IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 沖電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-釣銭機 図1
  • 特許-釣銭機 図2
  • 特許-釣銭機 図3
  • 特許-釣銭機 図4
  • 特許-釣銭機 図5
  • 特許-釣銭機 図6
  • 特許-釣銭機 図7
  • 特許-釣銭機 図8
  • 特許-釣銭機 図9
  • 特許-釣銭機 図10
  • 特許-釣銭機 図11
  • 特許-釣銭機 図12
  • 特許-釣銭機 図13
  • 特許-釣銭機 図14
  • 特許-釣銭機 図15
  • 特許-釣銭機 図16
  • 特許-釣銭機 図17
  • 特許-釣銭機 図18
  • 特許-釣銭機 図19
  • 特許-釣銭機 図20
  • 特許-釣銭機 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】釣銭機
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/20 20190101AFI20221109BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20221109BHJP
   B65H 29/62 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G07D11/20
G07G1/00 331A
B65H29/62
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018138699
(22)【出願日】2018-07-24
(65)【公開番号】P2020017013
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】涌嶋 渉
(72)【発明者】
【氏名】田中 克始
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-326960(JP,A)
【文献】特開2018-014001(JP,A)
【文献】特開2013-109449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00-13/00
G07D 1/00- 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者との間で紙幣を授受する入出金部と、
前記入出金部と接続され、前記入出金部から取り込んだ前記紙幣を内部に搬送すると共に、内部から前記入出金部へ前記紙幣を搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部と接続され、前記紙幣を鑑別する鑑別部を含む第2搬送部と、
前記第2搬送部と接続され、正常な前記紙幣を収納する紙幣収納庫と、
前記第1搬送部における前記入出金部と前記鑑別部との間に設けられた回収庫分岐部を介して接続され、前記紙幣収納庫から繰り出された前記紙幣を収納する回収庫と、
前記紙幣収納庫から繰り出された前記紙幣において、前記鑑別部により異常と鑑別された異常紙幣の発生を検知すると、前記入出金部又は前記回収庫の何れか一方と前記回収庫分岐部との間で前記異常紙幣を停止させ、該異常紙幣を前記第2搬送部まで搬送させた後、前記回収庫分岐部を切り替えて該異常紙幣を前記入出金部又は前記回収庫の何れか他方に搬送させるよう制御する制御部と
を有し
前記制御部は、
前記異常紙幣の後続に後続紙幣が存在する場合、前記入出金部又は前記回収庫の何れか一方と前記回収庫分岐部との間に前記異常紙幣を保持したまま前記後続紙幣を前記紙幣収納庫内部へ搬送させた後に、前記入出金部又は前記回収庫の何れか一方と前記回収庫分岐部との間から前記異常紙幣を前記第2搬送部まで搬送させるよう制御する
ことを特徴とする釣銭機。
【請求項2】
前記制御部は、
出金処理時において前記異常紙幣の発生を検知すると、前記第1搬送部における前記入出金部と前記回収庫分岐部との間で前記異常紙幣を停止させ、該異常紙幣を前記第2搬送部まで搬送させた後、前記回収庫分岐部を切り替えて該異常紙幣を前記回収庫に搬送させるよう制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の釣銭機。
【請求項3】
前記第2搬送部と接続され、回収すべき前記紙幣を前記回収庫へ搬送させる第3搬送部
をさらに有し、
前記制御部は、
回収処理時において前記異常紙幣の発生を検知すると、前記第3搬送部における前記回収庫と前記回収庫分岐部との間で前記異常紙幣を停止させ、該異常紙幣を前記第2搬送部まで搬送させた後、前記回収庫分岐部を切り替えて該異常紙幣を前記入出金部に搬送させるよう制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の釣銭機。
【請求項4】
前記入出金部又は前記回収庫の何れか一方は、対向するローラにより構成され前記入出金部又は前記回収庫の何れか一方の内部に前記紙幣を少なくとも集積させる収納庫集積機構を有し、
前記制御部は、前記異常紙幣の発生を検知すると、前記収納庫集積機構により保持した状態で前記異常紙幣を停止させ、該異常紙幣を前記第2搬送部まで搬送させた後、前記回収庫分岐部を切り替えて該異常紙幣を前記入出金部又は前記回収庫の何れか他方に搬送させるよう制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の釣銭機。
【請求項5】
前記入出金部又は前記回収庫の何れか一方は、前記収納庫集積機構である入出金部集積機構を有する前記入出金部であり、
前記入出金部又は前記回収庫の何れか他方は、出金処理時において前記紙幣収納庫から繰り出された前記紙幣のうち、前記鑑別部により異常と鑑別された前記異常紙幣を収納する前記回収庫であり、
前記制御部は、前記異常紙幣の発生を検知すると、前記第1搬送部における前記入出金部と前記回収庫分岐部との間で前記異常紙幣を停止させ、該異常紙幣を前記第2搬送部まで搬送させた後、前記回収庫分岐部を切り替えて該異常紙幣を前記回収庫に搬送させるよう制御する
ことを特徴とする請求項4に記載の釣銭機。
【請求項6】
前記入出金部集積機構に対し独立して駆動し、前記第2搬送部において前記紙幣を搬送する搬送機構
をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の釣銭機。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第2搬送部へ戻した前記異常紙幣を前記回収庫分岐部を切り替えて前記入出金部又は前記回収庫の何れか他方に搬送させる際に前記後続紙幣を前記紙幣収納庫から前記第2搬送部へ繰り出すよう制御する
請求項に記載の釣銭機。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第2搬送部へ戻した前記異常紙幣を前記回収庫分岐部を切り替えて前記入出金部又は前記回収庫の何れか他方に搬送させる際に、前記異常紙幣が前記回収庫分岐部を通過するまでは、前記後続紙幣を前記紙幣収納庫から前記第2搬送部へ繰り出さないよう制御する
請求項に記載の釣銭機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は釣銭機に関し、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等のような小売店舗の精算所において使用されるレジ釣銭システムに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、レジ釣銭システムにおいては、POS(Point Of Sales)システム等に接続されたPOSレジに、紙幣や硬貨の入出金処理を行う釣銭機が組み合わされたものが普及しつつある。この釣銭機のうち紙幣を処理する紙幣入出金部は、レジ係員との間で紙幣の授受を行う入出金部と、紙幣を搬送する搬送部と、投入された紙幣の金種及び真偽を鑑別する鑑別部と、再利用可能な紙幣を金種毎に収納する紙幣収納庫と、再利用すべきでない紙幣を収納するリジェクト庫とを有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の紙幣入出金部1011は、図14に示すように、入出金部24、搬送部26、入金紙幣鑑別部1028i、出金紙幣鑑別部1028o、紙幣収納庫15(紙幣収納庫15a、15b及び15c)及びリジェクト回収庫30を有している。入出金部24は、紙幣入出金部1011内における前側上部に位置している。この入出金部24は、使用者により入金された紙幣を取り込んで1枚ずつ分離し搬送部26へ繰り出すと共に、使用者へ出金すべき紙幣を収容し釣銭として出金する。
【0004】
搬送部26は、ローラやベルト等により、搬送路に沿って長方形の紙幣を短手方向に搬送する。また搬送部26は、入出金部24と入金紙幣鑑別部1028iの前側とを接続する第1搬送部26aと、入金紙幣鑑別部1028i及び出金紙幣鑑別部1028oを前後方向に挿通させるように紙幣を搬送し、出金紙幣鑑別部1028oの後側と紙幣収納庫15a、15b及び15cそれぞれとを接続する第2搬送部26bと、リジェクト回収庫30と入金紙幣鑑別部1028iの前側とを接続する第3搬送部26cとにより構成されている。
【0005】
入金紙幣鑑別部1028iは、入出金部24の後方に位置している。この入金紙幣鑑別部1028iは、入金される紙幣をその内部で紙幣を搬送しながら、光学素子や磁気検出素子等を用いて該紙幣の金種及び真偽、正損(損傷しているか否か)、搬送状態を認識し、その鑑別結果を所定の釣銭制御部へ通知する。これに応じて釣銭制御部は、取得した鑑別結果及び識別結果に基づいて紙幣の搬送先を決定する。
【0006】
出金紙幣鑑別部1028oは、入金紙幣鑑別部1028iの後方に位置している。この出金紙幣鑑別部1028oは、出金される紙幣をその内部で紙幣を搬送しながら、光学素子や磁気検出素子等を用いて該紙幣の金種及び真偽、正損、搬送状態を認識し、その鑑別結果を釣銭制御部へ通知する。これに応じて釣銭制御部は、取得した鑑別結果及び識別結果に基づいて紙幣の搬送先を決定する。
【0007】
また搬送部26には、複数の切替部(第1切替部34a、第2切替部34b及び第3切替部34c)が配置されている。各切替部34は、ブレード35(ブレード35a、35b及び35c)及びその周囲に配置された複数のローラにより構成されている。この切替部34は、釣銭制御部の制御に従い、各紙幣の搬送先に応じてブレード35の傾斜方向を変化させると共に各ローラを所定の回転方向へ回転させることにより、紙幣の搬送方向を適宜切り替えて所望の搬送先へ搬送する。
【0008】
この紙幣入出金部1011は、出金処理時において、出金紙幣鑑別部1028oにおいて鑑別に要する処理時間と、第1切替部34aのブレード35aを切り替えるために要する切替時間との分だけ、出金紙幣鑑別部1028oを第1切替部34aから離隔させることにより、第1切替部34aにおける搬送経路を切り替えるまでの時間的な余裕を確保している。
【0009】
出金処理時において紙幣入出金部1011は、紙幣を紙幣収納庫15から繰り出して第2搬送部26bに沿って搬送し、出金紙幣鑑別部1028oを通過する際に鑑別させる。ここで釣銭制御部は、出金紙幣鑑別部1028oから得られる鑑別結果により正常な紙幣であると判別した出金正常紙幣の搬送先を入出金部24に決定する一方、異常な紙幣であると判別したリジェクト紙幣である出金異常紙幣の搬送先をリジェクト庫31に決定する。
【0010】
紙幣が出金正常紙幣であった場合、紙幣入出金部1011は、出金正常紙幣を図18の矢印RT31のように第2搬送部26b及び第1搬送部26aに沿って入出金部24へ搬送して集積させ、釣銭として出金する。一方紙幣が出金異常紙幣であった場合、紙幣入出金部1011は、出金異常紙幣を図19の矢印RT32のように第2搬送部26b及び第3搬送部26cに沿ってリジェクト庫31へ搬送して収納させる。
【0011】
一方回収処理時において紙幣入出金部1011は、紙幣を第2搬送部26bに沿って搬送し、出金紙幣鑑別部1028oを通過する際に鑑別させる。ここで釣銭制御部21は、出金紙幣鑑別部1028oから得られる鑑別結果により正常な紙幣であると判別した回収正常紙幣の搬送先を回収庫32に決定する一方、異常な紙幣であると判別したリジェクト紙幣である回収異常紙幣の搬送先を入出金部24に決定する。
【0012】
紙幣が回収正常紙幣であった場合、紙幣入出金部1011は、回収正常紙幣BLrcを図20の矢印RT33のように第2搬送部26b及び第3搬送部26cに沿って回収庫32へ搬送して収納させる。一方紙幣が回収異常紙幣であった場合、紙幣入出金部1011は、回収異常紙幣を図21の矢印RT34のように第2搬送部26b及び第1搬送部26aに沿って入出金部24へ搬送して集積させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2008-77453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら紙幣入出金部1011は、入金紙幣専用の入金紙幣鑑別部1028iと出金紙幣専用の出金紙幣鑑別部1028oとの両方を内蔵しているため、紙幣入出金部1011の前後方向の長さである装置長さLが大きくなってしまう。
【0015】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、小型化し得る釣銭機を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かかる課題を解決するため本発明の釣銭機においては、操作者との間で紙幣を授受する入出金部と、入出金部と接続され、入出金部から取り込んだ紙幣を内部に搬送すると共に、内部から入出金部へ紙幣を搬送する第1搬送部と、第1搬送部と接続され、紙幣を鑑別する鑑別部を含む第2搬送部と、第2搬送部と接続され、正常な紙幣を収納する紙幣収納庫と、第1搬送部における入出金部と鑑別部との間に設けられた回収庫分岐部を介して接続され、紙幣収納庫から繰り出された紙幣を収納する回収庫と、紙幣収納庫から繰り出された紙幣において、鑑別部により異常と鑑別された異常紙幣の発生を検知すると、入出金部又は回収庫の何れか一方と回収庫分岐部との間で異常紙幣を停止させ、該異常紙幣を第2搬送部まで搬送させた後、回収庫分岐部を切り替えて該異常紙幣を入出金部又は回収庫の何れか他方に搬送させるよう制御する制御部とを設け、制御部は、異常紙幣の後続に後続紙幣が存在する場合、入出金部又は回収庫の何れか一方と回収庫分岐部との間に異常紙幣を保持したまま後続紙幣を紙幣収納庫内部へ搬送させた後に、入出金部又は回収庫の何れか一方と回収庫分岐部との間から異常紙幣を第2搬送部まで搬送させるよう制御するようにした。
【0017】
これにより本発明は、出金処理及び回収処理において正常紙幣及び異常紙幣それぞれを搬送すべき搬送先へ搬送しつつ、搬送路を短くし装置長さを短くできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、小型化し得る釣銭機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】レジ釣銭システムの外観構成を示す斜視図である。
図2】紙幣入出金部の構成を示す右側面図である。
図3】紙幣入出金部による出金処理における出金正常紙幣の搬送を示す右側面図である。
図4】紙幣入出金部による出金処理における後続紙幣不在時の出金異常紙幣の搬送を示す右側面図である。
図5】第1の実施の形態の紙幣入出金部による出金処理における後続紙幣存在時の出金異常紙幣の搬送を示す右側面図である。
図6】紙幣入出金部による回収処理における回収正常紙幣の搬送を示す右側面図である。
図7】紙幣入出金部による回収処理における後続紙幣不在時の回収異常紙幣の搬送を示す右側面図である。
図8】第1の実施の形態の紙幣入出金部による回収処理における後続紙幣存在時の回収異常紙幣の搬送を示す右側面図である。
図9】従来の紙幣入出金部と第1の実施の形態の紙幣入出金部との装置長さの比較を示す右側面図である。
図10】第2の実施の形態の紙幣入出金部による出金処理における後続紙幣存在時の出金異常紙幣の搬送(1)を示す右側面図である。
図11】第2の実施の形態の紙幣入出金部による出金処理における後続紙幣存在時の出金異常紙幣の搬送(2)を示す右側面図である。
図12】第2の実施の形態の紙幣入出金部による回収処理における後続紙幣存在時の回収異常紙幣の搬送(1)を示す右側面図である。
図13】第2の実施の形態の紙幣入出金部による回収処理における後続紙幣存在時の回収異常紙幣の搬送(2)を示す右側面図である。
図14】従来の紙幣入出金部の構成(1)を示す右側面図である。
図15】比較例の紙幣入出金部の構成(1)を示す右側面図である。
図16】比較例の紙幣入出金部の構成(2)を示す右側面図である。
図17】比較例の紙幣入出金部の構成(3)を示す右側面図である。
図18】従来の紙幣入出金部による出金処理における出金正常紙幣の搬送を示す右側面図である。
図19】従来の紙幣入出金部による出金処理における出金異常紙幣の搬送を示す右側面図である。
図20】従来の紙幣入出金部による回収処理における回収正常紙幣の搬送を示す右側面図である。
図21】従来の紙幣入出金部による回収処理における回収異常紙幣の搬送を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0021】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.レジ釣銭システムの構成]
図1に外観を示すように、レジ釣銭システム1は、それぞれ独立した装置である上側のPOSレジ2と下側の釣銭機3とにより構成されている。このレジ釣銭システム1は、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストアのような小売店舗の精算所(いわゆるレジ)において、顧客が購入したい商品を精算する際に、レジ係員により操作される。以下では、レジ係員が対峙する側面及びその反対面をそれぞれ前面及び後面とし、さらに該レジ係員から見て左右及び上下を定義して説明する。
【0022】
POSレジ2は、内蔵されたレジ制御部5が全体を統括制御する。またPOSレジ2には、図示しないバーコードリーダが接続されており、商品に付されたバーコードをこのバーコードリーダで読み取ることにより、該商品を認識する。表示操作部6は、液晶ディスプレイ等でなる表示部と、該液晶ディスプレイに重ねて配置されたタッチパネル等でなる操作部とにより構成されている。この表示操作部6は、認識した商品の名称や金額等を液晶ディスプレイに表示する。また表示操作部6は、表示画面の一部に数字等の入力キーを表示しており、タッチパネル上の入力キーに対応する箇所が押下操作されると、該入力キーに対応した入力操作を受け付けてレジ制御部5へ送信する。これに応じてレジ制御部5は、商品の数量の増減や金額の修正等の各処理を行う。またPOSレジ2には、レシート処理部7が内蔵されている。レシート処理部7は、認識した商品の名称や金額等をレシートに印字し、これをレシート排出口7Aから排出する。
【0023】
一方、釣銭機3は、大きく分けて、左側の紙幣入出金部11と、右側の硬貨入出金部12と、前側上部の表示操作部13とにより構成されている。
【0024】
紙幣入出金部11は、レジ係員により紙幣入出金口14から入金された紙幣を取り込んで紙幣収納庫15(紙幣収納庫15a、15b及び15c)(図2)に収納すると共に、レジ制御部5から指示された紙幣を紙幣収納庫15(図2)から取り出し、これを紙幣入出金口14から釣銭として出金する。
【0025】
硬貨入出金部12の前面には、上段に硬貨入金口16が設けられ、その下方にリジェクト口17及び硬貨出金口18が設けられている。硬貨入出金部12は、レジ係員により硬貨入金口16へ投入された硬貨を取り込んで内部の収納庫に収納すると共に、レジ制御部5から指示された金額に応じた金種及び枚数の硬貨を硬貨出金口18から釣銭として出金する。
【0026】
表示操作部13は、所定の表示パネル及び所定の操作ボタンの組み合わせにより構成されている。表示操作部13の表示パネルは、紙幣入出金部11及び硬貨入出金部12における稼働状況を表示し、例えば硬貨入出金部12において釣銭用の硬貨が不足していることや、所定のセンサにより異常を検出したこと、及びその箇所等を表示する。表示操作部13の操作ボタンは、レジ係員等による押下操作を介して、例えば硬貨の搬送等に関する指示を受け付ける。
【0027】
また釣銭機3の内部には、釣銭制御部21が設けられている。釣銭制御部21は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、フラッシュメモリ等でなるメモリから釣銭出金プログラム等の各種プログラムを読み出して実行することにより、釣銭機3を統括制御し、入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。
【0028】
[1-2.紙幣入出金部の構成]
紙幣入出金部11は、図2に示すように、内部に紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれており、釣銭制御部21(図1)が各部(入出金部24、搬送部26、鑑別部28、紙幣収納庫15及びリジェクト回収庫30)を統括制御する。
【0029】
入出金部24は、紙幣入出金部11内における前側上部に位置している。この入出金部24は、使用者であるレジ係員により紙幣入出金口14(図1)から入金された紙幣を取り込んで1枚ずつ分離し搬送部26へ繰り出すと共に、使用者へ出金すべき紙幣を紙幣収容空間39においてステージ38に紙面を上下方向に向けて集積された状態で、すなわち上下方向に沿って整列された状態で収容し紙幣入出金口14から釣銭として出金する。
【0030】
入出金部24において第1搬送部26aと紙幣を受け渡す繰出集積口の近傍には、繰出集積部40が設けられている。入出金部集積機構としての繰出集積部40は、ピックアップローラ41、繰出集積ローラ42及び集積ローラ45により構成されており、図示しない入出金部繰出集積部駆動モータにより駆動される。ピックアップローラ41は、入出金部24において紙幣を収容する空間である紙幣収容空間39の上側においてステージ38の上面と対向するよう設けられ、その外周面の一部にゴム等の摩擦係数の大きい高摩擦部材が取り付けられている。またピックアップローラ41は、図2中反時計回り(繰出方向)に回転することにより、入金処理において紙幣入出金口14(図1)から投入されたステージ38上の紙幣を搬送部26側に送り出す。繰出集積ローラ42は、フィードローラ43及びゲートローラ44により構成されており、ピックアップローラ41によって送り出された紙幣をゲートローラ44により1枚ずつ分離しながらフィードローラ43により搬送部26へと繰り出す。フィードローラ43は、ピックアップローラ41に対し紙幣の繰出方向の下流側である後側に設けられ、その外周面の一部にゴム等の摩擦係数の大きい高摩擦部材が取り付けられている。またフィードローラ43は、図2中反時計回り(繰出方向)に回転することにより、ピックアップローラ41によって送り出された紙幣を集積繰出口を介して搬送部26へと繰り出す。ゲートローラ44は、フィードローラ43の下側に対向配置され、紙幣の繰出時には回転しないことにより紙幣収容空間39から送り出されてきた紙幣を1枚ずつ分離する一方、紙幣収容空間39へ紙幣を戻す紙幣戻しの際にはフィードローラ43と共に回転することにより、紙幣を搬送部26から紙幣収容空間39内に戻す。集積ローラ45は、フィードローラ43の下側においてゲートローラ44よりも紙幣の集積方向の下流側である前側に設けられ、図2中反時計回り(集積方向)に回転することにより、搬送部26から搬送され出金処理において紙幣入出金口14から排出する紙幣を紙幣収容空間39へ集積させる。集積ローラ45の回転軸である集積ローラ軸には、ゴム等の弾性部材で形成された舌片が、左右方向に所定の間隔を空けて複数本設けられている。この舌片は、集積ローラ45と共に図2中反時計回りに回転することにより、紙幣収容空間39へ送り出された紙幣の後端部分を叩き、該紙幣をステージ38上に集積させる。
【0031】
搬送部26は、ローラやベルト等により、搬送路に沿って長方形の紙幣を短手方向に搬送する。搬送部26の分岐点には、ブレード35が設けられており、釣銭制御部21(図1)の制御に基づき回動することにより、紙幣の搬送先を切り替える。
【0032】
鑑別部28は、入出金部24の後方に位置している。この鑑別部28は、入金される紙幣、出金される紙幣及び回収される紙幣をその内部で搬送しながら、光学素子や磁気検出素子等を用いて該紙幣の金種及び真偽、正損(損傷しているか否か)、搬送状態を認識し、その鑑別結果を釣銭制御部21へ通知する。これに応じて釣銭制御部21は、取得した鑑別結果に基づいて紙幣の搬送先を決定する。鑑別部28は、出金処理時において後方から前方へ搬送された紙幣が該鑑別部28で異常判定された場合においても入出金部24の内部に該紙幣が完全には収納されずに、繰出集積ローラ42に挟まれた状態で留まる位置に配置されている。具体的に、出金処理において、鑑別部28と入出金部24とを結ぶ搬送経路がブレード35aにより形成されている状態で、紙幣入出金部11は、第2搬送部26bを後方から前方へ向かって高速で搬送されている紙幣を鑑別部28が異常判定してから、搬送部26の搬送ローラ62を駆動する図示しない搬送部駆動モータを停止させると、該紙幣は、入出金部24の内部に完全には収納されずに、第1搬送部26a上において繰出集積ローラ42に挟まれた状態で留まる位置で停止する。すなわち繰出集積ローラ42は、鑑別部28を通過した紙幣が異常紙幣であると判断されて、釣銭制御部21が紙幣の搬送を停止させるまでに搬送される搬送距離が考慮されて、異常紙幣を挟んだ状態となる位置に配置される。
【0033】
リジェクト回収庫30は、紙幣入出金部11内における前端近傍であって入出金部24の下に隣接する位置に設けられており、内部に紙幣を集積して収納する紙幣収容空間を有している。このリジェクト回収庫30は、上側のリジェクト庫31と下側の回収庫32とが一体となり仕切り33により互いに空間が分離された一体型収納庫であり、釣銭機3の筐体に対し着脱可能な着脱式収納庫である。リジェクト回収庫30は、回収庫32へ紙幣を収納する場合は仕切り33の後端を持ち上げることにより第3搬送部26cから回収庫32へ紙幣を搬送し得る状態にする一方、リジェクト庫31へ紙幣を収納する場合は仕切り33の後端を下げることにより第3搬送部26cからリジェクト庫31へ紙幣を搬送し得る状態にする。
【0034】
リジェクト庫31は、鑑別部28及び釣銭制御部21により、破損した紙幣(いわゆる損券)と鑑別された紙幣、偽造券と判別された紙幣及び5千券や2千券等の還流されない金種の紙幣等、再利用すべきで無いと判断された紙幣(すなわち異常判定された異常紙幣)が第3搬送部26cにより搬送されてくると、該紙幣を内部に収納する。回収庫32は、紙幣収納庫15に収納された紙幣の売り上げ金等の一部を回収する回収処理が行われる際に、該紙幣が第3搬送部26cにより搬送されて来ると、該紙幣を内部に収納する。
【0035】
リジェクト回収庫30において第3搬送部26cから紙幣を受け取る集積口の近傍には、集積ローラ50が設けられており、図示しない集積駆動モータにより駆動される。回収庫集積機構としての集積ローラ50は、テンションローラ51及びフィードローラ52により構成されている。テンションローラ51は、図2中時計回り(集積方向)に回転することにより、第3搬送部26cから搬送された紙幣をリジェクト庫31又は回収庫32へ集積させる。フィードローラ52は、テンションローラ51の下側に対向配置され、図2中反時計回り(集積方向)に回転することにより、第3搬送部26cから搬送された紙幣をリジェクト庫31又は回収庫32へ集積させる。フィードローラ52の回転軸であるフィードローラ軸には、ゴム等の弾性部材で形成された舌片が、左右方向に所定の間隔を空けて複数本設けられている。この舌片は、フィードローラ52と共に図2中反時計回りに回転することにより、リジェクト庫31又は回収庫32の紙幣収容空間へ送り出された紙幣の後端部分を叩き、該紙幣を仕切り33又は回収庫32の底板上に集積させる。
【0036】
リジェクト回収庫30の後方には、前側から後側へ向けて順に紙幣収納庫15a、15b及び15cが設けられている。各紙幣収納庫15(15a、15b及び15c)は、何れも同様に構成されており、直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。各紙幣収納庫15は、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されている。この紙幣収納庫15は、鑑別部28及び釣銭制御部21により損傷の程度が小さく再利用が可能であると判断された紙幣が、その金種に応じて第2搬送部26bにより搬送されてくると、該紙幣を内部に集積して収納する。また紙幣収納庫15は、釣銭制御部21から紙幣を繰り出す指示を受け付けると、集積している紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、搬送部26に受け渡す。
【0037】
それぞれの紙幣収納庫15において第2搬送部26bと紙幣を受け渡す繰出集積口の近傍には、繰出集積部60が設けられている。この繰出集積部60は、入出金部24における繰出集積部40とほぼ同様に構成されており、図示しない収納庫繰出集積部駆動モータにより駆動される。
【0038】
かかる構成においてレジ釣銭システム1は、鑑別部28による紙幣の鑑別結果等をもとに釣銭制御部21が各部を制御して、紙幣の入金処理、出金処理及び回収処理等を行う。
【0039】
[1-3.搬送部の構成]
搬送部26には、多数の回転するローラや紙幣を案内するガイド等が適宜配置されており、紙幣の短手方向を進行方向として、主に前後方向に沿って搬送させるような直線状の搬送路が形成されている。また搬送部26は、入出金部24と鑑別部28の前側とを接続する第1搬送部26aと、鑑別部28を前後方向に挿通させるように紙幣を搬送し、鑑別部28の後側と紙幣収納庫15a、15b及び15cそれぞれとを接続する第2搬送部26bと、リジェクト回収庫30と鑑別部28の前側とを接続する第3搬送部26cとにより構成されている。
【0040】
搬送部26には、主に第2搬送部26bに、例えば3組の搬送ローラ62が前後方向に沿って設けられており、図示しない搬送部駆動モータにより駆動される。搬送機構としての各搬送ローラ62は、搬送部26の搬送路を挟んで上下方向に互いに対向するように上側及び下側にローラが配置されており、上側のローラと下側のローラとで紙幣を挟んで、入金方向に回転することにより紙幣を後方へ向けて搬送すると共に、出金方向に回転することにより紙幣を前方へ向けて搬送する。この搬送部26の搬送ローラ62と、入出金部24の繰出集積部40と、リジェクト回収庫30の集積ローラ50と、紙幣収納庫15の繰出集積部60とは、別々の駆動源によって駆動されることにより、互いに独立して駆動する。
【0041】
また搬送部26には、前方から順に、複数の切替部34(第1切替部34a、第2切替部34b及び第3切替部34c)が直列に配置されており、これらの間が比較的短い搬送短路によりそれぞれ接続されることで、全体として前後方向に沿った直線状の搬送経路が形成されている。各切替部34は、ブレード35(ブレード35a、35b及び35c)と呼ばれる部材(図中三角形で示す)及びその周囲に配置された複数のローラにより構成されている。ブレード35は、左右方向に長く、且つ左右方向から見て楔形に形成されており、回動することにより傾斜方向を変化させることで紙幣の搬送方向を切り替える。各ローラは、紙幣の搬送路を挟んで互いに対向するように配置されている(図示せず)。この切替部34は、釣銭制御部21の制御に従い、各紙幣の搬送先に応じてブレード35の傾斜方向を変化させると共に各ローラを所定の回転方向へ回転させることにより、紙幣の搬送方向を適宜切り替えて所望の搬送先へ搬送する。
【0042】
第1切替部34aは、第1搬送部26aにおける入出金部24と鑑別部28との間に配され先端が後方を向くブレード35aの傾斜方向を変化させて、紙幣の搬送経路を2通りに切り替える。すなわち第1切替部34aは、前側の入出金部24と後側の鑑別部28との間を結ぶ搬送経路を形成するか、又は前下側のリジェクト回収庫30と後側の鑑別部28とを結ぶ搬送経路を形成する。これにより第1切替部34aは、第2搬送部26b内を後方から前方へ向けて搬送された紙幣の搬送経路を、入出金部24又はリジェクト回収庫30の二方向に切り替える、いわゆる2ウェイブレードとなっている。
【0043】
第1切替部34aは、出金処理において第2搬送部26bを前方へ向かって搬送された出金紙幣が、鑑別部28において正常判定された場合、その搬送経路を入出金部24へ切り替える一方、異常判定された場合、その搬送経路をリジェクト回収庫30へ切り替える。また第1切替部34aは、回収処理において第2搬送部26bを前方へ向かって搬送された回収紙幣が、鑑別部28において正常判定された場合、その搬送経路をリジェクト回収庫30へ切り替える一方、異常判定された場合、その搬送経路を入出金部24へ切り替える。
【0044】
ブレード35aは、出金紙幣及び回収紙幣が鑑別部28で鑑別処理される必要があるため、入出金部24と鑑別部28との間であり、且つ、リジェクト回収庫30と鑑別部28との間に配置される。
【0045】
第2切替部34bは、第2搬送部26bの前後方向のほぼ中央部に配され、第1切替部34aとほぼ前後対称に形成されており、先端が前方を向くブレード35bの傾斜方向を変化させて紙幣の搬送経路を2通りに切り替える。すなわち第2切替部34bは、前側の搬送短路と前下側の紙幣収納庫15aとを結ぶ搬送経路を形成するか、又は前側の搬送短路と後側の搬送短路とを結ぶ搬送経路を形成するかを切り替える。これにより第2切替部34bは、第2搬送部26b内を前方から後方へ向けて搬送された紙幣の搬送経路を、後方の紙幣収納庫15b若しくは15cか、又は紙幣収納庫15aの二方向に切り替える、いわゆる2ウェイブレードとなっている。
【0046】
ブレード35bは、入金紙幣が鑑別部28で鑑別処理されてから振り分けられる位置、であり、且つ各紙幣収納庫15から出金された紙幣が必ず鑑別部28を通過できる位置に配置されている。
【0047】
第3切替部34cは、第2搬送部26bの後端よりも僅かに前側に配され、第2切替部34bと同様に先端が前方を向くブレード35cの傾斜方向を変化させて紙幣の搬送経路を2通りに切り替える。すなわち第3切替部34cは、前側の搬送短路と前下側の紙幣収納庫15bとを結ぶ搬送経路を形成するか、又は前側の搬送短路と後下側の紙幣収納庫15cとを結ぶ搬送経路を形成するかを切り替える。これにより第3切替部34cは、第2搬送部26b内を前方から後方へ向けて搬送された紙幣の搬送経路を、紙幣収納庫15b又は紙幣収納庫15cの二方向に切り替える、いわゆる2ウェイブレードとなっている。
【0048】
ブレード35cは、ブレード35bよりも後方であり、入金紙幣を紙幣収納庫15b又は15cへ振り分けられる位置に配置されている。
【0049】
このように搬送部26は、第2搬送部26bにより前後方向に沿った直線状の搬送経路を形成し、この搬送経路に沿って紙幣を主に前後方向へ搬送すると共に、搬送路の分岐部に配された第2切替部34b及び第3切替部34cによりその搬送経路を紙幣収納庫15a、15b又は15cに切り替える。また搬送部26は、第2搬送部26bを前方向へ搬送された紙幣の搬送経路を、第1切替部34aにより第1搬送部26a又は第3搬送部26cに切り替える。
【0050】
[1-4.出金処理]
次に、レジ釣銭システム1(図1)において使用者との間で出金取引が行われる場合について説明する。この場合、釣銭機3は、使用者に指定された金額に応じた金種及び枚数の紙幣を出金する出金処理を行う。この出金処理は、紙幣入出金部11内の紙幣を外部へ排出する排出処理となっている。
【0051】
具体的に釣銭機3の釣銭制御部21は、POSレジ2のレジ制御部5(図1)と連携することにより、表示操作部13(図1)を介して出金取引を開始する旨や出金額の操作入力を使用者から受け付けると、出金処理を開始する。このとき釣銭制御部21は、まず出金額に応じた紙幣の金種及び枚数を決定する。続いて紙幣入出金部11は、ブレード35aを切り替えて鑑別部28と入出金部24とを結ぶ搬送経路を形成すると共に、決定した金種及び枚数に応じて、各紙幣収納庫15の内部に収納されている紙幣を1枚ずつに分離しながら繰り出し、第2搬送部26bに順次引き渡す。
【0052】
続いて紙幣入出金部11は、紙幣を第2搬送部26bに沿って搬送し、鑑別部28を通過する際に鑑別させる。ここで釣銭制御部21は、鑑別部28から得られる鑑別結果により正常な紙幣であると判別した出金正常紙幣BLwcの搬送先を入出金部24に決定する一方、異常な紙幣であると判別したリジェクト紙幣である出金異常紙幣BLwrの搬送先をリジェクト庫31に決定する。
【0053】
[1-4-1.出金処理時における出金正常紙幣の搬送]
紙幣が出金正常紙幣BLwcであった場合、紙幣入出金部11は、出金正常紙幣BLwcを図3の矢印RT1のように第2搬送部26b及び第1搬送部26aに沿って入出金部24へ搬送して集積させる。その後、紙幣入出金部11は、入出金部24内の紙幣を紙幣入出金口14(図1)から釣銭として出金する。
【0054】
[1-4-2.出金処理時における後続紙幣不在時の出金異常紙幣の搬送]
一方、紙幣が出金異常紙幣BLwrであり、且つ該出金異常紙幣BLwrの後続における第2搬送部26bに紙幣が存在しない場合、紙幣入出金部11は、出金異常紙幣BLwrを、図4(A)の矢印RT2のように出金処理時における正常収納庫としての入出金部24の手前の第1搬送部26aへ一旦搬送する。このとき入出金部24は、出金処理時における収納庫集積機構としての繰出集積ローラ42により出金異常紙幣BLwrを挟み込んで保持することにより、入出金部24の紙幣収容空間39に出金異常紙幣BLwrが完全には収容されていない状態としている。続いて紙幣入出金部11は、搬送部26のセンサからの検出結果に基づき、出金異常紙幣BLwrを図4(B)の矢印RT3のように第1搬送部26aから第2搬送部26bまで、ブレード35aが回動する際に物理的に接触しない位置まで搬送する。続いて紙幣入出金部11は、ブレード35aを切り替えて鑑別部28とリジェクト回収庫30とを結ぶ搬送経路を形成し、出金異常紙幣BLwrを図4(C)の矢印RT4のように第2搬送部26bから出金処理時における異常収納庫としてのリジェクト回収庫30におけるリジェクト庫31へ搬送して収納させる。
【0055】
[1-4-3.出金処理時における後続紙幣存在時の出金異常紙幣の搬送]
また一方、紙幣が出金異常紙幣BLwrであり、且つ該出金異常紙幣BLwrの後続における第2搬送部26bに後続紙幣BLsが存在する場合、後続紙幣BLsが存在しない場合とは異なり、出金異常紙幣BLwrが後続紙幣BLsと接触してしまうおそれがあるため、後続紙幣BLsを一旦第2搬送部26bから退避させる必要がある。この後続紙幣BLsは紙幣収納庫15cから繰り出されたものとする。このとき紙幣入出金部11は、出金異常紙幣BLwrを、図5(A)のように入出金部24の手前の第1搬送部26aへ一旦搬送し、入出金部24の繰出集積ローラ42により出金異常紙幣BLwrを挟み込んで保持した状態とする。続いて紙幣入出金部11は、全ての後続紙幣BLsを図5(B)に示すように第2搬送部26bに沿って紙幣収納庫15cへ戻すように搬送して収納させる。このとき紙幣入出金部11は、後続紙幣BLsと共に、出金異常紙幣BLwrを図5(B)の矢印RT5のように第1搬送部26a及び第2搬送部26bに沿って紙幣収納庫15cへ向けて搬送し、第2搬送部26bにおける紙幣収納庫15cの近傍で停止させる。続いて紙幣入出金部11は、後述するように出金異常紙幣BLwrのみを第2搬送部26bからリジェクト庫31へ搬送して収納させる。
【0056】
[1-4-3-1.振り分け可能な紙幣間隔がある場合の後続紙幣存在時の出金異常紙幣の搬送]
出金異常紙幣BLwrをリジェクト庫31へ搬送する際に、出金異常紙幣BLwrと後続紙幣BLsとの間の紙幣間隔It(図5(A))が、ブレード35aで振り分け可能な紙幣間隔であった場合、紙幣入出金部11は、図5(B)の状態からブレード35aを切り替えて鑑別部28とリジェクト庫31とを結ぶ搬送経路を形成し、出金異常紙幣BLwrを図5(C)のように第2搬送部26bからリジェクト庫31へ搬送して収納させる。このとき紙幣入出金部11は、搬送部26の搬送ローラ62と共に紙幣収納庫15cの繰出集積部60を駆動させることにより、出金異常紙幣BLwrと共に、紙幣収納庫15cの内部に収納されている後続紙幣BLsを1枚ずつに分離しながら繰り出し、第2搬送部26bに沿って入出金部24へ向けて搬送する。紙幣入出金部11は、出金異常紙幣BLwrがブレード35aを通過すると、ブレード35aを切り替えて鑑別部28と入出金部24とを結ぶ搬送経路を形成し、後続紙幣BLsが鑑別部28を通過する際に鑑別させ、鑑別部28での鑑別結果に応じて搬送先を入出金部24又はリジェクト庫31に決定する。
【0057】
[1-4-3-2.振り分け可能な紙幣間隔がない場合の後続紙幣存在時の出金異常紙幣の搬送]
一方、出金異常紙幣BLwrをリジェクト庫31へ搬送する際に、紙幣収納庫15cの繰出集積部60の分離不良や、第2搬送部26bにおける搬送不良等により、出金異常紙幣BLwrと後続紙幣BLsとの間の紙幣間隔It(図5(A))が、ブレード35aで振り分け可能な紙幣間隔でなかった場合、紙幣入出金部11は、図5(B)の状態からブレード35aを切り替えて鑑別部28とリジェクト庫31とを結ぶ搬送経路を形成し、出金異常紙幣BLwrを図5(D)のように第2搬送部26bからリジェクト庫31へ搬送して収納させる。このとき紙幣入出金部11は、搬送部26の搬送ローラ62と共には紙幣収納庫15aの繰出集積部60を駆動させないことにより、紙幣収納庫15aの内部に収納されている後続紙幣BLsを繰り出さないようにし紙幣収納庫15cに収納されたままにする。これにより出金異常紙幣BLwrと後続紙幣BLsとの間の紙幣間隔は、ブレード35aで振り分け可能な紙幣間隔となる。紙幣入出金部11は、出金異常紙幣BLwrがブレード35aを通過すると、ブレード35aを切り替えて鑑別部28と入出金部24とを結ぶ搬送経路を形成し、紙幣収納庫15cの内部に収納されている後続紙幣BLsを1枚ずつに分離しながら再度繰り出し、鑑別部28を通過する際に鑑別させ、鑑別部28での鑑別結果に応じて搬送先を入出金部24又はリジェクト庫31に決定する。
【0058】
このように紙幣入出金部11は、出金処理時において鑑別部28で異常と判別された出金異常紙幣BLwrを第1搬送部26aへそのまま一旦搬送して繰出集積ローラ42により挟み込んで保持した状態で停止させ、第2搬送部26bにおける少なくともブレード35aが切り替えられる程度にブレード35aよりも後方までスイッチバック動作で移動させてからブレード35aを切り替えて鑑別部28とリジェクト庫31とを結ぶ搬送経路を形成し、出金異常紙幣BLwrをリジェクト庫31へ搬送して収納させるようにした。
【0059】
[1-5.回収処理]
次に、レジ釣銭システム1(図1)において紙幣入出金部11内の紙幣を外部へ持ち出す(すなわち回収する)回収処理が行われる場合について説明する。
【0060】
具体的に釣銭機3の釣銭制御部21は、POSレジ2のレジ制御部5(図1)と連携することにより、表示操作部13(図1)を介して回収する紙幣の枚数等の操作入力を使用者から受け付けると、回収処理を開始する。続いて紙幣入出金部11は、ブレード35aを切り替えて鑑別部28とリジェクト回収庫30とを結ぶ搬送経路を形成すると共に、決定した金種及び枚数に応じて、各紙幣収納庫15の内部に収納されている紙幣を1枚ずつに分離しながら繰り出し、下流の第2搬送部26bに順次引き渡す。
【0061】
続いて紙幣入出金部11は、紙幣を第2搬送部26bに沿って搬送し、鑑別部28を通過する際に鑑別させる。ここで釣銭制御部21は、鑑別部28から得られる鑑別結果により正常な紙幣であると判別した回収正常紙幣BLrcの搬送先を回収庫32に決定する一方、異常な紙幣であると判別したリジェクト紙幣である回収異常紙幣BLrrの搬送先を入出金部24に決定する。
【0062】
[1-5-1.回収処理時における回収正常紙幣の搬送]
紙幣が回収正常紙幣BLrcであった場合、紙幣入出金部11は、回収正常紙幣BLrcを図6の矢印RT11のように第2搬送部26b及び第3搬送部26cに沿って回収庫32へ搬送して集積させる。
【0063】
[1-5-2.回収処理時における後続紙幣不在時の回収異常紙幣の搬送]
一方、紙幣が回収異常紙幣BLrrであり、且つ該回収異常紙幣BLrrの後続における第2搬送部26bに紙幣が存在しない場合、紙幣入出金部11は、回収異常紙幣BLrrを、図7(A)の矢印RT12のように回収処理における正常収納庫としてのリジェクト回収庫30の手前の第3搬送部26cへ一旦搬送する。このときリジェクト回収庫30は、回収処理時における収納庫集積機構としての集積ローラ50により回収異常紙幣BLrrを挟み込んで保持することにより、回収庫32の紙幣収容空間に回収異常紙幣BLrrが完全には収容されていない状態としている。続いて紙幣入出金部11は、回収異常紙幣BLrrを図7(B)の矢印RT13のように第3搬送部26cから第2搬送部26bまで、ブレード35aが回動する際に物理的に接触しない位置まで搬送する。続いて紙幣入出金部11は、ブレード35aを切り替えて鑑別部28と入出金部24とを結ぶ搬送経路を形成し、回収異常紙幣BLrrを図7(C)の矢印RT14のように第2搬送部26bから回収処理時における異常収納庫としての入出金部24へ搬送して収納させる。
【0064】
[1-5-3.回収処理時における後続紙幣存在時の回収異常紙幣の搬送]
また一方、紙幣が回収異常紙幣BLrrであり、且つ該回収異常紙幣BLrrの後続における第2搬送部26bに後続紙幣BLsが存在する場合、後続紙幣BLsが存在しない場合とは異なり、回収異常紙幣BLrrが後続紙幣BLsと接触してしまうおそれがあるため、後続紙幣BLsを一旦第2搬送部26bから退避させる必要がある。この後続紙幣BLsは紙幣収納庫15cから繰り出されたものとする。このとき紙幣入出金部11は、回収異常紙幣BLrrを、図8(A)のようにリジェクト回収庫30の手前の第3搬送部26cへ一旦搬送し、リジェクト回収庫30の集積ローラ50により回収異常紙幣BLrrを挟み込んで保持した状態とする。続いて紙幣入出金部11は、全ての後続紙幣BLsを図8(B)に示すように第2搬送部26bに沿って紙幣収納庫15cへ戻すように搬送して収納させる。このとき紙幣入出金部11は、後続紙幣BLsと共に、回収異常紙幣BLrrを図8(B)の矢印RT15のように第3搬送部26c及び第2搬送部26bに沿って紙幣収納庫15cへ向けて搬送し、第2搬送部26bにおける紙幣収納庫15cの近傍で停止させる。続いて紙幣入出金部11は、後述するように回収異常紙幣BLrrのみを第2搬送部26bから入出金部24へ搬送して収納させる。
【0065】
[1-5-3-1.振り分け可能な紙幣間隔がある場合の後続紙幣存在時の回収異常紙幣の搬送]
回収異常紙幣BLrrを入出金部24へ搬送する際に、回収異常紙幣BLrrと後続紙幣BLsとの間の紙幣間隔が、ブレード35aで振り分け可能な紙幣間隔であった場合、紙幣入出金部11は、図8(B)の状態からブレード35aを切り替えて鑑別部28と入出金部24とを結ぶ搬送経路を形成し、回収異常紙幣BLrrを図8(C)のように第2搬送部26bから入出金部24へ搬送して収納させる。このとき紙幣入出金部11は、搬送部26の搬送ローラ62と共に紙幣収納庫15cの繰出集積部60を駆動させることにより、回収異常紙幣BLrrと共に、紙幣収納庫15cの内部に収納されている後続紙幣BLsを1枚ずつに分離しながら繰り出し、第2搬送部26bに沿って回収庫32へ向けて搬送する。紙幣入出金部11は、回収異常紙幣BLrrがブレード35aを通過すると、ブレード35aを切り替えて鑑別部28と回収庫32とを結ぶ搬送経路を形成し、後続紙幣BLsが鑑別部28を通過する際に鑑別させ、鑑別部28での鑑別結果に応じて搬送先を回収庫32又は入出金部24に決定する。
【0066】
[1-5-3-2.振り分け可能な紙幣間隔がない場合の後続紙幣存在時の回収異常紙幣の搬送]
一方、回収異常紙幣BLrrを入出金部24へ搬送する際に、回収異常紙幣BLrrと後続紙幣BLsとの間の紙幣間隔が、ブレード35aで振り分け可能な紙幣間隔でなかった場合、紙幣入出金部11は、図8(B)の状態からブレード35aを切り替えて鑑別部28と入出金部24とを結ぶ搬送経路を形成し、回収異常紙幣BLrrを図8(D)のように第2搬送部26bから入出金部24へ搬送して収納させる。このとき紙幣入出金部11は、搬送部26の搬送ローラ62を駆動させるものの紙幣収納庫15aの繰出集積部60を駆動させないことにより、紙幣収納庫15cの内部に収納されている後続紙幣BLsを繰り出さないようにし紙幣収納庫15cに収納されたままにする。紙幣入出金部11は、回収異常紙幣BLrrがブレード35aを通過すると、ブレード35aを切り替えて鑑別部28と回収庫32とを結ぶ搬送経路を形成し、紙幣収納庫15cの内部に収納されている後続紙幣BLsを1枚ずつに分離しながら再度繰り出し、鑑別部28を通過する際に鑑別させ、鑑別部28での鑑別結果に応じて搬送先を回収庫32又は入出金部24に決定する。
【0067】
このように紙幣入出金部11は、回収処理時において鑑別部28で異常と判別された回収異常紙幣BLrrを第3搬送部26cへそのまま一旦搬送して集積ローラ50により挟み込んで保持した状態で停止させ、第2搬送部26bにおける少なくともブレード35aが切り替えられる程度にブレード35aよりも後方までスイッチバック動作で移動させてからブレード35aを切り替えて鑑別部28と入出金部24とを結ぶ搬送経路を形成し、回収異常紙幣BLrrを入出金部24へ搬送して収納させるようにした。
【0068】
[1-6.効果等]
以上の構成において釣銭機3の紙幣入出金部11は、紙幣入出金部1011(図14)と比較して、入金紙幣鑑別部1028i及び出金紙幣鑑別部1028oを入金処理、出金処理及び回収処理において用いられる1つの鑑別部28に統合するようにした。これにより釣銭機3は、紙幣入出金部1011(図14)と比較して、構成を簡素化できると共に低廉化させることができる。
【0069】
また釣銭機3は、出金紙幣鑑別部1028oを入金紙幣鑑別部1028iに統合させることにより、紙幣入出金部1011(図14)と比較してブレード35bの位置を前面側へ移動させることができる。これにより釣銭機3は、ブレード35bの後方に配置された紙幣収納庫15b及び15cを前面側へ移動でき、図9に紙幣入出金部1011と紙幣入出金部11との装置長さの比較を示すように、紙幣入出金部1011(図14)と比較して紙幣入出金部11の装置長さL1を装置長さLよりも短くできる。
【0070】
また釣銭機3は、鑑別部28を、鑑別部28の処理時間及び第1切替部34aの切替時間の分の搬送路の距離よりも短い間隔となる程度に2ウェイブレードの第1切替部34aに近接させて配置させることにより、搬送路の長さを短くし釣銭機3の構成をシンプルにしている。
【0071】
このため釣銭機3は、鑑別部28を通過した紙幣が第1切替部34aに到達する前に該第1切替部34aを切り替えることができないという第1切替部34aの制約により、出金処理において第2搬送部26bから搬送された紙幣を入出金部24へ搬送できる一方、鑑別結果に応じて紙幣をリジェクト回収庫30へ振り分けるように第1切替部34aのブレード35aを切り替える動作が間に合わないと共に、回収処理において第2搬送部26bから搬送された紙幣を回収庫32へ搬送できる一方、鑑別結果に応じて紙幣を入出金部24へ振り分けるように第1切替部34aのブレード35aを切り替える動作が間に合わない。
【0072】
これに対し釣銭機3は、出金処理において、鑑別部28と入出金部24とを結ぶ搬送経路がブレード35aにより形成されている状態で、リジェクト庫31に収納すべき異常紙幣を、鑑別部28から入出金部24へ向けて搬送して、入出金部24の内部へ完全には収容させずに繰出集積ローラ42で挟んだ状態にして第1搬送部26a上で停止させ、第1切替部34aのブレード35aが回動可能な第2搬送部26b側まで戻すように一旦搬送し、鑑別部28とリジェクト庫31とを結ぶ搬送経路にブレード35aを切り替えた後に、第2搬送部26bからリジェクト庫31へ搬送して収納するようにした。
【0073】
また釣銭機3は、回収処理において、鑑別部28とリジェクト回収庫30とを結ぶ搬送経路がブレード35aにより形成されている状態で、入出金部24に収納すべき異常紙幣を、鑑別部28からリジェクト回収庫30へ向けて搬送して、リジェクト回収庫30の内部へ完全には収容させずに、集積ローラ50で挟んだ状態にして第3搬送部26c上で停止させ、第1切替部34aのブレード35aが回動可能な第2搬送部26b側まで戻すように一旦搬送し、鑑別部28と入出金部24とを結ぶ搬送経路にブレード35aを切り替えた後に、第2搬送部26bから入出金部24へ搬送して収容するようにした。
【0074】
これにより釣銭機3は、搬送部26の構成をシンプルにして搬送路長を短くしつつ、出金処理を行う場合においてリジェクト庫31に収納すべき異常紙幣を該リジェクト庫31へ搬送して収納することができると共に、回収処理を行う場合において入出金部24に収納すべき異常紙幣を該入出金部24へ搬送して収納することができる。
【0075】
ここで、出金処理及び回収処理において紙幣収納庫15から繰り出される紙幣は、入金処理時に鑑別部28において再利用可能と鑑別された良好な状態の紙幣である。このため釣銭機3では、出金処理時及び回収処理時に異常紙幣が発生する可能性は極めて低い。このため釣銭機3は、極めて低い可能性で発生する出金処理時の異常紙幣を、本来の搬送先であるリジェクト庫31ではない入出金部24へ向けて一旦搬送してからスイッチバックしてリジェクト庫31へ搬送しても、運用効率等、実際の運用上で問題となる可能性は極めて低い。回収処理時についても同様である。
【0076】
このように釣銭機3の紙幣入出金部11は、鑑別部28の前端から第1切替部34aまでの搬送経路を比較的短く抑えることができ、従来の紙幣入出金部1011と比較して、装置構成の簡略化や小型化に寄与し、特に装置全体の前後長である装置長さを短縮することができる。これは、顧客と所望の取引を行う現金自動預払機(ATM:Automatic Teller Machine)等よりも通常は小型であり小型化の要求が高い釣銭機3において特に有用である。
【0077】
また釣銭機3は、異常紙幣の後続に後続紙幣BLsが存在する場合、異常紙幣を紙幣収納庫15へ向けて戻すと共に、全ての後続紙幣BLsを紙幣収納庫15の内部へ戻すようにした。このため釣銭機3は、後続紙幣BLsを紙幣収納庫15から再び繰り出す際に搬送ローラ62及び繰出集積部60を適宜制御することにより、異常紙幣と後続紙幣BLsとの間の紙幣間隔を十分に空けることができ、ブレード35aで振り分け可能な紙幣間隔とすることができる。
【0078】
ここで、図14と対応する部材に同一符号を付した図15に示す紙幣入出金部1111は、紙幣入出金部1011(図14)の入金紙幣鑑別部1028i及び出金紙幣鑑別部1028oを入金処理、出金処理及び回収処理において用いられる1つの鑑別部28に統合している。また紙幣入出金部1111は、3つの紙幣収納庫15a、15b及び15cを有している。この紙幣入出金部1111は、鑑別部28において鑑別に要する処理時間と、第1切替部34aのブレード35aを切り替えるために要する切替時間との分だけ鑑別部28を第1切替部34aから離隔させることにより、第1切替部34aにおける搬送経路を切り替えるまでの時間的な余裕を確保している。このため紙幣入出金部1111は、搬送路が長くなってしまい、紙幣入出金部1011(図14)と比較して装置長さL2を装置長さLよりも短くすることができない。
【0079】
これに対し図15と対応する部材に同一符号を付した図16に示す紙幣入出金部1211は、紙幣入出金部1111(図15)と比較して、紙幣収納庫15aを削除して2つの紙幣収納庫15b及び15cのみを有する構成としている。この紙幣入出金部1211は、紙幣収納庫15aがなくなった分、紙幣入出金部1111(図15)と比較して、装置長さL3を装置長さL2よりも短くすることができる。しかしながら紙幣入出金部1211は、紙幣収納庫15の個数が減少した分、紙幣入出金部1211全体で収納可能な紙幣の枚数が減少してしまう。このため紙幣入出金部1211は、紙幣入出金部1111(図15)と比較して、紙幣収納庫15に紙幣を補充する回数や、紙幣収納庫15から紙幣を回収する回数が増加してしまい、結果的に運用コストが上がってしまう。
【0080】
またこれに対し、図15と対応する部材に同一符号を付した図17に示す紙幣入出金部1311のように、紙幣収納庫15の個数を3つに保ったまま、1つの紙幣収納庫15aを第3搬送部26cに接続する位置に配置させることにより、紙幣入出金部1111(図15)と比較して、装置長さL4を装置長さL2よりも短くすることも考えられる。しかしながら紙幣入出金部1311は、紙幣収納庫15aから入出金部24、リジェクト庫31又は回収庫32の何れかに紙幣を移動させる場合、紙幣の状態を判別する必要があるため、紙幣に鑑別部28を通過させる必要がある。この場合、紙幣入出金部1311は、出金処理時及び回収処理時において、毎回、紙幣収納庫15aから鑑別部28まで紙幣を1枚ずつ一旦搬送させた後に、スイッチバックして、入出金部24、リジェクト庫31又は回収庫32の何れかに紙幣を搬送する必要があるため、取引時間が長くなってしまう。また紙幣入出金部1311は、第3搬送部26c内を上方から下方へ向けて搬送された紙幣の搬送経路をリジェクト回収庫30又は紙幣収納庫15aに切り替える2ウェイブレードであるブレード1035dからなる第4切替部1034dが必要になるため、構成が複雑化してしまうと共に、コスト高になってしまう。
【0081】
これに対し紙幣入出金部11は、出金処理時において出金異常紙幣BLwrを第1搬送部26aにおける入出金部24と第1切替部34aとの間で停止させ、第2搬送部26bまで搬送させた後、第1切替部34aを切り替えてリジェクト庫31に搬送するようにした。また紙幣入出金部11は、回収処理時において回収異常紙幣BLrrを第3搬送部26cにおけるリジェクト回収庫30と第1切替部34aとの間で停止させ、第2搬送部26bまで搬送させた後、第1切替部34aを切り替えて入出金部24に搬送するようにした。これにより釣銭機3は、収納可能な紙幣の枚数の確保、取引時間長時間化の抑止、構成の複雑化の抑止を達成しつつ、搬送路を短くし装置長さを短くできる。また上述したように、異常紙幣が発生する可能性は極めて低い。このため釣銭機3は、紙幣入出金部1311(図17)のように、出金処理時及び回収処理時において毎回スイッチバック動作をすることなく、稀に異常紙幣が発生した場合にのみスイッチバック動作を行うことにより、運用効率を保つことができる。
【0082】
また紙幣入出金部11は、出金処理時における出金異常紙幣BLwrを搬送する際、繰出集積ローラ42により出金異常紙幣BLwrを挟み込んで保持することにより、入出金部24の紙幣収容空間39に出金異常紙幣BLwrが完全には収容されていない状態にするようにした。
【0083】
このため紙幣入出金部11は、出金異常紙幣BLwrよりも先に出金正常紙幣BLwcが既に入出金部24の紙幣収容空間39に集積されていた場合、図4(B)に示したように該出金異常紙幣BLwrを第2搬送部26bへ戻す際に、ピックアップローラ41は回転させずに繰出集積ローラ42のみを繰出方向へ回転させることにより、該出金異常紙幣BLwrにつられて出金正常紙幣BLwcも入出金部24から繰り出されてしまうことを防止できる。
【0084】
ここで、入出金部24と鑑別部28との間隔を紙幣入出金部1111(図15)のように紙幣入出金部11よりも広くし、出金処理時において鑑別部28により異常と判定された出金異常紙幣BLwrを、第1搬送部26aにおいて繰出集積ローラ42に挟まれない位置、すなわち入出金部24よりも後方で停止させることにより、出金異常紙幣BLwrを紙幣入出金口14から悪意を持って抜き取りにくくすることも考えられる。
【0085】
しかしながらその場合、入出金部24と鑑別部28との間隔を紙幣入出金部11よりも広くする必要があるため、装置長さが紙幣入出金部11よりも長くなってしまい、紙幣入出金部11を小型化しにくくなくなってしまう。
【0086】
これに対し紙幣入出金部11は、出金異常紙幣BLwrを繰出集積ローラ42まで到達させるものの、入出金部24の紙幣収容空間39に出金異常紙幣BLwrが完全には収容されていない状態にするようにした。このため紙幣入出金部11は、紙幣入出金部11を小型化しつつ、繰出集積ローラ42により出金異常紙幣BLwrを強く挟み込んで保持すると共に、該出金異常紙幣BLwrの前端と紙幣入出金口14との間隔を可能な限り空けることにより、紙幣入出金口14から強引に紙幣を抜き出されにくくできる。
【0087】
以上の構成によれば釣銭機3は、操作者との間で紙幣を授受する入出金部24と、入出金部24と接続され、入出金部24から取り込んだ紙幣を内部に搬送すると共に、内部から入出金部24へ紙幣を搬送する第1搬送部26aと、第1搬送部26aと接続され、紙幣を鑑別する鑑別部28を含む第2搬送部26bと、第2搬送部26bと接続され、正常な紙幣を収納する紙幣収納庫15と、第1搬送部26aにおける入出金部24と鑑別部28との間に設けられた回収庫分岐部としての第1切替部34aを介して接続され、紙幣収納庫15から繰り出された紙幣を収納するリジェクト回収庫30と、紙幣収納庫15から繰り出された紙幣において、鑑別部28により異常と鑑別された異常紙幣の発生を検知すると、入出金部24又はリジェクト回収庫30の何れか一方と第1切替部34aとの間で異常紙幣を停止させ、該異常紙幣を第2搬送部26bまで搬送させた後、第1切替部34aを切り替えて該異常紙幣を入出金部24又はリジェクト回収庫30の何れか他方に搬送させるよう制御する釣銭制御部21とを設けるようにした。
【0088】
これにより釣銭機3は、出金処理及び回収処理において正常紙幣及び異常紙幣それぞれを搬送すべき搬送先へ搬送しつつ、搬送路を短くし装置長さを短くできる。
【0089】
[2.第2の実施の形態]
[2-1.レジ釣銭システム、釣銭機及び紙幣入出金部の構成]
第2の実施の形態によるレジ釣銭システム101(図1)は、第1の実施の形態によるレジ釣銭システム1と比較して、釣銭機3の紙幣入出金部11(図2)に代わる釣銭機103の紙幣入出金部111を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第2の実施の形態による紙幣入出金部111は、第1の実施の形態による紙幣入出金部11と比較して、釣銭制御部21に代わる釣銭制御部121を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金部111は、出金処理時における後続紙幣存在時の出金異常紙幣の搬送と、回収処理時における後続紙幣存在時の回収異常紙幣の搬送とが紙幣入出金部11とは異なっている。
【0090】
上述したように、搬送部26の搬送ローラ62と、入出金部24の繰出集積部40と、リジェクト回収庫30の集積ローラ50と、紙幣収納庫15の繰出集積部60とは、別々の駆動源によって駆動されることにより、互いに独立して駆動する。また入出金部24の繰出集積部40の紙幣保持力は、搬送部26の搬送ローラ62の紙幣保持力よりも強くなっている。紙幣保持力とは、紙幣が搬送ガイドの摩擦力等の負荷要因があっても確実に搬送できるための力のことである。さらにリジェクト回収庫30の集積ローラ50の紙幣保持力は、搬送部26の搬送ローラ62の紙幣保持力よりも強くなっている。
【0091】
[2-2.出金処理]
[2-2-1.出金処理時における出金正常紙幣の搬送]
紙幣が出金正常紙幣BLwcであった場合、紙幣入出金部111は、紙幣入出金部11(図3)と同様に、出金正常紙幣BLwcを図3の矢印RT1のように第2搬送部26b及び第1搬送部26aに沿って入出金部24へ搬送して集積させる。その後、紙幣入出金部11は、入出金部24内の紙幣を紙幣入出金口14(図1)から釣銭として出金する。
【0092】
[2-2-2.出金処理時における後続紙幣不在時の出金異常紙幣の搬送]
一方、紙幣が出金異常紙幣BLwrであり、且つ該出金異常紙幣BLwrの後続における第2搬送部26bに紙幣が存在しない場合、紙幣入出金部111は、紙幣入出金部11(図4)と同様に出金異常紙幣BLwrをリジェクト庫31へ搬送して収納させる。
【0093】
[2-2-3.出金処理時における後続紙幣存在時の出金異常紙幣の搬送]
また一方、紙幣が出金異常紙幣BLwrであり、且つ該出金異常紙幣BLwrの後続における第2搬送部26bに後続紙幣BLsが存在する場合、後続紙幣BLsが存在しない場合とは異なり、出金異常紙幣BLwrが後続紙幣BLsと接触してしまうおそれがあるため、後続紙幣BLsを一旦第2搬送部26bから退避させる必要がある。この後続紙幣BLsは紙幣収納庫15cから繰り出されたものとする。このとき紙幣入出金部111は、出金異常紙幣BLwrを、図10(A)のように入出金部24の手前の第1搬送部26aへ一旦搬送し、入出金部24の繰出集積ローラ42により出金異常紙幣BLwrを挟み込んで保持した状態とする。このとき出金異常紙幣BLwrの後端は搬送部26の搬送ローラ62よりも前側に位置しており、搬送ローラ62に挟まれない状態となっている。続いて紙幣入出金部111は、全ての後続紙幣BLsを図10(B)の矢印RT21のように第2搬送部26bに沿って紙幣収納庫15cへ戻すように搬送して収納させる。このとき紙幣入出金部111は、入出金部24の繰出集積部40を駆動させないことにより、入出金部24の繰出集積部40の繰出集積ローラ42に保持されている出金異常紙幣BLwrを第2搬送部26bへ繰り出さないようにし第1搬送部26a上に停止させたままにする。これにより出金異常紙幣BLwrと後続紙幣BLsとの間の紙幣間隔は、ブレード35aで振り分け可能な紙幣間隔となる。上述したように、入出金部24の繰出集積部40と搬送部26の搬送ローラ62とは別々の駆動源により駆動されるため、紙幣入出金部111は、出金異常紙幣BLwrを入出金部24の繰出集積部40に保持された状態で留め、第2搬送部26bへ向かって移動しないようにできる。また上述したように入出金部24の繰出集積部40の紙幣保持力は、搬送部26の搬送ローラ62の紙幣保持力よりも強くなっている。このため出金異常紙幣BLwrは、入出金部24の繰出集積部40と搬送部26の搬送ローラ62との両方にまたがっていた場合でも、搬送ローラ62側の駆動に連れられて入金方向(すなわち第2搬送部26b)へ移動することはない。
【0094】
紙幣入出金部111は、全ての後続紙幣BLsが紙幣収納庫15cへ収納されると、出金異常紙幣BLwrを図10(C)の矢印RT22のように第1搬送部26aから第2搬送部26bまで、ブレード35aが回動する際に物理的に接触しない位置まで搬送する。続いて紙幣入出金部111は、図10(C)の状態からブレード35aを切り替えて鑑別部28とリジェクト庫31とを結ぶ搬送経路を形成し、後述するように出金異常紙幣BLwrのみを第2搬送部26bからリジェクト庫31へ搬送して収納させる。
【0095】
[2-2-3-1.後続紙幣を紙幣収納庫に残したままの状態で出金異常紙幣を搬送する場合]
後続紙幣BLsを紙幣収納庫15cに残したままの状態で出金異常紙幣BLwrを搬送する場合、紙幣入出金部111は、出金異常紙幣BLwrを図11(A)のように第2搬送部26bからリジェクト庫31へ搬送して収納させる。このとき紙幣入出金部111は、搬送部26の搬送ローラ62を駆動させるものの紙幣収納庫15cの繰出集積部60を駆動させないことにより、紙幣収納庫15cの内部に収納されている後続紙幣BLsを繰り出さないようにし紙幣収納庫15cに収納されたままにする。紙幣入出金部111は、出金異常紙幣BLwrがブレード35aを通過すると、ブレード35aを切り替えて鑑別部28と入出金部24とを結ぶ搬送経路を形成し、紙幣収納庫15cの内部に収納されている後続紙幣BLsを1枚ずつに分離しながら再度繰り出し、鑑別部28を通過する際に鑑別させ、鑑別部28での鑑別結果に応じて搬送先を入出金部24又はリジェクト庫31に決定する。
【0096】
[2-2-3-2.後続紙幣を紙幣収納庫から繰り出しつつ出金異常紙幣を搬送する場合]
一方、後続紙幣BLsを紙幣収納庫15cから繰り出しつつ出金異常紙幣BLwrを搬送する場合、紙幣入出金部111は、出金異常紙幣BLwrを図11(B)のように第2搬送部26bからリジェクト庫31へ搬送して収納させる。このとき紙幣入出金部111は、搬送部26の搬送ローラ62と共に紙幣収納庫15cの繰出集積部60を駆動させることにより、出金異常紙幣BLwrと共に、紙幣収納庫15cの内部に収納されている後続紙幣BLsを1枚ずつに分離しながら繰り出し、第2搬送部26bに沿って入出金部24へ向けて搬送する。紙幣入出金部111は、出金異常紙幣BLwrがブレード35aを通過すると、ブレード35aを切り替えて鑑別部28と入出金部24とを結ぶ搬送経路を形成し、後続紙幣BLsが鑑別部28を通過する際に鑑別させ、鑑別部28での鑑別結果に応じて搬送先を入出金部24又はリジェクト庫31に決定する。
【0097】
[2-3.回収処理]
[2-3-1.回収処理時における回収正常紙幣の搬送]
紙幣が回収正常紙幣BLrcであった場合、紙幣入出金部111は、紙幣入出金部11(図6)と同様に、回収正常紙幣BLrcを図6の矢印RT11のように第2搬送部26b及び第3搬送部26cに沿って回収庫32へ搬送して集積させる。
【0098】
[2-3-2.回収処理時における後続紙幣不在時の回収異常紙幣の搬送]
一方、紙幣が回収異常紙幣BLrrであり、且つ該回収異常紙幣BLrrの後続における第2搬送部26bに紙幣が存在しない場合、紙幣入出金部111は、紙幣入出金部11(図7)と同様に回収異常紙幣BLrrを入出金部24へ搬送して収納させる。
【0099】
[2-3-3.回収処理時における後続紙幣存在時の回収異常紙幣の搬送]
また一方、紙幣が回収異常紙幣BLrrであり、且つ該回収異常紙幣BLrrの後続における第2搬送部26bに後続紙幣BLsが存在する場合、後続紙幣BLsが存在しない場合とは異なり、後続紙幣BLsがブレード35aに接触してしまうおそれがあるため、後続紙幣BLsを一旦第2搬送部26bから退避させる必要がある。この後続紙幣BLsは紙幣収納庫15cから繰り出されたものとする。このとき紙幣入出金部111は、回収異常紙幣BLrrを、図12(A)のようにリジェクト回収庫30の手前の第3搬送部26cへ一旦搬送し、リジェクト回収庫30の集積ローラ50により回収異常紙幣BLrrを挟み込んで保持した状態とする。続いて紙幣入出金部111は、後続紙幣BLsを図12(B)の矢印RT23のように第2搬送部26bに沿って紙幣収納庫15cへ戻すように搬送して収納させる。このとき紙幣入出金部111は、リジェクト回収庫30の集積ローラ50を駆動させないことにより、リジェクト回収庫30の集積ローラ50に保持されている回収異常紙幣BLrrを第2搬送部26bへ繰り出さないようにし第3搬送部26c上に停止させたままにする。これにより回収異常紙幣BLrrと後続紙幣BLsとの間の紙幣間隔は、ブレード35aで振り分け可能な紙幣間隔となる。上述したように、リジェクト回収庫30の集積ローラ50と搬送部26の搬送ローラ62とは、別々の駆動源により駆動されるため、紙幣入出金部111は、回収異常紙幣BLrrをリジェクト回収庫30の集積ローラ50に保持された状態で留め、第2搬送部26bへ向かって移動しないようにできる。また上述したようにリジェクト回収庫30の集積ローラ50の紙幣保持力は、搬送部26の搬送ローラ62の紙幣保持力よりも強くなっている。このため回収異常紙幣BLrrは、リジェクト回収庫30の集積ローラ50と搬送部26の搬送ローラ62との両方にまたがっていた場合でも、搬送ローラ62側の駆動に連れられて、第2搬送部26bへ移動することはない。
【0100】
紙幣入出金部111は、全ての後続紙幣BLsが紙幣収納庫15cへ収納されると、回収異常紙幣BLrrを図12(C)の矢印RT24のように第3搬送部26cから第2搬送部26bまで、ブレード35aが回動する際に物理的に接触しない位置まで搬送する。続いて紙幣入出金部111は、図12(C)の状態からブレード35aを切り替えて鑑別部28と入出金部24とを結ぶ搬送経路を形成し、後述するように回収異常紙幣BLrrのみを第2搬送部26bから入出金部24へ搬送して収納させる。
【0101】
[2-3-3-1.後続紙幣を紙幣収納庫に残したままの状態で回収異常紙幣を搬送する場合]
後続紙幣BLsを紙幣収納庫15cに残したままの状態で回収異常紙幣BLrrを搬送する場合、紙幣入出金部111は、回収異常紙幣BLrrを図13(A)のように第2搬送部26bから入出金部24へ搬送して収納させる。このとき紙幣入出金部111は、搬送部26の搬送ローラ62を駆動させるものの紙幣収納庫15cの繰出集積部60を駆動させないことにより、紙幣収納庫15cの内部に収納されている後続紙幣BLsを繰り出さないようにし紙幣収納庫15cに収納されたままにする。紙幣入出金部111は、回収異常紙幣BLrrがブレード35aを通過すると、ブレード35aを切り替えて鑑別部28と回収庫32とを結ぶ搬送経路を形成し、紙幣収納庫15cの内部に収納されている後続紙幣BLsを1枚ずつに分離しながら再度繰り出し、鑑別部28を通過する際に鑑別させ、鑑別部28での鑑別結果に応じて搬送先を回収庫32又は入出金部24に決定する。
【0102】
[2-3-3-2.後続紙幣を紙幣収納庫から繰り出しつつ回収異常紙幣を搬送する場合]
一方、後続紙幣BLsを紙幣収納庫15cから繰り出しつつ回収異常紙幣BLrrを搬送する場合、紙幣入出金部111は、回収異常紙幣BLrrを図13(B)のように第2搬送部26bから入出金部24へ搬送して収納させる。このとき紙幣入出金部111は、搬送部26の搬送ローラ62と共に紙幣収納庫15cの繰出集積部60を駆動させることにより、回収異常紙幣BLrrと共に、紙幣収納庫15cの内部に収納されている後続紙幣BLsを1枚ずつに分離しながら繰り出し、第2搬送部26bに沿って回収庫32へ向かって搬送する。紙幣入出金部111は、回収異常紙幣BLrrがブレード35aを通過すると、ブレード35aを切り替えて鑑別部28と回収庫32とを結ぶ搬送経路を形成し、後続紙幣BLsが鑑別部28を通過する際に鑑別させ、鑑別部28での鑑別結果に応じて搬送先を回収庫32又は入出金部24に決定する。
【0103】
[2-4.効果等]
上述した第1の実施の形態による紙幣入出金部11の場合、異常判定された紙幣をブレード35aが切り替え可能な位置まで戻す動作と後続紙幣BLsを紙幣収納庫15へ戻す動作とを同時に行うため、異常判定された紙幣と後続紙幣BLsとの紙幣間隔が、ブレード35aで振り分け可能な間隔よりも少ない等の場合は、搬送不具合が発生する可能性がある。
【0104】
これに対し紙幣入出金部111は、紙幣が出金異常紙幣BLwrであり、且つ該出金異常紙幣BLwrの後続における第2搬送部26bに紙幣が存在する場合、出金異常紙幣BLwrを入出金部24の手前の第1搬送部26aへ一旦搬送し(図10(A))、入出金部24の繰出集積部40に保持されている出金異常紙幣BLwrを第2搬送部26bへ繰り出さないようにし第1搬送部26a上に停止させた状態のまま、後続紙幣BLsのみを紙幣収納庫15cへ全て搬送して収納させるようにした。このため紙幣入出金部111は、出金異常紙幣BLwrと後続紙幣BLsとの間の紙幣間隔を十分に空けることができ、ブレード35aで振り分け可能な紙幣間隔とすることができる。
【0105】
また紙幣入出金部111は、紙幣が回収異常紙幣BLrrであり、且つ該回収異常紙幣BLrrの後続における第2搬送部26bに紙幣が存在する場合、回収異常紙幣BLrrを回収庫32の手前の第3搬送部26cへ一旦搬送し(図12(A))、回収庫32の集積ローラ50に保持されている回収異常紙幣BLrrを第2搬送部26bへ繰り出さないようにし第3搬送部26c上に停止させた状態のまま、後続紙幣BLsのみを紙幣収納庫15cへ全て搬送して収納させるようにした。このため紙幣入出金部111は、回収異常紙幣BLrrと後続紙幣BLsとの間の紙幣間隔を十分に空けることができ、ブレード35aで振り分け可能な紙幣間隔とすることができる。
【0106】
また紙幣入出金部111は、後続紙幣BLsのみを紙幣収納庫15cへ全て戻す際に、出金異常紙幣BLwr又は回収異常紙幣BLrrまでは紙幣収納庫15cへ戻さないようにした。このため紙幣入出金部111は、出金異常紙幣BLwr又は回収異常紙幣BLrrが、鑑別部28において、損傷していたり大きくスキューしていたりして再利用不可と鑑別され、紙幣収納庫15cへ戻してはいけないような紙幣であった場合に、該紙幣を紙幣収納庫15cへ収納させないようにできる。
【0107】
その他の点においても、第2の実施の形態による紙幣入出金部111は、第1の実施の形態による紙幣入出金部11と同様の作用効果を奏し得る。
【0108】
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、後続紙幣BLsが存在する場合、出金異常紙幣BLwr(図5(B))又は回収異常紙幣BLrr(図8(B))を第2搬送部26bにおける紙幣収納庫15cの近傍まで戻すように搬送して停止させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、出金異常紙幣BLwr又は回収異常紙幣BLrrと後続紙幣BLsとの間にブレード35aで振り分け可能な紙幣間隔がある場合、出金異常紙幣BLwr又は回収異常紙幣BLrrを、第2搬送部26bにおける、ブレード35aが回動する際に物理的に接触しない程度にブレード35aの近傍まで戻す程度でも良い。
【0109】
また上述した第1の実施の形態においては、入出金部24の繰出集積ローラ42に出金異常紙幣BLwrを挟み込んだ状態から、搬送部26のセンサからの検出結果に基づき、該出金異常紙幣BLwrを第1搬送部26aから第2搬送部26b(図4(B))まで戻す場合について述べた。本発明はこれに限らず、入出金部24の繰出集積ローラ42に出金異常紙幣BLwrを挟み込んだ状態から、鑑別部28の鑑別結果に基づき、該出金異常紙幣BLwrを第1搬送部26aから第2搬送部26b(図4(B))まで戻しても良い。回収異常紙幣BLrrについても同様である。
【0110】
また上述した第1の実施の形態においては、出金処理時において鑑別部28で出金異常紙幣BLwrと判別した際に、入出金部24の繰出集積ローラ42で出金異常紙幣BLwrを挟み込んだ状態となっているか否かを所定のセンサにより検出しても良い。回収異常紙幣BLrrについても同様である。また第2の実施の形態においても同様である。
【0111】
さらに上述した第1の実施の形態においては、搬送部26の搬送ローラ62と、入出金部24の繰出集積部40と、リジェクト回収庫30の集積ローラ50と、紙幣収納庫15の繰出集積部60とを、別々の駆動源によって駆動することにより、互いに独立して駆動させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、搬送部26の搬送ローラ62と、入出金部24の繰出集積部40と、リジェクト回収庫30の集積ローラ50と、紙幣収納庫15の繰出集積部60とは、駆動源は同一としながら駆動先を切り替えることにより、互いに独立して駆動するようにしても良い。
【0112】
さらに上述した実施の形態においては、リジェクト回収庫30をリジェクト庫31と回収庫32とが一体となった一体型収納庫とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、リジェクト庫31と回収庫32とを分離しても良い。
【0113】
さらに上述した実施の形態においては、リジェクト回収庫30を釣銭機3又は103の筐体に対し着脱可能な着脱式収納庫とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、リジェクト回収庫30を釣銭機3又は103の筐体に対し着脱不能な固定式収納庫としても良い。
【0114】
さらに上述した実施の形態においては、釣銭機3又は103に3個の紙幣収納庫15(15a、15b及び15c)を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、2個以下又は4個以上の任意の個数の紙幣収納庫を設けても良い。
【0115】
さらに上述した実施の形態においては、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等のレジ精算場において使用されるPOSレジスタ等に接続して紙幣の入出金処理を行う釣銭機3又は103に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、銀行内において使用される自動テラー現金預払機(窓口端末)等の銀行員が使用する端末の種々の装置に本発明を適用しても良い。
【0116】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0117】
さらに上述した実施の形態においては、入出金部としての入出金部24と、第1搬送部としての第1搬送部26aと、第2搬送部としての第2搬送部26bと、紙幣収納庫としての紙幣収納庫15と、回収庫としてのリジェクト回収庫30と、制御部としての釣銭制御部21とによって、釣銭機としての釣銭機3を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる入出金部と、第1搬送部と、第2搬送部と、紙幣収納庫と、回収庫と、制御部とによって、釣銭機を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、紙幣等の媒体を搬送すると共に判別する種々の搬送装置でも利用できる。
【符号の説明】
【0119】
1、101……レジ釣銭システム、2……POSレジ、3、103……釣銭機、5……レジ制御部、6……表示操作部、7……レシート処理部、7A……レシート排出口、11、111、1011、1111、1211、1311……紙幣入出金部、12……硬貨入出金部、13……表示操作部、14……紙幣入出金口、15……紙幣収納庫、16……硬貨入金口、17……リジェクト口、18……硬貨出金口、21、121……釣銭制御部、24……入出金部、26……搬送部、26a……第1搬送部、26b……第2搬送部、26c……第3搬送部、28……鑑別部、1028i……入金紙幣鑑別部、1028o……出金紙幣鑑別部、30……リジェクト回収庫、31……リジェクト庫、32……回収庫、33……仕切り、34a……第1切替部、34b……第2切替部、34c……第3切替部、1034d……第4切替部、35a……ブレード、35b……ブレード、35c……ブレード、1035d……ブレード、38……ステージ、39……紙幣収容空間、40……繰出集積部、41……ピックアップローラ、42……繰出集積ローラ、43……フィードローラ、44……ゲートローラ、45……集積ローラ、50……集積ローラ、51……テンションローラ、52……フィードローラ、60……繰出集積部、62……搬送ローラ、BLs……後続紙幣、BLwc……出金正常紙幣、BLwr……出金異常紙幣、BLrc……回収正常紙幣、BLrr……回収異常紙幣、It……紙幣間隔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21