(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】車両用前照灯
(51)【国際特許分類】
F21S 41/25 20180101AFI20221109BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20221109BHJP
F21S 41/40 20180101ALI20221109BHJP
F21W 102/15 20180101ALN20221109BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221109BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20221109BHJP
F21Y 115/20 20160101ALN20221109BHJP
【FI】
F21S41/25
F21S41/143
F21S41/40
F21W102:15
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y115:20
(21)【出願番号】P 2018128202
(22)【出願日】2018-07-05
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 和則
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-084455(JP,A)
【文献】特開2007-026958(JP,A)
【文献】特開2018-060725(JP,A)
【文献】特開2015-185533(JP,A)
【文献】特開2014-063694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21W 102/15
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 115/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する発光面を有する光源と、
前記発光面に対向して配置され、カットオフパターン形成部を有する遮光部材と、
前記光源から出射され前記遮光部材を通過する前記光を車両搭載方向の前方に出射する第1レンズと、
前記第1レンズから出射される前記光を前記前方に照射する第2レンズと
を備え、
前記第1レンズは、
前記カットオフパターン形成部を通過する光が入射し、カットオフラインを有する主配光パターンを形成する中央レンズ部と、
前記中央レンズ部の車両搭載状態における左右方向の少なくとも一方の端部に設けられ、前記カットオフパターン形成部の左右方向の側方を通過する光が入射し、前記主配光パターンの周囲を照射する補助配光パターンを形成する側方レンズ部と、を有
し、
前記側方レンズ部は、前記中央レンズ部の前記左右方向の両側に配置され、
それぞれの前記側方レンズ部は、前記光を出射する出射面を有し、
前記出射面は、左右方向において前記第2レンズの光軸から離れた位置から出射する前記光が左右方向において前記光軸に近い位置から出射する前記光よりも前記光軸側に向けて進行し、かつ、出射する前記光が左右方向において前記側方レンズ部と前記第2レンズとの間の所定の点で交差するように形成される
車両用前照灯。
【請求項2】
前記第1レンズは、前記中央レンズ部と前記側方レンズ部との境界が、前記第2レンズの左右方向の両端部と、前記第2レンズの焦点とを結ぶ仮想直線上に配置される
請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記側方レンズ部は、前記主配光パターンの左右方向の端部に前記補助配光パターンを形成する
請求項1又は請求項2に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記遮光部材は、前記前方側の端部が前記第1レンズの焦点位置に配置される
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用前照灯。
【請求項5】
前記光源は、前記発光面の車両搭載状態における下側端部が前記第1レンズ及び前記第2レンズの光軸上に配置される
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用前照灯。
【請求項6】
前記側方レンズ部は
、前記中央レンズ部と一体で配置される
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
光源から出射された光を2枚のレンズにより車両前方に照射して、ロービームパターンを形成する車両用前照灯が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の車両用前照灯では、2枚のレンズの間にカットオフシェードが配置され、当該カットオフシェードによりロービームパターンにおけるカットオフラインの形状を規定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような車両用前照灯においては、光源からの光を上方又は左右方向に拡散させて照射範囲を広げることで、広い範囲にパターンを形成することができる。しかしながら、特許文献1に記載の構成において、2枚のレンズにより光源からの光を拡散させようとすると、ロービームパターンにおいてカットオフラインの形状がぼやける可能性がある。したがって、カットオフラインがぼやけることを抑制しつつ、パターンの照射範囲を拡張することが可能な構成が求められている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、カットオフラインがぼやけることを抑制しつつ、パターンの照射範囲を拡張することが可能な車両用前照灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用前照灯は、光を出射する発光面を有する光源と、前記発光面に対向して配置され、カットオフパターン形成部を有する遮光部材と、前記光源から出射され前記遮光部材を通過する前記光を車両搭載方向の前方に出射する第1レンズと、前記第1レンズから出射される前記光を前記前方に照射する第2レンズとを備え、前記第1レンズは、前記カットオフパターン形成部を通過する光が入射し、カットオフラインを有する主配光パターンを形成する中央レンズ部と、前記中央レンズ部の車両搭載状態における左右方向の少なくとも一方の端部に設けられ、前記カットオフパターン形成部の左右方向の側方を通過する光が入射し、前記主配光パターンの周囲を照射する補助配光パターンを形成する側方レンズ部と、を有する。
【0007】
上記の車両用前照灯において、前記第1レンズは、前記中央レンズ部と前記側方レンズ部との境界が、前記第2レンズの左右方向の両端部と、前記第2レンズの焦点とを結ぶ仮想直線上に配置されてもよい。
【0008】
上記の車両用前照灯において、前記側方レンズ部は、前記主配光パターンの左右方向の端部に前記補助配光パターンを形成してもよい。
【0009】
上記の車両用前照灯において、前記遮光部材は、前記前方側の端部が前記第1レンズの焦点位置に配置されてもよい。
【0010】
上記の車両用前照灯において、前記光源は、前記発光面の車両搭載状態における下側端部が前記第1レンズ及び前記第2レンズの光軸上に配置されてもよい。
【0011】
上記の車両用前照灯において、前記側方レンズ部は、前記中央レンズ部の前記左右方向の両側に前記中央レンズ部と一体で配置されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、カットオフラインがぼやけることを抑制しつつ、パターンの照射範囲を拡張することが可能な車両用前照灯を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る車両用前照灯の一例を示す平面図である。
【
図2】
図2は、光源部及び第1レンズの一部の構成を示す平面図である。
【
図3】
図3は、光源部及び第1レンズの一部の構成を示す側面図である。
【
図4】
図4は、光源部及び第1レンズの一部の構成を示す正面図である。
【
図5】
図5は、
図4におけるA-A断面に沿った構成を示す図である。
【
図6】
図6は、車両用前照灯において光源から光が出射された状態を示す図である。
【
図7】
図7は、光が側方レンズ部を通過する様子を示す図である。
【
図8】
図8は、車両前方に照射されるロービームパターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る車両用前照灯の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。以下の説明において、前後、上下、左右の各方向は、車両用前照灯が車両に搭載された車両搭載状態における方向であって、運転席から車両の進行方向を見た場合における方向を示す。なお、本実施形態では、上下方向は鉛直方向に平行であり、左右方向は水平方向であるとする。
【0015】
図1は、本実施形態に係る車両用前照灯100の一例を示す平面図である。
図1に示すように、車両用前照灯100は、光源部10と、シェード(遮光部材)20と、第1レンズ30と、第2レンズ40とを備えている。本実施形態において、車両用前照灯100は、いわゆる直射型のランプユニットを構成しており、例えばロービームパターンを所定の照射方向に照射可能である。車両用前照灯100は、これらの光源部10、シェード20、第1レンズ30及び第2レンズ40を収容する不図示のランプハウジング及びランプレンズを有する。
【0016】
<光源部>
図2及び
図3は、光源部10及び第1レンズ30の一部の構成を示す図である。
図2は上方から見た状態を示し、
図3は右方から見た状態を示す。光源部10は、光源11及び基板12を有する。光源11は、例えばLEDやOEL、OLED(有機EL)などの半導体型光源である。光源11は、前方に向けられた発光面11aを有する。光源11は、ランバーシアン分布を形成するように発光面11aから光を出射する。光源11は、発光面11aの下側端部が第1レンズ30及び第2レンズ40の光軸AX上に配置されている。
【0017】
基板12は、光源11が実装される。基板12は、車両搭載状態における前側に平面部を有し、当該平面部で光源11を支持する。基板12は、光源11に電気信号を供給する所定の回路や、当該回路に接続するコネクタ等を有する。基板12は、不図示のヒートシンク等に支持されている。
【0018】
<シェード>
シェード20は、例えば金属板など、光源11からの光を遮光可能な部材で構成されている。シェード20は、光源11と第1レンズ30との間に配置されている。シェード20は、前方側の端部が第1レンズ30の焦点F1の位置に配置される。シェード20は、ロービームパターンのカットオフライン(
図8参照)を形成するためのカットオフパターン形成部21を有する。
【0019】
<第1レンズ>
第1レンズ30は、光源11から出射されシェード20を通過する光を前方に出射する。第1レンズ30は、不図示のレンズホルダ等に保持される。第1レンズ30は、中央レンズ部31と、側方レンズ部32とを有する。中央レンズ部31及び側方レンズ部32は、共通の焦点F1を有する。
【0020】
中央レンズ部31は、シェード20のうちカットオフパターン形成部21を通過する光が入射する。中央レンズ部31は、入射面31a及び出射面31bを有する。入射面31aは、カットオフパターン形成部21を通過した光が入射する。入射面31aは、光源11側に向けて配置され、前方に突出した凸面状である。出射面31bは、入射面31aに入射した光を前方に出射する。中央レンズ部31は、ロービームパターンPのうちカットオフラインCLを有する主配光パターンP1を形成する(
図8参照)。
【0021】
側方レンズ部32は、中央レンズ部31の左右方向の両側の端部に配置され、中央レンズ部31と一体で設けられる。
図4は、第1レンズ30を前方から見た状態を示す図である。
図5は、
図4におけるA-A断面に沿った構成を示す図である。
図4及び
図5に示すように、側方レンズ部32は、中央レンズ部31の左右方向の両側の端部に配置され、中央レンズ部31と一体で設けられる。側方レンズ部32は、カットオフパターン形成部21の左右方向の側方を通過する光が入射する。側方レンズ部32は、例えば
図4に示すように、光軸AXよりも上側に配置される。
【0022】
各側方レンズ部32は、入射面32a、反射面32b及び出射面32cを有する。入射面32aは、カットオフパターン形成部21の左右方向の側方を通過した光が入射する。左側に配置される側方レンズ部32の入射面32aは、左方に向けて突出した凸面状である。右側に配置される側方レンズ部32の入射面32aは、右方に向けて突出した凸面状である。反射面32bは、入射面32aに入射した光を出射面32cに向けて反射する。出射面32cは、反射面32bで反射された光を前方に出射する。入射面32a、反射面32b及び出射面32cは、例えばそれぞれ自由曲面で構成される。側方レンズ部32は、ロービームパターンPのうち、主配光パターンP1の左右方向の側方を照射する補助配光パターンP2を形成する(
図8参照)。
【0023】
また、第1レンズ30において、中央レンズ部31の入射面31aと側方レンズ部32の入射面32aとの間には、入射側境界線33が形成される。また、中央レンズ部31の出射面31bと側方レンズ部32の出射面32cとの間には、出射側境界線34が形成される。
【0024】
<第2レンズ>
第2レンズ40は、第1レンズ30から出射される光を前方に照射する。第2レンズ40は、不図示のレンズホルダ等に保持される。第2レンズ40は、入射面40a及び出射面40bを有する。入射面40aは、中央レンズ部31の出射面31bから出射された光と、側方レンズ部32の出射面32cから出射された光とが入射する。本実施形態において、入射面40aは、第1レンズ30側に向けて突出した凸面状である。出射面40bは、入射面40aに入射した光を前方に出射する。本実施形態において、出射面40bは、光軸AXに垂直な平面状である。第2レンズ40は、焦点F2が光源部10よりも後方に配置される。
【0025】
また、第2レンズ40のうち左右方向の端部40cと、焦点F2とを結んだ仮想直線(
図1の破線部分)上には、入射側境界線33及び出射側境界線34が配置される。この構成により、中央レンズ部31の出射面31bが2本の仮想直線の間の領域に配置されることになる。つまり、上記の第1レンズ30は、出射面31bから出射される光を効率的に第2レンズ40に入射させることが可能な構成となっている。
【0026】
次に、
図6から
図8を用いて、上記のように構成された車両用前照灯100の動作を説明する。
図6は、車両用前照灯100において光源11から光が出射された状態を示す図である。
図7は、光L2が側方レンズ部32を通過する様子を示す図である。
図8は、車両前方に照射されるロービームパターンPの一例を示す図である。
図8において、H-H線は水平線を示し、V-V線は鉛直方向に平行な線を示す。
【0027】
図6に示すように、光源11を点灯させることにより、光源11の発光面11aから光が出射され、一部の光がシェード20によって遮光され、一部の光がシェード20を通過する。シェード20を通過した光のうち、カットオフパターン形成部21を通過した光L1は、第1レンズ30の中央レンズ部31の入射面31aに入射し、出射面31bから出射される。出射面31bから出射された光L1は、第2レンズ40の入射面40aに入射する。
【0028】
本実施形態では、入射面31aのうち入射側境界線33の近傍の領域に入射する光L1は、出射面31bのうち出射側境界線34の近傍の領域から出射され、第2レンズ40の入射面40aのうち左右方向の両端部の近傍の領域に入射する。このように、第1レンズ30により、カットオフパターン形成部21を通過した光L1が第2レンズ40に効率的に入射する。
【0029】
入射面40aに入射した光L1は、出射面40bから車両前方に出射される。出射面40bから出射された光L1は、
図8に示すように、カットオフラインCL1、CL2及びエルボー点を有するロービームパターンPの主配光パターンP1として、車両前方に照射される。
【0030】
一方、シェード20を通過した光のうち、カットオフパターン形成部21の側方を通過した光L2は、第1レンズ30の側方レンズ部32の入射面32aに入射する。入射面32aに入射した光L2は、反射面32bによって反射され、出射面32cから車両前方に出射される。
【0031】
図7に示すように、出射面32cのうち左右方向において光軸AXから離れた位置から出射される光L2は、左右方向において光軸AXに近い位置から出射される光L1よりも、光軸AX側に向けて進行する。本実施形態において、出射面32cから出射される光L2は、例えば所定の点LPで交差する。この光L2は、第2レンズ40の入射面40aに入射し、出射面40bから出射される。出射面40bから出射された光L2は、
図8に示すように、ロービームパターンPの補助配光パターンP2として、車両前方に照射される。
【0032】
なお、光L2は、側方レンズ部32から出射されて第2レンズ40に入射するまでは光軸AXとは交差せず、第2レンズ40から出射された後に光軸AXと交差するような光路となる。この場合、例えば右側の側方レンズ部32に入射した光L2は、
図8に示すように、補助配光パターンP2aとして、主配光パターンP1の左側の端部及びその近傍に照射される。また、例えば左側の側方レンズ部32に入射した光L2は、
図8に示すように、補助配光パターンP2bとして、主配光パターンP1の右側の端部及びその近傍に照射される。
【0033】
図8に示すように、ロービームパターンPは、主配光パターンP1の左右方向の両端に補助配光パターンP2が配置されることにより、左右方向の両端において明暗の勾配が緩やかになる。このため、左右方向の両端における視認性が向上する。
【0034】
以上のように、本実施形態に係る車両用前照灯100は、光を出射する発光面11aを有する光源11と、発光面11aに対向して配置され、カットオフパターン形成部21を有するシェード20と、光源11から出射されシェード20を通過する光を車両搭載方向の前方に出射する第1レンズ30と、第1レンズ30から出射される光を前方に照射する第2レンズ40とを備え、第1レンズ30は、カットオフパターン形成部21を通過する光L1が入射し、カットオフラインCLを有する主配光パターンP1を形成する中央レンズ部31と、中央レンズ部31の車両搭載状態における左右方向の少なくとも一方の端部に設けられ、カットオフパターン形成部21の左右方向の側方を通過する光L2が入射し、主配光パターンP1の周囲を照射する補助配光パターンP2を形成する側方レンズ部32と、を有する。
【0035】
この構成によれば、光源11から出射されシェード20のカットオフパターン形成部21を通過する光L1については、第1レンズ30の中央レンズ部31と第2レンズ40とにより、カットオフラインCLを有する主配光パターンP1として車両前方に照射される。また、光源11から出射されシェード20のカットオフパターン形成部21の側方を通過する光L2については、第1レンズ30の側方レンズ部32と第2レンズ40とにより、主配光パターンP1の周囲に補助配光パターンP2として照射される。したがって、光L1を所期の設定に対して左右方向及び上下方向に拡散させることなく、補助配光パターンP2により照射範囲を広げることができる。これにより、カットオフラインCLがぼやけることを抑制しつつ、ロービームパターンPの照射範囲を拡張することが可能となる。
【0036】
本実施形態に係る車両用前照灯100において、第1レンズ30は、中央レンズ部31と側方レンズ部32との境界である入射側境界線33及び出射側境界線34が、第2レンズ40の左右方向の両端部と、第2レンズ40の焦点F2とを結ぶ仮想直線上に配置される。この構成により、中央レンズ部31の出射面31bから出射される光を効率的に第2レンズ40に入射させることができる。
【0037】
本実施形態に係る車両用前照灯100において、側方レンズ部32は、主配光パターンP1の左右方向の端部に補助配光パターンP2を形成する。この構成により、主配光パターンP1を拡散させることなく、補助配光パターンP2により照射範囲を左右方向に広げることができる。この場合、主配光パターンP1の左右方向の両端に補助配光パターンP2が配置されることにより、左右方向の両端において明暗の勾配が緩やかになる。このため、左右方向の両端における視認性が向上する。
【0038】
本実施形態に係る車両用前照灯100において、シェード20は、前方側の端部が第1レンズ30の焦点F1に配置される。この構成により、カットオフラインがぼやけることをより確実に抑制することができる。
【0039】
本実施形態に係る車両用前照灯100において、光源11は、発光面11aの車両搭載状態における下側端部が第1レンズ30及び第2レンズ40の光軸AX上に配置される。この構成により、発光面11aから出射される光を、より多く利用することができる。
【0040】
本実施形態に係る車両用前照灯100において、側方レンズ部32は、中央レンズ部31の左右方向の両側に中央レンズ部31と一体で配置される。この構成により、カットオフパターン形成部21の側方を通過した光を効率的に車両前方に照射することができる。
【0041】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、側方レンズ部32が中央レンズ部31の左右方向の両側の端部に配置される構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。側方レンズ部32は、中央レンズ部31の左右方向の一方の端部に配置される構成であってもよい。
【0042】
上記実施形態では、光源11において、発光面11aの車両搭載状態における下側端部が光軸AX上に配置される構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。光源11において、例えば発光面11aの中心等、発光面11aの面内に光軸AXが配置される構成であってもよい。
【0043】
上記実施形態では、シェード20の前方側の端部が第1レンズ30の焦点F1の位置に配置される構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。シェード20の前方側の端部と第1レンズ30の焦点F1の位置とが異なる位置に配置される構成であってもよい。
【0044】
上記実施形態では、側方レンズ部32が、主配光パターンP1の左右方向の端部に補助配光パターンP2を形成する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。側方レンズ部32は、主配光パターンP1の上下方向の端部に補助配光パターンP2を形成する構成であってもよい。また、側方レンズ部32は、主配光パターンP1に対して上下方向又は左右方向の離れた位置に補助配光パターンP2を形成する構成であってもよい。
【0045】
上記実施形態では、第1レンズ30において、中央レンズ部31と側方レンズ部32との境界である入射側境界線33及び出射側境界線34が、第2レンズ40の左右方向の両端部と、第2レンズ40の焦点F2とを結ぶ仮想直線上に配置される構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。
【符号の説明】
【0046】
AX…光軸、CL,CL1,CL2…カットオフライン、F1,F2…焦点、L1,L2…光、P…ロービームパターン、P1…主配光パターン、P2,P2a,P2b…補助配光パターン、10…光源部、11…光源、11a…発光面、12…基板、20…シェード、21…カットオフパターン形成部、30…第1レンズ、31…中央レンズ部、31a,32a,40a…入射面、31b,32c,40b…出射面、32…側方レンズ部、32b…反射面、33…入射側境界線、34…出射側境界線、40…第2レンズ、40c…端部、100…車両用前照灯