(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】音伝達装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/16 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
G06F3/16 650
(21)【出願番号】P 2018002732
(22)【出願日】2018-01-11
【審査請求日】2020-12-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118108
【氏名又は名称】久保 洋之
(72)【発明者】
【氏名】木村 努
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-069687(JP,A)
【文献】特開2007-334968(JP,A)
【文献】特開2008-300894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置が装着された使用者の周囲の外部音を取得する取得手段と、
前記取得手段により前記外部音が取得された場合、予め定められた条件が満たされれば、伝達が予定されていた第1の音情報の伝達を停止し、当該外部音を電子化した第2の音情報を前記使用者に伝達する伝達手段と
を備え、
前記予め定められた条件は、前記第1の音情報及び前記第2の音情報の種類の組み合わせに対して、当該第1の音情報の伝達を停止して当該第2の音情報を伝達すべきことを示す設定情報が設定されているという条件であり、
前記設定情報は、前記使用者が置かれた環境ごとに設定されることを特徴とする音伝達装置。
【請求項2】
使用者に装着されるコンピュータに、
前記使用者の周囲の外部音を取得する機能と、
前記外部音が取得された場合、予め定められた条件が満たされれば、伝達が予定されていた第1の音情報の伝達を停止し、当該外部音を電子化した第2の音情報を前記使用者に伝達する機能と
を実現させ、
前記予め定められた条件は、前記第1の音情報及び前記第2の音情報の種類の組み合わせに対して、当該第1の音情報の伝達を停止して当該第2の音情報を伝達すべきことを示す設定情報が設定されているという条件であり、
前記設定情報は、前記使用者が置かれた環境ごとに設定されることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音伝達装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基本的に一人のヒトと一つの物の間での会話を想定している音声認識や合成の技術を利用したシステムでは、今後、音声認識および合成の機能を持ったシステムがますます増加し、それらが複数でヒトと混在した場合、一つのシステムに対して発した命令を複数のシステムが誤って実行してしまったり、また、あるシステムがヒトに対して発した応答を別のシステムが自身に対しての命令と誤った解釈をしてしまうといった問題が必然的に発生するものと予測されることが、記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使用者が装着する音伝達装置が、伝達が予定されていた音情報を使用者に伝達している際に、使用者の周囲で外部音が発生することがある。このとき、伝達が予定されていた音情報を使用者に伝達しながら使用者の周囲の外部音もそのまま流す構成を採用した場合には、伝達が予定されていた音情報と区別して使用者の周囲の外部音を使用者に伝達することは、音伝達装置の装着を一旦解除する等の煩わしい作業を必要とし、容易ではない。
【0005】
本発明の目的は、伝達が予定されていた音情報と区別して使用者の周囲の外部音を使用者に伝達することを容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、自装置が装着された使用者の周囲の外部音を取得する取得手段と、前記取得手段により前記外部音が取得された場合、予め定められた条件が満たされれば、伝達が予定されていた第1の音情報の伝達を停止し、当該外部音を電子化した第2の音情報を前記使用者に伝達する伝達手段とを備え、前記予め定められた条件は、前記第1の音情報及び前記第2の音情報の種類の組み合わせに対して、当該第1の音情報の伝達を停止して当該第2の音情報を伝達すべきことを示す設定情報が設定されているという条件であり、前記設定情報は、前記使用者が置かれた環境ごとに設定されることを特徴とする音伝達装置である。
請求項2に記載の発明は、使用者に装着されるコンピュータに、前記使用者の周囲の外部音を取得する機能と、前記外部音が取得された場合、予め定められた条件が満たされれば、伝達が予定されていた第1の音情報の伝達を停止し、当該外部音を電子化した第2の音情報を前記使用者に伝達する機能とを実現させ、前記予め定められた条件は、前記第1の音情報及び前記第2の音情報の種類の組み合わせに対して、当該第1の音情報の伝達を停止して当該第2の音情報を伝達すべきことを示す設定情報が設定されているという条件であり、前記設定情報は、前記使用者が置かれた環境ごとに設定されることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、伝達が予定されていた音情報と区別して使用者の周囲の外部音を使用者に伝達することを、使用者が置かれた環境ごとに設定することができる。
請求項2の発明によれば、伝達が予定されていた音情報と区別して使用者の周囲の外部音を使用者に伝達することを、使用者が置かれた環境ごとに設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施の形態における端末装置の機能構成例を示したブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態における端末装置の動作例を示したフローチャートである。
【
図3】本発明の第2の実施の形態における端末装置の機能構成例を示したブロック図である。
【
図4】本発明の第2の実施の形態における端末装置の話し掛けられるユーザによって使用される際の動作例を示したフローチャートである。
【
図5】本発明の第2の実施の形態における端末装置の話し掛けるユーザによって使用される際の動作例を示したフローチャートである。
【
図6】本発明の第3の実施の形態における端末装置の機能構成例を示したブロック図である。
【
図7】本発明の第3の実施の形態における端末装置の優先順位記憶部に記憶された優先順位情報の例を示したブロック図である。
【
図8】本発明の第3の実施の形態における端末装置の動作例を示したフローチャートである。
【
図9】本発明の第4の実施の形態における端末装置の機能構成例を示したブロック図である。
【
図10】本発明の第4の実施の形態における端末装置の動作例を示したフローチャートである。
【
図11】本発明の第1乃至第4の実施の形態における端末装置のハードウェア構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
ユーザの聴覚に直接情報を伝達するヒアラブルデバイス等の端末装置を装着して音声データを聴いているユーザは、他のユーザから話し掛けられると、音声データを一旦停止させ、話し掛けたユーザとの会話の終了後に、途中から音声データを再開させなければならない。また、話し掛けられたユーザは、話し掛けたユーザの声が聞き取れず、聞き直してしまうことがある。更に、話し掛けるユーザは、ヒアラブルデバイス等の端末装置を装着しているユーザに話し掛けてよいタイミングが分からず、待ってしまうこともある。
【0011】
こうしたことから、端末装置を装着して音声データを聴いているユーザに他のユーザが話し掛け、聴いている音声データと区別して他のユーザの話し掛ける音声を伝達することは容易ではない。
【0012】
そこで、本実施の形態は、使用者(ユーザ)の周囲の外部音が取得された場合、予め定められた条件が満たされれば、伝達が予定されていた第1の音情報の伝達を停止し、外部音を電子化した第2の音情報をユーザに伝達する端末装置を提供する。ここで、予め定められた条件としては、これに限るものではないが、以下では、3つの条件を想定する。第1の条件は、第1の音情報の伝達を停止して第2の音情報を伝達することをユーザが許可したことを示す条件である。第2の条件は、外部音が発せられるよりも前に設定された条件である。第3の条件は、第1の音情報の伝達を停止して第2の音情報を伝達することを、外部音を発した音源が要求したことを示す条件である。
【0013】
以下、外部音として外部音声を例にとり、外部音を発した音源として話し掛けたユーザを例にとり、第1の音情報を再生予定音声データとし、第2の音情報を外部音声データとして、第1の条件から第3の条件を用いた実施の形態を説明する。具体的には、第1の条件を用いた実施の形態を第1の実施の形態及び第2の実施の形態とし、第2の条件を用いた実施の形態を第3の実施の形態とし、第3の条件を用いた実施の形態を第4の実施の形態として、説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
本実施の形態では、接近する外部音声が音入力部に入力されると、端末装置が、この外部音声を電子音声処理し、電子情報(外部音声データ)として割り込み処理し再生する。そして、割り込み処理された外部音声データを先行して再生するかどうかの再生判定部の判定結果に従い、再生が予定されていた音声の電子情報(再生予定音声データ)を保留するかどうかを決定する。その際、外部音声データを先行して再生するかどうかは、端末装置のスイッチの押下により判定してもよいし、端末装置に内蔵された加速度検知部で検知された頭の動きにより判定してもよいし、端末装置に内蔵された動作検知部で検知された手の動きにより判定してもよい。
【0015】
図1は、第1の実施の形態における端末装置10の機能構成例を示したブロック図である。図示するように、第1の実施の形態における端末装置10は、外部音声取得部11と、音声電子化処理部12と、再生判定部14と、再生制御部15とを備える。
【0016】
外部音声取得部11は、接近する外部音声が音入力部96(
図11参照)に入力されると、この外部音声を音入力部96から取得する。本実施の形態では、外部音を取得する取得手段の一例として、外部音声取得部11を設けている。
【0017】
音声電子化処理部12は、外部音声取得部11が取得した外部音声を電子化して外部音声データとし、再生制御部15が再生を制御している再生予定音声データに対して割り込み処理を行う。具体的には、外部音声を検出したことを示す信号(以下、「外部音声検出信号」という)を再生制御部15に通知し、その後、外部音声データを再生制御部15に通知する。
【0018】
再生判定部14は、外部音声データを先行して再生してよいかを判定する。具体的には、端末装置10のユーザが外部音声データを先行して再生することを許可したかどうかを判定する。この判定は、端末装置10の操作部94(
図11参照)が操作されたかどうかを判定することであってよい。この場合、操作部94の操作としては、操作部94のスイッチが押下されること等がある。或いは、この判定は、ユーザの予め定められた動作が検出されたかどうかを判定することであってもよい。この場合、予め定められた動作の検出としては、ユーザの身体の端末装置10が装着された部位(例えば、頭)を動かす動作が加速度検知部98(
図11参照)により検知されること、ユーザが身体の部位(例えば、手)を動作検知部99(
図11参照)の前で動かす動作が動作検知部99により検知されること等がある。
【0019】
再生制御部15は、再生予定音声データ、外部音声検出信号、及び、外部音声データの再生を制御する。つまり、音出力部97(
図11参照)への出力を制御する。具体的には、再生予定音声データの再生を制御している際に音声電子化処理部12から外部音声検出信号が通知されると、この外部音声検出信号を再生するように制御する。その後、再生判定部14が外部音声データを先行して再生してよいと判定すると、再生予定音声データの再生を保留して外部音声データを再生するように制御する。本実施の形態では、第1の音情報の伝達を停止し、第2の音情報を使用者に伝達する伝達手段の一例として、再生制御部15を設けている。
【0020】
図2は、第1の実施の形態における端末装置10の動作例を示したフローチャートである。
【0021】
図示するように、端末装置10では、まず、外部音声取得部11が、接近する外部音声が音入力部96に入力されたかどうかを判定する(ステップ101)。そして、接近する外部音声が音入力部96に入力されたと判定しなければ、ステップ101を繰り返し、接近する外部音声が音入力部96に入力されたと判定すれば、その外部音声を取得する(ステップ102)。
【0022】
すると、音声電子化処理部12が、ステップ102で取得された外部音声を電子化して、外部音声データを生成する(ステップ103)。そして、再生制御部15により再生が制御されている再生予定音声データに外部音声データとして割り込み処理を行う(ステップ104)。
【0023】
これにより、再生制御部15が、外部音声検出信号を再生する(ステップ105)。具体的には、再生予定音声データを再生するように音出力部97を制御している際に、外部音声検出信号を再生するように音出力部97を制御する。
【0024】
この状態で、再生判定部14が、ステップ103で生成された外部音声データを再生予定音声データに先行して再生することを端末装置10のユーザが許可しているかどうかを判定する(ステップ106)。
【0025】
その結果、ステップ103で生成された外部音声データを再生予定音声データに先行して再生することを端末装置10のユーザが許可していると再生判定部14により判定されれば、再生制御部15は、再生予定音声データの再生を保留して外部音声データを再生する(ステップ107)。具体的には、再生予定音声データの再生を一旦停止し、外部音声データを先に再生するよう、音出力部97を制御する。その後、外部音声への対応が終了すると、再生制御部15は、ステップ107で保留した再生予定音声データを再生する(ステップ108)。具体的には、一旦停止していた再生予定音声データの再生を再開するように、音出力部97を制御する。そして、処理は、ステップ101へ戻る。
【0026】
一方、ステップ106において、ステップ103で生成された外部音声データを再生予定音声データに先行して再生することを端末装置10のユーザが許可していると再生判定部14により判定されなければ、端末装置10は、そのまま処理を終了する。その際、端末装置10のユーザは、話し掛けたユーザに対して、対応できないことを肉声で伝える。
【0027】
[第2の実施の形態]
本実施の形態では、端末装置が、外部音声データを先行して再生しない場合、話し掛けたユーザが登録(認証)済の応答可能な端末装置を装着していることを検出すれば、対応できないことに関する詳細情報を、話し掛けたユーザの端末装置に音声データで伝える。詳細情報は、例えば、空きスケジュール情報とすればよい。また、話し掛けたユーザが未登録(未認証)の応答可能な端末装置を装着していることを検出すれば、パブリックコメントを音声データで伝える。パブリックコメントは、例えば、「ただ今対応できません」といったメッセージの他、「対応できませんので折り返し連絡ください」といった登録(承認)を促すメッセージでもよい。一方、話し掛けたユーザが応答可能な端末装置を装着していない場合は、周辺にウェアラブルデバイス、スマートスピーカ、ディスプレイ等の対応機器を検出すれば、パブリックコメントを音声データ又はテキストデータで伝える。パブリックコメントは、例えば、「ただ今対応できません」という個人を特定できないメッセージとすればよい。或いは、対応できないことを肉声で伝えるよう促してもよい。
【0028】
図3は、第2の実施の形態における通信システムの機能構成例を示したブロック図である。図示するように、第2の実施の形態における通信システムは、端末装置20aと端末装置20bとが無線により通信可能に接続されることにより構成されている。そして、端末装置20aは、外部音声取得部21aと、音声電子化処理部22aと、再生判定部24aと、再生制御部25aと、受信部26aと、端末判別部27aと、機器検出部28aと、送信部29aとを備え、端末装置20bは、外部音声取得部21bと、音声電子化処理部22bと、再生判定部24bと、再生制御部25bと、受信部26bと、端末判別部27bと、機器検出部28bと、送信部29bとを備える。ここで、端末装置20a及び端末装置20bのうち、一方は話し掛けられるユーザによって使用され、もう一方は話し掛けるユーザによって使用されるものとする。但し、その機能構成は同じなので、ここでは、各構成要素を、「a」及び「b」を付さずに説明する。
【0029】
外部音声取得部21及び音声電子化処理部22は、第1の実施の形態における外部音声取得部11及び音声電子化処理部12と同じなので、ここでの説明は省略する。尚、本実施の形態では、端末装置20が話し掛けられるユーザによって使用される場合に、外部音声取得部21が外部音声を電子化した外部音声データを「第1外部音声データ」と呼ぶこととし、端末装置20が話し掛けるユーザによって使用される場合に、外部音声取得部21が外部音声を電子化した外部音声データを「第2外部音声データ」と呼ぶこととする。
【0030】
再生判定部24は、第1外部音声データを先行して再生してよいかを判定する。具体的には、端末装置20のユーザが外部音声データを先行して再生することを許可したかどうかを判定する。この判定は、端末装置10の操作部94(
図11参照)が操作されたかどうかを判定することであってよい。この場合、操作部94の操作としては、操作部94のスイッチが押下されること等がある。或いは、この判定は、ユーザの予め定められた動作が検出されたかどうかを判定することであってもよい。この場合、予め定められた動作の検出としては、ユーザの身体の端末装置10が装着された部位(例えば、頭)を動かす動作が加速度検知部98(
図11参照)により検知されること、ユーザが身体の部位(例えば、手)を動作検知部99(
図11参照)の前で動かす動作が動作検知部99により検知されること等がある。
【0031】
再生制御部25は、再生予定音声データ、外部音声検出信号、及び、第1外部音声データの再生を制御する。つまり、音出力部97(
図11参照)への出力を制御する。具体的には、再生予定音声データの再生を制御している際に音声電子化処理部22から外部音声検出信号が通知されると、この外部音声検出信号を再生するように制御する。その後、再生判定部24が第1外部音声データを先行して再生してよいと判定すると、再生予定音声データの再生を保留して第1外部音声データを再生するように制御する。本実施の形態では、第1の音情報の伝達を停止し、第2の音情報を使用者に伝達する伝達手段の一例として、再生制御部25を設けている。また、端末装置20が話し掛けるユーザによって使用される場合は、話し掛けられるユーザによって使用される他の端末装置20から外部音声に対応できないことに関する詳細情報又はパブリックコメントを受信すると、その詳細情報又はパブリックコメントの再生を制御する。つまり、音出力部97(
図11参照)への出力を制御する。
【0032】
受信部26は、端末装置20が話し掛けられるユーザによって使用される場合は、話し掛けるユーザによって使用される他の端末装置20から、第2外部音声データと、他の端末装置20を示す端末情報とを受信する。また、端末装置20が話し掛けるユーザによって使用される場合は、話し掛けられるユーザによって使用される他の端末装置20から、外部音声に対応できないことに関する詳細情報又はパブリックコメントを受信する。
【0033】
端末判別部27は、端末装置20が話し掛けられるユーザによって使用される場合に、受信部26が他の端末装置20から第2外部音声データと端末情報とを受信すると、第2外部音声データと端末情報とを用いて、他の端末装置20が話し掛けたユーザによって使用される登録済の端末装置20であるかどうかを判別する。具体的には、受信部26が受信した端末情報が自端末装置20に登録されており、かつ、自端末装置20の音入力部96から取得した外部音声を電子化した第1外部音声データと受信部26が受信した第2外部音声データとが類似していれば、他の端末装置20が話し掛けたユーザによって使用される登録済の端末装置20であると判別する。ここで、第1外部音声データと第2外部音声データとが類似しているかどうかは、第1外部音声データと第2外部音声データとの類度度が閾値以上であるかどうかによって判定すればよい。但し、他の端末装置20が話し掛けたユーザによって使用されているかどうかを判別する方法は、これには限らず、例えば、指向性を有する通信により判別する方法等を用いてもよい。
【0034】
機器検出部28は、端末装置20が話し掛けられるユーザによって使用される場合に、受信部26が他の端末装置20から第2外部音声データと端末情報とを受信しなければ、自端末装置20の周辺から対応機器を検出する。
【0035】
送信部29は、端末装置20が話し掛けられるユーザによって使用される場合は、他の端末装置20又は対応機器へ外部音声に対応できないことに関する詳細情報又はパブリックコメントを送信する。具体的には、話し掛けるユーザによって使用される登録済の他の端末装置20へは、外部音声に対応できないことに関する詳細情報を送信する。ここで、詳細情報には、話し掛けられるユーザの空きスケジュール情報等を含めてよい。また、話し掛けるユーザ以外のユーザによって使用される登録済の他の端末装置20、未登録の他の端末装置20、又は、自端末装置20の周辺から検出された対応機器へは、外部音声に対応できないことに関するパブリックコメントを送信する。ここで、パブリックコメントには、話し掛けられるユーザ及び話し掛けるユーザの個人情報を含めないようにするとよい。本実施の形態では、外部音が使用者に伝達されない旨を通知する通知手段の一例として、送信部29を設けている。また、外部音を発した発音者が装着する他の音伝達装置の一例として、話し掛けるユーザによって使用される登録済の他の端末装置20を用いており、使用者に関する情報の一例として、スケジュール情報等を用いており、使用者及び発音者の少なくとも何れか一方に関する情報の一例として、話し掛けられるユーザ及び話し掛けるユーザの個人情報を用いている。更に、自装置の周囲にある自装置とは異なる種類の他の装置の一例として、自端末装置20の周辺から検出された対応機器を用いている。また、端末装置20が話し掛けるユーザによって使用される場合は、音声電子化処理部22が外部音声を電子化した第2外部音声データと、自端末装置20を示す端末情報とを送信する。
【0036】
図4及び
図5は、第2の実施の形態における端末装置20a及び端末装置20bの動作例を示したフローチャートである。尚、ここでは、端末装置20aが話し掛けられるユーザによって使用され、端末装置20bが話し掛けるユーザによって使用されるものとして説明する。
【0037】
図4に示すように、端末装置20aでは、まず、外部音声取得部21aが、接近する外部音声が音入力部96に入力されたかどうかを判定する(ステップ201)。そして、接近する外部音声が音入力部96に入力されたと判定しなければ、ステップ201を繰り返し、接近する外部音声が音入力部96に入力されたと判定すれば、その外部音声を取得する(ステップ202)。
【0038】
すると、音声電子化処理部22aが、ステップ202で取得された外部音声を電子化して、第1外部音声データを生成する(ステップ203)。そして、再生制御部25aにより再生が制御されている再生予定音声データに外部音声データとして割り込み処理を行う(ステップ204)。
【0039】
これにより、再生制御部25aが、外部音声検出信号を再生する(ステップ205)。具体的には、再生予定音声データを再生するように音出力部97を制御している際に、外部音声検出信号を再生するように音出力部97を制御する。
【0040】
この状態で、再生判定部24aが、ステップ203で生成された第1外部音声データを再生予定音声データに先行して再生することを端末装置20aのユーザが許可しているかどうかを判定する(ステップ206)。
【0041】
その結果、ステップ203で生成された第1外部音声データを再生予定音声データに先行して再生することを端末装置20のユーザが許可していると再生判定部24aにより判定されれば、再生制御部25aは、再生予定音声データの再生を保留して第1外部音声データを再生する(ステップ207)。具体的には、再生予定音声データの再生を一旦停止し、外部音声データを先に再生するよう、音出力部97を制御する。その後、外部音声への対応が終了すると、再生制御部25aは、ステップ207で保留した再生予定音声データを再生する(ステップ208)。具体的には、一旦停止していた再生予定音声データの再生を再開するように、音出力部97を制御する。そして、処理は、ステップ201へ戻る。
【0042】
一方で、本実施の形態では、
図5に示すように、端末装置20bで、外部音声取得部21bが、音入力部96に入力された外部音声、つまり、話し掛けたユーザが発した音声を取得する(ステップ251)。
【0043】
すると、音声電子化処理部22bが、ステップ251で取得された外部音声を電子化して、第2外部音声データを生成する(ステップ252)。
【0044】
これにより、音声電子化処理部22bは、第2外部音声データを送信部29bに通知し、送信部29bが、第2外部音声データと端末情報とを周辺の端末装置20へ送信する(ステップ253)。
【0045】
また、
図4に示すように、端末装置20aでは、ステップ206において、ステップ203で生成された第1外部音声データを再生予定音声データに先行して再生することを端末装置20aのユーザが許可していると再生判定部24aにより判定されなければ、受信部26aが、他の端末装置20から第2外部音声データ及び端末情報を受信したかどうかを判定する(ステップ209)。
【0046】
その結果、他の端末装置20から第2外部音声データ及び端末情報を受信したと受信部26aにより判定されれば、端末判別部27aが、ステップ209で受信された端末情報が端末装置20aに登録済であるかどうかを判定する(ステップ210)。そして、ステップ209で受信された端末情報が端末装置20aに登録済であると判定すれば、ステップ203で生成された第1外部音声データとステップ209で受信された第2外部音声データとが類似するかどうかを判定する(ステップ211)。つまり、第2外部音声データ及び端末情報を送信した他の端末装置20が端末装置20bであるかどうかを判定する。端末装置20aに端末情報が登録された複数の端末装置20が端末装置20aの周辺に存在し、それら複数の端末装置20のユーザが同じタイミングで誰かに話し掛けた場合において、それら複数の端末装置20の中から端末装置20bを特定するために、このような判定を行っている。
【0047】
ここで、ステップ203で生成された第1外部音声データとステップ209で受信された第2外部音声データとが類似すると端末判別部27aにより判定されれば、送信部29aが、外部音声に対応できないことに関する詳細情報を端末装置20bへ送信する(ステップ212)。そして、処理は、ステップ201へ戻る。
【0048】
また、ステップ210において、ステップ209で受信された端末情報が端末装置20aに登録済でないと判定されれば、送信部29aが、外部音声に対応できないことに関するパブリックコメントを、第2外部音声データと端末情報とを送信した端末装置20へ送信する(ステップ213)。そして、処理は、ステップ201へ戻る。
【0049】
更に、ステップ209で、他の端末装置20から第2外部音声データ及び端末情報を受信していないと受信部26aにより判定されれば、機器検出部28aが、端末装置20aの周辺に対応機器があるかどうかを判定する(ステップ214)。ここで、端末装置20aの周辺に対応機器があると機器検出部28aにより判定されれば、送信部29aが、外部音声に対応できないことに関するパブリックコメントを、音声データ又はテキストデータで、ステップ214で検出された対応機器へ送信する(ステップ215)。また、端末装置20aの周辺に対応機器があると機器検出部28aにより判定されなければ、再生制御部25aが、外部音声に対応できないことを肉声で伝えるように促す(ステップ216)。更に、ステップ211において、ステップ203で生成された第1外部音声データとステップ209で受信された第2外部音声データとが類似すると判定されなかった場合も、再生制御部25aが、外部音声に対応できないことを肉声で伝えるように促す(ステップ216)。具体的には、外部音声に対応できないことを肉声で伝えるように促すメッセージを再生するよう、音出力部97を制御する。そして、何れの場合も、処理は、ステップ201へ戻る。
【0050】
尚、本実施の形態では、端末判別部27aが、ステップ210で、受信部26aが受信した端末情報が端末装置20aに登録されているかどうかを判定し、ステップ211で、音声電子化処理部22aが生成した第1外部音声データと受信部26aが受信した第2外部音声データとが類似しているかどうかを判定するようにしたが、この限りではない。ステップ210での端末情報が端末装置20aに登録されているかどうかの判定、及び、ステップ211での第1外部音声データと第2外部音声データとが類似しているかどうかの判定の何れか一方のみを行うようにしてもよい。
【0051】
また、本実施の形態では、機器検出部28a,28bを設け、ステップ209で他の端末装置20から第2外部音声データ及び端末情報を受信していないと受信部26aにより判定されれば、ステップ214で、機器検出部28aが、端末装置20aの周辺に対応機器があるかどうかを判定することとした。そして、対応機器があると機器検出部28aにより判定されれば、ステップ215で、送信部29aが、外部音声に対応できないことに関するパブリックコメントを対応機器へ送信し、対応機器があると機器検出部28aにより判定されなければ、ステップ216で、再生制御部25aが、外部音声に対応できないことを肉声で伝えるように促すこととした。しかしながら、機器検出部28a,28bは設けなくてもよい。そして、ステップ209で他の端末装置20から第2外部音声データ及び端末情報を受信していないと受信部26aにより判定されれば、端末装置20aの周辺に対応機器があるかどうかを判定することなく、ステップ216で、再生制御部25aが、外部音声に対応できないことを肉声で伝えるように促すこととしてもよい。
【0052】
[第3の実施の形態]
本実施の形態では、外部音声データを含む複数種類の音声データについて、その何れを先行して再生するかを示す環境ごとの優先順位を、ユーザが事前に設定しておき、端末装置が、外部音声データを再生予定音声データに先行して再生するかどうかをこの優先順位に従って決定する。
【0053】
図6は、第3の実施の形態における端末装置30の機能構成例を示したブロック図である。図示するように、第3の実施の形態における端末装置30は、外部音声取得部31と、音声電子化処理部32と、優先順位記憶部33と、再生判定部34と、再生制御部35と、端末判別部37と、送信部39とを備える。
【0054】
外部音声取得部31及び音声電子化処理部32は、第1の実施の形態における外部音声取得部11及び音声電子化処理部12と同じなので、ここでの説明は省略する。
【0055】
優先順位記憶部33は、複数種類の音声データについてどの種類の音声データをどの種類の音声データに先行して再生するかの優先順位を示す情報(以下、「優先順位情報」という)を記憶する。本実施の形態では、第1の音情報及び第2の音情報の種類の組み合わせに対して、第1の音情報の伝達を停止して第2の音情報を伝達すべきことを示す設定情報が設定された情報の一例として、優先順位情報を用いている。この優先順位情報については、後で詳細に説明する。
【0056】
再生判定部34は、外部音声データを先行して再生してよいかを判定する。具体的には、優先順位記憶部33に記憶された優先順位情報において、外部音声データの優先順位が再生予定音声データの優先順位よりも高いことが定義されているかどうかを判定する。
【0057】
再生制御部35は、再生予定音声データ、外部音声検出信号、及び、外部音声データの再生を制御する。つまり、音出力部97(
図11参照)への出力を制御する。具体的には、再生予定音声データの再生を制御している際に音声電子化処理部32から外部音声検出信号が通知されると、この外部音声検出信号を再生するように制御する。その後、再生判定部34が外部音声データを先行して再生してよいと判定すると、再生予定音声データの再生を保留して外部音声データを再生するように制御する。また、端末装置30のユーザに話し掛けたユーザが使用している他の端末装置30が応答可能なものであると端末判別部37により判別されなかった場合に、外部音声に対応できないことを再生するよう、音出力部97を制御する。本実施の形態では、第1の音情報の伝達を停止し、第2の音情報を使用者に伝達する伝達手段の一例として、再生制御部35を設けている。
【0058】
端末判別部37は、端末装置30のユーザに話し掛けたユーザが使用している他の端末装置30が応答可能なものであるかどうかを判別する。例えば、第2の実施の形態に示したように、他の端末装置30が取得した外部音声を電子化した外部音声データと他の端末装置30の端末情報とを受信し、自端末装置30に端末情報が登録され、かつ、受信した外部音声データと自端末装置30で取得した外部音声を電子化した外部音声データとが類似するかどうかを判定することにより、この判別を行ってもよい。或いは、指向性を有する通信により判別する方法等を用いてもよい。
【0059】
送信部39は、端末装置30のユーザに話し掛けたユーザが使用している他の端末装置30が応答可能なものであると端末判別部37により判別された場合に、外部音声に対応できないことを他の端末装置30へ送信する。
【0060】
図7は、優先順位記憶部33に記憶された優先順位情報の例を示した図である。図示するように、優先順位情報は、音声データの種類として、電話と、外部音声と、情報と、音楽と、外部周囲音とを含む。そして、これらの種類のそれぞれに対して、ユーザが置かれる環境ごとに、優先順位を定義している。尚、ここでは、優先順位は、数値が小さい方が、優先度が高いものとしている。
【0061】
まず、環境#1は、通常の環境である。この通常の環境においては、電話が「優先順位1」に、外部音声が「優先順位2」に、情報が「優先順位3」に、音楽が「優先順位4」に、外部周囲音が「優先順位5」に、それぞれ設定されている。
【0062】
また、環境#2は、会議の環境である。この会議の環境においては、例えば、会議中に出て来た事項を調査してその結果を端末装置30で再生することが考えられるので、情報が「優先順位2」に設定されている。しかしながら、調査した結果を再生中であっても、会議で発話者が発話を開始すれば、その発話内容を再生しなければならないので、外部音声が「優先順位1」に設定されている。
【0063】
更に、環境#3は、集中業務の環境である。この集中業務の環境においては、例えば、集中業務中に出て来た事項を調査してその結果を端末装置30で再生することが考えられるので、情報が「優先順位2」に設定されている。しかしながら、調査した結果を再生中であっても、集中すべき時間が来れば集中しなければならない。ここでは、端末装置30のユーザが音楽を聴きながら集中する人であるものとし、音楽が「優先順位1」に設定されている。
【0064】
図8は、第3の実施の形態における端末装置30の動作例を示したフローチャートである。
【0065】
図示するように、端末装置30では、まず、外部音声取得部31が、接近する外部音声が音入力部96に入力されたかどうかを判定する(ステップ301)。そして、接近する外部音声が音入力部96に入力されたと判定すれば、その外部音声を取得する(ステップ302)。
【0066】
すると、音声電子化処理部32が、ステップ302で取得された外部音声を電子化して、外部音声データを生成する(ステップ303)。そして、再生制御部35により再生が制御されている再生予定音声データに外部音声データとして割り込み処理を行う(ステップ304)。
【0067】
これにより、再生制御部35が、外部音声検出信号を再生する(ステップ305)。具体的には、再生予定音声データを再生するように音出力部97を制御している際に、外部音声検出信号を再生するように音出力部97を制御する。
【0068】
この状態で、再生判定部34が、優先順位記憶部33に記憶された優先順位情報を参照して、ステップ303で生成された外部音声データの優先順位が再生予定音声データの優先順位よりも高いかどうかを判定する(ステップ306)。例えば、端末装置30の操作部94(
図11参照)でユーザが環境を設定しておき、優先順位記憶部33に記憶された優先順位情報のうちこの設定された環境に対応する情報を参照して、このような判定を行えばよい。
【0069】
その結果、ステップ303で生成された外部音声データの優先順位が再生予定音声データの優先順位よりも高いと再生判定部34により判定されれば、再生制御部35は、再生予定音声データの再生を保留して外部音声データを再生する(ステップ307)。具体的には、再生予定音声データの再生を一旦停止し、外部音声データを先に再生するよう、音出力部97を制御する。その後、外部音声への対応が終了すると、再生制御部35は、ステップ307で保留した再生予定音声データを再生する(ステップ308)。具体的には、一旦停止していた再生予定音声データの再生を再開するように、音出力部97を制御する。そして、処理は、ステップ301へ戻る。
【0070】
一方、ステップ306において、ステップ303で生成された外部音声データの優先順位が再生予定音声データの優先順位よりも高いと再生判定部34により判定されなければ、端末判別部37が、端末装置30のユーザに話し掛けたユーザの端末装置10が応答可能なものであるかどうかを判別する(ステップ309)。ここで、端末装置30のユーザに話し掛けたユーザによって使用される他の端末装置30が応答可能なものであると端末判別部37により判別されれば、送信部39が、外部音声に対応できないことを他の端末装置30へ送信する(ステップ310)。また、端末装置30のユーザに話し掛けたユーザによって使用される他の端末装置30が応答可能なものであると端末判別部37により判別されなければ、再生制御部35が、外部音声に対応できないことを肉声で伝えるように促す(ステップ311)。具体的には、外部音声に対応できないことを肉声で伝えるように促すメッセージを再生するよう、音出力部97を制御する。そして、何れの場合も、処理は、ステップ301へ戻る。
【0071】
[第4の実施の形態]
本実施の形態では、第3の実施の形態で外部音声データの優先順位が再生予定音声データの優先順位よりも高いと判定されない場合であっても、話し掛けたユーザが応答可能な端末装置を装着しており、かつ、その端末装置から急ぎ信号を受信すれば、端末装置が、「優先順位1」の外部音声データとして割り込み処理をし、外部音声データを先行して再生する。その際、急ぎ信号は、端末装置のスイッチの押下により発信してもよいし、端末装置に内蔵された加速度検知部で検知された頭の動きにより発信してもよいし、端末装置に内蔵された動作検知部で検知された手の動きにより発信してもよい。また、音声データを再生する際には、その音声データが電話、外部音声、情報、音楽、外部周囲音、急ぎ信号等の何れであるかが分かるように、音声データの先頭で識別音を再生してもよい。
【0072】
図9は、第4の実施の形態における端末装置40の機能構成例を示したブロック図である。図示するように、第4の実施の形態における端末装置40は、外部音声取得部41と、音声電子化処理部42と、優先順位記憶部43と、再生判定部44と、再生制御部45と、受信部46と、端末判別部47と、送信部49とを備える。
【0073】
外部音声取得部41及び音声電子化処理部42は、第1の実施の形態における外部音声取得部11及び音声電子化処理部12と同じなので、ここでの説明は省略する。
【0074】
優先順位記憶部43は、複数種類の音声データについてどの種類の音声データをどの種類の音声データに先行して再生するかの優先順位を示す情報(優先順位情報)を記憶する。この優先順位情報については、第3の実施の形態で説明したので、ここでの説明は省略する。
【0075】
再生判定部44は、外部音声データを先行して再生してよいかを判定する。具体的には、優先順位記憶部43に記憶された優先順位情報において、外部音声データの優先順位が再生予定音声データの優先順位よりも高いことが定義されているかどうかを判定する。
【0076】
再生制御部45は、再生予定音声データ、外部音声検出信号、及び、外部音声データの再生を制御する。つまり、音出力部97(
図11参照)への出力を制御する。具体的には、再生予定音声データの再生を制御している際に音声電子化処理部42から外部音声検出信号が通知されると、この外部音声検出信号を再生するように制御する。その後、再生判定部44が外部音声データを先行して再生してよいと判定すると、再生予定音声データの再生を保留して外部音声データを再生するように制御する。その際、外部音声データが通常の外部音声及び急ぎの外部音声の何れに関するものであるかを示す識別音を、外部音声データの先頭で再生するように制御してもよい。また、再生予定音声データも含めて、音声データの再生を制御する際に、その音声データが電話、情報、音楽、通常の外部音声、急ぎの外部音声、外部周囲音等の何れに関するものであるかを示す識別音を、音声データの先頭で再生するように制御してもよい。また、端末装置40のユーザに話し掛けたユーザが使用している他の端末装置40が応答可能なものであると端末判別部47により判別されなかった場合に、外部音声に対応できないことを再生するよう、音出力部97を制御する。本実施の形態では、第1の音情報の伝達を停止し、第2の音情報を使用者に伝達する伝達手段の一例として、再生制御部45を設けている。また、外部音の種類を識別する識別音の一例として、外部音声データが通常の外部音声及び急ぎの外部音声の何れに関するものであるかを示す識別音を用いている。
【0077】
受信部46は、端末装置40のユーザに話し掛けたユーザが使用している他の端末装置40から、急ぎ信号を受信する。本実施の形態では、第1の音情報の伝達を停止して第2の音情報を伝達することを指示する指示情報の一例として、急ぎ信号を用いている。尚、ユーザに話し掛けた他の端末装置40の側では、端末装置40の操作部94(
図11参照)が操作されることにより急ぎ信号を送信するとよい。この場合、操作部94の操作としては、操作部94のスイッチが押下されること等がある。或いは、ユーザの予め定められた動作が検出されることにより急ぎ信号を送信してもよい。この場合、予め定められた動作の検出としては、ユーザの身体の端末装置10が装着された部位(例えば、頭)を動かす動作が加速度検知部98(
図11参照)により検知されること、ユーザが身体の部位(例えば、手)を動作検知部99(
図11参照)の前で動かす動作が動作検知部99により検知されること等がある。
【0078】
端末判別部47は、端末装置40のユーザに話し掛けたユーザが使用している他の端末装置40が応答可能なものであるかどうかを判別する。例えば、第2の実施の形態に示したように、他の端末装置40が取得した外部音声を電子化した外部音声データと他の端末装置40の端末情報とを受信し、自端末装置40に端末情報が登録され、かつ、受信した外部音声データと自端末装置40で取得した外部音声を電子化した外部音声データとが類似するかどうかを判定することにより、この判別を行ってもよい。或いは、指向性を有する通信により判別する方法等を用いてもよい。
【0079】
送信部49は、端末装置40のユーザに話し掛けたユーザが使用している他の端末装置40が応答可能なものであると端末判別部47により判別された場合に、外部音声に対応できないことを他の端末装置40へ送信する。
【0080】
図10は、第4の実施の形態における端末装置40の動作例を示したフローチャートである。
【0081】
図示するように、端末装置40では、まず、外部音声取得部41が、接近する外部音声が音入力部96に入力されたかどうかを判定する(ステップ401)。そして、接近する外部音声が音入力部96に入力されたと判定すれば、その外部音声を取得する(ステップ402)。
【0082】
すると、音声電子化処理部42が、ステップ402で取得された外部音声を電子化して、外部音声データを生成する(ステップ403)。
【0083】
このとき、受信部46が、端末装置40のユーザに話し掛けたユーザが使用している他の端末装置40から急ぎ信号を受信したかどうかを判定する(ステップ404)。
【0084】
その結果、他の端末装置40から急ぎ信号を受信したと受信部46により判定されれば、音声電子化処理部42は、再生制御部45により再生が制御されている再生予定音声データに「優先順位1」の外部音声データとして割り込み処理を行う(ステップ405)。
【0085】
一方、他の端末装置40から急ぎ信号を受信したと受信部46により判定されなければ、音声電子化処理部42は、再生制御部45により再生が制御されている再生予定音声データに通常の外部音声データとして割り込み処理を行う(ステップ406)。
【0086】
これにより、再生制御部45が、外部音声検出信号を再生する(ステップ407)。具体的には、再生予定音声データを再生するように音出力部97を制御している際に、外部音声検出信号を再生するように音出力部97を制御する。
【0087】
この状態で、再生判定部44が、優先順位記憶部43に記憶された優先順位情報又は外部音声データに付された優先順位を参照して、ステップ403で生成された外部音声データの優先順位が再生予定音声データの優先順位よりも高いかどうかを判定する(ステップ408)。
【0088】
その結果、ステップ403で生成された外部音声データの優先順位が再生予定音声データの優先順位よりも高いと再生判定部44により判定されれば、再生制御部45は、再生予定音声データの再生を保留して外部音声データを再生する(ステップ409)。具体的には、再生予定音声データの再生を一旦停止し、外部音声データを先に再生するよう、音出力部97を制御する。その後、外部音声への対応が終了すると、再生制御部45は、ステップ409で保留した再生予定音声データを再生する(ステップ410)。具体的には、一旦停止していた再生予定音声データの再生を再開するように、音出力部97を制御する。そして、処理は、ステップ401へ戻る。
【0089】
一方、ステップ408において、ステップ403で生成された外部音声データの優先順位が再生予定音声データの優先順位よりも高いと再生判定部44により判定されなければ、端末判別部47が、端末装置40のユーザに話し掛けたユーザの端末装置40が応答可能なものであるかどうかを判別する(ステップ411)。ここで、端末装置40のユーザに話し掛けたユーザによって使用される他の端末装置40が応答可能なものであると端末判別部47により判別されれば、送信部49が、外部音声に対応できないことを他の端末装置40へ送信する(ステップ412)。また、端末装置40のユーザに話し掛けたユーザによって使用される他の端末装置40が応答可能なものであると端末判別部47により判別されなければ、再生制御部45が、外部音声に対応できないことを肉声で伝えるように促す(ステップ413)。具体的には、外部音声に対応できないことを肉声で伝えるように促すメッセージを再生するよう、音出力部97を制御する。そして、何れの場合も、処理は、ステップ401へ戻る。
【0090】
[端末装置のハードウェア構成]
第1乃至第4の実施の形態における端末装置10~40は、ユーザの聴覚に直接情報を伝達する所謂ヒアラブルデバイスにより実現するとよい。そこで、端末装置10~40がヒアラブルデバイス90により実現されるものとして、このヒアラブルデバイス90のハードウェア構成について説明する。
【0091】
図11は、ヒアラブルデバイス90のハードウェア構成を示した図である。図示するように、ヒアラブルデバイス90は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)91と、記憶手段であるメインメモリ92及びHDD(Hard Disk Drive)93とを備える。ここで、CPU91は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種ソフトウェアを実行し、上述した各処理部を実現する。また、メインメモリ92は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶し、HDD93は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する。更に、ヒアラブルデバイス90は、ユーザが各種操作を行うための操作部94と、外部との通信を行うための通信インターフェース(図では「通信I/F」と表記)95と、マイクロフォン等から音が入力される音入力部96と、イヤフォン、ヘッドフォン等に対して音を出力する音出力部97とを備える。尚、このイヤフォン、ヘッドフォン等は、空気の振動を頭蓋骨に直接伝えることで音を伝える骨伝導イヤフォン、骨伝導ヘッドフォン等であってもよい。更にまた、ヒアラブルデバイス90は、加速度センサ等の加速度検知部98と、カメラ等の動作検知部99とを備える。ここで、加速度検知部98は、ヒアラブルデバイス90の姿勢を検出する姿勢検出手段の一例であり、動作検知部99は、ヒアラブルデバイス90の周囲の画像を捕捉する画像捕捉手段の一例である。但し、加速度検知部98及び動作検知部99の何れか一方又は両方は備えていなくてもよい。
【0092】
ここで、ヒアラブルデバイス90は、イヤフォン型又はヘッドフォン型のデバイスであってよい。ヒアラブルデバイス90がイヤフォン型のデバイスである場合、ヒアラブルデバイス90は、本デバイスをユーザの一方の耳に装着するための装着手段を備えることになる。また、ヒアラブルデバイス90がヘッドフォン型のデバイスである場合、ヒアラブルデバイス90は、本デバイスをユーザの頭に装着するための装着手段を備えることになる。
【0093】
或いは、ヒアラブルデバイス90は、イヤフォン、ヘッドフォン等に接続されたスマートフォン、タブレット端末等の携帯情報端末であってもよい。
【0094】
[プログラム]
第1乃至第4の実施の形態における端末装置10~40が行う処理は、例えば、アプリケーションソフトウェア等のプログラムとして用意される。
【0095】
即ち、第1乃至第4の実施の形態を実現するプログラムは、使用者に装着されるコンピュータに、使用者の周囲の外部音を取得する機能と、外部音が取得された場合、予め定められた条件が満たされれば、伝達が予定されていた第1の音情報の伝達を停止し、外部音を電子化した第2の音情報を使用者に伝達する機能とを実現させるためのプログラムとして捉えられる。
【0096】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0097】
10,20,30,40…端末装置、11,21,31,41…外部音声取得部、12,22,32,42…音声電子化処理部、33,43…優先順位記憶部、14,24,34,44…再生判定部、15,25,35,45…再生制御部、26,46…受信部、27,37,47…端末判別部、28…機器検出部、29,39,49…送信部