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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】基板保持装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018117145
(22)【出願日】2018-06-20
(65)【公開番号】P2019220587
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(72)【発明者】
【氏名】入澤 一彦
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-098048(JP,A)
【文献】特開2002-334922(JP,A)
【文献】特開2003-270155(JP,A)
【文献】特開2010-062317(JP,A)
【文献】特開2008-204996(JP,A)
【文献】特開2009-055046(JP,A)
【文献】特開2012-204759(JP,A)
【文献】特開2013-171918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置によって搬送される基板が載置される枠体と、
前記搬送装置によって前記枠体の上方に搬送された前記基板を当該枠体に受け渡す基板受渡機構とを備え、
前記基板受渡機構が、
前記枠体の下方に配置される支持ピンと、
前記支持ピンを、前記枠体の枠内下側に設定した支持ピン昇降位置と前記枠体の枠外に設定した支持ピン退避位置との間で水平方向に旋回させる支持ピン進退機構と、
前記支持ピン進退機構によって前記支持ピン昇降位置に配置された前記支持ピンを、前記枠体の枠内に通して前記基板を支持するように上昇させた後に下降させる支持ピン昇降機構とを備え
前記支持ピン進退機構は、前記基板を変更した場合に、前記支持ピン昇降位置が変更可能に構成される、基板保持装置。
【請求項2】
前記枠体が、複数であり、かつ、多段状に配置されており、
前記支持ピンが、それぞれの枠体の下方に配置されている請求項1記載の基板保持装置。
【請求項3】
前記各枠体の下方に配置された支持ピンが、共通の前記支持ピン進退機構及び前記支持ピン昇降機構によって駆動される請求項2記載の基板保持装置。
【請求項4】
前記基板が載置された各枠体を垂直に起立させる枠体起立機構をさらに備える請求項1乃至3のいずれかに記載の基板保持装置。
【請求項5】
前記支持ピン進退機構及び前記支持ピン昇降機構が、共通の前記枠体の枠外に設置された支柱と前記支柱から少なくとも前記昇降位置まで延びる長さを有するアームとを介して前記支持ピンを駆動させるものであり、
前記支持ピン進退機構が、前記支柱を回転して前記支持ピンを旋回させ、
前記支持ピン昇降機構が、前記支柱を昇降して前記支持ピンを昇降させる請求項1乃至のいずれかに記載の基板保持装置。
【請求項6】
前記枠体が、当該枠体に載置された前記基板を当該枠体との間で挟んで保持するクランプ機構をさらに備える請求項1乃至のいずれかに記載の基板保持装置。
【請求項7】
前記クランプ機構が、
前記枠体に載置された前記基板を当該枠体との間で挟むように開閉するクランプ片と、
前記枠体に対して前記クランプ片を閉じた状態に保持するクランプ保持機構とを備える請求項記載の基板保持装置。
【請求項8】
前記クランプ保持機構が、前記枠体又は前記クランプ片のいずれか一方に設けられた磁石と他方に設けられた磁性体とを備える請求項記載の基板保持装置。
【請求項9】
前記クランプ機構が、前記枠体に対して前記クランプ片が閉じた状態を解除するクランプ解除機構をさらに備える請求項又はのいずれかに記載の基板保持装置。
【請求項10】
搬送装置によって搬送される基板が載置され、貫通孔を有する枠体と、
前記搬送装置によって前記枠体の上方に搬送された前記基板を当該枠体に受け渡す基板受渡機構と、前記枠体が、当該枠体に載置された前記基板を当該枠体との間で挟んで保持するクランプ機構とを備え、
前記基板受渡機構が、
前記枠体の下方に配置される支持ピンと、
前記支持ピンを、前記枠体の枠内下側に設定した支持ピン昇降位置と前記枠体の枠外に設定した支持ピン退避位置との間で進退させる支持ピン進退機構と、
前記支持ピン進退機構によって前記支持ピン昇降位置に配置された前記支持ピンを、前記枠体の枠内に通して前記基板を支持するように上昇させた後に下降させる支持ピン昇降機構とを備え、
前記クランプ機構が、
前記枠体に載置された前記基板を当該枠体との間で挟むように開閉するクランプ片と、
前記枠体に対して前記クランプ片を閉じた状態に保持するクランプ保持機構と、
前記枠体に対して前記クランプ片が閉じた状態を解除するクランプ解除機構とを備え、
前記クランプ解除機構が、
前記枠体の下方に配置される押上ピンと、
前記押上ピンを、前記枠体の貫通孔下側に設定した押上ピン昇降位置と前記枠体の枠外に設定した押上ピン退避位置との間で進退させる押上ピン進退機構と、
前記押上ピン進退機構によって前記押上ピン昇降位置に配置された前記押上ピンを、前記枠体の貫通孔に差し込んで前記クランプ片を押し上げるように上昇させた後に下降させる押上ピン昇降機構とをさらに備える基板保持装置。
【請求項11】
前記クランプ保持機構が、前記枠体又は前記クランプ片のいずれか一方に設けられた磁石と他方に設けられた磁性体とを備える請求項10記載の基板保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ等に用いられる基板を処理室へ搬送する場合の機構として、特許文献1には、搬送装置によって処理室内の基板載置台上へ基板を搬送した後、基板載置台から複数の支持ピンを突出させ、当該複数の支持ピンを昇降させることにより、搬送装置から基板載置台へ基板を受け渡す機構が開示されている。
【0003】
しかし、前記特許文献1に開示された機構では、基板載置台における複数の支持ピンの突出する位置が予め定まっているため、処理対象となる基板のサイズや材質等を変更した場合に、複数の支持ピンによって変更後の基板を支持する位置を変更することができない。このため、複数の支持ピンによって変更後の基板を支持しようとすると、基板が撓んでしまうことがあるという問題があった。因みに、基板の材質が変わると、同じサイズの基板であっても重心が変わるため、支持ピンによって支持する位置を適宜調節し直す必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-235393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、処理対象となる基板の大きさや材質等を変更した場合であっても、変更後の基板に合わせて当該基板を支持する位置を調節することができる基板保持装置を提供することを主な課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係る基板保持装置は、搬送装置によって搬送される基板が載置される枠体と、前記搬送装置によって前記枠体の上方に搬送された前記基板を当該枠体に受け渡す基板受渡機構とを備え、前記基板受渡機構が、前記枠体の下方に配置される支持ピンと、前記支持ピンを、前記枠体の枠内下側に設定した支持ピン昇降位置と前記枠体の枠外に設定した支持ピン退避位置との間で進退させる支持ピン進退機構と、前記支持ピン進退機構によって前記支持ピン昇降位置に配置された前記支持ピンを、前記枠体の枠内に通して前記基板を支持するように上昇させた後に下降させる支持ピン昇降機構とを備えることを特徴とするものである。
【0007】
このようなものであれば、支持ピン進退機構によって支持ピンを枠内外へ移動させることができることから、この移動範囲内において支持ピンによって基板を支持する位置を自由に調節することができる。これにより、基板の大きさや材質等を変更した場合であっても、変更後の基板に合わせて支持ピンによって基板を支持する位置を適宜調節し直すことができる。
【0008】
また、前記基板受渡機構を採用することで、前記枠体が、複数であり、かつ、多段状に配置されており、前記支持ピンが、それぞれの枠体の下方に配置されているように構成したとしても、基板が載置された枠体を搬送する場合に、支持ピン進退機構によって各支持ピンを搬送動作の邪魔にならない位置へ退避させることができる。
【0009】
この場合、前記各枠体の下方に配置された支持ピンが、共通の前記支持ピン進退機構及び前記支持ピン昇降機構によって駆動されるように構成してもよい。このようなものであれば、各枠体の下方に配置された支持ピンを駆動させる機構が一つとなり、基板保持装置を小型化できる。
【0010】
さらに、処理室で基板を処理する場合に、基板に対する埃等の付着を防止するため、基板が載置された枠体を垂直に起立させた状態で処理室へ搬送することがある。そこで、前記基板が載置された各枠体を垂直状態に起立させる枠体起立機構をさらに備えてもよい。
【0011】
このようなものであっても、前記基板受渡機構を採用することで、枠体起立機構によって枠体を水平状態から垂直状態へ起立させる場合に、支持ピン進退機構によって各支持ピンを起立動作の邪魔にならない位置へ退避させることができる。
【0012】
前記基板受渡機構の具体的な構成としては、前記支持ピン進退機構が、前記支持ピンを水平方向に旋回させるものであってもよい。
【0013】
また、前記基板受渡機構のより具体的な構成としては、前記支持ピン進退機構及び前記支持ピン昇降機構が、共通の前記枠体の枠外に設置された支柱と前記支柱から少なくとも前記昇降位置まで延びる長さを有するアームとを介して前記支持ピンを駆動させるものであり、前記支持ピン進退機構が、前記支柱を回転して前記支持ピンを旋回させ、前記支持ピン昇降機構が、前記支柱を昇降して前記支持ピンを昇降させるものであってもよい。
【0014】
このようなものであれば、前記支持ピン進退機構及び前記支持ピン昇降機構を、共通の支柱を駆動させる構造にできるため、両機構の駆動装置を、例えば支柱の下側等に集約することができる。これにより、基板保持装置を小型化できると共に、メンテナンス性も向上する。
【0015】
また、前記のように枠体起立機構を備えるものである場合には、前記枠体に載置された前記基板を当該枠体との間で挟んで保持するクランプ機構をさらに備えることが好ましい。
【0016】
これにより、枠体起立機構によって基板が載置された枠体を垂直に起立させても、クランプ機構によって基板が枠体に保持されるため、枠体から基板が脱落することを防止できる。
【0017】
また、前記クランプ機構の具体的な構成としては、前記枠体に載置された前記基板を当該枠体との間で挟むように開閉するクランプ片と、前記枠体に対して前記クランプ片を閉じた状態に保持するクランプ保持機構とを備えるようにすればよい。
【0018】
また、前記クランプ保持機構が、前記枠体又は前記クランプ片のいずれか一方に設けられた磁石と他方に設けられた磁性体とを備えるものであってもよい。
【0019】
このようなものであれば、枠体に対してクランプ片を閉じた状態に保持する力を磁力による吸着によって付与する構造にしたので、その構造を簡素化でき、クランプ機構の組立てが容易となって生産性が向上する。
【0020】
また、前記枠体にクランプ機構を設置する場合には、前記クランプ片が閉じた状態を解除するクランプ解除機構をさらに備えることが好ましい。
【0021】
なお、前記クランプ解除機構の具体的な構成としては、前記枠体が、貫通孔を有しており、前記クランプ解除機構が、前記枠体の下方に配置される押上ピンと、前記押上ピンを、前記枠体の貫通孔下側に設定した押上ピン昇降位置と前記枠体の枠外に設定した押上ピン退避位置との間で進退させる押上ピン進退機構と、前記押上ピン進退機構によって前記押上ピン昇降位置に配置された前記押上ピンを、前記枠体の貫通孔に差し込んで前記クランプ片を押し上げるように上昇させた後に下降させる押上ピン昇降機構とをさらに備えるようにすればよい。
【0022】
このようなものであれば、基板受渡機構と同様に、枠体起立機構によって枠体を水平状態から垂直状態へ起立させる場合に、押上ピン進退機構によって各押上ピンを起立動作の邪魔にならないように退避させることができる。
【発明の効果】
【0023】
このような構成の基板保持装置によれば、処理対象となる基板の大きさや材質等を変更した場合であっても、変更後の基板に合わせて当該基板を支持する位置を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施形態に係る基板保持装置を模式的に示す平面図である。
図2】同実施形態に係る基板保持装置を模式的に示すA-A断面図である。
図3】同実施形態に係るクランプ機構を模式的に示すB-B拡大断面図である。
図4】同実施形態に係るクランプ機構を模式的に示すC-C拡大断面図である。
図5】同実施形態に係る基板保持装置を模式的に示す部分拡大平面図である。
図6】同実施形態に係る基板保持装置の動作を示す模式図である。
図7】同実施形態に係る基板保持装置の動作を示す模式図である。
図8】同実施形態に係る基板保持装置の動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る基板保持装置を図面に基づいて説明する。
【0026】
本発明に係る基板保持装置は、例えば、ディスプレイに用いられる基板に処理を施す場合に、その基板を処理室内へ搬送するために使用されるものである。
【0027】
<実施形態> 本実施形態に係る基板保持装置HDは、図1及び図2に示すように、搬送装置TDによって搬送される基板Sが載置される複数の枠体10と、搬送装置TDによって枠体10の上方に搬送された基板Sを枠体10に受け渡す基板受渡機構20と、基板受渡機構20によって基板Sが載置された枠体10を起立させる枠体起立機構30と、を備えている。
【0028】
前記複数の枠体10は、いずれも矩形枠状のものであり、同サイズに形成されている。そして、各枠体10は、互いに間隔を空けて上下方向に並べられており、多段に配置されている。なお、本実施形態の枠体10は、二つであり、二段に配置されている。
【0029】
具体的には、前記枠体10は、図3及び図4に示すように、その上面11に、基板Sの下面が当接する当接面11aと、当接面11aから立ち上がって当接面11aに載置された基板Sの端面と対向する対向面11bと、対向面11bから当接面11aと反対側へ延びる延設面11cと、が設けられている。なお、対向面11bは、当接面11aに載置された基板Sの位置ズレを規制する役割を果たしている。
【0030】
また、前記枠体10は、図1及び図2に示すように、枠体10に載置された基板Sを保持するクランプ機構100を備えている。そして、クランプ機構100は、枠体10に載置された基板Sを挟むように開閉するクランプ片110と、枠体10に対してクランプ片110を閉じた状態に保持するクランプ保持機構120と、枠体10に対してクランプ片20が閉じた状態を解除するクランプ解除機構130と、を備えている。
【0031】
また、前記枠体10の各辺には、両端側にクランプ片110と対向する面からその反対面へ貫通する貫通孔12aが設けられていると共に、中央寄りにクランプ片12と対向する面からその反対面へ貫通する挿入孔12bが設けられている。具体的には、貫通孔12a及び挿入孔12bは、いずれも延設面11cからその反対面へ貫通している。なお、挿入孔12bは、各辺の長手方向に沿って間欠的に複数設けられている。
【0032】
前記クランプ片110は、図3及び図4に示すように、枠体10の延設面11cに設けられたヒンジ部11dに回転可能に軸支されており、その軸を支点として当該枠体10に対して開閉するものである。なお、クランプ片110は、その下面111(枠体10側を向く面)が、枠体10の当接面11aと対向する位置まで延びており、その当接面11aと対向する先端側が基板Sの他方面(上面)と当接する当接面111aとなっている。
【0033】
前記クランプ保持機構120は、図4に示すように、枠体10及びクランプ片110を磁力によって互いに吸着させることにより、枠体10に対してクランプ片110を閉じた状態に保持するものである。具体的には、クランプ保持機構120は、枠体10に設けられた磁石121と、クランプ片110に設けられた磁性体122と、を備えている。なお、磁石121は、枠体10の当接面11aを避けて基板Sと当接しない延設面11c側に設けられた挿入孔12bに挿入して保持されており、磁性体1121は、クランプ片110の下面111に磁石121と対向するように設けられている。
【0034】
また、前記クランプ保持機構30は、枠体10に対してクランプ片110が閉じた状態における磁石121及び磁性体122の間の距離を調節する距離調節機構140を備えている。具体的には、距離調節機構140は、枠体10に設けられた挿入孔12bを構成の一部としており、その挿入孔12bに磁石121が磁性体122に対して進退できるように挿入される。より具体的には、距離調節機構140は、磁石121の外面に設けられた雄ネジ部140aと、挿入孔12bの内面に設けられた雌ネジ部140bと、を備えており、磁石121を挿入孔12bに対して回転させることにより、磁石121が挿入孔12b内を移動できるようになっている。
【0035】
前記クランプ解除機構130は、図5に示すように、枠体10に対して閉じた状態のクランプ片110を開いた状態にするものである。具体的には、クランプ解除機構130は、各枠体10の下方に配置され、各枠体10の貫通孔12aに抜き差しされる押上ピン131と、押上ピン131を駆動させる押上ピン進退機構130a及び押上ピン昇降機構130bと、を備えている。なお、本実施形態においては、一つのクランプ解除機構130が、二段に配置された枠体10の下方にそれぞれ二つの押上ピン131を配置した構成になっている。
【0036】
具体的には、前記押上ピン進退機構131は、枠体10の貫通孔12a下側に設定した押上ピン昇降位置xp1と前記枠体10の枠外に設定した押上ピン退避位置yp1との間で進退(移動)させるものである。また、前記押上ピン昇降機構130bは、押上ピン進退機構130aによって押上ピン昇降位置xp1に配置された押上ピン131を、枠体10の貫通孔12aに差し込んでクランプ片110を押し上げるように上昇させた後に下降させるものである。
【0037】
なお、本実施形態では、前記押上ピン進退機構130a及び前記押上ピン昇降機構130bは、それぞれ別の駆動装置(図示せず)を備えている。そして、各駆動装置の動作を、枠体10の枠外に設置された第1支柱132と、第1支柱132から押上ピン昇降位置xp1まで延びる長さを有する二つのアーム133と、を介して各押圧ピン131に伝達するように構成されている。すなわち、押上ピン進退機構130a及び押上ピン昇降機構130bは、それぞれ別の駆動装置を備えていると共に、その駆動装置の動力を押上ピン131に伝達する部材(具体的には、第1支柱132及び第1アーム133)として共通の部材を用いた構造になっている。
【0038】
そして、前記押上ピン進退機構130aは、駆動装置の動力によって第1支柱132を回転することにより、各押上ピン131を押上ピン昇降位置xp1と押上ピン退避位置yp1との間で旋回させる構成になっている。また、前記押上ピン昇降機構130bは、駆動装置の動力によって第1支柱132を昇降させることにより、各押上ピン131を貫通孔12aに抜き差しするように昇降させる構成になっている。
【0039】
前記基板受渡機構20は、枠体10の下方に配置され、枠体10の枠内に抜き差しされる支持ピン21と、支持ピン21を駆動させる支持ピン進退機構20a及び支持ピン昇降機構20bと、を備えている。なお、本実施形態においては、一つの基板受渡機構20が、二段に配置された枠体10の下方にそれぞれ一つの押上ピン131を配置した構成になっている。
【0040】
具体的には、前記支持ピン進退機構20aは、枠体10の枠内下側に設定した支持ピン昇降位置xp2と枠体10の枠外に設定した支持ピン退避位置yp2との間で進退させるものである。また、前記支持ピン昇降機構20bは、支持ピン進退機構20aによって支持ピン昇降位置xp2に配置された支持ピン21を、枠体10の枠内に差し込んで基板Sを支持するように上昇させた後に下降させるものである。そして、基板Sのサイズ等を変更した場合には、この支持ピン昇降位置xp2を変更することにより、変更後の基板Sに合わせて支持位置を調節することができる。
【0041】
なお、前記支持ピン進退機構20a及び前記支持ピン昇降機構20bは、それぞれ別の駆動装置を備えている。そして、各駆動装置の動作を、枠体10の枠外に設置された第2支柱22と、第2支柱22から支持ピン昇降位置xp2まで延びる長さを有する第2アーム23と、を介して各支持ピン21に伝達するように構成されている。すなわち、支持ピン進退機構20a及び支持ピン昇降機構20bは、それぞれ別の駆動装置を備えていると共に、その駆動装置の動力を支持ピン21に伝達する部材(具体的には、第2支柱22及び第2アーム23)として共通の部材を用いた構造になっている。
【0042】
よって、前記支持ピン進退機構20aは、駆動装置の動力によって第2支柱21を回転することにより、支持ピン131を支持ピン昇降位置xp1と支持ピン退避位置xp2との間で旋回させる構成になっている。また、前記支持ピン昇降機構20bは、駆動装置の動力によって第2支柱21を昇降させることにより、各支持ピン131を枠体10の枠内に抜き差しするように昇降させる構成になっている。
【0043】
前記枠体起立機構30は、枠体10を保持する枠状をなすホルダ31と、ホルダ31を旋回させる旋回機構32とを備えている。そして、旋回機構32は、ホルダ31を水平状態と垂直状態との間で旋回させるものである。なお、ホルダ31は、枠体10の数に対応する数だけ多段状に配置されており、本実施形態においては、二段状に配置されている。また、ホルダ31は、例えば、垂直に起立させた状態で上下に対向する辺の間に枠体10を抜き差しできる構造になっている。
【0044】
また、前記基板保持装置HDは、図示しない制御部をさらに有している。なお、制御部は、CPU、メモリ、A/D・D/Aコンバータ等を備えた所謂コンピュータを有し、前記メモリに格納されているプログラムが実行され、各種機器が協働することによって各機能が実現されるようにしてある。具体的には、制御部は、クランプ解除機構130及び基板受渡機構20を協働させることにより、搬送装置TDによって搬送される基板Sを枠体10に受け渡す機能を発揮させる。
【0045】
次に、本発明に係る基板保持装置Mの動作を図2図6図8に基づいて説明する。なお、図2図6図8においては、図面を簡略化するため、枠体10に対し、左側に基板受渡機構20の動作を図示し、右側にクランプ解除機構130の動作を図示しており、また、クランプ解除機構130は、一つの枠体10に対応する二つの押上ピン131のうちで一方の押上ピン131のみを図示している。
【0046】
先ず、図2に示すように、枠体起立機構30の各ホルダ31に枠体10を差し込み、各枠体10を水平状態に保持する。この状態において、図6(a)に示すように、搬送装置TDによって枠体10の上方に基板Sが搬送されると、制御部は、支持ピン進退機構20aによって支持ピン21を枠体10の枠内下側に設定した支持ピン昇降位置xp2へ移動させると共に、押上ピン進退機構130aによって押上ピン131を枠体10の貫通孔12a下側である押上ピン昇降位置xp1へ移動させる。
【0047】
次に、制御部は、図7(b)に示すように、支持ピン昇降機構20bによって支持ピン21を枠体10の枠内に下側から通して基板Sを支持するように上昇させると共に、押上ピン昇降機構130bによって押上ピン131を貫通孔12aに差し込みクランプ片110を押し上げるように上昇させる。これにより、基板Sは、支持ピン21によって下側から支持された状態となり、また、クランプ片110は、押上ピン131によって押し上げられて枠体10に対して開いた状態となる。よって、この状態において、搬送装置TDから基板受渡機構20へ基板Sが受け渡された状態となる。
【0048】
次に、制御部は、図7(c)に示すように、押上ピン131によってクランプ片110を押し上げた状態を維持し、支持ピン昇降装置20bによって支持ピン21を枠体10の枠内下側へ下降させる。これにより、支持ピン21が下降する途中で、基板Sが、基板受渡機構20から枠体10へ受け渡される。
【0049】
次に、制御部は、図8(d)に示すように、押上ピン昇降機構130bによって押上ピン131を貫通孔12aから引き抜くように下降させる。これにより、クランプ片110は、再び自重によって枠体10に対して閉じた状態となる。なお、この状態において、枠体10及びクランプ片110は、クランプ保持機構120によって互いに磁力によって吸着されるため、各クランプ機構100によって基板Sが適切な力で枠体10に保持された状態となる。
【0050】
そして、制御部は、図8(e)に示すように、支持ピン進退機構20aによって支持ピン21を旋回し、枠体10の枠外に設定した支持ピン退避位置yp2へ移動させると共に、押上ピン進退機構131aによって押上ピン131を旋回し、枠体10の枠外に設定した押上ピン退避位置yp1へ移動させる。ここで、支持ピン退避位置yp2は、支持ピン21が枠体10のその後の動きを妨げない位置であり、また、押上ピン退避位置yp1は、押上ピン131が枠体10のその後の動きを妨げない位置である。この状態において、図2の点線にて示すように、枠体起立機構30の旋回機構32によってホルダ31に保持された枠体10を垂直に起立させる。
【0051】
この後、図示していないが、枠体起立機構30によって垂直に起立した各枠体10は、例えば、押出機構によってホルダ31から押し出される。そして、ホルダ31から押し出された各枠体10は、レールを介して処理室へ交互に搬送される。
【0052】
なお、基板受渡機構20は、支持ピン進退機構20aによって支持ピン21を支持ピン退避位置yp2へ移動させた後、支持ピン昇降機構20bによって支持ピン21をさらに下降させるように構成してもよい。同様に、クランプ解除機構130は、押上ピン進退機構130aによって押上ピン131を押上ピン退避位置yp1へ移動させた後、押上ピン昇降機構130bによって押上ピン131をさらに下降させるように構成してもよい。このようにすれば、枠体起立機構30によって枠体10を垂直に立てる場合に、枠体起立機構30の可動スペースをより広く取ることができる。
【0053】
また、クランプ機構100による基板Sを挟む力を調節する場合には、図4に示すように、距離調節機構140によって、枠体10に対してクランプ片110を閉じた状態における磁性体122に対する磁石121の距離を変更する。なお、磁性体122に対する磁石121の距離を長くするように調節した場合には、磁力による吸着力が低下するため、クランプ機構100による基板Sを挟む力を低下させることができ、逆に、磁性体122に対する磁石121の距離を短くするように調節した場合には、磁力による吸着力が上昇するため、クランプ機構100による基板Sを挟む力を増加させることができる。
【0054】
<その他の実施形態> 前記実施形態においては、枠体10を二段に設置する構成としたが、三段以上に設置する構成としてもよい。また、枠体10を一段のみ設置する構成であってもよい。また、前記実施形態においては、一つの基板受渡機構20を見た場合に、一つの枠体10に対して一つの支持ピン21を対応させて設置しているが、二つ以上の支持ピン21を対応させて配置するように構成してもよい。
【0055】
また、前記実施形態においては、支持ピン退避機構20aとして支持ピン21を旋回移動させる構成としたが、平行移動させる構成としてもよい。
【0056】
また、前記実施形態においては、クランプ保持機構120として、枠体10に対してクランプ片110が閉じる方向へ働く力を磁力の吸着によって得ているが、これに限定されることなく、例えば、バネ等の機械的手段によって得てもよい。
【0057】
また、前記実施形態においては、枠体10を矩形枠状にしているが、本発明における枠体10とは、必ずしも枠状に形成されたものだけに限らず、基板Sを載置することができ、かつ、支持ピン21を通ることができる孔が開いている構造のものであればよい。
【0058】
その他、本発明は前記各実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
TD 搬送装置
HD 基板保持装置
S 基板
10 枠体
12a 貫通孔
100 クランプ機構
110 クランプ片
120 クランプ保持機構
121 磁石
122 磁性体
130 クランプ解除機構
130a 押上ピン進退機構
xp1 押上ピン昇降位置
yp1 押上ピン退避位置
130b 押上ピン昇降機構
131 押上ピン
20 基板受渡機構
20a 支持ピン進退機構
xp2 支持ピン待機位置
yp2 支持ピン退避位置
20b 支持ピン昇降機構
21 支持ピン

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8