(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】メイン処理装置での操作入力をバックアップ用処理装置において追従するためのVRコンテンツ再生システム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/20 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
G06F11/20 633
(21)【出願番号】P 2018093958
(22)【出願日】2018-05-15
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹原 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】武士 祐介
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-285824(JP,A)
【文献】特開2016-208364(JP,A)
【文献】再公表特許第2004/077830(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
VRコンテンツの上映を管理するためのメイン処理装置と、前記メイン処理装置においてなされた操作入力を自動追従する、前記メイン処理装置のバックアップ用に設けられたバックアップ用処理装置と、を備えたVRコンテンツ再生システムであって、
前記メイン処理装置は、
前記操作入力に応じた操作信号を出力する操作入力部と、
前記操作入力部から出力された前記操作信号を受信し、当該受信した操作信号に基づいて、前記受信した操作信号に応じた操作を示す追従情報を生成して前記バックアップ用処理装置に出力する第1の制御部であって、前記受信した操作信号に応じた操作を反映させた、
前記VRコンテンツを再生するための第1の再生信号を生成する第1の制御部と、
を含み、
前記バックアップ用処理装置は、前記メイン処理装置から前記追従情報を受信し、前記追従情報に基づいて、前記追従情報が示す操作を実行するための追従信号を生成する第2の制御部を含み、
前記第2の制御部は、前記追従信号に基づいて、前記追従信号に対応する操作が反映された、
前記VRコンテンツを再生するための第2の再生信号を生成することを特徴とするVRコンテンツ再生システム。
【請求項2】
前記第2の制御部は、前記追従情報を受信してから所定の遅延時間の経過後に、前記追従信号を生成することを特徴とする請求項1に記載のVRコンテンツ再生システム。
【請求項3】
前記第1の制御部は、前記追従情報を生成してから所定の遅延時間の経過後に、前記追従情報を前記バックアップ用処理装置に出力することを特徴とする請求項1に記載のVRコンテンツ再生システム。
【請求項4】
前記第2の制御部は、
前記生成した追従信号の入力が有効になされたか否かを判定し、
前記生成した追従信号の入力が有効になされていない旨の判定がなされた場合、所定時間経過後に、前記生成した追従信号を再入力して、前記生成した追従信号の再入力が有効になされたか否かを判定し、
前記生成した追従信号の再入力が有効になされた旨の判定がなされるまで、前記所定時間経過後に前記生成した追従信号を再入力することを繰り返すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のVRコンテンツ再生システム。
【請求項5】
前記第1の制御部は、
前記操作入力について、前記VRコンテンツの映像を操作するための機能が割り当てられているか否かを判定し、
前記機能が割り当てられている旨の判定がなされた場合、前記追従情報を生成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のVRコンテンツ再生システム。
【請求項6】
VRシアター会場内に設置されたVRコンテンツ再生システムであって、
VRコンテンツを再生するVRコンテンツ再生装置と、
前記VRコンテンツを再生するための第1の再生信号を送信するメイン処理装置と、
前記VRコンテンツを再生するための第2の再生信号を送信するバックアップ用処理装置と、
前記第1及び第2の再生信号
がそれぞれ入力
され、
ナビゲータの操作に応じて、入力された前記第1及び第2の再生信号が出力される出力ポートを切り替えることにより、前記第1の再生信号及び前記第2の再生信号のいずれかを前記VRコンテンツ再生装置に出力可能に構成され
たスイッチャーと、
を備え
、
前記メイン処理装置は、前記メイン処理装置においてなされた操作入力に応じた操作を示す追従情報を生成して前記バックアップ用処理装置に出力し、前記第1の再生信号は、前記操作入力に応じた操作が反映されており、
前記バックアップ用処理装置は、前記メイン処理装置から前記追従情報を受信し、前記第2の再生信号は、前記追従情報が示す操作が反映されている
ことを特徴とするVRコンテンツ再生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VRコンテンツ再生システムに関し、より詳細には、メイン処理装置での操作入力をバックアップ用処理装置において追従するためのVRコンテンツ再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、VR(Virtual Reality;仮想現実)の技術を用いて製作された対話性のあるVRコンテンツをVRシアター内で再生するVRコンテンツ再生システムがある(例えば特許文献1参照)。VRコンテンツ再生システムでは、VRシアター内の複数の視聴者が視聴可能な大型ディスプレイ等の表示画面及び高出力のスピーカーを含むVRコンテンツ再生装置を介してVRコンテンツが視聴者へ提供される。
【0003】
ナビゲータ(司会者)は、キーボードやコントローラを用いてパーソナルコンピュータ等の処理装置に対して操作入力を行い、ナビゲータと視聴者との対話に応じて次に再生するVRコンテンツや実行する機能(例えばカメラアングルの変更など)をその場で選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のVRコンテンツ再生システムにおいては、VRコンテンツの上映中に、処理装置においてフリーズ等のトラブルが発生し、VRコンテンツの上映が停止した場合、例えば、フリーズ等が解消するのを待ったり、処理装置を再起動したりする必要があった。そのため、トラブルを迅速に対応できず、VRコンテンツの上映再開に著しく時間を費やすような事態が発生していた。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、VRコンテンツの再生に用いられる処理装置にトラブルが発生した場合であっても、時間を著しく費やすことなくVRコンテンツの上映再開が可能なVRコンテンツ再生システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るVRコンテンツ再生システムは、VRコンテンツの上映を管理するためのメイン処理装置と、前記メイン処理装置においてなされた操作入力を自動追従する、前記メイン処理装置のバックアップ用に設けられたバックアップ用処理装置と、を備えたVRコンテンツ再生システムであって、前記メイン処理装置は、前記操作入力に応じた操作信号を出力する操作入力部と、前記操作入力部から出力された前記操作信号を受信し、当該受信した操作信号に基づいて、前記受信した操作信号に応じた操作を示す追従情報を生成して前記バックアップ用処理装置に出力する第1の制御部であって、前記受信した操作信号に応じた操作を反映させた、VRコンテンツを再生するための第1の再生信号を生成する第1の制御部と、を含み、前記バックアップ用処理装置は、前記メイン処理装置から前記追従情報を受信し、前記追従情報に基づいて、前記追従情報が示す操作を実行するための追従信号を生成する第2の制御部を含み、前記第2の制御部は、前記追従信号に基づいて、前記追従信号に対応する操作が反映された、VRコンテンツを再生するための第2の再生信号を生成することを特徴とする。
【0008】
本発明の他の態様に係るVRコンテンツ再生システムによると、前記第2の制御部は、前記追従情報を受信してから所定の遅延時間の経過後に、前記追従信号を生成することを特徴とする。
【0009】
本発明の他の態様に係るVRコンテンツ再生システムによると、前記第1の制御部は、前記追従情報を生成してから所定の遅延時間の経過後に、前記追従情報を前記バックアップ用処理装置に出力することを特徴とする。
【0010】
本発明の他の態様に係るVRコンテンツ再生システムによると、前記第2の制御部は、前記生成した追従信号の入力が有効になされたか否かを判定し、前記生成した追従信号の入力が有効になされていない旨の判定がなされた場合、所定時間経過後に、前記生成した追従信号を再入力して、前記生成した追従信号の再入力が有効になされたか否かを判定し、前記生成した追従信号の再入力が有効になされた旨の判定がなされるまで、前記所定時間経過後に前記生成した追従信号を再入力することを繰り返すことを特徴とする。
【0011】
本発明の他の態様に係るVRコンテンツ再生システムによると、前記第1の制御部は、前記操作入力について、前記VRコンテンツの映像を操作するための機能が割り当てられているか否かを判定し、前記機能が割り当てられている旨の判定がなされた場合、前記追従情報を生成することを特徴とする。
【0012】
本発明のさらに他の態様に係るVRコンテンツ再生システムは、VRシアター会場内に設置されたVRコンテンツ再生システムであって、VRコンテンツを再生するVRコンテンツ再生装置と、前記VRコンテンツを再生するための第1の再生信号を送信するメイン処理装置と、前記VRコンテンツを再生するための第2の再生信号を送信するバックアップ用処理装置と、前記第1及び第2の再生信号をそれぞれ入力し、入力された前記第1及び第2の再生信号が出力される出力ポートを切り替えることにより、前記第1の再生信号及び前記第2の再生信号のいずれかを前記VRコンテンツ再生装置に出力可能に構成された前記スイッチャーと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様に係るVRコンテンツ再生システムによると、VRコンテンツの再生に用いられる処理装置にトラブルが発生した場合であっても、時間を著しく費やすことなくVRコンテンツの上映を再開することが可能となる。また、本発明の一態様に係るVRコンテンツ再生システムによると、メイン処理装置の映像の再現にコストを費やすことなく、バックアップ用処理装置の出力信号への切り替えをスムーズに行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るVRコンテンツ再生システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る追従システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係るVRコンテンツ再生システムの構成の一例を示す図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る追従システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第3の実施形態に係るVRコンテンツ再生システムを説明するための図である。
【
図6】本発明の第5の実施形態に係るVRコンテンツ再生システムを説明するための図である。
【
図7】本発明の第5の実施形態に係るVRコンテンツ再生システムにおける処理フローを示す図である。
【
図8】本発明の第6の実施形態に係るVRコンテンツ再生システムを説明するための図である。
【
図9】本発明の第6の実施形態に係るVRコンテンツ再生システムにおける処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るVRコンテンツ再生システムの構成の一例を示す。
図1には、VRコンテンツ再生装置1と、スイッチャー2と、追従システム100と、を含む、VRシアター内に設けられたVRコンテンツ再生システムが示されている。
図1に示されるように、追従システム100は、VRコンテンツの上映を管理するためのメイン処理装置110と、メイン処理装置110のバックアップ用に設けられたバックアップ用処理装置120と、を含む。本実施形態では、VRコンテンツの上映開始時はメイン処理装置110を利用しているものとして説明する。
【0017】
VRコンテンツ再生装置1は、例えば、VRシアターの会場内に設置され、複数の視聴者が視聴可能な大型ディスプレイ等の表示画面と、高出力のスピーカーと、を含んで構成される。VRコンテンツ再生装置1は、表示画面やスピーカーに出力することによって、VRコンテンツを視聴者へ提供する。
【0018】
スイッチャー2は、複数の入力ポート及び出力ポートを有する。スイッチャー2は、複数の入力ポートのうちのいずれか2つがメイン処理装置110及びバックアップ用処理装置120に接続され、複数の出力ポートのうちのいずれかがVRコンテンツ再生装置1に接続されて構成されている。スイッチャー2は、メイン処理装置110及びバックアップ用処理装置120からVRコンテンツを再生するための第1及び第2の再生信号をそれぞれ入力する。スイッチャー2は、ナビゲータの操作に応じて、入力された再生信号が出力される出力ポートへ切り替えることが可能である。本実施形態では、スイッチャー2は、通常時には、メイン処理装置110に接続された入力ポートがVRコンテンツ再生装置1に接続された出力ポートに結合され、バックアップ用処理装置120に接続された入力ポートが他の出力ポートに結合されるように入出力ポートを設定している。
【0019】
メイン処理装置110及びバックアップ用処理装置120は、例えば、ナビゲータによってゲームパッドのようなコントローラやキーボードなどの操作入力部を用いて操作されるパーソナルコンピュータ等の情報処理装置とすることができる。
【0020】
図2は、本発明の第1の実施形態に係動追従システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2には、メイン処理装置110と、バックアップ用処理装置120と、を備えた追従システム100が示されている。
図2に示されるように、メイン処理装置110は、第1の操作入力部111と、第1の記憶部112と、第1の通信部113と、第1の表示部114と、第1の制御部115と、を含む。バックアップ用処理装置120は、第2の操作入力部121と、第2の記憶部122と、第2の通信部123と、第2の表示部124と、第2の制御部125と、を含む。
【0021】
第1及び第2の操作入力部111及び121は、例えば、複数の操作キーを有するキーボード、マウス、コントローラ、タッチパネル、またはリモートコントローラ若しくは携帯型端末からその操作入力に基づく操作信号を取得することができる入力インターフェース等のうちの1つ又は複数で構成することができる。第1の操作入力部111及び第2の操作入力部121の操作キーによる操作入力の1又は複数には、VRコンテンツの映像を操作するための機能が割り当てられている。ナビゲータが操作キーによって操作入力を行うことにより、再生するVRコンテンツの映像においてその操作入力に割り当てられた機能に対応する操作が実行される。ここで、操作入力は、スイッチャー2を介して取得してもよい。
【0022】
第1の操作入力部111は、ナビゲータによる各種の操作入力を受け付け、当該受け付けた操作入力に基づく操作信号を第1の制御部115に出力する。第2の操作入力部121も同様に、ナビゲータによる各種の操作入力を受け付け、当該受け付けた操作入力に基づく操作信号を第2の制御部125に出力する。
【0023】
ここで、操作入力に基づく操作信号とは、例えば、予め用意された複数のVRコンテンツの中から選択してVRコンテンツを再生するための操作入力に基づく操作信号、VRコンテンツ再生装置1に表示されたVRコンテンツの映像を上下左右にスクロールさせるための操作入力に基づく操作信号、VRコンテンツ再生装置1に表示されたVRコンテンツの映像のカメラアングルを変更するための操作入力に基づく操作信号、VRコンテンツ再生装置1に表示されたVRコンテンツのシナリオを変更するための操作入力に基づく操作信号等、その操作入力に割り当てられた機能に対応する操作を実行するための操作信号を含むことができる。第1の操作入力部111及び第2の操作入力部121の各々は、例えばキーボードにおける1つのキー入力毎やコントローラにおける1つのボタン入力毎など、1つの操作入力毎に操作信号を生成して出力することができる。
【0024】
第1及び第2の記憶部112及び122は、例えば本発明に係るプログラム、VRコンテンツを起動するためのプログラム、第1及び第2の操作入力部111及び121により入力された操作信号など、種々の情報を記憶することができる。第1及び第2の記憶部112及び122は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM、RAM、又はそれらの任意の組み合わせで構成される。
【0025】
第1の通信部113及び第2の通信部123は、有線及び/又は無線の通信ネットワークを用いた通信インターフェースとすることができる。
【0026】
第1の表示部114は、第1の制御部115が各種プログラムを実行することによって生成された各種画面及び画像を表示することができる。第2の表示部124も同様に、第2の制御部125が各種プログラムを実行することによって生成された各種画面及び画像を表示することができる。
【0027】
第1及び第2の制御部115及び125は、例えばCPUを含んで構成される。第1及び第2の制御部115及び125は、本発明に係るプログラムその他各種プログラムを実行し、処理装置における各処理を制御することができる。
【0028】
第1の制御部115は、VRコンテンツを再生するための第1の再生信号を第1の通信部113を介してスイッチャー2に出力する。また、第2の制御部125は、VRコンテンツを再生するための第2の再生信号を第2の通信部123を介してスイッチャー2に出力する。本実施形態では、第1の制御部115から出力された第1の再生信号がスイッチャー2を介してVRコンテンツ再生装置1に出力される。第1及び第2の再生信号は、それぞれ、映像信号及び音響信号を含み、デジタル及びアナログのいずれの形式の信号であってもよい。
【0029】
第1の制御部115は、第1の操作入力部111から操作信号を受信した場合、受信した操作信号に基づいて、再生するVRコンテンツの映像にこの操作信号に応じた操作を反映させた第1の再生信号を生成して出力する。ここで、操作信号に応じた操作とは、例えば、予め用意された複数のVRコンテンツの中からVRコンテンツを選択して再生する操作、VRコンテンツ再生装置1に表示されたVRコンテンツの映像を上下左右にスクロールさせる操作、VRコンテンツ再生装置1に表示されたVRコンテンツの映像のカメラアングルを変更する操作、VRコンテンツ再生装置1に表示されたVRコンテンツのシナリオを変更する操作等、その操作信号の基となる操作入力に割り当てられた機能に対応する操作を含むことができる。
【0030】
このように、第1の実施形態に係るVRコンテンツ再生装置では、VR上映において主に使用するメイン処理装置とは別に、バックアップ用処理装置も設置している。これにより、第1の実施形態に係るVRコンテンツ再生装置によると、例えば、メイン処理装置においてフリーズ等のトラブルが発生した場合、スイッチャー2によりVRコンテンツ再生装置1への再生信号をメイン処理装置110からバックアップ用処理装置120に切り替えることで、上映の進行が著しく滞るような事態を防止することができる。したがって、第1の実施形態に係るVRコンテンツ再生装置によると、時間を著しく費やすことなくVRコンテンツの上映を再開することが可能となる。 なお、本実施形態では、1台のバックアップ用処理装置120を用いた構成を例示したが、これに限定されず、複数台のバックアップ用処理装置120を用いた構成としてもよい。以下の実施形態でも同様である。
【0031】
(第2の実施形態)
上記の第1の実施形態では、VRシアターにおけるVR上映において主に使用するメイン処理装置110とは別に、バックアップ用処理装置120も設置し、トラブルの発生に備えている。しかし、VRコンテンツの映像作品は、通常の映像作品とは異なり、ナビゲータによる操作入力によってストーリーの進行度合いやカメラアングル等が変化する。そのため、バックアップ用処理装置120に切り替えて上映を継続するためには、トラブル発生直前のメイン処理装置110の映像の状態をバックアップ用処理装置120の映像で再現する必要がある。このため、上記第1の実施形態では、メイン処理装置110の操作にリアルタイムで追従するように裏方の操作者がバックアップ用処理装置120を手動で操作してメイン処理装置110の映像の状態を再現していた。そのため、バックアップ用処理装置120を操作する操作者を配置する必要があることから、人件費などのコストが余計にかかる場合がある。
【0032】
以下、
図3及び
図4を用いて、本発明の第2の実施形態に係るVRコンテンツ再生システムを説明する。
【0033】
図3は、本発明の第2の実施形態に係るVRコンテンツ再生システムの構成の一例を示す。
図3には、VRコンテンツ再生装置1と、スイッチャー2と、追従システム200と、を含むVRコンテンツ再生システムが示されている。
図3に示されるように、追従システム200は、VRコンテンツの上映を管理するためのメイン処理装置210と、メイン処理装置210のバックアップ用に設けられたバックアップ用処理装置220と、を含む。
【0034】
以下の実施形態では、VRコンテンツの上映開始時はメイン処理装置210を利用しているものとし、バックアップ用処理装置220がメイン処理装置210における操作入力を追従するものとして説明する。なお、以下の実施形態に係るVRコンテンツ再生装置の基本的な構成は第1の実施形態に係るVRコンテンツ再生装置と同様であるため、異なる部分のみ説明する。
【0035】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る追従システムの構成の一例を示すブロック図である。
図4には、メイン処理装置210と、バックアップ用処理装置220と、を備えた追従システム200が示されている。
図4に示されるように、メイン処理装置210は、第1の操作入力部211と、第1の記憶部212と、第1の通信部213と、第1の表示部214と、第1の制御部215と、を含む。バックアップ用処理装置220は、第2の操作入力部221と、第2の記憶部222と、第2の通信部223と、第2の表示部224と、第2の制御部225と、を含む。第1及び第2の記憶部212及び222は、後述する、第1及び第2の制御部215及び225により生成された追従情報や追従信号をさらに記憶することができる。
【0036】
第2の実施形態に係るVRコンテンツ再生装置では、第1の制御部215は、第1の操作入力部211から操作信号を受信した場合、受信した操作信号に基づいて、当該操作信号に応じた操作を示す追従情報を生成し、第1の通信部213を介してバックアップ用処理装置220に出力する。バックアップ用処理装置220の第2の制御部225は、第2の通信部223を介してメイン処理装置210から追従情報を受信する。第2の制御部225は、追従情報を受信した場合、受信した追従情報に基づいて、この追従情報によって示される操作を実行するための追従信号を生成して自らに入力する。第2の制御部225は、自ら入力した追従信号に基づいて、再生するVRコンテンツの映像にこの追従信号に対応する操作を反映させた第2の再生信号を生成して出力する。
【0037】
このように、第1の制御部215が操作信号を受信したことに応答して追従情報をバックアップ用処理装置220に送信することにより、バックアップ用処理装置220では、メイン処理装置210でなされた操作と同じ操作が実行される。そのため、バックアップ用処理装置220は、メイン処理装置210での操作入力を自動的に追従するように第2の再生信号を生成することが可能となる。
【0038】
以下、本発明の第2の実施形態に係る自動追従システムにおける自動追従方法の例を説明する。
【0039】
ナビゲータによってメイン処理装置210の第1の表示部214に表示された複数のVRコンテンツの起動ファイルのうちの1つが第1の操作入力部211を介して選択されると、第1の操作入力部211から、複数のVRコンテンツの中からVRコンテンツを選択して再生するための操作信号が第1の制御部215に出力される。
【0040】
第1の制御部215は、この操作信号を受信し、当該受信した操作信号に基づいて当該選択された起動ファイルに対応するVRコンテンツを再生するための第1の再生信号を生成して、第1の通信部213を介してスイッチャー2に出力する。さらに、第1の制御部215は、当該受信した操作信号に基づいて、第1の通信部213を介して当該受信した操作信号に応じた操作を示す追従情報をバックアップ用処理装置220に送信する。ここでは、追従情報は、複数のVRコンテンツの中からメイン処理装置210で選択されたVRコンテンツと同じVRコンテンツを選択して再生するための操作を示している。
【0041】
バックアップ用処理装置220の第2の制御部225は、第2の通信部223を介してメイン処理装置210から追従情報を受信する。第2の制御部225は、受信した追従情報に基づいて、追従情報が示す操作、すなわちメイン処理装置210で選択されたVRコンテンツと同じVRコンテンツを選択して再生する操作を実行するための追従信号を生成して、自らに入力する。第2の制御部225は、追従信号に基づいて、メイン処理装置210で選択されたVRコンテンツと同じVRコンテンツを再生する。
【0042】
その後、再生中のVRコンテンツのシナリオ進行に伴い、第1の操作入力部211を介してナビゲータによって例えばVRコンテンツの映像のカメラアングルを変更する操作入力が行われると、第1の操作入力部211から、当該操作入力に基づく操作信号が第1の制御部215に出力される。
【0043】
第1の制御部215は、この操作信号を受信し、当該受信した操作信号に基づいて、VRコンテンツの映像のカメラアングルの変更が反映された第1の再生信号を生成して、第1の通信部213を介してスイッチャー2に出力する。さらに、第1の制御部215は、当該受信した操作信号に基づいて、第1の通信部213を介して当該受信した操作信号に応じた操作を示す追従情報をバックアップ用処理装置220に送信する。ここでは、追従情報は、メイン処理装置210でなされたVRコンテンツの映像のカメラアングルの変更操作を示している。
【0044】
バックアップ用処理装置220の第2の制御部225は、第2の通信部223を介してメイン処理装置210から追従情報を受信する。第2の制御部225は、受信した追従情報に基づいて、この追従情報が示す操作、すなわちメイン処理装置210でなされたVRコンテンツの映像のカメラアングルの変更と同じカメラアングルの変更操作を実行するための追従信号を生成して、自らに入力する。第2の制御部225は、追従信号に基づいて、メイン処理装置210でなされたVRコンテンツの映像のカメラアングルの変更と同じカメラアングルの変更操作が反映された第2の再生信号を生成して、第2の通信部223を介してスイッチャー2に出力する。
【0045】
本発明の第2の実施形態に係るVRコンテンツ再生システムによると、メイン処理装置210にトラブルが発生した場合であっても、バックアップ用処理装置220においてメイン処理装置210での操作入力が自動追従されているため、メイン処理装置210の映像の再現にコストを費やすことなく、バックアップ用処理装置220の映像への切り替えをスムーズに行うことが可能となる。
【0046】
(第3の実施形態)
図5を用いて、本発明の第3の実施形態に係る自動追従システムを説明する。
【0047】
ナビゲータがメイン処理装置210のトラブル発生を認識してからスイッチャー2を用いてバックアップ用処理装置220の映像に切り替えるまでに、通常、数秒~数十秒の時間がかかる。バックアップ用処理装置220がほぼ遅延なくメイン処理装置210での操作入力を自動追従している場合、ナビゲータが切り替え作業を行っている間にバックアップ用処理装置220の映像がメイン処理装置210のトラブル発生時点の映像を追い抜いてしまうおそれがある。
【0048】
そこで、
図5に示すように、バックアップ用処理装置220がメイン処理装置210から追従情報を受信してから所定の遅延時間(例えば30秒など)の経過後に、バックアップ用処理装置220の第2の制御部225は当該受信した追従情報に基づいて追従信号を生成して入力する。それにより、バックアップ用処理装置220の映像への切り替えに要するタイムラグを吸収することができる。
【0049】
ここで、上記実施形態では、バックアップ用処理装置220が追従情報を受信してから所定の遅延時間の経過後に追従信号を生成する構成を示したが、メイン処理装置210が追従情報を生成してから所定の遅延時間の経過後に追従情報を送信する構成としてもよい。
【0050】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係るVRコンテンツ再生システムを説明する。
【0051】
本発明の第4の実施形態では、第1の制御部215は、ナビゲータによる誤操作防止のために、例えば特定のイベント期間中など、シナリオ途中で操作入力を無効化してもよい。また、第2の制御部225は、実際にバックアップ用処理装置220に切り替えた後に操作入力を無効化してもよい。こうすることで、ナビゲータによる誤操作防止に加え、バックアップ用処理装置220の無駄な処理を省略することができる。
【0052】
(第5の実施形態)
図6及び
図7を用いて、本発明の第5の実施形態に係るVRコンテンツ再生システムを説明する。バックアップ用処理装置220がメイン処理装置210から追従情報を受信して追従信号を生成したタイミングで操作入力が無効化されていた場合、追従信号が入力されてもバックアップ用処理装置220において追従のための操作入力が行われず、メイン処理装置210とバックアップ用処理装置220との間の同期がずれてしまう。
【0053】
そこで、
図6に示すように、操作入力が無効化されている状態でバックアップ用処理装置220が追従情報を受信して追従信号を生成した場合であっても、バックアップ用処理装置220は、操作入力が有効になるまで、生成した追従信号を所定の時間間隔(例えば5秒など)で繰り返し自らに入力する。
【0054】
具体的には、
図7の処理フローに示すように、ステップS701で、第2の制御部225は、追従信号が入力されたときに、追従信号の入力が有効になされたか否かを判定する。ステップS701で、追従信号の入力が有効になされた旨の判定がなされた場合、処理は終了する。ステップS701で、追従信号の入力が有効になされていない旨の判定がなされた場合、ステップS702で、第2の制御部225は、所定時間経過後に、生成した追従信号を再入力する。その後、ステップS703で、第2の制御部225は、追従信号の入力が有効になされたか否かを再び判定する。ステップS703で、追従信号の入力が有効になされた旨の判定がなされた場合、処理は終了する。ステップS703で、追従信号の入力が有効になされていない旨の判定がなされた場合、ステップS702に戻り、第2の制御部225は、所定時間経過後に、生成した追従信号を再入力する。
【0055】
このように、操作入力が有効になされるまで、生成した追従信号を所定の時間間隔で繰り返し自らに入力するにより、上記の同期ずれを防止することが可能となる。
【0056】
(第6の実施形態)
図8及び
図9を用いて、本発明の第6の実施形態に係るVRコンテンツ再生システムを説明する。
【0057】
メイン処理装置210への操作入力を全て追従情報として送信すると、通信負荷がかかるため、メイン処理装置210及びバックアップ用処理装置220の誤操作や上映品質の低下につながるおそれがある。
【0058】
そこで、
図8に示すように、第1の制御部215を、第1の操作入力部211において、VRコンテンツの進行中のシナリオにおいてVRコンテンツの映像を操作するための機能が割り当てられた操作入力がなされた場合にのみ追従情報を生成して出力し、VRコンテンツの映像を操作するための機能が割り当てられていない操作入力はなされた場合には追従情報を生成しないように構成することができる。
【0059】
具体的には、
図9の処理フローに示すように、ステップS901で、第1の制御部215は、ナビゲータによってなされた操作入力について、VRコンテンツの映像を操作するための機能が割り当てられているか否かを判定する。ステップS901で、機能が割り当てられている旨の判定がなされた場合、ステップS902で、追従情報を生成する。ステップS901で、機能が割り当てられていない旨の判定がなされた場合、ステップS903で、追従情報を生成せずに処理は終了する。
【0060】
このように、ナビゲータによる操作入力の中で、VRコンテンツの映像を操作するための機能が割り当てられた操作入力のみについて追従情報を生成してバックアップ用処理装置220に出力することで、余計な通信負荷をかけることなく、メイン処理装置210の映像の状態をバックアップ用処理装置220の映像に正確に反映させることができる。
【0061】
(第7の実施形態)
VRコンテンツの上映前または上映後に、第1及び第2の記憶部212及び222に記憶された操作情報や追従情報をリセットしてもよい。