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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】クレーンおよびクレーンの制御システム
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/22 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
B66C13/22 M
B66C13/22 Y
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018139849
(22)【出願日】2018-07-25
(65)【公開番号】P2020015589
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 佳成
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-525928(JP,A)
【文献】特開2016-221661(JP,A)
【文献】特開平09-264736(JP,A)
【文献】特開2013-184826(JP,A)
【文献】林喜章,山本元司,逆動力学に基づく旋回クレーン制御における軌道計画について,第23回日本ロボット学会学術講演会予稿集,日本,社団法人日本ロボット学会,2005年09月15日,1-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームからワイヤロープで吊り下げられている荷物の移動方向と速さに関する目標速度信号に基づいてアクチュエータを制御するクレーンであって、
目標速度信号における荷物の加速時間、速さおよび移動方向を入力する操作具と、
前記ブームの旋回角度検出手段と、
前記ブームの起伏角度検出手段と、
前記ブームの伸縮長さ検出手段と、
基準位置に対する荷物の現在位置を検出する荷物位置検出手段と、
前記目標速度信号から積分により荷物の目標軌道信号を算出し、前記目標軌道信号に対する前記荷物の現在位置の差分に基づいて前記目標軌道信号を補正するフィードバック制御部、および補正された前記目標軌道信号に基づいて前記クレーンの特性を表す伝達関数の重み係数を調整するフィードフォワード制御部を有する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記荷物位置検出手段から前記基準位置に対する前記荷物の現在位置を取得し、前記フィードバック制御部によって補正した前記目標軌道信号を、前記フィードフォワード制御部によって前記重み係数が調整された伝達関数によって補正し、
前記旋回角度検出手段が検出した旋回角度、前記起伏角度検出手段が検出した起伏角度および前記伸縮長さ検出手段が検出した伸縮長さから、前記基準位置に対するブームの先端の現在位置を算出し、
前記荷物の現在位置と前記ブームの先端の現在位置とから、前記ワイヤロープの繰出し量を算出し、
前記荷物の現在位置と前記荷物の目標位置とから、前記ワイヤロープの方向ベクトルを算出し、
前記ワイヤロープの繰出し量と前記ワイヤロープの前記方向ベクトルとから、前記荷物の目標位置におけるブームの先端の目標位置を算出し、
前記ブームの先端の目標位置に基づいて前記アクチュエータの作動信号を生成し、
前記制御装置は、
複数の前記フィードフォワード制御部を有し、
前記伝達関数を一以上の一次モデルに分解してモデル毎に前記重み係数を設け、前記フィードフォワード制御部毎に調整する前記重み係数が割り当てられているクレーン。
【請求項2】
ブームからワイヤロープで吊り下げられている荷物の移動方向と速さに関する目標速度信号に基づいてアクチュエータを制御するクレーンであって、
目標速度信号における荷物の加速時間、速さおよび移動方向を入力する操作具と、
前記ブームの旋回角度検出手段と、
前記ブームの起伏角度検出手段と、
前記ブームの伸縮長さ検出手段と、
基準位置に対する荷物の現在位置を検出する荷物位置検出手段と、
前記目標速度信号から積分により荷物の目標軌道信号を算出し、前記目標軌道信号に対する前記荷物の現在位置の差分に基づいて前記目標軌道信号を補正するフィードバック制御部、および補正された前記目標軌道信号に基づいて前記クレーンの特性を表す伝達関数の重み係数を調整するフィードフォワード制御部を有する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記荷物位置検出手段から前記基準位置に対する前記荷物の現在位置を取得し、前記フィードバック制御部によって補正した前記目標軌道信号を、前記フィードフォワード制御部によって前記重み係数が調整された伝達関数によって補正し、
前記旋回角度検出手段が検出した旋回角度、前記起伏角度検出手段が検出した起伏角度および前記伸縮長さ検出手段が検出した伸縮長さから、前記基準位置に対するブームの先端の現在位置を算出し、
前記荷物の現在位置と前記ブームの先端の現在位置とから、前記ワイヤロープの繰出し量を算出し、
前記荷物の現在位置と前記荷物の目標位置とから、前記ワイヤロープの方向ベクトルを算出し、
前記ワイヤロープの繰出し量と前記ワイヤロープの前記方向ベクトルとから、前記荷物の目標位置におけるブームの先端の目標位置を算出し、
前記ブームの先端の目標位置に基づいて前記アクチュエータの作動信号を生成し、
前記伝達関数は、所定の周波数成分を抑制するローパスフィルタを含む式(1)によって表されるクレーン。
【数1】
A、B、C:係数、w α1 、w α2 、w α3 、w α4 :重み係数、s:微分要素
【請求項3】
荷物の移動方向と速さに関する目標速度信号に基づいてアクチュエータを制御するクレーンの制御システムであって、
前記目標速度信号から積分により荷物の目標軌道信号を算出し、前記荷物の目標軌道信号に対する前記荷物の現在位置の差分に基づいて前記目標軌道信号を補正し、補正された前記目標軌道信号から前記荷物の目標位置を算出するフィードバック制御部と、
補正された前記目標軌道信号に基づいて前記クレーンの特性を表す伝達関数の重み係数を調整し、前記重み係数を調整した伝達関数によって前記補正された目標軌道信号を補正するフィードフォワード制御部と、を具備し、
前記フィードバック制御部によって前記目標軌道信号が補正される毎に、前記フィードフォワード制御部によって前記伝達関数の重み係数が調整され
複数の前記フィードフォワード制御部を有し、
前記伝達関数を一以上の一次モデルに分解してモデル毎に前記重み係数を設け、前記フィードフォワード制御部毎に調整する前記重み係数が割り当てられているクレーンの制御システム。
【請求項4】
荷物の移動方向と速さに関する目標速度信号に基づいてアクチュエータを制御するクレーンの制御システムであって、
前記目標速度信号から積分により荷物の目標軌道信号を算出し、前記荷物の目標軌道信号に対する前記荷物の現在位置の差分に基づいて前記目標軌道信号を補正し、補正された前記目標軌道信号から前記荷物の目標位置を算出するフィードバック制御部と、
補正された前記目標軌道信号に基づいて前記クレーンの特性を表す伝達関数の重み係数を調整し、前記重み係数を調整した伝達関数によって前記補正された目標軌道信号を補正するフィードフォワード制御部と、を具備し、
前記フィードバック制御部によって前記目標軌道信号が補正される毎に、前記フィードフォワード制御部によって前記伝達関数の重み係数が調整され
前記伝達関数は、所定の周波数成分を抑制するローパスフィルタを含む式(1)によって表されるクレーンの制御システム。
【数1】
A、B、C:係数、w α1 、w α2 、w α3 、w α4 :重み係数、s:微分要素
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンおよびクレーンの制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動式クレーン等において、各アクチュエータが操作端末等で操作されるクレーンが提案されている。このようなクレーンは、操作端末からの荷物を基準とした操作指令信号によって操作されるので、各アクチュエータの作動速度、作動量、作動タイミング等を意識することなく直観的に操作することができる。例えば、特許文献1の如くである。
【0003】
特許文献1に記載のクレーンは、操作端末から操作具の操作速度に関する速度信号と操作方向に関する方向信号とをクレーンに送信する。このため、クレーンは、操作端末からの速度信号がステップ関数の態様で入力される移動開始時や停止時に不連続な加速度が生じて荷物に揺れが発生する場合があった。そこで、クレーンの速度、位置、荷物の振れ角速度および振れ角をフィードバック量とした最適制御を適用するとともに、予見ゲインによって遅れを補償することで、クレーンの目標位置への位置決めと荷物の振れ角を最小とする速度信号によって制御する技術が知られている。例えば、特許文献2の如くである。
【0004】
特許文献2に記載のクレーンは、予め定められたクレーンの数学モデルに基づいて、クレーンの位置決め精度を向上させて荷物の振れを最小にするように制御されている。したがって、数学モデルの誤差が大きい場合、将来の予測値の誤差も大きくなり、クレーンの位置決め精度が低下し、荷物の振れが増大してしまう点で不利であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-228905号公報
【文献】特開平7-81876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、荷物を基準としてアクチュエータを制御する際に、荷物の動きからクレーンの動特性を学習することで、荷物の揺れを抑制しつつ操縦者の意図に沿った態様で荷物を移動させることができるクレーンおよびクレーンの制御システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、第1の発明は、ブームからワイヤロープで吊り下げられている荷物の移動方向と速さに関する目標速度信号に基づいてアクチュエータを制御するクレーンであって、目標速度信号における荷物の加速時間、速さおよび移動方向を入力する操作具と、前記ブームの旋回角度検出手段と、前記ブームの起伏角度検出手段と、前記ブームの伸縮長さ検出手段と、基準位置に対する荷物の現在位置を検出する荷物位置検出手段と、前記目標速度信号から積分により荷物の目標軌道信号を算出し、前記目標軌道信号に対する前記荷物の現在位置の差分に基づいて前記目標軌道信号を補正するフィードバック制御部、および補正された前記目標軌道信号に基づいて前記クレーンの特性を表す伝達関数の重み係数を調整するフィードフォワード制御部を有する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記荷物位置検出手段から前記基準位置に対する前記荷物の現在位置を取得し、前記フィードバック制御部によって補正した前記目標軌道信号を、前記フィードフォワード制御部によって前記重み係数が調整された伝達関数によって補正し、前記旋回角度検出手段が検出した旋回角度、前記起伏角度検出手段が検出した起伏角度および前記伸縮長さ検出手段が検出した伸縮長さから、前記基準位置に対するブームの先端の現在位置を算出し、前記荷物の現在位置と前記ブームの先端の現在位置とから、前記ワイヤロープの繰出し量を算出し、前記荷物の現在位置と前記荷物の目標位置とから、前記ワイヤロープの方向ベクトルを算出し、前記ワイヤロープの繰出し量と前記ワイヤロープの前記方向ベクトルとから、前記荷物の目標位置におけるブームの先端の目標位置を算出し、前記ブームの先端の目標位置に基づいて前記アクチュエータの作動信号を生成し、前記制御装置は、複数の前記フィードフォワード制御部を有し、前記伝達関数を一以上の一次モデルに分解してモデル毎に前記重み係数を設け、前記フィードフォワード制御部毎に調整する前記重み係数が割り当てられているクレーンである。
【0010】
の発明は、ブームからワイヤロープで吊り下げられている荷物の移動方向と速さに関する目標速度信号に基づいてアクチュエータを制御するクレーンであって、目標速度信号における荷物の加速時間、速さおよび移動方向を入力する操作具と、前記ブームの旋回角度検出手段と、前記ブームの起伏角度検出手段と、前記ブームの伸縮長さ検出手段と、基準位置に対する荷物の現在位置を検出する荷物位置検出手段と、前記目標速度信号から積分により荷物の目標軌道信号を算出し、前記目標軌道信号に対する前記荷物の現在位置の差分に基づいて前記目標軌道信号を補正するフィードバック制御部、および補正された前記目標軌道信号に基づいて前記クレーンの特性を表す伝達関数の重み係数を調整するフィードフォワード制御部を有する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記荷物位置検出手段から前記基準位置に対する前記荷物の現在位置を取得し、前記フィードバック制御部によって補正した前記目標軌道信号を、前記フィードフォワード制御部によって前記重み係数が調整された伝達関数によって補正し、前記旋回角度検出手段が検出した旋回角度、前記起伏角度検出手段が検出した起伏角度および前記伸縮長さ検出手段が検出した伸縮長さから、前記基準位置に対するブームの先端の現在位置を算出し、前記荷物の現在位置と前記ブームの先端の現在位置とから、前記ワイヤロープの繰出し量を算出し、前記荷物の現在位置と前記荷物の目標位置とから、前記ワイヤロープの方向ベクトルを算出し、前記ワイヤロープの繰出し量と前記ワイヤロープの前記方向ベクトルとから、前記荷物の目標位置におけるブームの先端の目標位置を算出し、前記ブームの先端の目標位置に基づいて前記アクチュエータの作動信号を生成し、前記伝達関数は、所定の周波数成分を抑制するローパスフィルタを含む式(1)によって表されるクレーンである。
【数1】
A、B、C:係数、wα1、wα2、wα3、wα4:重み係数、s:微分要素
【0011】
の発明は、荷物の移動方向と速さに関する目標速度信号に基づいてアクチュエータを制御するクレーンの制御システムであって、前記目標速度信号から積分により荷物の目標軌道信号を算出し、前記荷物の目標軌道信号に対する前記荷物の現在位置の差分に基づいて前記目標軌道信号を補正し、補正された前記目標軌道信号から前記荷物の目標位置を算出するフィードバック制御部と、補正された前記目標軌道信号に基づいて前記クレーンの特性を表す伝達関数の重み係数を調整し、前記重み係数を調整した伝達関数によって前記補正された目標軌道信号を補正するフィードフォワード制御部と、を具備し、前記フィードバック制御部によって前記目標軌道信号が補正される毎に、前記フィードフォワード制御部によって前記伝達関数の重み係数が調整され、複数の前記フィードフォワード制御部を有し、前記伝達関数を一以上の一次モデルに分解してモデル毎に前記重み係数を設け、前記フィードフォワード制御部毎に調整する前記重み係数が割り当てられているクレーンの制御システムである。
【0013】
の発明は、荷物の移動方向と速さに関する目標速度信号に基づいてアクチュエータを制御するクレーンの制御システムであって、前記目標速度信号から積分により荷物の目標軌道信号を算出し、前記荷物の目標軌道信号に対する前記荷物の現在位置の差分に基づいて前記目標軌道信号を補正し、補正された前記目標軌道信号から前記荷物の目標位置を算出するフィードバック制御部と、補正された前記目標軌道信号に基づいて前記クレーンの特性を表す伝達関数の重み係数を調整し、前記重み係数を調整した伝達関数によって前記補正された目標軌道信号を補正するフィードフォワード制御部と、を具備し、前記フィードバック制御部によって前記目標軌道信号が補正される毎に、前記フィードフォワード制御部によって前記伝達関数の重み係数が調整され、前記伝達関数は、所定の周波数成分を抑制するローパスフィルタを含む式(1)によって表されるクレーンの制御システムである。
【数1】
A、B、C:係数、wα1、wα2、wα3、wα4:重み係数、s:微分要素
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
第1の発明と第の発明においては、荷物が現在位置と目標位置との差異に基づいて目標位置に移動するようにフィードバック制御を実施するとともに、差分に応じて伝達関数の重み係数が調整されるので、クレーンの伝達関数がクレーンの操作中にクレーンの特性に適用したものに調整される。これにより、荷物を基準としてアクチュエータを制御する際に、荷物の動きからクレーンの動特性を学習することで、荷物の揺れを抑制しつつ操縦者の意図に沿った態様で荷物を移動させることができる。 また、高次の伝達関数が一次のモデル毎に調整されるので動特性の変化に柔軟に対応する。これにより、荷物を基準としてアクチュエータを制御する際に、荷物の動きからクレーンの動特性を学習することで、荷物の揺れを抑制しつつ操縦者の意図に沿った態様で荷物を移動させることができる。
【0017】
の発明と第の発明においては、荷物が現在位置と目標位置との差異に基づいて目標位置に移動するようにフィードバック制御を実施するとともに、差分に応じて伝達関数の重み係数が調整されるので、クレーンの伝達関数がクレーンの操作中にクレーンの特性に適用したものに調整される。これにより、荷物を基準としてアクチュエータを制御する際に、荷物の動きからクレーンの動特性を学習することで、荷物の揺れを抑制しつつ操縦者の意図に沿った態様で荷物を移動させることができる。
また、ローパスフィルタの係数をクレーンの動特性に応じて同定することができる。これにより、荷物を基準としてアクチュエータを制御する際に、荷物の動きからクレーンの動特性を学習することで、荷物の揺れを抑制しつつ操縦者の意図に沿った態様で荷物を移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】クレーンの全体構成を示す側面図。
図2】クレーンの制御構成を示すブロック図。
図3】操作端末の概略構成を示す平面図。
図4】操作端末の制御構成を示すブロック図。
図5】吊り荷移動操作具が操作された場合の荷物の搬送される方位を示す図。
図6】本実施形態における制御装置の制御構成を示すブロック図。
図7】クレーンの逆動力学モデルを示す図。
図8】本実施形態における制御システムの制御構成を示すブロック図。
図9】クレーンの制御方法の制御工程を示すフローチャートを表す図。
図10】目標軌道算出工程を示すフローチャートを表す図。
図11】ブーム位置算出工程を示すフローチャートを表す図。
図12】作動信号生成工程を示すフローチャートを表す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図1図2とを用いて、本発明の一実施形態に係る作業車両として移動式クレーン(ラフテレーンクレーン)であるクレーン1について説明する。なお、本実施形態においては、作業車両としてクレーン1(ラフテレーンクレーン)ついて説明を行うが、オールテレーンクレーン、トラッククレーン、積載型トラッククレーン、高所作業車等でもよい。
【0020】
図1に示すように、クレーン1は、不特定の場所に移動可能な移動式クレーンである。クレーン1は、車両2、作業装置であるクレーン装置6およびクレーン装置6を操作可能な操作端末32(図2参照)を有する。
【0021】
車両2は、クレーン装置6を搬送する走行体である。車両2は、複数の車輪3を有し、エンジン4を動力源として走行する。車両2には、アウトリガ5が設けられている。アウトリガ5は、車両2の幅方向両側に油圧によって延伸可能な張り出しビームと地面に垂直な方向に延伸可能な油圧式のジャッキシリンダとから構成されている。車両2は、アウトリガ5を車両2の幅方向に延伸させるとともにジャッキシリンダを接地させることにより、クレーン1の作業可能範囲を広げることができる。
【0022】
クレーン装置6は、荷物Wをワイヤロープによって吊り上げる作業装置である。クレーン装置6は、旋回台7、ブーム9、ジブ9a、メインフックブロック10、サブフックブロック11、起伏用油圧シリンダ12、メインウインチ13、メインワイヤロープ14、サブウインチ15、サブワイヤロープ16およびキャビン17等を具備する。
【0023】
旋回台7は、クレーン装置6を旋回可能に構成する駆動装置である。旋回台7は、円環状の軸受を介して車両2のフレーム上に設けられる。旋回台7は、円環状の軸受の中心を回転中心として回転自在に構成されている。旋回台7には、アクチュエータである油圧式の旋回用油圧モータ8が設けられている。旋回台7は、旋回用油圧モータ8によって一方向と他方向とに旋回可能に構成されている。
【0024】
荷物位置検出手段である旋回台カメラ7bは、旋回台7の周辺の障害物や人物等を撮影する監視装置である。旋回台カメラ7bは、旋回台7の前方の左右両側および旋回台7の後方の左右両側に設けられている。各旋回台カメラ7bは、それぞれの設置個所の周辺を撮影することで、旋回台7の全周囲を監視範囲としてカバーしている。また、旋回台7の前方の左右両側にそれぞれ配置されている旋回台カメラ7bは、一組のステレオカメラとして使用可能に構成されている。つまり、旋回台7の前方の旋回台カメラ7bは、一組のステレオカメラとして使用することで吊り下げられている荷物Wの位置情報を検出する荷物位置検出手段として構成することができる。なお、荷物位置検出手段(旋回台カメラ7b)は、後述するブームカメラ9bでも構成してもよい。また、荷物位置検出手段は、ミリ波レーダー、加速度センサ、GNSS等の荷物Wの位置情報を検出できるものであればよい。
【0025】
旋回用油圧モータ8は、電磁比例切換弁である旋回用バルブ23(図2参照)によって回転操作されるアクチュエータである。旋回用バルブ23は、旋回用油圧モータ8に供給される作動油の流量を任意の流量に制御することができる。つまり、旋回台7は、旋回用バルブ23によって回転操作される旋回用油圧モータ8を介して任意の旋回速度に制御可能に構成されている。旋回台7には、旋回台7の旋回角度θz(角度)と旋回速度とを検出する旋回用センサ27(図2参照)が設けられている。
【0026】
ブーム9は、荷物Wを吊り上げ可能な状態にワイヤロープを支持する可動支柱である。ブーム9は、複数のブーム部材から構成されている。ブーム9は、ベースブーム部材の基端が旋回台7の略中央に揺動可能に設けられている。ブーム9は、各ブーム部材をアクチュエータである図示しない伸縮用油圧シリンダで移動させることで軸方向に伸縮自在に構成されている。また、ブーム9には、ジブ9aが設けられている。
【0027】
図示しない伸縮用油圧シリンダは、電磁比例切換弁である伸縮用バルブ24(図2参照)によって伸縮操作されるアクチュエータである。伸縮用バルブ24は、伸縮用油圧シリンダに供給される作動油の流量を任意の流量に制御することができる。ブーム9には、ブーム9の長さを検出する伸縮用センサ28と、ブーム9の先端を中心とする方位を検出する方位センサ29とが設けられている。
【0028】
ブームカメラ9b(図2参照)は、荷物Wおよび荷物Wの周辺の地物を撮影する検知装置である。ブームカメラ9bは、ブーム9の先端部に設けられている。ブームカメラ9bは、荷物Wの鉛直上方から荷物Wおよびクレーン1周辺の地物や地形を撮影可能に構成されている。
【0029】
メインフックブロック10とサブフックブロック11とは、荷物Wを吊る吊り具である。メインフックブロック10には、メインワイヤロープ14が巻き掛けられる複数のフックシーブと、荷物Wを吊るメインフック10aとが設けられている。サブフックブロック11には、荷物Wを吊るサブフック11aが設けられている。
【0030】
起伏用油圧シリンダ12は、ブーム9を起立および倒伏させ、ブーム9の姿勢を保持するアクチュエータである。起伏用油圧シリンダ12は、シリンダ部の端部が旋回台7に揺動自在に連結され、ロッド部の端部がブーム9のベースブーム部材に揺動自在に連結されている。起伏用油圧シリンダ12は、電磁比例切換弁である起伏用バルブ25(図2参照)によって伸縮操作される。起伏用バルブ25は、起伏用油圧シリンダ12に供給される作動油の流量を任意の流量に制御することができる。ブーム9には、起伏角度θxを検出する起伏用センサ30(図2参照)が設けられている。
【0031】
メインウインチ13とサブウインチ15とは、メインワイヤロープ14とサブワイヤロープ16との繰り入れ(巻き上げ)および繰り出し(巻き下げ)を行う巻回装置である。メインウインチ13は、メインワイヤロープ14が巻きつけられるメインドラムがアクチュエータである図示しないメイン用油圧モータによって回転され、サブウインチ15は、サブワイヤロープ16が巻きつけられるサブドラムがアクチュエータである図示しないサブ用油圧モータによって回転されるように構成されている。
【0032】
メイン用油圧モータは、電磁比例切換弁であるメイン用バルブ26m(図2参照)によって回転操作される。メインウインチ13は、メイン用バルブ26mによってメイン用油圧モータを制御し、任意の繰り入れおよび繰り出し速度に操作可能に構成されている。同様に、サブウインチ15は、電磁比例切換弁であるサブ用バルブ26s(図2参照)によってサブ用油圧モータを制御し、任意の繰り入れおよび繰り出し速度に操作可能に構成されている。メインウインチ13とサブウインチ15とには、メインワイヤロープ14とサブワイヤロープ16の繰り出し量lをそれぞれ検出する巻回用センサ43(図2参照)が設けられている。
【0033】
キャビン17は、筐体に覆われた操縦席である。キャビン17は、旋回台7に搭載されている。図示しない操縦席が設けられている。操縦席には、車両2を走行操作するための操作具やクレーン装置6を操作するための旋回操作具18、起伏操作具19、伸縮操作具20、メインドラム操作具21m、サブドラム操作具21s等が設けられている(図2参照)。旋回操作具18は、旋回用油圧モータ8を操作することができる。起伏操作具19は、起伏用油圧シリンダ12を操作することができる。伸縮操作具20は、伸縮用油圧シリンダを操作することができる。メインドラム操作具21mは、メイン用油圧モータを操作することができる。サブドラム操作具21sは、サブ用油圧モータを操作することができる。
【0034】
図2に示すように、制御装置31は、各操作弁を介してクレーン装置6のアクチュエータを制御する制御装置31である。制御装置31は、キャビン17内に設けられている。制御装置31は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。制御装置31は、各アクチュエータや切換えバルブ、センサ等の動作を制御するために種々のプログラムやデータが格納されている。
【0035】
制御装置31は、旋回台カメラ7b、ブームカメラ9b、旋回操作具18、起伏操作具19、伸縮操作具20、メインドラム操作具21mおよびサブドラム操作具21sに接続され、旋回台カメラ7bからの映像i1、ブームカメラ9bからの映像i2、を取得し、旋回操作具18、起伏操作具19、メインドラム操作具21mおよびサブドラム操作具21sのそれぞれの操作量を取得することができる。
【0036】
制御装置31は、操作端末32の端末側制御装置41に接続され、操作端末32からの制御信号を取得することができる。
【0037】
制御装置31は、旋回用バルブ23、伸縮用バルブ24、起伏用バルブ25、メイン用バルブ26mおよびサブ用バルブ26sに接続され、旋回用バルブ23、起伏用バルブ25、メイン用バルブ26mおよびサブ用バルブ26sに作動信号Mdを伝達することができる。
【0038】
制御装置31は、旋回用センサ27、伸縮用センサ28、方位センサ29、起伏用センサ30および巻回用センサ43に接続され、旋回台7の旋回角度θz、伸縮長さLb、起伏角度θx、メインワイヤロープ14またはサブワイヤロープ16(以下、単に「ワイヤロープ」と記す)の繰り出し量l(n)および方位を取得することができる。
【0039】
制御装置31は、旋回操作具18、起伏操作具19、メインドラム操作具21mおよびサブドラム操作具21sの操作量に基づいて各操作具に対応した作動信号Mdを生成する。
【0040】
このように構成されるクレーン1は、車両2を走行させることで任意の位置にクレーン装置6を移動させることができる。また、クレーン1は、起伏操作具19の操作によって起伏用油圧シリンダ12でブーム9を任意の起伏角度θxに起立させて、伸縮操作具20の操作によってブーム9を任意のブーム9長さに延伸させたりすることでクレーン装置6の揚程や作業半径を拡大することができる。また、クレーン1は、サブドラム操作具21s等によって荷物Wを吊り上げて、旋回操作具18の操作によって旋回台7を旋回させることで荷物Wを搬送することができる。
【0041】
図3図4に示すように、操作端末32は、荷物Wを移動させる方向と速さに関する目標速度信号Vdを入力する端末である。操作端末32は、筐体33、筐体33の操作面に設けられる吊り荷移動操作具35、端末側旋回操作具36、端末側伸縮操作具37、端末側メインドラム操作具38m、端末側サブドラム操作具38s、端末側起伏操作具39、端末側表示装置40および端末側制御装置41(図3図5参照)等を具備する。操作端末32は、吊り荷移動操作具35または各種操作具の操作により生成される荷物Wの目標速度信号Vdをクレーン1(クレーン装置6)の制御装置31に送信する。
【0042】
吊り荷移動操作具35は、水平面において荷物Wの移動方向と速さについての指示を入力する操作具である。吊り荷移動操作具35は、筐体33の操作面から略垂直に起立した操作スティックおよび操作スティックの傾倒方向および傾倒量を検出する図示しないセンサから構成されている。吊り荷移動操作具35は、操作スティックが任意の方向に傾倒操作可能に構成されている。吊り荷移動操作具35は、操作面に向かって上方向(以下、単に「上方向」と記す)をブーム9の延伸方向として図示しないセンサで検出した操作スティックの傾倒方向とその傾倒量についての操作信号を端末側制御装置41(図2参照)に伝達するように構成されている。
【0043】
端末側旋回操作具36は、クレーン装置6の旋回方向と速さについての指示が入力される操作具である。端末側伸縮操作具37は、ブーム9の伸縮と速さについての指示を入力する操作具である。端末側メインドラム操作具38m(端末側サブドラム操作具38s)は、メインウインチ13の回転方向と速さについての指示を入力する操作具である。端末側起伏操作具39は、ブーム9の起伏と速さについての指示を入力する操作具である。各操作具は、筐体33の操作面から略垂直に起立した操作スティックおよび操作スティックの傾倒方向および傾倒量を検出する図示しないセンサから構成されている。各操作具は、一側および他側に傾倒可能に構成されている。
【0044】
端末側表示装置40は、クレーン1の姿勢情報や荷物Wの情報等の様々な情報を表示する。端末側表示装置40は、液晶画面等の画像表示装置から構成されている。端末側表示装置40は筐体33の操作面に設けられている。端末側表示装置40には、ブーム9の延伸方向を端末側表示装置40に向かって上方向とし、その方位が表示されている。
【0045】
図4に示すように、制御部である端末側制御装置41は、操作端末32を制御する。端末側制御装置41は、操作端末32の筐体33内に設けられている。端末側制御装置41は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。端末側制御装置41は、吊り荷移動操作具35、端末側旋回操作具36、端末側伸縮操作具37、端末側メインドラム操作具38m、端末側サブドラム操作具38s、端末側起伏操作具39および端末側表示装置40等の動作を制御するために種々のプログラムやデータが格納されている。
【0046】
端末側制御装置41は、吊り荷移動操作具35、端末側旋回操作具36、端末側伸縮操作具37、端末側メインドラム操作具38m、端末側サブドラム操作具38sおよび端末側起伏操作具39に接続され、各操作具の操作スティックの傾倒方向および傾倒量からなる操作信号を取得することができる。
【0047】
端末側制御装置41は、端末側旋回操作具36、端末側伸縮操作具37、端末側メインドラム操作具38m、端末側サブドラム操作具38sおよび端末側起伏操作具39の各センサから取得した各操作スティックの操作信号から、荷物Wの目標速度信号Vdを生成することができる。また、端末側制御装置41は、クレーン装置6の制御装置31に有線または無線で接続され、生成した荷物Wの目標速度信号Vdをクレーン装置6の制御装置31に送信することができる。
【0048】
次に、図5を用いて、操作端末32によるクレーン装置6の制御について説明する。
【0049】
図5に示すように、ブーム9の先端が北を向いている状態において操作端末32の吊り荷移動操作具35が上方向に対して左方向に傾倒角度θ2=45°の方向に任意の傾倒量だけ傾倒操作された場合、端末側制御装置41は、ブーム9の延伸方向である北から傾倒角度θ2=45°の方向である北西への傾倒方向と傾倒量についての操作信号を吊り荷移動操作具35の図示しないセンサから取得する。さらに、端末側制御装置41は、取得した操作信号から、北西に向かって傾倒量に応じた速さで荷物Wを移動させる目標速度信号Vdを単位時間t毎に算出する。操作端末32は、算出した目標速度信号Vdを単位時間t毎にクレーン装置6の制御装置31に送信する(図4参照)。
【0050】
制御装置31は、操作端末32から目標速度信号Vdを単位時間t毎に受信すると、方位センサ29が取得したブーム9の先端の方位に基づいて、荷物Wの目標軌道信号Pdを算出する。さらに、制御装置31は、目標軌道信号Pdから荷物Wの目標位置である荷物Wの目標位置座標p(n+1)を算出する。制御装置31は、目標位置座標p(n+1)に荷物Wを移動させる旋回用バルブ23、伸縮用バルブ24、起伏用バルブ25、メイン用バルブ26mおよびサブ用バルブ26sの作動信号Mdを生成する(図7参照)。クレーン1は、吊り荷移動操作具35の傾倒方向である北西に向けて傾倒量に応じた速さで荷物Wを移動させる。この際、クレーン1は、旋回用油圧モータ8、縮用油圧シリンダ、起伏用油圧シリンダ12およびメイン用油圧モータ等を作動信号Mdによって制御する。
【0051】
このように構成することで、クレーン1は、操作端末32からブーム9の延伸方向を基準として、吊り荷移動操作具35の操作方向に基づいた移動方向と速さの目標速度信号Vdを単位時間t毎に取得し、荷物Wの目標位置座標p(n+1)を決定するので、操縦者が吊り荷移動操作具35の操作方向に対するクレーン装置6の作動方向の認識を喪失することがない。つまり、吊り荷移動操作具35の操作方向と荷物Wの移動方向とが共通の基準であるブーム9の延伸方向に基づいて算出されている。これにより、クレーン装置6の操作を容易かつ簡単に行うことができる。なお、本実施形態において、操作端末32は、キャビン17の内部に設けられているが、端末側無線機を設けてキャビン17の外部から遠隔操作可能な遠隔操作端末として構成してもよい。
【0052】
次に、図6から図12を用いて、クレーン装置6の制御装置31における作動信号Mdを生成するための荷物Wの目標軌道信号Pd、およびブーム9の先端の目標位置座標q(n+1)を算出する制御工程の一実施形態について説明する。制御装置31は、目標軌道算出部31a、ブーム位置算出部31b、作動信号生成部31cを有している。また、制御装置31は、旋回台7の前方の左右両側の一組の旋回台カメラ7bを荷物位置検出手段であるステレオカメラとし、荷物Wの現在位置情報を取得可能に構成されている(図2参照)。
【0053】
図6に示すように、目標軌道算出部31aは、制御装置31の一部であり、荷物Wの目標速度信号Vdを荷物Wの目標軌道信号Pdαに変換する。目標軌道算出部31aは、荷物Wの移動方向および速さから構成されている荷物Wの目標速度信号Vdを操作端末32から単位時間t毎に取得することができる。また、目標軌道算出部31aは、取得した目標速度信号Vdを積分して単位時間t毎の荷物Wのx軸方向、y軸方向およびz軸方向の目標軌道信号Pdαを算出することができる。ここで、添え字αは、x軸方向、y軸方向およびz軸方向のいずれかを表す符号である。
【0054】
ブーム位置算出部31bは、制御装置31の一部であり、ブーム9の姿勢情報と荷物Wの目標軌道信号Pdαからブーム9の先端の位置座標を算出する。ブーム位置算出部31bは、目標軌道算出部31aから目標軌道信号Pdαを取得することができる。ブーム位置算出部31bは、旋回用センサ27から旋回台7の旋回角度θz(n)を取得し、伸縮用センサ28から伸縮長さlb(n)を取得し、起伏用センサ30から起伏角度θx(n)を取得し、巻回用センサ43からメインワイヤロープ14またはサブワイヤロープ16(以下、単に「ワイヤロープ」と記す)の繰り出し量l(n)を取得し、旋回台7の前方の左右両側にそれぞれ配置されている一組の旋回台カメラ7bが撮影した荷物Wの画像から荷物Wの現在位置情報を取得することができる(図2参照)。
【0055】
ブーム位置算出部31bは、取得した荷物Wの現在位置情報から荷物Wの現在位置座標p(n)を算出し、取得した旋回角度θz(n)、伸縮長さlb(n)、起伏角度θx(n)からブーム9の先端の現在位置であるブーム9の先端(ワイヤロープの繰り出し位置)の現在位置座標q(n)(以下、単に「ブーム9の現在位置座標q(n)」と記す)を算出することができる。また、ブーム位置算出部31bは、荷物Wの現在位置座標p(n)とブーム9の現在位置座標q(n)とからワイヤロープの繰り出し量l(n)を算出することができる。また、ブーム位置算出部31bは、目標軌道信号Pdから単位時間t経過後の荷物Wの位置である荷物Wの目標位置座標p(n+1)を算出することができる。さらに、ブーム位置算出部31bは、荷物Wの現在位置座標p(n)と荷物Wの位置である荷物Wの目標位置座標p(n+1)とから荷物Wが吊り下げられているワイヤロープの方向ベクトルe(n+1)を算出することができる。ブーム位置算出部31bは、逆動力学を用いて荷物Wの目標位置座標p(n+1)と、ワイヤロープの方向ベクトルe(n+1)とから単位時間t経過後のブーム9の先端の位置であるブーム9の目標位置座標q(n+1)を算出するように構成されている。
【0056】
作動信号生成部31cは、制御装置31の一部であり、単位時間t経過後のブーム9の目標位置座標q(n+1)から各アクチュエータの作動信号Mdを生成する。作動信号生成部31cは、ブーム位置算出部31bから単位時間t経過後のブーム9の目標位置座標q(n+1)を取得することができる。作動信号生成部31cは、旋回用バルブ23、伸縮用バルブ24、起伏用バルブ25、メイン用バルブ26mまたはサブ用バルブ26sの作動信号Mdを生成するように構成されている。
【0057】
次に、図7に示すように、制御装置31は、ブーム9の先端の目標位置座標q(n+1)を算出するためのクレーン1の逆動力学モデルを定める。逆動力学モデルは、XYZ座標系に定義され、原点Oをクレーン1の旋回中心とする。制御装置31は、逆動力学モデルにおいて、q、p、lb、θx、θz、l、fおよびeをそれぞれ定義する。qは、例えばブーム9の先端の現在位置座標q(n)を示し、pは、例えば荷物Wの現在位置座標p(n)を示す。lbは、例えばブーム9の伸縮長さlb(n)示し、θxは、例えば起伏角度θx(n)を示し、θzは、例えば旋回角度θz(n)を示す。lは、例えばワイヤロープの繰り出し量l(n)を示し、fはワイヤロープの張力fを示し、eは、例えばワイヤロープの方向ベクトルe(n)を示す。
【0058】
このように定まる逆動力学モデルにおいてブーム9の先端の目標位置qと荷物Wの目標位置pとの関係が、荷物Wの目標位置pと荷物Wの質量mとワイヤロープのばね定数kfとから式(2)によって表され、ブーム9の先端の目標位置qが、荷物Wの時間の関数である式(3)によって算出される。
【数2】
【数3】
f:ワイヤロープの張力、kf:ばね定数、m:荷物Wの質量、q:ブーム9の先端の現在位置または目標位置、p:荷物Wの現在位置または目標位置、l:ワイヤロープの繰出し量、e:方向ベクトル、g:重力加速度
【0059】
ワイヤロープの繰り出し量l(n)は、以下の式(4)から算出される。
ワイヤロープの繰り出し量l(n)は、ブーム9の先端位置であるブーム9の現在位置座標q(n)と荷物Wの位置である荷物Wの現在位置座標p(n)の距離で定義される。
【0060】
【数4】
【0061】
ワイヤロープの方向ベクトルe(n)は、以下の式(5)から算出される。
ワイヤロープの方向ベクトルe(n)は、ワイヤロープの張力f(式(2)参照)の単位長さのベクトルである。ワイヤロープの張力fは、荷物Wの現在位置座標p(n)と単位時間t経過後の荷物Wの目標位置座標p(n+1)から算出される荷物Wの加速度から重力加速度を減算して算出される。
【0062】
【数5】
【0063】
単位時間t経過後のブーム9の先端の目標位置であるブーム9の目標位置座標q(n+1)は、式(2)をnの関数で表した式(6)から算出される。ここで、αは、ブーム9の旋回角度θz(n)を示している。
ブーム9の目標位置座標q(n+1)は、逆動力学を用いてワイヤロープの繰り出し量l(n)と荷物Wの目標位置座標p(n+1)と方向ベクトルe(n+1)とから算出される。
【0064】
【数6】
【0065】
次に、図8を用いて、ローパスフィルタLpの伝達関数G(s)の重み係数であるwα1、wα2、wα3およびwα4(式(1)参照)の調整方法について説明する。クレーン1は、制御システム42として、制御装置31の目標軌道算出部31a、ブーム位置算出部31bおよび作動信号生成部31cが協働することにより、フィードバック制御部42aとフィードフォワード制御部42bとを構成している。
【0066】
ローパスフィルタLpは、所定の周波数以上の周波数を減衰させる。ローパスフィルタLpは、荷物Wの目標速度信号Vdに適用することにより微分操作による特異点(急激な位置変動)の発生を抑制している。ローパスフィルタLpは、式(1)の伝達関数G(s)からなる。伝達関数G(s)は、A、BおよびCを係数、wα1、wα2、wα3およびwα4を重み係数、sを微分要素として部分分数分解した形式で表現している。ここで、添え字αは、x軸、y軸およびz軸のいずれかを表す符号である。つまり、式(1)の伝達関数G(s)は、x軸、y軸およびz軸毎に設定されている。このように、伝達関数G(s)は、1次遅れの伝達関数を重ね合わせたものとして表現することができる。荷物Wの目標速度信号Vdは、ローパスフィルタLpの伝達関数G(s)が乗算されることで後述する目標軌道信号Pd2αに変換される。目標軌道信号Pd2αからは、荷物Wの目標位置座標p(n+1)が算出される。
【0067】
【数1】
【0068】
図8に示すように、フィードバック制御部42aは、荷物の現在位置と目標位置との差分に基づいて制御を行う。フィードバック制御部42aは、目標軌道算出部31a、ブーム位置算出部31bおよび作動信号生成部31cが直列に接合されているとともに(接続記号D参照)、荷物Wの現在位置座標p(n)を荷物Wの目標軌道信号Pdαにフィードバックさせるように構成されている。
【0069】
フィードバック制御部42aは、荷物Wの目標速度信号Vdを取得すると、目標軌道算出部31aにおいて、荷物Wのx軸方向、y軸方向およびz軸方向の目標軌道信号Pdαを算出する。次に、フィードバック制御部42aは、旋回台カメラ7bから取得した荷物Wの現在位置情報から荷物Wの現在位置座標p(n)を算出し、目標軌道信号Pdαにフィードバック(ネガティブフィードバック)する。フィードバック制御部42aは、目標軌道信号Pdαに対する荷物Wの現在位置座標p(n)の差分に基づいて目標軌道信号Pdαを補正し、目標軌道信号Pd1αを算出する。
【0070】
次に、フィードバック制御部42aは、ブーム位置算出部31bにおいて、上流側で補正された後述する目標軌道信号Pd2αと、各センサから取得したクレーン1の姿勢情報(旋回角度θz(n)、伸縮長さlb(n)、起伏角度θx(n)、繰り出し量l(n))と、旋回台カメラ7bから取得した荷物Wの現在位置情報から逆動力学を用いて単位時間t経過後のブーム9の目標位置座標q(n+1)を算出する。次に、フィードバック制御部42aは、作動信号生成部31cにおいて、ブーム位置算出部31bが算出したブーム9の目標位置座標q(n+1)から各アクチュエータの作動信号Mdを生成する。フィードバック制御部42aは、作動信号Mdによってクレーン1の各アクチュエータを作動させて荷物Wを移動させる。
【0071】
フィードフォワード制御部42bは、荷物Wの目標速度信号VdにローパスフィルタLpを適用する制御を行う。フィードフォワード制御部42bは、例えば四次のローパスフィルタLpの伝達関数G(s)を第1モデルG1(s)、第2モデルG2(s)、第3モデルG3(s)および第4モデルG4(s)の4つの一次モデルからなる伝達関数とし、それぞれの一次モデルが一のサブシステムとして直列に結合されている。フィードフォワード制御部42bは、フィードバック制御部42aで補正された荷物Wの目標軌道信号Pd1αにローパスフィルタLpを適用して所定の周波数成分を抑制した目標軌道信号Pd2αを算出する。
【0072】
フィードフォワード制御部42bは、四次のローパスフィルタLpの伝達関数G(s)を部分分数分解した1次遅れの伝達関数である第1モデルG1(s)、第2モデルG2(s)、第3モデルG3(s)および第4モデルG4(s)が重ね合わせられている。また、フィードフォワード制御部42bは、伝達関数G(s)のゲインを重み係数として、第1モデルG1(s)に重み係数wα1、第2モデルG2(s)に重み係数wα2、第3モデルG3(s)に重み係数wα3および第4モデルG4(s)に重み係数wα4が割り当てられている。フィードフォワード制御部42bは、フィードバック制御部42aで補正された荷物Wの目標軌道信号Pd1αに基づいて各モデルの重み係数wα1、wα2、wα3およびwα4を調整する。
【0073】
フィードフォワード制御部42bは、荷物Wの目標速度信号Vdを取得すると、目標速度信号Vdに重み係数wα1とする第1モデルG1(s)を適用する。本実施形態において、第1モデルG1(s)は積分要素であるため、荷物Wの目標速度信号Vdから荷物Wの目標軌道信号Pdαが算出される。次に、フィードフォワード制御部42bは、第1モデルG1(s)からの出力に重み係数wα2とする第2モデルG2(s)を適用する。次に、フィードフォワード制御部42bは、第2モデルG2(s)からの出力に重み係数wα3とする第3モデルG3(s)を適用する。次に、フィードフォワード制御部42bは、第3モデルG3(s)からの出力に重み係数wα4とする第4モデルG4(s)を適用する。最後に、フィードフォワード制御部42bは、一次モデル毎の出力を加算し、フィードバック制御部42aで補正された荷物Wの目標軌道信号Pd1αを更に補正して目標軌道信号Pd2αを算出する。つまり、クレーン1の制御システム42は、フィードバック制御部42aで補正された荷物Wの目標軌道信号Pd1αを、フィードフォワード制御部42bでさらに補正する。そして、クレーン1の制御システム42は、目標軌道信号Pd2αからブーム9の目標位置座標q(n+1)を算出する。
【0074】
次に図9から図12を用いて、クレーン1の制御システム42における作動信号Mdを生成するための荷物Wの目標軌道信号Pdの算出およびブーム9の先端の目標位置座標q(n+1)の算出の制御工程について詳細に記載する。
【0075】
図9に示すように、ステップS100において、制御システム42は、目標軌道算出工程Aを開始し、ステップをステップS110に移行させる(図10参照)。そして、目標軌道算出工程Aが終了するとステップをステップS200に移行させる(図9参照)。
【0076】
ステップ200において、制御システム42は、ブーム位置算出工程Bを開始し、ステップをステップS210に移行させる(図11参照)。そして、ブーム位置算出工程Bが終了するとステップをステップS300に移行させる(図9参照)。
【0077】
ステップ300において、制御システム42は、作動信号生成工程Cを開始し、ステップをステップS310に移行させる(図12参照)。そして、作動信号生成工程Cが終了するとステップをステップS100に移行させる(図9参照)。
【0078】
図10に示すように、ステップS110において、制御システム42は、制御装置31の目標軌道算出部31aによって荷物Wの目標速度信号Vdを取得したか否か判定する。
その結果、荷物Wの目標速度信号Vdを取得した場合、制御システム42はステップをS120に移行させる。
一方、荷物Wの目標速度信号Vdを取得していない場合、制御システム42はステップをS110に移行させる。
【0079】
ステップS120において、制御システム42は、一組の旋回台カメラ7bによって荷物Wを撮影し、任意に定めた基準位置O(例えば、ブーム9の旋回中心)を原点として荷物Wの現在位置座標p(n)を算出し、ステップをステップS130に移行させる。
【0080】
ステップS130において、制御システム42は、目標軌道算出部31aによって取得した荷物Wの目標速度信号Vdを積分して荷物Wの目標軌道信号Pdαを算出し、ステップをステップS140に移行させる。
【0081】
ステップS140において、制御システム42は、フィードバック制御部42aにより、荷物Wの現在位置座標p(n)と目標軌道信号Pdαとの差分に基づいて目標軌道信号Pdαを補正して目標軌道信号Pd1αを算出し、ステップをステップS150に移行させる。
【0082】
ステップS150において、制御システム42は、フィードフォワード制御部42bにより、ローパスフィルタLpの伝達関数G(s)の各一次モデル(図8参照)の重み係数wα1、wα2、wα3およびwα4を目標軌道信号Pd1αに基づいて調整し、ステップをステップS160に移行させる。
【0083】
ステップS160において、制御システム42は、各モデルの重み係数wα1、wα2、wα3およびwα4が調整されたローパスフィルタLpを目標軌道信号Pd1αに適用して、目標軌道信号Pd2αを算出し、目標軌道算出工程Aを終了してステップをステップS200に移行させる(図9参照)。
【0084】
図11に示すように、ステップS210において、制御システム42は、ブーム位置算出部31bにより、取得した旋回台7の旋回角度θz(n)、伸縮長さlb(n)およびブーム9の起伏角度θx(n)からブーム9の先端の現在位置座標q(n)を算出し、ステップをステップS220に移行させる。
【0085】
ステップS220において、制御システム42は、ブーム位置算出部31bにより、荷物Wの現在位置座標p(n)とブーム9の現在位置座標q(n)から上述の式(4)を用いてワイヤロープの繰り出し量l(n)を算出し、ステップをステップS230に移行させる。
【0086】
ステップS230において、制御システム42は、ブーム位置算出部31bにより、荷物Wの現在位置座標p(n)を基準として、目標軌道信号Pd2αから単位時間t経過後の荷物Wの目標位置である荷物Wの目標位置座標p(n+1)を算出し、ステップをステップS240に移行させる。
【0087】
ステップS240において、制御システム42は、ブーム位置算出部31bにより、荷物Wの現在位置座標p(n)と荷物Wの目標位置座標p(n+1)とから荷物Wの加速度を算出し、重力加速度を用いて上述の式(5)を用いてワイヤロープの方向ベクトルe(n+1)を算出し、ステップをステップS250に移行させる。
【0088】
ステップS250において、制御システム42は、ブーム位置算出部31bにより、算出したワイヤロープの繰り出し量l(n)とワイヤロープの方向ベクトルe(n+1)とから上述の式(6)を用いてブーム9の目標位置座標q(n+1)を算出し、ブーム位置算出工程Bを終了してステップをステップS300に移行させる(図9参照)。
【0089】
図12に示すように、ステップS310において、制御システム42は、作動信号生成部31cにより、ブーム9の目標位置座標q(n+1)から単位時間t経過後の旋回台7の旋回角度θz(n+1)、伸縮長さLb(n+1)、起伏角度θx(n+1)およびワイヤロープの繰り出し量l(n+1)を算出し、ステップをステップS320に移行させる。
【0090】
ステップS320において、制御システム42は、作動信号生成部31cにより、算出した旋回台7の旋回角度θz(n+1)、伸縮長さLb(n+1)、起伏角度θx(n+1)、ワイヤロープの繰り出し量l(n+1)から旋回用バルブ23、伸縮用バルブ24、起伏用バルブ25、メイン用バルブ26mまたはサブ用バルブ26sの作動信号Mdをそれぞれ生成し、作動信号生成工程Cを終了してステップをステップS100に移行させる(図9参照)。
【0091】
クレーン1の制御システム42は、目標軌道算出工程Aとブーム位置算出工程Bと作動信号生成工程Cとを繰り返すことで、ブーム9の目標位置座標q(n+1)を算出し、単位時間t経過後に、ワイヤロープの繰り出し量l(n+1)と荷物Wの現在位置座標p(n+1)と荷物Wの目標位置座標p(n+1)p(n+2)からワイヤロープの方向ベクトルe(n+2)を算出し、ワイヤロープの繰り出し量l(n+1)とワイヤロープの方向ベクトルe(n+2)とから、更に単位時間t経過後のブーム9の目標位置座標p(n+1)q(n+2)を算出する。つまり、制御システム42は、ワイヤロープの方向ベクトルe(n)を算出し、逆動力学を用いて荷物Wの現在位置座標p(n+1)と荷物Wの目標位置座標p(n+1)とワイヤロープの方向ベクトルe(n)とから単位時間t後のブーム9の目標位置座標q(n+1)を順次算出する。制御システム42は、ブーム9の目標位置座標q(n+1)に基づいて作動信号Mdを生成し、各アクチュエータを制御している。
【0092】
このようにクレーン1およびクレーン1の制御システム42は、物理的な特性が明確なモデルを複数のサブシステムとし、複数のサブシステムからの出力にそれぞれ重み係数を掛けることで1層のニューラルネットワークとみなすことができる。クレーン1の制御システム42は、フィードバック制御部42aによって、荷物Wの現在位置座標p(n)と目標軌道信号Pdαとの差分に基づいて各アクチュエータを制御するとともに、フィードフォワード制御部42bによって、荷物Wの現在位置座標p(n)と目標軌道信号Pd1αとの差分に基づいてローパスフィルタLpを構成する各一次モデルをサブシステムとして、それぞれの重み係数を独立して調整する。つまり、クレーン1の制御システム42は、クレーン1の作動中に、その動特性の変化に柔軟に対応しながらローパスフィルタLpの係数を同定する。つまり、高次の伝達関数が一次のモデル毎に調整される。これにより、荷物を基準としてアクチュエータを制御する際に、荷物の動きからクレーン1の動特性を学習することで、荷物の揺れを抑制しつつ操縦者の意図に沿った態様で荷物を移動させることができる。本実施形態において制御システム42は、ローパスフィルタLpの一次モデルをサブシステムとしたが他の物理的な特性が明確なモデルでもよい。
【0093】
上述の実施形態は、代表的な形態を示したに過ぎず、一実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0094】
1 クレーン
6 クレーン装置
9 ブーム
31 制御装置
O 基準位置
W 荷物
Vd 目標速度信号
Pdα 目標軌道信号
α1、wα2、wα3、wα4 重み係数
G(s) 伝達関数
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