(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04815 20220101AFI20221109BHJP
G06F 3/0487 20130101ALI20221109BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20221109BHJP
G06F 3/02 20060101ALI20221109BHJP
G06F 3/0338 20130101ALI20221109BHJP
G06F 3/0346 20130101ALI20221109BHJP
H04N 13/302 20180101ALI20221109BHJP
【FI】
G06F3/04815
G06F3/0487
G06F3/01 560
G06F3/02 D
G06F3/02 410
G06F3/0338 411
G06F3/0346 422
H04N13/302
(21)【出願番号】P 2018131079
(22)【出願日】2018-07-10
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】篠原 正幸
(72)【発明者】
【氏名】田上 靖宏
(72)【発明者】
【氏名】北村 智和
(72)【発明者】
【氏名】森 裕都
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-114929(JP,A)
【文献】特開2012-248033(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0157398(US,A1)
【文献】特開2017-107133(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038424(WO,A1)
【文献】特開2017-161733(JP,A)
【文献】国際公開第2017/047527(WO,A1)
【文献】特開2016-130832(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003860(WO,A1)
【文献】特開2016-006564(JP,A)
【文献】特開2011-013778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/04815
G06F 3/0487
G06F 3/01
G06F 3/02
G06F 3/0338
G06F 3/0346
H04N 13/302
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から入射した光を導光して光出射面から出射させ、空間に
、ユーザによって仮想的に入力が行われる入力面を含む画像を結像させる導光板と、
前記画像が結像される結像位置を含む空間に位置する物体を検出するセンサと、
前記センサによる前記物体の検出に応じて
前記ユーザによる入力を検知する入力検知部と、
前記入力検知部が前記入力を検出したときに、前記画像を第1結像状態から第2結像状態に変化させる画像制御部と、を備え、
前記第1結像状態から前記第2結像状態への前記画像の変化方向が、前記光出射面に垂直な方向に対して角度を有する方向であ
り、かつ、前記入力面に垂直な方向であることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記第1結像状態における前記画像は、前記光出射面に平行な方向に対して傾いて結像された画像であることを特徴とする請求項
1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記第1結像状態から前記第2結像状態への変化において、前記画像が水平方向に変化することを特徴とする請求項
1または2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記第1結像状態から前記第2結像状態への変化において、前記画像が鉛直面内で移動することを特徴とする請求項
1または2に記載の入力装置。
【請求項5】
前記入力検知部が前記入力を検知したときに、音を出力する音出力装置をさらに備えることを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記入力検知部が前記入力を検知したときに、前記結像位置を含む空間に位置する人体の触覚を遠隔で刺激する触覚刺激装置をさらに備えることを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項7】
前記画像制御部は、前記入力検知部が前記入力を検知したときに、前記画像の色を変化させることを特徴とする請求項1~
6のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項8】
前記画像が、トグルスイッチの形状となっていることを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項9】
前記画像が、レバーの形状となっていることを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項10】
前記画像が、ダイアルの形状となっていることを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項11】
前記センサは、前記変化方向に沿って位置する第1検出点および第2検出点において前記物体を検知し、
前記入力検知部は、前記センサが所定の時間の間に前記第1検出点および前記第2検出点において前記物体を検出した場合に前記入力を検知することを特徴とする請求項1~
10のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項12】
前記入力検知部は、
前記ユーザによる前記入力の動作が行われる方向において前記画像が結像されている位置よりも前記入力の動作が行われる向きとは反対向きに所定の距離離れた領域に、前記物体が位置したことを前記センサが検知した場合に、前記入力を検知することを特徴とする請求項1~
11のいずれか1項に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間に画像を結像させるとともに、当該画像に対するユーザによる入力を検知する入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導光板の光出射面から光を出射させて空間に像を形成するとともに、導光板の出射面側に位置する物体を検出する入力装置が知られている(特許文献1)。このような装置によれば、ユーザは、空間に立体的に表示されているボタン画像を空中で仮想的に触れることによって入力動作を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような入力装置は、衛生面的に直接触ることが好ましくない装置(例えば、温水便座洗浄機の操作パネル、病院に設置される整理番号発券機など)やクリーン環境が要求される装置(例えば、食品製造装置、工場におけるクリーンルーム内の装置など)などに適用することができる。しかしながら、上述のような従来技術では、物体(例えば、ユーザの指など)が導光板の光出射面に垂直な方向に移動することにより入力される構成となっているため、物体が入力装置に接触する可能性が高くなってしまう。
【0005】
本発明の一態様は、物体が入力装置に接触することを防止することができる入力装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る入力装置は、光源から入射した光を導光して光出射面から出射させ、空間に画像を結像させる導光板と、前記画像が結像される結像位置を含む空間に位置する物体を検出するセンサと、前記センサによる前記物体の検出に応じてユーザによる入力を検知する入力検知部と、前記入力検知部が前記入力を検出したときに、前記画像を第1結像状態から第2結像状態に変化させる画像制御部と、を備え、前記第1結像状態から前記第2結像状態への前記画像の変化方向が、前記光出射面に垂直な方向に対して角度を有する方向である。
【0007】
上記の構成によれば、入力装置によって表示される立体画像が第1結像状態から第2結像状態へ変化する際の立体画像の変化方向は、出射面に垂直な方向に対して角度を有する。これにより、ユーザの入力装置に対する入力方向は、出射面に垂直な方向に対して傾いた方向(すなわち、出射面に垂直な方向に対して角度を有する方向)となる。その結果、入力操作後の物体(例えば、ユーザの指)の位置を、従来と比べて出射面から離れた位置にすることができる。それゆえ、上記物体が入力装置に接触することを防止することができる。
【0008】
また、本発明の一態様に係る入力装置において、前記画像の変化方向は、前記画像において前記ユーザが仮想的に入力を行う入力面の移動方向である。
【0009】
また、本発明の一態様に係る入力装置において、前記第1結像状態における前記画像は、前記光出射面に平行な方向に対して傾いて結像された画像であってもよい。
【0010】
上記構成によれば、ユーザは、立体画像に対して、出射面に垂直な方向に対して斜め方向に操作を行えばよいことが直感的にわかるようになっている。これにより、ユーザが立体画像に対して出射面に垂直な方向に入力動作を行うことを防止することができる。そのため、物体が入力装置に接触することを防止することができるようになっている。
【0011】
また、本発明の一態様に係る入力装置において、前記第1結像状態から前記第2結像状態への変化において、前記画像が水平方向に変化する構成であってもよい。
【0012】
上記の構成によれば、ユーザの入力装置に対する入力方向を、水平方向にすることができる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る入力装置において、前記第1結像状態から前記第2結像状態への変化において、前記画像が鉛直面内で移動する構成であってもよい。
【0014】
上記の構成によれば、ユーザの入力装置に対する入力方向を、上下方向にすることができる。
【0015】
また、本発明の一態様に係る入力装置において、前記入力検知部が前記入力を検知したときに、音を出力する音出力装置をさらに備える構成であってもよい。
【0016】
上記の構成によれば、音により入力装置に対する操作を入力装置が受け付けたことをユーザに対して報知することができる。
【0017】
また、本発明の一態様に係る入力装置において、前記入力検知部が前記入力を検知したときに、前記結像位置を含む空間に位置する人体の触覚を遠隔で刺激する触覚刺激装置をさらに備える構成であってもよい。
【0018】
上記の構成によれば、触覚に対する刺激により入力装置に対する操作を入力装置が受け付けたことをユーザに対して報知することができる。
【0019】
また、本発明の一態様に係る入力装置において、前記画像制御部は、前記入力検知部が前記入力を検知したときに、前記画像の色を変化させてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、立体画像の色の変化により入力装置に対する操作を入力装置が受け付けたことをユーザに対して報知することができる。
【0021】
また、本発明の一態様に係る入力装置において、前記画像が、トグルスイッチの形状となっていてもよい。
【0022】
また、本発明の一態様に係る入力装置において、前記画像が、レバーの形状となっていてもよい。
【0023】
また、本発明の一態様に係る入力装置において、前記画像が、ダイアルの形状となっていてもよい。
【0024】
また、本発明の一態様に係る入力装置において、前記センサは、前記変化方向に沿って位置する第1検出点および第2検出点において前記物体を検知し、前記入力検知部は、前記センサが所定の時間の間に前記第1検出点および前記第2検出点において前記物体を検出した場合に前記入力を検知する構成であってもよい。
【0025】
上記の構成によれば、入力検知部は、所定の時間の間に第1検出点および第2検出点において物体を検知した場合にのみユーザの入力を検知する。このような動作を、ユーザが意図せずに行う可能性は小さいと考えられる。したがって、ユーザが意図した場合にのみ入力を検知することができる。
【0026】
また、本発明の一態様に係る入力装置において、前記入力検知部は、ユーザによる前記入力の動作が行われる方向において前記画像が結像されている位置よりも前記入力の動作が行われる向きとは反対向きに所定の距離離れた領域に、前記物体が位置したことを前記センサが検知した場合に、前記入力を検知する構成であってもよい。
【0027】
上記の構成によれば、画像が結像されている位置に物体が到達する前に、ユーザの入力を検知する。このため、入力装置がユーザの入力を受け付けたことを、従来よりも早くユーザに報知することができる。これにより、入力装置に対する良好な操作感をユーザに与えることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、物体が入力装置に接触することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態1に係る入力装置の側面図である。
【
図3】上記入力装置が備える第1立体画像表示部の斜視図である。
【
図4】上記第1立体画像表示部によって結像される立体画像を示すものであり、(a)は、上記立体画像の斜視図であり、(b)は、上記立体画像を上記第1立体画像表示部が備える導光板の出射面に平行な方向から見た図である。
【
図5】上記入力装置が備える第2立体画像表示部によって結像される立体画像を示すものであり、(a)は、上記立体画像の斜視図であり、(b)は、上記立体画像を上記出射面に平行な方向から見た図である。
【
図6】上記入力装置におけるユーザの入力を受け付ける動作を示すものであり、(a)は、ユーザが上記入力装置に対して入力する様子を示す図であり、(b)は、ユーザが入力した後の様子を示す図である。
【
図7】立体画像が変化する際の立体画像の変化方向の好ましい方向を説明するための図である。
【
図8】ユーザによる入力動作の方向を示す画像の例を示す図である。
【
図9】(a)および(b)は、上記入力装置が備える位置検出センサの他の配置例を示す図である。
【
図10】上記入力装置の本変形例としての入力装置が備える第1立体画像表示部によって結像される立体画像を示すものであり、(a)は、上記立体画像の斜視図であり、(b)は、上記立体画像を出射面に平行な方向から見た図である。
【
図11】上記入力装置が備える第2立体画像表示部によって結像される立体画像を示すものであり、(a)は、上記立体画像の斜視図であり、(b)は、上記立体画像を出射面に平行な方向から見た図である。
【
図12】上記入力装置におけるユーザの入力を受け付ける動作を示すものであり、(a)は、ユーザが上記入力装置に対して入力する様子を示す図であり、(b)は、ユーザが入力した後の様子を示す図である。
【
図13】(a)および(b)は、上記立体画像の変形例を示す図である。
【
図14】実施形態1に係る入力装置のさらなる変形例としての入力装置の斜視図であり、(b)は、上記入力装置を上方向から見た図である。
【
図16】(a)~(c)は、上記入力装置が備える立体画像表示部によって結像される立体画像を示す図である。
【
図17】(a)および(b)は、上記入力装置におけるユーザの入力を受け付ける動作の一例を説明するためのものであり、(a)は、ユーザが上記入力装置に対して入力する様子を示す図であり、(b)は、ユーザが入力した後の様子を示す図である。
【
図18】(a)~(c)は、上記立体画像の変形例を示す図である。
【
図19】実施形態1に係る入力装置のさらなる変形例としての入力装置のブロック図である。
【
図20】実施形態1に係る入力装置のさらなる変形例としての入力装置の構成を示す図である。
【
図21】(a)は、ユーザによる入力を受け付ける前の上記入力装置を示す図であり、(b)は、ユーザによる入力を受け付けた後の上記入力装置を示す図である。
【
図22】実施形態1における第1立体画像表示部および第2立体画像表示部の変形例としての立体画像表示部の斜視図である。
【
図23】上記立体画像表示部の構成を示す断面図である。
【
図24】上記立体画像表示部の構成を示す平面図である。
【
図25】上記立体画像表示部が備える光路変更部の構成を示す斜視図である。
【
図26】上記光路変更部の配列を示す斜視図である。
【
図27】上記立体画像表示部による立体画像の結像方法を示す斜視図である。
【
図28】実施形態1における第1立体画像表示部および第2立体画像表示部のさらなる変形例としての立体画像表示部の斜視図である。
【
図29】上記立体画像表示部の構成を示す断面図である。
【
図30】上記入力装置のさらなる変形例としての入力装置の構成を示す図である。
【
図31】上記入力装置のさらなる変形例としての入力装置を説明するものであり、(a)は、ユーザが上記入力装置に対して入力する様子を示す図であり、(b)は、ユーザが入力した後の様子を示す図である。
【
図32】実施形態1に係る入力装置のさらなる変形例としての入力装置における位置検出センサが物体を検知する範囲を示す図である。
【
図33】(a)および(b)は、上記入力装置が適用された遊技機の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0031】
§1 適用例
まず、
図6を用いて、本発明が適用される場面の一例について説明する。
図6は、入力装置1Aにおけるユーザの入力を受け付ける動作を示すものであり、(a)は、ユーザが入力装置1Aに対して入力する様子を示す図であり、(b)は、ユーザが入力した後の様子を示す図である。
【0032】
本発明の一態様の入力装置1Aは、機器の操作部やスイッチなどに適用され、当該機器に対するユーザの入力を受け付ける装置である。
図6の(a)および(b)に示すように、入力装置1Aは、第1立体画像表示部10と、第2立体画像表示部20と、位置検出センサ2とを備えている。
【0033】
第1立体画像表示部10および第2立体画像表示部20は、ユーザにより視認される立体画像I1(画像)および立体画像I2(画像)をそれぞれスクリーンのない空間に結像する。立体画像I1bの一部である立体画像I1b、および立体画像I2の一部である立体画像I2bは、高さ方向が出射面11aに垂直な方向に対して角度を有する台形錐台形状となっており、かつ、立体画像I1bの高さが立体画像I1aよりも短くなっている。
【0034】
位置検出センサ2は、第1立体画像表示部10によって結像される立体画像I1の結像位置を含む空間に位置する物体を検出するセンサである。
【0035】
入力装置1Aでは、ユーザによる入力を待機している状態においては、立体画像I1が結像された状態となっている。この状態において、位置検出センサ2が、立体画像I1bが結像される位置に物体(例えば、ユーザの指)が位置したことを検出すると、入力装置1Aは、表示する画像を立体画像I1から立体画像I2に切り替える。入力装置1Aでは、入力装置1Aによって表示される立体画像が立体画像I1から立体画像I2へ変化する際の立体画像の変化方向は、第1立体画像表示部10が備える導光板11の出射面11aに垂直な方向に対して角度を有するようになっている。これにより、ユーザの入力装置1Aに対する入力方向は、出射面11aに垂直な方向に対して傾いた方向(すなわち、出射面11aに垂直な方向に対して角度を有する方向)となる。その結果、入力操作後のユーザの指の位置を、従来と比べて出射面11aから離れた位置にすることができる。それゆえ、入力装置1Aでは、ユーザの指が入力装置1Aに接触することを防止することができる。
【0036】
§2 構成例
以下、本発明の入力装置の構成例を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態における入力装置1Aの側面図である。
図2は、入力装置1Aのブロック図である。
【0037】
図1および
図2に示すように、入力装置1Aは、第1立体画像表示部10と、第2立体画像表示部20と、位置検出センサ2(センサ)と、音出力部3(音出力装置)と、制御部30とを備えている。なお、以降では、説明の便宜上、
図1における+X方向を前方向、-X方向を後方向、+Y方向を上方向、-Y方向を下方向、+Z方向を右方向、-Z方向を左方向として説明する場合がある。
【0038】
第1立体画像表示部10および第2立体画像表示部20は、ユーザにより視認される立体画像をスクリーンのない空間に結像する。以降の説明では、第1立体画像表示部10が結像する立体画像を立体画像I1、第2立体画像表示部20が結像する立体画像を立体画像I2と称する。なお、立体画像I1と立体画像I2とを区別しない時は、単に立体画像Iと記載する。
【0039】
第1立体画像表示部10および第2立体画像表示部20の構成は同様であるため、本明細書では、第1立体画像表示部10の構成について詳細に説明し、第2立体画像表示部20については、第1立体画像表示部10と異なる点についてのみ説明する。
【0040】
図3は、第1立体画像表示部10の斜視図である。なお、
図3では、説明の便宜上、第1立体画像表示部10が立体画像Iの一例として、「ON」の文字が表示されたボタン形状(+X軸方向に突出した形状)の立体画像Iを表示している様子を示している。
図3に示すように、第1立体画像表示部10は、導光板11と、光源12とを備えている。
【0041】
導光板11は、直方体形状しており、透明性および比較的高い屈折率を有する樹脂材料で成形されている。導光板11を形成する材料は、例えばポリカーボネイト樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ガラスなどであってよい。導光板11は、光を出射する出射面11a(光出射面)と、出射面11aとは反対側の背面11bと、四方の端面である、端面11c、端面11d、端面11eおよび端面11fとを備えている。端面11cは、光源12から投射された光が導光板11に入射する入射面である。端面11dは、端面11cとは反対側の面である。端面11eは、端面11fとは反対側の面である。導光板11は、光源12からの光を出射面11aに平行な面内で面上に広げて導く。光源12は、例えばLED(Light Emitting diode)光源である。本実施形態では、出射面11aが鉛直方向に平行になるように導光板11が配置されている。なお、本発明の一態様では、出射面11aが鉛直方向に対して所定の角度を有するように導光板11が設置されてもよい。
【0042】
導光板11の背面11bには、光路変更部13a、光路変更部13b、および光路変更部13cを含む複数の光路変更部が形成されている。光路変更部は、Z軸方向に実質的に連続して形成されている。換言すれば、複数の光路変更部は、出射面11aに平行な面内でそれぞれ予め定められた線に沿って形成されている。光路変更部のZ軸方向の各位置には、光源12から投射され導光板11によって導光されている光が入射する。光路変更部は、光路変更部の各位置に入射した光を、各光路変更部にそれぞれ対応する定点に実質的に収束させる。
図3には、光路変更部の一部として、光路変更部13a、光路変更部13b、および光路変更部13cが特に示され、光路変更部13a、光路変更部13b、および光路変更部13cのそれぞれにおいて、光路変更部13a、光路変更部13b、および光路変更部13cのそれぞれから出射された複数の光が収束する様子が示されている。
【0043】
具体的には、光路変更部13aは、立体画像Iの定点PAに対応する。光路変更部13aの各位置からの光は、定点PAに収束する。したがって、光路変更部13aからの光の波面は、定点PAから発するような光の波面となる。光路変更部13bは、立体画像I上の定点PBに対応する。光路変更部13bの各位置からの光は、定点PBに収束する。このように、任意の光路変更部13の各位置からの光は、各光路変更部13に対応する定点に実質的に収束する。これにより、任意の光路変更部13によって、対応する定点から光が発するような光の波面を提供できる。各光路変更部13が対応する定点は互いに異なり、光路変更部13にそれぞれ対応する複数の定点の集まりによって、空間上(より詳細には、導光板11から出射面11a側の空間上)にユーザにより認識される立体画像Iが結像される。
【0044】
図3に示すように、光路変更部13a、光路変更部13b、および光路変更部13cは、線La、線Lbおよび線Lcに沿ってそれぞれ形成されている。ここで、線La、線Lbおよび線Lcは、Z軸方向に略平行な直線である。任意の光路変更部13は、Z軸方向に平行な直線に沿って実質的に連続的に形成される。
【0045】
第2立体画像表示部20は、導光板21と、光源22とを備えている。導光板21および光源22の構成は、導光板11および光源22と同様の構成である。導光板21は、出射面21aを備えている。
【0046】
入力装置1Aでは、第1立体画像表示部10の導光板11と、第2立体画像表示部20の導光板21とが、X軸方向に沿って重ねて配置されている。導光板11の出射面11aおよび導光板21の出射面21aは、YZ平面に平行に配置されている。入力装置1Aでは、導光板11の出射面11aおよび導光板21の出射面21aが前側(すなわち、+X軸側)になるように、導光板11および導光板21が配置されている。これにより、第1立体画像表示部10および第2立体画像表示部20によって、入力装置1Aの前側(+X軸側)に立体画像が結像される。
【0047】
図4は、第1立体画像表示部10によって結像される立体画像I1を示すものであり、(a)は、立体画像I1の斜視図であり、(b)は、立体画像I1を出射面11aに平行な方向から見た図である。
【0048】
図4の(a)および(b)に示すように、第1立体画像表示部10によって結像される立体画像I1は、立体画像I1aおよび立体画像I1bからなっている。立体画像I1aは、略三角柱形状をしており、スイッチの台座を模した形状となっている。立体画像I1bは、台形錐台形状をしており、スイッチの可動部を模した形状となっている。立体画像I1bでは、台形錐台の高さ方向が、出射面11aに垂直な方向に対して角度を有する(すなわち、出射面11aとは平行ではない)ように結像される。
【0049】
図5は、第2立体画像表示部20によって結像される立体画像I2を示すものであり、(a)は、立体画像I2の斜視図であり、(b)は、立体画像I2を出射面21aに平行な方向から見た図である。
【0050】
図5の(a)および(b)に示すように、第2立体画像表示部20によって結像される立体画像I2は、立体画像I2aおよび立体画像I2bからなっている。立体画像I2aは、立体画像I1aと同様である。立体画像I2bは、台形錐台形状をしている。立体画像I2bは、台形錐の高さ方向が立体画像I1bの高さ方向と同じ方向となっており、かつ、立体画像I1bよりも高さ方向の長さが短くなっている。
【0051】
位置検出センサ2は、第1立体画像表示部10によって結像される立体画像I1の結像位置を含む空間に位置する物体を検出するセンサである。本実施形態における位置検出センサ2は、限定反射センサである。位置検出センサ2は、発光素子(不図示)と受光素子(不図示)とを備えている。位置検出センサ2は、上記発光素子から照射され、検出物体により正反射された光を上記受光素子によって受光することにより、特定の位置に位置する物体を検出する。位置検出センサ2は、検出結果を後述する入力検知部31に出力する。
【0052】
位置検出センサ2は、第2立体画像表示部20の後側(-X軸方向側)であって、上下方向において立体画像I1bが結像される位置に設置されている。
【0053】
なお、本発明の入力装置では、位置検出センサ2は、限定反射センサ以外のセンサを用いて物体を検出してもよい。本発明の一態様の入力装置では、位置検出センサ2として、TOF(time of flight)方式のセンサを用いてよいし、測距センサを用いてもよいし、砲弾型LEDとフォトダイオードとを組み合わせたセンサを用いてもよい。
【0054】
音出力部3は、後述する報知制御部33からの指示を受けて音を出力する。
【0055】
制御部30は、入力装置1Aの各部を統括的に制御する。制御部30は、
図2に示すように、入力検知部31と、画像制御部32と、報知制御部33とを備えている。
【0056】
入力検知部31は、位置検出センサ2による物体の検知結果に基づいて、ユーザの入力を検知する。入力検知部31は、ユーザの入力を検知した場合、その情報を画像制御部32および報知制御部33に出力する。
【0057】
画像制御部32は、入力装置1Aによって表示される立体画像Iを制御する。具体的には、画像制御部32は、入力検知部31がユーザの入力を検知した情報を取得した場合に、入力装置1Aによって表示される画像を切り替える。詳細については、後述する。
【0058】
報知制御部33は、音出力部3の動作を制御する。具体的には、報知制御部33は、入力検知部31がユーザの入力を検知した情報を取得した場合に、音出力部3に対して音を出力するよう指示を出す。
【0059】
§3 動作例
次に、入力装置1Aの動作例について図面を参照しながら説明する。
図6は、入力装置1Aにおけるユーザの入力を受け付ける動作を示すものであり、(a)は、ユーザが入力装置1Aに対して入力する様子を示す図であり、(b)は、ユーザが入力した後の様子を示す図である。
【0060】
入力装置1Aでは、ユーザによる入力を待機している状態においては、画像制御部32が第1立体画像表示部10の光源12を点灯させるように制御する。これにより、
図4に示すように、立体画像I1が結像された状態となっている。
【0061】
図6の(a)に示すように、ユーザは、入力装置1Aに対して入力する際には、立体画像I1(詳細には、立体画像I1b)が結像される結像位置に物体(
図6に示す例では指)を位置させる。より詳細には、ユーザは、立体画像I1bとしての台形錐台形状の上面にあたる面I1b1に対して入力操作を行う。面I1b1は、立体画像I1においてユーザが仮想的に入力を行う入力面である。
【0062】
ここで、位置検出センサ2は、立体画像I1aが結像される結像位置および当該結像位置の周辺領域に物体が位置したことを検出できる位置に設置されている。したがって、位置検出センサ2は、ユーザが入力装置1Aに対して入力するために立体画像I1aが結像される位置にユーザの指が位置したことを検出できる。位置検出センサ2は、ユーザの指を検知した旨の情報を、入力検知部31に出力する。
【0063】
入力検知部31は、位置検出センサ2からユーザの指を検知した旨の情報を取得すると、入力装置1Aに対してユーザが入力したことを検知する。入力検知部31は、ユーザの入力を検知した場合、その情報を画像制御部32および報知制御部33へ出力する。
【0064】
画像制御部32は、ユーザの入力を検知した情報を取得した場合、第1立体画像表示部10の光源12を消灯させるとともに、第2立体画像表示部20の光源22を点灯させるように光源12および光源12に対して指示を出す。これにより、
図6の(b)に示すように、入力装置1Aによって表示される立体画像が、立体画像I1から立体画像I2に変化する。
【0065】
ここで、従来では、物体(例えば、ユーザの指など)が導光板の光出射面に垂直な方向に移動することにより入力される構成となっているため、物体が入力装置に接触する可能性が高くなってしまうという問題があった。
【0066】
これに対して、入力装置1Aでは、上述したように、立体画像I1bおよび立体画像I2bが、高さ方向が出射面11aに垂直な方向に対して角度を有する台形錐台形状となっており、かつ、立体画像I1bの高さが立体画像I1aよりも短くなっている。そのため、
図6の(a)および(b)に示すように、入力装置1Aによって表示される立体画像が立体画像I1(第1結像状態)から立体画像I2(第2結像状態)へ変化する際の立体画像の変化方向は、出射面11aに垂直な方向に対して角度を有する方向となる。より詳細には、立体画像I1における面I1b1が、立体画像I2における面I2b1が結像される位置に移動したように変化する。すなわち、ユーザが仮想的に入力を行う入力面としての立体画像が鉛直面内で移動する。
【0067】
これにより、ユーザの入力装置1Aに対する入力方向は、出射面11aに垂直な方向に対して平行な方向ではなく、出射面11aに垂直な方向に対して傾いた方向(すなわち、出射面11aに垂直な方向に対して角度を有する方向)となる。その結果、入力操作後のユーザの指の位置を、従来と比べて出射面11aから離れた位置にすることができる。それゆえ、入力装置1Aでは、ユーザの指が入力装置1Aに接触することを防止することができる。
【0068】
次に、立体画像I1から立体画像I2へ変化する際の立体画像の変化方向の好ましい方向について詳細に説明する。
図7は、立体画像I1から立体画像I2へ変化する際の立体画像の変化方向の好ましい方向を説明するための図である。
【0069】
図7に示すように、立体画像I1から立体画像I2へ変化する際の立体画像の変化方向(
図7に示す線L1)と、出射面11aに垂直な方向(
図7に示す線L2)とがなす角度θは、25°以上であることが好ましい。この理由は、以下のとおりである。まず、限定反射センサである位置検出センサ2の検出距離が10mm程度である。この場合、入力後のユーザの指の位置である立体画像I1aと立体画像I1bとの境界と、出射面11aとの間の距離を少なくとも1mmとするためには、(1-cosθ)×10>1を満たす必要があり、この式から角度θが25°以上とすることが好ましいことが導かれる。
【0070】
入力装置1Aでは、立体画像I1および立体画像I2(より詳細には、仮想のボタンである立体画像I2aおよび立体画像I2bにおいてボタンの被押圧面となる画像)は、出射面11aに対して傾くように結像される。これにより、ユーザは、立体画像I1に対して、出射面11aに垂直な方向に対して斜め方向に操作を行うことが直感的にわかるようになっている。これにより、ユーザが立体画像I1に対して出射面11aに垂直な方向に入力動作を行うことを防止することができる。そのため、ユーザの指が入力装置1Aに接触することを防止することができるようになっている。
【0071】
また、入力装置1Aでは、光源12が照射する光の波長と、光源22が照射する光の波長とを異なる波長にしてもよい。これにより、立体画像I1の色と立体画像I2の色とを異なる色にすることができる。これにより、入力装置1Aに対する操作を入力装置1Aが受け付けたことをユーザがより明確に確認することができる。
【0072】
報知制御部33は、位置検出センサ2からユーザの指を検知した旨の情報を取得すると、音出力部3に対して音を出力するよう指示を出す。これにより、入力装置1Aに対する操作を入力装置1Aが受け付けたことをユーザに対して報知することができる。
【0073】
図8は、ユーザによる入力動作の方向を示す画像の例を示す図である。入力装置1Aにおいては、立体画像Iの他に、
図8に示すような、ユーザによる入力動作の方向を示す画像を表示してもよい。当該画像を表示することで、入力装置1Aはユーザに対し、当該ユーザがどのような動作を行えば入力できるのかを示すことができる。
【0074】
入力装置1Aは、例えば、温水洗浄便座の操作部、エレベータの操作部、洗面化粧台の照明スイッチ、蛇口の操作スイッチ、レンジフードの操作スイッチ、食器洗い機の操作スイッチ、冷蔵庫の操作スイッチ、電子レンジの操作スイッチ、IHクッキングヒータの操作スイッチ、電解水生成装置の操作スイッチ、インターホンの操作スイッチ、廊下の照明スイッチ、またはコンパクトステレオシステムの操作スイッチなどに適用可能である。これらの操作部またはスイッチに入力装置1Aを適用することで、(i)操作部またはスイッチに凹凸がなくなるため掃除しやすい、(ii)必要時のみ立体画像を表示できるためデザイン性が向上する、(iii)スイッチに接触する必要がなくなるため衛生的である、(iv)可動部がなくなるため壊れにくくなる、といった利点が生じる。
【0075】
§4 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0076】
<4.1>
図9の(a)および(b)は、位置検出センサ2の他の配置例を示す図である。
【0077】
図9の(a)に示すように、位置検出センサ2は、ユーザによる入力動作の方向の延長線上に設置されてもよい。これにより、位置検出センサ2の検出方向と、ユーザによる入力動作の方向とを一致させることができる。その結果、位置検出センサ2は、ユーザの指をより正確に検知することができる。
【0078】
また、
図9の(b)に示すように、ユーザによる入力動作の方向の延長線上にミラー4をさらに設置し、位置検出センサ2の発光素子から出射された光、および、検出物体により正反射された光をミラー4で反射させて、ユーザの指を検知する態様であってもよい。この場合においても、位置検出センサ2の検出方向と、ユーザによる入力動作の方向とを一致させることができるため、位置検出センサ2は、ユーザの指をより正確に検知することができる。
【0079】
<4.2>
次に、入力装置1Aの変形例としての入力装置1Bについて説明する。
【0080】
図10は、本変形例における入力装置1Bが備える第1立体画像表示部10によって結像される立体画像I3を示すものであり、(a)は、立体画像I3の斜視図であり、(b)は、立体画像I3を出射面11aに平行な方向から見た図である。
【0081】
図10の(a)および(b)に示すように、本変形例における第1立体画像表示部10によって結像される立体画像I3は、立体画像I3aおよび立体画像I3bからなっている。立体画像I3aは、直方体形状をしており、スイッチの台座を模した形状となっている。立体画像I3bは、台形錐台形状をしており、スイッチの可動部を模した形状となっている。立体画像I3bでは、台形錐台の高さ方向が、上下方向となるように結像される。換言すれば、立体画像I3bは、台形錐台の高さ方向が、出射面11aに垂直な方向に対して垂直な方向となるように結像される。
【0082】
図11は、本変形例における第2立体画像表示部20によって結像される立体画像I4を示すものであり、(a)は、立体画像I4の斜視図であり、(b)は、立体画像I4を出射面11aに平行な方向から見た図である。
【0083】
図11の(a)および(b)に示すように、本変形例における第2立体画像表示部20によって結像される立体画像I4は、立体画像I4aおよび立体画像I4bからなっている。立体画像I4aは、立体画像I3aと同様である。立体画像I4bは、台形錐台形状をしている。立体画像I4bは、台形錐の高さ方向が立体画像I3bの高さ方向と同じ方向となっており、かつ、立体画像I3bよりも高さ方向の長さが短くなっている。立体画像I3bおよび立体画像I4bは、出射面11aから離れた位置に結像される。
【0084】
図12は、入力装置1Bにおけるユーザの入力を受け付ける動作を示すものであり、(a)は、ユーザが入力装置1Bに対して入力する様子を示す図であり、(b)は、ユーザが入力した後の様子を示す図である。
【0085】
入力装置1Bでは、
図12の(a)および(b)に示すように、ユーザによる入力を検知した場合、画像制御部32が、入力装置1Bによって表示される立体画像を立体画像I3から立体画像I4に変化させる。ここで、入力装置1Bによって表示される立体画像が立体画像I3から立体画像I4へ変化する際の立体画像の変化方向は、出射面11aに垂直な方向に対して垂直な方向となる。これにより、ユーザの入力装置1Bに対する入力方向は、出射面11aに垂直な方向に対して垂直な方向となる。その結果、入力操作後のユーザの指の位置を、従来と比べて出射面11aから離れた位置にすることができる。それゆえ、入力装置1Bでは、ユーザの指が入力装置1Bに接触することを防止することができる。
【0086】
図13の(a)および(b)は、本変形例における立体画像の変形例を示す図である。本変形例における入力装置1Bにおける立体画像は、立体画像I3から立体画像I4へ変化する際の立体画像の変化方向が上下方向となるものであれば特に限定されるものではない。例えば、
図13の(a)に示すように、立体画像Iは、上下に動くレバーの形状であってもよいし、
図13の(b)に示すように、ドアノブの形状であってもよい。
【0087】
<4.3>
次に、入力装置1Aのさらなる変形例としての入力装置1Cについて説明する。
【0088】
図14の(a)は、本変形例における入力装置1Cの斜視図であり、(b)は、入力装置1Cを上方向から見た図である。
図15は、入力装置1Cのブロック図である。
【0089】
図14および
図15に示すように、入力装置1Cは、入力装置1Aにおける第1立体画像表示部10および第2立体画像表示部20に代えて、立体画像表示部40を備えている。また、入力装置1Cは、入力装置1Aにおける画像制御部32に代えて、画像制御部34を備えている。
【0090】
入力装置1Cでは、複数の位置検出センサ2が左右方向(Z軸方向)に沿って並んで配置されている。これにより、入力装置1Cでは、左右方向にわたって、ユーザの指の位置を検出することができるようになっている。
【0091】
立体画像表示部40は、導光板41と、3つの光源(光源42、光源43および光源44)とを備えている。
【0092】
立体画像表示部40では、光源42、光源43および光源44を点灯させたときに、それぞれ異なる立体画像(立体画像I5、I6およびI7)を結像するように光路変更部が形成されている。
【0093】
図16の(a)~(c)は、立体画像表示部40によって結像される立体画像を示す図である。
【0094】
立体画像表示部40では、光源42、光源43および光源44を点灯させたときに、それぞれ異なる立体画像(立体画像I5、I6およびI7)を結像するように光路変更部が形成されている。具体的には、光源42を点灯させたときには、
図16の(a)に示すように、レバー状の立体画像I5が結像される。立体画像I5は、前記レバー状の部材の長手方向が導光板41の出射面41aに垂直な方向となるように結像される。
【0095】
また、光源43を点灯させたときには、
図16の(b)に示すように、レバー状の立体画像I6が結像される。立体画像I6は、前記レバー状の部材の出射面41aとは反対側の端部が、立体画像I5における前記レバー状の部材の出射面41aとは反対側の端部よりも右側(+Z軸方向)に位置するように結像される。
【0096】
また、光源44を点灯させたときには、
図16の(c)に示すように、レバー状の立体画像I7が結像される。立体画像I7は、前記レバー状の部材の出射面41aとは反対側の端部が、立体画像I5における前記レバー状の部材の出射面41aとは反対側の端部よりも左側(-Z軸方向)に位置するように結像される。
【0097】
画像制御部34は、入力装置1Cによって表示される立体画像Iを制御する。具体的には、画像制御部34は、入力検知部31が検知したユーザの入力に応じて、入力装置1Aによって表示される画像を切り替える。詳細については、後述する。
【0098】
次に、入力装置1Cの動作について説明する。
図17の(a)および(b)は、入力装置1Cにおけるユーザの入力を受け付ける動作の一例を説明するためのものであり、(a)は、ユーザが入力装置1Cに対して入力する様子を示す図であり、(b)は、ユーザが入力した後の様子を示す図である。
【0099】
入力装置1Cでは、ユーザによる入力を待機している状態においては、画像制御部34が第1立体画像表示部10の光源42を点灯させるように制御する。これにより、
図16の(a)に示すように、立体画像I5が結像された状態となっている。
【0100】
図17の(a)に示すように、ユーザは、入力装置1Cに対して入力する際には、立体画像I5が結像される結像位置に手を位置させたのち、左または右に手を移動させる。ここでは、ユーザが左方向(-Z軸方向)に手を移動させた例について説明する。
【0101】
入力検知部31は、左右方向に並んで配置された各位置検出センサ2からの検知情報に基づいて、ユーザにより入力および入力方向(すなわち、左方向)を検知する。そして、入力検知部31は、検知した情報を画像制御部34へ出力する。
【0102】
画像制御部34は、ユーザが左方向への入力を検知した情報を取得すると、光源42を消灯させるとともに光源44を点灯させる。これにより、
図17の(b)に示すように、入力装置1Aによって表示される立体画像が、立体画像I5から立体画像I7に変化する。
【0103】
ここで、入力装置1Cによって表示される立体画像が立体画像I5から立体画像I7へ変化する際の立体画像の変化方向は、出射面11aに垂直な方向に対して垂直な方向(水平方向)となる。換言すれば、立体画像の変化において、上記レバー状の部材が水平方向に変化する。これにより、ユーザの入力装置1Cに対する入力方向は、出射面41aに垂直な方向に対して垂直な方向(水平方向)となる。その結果、入力操作後のユーザの手の位置を、従来と比べて出射面41aから離れた位置にすることができる。それゆえ、入力装置1Cでは、ユーザの指が入力装置1Cに接触することを防止することができる。
【0104】
図18の(a)~(c)は、本変形例における立体画像の変形例を示す図である。本変形例における入力装置1Cにおける立体画像は、立体画像の変化方向が左右方向となるものであれば特に限定されるものではない。例えば、
図18の(a)に示すように、立体画像は、トグルスイッチの形状であってもよいし、
図18の(b)に示すように、ダイアルの形状であってもよいし、
図18の(c)に示すように、ドアノブのようなレバーの形状であってもよい。
【0105】
<4.4>
次に、入力装置1Aのさらなる変形例としての入力装置1Dについて説明する。
図19は、本変形例における入力装置1Dのブロック図である。
【0106】
図19に示すように、入力装置1Dは、実施形態1における音出力部3に代えて超音波発生装置6(触覚刺激装置)を備えている。
【0107】
超音波発生装置6は、報知制御部33からの指示を受けて超音波を発生させる。超音波発生装置6は、多数の超音波振動子を格子状に並べた超音波振動子アレー(不図示)を備えている。超音波発生装置6は、上記超音波振動子アレーから超音波を発生させ、空中の任意の位置に超音波の焦点を作り出す。上記超音波の焦点では、静的な圧力(音響放射圧と呼ばれる)が発生する。上記超音波の焦点位置に人体(例えば、ユーザの指)が存在すると、上記静的な圧力によって物体に対して押圧力が印加される。これにより、超音波発生装置6は、ユーザの指の触覚に対して遠隔で刺激を与えることができる。
【0108】
入力装置1Dでは、報知制御部33が位置検出センサ2からユーザの指を検知した旨の情報を取得すると、超音波発生装置6に対して超音波を発生するよう指示を出す。これにより、ユーザに対して入力装置1Dがユーザの入力を受け付けたことを報知することができる。
【0109】
<4.5>
次に、入力装置1Aのさらなる変形例としての入力装置1Eについて説明する。
図20は、本変形例における入力装置1Eの構成を示す図である。
【0110】
入力装置1Eは、入力装置1Aにおける第1立体画像表示部10および第2立体画像表示部20に代えて、立体画像表示部50を備えている。
【0111】
立体画像表示部50は、導光板51、光源52、および光源53を備えている。
【0112】
立体画像表示部50では、光源52を点灯させたときに立体画像を結像するための光路変更部(不図示)と、光源53を点灯させたときに2次元画像を結像するための光路変更部(不図示)とが形成されている。
【0113】
図21の(a)は、ユーザによる入力を受け付ける前の入力装置1Eを示す図であり、(b)は、ユーザによる入力を受け付けた後の入力装置1Eを示す図である。
【0114】
入力装置1Cでは、ユーザによる入力を受け付ける前(すなわち、ユーザによる入力を待機している状態)においては、画像制御部34は、光源52を点灯させるように制御する。これにより、
図21の(a)に示すように、立体画像I8が結像された状態となっている。なお、立体画像I8は、実施形態1における立体画像I1と同様の立体画像である。
【0115】
画像制御部32は、ユーザの入力を検知した情報を取得した場合、光源52を消灯させるとともに、光源53を点灯させるように光源52および光源53に対して指示を出す。これにより、
図21の(b)に示すように、2次元画像I9が表示される。
図21の(b)では、2次元画像I9として「LOCKED」の文字が表示される例を示している。
【0116】
このように、入力装置1Eでは、ユーザの入力を検知した場合に、表示する画像を立体画像から2次元画像に切り替える。これにより、ユーザに対して入力装置1Dがユーザの入力を受け付けたことをより認識させることができる。
【0117】
<4.6>
入力装置1Aにおける第1立体画像表示部10および第2立体画像表示部20の少なくとも一方は、以下に説明する立体画像表示部60と置き換えることができる。
【0118】
図22は、立体画像表示部60の斜視図である。
図23は、立体画像表示部60の構成を示す断面図である。
図24は、立体画像表示部60の構成を示す平面図である。
図25は、立体画像表示部60が備える光路変更部63の構成を示す斜視図である。
【0119】
図22および
図23に示すように、立体画像表示部60は、導光板61と、光源62を備えている。
【0120】
導光板61は、光源62から入射された光(入射光)を導光する部材である。導光板61は、透明で屈折率が比較的高い樹脂材料で成形される。導光板61を形成する材料としては、例えばポリカーボネイト樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などを使用することができる。本変形例では、導光板61は、ポリメチルメタクリレート樹脂によって成形されている。導光板61は、
図23に示すように、出射面61a(光出射面)と、背面61bと、入射面61cとを備えている。
【0121】
出射面61aは、導光板61の内部を導光され、後述する光路変更部63により光路変更された光を出射する面である。出射面61aは、導光板61の前面を構成している。背面61bは、出射面61aと互いに平行な面であり、後述する光路変更部63が配置される面である。入射面61cは、光源62から出射された光が導光板61の内部に入射される面である。
【0122】
光源62から出射され入射面61cから導光板61に入射した光は、出射面61aまたは背面61bで全反射され、導光板61内を導光される。
【0123】
図23に示すように、光路変更部63は、導光板61の内部において背面61bに形成されており、導光板61内を導光された光を光路変更して出射面61aから出射させるための部材である。光路変更部63は、導光板61の背面61bに複数設けられている。
【0124】
光路変更部63は、
図24に示すように、入射面61cに平行な方向に沿って設けられている。
図23に示すように、光路変更部63は、三角錐形状となっており、入射した光を反射(全反射)する反射面63aを備えている。光路変更部63は、例えば、導光板61の背面61bに形成された凹部であってもよい。なお、光路変更部63は、三角錐形状に限られるものではない。導光板61の背面61bには、
図24に示すように、複数の光路変更部63からなる複数の光路変更部群64a、64b、64c…が形成されている。
【0125】
図26は、光路変更部63の配列を示す斜視図である。
図26に示すように、各光路変更部群64a、64b、64c…では、複数の光路変更部63の反射面63aが光の入射方向に対する角度が互いに異なるように導光板61の背面61bに配置されている。これにより、各光路変更部群64a、64b、64c…は、入射光を光路変更して、出射面61aから様々な方向へ出射させる。
【0126】
次に、立体画像表示部60による立体画像Iの結像方法について、
図27を参照しながら説明する。ここでは、導光板61の出射面61aに垂直な面である立体画像結像面Pに、光路変更部63により光路変更された光によって面画像としての立体画像Iを結像する場合について説明する。
【0127】
図27は、立体画像表示部60による立体画像Iの結像方法を示す斜視図である。なお、ここでは、立体画像結像面Pに立体画像Iとして斜め線入りリングマークを結像することについて説明する。
【0128】
立体画像表示部60では、
図27に示すように、例えば、光路変更部群64aの各光路変更部63によって光路変更された光は、立体画像結像面Pに線La1および線La2で交差する。これにより、立体画像結像面Pに立体画像Iの一部である線画像LIを結像させる。線画像LIは、YZ平面に平行な線画像である。このように、光路変更部群64aに属する多数の光路変更部63からの光によって、線La1および線La2の線画像LIが結像される。なお、線La1および線La2の像を結像する光は、光路変更部群64aにおける少なくとも2つの光路変更部63によって提供されていればよい。
【0129】
同様に、光路変更部群64bの各光路変更部63によって光路変更された光は、立体画像結像面Pに線Lb1、線Lb2および線Lb3で交差する。これにより、立体画像結像面Pに立体画像Iの一部である線画像LIを結像させる。
【0130】
また、光路変更部群64cの各光路変更部63によって光路変更された光は、立体画像結像面Pに線Lc1および線Lc2で交差する。これにより、立体画像結像面Pに立体画像Iの一部である線画像LIを結像させる。
【0131】
各光路変更部群64a、64b、64c…によって結像される線画像LIのX軸方向の位置は互いに異なっている。立体画像表示部60では、光路変更部群64a、64b、64c…間の距離を小さくすることによって、各光路変更部群64a、64b、64c…によって結像される線画像LIのX軸方向の距離を小さくすることができる。その結果、立体画像表示部60では、光路変更部群64a、64b、64c…の各光路変更部63によって光路変更された光によって結像された複数の線画像LIを集積することにより、実質的に、面画像である立体画像Iを立体画像結像面Pに結像する。
【0132】
なお、立体画像結像面Pは、X軸に垂直な平面であってもよく、Y軸に垂直な平面であってもよく、またZ軸に垂直な平面であってもよい。また、立体画像結像面Pは、X軸、Y軸、またはZ軸に垂直でない平面であってもよい。さらに、立体画像結像面Pは、平面ではなく曲面であってもよい。すなわち、立体画像表示部60は、光路変更部63によって空間上の任意の面(平面および曲面)上に立体画像Iを結像させることができる。また、面画像を複数組み合わせることにより、3次元の画像を結像することができる。
【0133】
<4.7>
入力装置1Aにおける第1立体画像表示部10および第2立体画像表示部20の少なくとも一方は、以下に説明する立体画像表示部80と置き換えることができる。
【0134】
図28は、立体画像表示部80の斜視図である。
図29は、立体画像表示部80の構成を示す断面図である。
【0135】
立体画像表示部80は、
図28および
図29に示すように、画像表示装置81と、結像レンズ82と、コリメートレンズ83と、導光板84と、マスク85とを備えている。なお、Y軸方向に沿って、画像表示装置81、結像レンズ82、コリメートレンズ83、および導光板84が順番に配置されている。また、X軸方向に沿って、導光板84およびマスク85が、この順番で配置されている。
【0136】
画像表示装置81は、制御装置(不図示)から受信した映像信号に応じて、立体画像表示部80により空中に投影される2次元画像を表示領域に表示する。画像表示装置81は、表示領域に画像を表示することによって、画像光を出力することができる、例えば一般的な液晶ディスプレイである。なお、図示の例において、画像表示装置81の表示領域、および当該表示領域に対向する、導光板84の入射面84aは、ともにXZ平面と平行となるように配置されている。また、導光板84の、後述するプリズム141が配置されている背面84b、および当該背面84bに対向する、マスク85に対して光を出射する出射面84c(光出射面)は、ともにYZ平面と平行となるように配置されている。さらに、マスク85の、後述するスリット151が設けられている面も、YZ平面と平行になるように配置されている。なお、画像表示装置81の表示領域と導光板84の入射面84aとは、対向して配置されてもよいし、画像表示装置81の表示領域が入射面84aに対して傾けて配置されてもよい。
【0137】
結像レンズ82は、画像表示装置81と入射面84aとの間に配置されている。結像レンズ82は、画像表示装置81の表示領域から出力された画像光を、入射面84aの長手方向と平行なYZ平面において収束光化した後、コリメートレンズ83へ出射する。結像レンズ82は、画像光を収束光化できるのであれば、どのようなものであってもよい。例えば、結像レンズ82は、バルクレンズ、フレネルレンズ、または回折レンズなどであってもよい。また、結像レンズ82は、Z軸方向に沿って配置された複数のレンズの組み合わせであってもよい。
【0138】
コリメートレンズ83は、画像表示装置81と入射面84aとの間に配置されている。コリメートレンズ83は、結像レンズ82にて収束光化された画像光を、入射面84aの長手方向と直交するXY平面において平行光化する。コリメートレンズ83は、平行光化した画像光について、導光板84の入射面84aに対して出射する。コリメートレンズ83は、結像レンズ82と同様に、バルクレンズおよびフレネルレンズであってもよい。なお、結像レンズ82とコリメートレンズ83とは、その配置順が逆であってもよい。また、結像レンズ82とコリメートレンズ83の機能について、1つのレンズによって実現してもよいし、多数のレンズの組み合わせによって実現してもよい。すなわち、画像表示装置81が表示領域から出力した画像光を、YZ平面においては収束光化し、XY平面においては平行光化することができるのであれば、結像レンズ82およびコリメートレンズ83の組み合わせは、どのようなものであってもよい。
【0139】
導光板84は、透明な部材によって構成されており、コリメートレンズ83によって平行光化された画像光を入射面84aにて受光し、出射面84cから出射する。図示の例において、導光板84は平板状に形成された直方体の外形を備えており、コリメートレンズ83に対向する、XZ平面と平行な面を入射面84aとする。また、YZ平面と平行かつX軸の負方向側に存在する面を背面84bとし、YZ平面と平行かつ背面84bに対向する面を出射面84cとする。導光板84は、複数のプリズム(出射構造部、光路変更部)141を備えている。
【0140】
複数のプリズム141は、導光板84の入射面84aから入射した画像光を反射する。プリズム141は、導光板84の背面84bに、背面84bから出射面84cへ向けて突出して設けられている。複数のプリズム141は、例えば、画像光の伝搬方向がY軸方向であるときに、当該Y軸方向に所定の間隔(例えば、1mm)で配置された、Y軸方向に所定の幅(例えば、10μm)を有する略三角形状の溝である。プリズム141は、プリズム141が有する光学面のうち、画像光の導光方向(+Y軸方向)に対して入射面84aから近い側の面である反射面141aを備えている。図示の例において、複数のプリズム141は、背面84b上に、Z軸と平行に設けられている。これにより、Y軸方向に伝搬する入射面84aから入射した画像光が、Y軸に直交するZ軸と平行に設けられた複数のプリズム141の反射面141aによって反射させられる。複数のプリズム141のそれぞれは、画像表示装置81の表示領域で入射面84aの長手方向と直交するX軸方向において互いに異なる位置から発した画像光を、所定の視点100へ向けて導光板84の一方の面である出射面84cから出射させる。反射面141aの詳細については後述する。
【0141】
マスク85は、可視光に対して不透明な材料にて構成され、複数のスリット151を備えている。マスク85は、導光板84の出射面84cから出射された光のうち、平面102上の結像点101へ向かう光のみを、複数のスリット151を用いて透過させることができる。
【0142】
複数のスリット151は、導光板84の出射面84cから出射された光のうち、平面102上の結像点101へ向かう光のみを透過させる。図示の例において、複数のスリット151は、Z軸と平行となるように設けられている。また、個々のスリット151は、複数のプリズム141のうち、いずれかのプリズム141と対応している。
【0143】
以上の構成を有することにより、立体画像表示部80は、画像表示装置81に表示された画像を、当該立体画像表示部80の外部の仮想の平面102上に結像させ、投影する。具体的には、まず、画像表示装置81の表示領域から出射された画像光は、結像レンズ82およびコリメートレンズ83を通した後、導光板84の端面である、入射面84aへ入射する。次に、導光板84へ入射した画像光は、当該導光板84の内部を伝搬し、導光板84の背面84bに設けられたプリズム141に到達する。プリズム141に到達した画像光は、当該プリズム141の反射面141aによってX軸の正方向へ反射させられ、YZ平面と平行となるように配置された、導光板84の出射面84cから出射される。そして、出射面84cから出射した画像光のうち、マスク85のスリット151を通過した画像光は、平面102上の結像点101にて結像する。すなわち、画像表示装置81の表示領域の個々の点から発した画像光について、YZ平面においては収束光化し、XY平面においては平行光化した後、平面102上の結像点101に投影することができる。表示領域の全ての点に対して前記の処理を行うことにより、立体画像表示部80は、画像表示装置81の表示領域に出力された画像を、平面102上に投影することができる。これにより、ユーザは、視点100から仮想の平面102を見たときに、空中に投影された画像を視認することができる。なお、平面102は、投影された画像が結像する仮想的な平面であるが、視認性を向上させるためにスクリーンなどを配置してもよい。
【0144】
なお、本実施形態における立体画像表示部80では、出射面84cから出射した画像光のうち、マスク85が備えるスリット151を透過した画像光によって画像を結像する構成であった。しかしながら、仮想の平面102上の結像点101にて画像光を結像させることができるのであれば、マスク85およびスリット151を備えない構成であってもよい。
【0145】
例えば、各プリズム141の反射面と背面84bとのなす角度が、入射面84aから遠くなるほど大きくなるように設定することによって、仮想の平面102上の結像点101にて画像光を結像させることができる。なお、上記角度は、入射面84aから最も遠いプリズム141でも、画像表示装置81からの光を全反射できる角度となるように設定されることが好ましい。
【0146】
上記のように上記角度を設定した場合、画像表示装置81の表示領域上のX軸方向の位置がより背面84b側(-X軸方向側)となる点から発して所定の視点へ向かう光ほど、入射面84aから遠いプリズム141にて反射される。ただし、これに限られず、画像表示装置81の表示領域上のX軸方向の位置と、プリズム141とが1対1に対応していればよい。また、入射面84aから遠いプリズム141で反射される光ほど、入射面84a側へ向かい、一方、入射面84aに近いプリズム141で反射される光ほど、入射面84aから遠ざかる方向へ向かう。そのため、マスク85が省略されても、画像表示装置81からの光を、特定の視点へ向けて出射させることができる。また、導光板84から出射した光は、Z軸方向に関して、画像が投影される面上で結像し、その面から離れるにしたがって拡散する。そのため、Z軸方向に関して視差を与えることができるので、観察者が両眼をZ軸方向に沿って並ぶようにすることで、投影された画像を立体的に観察できる。
【0147】
また、上記の構成によれば、各プリズム141で反射され、その視点へ向かう光は遮られないので、観察者は、Y軸方向に沿って観察者が視点を移動させても、画像表示装置81に表示され、かつ、空中に投影された像を観察できる。ただし、各プリズム141から視点へ向かう光線と各プリズム141の反射面とのなす角度が、Y軸方向における視点の位置に沿って変化するので、これに伴い、その光線に対応する画像表示装置81上の点の位置も変化する。またこの例では、画像表示装置81上の各点からの光は、各プリズム141により、Y軸方向に関してもある程度結像される。そのため、観察者は、両眼をY軸方向に沿って並ぶようにしても、立体的な像を観察できる。
【0148】
さらに、上記の構成によれば、マスク85が使用されないため、ロスとなる光の量が少なくなるので、立体画像表示部は、より明るい像を空中に投影できる。また、マスクが使用されないため、立体画像表示部は、導光板84の背後にある物体(図示せず)と投影された画像の両方を観察者に視認させることができる。
【0149】
<4.8>
入力装置1Aにおいて、第1立体画像表示部10および第2立体画像表示部20は、複数の視点用の画像を別個に結像させてもよい。例えば立体画像表示部は、右目用画像を結像させる右目用表示パターンと、左目用画像を結像させる左眼用表示パターンとを含んでいてよい。この場合、第1立体画像表示部10および第2立体画像表示部20は、立体感のある画像を結像させることができる。なお、第1立体画像表示部10および第2立体画像表示部20は、3以上の視点用の画像を別個に結像させてよい。
【0150】
また、第1立体画像表示部10および第2立体画像表示部20は、立体画像または参照画像の元画像となる物体から出射された光を用いて、光学素子から光を出射し、立体画像または参照画像を結像させてもよい。元画像となる物体から出射された光を用いて、光学素子から光を出射し、立体画像または参照画像を結像させる表示装置として、例えば、(1)互いに直交する鏡面要素が、光学結合素子面内に複数配置される2面リフレクタアレイ構造を用いる表示装置や、(2)ハーフミラーを利用したいわゆるペッパーズゴーストと呼ばれる表示装置がある。
【0151】
<4.9>
次に、入力装置1Aのさらなる変形例としての入力装置1Fについて説明する。
図30は、本変形例における入力装置1Fの構成を示す図である。
【0152】
図30に示すように、入力装置1Fは、実施形態1における入力装置1Aの位置検出センサ2に代えて位置検出センサ2Aおよび位置検出センサ2Bを備えている。
【0153】
位置検出センサ2Aおよび位置検出センサ2Bの構成は、実施形態1にける位置検出センサ2と同様である。位置検出センサ2Aは、立体画像I1bの面I1b1が結像される面上に位置する検出点X1(第1検出点)に物体が位置したことを検出する。位置検出センサ2Bは、立体画像I1bと立体画像I1aとの境界上の検出点X2(第2検出点)に物体が位置したことを検出する。検出点X1および検出点X2は、入力装置1Fに対するユーザの入力動作が行われる位置にあり、立体画像Iの変化方向に沿って位置している。
【0154】
入力装置1Fでは、入力検知部31は、位置検出センサ2Aが検出点X1にユーザの指Fが位置したことを検出し、その後、所定の時間(例えば、0.1秒~0.4秒)の間に、位置検出センサ2Bが検出点X2にユーザの指Fが位置したことを検出した場合に、ユーザの入力を検知する。
【0155】
上記の構成によれば、入力検知部31は、2つの検出点(検出点X1および検出点X2)においてユーザに指Fを検知した場合にのみユーザの入力を検知する。このような動作を、ユーザが意図せずに行う可能性は小さいと考えられる。したがって、入力装置1Fによれば、ユーザが意図した場合にのみ入力を検知することができる。
【0156】
<4.10>
次に、入力装置1Cの変形例としての入力装置1Gについて説明する。
図31は、入力装置1Gを説明するものであり、(a)は、ユーザが入力装置1Gに対して入力する様子を示す図であり、(b)は、ユーザが入力した後の様子を示す図である。
【0157】
図31の(a)に示すように、入力装置1Gでは、位置検出センサによって、ユーザが入力動作を行う方向(左右方向)に沿う複数の検出点において物体を検知できるようになっている。なお、
図31では、簡略化のため、2つの検出点(検出点X3(第1検出点)および検出点X4(第2検出点))のみを図示している。上記複数の検出点は、入力装置1Gに対するユーザの入力動作が行われる位置にあり、立体画像の変化方向に沿って位置している。
【0158】
入力装置1Gでは、
図31の(a)および(b)に示すように、例えば、ユーザが右から左へ向かう方向に入力する場合、入力検知部31は、位置検出センサが検出点X3に物体(例えば、ユーザの手)が位置したことを検出し、その後、所定の時間の間に、他の位置検出センサが検出点X4に上記物体が位置したことを検出した場合に、ユーザの入力を検知する。これにより、上記の入力装置1Fと同様に、入力装置1Gは、ユーザが意図した場合にのみ入力を検知することができる。
【0159】
<4.11>
次に、入力装置1Aのさらなる変形例としての入力装置1Hについて説明する。入力装置1Hは、位置検出センサ2が、ユーザが入力のために使用する物体を検出する位置が実施形態1における入力装置1Aとは異なっている。
図32は、入力装置1Hにおける位置検出センサ2が物体を検知する範囲A1を示す図である。
【0160】
実施形態1における入力装置1Aでは、位置検出センサが、立体画像が結像している位置にユーザの指が位置したことを検知することによりユーザの入力を検知する構成であった。そのため、ユーザは自分の入力動作を入力装置が検知したことを認識するまでの時間が長くなり、入力装置がユーザの入力を的確に検知しているのかが不安になってしまう虞がある。
【0161】
これに対して、本変形例における位置検出センサ2は、
図32に示すように、立体画像I1の面I1b1側であって、ユーザの入力動作が行われる方向において立体画像Iよりも所定の距離(例えば、5~35cm)だけ離れた範囲A1に存在する物体を検知するようになっている。換言すれば、位置検出センサ2は、ユーザの入力動作が行われる方向において立体画像Iが結像されている位置よりも入力動作が行われる向きとは反対向きに所定の距離離れた領域に、指Fが位置したことを検知するようになっている。このため、入力装置1Fがユーザの入力を受け付けたことを、従来よりも早くユーザに報知することができる。これにより、入力装置1Aに対する良好な操作感をユーザに与えることができる。
【0162】
<4.12>
次に、入力装置1Aを遊技機Mに適用した適用例について説明する。
【0163】
図33の(a)および(b)は、入力装置1Aが適用された遊技機の一例を示す斜視図である。なお、
図26の(a)および(b)では、入力装置1Aの図示は省略している。
【0164】
図33の(a)に示すように、遊技機M1に対してユーザが操作する操作盤において、ユーザが操作する複数のスイッチのうちの少なくとも1つのスイッチとして、立体画像Iを入力装置1Aによって結像させてもよい。
【0165】
また、
図33の(b)に示すように、遊技機M2においてユーザに対する演出画像が表示される画面に重ねるように結像され、かつ、ユーザの操作対象となるスイッチとしての立体画像Iを入力装置1Aによって結像させてもよい。この場合、入力装置1Aは、立体画像Iを演出上必要な場合にのみ立体画像Iを表示させてもよい。
【0166】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0167】
1A~1H 入力装置
2、2A、2B 位置検出センサ(センサ)
3 音出力部(音出力装置)
6 超音波発生装置(触覚刺激装置)
11、21、41、51、61、84 導光板
11a、21a、41a、61a、84c 出射面(光出射面)
12、22、42、43、44、52、53、62 光源
31 入力検知部
32、34 画像制御部
I1、I1a、I1b、I2、I2a、I2b、I3、I3a、I3b、I4、I4a、I4b、I5、I6、I7、I8 立体画像(画像)
X1、X3 検出点(第1検出点)
X2、X4 検出点(第2検出点)