(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】記入支援装置、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 7/02 20060101AFI20221109BHJP
G09B 5/02 20060101ALI20221109BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20221109BHJP
【FI】
G09B7/02
G09B5/02
G06Q50/20
(21)【出願番号】P 2018134459
(22)【出願日】2018-07-17
【審査請求日】2021-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】永田 康貴
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智也
(72)【発明者】
【氏名】坂本 早苗
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-156509(JP,A)
【文献】特開2010-218099(JP,A)
【文献】特開2003-178074(JP,A)
【文献】特開2003-076676(JP,A)
【文献】特開平07-244555(JP,A)
【文献】特開平07-078148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56,
17/00-19/26,
G06F 40/00-40/197,
G06Q 10/00-10/10,
30/00-30/08,
50/00-50/20,
50/26-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に記入欄を表示する記入欄表示手段と、
前記記入欄に記入された記入内容を取得する記入内容取得手段と、
取得された記入内容を前記記入欄に表示する記入内容表示手段と、
所定のキーワードと、当該キーワードに関連する関連情報とを対応付けて記憶する記憶部と、
前記記入内容に含まれるキーワードを抽出し、当該キーワードに対応する関連情報を前記記憶部から取得して前記表示部に表示する関連情報表示手段と、
を備え
、
前記記入内容は設問に対する解答であり、
前記関連情報は、設問毎に前記記憶部に記憶されている記入支援装置。
【請求項2】
前記関連情報表示手段は、前記記入欄が表示されている状態で前記関連情報を表示する請求項1に記載の記入支援装置。
【請求項3】
前記関連情報表示手段は、前記関連情報をポップアップ表示する請求項2に記載の記入支援装置。
【請求項4】
前記関連情報は、前記キーワードに関連する図表情報である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の記入支援装置。
【請求項5】
前記記入内容取得手段は、前記記入欄に記入されたストロークデータをテキストデータに変換することにより前記記入内容を取得する請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の記入支援装置。
【請求項6】
コンピュータ及び表示部を備える記入支援装置により実行されるプログラムであって、
前記表示部に記入欄を表示する記入欄表示手段、
前記記入欄に記入された記入内容を取得する記入内容取得手段、
取得された記入内容を前記記入欄に表示する記入内容表示手段、
所定のキーワードと、当該キーワードに関連する関連情報とを対応付けて記憶する記憶部、
前記記入内容に含まれるキーワードを抽出し、当該キーワードに対応する関連情報を前記記憶部から取得して前記表示部に表示する関連情報表示手段、
として前記コンピュータを機能させ
、
前記記入内容は設問に対する解答であり、
前記関連情報は、設問毎に前記記憶部に記憶されているプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置を利用してテストなどを行う際に解答の記入を支援する手法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、教育現場におけるテストや演習においてタブレット端末を利用することが増えている。例えば、タブレット端末を利用した教育支援システムの一例が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記述式の問題に対する解答を記入する際、各種のキーワードを用いて記述を行うことがある。このとき、それらのキーワードに関連する統計情報などの関連情報を参照しながら記述を進めることができれば、記述内容を充実させることができて便宜である。
【0005】
本発明は、端末装置を利用してテストなどを行う際に、関連情報を表示して解答の記入を支援することが可能な記入支援装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの観点では、記入支援装置は、表示部に記入欄を表示する記入欄表示手段と、前記記入欄に記入された記入内容を取得する記入内容取得手段と、取得された記入内容を前記記入欄に表示する記入内容表示手段と、所定のキーワードと、当該キーワードに関連する関連情報とを対応付けて記憶する記憶部と、前記記入内容に含まれるキーワードを抽出し、当該キーワードに対応する関連情報を前記記憶部から取得して前記表示部に表示する関連情報表示手段と、を備え、前記記入内容は設問に対する解答であり、前記関連情報は、設問毎に前記記憶部に記憶されている。
【0007】
上記の記入支援装置は、表示部に記入欄を表示し、さらに記入欄に記入された記入内容を取得して記入欄に表示する。記憶部には、所定のキーワードと、当該キーワードに関連する関連情報とが対応付けて記憶されている。そして、記入支援装置は、記入内容に含まれるキーワードを抽出し、当該キーワードに対応する関連情報を記憶部から取得して表示部に表示する。これにより、生徒などの解答者がキーワードを記入すると関連情報が表示されるので、解答者は関連情報を参照して詳細な記述を行うことができる。また、記入内容は設問に対する解答であり、関連情報は設問毎に記憶部に記憶されている。よって、設問毎に予め用意された関連情報が表示される。
【0008】
上記の記入支援装置の一態様では、前記関連情報表示手段は、前記記入欄が表示されている状態で前記関連情報を表示する。これにより、解答者は関連情報を見ながら記入欄に記入を行うことができる。好適な例では、前記関連情報表示手段は、前記関連情報をポップアップ表示する。他の好適な例では、前記関連情報は、前記キーワードに関連する図表情報である。
【0010】
上記の記入支援装置の他の一態様では、前記記入内容取得手段は、前記記入欄に記入されたストロークデータをテキストデータに変換することにより前記記入内容を取得する。
【0011】
本発明の他の観点では、コンピュータ及び表示部を備える記入支援装置により実行されるプログラムは、前記表示部に記入欄を表示する記入欄表示手段、前記記入欄に記入された記入内容を取得する記入内容取得手段、取得された記入内容を前記記入欄に表示する記入内容表示手段、所定のキーワードと、当該キーワードに関連する関連情報とを対応付けて記憶する記憶部、前記記入内容に含まれるキーワードを抽出し、当該キーワードに対応する関連情報を前記記憶部から取得して前記表示部に表示する関連情報表示手段、として前記コンピュータを機能させ、前記記入内容は設問に対する解答であり、前記関連情報は、設問毎に前記記憶部に記憶されている。このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記の記入支援装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】記入支援装置の実施形態に係るタブレットPCを示す。
【
図2】タブレットPCの構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態の記入支援方法による関連情報の表示例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
[記入支援装置]
図1は、本発明の記入支援装置の実施形態に係るタブレットPCを示す。タブレットPC30は、学校その他の教育現場におけるテストや演習などに利用される。タブレットPC30は、タブレットタイプのコンピュータ装置であり、タッチパネル式の表示部36を備える。タブレットPC30には、設問が解答フォームとして表示される。具体的には、
図1に示すように、問題文11と記入欄12とが表示される。生徒は、タッチペン5を用いて各設問の記入欄12に解答を入力する。記入欄12は、複数のマス目を含み、基本的に1つのマス目に1文字が記入される。なお、
図1の例では、説明の便宜上、1つの設問11及び記入欄12が示されているが、テストは複数の設問を有し、次の設問は、解答者がタブレットPC30に対して下方へのスクロール指示を入力することにより表示されるものとする。
【0014】
図2はタブレットPC30の構成を示すブロック図である。図示のように、タブレットPC30は、タッチセンサ31、制御部32、記憶部33、テスト情報データベース(以下、「データベース」を「DB」と略す。)34、関連情報DB35、表示部36、及び、通信部37を備える。これらの構成要素は、バス39により相互に接続されている。
【0015】
タッチセンサ31は、表示部36上に設けられており、解答者のタッチペン5による記入やタッチ操作を検出する。タッチセンサ31が記入欄12内への記入を検出することにより、解答者が記入した解答が電子データとして取得される。
【0016】
制御部32は、CPUなどのコンピュータにより構成され、タブレットPC30の各構成要素を制御する。記憶部33は、RAM、ROMなどのメモリにより構成される。記憶部33には、制御部32により実行される様々な処理のプログラムが記憶される。制御部32は、それらのプログラムを実行することにより、タブレットPC30全体を制御する。
【0017】
具体的に、制御部32は、タッチペン5により記入欄12の各マス目に記入された記入データ(ストロークデータ)を抽出してテキストデータに変換し、文字認識処理(OCR処理)を行うことにより記入内容として文字列を取得する。また、制御部32は、記入内容としての文字列から、予め決められたキーワードを抽出する。
【0018】
記憶部33は、制御部32が様々な処理を実行する際の作業メモリとして機能する。例えば、タッチセンサ31が取得した解答の電子データは、一時的に記憶部33に保存される。
【0019】
テスト情報DB34は、
図1に示すようにタブレットPC30に表示される各設問の情報、各設問についての正答情報などを記憶する。本実施形態では設問が記述式であるので、正答情報は、複数のキーワードを含む。制御部32は、記入欄12に記入されたストロークから文字認識処理により記入内容を抽出し、テスト情報DB34に記憶されているキーワードなどと比較することにより、自動採点を行うことができる。また、テスト情報DB34には、過去のテストにおいて解答者が入力した解答や過去のテスト結果などを記憶することもできる。
【0020】
関連情報DB35は、設問毎に予め決められたキーワードと、当該キーワードに関連する情報(以下、「関連情報」と呼ぶ)とを対応付けて記憶する。
図3は、関連情報の例を示す。この例では、テストの設問が「○○市について説明しなさい。」などのように、都道府県や市区町村(以下、「自治体」と呼ぶ。)についての説明を記述させるものであるとする。この場合、関連情報DB35は、設問において記述の対象となる自治体ごとに、関連情報を記憶する。
図3の例では、自治体の例として、「A市」、「B市」などがあり、それぞれについて、「キーワード」及び「関連情報」が記憶される。
【0021】
「キーワード」は、自治体の説明によく使用される語句であり、例えば「人口」、「生産高」、「特産物」、「観光地」などが挙げられる。そして、キーワード毎に、関連情報が記憶される。
【0022】
「関連情報」は、各キーワードに関連する情報であり、典型的には各キーワードに対応する統計情報などを含む。また、好適には、関連情報は、キーワードに関連する統計情報をグラフなどで示した図表の情報である。なお、
図3の例においては、関連情報はそのデータファイル名で示されている。
【0023】
表示部36は、タブレットPC30の前面に設けられる液晶パネルなどであり、
図1に示すように、各設問について記入欄12を表示する。通信部37は、外部のサーバや端末装置と通信する。例えば、クラスの各生徒がタブレットPC30を利用してテストや演習を行う場合に、通信部37を利用して各生徒の解答データをタブレットPC30からサーバへ送信し、サーバで採点したり集計したりすることができる。
【0024】
上記の構成において、制御部32及び表示部36は本発明の記入欄表示手段、記入内容表示手段及び関連情報表示手段の一例であり、タッチセンサ31及び制御部32は本発明の記入内容取得手段の一例であり、関連情報DB35は本発明の記憶部の一例である。
【0025】
[記入支援方法]
以下、本実施形態の記入支援方法について説明する。本実施形態では、記入欄12に対して生徒が解答を記入する際に、記入欄12に所定のキーワードが記入された場合、そのキーワードについての関連情報が表示部36に表示される点に特徴を有する。
【0026】
図4は、実施形態の記入支援方法による関連情報の表示例を示す。この例では、「A市について説明しなさい。」との設問11がタブレット30の表示部36に表示され、生徒は記入欄12に解答を記入する。生徒が記入欄12に解答を記入すると、タブレットPC30の制御部32は生徒による記入内容を取得し、その中に所定のキーワードが含まれるか否かを判定する。本例では、「A市」について記述させる設問であるので、制御部32は、関連情報DB35を参照し、生徒による記入内容から、
図3に示すように「A市」について予め記憶されているキーワードを抽出する。そして、キーワードを抽出すると、制御部32は、そのキーワードに対応付けられている関連情報を取得し、表示部36に表示する。
【0027】
図4の例では、生徒が記入欄12に記入した記入内容には、
図3に示すように、「A市」について予め決められたキーワード「人口」及び「生産高」が含まれる。制御部32は、生徒が「人口」と記入したときに、キーワード「人口」に対応する関連情報「Data-A-population」を取得し、表示部36に表示する。ここで、関連情報「Data-A-population」はA市の人口推移を示すグラフであり、
図4に示すようにA市の人口推移を示すグラフ15aが表示部36にポップアップ表示される。
【0028】
同様に、制御部32は、生徒が「生産高」と記入したときに、キーワード「生産高」に対応する関連情報「Data-A-product」を取得し、表示部36に表示する。ここで、関連情報「Data-A-product」はA市の生産高を示すグラフであり、
図4に示すようにA市の生産高を示すグラフ15bが表示部36にポップアップ表示される。
【0029】
関連情報は、タブレット30の表示部36において、記入欄12と同時に表示される。即ち、関連情報は、記入欄12が表示された状態で表示される。これにより、生徒は、関連情報を参照しながら、記入欄12に記入を続けることができる。なお、生徒は、必要に応じて、タッチペン5によるドラッグ操作などにより、表示部36に表示された関連情報(グラフ15a、15b)を、記入欄12への記入の妨げとならない位置に移動させることができる。また、表示部36に表示された関連情報(グラフ15a、15b)は、必要に応じて、タッチペン5による操作により、拡大/縮小したり、表示/非表示を切り替えたりできることが好ましい。
【0030】
図5は、実施形態による記入支援処理のフローチャートである。この処理は、タブレットPC30の制御部32が予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。まず、制御部32は、タッチセンサ31からの出力に基づいてタッチペン5により記入されたストロークを検出する(ステップS10)。次に、制御部32は、検出された複数のストロークに基づいて文字認識処理を行い、記入された文字を抽出し、記入欄12に表示する(ステップS11)。
【0031】
次に、制御部32は、記入内容として得られた文字列にキーワードが含まれているか否かを判定する(ステップS12)。記入内容にキーワードが含まれてない場合(ステップS13:No)、処理はステップS10へ戻る。一方、記入内容にキーワードが含まれている場合(ステップS13:Yes)、制御部32は関連情報DB35を参照して、そのキーワードに対応する関連情報を取得し、表示部36に表示する(ステップS14)。これにより、
図4の表示例における関連情報(グラフ15a、15b)が表示されることになる。
【0032】
次に、制御部32は、生徒による記入が終了したか否かを判定する(ステップS15)。この判定は、例えばタブレットPC30に表示された「終了ボタン」を生徒が押したことを検出することにより行うことができる。生徒による記入が終了していない場合(ステップS15:No)、処理はステップS10へ戻る。一方、生徒による記入が終了した場合(ステップS15:Yes)、記入支援処理は終了する。
【0033】
以上のように、本実施形態によれば、生徒が記入欄12に記入した記入内容に、所定のキーワードが含まれる場合には、そのキーワードに関連する関連情報が表示部36に表示される。よって、生徒は、そのキーワードに関連する統計情報などをグラフなどの形態で見ながら、詳細な記述を行うことができる。
【符号の説明】
【0034】
5 タッチペン
11 問題文
12 記入欄
15a、15b 関連情報(グラフ)
30 タブレットPC
32 制御部
35 関連情報データベース