(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】植物栽培システム
(51)【国際特許分類】
A01G 9/24 20060101AFI20221109BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
A01G9/24 A
A01G7/00 603
A01G7/00 601Z
(21)【出願番号】P 2020023109
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2021-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】518282152
【氏名又は名称】株式会社馬渕工業所
(73)【特許権者】
【識別番号】399059005
【氏名又は名称】ライズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本村 幹男
(72)【発明者】
【氏名】小野 寿光
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 聡
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 典明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直人
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-034043(JP,A)
【文献】特開2019-047732(JP,A)
【文献】特開2019-092421(JP,A)
【文献】特開2015-062368(JP,A)
【文献】特開2010-161991(JP,A)
【文献】特開平03-254612(JP,A)
【文献】特開2019-187259(JP,A)
【文献】再公表特許第2017/199539(JP,A1)
【文献】特開2010-268760(JP,A)
【文献】特開2014-103958(JP,A)
【文献】特開2017-051134(JP,A)
【文献】特開2019-180272(JP,A)
【文献】特開2018-164418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/24
A01G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を栽培する植物栽培システムであって、
第1温室と、
前記第1温室内に配置され、内部に栽培用の植物が配置される第2温室と、
前記第2温室内の気圧を、前記第1温室内の気圧よりも高くする気圧制御装置と、
前記第2温室内の環境として、温度、湿度、CO2濃度、照度、
及び植物が植えられた土壌の水分量
又は電気伝導
率を計測する環境用センサと、
前記第2温室内の植物の
害虫付着の有無を含む育成状態を計測する育成状態計測装置と、
前記環境用センサ
による所定時間毎の環境計測結果、及び前記育成状態計測装置
による所定時間毎の育成計測結果を
紐づけて記憶する記憶装置と、
前記環境計測結果、及び前記育成計測結果に基づいて、
前記第2温室における少なくとも害虫付着の無い栽培環境を導き出す栽培環境導出装置とを備えることを特徴とする植物栽培システム。
【請求項2】
請求項1に記載の植物栽培システムにおいて、
前記栽培環境導出装置は、
前記害虫付着が無い場合の前記育成計測結果に対応する前記環境計測結果と、前記害虫付着が有る場合の前記育成計測結果に対応する前記環境計測結果とを比較して、前記第2温室における害虫付着の無い栽培環境を導き出すものであることを特徴とする植物栽培システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の植物栽培システムにおいて、
前記第2温室内での作業者の作業を撮影する作業記録カメラを備え、
前記記憶装置は、前記作業記録カメラで撮影された前記作業を、作業記録画像データとして、前記育成計測結果に紐づけて記憶するものであり、
前記栽培環境導出装置は、
前記害虫付着が無い場合の前記育成計測結果に対応する前記作業記録画像データ、及び前記害虫付着が有る場合の前記育成計測結果に対応する前記作業記録画像データに基づいて、前記第2温室における害虫付着の無い栽培環境を導き出すものであることを特徴とする植物栽培システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室内で植物を栽培する植物栽培システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温室内で植物を栽培する植物栽培システムとして、外壁及び屋根を有する温室内で植物を栽培することで、天候による影響を抑制した植物栽培システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された植物栽培システムでは、大型の第1温室(ハウジング)と、小型で第1温室内に配置され、内部に植物が配置される第2温室(ハウジング)とを備え、第1温室と第2温室との間に空気層を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の植物栽培システムでは、天候による影響を抑制しているが、植物に害虫が付いた場合等の適切に植物が栽培されなかった場合に、何が原因であるか分からず、植物栽培に適した栽培環境を導き出すことができない。
【0006】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、植物栽培に適した栽培環境を導き出すことができる植物栽培システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の植物栽培システムは、植物を栽培する植物栽培システムであって、第1温室と、前記第1温室内に配置され、内部に栽培用の植物が配置される第2温室と、前記第2温室内の気圧を、前記第1温室内の気圧よりも高くする気圧制御装置と、前記第2温室内の環境として、温度、湿度、CO2濃度、照度、及び植物が植えられた土壌の水分量又は電気伝導率を計測する環境用センサと、前記第2温室内の植物の害虫付着の有無を含む育成状態を計測する育成状態計測装置と、前記環境用センサによる所定時間毎の環境計測結果、及び前記育成状態計測装置による所定時間毎の育成計測結果を紐づけて記憶する記憶装置と、前記環境計測結果、及び前記育成計測結果に基づいて、前記第2温室における少なくとも害虫付着の無い栽培環境を導き出す栽培環境導出装置とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、第2温室内の温度、湿度、CO2濃度、照度、及び植物が植えられた土壌の水分量又は電気伝導率の計測結果、及び、第2温室内の植物の生育状態計測結果に基づいて、害虫付着の無い栽培環境を導き出すので、この導出された栽培環境に従って栽培することで、簡単に害虫付着の無い植物を栽培することができる。
【0009】
また、前記栽培環境導出装置は、前記害虫付着が無い場合の前記育成計測結果に対応する前記環境計測結果と、前記害虫付着が有る場合の前記育成計測結果に対応する前記環境計測結果とを比較して、前記第2温室における害虫付着の無い栽培環境を導き出すものであることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、簡単に害虫付着の無い栽培環境を導き出すことができる。さらに、害虫付着の無い栽培環境は、栽培する季節や栽培する地域によって異なるが、害虫付着の無い植物が栽培された場合の環境計測結果をマスターとすることで、容易に害虫付着の無い栽培環境を導き出すことができる。
【0011】
さらに、前記第2温室内での作業者の作業を撮影する作業記録カメラを備え、前記記憶装置は、前記作業記録カメラで撮影された前記作業を、作業記録画像データとして、前記育成結果に紐づけて記憶するものであり、前記栽培環境導出装置は、前記害虫付着が無い場合の前記育成計測結果に対応する前記作業記録画像データ、及び前記害虫付着が有る場合の前記育成計測結果に対応する前記作業記録画像データに基づいて、前記第2温室における害虫付着の無い栽培環境を導き出すものであることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、害虫付着の無い植物栽培に適した作業者の作業内容も知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態の植物栽培システムを示す斜視図。
【
図8】育成状態記録撮影データ、作業記録データ及びグラフを示す図。
【
図9】育成状態記録撮影データ、作業記録データ及びグラフを示す図。
【
図10】温度計測データ、湿度計測データ、及びCO
2濃度計測データのグラフ。
【
図11】複数のベース部材から構成されるベースを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の植物栽培システムの一実施形態について、図を参照して説明する。
【0015】
図1~
図3に示すように、植物栽培システム10は、大温室11(第1温室)と、この大温室11の内部に配置された複数(例えば、4つ)の小温室12(第2温室)とを備える。
【0016】
大温室11は、いわゆるビニールハウスであり、躯体となる金属製のフレーム11aと、このフレーム11aに取り付けられ、外壁を構成する透明樹脂製のフィルム11bとを備え、前後面、左右面及び天面を有する有天筒状に形成されている。なお、本実施形態では、フレーム11a及びフィルム11bを簡略化して図示しており、フレーム11a及びフィルム11bの構造は適宜変更可能である。
【0017】
大温室11の前面には、開閉可能なドア部11cが設けられている。作業者Wは、ドア部11cを開放して大温室11に入退室する。
【0018】
小温室12は、カバー21と、ベース22とを備える。カバー21は、いわゆるビニールハウスであり、躯体となる金属製のフレーム21aと、このフレーム21aに取り付けられ、外壁を構成する透明樹脂製のフィルム21bとを備え、前後面、左右面及び上面を有する箱状に形成されている。なお、本実施形態では、フレーム21a及びフィルム21bを簡略化して図示しており、フレーム21a及びフィルム21bの構造は適宜変更可能である。
【0019】
ベース22は、例えば、樹脂(例えば、FRP(Fiber Reinforced Plastics))製で、前後面、左右面及び底面を有する有底筒状に形成され、カバー21のフレーム21aの脚部が挿入されている。これにより、カバー21とベース22とを有する小温室12は、前後面、左右面、天面及び底面を有する箱状に形成される。
【0020】
カバー21の前面には、開閉可能なドア部21cが設けられている。ベース22の前面には、ドア部21cを開閉可能するための凹部が形成されている。作業者Wは、ドア部21cを開放して小温室12に入退室する。
【0021】
ベース22は、樹脂により構成されているので、軽量で容易に持ち運びすることができ、持ち運びできないものに比べて利便性が向上する。さらに、ベース22は、側面となる前後面及び左右面を有するので、平板状のベースにカバー21を載せたものに比べて、カバー21とベース22との間から虫が侵入するのを抑制することができる。
【0022】
小温室12の内部には、複数(例えば6個)のテーブル31が配置されている。各テーブル31には、複数の植物Pが植えられた鉢植33が、例えば2個ずつ載せられている。すなわち、本実施形態では、12個の鉢植33が小温室12の内部に配置されている。なお、テーブル31の構造は適宜変更可能であり、作業者Wが作業しやすい高さであることが好ましい。また、本実施形態では、植物Pを含む鉢植33を簡略化して図示している。
【0023】
図4に示すように、植物栽培システム10は、制御装置50と、太陽光パネル51と、発電装置52と、蓄電池53と、太陽熱集熱器54と、地下水汲み取り装置55とを備える。制御装置50は、例えばPCから構成され、植物栽培システム10の各部を統括的に制御する。
【0024】
作業者Wは、制御装置50を操作して、小温室12内の温度及び湿度を設定する。制御装置50は、設定された温度及び湿度となるように、詳しくは後述する温湿度調整装置56を制御する。
【0025】
また、制御装置50は、無線通信(例えば、Wi-Fi)を介してインターネットに接続されており、制御装置50に接続されている環境情報、すなわち、詳しくは後述する各センサ61~66のセンサ情報に基づいて、制御装置50が作動する。
【0026】
太陽光パネル51は、周知のものであり、その詳細な説明を簡略化するが、太陽光を受けて電気を作り、この作られた電気は蓄電池53で蓄電される。
【0027】
発電装置52は、太陽光パネル51で作られ、蓄電池53で蓄電された電気により発電するものであり、電力を植物栽培システム10の各部に供給する。
【0028】
小温室12の内部には、温度及び湿度を調整する温湿度調整装置56と気圧制御装置57とが配置されている。温湿度調整装置56と太陽熱集熱器54とは、発電装置52から供給される電力により駆動され、温水(例えば、60°C~80°C)を製造する。
【0029】
温湿度調整装置56は、上記製造した温水と、地下水汲み取り装置55により汲み取られた地下水(例えば、14°C~16°C)とを組み合わせた混合水を、小温室12の内部で循環路(図示せず)を循環させ、且つ、加湿及び除湿することにより、小温室12内の温度及び湿度を設定された温度及び湿度に保つ。
【0030】
気圧制御装置57は、周知のものであり、その詳細な説明を簡略化するが、小温室12の内部の圧力を、大温室11の内部の圧力よりも高くする。これにより、大温室11の内部に存在する害虫等が、小温室12の隙間を通って小温室12の内部に入り込むのを抑制することができる。
【0031】
小温室12の内部には、小温室12内の温度を計測する温度センサ61、小温室12内の湿度を計測する湿度センサ62、小温室12内のCO2濃度を計測するCO2濃度センサ63が設けられている。
【0032】
小温室12の内部には、小温室12内の照度を計測する照度センサ64と、鉢植33の土壌水分量を計測する土壌水分量センサ65、土壌水分の電気伝導率を計測するECセンサ66が設けられている。
【0033】
各センサ61~66の計測データは、制御装置50に送られ、データベース68に記憶される。制御装置50は、この計測データに基づいて、植物栽培システム10の各部を制御する。本実施形態では、データベース68でのデータ容量を抑制するため、所定時間毎(例えば、1時間毎)の計測データがデータベース68に記憶される。
【0034】
小温室12の内部には、12個の鉢植33それぞれの植物Pを撮影する育成状態計測カメラ71と、作業者Wの作業を撮影する作業記録カメラ72と、スピーカ73とが設けられている。
【0035】
育成状態計測カメラ71で撮影された育成状態記録撮影データ(12個の鉢植33それぞれの植物Pの撮影データ)は、制御装置50に送られ、データベース68に記憶される。本実施形態では、データベース68でのデータ容量を抑制するため、自在に設定できる所定時間毎(例えば、1時間毎)の育成状態記録撮影データがデータベース68に記憶される。
【0036】
作業記録カメラ72は、動体検知センサ(図示せず)を備え、動体(例えば、作業者W)を検知すると撮影(静止画、動画)を開始し、動体が検知されなくなると撮影を終了する。作業記録カメラ72で撮影された作業記録データは、制御装置50に送られ、データベース68に記憶される。
【0037】
データベース68に記憶される各センサ61~65の計測データ、育成状態計測カメラ71で撮影された育成状態撮影データ、及び、作業記録カメラ72で撮影された作業記録データは、それぞれ紐づけられて記憶されている。
【0038】
植物栽培システム10は、栽培環境導出部76を備える。栽培環境導出部76は、育成状態撮影データを画像解析し、適切に育成された植物Pであるか否かを判定し、さらに、詳しくは後述するように、データベース68に記憶されたデータに基づいて、植物栽培に適した栽培環境を導出する。
【0039】
[植物栽培情報]
データベース68には、温度センサ61で計測された温度データ、湿度センサ62で計測された湿度データ、CO2濃度センサ63で計測されたCO2濃度データ、照度センサ64で計測された照度データ、及び、土壌水分量センサ65で計測された土壌水分量データが記憶されている。各データは、自在に時間設定できる計測データとなっている。
【0040】
図5に示すように、育成状態計測カメラ71で撮影され、データベース68に記憶された育成状態記録撮影データ(12個の鉢植33それぞれの植物Pの撮影データ)は、植物栽培システム10を管理する管理者が運営する記録システムに自動的にアップロードされ蓄えられる。これにより、植物栽培システム10の管理者や、植物Pの製造者等は、スマートフォンからインターネットを介して管理者が運営する記録システムに接続することで、
図5に示す育成状態記録撮影データを閲覧することができる。
【0041】
図6及び
図7に示すように、作業記録カメラ72で撮影され、データベース68に記憶された作業記録データは、管理者が運営する記録システムにアップロードされ蓄えられる。これにより、植物栽培システム10の管理者や、植物Pの製造者等は、スマートフォンからインターネットを介して管理者が運営する記録システムに接続することで、
図6及び
図7に示す作業記録データを閲覧することができる。なお、
図6及び
図7では、作業記録データを簡略化し図示している。
【0042】
図8及び
図9に、インターネットを介して管理者が運営する記録システムに接続することで閲覧する育成状態記録撮影データ及び作業記録データの一例を示す。
【0043】
制御装置50は、データベースに記憶されたグラフ作成プログラムに基づいて、
図8~
図10に示すようなグラフを作成する。ここで、
図8~
図10に示すグラフは、温度の変化、湿度の変化、CO
2濃度の変化を示すグラフである。同様に、制御装置50は、照度の変化を示すグラフ、土壌水分量の変化を示すグラフ、電気伝導率ECを示すグラフ(いずれも図示せず)を作成する。
【0044】
[最適栽培環境導出]
データベース68には、各センサ61~65の計測データ、育成状態計測カメラ71で撮影された育成状態撮影データ、及び、作業記録カメラ72で撮影された作業記録動画データは、それぞれ紐づけられて記憶されている。
【0045】
栽培環境導出部76は、育成状態記録撮影データを画像解析し、適切に育成された植物Pであるか否かを判定する。栽培環境導出部76は、育成状態記録撮影データから適切に育成された植物Pであると判定した場合に、この植物Pに紐づけられた各センサ61~66の計測データ及び作業記録データを検索する。この検索された各センサ61~66の計測データ及び作業記録データは、適切なデータとしての情報が付加されて記憶される。
【0046】
一方、栽培環境導出部76は、適切に育成されていない(例えば、害虫が付いた)植物Pであると判定した場合に、この植物Pに紐づけられた各センサ61~66の計測データ及び作業記録データを検索する。この検索された各センサ61~66の計測データ及び作業記録データは、不適切なデータとしての情報が付加されて記憶される。
【0047】
栽培環境導出部76は、適切なデータとしての情報が付加された各センサ61~66の計測データ及び作業記録データと、不適切なデータとしての情報が付加された各センサ61~66の計測データ及び作業記録データとを比較して、異なる部分を探す。
【0048】
栽培環境導出部76は、探し出した異なる部分のタイミングで植物Pに害虫が付いたことを認定し、その旨を示す音声(例えば、「×時の温度が設定温度よりも高くなっていたため、植物に害虫が付きました」)をスピーカ73から出力させる。
【0049】
さらに、栽培環境導出部76は、適切なデータとしての情報が付加された各センサ61~66の計測データ及び作業記録データにおいて上記異なる部分の情報を、適切な作業方法として導出し、その旨を示す音声(例えば、「×時の温度が設定温度と同じである場合には、植物に害虫が付きませんでした」)をスピーカ73から出力させる。
【0050】
栽培環境導出部76は、探し出した異なる部分は、上記したものに限らず、例えば、×時に灌水を行っていることを、異なる部分であるとして探し出す場合もある。この場合、例えば、その旨を示す音声(例えば、「×時に灌水を行ったため、植物に害虫が付きました」)をスピーカ73から出力させ、さらに、「×時に灌水を行わなかった場合には、植物に害虫が付きませんでした」)をスピーカ73から出力させる。
【0051】
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0052】
例えば、上記実施形態では、温度、湿度、CO2濃度、照度、土壌水分量、電気伝導率ECを計測しているが、少なくとも1つを計測すれば本発明は実施可能である。
【0053】
また、作業記録カメラ72は設けないようにしてもよく、この場合、栽培環境導出部76は、各センサ61~66の計測データに基づいて、植物栽培に適した栽培環境を導出する。
【0054】
さらに、上記実施形態では、ベース22を、樹脂(FRP)製で形成しているが、軽量な樹脂製であれば適宜変更可能であり、例えば、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)製でもよく、さらには、樹脂に限らず、軽量なゴム、金属(例えば、アルミ)等により形成することで、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
また、
図11に示すように、ベース100を、複数のベース部材を連結して構成するようにしてもよい。
【0056】
図11Aに示すように、第1のベース100は、前ベース部材101と、後ベース部材102と、中間ベース部材103とを連結して構成され、有底筒状に形成されている。前ベース部材101は、ベース100の前端部を構成し、後ベース部材102は、ベース100の後端部を構成し、中間ベース部材103は、ベース100の前ベース部材101と後ベース部材102との間の中間部を構成する。
【0057】
各ベース部材101~103の連結は、例えば、一方のベース部材の凸部を、他方のベース部材の凹部に挿入することで行われる。なお、連結方法は適宜変更可能であり、例えば、各ベース部材101~103とは別に、連結部材を設けるようにしてもよい。
【0058】
図11Bに示すように、第2のベース100は、前ベース部材101及び後ベース部材102と、2個の中間ベース部材103とを連結して構成され、有底筒状に形成されている。ている。中間ベース部材103を2個設けることで、第2のベース100のサイズ(前後方向の長さ)を、
図11Aに示す第1のベース100よりも大きくすることができる。これにより、サイズの異なる小温室12に対応可能となる。
【0059】
さらに、ベース100を、複数のベース部材に分割して持ち運ぶことができるので、より一層利便性が向上する。また、ベース100を、複数のベース部材に分割して保管することができるので、保管スペースを小さくすることができる。
【0060】
なお、中間ベース部材103の数は適宜変更可能であり、3個以上連結させてもよく、さらには、中間ベース部材103を設けずに、前ベース部材101と後ベース部材102とを連結させるようにしてもよい。また、中間ベース部材103として、サイズ(前後方向の長さ)が異なる複数種類設けるようにしてもよい。
【0061】
また、前後方向に変えて、又は加えて、左右方向にサイズ変更可能な複数のベース部材からベースを構成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…植物栽培システム、11…大温室(第1温室)、12…小温室(第2温室)、21…カバー、22,100…ベース、101…前ベース部材、102…後ベース部材、103…中間ベース部材