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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】ケース移載システム及びケース移載方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20221109BHJP
   B65G 57/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B65G1/137 Z
B65G57/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018008736
(22)【出願日】2018-01-23
(65)【公開番号】P2019127347
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】松丸 勉
(72)【発明者】
【氏名】星 俊臣
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-081741(JP,A)
【文献】特開2015-140223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-69/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタッキングもしくはネスティングによる段積が可能なケースを搬送させ、方向変換機構を備えるコンベヤと、
前記コンベヤの搬送方向と垂直方向に前記ケースを段積するスタッカと、
前記ケース又は段積みされたケースを押出すプッシャと、
前記ケース又は前記段積みされたケースを昇降するリフタと、
前記プッシャで押出された前記ケース又は前記段積みされたケースを収容するカゴ台車を繋止するパレットステーションと、
前記コンベヤから供給された前記ケースを前記方向変換機構によって前記コンベヤの搬送方向と垂直方向に移載し、該移載された前記ケースを前記スタッカによって段積みし、前記段積みされた前記ケースを前記リフタにより昇降させ、前記昇降された前記ケースを前記プッシャにより水平移動させるように制御する制御部と
前記ケースに収容されている物品の収容量を読み取り該収容量に係る情報を前記制御部に送信する荷高検査装置と、
前記スタッカの上流に配置され前記ケースの向きを変換する反転装置と、
を備え
前記制御部は、前記荷高検査装置から送信された前記物品の収容量に係る情報に基づき前記ケースの段積をスタッキングによるかネスティングによるかを決定し、前記スタッキングによる段積と決定された場合には前記反転装置によって前記ケースの向きを反転させたうえで前記スタッカによって段積みし、前記ネスティングによる段積と決定された場合には前記反転装置によって前記ケースの向きを反転させることなく前記スタッカによって段積みするように制御する
ことを特徴とするケース移載システム。
【請求項2】
請求項1に記載のケース移載システムであって、
前記プッシャと前記パレットステーションとの間で、前記スタッカと前記リフタとが一体化されていることを特徴とするケース移載システム。
【請求項3】
請求項1に記載のケース移載システムであって、
前記コンベヤに、前記ケースを振分けるトランスファ機構を備えていることを特徴とするケース移載システム。
【請求項4】
請求項1に記載のケース移載システムであって、
前記コンベヤに、前記ケースに収容されている物品の高さを判別するケース情報取得部を備えた荷高検査装置を備えていることを特徴とするケース移載システム。
【請求項5】
請求項1に記載のケース移載システムであって、
前記コンベヤが、上下に配設された上段コンベヤと下段コンベヤとを備え、
前記コンベヤに、前記ケースを前記上段コンベヤと前記下段コンベヤとに振分けるトランスファ機構を備え、
前記上段コンベヤ及び前記下段コンベヤのそれぞれ片側に、前記スタッカ、前記プッシャ、前記リフタ、及び、前記パレットステーションが、前記上段コンベヤ及び前記下段コンベヤに並設されていることを特徴とするケース移載システム。
【請求項6】
請求項1に記載のケース移載システムであって、
前記コンベヤが、分岐されて並列する複数のコンベヤを備え、
前記コンベヤに、前記複数のコンベヤに前記ケースを振分ける第2の方向変換機構を備え、
前記複数のコンベヤのそれぞれ片側に、前記プッシャ、前記スタッカ、前記リフタ、及び、前記パレットステーションが、前記複数のコンベヤに並設されていることを特徴とするケース移載システム。
【請求項7】
請求項1に記載のケース移載システムであって、
前記コンベヤに、
前記ケースを振分けるトランスファ機構と
記ケースを一時的に保管するケースバッファと、
前記ケースから取消すべきケースを振分けて搬出するキャンセルステーションと
を備えていることを特徴とするケース移載システム。
【請求項8】
請求項1~7のうちいずれか1項に記載のケース移載システムにおいて、
前記ケースの情報を取得する前記ケース情報取得部及び前記ケースの情報により前記ケース移載システムを駆動するケース移載システム制御部を備え、
前記ケース移載システム制御部に基づいて、所定の前記ケースが、所定の向きに載置され、前記コンベヤ、並びに、前記上段コンベヤ又は前記下段コンベヤを移動し、前記スタッカで所定の前記ケースが段積みされ、前記リフタで前記ケース又は前記段積みされたケースが所定の位置に移動し、前記プッシャで前記ケース又は前記段積みされたケースが前記カゴ台車の所定の位置に移動されることを特徴とするケース移載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品が収容されているケースを段積みし、ロールボックスパレット(以下、「カゴ台車」という。)等の搬出手段に移載するケース移載システムに関する。特に、本発明は、人が介在することなく、自動的かつ効率的にケースを仕分け、段積み、移載を行うことができるケース移載システムであると共に、占有する容積が極めて小さく、狭い空間に設置できるケース移載システム及びそのシステムを用いたケース移載方法である。
【背景技術】
【0002】
物品の保管、保管された物品の移動、仕分けされた物品の集荷及び配送等において、物品を一つずつ扱うと作業効率が低下する場合、複数の物品をコンテナやボックス等の各種容器に収容して取り扱われる。容器の形状及び構造は多種多様であるが、最も単純な例としては、図1に示すような鍔付ケースがある。これは、略直方体の場合が多く、上面の開口周辺部に、フォーク等で把持し移載可能とするためのフランジ11が形成され、底面の周辺部に、上面の開口部と嵌合して安定した段積みができる段差12が形成されているケースである。しかし、このような鍔付ケース1は、段積みする場合、収容する物品が占有する容積によらず、必ずケースの容積の空間を占有するため、収容する物品が占有する容積によって、段積みしたケースの全高を低減することができるように工夫されている変形鍔付ケース2もある。図2から明らかなように、図1同様、変形鍔付ケース2も略直方体で、フランジ21が形成されており、上面の開口周辺部には、底面の周辺部と嵌合し安定して段積みできる段差22(この段差22は、図1のように鍔付ケースの底の段差12であっても良い。)が形成されている。この変形鍔付ケース2の特徴は、これらに加え、長側面にケースの容積を損なわない程度の内側に僅かに突出した凹部23と外側に僅かに突出した凸部24が形成されていることにある。このような変形鍔付ケース2を段積みする場合、上段には収容されている物品が多いケース2-1を、下段には収容されている物品が少ないケース2-2を配置し、図3(a)のように、上下段のケースを同じ方向で段積みすることによって、上下のケースが凸部24で深く嵌合し、段積みしたケースの全高を低減することができる。この段積み状態をネスティングと呼ぶ場合がある。一方、上下段のケース2-3、2-4共に収容されている物品が多い場合には、図3(b)のように、上下段のケースを180度反対方向に段積みし、ケース2-3の底部とケース2-4の段差22とが浅く嵌合して段積みされる。この段積み状態をスタッキングと呼ぶ場合がある。
【0003】
そして、このようなケースを使用した物流は、様々な物品を対象として行われている。例えば、商品や郵便物等の物品が区域別に仕分けられたケースを、更に地域別に仕分けて段積みした後、搬出用のカゴ台車等へと移載し、それらをそのままトラック等の運搬車両に積み込んで配送する場合や、食料品や衣料品等の物品が店舗の通路別に仕分けられたケースを更に店舗別に仕分けて段積みした後、搬出用のカゴ台車へと移載し、それらのカゴ台車をそのままトラック等の運搬車両に積み込んで配送する場合等がある。
【0004】
これらの物流において、保管されている物品を取り出し、区域別や通路別のケースに仕分けする作業は、デジタルピッキングシステム及びデジタルアソートシステムや、シュースライド型自動仕分けシステム等が種々開発され、自動化及び効率化が急速に進められている(例えば、特許文献1及び2)。
【0005】
一方、区域別や通路別に物品が仕分けられたケースを更に地域別や店舗別に仕分けして搬出用のカゴ台車等へと移載する作業は、略直方体というケースの形状、その形状に伴う段積みされたケースの取り扱い、及び、自動的に駆動する部品を持たない奥行きのあるカゴ台車の組合せに起因する課題があるため、自動化及び効率化が遅れている。例えば、特許文献1のシステムでは、食料品が仕分けられた複数のケースが、更に、店舗及び通路別に仕分けされた所定の棚に保管されるが、この仕分けられたケースは、作業者によって搬出用のカゴ台車に移載されている。
【0006】
しかし、ケースを扱う物流システムの自動化及び効率化のために、ケースを取扱う数々の技術が開発されてきた。
【0007】
一般に、物品が仕分けられたケースを格子状の保管庫に収納すると、ケースの入出庫を効率的に行うことができるが、ケースの入出庫に必要な空間も含め、ケースの占有する空間が莫大なものとなるため、段積みされて保管される方が合理的である。また、複数のケースを同時に入出庫することも効率的に行える。しかし、段積みされたケースの中から所望のケースを自動的に取り出すことは困難であった。また、段積みされたケースをそのまま移載することは、移載動作一回当たりの処理量が極めて多く、効率的であるが、ケースの転倒や移載装置の大型化等の問題がある。
【0008】
これらの問題に対し、特許文献3は、鍔付ケースを把持し伸縮する機能を有するフォーク機構と、鍔付ケースを載置し伸縮する機能を有するベッド機構とが、独立して昇降機構に接続された装置を提案し、段積みされた鍔付ケースから、移載対象となる最上段にない鍔付ケースを自動的に取り出すことを可能にした。また、段積みしたケースをそのまま移載することも可能となった。しかし、このケース移載装置を、物品の入庫から出庫に至る自動倉庫内のシステムに組み込むことは困難である。
【0009】
この課題に対して、特許文献4及び5には、物品の入庫から出庫に至る自動倉庫内のシステムに組み込むことが可能なケース移載装置が提案されている。
【0010】
特許文献4には、段ボール箱のような係止機能がない物品の段積みを整列させるコンベヤと、その側面を支える保持機構と、昇降及び進退可能なフォークとを備えた移載装置が開示されている。コンベヤで搬送されてくる段積みされた段ボール箱等が、保持機構で整列された後、保持機構でその側面を支えた状態を保ちフォークに載置され、別のコンベヤから搬送されてきたパレットに移載される装置であり、係止機能がない物品の段積みを転倒することなく移載することができるという特徴がある。しかし、保持機構が必要で、機構が複雑であると共に、カゴ台車に直接移載できないという問題がある。また、保持機構を備えているものの処理速度には限界がある。
【0011】
特許文献5は、上記問題を解決し得るもので、カゴ台車に鍔付ケースを搬入する装置と、その搬入装置上で鍔付ケースを積み上げる段積み装置と、段積みされた鍔付ケースの最下段の鍔付ケースを把持してカゴ台車に移載する積み付け装置と、積み付け装置にカゴ台車を供給するパレット供給装置からなるケース移載装置を開示している。この装置により、コンベヤから供給される物品が仕分けされた鍔付ケースが段積みされた状態で効率的にカゴ台車に自動的に移載されると共に、更なる鍔付ケースの仕分けも自動的に行うことが可能となった。しかし、鍔付ケースを搬入する装置一台あたりに、一台の段積み装置と積み付け装置しか連設することができないため、ケース処理量が不足する場合がある。
【0012】
このような段積みしたケースを取扱うケース移載装置の開発が進められる一方で、自動化を優先させたケース移載装置が特許文献2に開示されている。搬送路から供給されるコンテナ等の仕分け対象物を載置して搬送台車の位置まで移動可能な搬送機構と共に、仕分け対象物をカゴ台車に自動的に移載可能な傾斜機構を有している仕分け車両を備えていることを特徴とする仕分けシステムである。コンベヤから供給された物品が仕分けされたケースを仕分け車両に載置し、仕分け車両の搬送路に沿って寄せられた仕分け先のカゴ台車まで移動したところで、仕分け車両に備えられた傾斜機構が作動して、ケースがカゴ台車に自動的に移載されることを特徴としている。確かに、ケースをカゴ台車に自動的に仕分け及び移載することができるが、ケースを一つずつしか移載できない上、カゴ台車にケースを段積みすることができないため、移載処理能力が極めて低いという問題の解決手段とは言い難い。
【0013】
このような技術背景に対し、特許文献6では、処理能力が飛躍的に向上するケース移載装置が開示されている。これは、鍔付ケースを供給するコンベヤと、鍔付ケースを仕分け及び段積みする段積み装置と、段積みされたケースを移載及び搬送する装置を備えた走行台車と走行レールとから成るケース移載部と、走行台車から段積みされたケースを移載されるカゴ台車の収容部とから構成されている。走行台車の処理能力が高いため、ケース移載部一系列に対し、鍔付ケースを供給するコンベヤ及び収容部を、それぞれ、二系列配備することができ、極めて効率的で、自動化されたケース移載装置を提供している。ただし、このケース移載装置の構成は、段積み装置下部に収容部を設ける必要があり、平面的な装置占有面積の問題はないが、立体的な装置占有空間が大きく、ケース移載装置を設置する建屋の高さに制限があるという問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2006-117366号公報
【文献】特開2013-052938号公報
【文献】特開平4-55204号公報
【文献】特開平7-2360号公報
【文献】特開平10-338350号公報
【文献】特開2015-140223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、技術背景に開示されたケース移載装置を鑑み、更に物流システムの設置される空間に順応することが可能で、効率的な自動ケース移載システム及びその移載システムを用いたケース移載方法の提供を目的としている。
【0016】
具体的には、平面的にも立体的にもケース移載システムの設置される空間の制約を解消し、物品が仕分けられた鍔付ケースを仕分け及び段積みして、カゴ台車等の搬出車両に効率的に移載可能な自動ケース移載システム及びその移載システムを用いたケース移載方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
かかる課題に対し、搬送装置から供給される物品が仕分けされた鍔付ケースを、その搬送装置と垂直方向に移載して段積みし、段積みされた鍔付ケースを昇降させた後、搬出車両へ機械的に水平移動させるシステムを構築することによって目的が達成され得ることを見出し、本発明の完成に至った。
【0018】
すなわち、本発明のケース移載システムは、物品が仕分けされて収容されているケースを搬送させるコンベヤと、このコンベヤの搬送方向と垂直方向に、そのケースを段積するスタッカと、1段又は段積みされたケースを押出すプッシャと、1段又は段積みされたケースを昇降するリフタと、プッシャで押出された1段又は段積みされたケースを収容するカゴ台車を繋止するパレットステーションとを備えていることを特徴とするケース移載システムである。
【0019】
特にこれらの各装置の配置は限定されるものではないが、本発明のケース移載システムは、物品が仕分けされて収容されているケースを搬送させるコンベヤと、このコンベヤの搬送方向と垂直方向に、そのケースを段積するスタッカと、1段又は段積みされたケースを押出すプッシャと、1段又は段積みされたケースを昇降するリフタと、プッシャで押出された1段又は段積みされたケースを収容するカゴ台車を繋止するパレットステーションとが、コンベヤからこれらの順に並設されていることが好ましい。
【0020】
また、このようなケース移載システムは、並列に配設することができ、物品が仕分けされて収容されるケースの供給元が一か所であっても、複数であってもよい。しかし、効率的な物流システムという観点から、上記ケース移載システムが並列して配設される場合、ケース供給元が一か所で、コンベヤが分岐され、その搬送方向と垂直方向に、そのケースを段積するスタッカと、段積みされたケースを押出すプッシャと、段積みされたケースを昇降するリフタと、プッシャで押出された段積みされたケースを収容するカゴ台車を繋止するパレットステーションとが、コンベヤからこれらの順に並設されていることが好ましい。
【0021】
ケースは、段積み可能な構造のものであれば、特に限定されるものではないが、図1及び2に示したような鍔付ケースが、フランジを利用した段積が容易であるため好ましい。特に、ケースの収納する物品の容積に応じて段積みの全高を低減可能な図2に示した変形鍔付けケースが好ましい。このような高さが揃った鍔付ケースを用いる以外に、収納する物品の容積に応じて、高さが所定のもの(フルケース)及びその略半分の高さのもの(ハーフケース)を併用することができる。更に、ケースの高さは、フル、ハーフに限定されるものではなく、3種以上の所定の高さのものを用いてもよい。
【0022】
コンベヤは、ベルトコンベヤ、ローラコンベヤ、チェーンコンベヤ等一般的なコンベヤを用いることができるが、一時貯留機構(アキュムレーションコンベア)、速度制御機構、正逆搬送機構、及び、停止機構の少なくとも一つ以上の機構を有し、所定の箇所に方向変換機構を備えられている必要がある。方向変換機構とは、物品の分岐及び合流する機能を発現できる各種機構を備えたものであり、コンベヤに昇降式及び/又は回転式のローラやベルト等の方向変換させる機能部品を備えた装置、コンベヤ自体が回転する機能部品を備えた装置、コンベヤの側面に物品等の方向変換させる機能部品を備えた装置等、搬送装置で分岐搬送可能な一般的な装置を全て使用することが可能である。特に、コンベヤに昇降式ローラやベルトの方向変換機能部品を備え、直角に分岐可能な搬送装置を備えられていることが好ましい。
【0023】
スタッカは、ケースを保持、把持、挟持、吸着、握着等の方法で着脱可能で、昇降させることによって段積みできる装置であれば特に限定されるものではない。特に、上下に移動可能な昇降アームに複数備えられた傾動フック等によって、鍔付ケース1及び2のフランジ11及び22を保持し、昇降アームを上下させることによってケースを段積する装置が好ましい。昇降アームの昇降方式も、ロープ式、油圧式、電動式等一般的な方式を用いることができ、特に限定されるものではない。
【0024】
プッシャは、昇降機に備えられた直線作動機によって1段又は段積みされたケースを、少なくとも対象となるカゴ台車の全ての棚に水平移動させることができる装置であれば特に限定されるものではなく、一般的な装置を組み合わせて使用することができる。昇降機の昇降方式は、スタッカ同様、ロープ式、油圧式、電動式等一般的な方式を用いることができ、特に限定されるものではない。一方、直線作動機は、ボールネジや台形ネジとギヤモータを組み合わせた電動のシリンダ、リフタ、及び、ジャッキ等や、チェーンがジッパーのように噛み合い、1本の強固な柱状になって押し・引きができるチェーンの噛み合いを使用したジップチェーンアクチュエータ等が好ましく用いられる。また、プッシャは、上下方向に加え、コンベヤの搬送方向に水平方向に移動が可能なロボシリンダ等の直線作動機も備えていることが好ましい。このようなプッシャの上下移動及び水平移動は、カゴ台車の所定の位置にケースを仕分けするために必要な機能である。
【0025】
リフタは、1段又は段積みされたケースを載置することができる搬送台を備えた昇降機に、コンベヤの搬送方向に水平移動が可能なロボシリンダ等の直線作動機を備えている、一般的な装置を組み合わせて使用することができる。昇降機は、ロープ式、油圧式、電動式等に加え、電動のシリンダ、リフタ、及び、ジャッキ等の直線作動機を利用することもできる。
【0026】
パレットステーションは、カゴ台車を繋止して、リフタに載置されている1段又は段積みされたケースがプッシャで押されて収容するための装置である。そのため、カゴ台車は1段又は段積みされたケースが安定して移載できる程度に固定されている必要があり、カゴ台車の向きを変換するターンディスク、並びに、セット釦で作動してカゴ台車上面を固定する転倒防止ストッパ、及び、セット釦で作動してカゴ台車下面を固定するプッシャを備えていることが好ましい。また、パレットステーションには、カゴ台車が正確に投入されるため、対象となるカゴ台車を表示するディスプレイが備えられていることがより好ましい。
【0027】
更に、本発明のケース移載システムは、その占有面積を削減するために、プッシャとパレットステーションの間で、スタッカとリフタとを一体化することが好ましい。
【0028】
同様の目的で、本発明のケース移載システムにおける物品の流れの中心となるコンベヤの配置に応じ、1段又は段積されたケースを自在に振り分けることが可能なトランスファ機構及び方向変換機構を備えていることが好ましい。
【0029】
一方、段積みされたケースの容積を削減したり、段積されたケースの組合せを最適化し、効率的な物流を実現するため、物品の高さを判別するケース情報取得部を備えた荷高検査装置を備えていることがより好ましい。
【0030】
具体的には、1段又は段積されたケースを搬送するコンベヤが、上下に配設された上段コンベヤと下段コンベヤとし、上段コンベヤと下段コンベヤとにこれらのケースを振分けるトランスファ機構を備え、上段コンベヤ及び下段コンベヤのそれぞれ片側に、スタッカ、プッシャ、リフタ、及び、パレットステーションが、上段コンベヤ及び下段コンベヤに並設されることが好ましい。特に、スタッカ、プッシャ、リフタ、及び、パレットステーションを、上段コンベヤ及び下段コンベヤの片側にこれらの順に並設することがより好ましく、プッシャとパレットステーションの間で、スタッカとリフタとを一体化することがより更に好ましい。
【0031】
当然、上述したスタッカとリフタの一体化とコンベヤの階層化とを併用することによって、ケース移載システムの占有面積の更なる削減が可能となる。
【0032】
或いは、1段又は段積されたケースを搬送するコンベヤが、分岐されて並列する複数のコンベヤとし、複数のコンベヤにこれらのケースを振分ける方向変換機構を備え、複数のコンベヤのそれぞれ片側に、プッシャ、スタッカ、リフタ、及び、パレットステーションが、複数のコンベヤに並設されることが好ましい。特に、スタッカ、プッシャ、リフタ、及び、パレットステーションを、複数のコンベヤの片側にこれらの順に並設することがより好ましく、プッシャとパレットステーションの間で、スタッカとリフタとを一体化することがより更に好ましい。
【0033】
この場合、スタッカとリフタの一体化によるケース移載システムの占有面積の削減に加え、ケース移載システムの配備する建屋の高さに制限がある場合に、処理能力を低下させることなく設計することが可能となる。
【0034】
このようなケース移載システムにおいて、ケースは、所定の位置でスタッカに移載されるため、スタッカに隣接するコンベヤ、並びに、上段コンベヤ及び下段コンベヤに方向変換機構を備え、スタッカ及びリフタがケース又は段積みされたケースを載せて自動的に移動させることが可能な載置搬送コンベヤを備えていることが好ましい。このような設備によって、ケース又は段積みされたケースをコンベヤから、スタッカ、リフタを経由して、プッシャにより所定のカゴ台車の所定の位置に、遅滞なく円滑な移載が可能となる。
【0035】
また、本発明のケース移載システムにおいて、ケース情報表示部がケースに備えられており、ケースに収容されている物品の高さを判別するケース情報取得部を備えた荷高検査装置と、荷高検査装置の情報に基づいて、ケースの向きを変換する反転装置と、ケースを一時的に保管するケースバッファとを備えていることがより好ましい。このような構成とすることにより、図2に示した変形鍔付ケースに収容されている物品の容積が小さい場合は、荷高検査装置の情報に基づいて、反転装置で変形鍔付ケースの向きを変えることなく、図2(a)に示したネスティングの段積を実行させ、逆に、物品の容積が大きい場合は、荷高検査装置の情報に基づいて、反転装置が変形鍔付ケースの向きを180度反転させることによって、図2(b)に示したスタッキングの段積を実行させることができる。当然、荷高検査装置は物品容積の大小どちらにでも設定が可能である。そのため、段積みされる全高を低減することができ、取扱うことができるケースの数量が多くなり、効率的なケースの移載、すなわち、物流効率を高めることが可能となる。更に、荷高検査装置は、ネスティングしたケース、スタッキングしたケース、通常のケース、及び、通常の段積したケース等を、状況に応じて一時的に保管する指示をし、ケース移載システムのコンベヤの流れをよりスムーズにすることができる。
【0036】
このような荷高検査装置の検査方法は特に限定されないが、光学的又は磁気的反射センサや検査板をケースに挿入するような物理的センサによって物品の収容量を自動的に検出する方法が好ましい。
【0037】
一方、ケース情報取得部により収集された情報は、ケース移載システム制御部に送信され、その制御部の指示に従ってケース移載システムが駆動する。すなわち、ケース物品が仕分けされて収納されているケースが更に段積みされ、カゴ台車の所定の位置に移載されて効率的に出荷される。具体的には、例えば、商品や郵便物等の物品が区域別に仕分けられたケースを、更に地域別に仕分けて段積みした後、搬出用のカゴ台車型パレット等へと移載し、それらのカゴ台車をそのままトラック等の運搬車両に積み込んで配送したり、食料品や衣料品等の物品が店舗の通路別に仕分けられたケースを更に店舗別に仕分けて段積みした後、搬出用のカゴ台車へと移載し、それらのカゴ台車をそのままトラック等の運搬車両に積み込んで配送することができる。なお、ケース情報取得部は、一般的な識別子であるバーコード、QRコード(登録商標)、ARマーカー、OCR文字等を用いることができるが、バーコードであることが好ましく、ケース情報取得部はバーコードリーダ(BCR)であることが好ましい。
【0038】
ケースバッファも、効率的なケースの移載を行うために備えることが好ましい。これは、荷高検査装置を備えると、ケースに収容されている物品の容積が把握されるため、物品の容積が少ないケースをケースバッファに一時保管しておけば、適宜ケースバッファからケースをコンベヤに戻してネスティングの段積ケースを増加させることが可能となるからである。また、ケースとして、所定高さのフルケース、その半分程度の高さのハーフケースを使用する場合があり、この場合には、ケース情報から、ハーフケースをケースバッファに一時保管しておけば、適宜ケースバッファからハーフケースをコンベヤにして、ハーフケース同士の段積をさせることによって、取扱うことができるケースの数量が多くなり、効率的なケースの移載、すなわち、物流効率を高めることが可能となる。
【0039】
また、本発明のケース移載システムには、取消すべきケースを振分けて搬出するキャンセルステーションを備えていることが好ましい。このキャンセルステーションによって、ケース情報が読み取れない等の理由で仕分けできないケースについて、自動的にケース移載システムの前工程に返送し、ケース情報を再貼付する等して、ケース移載システムに再投入することが可能となる。このことにより、それ以後は通常の処理を続行することができ、人手による処理を極力省くことができる。
【0040】
以上のようなケース移載システムは、ケースの情報を取得するケース情報取得部及びケース情報によりケース移載システムを駆動するケース移載システム制御部に基づいて、所定のケースが、所定の向きに載置され、コンベヤ、又は、上段コンベヤ及び下段コンベヤを移動し、スタッカで所定のケースが段積みされた後、1段又は段積されたケースがリフタに移載され、リフタで1段又は段積みされたケースが所定の位置に移動し、リフタに伴って所定の位置に移動したプッシャで1段又は段積みされたケースが所定のカゴ台車の所定の位置に移動するケース移載方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明に係るケース移載システム及びケース移載方法は、コンベヤ等の小型搬送装置から供給される物品が仕分けされた鍔付ケースを、その搬送装置の方向変換機構により、垂直方向にスタッカに移載して段積みし、段積みされた鍔付ケースをリフタで昇降させた後、カゴ台車等の搬出車両へプッシャで機械的に水平移動させるシステムである。そのため、ケース移載能力を低下させることなく、平面的にも立体的にもケース移載システムの設置される空間の制約を解消することができるという効果を得ることができた。また、人手を介することなく、ケースを段積し、段積されたケースをカゴ台車等の搬出車両に自動的に移載することができ、省力効果が大きく、かつ、小規模で多量のケースの処理が可能となり、経済的効果も大きい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】一般的な鍔付ケースの斜視図である。
図2】ケースに収納する物品の数量に応じて段積み全高を調整可能な代表的変形鍔付ケースの斜視図である。
図3図2の変形鍔付ケースを用いた、(a)物品の数量が少ない場合の段積み状態(ネスティング)と(b)物品の数量が通常の場合の段積み状態(スタッキング)とを示す短側面方向から見た側面概略図である。
図4】本発明の一実施形態に係るケース移載システム全体の平面概略図である。
図5図4のケース移載装置部Iを拡大した概略平面図である。
図6図4の切断線A周辺で紙面に垂直に切断した断面概略図である。
図7図5のパレットステーションからみたケース移載装置部Iの正面概略図である。
図8図6のケースプッシャ部IIを拡大した正面概略図である。
図9図8の切断線B周辺で紙面に垂直に切断した断面概略図である。
図10】本発明のケース移載システムに用いることが可能な代表的なカゴ台車の(a)正面概略図及び(b)側面概略図である。
図11】本発明の別の一実施形態に係るケース移載システム全体の平面概略図である。
図12図11の切断線C周辺で紙面に垂直に切断した断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明を、図面に示した一実施形態を用いて説明するが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能であり、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるものである。そのため、本発明に該当する部分を概念的及び模式的に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0044】
図4には、本発明の一実施形態に係るケース移載システム全体の平面概略図を示した。図5は、図4のケース移載装置部Iを拡大した概略平面図であり、図6は、図4の切断線A周辺で紙面に垂直に切断した断面概略図である。図7は、図5のパレットステーション14からみたケース移載装置部Iの正面概略図であり、図8は、図6のケースプッシャ部IIを拡大した正面概略図である。そして、図9は、図8の切断線B周辺で紙面に垂直に切断した断面概略図を示している。また、本発明のケース移載システムに用いることが可能な代表的なカゴ台車17については、図10に(a)正面概略図及び(b)側面概略図を示した。
【0045】
図4から分かるように、この一実施形態では、ケースエレベータ4、2系列に分岐したコンベヤ5、BCRを備えた荷高検査装置6、ケースバッファ9、ケース反転装置10、ケーススタッカ11、ケースプッシャ12、ケースリフタ13、及び、パレットステーション14から少なくとも構成されている。以下、この実施例における構成装置を図4図9を用いてそれぞれ説明する。
【0046】
ケースエレベータ4は、(図示されていない)コンベヤ等の搬送装置を経由して本ケース移載システムで仕分けされるケース3を集約してケース移載システムに上昇又は降下して供給するが、この方式に限定されるものではない。ケース移載システムの処理能力、及び、本ケース移載システムの前工程の配置や処理能力等に応じて適宜設定されるものである。
【0047】
物品が仕分けされ収納されたケース3は、図2に示すように、略直方体で上方が開放されており、また、各側面の上方近くには、フォークや爪等による移送や保持を可能とするための鍔12が付いており、長側面に、内側に僅かに突出した凹部23と外側に僅かに突出した凸部24とが交互に形成されているものを使用する。図3(a)及び(b)に示すように、ケース3に収納される物品の容積に応じて段積する方向を180度反転させ、段積み高さを調整することができる。特に、下段の物品の容積が小さい場合は、下段の外側凸部と上段の内側凹部とが嵌合するネスティングと呼ばれる段積を行い、ケース3の処理量を高めることができる。下段の物品の容積が大きい場合は、ネスティングの上段のケース3を反転させ、下段の外側凸部と上段の外側凸部とが当接し、段差22だけによって嵌合するスタッキングと呼ばれる段積を行う。
【0048】
図4に示すように、ケースエレベータ4から供給されたケース3は、ケース移載システム内をケースコンベヤ5によって搬送される。本実施形態では、ケースコンベヤ5を2系列平行に配備し、それぞれのコンベヤ5の搬送方向の垂直方向にケーススタッカ11、ケースプッシャ12、ケースリフタ13、及び、パレットステーション14を並設している。ケースコンベヤ5としては、多数のローラからなるローラコンベヤが用いられており、ケース3がケース移載システム内を自在に搬送されうるために、ケース3の移載方向を90度変換する所定の位置のコンベヤは、直角分岐コンベヤ7とし、その他必要に応じて、ケースコンベヤ5の各所に、(図示されていない)一時貯留機構、速度制御機構、正逆搬送機構、及び、停止機構等が設けられている。また、ケース移載システムを点検するための点検歩廊15がケースコンベヤ5に隣接して配備されている。
【0049】
ケース情報取得部として(図示されていない)BCRを備えた荷高検査装置6は、ケースコンベア5上を搬送されるケース3に貼付されているバーコードを自動的に読み取ると共に、ケース3に収容されている物品の高さを測定する。
【0050】
BCRで読み取られたケース情報は、後続するケーススタッカ11、ケースプッシャ12、ケースリフタ13を用いて、カゴ台車の所定の位置に所定数のケースを仕分けするために、ケース移載システムを構成する各装置を制御するケース移載システム制御部に送信され、ケース移載システムが正しく駆動される。
【0051】
荷高検査装置6は、検査板をケース3に挿入して物品の収容量を読みとり、その取られた情報も、同様に、ケース移載システム制御部を介して、ケース反転装置10を駆動し、上述したように、ケース3に収納されている物品の収容量に応じて、ネスティング又はスタッキングの段積を行う。ここで、ネスティングの段積を連続的に行う等によってケース3の処理量を高めるため、収容されている物品の容積が小さいケース3は、そのまま又は段積してケースバッファ9に一時保管する指示が出される場合がある。
【0052】
一方、例えば、BCRで読み取ることができないバーコードが添付されたケース3は、直角分岐コンベヤ7を経由して、キャンセルシュート8と呼ばれるコンベヤからケース移載システムの前工程に返送され、バーコードを再貼付して、ケース移載システムに再投入される。
【0053】
図5~7に示すように、ケーススタッカ11は、コンベヤ5の搬送方向の直角方向に並設されると共に、直角分岐コンベヤ7がケーススタッカ11に隣接してコンベヤ5に配備され、ケース3がケーススタッカ11に自動的に供給される。また、ケーススタッカ11も、段積みされたケース3-1、3-2、及び、3-3がケースリフタ13に自動的に供給されるように、駆動する物品載置コンベヤ111上で段積みされる。供給されたケース3の段積は、上下に移動可能なロープ式昇降アームに複数備えられた傾動フックでケース3のフランジを保持し、ケース移載システム制御部の指示に従った昇降アームの上下移動によって適切に行われる。
【0054】
ケースリフタ13は、ケーススタッカ11で段積みされたケース3-1、3-2、及び、3-3が自動的に供給される位置に並設されると共に、ケースプッシャ12は、ケーススタッカ11とケースリフタ13との間に並設され、ケースリフタ13の段積みされたケース3-1、3-2、及び、3-3が、ケースプッシャ12で押し出されてパレットステーション14に繋止されたカゴ台車17に移載されるように配備されている。ケースリフタ13も、段積みされたケース3-1、3-2、及び、3-3がカゴ台車17に自動的に移載されるように、物品載置コンベヤ131が備えられている。
【0055】
図7~9から分かるように、ケースリフタ13及びケースプッシャ12は、それぞれ異なるロープ式昇降アームによって独立して上下移動すると共に、パレットステーション14に繋止されるカゴ台車17の間口を水平移動できるようにリフタ及びケースプッシャ移動ロボシリンダ16が設置され、ケース移載システム制御部の指示に従って駆動する。特に、ケースプッシャ12は、図8に示すように、ジップチェーンアクチュエータ12-1が、プッシャリフタ12-2によって昇降されている。このようなケース移載システムにすることによって、平面的及び立体的な空間を多大に占有することなく、ケーススタッカ11で段積して仕分けられたケース3-1、3-2、及び、3-3が、カゴ台車17の所定の位置に効率的に供給され仕分けされる。
【0056】
一方、段積みされたケース3-1、3-2、及び、3-3が、カゴ台車17に安定して移載されるように、パレットステーション14がケースリフタ13に並設される。そのため、図5に示すように、このパレットステーション14の床面に、図10のカゴ台車17のキャスタ176が挿入され、自在キャスタ175がターンディスクの反対側に来るようにカゴ台車17をセットできるターンディスク141を埋め込んでおく(ただし、カゴ台車17のキャスタ176を自在キャスタとすればターンディスク141を代用できる)。このターンディスク141は、キャスタ176が挿入され、これを起点にかご台車17を90度回転することによって、カゴ台車17のケースを出し入れする間口がケースリフタ13と対面するように備え付けられる。そして、カゴ台車17に段積みされたケースを安定して移載できる程度に固定されるように、セット釦144を押すことによって作動する転倒防止ストッパ143及び(図示されていない)カゴ台車17の下面に付いているロールピンを受ける受台が備えられている。また、パレットステーション14に投入されるべきカゴ台車17は、BCR情報が送信されたケース移載システム制御部の指示に基づいた対象パレット表示ランプ145の点灯によって表示される。
【0057】
収集されたBCR情報が集約される(図示されていない)ケース移載システム制御部は、コンピュータ、サーバ、PC等を備えてなり、表示部、操作部、記憶部などの周辺機器を含んでいる。ケース移載システムを構成する各装置と、有線、無線、インターネット等を介して接続し、ケース情報に基づいて各装置に指示を与え駆動させることができる。このような制御部は、ケース移載システムの各装置と近接して配備してもよいし、クラウドコンピューティングのように遠隔して配備してもよい。
【0058】
更に、上記本発明の一実施形態のケース移載システムは、それを用いたケース移載方法を提供する。上記本発明の一実施形態のケース移載システムの動作の一例により、本発明のケース移載方法を説明する。ケースエレベータ4から供給されたケース3は、コンベヤ5を経由してBCRを備えた荷高検査装置6に搬送される。搬送されてきたケース3に検査板を挿入して、収集されたケース3内の物品の収容量と共に、BCRによって収集された情報(以下、「BCR情報」という。)がケース移載システム制御部に送信され、その結果に対応してケース移載システムを構成する各装置が駆動する。
【0059】
まず、荷高検査装置6から送信された情報に基づいて、ケース反転装置10によりケース3の向きが180度変更され、ケーススタッカ11における段積の状態(ネスティング又はスタッキング)が決定される。また、ネスティングの段積が連続するようにケースバッファ9に一時保管する場合もある。
【0060】
また、ケース移載システム制御部に送信されたBCR情報に基づいて、これ以降のケース移載システムの下流装置が駆動されるが、BCRによって読み取れないケースは、キャンセルシュート8を経由して、ケース移載システムの前工程に返送される。
【0061】
次いで、パレットステーション14では、BCR情報に基づいてカゴ台車17が固定され、ケース移載システム制御部の指示に従って対象パレット表示ランプ145が点灯し、対象となるカゴ台車17が投入される。パレットステーション14の床面に埋め込まれたターンディスク141(上述したように位置決めがされれば自在キャスタでも代用できる)に、カゴ台車17のキャスタ176が挿入されると、このターンディスク141を起点にしてカゴ台車17のケースを出し入れする間口がケースリフタ13と対面するように90度回転した後、セット釦144を押すと、転倒防止ストッパ143及び(図示されていない)カゴ台車17の下面を押す固定ピンが作動してカゴ台車17が固定される。
【0062】
一方、ケース反転装置10を経由したケース3は、BCR情報に基づいたケース移載システム制御部の指示に従って、ケース3が移載されるべきカゴ台車17が備え付けられたパレットステーション14の位置に並設されているケーススタッカ11、ケースプッシャ12、ケースリフタ13まで、コンベヤ5で搬送される。そこには、直角分岐コンベヤ7が配設されており、ケース3がケーススタッカ11に移載され、BCR情報に基づいたケース移載システム制御部の指示に従って段積される。段積みされたケース3-1、3-2、及び、3-3は、ケーススタッカに備えられた駆動可能な物品載置コンベヤ111によってケースリフタ13に移載される。
【0063】
このようにして移載された段積ケース3-1、3-2、及び、3-3が移載されるべきカゴ台車17の対象となる棚(パレット)は、図10から分かるように、底板171及び中間棚172によって少なくとも8箇所に間仕切ることができるが、必ずしも限定されるものではない。どのように間仕切るか、どの段積ケースをどの棚に移載するかは、BCR情報に基づいて決定され、特に、段積ケースの移載については、ケース移載システム制御部の指示に従って作動するケースリフタ13の上下方向及び水平方向の移動、それに伴うケースプッシャ12の上下方向及び水平方向の移動によって適切に決定される。そして、例えば、ジップチェーンアクチュエータ12-1が、カゴ台車17に正確に移載できるように段積ケース3-1、3-2、及び、3-3を適切な位置に揃え、ケースリフタ13に備えられた物品載置搬送台131上の段積ケース3-1、3-2、及び、3-3をカゴ台車17の選択された棚に押し込んで動作が完了する。ケースの段積みに際しては段積みされたケースの重心が極力低くなるよう配置するのが好ましい。
【0064】
このような一連の動作が完了すると、仕分けされた段積ケース3-1、3-2、及び、3-3が、更に仕分けされてカゴ台車17に収容されているので、固定されているかご台車17は解放された後、そのままトラック等の運搬車両に移動されて出荷される場合もあるが、トラック等の運搬車両に段積みされたケース3-1、3-2、及び、3-3を更に移載して出荷される場合もある。
【0065】
本発明の別の一実施形態は、ケース3を搬送するコンベヤ5の配設方法を工夫することによって見出されたものであって、図11及び図12に示す。図11は、本発明の別の一実施形態に係るケース移載システム全体の平面概略図であり、図12は、図11の切断線C周辺で紙面に垂直に切断した断面概略図である。
【0066】
図11及び12から明らかなように、上記本発明の一実施形態と基本的な構成に変わりはないが、BCRを備えた荷高検査装置6の下流装置として、ケース3を搬送するコンベヤ5を上下段に配備し、その両側にケーススタッカ11、ケースプッシャ12、ケースリフタ13、及び、パレットステーション14が、コンベヤ5からこの順に並設されていることを特徴とするものである。
【0067】
コンベヤ5を上下段に配設することによって、ケース移載システムの処理能力を低下することなく、更にケース移載システムの平面的占有面積を削減することができる。この場合も、図示されていないが、ケーススタッカ11とケースリフタを一体化することが可能であり、ケース移載システムの平面的占有面積をより更に削減することができる。
【0068】
ただし、この場合は、図11に示したように、昇降式トランスファ18を設置し、ケース3を上下段コンベヤに振分ける装置を必要とする。その他のケース移載システムを構成する各装置の機能及び動作等については、図4~9に示した実施形態と何ら変わりないので、説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係るケース移載システム及びケース移載方法は、物品が仕分けされたケースを更に仕分けして搬出するために、コンベヤ等の小型搬送装置から供給される物品が仕分けされたケースを、その搬送装置の方向変換機構により、垂直方向にスタッカに移載して段積みし、段積みされたケースをリフタで昇降させた後、カゴ台車等の搬出車両へプッシャで機械的に水平移動させるシステムとしているが、ケースに限定することなく、種々の物品や容器を対象とする仕分け装置として幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 鍔付ケース
11 フランジ
12 段差
2 変形鍔付ケース
21 フランジ
22 段差
23 内側凹部
24 外側凸部
3 物品収納変形鍔付ケース
3-1 段積みされた物品収納変形鍔付ケース(1)
3-2 段積みされた物品収納変形鍔付ケース(2)
3-3 段積みされた物品収納変形鍔付ケース(3)
3-4 段積みされた物品収納変形鍔付ケース(4)
3-5 段積みされた物品収納変形鍔付ケース(4)
4 ケースエレベータ
5 ケースコンベヤ
6 バーコードリーダ(BCR)を備えた荷高検査装置
7 直角分岐コンベヤ
8 キャンセルシュート
9 ケースバッファ
10 ケース反転装置
11 ケーススタッカ
111 スタッカ用物品載置コンベヤ
12 ケースプッシャ
12-1 ジップチェーンアクチュエータ
12-2 プッシャリフタ
13 ケースリフタ
131 リフタ用物品載置コンベヤ
14 パレットステーション
141 ターンディスク
142 パレット固定ロボシリンダ
143 転倒防止ストッパ
144 セット釦
145 対象パレット表示ランプ
15 点検歩廊
16 リフタ及びケースプッシャ移動ロボシリンダ
17 ロールボックスパレット(カゴ台車)
171 底板
172 中間棚
173 バックパネル
174 サイドパネル
175 自在キャスタ
176 キャスタ
177 パネルジョイントヒンジ
18 昇降式トランスファ
I ケース移載装置部
II ケースプッシャ部
A、B、C 切断線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12