IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 船井電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-インク量を判定する装置及びその方法 図1
  • 特許-インク量を判定する装置及びその方法 図2
  • 特許-インク量を判定する装置及びその方法 図3A
  • 特許-インク量を判定する装置及びその方法 図3B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】インク量を判定する装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20221109BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 451
B41J2/175 119
B41J2/175 301
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018131268
(22)【出願日】2018-07-11
(65)【公開番号】P2019018569
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-06-16
(31)【優先権主張番号】15/650,001
(32)【優先日】2017-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】バークリー・ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】デボード・ブルース
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ・ブライアン
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-291645(JP,A)
【文献】特開2011-194861(JP,A)
【文献】特開2001-096760(JP,A)
【文献】特開2001-075435(JP,A)
【文献】特開2001-063027(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0125165(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第2のインクジェットプリンタが接続されたネットワークに接続された第1のインクジェットプリンタの第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジにより使用されたインク量を判定する方法であって、
(a)前記第1のインクジェットプリンタが、前記第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジの第1のプリントヘッド識別値にアクセスするステップと、
(b)前記第1のインクジェットプリンタが、前記第1のプリントヘッド識別値に関する情報を求めるため、前記複数の第2のインクジェットプリンタにリクエストを送信するステップと、
(g)前記第1のインクジェットプリンタから前記リクエストを受け取った後、前記複数の第2のインクジェットプリンタの各々が、前記第1のプリントヘッド識別値が記憶されているか否かを判定するステップと、
(h)前記複数の第2のインクジェットプリンタの少なくとも一つが、前記第1のプリントヘッド識別値に関連付くインクドットカウント値を判定するステップと、
(i)前記複数の第2のインクジェットプリンタの少なくとも一つが、それぞれが前記第1のプリントヘッド識別値に関連付く前記インクドットカウント値を含む1以上のレスポンスを生成するステップと、
(j)前記複数の第2のインクジェットプリンタの少なくとも一つが、前記第1のインクジェットプリンタへ、前記第1のプリントヘッド識別値に関連付く前記インクドットカウント値を送信するステップと、
(c)前記第1のインクジェットプリンタが、前記複数の第2のインクジェットプリンタの少なくとも一つから、前記第1のプリントヘッド識別値に関連付く1以上の前記インクドットカウント値を受け取るステップと、
(d)前記第1のインクジェットプリンタが、前記複数の第2のインクジェットプリンタの少なくとも一つから受け取った最新のインクドットカウント値第1のインクドットカウント値として記憶するステップと、
(e)前記第1のインクジェットプリンタに前記第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジが取り付けられた後に印刷が実行されたとき、前記第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジから吐出されたインクドットの数に基づき、前記第1のインクジェットプリンタの前記第1のインクドットカウント値を増分するステップと、を含む、
インク量を判定する方法。
【請求項2】
(f)前記第1のインクジェットプリンタに前記第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジが取り付けられた後、前記第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジがこれまでに使用されたことがあるか否かを判定するため、前記第1のインクジェットプリンタが前記第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジの状態表示値にアクセスするステップを更に含む、
請求項1に記載のインク量を判定する方法。
【請求項3】
前記ステップ(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)が前記第1のインクジェットプリンタのプロセッサにより実行される、
請求項2に記載のインク量を判定する方法。
【請求項4】
前記ステップ(g)、(h)、(i)、(j)が前記複数の第2のインクジェットプリンタのプロセッサにより実行される、
請求項1から3のいずれか1項に記載のインク量を判定する方法。
【請求項5】
前記第1のインクジェットプリンタに記憶された前記第1のインクドットカウント値に基づき、前記第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジのインク残量レベル値を判定するステップを更に含む、
請求項1からのいずれか1項に記載のインク量を判定する方法。
【請求項6】
前記ステップ(d)が、前記第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジが取り付けられた後に前記第1のインクジェットプリンに含まれる前記第1のインクドットカウント値と、前記複数の第2のインクジェットプリンタから受け取った1以上の前記インクドットカウント値との比較に基づき、最も高いインクドットカウント値を選択するステップを含む、
請求項1からのいずれか1項に記載のインク量を判定する方法。
【請求項7】
複数の第2のインクジェットプリンタが接続されたネットワークに接続された第1のインクジェットプリンタに取り付けられた、第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジにより使用されたインク量を判定する装置であって、
前記第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジは、第1のプリントヘッド識別値を記憶する第1のプリントヘッドメモリ装置を含み、
前記第1のインクジェットプリンタは、第1のインクドットカウント値を記憶するための第1のメモリ装置と、取付け後の前記第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジの使用に先立ち、前記第1のプリントヘッド識別値にアクセスし、前記複数の第2のインクジェットプリンタから前記第1のプリントヘッド識別値に関する情報を求めるリクエストを生成するための命令を実行する第1のプロセッサを含み、
前記複数の第2のインクジェットプリンタの少なくとも一つは、
少なくとも一つのインクドットカウント値に関連付く1以上のプリントヘッド識別値を記憶する第2のメモリ装置と、
前記第1のインクジェットプリンタから前記リクエストを受け取った後、前記第1のプリントヘッド識別値が前記第2のメモリ装置に記憶されているか否かを判定し、前記第1のプリントヘッド識別値に関連付く前記インクドットカウント値を判定する命令を実行する第2のプロセッサと、を含み、
前記第2のプロセッサが更に、前記第1のプリントヘッド識別値に関連付く前記インクドットカウント値を含む1以上のレスポンスを生成し、前記第1のインクジェットプリンタへ、前記第1のプリントヘッド識別値に関連付く前記インクドットカウント値を送信する命令を実行し、
前記第1のプロセッサが更に、前記複数の第2のインクジェットプリンタの少なくとも一つから、前記第1のプリントヘッド識別値に関連付く1以上の前記インクドットカウント値を受け取り、受け取った前記インクドットカウント値の比較に基づき最新のインクドットカウント値前記第1のインクドットカウント値として判定し、前記第1のインクジェットプリンタにおいて取付け後の前記第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジから吐出されたインクドットの数に基づき、前記第1のメモリ装置に記憶された前記第1のインクドットカウント値を増分する命令を実行する、
インク量を判定する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インクジェットプリンタとプリントヘッドカートリッジの分野に関するものである。より具体的には、本開示は、あるプリンタから別のプリンタにプリントヘッドカートリッジが移されたときに、インクドットカウント値をネットワーク上に公告するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨てインクジェットプリントヘッドカートリッジ内の不揮発性メモリは、典型的に、製造コストを抑えるため非常に小さい。書き換え可能な不揮発性メモリは、ワンタイムプログラマブルメモリよりも高価である。これら制約のため、使い捨てインクジェットプリントヘッドは、プリントヘッドの制限された不揮発性メモリに符号化された少数のインクレベルにより、インク残量の推移表示のみを提供する。あるプリンタから他のプリンタへプリントヘッドが移されたとき、この非常に大雑把なインクレベル表示のみが引き継がれる。新たなプリンタは、実際のインクレベルが、プリントヘッド不揮発性メモリにより報告された大雑把なレベル間のどこであるのか、推測しなければならない。企業会計といった応用においては、正確なドットカウントが重要であるため、これは受け入れられない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このため、あるプリンタから他のプリンタへカートリッジが移される際に、インクジェットプリントヘッドカートリッジにおいて、より正確にインク残量レベルを追跡するための方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ここで説明されるシステムは、同一のネットワークに接続され、互いに通信可能なプリンタにて用いられる、プリントヘッドカートリッジ内の正確なインク残量の判定の課題を解決する。各プリンタは、自身において用いたプリントヘッドカートリッジの履歴を保持する。各プリントヘッドカートリッジは、自身が以前に用いられたか否かを示す状態表示値を、自身のメモリに記憶する。
【0005】
プリンタが以前に使用されたプリントヘッドカートリッジを受け付けたとき、プリンタはネットワーク上に、実質的に「シリアル番号Xを有する使用済みプリントヘッドが取り付けられた。このプリントヘッドに関する情報を有するプリンタは通知されたい」と述べるリクエストをブロードキャストする。履歴中に一致するシリアル番号を有するネットワーク上の各プリンタは、一致するプリントヘッドシリアル番号に関連付く最後に記録されたドットカウントをネットワーク越しに報告する。リクエストを行ったプリンタは、最も高いドットカウント又は、利用可能であれば最新のタイムスタンプに基づき、最新のレスポンスを選択する。リクエストを行ったプリンタは、最新のレスポンスからのドットカウントを用いて自身のメモリを更新し、取り付けられたプリントヘッドを用いて実行される後続のプリントジョブについて、更新されたカウントからドットをカウントし始める。特定のカートリッジのインクリザーバの既知の総利用可能インクドットカウントに基づき、プリンタはカートリッジ内のインク残量を正確に判定できる。
【0006】
従って、好ましい実施形態は、インクジェットプリンタがインク残量の推定において、インクジェットプリントヘッドのメモリにて運ばれるインク推移表示レベルにのみ依存するのではないシステムを提供する。
【0007】
好ましい実施形態は、ネットワークに接続されたインクジェットプリンタが、プリンタに取り付けられたプリントヘッドカートリッジのための最も正確なインクレベル情報を判定するために連携するシステムも提供する。
【0008】
一様態において、本発明は、複数の第2のインクジェットプリンタが接続されているネットワークに接続された第1のインクジェットプリンタの第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジにより使用されたインク量を判定する方法を提供する。前記方法は、(a)第1のインクジェットプリンタが、第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジの第1のプリントヘッド識別値にアクセスするステップと、(b)第1のインクジェットプリンタが、第1のプリントヘッド識別値に関する情報を求めるため、複数の第2のインクジェットプリンタにリクエストをするステップと、(c)第1のインクジェットプリンタが、1以上の第2のインクジェットプリンタから、第1のプリントヘッド識別値に関連付く1以上の履歴記録値を受け取るステップと、(d)第1のインクジェットプリンタが、1以上の第2のインクジェットプリンタから受け取った最新の履歴記録値を記憶するステップと、(e)第1のインクジェットプリンタに第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジが取り付けられた後に印刷が実行されたとき、第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジから吐出されたインクドットの数に基づき、第1のインクジェットプリンタの第1の履歴記録値を増分するステップとを含む。
【0009】
別の様態において、上記方法は、(f)第1のインクジェットプリンタに第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジが取り付けられた後、第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジがこれまでに使用されたことがあるか否かを判定するため、第1のインクジェットプリンタが第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジの状態表示値にアクセスするステップを更に含む。
【0010】
別の様態において、上記方法では、ステップ(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)が第1のインクジェットプリンタのプロセッサにより実行される。
【0011】
別の様態において、上記方法では、履歴記録値はインクドットカウント値であり、(g)第1のインクジェットプリンタからリクエストを受け取った後、各第2のインクジェットプリンタが、第1のプリントヘッド識別値が記憶されているか否かを判定するステップと、(h)1以上の第2のインクジェットプリンタが、第1のプリントヘッド識別値に関連付くインクドットカウント値を判定するステップと、(i)1以上の第2のインクジェットプリンタが、それぞれが第1のプリントヘッド識別値に関連付くインクドットカウント値を含む1以上のレスポンスを生成するステップと、(j)第1のインクジェットプリンタへ、第1のプリントヘッド識別値に関連付くインクドットカウント値を送信するステップとを更に含む。
【0012】
別の様態において、上記方法では、ステップ(g)、(h)、(i)、(j)が第2のインクジェットプリンタのプロセッサにより実行される。
【0013】
別の様態において、上記方法が、第1のインクジェットプリンタに記憶された第1の履歴記録値に基づき、第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジのインク残量レベル値を判定するステップを更に含む。
【0014】
別の様態において、上記方法では、ステップ(d)が、第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジが取り付けられた後に第1のインクジェットプリンタに含まれる第1の履歴記録値と、第2のインクジェットプリンタから受け取った1以上の履歴記録値との比較に基づき、最も高い履歴記録値を選択するステップを含む。
【0015】
別の様態において、上記方法では、履歴記録値がタイムスタンプ値であり、(k)1以上の第2のインクジェットプリンタが、第1のプリントヘッド識別値に関連付く1以上のタイムスタンプ値を判定するステップと、(l)第1のインクジェットプリンタが、第2のインクジェットプリンタから1以上のタイムスタンプ値を受け取るステップを更に含む。
【0016】
別の様態において、上記方法が、第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジが取り付けられた後に第1のインクジェットプリンタに含まれるタイムスタンプ値と、第2のインクジェットプリンタから受け取った1以上のタイムスタンプ値との比較に基づき、最新のタイムスタンプ値を判定するステップを更に含む。
【0017】
別の様態において、本発明は、複数の第2のインクジェットプリンタが接続されたネットワークに接続された第1のインクジェットプリンタに取り付けられた、第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジにより使用されたインク量を判定する装置を提供する。第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジは、第1のプリントヘッド識別値を記憶する第1のプリントヘッドメモリ装置を含む。第1のインクジェットプリンタは、第1の履歴記録値を記憶するための第1のメモリ装置と、取付け後の第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジを使用する前に第1のプリントヘッド識別値にアクセスし、第2のインクジェットプリンタから第1のプリントヘッド識別値に関する情報を求めるリクエストを生成するための命令を実行する第1のプロセッサを含む。1以上の第2のインクジェットプリンタはそれぞれ、1以上の履歴記録値に関連付く1以上のプリントヘッド識別値を記憶する第2のメモリ装置と、プリントヘッド識別値のいずれかが第1のプリントヘッド識別値に一致するか否かを判定し、第1のプリントヘッド識別値に関連付く履歴記録値を判定する命令を実行する第2のプロセッサとを含む。第1のプロセッサが更に、履歴記録値に基づき最新の履歴記録値を判定し、第1のインクジェットプリンタにおいて取付け後の第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジから吐出されたインクドットの数に基づき、第1のメモリ装置に記憶された第1の履歴記録値を増分する命令を実行する。
【0018】
別の様態において、上記装置では、第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジのプリントヘッドメモリ装置は、使用済状態または未使用状態を示す状態表示値を記憶し、第1のプロセッサは、取付け後の第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジの使用に先立ち、状態表示値にアクセスし、状態表示値に基づき、第1のインクジェットプリンタへの取付け前に第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジが使用されたことがあるか又は使用されたことがないかを判定し、第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジが使用されたことがあるときリクエストを生成する命令を実行する。
【0019】
別の様態において、上記装置では、第1のプロセッサは、第1のメモリ装置に記憶された第1のインクドットカウント値に基づき、第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジのインク残量レベル値を判定する命令を実行する。
【0020】
別の様態において、上記装置では、第1の履歴記録値が第1のインクドットカウント値であり、第1のプロセッサは、第1のインクドットカウント値を第1のプリントヘッド識別値に関連付けて第1のメモリ装置に記憶する命令を実行する。
【0021】
別の様態において、上記装置では、履歴記録値がタイムスタンプ値であり、第2のプロセッサは、第1のプリントヘッド識別値に関連付く1以上のタイムスタンプ値を判定する命令を実行し、第1のプロセッサは、1以上の第2のプリンタから1以上のタイムスタンプ値を受け取る命令を実行する。
【0022】
別の様態において、上記装置では、第1のプロセッサは、第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジが取り付けられた後に第1のインクジェットプリンタに含まれたタイムスタンプ値と、複数の第2のインクジェットプリンタから受け取った1以上のタイムスタンプ値との比較に基づき、最新のタイムスタンプ値を判定する命令を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示の他の実施形態は、詳細な説明と図面を参照することにより明白となる。図面は詳細をより明確に示すため正確な縮尺としておらず、いくつかの視図において、類似の符号は類似の要素を示す。
図1図1は、ある好ましい実施形態による、ネットワークに接続された複数のインクジェットプリンタを図示する。
図2図2は、ある好ましい実施形態による、ネットワークに接続されたインクジェットプリンタに、インクジェットプリントヘッドカートリッジのドットカウントを公告する方法を図示する。
図3A図3Aは、2つの異なるプリントヘッドカートリッジのプリントヘッド識別値に関連付けられた、プリンタメモリに記憶されたインクドットカウント値の例示的な表である。
図3B図3Bは、2つの異なるプリントヘッドカートリッジのプリントヘッド識別値に関連付けられた、プリンタメモリに記憶されたインクドットカウント値の例示的な表である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示されるように、インクジェットプリンタシステム10は、イーサネット(登録商標)・ネットワークといった、ネットワーク24に接続された複数のインクジェットプリンタ12a、12b、12cを含む。各プリンタ12a、12b、12cは、メモリ装置14a、14b、14c(例えば、不揮発性メモリ装置)と、プロセッサ16a、16b、16cと、ネットワークインターフェイス18a、18b、18cとを含む。ネットワークインターフェイス18a、18b、18cは、ネットワーク24を介した各プリンタ12a、12b、12c間の通信を可能にする。プリントヘッドカートリッジ20a、20b、20cが、各プリンタ12a、12b、12cに取り付けられている。各プリントヘッドカートリッジ20a、20b、20cは、メモリ装置22a、22b、22c(例えば、不揮発性メモリ装置)を有し、ある量のインクをインクリザーバに含む。
【0025】
各プリントヘッドカートリッジ20a、20b、20cのメモリ装置22a、22b、22cには、プリントヘッドカートリッジ20a、20b、20cを一意的に識別するシリアル番号といった、数字又は英数字のプリントヘッド識別値が記憶されている。各メモリ装置22a、22b、22cには、プリントヘッドカートリッジ20a、20b、20cが何れかのプリンタにて以前に使用されたか否かを示す、状態表示値も記憶している。例えば、状態表示値は、バイナリ1が新規状態を示し、バイナリ0が使用済み状態を示す、単一ビット値であってよい。
【0026】
ある好ましい実施形態において、各プリンタ12a、12b、12cのメモリ装置14a、14b、14cは、プリントヘッド識別値を、インクドットカウント値とタイムスタンプ値と関連付けて記憶する。インクドットカウント値とタイムスタンプ値は履歴記録値の例である。インクドットカウント値とタイムスタンプ値の両方又はいずれかが使用可能である。プリントヘッド識別値は、プリンタに取り付けられたことのある全てのプリントヘッドカートリッジを識別し、インクドットカウント値は、各識別されたプリントヘッドカートリッジがそのプリンタにおいて使用された間に発射されたインクドットの数を示し、タイムスタンプ値は、各プリントヘッドカートリッジが印刷ジョブにて使用された直近の日付/時間を示す。図3Aと3Bは、それぞれ、プリンタ12bと12cのメモリ装置14bと14cのプリントヘッド識別値とタイムスタンプ値に関連付けられ記憶された、インクドットカウント値の例示的な表である。
【0027】
図2は、図1に図示されたシステム10といった、インクジェットプリンタシステムにおいてインクジェットプリントヘッドドットカウント値を共有する方法100の、ある好ましい実施形態を図示する。カートリッジ20a(第1のインクジェットプリントヘッドカートリッジ)といった新規又は使用済みプリントヘッドカートリッジがプリンタ12a(第1のインクジェットプリンタ)といったプリンタに取り付けられたとき(ステップ102)、そのプリンタのプロセッサ16aはそのカートリッジのメモリ装置22aにアクセスし、プリントヘッド識別値と状態表示値を取得する(ステップ104)。例えば、カートリッジ20aのプリントヘッド識別値は「00001」であり、その状態表示値はカートリッジ20aが以前に使用されたことを示す「0」でありうる。カートリッジ20aが既に使用されたという判断に基づき(ステップ106)、プロセッサ16aはネットワーク24に接続された他の全てのプリンタに対し、ネットワークインターフェイス18aを通じてリクエストをブロードキャストする(ステップ108)。ネットワーク24上の他のプリンタ20b、20c(又は第2のインクジェットプリンタ)は、自身のメモリ装置14b、14cにてリクエスト内の値に一致するプリントヘッド識別値を検索し、一致するプリントヘッド識別値をメモリ装置に有する各プリンタは、ネットワークインターフェイス18b、18cを通じてネットワーク24へレスポンスをブロードキャストする(ステップ110)。各レスポンスは、一致するプリントヘッド識別値に関連付けられメモリ装置に記憶されたドットカウント値を含む。例えば、もし図3Aに図示された値がプリンタ12bのメモリ装置14bに記憶された値を表わすとすると、プリンタ12bからのレスポンスは、プリントヘッド識別値「00001」に関連付くインクドットカウント値「12345」を含むこととなる。同様に、もし図3Bに図示された値がプリンタ12cのメモリ装置14cに記憶された値を表わすとすると、プリンタ12cからのレスポンスは、プリントヘッド識別値「00001」に関連付くインクドットカウント値「30103」を含むこととなる。
【0028】
プリンタ12aのプロセッサはネットワーク24からレスポンスを受け取り(ステップ112)、どのレスポンスが最も関係するか選択し、該当するレスポンスは最も高いインクドットカウント値を含むものであり、その最も高いインクドットカウント値をリクエストされたプリントヘッド識別値と関連付けメモリ装置14aに記憶する(ステップ114)。例えば、プリンタ12bからのレスポンス内のインクドットカウント値「12345」よりも高いため、プリンタ12cからのレスポンス内のインクドットカウント値「30103」がメモリ装置14aに記憶されることとなる。この後、取り付けられたプリントヘッドカートリッジ20aを用いたプリンタ12aの動作の間にインクドットが発射されるにつれ、プリントヘッドカートリッジ20aのプリントヘッド識別値に関連付くインクドットカウント値は、メモリ装置14aにて「30103」から開始し増加的に更新される(ステップ106)。別の実施形態において、ステップ114にてどのレスポンスが最も高いドットカウント値を含むかを判断するかわりに、プリンタ12aのプロセッサは、どのレスポンスが報告されたインクドットカウント値に関連付く直近のタイムスタンプ値を含むかを判断する。
【0029】
ステップ106に戻り、カートリッジ20aの状態表示値が、取り付けられたカートリッジ20aは新規(未使用)であると示す場合(ステップ106)、プリンタ12aのプロセッサはインクドットカウント値「0」をプリントヘッド識別値に関連付けメモリ装置14aに記憶する(ステップ118)。この後、取り付けられたプリントヘッドカートリッジ20aを用いたプリンタ12aの動作の間にインクドットが発射されるにつれ、プリントヘッドカートリッジ20aのプリントヘッド識別値に関連付くインクドットカウント値は、メモリ装置14aにて初期カウント「0」から開始し増加的に更新される(ステップ116)。
【0030】
前記の本開示の好ましい実施形態の説明は、例示と説明を目的として提供されたものである。これらは、網羅的であること、又は本発明を開示されたとおりの形態に限定することを意図するものではない。上述の教示に照らし、明らかな改変または変形が可能である。これら実施形態は、本発明の原理およびその実際的な応用の最良の例示を提供するために、選択され説明されており、これにより、当業者が様々な実施形態において、予期された特定の用途に適した改変を伴い、本発明を利用することを可能にする。全てのそのような改変と変形は、それらが公正、法的および公平に権利を与えられている範囲により解釈されるとき、添付の特許請求の範囲によって決定される本発明の範囲内にある。
図1
図2
図3A
図3B