撮像するカメラ機能を備え前記設備機器に関する該設備機器の現場撮像画像情報を含む情報を送信および/または受信する携帯端末と、
前記設備機器の設置、運用、点検、修理、改造、異常対応、若しくはそれら設置、運用、点検、修理、改造、異常対応に関する教育、のうちの少なくともいずれか一つを含む前記設備機器に対するサービスの実施を遠隔支援する対応手段であって、
前記携帯端末、指示端末、及び、会議参加端末がネットワークを通じて接続されて形成される会議システムを介在させて前記携帯端末
、前記指示端末、及び、前記会議参加端末の間で前記設備機器の情報を共有するとともに、前記設備機器側における前記携帯端末より送信を受けた情報を共有し前記サービスに応じた実施を支援する手段、を備え、
前記サービスの実施に対応する対応手段は前記設備機器の現場に誘導するための誘導情報及び前記サービスを実施すべき該当箇所が特定される特定情報を提示するとともに前記会議システム
に参加する前記会議参加端末からの対策/対応情報を提示する提示手段であって、前記提示手段は前記特定情報及び前記対策/対応情報を前記携帯端末に前記現場撮像画像情報と重畳させた仮想の画像として提示するものである手段、を含み、
前記携帯端末と前記対応手段と間で前記誘導情報及び前記特定情報を共有し、前記サービスの実施を支援することを特徴とする遠隔支援システム。
【請求項9】
前記携帯端末から送信された前記設備機器に関する画像情報を前記対応手段が受け、前記対応手段は前記設備機器に関するドキュメントを含む情報を前記携帯端末へ送信することを特徴とする請求項8記載の遠隔支援システム。
【請求項10】
前記携帯端末には、
前記サービスの実施対象となる前記設備機器の画像情報を含む情報を前記対応手段へ通知する通知手段と、
画像表示機能を有し前記サービスの実施対象となる該当部分へ誘導する誘導手段を備え、
前記対応手段には、
前記設備機器の情報に基づき前記サービス対応の誘導あるいは指示を行う指示手段を備え、
前記携帯端末と前記対応手段との間で前記画像情報を共有し、前記サービスの実施を支援することを特徴とする請求項9記載の遠隔支援システム。
【請求項11】
前記設備機器に異常検出手段をさらに設け、
前記異常検出手段により前記設備機器の異常を検知した際に、前記携帯端末より前記対応手段が前記設備機器の異常場所に画像にて誘導することを特徴とする請求項10記載の遠隔支援システム。
【請求項12】
前記携帯端末は、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット、ウェアラブル端末およびハンドヘルド式パーソナルコンピュータのいずれか一つまたはそれらの組合わせであることを特徴とする請求項8~請求項11のいずれか1項記載の遠隔支援システム。
【請求項13】
前記設備機器に関する情報を格納する格納手段をさらに備え、
前記対応手段と前記携帯端末との間で前記設備機器に関する情報を共有することを特徴とする請求項8記載の遠隔支援システム。
【請求項14】
前記格納手段は前記会議システムに接続されていることを特徴とする請求項13記載の遠隔支援システム。
【請求項15】
前記対応手段は前記携帯端末から受信した画像情報に支援指示する情報を重ね合わせて支援指示することを特徴とする請求項8記載の遠隔支援システム。
【請求項16】
前記対応手段に、さらに時間管理手段を設け、
前記時間管理手段は前記設備機器側における前記携帯端末からの最初に受けた通知時間を第1の時間として記録し、所定の前記サービスの完了通知を受けた時間を第2の時間として記録し、前記第1の時間と前記第2の時間により前記サービスの実施時間として管理することを特徴とする請求項8~請求項15のいずれか1項記載の遠隔支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、仕分け装置、保管装置などの物流施設や製造設備等に用いられる設備機器に対する点検、保守作業などの実施に当たり遠隔で支援を行う遠隔支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
製造ラインや物品の搬送ライン等、設備機器におけるメンテナンス等の作業としては、一定稼働時間毎の定期保守の他、異常発生時の対応等、必要に応じて保守担当者や専門家等が現場に出向き障害等を取り除くことが行われている。その際の部品劣化や破損等による部品交換も必要な場合がある。また、製造ライン等において、要所々々にセンサ回路等を設け、異常検出を自動的に行い、保守センター等に通知するシステムもある。
【0003】
例えば、ビル設備機器に対して遠隔で監視するシステムが特許文献1に示されている。また、テレビ会議システムの保守点検を容易とするための定期的に遠隔監視するシステムが特許文献2に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-91120号公報
【文献】特開平7-162825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、特許文献1や特許文献2に見られるように、設備機器等に異常等発生し、その障害をセンター等の自動通報することや、異常情報を自動記録することは行われているが、異常等に対応するために保守作業者等が現場へ出向くことに変わりない。
【0006】
現場機器等の異常対応としては、経験や専門知識を必要する場合が多い。また、異常箇所の判定、判断や、部品交換等を必要となる場合等、対象となる設備・機器・システム等の取扱説明書、マニュアル等を必要とする場合もある。
【0007】
従って、異常等を検知し、通報することは、適宜、自動化されていても、その異常等に対応するためには、予備知識や準備に時間を要することになる。
【0008】
かかる問題を解決するために、本発明は、設備機器の障害や異常等の発生に対応することを含め、設備機器に対し点検、修理、改装等のサービス(役務)や現場教育サービス(役務)を行うに当たり、現場への案内サービスを含めそれらサービスの実施を遠隔にて支援する遠隔支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、設備機器と、前記設備機器に関する情報を送信および/または受信する携帯端末と、前記設備機器に対するサービスの実施に対応する対応手段を備え、前記対応手段は前記携帯端末を介して前記サービスの実施を遠隔から支援することを特徴とする遠隔支援システムを提供するものである。
【0010】
ここで、前記対応手段としては、パーソナルコンピュータ端末等、通信回線(無線、有線に限らず)に接続可能な端末で前記携帯端末へアクセス可能であればよい。
【0011】
また、本発明は、前記サービスは前記設備機器の設置、運用、点検、修理および/または改造を含み、前記携帯端末から送信された前記設備機器に関する画像情報を前記対応手段が受けて前記サービスの実施を支援することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記サービスは前記設備機器の教育を含み、前記対応手段は前記設備機器に関するドキュメント等に基づく情報を前記携帯端末へ送信することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記サービスは前記設備機器の案内を含み、前記対応手段と前記携帯端末とで画像情報および/またはドキュメント情報を共有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記携帯端末は、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット、ウェアラブル端末およびハンドヘルド式パーソナルコンピュータのいずれか一つまたはそれらの組合わせであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記対応手段は、一つ乃至複数の端末からなり、会議システムを介在させて前記携帯端末と前記設備機器の情報を共有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記設備機器に関する情報を格納する格納手段をさらに備え、前記対応手段と前記携帯端末との間で前記設備機器に関する情報を共有することを特徴とする。
【0017】
ここで、前記格納手段としては、前記対応手段としての端末に内蔵の記憶装置あるいは外部記憶装置であってよく、また、インターネット回線、Web回線を介して設けられた記憶装置、記憶設備でよい。また、クラウド設備と称されるものであってもよい。
【0018】
また、本発明は、前記格納手段は前記会議システムに接続されていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、設備機器として、例えば、コンベヤ、台車などの搬送装置、ピッキング装置、ソータなどの仕分け装置、自動倉庫などの保管装置等、また、製造設備や建物設備などに適用できる。また、設備機器に対するサービス(役務ともいう)として、点検サービス、保守サービス、修理サービス、改造サービス等、各種サービス(各種役務)を実施する際に、その実施を遠隔にて支援できる。また、当該設備機器の内容把握のための教育や点検・保守等のサービスを行うための教育(例えば導入教育)等、教育サービスを支援することもできる。また、サービスを実施する際の支援として会議システムを介在することで、複数の端末間で情報共有や支援サポートを容易とできる。また、現場の作業者の負担軽減とともに、異常障害等にも適切な対応をとることができる。
【0020】
また、本発明は、設備機器と、前記設備機器側に配置され、前記設備機器に関する情報を送信および/または受信する携帯端末と、前記設備機器に対するサービスの実施を遠隔支援する対応手段を備え、前記携帯端末と前記対応手段と間で前記情報を共有し、前記サービスの実施を支援することを特徴とする遠隔支援システムを提供するものである。
【0021】
また、本発明は、前記サービスは前記設備機器の設置、運用、点検、修理および/または改造、若しくはそれら点検、修理、改造等に関する教育を含み、前記携帯端末から送信された前記設備機器に関する画像情報を前記対応手段が受け、前記対応手段は前記設備機器に関するドキュメント等に基づく情報を前記携帯端末へ送信することを特徴とする。
【0022】
また、前記携帯端末には、前記サービスの実施対象となる前記設備機器の画像情報を含む情報を前記対応手段へ通知する通知手段と、画像表示機能を有し前記サービスの実施対象となる該当部分へ誘導する誘導手段を備え、前記対応手段には、前記設備機器の情報に基づき前記サービス対応の誘導あるいは指示を行う指示手段を備え、前記携帯端末と前記対応手段との間で画像情報を共有し、前記サービスの実施を支援する。
【0023】
また、本発明は、前記設備機器に異常検出手段をさらに設け、前記異常検出手段により前記設備機器の異常を検知した際に、前記携帯端末より前記対応手段が前記設備機器の異常場所に画像にて誘導することを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、前記携帯端末は、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット、ウェアラブル端末およびハンドヘルド式パーソナルコンピュータのいずれか一つまたはそれらの組合わせであることを特徴とする。
【0025】
また、本発明は、前記対応手段は、一つ至複数の端末からなり、会議システムを介在させて前記携帯端末と前記設備機器の情報を共有するとともに、前記設備機器側における前記携帯端末より送信を受けた情報を共有し前記サービスに応じた実施を支援することを特徴とする。
【0026】
また、本発明は、前記設備機器に関する情報を格納する格納手段をさらに備え、前記対応手段と前記携帯端末との間で前記設備機器に関する情報を共有することを特徴とする。
【0027】
また、本発明は、前記格納手段は前記会議システムに接続されていることを特徴とする。
【0028】
また、本発明は、前記対応手段は前記携帯端末から受信した画像情報に支援指示する情報を重ね合わせて支援指示することを特徴とする。
【0029】
また、本発明は、前記対応手段に、さらに時間管理手段を設け、前記時間管理手段は前記設備機器側における前記携帯端末からの最初に受けた通知時間を第1の時間として記録し、所定の前記サービスの完了通知を受けた時間を第2の時間として記録し、前記第1の時間と前記第2の時間により前記サービスの実施時間として管理することを特徴とする。
【0030】
本発明によれば、設備機器として、例えば、コンベヤ、台車などの搬送装置、ピッキング装置、ソータなどの仕分け装置、自動倉庫などの保管装置等、また、製造設備や建物設備などに適用できる。また、設備機器に対するサービス(役務ともいう)として、点検サービス、保守サービス、修理サービス、改造サービス等、各種サービス(各種役務)を実施する際に、その実施を遠隔にて支援できる。また、当該設備機器の内容把握のための教育や点検・保守等のサービスを行うための教育(例えば導入教育)等、教育サービスを支援することもできる。また、サービスを実施する際の支援として会議システムを介在することで、複数の端末間で情報共有や支援サポートを容易とできる。また、本発明によれば、設備機器における異常等に対するメンテナンス対応に遠隔支援を受けて映像(画像)情報にて案内でき、現場の作業者の負担軽減とともに、その異常障害に適切な対応をとることができる。さらに、支援端末を複数から構成できるので、各種サービスの実施の支援対応がしやすくなる。
【0031】
また、本発明によれば、設備機器における異常等に対するメンテナンス対応に遠隔支援を受けて映像(画像)情報にて案内でき、現場の作業者の負担軽減とともに、その異常障害に適切な対応をとることができ、さらに、支援端末を複数から構成できるので、異常障害等に対応しやすくなる。また、支援端末、現場端末間でも情報を共有でき、現場状況を現場に居なくても支援できるので、遠隔地であっても適切対応可能となる。さらに、メンテナンス作業の時間管理を容易とでき、また、客観性を持たせることもできる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、設備機器における異常等に対するメンテナンス対応に遠隔支援を受けて映像(画像)情報にて案内でき、現場の作業者の負担軽減とともに、その異常障害に適切な対応をとることができる。また、本発明によれば、現場作業における携帯端末と現場から離れた位置における情報端末間で、画像情報を含む情報を共有化できるので、設備機器の異常等を含めメンテナンス作業に伴う現場作業者の負担を軽減するとともに、メンテナンス対象への修理・改善を遠隔にて指示可能とできる。また、メンテナンス対象の機器の画像を基に現場の作業者と対話型で適切な指示・対応を促すことができる。また、テレビ会議等を介して参加する端末と作業現場とで画像情報を含め情報を共有することができ、異常発生等に対し迅速に問題解決に当たることができる。
【0033】
また、本発明によれば、支援する情報端末を複数から構成できるので、各種サービスの実施の支援対応がしやすくなる。また、本発明によれば、設備機器として、例えば、コンベヤ、台車などの搬送装置、ピッキング装置、ソータなどの仕分け装置、自動倉庫などの保管装置等の物流施設の他、製造設備や建物設備などに適用できる。また、本発明によれば、例えば点検箇所や異常発生の現場への作業者への誘導案内を遠隔にて支援することや、異常箇所への誘導や修理・改造等の実施に当たり遠隔にて適切な指示・対応を可能とでき、保守等の作業に迅速に対応できる。また、点検や修理等を含め設備機器に対する教育支援も適切にでき、当該設備機器の内容把握のための教育や点検・保守等のサービスを行うための教育(例えば導入教育)等、教育サービスを支援することもできる。また、サービスを実施する際の支援として会議システムを介在することで、複数の端末間で情報共有や支援サポートを容易とできる。さらには、異常発生対応を含めメンテナンス作業における作業時間の把握管理も容易となり、時間管理に客観性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムに適用するネットワーク構成の一例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムの遠隔保守の対象となる設備機器の一例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムに適用するネットワークに設けられるサーバの構成例図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムに適用する指示端末の例としてパーソナルコンピュータ端末(パソコン端末)の構成例図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムに適用するメンテナンスの担当者が携帯するウェアラブル端末の構成例図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るウェアラブル端末の画面の例を示す図であり、
図6(a)は遠隔保守の対象となる設備機器への案内の画面を示し、
図6(b)は当該設備機器の保守対象物の画面を示し、
図6(c)は当該設備機器の保守対象箇所の画面を示す図である。
【
図7a】本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムに適用する端末の画面例を示し、パソコン端末の保守指示の画面例を示す図である。
【
図7b】本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムに適用する端末の画面例を示し、ウェアラブル端末の保守対処の該当部分の画面例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムに適用するメンテナンス情報等の格納先を示すテーブル構成例を示す図である。
【
図9a】本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムの制御処理フロー図であり、現場からの受信に関する指示端末の制御処理フロー図である。
【
図9b】本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムの制御処理フロー図であり、現場への指示送信に関する指示端末の制御処理フロー図である。
【
図9c】本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムの制御処理フロー図であり、参加を許可する指示端末の制御処理フロー図である。
【
図9d】本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムの制御処理フロー図であり、参加する端末の制御処理フロー図である。
【
図9e】本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムの制御処理フロー図であり、参加者端末への情報配信に関する指示端末の制御処理フロー図である。
【
図9f】本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムの制御処理フロー図であり、指示端末から現場への指示を出す制御処理フロー図である。
【
図9g】本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムの制御処理フロー図であり、現場の端末から指示端末へ情報送信する制御処理フロー図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る各端末間のシーケンス図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る課金情報に関するテーブル構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムに適用するネットワーク構成の一例を示す図であり、
図2は、遠隔支援システムの遠隔支援の対象となる設備機器の一例を示す図である。なお、本発明に係る遠隔支援の対象となる設備機器として、物流施設の搬送装置としてコンベヤラインを示しているが、コンベヤラインに限定されるものではなく、コンベヤ、台車などの搬送装置、ピッキング装置、ソータなどの仕分け装置、自動倉庫などの保管装置等、また、製造設備や建物設備やその他の設備機器に適用できる。
【0037】
また、本発明は、設備機器の点検サービス、保守サービス、修理サービス、改造サービス等、各種サービス(各種役務)を実施する際に、その実施を遠隔にて支援するものである。また、これらサービスに限らず、当該設備機器の内容把握のための教育や点検・保守等のサービスを行うための教育(例えば導入教育)等、教育サービスを支援することにある。また、設備機器等の設置時に、配置等を説明したり、また、ピッキングシステムの運用開始時に作業者向けの説明であってもよく、設置や運用のサービス(役務)の支援であってもよい。例えば、ヘッドマウントディスプレイHMD等を利用し映像(画像)を利用して支援し作業内容の理解・把握を促すことができる。
【0038】
以下に説明する本発明の実施形態では、保守(メンテナンス)の例として、異常発生時の対応作業をサービス(役務)例に説明するが、メンテナンス作業にも、異常対応の作業、定期点検サービスの作業等を含み、実施形態に限定されるべきではない。
【0039】
図1において、A1、A2、A3は、それぞれ各場所に配置されるネットワークで、ローカルネットワークLANであってもイントラネットワークと称されるものであってもよい。Iは公衆網を示し、インターネット網であってよい。また、各ネットワークA1、A2、A3、Iは必ずしも分割、分散されてなる必要はなく、一つの網を構成したものであってもよい。
【0040】
図中のネットワークA1には、各サービス(役務)の実施を遠隔支援する対応手段として一つ乃至複数の端末としてパーソナルコンピュータ端末(以下、パソコン端末)1、2、携帯端末3等が接続されている。また、遠隔支援に当たり、複数の端末で現場保守の情報を共有するためにテレビ会議を可能とするWebサーバ4を備えている。また、ネットワークA1とネットワークI間に接続インタフェース5を備えている。
【0041】
また、ネットワークA2には、パソコン端末6、ネットワークA3にはパソコン端末7が、それぞれ接続されている例を示している。
【0042】
ここで、パソコン端末1、2、6、7等は、後述の各所に配置されたセンターにおける情報端末として例示している。
【0043】
また、ネットワークIには、遠隔支援の対象となる設備機器を制御管理する管理装置8が接続されている。この管理装置8とインターネットI間にイントラネット等のネットワークが介在されていてもよい。また、この管理装置8とインターネットIとの間の接続インタフェースは図示していないが、管理装置8内に持たせてもよく、別装置として介在接続させるものであってもよい。
【0044】
なお、
図1に示す各ネットワークと各端末の接続は、有線の通信回線で接続されたものであって
も、また、無線による通信回線で接続されたものであってもよい。
【0045】
図2においては、設備機器の例として、物流システムを示し、管理装置8は、制御管理の対象として物流システムの搬送ライン81に接続されている。搬送ライン81は、例えば、ローラコンベヤやベルトコンベヤをから成りループ状に構成し、各要所に作業台等を配置すると共に物品を供給する入力ライン82、物品を排出する出力ライン83等を備えている。また、搬送ラインの異常検知、駆動モータ等の異常検知
をするため、各所にセンサーあるいは計数回路SI、S2、S3、S4、S5、S6を備えている。これらセンサー等には、異常な振動等を検知する加速度センサーや、回転数計数により異常回転を検知する検知回路や、稼働時間を計数することでシステムのオーバーワーク検出等を検出しアラームをあげる回路等がある。
【0046】
これらのセンサーあるいは計数回路SI、S2、S3、S4、S5、S6等からの異常等の検知、検出情報は、管理装置8に通知される。管理装置8は、この異常等の検知、検出情報を受けて、アラーム情報を、例えば、所定のセンターにあるサーバ4へ、ネットワークI、接続インタフェース5、ネットワークA1を介して通知する。このアラーム情報は、サーバ4から指定の端末、例えば、パソコン端末1(以下、指示端末として説明する場合もある)に通知される。あるいは、アラーム情報をパソコン端末1がルックイン形式にて監視し、受信することでもよい。
【0047】
また、これらセンサーあるいは計数回路SI、S2、S3、S4、S5、S6等が検知、検出した異常等に作業員が対処するために携帯端末を所有する。この携帯端末は、各サービス(役務)を実施する際に、先の対応手段としての指示端末と通信をしながら支援を受け役務を実施する。この携帯端末の例として、視覚的に認識し対処するためウェアラブル端末としてヘッドマウントディスプレイ端末HM1を備えている。なお、携帯端末としては、ウェアラブル端末の他、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット、ハンドヘルド式パーソナルコンピュータ等を使用できまた、それらのいずれか一つまたはそれらを組合わせて使用してもよい。
【0048】
異常対応の作業者はアラーム検知した場所に赴き対処することになるが、このヘッドマウントディスプレイ端末HM1(HM2)を用いることで、これらシステム異常や異常にともなうアラーム情報に対応する処置を容易とする。このことは後述する。
【0049】
なお、このヘッドマウントディスプレイ端末HM1は、異常対応の専用端末として設けるものでも、あるいは、物流システムのラインにおいて物品のピッキング作業(選択作業)や、製造ラインでの部品組立に使用されるものを利用してもよい。例えば、通常時は、ピッキング作業用として管理装置8からライン情報、製品情報を受信して業務に携わり、一方、異常発生時や保守点検時等においては、管理装置8からの異常情報等を受け、異常対応等の専用端末として扱われることであってもよい。
【0050】
また、図示例では、ヘッドマウントディスプレイ端末HM1の他にもう1台のヘッドマウントディスプレイ端末HM2を例示している。作業者が二人の場合、各作業者が装着してもよい。また、それ以上の複数の作業者によりシステム異常等に対応する場合は、さらに複数台設け、各作業者が夫々携行することでよい。なお、携帯端末としては、上記のヘッドマウントディスプレイ端末の他、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット、ハンドヘルド式パーソナルコンピュータ等であってよく、また、それらの組合わせた端末やその他のウェアラブル端末であってもよく以下に説明する機能を備えたものであればよい。
【0051】
図3は、本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムに適用するネットワークに設けられるサーバの構成例図である。
【0052】
図において、外部ネットワークとパソコン1等と接続処理や管理をするサーバ4は、処理部(CPU)11、データのやり取りや処理するためのメインメモリ(MM)12、プログラム等を格納したロムメモリ(ROM)13等からなり、制御データを含め各種データ類を格納する外部メモリ(DK)15がインタフェース14を介して接続され、また、ネットワーク接続のためのインタフェース(IF)16、プリンタ等、外部装置との接続用インタフェース(IO-IF)17を備えている。
【0053】
本発明では、このサーバ4をWeb会議用サーバとして利用しネットワーク間での各パソコン端末間の会議データを含め、参加端末間のやり取りや、データ保存蓄積用として以下説明するが、一般サーバとWeb会議用サーバを独立して設けてあってよく、また、Web会議用サーバとしてクラウド型会議システム用として独立して設けてあってもよい。
【0054】
図4は、本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムに適用する指示端末の例として
のパソコン端末の構成例図である。なお、先に説明した
図1におけるネットワークに夫々接続された各センターに設けられた代表端末としてパソコン端末2,6,7も同様に構成される。
【0055】
図4において、パソコン端末は、処理部(CPU)21、データのやり取りや処理するためのメモリ(MM)22、プログラム等を格納したロムメモリ(ROM)23、各種プログラム、データ類を格納する内部ディスクメモリ(HD)24の他、入出力インタフェース(IO-IF)25を介してキーボード(Key)251、ディスプレイ(Disp)252、マイク253、スピーカ254、カメラ255等の入出力機器が接続されている。また、ネットワークを介して他端末との通信等
を行うための接続インタフェース(R-IF)26を備えている。この接続インタフェース(R-IF)26は、無線インタフェースを例示しているが、有線回線に接続するものであってもよい。
【0056】
なお、
図1に示す携帯端末3もメンテナンスの支援に参加可能であり、例えば、タブレット端末や、スマートフォン端末であってもよい。この場合には、
図4に示す構成からキーボード251に代えて、画面からの操作入力であってもかまわない。また、携帯端末特有の構成としては、通常、GPS機能を有しているものが多く、GPS機能により位置によっては、身近にある最短のネットワークに接続可能となる。
【0057】
図5は、本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムに適用する保守、メンテナンスの作業者が携帯するウェアラブル端末8の構成例図である。
【0058】
図において、ウェアラブル端末8の例としてヘッドマウントディスプレイ端末としては、処理部(CPU)31、データのやり取りや処理するためのメモリ(MM)32、プログラム等を格納したロムメモリ(ROM)33の他、入出力インタフェース(IO-IF)34を介してディスプレイ351、画面切替えや映像情報の送受信等の操作スイッチ(SW)352、視野内を動画あるいは静止画の画像データとして送信可能なカメラ機能353等のヘッド装着装置あるいはメガネ型装置35と、入出力インタフェース(IO-IF)36を介して音声による通信可能なマイク371とスピーカ372内内蔵のヘッドセット装置37を備えてなる。
【0059】
なお、ヘッド装着装置あるいはメガネ型装置35とヘッドセット装置37とが一体型であってもよいし、ヘッド装着装置あるいはメガネ型装置35だけのものであってもよい。また、保守、メンテナンスの作業者が遠隔で支援を受けることができる端末としては、ウェアラブル端末に限られず、後で説明するように、メッセージ等を画像内に表示可能で相互通信できる端末でもよく、例えば、小型のノート型パソコンや、タブレット、スマートフォンなどでもよい。
【0060】
図6は、本発明の一実施形態に係るウェアラブル端末の画面の例を示す図であり、
図6(a)は遠隔保守の対象となる設備機器への案内の画面を示し、
図6(b)は当該設備機器の保守対象物の画面を示し、
図6(c)は当該設備機器の保守対象箇所の画面を示す。
【0061】
先に
図2にて説明したように、例えば、搬送ラインにおいて異常が発生し、センサ回路が検知し、アラーム情報として管理装置8経由にて、例えば、保守、メンテナンスの遠隔指示を行う指示端末1に情報が伝達され、あるいは、搬送ラインにてピッキング作業等を行っている担当者からのコールによってもよいが、保守、メンテナンスの作業者が、異常現場へ向かうとき、ウェアラブル端末を装着し、その画像情報に基づき現場へ誘導(案内)される。
図6(a)は、その現場における搬送ライン811とその搬送ライン811にそって歩行可能なライン812(通例は、工場内の担当者等が行き来する歩道をしめす)が表示されるので異常現場へ容易に到達することができる。
【0062】
図6(b)に示すように、さらに異常現場へ近付くにつれて、センターの指示端末(パソコン端末1)により入力指示された情報に従い、例えば、ライン821の近辺の異常箇所を通知する部分823,824等を点滅表示あるいは色を変えた色彩表示等により、該当箇所がわかる。これらの表示技術としては、オーグメンテッド・リアリティ(AR)技術(拡張現実技術とも言われる)として確立された技術を適用することができる。
【0063】
センターの指示端末1からの通知、あるいは現場の作業者により異常箇所が特定されると、センターの指示端末1から異常箇所に対し、指示表示あるいは音声による異常対応を指示する。
【0064】
図6(c)では、特定されたライン831に対しその下部のローラコンベヤ832のトラブル箇所833を、矢線834で示した例である。この矢線834は、センター側の指示端末1にて操作された映像が、ウェアラブル端末の画面に同期して表示される。
【0065】
センター側における保守、メンテナンスの支援者による指示端末1からの具体的な作業指示は、指示端末1の画面上とウェアラブル端末の画面上に同じ画像として処理されたものが表示できるので、センター側と現場作業者とが場所的に離れていても異常対応に共有化可能となる。異常箇所の表示と対応手順等は、
図7にて説明されるが、バーチャルリアリティ技術VR(仮想現実化の技術)を利用することができる。
【0066】
図7a及び
図7bは、本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムに適用する端末の画面例を示し、特に、
図7aは指示端末(パソコン端末)による保守指示の画面例であり、
図7bは異常現場の作業者が使用するウェアラブル端末の保守対処の該当部分を示す画面例である。
【0067】
図7aにおいて、指示端末Iの画面71には、ツールバー711とともにテキスト文書の表示画面712と、異常対応で複数の支援者が会議システムを利用して参加している参加表示画面713と、異常対応のための設備等の取扱説明書、マニュアル等を表示している画面715、保守現場の作業者のウェアラブル端末からの現場撮像画面714などがマルチウインドウにて表示されているものを示している。
【0068】
ここで複数の支援者として、4人が支援のためテレビ会議に参加していることを示し、例えば、他のセンター等に配置されたパソコン端末(PC2)、パソコン端末(PC3)、パソコン端末(PC4)、パソコン端末(PC5)等の参加画面とともに、異常対応での解決策等の会議を可能としている。また、他のパソコン端末への配信画像は省略しているが、現場の画像714や、マニュアル等の画面715を共有化することもできる。
【0069】
一方、異常現場での作業者のウェアラブル端末における画像としては、
図7bに示すように、例えば、ローラコンベヤのローラ駆動部分に不具合が生じた場合、画面72に現場映像としてともにローラコンベヤ831のローラ8311
とローラ8312間の接続部分が表示されている。
【0070】
ここで、
図7aにて、例えば、センター側で部品交換の指示を指示端末1にて矢線716を矢線716‘として示すことで、あるいは、文字化して指示することで、
図7bの現場画像として仮想の矢線721を画面に重畳して映像化し、あるいは、「はずす」等文字化して表示する。また、現場作業者へ画面上にメッセージ722,723として表示させてもよい。
【0071】
このように、センターからの指示を映像情報として、現場映像と共に現実世界のように表現可能となるので、現場の作業者にとっては、例えば、設備機器等に精通していなくても異常等に対処可能となる。異常対応として、設備の設定し直しや、初期化、部品交換等、種々の作業を現実の映像に合せて仮想の映像を重ね合せることができる。
【0072】
また、現場でマニュアル等を見なくても、必要に応じてマニュアルの該当部分をセンターの指示端末1から送信することで、ウェアラブル端末に画像として表示することもでき、迅速な対応を可能としている。
【0073】
また、図示例に限らず、既存のVR技術を利用することもでき、また、ウェアラブル端末として、立体化する立体メガネを使用する等、拡張も可能である。
【0074】
また、設備機器等の保守、メンテナンスは、各工場や、各倉庫、各ビル等、種々の場所や設備の種類により、その対応も異なる。従って、各種設備の保守、メンテナンス情報も多種類となり、それぞれの取扱説明書やマニュアルの保管管理も必要となる。
【0075】
図8は、本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムに適用するメンテナンス情報等の格納先を示すドキュメント管理テーブル構成例を示す図である。
【0076】
図8に示すように、ドキュメント管理テーブル41は、ID411とドキュメント名412、各ドキュメントの格納先のアドレス413等からなり、種々、複数の取扱説明書、マニュアル等のドキュメントが、電子的に保管管理される。これらテーブル41、ドキュメント等は、各センターの端末からアクセスできるように、例えば、
図1に示すサーバ4のディスク等に格納される。
【0077】
従って、各センターに配置される、パソコン端末1,2,6,7等、携帯端末3等から保守、メンテナンスの必要に応じてアクセス可能となり、異常発生に対する対処時に、支援のための会議に参加の各端末間での情報共有も容易となる。
【0078】
次に、本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムのセンター側の制御処理フローと現場における異常等に対する処理に係わる制御処理フローについて
図9により説明する。
【0079】
図9(a)は現場からの情報受信に関する指示端末の制御処理フロー図、
図9(b)は現場への指示送信に関する指示端末の制御処理フロー図、
図9(c)は異常等の発生に伴い、テレビ会議を介して支援参加する端末へ許可する指示端末の制御処理フロー図、
図9(d)は会議参加する端末の制御処理フロー図、
図9(e)は会議参加端末への情報配信に関する指示端末の制御処理フロー図、
図9(f)は指示端末から現場への指示を出す制御処理フロー図、
図9(g)は現場の端末から指示端末へ情報送信等する制御処理フロー図である。
【0080】
先の
図1、
図2の遠隔支援システムの構成において説明したように、物流システム等のラインに異常等が発生すると、センサー回路等でそれを検知し、現場において警報等通知したり、アラーム情報として管理装置8に伝達される。
【0081】
併せて、保守、メンテナンスを担当するセンター等に管理装置8を介して、あるいは電話連絡等により異常等の情報がセンターに通知されることになる。保守、メンテナンスの作業者が派遣される等、あるいは、現場における作業者が、異常等への対応を行うことになる。
【0082】
本発明では、センター等の端末から異常等に対応する作業者へウェアラブル端末により適切な対応作業の指示を行うことになる。
【0083】
センターに異常等の通知があると、現場への指示を出す端末(以下、指示端末1)では、
図9(a)に示すように、指示端末1のアクセス検出処理をし(ステップS11)、アクセスがあると(ステップS12)、現場作業者のウェアラブル端末から現場の異常等の対象システム、対象ライン等の画像情報を受信する。また、画像情報と共に会話等によりその現場の状況報告を受けてもよい。
【0084】
図9(b)に図示するように、指示端末1では、対象システム、対象となるライン等の情報を確認するための操作入力により、データベースにアクセスし(ステップS21)、
図8に図示したようなデータベース内の
ドキュメントテーブル等を表示し(ステップS22)、現場のシステム、ライン情報に該当するドキュメントの指示入力を検出し(ステップS23)、指示端末1の画面等に該当するドキュメント表示の処理をする。また、必要なドキュメントを繰り返し指示入力されるとステップS23,S21,S22を繰り返す。所定の
ドキュメントを表示し、現場端末への送信指示等の入力があると現場へ指示送信する(ステップS24)。現場の映像等が画面に表示された状態で(例えば、
図7(a)に示すように)、文字や記号、描画操作等の入力があると、それらの情報もオンラインで送信されることになる。
【0085】
次に、指示端末1と他の端末とテレビ会議として画面やドキュメントを共有し、現場の異常等の状況把握を共有可能とする制御処理について
図9(c)、
図9(d)を用いて以下説明する。
【0086】
図9(c)において、指示端末1にて会議参加を許容する指示入力(所定のアイコン入力やコマンド入力等による)があると、会議参加のためのIDを付与する処理をする(ステップS31)。このID付与処理としては、参加端末へ特定のフォルダにアクセス可能な権限を与えることを意味する。この権限はアカウントによる制御であってよい。
【0087】
従って、会議参加の端末にて、
図9(d)のステップS41にてIDの入力
を検出し、所定のIDであると判断すると(ステップS41)、指定されたフォルダへのアクセスを許容し(ステップS43)、当該端末に所望とする情報を入手し表示する(ステップS44)。
【0088】
一方、指定端末1においては、ID付与後に、
図9(c)のステップS32において会議参加の端末の検出処理をする。複数の端末からのアクセスがあると、順次テレビ会議への参加処理として繰り返す(ステップS32、ステップS33)。続いて、会議参加者の端末情報等を受信するとともに、指定端末から当該参加端末へ、指定端末の情報を配信し、相互に会議参加の端末情報を含め、各情報を共有する。
【0089】
かかる状態において、現場からの異常に対処する画像情報等を入手すると、
図9(e)に示すように、指定端末1から、会議参加の端末を確認し(ステップS51)、現場の画像情報等を配信し(ステップS52),オンラインにて情報を共有できる。実時間上では、これらの処理制御が同時並行して進むことになる。
【0090】
現場の異常等の対処とセンター側の指示端末1の制御処理との関係について、
図9(f)と
図9(g)により以下説明する。
【0091】
図9(g)において、現場での作業員の操作の下、ウェアラブル端末からセンターへの発信等アクセスを検出する処理から始まり(ステップS71)、発信を確認し(ステップS72)、センターとの接続処理をする(ステップS73)。ウェアラブル端末とセンターの指示端末1が、設備側の管理装置8、ネットワークI、ネットワークA1、サーバ4を介して接続されると、ウェアラブル端末から指示端末1へ、現場画像情報等の送信処理を行い(ステップS74)、指示端末1からの画像情報等、指示内容等の情報の受信処理を行う(ステップS75)。
【0092】
続いて、ウェアラブル端末から指示端末1へ現場での異常等に対処する操作等が画像情報や音声情報として送信処理される(ステップS76)。これらの端末間の送受信処理(ステップS75、ステップS76)は、実時間上でオンラインで進められることになる。異常等に対処完了をもって作業者がウェアラブル端末にて作業完了処理、例えばドキュメント送信処理や、あるいは、ケースによっては、電源OFF、スイッチOFF等により作業完了の情報として指示端末1へ通知される(ステップS77)。また、この異常等への対処にかかる作業時間の把握を容易とし、例えば、
図9(g)における、センターへのアクセス処理(ステップS71)から対処の完了処理(ステップS77)の間を作業時間として自動記録でき、また課金情報として自動処理として対応することも可能となる。この課金処理については後述する。
【0093】
この間のセンター側の指示端末の制御処理は、
図9(f)にて、ウェアラブル端末からの受信検出によりウェアラブル端末側の端末情報を受信し(ステップS61,ステップS62)、ウェアラブル端末からの映像情報や音声情報等を指示端末1により受信することにより、センター側の作業者は順次行うべき作業の指示を指示端末1により指示することになる。
【0094】
指示端末1へのアイコンクリックやコマンド入力により、例えば、現場映像に対するコメント挿入処理(ステップS64)や、画像情報の選択や加工処理(ステップS65)や、マニュアル表示処理(ステップS65)などの操作入力を受け付け(ステップS63)、指示端末1の画面上での編集処理を受け付け(ステップS67)、指示内容として送信処理する(ステップS68)。
【0095】
斯うして、
図6、
図7におけるウェアラブル端末および指示端末間における会話型を含め、異常等に対処する。従って、現場作業者とセンター側の操作指示者と、また、会議参加者を含め、現場に居るかのように一体となって異常等に対処できる。本発明によれば、現場作業者は、必ずしも熟練を必要とせず、容易に対処できる。また、本発明を使用することで、初心者等に対しても、異常等への対処や、保守、メンテナンスの作業訓練や教育実習を兼ねることもできる。
【0096】
図10は、本発明の一実施形態に係る遠隔支援システムにおける各端末間のシーケンス図である。基本的には、現場の端末HM1とセンター側の指示端末1との画像のやり取りや、指示情報のやり取り等により、現場での異常等に対処するもので、遠隔支援が行われる。
【0097】
図10において、左側から現場端末としてのウェアラブル端末HM1,現場機器の管理装置(CONT)8、ネットワーク側に設置されるサーバ(Web)4、センター側の指示端末(PC1)1、その他のセンター等に設置された端末(PC2・・・PCi)を代表ポイントとしている。これら端末等は、
図1、
図2のシステム構成図にて説明したものに対応している。また、
図10における各縦軸は、これら端末等の時間軸を示し、これらの時間軸間の線は、通信情報や制御情報等の信号線、通信線等を示す。なお、この通信線は、物理的な有線であっても無線であってもよい。
【0098】
まず、現場機器の異常等のアラームを検知した管理装置8からネットワークを介してサーバ4、指示端末1へ、異常等の通知が伝達される(SS1、SS2)。指示端末1からネットワークを介してサーバ4、管理装置8へ応答信号が伝達される(SS3、SS4)。現場にてウェアラブル端末HM1が装着され起動すると管理装置8へ発信し(SS5)、管理装置8からウェアラブル端末HM1に応答信号が送られる(SS6)。
【0099】
次いで、ウェアラブル端末HM1から、センター側の指示端末1へ管理装置8、サーバ4を介して異常現場の初期映像をデータとして送信する(SS7、SS8、SS9)。
【0100】
指示端末1からはウェアラブル端末HM1にサーバ4、管理装置8を介して、異常等に対する案内や指示の開始が伝達される(SS10、SS11、SS12)。
【0101】
また、指示端末1から異常等に対処するテレビ会議の開設と参加のためのID情報等を各端末へサーバ4、ネットワークを介して送信する(SS13、SS14)。
【0102】
各端末からは、サーバ4、ネットワークを介して指示端末1に通信可能となるとともに、サーバ4に格納されたデータにアクセス可能となる(SS15、SS16)。
【0103】
指示端末1とウェアラブル端末HM1との間で、ネットワーク、サーバ4、管理装置8を介して、指示端末1からの異常等に対する指示画像や、コメント、データ等の送信(SS17、SS18、SS19)と、ウェアラブル端末HM1から指示端末1へ、管理装置8、サーバ4を介して、異常現場の画像情報等が送信される(SS20、SS21、SS22)。これらのやり取りをSA1として示すが、繰り返し行われることになる。画像情報は動画像を含め実時間として固定回線で接続されたものと同等である。
【0104】
次に、
図3(c)、
図4(b)に示したように、指示端末1からウェアラブル端末HM1に、具体的な異常箇所の特定と部品交換等の指示や異常等に対する対応の仕方を仮想映像VRを含め進行し、その遣り取りとして、指示端末1とウェアラブル端末HM1の間でサーバ4、管理装置8等を介して接続される(SS23、SS24、SS25、SS26、SS27、SS28)。これらの繰り返しのやり取りをSA2として示す。
【0105】
一方、他のセンターの端末が、サーバ4のフォルダにIDによりアクセスし情報を取得したり(SS29、SS30)、指示端末1からの画像情報を含む異常等の対応状況のやり取り(SS31、SS32)や、他の端末から指示端末1への画像情報や異常等の対策対応したコメント等のやり取り(SS33、SS34)が行われる。これらの通信も、SA3、SA4、SA5で示すように、必要に応じて繰り返されることになる。なお、
図10に図示の信号線等は代表例を示すもので、例えば端末間での通信回線が確立すると双方向通信によることでよい。また、図示していないが、接続に当たり必要なプロトコルにより通信等が行われる。また、図示した端末等に限定されるものではなく、また、センター等は一例であり、必ずしもセンターと称するものでなくてもよく、同一の建屋の中に配置されるものであってもよい。
【0106】
また、
図1、
図2に示すシステム構成図と、
図10に示すシーケンス図の関係においても、この実施例に限定されるものではなく、サーバが機能単位で複数あってもよく、また、ネットワーク間でのテレビ会議、Web会議等に限定されるものではなく、クラウド型Web会議システムを用いて、端末間の情報のやり取りや、情報の共有化をしてもよい。また、データベースとして、サーバ
から独立したディスク装置であってもよく、また、クラウド型データベースとしてもよい。
【0107】
図11は、本発明の一実施形態に係る課金情報に関するテーブル構成例を示す図である。本発明では、設備機器等を設置した現場での異常等へ対応と、センター等の現場から離れた位置において異常等の現場での作業者への対応指示といった遠隔支援を前提としているもので、異常等の現場での作業の時間管理も重要な要素となる。現場作業の時間把握を容易とし、作業時間に対する課金処理においても客観性が望まれる。
【0108】
図11(a)は、かかる作業時間の自動管理を可能にするもので、
図11(b)は、作業時間にリンクした対象の設備機器に関する契約や課金情報データを示す。
【0109】
図11(a)において、時間管理データK1は、保守、メンテナンス対象の設備機器が設置された場所のID情報K11、作業開始時間(S)K12、作業終了時間(E)K13、対象の設備機器に関する契約や課金情報データのリンクアドレス(Add)K14等から構成される。これらの時間管理データは、現場の作業者の担当する設備機器に対応付けてあってもよく、また、携行するウェアラブル端末に対応付けられていてもよい。
【0110】
図11(b)の対象の設備機器に関する契約や課金情報データK2は、対象の設備機器が設置された場所のID情報K21に対応付けた時間当たりの単価K22、技術料K23等から構成される。
【0111】
先の
図9(g)の現場の作業者が携行する端末の制御処理フロー図において説明したように、作業開始にあたり、端末からセンターへアクセスした時間を作業開始時間とし、異常等に対する対処完了の通知の時間をもって作業終了時間とし、例えばセンターのサーバ内データとして自動記録することで、容易に時間把握ができ、また、客観性をもたせることもできる。
【0112】
なお、作業者の携行する端末からセンターへのアクセス、完了報告をもって作業開始時間、作業終了時間として自動記録する実施例を示したが、この時間設定に限らず、携行する端末におけるキー操作や、アイコン表示させてそのアイコンをクリックすることで時間設定とする等、種々変形することもできる。
【0113】
以上説明した本発明の一実施形態として、現場携帯の端末としてウェアラブル端末を例示したが、現場の状況等を画像化して送受信可能な端末でよく、例えば、ノート型のパソコン、タブレット型端末、携帯端末、スマートフォン等を使用できる。また、ウェアラブル端末としてヘッドマウントディスプレイ型端末を例にあげたが、これに限られるものではない。また、現場と指示端末側との双方向でやり取りする画像として、動画像や静止画像を含め、また、オンラインでの撮像画像を含むものである。
【0114】
また、上記の遠隔支援の実施形態として、現場端末とセンター側の指示端末とのやりとりで説明したが、センターという用語に限定されるものではなく、相互に離れた場所にて双方向通信可能な関係であればよい。
【0115】
また、指示端末とその他の参加端末の関係において、必ずしも参加端末を必須とするものではなく、また、指示端末を特定の端末と限定解釈すべきではなく、参加端末側からの保守、メンテナンス指示や対案を提示することであってもよい。
【0116】
また、指示端末と参加端末と現場端末とは情報共有でき、指示端末に限らず参加端末と現場端末間での指示会話や指示画像のやり取りがあってもよい。
【0117】
以上説明した各実施形態は、本発明の理解のために例示されたものであり、本発明は、これら実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって定義される。また、本発明の技術思想から離れるものでない限り、特許請求の範囲に記載の構成と均等であるものも本発明の保護の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明によれば、設備機器に対するメンテナンス作業等の各種サービス(役務)や現場への作業者への案内サービス(役務)などの実施を遠隔にて支援するとともに、異常箇所への誘導案内や修理・改造等に適切な指示など支援を遠隔からでき、物流施設を問わず、設備機器のメンテナスに使用して経済効果大とできる。
【符号の説明】
【0119】
1、2、6、7…パソコン端末
3…携帯端末
4…サーバ
5…接続インタフェース
8…管理装置
11、21、31…処理部
12、22、32…メモリ
13、23、33…ロムメモリ
14…インタフェース
15…ディスク装置
16、17、25、26、34、36、38…インタフェース
41…ドキュメント管理テーブル
71…指示端末画面
72…ウェアラブル端末画面
81…搬送ライン
82…入力ライン
83…出力ライン
A1、A2、A3、I…ネットワーク
HM1、HM2…ウェアラブル端末